以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
[噴霧装置の全体構成]
図1を用いて、本実施形態に係る噴霧装置1の全体構成を説明する。図1Aは斜視図を示し、図1Bはカバー部材80を外した状態の正面図を示し、図1Cはカバー部材80を外した状態の右側面図を示し、図1Dはカバー部材80を外した状態の背面図を示す。なお、図1Bにおいては、液位センサ15、制御ユニット50及び電源ユニット70は省略して図示し、図1Cにおいては、電源ユニット70は省略して図示する。
図1A〜図1Dに示すように、本実施形態の噴霧装置1は、液剤を霧化して微粒子を生成し搬送する霧化ユニット10と、霧化ユニットに供給するための液剤を貯留するタンクユニット20と、霧化ユニット10で生成された微粒子を吹き出す吹き出しユニット30と、霧化ユニット10で生成された微粒子の送出及び霧化ユニット10への液剤の供給を行う供給ユニット40と、各機器の制御を行う制御ユニット50と、それぞれのユニット同士を固定する据付ユニット60と、各機器に電力を供給する電源ユニット70と、それぞれのユニットを覆うカバー部材80によって構成される。
また、本実施形態においては、液剤として、除菌効果のある亜塩素酸水溶液を使用することを想定し、噴霧装置1は、空気中に浮遊するウィルスや細菌を死滅させる除菌装置として使用される。
[霧化ユニット10の構成]
図1及び図2を使用して、本実施形態に係る霧化ユニット10について説明する。図2Aは霧化ユニット10の部分拡大斜視図を示し、図2Bは霧化ユニット10の使用時の様子を示す模式図である。
図2Aに示すように、霧化ユニット10は、所定の幅を有し液剤を貯留可能な霧化タンク11と、霧化タンク11内において液剤を霧化して微粒子を生成する超音波振動子12a、12b、12c・・・が幅方向及び奥行き方向に複数配設された霧化デバイス12と、所定の回転数を保持可能な図示しない送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンク11に設けられた送風口11bから霧化タンク11内に吐出する送風機13と、超音波振動子12a、12b、12c・・・によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設される二枚のバッフルプレート14a、14bと、霧化タンク11内の液位を検知する液位センサ15とを備える。
霧化タンク11は、タンクユニット20から供給される液剤を貯留して霧化するためのものであり、所定の幅を有する略直方体の形状を呈する。霧化タンク11の天面11dには供給口11aが形成されており、後述する供給ユニット40の液剤供給ポンプ41を介してタンクユニット20から供給された液剤が供給口11aを介して霧化タンク11内に流入する。また、霧化タンク11の天面11dには送風口11bが形成されており、送風機13からの搬送エアが送風口11bを通じて霧化タンク11内に流入する。さらに、霧化タンク11の天面11dには送出口11cが形成されており、霧化タンク11内で霧化された微粒子が搬送エアとともに送出口11cから送出される。霧化タンク11は後述する据付ユニット60の下部ベース61に、例えばねじ止めなどの周知の手段によって固定される。このとき、霧化タンク11は、据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設される。なお、霧化タンク11はポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成される。また、本実施形態においては、霧化タンク11の天面11dは、霧化タンク11の本体部分に装着される天面部材によって形成される。
霧化デバイス12は霧化タンク11内の底部に配設された複数の超音波振動子12a、12b、12c・・・を備えるデバイスであり、電源ユニット70から供給される電力によって作動して超音波を発する。本実施形態に係る霧化デバイス12は、霧化タンク11の奥行き方向にわたって2列、幅方向にわたって3列の超音波振動子12a、12b、12c、12d、12e、12fが平面状に配設されており、霧化タンク11内の広範囲にわたって液剤を霧化して微粒子を発生させる。霧化デバイス12を作動させると、液面からは配列された超音波振動子12a、12b、12c・・・ごとに、それぞれの超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に向けて液柱が発生する。
送風機13は、制御ユニット50からの信号に応じて回転数を制御可能な図示しない送風部材を備えており、霧化された液剤を搬送するための搬送エアを送風口11bを通じて霧化タンク11内に供給するものであり、搬送エアを吐出する図示しない吐出口が霧化タンク11の送風口11bに接続され、下方に向けて送風可能に配設される。本実施形態において、送風機13は電源ユニット70から供給される電力によって駆動され、制御ユニット50からの信号に応じて印加電圧を変化させることで回転数を制御する。
次に、二枚のバッフルプレート14a、14bについて説明する。バッフルプレート14a、14bはステンレス鋼によって形成された平板状の部材であり、その基本的機能は、霧化デバイス12の超音波振動によって発生した液滴を大きな液滴と小さな微粒子とに分けることである。つまり、それぞれの超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に液柱が発生すると、液柱に含まれる粒径の大きな液滴はバッフルプレート14a、14bに衝突して下方に流れ霧化タンク11に貯留される液層に還流する。一方、液柱に含まれる粒径の小さな霧滴は、バッフルプレート14a、14b近傍に浮遊した状態となり、送風機13によって供給される搬送エアに伴い送出口11cへ搬送される。このように、バッフルプレート14a、14bの働きによって、超音波振動によって発生した粒径の大きな液滴と粒径の小さな霧滴とを分離することができる。
このような基本的機能に加え、本実施形態に係るバッフルプレート14a、14bは、さらに、後述する機能を発揮できるよう、下記のように配設される。
本実施形態に係るバッフルプレート14a(本発明における第一バッフルプレート)は、送風口11bの下方であって、超音波振動子のうち霧化タンク11の幅方向一端側に配設された超音波振動子12a、12dの上方に配設される。
また、バッフルプレート14aは、一端が霧化タンク11の天面11dに接続される接続部14ac(本発明における第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てて配設されるエッジ部14ae(本発明における第一エッジ部)を有するよう、霧化タンク11の幅方向一端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
バッフルプレート14b(本発明における第二バッフルプレート)は、供給口11a及び送出口11cの下方であって、超音波振動子のうち霧化タンク11の幅方向他端側に配設された超音波振動子12c、12fの上方に配設される。
また、バッフルプレート14bは、一端が霧化タンク11の天面に接続される接続部14bc(本発明における第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向他端側、つまり、バッフルプレート14aが配設される側とは逆側の側面と所定の間隔を隔てて配設されるエッジ部14be(本発明における第二エッジ部)を有するよう、バッフルプレート14aとは逆方向、つまり、霧化タンク11の幅方向他端側に向けて斜め下方に傾斜して配設される。
つまり、バッフルプレート14aの端部は霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てるよう配設され、バッフルプレート14bの端部は霧化タンク11の幅方向他端側の側面と所定の間隔を隔てるよう配設される。
そして、送風口11bはバッフルプレート14aの接続部14acよりも幅方向一端側に設けられるとともに、送出口11cはバッフルプレート14bの接続部14bcよりも幅方向他端側に設けられる。
液位センサ15は霧化タンク11内に貯留されている液剤の液位を検知するためのものであり、本実施形態においては霧化タンク11の外部に配設されたフロート式のものが使用される。この場合、霧化タンク11には、適宜の高さに図示しない流通孔が設けられており、流通孔を通じて液位センサ15に液剤が流入する。流通孔を通じて接続された霧化タンク11と液位センサ15は同じ圧力下におかれるため、液位センサ15内の液位と霧化タンク11内の液位は同じ値となる。このようにして、外付けの液位センサ15によって霧化タンク11の液位が検知されるが、液位を計測できるものであればこれに限ったものではない。本実施形態における液位センサ15は、所定の第一液位h1、及び、第一液位h1よりも高い第二液位h2を検知するために使用される
停止センサ16は、液位センサ15と同様に、霧化タンク11内に貯留されている液剤の液位を検知するためのものであるが、後述するように、噴霧装置1の運転を強制的に停止することを判別するための液位を検知するものである。
上述の通り、霧化タンク11は、据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設されるが、同様に、霧化ユニット10を構成する各機器も、六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設される。言い換えると、平面で見たときに、複数の柱状部材62が最も外側に位置し、複数の柱状部材62に囲まれる領域の内側に各機器が位置するように配設される。
[タンクユニット20の構成]
タンクユニット20は、霧化タンク11に供給する液剤を一時的に貯留しておくためのものであり、霧化ユニット10の上方に配置される。タンクユニット20は略直方体の形状を呈しており、上面には、後述するトップ部材63の液剤補給口63eに連通する流入口が開口する。また、底面には、供給ユニット40の液剤供給管42に接続される接続口が開口する。タンクユニット20は後述する据付ユニット60の六本の柱状部材62によって画定される領域の内側に配設されるよう、例えばねじ止め等の周知の手段によって柱状部材62に固定される。このとき、タンクユニット20の外面にフランジ部を設け、フランジ部において柱状部材62との接続を行うようにしてよい。タンクユニット20の略中央部には、上下方向に凹部20aが形成されており、霧化タンク11から吹き出しユニット30に微粒子と搬送エアを供給する供給パイプ43が当該凹部20aを通ることができるよう構成される。タンクユニット20の容量は、霧化タンク11の容量よりも大きく、タンクユニット20への一回の液剤の補給によって、霧化タンク11への液剤の供給を複数回にわたって行うことができるため、長時間にわたって運転を継続することが可能である。なお、タンクユニット20は、霧化タンク11と同様に、ポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成される。
[吹き出しユニット30の構成]
図3を用いて、吹き出しユニット30について説明する。図3Aは吹き出しユニット30の斜視図を、図3Bは吹き出しユニット30の平面図を、図3Cは吹き出しユニット30の正面図を、図3Dは吹き出しユニット30の底面図を示す。
吹き出しユニット30は、霧化ユニット10で生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出すためのものであり、据付ユニット60の最上部に配設されるトップ部材63から上方に突出するように設置される。吹き出しユニット30は、所定の幅、奥行き及び高さを有する無底の略筒状の吹き出し部材31によって形成され、上端には斜め上方に傾斜し、幅方向にスリット状に形成された噴霧口32を有する。吹き出し部材31の下端には、後述するトップ部材63の係止凹部63bに挿入可能な複数の図示しない係止爪部が形成される。
吹き出し部材31の内部には、天面の内側から区画壁33が突設され、区画壁33に囲まれる領域に供給ユニット40の供給パイプ43を接続することで、霧化ユニット10からの微粒子と搬送エアが吹き出しユニット30内に流入するようになっている。この点について、図5Aに示すトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を参照して説明すると、トップ部材63の天面には、供給ユニット40の供給パイプ43に接続される接続口63aが開口する。同時に、トップ部材63の天面には、吹き出しユニット30の下端部に形成される図示しない係止爪部が係止される係止凹部63bが形成される。そして、吹き出しユニット30の係止爪部がトップ部材63の係止凹部63bに係止されると、区画壁33の下端がトップ部材63における接続口63aの周囲にシールして密着され、区画壁33の内側領域と供給ユニット40の供給パイプ43が接続口63aを介して接続される。
そして、区画壁33の内側領域の上端には、斜め上方に傾斜したスリット状の噴霧口32が形成され、接続口63aから区画壁33の内側領域に流入した微粒子及び搬送エアが、噴霧口32から噴霧される。
[供給ユニット40の構成]
図1に戻り、供給ユニット40の構成について説明する。
図1B〜図1Dに示すように、供給ユニット40は、タンクユニット20に貯留された液剤を霧化ユニット10に供給するための液剤供給ポンプ41と、液剤供給ポンプ41に接続されタンクユニット20と霧化ユニット10の間で液剤を流通させる液剤供給管42と、霧化ユニット10で生成された微粒子と搬送エアを噴霧ユニットに供給する供給パイプ43によって構成される。
液剤供給管42は、タンクユニット20の底面に形成された図示しない接続口と液剤供給ポンプ41の入口とを接続するとともに、液剤供給ポンプ41の出口と霧化タンク11の天面に形成された供給口11aとを接続する。
つまり、液剤供給ポンプ41と液剤供給管42を用いることで、タンクユニット20に貯留される液剤を、必要に応じて供給口11aから霧化タンク11内に供給することができる。
なお、本実施形態においては、液剤供給ポンプ41としてチューブポンプが使用されるが、これに限ったものではない。
供給パイプ43は、霧化タンク11の天面に形成された送出口11cとトップ部材63の接続口63aとを接続する。
つまり、霧化タンク11で生成された微粒子は、搬送エアとともに送出口11cから送出され、供給パイプ43を流通してトップ部材63の接続口63aから吹き出しユニット30に形成される区画壁32の内側領域に流入した後、噴霧口31から噴霧される。
本実施形態においては、供給パイプ43は蛇腹状のフレキシブルチューブによって構成されるが、これに限ったものではない。また、供給パイプ43はタンクユニット20の略中央部に形成された上下方向の凹部を通り、送出口11cと接続口63aとを接続する。
[制御ユニット50の構成]
制御ユニット50は、送風機13の駆動や液剤供給ポンプ41の駆動を制御するものであり、周知の回路やスイッチ等によって構成される。
[据付ユニット60の構成]
図4を用いて据付ユニット60について説明する。図4Aは、据付ユニット60の正面図を、図4Bは図4AのA−A断面図を、図4Cはベース部材61の底面図を示す。
据付ユニット60は、上記各ユニットや部材を固定するためのものであり、下部ベース61と、複数の柱状部材62と、トップ部材63と、複数の脚部64とによって構成される。
下部ベース61は、据付ユニット60の下端に位置する平面矩形状の板状の部材であり、霧化タンク11を固定するとともに、複数の柱状部材62下端部を固定する。本実施形態においては、下部ベース61の四辺に上方に突出する立ち上がり部61aを備え、各立ち上がり部61aにおいて、複数の柱状部材62の下端部が図示しないねじ止めによって固定されている。また、下部ベース61の四つの隅部には、噴霧装置1を床面に設置するための脚部64を接続する接続口61bが設けられる。接続口61bには雌ねじが形成されており、脚部64に形成される雄ねじ部が回動可能に接続される。
柱状部材62は、略鉛直方向に配設される複数の柱状の部材であり、複数の柱状部材で画定される領域の内側の領域を各ユニットが配設される領域として画定するとともに、各ユニットを固定する部材である。図4Bに示すように、本実施形態においては、六本の柱状部材62を用いて各ユニットが配設される内側領域を画定する。各柱状部材62の下端部は下部ベース61の立ち上がり部61aに固定されるとともに、上端部はトップ部材63に、図示しないねじ止めによって固定される。つまり、六本の柱状部材62は、下部ベース61とトップ部材63とを接続する。なお、図4A及び図4Bにおいては、理解を補助するために、立ち上がり部61a及び柱状部材62の厚みを大きく描いている。
そして、柱状部材62の中間部分においては、タンクユニット20や制御ユニット50等を固定するための図示しない固定部が配置される。
特に、柱状部材62の上方においては、タンクユニット20を固定するための固定部の一つとして機能するボルトを挿通可能な図示しない挿通孔が同一高さに複数配置されており、タンクユニット20の所定高さに配設された雌ねじ部に当該ボルトをねじ止めすることで、タンクユニット20を柱状部材62に固定することができるようになっている。
このようにして、鉛直方向に配設される複数の柱状部材62によって囲まれる領域に各機器を配設することで、各機器は縦方向に積み重なるように配設される。そして、平面で見たときに柱状部材62が最も外側に配置される部材であるため、後述するカバー部材80を柱状部材62に巻き付けるように配設することが可能となる。このとき、カバー部材80は凹凸のない形状を呈するため、カバー部材80を装着した噴霧装置1は、様々な環境に適合するすっきりとした印象を与える外観を得ることができる。
次に、トップ部材63について、図5を用いて説明する。図5Aはトップ部材63の、トップ部材カバー63gを外した状態における平面図を、図5Bは図5AのA−A断面図を、図5Cはトップ部材63の底面図を、図5Dはトップ部材カバー63gの平面図を、図5Eは液剤補給時におけるトップ部材63と吹き出しユニット30の斜視図を示す。
トップ部材63は据付ユニット60の最上部に位置する部材であり、各柱状部材62の上端部に固定されるとともに、噴霧装置1全体の最上部において吹き出しユニット30を固定する部材である。トップ部材63は、図5B及び図5Eに示すように、側壁を有する、角部に丸みを帯びた無底の平面略矩形状の筒状部材からなる。
図5A及び図5Cに示すように、トップ部材63の天面には、供給ユニット40の供給パイプ43に接続される接続口63aが開口する。同時に、トップ部材63の天面には、吹き出し部材31の下端部に形成される図示しない係止爪部が係止される係止凹部63bが形成される。
さらに、トップ部材63の天面には、下方に向けて局所的に高さが低くなる天面凹部63cと、天面凹部63cを覆う開閉可能な扉部63dとを備えるとともに、天面凹部63cには、タンクユニット20の上面に形成された図示しない流入口に接続される液剤補給口63eを備える。液剤補給口63eの内面には雌ねじが形成されており、雄ねじ部を有する図示しないキャップ部材が螺着されるよう構成される。
トップ部材63と複数の柱状部材62との接続は、天面に設けられた複数のネジ穴63fから図示しないボルトを挿通し、当該ボルトを各柱状部材62の上端に設けられた図示しない雌ねじ部にねじ止めすることによって行われる。あるいは、柱状部材62に雌ねじ部を設ける代わりに、ボルトとナットを用いて接続してもよい。トップ部材63と柱状部材62を接続した後、トップ部材63の天面は、図5Eに示すように、図5Dに示すトップ部材カバー63gによって覆われる。
[電源ユニット70の構成]
電源ユニット70は、家庭用や商用の電源に接続し、各機器に電力を供給するユニットである。具体的には、電源タップに接続するケーブルや、噴霧装置1自体の電源スイッチ71等が電源ユニット70に含まれる。
[カバー部材80の構成]
カバー部材80は、複数の柱状部材62の周囲に配設され、各機器を覆う部材である。
具体的には、図1Aに示すように、トップ部材63の下方から下部ベース61までの高さを覆うように複数の柱状部材62の周囲に巻き付けられて配設される。カバー部材80は弾性を有するステンレス鋼の板状部材を、曲げ加工によって屈曲することによって形成される。
ここで、噴霧装置1を構成するにあたり、鉛直方向に配設される複数の柱状部材62によって囲まれる領域に霧化ユニット10やタンクユニット20等の各機器を配設しているため、平面で見たときに柱状部材62が最も外側に配置される。そのため、カバー部材80を柱状部材62に巻き付けるように配設することが可能となる。このとき、カバー部材80は凹凸のない形状を呈するため、カバー部材80を装着した噴霧装置1は、様々な環境に適合するすっきりとした印象を与える外観を得ることができる。
[噴霧装置1を使用した噴霧方法]
次に、図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る霧化装置1を使用した液剤の霧化方法について説明する。
〔ステップS100:液剤の補給〕
まず、霧化装置1を始動するに先立ち、タンクユニット20に液剤を補給する(ステップS100)。
タンクユニット20に液剤を補給する際には、ユーザはトップ部材63の天面に設けられた開閉可能な扉部63dを開け、液剤補給口63eに装着された図示しないキャップを取り外し、天面凹部63cに形成される液剤補給口63eに液剤を流し込む。液剤を補給し終えたらキャップを締め、扉部63dを閉める。
このように、液剤補給口63eが開閉可能な扉部63dに覆われているため、使用しないときには液剤補給口63eを扉部63で覆うことができ、すっきりとした外観を保持することができる。特に、液剤補給口63eは天面凹部63cに形成されているため、扉部63dを閉めるとトップ部材63の天面は吹き出しユニット30を除けば同一平面を有するため、とりわけ優れた外観性を発揮できる。
〔ステップS110:液剤の供給開始〕
ステップS100においてタンクユニット20に液剤が補給されると、ユーザは電源ユニット70を構成する図示しない電源コードを一般家庭用又は商業用の電源に接続した上で、同様に電源ユニット70を構成する電源スイッチ71を入れる。電源スイッチ71を入れると、制御ユニット50は液剤供給ポンプ41を作動し、タンクユニット20に投入された液剤の、霧化タンク11への供給を開始する(ステップS110)。
タンクユニット20に貯留された液剤の霧化タンク11への供給は下記のように行われる。つまり、制御ユニット50からの信号によって液剤供給ポンプ41が駆動し、それに伴いタンクユニット20底面に形成された図示しない接続口から液剤が流出し、液剤供給管42と液剤供給ポンプ41を通って、霧化タンク11の上面に形成された供給口11aから霧化タンク11内に流入する。
〔ステップS120〜S130:第二液位の判定〜液剤の供給停止〕
ステップS110において液剤の供給が開始されると同時に、制御ユニット50は液位センサ15による液位の判定を開始し、霧化タンク11内の液位が所定の第二液位h2に達したかを判定する(ステップS120)。
液位センサ15によって検知した液位が第二液位h2に達しない場合、すなわちステップS120においてNの場合、制御ユニット50は液剤供給ポンプ41による供給を継続し、第二液位h2に達した場合、すなわちステップS120においてYになると、制御ユニット50は液剤供給ポンプ41による供給を停止する(ステップS130)。
〔ステップS140:液剤の霧化〕
ステップS130において液剤の供給が停止されると、制御ユニット50は霧化ユニット10における液剤の霧化を開始する(ステップS140)。なお、ステップS140における霧化運転の開始は、液位センサ15によって検知した液位が第一液位h1に達したことをトリガーとして行うよう制御しても構わない。その場合、霧化運転と液剤の供給が同時に行われることとなるが、早期に霧化運転を開始することができて好ましい。
霧化ユニット10において液剤の霧化を行うに際し、制御ユニット50は送風機13による搬送エアの送風を開始するとともに、霧化デバイス12による液剤の霧化を開始する。
霧化デバイス12の作動に伴い、図2Bに示すように、各超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方には液柱が立ち上がる。液柱には大小様々な粒径を有する粒子が含まれるが、液柱が接触するように超音波振動子の上方において斜め下方に傾斜して配設されたバッフルプレート14a、14bに対し、液柱に含まれる粒径の大きな液滴が接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
また、送風機13の作動に伴い、搬送エアが送風口11bから下方に向けて供給され、空中に浮遊する粒径の小さな霧滴を搬送して、送出口11cから送出させる。
このとき、霧化タンク11の幅方向一端側に設けられたバッフルプレート14aは、送風口11bの下方で、かつ、幅方向一端側の超音波振動子12a、12dの上方に配設されているため、送風機13から供給される搬送エアが直接液面や液柱に到達することが防止されるとともに、液面から立ち上がる液柱や液滴が送風口11bから流入し直接送風機13に到達することが防止される。そのため、液剤の霧化や搬送エアの供給がお互いを妨げることなく機能し、それにより、粒子の粒径の選別の性能が担保される。
また、送風機13から供給された搬送エアはバッフルプレート14aの一側の面に衝突し、バッフルプレート14aの一側の面に沿って流動するため、その際に圧力損失が発生し、粒子を搬送するための圧力が低下する。搬送エアの圧力が低下するため、バッフルプレート14a、14bに衝突することで液滴と小さな粒子とに分離された液剤から、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。
また、バッフルプレート14aの一側の面に沿って流動した搬送エアが、エッジ部14aeと霧化タンク11の一端側の面の間から流出する際に、バッフルプレート14aの他側の面、つまり液柱が接触する領域には負圧の領域が形成されるが、その負圧領域においては搬送エアの圧力が一層低下するため、粒径の非常に小さな微粒子以外は搬送することができず、下方の液面に落下することになる。そのため、ブラウン運動を起こすことができる程度に粒径の小さな微粒子のみが搬送エアによって下流側に搬送される。
このようなメカニズムによって、単にバッフルプレートで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を提供することができる。
また、バッフルプレート14aは、一端が霧化タンク11の天面11dに接続される接続部14ac(第一接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てるエッジ部14ae(第一エッジ部)を有するよう、斜め下方に傾斜して配設される。そして、送風機13から供給される搬送エアを霧化タンク11内の外周側を通過させるべく、内方から外方に向けて突出して配設されている。
バッフルプレート14aのこのような構造により、送風口11bから下向きに供給された搬送エアは、バッフルプレート14aの配設方向にしたがって流れの向きを斜め下方に変化させ、霧化タンク11の一端側の側面とバッフルプレート14aのエッジ部14aeとの間に形成される間隙を通過して霧化タンク11の液層付近の底部に至る。底部に至った搬送エアは他端側の側面に向かって方向を転換し、液面近傍を霧化タンク11の他端側の側面に向かって流通する。そして、霧化タンク11の他端側の側面近傍で向きを上方に転換し、天面11dに形成された送出口11cに向けて流れる。また、一部の搬送エアは、霧化タンク11の一端側の側面とバッフルプレート14aの他端部との間に形成される間隙を通過した後、バッフルプレート14a液柱を受ける側の面に回り込んでから、霧化タンク11内に旋回流を形成し、送出口11cから流出する。
このようにして、送風口11bから下向きに供給された搬送エアは、バッフルプレート14aの配設方向にしたがって霧化タンク11の内部でゆるやかな旋回流を形成し、一部は液柱を受ける側の面に回り込んでから、一部は霧化タンク11内の外周側を通過したうえで、送出口11bから送出される。
そして、送風口11bから供給された搬送エアが霧化タンク11内の外周側を通過してゆるやかな旋回流を形成するため、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、微粒子のみが搬送エアに搬送される。
さらに、本実施形態においては、送風口11bと送出口11cとが、霧化タンク11の天面11dであってバッフルプレート14aを挟んで互いに逆側における箇所に設けられる。
そのため、バッフルプレート14aを挟んだ旋回流を形成することができ、旋回流による遠心分離の効果を高めることができる
このようにして、本実施形態における霧化ユニット10は、送風機13とバッフルプレート14aが協働することによって、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に生成して送出することができる。
また、本実施形態においては、バッフルプレート14bは、一端が霧化タンク11の天面に接続される接続部14bc(第二接続部)を有するとともに、他端が霧化タンク11の幅方向他端側、つまり、バッフルプレート14aが配設される側とは逆側の側面と所定の間隔を隔てるエッジ部14be(第二エッジ部)を備えるよう、バッフルプレート14aとは逆方向の斜め下方に向けて配設される。
そして、バッフルプレート14bは送出口11cの下方で、かつ、幅方向他端側の超音波振動子12c、12fの上方に配設されている。そのため、超音波振動子12c、12fによって発生した液柱に含まれる粒径の大きな液滴がバッフルプレート14bの下面に接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に浮遊する。
このとき、搬送エアの圧力はバッフルプレート14aとの接触によって低下しているため、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。このようにして、バッフルプレート14b近傍で発生した粒子に関しても、粒径の小さな微粒子のみを選別して搬送することができる。
また、送風口11bは霧化タンク11の天面11dにおいてバッフルプレート14aの接続部14acよりも幅方向一端側に設けられるとともに、送出口11cはバッフルプレート14bの接続部14bcよりも幅方向他端側に設けられることにより、霧化タンク11内に形成される旋回流はバッフルプレート14a及びバッフルプレート14bを挟んで霧化タンク11内全体にわたって形成される大きなものとなる。そのため、搬送エアの遠心力による微粒子の選定がより強化され、ブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子のみを確実に選別して噴霧することができる。
〔ステップS150〜S160:第一液位の判定〜液剤の補充開始〕
図6のフローチャートに戻る。ステップS140において液剤の霧化が開始されると、制御ユニット50は液位センサ15による液位の判定を開始し、霧化タンク11内の液位が、第一液位h1を下回ったかどうかを判定する(ステップS150)。
液位センサ15によって検知した液位が第一液位h1を確保できている場合、すなわちステップS150においてNの場合、制御ユニット50はそのまま霧化を継続し、第一液位h1を下回った場合、すなわちステップS150においてYになると、制御ユニット50は液剤供給ポンプ41による液剤の補充を開始する(ステップS160)。
ステップS160における液剤の補充は、ステップS110と同様に、液剤供給ポンプ41を作動することによって行われる。この場合、霧化運転を継続しながら、液剤供給ポンプ41による液剤の霧化タンク11への補充を同時に行うことができる。
特に、供給口11aがバッフルプレート11bの上方に形成されているため、供給口11aから供給される液剤はバッフルプレート11bを伝って液体の状態で霧化タンク11内に貯留される液層に落下する。つまり、供給口11aから供給される液剤は超音波振動の影響を受けることなく、液層に補充される。そのため、本実施形態における微粒子の選別性能に影響を与えることなく、液剤を補充することができる。
〔ステップS170〜S180:第二液位の判定〜液剤の供給停止〕
ステップS160において液剤の補充が開始されると同時に、制御ユニット50は液位センサ15による液位の判定を開始し、霧化タンク11内の液位が所定の第一液位h1よりも高い第二液位h2に達したかを判定する(ステップS170)。
液位センサ15によって検知した液位が第二液位h2に達しない場合、すなわちステップS170においてNの場合、制御ユニット50は液剤供給ポンプ41による供給を継続し、第二液位h2に達した場合、すなわちステップS170においてYの場合、制御ユニット50は液剤供給ポンプ41による供給を停止する(ステップS180)。
その後は、ユーザにより電源スイッチ71が切られるまで、再びステップS150に戻り、第一液位の判定から液剤の供給までを繰り返し行うよう制御してもよい。
このようにすることで、霧化タンク11内の液剤の液位を第一液位h1と第二液位h2の間に保持することができ、ユーザが液位の増減を気にすることなく、自動で長時間にわたって運転を継続することができる。
また、制御ユニット50は常時、停止センサ16を用いて、第一液位h1よりも低い第3液位h3を下回ったかどうかを判定するよう構成してもよい。停止センサ16が第3液位h3を下回ったことを検知した場合、制御ユニット50は送風機13及び霧化デバイス12の動作を直ちに停止する。
このようにすることで、液剤が極端に少ない状況における霧化デバイス12の作動を抑制し、いわゆる空焚きを防止することができる。
また、このとき、制御ユニット50は運転を停止すると同時に、警報音を鳴らすか、あるいは、警告灯を点灯させることで、ユーザに空焚き状態となったことを通知させるよう構成してもよい。このようにすることで、ユーザは空焚き状態になったことを認知することができる。
[噴霧装置1を使用した粒径の調整]
次に、本実施形態における噴霧装置1を使用して噴霧する微粒子の粒径を所望の値に調整する方法について説明する。
上述の通り、制御ユニット50は送風機13に印加する電圧を制御することによって、送風機13の送風部材の回転数を制御することができる。そして、送風部材の回転数を上げることで、噴霧口32から噴霧される微粒子の粒径を小さくすることができる。逆に、送風部材の回転数を下げることで、噴霧口から噴霧される微粒子の粒径を大きくすることができる。この送風部材の回転数変化に伴って噴霧される粒子の粒径を変化させることができるメカニズムについて、以下に説明する。
一般には、送風部材の回転数を制御すると、回転数の変化に伴って風量が変化する。例えば、送風部材の回転数を上げると風量が増加し、回転数を下げると風量が減少する。しかしながら、風圧自体は変化しないため、搬送エアによる搬送の能力は変化せず、回転数を変化させることにより搬送可能な粒子の粒径を変化させることはできない。
一方、本発明においては、送風機13から供給される搬送空気の送風口11bがバッフルプレート14aの上方に配設されているため、送風口11bから供給される搬送エアがバッフルプレート14aの一側の面に衝突し、圧力損失が生じる。
搬送エアの圧力損失を引き起こした状態で送風部材の回転数を制御すると、搬送エアの風量変化に対して風圧の変化を大きくすることができる。例えば、送風部材の回転数を上げると、搬送エアの風量が増加することで、バッフルプレート14aへの接触に伴って発生する圧力損失が増加するため、搬送エアの圧力が低下し、粒子を搬送する能力が低減する。そのため、回転数を変化させる前と比して、粒径の小さな粒子を搬送することとなる。
逆に、送風部材の回転数を下げると、搬送エアの風量は減少し、バッフルプレート14aへの接触に伴って発生する圧力損失が減少するため、搬送エアの圧力が上昇し、粒子を搬送する能力が向上する。そのため、回転数を変化させる前と比して、粒径の大きな粒子を搬送することとなる。
このようにして、圧力損失の増減を利用して、搬送できる粒子の粒径を変化させることができる。
また、本実施形態においては、搬送エアはバッフルプレート14aのエッジ部14aeと霧化タンク11との間に形成される間隔を通った後、バッフルプレート14aにおける液柱を受ける側の面に回り込んでから送出口11cに至るため、バッフルプレート14aの周りに送出口に向けた搬送エアの緩やかな旋回流が形成される。
そして、送風部材の回転数を制御することによって、風量が変化するため、霧化された粒子に印加する遠心力が変化し、つまり、搬送可能な粒子の粒径を変化させることができる。例えば、送風部材の回転数を上げると、搬送エアの風量が増加することで、旋回流に随伴される粒子に印加される遠心力が増加し、粒径の比較的小さな粒子が分離されるため、粒径の非常に小さな粒子のみを搬送することとなる。
逆に、送風部材の回転数を下げると、搬送エアの風量は減少し、旋回流に随伴される粒子に印加される遠心力が低下するため、粒子を分離する能力が弱まり、粒径の大きな粒子も搬送できるようになる。
このようにして、制御ユニット50によって送風機13の送風部材の回転数を制御することで、所望の粒径の微粒子を噴霧口32から噴霧することが可能となる。
<変形例1>
図6に示すフローチャートのステップS110において、液剤供給ポンプ41を用いてタンクユニット20から霧化タンク11に液剤を供給するようにしたが、液剤供給ポンプ41に代えて電磁弁を使用して液剤を供給するよう構成することも可能である。
つまり、液剤供給管42の途中に、制御ユニット50からの信号によって開閉可能な電磁弁を配設し、制御ユニット50から開信号が発せられると電磁弁を開放して液剤を供給する。このとき、タンクユニット20が霧化タンク11の上方に配設されているため、重力を用いて液剤を供給することができ、液剤供給ポンプ41を使用するよりも迅速に、かつ、消費電力も必要なく液剤を供給することができる。特に、始動時において液剤を霧化タンク11に供給する際に重力を用いて供給することで、電源スイッチ71を入れてから霧化開始までの時間を短縮することができ、使い勝手の良い噴霧装置1を提供することができる。
<変形例2>
図7を用いて、霧化ユニット10の構成の変形例について説明する。バッフルプレート14a、14bを、斜め下方に傾斜させて配設する代わりに、天面から鉛直下方に配設したのち霧化タンク11の側面に向けて水平方向に屈曲させて配設することができる。
特に、図7Aに示すように、バッフルプレート14aを天面11dから鉛直下方に垂下させたのち霧化タンク11の幅方向一端側の側面に向けて水平方向に屈曲させ、エッジ部14aeを霧化タンク11の幅方向一端側の側面と所定の間隔を隔てて配置する。このようにすることで、上記と同様に、バッフルプレート14aの一側の面に送風機13からの搬送エアを接触させて圧力損失を引き起こすことができる。その結果、バッフルプレート14aの他側の面に接触した液柱から微粒子だけを搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、バッフルプレート14aをこのような構成にしても、搬送エアがエッジ部14aeと霧化タンク11の幅方向一端側の側面との間を通りバッフルプレート14aの下方を通るため、霧化タンク11内に旋回流を形成することができる。その結果、遠心力による分離の効果を利用して、バッフルプレート14aの他側の面に接触した液柱から微粒子だけを搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
<変形例3>
送風口11bや送出口11cを、霧化タンク11の天面11dではなく、側面に配設することができる。
図7Bに示すように、送風口11bを霧化タンク11の幅方向一端側の側面に配設した場合であっても、エッジ部14aeの位置よりも上方に配設されれば、送風口11bから流入した搬送空気はバッフルプレート14aに接触するため、搬送エアの圧力損失を引き起こすことができ、上記と同様の効果を得ることができる。
また、図7Cに示すように、送出口11cを霧化タンク11の幅方向他端側の側面に配設した場合であっても、エッジ部14bcの位置よりも上方に配設されれば、霧化タンク11内に旋回流を形成することができ、上記と同様の効果を得ることができる。
また、図7Dに示すように、送風口11bを配設する位置を、吹き込んだ搬送エアがバッフルプレート14aに接触しない位置に配設するようにしてもよい。このような場合であっても、搬送エアが霧化タンク11の幅方向一端側の側面とエッジ部14aeとの間を通りバッフルプレート14aの下方を通るため、霧化タンク11内に旋回流を形成することができ、上記と同様の効果を得ることができる。
このようにして、バッフルプレート14a、14bの配置や形状を変更したもの、あるいは、送風口11bや送出口11cの配置を変更したものであっても、本発明で説明した現象を起こすことができるものであれば、本発明の範囲に含まれる。
以上説明された本発明の効果についてまとめると、以下のようになる。
超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子12a、12dによって発生する液剤の液柱を受けるよう配設されるバッフルプレート14aと、幅方向他端側に配設された超音波振動子12c、12fによって発生する液剤の液柱を受けるよう配設されるバッフルプレート14bとを備えるため、各超音波振動子12a、12b、12c・・・の上方に配設されたバッフルプレート14a、14bに液柱が接触することにより、液柱に含まれる粒径の大きな液滴がバッフルプレート14a、14bに接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に大量に浮遊して搬送エアに搬送される。
このとき、バッフルプレート14aは、霧化タンク11における幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置されるエッジ部14aeと、霧化タンク11の内側に接続される接続部14acを備え、送風口11bは接続部14acよりも霧化タンク11の幅方向一端側寄りに配設され、バッフルプレート14bは、霧化タンク11における幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置されるエッジ部14beと、霧化タンク11の内側に接続される接続部14bcを備え、送出口11cは接続部14bcよりも霧化タンク11の幅方向他端側寄りに配設されることにより、霧化タンク11内にはバッフルプレート14a及びバッフルプレート14bを挟んで霧化タンク11内全体にわたって大きな旋回流が形成される。そのため、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、ブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子のみを確実に選別して大量に噴霧することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、送風口11bから供給された搬送エアがバッフルプレート14aにおける一側の面に接触するようバッフルプレート14aを配設するため、その際に圧力損失が生じ、粒子を搬送するための圧力が低下する。搬送エアの圧力が低下するため、バッフルプレート14aに衝突することで液滴と小さな粒子とに分離された液剤から、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみを搬送エアによって搬送することができる。
また、送出口11cがバッフルプレート14aの接続部14acに対して送風口11bの反対側に配設されているため、バッフルプレート14aと接触した搬送エアが、バッフルプレート14aのエッジ部14aeと霧化タンク11の内面との間に形成された間隔を通って送出口11cに至る。その際、バッフルプレート14aにおける搬送エアが接触する面の裏側、つまり液柱が接触する領域には負圧の領域が形成され、その負圧領域においては搬送エアの圧力が一層低下するため、粒径の非常に小さな微粒子以外は搬送することができず、下方の液面に落下することになる。そのため、ブラウン運動を起こすことができる程度に粒径の小さな微粒子のみを搬送エアによって送出口11c側に搬送することができる。
また、送風口11bから供給された搬送エアが、バッフルプレート14aのエッジ部14aeと霧化タンク11との間に形成される間隔を通った後、液柱を受ける側の面に回り込んでから送出口11cに至るため、バッフルプレート14aの周りに送出口11cに向けた搬送エアの緩やかな旋回流が形成される。液柱がバッフルプレート14aに衝突することによって液滴から分離された微細な粒子が搬送エアに搬送される際、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、微粒子のみが搬送エアに搬送される。このようにして、バッフルプレート14aの効果と旋回流の効果によって微粒子のみを搬送エアとともに送出口11cから送出させることが可能な噴霧装置を提供することができる。
また、送風口11bと送出口11cとがそれぞれ、バッフルプレート14aを挟んで互いに逆側における天面11dに設けられるため、バッフルプレート14aを挟んだ旋回流を形成することができ、旋回流による遠心分離の効果を高めることができるため、いっそう、粒径の小さな微粒子のみを噴霧することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、バッフルプレート14aが超音波振動子12a、12dの上方、かつ、送風口11bの下方において、超音波振動子12a、12dによって発生する液柱及び送風口11bから供給される搬送エアを遮る向きに配置されているため、超音波振動子12a、12dの働きによって発生する液柱が、直接送風機13に吹き込まれることを防止できるとともに、送風機13からの搬送エアが直接液柱に吹きかかることを防止することができる。そのため、バッフルプレート14aによる粒子の選別効果を損ねることなく、微細な粒子のみを搬送エアによって搬送可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、霧化タンク11内の液位が所定の第一液位h1を下回った場合にタンクユニット20に貯留された液剤の供給を開始するよう制御され、所定の第二液位h2に達すると供給が停止されるため、霧化運転にしたがって霧化タンク11内の液剤が消費されても霧化タンク11内の液位を第一液位h1と第二液位h2との間に保持することができる。したがって、広い範囲にわたって大量の液剤を噴霧する場合であっても、長時間にわたって安定して自動で噴霧を継続することが可能となる。そして、霧化タンク11の大型化を抑えることができるため、送風機13の容量を小さくすることができ、より小さな粒径の微粒子だけ、つまり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子だけを選択して搬送することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、第一液位h1よりも低い第三液位h3を検知する停止センサ16を備え、停止センサ16が第三液位h3を下回ったことを検知すると送風機13及び霧化デバイス12の動作を停止するため、万が一、第一液位h1を下回り第三液位h3に至った場合、空焚きの防止ができる。また、停止センサ16が液位センサ15とは別に設けられるため、仮に液位センサ15が故障したとしても、停止センサ16を用いることで、危険な空焚き状態となることを未然に防ぐことができる。
また、液位センサ15が霧化タンク11の外部に接続されているため、超音波振動子の動作に伴う霧化タンク11内における液面の局所的な変動による影響を低減して正確な液位を計測することができる。
また、霧化タンク11の上方に配設されたタンクユニット20から電磁弁を介して液剤を供給することで、重力を利用して液剤を供給できるとともに、電磁弁の開閉制御のみで液剤の供給制御を行うことができるため、液剤供給ポンプ41を使用するよりも迅速に霧化タンク11に液剤を供給することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、吹き出しユニット30が所定の幅、奥行き及び高さを有する略筒状の吹き出し部材によって形成されるため、発生した微粒子が吹き出し部材の壁面に付着することを防止することができる。また、吹き出しユニット30の上端において斜め上方に傾斜したスリット状の噴霧口31を備えるため、噴霧の際の圧力損失を抑制することができ、噴霧のための圧力が低くても広範囲に噴霧することができる。このようにして、送風機13の回転数が低い場合であっても十分な量の微粒子を広い範囲にわたって噴霧することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、霧化タンク11が下部ベース61に固定されることによって、噴霧装置1の最下部において微粒子を発生させる。また、霧化タンク11の上方に配設されるタンクユニット20よりも上方の最上部に吹き出しユニット30が配置されていることにより、発生した微粒子は装置の最下部から上昇して最上部から吹き出すこととなる。そのため、送風部材の回転数を下げ、送風機13の圧力を低くした場合であっても、煙突効果を利用して広い範囲にわたって微粒子を噴霧することが可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、タンクユニット20に液剤を補給するための液剤補給口63eをトップ部材63の天面に設けた天面凹部63cに備えるため、装置の高い位置において上方から液剤を補給することが可能となり、液剤を補給しやすい。また、噴霧運転時には液剤補給口63eは開閉可能な扉部63dに覆われているため、扉部63dを閉めればタンクユニット20内に異物の混入する恐れがなく、しかも見た目がすっきりした印象の噴霧装置1を提供することができる。
また、ステンレス鋼板によって形成したカバー部材80で柱状部材62の周囲を覆うため、霧化ユニット10やタンクユニット20等を覆い隠して外的環境から保護することができるとともに、すっきりとした印象を与える噴霧装置1を提供することができる。またカバー部材80は弾性を有する板状部材によって形成されているため、弾性力を用いて柱状部材の周囲に巻き付けて配設することができ、作業に不慣れな者であっても容易に着脱することができる。さらに、酸による腐食にも強いため、様々な液剤を用い、様々な環境下で使用可能な噴霧装置1を提供することができる。
また、亜塩素酸水溶液を超音波振動子を用いて霧化することで、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子を生成することができる。また、亜塩素酸水溶液を用いて生成した微粒子は、長時間経過しても失活しにくいため、除菌の効果を長期間にわたって継続することができる。このとき、霧化タンク11及びタンクユニット20を、亜塩素酸に強い特性を持つポリエチレンテレフタラートによって形成しているため、長期間メンテナンスを行う必要なく、運転を継続することが可能な噴霧装置1を提供することができる。同様に、据付ユニット60をステンレス鋼で形成しているため腐食が発生しにくく、錆の発生に伴う部材の交換等も避けることができるため、さらに長期間にわたって安定した運転が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
この発明の噴霧装置は、様々な種類の液体を噴霧する、種々の噴霧装置に適用することができる。
<付記1>
付記1の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせるためには、微粒子を搬送するための搬送エアを大量に供給する必要があるが、その場合、粒径の小さな微粒子だけでなく粒径の大きな粒子をも搬送することになり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することは難しい。
小さな微粒子のみを生成・搬送するためには、振動子への印加電圧や送付機の回転数を同時に精度よく制御することが必要となり、専門知識が無ければ難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業が不慣れな人材であっても、高価な制御装置を用いて複雑な制御をせずとも、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内において液剤を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が配設された霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクに設けられ、微粒子を搬送エアとともに送出する送出口と、霧化タンク内に配設されるバッフルプレートとを備え、バッフルプレートは、一端部が霧化タンクの内面と所定の間隔を隔てた状態で他端部が霧化タンクの内側に接続されるとともに、一側の面で前記送風口からの搬送エアを受け、他側の面で前記超音波振動子によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設される噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、送風口から供給された搬送エアはバッフルプレートにおける一側の面に接触するため、その際に圧力損失が生じ、粒子を搬送するための圧力が低下する。搬送エアの圧力が低下するため、バッフルプレートに衝突することで液滴と小さな粒子とに分離された液剤から、通常搬送できる程度の大きさの粒子よりもさらに小さな微粒子のみが搬送エアによって搬送される。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、送出口が、バッフルプレートの接続部に対して送風口が配設される位置と反対側の位置に配設される噴霧装置、を提供する。
第2の特徴に係る発明によれば、送出口がバッフルプレートの接続部に対して送風口の反対側に配設されているため、バッフルプレートと接触した搬送エアが、バッフルプレートの一端部と霧化タンクの内面との間に形成された間隔を通って送出口に至る。その際、バッフルプレートにおける搬送エアが接触する面の裏側、つまり液柱が接触する領域には負圧の領域が形成され、その負圧領域においては搬送エアの圧力が一層低下するため、粒径の非常に小さな微粒子以外は搬送することができず、下方の液面に落下することになる。そのため、ブラウン運動を起こすことができる程度に粒径の小さな微粒子のみが搬送エアによって送出口側に搬送される。
このようにして、単にバッフルプレートで液柱を受けるよりも微細な粒子を搬送エアによって搬送することができ、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を提供することができる。
第3の特徴に係る発明は、側方又は斜め下方に向けて突設したバッフルプレートの上面に搬送エアを接触させるステップ、超音波振動子によって発生した液剤の液柱をバッフルプレートの下面に衝突させるステップ、バッフルプレートの上面に衝突させた搬送エアをバッフルプレートの下面側に流すステップ、搬送エアを送出するステップを有する噴霧方法、を提供する。
を提供する。
第3の特徴に係る発明によれば、バッフルプレートの上面に搬送エアを接触させてからバッフルプレートの下面に流すことにより、搬送エアに圧力損失を発生させた状態で液柱から霧化された粒子を搬送させる。圧力が低下した搬送エアを用いて搬送するため、粒径の特に小さな微粒子のみを分離して搬送することが可能な噴霧装置を提供することができる。そのため、比較的大きな流量を確保したとしても、粒径の特に小さな粒子のみを搬送して噴霧することが可能な噴霧方法を提供することができる。
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、さらに、搬送エアを供給するための送風部材の回転数を制御するステップ、を有する。
第4の特徴に係る発明によれば、搬送エアの圧力損失を引き起こした状態で、送風部材の回転数を制御することによって、搬送エアの風量変化に対して風圧の変化を大きくすることができ、噴霧量を変化させずに粒径を変化させることが可能な噴霧方法を提供することができる。
<付記2>
付記2の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせるためには、微粒子を搬送するための搬送エアを大量に供給する必要があるが、その場合、粒径の小さな微粒子だけでなく粒径の大きな粒子をも搬送することになり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することは難しい。
小さな微粒子のみを生成・搬送するためには、振動子への印加電圧や送付機の回転数を同時に精度よく制御することが必要となり、専門知識が無ければ難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業が不慣れな人材であっても、高価な制御装置を用いて複雑な制御をせずとも、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内において液剤を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が配設された霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から前記霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクに設けられ、微粒子を前記搬送エアとともに送出する送出口と、霧化タンク内において超音波振動子によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設されるバッフルプレートとを備え、送風口から供給された搬送エアはバッフルプレートの一端部と霧化タンクとの間の間隔を通り液柱を受ける側の面側に回り込んでから送出口に至るよう、間隔と前記送出口とが配置されている噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、送風口から供給された搬送エアが、バッフルプレートの一端部と霧化タンクとの間に形成される間隔を通った後、液柱を受ける側の面に回り込んでから送出口に至るため、バッフルプレートの周りに送出口に向けた搬送エアの緩やかな旋回流が形成される。液柱がバッフルプレートに衝突することによって液滴から分離された微細な粒子は搬送エアに搬送されるが、このとき、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、微粒子のみが搬送エアに搬送される。このようにして、バッフルプレートの効果と旋回流の効果によって微粒子のみを搬送エアとともに送出口から送出させることが可能な噴霧装置を提供することができる。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、バッフルプレートの端部は霧化タンクの天面の内側に接続され、送風口と送出口とが、霧化タンクの天面であってバッフルプレートを挟んで互いに逆側における箇所に設けられる、噴霧装置を提供する。
第2の特徴に係る発明によると、送風口と送出口とがそれぞれ、バッフルプレートを挟んで互いに逆側における天面に設けられるため、バッフルプレートを挟んだ旋回流を形成することができ、旋回流による遠心分離の効果を高めることができるため、いっそう、粒径の小さな微粒子のみを噴霧することが可能な噴霧装置を提供することができる。
第3の特徴に係る発明は、霧化タンク内に下向きの搬送エア流れを発生させ当該霧化タンク内全体に搬送エアの旋回流を発生させるステップ、超音波振動子によって発生した液剤の液柱をバッフルプレート下面に接触させるステップ、バッフルプレート下面に旋回流を流すステップ、搬送エアによる旋回流を上方から送出するステップを有する噴霧方法、を提供する。
第3の特徴に係る発明によれば、霧化タンク内全体に搬送エアの旋回流を発生させ、超音波振動子による液柱をバッフルプレートに接触させることで発生した粒径の小さな粒子を、旋回流による遠心力を用いて分離し、さらに小さな微粒子のみを取り出すことが可能な噴霧方法を提供することができる。
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、さらに、搬送エアを供給するための送風部材の回転数を制御するステップ、を有する。
第4の特徴に係る発明によれば、送風部材の回転数を制御することによって、旋回流の旋回強度を制御することができるため、搬送エアの風量変化に対して搬送能力の変化を大きくすることができ、噴霧量を変化させずに粒径を変化させることが可能な噴霧方法を提供することができる。
<付記3>
付記3の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせるためには、微粒子を搬送するための搬送エアを大量に供給する必要があるが、その場合、粒径の小さな微粒子だけでなく粒径の大きな粒子をも搬送することになり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することは難しい。
小さな微粒子のみを生成・搬送するためには、振動子への印加電圧や送付機の回転数を同時に精度よく制御することが必要となり、専門知識が無ければ難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業が不慣れな人材であっても、高価な制御装置を用いて複雑な制御をせずとも、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内において液剤を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が配設された霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクの天面に設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクに設けられ、微粒子を前記搬送エアとともに送出する送出口と、霧化タンク内に配設されるバッフルプレートとを備え、バッフルプレートは超音波振動子の上方、かつ、送風口の下方において、超音波振動子によって発生する液柱及び送風口から供給される搬送エアを遮る向きに配置されている噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、バッフルプレートが前記超音波振動子の上方、かつ、前記送風口の下方において、超音波振動子によって発生する液柱及び送風口から供給される搬送エアを遮る向きに配置されているため、超音波振動子の働きによって発生する液柱が、直接送風機に吹き込まれることを防止できるとともに、送風機からの搬送エアが直接液柱に吹きかかることを防止することができる。そのため、バッフルプレートによる粒子の選別効果を損ねることなく、微細な粒子のみを搬送エアによって搬送可能な噴霧装置を提供することができる。
<付記4>
付記4の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせる運転を継続するためには、超音波振動子を備える霧化タンクを大型化するとともに、複数の超音波振動子を用いて大量の液剤を霧化し大量の搬送エアを用いて微粒子を搬送する必要があった。その場合、大量の搬送エアによって粒径の小さな微粒子だけでなく粒径の大きな粒子をも搬送することになり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することは難しい。
小さな微粒子のみを生成・搬送するためには、振動子への印加電圧や送付機の回転数を同時に精度よく制御することが必要となり、専門知識が無ければ難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業が不慣れな人材であっても、高価な制御装置を用いて複雑な制御をせずとも、広い範囲にわたって大量の液剤を、長時間にわたって安定して自動で噴霧を継続することが可能であり、かつ、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で液剤を霧化して微粒子を生成する霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクの液位を計測する液位センサとを備える霧化ユニットと、霧化タンクに前記液剤を供給するタンクユニットと、タンクユニットから霧化タンクへの液剤の供給を制御する制御ユニットと、を備えた噴霧装置であって、制御ユニットは、液位センサで計測された液位が所定の第一液位を下回るとタンクユニットから前記霧化タンクへの液剤の供給を開始するとともに、液位センサで計測された液位が第一液位よりも高い所定の第二液位に達するとタンクユニットから霧化タンクへの液剤の供給を停止する噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、霧化タンク内の液位が所定の第一液位を下回った場合にタンクユニットに貯留された液剤の供給を開始するよう制御され、所定の第二液位に達すると供給が停止されるため、霧化運転にしたがって霧化タンク内の液剤が消費されても霧化タンク内の液位を第一液位と第二液位との間に保持することができる。したがって、広い範囲にわたって大量の液剤を噴霧する場合であっても、長時間にわたって安定して自動で噴霧を継続することが可能となる。そして、霧化タンクの大型化を抑えることができるため、送風機の容量を小さくすることができ、より小さな粒径の微粒子だけ、つまり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子だけを選択して搬送することが可能な噴霧装置を提供することができる。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、制御ユニットは、さらに、霧化デバイスの動作及び送風機の動作を制御可能であり、霧化タンクは、第一液位よりも低い所定の第三液位を検知する停止センサをさらに備え、制御ユニットは、停止センサが第三液位を下回ったことを検知すると、送風機の動作及び霧化デバイスの動作を停止する噴霧装置、を提供する。
第2の特徴に係る発明によれば、第三液位を下回ったことを検知すると送風機及び霧化デバイスの動作を停止するため、万が一、第一液位を下回り第三液位に至った場合、空焚きの防止ができる。また、停止センサが液位センサとは別に設けられるため、仮に液位センサが故障したとしても、停止センサを用いることで、危険な空焚き状態となることを未然に防ぐことができる。
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、液位センサは、霧化タンクの外部に接続されたフロート式のセンサである噴霧装置、を提供する。
第3の特徴に係る発明によれば、液位を計測する液位センサが霧化タンクの外部に接続されているため、超音波振動子の動作に伴う霧化タンク内における液面の局所的な変動による影響を低減して正確な液位を計測することができる。
<付記5>
付記5の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせる運転を行うためには、まず、噴霧装置の起動を速やかに行う必要があるが、噴霧装置の起動を行う際、超音波振動子を備える霧化タンク内に液剤を速やかに供給する必要がある。その際、霧化タンクが大型であると液剤の供給に時間がかかるため、起動するまでに時間がかかってしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置において、起動を速やかに行い、広い範囲にわたって大量の液剤を、長時間にわたって安定して噴霧することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で液剤を霧化して微粒子を生成する霧化デバイスと、液剤の微粒子を搬送する搬送エアを発生させる送風機とを備える霧化ユニットと、霧化ユニットの上方に配設され、霧化タンクに液剤を供給するタンクユニットと、タンクユニットから霧化タンクへの液剤の供給を制御する制御ユニットと、を備えた噴霧装置であって、霧化ユニットとタンクユニットとの間は電磁弁を介して接続されており、制御ユニットは、電磁弁の開閉によってタンクユニットから霧化タンクへの液剤の供給を制御する噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、霧化タンクの上方に配設されたタンクユニットから電磁弁を介して液剤を供給するため、重力を利用して液剤を供給できるとともに、電磁弁の開閉制御のみで液剤の供給制御を行うことができるため、ポンプを使用するよりも迅速に霧化タンクに液剤を供給することが可能な噴霧装置を提供することができる。
<付記6>
付記6の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせるためには、微粒子を搬送するための搬送エアを大量に供給する必要があるが、その場合、粒径の小さな微粒子だけでなく粒径の大きな粒子をも搬送することになり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することは難しい。
小さな微粒子のみを生成・搬送するためには、振動子への印加電圧や送付機の回転数を同時に精度よく制御することが必要となり、専門知識が無ければ難しい。
特に、粒径の小さな微粒子を選択的に発生させるためには、送風機の回転数を下げる必要がある。送風機の回転数を下げることで、空気のドラフトを下げ、大きくて重い粒子を搬送しないようにすることができるため、粒径の小さな微粒子を選択的に搬送することができる。しかし、送風機の回転数を下げると、風量も同時に下がるため、広い範囲にわたって噴霧することができず、ホールや家畜小屋などに噴霧することが難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業が不慣れな人材であっても、高価な制御装置を用いて複雑な制御をせずとも、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で液剤を霧化して微粒子を生成する霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機とを備える霧化ユニットと、霧化ユニットで生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出す吹き出しユニットと、を備えた噴霧装置であって、吹き出しユニットは所定の幅、奥行き及び高さを有する略筒状の吹き出し部材によって形成され、上端に斜め上方に傾斜したスリット状の噴霧口を有する噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、吹き出しユニットが所定の幅、奥行き及び高さを有する略筒状の吹き出し部材によって形成されるため、発生した微粒子が壁面に付着することを防止することができる。また、吹き出しユニットの上端において斜め上方に傾斜したスリット状の噴霧口を備えるため、噴霧の際の圧力損失を抑制することができ、噴霧のための圧力が低くても広範囲に噴霧することができる。このようにして、送風機の回転数が低い場合であっても十分な量の微粒子を広い範囲にわたって噴霧することが可能な噴霧装置を提供することができる。
<付記7>
付記7の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせるためには、微粒子を搬送するための搬送エアを大量に供給する必要があるが、その場合、粒径の小さな微粒子だけでなく粒径の大きな粒子をも搬送することになり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子のみを搬送することは難しい。
小さな微粒子のみを生成・搬送するためには、振動子への印加電圧や送付機の回転数を同時に精度よく制御することが必要となり、専門知識が無ければ難しい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業が不慣れな人材であっても、高価な制御装置を用いて複雑な制御をせずとも、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本願発明の発明者らは、霧化ユニット内の特定の位置に送風機、超音波振動子、バッフルプレート及びセパレータを配設することで、ブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することができることを見い出し、本願発明に至った。
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、所定の幅を有し液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内において液剤を霧化して微粒子を生成する超音波振動子が幅方向に複数配設された霧化デバイスと、所定の回転数を保持可能な送風部材を備え、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機と、霧化タンクに設けられ、微粒子を搬送エアとともに送出する送出口と、超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設される第一バッフルプレートと、超音波振動子のうち幅方向他端側に配設された超音波振動子によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設される第二バッフルプレートとを備え、第一バッフルプレートは、霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部と、霧化タンクの内側に接続される第一接続部を備え、送風口は第一接続部よりも霧化タンクの幅方向一端側寄りに配設され、第二バッフルプレートは、霧化タンクにおける幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部と、霧化タンクの内側に接続される第二接続部を備え、送出口は第二接続部よりも霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設される、噴霧装置を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、超音波振動子のうち幅方向一端側に配設された超音波振動子によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設される第一バッフルプレートと、幅方向他端側に配設された超音波振動子によって発生する液剤の液柱を受けるよう配設される第二バッフルプレートとを備えるため、各超音波振動子の上方に配設されたバッフルプレートに複数の液柱が接触することにより、液柱に含まれる粒径の大きな液滴がバッフルプレートに接触して下方に流れ、貯留されている液層に還流するとともに、粒径の小さな霧滴のみが空中に大量に浮遊して搬送エアに搬送される。
このとき、第一バッフルプレートは、霧化タンクにおける幅方向一端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第一エッジ部と、霧化タンクの内側に接続される第一接続部を備え、送風口は第一接続部よりも霧化タンクの幅方向一端側寄りに配設され、第二バッフルプレートは、霧化タンクにおける幅方向他端側の内面と所定の間隔を隔てて配置される第二エッジ部と、霧化タンクの内側に接続される第二接続部を備え、送出口は第二接続部よりも霧化タンクの幅方向他端側寄りに配設されることにより、霧化タンク内には第一バッフルプレート及び第二バッフルプレートを挟んで霧化タンク内全体にわたって大きな旋回流が形成される。そのため、旋回流の発生に伴う遠心力の効果によって、微細な粒子とさらに微細な微粒子とに分離され、ブラウン運動を起こすことができる程度に微細な微粒子のみを確実に選別して噴霧することが可能な噴霧装置を提供することができる。
すなわち、本発明によると、複雑な制御をせずとも、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することができる。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、送風部材の回転数を制御する制御ユニットをさらに備える噴霧装置を提供する。
第2の特徴に係る発明によれば、送風機の送風部材の回転数を制御する制御ユニットを備えるため、回転数を制御して微粒子に加わる遠心力の強さを変化させることにより噴霧する微粒子の粒径の調整をすることが可能な噴霧装置を提供することができる。
<付記8>
付記8の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、広いスペースに対し均等に微粒子を行き渡らせる運転を行うためには、まず、噴霧装置の起動を速やかに行う必要があるが、噴霧装置の起動を行う際、超音波振動子を備える霧化タンク内に液剤を速やかに供給する必要がある。その際、いちいち霧化タンクに直接的に液剤を供給するのは手間がかかる。そのため、サブタンクを備えるものもあるが、サブタンクに効率よく液剤を補給することができなければ、使い勝手の悪い噴霧装置となってしまうという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能な噴霧装置において、霧化タンクへの液剤の補給を速やかに行い、広い範囲にわたって大量の液剤を、長時間にわたって安定して噴霧することが可能な噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で液剤を霧化して微粒子を生成する霧化デバイスと、液剤の微粒子を搬送する搬送エアを発生させる送風機とを備える霧化ユニットと、霧化タンクの上方に配設され、霧化タンクに液剤を供給するタンクユニットと、霧化ユニットで生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出す吹き出しユニットと、タンクユニットの上方に配設されるトップ部材を備え、トップ部材は、天面に前記吹き出しユニットを設置するとともに、天面から下方に向けて形成される天面凹部と当該天面凹部を覆う開閉可能な扉部とを備え、タンクユニットと連通する液剤補給口が天面凹部に形成される噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、タンクユニットに液剤を補給するための液剤補給口をトップ部材の天面に設けた天面凹部に備えるため、装置の高い位置において上方から液剤を補給することが可能となり、液剤を補給しやすい。また、噴霧運転時には液剤補給口は扉部に覆われているため、タンクユニット内に異物の混入する恐れがなく、しかも見た目がすっきりした印象の噴霧装置を提供することができる。
<付記9>
付記9の噴霧装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、液体を空間に噴霧する噴霧装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
水や所定の効果を奏する水溶液を霧化して、空間に噴霧する種々の噴霧装置が開発されている。
このような噴霧装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような噴霧装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、様々な場所に設置することを考慮すると、装置自体に突起などを備えず、すっきりしたデザインにすることが好ましい。また、大量の微粒子を噴霧することを考慮して装置が大型化した場合であっても、専門家の手を借りることなく、作業に不慣れな者であっても周囲のカバーを外して内部を確認できるようにすることが望ましい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、広い範囲にわたって大量の液剤噴霧するために装置が大型化した場合であっても、作業に不慣れな者でも容易にカバーを着脱することが可能であるとともに、どのような場所に設置する場合であっても違和感なく設置することが可能なデザイン性の高い噴霧装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で液剤を霧化して微粒子を生成する霧化デバイスと、液剤の微粒子を搬送する搬送エアを発生させる送風機とを備える霧化ユニットと、霧化ユニットの上方に配設され、霧化タンクに液剤を供給するタンクユニットと、霧化ユニットで生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出す吹き出しユニットと、霧化ユニット及びタンクユニットを固定する据付ユニットと、霧化ユニット、タンクユニット及び据付ユニットを覆うカバー部材とを備えた噴霧装置であって、据付ユニットは下端部に位置する下部ベースと、下部ベースに固定され上方に向けて配設される複数の柱状部材とを備え、カバー部材は弾性を有するステンレス鋼板によって形成され、据付ユニットを覆うように複数の柱状部材の周囲に配設される噴霧装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、ステンレス鋼板によって形成したカバー部材で柱状部材の周囲を覆うため、霧化ユニットやタンクユニット等を覆い隠して外的環境から保護することができるとともに、すっきりとした印象を与える噴霧装置を提供することができる。またカバー部材は弾性を有する板状部材によって形成されているため、弾性力を用いて柱状部材の周囲に巻き付けて配設することができ、作業に不慣れな者であっても容易に着脱することができる。さらに、酸による腐食にも強いため、様々な液剤を用い、様々な環境下で使用可能な噴霧装置を提供することができる。
<付記10>
付記10の除菌装置1は以下の通りである。
〔技術分野〕
本発明は、除菌作用のある液体を空間に噴霧する除菌装置において、微粒子を生成するための技術に関する。
〔背景技術〕
除菌作用のある液体を霧化して、空間に噴霧する種々の除菌装置が開発されている。
このような除菌装置において、微粒子を均等に空間内に広範囲に拡散するためには、所望の粒径、特に、微粒子が空気中でブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒径を有する微粒子を安定して生成することが要求される。
このような除菌装置の一例として、例えば、高齢者施設のホールや、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜産ハウスなどの広いスペースにおいて、除菌作用を有する液剤を大量に噴霧する必要が生じる場合がある。そのような場合において、粒子の粒径が大きいと空間の隅々まで至る前に床面や地面に落下してしまうとともに、床面や壁面、肌を湿らせてしまうこととなり、滑りやカビ、風邪の原因となるため好ましくない。そのため、空気中を長時間浮遊して除菌効果を発揮するよう、ブラウン運動を起こすことができる程度の小さな粒径を有する微粒子を発生させる必要がある。
一般的に、液体を霧化して噴霧するためには、水や水溶液が貯留されている霧化ユニットにおいて、超音波振動子等の振動子を用いて発生させた液柱をセパレータに衝突させて大きな液滴と小さな霧滴とに分離し、霧滴のみを送風機などから供給される搬送媒体を用いて搬送して空気中に拡散する技術が採用されている。(特開平8−309248号公報、実開昭60−50728号公報)
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術によると、液滴から分離された霧滴を選択的に噴霧することが可能な噴霧装置を得ることができる。しかしながら、特開平8−309248号公報や実開昭60−50728号公報に開示された技術は、セパレータで液柱が衝突する領域に直接的にエアを供給するため、エアによって流れが乱され、粒径が比較的大きな粒子もエアに巻き込まれて搬送される。そのため、エアに搬送され噴霧される微粒子の粒径は10μmのオーダーであり、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子(粒径0.1〜2μm程度)を生成することは難しい。
また、除菌作用を備えた粒子を噴霧する場合、使用される液剤は次亜塩素酸ナトリウム水溶液であることが一般的である。次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、上記のような微細な粒子は失活しやすいため、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな粒子を発生させることは難しい。
さらに、除菌作用がある液剤は一般的に酸性であり、装置を構成する部材の腐食の問題等が生じる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用することなく、安定してブラウン運動を起こすことができる程度の微細な粒径を有する微粒子を大量に生成することが可能であり、かつ、腐食が発生しにくく、長期間にわたって安定した運転が可能な除菌装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、液剤である亜塩素酸水溶液を貯留可能な霧化タンクと、霧化タンク内で液剤を霧化して微粒子を生成する霧化デバイスと、液剤の微粒子を搬送するための搬送エアを、霧化タンクに設けられた送風口から霧化タンク内に吐出する送風機とを備える霧化ユニットと、霧化タンクに液剤を供給するタンクユニットと、霧化ユニットで生成された微粒子を搬送エアとともに吹き出す吹き出しユニットと、霧化ユニット、タンクユニット及び吹き出しユニットを固定する据付ユニットとを備えた除菌装置であって、霧化タンク及びタンクユニットはポリエチレンテレフタラートによって形成されるとともに、据付ユニットはステンレス鋼によって形成される除菌装置、を提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、亜塩素酸水溶液を超音波振動子を用いて霧化することで、ブラウン運動を起こすことができる程度に小さな微粒子を生成することができる。また、亜塩素酸水溶液を用いて生成した微粒子は、長時間経過しても失活しにくいため、除菌の効果を長期間にわたって継続することができる。このとき、霧化タンク及びタンクユニットを、亜塩素酸に強い特性を持つポリエチレンテレフタラートによって形成しているため、長期間メンテナンスを行う必要なく、運転を継続することが可能な除菌装置を提供することができる。同様に、据付ユニットをステンレス鋼で形成しているため腐食が発生しにくく、錆の発生に伴う部材の交換等も避けることができるため、さらに長期間にわたって安定した運転が可能となる。