JP6716280B2 - 溶接方法及び溶接装置 - Google Patents

溶接方法及び溶接装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6716280B2
JP6716280B2 JP2016027145A JP2016027145A JP6716280B2 JP 6716280 B2 JP6716280 B2 JP 6716280B2 JP 2016027145 A JP2016027145 A JP 2016027145A JP 2016027145 A JP2016027145 A JP 2016027145A JP 6716280 B2 JP6716280 B2 JP 6716280B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
container
gas
welded
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016027145A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017144455A (ja
Inventor
浩明 増居
浩明 増居
達郎 安藤
達郎 安藤
精一 篠澤
精一 篠澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP2016027145A priority Critical patent/JP6716280B2/ja
Publication of JP2017144455A publication Critical patent/JP2017144455A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6716280B2 publication Critical patent/JP6716280B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、例えばニオブ(Nb)やニオブ合金からなる超伝導加速器(空洞)用の被溶接物を溶接によって製造・補修する技術に関する。
従来、超伝導加速器の空洞部分を製造する場合には、複数の構成部材をEB(ELECTRON BEAM)を用いた溶接によって接合して製造することが一般に行われている。
しかし、EBによる溶接は、被溶接物を真空槽内に配置し、溶接部分を治具でしっかり固定し、真空排気をしながら溶接を行うことから、複雑な形状の構成部材を溶接する治具の費用が大きくなるという課題がある。
また、EBによる溶接は、補修を行うことが困難であり、製造工程中に孔をあけた場合などには、価格の高いニオブ材料や溶接までの工程が全て無駄になり、コストアップの要因になっている。
このような問題に対し、従来、TIG溶接によって加速器を製造することも試みられているが、大気中における溶接では空気によるコンタミネーションが生ずる問題があり、また、真空槽内で溶接を行った場合であっても、真空槽内の物質や溶接時に発生する物質によるコンタミネーションが生ずるため、超伝導加速器の残留抵抗比(RRR:Residual Resistivity Ratio)が低下して使用することができないという課題があった。
特開2001−242280号公報 特開平8−155658号公報
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、例えば超伝導加速器のように従来補修を行うことが困難であった金属構造物を、簡素な工程及び装置で安価に補修することができる溶接技術を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明は、被溶接物を溶接する溶接方法であって、溶接用容器内に充填された不活性ガス雰囲気中で被溶接物を溶接する工程を行う前に、前記被溶接物を前記溶接用容器内に配置し、当該溶接用容器内の雰囲気を真空状態にする真空排気工程と、前記溶接用容器内に不活性ガスを充填して当該溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力にする不活性ガス充填工程と、前記溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力に保持した状態で、当該溶接用容器の内壁を加熱してガスを放出させ、当該放出されたガスを含む不純物ガスを除去する不純物ガス除去工程とを有し、前記不純物ガス除去工程において、前記溶接用容器の内部に配置されたガス吸収性の金属材料からなる加熱脱ガス部を溶融し、その際に発生する熱によって前記溶接用容器の内壁を40〜115℃の温度に加熱してガスを放出させ、当該放出されたガスを含む不純物ガスを当該加熱脱ガス部中に吸収させる工程を有する溶接方法である。
本発明では、前記被溶接物が超伝導加速器の構成部材である場合にも効果的である。
本発明では、前記被溶接物がニオブ又はニオブ合金からなる場合にも効果的である。
一方、本発明は、被溶接物を溶接する溶接装置であって、真空排気可能で、かつ、不活性ガスを導入可能な溶接用容器と、前記溶接用容器内において被溶接物に対して相対移動可能に設けられ、溶接材料を加熱して溶融するための熱源部と、前記溶接用容器内に配置された加熱脱ガス部とを備え、前記加熱脱ガス部は、ガス吸収性の金属材料からなり、前記熱源部又は他の熱源部による当該加熱脱ガス部の加熱溶融によって発生する熱により前記溶接用容器の内壁を40〜115℃に加熱してガスを放出させ、かつ、当該放出されたガスを含む不純物ガスを吸収するように構成されている溶接装置である。
本発明では、前記加熱脱ガス部がタンタル、ニオブ又はチタンのいずれかからなる場合にも効果的である。
本発明においては、被溶接物の溶接に先立ち、真空排気後、溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力に保持した状態で、溶接用容器の内部に配置されたガス吸収性の金属材料からなる加熱脱ガス部を溶融し、その際に発生する熱によって溶接用容器の内壁を40〜115℃の温度に加熱してガスを放出させ、このガスを含む不純物ガスを加熱脱ガス部中に吸収させることにより溶接用容器内の不純物ガスを除去するようにしたことから、溶接用容器内の物質や溶接時に発生する物質によるコンタミネーションを防止することができ、これにより溶接後の被溶接物に含まれる不純物元素の量を小さくすることができるとともに、被溶接物における残留抵抗比の低下を抑制することができる。
その結果、本発明によれば、例えば超伝導加速器(空洞)のように材料に要求される特性が厳しく従来補修を行うことが困難であった金属構造物を、簡素な工程で安価に補修することができ、また、組立・製造を行うことも可能になる。
また、本発明の溶接装置によれば、上述した溶接工程を簡素な装置で安価に行うことができる。
本発明に係る溶接方法を実施するための溶接装置の例を示す概略断面構成図 本発明に係る溶接方法の一例を示す流れ図 本例における不純物ガス除去工程を模式的に示す説明図 (a)(b):本例における不純物ガス除去工程を模式的に示す説明図 (a):本発明に基づく溶接実験に用いた試験片を示す平面図、(b)同試験片の正面図 本発明に基づく溶接実験に用いたサンプルを説明するための図
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る溶接方法を実施するための溶接装置の例を示す概略断面構成図である。
また、図2は、本発明に係る溶接方法の一例を示す流れ図である。
図1に示すように、本例の溶接装置1は、溶接用容器2を有している。
この溶接用容器2は、例えばガス置換型のグローブボックスを有するもので、溶接用容器2の壁部に設けられた窓2aを介して内部を観察しながら、例えば一対のグローブ3、4を用いて人手によって容器内で被溶接物20を溶接し、かつ、所定の作業を行えるように構成されている。
溶接用容器2は、例えば拡散ポンプ等を有する真空排気装置5がバルブ50を介して接続されている。
なお、溶接用容器2は、容器内の真空状態を保持したまま被溶接物20等の出し入れができるように構成されている。
また、溶接用容器2は、バルブ60を介して不活性ガス供給源6が接続されている。この不活性ガス供給源6は、例えばアルゴン(Ar)ガスを溶接用容器2に供給するように構成されている。
一方、溶接用容器2には、図示しない放出弁が設けられ、不活性ガス供給源6から不活性ガスが導入された場合にこの放出弁からガスを排出することにより、溶接用容器2内の圧力が大気圧より高い圧力に制御されるようになっている。
さらに、溶接用容器2には、容器内部の酸素濃度を測定するための濃度測定器10が設けられている。
本例の溶接装置1は、TIG溶接によって溶接を行うもので、溶接用容器2の外部に設けられた溶接機本体7と、溶接用容器2の内部に移動自在に設けられたトーチ(熱源部)8とを有している。
そして、溶接用容器2内に設けられた電極9とトーチ8の溶接電極部8aとの間に所定の電圧を印加してアーク放電を生じさせ、図示しない溶接棒を溶融することにより、被溶接物20を溶接するように構成されている。
また、本例では、溶接用容器2の内部に、後述する加熱脱ガス部30が設けられている。
本例においては、まず、溶接工程に先立ち、被溶接物20と溶接棒を例えば硝酸とフッ化水素酸の混合液を用いて洗浄する。
そして、溶接用容器2の内部に被溶接物20と溶接棒を配置した後、溶接用容器2を密閉状態にして真空排気装置5を動作させて溶接用容器2内の真空排気を行う(図2工程P1)。
本発明の場合、この真空排気の条件は特に限定されることはないが、不純物の蒸発速度を考慮し、できるだけ不純物を少なくする観点からは、圧力1×10-3Pa以下、時間60〜180分に設定することが好ましい。
また、本発明の場合、特に限定されることはないが、被溶接物20における残留抵抗比の低下をより抑制する観点からは、上述した真空排気後における溶接用容器2内の水分の分圧値が比率で全圧値の50分の1以下となるように真空排気を行うことが好ましい。
次に、不活性ガス供給源6から溶接用容器2内に高純度(6N程度)の不活性ガス(例えばアルゴンガス)を導入充填してガス置換を行い、溶接用容器2内の圧力を大気圧より高い圧力にする(図2工程P2)。
この場合、溶接用容器2内の圧力は、次の不純物ガス除去工程において溶接用容器2内に外気が侵入しない程度の圧力に設定することが好ましい。
そして、溶接用容器2内の圧力を大気圧より高い圧力に保持した状態で、溶接用容器2の内壁を加熱して不純物ガスを除去する(図2工程P3)。
図3及び図4(a)(b)は、本例における不純物ガス除去工程を模式的に示す説明図である。
本例では、溶接用容器2内に配置された加熱脱ガス部30を上述したトーチ8によって部分的に溶融させ、溶接用容器2の内壁を加熱することにより、不純物ガスの除去を行う。
本発明では、加熱脱ガス部30としては、ガス吸収性の金属材料からなる板状等の部材を好適に用いることができる。
そして、加熱脱ガス部30を構成するガス吸収性の金属材料としては、高純度の金属材料を用いることが好ましい。
特に本発明では、金属材料中における酸素元素(O)、窒素元素(N)、炭素元素(C)の含有量(重量%)がそれぞれ10ppm以下のものを用いることが好ましい。
このようなガス吸収性の金属材料としては、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)があげられる。
これらのうちでも、不純物との反応性が高い材料であることを考慮すると、タンタル又はニオブを用いることがより好ましい。
本例では、図3に示すように、加熱脱ガス部30として、例えばタンタルからなる板状の部材を電極9上に配置し、この加熱脱ガス部30に対し、溶接機のトーチ8からアークを照射して加熱脱ガス部30の表面を部分的に溶融し、その際に発生する熱によって溶接用容器2の内壁を加熱する。
本発明の場合、特に限定されることはないが、不純物の蒸気圧と温度の関係を考慮し、より多くの不純物を放出させる観点からは、溶接用容器2の内壁を40〜115℃に加熱することが好ましい。
この場合、図4(a)に示すように、加熱脱ガス部30に対し、例えば隅部からアークの照射を開始し、例えばジグザグ状等にアークを照射して溶融する領域が重ならないようにする(図中、符号31は、アーク照射によって溶融させた部分の痕跡を示すものである)。
このような工程を行うことにより、加熱脱ガス部30からの輻射熱によって溶接用容器2の内壁が加熱され、これにより暖まった溶接用容器2の内壁からガスが放出される。そして、溶接用容器2の内壁から放出されたガスを含む不純物ガスが、加熱脱ガス部30の表面においてトーチ8からのアーク照射によって順次形成される液状の溶融部32に吸収される。
具体的には、溶接用容器2の内部に残存する水素(H2)ガス、酸素(O2)ガスや窒素(N2)ガス等が、図4(b)に示すように、トーチ8からのアーク照射によって形成された液状の溶融部32に吸収される。
そして、以上の工程を、1〜2時間行うことにより、溶接用容器2内におけるこれら不純物ガスの体積濃度を大幅に低下させることができる。
その後、溶接用容器2の内部の真空排気を行う(図2工程P4)。
この真空排気は、長時間(例えば12時間以上)行い、溶接用容器2の内部の圧力が4×10-3Pa以下となるようにする。
また、濃度測定器10によって測定された溶接用容器2内の酸素ガスの濃度が所定値(例えば0.01体積%)以下となるまで真空排気を行う。
これにより、溶接用容器2の内壁から放出されたガスを含む不純物ガスが溶接用容器2の外部に排出され、溶接用容器2の内部には不純物ガスがほとんど残存しなくなる。
さらに、不活性ガス供給源6から溶接用容器2内に不活性ガス(例えばアルゴンガス)を導入充填してガス置換を行い、溶接用容器2内の圧力を大気圧より高い圧力に設定する(図2工程P5)。
そして、その状態で、トーチ8を動作させ、溶接棒を用いて人手で被溶接物20の溶接を行う(図2工程P6)。
この溶接工程終了後、所定時間(例えば2時間)経過後に、被溶接物20を溶接用容器2から取り出す(図2工程P7)。
これにより、本例の溶接工程が終了する。
以上述べた実施の形態によれば、被溶接物20の溶接に先立ち、真空排気後、溶接用容器2内の圧力を大気圧より高い圧力に保持した状態で、溶接用容器2内の金属材料からなる加熱脱ガス部30を溶融し、その際に発生する熱によって溶接用容器2の内壁を40〜115℃の温度に加熱してガスを放出させ、このガスを含む不純物ガスをガス吸収性の加熱脱ガス部30中に吸収させることにより溶接用容器2内の不純物ガスを除去するようにしたことから、溶接用容器2内の物質や溶接時に発生する物質によるコンタミネーションを防止することができ、これにより溶接後の被溶接物20に含まれる不純物元素の量を小さくすることができるとともに、被溶接物20における残留抵抗比の低下を抑制することができる。
その結果、本実施の形態によれば、例えば超伝導加速器(空洞)のように材料に要求される特性が厳しく従来補修を行うことが困難であった金属構造物を、簡素な工程で安価に補修することができ、また、組立・製造を行うことも可能になる。
また、本実施の形態の溶接装置1によれば、上述した溶接工程を簡素な装置で安価に行うことができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態では人手によってトーチ8を移動させながら溶接を行うようにしたが、トーチ8を固定し、被溶接物20を移動可能なテーブル上に載置してテーブルを移動させながら溶接を行うこともできる。
また、上記実施の形態ではTIG溶接によって被溶接物20を溶接する場合を例にとって説明したが、本発明はレーザー光を用いた所謂レーザー溶接による場合も含むものである。
レーザー溶接の場合、熱源部であるレーザー光源を溶接用容器2の外部に設けて窓を介してレーザー光を照射することも可能である。また、レーザー光源からの光の照射角度を変えて溶接を行うほか、被溶接物20を移動可能なテーブル上に載置してテーブルを移動させながら溶接を行うこともできる。
さらに、上記実施の形態では、溶接を行うトーチ8からのアーク照射によって加熱脱ガス部30を溶融させるようにしたが、他のトーチからのアーク照射によって加熱脱ガス部30を溶融させるほか、レーザー光の照射によって加熱脱ガス部30を溶融させることも可能である。
さらにまた、上記実施の形態では、超伝導加速器用の構成部材を溶接する場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、他の金属部材を溶接する場合にも適用することもできる。
ただし、本発明は不純物元素の含有量が小さく、かつ、残留抵抗比の大きい超伝導加速器用の構成部材の溶接(補修、製造)を行う場合に特に有効となるものである。
まず、それぞれ高純度のニオブからなる試験片と溶接棒を用意した。
試験片と溶接棒としては、残留抵抗比(RRR:300k/9.5k)が250以上のものを用いた。
図5(a)(b)に示すように、試験片としては、厚さ3.5mmで、突き合わせた場合の大きさが125mm×80mmの長方形の一対の板からなり、被溶接部の深さが3mmのものを用いた。
まず、これら試験片及び溶接棒を硝酸とフッ化水素酸の混合液を用いて洗浄した。
そして、上述した溶接装置1と同一の構成の溶接装置を用い、予め洗浄及び乾燥させておいた溶接用容器内に試験片と溶接棒を配置した後、溶接用容器を密閉状態にして真空排気装置を動作させ、溶接用容器内の圧力を4×10-3Paに設定した。
この工程の際、溶接用容器内の水分の分圧を測定し、当該水分の分圧値が比率で全圧値の50分の1以下であることを確認した。
次に、不活性ガス供給源から溶接用容器内に高純度(6N)のアルゴンガスを導入充填してガス置換を行い、溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力に設定した。
そして、溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力に保持した状態で、不純物ガス除去工程を行った。
ここでは、酸素元素、窒素元素、炭素元素の含有量(重量%)が10ppm以下の板状の加熱脱ガス部を溶接用容器の電極上に配置し、この加熱脱ガス部に対し、溶接機のトーチからアークを照射して加熱脱ガス部の表面を1〜2時間かけてジグザグ状に溶融し、その際に発生する輻射熱によって溶接用容器の内壁を40〜115℃に加熱した。
この場合、アーク照射による溶融部の大きさは外径が10mm程度となるようにし、またトーチの移動速度は50mm/分程度とした。
その後、溶接用容器を密閉状態にし、12時間以上真空排気を行った。
そして、溶接用容器の内部の圧力が4×10-3Pa以下で、かつ、溶接用容器内の酸素ガスの濃度が0.01体積%以下となった時点で、不活性ガス供給源から溶接用容器内に高純度(6N)のアルゴンガスを導入充填してガス置換を行い、溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力に設定した。
なお、溶接用容器内の酸素ガスの濃度は、ジルコニア式酸素濃度計(第一熱研株式会社製 TB−II(VNC−28C VF25))を用いて測定した。
この状態で、溶接棒を用い、トーチを動作させ、人手で試験片の被溶接部を一端側から他端側に向って溶接した。
溶接工程終了後、2時間経過後に、試験片を溶接用容器から取り出した。
図6は、本発明に基づく溶接実験に用いたサンプルを説明するための図である。
図6に示すように、上述した試験片の表面の領域を、溶接開始側から溶接終了側に向ってそれぞれ長さが35mmの溶接領域1〜3に区分けした。
そして、試験片の溶接終了側の溶接領域3において、ビード部、熱影響部及び素材部から、各部分に含まれる成分(元素)の分析用サンプルをそれぞれ採取した。
さらに、試験片の溶接開始側の溶接領域1において、ビード部からRRR測定用サンプルを採取するとともに、溶接終了側の溶接領域3において、ビード部及び熱影響部からRRR測定用サンプルをそれぞれ採取した。
そして、各サンプルの各成分元素の含有量を、酸素は、不活性ガス融解−赤外線吸収法により、窒素及び水素は、不活性ガス融解−熱伝導度法により、炭素は、燃焼−赤外線吸収法により測定した。
また、各サンプルのRRRを、JIS H 7306に規定される「超伝導−残留抵抗比試験方法−ニオブ・チタン複合超伝導体の残留抵抗比」によって測定した。
それぞれの結果を表1、表2に示す。
Figure 0006716280
Figure 0006716280
<評価結果>
表1から明らかなように、ニオブからなる試験片の溶接終了側の溶接領域3に含まれる各不純物元素の量は、いずれも超伝導加速器に要求される仕様の最大値を下回っており、本発明による効果を確認することができた。
なお、試験片の溶接終了側の溶接領域3において元素分析用サンプルを採取したのは、溶接の進行に伴い、試験片及び溶接棒に含まれている酸素等のガス成分が放出されることにより不活性ガスの純度が低下することが発明者の経験則として知られていたからである。
したがって、試験片の溶接開始側の溶接領域1、2においては溶接領域3より不活性ガスの純度が高く、上述した溶接領域1、2における各不純物元素の含有量は溶接領域3より小さいと考えられる。
一方、表2から明らかなように、残留抵抗比(RRR)については、試験片の溶接終了側の溶接領域3の値が、試験片の溶接開始側の溶接領域1に比べて低下し、要求仕様を下回っていることが見てとれる。
しかし、試験片における溶接開始から35mmの溶接領域1では、要求仕様を大幅に上回っており、本発明によれば、材料に要求される特性が厳しい超伝導加速器等の補修に十分対応できることが確認された。
1…溶接装置
2…溶接用容器
3、4…グローブ
5…真空排気装置
6…不活性ガス供給源
7…溶接機本体
8…トーチ(熱源部)
8a…溶接電極部
9…電極
20…被溶接物
30…加熱脱ガス部

Claims (5)

  1. 被溶接物を溶接する溶接方法であって、
    溶接用容器内に充填された不活性ガス雰囲気中で被溶接物を溶接する工程を行う前に、
    前記被溶接物を前記溶接用容器内に配置し、当該溶接用容器内の雰囲気を真空状態にする真空排気工程と、
    前記溶接用容器内に不活性ガスを充填して当該溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力にする不活性ガス充填工程と、
    前記溶接用容器内の圧力を大気圧より高い圧力に保持した状態で、当該溶接用容器の内壁を加熱してガスを放出させ、当該放出されたガスを含む不純物ガスを除去する不純物ガス除去工程とを有し、
    前記不純物ガス除去工程において、前記溶接用容器の内部に配置されたガス吸収性の金属材料からなる加熱脱ガス部を溶融し、その際に発生する熱によって前記溶接用容器の内壁を40〜115℃の温度に加熱してガスを放出させ、当該放出されたガスを含む不純物ガスを当該加熱脱ガス部中に吸収させる工程を有する溶接方法。
  2. 前記被溶接物が超伝導加速器の構成部材である請求項1記載の溶接方法。
  3. 前記被溶接物がニオブ又はニオブ合金からなる請求項1又は2のいずれか1項記載の溶接方法。
  4. 被溶接物を溶接する溶接装置であって、
    真空排気可能で、かつ、不活性ガスを導入可能な溶接用容器と、
    前記溶接用容器内において被溶接物に対して相対移動可能に設けられ、溶接材料を加熱して溶融するための熱源部と、
    前記溶接用容器内に配置された加熱脱ガス部とを備え、
    前記加熱脱ガス部は、ガス吸収性の金属材料からなり、前記熱源部又は他の熱源部による当該加熱脱ガス部の加熱溶融によって発生する熱により前記溶接用容器の内壁を40〜115℃に加熱してガスを放出させ、かつ、当該放出されたガスを含む不純物ガスを吸収するように構成されている溶接装置。
  5. 前記加熱脱ガス部がタンタル、ニオブ又はチタンのいずれかからなる請求項4記載の溶接装置。
JP2016027145A 2016-02-16 2016-02-16 溶接方法及び溶接装置 Active JP6716280B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016027145A JP6716280B2 (ja) 2016-02-16 2016-02-16 溶接方法及び溶接装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016027145A JP6716280B2 (ja) 2016-02-16 2016-02-16 溶接方法及び溶接装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017144455A JP2017144455A (ja) 2017-08-24
JP6716280B2 true JP6716280B2 (ja) 2020-07-01

Family

ID=59682566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016027145A Active JP6716280B2 (ja) 2016-02-16 2016-02-16 溶接方法及び溶接装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6716280B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109746544A (zh) * 2019-03-19 2019-05-14 江阴市光科光电精密设备有限公司 一种超高真空不锈钢腔室的焊接工艺
JP7377021B2 (ja) 2019-08-20 2023-11-09 浜松ホトニクス株式会社 熱処理装置、熱処理システム及び熱処理品の製造方法
CN111313225B (zh) * 2020-05-15 2020-08-14 江西德瑞光电技术有限责任公司 一种半导体激光器贴片装置及方法
CN112025043A (zh) * 2020-09-04 2020-12-04 杨虹 一种己二酸工艺管道施工工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017144455A (ja) 2017-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6716280B2 (ja) 溶接方法及び溶接装置
He et al. Alloying element vaporization during laser spot welding of stainless steel
CN107186309A (zh) 超级合金的焊缝强制开裂和钎焊修补
Caballero et al. Oxidation of Ti-6Al-4V during wire and arc additive manufacture
JP2014151367A (ja) ろう付け方法、ろう付け配置及びろう付け物品
BR0006224B1 (pt) método para soldar um artigo de superliga e aparelho de soldagem.
WO2021171743A1 (ja) スポンジチタンの酸素濃度の分析方法
EP3213850A1 (en) Brazing furnace and brazing method for aluminum material
JP2011161514A (ja) 銅溶接方法及び銅溶接装置
DE1552849C3 (de) Verfahren zum Hartlöten der Stoßstellen von Aluminiumteilen
Singh et al. Vacuum brazing of accelerator components
JP2010247213A (ja) レーザピーニング施工装置及びレーザピーニング施工方法並びに金属材料製品
US10363631B2 (en) Neutron irradiated material repair
US7208695B2 (en) Welding shield gas and welding method
US9053917B2 (en) Vacuum fired and brazed ion pump element
CN111014951A (zh) 一种解决铜铝激光焊接高反射率的方法
Grossbeck et al. Gas tungsten arc welding of vanadium alloys with impurity control
CN103317258A (zh) 用于铝合金活性tig焊的活性剂及使用方法
WO2014153788A1 (zh) 一种真空电子束焊接铌材时获得超高真空的方法
Saha et al. Fabrication of niobium superconducting accelerator cavity by electron beam welded joints
高福洋 et al. Analysis on mechanism of root defect in titanium alloy electron beam welding
US3018357A (en) Welding apparatus and method
JP5953019B2 (ja) 高強度・高耐蝕性のアルミニウム製熱交換器の製造方法
Misiurov et al. Weldpool shape investigation in fiber laser welding of Cr-Ni-Mn-N austenitic steel
Wang et al. Glow discharge plasma brazing of Fe–Ni alloy in vacuum

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181211

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191015

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191213

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6716280

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250