JP6703250B2 - 粒子分離方法及び粒子分離装置 - Google Patents

粒子分離方法及び粒子分離装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6703250B2
JP6703250B2 JP2015243292A JP2015243292A JP6703250B2 JP 6703250 B2 JP6703250 B2 JP 6703250B2 JP 2015243292 A JP2015243292 A JP 2015243292A JP 2015243292 A JP2015243292 A JP 2015243292A JP 6703250 B2 JP6703250 B2 JP 6703250B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
condition
liquid
bubbles
particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015243292A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017109145A (ja
Inventor
隆之 齋藤
隆之 齋藤
浩也 村松
浩也 村松
沙祐里 矢内
沙祐里 矢内
祐基 水嶋
祐基 水嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shizuoka University NUC
Original Assignee
Shizuoka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shizuoka University NUC filed Critical Shizuoka University NUC
Priority to JP2015243292A priority Critical patent/JP6703250B2/ja
Publication of JP2017109145A publication Critical patent/JP2017109145A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6703250B2 publication Critical patent/JP6703250B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Of Solids By Using Liquids Or Pneumatic Power (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

本発明は、液体に含まれた互いに異なる粒子同士を分離するための粒子分離方法及び粒子分離装置に関する。
固体粒子同士をその特性によって分離するプロセスは、固固分離プロセスと呼ばれる(非特許文献1参照)。固固分離プロセスには、例えば、分級、重選、比重選別、及び磁選などが知られている。分級は、流体中における粒子運動の差を利用してそれらの大きさごとに粒子を分離する。重選は、密度の異なる2種類の粒子を、それらの密度の中間値を有する液体を利用して分離する。比重選別は、密度の差に起因して生じる沈降速度を利用して分離する。磁選は、磁界内に配置された粒子に作用する磁力を利用して粒子を分離する。
また、固液混合物を固形成分と液体成分とに分離するプロセスは、固液分離プロセスと呼ばれる(非特許文献2参照)。固液分離プロセスには、例えば、沈降分離、濾過及び遠心分離などが知られている。沈降分離は、液体中に懸濁している粒子の沈降現象を利用する。濾過は、濾材を利用して、液体中に懸濁している不溶解物質を補足粒子と濾液とに分離する。遠心分離は、遠心力を利用して粒子を分離する。
また、これらの方法に対して、化学薬品等を添加する操作を加えることで、分離の促進や精度及び効率を向上させる技術も知られている。
日刊工業新聞社液相中の粒子分散・凝集と分離操作 粉体工学会編 4章 日刊工業新聞社気相中の粒子分散・凝集と分離操作 粉体工学会編 5〜7章 Mitome, H., 2001. Micro-bubble and sonoluminescence. Jpn. J. Appl.Phys.40, 3484−3487.
しかしながら、上述した種々の分離技術は、その利用に際して適用条件が課せられる。
例えば、沈降分離は、粒子の密度と液体の密度の差による粒子の沈降もしくは浮上を利用する。従って、粒子と液体の密度差が小さい場合には、粒子を分離することが難しい。一例として、ポリスチレン粒子(密度:1.05g/cm)と水(密度:0.998g/cm)では、密度差が小さいので、沈降分離によって水とポリスチレン粒子とを分離することは難しい。また、沈降分離では、同一密度で径の異なる粒子に関して、粒子径で分級することも難しい。
分離膜及び濾過は、膜を通過する際に膜の目地より大きい粒子を捕獲して液体と粒子とを分離する。また、目地の大きさを適宜選択することにより、粒子径の異なる粒子同士を分離することもできる。しかし、粒子を含む液体が膜を通過する度に粒子が膜に残って堆積していくので、膜の定期的なメンテナンスが必要である。
遠心分離は、遠心力を利用する。そのため、遠心式分離装置では装置が大型になることや、密度が異なる粒子の分離には不適である。
また、分離プロセスに超音波を利用する技術も知られている(非特許文献3)。超音波を利用する分離技術は、主にメガヘルツ帯の超音波を使用し、超音波によって形成される定在波とその音響放射力によって粒子を分離する。従って、超音波がメガヘルツ帯である場合には定在波の波長が短くなるので、粒子の分離対象がマイクロメートル以下になってしまう。また、超音波がメガヘルツ帯である場合には、液体との密度が異なる粒子が分離対象となる。
従って、上述した分離技術は、それぞれの技術に応じて適用可能な条件を有する。従って、分離対象である粒子の性質や粒子を含む液体の性質によって分離技術を選択する必要がある。そこで、当該技術の分野では、分離技術の使用時に課せられる適用条件を緩和し、使いやすい分離技術が望まれていた。
そこで、本発明は、適用可能な対象の条件を緩和できる粒子分離方法及び粒子分離装置を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、溶存ガスを含む液体に含まれた第1粒子と第2粒子とを分離する粒子分離方法であって、液体に対して第1条件に基づく超音波を照射することにより、液体中に溶存ガスを気泡として発生させると共に、気泡が付着した第1粒子及び第2粒子を超音波の腹に集合させる第1凝集力を発生させて、気泡が付着した第1粒子及び第2粒子を含む混合粒子群を維持する第1ステップと、第1ステップの後、液体に対して第2条件に基づく超音波を照射することにより、第1凝集力よりも弱い第2凝集力を発生させて、混合粒子群の維持を停止する第2ステップと、第2ステップの後、液体に対して第3条件に基づく超音波を照射することにより、液体中に溶存ガスを気泡として発生させると共に、第1凝集力よりも弱く、且つ、第2凝集力よりも強い第3凝集力を発生させて、気泡が付着した第1粒子を含む第1粒子群を超音波の第1腹位置において維持し、気泡が付着した第2粒子を含む第2粒子群を超音波の第2腹位置において維持する第3ステップと、を含む。
この方法によれば、まず、第1ステップにおいて液体に対して第1条件に基づく超音波を照射する。この超音波の照射により、液体中に気泡が発生する。次に、この気泡に超音波が作用すると、気泡に第1凝集力が生じる。この第1凝集力によって、気泡が超音波の腹に集められる。ここで、気泡が超音波の腹に向かって移動するとき、気泡は第1粒子又は第2粒子に付着する。また、第1粒子又は第2粒子の表面に直接に気泡が発生することもある。気泡は第1凝集力によって超音波の腹に集まるので、気泡が付着した第1粒子又は第2粒子も気泡とともに超音波の腹に集まり、混合粒子群を形成する。次に、第2ステップにおいて、第2条件に基づく超音波を液体に照射する。第2条件に基づく超音波による第2凝集力は第1凝集力より弱い。従って、第1粒子及び第2粒子は重力に抗して粒子群を維持できなくなり、それぞれの粒子の特性に応じて沈降を始める。このとき、液体に照射される超音波はゼロではないので、液体中には僅かながら気泡が存在する。次に、第3ステップにおいて、第3条件に基づく超音波を液体に照射する。第3条件に基づく超音波による第3凝集力は第1凝集力より弱いが、第2凝集力より強い。沈降中の第1粒子及び第2粒子には再び群を形成するに足りる力が作用する。そして、沈降中の第1粒子及び第2粒子はそれぞれの特性に対応して沈降する速度が異なる。従って、第3凝集力が作用した場合には、それぞれの位置に近い超音波の腹の位置に再び群を維持する。従って、第1粒子は第1腹位置に集められ、第2粒子は第2腹位置に集められるので、第1粒子と第2粒子とが分離される。従って、粒子分離方法は、液体中に生じさせた気泡に超音波が作用して生じる力を利用するものであるので、分離対象である第1粒子及び第2粒子の特性や液体特性の影響を受け難い。従って、本発明の粒子分離方法は、適用可能な対象の条件を緩和できる。
第1条件、第2条件及び第3条件は、超音波の強度を規定し、第3条件により規定される超音波の強度は、第1条件により規定される超音波の強度よりも小さく、且つ、第2条件により規定される超音波の強度よりも大きくてもよい。これらの条件は、容易に制御し且つ容易に設定することが可能である。従って、第1粒子と第2粒子とを容易に分離することができる。
第1条件、第2条件及び第3条件は、超音波の周波数の値を規定するための条件であり、第3条件により規定される値は、第1条件により規定される値以下であり、且つ、第2条件により規定される値よりも大きくてもよい。また、第1条件、第2条件及び第3条件は、超音波の周波数の値を規定するための条件であり、第3条件により規定される値は、第1条件により規定される値以上であり、且つ、第2条件により規定される値よりも小さくてもよい。これらの条件は、容易に制御し且つ容易に設定することが可能である。従って、第1粒子と第2粒子とを容易に分離することができる。
第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップでは、液体を収容する容器の底側から液体の液面に向けて超音波を照射してもよい。これらのステップによれば、液体において鉛直方向に超音波の節と腹とが交互に形成される。従って、第1粒子群と第2粒子群とを鉛直方向に沿った異なる腹の位置に維持することができる。
本発明の別の形態は、溶存ガスを含む液体に含まれた第1粒子と第2粒子とを分離する粒子分離装置であって、液体を収容する容器と、容器に収容された液体に対して超音波を照射する超音波照射手段と、超音波照射手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、液体に対して第1条件に基づく超音波を照射することにより、液体中に溶存ガスを気泡として発生させると共に、気泡が付着した第1粒子及び第2粒子を超音波の腹に集合させる第1凝集力を発生させて、気泡が付着した第1粒子及び第2粒子を含む混合粒子群を維持し、液体に対して第2条件に基づく超音波を照射することにより、第1凝集力よりも弱い第2凝集力を発生させて、混合粒子群の維持を停止し、液体に対して第3条件に基づく超音波を照射することにより、液体中に溶存ガスを気泡として発生させると共に、第1凝集力よりも弱く、且つ、第2凝集力よりも強い第3凝集力を発生させて、気泡が付着した第1粒子を含む第1粒子群を超音波の第1腹位置において維持し、気泡が付着した第2粒子を含む第2粒子群を超音波の第2腹位置において維持する制御を行う。
この粒子分離装置は、液体中に生じさせた気泡に超音波が作用して生じる力を利用するものであるので、分離対象である第1粒子及び第2粒子の特性や液体特性の影響を受け難い。従って、粒子分離装置は、適用可能な対象の条件を緩和できる。
粒子分離装置は、混合粒子群、第1粒子群及び第2粒子群を移動させる粒子群移動手段をさらに備えてもよい。この粒子群移動手段によれば、例えば、分離後の第1粒子群及び第2粒子群を排出口といった場所まで移動させることができる。
本発明によれば、適用可能な対象の条件を緩和できる粒子分離方法及び粒子分離装置が提供される。
本実施形態に係る粒子分離装置の構成を模式的に示す図である。 本実施形態に係る粒子分離方法の主要な工程を示す図である。 粒子分離方法において水槽内で生じている現象を模式的に示す図である。 粒子分離方法において水槽内で生じている現象を模式的に示す図である。 粒子分離方法において水槽内で生じている現象を模式的に示す図である。 粒子分離方法において水槽内で生じている現象を模式的に示す図である。 実施例1の結果を説明するための写真である。 実施例2の結果を説明するための写真である。 実施例3の結果を説明するための写真である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、本実施形態の粒子分離方法に用いる粒子分離装置について説明する。図1に示されるように、粒子分離装置1は、水槽2に満たされた水3に含まれた第1粒子P1と第2粒子P2とを分離する。粒子分離装置1は、水槽2と、制御装置7(制御手段)と、超音波振動装置8(超音波照射手段)と、回収手段9(粒子群移動手段)と、を有する。
水槽2は、分離対象である第1粒子P1と第2粒子P2とを含む水3を収容する。水3は、溶存ガスとしての空気を含む。
制御装置7は、超音波振動装置8に入力される制御信号を発生する。制御装置7は、条件設定部11と、信号発生器12と、増幅回路13と、整合装置14とを有する。
条件設定部11は、超音波振動装置8の駆動条件を設定する。条件設定部11は、種々の設定データが記録される。設定データは、水3といった粒子を含む液体の種類、液体に溶存するガスの種類、分離対象である粒子の種類などの条件と、それらの条件における分離処理に適した超音波振動装置8の駆動条件とが関連付けられたデータである。駆動条件は、超音波の強度に関する時間履歴、又は、超音波の周波数に関する時間履歴などを含む。条件設定部11は、分離処理に用いられる液体、溶存ガス、分離対象である粒子の性質などに基づいて、照射すべき超音波振動装置8の駆動条件を決定する。
信号発生器12は、条件設定部11から出力された設定データに基づいて、超音波振動装置8を駆動するための制御信号を生成する。信号発生器12には、例えば、ファンクションジェネレータが用いられる。増幅回路13は、信号発生器12において生成された制御信号を増幅する。整合装置14は、増幅回路13と超音波振動装置8とのインピーダンスを整合させる。なお、整合装置14は、必要に応じて備えればよい。
超音波振動装置8は、水槽2に満たされた水3に超音波を照射する。超音波振動装置8は、制御装置7から入力される制御信号に基づいて、所定の周波数及び所定の強度を有する超音波を放射する。制御信号は、例えば所定の電圧値と周波数とを有する交流の電圧信号であり、超音波振動装置8は、当該電圧信号を受けて振動子が振動する。超音波振動装置8は、19kHz以上40kHz以下であり、60W以下の強度を有する超音波を放射する。このような超音波振動装置8として、例えば、ボルト締めランジュバン型振動子が用いられる。超音波振動装置8は、水槽2の底部に接着により取り付けられる。なお、超音波振動装置8は、振動子が取り付けられた板をフランジ締結により固定する態様であってもよい。超音波振動装置8から照射された超音波は、水槽2の底面と水面との間で定在波を生じさせる。
回収手段9は、分離された第1粒子P1及び第2粒子P2を水槽2の外部へ排出する。回収手段9は、操作棒16と、排出部17と、を有する。操作棒16は、分離された第1粒子P1及び第2粒子P2を排出部17へ投入可能な位置へ移動させる。操作棒16は、例えば、水槽2の水面から水中へ差し込まれる棒体である。操作棒16は、水槽2の外部から作業者又はロボットハンド等の装置により水槽2内において動かされる。排出部17は、排出部17に投入された粒子を水槽2の外部へ排出する。
次に、上記粒子分離装置1を用いた粒子分離方法について、図2に示された手順とその手順により生じる現象とを示しつつ説明する。
図3の(a)部に示されるように、まず、水槽2に水3を満たす(ステップS1)。水3の量は、照射される超音波の周波数と関連する。水槽2における液面高さは、水中を進む超音波の波長よりも高くなるように設定される。具体的には、水槽2における液面高さは、水中における超音波の波長の1.5倍以上に設定される。一例として、液面高さは、120mmである。水中の超音波の波長は、式(1)により示される。

λ:水中における超音波の波長。
c:音速。
f:超音波の発信周波数。
例えば、水3の水温が20℃であり、制御信号の周波数が20kHzである場合、波長(λ)は約74mmである。従って、粒子群を形成する場合は、液面高さは少なくとも40mm程度は必要である。
次に、図3の(b)部に示されるように、第1粒子P1及び第2粒子P2を水3に投入する(ステップS2)。本実施形態では、大径粒子として直径が800μmである第1粒子P1と、小径粒子として直径が400μmである第2粒子P2と、を例に説明する。
次に、図3の(c)部に示されるように、第1条件に基づく超音波を水3に照射する(ステップS3)。このステップS3(第1ステップ)では、溶存ガスである空気を気泡Bとして発生させる。またこのステップS3では、気泡Bが付着した第1粒子P1及び第2粒子P2を超音波の腹VBに集合させる第1凝集力を発生させ、そして、気泡Bが付着した第1粒子P1及び第2粒子P2を含む球状の混合粒子群を維持する。第1条件は、水3に溶存する空気を気泡として出現させ得る強度と周波数であり、且つ、気泡Bに対して音響放射力の一つである第1ビヤネスク力を作用させ得る強度と周波数である。例えば、超音波振動装置8から放射される超音波は、振幅電圧が300mVであり、周波数が19.0kHzである制御信号に起因する。
水3に超音波が照射されると、水槽2内に音波が伝搬し、水槽2内に定在波Wが形成される。そして、音圧の変化に伴い、水3に溶存していた空気が気泡Bとして出現する。この気泡Bは、いわゆるキャビテーション現象に類似する作用に起因して生じるものである。気泡Bは、蒸気性キャビテーション気泡が発生する音圧変動ではないが、水3に溶存していた空気により発生するキャビテーションに起因するものであり、ガス性キャビテーションの一種である。キャビテーションとは、圧力変動に伴う液相から気相への相変化現象をいう。キャビティ(Cavity)とは、空洞が基となっており、液中に空洞(気泡)ができることをいう。ポンプのインペラ等で発生するものもあるが、本実施形態では、超音波による音圧変動から発生するものをいう。
気泡Bは、第1粒子P1及び第2粒子P2に付着する。また、第1粒子P1及び第2粒子P2の表面に直接に初生する場合もあり得る。ここで、水槽2に満たされた液体が、脱気した精製水である場合には、気泡Bの核となるものが存在しないので、気泡Bは発生しない。水3に溶存する気体の種類には特に制限はなく、空気、二酸化炭素、その他のガスであればよい。
そして、図4の(a)部に示されるように、気泡Bが付着した第1粒子P1及び第2粒子P2は、音響放射力により音圧の腹(振幅変動が大きな位置)へと集まり始める。本実施形態の構成では、気泡Bに作用する音響放射力は、第1粒子P1及び第2粒子P2に直接に作用する音響放射力よりも大きい。従って、水槽2内における第1粒子P1及び第2粒子P2の移動は、気泡Bに作用する音響放射力が支配的である。第1粒子P1及び第2粒子P2に直接に作用する音響放射力が支配的であった場合には第1粒子P1及び第2粒子P2は音圧の節へと移動する。しかし、粒子に作用する音響放射力は、非常に弱く、第1粒子P1及び第2粒子P2を重力に抗して浮上させることができない。本実施形態では、気泡Bに作用する音響放射力が支配的であるので第1粒子P1及び第2粒子P2は音圧の腹へ移動する。
ここで、気泡Bに作用する音響放射力は、第1ビヤネスク力とも呼ばれる。第1ビヤネスク力は、定在波音圧変動による音響放射力であり、式(2)により示される。

PBF:第1ビヤネスク力の大きさ。
V:気泡の体積。
∇P:圧力勾配。
〈〉:照射する超音波の1周期分の時間平均。
この気泡Bの運動に誘起され、水槽2内に液相運動が誘起される。水槽2内の液相運動は、下部中心部では音圧の腹が円錐の頂点となる上昇流が発生する。腹から上部では、上昇流が発生する。一方、水面は、水平方向に流れ壁面付近で下降流ができ、循環流が形成される。
図4の(b)部に示されるように、音圧の腹VBの付近では、気泡Bが付着した第1粒子P1及び第2粒子P2が球状に集まる。この第1粒子P1及び第2粒子P2が球状に密集している状態を、混合粒子群GAと呼ぶ。この混合粒子群GAは、先に述べた音響放射力である第1ビヤネスク力に加え、別の力によって球状が維持される。この別の力は、第2ビヤクネス力と呼ばれる。第2ビヤクネス力は、同じ周波数且つ同じ位相で振動する気泡B同士が互いに引き合う力である。従って、ステップS3において、第1条件に基づく超音波に起因して発生する第1凝集力とは、第1ビヤネスク力と第2ビヤネスク力とに起因する力である。
次に、水3に対して第2条件に基づく超音波を照射する(ステップS4)。このステップS4(第2ステップ)では、第1凝集力よりも弱い第2凝集力を発生させて、混合粒子群GAの維持を停止させる。具体的には、制御装置7は、超音波振動装置8に入力する制御信号の振幅電圧を、300mVから80mV(第2条件)まで連続的に変化させる。この電圧の変化は、一例として約5秒間で行われる。
ここで、本実施形態に係る分離方法は、水槽2において、水槽上部には小径粒子が多く存在し、水槽下部には大径粒子が多く存在する分布状態を形成することが重要である。例えば、第1条件から第2条件まで電圧を階段状(ステップ状)に変化させた場合を想定する。この階段状の変化によれば、気泡運動が急激に弱くなり、液相運動も弱くなる。従って、第1粒子P1及び第2粒子P2は、まとった状態で沈降してしまう。一方、本実施形態のように、第1条件から第2条件まで徐々に電圧を下げた場合には、重力の影響が大きい大径粒子から沈殿していき、粒子存在分布を分離に適した状態にできる。
図4の(c)部に示されるように、超音波による音圧振幅が小さくなると、気泡Bの音圧変動による膨張収縮運動(界面運動)が小さくなると共に気泡径も小さくなる。これにより、第1ビヤネスク力及び第2ビヤネスク力に起因する浮力が小さくなる。界面運動と腹へ向かう並進運動とを含む気泡の運動が弱くなるので、水槽2内の循環流をなす水槽中心部の上昇流が弱くなる。従って、腹VBで凝集されていた混合粒子群GAは、重力に抗して、腹で定在できず徐々に崩壊し沈降を始める。
ここで第2ビヤネスク力とは、気泡B間に働く音響放射力をいう。2個の気泡が互いに同じ周期且つ同じ位相をもって界面運動する際には引力として作用する。一方、位相が180°ずれている場合には斥力として作用する。第2ビヤネスク力は、式(3)により示される。
図5の(a)部に示されるように、沈降の速度は、ストークス則によれば、第1粒子P1及び第2粒子P2の粒子径によって異なる。具体的には、粒子径の大きい粒子が、粒子径の小さい粒子よりも早く沈降する。すなわち、粒子径の大きい粒子は、沈降速度が大きい。従って、ステップS4が開始されて時間が経過するにつれて、水槽2の下方には大径粒子が多く存在し、その上方に小径粒子が存在する状態に移行する。例えば、この第2条件に基づく超音波を照射する期間は、約5秒間継続される。
すなわち、ステップS4では、約5秒の時間を設けて第1条件から第2条件へ移行し、第2条件の状態を約5秒間維持する。
ここで、ステップS4では、第2条件に基づく超音波の出力をゼロにしない。例えば、振幅電圧を0mVに設定した場合、第1粒子P1及び第2粒子P2に付着していた気泡Bは、水3に溶解し、第1粒子P1及び第2粒子P2のみが沈降する。又は、第1粒子P1及び第2粒子P2の付近に存在していた気泡Bは水3に溶解し、第1粒子P1及び第2粒子P2のみが沈降する。そして、振幅電圧を再度上昇させたとき、音圧の腹に粒子を運ぶ気泡Bが第1粒子P1及び第2粒子P2の付近に存在しないため、第1粒子P1及び第2粒子P2を瞬時に発生させることができなくなる。そこで、本実施形態では、第2条件を第1条件よりも小さく、且つゼロ以上としているので、第1粒子P1及び第2粒子P2の周囲に残存する気泡Bの気泡核も粒子とともに移動する。従って、電圧上昇時には、この気泡核が瞬時に成長することで粒子付近に気泡Bが発生し、速やかに音圧の腹へ粒子を牽引することが可能になる。その結果、より精密な分離が可能となる。
次に、水3に対して第3条件に基づく超音波を照射する(ステップS5)。このステップS5(第3ステップ)では、水3に空気を気泡Bとして再び発生させる。また、気泡Bが付着した第1粒子P1を含む第1粒子群G1を超音波の第1腹位置VB1において維持する。さらに、気泡Bが付着した第2粒子P2を含む第2粒子群G2を超音波の第2腹位置VB2において維持する。具体的には、制御装置7は、超音波振動装置8に入力する制御信号の振幅電圧を、80mVから140mV(第3条件)まで連続的に変化させる。
ここで、第3条件に基づく超音波は、第1凝集力よりも弱いが、第2凝集力よりも強い第3凝集力を生じさせる。第2条件から第3条件に変化させたとき、超音波振動装置8に入力される振幅電圧が増加する。従って、気泡運動が活発化し液相運動も大きくなる。しかし、第3凝集力が第1凝集力と同等であるような条件とした場合には、水槽2の下部で凝集した第1粒子群G1が、液相運動によって第1腹位置VB1から離脱する。そして、第1粒子P1は、水槽2の上部における第2腹位置VB2において第2粒子P2とともに再凝集し、再び混合粒子群GAを形成してしまう可能性がある。
図5の(b)部に示されるように、第3条件に起因する音圧振幅の増大に伴い、気泡Bの界面運動及び並進運動が活発になる。気泡Bの径が大きくなることで、第2ビヤネスク力、浮力及び上昇流が大きくなり、気泡Bが第1粒子P1及び第2粒子P2を牽引して音圧の腹で再凝集させる。ここで、ステップS5の直前状態では、大径粒子である第1粒子P1が水槽2の下部に多く存在し、小径粒子である第2粒子P2が水槽2の上部に多く存在する。ここで、第3条件に基づく超音波を照射すると、それぞれ粒子は最寄りの腹に集まってくる。具体的には、図5の(c)部に示されるように、第1粒子P1は、第1腹位置VB1に集まり、第1粒子P1が凝集した第1粒子群G1を形成する。また、第2粒子P2は、第2腹位置VB2に集まり、第2粒子P2が凝集した第2粒子群G2を形成する。
次に、第1粒子P1及び第2粒子P2を排出する(ステップS6)。図6の(a)部に示されるように、操作棒16を水3に入れると、操作棒16に気泡Bが付着する。この気泡Bは、例えば、操作棒16の表面に存在する傷が気泡核となって発生した気泡である。また、操作棒16の周囲に発生した気泡Bが操作棒16の表面に付着したものである。
そして、操作棒16に付着した気泡Bと第2粒子P2に付着した気泡Bとの間において、第2ビヤクネス力が作用する。従って、第2粒子群G2が操作棒16の移動に引き寄せられる。図6の(b)部に示されるように、操作棒16を排出部17の上部まで移動させた後に、制御信号の振幅電圧を小さくする。そうすると、第2粒子群G2が崩れて排出部17に沈降していく。
なお、第2粒子群G2を移動させ得る範囲は、気泡Bが発生し且つ凝集力が有効に作用する範囲である。従って、第2粒子群G2がこの範囲から外れると第2粒子群G2は当初凝集していた音圧の腹に再凝集する。そこで、排出部17が移動可能な範囲外に設けられている場合には、制御信号の電圧又は周波数を調整する。この調整により、水中に存在する定在波の節と腹との位置を変更して、移動可能な範囲を変更することができる。
本実施形態の粒子分離装置1及び粒子分離方法によれば、ステップS3において水3に対して第1条件に基づく超音波を照射する。この超音波の照射により、まず、水3の中に気泡Bが発生する。次に、この気泡Bに超音波が作用すると、気泡Bに第1凝集力が生じる。この第1凝集力によって、気泡Bが超音波の腹VBに集められる。ここで、気泡Bが超音波の腹VBに向かって移動するとき、気泡Bは第1粒子P1又は第2粒子P2に付着する。また、第1粒子P1又は第2粒子P2の表面に直接に気泡Bが発生することもある。気泡Bは第1凝集力によって超音波の腹VBに集まるので、気泡Bが付着した第1粒子P1又は第2粒子P2も気泡Bとともに超音波の腹VBに集まり、混合粒子群Aを形成する。次に、ステップS4において、第2条件に基づく超音波を液体に照射する。第2条件に基づく超音波による第2凝集力は第1凝集力より弱い。従って、第1粒子P1及び第2粒子P2は重力に抗して粒子群を維持できなくなり、それぞれの粒子の特性に応じて沈降を始める。このとき、水3に照射される超音波はゼロではないので、水3には僅かながら気泡Bが存在する。次に、第3ステップにおいて、第3条件に基づく超音波を液体に照射する。第3条件に基づく超音波による第3凝集力は第1凝集力より弱いが、第2凝集力より強い。沈降中の第1粒子P1及び第2粒子P2には再び群を形成するに足りる力が作用することになる。そして、沈降中の第1粒子P1及び第2粒子P2はそれぞれの特性に対応して沈降する速度が異なる。従って、第3凝集力が作用した場合には、それぞれの位置に近い超音波の腹の位置に再び群を維持する。従って、第1粒子P1は第1腹位置VB1に集められ、第2粒子P2は第2腹位置VB2に集められるので、第1粒子P1と第2粒子P2とが分離される。従って、粒子分離装置1及び粒子分離方法は、水3に生じさせた気泡Bに超音波が作用して生じる力を利用するものであるので、分離対象である第1粒子P1及び第2粒子P2の特性や液体特性の影響を受け難い。従って、粒子分離装置1及び粒子分離方法は、適用可能な対象の条件を緩和できる。
また、第1条件、第2条件及び第3条件は、超音波の強度であり、第3条件により規定される超音波の強度は、第1条件により規定される超音波の強度よりも小さく、且つ、第2条件により規定される超音波の強度よりも大きい。これらの条件は、容易に制御し且つ容易に設定することが可能である。従って、第1粒子と第2粒子とを容易に分離することができる。
また、ステップS3、ステップS4及びステップS5では、液体を収容する容器の底側から液体の液面に向けて超音波を照射する。これらのステップによれば、液体において鉛直方向に超音波の節と腹とが交互に形成される。従って、第1粒子群G1と第2粒子群G2とが鉛直方向に沿った異なる腹の位置に維持することができる。
また、本実施形態に係る粒子分離装置及び粒子分離方法では、メガヘルツ帯の超音波ではなく、数10キロヘルツ帯の超音波を用いる。メガヘルツ帯の超音波を利用した場合、上記式(1)によれば定在波の波長が短くなる。従って、分離対象となる粒子の直径が小さくなってしまう。一方、本実施形態に係る粒子分離装置及び粒子分離方法のように数10キロヘルツ帯の超音波を利用することにより、音圧の振幅を大きくすると共にキャビテーション気泡を活発に作用させることが可能になる。従って、本実施形態に係る粒子分離装置及び粒子分離方法は、同一種で径の異なる粒子を、粒子径により分級し、さらに前記分級された粒子群を操作することができる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る粒子分離装置及び粒子分離方法の一例を示すものである。本発明に係る粒子分離装置及び粒子分離方法は、実施形態に係る粒子分離装置及び粒子分離方法に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、変形し又は他のものに適用したものであってもよい。
<変形例1>
例えば、上記実施形態では、それぞれのステップS3,S4,S5において水3に照射される超音波の強度、換言すると超音波振動装置8に入力される制御信号の振幅電圧を第1条件、第2条件及び第3条件として規定した。これら第1条件、第2条件及び第3条件は、超音波の周波数の値を規定するための条件であってもよい。超音波の周波数の値を規定するための条件は、式(4)に示される制御信号の周波数と共振周波数との差分である。従って、第1条件、第2条件及び第3条件により規定される値とは、制御信号の周波数と共振周波数との差分の絶対値である。ここでいう共振周波数とは、振動子と水槽が有する共振周波数であり、水槽や水量等の質量などの変数により決定される。式(4)に示されるように、第3条件により規定される第3差分(|f3−fr|)は、第1条件により規定される第1差分(|f1−fr|)以下である。また第3差分(|f3−fr|)は、第2条件により規定される第2差分(|f2−fr|)よりも大きい。この場合には、まず、共振周波数(fr)、第1差分、第2差分及び第3差分が与えられる。第1差分、第2差分及び第3差分は式(4)の条件を満たすように設定される。そしてこれらの値から、実際に印加される制御信号の周波数(f1,f2,f3)が決定される。

f1:第1条件に規定される制御信号の周波数。
f2:第2条件に規定される制御信号の周波数。
f3:第3条件に規定される制御信号の周波数。
fr:共振周波数。
<変形例2>
また、超音波の周波数の値を規定するための条件は、式(5)のように示される超音波の周波数であってもよい。そして、第3条件により規定される超音波の周波数(f3)は、第1条件により規定される超音波の周波数(f1)以下であり、且つ、第2条件により規定される超音波の周波数(f2)よりも高い。この場合には、例えば、第1条件として制御信号の周波数を20.2kHzの共振周波数に設定する。
ステップS3からステップS4に移行したとき、超音波の周波数が共振周波数である第1周波数f1から共振周波数から外れた第2周波数f2に変化する。共振周波数付近の周波数帯では、周波数が変化すると、インピーダンスが周波数によって変化する。具体的には、インピーダンスが高くなる。従って、インピーダンスの増加によって水槽2に照射できる超音波の強度が減少するので、定在波の位置も周波数の変化に伴い変化する。具体的には、定在位置は、超音波の強度と周波数の変化による波長の変化(上記式(1))に基づいて変化する。従って、定在位置の変化は、式(1)の影響が大きい。
そうすると、混合粒子群GAが維持されているステップS4において照射されている第1周波数の超音波から、ステップS5において第2周波数の超音波に変更すると、第1粒子P1及び第2粒子P2を音圧の腹に定在させていた気泡Bへの力(第1ビヤネスク力)が弱くなり、混合粒子群GAの輪郭が不明瞭になり沈降が始まる。そして、小径粒子である第2粒子P2よりも大径粒子である第1粒子P1の方が沈降する力が大きいため、第1粒子P1から混合粒子群GAを離脱し、沈降が始まる。従って、ステップS5により、第1粒子P1(大径粒子)が水槽2の下部に集まり、第2粒子P2(小径粒子)が水槽2の上部に集まった状態が形成される。
<変形例3>
また、超音波の周波数の値を規定するための条件は、式(6)のように示される超音波の周波数であってもよい。そして、第3条件により規定される超音波の周波数(f3)は、第1条件により規定される超音波の周波数(f1)以上であり、且つ、第2条件により規定される超音波の周波数(f2)よりも低い。この場合には、例えば、第1条件として制御信号の周波数を20.2kHzの共振周波数に設定する。
<変形例4>
また、上記実施形態では、第2ビヤネスク力を利用した回収手段9を備えていた。本発明の粒子分離装置は、別の原理を利用した回収装置を備えていてもよい。例えば、回収装置は、両端が開放されている中空のガラス管であってもよい。このガラス管を粒子群に近づけて、ガラス管内に粒子を侵入させる。そして、ガラス管の他方の管端を閉じ、水槽から取り出す。また、もしくは、ガラス管の他方の管端にポンプの吸い込み側を取り付けてもよい。ガラス管を粒子群に近づけた状態で水と一緒に粒子を吸い込むことにより回収してもよい。
<変形例5>
また、上述した制御信号の周波数及び振幅電圧は一例であり、これらの数値に限定されない。液体の種類、溶存ガスの種類、分離対象である粒子の種類に応じて、これらの数値はそれぞれの種類に応じた値を選択できる。
<実施例1>
実施例1では、電圧を規定した条件に基づく粒子分離方法の作用効果を確認した。この実施例1では、第1粒子として直径が800μmであるポリスチレンを用いた。第1粒子の密度は1.05g/cmであり、沈降速度は10.36mm/sである。また、実施例1では、第2粒子として直径が400μmであるポリスチレンを用いた。また、第2粒子の密度は1.05g/cmであり、沈降速度は4.15mm/sである。第1条件として制御信号の電圧を300mVとした。第2条件として制御信号の電圧を80mVとした。第3条件として制御信号の電圧を140mVとした。制御信号の周波数は、第1条件、第2条件及び第3条件において共通とし、19.0kHzとした。
第1条件に基づくステップS3を実行すると、図7の(a)部に示されるように、水槽2の上部に混合粒子群GAが形成された。次に、図7の(a)部を撮像した直後からステップS4を実行した。そして、図7の(a)部を撮像した時刻から約5秒後、制御信号の電圧は140mVに変化した。このとき、図7の(b)部に示されるように、混合粒子群GAから第1粒子P1の脱落が始まった。次に、図7の(b)部を撮像した時刻から約5秒間は、ステップS4の状態を維持した。つまり、制御信号の電圧を140mVの一定値とした。このとき、第2粒子P2も脱落が進み、混合粒子群GAは消失した。そして、図7の(c)部に示されるように、水槽2の底側に第1粒子P1が多く存在し、その上側に第2粒子P2が多く存在する状態が現れた。次に、第3条件に基づくステップS5を実行した。そうすると、図7の(d)部に示されるように、水槽2の底側において第1粒子群G1の形成が開始され、水槽2の上側において第2粒子群G2の形成が開始された。そして、図7の(d)部が撮像された時刻から約2秒経過後、図7の(e)部に示されるように、第1粒子P1を含む第1粒子群G1と、第2粒子P2を含む第2粒子群G2と、の形成が完了し、分離が完了した。
従って、電圧を規定した条件に基づく分離方法によれば、第1粒子P1と第2粒子P2とを精度良く分離できることがわかった。
<実施例2>
実施例2では、操作棒16を用いた粒子群の移動を確認した。この実施例2では、第1粒子として直径が600μmであるポリスチレンを用いた。第1粒子の密度は1.05g/cmであり、沈降速度は7.43mm/sである。第1条件として制御信号の電圧を300mVとし、制御信号の周波数を20.0kHzとした。
図8の(a)部に示されるように、操作棒16の先端を水中に配置すると操作棒16に気泡が付着した。図8の(b)部及び(c)部に示されるように、操作棒16を粒子群Gに近づけると、第2ビヤネスク力によって、粒子群Gが操作棒16に引き寄せられた。そして、図8の(d)部及び(e)部に示されるように、操作棒16を水槽2の壁面に近づけていくと、第2ビヤネスク力が弱くなって重力が支配的となり、粒子群Gは操作棒16から離脱して水槽2の底へ下降した。そして、粒子群Gは再び超音波の腹の領域へ移動した。
従って、操作棒16を用いることにより第2ビヤネスク力が支配的である領域内において、粒子群の位置を操作できることがわかった。
<実施例3>
実施例3では、周波数を規定した条件に基づく粒子分離方法の作用効果を確認した。この実施例3では、第1粒子として直径が800μmであるポリスチレンを用いた。第1粒子の密度は1.05g/cmであり、沈降速度は10.36mm/sである。また、実施例1では、第2粒子として直径が400μmであるポリスチレンを用いた。また、第2粒子の密度は1.05g/cmであり、沈降速度は4.15mm/sである。第1条件として制御信号の周波数を20.2kHzとした。第2条件として制御信号の周波数を21.0kHzとした。第3条件として制御信号の周波数を20.3kHzとした。制御信号の振幅電圧は、第1条件、第2条件及び第3条件において共通とし、300mVとした。
第1条件に基づくステップS3を実行すると、図9の(a)部に示されるように、水槽2の上部に混合粒子群GAが形成された。次に、図9の(a)部を撮像した直後からステップS4を実行した。そして、図9の(a)部を撮像した時刻から5秒後に、制御信号の周波数は21.0kHzに変化した。このとき、図9の(b)部に示されるように、混合粒子群GAから第1粒子P1の脱落が始まった。次に、図9の(b)部を撮像した時刻から5秒間は、ステップS4の状態を維持した。つまり、制御信号の周波数を21.0kHzの一定値とした。このとき、第2粒子P2も脱落が進み、混合粒子群GAは消失した。そして、図9の(c)部に示されるように、水槽2の底側に第1粒子P1が多く存在し、その上側に第2粒子P2が多く存在する状態が現れた。次に、第3条件に基づくステップS5を実行した。そうすると、図9の(d)部に示されるように、水槽2の底側において第1粒子群G1の形成が開始され、水槽2の上側において第2粒子群G2の形成が開始された。そして、図9の(d)部が撮像された時刻から0.5秒経過後、図9の(e)部に示されるように、第1粒子P1を含む第1粒子群G1と、第2粒子P2を含む第2粒子群G2と、の形成が完了し、分離が完了した。なお、S5の周波数は20.2kHzである。
従って、周波数を規定した条件に基づく分離方法によれば、第1粒子P1と第2粒子P2とを精度良く分離できることがわかった。
1…粒子分離装置、2…水槽、3…水(液体)、P1…第1粒子、P2…第2粒子、7…制御装置(制御手段)、8…超音波振動装置(超音波照射手段)、9…回収手段(粒子群移動手段)、B…気泡、GA…混合粒子群、G1…第1粒子群、G2…第2粒子群、VB1…第1腹位置、VB2…第2腹位置。

Claims (7)

  1. 溶存ガスを含む液体に含まれた第1粒子と第2粒子とを分離する粒子分離方法であって、
    前記液体に対して第1条件に基づく超音波を照射することにより、前記液体中に前記溶存ガスを気泡として発生させると共に、前記気泡が付着した前記第1粒子及び前記第2粒子を前記超音波の腹に集合させる第1凝集力を発生させて、前記気泡が付着した前記第1粒子及び前記第2粒子を含む混合粒子群を維持する第1ステップと、
    前記第1ステップの後、前記液体に対して第2条件に基づく超音波を照射することにより、前記第1凝集力よりも弱い第2凝集力を発生させて、前記混合粒子群の維持を停止する第2ステップと、
    前記第2ステップの後、前記液体に対して第3条件に基づく超音波を照射することにより、前記液体中に前記溶存ガスを気泡として発生させると共に、前記第1凝集力よりも弱く、且つ、前記第2凝集力よりも強い第3凝集力を発生させて、前記気泡が付着した前記第1粒子を含む第1粒子群を前記超音波の第1腹位置において維持し、前記気泡が付着した前記第2粒子を含む第2粒子群を前記超音波の第2腹位置において維持する第3ステップと、を含む、粒子分離方法。
  2. 前記第1条件、前記第2条件及び前記第3条件は、前記超音波の強度を規定し、
    前記第3条件により規定される前記超音波の強度は、前記第1条件により規定される前記超音波の強度よりも小さく、且つ、前記第2条件により規定される前記超音波の強度よりも大きい、請求項1に記載の粒子分離方法。
  3. 前記第1条件、前記第2条件及び前記第3条件は、前記超音波の周波数の値を規定するための条件であり、
    前記第3条件により規定される値は、前記第1条件により規定される値以下であり、且つ、前記第2条件により規定される値よりも大きい、請求項1に記載の粒子分離方法。
  4. 前記第1条件、前記第2条件及び前記第3条件は、前記超音波の周波数の値を規定するための条件であり、
    前記第3条件により規定される値は、前記第1条件により規定される値以上であり、且つ、前記第2条件により規定される値よりも小さい、請求項1に記載の粒子分離方法。
  5. 前記第1ステップ、前記第2ステップ及び前記第3ステップでは、前記液体を収容する容器の底側から前記液体の液面に向けて前記超音波を照射する、請求項1〜4の何れか一項に記載の粒子分離方法。
  6. 溶存ガスを含む液体に含まれた第1粒子と第2粒子とを分離する粒子分離装置であって、
    前記液体を収容する容器と、
    前記容器に収容された前記液体に対して超音波を照射する超音波照射手段と、
    前記超音波照射手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記液体に対して第1条件に基づく超音波を照射することにより、前記液体中に前記溶存ガスを気泡として発生させると共に、前記気泡が付着した前記第1粒子及び前記第2粒子を前記超音波の腹に集合させる第1凝集力を発生させて、前記気泡が付着した前記第1粒子及び前記第2粒子を含む混合粒子群を維持し、
    前記液体に対して第2条件に基づく超音波を照射することにより、前記第1凝集力よりも弱い第2凝集力を発生させて、前記混合粒子群の維持を停止し、
    前記液体に対して第3条件に基づく超音波を照射することにより、前記液体中に前記溶存ガスを気泡として発生させると共に、前記第1凝集力よりも弱く、且つ、前記第2凝集力よりも強い第3凝集力を発生させて、前記気泡が付着した前記第1粒子を含む第1粒子群を前記超音波の第1腹位置において維持し、前記気泡が付着した前記第2粒子を含む第2粒子群を前記超音波の第2腹位置において維持する制御を行う、粒子分離装置。
  7. 前記混合粒子群、前記第1粒子群及び前記第2粒子群を移動させる粒子群移動手段をさらに備える、請求項6に記載の粒子分離装置。
JP2015243292A 2015-12-14 2015-12-14 粒子分離方法及び粒子分離装置 Active JP6703250B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015243292A JP6703250B2 (ja) 2015-12-14 2015-12-14 粒子分離方法及び粒子分離装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015243292A JP6703250B2 (ja) 2015-12-14 2015-12-14 粒子分離方法及び粒子分離装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017109145A JP2017109145A (ja) 2017-06-22
JP6703250B2 true JP6703250B2 (ja) 2020-06-03

Family

ID=59081452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015243292A Active JP6703250B2 (ja) 2015-12-14 2015-12-14 粒子分離方法及び粒子分離装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6703250B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1985001892A1 (en) * 1983-10-31 1985-05-09 Unilever Nv Manipulation of particles
JP3488732B2 (ja) * 1992-12-02 2004-01-19 株式会社日立製作所 超音波処理装置
JP4284618B2 (ja) * 2004-11-10 2009-06-24 本多電子株式会社 超音波処理装置の音場測定方法、超音波処理装置の音場測定装置、及び超音波処理システム
JP4833656B2 (ja) * 2005-12-15 2011-12-07 日本テトラパック株式会社 包装材料回収方法及び包装材料回収装置
JP2007229557A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Keio Gijuku 浮遊微粒子の連続的分離方法及び装置
JP2008036585A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Tohoku Univ 液体中懸濁物の分離装置及び分離方法
EP2809429A4 (en) * 2012-02-03 2015-10-28 Microsonic Systems Inc APPARATUS FOR AUTOMATION OF LIQUID SAMPLE PROCESSING USING ULTRASOUND WAVE

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017109145A (ja) 2017-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6235051B2 (ja) 水を生成するための用途の水油分離のための超音波および音響泳動技術
US10724029B2 (en) Acoustophoretic separation technology using multi-dimensional standing waves
US10350514B2 (en) Separation of multi-component fluid through ultrasonic acoustophoresis
US9738867B2 (en) Bioreactor using acoustic standing waves
US9752114B2 (en) Bioreactor using acoustic standing waves
US9340435B2 (en) Separation of multi-component fluid through ultrasonic acoustophoresis
US9725690B2 (en) Fluid dynamic sonic separator
US9783775B2 (en) Bioreactor using acoustic standing waves
RU2608419C2 (ru) Технологическая платформа акустофоретического многокомпонентного разделения
US20130277316A1 (en) Acoustophoretic separation of lipid particles from red blood cells
JP2017515669A (ja) 圧電要素変換器アレイを伴う音響泳動デバイス
KR20150063523A (ko) 다-차원 정상파를 사용한 음향영동 분리 기술
WO2014014941A1 (en) Improved separation of multi-component fluid through ultrasonic acoustophoresis
JP2008514397A (ja) 粒子を分離する方法とデバイス
Hatanaka et al. Effect of process parameters on ultrasonic separation of dispersed particles in liquid
CN111587140A (zh) 用于声驻波方法中的颗粒
CN101048225A (zh) 用作超声成像中的造影剂的颗粒的分散体的制备
JP6703250B2 (ja) 粒子分離方法及び粒子分離装置
Liu et al. Study on the structure and behaviour of cavitation bubbles generated in a high-intensity focused ultrasound (HIFU) field
JP2022531934A (ja) 音響エッジ効果
CN105944192A (zh) 一种捕获并去除输液管中气泡的装置
EP0427555A1 (en) Bubble removal
JPH0341220B2 (ja)
Koyama et al. Observation of destruction of hard shell microcapsules in an acoustic field
ROY et al. Radiation Pressure, Radiation Force, and Particle Banding

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20160112

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200414

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6703250

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250