(実施形態1)
以下では、本実施形態の照明制御システム10を、図1および図2に基づいて説明する。図中においては、同じ部材に対し、同じ符号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、本実施形態を構成する各要素は、複数の要素を一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、一の部材の機能を複数の部材で分担して実現してもよい。
本実施形態の照明制御システム10は、図1および図2に示すように、主光源1と、補助光源2と、照明制御部3と、センサ部4と、を備えている。主光源1は、被照射面10aaに光を照射させる。図1では、主光源1から照射される光を、「L1」の文字を付した一点鎖線の矢印で例示している。補助光源2は、被照射面10aaに主光源1と異なる角度から光を照射させる。図1では、補助光源2から照射される光を、「L2」の文字を付した破線の矢印で例示している。センサ部4は、検知領域4aaにおける障害物21の存在を検知して検知信号を出力する。図1では、センサ部4の検知領域4aaを2点鎖線の矢印で例示している。照明制御部3は、影低減モードを有している。照明制御部3は、影低減モードにおいて、検知信号に基づき補助光源2の点灯を制御させて、主光源1から照射される光L1が障害物21で妨げられて生ずる影23を低減させる。図3には、障害物21で妨げられて生ずる影23を例示している。
本実施形態の照明制御システム10は、照明制御部3が影低減モードを有しているので、主光源1から照射される光L1が障害物21で妨げられて生ずる影23を低減させることが可能となる。
以下では、照明制御システム10のより具体的な構成について説明する。
本実施形態の照明制御システム10は、図1に示すように、操作部7と、照明装置11と、を有している。照明装置11は、主光源1と補助光源2と照明制御部3とセンサ部4とに加え、器具本体5と、電源回路部8と、を備えている。すなわち、本実施形態の照明制御システム10では、主光源1と補助光源2とは、1つの照明器具に備えられている。照明装置11は、信号線で操作部7と電気的に接続されている。
照明装置11は、建築物の天井材30cに直付けされるシーリングライトを構成している。シーリングライトは、円盤状の外形形状をしている。照明装置11は、被照射面10aaと対向する器具本体5の一表面側に主光源1が配置されている。主光源1は、天井面30ca側から鉛直方向に向かって光L1を照射する。照明装置11は、器具本体5の一表面と反対の他表面側に補助光源2が配置されている。補助光源2は、天井面30caや壁面30ba側に光L2を照射する。補助光源2からの光L2は、天井面30caや壁面30baで反射されて被照射面10aaに向かう。照明装置11は、器具本体5の中央部にセンサ部4が設けられている。照明装置11は、天井材30c側から鉛直方向に向かう検知領域4aaにおいて、センサ部4が障害物21の存在の有無を検知できるように配置されている。検知領域4aaは、センサ部4の検知性能や障害物21の存在の有無を検知させたい領域に応じて、適宜に設定することができる。図1では、障害物21として、電子機器25や人27を例示している。電子機器25は、たとえば、デジタルカメラやカメラ機能付きの携帯電話などの撮像装置26が挙げられる。操作部7は、壁材30bに取り付けられている。操作部7は、押しボタンの押操作がされることで、照明装置11へ操作信号を送信できるように構成されている。
主光源1は、図2に示すように、第1光源1aと、第1光源1aを点灯させる点灯回路1bと、点灯回路1bを制御する点灯制御回路1cと、を備えている。
第1光源1aは、LEDユニットで構成されている。LEDユニットは、複数の発光ダイオードを有している。LEDユニットは、たとえば、複数の発光ダイオードを電気的に直列接続、並列接続や直並列接続させて構成することができる。第1光源1aは、たとえば、昼光色や電球色の光が照射できるように構成されている。
点灯回路1bは、電源回路部8を介して、外部の商用交流電源と電気的に接続される。点灯回路1bは、第1光源1aに所定の電力を給電する。点灯回路1bは、たとえば、降圧チョッパ回路を備えたスイッチング電源回路で構成させることができる。点灯回路1bは、LEDユニットに適した直流電圧に降圧できるように構成されている。
点灯制御回路1cは、点灯回路1bと電気的に接続されている。点灯制御回路1cは、PWM(pulse width modulation)の制御信号を出力して、点灯回路1bの駆動を制御することができるように構成されている。点灯制御回路1cは、制御信号により点灯回路1bを構成するスイッチング素子のオン・デューティを制御することで、第1光源1aに流れる電流を制御することができる。点灯制御回路1cは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などを用いたマイクロコンピュータにより構成できる。点灯制御回路1cは、適宜のプログラムに基づいて、駆動できるように構成されている。点灯制御回路1cは、点灯回路1bの駆動を制御することで、第1光源1aの点灯、消灯や調光を行うことができる。
補助光源2は、第2光源2aと、第2光源2aを点灯させる点灯回路部2bと、点灯回路部2bを制御する点灯制御部2cと、を備えている。
第2光源2aは、たとえば、LEDモジュールを構成することができる。LEDモジュールは、発光ダイオードを実装基板に実装した構成することができる。LEDモジュールは、複数個の発光ダイオードを電気的に直列接続、並列接続や直並列接続させた構成とすることができる。LEDモジュールでは、発光ダイオードとして、白色光を発光する白色発光ダイオードと、赤色光を発光する赤色発光ダイオードと、緑色光を発光する緑色発光ダイオードと、青色光を発光する青色発光ダイオードと、を用いることができる。補助光源2は、異なる発光色の発光ダイオードごとに出力が調整できるように、第2光源2aと点灯回路部2bとが電気的に接続されている。
点灯回路部2bは、電源回路部8を介して、外部の商用交流電源から電力が供給される。点灯回路部2bは、第2光源2aにおける異なる発光色の発光ダイオードごとに、所定の電力を給電できるように構成されている。点灯回路部2bは、第2光源2aにおける異なる発光色の発光ダイオードそれぞれに対応して、複数の降圧チョッパ回路を備えたスイッチング電源回路で構成させることができる。
点灯制御部2cは、点灯回路部2bと電気的に接続されている。点灯制御部2cは、PWMの制御信号を出力して、点灯回路部2bにおける複数の降圧チョッパ回路に設けたスイッチング素子の駆動を各別に制御できるように構成されている。点灯制御部2cは、たとえば、適宜のプログラムに基づいて駆動するマイクロコンピュータを用いて構成することができる。点灯制御部2cは、点灯回路部2bの駆動を制御することで、第2光源2aの点灯、消灯、調光や調色を行うことができる。
照明制御部3は、制御回路部3aと、記憶部3bと、を備えている。制御回路部3aは、主光源1と補助光源2それぞれに電気的に接続されている。制御回路部3aは、記憶部3bに記憶された複数のモードから選択された1つのモードに基づいて主光源1と補助光源2とをそれぞれ制御できるように構成されている。記憶部3bには、記憶させているモードとして、たとえば、普段モードと、夜間モードと、影低減モードと、を備えている。普段モードは、たとえば、主光源1の光出力のみで照明装置11を点灯させるモードとしている。夜間モードは、たとえば、主光源1を60%の光出力に調光し、補助光源2を70%の光出力で点灯させるモードとしている。制御回路部3aは、検知信号が入力されるように、センサ部4と電気的に接続されている。照明制御部3は、操作部7からの操作信号により、たとえば、普段モードなど他のモードから影低減モードへ切り替えることができるように、操作部7と制御回路部3aとが電気的に接続されている。
照明制御部3は、影低減モードに切り替えられた場合、検知信号に基づいて、補助光源2の点灯を制御できるように構成されている。照明制御部3は、補助光源2から照射される光L2の光出力や色調を、記憶部3bに予め記憶された光出力や色調で点灯させるように、点灯制御部2cへ照明信号を出力する。照明制御部3は、検知信号に基づいて、補助光源2の点灯に加え、主光源1の点灯を制御してもよい。照明制御部3は、影低減モードにおいて、主光源1から照射される光L1を、記憶部3bに予め記憶された光出力で点灯させるように、点灯制御回路1cへ照明制御信号を出力する。
制御回路部3aは、適宜のプログラムに基づいて駆動するマイクロコンピュータを用いて構成することができる。記憶部3bは、影低減モードにおいて、補助光源2から照射させる光L2の光出力や色調に関する特性情報を予め記憶させている。記憶部3bは、影低減モードにおいて、主光源1から照射させる光L1の光出力に関する特性情報を予め記憶させていてもよい。記憶部3bは、たとえば、不揮発性の半導体メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを用いて構成することができる。
センサ部4は、画像センサを利用して構成させることができる。画像センサは、撮像素子4aと、画像処理部4bと、を備えている。撮像素子4aは、たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの固体撮像素子を利用することができる。撮像素子4aは、画像データを取得できるように構成されている。センサ部4は、所定の時間間隔で、自動的に撮像素子4aから画像データを取得するように構成されている。
画像処理部4bは、撮像素子4aが撮像して生成した画像データを、演算処理できるように構成されている。画像処理部4bは、FPGA(field-programmable gate array)と、DSP(Digital Signal Processor)と、を用いて構成することができる。画像処理部4bは、撮像素子4aが撮像して生成した画像データや天井材30c側から見た人27や撮像装置26など障害物21の輪郭形状データを記憶するメモリを備えている。メモリは、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous DRAM)を用いて構成することができる。
画像処理部4bは、撮像素子4aが撮像して生成した画像データを一時的にメモリに記憶させる。画像処理部4bは、画像データに対し、画像差分処理を行う。画像差分処理では、たとえば、予め撮像素子4aで撮像された背景画像と、撮像素子4aで撮像された現在画像と、が比較される。画像処理部4bは、現在画像と背景画像とを比較して、画素ごとの差分を取った差分画像の抽出処理が行われる。差分画素の抽出処理では、障害物21が存在する場合、現在画像には、背景画像との間で変化が生じる。
画像処理部4bは、差分画素の抽出処理を行った後、抽出された差分画素の集団の輪郭の形状に対し、メモリに記憶された障害物21の輪郭の形状データとどれくらい一致するかを判断する画像識別の処理を行う。画像処理部4bでは、たとえば、差分画素に対する認識処理として、SobelフィルタやPrewitフィルタなどを用いて輪郭の形状を抽出することができる。画像処理部4bは、画像識別の処理により、障害物21の存在を検知すれば、障害物21の存在を示す検知信号を照明制御部3に出力する。
すなわち、本実施形態の照明制御システム10では、センサ部4は、画像センサである。
照明制御システム10は、センサ部4が画像センサで構成されていることにより、障害物21の存在の有無の判別精度を高くすることが可能となる。
センサ部4は、画像センサを用いる構成だけに限られず、距離センサを用いて構成してもよい。距離センサは、発光素子と、受光素子とを備えた構成とすることができる。距離センサでは、受光素子にPSD(Position Sensitive Detector)を用いて、距離変化に伴う受光素子の結像位置の変化を距離に換算する三角測距方式を利用することができる。距離センサは、発光素子からの光が照射されてから受光素子が受光するまでの時間を測定し、時間差を距離に換算するタイム・オブ・フライト式を用いてもよい。センサ部4は、距離センサの測定値が予め設定された距離よりも近ければ、障害物21の存在を示す検知信号を照明制御部3に出力するように構成されていればよい。センサ部4は、距離センサで構成されていることにより、画像センサと比較して、簡単な構成とすることができる。
操作部7は、照明装置11の点灯、消灯や調光を制御できるように構成されている。操作部7は、たとえば、複数の押しボタンと、複数のフェーダを備えた構成とすることができる。操作部7は、押しボタンの押操作に対応した操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する操作信号を照明制御部3に出力する。フェーダは、スライド操作可能な操作摘み部を有する入力デバイスを構成している。操作部7は、操作摘み部の位置に応じた操作入力をフェーダから受け取り、受け取った操作入力に対応する操作信号を出力する。フェーダにおける操作入力は、たとえば、主光源1や補助光源2の調光レベルに対応するように構成されている。操作部7は、照明装置11を制御できればよく、有線だけでなく、無線で制御する構成でもよい。操作部7は、照明装置11と赤外線で通信するリモートコントローラであってもよい。
電源回路部8は、たとえば、商用交流電源を所定の電力に降圧して出力することができるように構成されている。電源回路部8は、交流電力を整流する整流回路と、整流回路からの出力を平滑する平滑コンデンサと、所望の電圧に変換するチョッパ回路などを含む力率改善回路などを含んだ構成とすることができる。
電源回路部8は、主光源1の点灯回路1bと補助光源2の点灯回路部2bとに電力を供給できるように構成される場合だけでない。電源回路部8は、点灯制御回路1cや点灯制御部2cを駆動させる駆動用の電力を生成するだけでなく、照明制御部3とセンサ部4とに電力を供給することができるように構成されている。すなわち、電源回路部8は、照明装置11の駆動用の電力を供給できるように構成されている。
以下では、照明制御システム10の基本的動作について説明する。
照明制御システム10では、たとえば、人27が撮像装置26を使用する場合、図3に示すように、撮像装置26や人27などが主光源1から照射される光L1の障害物21となって、意図せず被写体22に撮影者の影23が重なるおそれがある。
また、撮像装置26は、撮影環境が暗い場合、フラッシュが使用される場合もある。しかしながら、フラッシュ撮影では、撮影者がフラッシュ撮像時の被写体22の見栄えを確認できないことがある。
さらに、撮像装置26によっては、フラッシュ撮影時に照射されるフラッシュの光成分が自然光の光成分からずれている場合、被写体22である料理などを美しく撮影することが難しい場合もある。
レストランなどの店舗では、顧客が店舗の料理を撮影してブログにアップロードすると、顧客の撮像装置26の性能如何によって、店舗の料理の見栄えが大きく左右されるおそれがある。
本実施形態の照明制御システム10では、たとえば、操作部7からの操作信号により照明制御部3が影低減モードになっていると、照明制御部3が検知領域4aaにおける障害物21の有無を検出するように、センサ部4を制御する。センサ部4は、撮像素子4aが所定の時間間隔で撮像して生成した画像データの画像識別の処理により、障害物21の存在を検知すれば、検知信号を制御回路部3aに出力する。
制御回路部3aは、影低減モードにおいて検知信号が入力されると、照明信号を補助光源2の点灯制御部2cへ送信する。照明信号には、たとえば、影低減モードにおいて検知信号が入力されると、補助光源2から照射される光L2を記憶部3bに記憶された色調と光出力で照射させる信号が含まれている。点灯制御部2cは、照明信号に基づいて、第2光源2aから所定の色調の光L2を、所定の光出力で照射させるように点灯回路部2bを制御する。制御回路部3aは、たとえば、センサ部4からの検知信号により、検知した障害物21の大きさが所定の大きさよりも大きければ、補助光源2から照射させる光L2をより強くさせるように制御してもよい。
照明制御システム10は、センサ部4の検知結果に基づいて、照明制御部3が主光源1の点灯を維持したまま、補助光源2を点灯させる。照明制御システム10では、主光源1から被照射面10aaへ鉛直方向に光L1を照射させるのに対し、被写体22の側面から補助光源2の光L2を照射する。照明制御システム10では、センサ部4の検知結果に基づいて、照明制御部3が補助光源2の点灯に加え、主光源1の点灯を制御するように構成されていてもよい。
本実施形態の照明制御システム10では、照明制御部3は、主光源1から被照射面10aaへの光L1に対し、補助光源2から被照射面10aaへ照射される光L2の光強度を強くすることが好ましい。
照明制御システム10では、主光源1から被照射面10aaへの光L2に対し、補助光源2から被照射面10aaへ照射される光L2の光強度を強くすることで、被照射面10aa側に障害物21の影23が生ずることを、より低減させることができる。
制御回路部3aは、影低減モードにおいて検知信号が入力されると、予め設定された照明指令を主光源1の点灯制御回路1cに送信する。照明指令は、たとえば、影低減モードにおいて検知信号が入力されると、主光源1から照射される光L1の光出力を所定の光出力に低減する指令が含まれている。点灯制御回路1cは、照明指令に基づいて、第1光源1aからの光出力を低減させるように、点灯回路1bを制御する。
すなわち、本実施形態の照明制御システム10では、照明制御部3は、さらに、主光源1の点灯を制御でき、影低減モードの場合、主光源1からの光L1を低減させる制御を行うことが好ましい。
照明制御システム10では、主光源1から照射される光L1の光出力を所定の光出力に低減させ、補助光源2から照射される光L2を相対的に強くさせることで、主光源1からの光L1が障害物21で遮られて生ずる影23を、より低減させることが可能となる。照明制御システム10は、センサ部4の検知信号に基づいて障害物21の存在を検知した場合、たとえば、主光源1を100%の光出力から80%の光出力へ減光させ、かつ補助光源2を未点灯状態から90%の光出力に点灯させることができる。
さらに、照明制御システム10は、単に、被写体22に重なる影23を低減させるだけに限られず、補助光源2から照射される光L2の光出力を制御することで、被写体22を色鮮やかに撮像することできるように光L2を調整することもできる。
すなわち、照明制御システム10では、たとえば、補助光源2は、色域面積比Gaが100以上の光L2を照射させるように構成されていることが好ましい。
照明制御システム10は、補助光源2からの光L2が色域面積比Gaで100以上の場合、撮像装置26のフラッシュ光成分の如何に係わらず、被写体22を色鮮やかに撮像することが可能となる。補助光源2は、色域面積比Gaが100以上となるように、蛍光体を備えた白色発光ダイオードにおける蛍光体の種類、や異なる発光色における発光ダイオードの発光波長を適宜に選択して構成すればよい。
照明制御システム10は、第2光源2aにおける発光色の異なる発光ダイオードごとの光出力を、記憶部3bに記憶された光出力比で調整し、色域面積比Gaが100以上の光を被照射面10aaに照射させるように構成している。
色域面積比Gaは、JIS Z 8726-19990で規定されており、演色評価数を補足する評価値として、演色の主観的な好ましさを推定できることが知られている。JIS Z 8726-19990では、色域面積比Gaの求め方が記載されている。色域面積比Gaは、値が小さいほど試験色1−8の色ずれが平均的に見て彩度を減じる方向にあり、色がよりくすんで見える傾向にある。色域面積比Gaが100より大きい場合は、平均的に彩度が増加する方向にあり、色がより鮮やかに見える傾向にある。一般の物体色は、彩度が増して見えるほどきれいに感じられ、好まれる傾向にある。
本実施形態の照明制御システム10では、主光源1は、被照射面10aaとして、食卓を含むように配置されていることが好ましい。
一般に食卓に配置される食物は、有彩色の色相のバリェーションが豊富であり、光で反射される見栄えの差が顕著に表れる傾向にある。照明制御システム10は、主光源1が被照射面10aaとして食卓を含むように配置され、主光源1とは異なる角度から補助光源2の光L2が照射されることで、補助光源2を利用して、食物を見栄えをよくすることが可能となる。
本実施形態の照明制御システム10は、図1に示す主光源1と補助光源2とが1つの照明器具に備えられた構成だけに限られない。本実施形態の照明制御システム10の変形例では、図4に示すように、主光源1と補助光源2とを別体に備えた構成としてもよい。照明制御システム10では、1つの主光源1に対し、複数の補助光源2を備えた構成としている。
図4に示す照明制御システム10では、居室に直付けされた基礎的な照明であるベースライトを用いて主光源1を構成している。補助光源2は、壁面30baに取り付けられたブラケットを用いて構成している。補助光源2を構成するブラケットは、主光源1を構成するベースライトの照明制御部3と、有線や無線により点灯が制御されるように構成されている。図4では、センサ部4が主光源1に備えられた構成としているが、補助光源2にセンサ部4を備えた構成としてもよい。
図5に示す照明制御システム10の変形例では、居室に直付けされた基礎的な照明であるベースライトを用いて主光源1を構成している。補助光源2は、デスクライトなどを用いて構成している。補助光源2を構成するデスクライトは、主光源1を構成するベースライトの照明制御部3と、有線や無線により点灯が制御されるように構成されている。
図4または図5に示す本実施形態の変形例でも、図1と同様に、障害物21で妨げられて生ずる影23を低減することができる。
(実施形態2)
本実施形態の照明制御システム10は、実施形態1と無線通信部6を備えた点が主として相違する。実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を用いて適宜説明を省略する。
本実施形態の照明制御システム10では、図6および図7に示すように、障害物21は、無線通信器26cを備えた電子機器25である。照明制御部3は、電子機器25と通信する無線通信部6と接続されている。照明制御部3は、電子機器25からの無線信号に基づいて、影低減モードで制御する。
本実施形態の照明制御システム10は、照明制御部3が電子機器25と通信する無線通信部6と接続されていることで、電子機器25からの無線信号に基づいて、影低減モードにさせることが可能となる。
以下では、本実施形態の照明制御システム10について説明する。
照明制御システム10は、主光源1と補助光源2とセンサ部4とに加え、照明コントローラ12を備えている。照明コントローラ12は、照明制御部3と、無線通信部6と、操作部7と、を備えている。照明制御部3は、制御回路部3aと、記憶部3bとに加え、タイマ部3cを備えている。タイマ部3cは、時刻を計時する。タイマ部3cは、マイクロコンピュータを利用して構成することができる。制御回路部3aは、無線通信部6と接続されている。無線通信部6は、照明コントローラ12と電子機器25との間で無線信号の送受信を行うことができるように構成されている。無線通信部6は、信号発信部6aと、信号受信部6bと、を備えている。
照明制御システム10では、照明コントローラ12と電子機器25とが相互に無線通信可能に構成されている。照明コントローラ12は、撮像装置26からの無線信号でセンサ部4を起動させるように構成されている。
本実施形態の照明制御システム10では、電子機器25として、撮像装置26が用いられている。電子機器25は、たとえば、デジタルカメラやカメラ機能付きの携帯電話などの撮像装置26が挙げられる。電子機器25は、撮像装置26だけに限られず、携帯ゲーム機、ラップトップパソコンなどであってもよい。撮像装置26は、撮像部26aと、撮像部26aを制御する制御部26bと、照明コントローラ12と通信する無線通信器26cと、制御部26bに操作指令を入力する操作入力部26dと、を備えている。無線通信器26cは、無線通信部6の信号受信部6bへ無線信号を送信する信号発信器26caと、無線通信部6の信号発信部6aからの無線信号を受信する信号受信器26cbと、を備えている。
本実施形態の照明制御システム10は、図7に示すように、天井材30cからコードなどで吊り下げられる複数のペンダント照明を構成している。補助光源2は、パネル状の光源を用いて構成している。パネル状の光源は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて構成してもよいし、発光ダイオードを利用して構成してもよい。図7では、複数の主光源1と複数の補助光源2と照明制御部3を備えた照明コントローラ12と複数のセンサ部4とがそれぞれ空間的に別体に配置されている。図7では、照明コントローラ12と電子機器25との無線信号を破線の矢印で例示している。
本実施形態の照明制御システム10は、複数の補助光源2が、複数の主光源1と別体に設けられることで、被写体22により生ずる影23の影響をより少なくさせることが可能となる。
次に、本実施形態の照明制御システム10における動作を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
照明制御システム10では、撮像装置26の操作入力部26dが操作され、照明制御部3に影低減モードを起動させる指令を無線通信器26cから無線通信部6へ送信する。以下では、撮像装置26であるカメラ機能付きの携帯電話として、スマートフォンの例を説明する。
スマートフォンには、カメラ機能の立ち上げに連動して、スマートフォンのオペレーティングシステム上で動かすことが可能なアプリケーションが予めインストールされている。スマートフォンは、たとえば、アプリケーションの駆動中にカメラ機能が立ち上げられると、無線LANなどの規格に準拠した無線通信を利用して、照明制御部3に影低減モードを起動させる起動信号を送信する。
最初に、照明制御システム10は、照明コントローラ12の操作部7が操作されて、制御をスタートするように構成されている。照明制御システム10は、ステップ1において、操作部7からの操作信号により、照明制御部3が主光源1を点灯させる。ステップ1では、主光源1が点灯しているものの、補助光源2が消灯した状態となっている。図8では、ステップを「S」として示している。
照明制御システム10では、操作部7が操作されることで、影低減モードが起動できるように設定される。照明制御部3は、影低減モードが設定されると、センサ部4を起動させる。照明制御システム10では、ステップ2において、センサ部4が障害物21として電子機器25の存在の有無を検知する。センサ部4は、電子機器25の存在を検知すると、検知信号を照明制御部3に出力する。照明制御部3は、センサ部4が電子機器25を検知しない場合、主光源1の点灯を維持し、補助光源2が消灯した状態となる。
照明制御システム10では、照明制御部3がセンサ部4からの検知信号を検知した場合、照明制御部3は、ステップ3において、無線通信部6を介して、電子機器25から信号を受信したか否かの有無を判別する。照明制御部3は、電子機器25から影低減モードの起動の信号を受信していない場合、主光源1の点灯を維持し、補助光源2が消灯した状態となっている。
本実施形態の照明制御システム10では、スマートフォンのアプリケーションの駆動中にカメラ機能が立ち上げられることで、無線通信器26cから影低減モードを起動させる無線信号を無線通信部6へ送信する。スマートフォンでは、影低減モードの起動ボタンの押操作やカメラ機能のシャッタ操作に基づいて、無線信号を照明コントローラ12側へ送信するように構成されていてもよい。照明制御システム10では、電子機器25側からの無線信号でデジタルカメラやスマートフォンの種別に応じて、調光、調色を行うように制御してもよい。
照明制御システム10では、影低減モードが起動している旨の情報が含まれた無線信号を、信号発信部6aからスマートフォン側へ送信して影低減モードの起動が完了する。照明制御システム10では、調光条件に応じた露光制御データをスマートフォン側に無線信号で送信してもよい。
照明制御部3は、スマートフォンからの無線信号を受信した場合、ステップ4において、被写体22への主光源1から照射された光L1によって生ずる影23を低減させるように補助光源2を点灯させる。点灯制御部2cは、点灯回路部2bを制御して、補助光源2から所定の色調で所定の光出力の光L2を照射させる。照明制御システム10では、主光源1の点灯を維持し、補助光源2も点灯した状態となる。照明制御システム10では、主光源1を、減光や消灯するように制御してもよい。照明制御システム10は、点灯制御部2cが照明制御部3からの照明信号に基づいて、点灯回路部2bを制御する。
照明制御システム10では、ステップ5において、制御回路部3aがスマートフォンからの影低減モードを起動させる無線信号を受け取ってから、タイマ部3cで計時した所定の規定時間が経過したか否かを判別する。
スマートフォンは、撮影が終了すれば、照明コントローラ12へ撮影終了の信号を送信する。
制御回路部3aは、規定時間が経過している場合、スマートフォンでの撮影が終わったとみなし、影低減モードの起動前の元の条件として、補助光源2を消灯させ主光源1の点灯を維持する。言い換えれば、照明制御システム10は、規定時間の経過後、主光源1および補助光源2を元の条件に戻す。
制御回路部3aは、規定時間が経過していない場合、ステップ6において、スマートフォンからの撮像完了信号の受信の有無を確認する。制御回路部3aは、タイマ部3cが計時中に、撮像完了信号が未受信の場合、タイマ部3cのカウントをリセットする。照明制御システム10は、タイマ部3cがリセット後に新たにカウントダウンを完了するまでの規定時間の間、補助光源2の点灯を維持させることができる。
照明制御システム10は、ステップ6で撮影終了の信号をスマートフォン側から照明コントローラ12が受信すると、照明制御を元の状態に戻す。
本実施形態の照明制御システム10では、照明コントローラ12と電子機器25との相互通信により、多彩な光制御を行うことが可能となる。
本実施形態の照明制御システム10は、図7に示す構成だけに限られず、図9に示す変形例のように、補助光源2として、床面に置かれたスタンドライトを備えた構成としてもよい。図9に示す照明制御システム10においては、照明装置11と電子機器25とで相互に無線通信できるように構成されている。本実施形態の照明制御システム10は、電子機器25との通信機能を備えた以外、実施形態1のいずれの構成で形成されてもよい。