JP6712892B2 - 熱分析装置、及び試料分析システム - Google Patents

熱分析装置、及び試料分析システム Download PDF

Info

Publication number
JP6712892B2
JP6712892B2 JP2016078420A JP2016078420A JP6712892B2 JP 6712892 B2 JP6712892 B2 JP 6712892B2 JP 2016078420 A JP2016078420 A JP 2016078420A JP 2016078420 A JP2016078420 A JP 2016078420A JP 6712892 B2 JP6712892 B2 JP 6712892B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heater wire
sample
bobbin
heating
thermal analysis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016078420A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017187455A (ja
Inventor
渡部 成夫
成夫 渡部
晋哉 西村
晋哉 西村
山田 健太郎
健太郎 山田
賢吾 小林
賢吾 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Science Corp
Original Assignee
Hitachi High Tech Science Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Tech Science Corp filed Critical Hitachi High Tech Science Corp
Priority to JP2016078420A priority Critical patent/JP6712892B2/ja
Publication of JP2017187455A publication Critical patent/JP2017187455A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6712892B2 publication Critical patent/JP6712892B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Description

本開示は、熱分析装置、及び試料分析システムに関する。
材料の基礎研究や製品開発において、温度変化により材料の物理的性質が変化することを把握することは、耐久性の向上及び/又は薄型化のためには重要である。
この温度変化に伴う試料の変化を測定する手法は、JIS K 0129:2005 "熱分析通則"に定義されており、測定対象(試料)の温度をプログラムによって変化させながら、試料の物理的性質を測定する手法を熱分析と分類している。これによると、熱分析には、(1)重量(重量変化)を検出する熱重量測定(以下、TG)、(2)温度(温度差)を検出する示差熱分析(以下、DTA)、(3)熱流差を検出する示差走査熱量測定(以下、DSC)、(4)力学的特性を検出する熱機械分析、(5)動的粘弾性測定の方法が定められている。いずれも、試料を取り囲むような容器(以下、保護管)に試料を収め、その容器の周囲にヒーター線等加熱手段を設け、容器を介して試料を加熱し、試料が酸化しないよう容器内に不活性ガスを注入する構造を備えている。
上述の分析方法のうち、TGとDTA、又はTGとDSCを組み合わせた同時熱分析装置が市販されており、保護管とその周囲の加熱手段と重量測定手段の配置を工夫して、1台の装置で多種類の物理的性質を測定可能としている。この重量測定を含む同時熱分析装置では、試料の酸化を抑える不活性ガスの流れる方向が試料の重量測定方向である鉛直方向であると、ガスが試料にぶつかって発生する圧力が重量測定に誤差を引き起こすため、不活性ガスが水平方向に流れるように保護管を水平に設置することが多く、加熱手段もこれに沿うよう水平方向に設置される。熱分析作業は、試料状態のばらつきが測定値のばらつきを引き起こすことが多く、これを抑えるために測定数を多くして統計的に有意な測定値を決定している。そのため、1回の測定時間を短くすることが測定結果を得るまでの時間を大幅に短縮することになり、目的とする最高温度まで試料温度を変化させる時間を短くすることは重要である。
例えば、特許文献1は、試料温度を変化させる時間を短くするための技術について開示している。より具体的には、ヒーター線の巻き方で粗密を変化させることで温度勾配を発生させるとしている。
また、例えば、特許文献2は、ヒーター線を保護管表面のらせん溝に収容する方法について開示している。
特開平4−361145号公報 特開平8−261962号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術を用いた場合、ヒーター線が粗に巻かれた位置では試料を移動させる方向について一様な温度勾配を作ることは難しく、更に、試料サイズが移動方向に大きい場合に試料に温度勾配が発生し、測定値が温度について正確な値をとることができないという課題がある。また、DTAまたはDSCとして、保護管の中に2つの試料を設置する場合、2つの温度を一致させることは困難である。
特許文献2では、保護管を鉛直方向に向けて設置し、この内部を流れる不活性ガスによって試料が重量測定方向変動するため、重量測定で誤差が発生するという課題がある。
また、一般に、試料温度を短時間に変化させる場合、常温→1500℃→常温という加熱サイクルを短時間(例えば、20℃/分)で繰り返すが、このサイクルを100回程度繰り返すと保護管に巻いたヒーター線が断線してしまうという課題がある。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、試料温度を最高温度まで短時間に昇温させたとしても、加熱部を交換するまでの寿命を長くするための技術を提供するものである。
上記課題を解決するために、本開示による熱分析装置は、分析対象の試料を収容する保護管と、保護管に収容される試料をヒーター線によって加熱する加熱部であって、保護管に接触せず、ヒーター線が保護管の周囲を所定の隙間を持って巻き付けるように配置される、加熱部と、加熱による前記試料の重量変化を検出する秤量部と、ヒーター線に掛かる重力を下支えするヒーター線支持手段と、を備えている。
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
本開示によれば、試料温度を最高温度まで短時間に昇温させたとしても、加熱部を交換するまでの寿命を長くすることが可能となる。
ヒーター線の温度とその引張強度の関係を示す図である。 保護管の周りに巻き付けたヒーター線に発生する力を説明するための図である。 本開示の実施形態による熱分析装置(例えば、TG/DTA装置)の概要構成を示す図である。 図示しない試料の操作のため、加熱部100と秤量部102を離した状態を示す図である。 本実施形態による熱分析装置10の内部構成例を示す断面図である。 本実施形態における、保護管3とヒーター線1との関係を説明するための図である。 図6に示される保護管3とヒーター線1の中央部付近の断面を示す図である。 ヒーター線1を巻き付けるボビン201a及びボビン201bの詳細構造を示す図である。 ボビン201a及び201bにヒーター線1を巻き付けるための治具を示す図である。 図10は、ヒーター線1をボビン201aに巻き付け終わった状態から、中子303、中子305、中子307a、及び中子307bを取り外す手順を示す図である。 本開示の変形例1の構成例を示す図である。 本開示の変形例3の構成例を示す図である。 本開示の変形例2の構成例を示す図である。
本開示は、試料の温度を変化させながら、試料の物理的変化を温度の関数として測定する熱分析装置に関するもので、試料を保護管の内部に設置し、これを保護管の外部に設置した加熱手段から加熱する加熱装置に関するものである。
本開示による熱分析装置は、保護管に収容される分析対象の試料を加熱するためのヒーター線に掛かる重力を下支えするヒーター線支持手段を備えている。
熱分析装置としては、例えば、重量測定で不活性ガスの流動による測定誤差が発生しない保護管を水平に設置するTGまたは、TGとDTA、TGとDSC装置が含まれる。ヒーター線支持手段としては、例えば、水平方向に設置した保護管の外部にあってヒーター線を支えるボビンを用いるができる。そして、ボビンの円筒状の軸を含む断面で2等分し、1つを鉛直方向で保護管の上側かつヒーター線の下側に円筒外面を上向きに設置し、も1つを鉛直方向で保護管の下側かつヒーター線の下側に円筒外面を下向きに設置する。このとき、ボビンには、熱を透過させるスリットを設けた構造を持たせるようにしても良い。
ヒーター線支持手段を、ヒーター線を下支えする複数の支持棒で構成しても良い。
また、ヒーター線支持手段を、保護管と当該保護管を巻き付けるように配置されるヒーター線とを覆うジャケットで構成しても良い。
さらに、ヒーター線支持手段を、ヒーター線の巻き付け方向と垂直な方向にヒーター線を横断するようにヒーター線を接着する接着剤で構成しても良い。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
<ヒーター線の断線について>
TGとDTA、又はTGとDSCを組み合わせた同時熱分析装置においては、加熱対象の試料を収容する保護管を加熱する手段としてヒーター線(保護管に巻き付けられている)を用いている。試料の最高温度を1500℃にするため、酸化雰囲気(空気中)での使用を考慮して加熱手段としてのヒーター線の材料に白金合金を用いることが多い。試料とヒーター線は10mm以上の距離を離して設置されており、この間にアルミナ製の保護管やヒーター線を保持するボビンがあり熱抵抗となっている。この熱抵抗により、ヒーター線は試料の温度よりも高くなり、例えば、試料温度を20℃/分で昇温させて試料温度を最高1500℃にするとき、ヒーター線の温度は1600℃を超えてしまう。
図1は、ヒーター線の温度とその引張強度の関係を示す図である(出典:金属データブック、日本金属学会編、丸善出版(株)発行)。図1を参照すると、白金をヒーター線としたもの(実線11)は、温度が1400℃を超えると引張強度は小さくなり、僅かの引張力で断線してしまう。これを断線しにくくするために、白金とロジウムの合金をヒーター線としたものがあるが(図1における破線13と一点鎖線14)、ヒーター線の温度が1600℃を超えると引張強度は小さくなり、僅かの引張力で断線することが多い。
また、図2は、保護管の周りに巻き付けたヒーター線に発生する力を説明するための図である。図2は、試料を内部に設置した保護管の断面で正面を模式的に示している。図2において、試料9は、天秤110の先端に取り付けた試料カップ112上に設置されている。熱重量測定では、試料9が分解や昇華・蒸発でその重量が変化すると、重力加速度17によって天秤110が傾き、この傾きの角度から重量を測定している。または、この傾きを水平にする力か重量を測定することがある。この重力加速度17によって、保護管3やヒーター線1にも鉛直方向下向きに常に力が発生し、保護管3に巻き付けたヒーター線1の断面には引張応力が発生する。
例えば、線材が白金でその直径が0.5ミリメートルのヒーター線1が直径20ミリメートルの保護管3に巻き付けられる場合、ヒーター線1の断面に発生する引張り応力は、ヒーター線1と保護管3の間に発生する摩擦を無視すると、6.5キロパスカル程度である。ヒーター線材が白金合金であると、その温度が1200℃から1300℃位のときに結晶が発生し易く、この温度帯域での加熱時間が長くなると結晶が成長して大きくなる。結晶が大きくなると結晶粒の間に空隙が増大し、ヒーター線1の断面積が小さくなる。ヒーター線1に掛かる力は、前出の重力加速度によって一定なため、ヒーター線1の結晶化が進むと、その断面に発生する引張応力が大きくなる。また、ヒーター線1の断面積が小さくなるとその部分で抵抗が大きくなり、ヒーター線1を流れる電流はどこも同じ値であることから、その部分で発熱が大きくなり、ヒーター線1の温度が更に高くなる。白金合金が高温になり、かつ、引張応力が大きくなると、クリープによる変形速度が速くなり断線しやすくなる。
この点、熱分析装置においてその保護管3を水平に設置し、ヒーター線1の材料として白金合金を用いる場合、試料を1500℃まで短時間に加熱するとヒーター線1を含む加熱部の寿命が短くなることが知られている。
このように、ヒーター線の材料を改良することにより加熱部の寿命を長くするには限界がある可能性がある。そこで、本開示は、材料的なアプローチではなく、熱分析装置の構造的な改良を提案するものである。
<熱分析装置の構成>
図3は、本開示の実施形態による熱分析装置(例えば、TG/DTA装置)の概要構成を示す図である。熱分析装置10は、試料を収容しそれを加熱する加熱部100と、試料の重量変化を検出する秤量部102と、ベース部104と、モーター106と、レール108と、を備える。なお、熱分析装置10は、秤量部102によって検出された重量変化の情報を分析するための演算装置150と接続され、熱分析システムを構成する。演算装置150は、一般的なコンピュータ装置で構成することが可能であり、図示しないが、例えば、CPU(プロセッサ)と、メモリと、入力デバイス(キーボードやマウスなど)と、出力デバイス(プリンタや表示装置など)と、秤量部102との間でデータ通信をするための通信デバイスと、を備えている。
加熱部100は、モーター106によってレール108に沿って移動可能なように、ベース部104の上に設置される。そして、加熱部100は、図示しない試料の投入と回収のために秤量部102と接続と離脱を繰り返す。秤量部102はベース部104に固定されている。
図4は、図示しない試料の操作のため、加熱部100と秤量部102を離した状態を示す図である。図3に示される状態で、モーター106を駆動させ、レール108に沿って加熱部100を矢印の方向に移動させると、加熱部100が秤量部102と分離される。すると、秤量部102から突き出した天秤110の先端が露出され、その先端に設けられた試料カップ112に試料を投入し、又は当該試料カップ112から試料を回収することが可能となる。
<熱分析装置の内部構成>
図5は、本実施形態による熱分析装置10の内部構成例を示す断面図である。図5は、図3の熱分析装置の動作を説明するためにその断面を模式的に示したものである。
熱分析装置10の加熱部100は、保護管3を前側フランジ1001と後ろ側フランジ1004とで保持し、保護管3がヒーター線1に接触しないようにしている。ヒーター線1は、後述のように上側ボビン(ボビン201a)と下側ボビン(ボビン201b)とによって保持され、ヒーター線1、ボビン201a、及びボビン201bの全体が断熱パイプ1002によって支えられる。また、断熱パイプ1002は、保護管3を冷却するための空気が注入される冷却用パイプ1003によって支えられる。
天秤110の先端に取り付けた試料カップ112は、保護管3でヒーター線1が巻かれた範囲の中心に位置決めされ、加熱される。試料9の温度は、試料カップ112の底面にとりつけた温度センサ(図示せず)で検出される。試料9の温度が変化して、分解や昇華・蒸発によってその重量が変化すると、重力加速度17(図7参照)によって天秤110が天秤支点114について傾こうとする。この傾きを、天秤支点114の後方に設置した傾き検出手段116で検出し、天秤支点114に取り付けた駆動手段によってこの傾きを水平に戻す力を発生させる。そして、天秤110が水平になったときの力(トルク)を天秤支点114から試料カップ112までの距離で除することにより、試料9の重量変化が検出される。
検出した温度値と重量値は、演算装置150に送信され、時間の値と共に演算装置150のメモリに格納される。また、演算装置150は、取得した温度の情報と、時間経過についてプログラムされている温度の情報とを比較し、分析する。なお、例えば、DTAの場合、天秤110の2つの試料カップ112のうち、1つに測定したい試料(改良後試料:例えば窒素含有量を増加させた樹脂)を載置し、もう1つには改良前試料を載置し、2つの試料の加熱による重量変化を比較する。重量変化を比較することにより、改良が適切であったか判断することが可能となる。また、例えば、TGの場合、試料カップ112には試料を1つだけ載置し、加熱による単純な重量変化を評価する。
試料9を保護管3の中で加熱するとき、試料9の酸化を許容または促進する場合には、秤量部102に取り付けたガス導入口118に空気を注入する。逆に、試料9の酸化を防止する場合には、ガス導入口118から窒素やアルゴン等不活性ガスが注入される。また、加熱終了後には、試料9を交換可能な温度まで短時間で冷却するため、加熱部100に取り付けられた冷却用パイプ1003の冷却剤出入り口120aと120bを介して空気が注入される。なお、ガス導入口118を閉じて、保護管3の中を真空にして試料9を加熱することも可能である。この場合、真空中の試料(例えば、樹脂)9がどのような温度強度を示すかを測定することが可能となる。
<保護管とヒーター線との関係>
図6は、本実施形態における、保護管3とヒーター線1との関係を説明するための図である。図7は、図6に示される保護管3とヒーター線1の中央部付近の断面を示す図である。
図6においては、熱分析装置10の全体ではなく、保護管3と、保護管3の内部に設置した試料9を加熱するヒーター線1と、ボビン(上側ボビン)201aと、ボビン(下側ボビン)201bのみが選択的に示されている。図示されるように、保護管3の外周に、ヒーター線1を巻き付けるボビン201aと201bが設置される。保護管3と両ボビン201a及び201bとは共に隙間をもって設置され、互いに接触しないように熱分析装置10内で保持される。保持方法は上述した通りである。また、ボビン201aと201bとは、接続部213で接続され、相対位置がずれないように固定される。
また、図7からもよく理解できるように、ヒーター線1は、保護管3の上に設置したボビン201aの外側を通るように巻かれる一方、保護管3の下に設置したボビン201bの内側を通るように巻かれている。この構造を採用することにより、ヒーター線1は、どの巻き位置であっても、重力加速度17によって鉛直方向下向きに引っ張られても、ボビン201bの円筒面によってヒーター線1は受け止められ、下方に移動することはない。よって、ヒーター線1の自重によってヒーター線1の断面には圧縮応力が働くことになり、クリープによる断線の恐れはなくなる。よって、加熱部100を交換するまでの寿命が長くなり、熱分析装置10を長期間使い続けることができるようになる。
なお、ヒーター線1が高温になって引張強度が小さくなると、ボビン201bがヒーター線1を支える部分でその圧縮応力に関わる力によって座屈が発生し、ヒーター線が保護管3に接触する恐れがある。これを回避するためには、例えば、ボビン201b上のヒーター線1を耐熱性接着剤で部分的に接着するようにしても良い。
<ボビンの構造>
図8は、ヒーター線1を巻き付けるボビン201a及びボビン201bの詳細構造を示す図である。
保護管3の上に設置したボビン(上側ボビン)201aについては、ヒーター線1がその外側を通るため、ボビン201aにスリット203a及び203bが設けられている。これにより、ヒーター線1の熱エネルギーを保護管3に伝わり易くし、試料9の最高温度まで昇温させる時間を短くすることができる。また、スリット203bの開口の割合は、スリット203aの開口の割合に比べて小さい。このため、ヒーター線1がボビン201aに一様なピッチで巻き付けられた場合に、保護管3でヒーター線1が巻かれる方向についての温度分布を一様にすることができる。
一方、保護管3の下に設置したボビン(下側ボビン)201bについては、ヒーター線1がその内側を通るため、ボビン201bに、スリット203a及び203bとは異なるスリット203c及び203dが設けられている。ここで、スリット203cの開口は大きく、その割合はスリット203dの開口の割合よりも大きくなっている。これにより、ヒーター線1から熱エネルギーが冷却剤に伝わり易くなり、試料9を冷却する時間を短くすることができるようになる。また、この場合、ヒーター線1がボビン201bに一様なピッチで巻き付けられたとしても、ヒーター線1の熱エネルギーが保護管3ではない方面に逃げやすく、保護管3でヒーター線1が巻かれる方向について温度分布を一様にすることができる。
なお、ボビン201a及び201bにおいて、各スリット203a乃至203dの少なくとも一部の開口の大きさを調整するためのシャッター機構(例えば、2重ボビン構造とすることで実現可能)を設けても良い。例えば、1000℃まではシャッター機構を閉めて加熱し、その温度以降1500℃まではシャッター機構を開けるという使い方が考えられる。
ボビン201aおよびボビン201bにおいて、ヒーター線1が接する部分にヒーター線1が収まる溝を設けることができる。これにより、ヒーター線1が昇温と降温を繰り返すときにヒーター線1のアニーリング不足でヒーター線1が変形する力が発生しても、これを抑えてヒーター線1の短絡を抑止する効果が期待できる。
また、ボビン201aおよび201bにおいて、ヒーター線1が接する面の粗さ(ボビンの表面粗さ)を粗くしても良い。この場合、ボビン201a及び201bとヒーター線1との摩擦が大きくなるため、この反力によってヒーター線1の断面に発生する応力が小さくなる。これにより、引張応力によるクリープ断線、及び圧縮応力による座屈による変形を防止することができ、加熱部100を交換するまでの寿命が長くなり、熱分析装置10を長期間使い続けることができるという効果を期待することができる。
<ヒーター線のボビンへの巻き付け方について>
図9は、ボビン201a及び201bにヒーター線1を巻き付けるための治具を示す図である。
ヒーター線1をボビン201a及び201bに巻き付ける際には、まず、ボビン(上側ボビン)201aの天地を逆にして、スタンド301に取り付ける。このときボビン201aの上側には、図9に示されるように、中子303、305、307a、及び307bが積み上げられている。中子303、中子305、中子307a、及び中子307bによって形成される円筒の外側サイズは、ボビン201aの内側サイズと同じになっている。この状態で、ヒーター線1が巻き付けられる。巻き付けが終わったら、スタンド301及びボビン201a等、全ての天地が逆にされる。
図10は、ヒーター線1をボビン201aに巻き付け終わった状態から、中子303、中子305、中子307a、及び中子307bを取り外す手順を示す図である。治具の天地は逆にして作業が行われるため、中子を取り外す際には脚401が治具に装着される。手順は次の通りである。
(i)図10(a)に示されるように、中子取手309を引き、中子305が引き抜かれる。すると、中子303を鉛直方向に自由に動かせるようになる。
(ii)図10(b)に示されるように、中子303が中子305と同様に引き抜かれる。すると、中子307aと307bがヒーター線1の中で内側に倒れこむ。
(iii)図10(c)に示されるように、中子307aと中子307bが引き抜かれる。
以上の作業で、ヒーター線1をボビン201aに巻いた状態を作ることができる。
続いて、ボビン(下側ボビン)201bがボビン(上側ボビン)201aと接続される。このときに、ヒーター線1がばらつかないよう、耐熱性接着剤によってヒーター線1を部分的に接着するようにしても良い。ヒーター線1は、ヒーター線1同士が短絡しないように所定ピッチで巻き付けられている。ヒーター線1の短絡を確実に回避するためには、ヒーター線1を接着剤で固定することは有効である。
<変形例>
(1)変形例1
図11は、本開示の変形例1の構成例を示す図である。図11Aは、変形例1による保護管3、ヒーター線1、及びヒーター線支持手段としての支持棒1101の全体を示す図である。図11Bは、図11Aの線(面)1100における断面を示す図である。
上述の実施形態では、ヒーター線1をボビン(下側ボビン)201bによってヒーター線1を支えているが、変形例1では、ボビンは用いずに、複数の支持棒1101を用いてヒーター線1を支えるようにしている。また、支持棒を回すと、ヒーター線1を押しつける力が調整できるようになっている。これにより、上述の実施形態による構成と同等の効果を期待することができる。なお、支持棒1101の個数は2つに限定されるものではない。
(2)変形例2
図12は、本開示の変形例2の構成例を示す図である。図12Aは、変形例2による保護管3、ヒーター線1、及びヒーター線支持手段としてのジャケット1201の全体を示す図である。図12Bは、変形例2による保護管3、ヒーター線1、及びジャケット1201の側面を示す図である。図12Cは、図12Bの線1200における断面を示す図である。
変形例2では、ボビンは用いずに、ジャケット1201を用いてヒーター線1を支えるようにしている。ジャケット1201は、例えば、鉛直方向の支持線1202及び支持線1203と頂点付近の接触線1204とによってヒーター線1と接触している。3つの線で(断面でいうと3点)でヒーター線1を保持するので、ヒーター線1に生じる応力を均等に分散させることができる。また、鉛直方向の2つの支持線でヒーター線1を下から支えるので、上述の実施形態による構成と同等の効果を期待することができる。なお、支持線及び接触線の個数は3つに限定されるものではなく、3つより多くても良いし、支持線1203のみであっても良い。
(3)変形例3
図13は、本開示の変形例3の構成例を示す図である。変形例3では、ヒーター線1を水平方向に横断するように(例えば2列で)、ヒーター線支持手段としての接着部1301が形成されている。これにより、上述の実施形態による構成と同等の効果を期待することができる。なお、接着部1301の個数は2つに限定されるものではない。
<まとめ>
本開示による熱分析装置は、保護管に収容される分析対象の試料を加熱するためのヒーター線に掛かる重力を下支えするヒーター線支持手段を備えている。これにより、重力加速度によってヒーター線が鉛直方向下向きに引っ張られても、ボビンの円筒面によってヒーター線は受け止められ移動することはなく、ヒーター線自重によってヒーター線の断面には圧縮応力が働くことになるため、クリープによる断線の恐れはなくなり、加熱部を交換するまでの寿命が長くなり装置を長期間使い続けることができる。
より具体的には、ヒーター線支持手段として、上側ボビンと下側ボビンとによって構成することができる。このとき、ヒーター線は、上側ボビンの外側に配置され、かつ下側ボビンの内側に配置され、下側ボビンが、ヒーター線を下支えする。これによれば、ヒーター線は保護管の周りで鉛直方向下面ではボビンを介さずに直接熱を伝える構造で加熱効率が高くなるため、温度上昇速度を高くすることができ、単位時間当たりの測定回数を増やすことができる。また、ボビンの円筒面にスリットを設けた構造は、ヒーター線がボビンを介さずに直接熱を伝える構造で加熱効率が高くなるため、温度上昇速度を高くすることができ、単位時間当たりの測定回数を増やすことができる。さらに、同構造はボビンの体積が小さくなるため熱容量も小さくなり、冷却時間を短くすることができ、単位時間当たりの測定回数を増やすことができる特徴もある。
また、ヒーター線支持手段として、ヒーター線を下支えする複数の支持棒を用いても良い(変形例1)。これによれば、より簡単な構造でクリープによる断線を押さえることができるようになり、長寿命の加熱部を実現することが可能となる。
さらに、ヒーター線支持手段として、保護管と当該保護管を巻き付けるように配置されるヒーター線とを覆うジャケットを用いても良い(変形例2)。これによれば、ジャケットという部品のみで対応できる。また、断面応力を小さくすることができ、断線までの時間を長くすることが可能となる。よって、これによっても長寿命の加熱部を実現することが可能となる。
また、ヒーター線支持手段として、ヒーター線の巻き付け方向と垂直な方向にヒーター線を横断するようにヒーター線を接着する接着剤を用いても良い(変形例3)。これによれば、現行製品に容易に適用することが可能となる。また、断面応力を小さくすることができ、断線までの時間を長くすることが可能となる。よって、これによっても長寿命の加熱部を実現することが可能となる。
1 ヒーター線
3 保護管
9 試料
10 熱分析装置
100 加熱部
102 秤量部
104 ベース部
106 モーター
108 レール
110 天秤
112 試料カップ
114 天秤支点
118 ガス導入口
120a、120b 冷却剤出入り口
150 演算装置
201a、201b ボビン
203a、203b、203c、203d スリット
213 接続部
301 スタンド
303、305、307a、307b 中子
401 脚

Claims (8)

  1. 試料を収容する保護管と、
    前記保護管に収容される試料をヒーター線によって加熱する加熱部であって、前記保護管に接触せず、前記ヒーター線が前記保護管の周囲を所定の隙間を持って巻き付けるように配置される、加熱部と、
    加熱による前記試料の重量変化を検出する秤量部と、
    前記ヒーター線に掛かる重力を下支えするヒーター線支持手段と、を備え
    前記ヒーター線支持手段は、上側ボビンと下側ボビンとによって構成され、
    前記ヒーター線は、前記上側ボビンの外側に配置され、かつ前記下側ボビンの内側に配置され、
    前記下側ボビンが、前記ヒーター線を下支えする、熱分析装置。
  2. 請求項において、
    前記上側ボビンと前記下側ボビンには、複数のスリットが設けられている、熱分析装置。
  3. 請求項において、
    前記上側ボビンの中央部領域に設けられた前記スリットの開口割合は、前記上側ボビンの端部領域に設けられた前記スリットの開口割合より小さく、
    前記下側ボビンの中央部領域に設けられた前記スリットの開口割合は、前記下側ボビンの端部領域に設けられた前記スリットの開口割合より大きい、熱分析装置。
  4. 請求項1において、
    前記ヒーター線支持手段は、前記ヒーター線を下支えする複数の支持棒で構成される、熱分析装置。
  5. 請求項1において、
    前記ヒーター線支持手段は、前記保護管と当該保護管に巻き付けるように配置される前記ヒーター線とを覆うジャケットで構成される、熱分析装置。
  6. 請求項において、
    前記ジャケットは、前記ヒーター線と複数の線をなす箇所で接触して、前記ヒーター線を保持する、熱分析装置。
  7. 請求項1において、
    前記ヒーター線支持手段は、前記ヒーター線の巻き付け方向と垂直な方向に前記ヒーター線を横断するように前記ヒーター線を接着する接着剤で構成される、熱分析装置。
  8. 加熱による試料の重量変化を検出する熱分析装置と、
    前記熱分析装置に接続され、前記熱分析装置によって検出された前記重量変化を受信し、前記試料の前記重量変化を分析する演算装置と、を備え、
    前記熱分析装置は、
    前記試料を収容する保護管と、
    前記保護管に収容される試料をヒーター線によって加熱する加熱部であって、前記保護管に接触せず、前記ヒーター線が前記保護管の周囲を所定の隙間を持って巻き付けるように配置される、加熱部と、
    加熱による前記試料の前記重量変化を検出する秤量部と、
    前記ヒーター線に掛かる重力を下支えするヒーター線支持手段と、を備え
    前記ヒーター線支持手段は、上側ボビンと下側ボビンとによって構成され、
    前記ヒーター線は、前記上側ボビンの外側に配置され、かつ前記下側ボビンの内側に配置され、
    前記下側ボビンが、前記ヒーター線を下支えする、試料分析システム。
JP2016078420A 2016-04-08 2016-04-08 熱分析装置、及び試料分析システム Active JP6712892B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016078420A JP6712892B2 (ja) 2016-04-08 2016-04-08 熱分析装置、及び試料分析システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016078420A JP6712892B2 (ja) 2016-04-08 2016-04-08 熱分析装置、及び試料分析システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017187455A JP2017187455A (ja) 2017-10-12
JP6712892B2 true JP6712892B2 (ja) 2020-06-24

Family

ID=60044807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016078420A Active JP6712892B2 (ja) 2016-04-08 2016-04-08 熱分析装置、及び試料分析システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6712892B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109991276A (zh) * 2019-05-08 2019-07-09 上海赫鹏新材料科技有限公司 一种开放式高温测试台
JP7324901B1 (ja) * 2022-06-07 2023-08-10 ネッチ ゲレーテバウ ゲーエムベーハー 熱分析システム及び熱分析方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017187455A (ja) 2017-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6712892B2 (ja) 熱分析装置、及び試料分析システム
JP6146851B2 (ja) 高温摩擦磨耗測定装置
JP7263976B2 (ja) 示差熱・熱重量同時測定装置
CN103308416B (zh) 热分析装置
JP4831487B2 (ja) 示差走査熱量計
RU2502064C2 (ru) Погружной зонд
JP3194701U (ja) 高温材料試験機
JP5933653B2 (ja) 熱分析装置、及び熱分析方法
JP2000349118A (ja) 電極引張試験方法、その装置及び電極引張試験用の基板/プローブ支持装置並びに電極プローブ接合装置
JP2015014596A (ja) 高温環境下での片持ち式回転曲げ疲労試験装置
JP5985398B2 (ja) 熱分析試験用の温度制御装置
CN106908556B (zh) 用于气相色谱柱的锥形加热组件
JP2849457B2 (ja) 熱分析装置の試料温度検出装置
JP6465985B2 (ja) 逆充填炭素及び温度ドロップインセンサ
JP2021032748A (ja) 熱分析装置
JP3135983B2 (ja) 熱分析装置の試料温度検出装置
JP5256869B2 (ja) 放射率計測装置
JP4224705B2 (ja) ガラス母材の延伸方法
JP3645439B2 (ja) 熱電対装置
EP3798626B1 (en) Thermal analysis device, sample holder assembly and thermal analysis method
JP6653161B2 (ja) 水位計測システム
JP2006250771A (ja) 物質の熱安定性の評価方法。
CN217505465U (zh) 一种热缩管拉伸测试用检测设备
CN213068021U (zh) 热电偶检定炉
US3026709A (en) Creep testing machines

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200512

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200602

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6712892

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250