JP6711999B1 - 耐久性塗料及びこれを用いた耐久性塗膜 - Google Patents

耐久性塗料及びこれを用いた耐久性塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】スポロポレニンのまれにみる耐熱性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性に着目して、生物由来材料で構成される耐久性塗料を創製することで、環境負荷の少ない耐久性塗料及び耐久性塗膜を提供することにある。【解決手段】皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、皮膜形成成分が、セルロース、キチン及びキトサンのいずれかから選択される1種以上の生体高分子、生体高分子であるシェラック樹脂、あるいは合成高分子、合成高分子と生体高分子との混合物であることを特徴とする耐久性塗料である。スポロポレニンは、花粉構成物質由来スポロポレニンも利用できる。【選択図】なし

Description

本発明は、物品の表面に耐熱性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性を付与する耐久性塗料及びこれを用いた耐久性塗膜に関する。特に、耐久性を付与する塗料成分として花粉、脱ワックス花粉(Exine)、花粉構成物質から抽出した精製スポロポレニンを含有する耐久性塗料及びこれを用いた耐熱耐久性塗膜に関する。
屋外に建築・建設された構造物は、日光や風雨に曝されるため、構造物の塗膜には補修作業の低減の観点から長期の耐久性が要求される。耐久性塗料は一般的に耐久性に優れた樹脂バインダーと耐候性に優れた着色顔料、体質顔料、耐食性に優れた無機酸化物、金属、セラミック等の防錆顔料からなり、例えば特許文献1では、樹脂成分と顔料からなる塗膜の剥離を防ぐため塗膜の線膨張率を低減することが提案されている。
また、屋外建築物と同様に、自動車、列車、航空機、船舶等の外装も、塗膜による紫外線、排気ガス、酸性雨等過酷な環境因子からの長期間にわたる防御機能が求められる。
さらには、屋内仕様の家電製品、電子機器、装飾品、家具、建材などの広範な工業製品においても、その製品や部品の種々の生活空間因子からの保護を目的として、塗膜を形成することが一般に行われている。すなわち、これらの塗膜には耐久性にかかわるものとして、耐沸騰水(耐熱性)、耐酸性、耐アルカリ性、耐エタノール性、耐洗剤・界面活性剤性、耐汗性、耐油性、耐水性、化粧品あるいは醤油・ソース等調味料に対する耐汚染性能が強く求められている(特許文献2)。
ところで、スポロポレニン(sporopollenin)は、植物の花粉、あるいは、コケ類、真菌類及び藻類の胞子の外膜皮(exine)の主構成物質であり、外膜皮内に結合または包含される。スポロポレニンは、自然界においてまれにみる耐久性、耐薬品性、耐溶剤性、耐光性、耐溶剤性を有し、化石化した後もその構造を維持可能なほどの究極の遺伝子保護物質である(非特許文献1)。
スポロポレニン含有組成物は、食品、化粧品、薬学的用途に用いられている(特許文献3,4)が、その耐久性着目した耐久性性塗料については、開示されていない。
特開2018−090830号公報 特開2013−159668号公報 特表2005−529914号公報 WO2017−014375号公報
Chem.Mater.2015,27,7321-7330
スポロポレニンのまれにみる耐久性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性に着目して、生物由来材料で構成される超耐久性塗料を創製することで、環境負荷の少ない耐久性塗料及び耐久性塗膜を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、環境への配慮、資源枯渇の恐れが少ない生物由来のスポロポレニンを耐久性性付与成分とし、皮膜形成成分としてセルロース、キチン等の生物由来材料(バイオマス)から得られる生体高分子、シェラック樹脂とすることで、耐久性に優れる塗膜を形成できる耐久性塗料を創製することができ、上記課題を解決することができた。
具体的には、以下の態様により解決できる。
(態様1) 皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、前記皮膜形成成分が、セルロース、キチン及びキトサンのいずれかから選択される1種以上の生体高分子であることを特徴とする耐熱性塗料である。
スポロポレニンは、化石化後もその構造を維持可能な遺伝子保護物質であり、耐熱性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性に優れることから、耐久性塗料の耐久性付与成分とすることで、耐久性に優れる耐久性塗料を提供できるからである。また、生体高分子は、水との親和性が高いため水分散性に優れ、高分子が繊維状に折り重なって網目構造を形成することで、ナノレベルの空隙を含む塗膜形成が容易であるからである。また、耐熱性付与成分であるスポロポレニンとの親和性も高く、スポロポレニンの担持機能が高く、形成される皮膜の耐熱機能を発揮できるからである。さらに、生物由来であることから生分解性が高く環境負荷を低減できるからである。
(態様2) 皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、前記皮膜形成成分が、合成高分子または合成高分子及び生体高分子との混合物であることを特徴とする耐久性塗料である。
皮膜形成成分として、塗料に汎用されている合成高分子を用いることで、多様な耐久性塗料を提供できるからである。
(態様3) 皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、前記皮膜形成成分が、シェラック樹脂であることを特徴とする耐久性塗料である。
シェラック樹脂は、ラックカイガラムシ(Laccifer lacca)、およびその近縁の数種のカイガラムシの分泌する虫体被覆物を精製して得られる樹脂状の物質であり、主にシェロリン酸(shellolic acid)、アロイリチン酸(aleuritic acid)およびジャラール酸(jalaric acid)のエステル化物である。約120〜180℃で適度な時間加熱して熱硬化処理を行うことにより、耐熱性、耐水性、耐油性、耐摩耗性等が向上することから、スポロポレニンとの相乗効果が期待できるからである。また、生物由来であることから生分解性が高く環境負荷を低減できるからである。
(態様4) 前記スポロポレニンが花粉構成物質由来スポロポレニンであることを特徴とする(態様1)から(態様3)のいずれかに記載する耐久性塗料である。
花粉構成物質由来スポロポレニンは、蜜蜂が幼い蜂に食べさせるために持ち帰る花粉団子から粉砕・抽出工程を経て容易に製造することができ、得られるスポロポレニンの特性にバラつきがないからである。このため、一定の特性を持つスポロポレニンを耐久性付与成分とする耐久性塗料を提供することができるからである。
(態様5) (態様1)から(態様4)のいずれかに記載する耐久性塗料により形成された塗膜表面に、前記耐久性付与成分であるスポロポレニンが存在する耐熱性塗膜である。
耐久性付与成分であるスポロポレニンが塗膜表面に存在することにより塗膜の耐久性が有効となるからである。
本発明の耐久性塗料は、スポロポレニンを含有することから、耐熱性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる。また、生物由来のセルロース、キチン、キトサン等の生体高分子、生物由来のシェラック樹脂を皮膜形成成分とすることから、環境負荷が小さい耐久性塗料及び耐久性塗膜を提供することができる。
本発明の実施態様であるスポロポレニンを担持したキチン塗膜を示すSEM写真である。 本発明の実施態様であるスポロポレニンを担持したシェラック樹脂塗膜を示すSEM写真である。 本発明の実施態様であるスポロポレニンを担持したシェラック樹脂塗膜におけるスポロポレニンを担持した塗膜断面を示すSEM写真である。 本発明の実施態様であるスポロポレニンを担持したポリメチルメタクリレート樹脂塗膜を示すSEM写真である。 本発明の実施態様であるスポロポレニンを担持したポリメチルメタクリレート樹脂塗膜におけるスポロポレニンを担持した塗膜断面を示すSEM写真である。
本発明を実施するための態様を以下に説明する。ただし、記載した実施態様に限定されるものではない。
本発明の第1の実施態様は、皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、前記皮膜形成成分が、セルロース、キチン及びキトサンのいずれかから選択される1種以上の生体高分子であることを特徴とする耐久性塗料である。
スポロポレニンは、化石化後もその構造を維持可能な遺伝子保護物質であり、耐熱性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性に優れることから、耐久性塗料の耐久性付与成分とすることで、耐久性に優れる耐久性塗料を提供できるからである。また、生物由来の生体高分子は、水との親和性が高いため水分散性に優れ、高分子が繊維状に折り重なって網目構造を形成することで、ナノレベルの空隙を含む塗膜形成が容易であるからである。また、耐久性付与成分であるスポロポレニンとの親和性も高く、スポロポレニンの担持機能が高く、形成される皮膜の耐久機能を発揮できるからである。さらに、生物由来であることから生分解性が高く環境負荷を低減できるからである。
皮膜形成成分である生物由来の生体高分子、耐久性付与成分であるスポロポレニンについて以下に説明する。なお、生物由来の生体高分子のスポロポレニンの担持機能に着目した用途については開示されていない。
1.生物由来の生体高分子
生物由来の生体高分子は、生体を構成しているタンパク質、核酸、多糖類などの高分子化合物であって、生物から所定の方法により精製したものである。生分解性があり、資源枯渇の恐れが少ないため、環境への配慮から注目されている。
本発明の生体高分子には、耐熱性が高く、塗膜形成が容易な多糖類からなる生体高分子が好適に用いられる。具体的には、セルロース、微生物セルロース、カードラン、アルギン酸、ヒアルロン酸、ヘミセルロース、キチン、キトサン、グアールゴム、ペクチン、寒天、キサン、デキストラン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アルタナン、ゲラン、ミュータン、デキストラン、プルラン、フラクタン、イナゴマメゴム、カラゲーナン、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、ムレイン、細菌莢膜ポリサッカライド、およびその誘導体が含まれる。これらの混合物も使用してよい。
また、耐熱性、耐薬品性、加工性等には若干劣るが、生分解性の観点からタンパク、ポリペプチドも利用可能である。具体的には、グルテン、ゼイン、コラーゲン、ゼラチン、フィブロイン、セリシン、ケラチン、カゼイン、ポリグルタミン酸、およびそれらの誘導体があげられる。そのほか、微生物産生ポリエステルであるポリヒドロキシ酪酸(PHB)およびその誘導体も好適に用いられる。
なお、本発明で特に好ましい多糖類からなる生体高分子は、セルロース、キチン、キトサンおよびその誘導体であり、単独あるいは組合せで使用できる。
また、本発明の多糖類からなる生体高分子の形態は、繊維状、粒状など任意の形態であってもよい。
(1−1)セルロース
本発明の耐久性塗料を構成するセルロースは、木材パルプ、木綿リンター、ダイズ外皮、エンドウ外皮、トウモロコシ外皮、アヤ、麻、黄麻、ラミー、アンバリ麻、マニラ麻、サイザル麻、バガス、トウモロコシ、小麦、竹、などのセルロース系原料を機械的処理、化学的処理することにより得ることができる。
(1−2)キチン、キトサン
本発明の耐久性塗料を構成するキチン、キトサンは、エビ、カニをはじめとして、昆虫、貝、キノコにいたるまで、極めて多くの生物に含まれるキチンを原料として、機械的処理、化学的処理により得ることができる。ここで、キチンとは、N−アセチル−D−グルコサミンが鎖状に長く(数百から数千)繋がった繊維構造を有するアミノ多糖である。また、キトサンは、キチンをアルカリ処理してアセチル基を除くことによって得ることができる。
(1−3)合成系生分解性ポリマー
本発明の生物由来の生体高分子には、環境負荷の少ない合成系生分解性ポリマーも含まれる。具体的には、ポリ‐ε‐カプロラクトン(PCL)、ポリ‐β‐プロピオラクトン(PBPL)、ポリ‐β‐ブチロラクトン(PHB)、およびポリグリコール酸、ポリ‐L‐乳酸、ポリグラクチン、ポリジオキサノン、ポリグリコナート、ポリグリカプロン等のポリ(α‐オキシ酸)があげられる。
2.スポロポレニン
スポロポレニンは、植物花粉、菌類・藻類胞子の外膜皮の主成分である。化学的及び物理的に極めて安定で、耐熱性、耐薬品性、耐光性、耐溶剤性を有する。花粉及び胞子が酸素供給の少ない条件の中で長い年月化石として残ることができるのは、スポロポレニンが細胞膜外皮として含まれるからである。本発明は、バイオミメティックの観点から、スポロポレニンの化学的及び物理的安定性に着目して、耐久性付与成分としてスポロポレニン含有する耐久性塗料を創製したものである。
本発明の耐久性塗料に耐久性付与成分として加えるスポロポレニンは、タンパク質等の夾雑物を除いた精製度の高いスポロポレニンを好適に用いることができる。スポロポレニンの粒子径は、塗膜形成後に塗膜に埋没することを避けるため、塗膜の厚みより大きいことが好ましい。具体的には、5〜30μmであることが好ましい。
本発明の第4の実施態様は、スポロポレニンが花粉構成物質由来スポロポレニンであることを特徴とする耐久性塗料である。花粉構成物質由来のスポロポレニンについて、以下に説明する。
(2−1) 花粉構成物質由来スポロポレニン
植物花粉粒の細胞壁、いわゆる花粉壁は、内壁(intine)、外壁(exine)から構成される複雑な層状構造からなる。スポロポレニンは、外壁の主たる構成物質である。
花粉構成物質由来スポロポレニンは、蜜蜂が幼い蜂に食べさせるために持ち帰る花粉団子から粉砕・抽出工程を経て容易に製造することができ、得られるスポロポレニンの特性にバラつきがない。このため、精製度が高く、粒径が比較的均一な品質の高いスポロポレニン粒子を含有する耐久性塗料を製造することができるからである。また、形成された塗膜において耐久性付与成分であるスポロポレニンが有効に機能するからである。
本発明の第2の実施態様は、皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、前記皮膜形成成分が、合成高分子または合成高分子及び生体高分子との混合物であることを特徴とする耐久性塗料である。
皮膜形成成分である合成高分子について説明する。
3.合成高分子
本発明の合成高分子は、塗料として汎用されている合成高分子であれば特に限定するものではない。具体的には、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂等がある。
本発明の第3の実施態様は、皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、前記皮膜形成成分が、シェラック樹脂であることを特徴とする耐久性塗料である。
約120〜180℃で適度な時間加熱して熱硬化処理を行うことにより、耐熱性、耐水性、耐油性、耐摩耗性等が向上することから、スポロポレニンとの相乗効果が期待できるからである。また、生物由来であることから生分解性が高く環境負荷を低減できるからである。
皮膜形成成分であるシェラック樹脂について、以下に説明する。
4.シェラック樹脂
シェラック樹脂は、セラックとも呼ばれ、インドやタイ、ビルマ、インドシナ等を主要な原産国として桑科(アコウ、インド菩提樹等)、豆科(ビルマネム、アメリカネム、カッチ、オバマメノキ、キマメ、アラビアゴムモドキ等)の植物の枝に寄生するラックカイガラ虫が分泌する樹脂状物質で、枝が分泌物で覆われ、固化した状態のスチックラックを原料としているものである。
前記樹脂状物質は比重差分離法を用いて分離し、得ることができる。例えば、前記樹脂状物を枝ごと切り取って水に浸漬させると、樹脂分は沈降し、枝および不純物は浮くようになるので、沈降した樹脂分をそのまま前記シェラック樹脂として使用することができる。 なお、このようにして得たシェラック樹脂は一般にシードラックと呼ばれる。
また、前記シードラックを精製して漂白した後に前記シェラック樹脂とすることもできる。この場合、前記シェラック樹脂は、樹脂酸エステルを主成分とし、白シェラックと呼ばれる。さらに、上述のようにして得た白シェラック等を脱ろうした後のものを前記シェラック樹脂とすることもできる。
シェラック樹脂の性状は淡黄色から暗褐色で推定構造はアリュリチン酸、シェロール酸及びその誘導体および各種有機酸からなっているもので、自然界では外気温の熱履歴を受けることにより架橋反応が進行し、不溶、不融状態になり硬化が完了してしまう。したがって、自然界で生成されたシェラック樹脂を使用するに際しては、加熱により溶融し、流動性を示す状態とする必要がある。
なお、上記シェラック樹脂は自然界に存在するものの他、市販品として提供されており、例えば、日本シェラック工業株式会社より、レモンNo.1、NSC(脱ロウ品)、NST−2(含ロウ品)、乾燥透明白ラック(脱ロウ/漂白品)、乾燥乳状白ラック(脱ロウ/漂白品)等の商品名で販売されている。また、株式会社岐阜セラック製造所より、GSA、GS、GSN、脱色セラック(PEAL−N811)、乳状白ラックS−GB、乳状白ラックS−GBD、透明白ラックGBN、透明白ラックGBND等の商品名で販売されている。
5.配合比
本発明の耐久性塗料を構成する(a)皮膜形成成分、(b)スポロポレニンの配合比は、(a)皮膜形成樹脂成分を100重量部としたとき、(b)スポロポレニンは、0.5〜10重量部である。
6.分散剤
本発明の耐久性塗料においては、皮膜形成成分を塗料(分散液)に均一に分散するために分散剤を好適に用いることができる。
分散剤としては、界面活性剤または樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性に分類され、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。好ましくは、樹脂型分散剤である。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩などが挙げられる。
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルなどが挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等などが挙げられる。
界面活性剤の選択に際しては1種類に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤など、2種以上の界面活性剤を併用して使用することも可能である。その際の配合量は、それぞれの活性剤成分に対して前述した配合量とすることが好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の併用が良く、アニオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸塩、ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン;ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル;不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物;ポリエステル系樹脂、変性ポリアクリレート系樹脂、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系樹脂等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
7.溶剤
本発明の耐久性塗料の構成成分の塗料溶液を作製するための溶剤は、生物由来の生体高分子と親和性のある溶剤、具体的には、水または水と混和可能なエタノール、グリセロール、エチレングリコール又はプロピレングリコール等のアルコール類が好適である。溶剤の含有量は適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、塗料組成物の固形分量を、溶剤を含む水性塗料組成物の全量に対して、10〜80質量%とすればよい。
8.その他の成分
本発明の耐久性塗料組成物には、上述した成分以外に、顔料、顔料分散剤、造膜助剤、凍結防止剤、タレ防止剤、沈降防止剤、架橋促進剤、硬化剤、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤、防カビ剤、紫外線安定剤、粘性調整剤などのその他の成分を含んでいてもよい。これらその他の成分はそれぞれ、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
9.耐久性塗膜
図1(500倍 SEM写真)、図2(170倍 SEM写真)、図3(2500倍 SEM写真)、図4(190倍 SEM写真)、図5(1000倍 SEM写真)に示すように、本発明の耐久性塗料を製膜したキトサン塗膜2、シェラック樹脂塗膜3、ポリメチルメタクリレート塗膜4には、スポロポレニン粒子1が存在する。
また、後述する塗膜の耐久性評価により、塗膜は耐久性を有するものである。
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明を実施例に限定するものと解してはならない。
<実施例1>
1.スポロポレニンの精製
市販の花粉だんご(蜂蜜花粉)から、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMS)によりワックスを除き、粗製スポロポレニンを得た。
2.耐久性塗料の製作
生物由来キトサン含有塗料(大村塗料株式会社製 OSカイト#200)に、上記精製スポロポレニンを1W/W%添加して、均一に分散して耐久性塗料を製作した。
3.耐久性塗膜の製作
上記耐久性塗料を金属板上に製膜して、耐久性塗膜を製作した。塗膜をSEM観察したところ、図1に示すように、スポロポレニン粒子は、塗膜中に埋没せず浮き出た状態であった。
4.塗膜の耐久性評価
塗膜の耐久性は、耐熱性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性により評価した。
(4−1)耐熱性評価
熱重量/示唆熱分析装置(TG/DTA)を用いて、試料5mg、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気の条件で、20〜500℃までの熱重量分析を行った。500℃までの重量減少結果において、下記基準に従って評価した。
×:75%以上の重量減少
△:50〜75%の重量減少
○:25〜50%の重量減少
◎:25%以下の重量減少
重量減少量は、25%以下であり、耐熱性評価は、「◎」であった。
(4−2)耐光性評価
塗膜をアイスーパーUVテスターW151(岩崎電気(株)製)内で100時間暴露した(暴露条件 90mW/cm2,63℃,50%相対湿度)。
○:塗膜の割れ及び塗膜の剥離は見られなかった。
△:試験板の端部に、塗膜の割れが若干確認された。
×:加工部の全面に、塗膜の割れ及び塗膜の剥離が確認された。
塗膜に割れ及び塗膜の剥離は見られず。耐光性評価は、「〇」であった。
(4−3)耐薬品性評価
塗膜に2%苛性ソーダ水溶液を滴下して24時間放置し、その後、塗膜表面を肉眼で観察し、以下のとおり評価した。
〇:塗膜表面に膨潤、退色などが観察されなかった。
×:塗膜表面に膨潤、退色など明らかな変化が観察された。
塗膜表面に膨潤、退色などの変化は全く観察されず、耐薬品性評価は、「〇」であった。
(4−4)耐溶剤性評価
エタノールを染み込ませた綿布を準備し、塗膜表面を、それぞれ手動で100回往復して塗膜表面を拭いた。その後、塗膜表面を肉眼で観察し、以下のとおり評価した。
〇:塗膜表面に全く傷が観察されなかった。
×:塗膜表面に明らかに傷が観察された。
塗膜表面に全く傷が観察されず、耐薬品性評価は、「〇」であった。
<実施例2>
1.スポロポレニンの精製
市販の花粉だんご(蜂蜜花粉)から、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMS)によりワックス、脂質等を除き、さらに硫酸、酢酸等によりアセトリシスにて核酸、タンパク質等の夾雑物を除き、精製したスポロポレニンを得た。
2.耐久性塗料の製作
生物由来シェラック樹脂含有塗料(大阪塗料工業株式会社製 濃口シケラックニス)に、上記精製スポロポレニンを5W/W%添加して、均一に分散して耐久性塗料を製作した。
3.耐久性塗膜の製作
上記耐久性塗料を金属板上に製膜して、耐久性塗膜を製作した。塗膜を走査電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図2に示すように、スポロポレニン粒子は、塗膜中良好に分散していた。さらに、図3に示すように、スポロポレニン粒子は、塗膜表面に浮き出た状態であった。
4.塗膜の耐久性評価
実施例1と同様の条件で、耐熱性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性を評価した。いずれの項目も実施例1と同様の評価結果であった。
<実施例3>
1.スポロポレニンの精製
市販の花粉だんご(蜂蜜花粉)から、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMS)によりワックス、粗製スポロポレニンを得た。
2.耐久性塗料の製作
ポリメチルメタクリレート(クラレ株式会社製 パラペットG)のMEK溶液に、上記粗製スポロポレニンを5W/W%添加して、均一に分散して耐久性塗料を製作した。
3.耐久性塗膜の製作
上記耐久性塗料を金属板上に製膜して、耐久性塗膜を製作した。塗膜を走査電子顕微鏡(SEM)観察したところ、図4に示すように、スポロポレニン粒子は、塗膜中良好に分散していた。さらに、図5に示すように、スポロポレニン粒子は、塗膜中に埋没した状態であった。
4.塗膜の耐久性評価
実施例1と同様の条件で、耐熱性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性を評価した。いずれの項目も実施例1と同様の評価結果であった。
本発明は、耐久性塗料の分野において利用可能である。
1 スポロポレニン粒子
2 キトサン塗膜
3 シェラック樹脂塗膜
4 ポリメチルメタクリレート塗膜

Claims (5)

  1. 皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、
    前記皮膜形成成分が、セルロース、キチン及びキトサンのいずれかから選択される1種以上の生体高分子であることを特徴とする耐久性塗料。
  2. 皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、
    前記皮膜形成成分が、合成高分子または合成高分子及び生体高分子との混合物であることを特徴とする耐久性塗料。
  3. 皮膜形成成分と、耐久性付与成分としてスポロポレニンと、を含有する耐久性塗料であって、
    前記皮膜形成成分が、シェラック樹脂であることを特徴とする耐久性塗料。
  4. 前記スポロポレニンが花粉構成物質由来スポロポレニンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載する耐久性塗料。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載する耐久性塗料により形成された塗膜表面に、前記耐久性付与成分であるスポロポレニンが存在する耐久性塗膜。
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