JP6695856B2 - 心筋梗塞と関連した病態の治療のためのテロメラーゼ逆転写酵素に基づいた治療 - Google Patents

心筋梗塞と関連した病態の治療のためのテロメラーゼ逆転写酵素に基づいた治療 Download PDF

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Description

本発明は、分子生物学、バイオテクノロジー、および医学の分野に含まれる。より具体的には、心筋梗塞と関連した病態の治療および予防に有用な組成物および方法に関する。
テロメアは、DNA修復および分解活性から染色体末端を保護する役割を担う、染色体末端の特殊構造である(10、11)。哺乳類のテロメアは、シェルタリンとして知られる多タンパク質複合体によって結合されるTTAGGG反復配列からなる(11)。TTAGGG反復配列の最小長、およびシェルタリン複合体の完全性が、テロメア保護のために必要である(10、11)。テロメラーゼは、鋳型(Terc、テロメラーゼRNA構成要素)として関連RNA構成要素を使用することにより、染色体端部へのTTAGGG反復配列のデノボ追加によってテロメア消耗を補い得る細胞逆転写酵素(TERT、テロメラーゼ逆転写酵素;TP2、TRT、EST2、TCSl、hEST2としても知られる)である(12)。テロメラーゼは、ほとんどの成体幹細胞コンパートメント中に発現するが、これは、テロメアの短縮化がほとんどのヒトおよびマウス組織において、年齢とともに起こるという事実からも明らかなように、テロメア長を維持するのに十分ではない(15、61、14)。
TERC遺伝子(テロメラーゼRNA構成要素)のホモ接合体欠失を持つマウスは、あらゆる検出可能なテロメラーゼ活性を有さず、ヒト細胞において報告された割合と類似した割合で、1つの世代から他の世代へ進行性テロメアの短縮化を示した(65)。後世代のTERC−/−マウスに特有の重度の表現型(例えば、骨髄無形成および早期老化の徴候)は、TERC遺伝子のコピーを再導入することにより救済することができた(86)。TERT(触媒のテロメラーゼサブユニット)が欠損した条件付マウスモデルにおいて後世代で生じた多組織変性は、老化マウスにおいてさえ、テロメラーゼ再活性で逆戻りさせることができた(40)。
野生型マウスにおいて、広範囲の上皮組織で発現されるテロメラーゼ遺伝子の付加的なコピーの導入は、皮膚の創傷治癒能力の上昇をもたらした(66)。この対立遺伝子が抗腫瘍遺伝的背景(Sp53/Sp16/SArf)に導入されたとき、テロメラーゼ導入遺伝子を発現しないマウスと比較して40%の平均寿命が増加しこれと呼応して加齢の顕著な遅延が観察された(24)。
ウイルス(AAV)に基づいたテロメラーゼ遺伝子治療は、野生型マウスにおける正常な生理学的加齢において、健康寿命を伸ばすのに有益であることが見出された。この利益を調査する研究において、成体および老化マウスが、マウステロメラーゼ(mTERT)の触媒サブユニットを広く発現するためのAAV9−mTERT遺伝子治療に供された。いくつかの生理学的パラメータ(グルコースおよびインスリン耐性、骨粗鬆症、神経筋共調性、ロータロッド等)によって示されるように、TERTで治療したマウスの健康寿命は、大幅に増加し、加齢は減速された。さらに、これらの平均寿命は、対照群と比較して、成体および加齢マウスにおいて、それぞれ24%および13%増加した。成体マウスにおけるAAV9−TERTの単回の静脈内投与は、末梢血球におけるテロメア長の増加をもたらした(26)。
循環器疾患(CVD)の場合、短テロメアが、マウスおよびヒトの両方における心機能不全と関連付けられている(63、19、20、21、64)。具体的には、テロメラーゼ欠損に起因して決定的に短いテロメアを有するマウスは、細胞分裂の障害、高められた心筋細胞死、および細胞肥大を特徴とする心筋症を発症し、これらは心室拡張、壁の菲薄化、および心機能不全を伴う(19)。興味深いことに、心臓の全再生能力の喪失と類似して、テロメラーゼ必須遺伝子であるTercおよびTertの発現は、出生後1週間以内に失われる(22、23)。
心不全は、数ある中でも、世界的に死亡および発病の最も一般的な原因であり、その有病率は、増加し続けている。新しい治療にも関わらず、心臓リモデリングおよびそれに続く心不全は、心筋梗塞の後の重大な問題であり(1)、新しい治療方針の開発の緊急性を強調する。
本発明は、心筋梗塞と関連した病態の治療および予防に有用な組成物および方法を提供する。
本発明の一態様は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において心筋梗塞と関連した病態を治療する方法を提供する。心筋梗塞と関連した病態は、心筋梗塞、心筋梗塞に起因する組織の損傷、心筋梗塞に起因する心筋の線維化、および心筋梗塞に起因する心機能の低下からなる群から選択される。
本発明の別の態様は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において心筋組織再生を促進させる方法を提供する。
本発明の別の態様は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、心筋の線維化の低減を必要する患者において心筋の線維化の低減の方法を提供する。
本発明の別の態様は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において心機能の改善の方法を提供する。
本発明の別の態様は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において心筋梗塞を予防する方法を提供する。
本発明の別の態様は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において心筋細胞増殖を促進する方法を提供する。
これらの態様のある特定の実施形態において、治療される患者は、以前に心筋梗塞を患っている。
一実施形態において、TERTは、配列番号1または配列番号3の配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸配列によってコードされる。一実施形態において、TERTは、配列番号1または配列番号3の配列を含む核酸配列によってコードされる。一実施形態において、TERTは、配列番号1または配列番号3の配列からなる核酸配列によってコードされる。一実施形態において、TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態において、TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなる。一実施形態において、TERTをコードする核酸配列は、コード配列の発現を促進する調節配列に作動可能に連結される。一実施形態において、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(adeno−associated virus)系非組み込みベクター等の非組み込みベクターである。一実施形態において、ベクターは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)由来のアデノ随伴ウイルス系ベクターである。一実施形態において、アデノ随伴ウイルス系ベクターのカプシドは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)のカプシドタンパク質からできており、カプシド内に含まれる核酸配列は、血清型2アデノ随伴ウイルスに対応する内部末端反復配列と両端で隣接する。一実施形態において、カプシド内に含まれる核酸は、TERTをコードするアミノ酸配列をコードする断片を含む。一実施形態において、ベクターは、恒常的プロモータである調節配列を含む。一実施形態において、調節配列は、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)(CMV)プロモータである。
一実施形態において、ベクターは、心臓組織に直接投与される。
なおさらなる実施形態において、本発明は、以下の組の主題を対象とする。
1.それを必要とする患者における心筋梗塞と関連した病態を治療する方法であって、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、方法。
2.心筋梗塞と関連した病態は、心筋梗塞、心筋梗塞に起因する組織の損傷、心筋梗塞に起因する心筋の線維化、および心筋梗塞に起因する心機能の低下からなる群から選択される、1に記載される方法。
3.それを必要とする患者において心筋組織再生を促進する方法であって、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、方法。
4.それを必要とする患者において心筋の線維化を低減する方法であって、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、方法。
5.それを必要とする患者において心機能を改善する方法であって、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、方法。
6.それを必要とする患者において心筋梗塞を予防する方法であって、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、方法。
7.それを必要とする患者において心筋細胞増殖を促進する方法であって、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、方法。
8.患者は、以前に、心筋梗塞事象を患っている、1〜7のいずれかに記載の方法。
9.ベクターは、心筋梗塞事象後、12時間以内に投与される、8に記載の方法。
10.ベクターは、心筋梗塞事象後、24時間以内に投与される、8に記載の方法。
11.TERTは、配列番号1または配列番号3の配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸配列によってコードされる、1〜10のいずれかに記載の方法。
12.TERTは、配列番号1または配列番号3の配列を含む核酸配列によってコードされる、1〜11のいずれかに記載の方法。
13.TERTは、配列番号1または配列番号3の配列からなる核酸配列によってコードされる、1〜12のいずれかに記載の方法。
14.TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、1〜13のいずれかに記載の方法。
15.TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む、1〜14のいずれかに記載の方法。
16.TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなる、1〜15のいずれかに記載の方法。
17.TERTをコードする核酸配列は、コード配列の発現を促進する調節配列に作動可能に連結される、1〜16のいずれかに記載の方法。
18.ベクターは、非組み込みベクターである、1〜17のいずれかに記載の方法。
19.ベクターは、アデノ随伴ウイルス系非組み込みベクターである、1〜18のいずれかに記載の方法。
20.ベクターは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)由来のアデノ随伴ウイルス系ベクターである、1〜19のいずれかに記載の方法。
21.アデノ随伴ウイルス系ベクターのカプシドは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)のカプシドタンパク質からできており、カプシド内に含まれる核酸配列は、血清型2アデノ随伴ウイルスに対応する内部末端反復配列と両端で隣接する、20に記載の方法。
22.カプシド内に含まれる核酸は、TERTをコードするアミノ酸配列をコードする断片を含む、21に記載の方法。
23.ベクターは、恒常的プロモータである調節配列を含む、1〜22のいずれかに記載の方法。
24.調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータである、23に記載の方法。
25.ベクターは、心臓組織に直接投与される、1〜24のいずれかに記載の方法。
26.心筋梗塞と関連した病態の治療において使用するためのテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む、核酸ベクター。
27.心筋梗塞と関連した病態は、心筋梗塞、心筋梗塞に起因する組織の損傷、心筋梗塞に起因する心筋の線維化、および心筋梗塞に起因する心機能の低下からなる群から選択される、26に記載の核酸ベクター。
28.それを必要とする患者における心筋組織再生の促進において使用するための、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクター。
29.それを必要とする患者における心筋の線維化の低減において使用するための、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクター。
30.それを必要とする患者における心機能の改善において使用するための、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクター。
31.それを必要とする患者における心筋梗塞の予防において使用するための、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクター。
32.それを必要とする患者における心筋細胞増殖の促進において使用するための、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクター。
33.患者は、以前に、心筋梗塞事象を患っている、26〜32のいずれかに記載の核酸ベクター。
34.ベクターは、心筋梗塞事象後、12時間以内に投与される、33に記載の方法。
35.ベクターは、心筋梗塞事象後、24時間以内に投与される、33に記載の方法。
36.TERTは、配列番号1または配列番号3の配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸配列によってコードされる、26〜35に記載の核酸ベクター。
37.TERTは、配列番号1または配列番号3の配列を含む核酸配列によってコードされる、26〜36のいずれかに記載の核酸ベクター。
38.TERTは、配列番号1または配列番号3の配列からなる核酸配列によってコードされる、26〜37のいずれかに記載の核酸ベクター。
39.TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、26〜38のいずれかに記載の核酸ベクター。
40.TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む、26〜39のいずれかに記載の核酸ベクター。
41.TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなる、26〜40のいずれかに記載の核酸ベクター。
42.TERTをコードする核酸配列は、コード配列の発現を促進する調節配列に作動可能に連結される、26〜41のいずれかに記載の核酸ベクター。
43.ベクターは、非組み込みベクターである、26〜42のいずれかに記載の核酸ベクター。
44.ベクターは、アデノ随伴ウイルス系非組み込みベクターである、26〜43のいずれかに記載の核酸ベクター。
45.ベクターは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)由来のアデノ随伴ウイルス系ベクターである、26〜44のいずれかに記載の核酸ベクター。
46.アデノ随伴ウイルス系ベクターのカプシドは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)のカプシドタンパク質からできており、カプシド内に含まれる核酸配列は、血清型2アデノ随伴ウイルスに対応する内部末端反復配列と両端で隣接する、45に記載の核酸ベクター。
47.カプシド内に含まれる核酸は、TERTをコードするアミノ酸配列をコードする断片を含む、46に記載の核酸ベクター。
48.ベクターは、恒常的プロモータである調節配列を含む、26〜47のいずれかに記載の核酸ベクター。
49.調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータである、48に記載の核酸ベクター。
50.ベクターは、心臓組織に直接投与される、26〜49のいずれかに記載の核酸ベクター。
分析した心臓組織試料の1個の2倍体ゲノム当たりのウイルスゲノム(AAV9−TertおよびAAV9−eGFP)の比率。偏差を丸括弧内に示す。 テロメラーゼ発現は、Ml後、致死の心不全を低減し、心機能パラメータをレスキューする。A)Tert治療およびMI後に、17%の改善された生存を示す、MI後のカプランマイヤー生存曲線。統計分析を、対数順位検定を使用して計算した。疑似手術の動物は、死亡しなかった。B〜F)AAV9−Tert、AAV9−空、またはウイルスなし(すべてMI)を注入したマウス、もしくは疑似マウス(ウイルスなし、MIなし)における1週および3週での心臓超音波検査は、TERT群において機能的改善を示す。指示された数のマウスにおけるB)LV収縮末期容積、C)LV拡張末期容積、D)駆出率、E)長手方向壁厚、F)横断壁厚を、決定した(EおよびFのみMIの一週間後に決定した)。 FDG−PETスキャンは、AAV9−Tertで治療したマウスにおいて梗塞重症度の減少を示し、MI後のより小さい線維性瘢痕の大きさおよびより少ない間質性線維症と一致する。A)PETスキャンの間または直後に死亡したAAV9−空またはAAV9−Tertマウスのパーセント。B)AAV9−TertおよびAAV9−空群における梗塞重症度を、生体内FDG−PETスキャンで評価した。信号を喪失したより多い数の心臓が、AAV9−空群で見出された。C)完全に機能的な心臓(左)およびMI後の心不全(右)の代表的なPETスキャン画像。D)指示された群のLV心内膜周長に対する平均瘢痕長さ。E)陳旧性梗塞心筋で測定された総面積に対する間質性線維化面積。動物の数および統計分析(スチューデントt検定)が描写される。 テロメラーゼ発現は、心不全と関連した血清パラメータをレスキューする。腎機能および心臓機能の尺度としての血清尿素濃度を、指示された群で決定した。
本発明は、心筋梗塞と関連した病態の治療および予防に有用な組成物および方法を提供する。
「心筋梗塞と関連した病態」には、心筋梗塞事象、(心筋細胞の喪失を含む)心筋梗塞に起因する組織の損傷、心筋梗塞に起因する心筋の線維化、心筋梗塞に起因する心機能の低下が含まれる。
実施例に開示されるように、本発明のテロメラーゼ遺伝子治療を用いた成体マウスの心臓の治療は、心臓再生能力の支援、線維症の低減、および生存時間の大幅な上昇によってMl後に、有益な効果がある。テロメラーゼ遺伝子治療を用いた治療は、心臓におけるテロメラーゼ活性を増加させ、これが心機能および形態学的パラメータを改善し、MI後に心不全死亡率を大幅に減少させる。治療は、新陳代謝における変化および胎児性遺伝子の発現を含む、心不全と関連した遺伝子発現の変化をレスキューする。
したがって、本発明は、患者のテロメア長を増加させる活性物質を患者に投与することを含む、心筋梗塞と関連した病態を患う患者を治療する方法を提供する。一実施形態において、活性物質は、染色体末端の分解を防ぐ。一実施形態において、活性物質は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)の活性を上昇させる。一実施形態において、治療の方法は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターを患者に投与することを含む、遺伝子治療法である。
ある特定の実施形態において、遺伝子治療ベクターで使用されるTERT配列は、対象と同じ種の由来である。例えば、ヒトにおける遺伝子治療は、ヒトTERT配列を使用して行なわれる。マウスにおける遺伝子治療は、実施例に記載されるように、マウスTERT配列を使用して行なわれる。一実施形態において、TERTは、配列番号1または配列番号3(ヒトTERT変異体1および2)に記載される核酸配列によってコードされるか、または配列番号1あるいは配列番号3の配列の活性断片または機能的同等物である。配列番号1によってコードされるポリペプチド配列は、配列番号2に記載される。配列番号3によってコードされるポリペプチドは、配列番号4に記載される。本明細書で使用される場合、「機能的同等物」は、TERT活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、またはTERT活性を有するポリペプチドを指す。機能的同等物は、配列番号1または配列番号3によってコードされるTERTと比較して、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%以上の活性を示し得る。機能的同等物は、人工または天然型でもよい。例えば、ある群におけるTERT配列の天然型変異体は、機能的同等物の範囲内に含まれる。他の種由来のTERT配列、具体的には配列番号5に示されるマウスTERT配列もまた、用語「機能的同等物」の範囲に含まれる。特定の実施形態において、機能的同等物は、配列番号1または配列番号3に対して、少なくとも75%、80%>、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する核酸である。さらなる実施形態において、機能的同等物は、配列番号2または配列番号4に対して、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドである。機能的同等物の場合、配列同一性は、核酸の全長に沿って計算されるべきである。機能的同等物は、配列番号1または配列番号3と比較したとき、1個以上、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30個以上のヌクレオチドの挿入、欠失、および/または置換を含み得る。用語「機能的同等物」は、配列番号2または配列番号4に記載される配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%の配列同一性を有するTERTポリペプチドをコードするが、遺伝子コードの縮重のために、配列番号1または配列番号3に示される核酸配列に対して相同性をほとんど示さない核酸配列も包含する。
本明細書で使用される場合、用語「活性断片」は、TERT活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、またはTERT活性を有するポリペプチドであって、配列番号1もしくは配列番号3に記載される核酸または配列番号2もしくは配列番号4に記載されるアミノ酸配列の断片を指す。活性断片は、TERT活性が保持されるのであれば、いずれのサイズでもよい。断片は、より短い断片と配列番号1〜4との間の長さに沿った整列で、配列番号1〜4に対して、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、100%の同一性を有する。
これらの断片を含む融合タンパク質が、本発明を実施するために必要な核酸ベクター中に含まれ得る。例えば、上記ポリペプチド配列または相同配列からの追加の5、10、20、30、40、50、またはさらには100個のアミノ酸残基が、ポリペプチド断片が正しく折り畳み、生物学的活性を呈する能力を害さずに、C末端および/もしくはN末端のいずれか、または両方に含められてもよい。
配列同一性は、例えば、BLAST(Altschul SF,Gish W,Miller W,Myers EW,Lipman DJ(1990).“Basic local alignment search tool”.J Mol Biol 215(3):403−410)およびFASTA(Lipman,DJ;Pearson,WR(1985).“Rapid and sensitive protein similarity searches”.Science 227(4693):1435−41、http://fasta.bioch.Virginia,edu/fasta_www2/fasta_list2.shtml)、ならびにこれらの配列プログラムの変形を含む、当分野の様々な方法のうちのいずれか1つによって計算されてもよい。
一実施形態において、治療の方法は、遺伝子治療法であり、かつ/または使用される核酸ベクターは、遺伝子治療ベクターである。遺伝子治療法およびベクターは、当分野で周知であり、概して、治療的活性タンパク質をコードする核酸を対象に送達することを含む。核酸は、プラスミドまたはミニサークル等の裸のDNAの送達、リポソームもしくはカチオンポリマー、または核酸を含む他の加工ナノ粒子、あるいは核酸をカプシドで包んだウイルスベクターの使用を含む、いくつかの手段で送達されてもよい。
さらなる実施形態において、遺伝子治療は、誘導性発現系を用いた、生物の安定した形質転換を使用して達成される。好適な誘導性発現系は、当分野で既知であり、マウスにおいて使用するのに好適なCRE−LOXリコンビナーゼに基づく系、およびヒト対象の治療で使用することができるテトラサイクリンで調節されるものを含む。
一実施形態において、遺伝子治療ベクターは、ウイルスベクターである。ウイルス遺伝子治療ベクターは、当分野で周知である。ベクターは、レトロウイルス(retrovirus)、アデノウイルス(adenovirus)(AdV)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス(lentivirus)、ポックスウイルス(pox virus)、アルファウイルス(alphavirus)、およびヘルペスウイルス(herpes virus)に基づくもの等の、組み込みおよび非組み込みベクターを含む。
AAV等の非組み込みウイルスベクターの使用は、特に有利なようである。これは、一態様において、非組み込みベクターが、あらゆる恒久的な遺伝子改変を引き起こさないためである。第二に、ベクターは、成体組織を標的にし、発達の初期段階から対象を恒常的テロメラーゼ発現の影響下に置くことを回避する。さらに、非組み込みベクターは、TERT発現細胞の過剰増殖を避けるための安全機構を効果的に組み込む。細胞が急速に増殖し始めると、細胞は、ベクター(及び、結果として、テロメラーゼ発現)を喪失する。
好適な非組み込みベクターの特定の例としては、アデノウイルス(AdV)に基づくもの、具体的には、ガットレスアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、インテグラーゼ欠損レンチウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、およびヘルペスウイルスが挙げられる。好ましくは、本発明で使用される非組み込みベクターは、天然アデノ随伴ウイルス粒子と類似した、アデノ随伴ウイルス系非組み込みベクターである。AAVは、高増殖性の組織よりも癌により耐性であると考えられる、有糸分裂後組織を優先的に標的にする。アデノ随伴ウイルス系非組み込みベクターの例には、任意のAAV血清型、すなわち、AAVl、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、および偽型AAVに基づいたベクターが含まれる。組織特異性は、カプシド血清型によって決定される。AAVベクターおよびカプシドのトロピズム範囲を変えるためのAAVベクターのシュードタイピングおよびカプシド工学は、治療におけるこれらの使用にとって重要である可能性がある。
アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のベクターは、高効率、低免疫原性、および優れた安全プロフィールで広い範囲の組織を形質導入する能力(67、68)、毒性が多くの前臨床モデルにおいて存在しないこと(69、70、71、72、73)を含むこれらの多くの望ましい特性のために、多くの遺伝子導入用途に最適なベクターのうちの1つになっている。AAVベクターは、有糸分裂後細胞を形質導入し、疾患の小動物および大動物モデルの両方において長期間の遺伝子発現を(最大数年)持続することができる(69、70、71、72、73)。AAV遺伝子導入の安全性および有効性は、ヒトにおいて広く研究され、肝臓、筋肉、CNS、および網膜において有望な結果がある(74、75、76、77、78)。
AAV2は、ヒトおよび実験モデルの両方における遺伝子導入研究の、最もよく特徴がわかっている血清型である。AAV2は、骨格筋、ニューロン、血管平滑筋細胞、および肝細胞に対して自然トロピズムを呈する。したがって、AAV2は、特に、これらの組織のうちの1つと関連した病態を治療するために本発明の方法またはベクターを使用するとき、これらの組織を標的にするためのベクターの良い選択である。例えば、神経筋変性の治療は、このように骨格筋および/またはニューロンを標的とすることができる。
AAV7、AAV8、およびAAV9等の新しく単離された血清型が、前臨床研究においてうまく適合している(28)。限定された免疫反応がAAVカプシドに対してAAV2またはAAVlを用いて治療したヒト対象において認められているが(74、79、80、81)、治療遺伝子の長期発現が、標的組織および投与経路によっては可能である(80、82)。さらに、AAV8およびAAV9等の非ヒト血清型の使用は、対象におけるこれらの免疫反応を克服するのに有用であり得、臨床試験が開始されたばかりである(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT00979238)。要するに、これらの有望なデータは、AAVベクターが、高い安全性および効率性のよいプロフィールでヒト疾患を治療するのに有用なツールであることを示唆する。
血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)由来のもの等の広いトロピズムのアデノ随伴ウイルスの選択は、短テロメア長と関連した病態を治療するとき、特に有利である。AAV9ウイルスは、肝臓、心臓、および骨格筋に対する高いトロピズムを有し、広い範囲の組織における効率的な形質導入を示するため(83)、遺伝子治療の有益な効果を、より多くの組織において達成することができる。さらに、AAV9ベクターは、血液脳関門を通過する特有の能力を有し、成体マウスおよびネコにおける静脈内注射で脳を標的とする(84、85)。
本発明の一態様は、アデノ随伴ウイルス系ベクターの(ウイルストロピズムを決定するウイルスの部分である)カプシドが、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)のカプシドタンパク質からできている系を提供する。本発明で使用するためのウイルスベクターの一実施形態において、カプシド内に詰め込められているポリヌクレオチド配列は、アデノ随伴ウイルスの内部末端反復配列(ITR)、好ましくは、当分野で広く特徴がわかっている血清型2の内部末端反復配列(ITR)と隣接して、ITR間に配置されているコード配列を表す。上述の通り、好ましくは、核酸は、機能性TERTポリペプチドをコードする。一実施形態において、TERTコード配列に作動可能に連結された調節配列は、サイトメガロウイルスプロモータ(CMV)であるが、他の好適な調節配列が、当業者に既知である。
短テロメア長と関連した病態を治療するとき、影響を受けた組織に治療を向けることは有利である。したがって、遺伝子治療ベクターのカプシドタンパク質のAAV血清型の選択は、遺伝子治療の所望の部位に基づいてもよい。標的組織が骨格筋である場合、例えば、神経筋共調性の喪失の治療において、AAV1およびAAV6系ウイルスベクターを使用することができる。これらの血清型の両方ともに、他のAAV血清型よりも筋肉で遺伝子導入がより効果的である。AAV3は、遺伝子導入造血細胞に有用である。遺伝子治療のためのAAV系ベクターの徹底的な再考察は、Shi et al,(2008)“AAV−based targeting gene therapy”Am.J.Immunol.4:51−65に見出すことができる。
あるいは、他のウイルスベクターを本発明で使用することができる。遺伝子治療における使用に適合する任意のベクターを、本発明で使用することができる。Heilbronn&Weger(2010)Handb Exp Pharmacol.197:143−70が、遺伝子治療において有用であるウイルスベクターの再考察を提供する。これまでのすべての考察によれば、遺伝子治療において使用するのに好適なテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含むベクターが、本発明を実現するために重要な点である。好適な遺伝子治療ベクターには、標的細胞においてテロメラーゼ逆転写酵素活性を行う機能性TERTタンパク質の発現を可能にする、プロモータ等の調節エレメントに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)タンパク質をコードするポリヌクレオチド断片を含む、任意の種類の粒子が含まれる。好ましくは、TERTは、配列番号1または配列番号3に記載される核酸配列によってコードされるか、またはTERTの活性断片または機能的同等物である。
用語、遺伝子治療ベクターは、その範囲内に、プラスミドまたはミニサークル、すなわち、細菌DNA配列を含まない環状DNA分子等の裸のDNA分子を含む。但し、TERTコード配列およびそれに連結された調節エレメントが、ポリヌクレオチド配列がカプシドの起源のウイルスの生来のゲノムのものと類似した様式でカプシド内に詰め込まれることを可能にするサイズで、プラスミド内、並びに少なくともカプシドおよび少なくともポリヌクレオチド配列を含む、ビリオン(ウイルス粒子)の構造を有する粒子等のより複雑な系に挿入される。ポリヌクレオチド配列は、ウイルス粒子が細胞に感染したら、テロメラーゼ逆転写酵素タンパク質がそのポリヌクレオチド配列から発現できるように、TERTコード配列およびそれに連結された調節エレメントが挿入されている領域を含まなければならない。
一実施形態において、本発明で使用されるのに好適な遺伝子治療ベクターは、アデノ随伴ウイルス系非組み込みベクター等の非組み込みベクターである。本発明の目的上、非組み込みベクターの選択は、いずれの恒久的な遺伝子改変も引き起こさないため、特に有利なようである。また、先に述べたように、そのようなベクターは、細胞が急速に増殖し始めた場合、ベクターを喪失する細胞を発現するTERTの過剰増殖を避けるための安全機構を組み込む。
血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)由来のアデノ随伴ウイルス系ベクターが、有益な効果をより多くの組織で達成することができるため、好ましい(上を参照されたい)。1つの特定の好ましい実施形態において、TERTコード配列に作動可能に連結された調節配列は、サイトメガロウイルスプロモータ(CMV)である。TERTをコードする核酸配列は、コード配列の発現を促進する調節配列に作動可能に連結される。本明細書で使用される場合、用語「調節エレメント」は、プロモータの役目をする核酸配列を意味し、すなわち、プロモータに作動可能に連結された核酸配列の発現を調節する。そのような「調節エレメント」または「プロモータ」は、恒常的、または誘導的のいずれかで、連結された核酸配列の発現を制御することができる。
調節配列は、恒常的プロモータでもよい。恒常的プロモータである調節配列の例は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータである。
本発明に従った遺伝子治療後のTERTの発現は、数カ月から数年の期間、持続する。マウスにおいて、TERT発現は、5ヶ月後に認めることができた。サルにおいては、AAV系ベクターを用いた遺伝子治療後の遺伝子発現は、治療後最大6年認められ、イヌにおいては最大8年認められた(Rivera et al Blood 2005、および 69)。したがって、本発明の方法およびベクターを使用する治療は、頻繁な繰り返しは必要ない。本発明の一実施形態において、対象は1回治療される。代替実施形態において、対象は最初に治療され、次いで、TERT発現レベルが治療の直後に達成したものの約50%に減少したら、再度治療される。治療は、年齢に関連した障害における減少を管理するために、必要に応じて、例えば、年に1度、または5年に1度、または10年に1度、同じベクターまたは代替のベクターを用いて繰り返されてもよい。第2のまたは後続の投与をするとき、異なる遺伝子治療ベクターを使用する必要がある場合があり、例えば、AAV系ベクターを使用するとき、第2のおよび後続の投与は、第1の投与のために使用されたものとは異なる血清型由来のカプシドを有するベクターでもよい。対象が第1の遺伝子治療ベクターに対して中和抗体を作り得、2回目、または後続の回に投与されたとき、効果がないものにする可能性がある(Amado et al(2010)Science Translational Medicine 2(21):21ral6)。
特定の実施形態において、遺伝子治療は、患者が筋梗塞を患った後に、その患者に投与される。心筋梗塞後にできるだけ早く、例えば、心筋梗塞事象後、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、または84時間以内に治療を行うことが好ましい。
心筋梗塞と関連した病態の治療において、AAV9ベクターを使用することが好ましい。このベクターは広いトロピズムを有する一方で、心臓組織を優先的に形質導入するため、非心臓組織の最小形質導入をもたらすベクターの低投与量の使用を可能にする。
一実施形態において、ベクターは、心臓組織に直接投与され、他の組織の交差反応の可能性をさらに低減する。心臓組織への直接投与はまた、直接投与が治療に有効であるベクターのより低い投与量を可能にするため、有利である。一実施形態において、ベクターは、心臓組織を形質導入するのに有効な投与量で心臓組織に直接投与され、肝臓、脳、または他の非心臓組織への最小形質導入をもたらす。
実施例に示されるように、本発明の遺伝子治療を用いた成体マウスの心臓の治療は、心機能および形態学的パラメータを改善し、心筋梗塞事象後の心不全死亡率を大幅に減少させる。MI後の遺伝子治療の特定の有益な効果は、心臓組織再生能力の促進、線維症の低減、および治療を受けたマウスの生存時間の大幅な上昇を含んだ。
重要なことには、治療は、新陳代謝における変化および胎児性遺伝子の発現を含む、心不全と関連した遺伝子発現の変化をレスキューした。さらに、持続的TGFβ−シグナル伝達およびマトリックスリモルディングが、EGF経路等の心保護的な経路の誘発であったように、治療された心臓に見出された。治療によって誘発された遺伝子発現の変化は、完全な再生能を有する新生仔マウスにおいて説明される再生遺伝子発現特性において強化される。
したがって、本発明の治療の方法は、心筋梗塞と関連した病態を治療し、かつ/または予防する効果がある。したがって、さらなる態様において、本発明は、限定されないが、心筋梗塞事象、(心筋細胞の喪失を含む)心筋梗塞に起因する組織の損傷、心筋梗塞に起因する心筋の線維化、心筋梗塞に起因する心機能の低下を含む、心筋梗塞と関連した病態の患者の治療または予防のための、遺伝子治療法または上述の核酸ベクターの使用に言及する。
一実施形態において、遺伝子治療法は、心筋梗塞の予防または遅延に基づいて、治療した患者の増加余命をもたらす。一実施形態において、遺伝子治療は、心臓組織の線維症を予防または低減する。一実施形態において、遺伝子治療は、心機能を向上させる。一実施形態において、遺伝子治療は、心臓組織再生を促進する。一実施形態において、遺伝子治療は、心筋細胞増殖を促進する。特定の実施形態において、遺伝子治療を投与された患者は、以前に心筋梗塞事象を患っている。
心筋梗塞と関連した病態の治療の有効性は、当分野で既知の様々な方法によって測定することができる。一実施形態において、治療の有効性は、同じ病態を患う、治療を受けていない患者の平均余命と比較して、心筋梗塞と関連した病態を患う、治療を受けた患者の余命の増加によって測定することができる。ある特定の実施形態において、余命は、同じ病態を患う患者の平均余命を基準にして、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%以上伸びる。
遺伝子治療は、以前に心筋の事象を既に患っている患者における心筋の事象の発生を防ぐか、または遅延させるのに有用である。この実施形態において、治療の有効性は、前の心筋梗塞後の後続の心筋梗塞の遅延した発症によって測定することができる。ある特定の実施形態において、治療を受けた患者の後続の心筋梗塞の発症の遅延は、治療を受けていない患者の後続の心筋梗塞の予測されるタイミングを基準にして、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%以上延ばされる。
一実施形態において、治療の有効性は、心筋梗塞に起因する心筋の線維化の減少によって測定される。ある特定の実施形態において、心筋梗塞に起因する心筋の線維化の減少は、治療前の心筋における線維症を基準にして、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%以上減少する。線維症は、当分野で既知の様々な技法を使用して測定することができる。一実施形態において、線維症は、マッソン3色染色法を使用した線維化面積(瘢痕)の判定等の、病理分析によって測定される。
一実施形態において、治療の有効性は、心筋梗塞後の心機能の上昇によって測定される。ある特定の実施形態において、心筋梗塞後の心機能は、治療前の心機能のレベルを基準にして、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%以上上昇する。心機能は、当分野で既知の様々な技法を使用して測定することができる。一実施形態において、心機能は、心臓超音波検査を使用して測定される。一実施形態において、心機能は、マイクロPET画像法を使用して測定される。別の実施形態において、心機能は、腎機能に基づいて測定され、患者における腎機能の低下は、その患者における心機能の低下を示す。別の実施形態において、心機能は、尿中の尿素レベルに基づいて測定され、患者の尿中の尿素レベルの減少は、その患者における心機能の低下を示す。
治療の有効性は、患者から採取した試料中のテロメア長を直接決定することによっても、測定することができる。テロメア長は、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(FISH)、定量的蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(Q−FISH)、または高スループット定量的蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(HT Q−FISH)等の標準ハイブリダイゼーション法を使用することによって測定することができる。(66)。テロメア長は、Canela et al.(56)に記載される通りにも測定することができる。
特定の実施形態において、試料は、治療の過程にわたって絶対テロメア長およびテロメアの伸延または短縮化の速度の両方を決定することができるように、治療の過程を通して、治療を受ける患者から採取される。試料は、治療の過程の間、毎日、またはより長い間隔で採取されてもよい。一実施形態において、試料は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間以上に1回、採取される。
テロメア長の比較は、患者から採取された試料中の短テロメアの比率を比較することによって測定することができる。一実施形態において、短テロメアの比率は、FISHまたはQ−FISH等のインサイツハイブリダイゼーション法によって測定した、試料の平均強度未満の強度を呈するテロメアの割合である。実施形態において、短テロメアの比率は、試料の平均強度より75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%以上低い強度を呈するテロメアの割合である。1つの特定の実施形態において、短テロメアの比率は、試料の平均強度の50%以上低い強度を呈するテロメアの割合である。
別の実施形態において、短テロメアの比率は、ある特定の長さ未満、例えば8kb、7kb、6kb、5kb以下のテロメアの割合である。一実施形態において、短テロメアの比率は、8kb以下のテロメアの割合である。別の実施形態において、短テロメアの比率は、7kb以下のテロメアの割合である。別の実施形態において、短テロメアの比率は、6kb以下のテロメアの割合である。別の実施形態において、短テロメアの比率は、5kb以下のテロメアの割合である。別の実施形態において、短テロメアの比率は、4kb以下のテロメアの割合である。別の実施形態において、短テロメアの比率は、3kb以下のテロメアの割合である。
一実施形態において、治療の有効性は、対照試料と比較して、心筋梗塞と関連した病態を患う、治療を受けた患者から採取した試料中の短テロメアの比率の減少によって測定される。一実施形態において、治療を受けた患者から採取された試料中の短テロメアの比率は、対照試料と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%以上減少する。一実施形態において、対照試料は、治療の前に同じ患者から採取されたか、または治療の初期段階で採取された試料である。別の実施形態において、対照試料は、同じ病態を患い、かつ治療が提供されていない患者から採取された試料である。
さらなる態様において、本発明は、上述の本発明に適合する遺伝子治療ベクターのうちのいずれか1つの有効量を含む薬学的組成物を投与することによって、対象に適用される。
「薬学的組成物」は、組成物を試験管内、生体内、または生体外での診断用途または治療用途に好適なものにする、不活性または活性の、担体を有する活性剤の組み合わせを含むことが意図される。
「組成物」は、活性物質と、不活性(例えば、検出可能な物質もしくは標識)または活性の別の化合物または組成物との組み合わせを意味することが意図される。「有効量」は、有益または所望の結果をもたらす十分な量である。有効量は、1回以上の投与、適用、または投与量で投与され得る。
本組成物は、(遺伝子治療ベクター等の)活性構成要素に加えて、構成要素を含み、例えば、本組成物は、典型的に1つ以上の薬学的担体(複数可)および/または賦形剤(複数可)を含む。そのような構成要素の徹底的な考察は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.20th edition,ISBN:0683306472で利用可能である。
組成物は、一般に、水性の形態で対象に投与される。しかしながら、投与前に、本組成物は、非水性の形態でもよい。例えば、一部のウイルスベクターは水性の形態で製造され、次いで、同様に水性の形態で充填され、分配され、投与されるが、他のウイルスベクターは、製造の間に凍結乾燥され、使用の時点で水性の形態へともどされる。したがって、本発明の組成物は、凍結乾燥製剤等に乾燥されてもよい。組成物は、チオマーサルまたは2−フェノキシエタノール等の保存剤を含んでもよい。しかしながら、本組成物は、実質的に水銀材料を含まない

例えば、チオマーサル不含であるべきであることが好ましい。
等張性を制御するために、ナトリウム塩等の生理食塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/ml、例えば、約10+2mg/mlのNaClで存在してもよい。存在してもよい他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸ナトリウム無水物、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が含まれる。
組成物は、一般に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、好ましくは290〜310mOsm/kgの範囲に含まれる。
組成物は、1つ以上の緩衝液を含んでもよい。典型的な緩衝液としては、リン酸塩緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、コハク酸塩緩衝液、(特に、水酸化アルミニウムアジュバントを有する)ヒスチジン緩衝液、またはクエン酸塩緩衝液が挙げられる。緩衝液は、典型的に、5〜20mMの範囲に含まれる。
本組成物は、単回投与のための材料を含んでもよいか、または多回投与のための材料を含んでもよい(すなわち、「多投与量」キット)。保存剤の含有は、多投与量構成において好ましい。多投与量組成物中の保存剤に代わるものとして、またはそれに加えて、本組成物は、材料の取り出しのために無菌のアダプタを有する容器の中に含められてもよい。
ヒトにおいて使用するための本発明の組成物は、典型的に約0.5mlの投与量で投与されるが、半投与量(すなわち、約0.25ml)が子供に投与されてもよい。
本明細書に記載される治療の方法のみならず、本発明は、治療で使用するためのTERTをコードする核酸配列も提供する。本発明は、治療の方法で使用するためのテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む核酸ベクターと、治療の方法で使用するためのテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)のコード配列を含む遺伝子治療ベクターと、も提供する。具体的には、治療は、心筋梗塞と関連した病態を治療または予防し得る。治療の方法に関して記載されるように、TERT核酸配列は、配列番号1もしくは配列番号3に列挙される配列、またはその断片もしくは機能的同等物でもよい。TERTタンパク質は、配列番号2もしくは配列番号4に列挙される配列、またはその断片もしくは機能的同等物を有してもよい。
用語、「患者」は、哺乳動物を指す。ある特定の実施形態において、患者は、げっ歯類、霊長類、有蹄動物、ネコ、イヌ、または他の家庭ペットもしくは飼いならされた哺乳動物である。ある特定の実施形態において、哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、イエネコ、もしくはイヌ、またはヒトである。好ましい実施形態において、患者は、ヒトである。
前述の発明が、理解の明確さの目的のために図および例の手段によっていくらか詳細に記載されているが、説明および例は、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。本明細書に引用されるすべての特許および科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
例1−心筋梗塞のマウスモデル
急性心不全後のヒト心臓に見出される状況と類似した、冠動脈結紮後の心筋梗塞(MI)の臨床マウスモデルを、開発した。心臓を優先的に形質導入する血清型9−MV9のアデノ随伴ウイルス(28、83、55)を、心臓に野生型TERT発現を特異的に送達するための遺伝子治療ベクターとして使用した。
マウス
FVB/N背景のオスのマウスは、MadridのCNIOの特定病原体未感染の障壁領域で生まれ、そこに収容された。すべての動物手順は、研究および動物福祉のためのCNIO−ISCIII倫理委員会(CNIO−ISCIII Ethics Committee for Research and Animal Welfare)(CEIyBA)によって承認され、欧州実験動物学会連合(FELASA)の提案に従って行った。
ウイルス形質導入効率のウイルス生成測定
ウイルスベクターをMatsushita(48)によって説明されるように生成し、先に説明されるように精製した(49)。ウイルスゲノム粒子の力価を、定量的リアルアイムPCRによって決定した。ウイルストロピズムを評価するために、マウスの対照群に、先に記載した方法に従って、CMVプロモータの制御下でeGFPまたはTertを有する異なる濃度のウイルスを注入した。4週目に、注入後マウスを犠牲にし、病理分析またはeGFPおよびTert発現評価のいずれかに供した。eGFP免疫染色の定量化を、ヘマトキシリン染色細胞(肝臓および脳)の総数にわたる、ペルオキシダーゼ染色細胞の数、または総断面積(心臓)に対するペルオキシダーゼ染色面積を計数することにより決定した。異なる組織におけるテロメラーゼ発現を、先に記載したプロトコル(50)に従って、ウエスタンブロット分析、定量的RT−PCR、およびTRAP(テロメラーゼ反復配列増幅プロトコル)アッセイによって分析した。ウイルスゲノムコピー数を注入から4週間後の心臓DNA試料から、特異性AAV9プライマーを用いて、先に記載されるように評価した(51)。
心筋梗塞
離乳後、1つのケージ当たり5匹のマウスを収容し、非精製食(n 2018、Harlan)を不断給餌した。MIを、イソフルラン麻酔下で、恒久的左冠動脈前下降枝(LAD)結紮によってオスのマウスに誘発した。鎮痛剤であるブペノフィン(bupenorphine)を、本手順の前に腹腔内注入を介して投与した。疑似手術を、対照群および注入済みマウスに行った。疑似手術は、LADの結紮を除いて、同じ手術手順からなる。安楽死の日を、マウス生存を推定するために使用した。MI後生存の評価のために、マウスを観察し、LAD結紮後、最大6週間検査した。
心臓超音波検査およびマイクロPET
経胸壁心エコーを、高解像度Vevo770を用いて、記載されるように、1〜2%のイソフルランで落ち着かせ、加熱パッドの上に置かれたマウスに行った(52)。マイクロPET画像法を、先に記載されるように行った(53)。
組織学
心臓を、リン酸塩で緩衝化した4%のホルムアルデヒド中に固定し、パラフィン中に包埋し、心臓スライサを使用して、底側、心室中部、および尖側領域から薄片(厚さ2mm)にした(Zivic instruments、HSMS001−1)。心臓スライド断面(5mm)をマッソン3色で染色した。梗塞サイズおよび線維化の長さを、瘢痕長さ対心室中部断面の総LV周長の平均比として計算した。間質性線維化面積を、ImageJソフトウェアを使用して、半定量的手段で、マッソン3色で染色した横断心臓面に行った。1つの心臓あたり3枚の非梗塞面積からの画像を分析した。
免疫組織化学および免疫蛍光検査を、脱パラフィンした組織に行い、次の指示された抗体:抗eGFP(Abcam、ab290)、抗ビメンチン(D21H3、Cell Signaling、5741)、抗重鎖心臓ミオシン(Abcam、ab15)、抗トロポニンT(Thermo Scientific、Ab−1)、抗KI67(Abcam、ab16667)、抗活性カスパーゼ3(Abcam、ab13847)で処理した。
定量的リアルタイムPCRおよびウエスタンブロット
組織からの総RNAを、QiagenのRNeasyミニキットを用いて、製造業者の使用説明書に従って抽出した。処理前に、RNA試料をDNase Iで処理した。定量的リアルタイムPCRを、ABI PRISM 7700(Applied Biosystems)を使用して、以下のプライマーを使用して行った。
Actin−FW:GGCACCACACCTTCTACAATG(配列番号7)
Actin−RV:GTGGTGGTGAAGCTGTAG(配列番号8)
TERT−FW:GGATTGCCACTGGCTCCG(配列番号9)
TERT−RV:TGCCTGACCTCCTCTTGTGAC(配列番号10)
ANP−FW:GTGGCTTGTGGGAAAATAGTTGA(配列番号11)
ANP−RV:CTGGCTTGATGATCTGCCTTTAC(配列番号12)
β−MHC−FW:CCAATGAGTACCGCGTGAA(配列番号13)
β−MHC−RV:ACAGTCATGCCGGGATGAT(配列番号14)
BMPRB1−FW:CCCTCGGCCCAAGATCCTA(配列番号15)
BMPRB1−RV:CCACAGGCATTCCAGAGTCATC(配列番号16)
FGFR3−FW:GGAGGACGTGGCTGAAGAC(配列番号17)
FGFR3−RV:GGAGCTTGATGCCCCCAAT(配列番号18)
IRF7−FW:GAGACTGGCTATTGGGGGAG(配列番号19)
IRF7−RV:GACCGAAATGCTTCCAGGG(配列番号20)
ITGB6−FW:CAACTATCGGCCAACTCATTGA(配列番号21)
ITGB6−RF:GCAGTTCTTCATAAGCGGAGAT(配列番号22)
統計分析(スチューデントのt検定)を、デルタ−デルタCt値で行った。ウエスタンブロットを、次の抗体:抗h/TERT1(Calbiochem)、抗GAPDH(Sigma)を用いて、指示された組織から全細胞抽出物を作製した。定量化を、Scion Image Softwareを使用して行った。
テロメア分析
パラフィン包埋組織切片に対してQ−FISH決定、および(末梢血中で)HT−qFISHを、先に記載されるように行った(54、55、56)。血液試料HT−QFISHに対して高スループットQ−FISH(HT−QFISH)TL分析を、記載されるように行った(56)。簡潔に、末梢血を、動物を安楽死する前に顔面静脈から抜き取り、赤血球を溶解し、白血球をプレーティングし、固定し、Tel−Q−FISHに供した。蛍光強度を、較正基準としてL5178−RおよびL5178−S細胞を使用して、Kbに変換し、これらは、それぞれ79.7kbおよび10.2kbの安定したTLを有する(62)。試料を、不偏の自動OPERA撮像システムでの較正基準の場合、2連または3連で分析した。
血清代謝産物分析
血液試料を、MIの6週間後にいずれの抗凝血剤もない管に採取した。試料を、20分間氷上で維持し、血清上清を冷凍し、冷凍/解凍劣化を最小化するために、分析するまで80℃で維持した(57)。マウス(描写されるマウスの群および数)における血清尿素濃度を、ABX Pentra400血清分析装置で決定した(Horiba Medical)。さらに、血清レベルの高スループット分析を、RodentMap v3.0(Myriad RBM)で測定した。
遺伝子発現分析
冷凍心臓試料からの全RNAをQiagen RNeasyキットで抽出し、RNA完全性をAgilent Bioanalyzerで分析し(7.8未満のRNA完全性指数を有する試料は廃棄した)、製造業者の使用説明書および(58)に従ってAgilentのMouse Genome DNAマイクロアレイを分析した。簡潔に、特異的に発現した遺伝子を、R limmaパッケージを使用して線形モデルを適用することにより得た(59)(Bioconductor project、http://www.bioconductor.org)。
複数の仮説の試験を説明すると、推定された有意レベル(p値)を、Benjamini&Hochberg偽陽性率(FOR)補正を使用して調節した。0.15未満のFORを有するこれらの遺伝子を、異特異的に発現したとして、Tert、空ウイルス注入心臓と、疑似手術対照群との間で選択した。
遺伝子セット濃縮分析(GSEA)を、ReactomeおよびKEGGからのアノテーションを使用して適用した。遺伝子を、limmaによって管理されているt統計に基づいて等級付けした。コルモゴロフ‐スミルノフの検定後、FOR<0.1を示す(60)これらの遺伝子セットを、比較の下、クラス間で濃縮されたと見なした。
統計分析
対数順位検定を、異なるマウス群の生存曲線における統計的差異を計算するために使用した。不対tスチューデント検定を、mRNAおよびタンパク質発現レベル、TRAP、心機能パラメータ、瘢痕サイズ、ならびに間質性線維症の統計的有意性を計算するために使用した。マン・ホイットニーのU検定を、血清パラメータのために使用した。マッソン3色染色後の心臓観察またはFDG−PETスキャンのいずれかによる病理学的評価を、カイ二乗検定で計算した。
例2−生後1週間の間の心臓におけるマウスTert発現の低下
我々は、まず、異なるマウス組織中のマウステロメラーゼRNA構成要素(22)、Terc、ならびにラットにおけるTert発現(23)に関して先に説明されるのと同様に、マウスTert発現が生後1週間の間に心臓において低下するかどうかの判定に着手する。この目的を達成するために、我々は、1、3、7、および10日目に新生児の心臓を単離し、qRT−PCRによってマウスTert発現を判定した。我々は、生後7日からマウスTert mRNAレベルの著しい低下を観察した。
例3−AAV9−Tertを心臓に特異的に向ける
AAV9は、全身的に投与されたとき、心臓および肝臓を優先的に標的にすることで知られるが、肝細胞を標的にする効率は、心筋細胞を標的にする効率よりも約10倍低い(29)。我々は、肝臓、および他の組織の最小形質導入で、心臓を特異的に標的にするAAV9ベクターの最小量を見つけるために、この特異的形質導入効率を使用した。我々の実験条件下で、AAV9レポーターベクター(AAV9−CMV−eGFP)の投与量5x1011ug/マウスは、eGFP免疫組織化学的検査(IHC)によって示されるように、心臓細胞の60%超を形質導入することができたが、肝臓および脳の21個の細胞の1.2%未満を形質導入することができた。テロメラーゼベクター22(AAV9−CMV−Tert、以降、AAV9−Tert)の形質導入効率を推定するために、我々は、形質導入された心臓中の1個の2倍体ゲノム当たりのウイルスゲノムコピー数を、eGFPレポーターベクターまたはAAV9−Tertベクターのいずれかと比較した(図1)。我々は、1個の細胞当たり類似したウイルスゲノムコピー数を見つけ、心臓中でのAAV9−eGFPおよびAAV9−Tertの類似した形質導入効率を示した。eGFPおよび心筋細胞(ベータミオシン重鎖、β−MHC)または線維芽細胞(vimentin)のいずれかのマーカでの共免疫染色を使用して、我々は、心筋内で、AAV9が心筋細胞を優先的に標的にすることを見出した一方で(60%超のeGFP陽性心筋細胞)、線維芽細胞の感染の徴候を見出さなかった。Tertが心臓を特異的に標的にすることは、治療を受けていないマウスと比較して、治療を受けたマウスの心臓中にTert mRNAの量の約400倍の誘発を示したqRT−PCRによっても確認された一方で、Tert mRNA増加は、治療を受けたマウスの肝臓において、40倍低かった。心臓中のTert mRNA発現レベルは、空ベクターで治療したマウスと比較して、AAV9−Tertで治療したマウスにおいて200倍超の増加した発現によって示されるように、少なくとも2ヶ月の間、高いままであった。最後の、増加したTert mRNA発現は、治療を受けてないマウスおよびAAV9−空で治療した制御群と比較して、AAV9−Tertで治療した心臓における増加したTERTタンパク質発現および増加したテロメラーゼ活性と類似していた。一緒に、これらの結果は、我々が成体の心臓における特異的なTert発現を達成したことを示す。
例4−心臓を標的とするテロメラーゼは、心臓形態を変えない
胚発生以降からの心臓における恒常的Tert遺伝子導入発現は、心肥大を引き起こす(25)。したがって、我々はまず、成人期の間のAAV9−Tert治療が心臓形態に何らかの望ましくない影響を与えたかどうかの判定に着手する。心筋梗塞(MI)の非存在下のAAV9−Tert治療は、ウイルス投与の9〜10週間後に評価して、正常な心臓構造を変えなかったか、または心肥大のあらゆる徴候を生じなかった。心臓の正常な構造のさらなる裏付けとして、我々は、AAV9−Tertで治療した心臓中にベータミオシン重鎖(β−MHC)の正常な発現を見出した。これらの結果は、AAV9遺伝子治療を用いたTertの過剰発現が、心臓における恒常的Tert遺伝子導入発現に関して先に報告された悪影響のうちのいずれも有さないことを示す。
例5−テロメラーゼ遺伝子治療は、MI後の死亡率を低減する。
MI後の心不全の予防における成人期の間のテロメラーゼ活性化の治療可能性を評価するために、我々は、MI30によって誘発された心不全を再現することが先に示されている、冠動脈結紮後の心筋梗塞の真性(bona fide)マウス前臨床モデルを使用した。心臓特異的AAV9−10媒介導入遺伝子発現は、約2週間後にその最大に達し、それ以降は引き続き安定する(31)。発現は、静脈内注入の直後に既に出現するが、我々は、Tertレベルが最大であることを確実にするために、ウイルス投与の2〜3週間後に、MIを誘発することを決定した。さらに、我々は、ヒトにおいて主に成人期に起こる急性梗塞後の再生およびリモデリングプロセスに関心があったため、我々は、成体(1歳)マウスを使用した。実験下のすべてのマウスは、性別バイアスを避けるため、オスであった。
興味深いことに、動脈結紮の3週間前のAAV9−Tertでの単一の治療は、梗塞後マウス生存をレスキューするのに十分であり、AAV9−Tertで治療したマウスの74%超が、空ベクターで治療したマウスのわずか57%と比較して、梗塞を克服した(図2A)。したがって、成体マウスにおけるテロメラーゼ活性化は、ヒトの病態の真性(bona fide)マウスモデルにおいて、MI後の心不全による死亡率を大幅に低減した。
例6−テロメラーゼ遺伝子治療は、MI後の心機能を改善する
テロメラーゼ発現がどのようにしてMI後に低い死亡率をもたらすかを調査するために、心機能を、LAD結紮の1週間および3週間後に、二次元心臓超音波検査によって評価した。左心室収縮および拡張容積等の心臓容積が、同様に減少した心臓駆出率を伴う疑似手術(MIなし)マウス(図2B、C)と比較して、MI後に強く増加した(図2D)。重要なことには、心臓容積および駆出率の両方が、TERT遺伝子治療を受けたマウスにおいて大幅にレスキューされたが、空ベクターを受けたマウスにおいてはレスキューされなかった(図2B〜D)。
Tert治療後の心機能パラメータにおけるレスキューは、AAV9−空ベクターで治療したマウスにおけるこれらのパラメータの著しい減少と比較して、TERTで治療したマウスおよび疑似手術マウスの両方における類似した長手方向および横断心臓壁厚によっても証明された(図2E、F)。
次に、我々は、FDG−PETスキャン分析が心筋細胞によるグルコース取り込みの決定を介して心臓における代謝活性を測定するため、生体内で梗塞重症度を評価するために一般に使用される診断ツールであるFDG−PETスキャン分析を行った。具体的には、心臓梗塞は、損傷領域に代謝活性の減少を引き起こす(32)。まず、我々は、AAV9−Tertで治療したマウスが、麻酔を伴い、MIに供されたマウスの死を引き起こし得るPET手順自体に対してより高い生存を呈することに気付いた(図3A)。注目すべきことに、図2Aに示される生存曲線は、PETのために使用したマウスを含まない。予想通り、すべてのマウスが、MIを示す減少したPET信号を示したが、AAV9−空で治療した群と比較して、AAV9−Tertで治療した群において(PET信号の50%超の喪失を特徴とする)より重度ではない梗塞を観察した(図3B〜C)。これらの結果は、AAV9−Tertで治療した心臓が、MI後のAAV9−空群と比較して、代謝的に活性な領域のより良好な保存を示すことを示す。
MIの6週間後、我々は、マッソン3色染色法を使用して、心臓瘢痕の長さの決定を含む完全病理分析を行った。我々は、AAV9−Tertで治療したマウスが、AAV−空またはウイルスなし制御と比較して、瘢痕の長さ対心内周長の比率によって決定された、より小さい梗塞を呈したことを見出した(図3D)。さらに、AAV9−Tertマウスは、AAV9−空群と比較して、左心室の非梗塞領域により少ない間質性線維症を発症した(図3E)。一緒に、これらの研究結果は、単一のAAV9−Tert治療が心筋の増加した生存およびより小さい梗塞サイズをもたらし、したがって、MI後の心機能低下を防ぐことを示す。
例7−テロメラーゼ治療は、心臓心筋細胞中の短テロメアをレスキューする。
決定的なテロメア短縮化は、マウスにおいて心不全を引き起こす。具体的には、決定的に短いテロメアを有するテロメラーゼ欠損マウスは、心肥大を含む、ヒトにおける心不全の心臓表現型に似た心臓表現型を呈する(19)。テロメラーゼの主な機能は、決定的に短いテロメアを伸長することであるため、これより我々は、心臓面上で直接定量的テロメアQ−FISHを行うことにより、心臓テロメア長(TL)へのTert治療の影響を扱い始める。我々は、AAV9−Tertで治療した心臓が、空ベクター群と比較して、(主に、心筋細胞で形成される)陳旧性梗塞部位においてTLの純増を示すことを見出した。したがって、AAV9−Tertは、短期間に心筋中の短テロメア、続いて、心不全の関連リスクを減少させるための有力な手段である(TLはウイルス投与の9〜10週間後に測定した)。末梢血リンパ球中の短テロメアがCVDの増加した危険因子を示す予後値も有することが提唱されたため、我々は、末梢血単核細胞(PBMC)細胞のTLも測定した。我々は、対照群と比較して、AAV9−Tert注入マウスからの血球中のテロメア長のわずかな増加を検出し、我々の先の観察を裏付けた(26)。PBMCテロメア長における差異は、疑似手術マウスと、MIを経験し、AAV9−空またはウイルスなしを受けたマウスとの間に認められず、急性MIならびに炎症およびリモデリング等の後続の事象が、PBMCのTLに負の影響を与えないことを示唆した。これらの研究結果は、循環血液中の短テロメアの存在量を低下させることにより、テロメラーゼ遺伝子治療が追加の有益な効果を有し得、次いでこれが、CVDの既知の危険因子であり得ることを示唆する。
例8−テロメラーゼ治療は、増殖心筋細胞の数の増加を引き起こす
MI後の心臓におけるアポトーシスおよび増殖におけるTert治療の影響を研究するために、我々は、MIの6週間後に、活性カスパーゼ−3およびKi67陽性染色をそれぞれ示す細胞のパーセントを定量化した。我々は、治療に関係なく、アポトーシスが局所貧血後の初期反応であるという事実に一致して、MIの6週間後にアポトーシスを起こした細胞をほとんど見出さなかった(33)。MI後に、我々は、疑似手術マウスと比較して、AAV9−TertおよびAAV9−空群の両方で、陳旧性梗塞部位および梗塞部位において、増殖の増加(Ki67陽性細胞)を観察した。しかしながら、この増加は、AAV9−空と比較して、これらのマウスにおける線維性瘢痕形成の減少と一致して、AAV9−TERT群で大幅に減じられた。興味深いことに、Ki67および心筋細胞マーカであるトロポニンTを使用した共免疫染色は、空ウイルス群と比較してTERTで治療した群において大幅に増加した、梗塞周辺のKi67陽性心筋細胞の存在を示し、心臓治癒および再生の上昇を示唆した。
例9−心機能不全に関連している代謝ネットワークおよび信号ネットワークへのテロメラーゼの影響
MI後の急性心不全からの保護におけるTertの役割をさらに理解するために、我々はまず、異なるマウス群における血清代謝産物の変化を研究した。駆出率の大幅な低下(図2D)に起因して、MIは、腎臓への血流を減少させ、最終的に、尿素血中レベルの上昇をもたらす糸球体濾過量の減少で、腎不全を誘発し得る。我々は、MIの6週間後に、血清尿素レベルがウイルスなしで、または空ベクターで治療したマウスにおいて大幅に上昇し、これは、AAV9−Tert群において著しくレスキューされたことを見出した(図4)。AAV9−Tertで治療したマウスにおけるMI後のより良好な腎機能は、これらのマウスにおける心機能の改善の我々の研究結果を裏付ける(図2)。
次に、我々は、様々な生物学的経路を包含する、MIの6週間後の包括的な血清多分析物プロファイリングを行った。我々は、MIが、メタロプロテイナーゼ(MMP−9)およびこれらの阻害物質(TIMP−1)(34)等の組織リモデリング、MDC(マクロファージ由来のケモカイン)またはインターロイキン18(IL−18)等の炎症、ならびに上皮増殖因子(EGF)に関与した因子の血清レベルの大幅な減少を引き起こしたことを見出した。重要なことには、これらのすべてが、AAV9−TERT群において部分的にレスキューされた。興味深いことに、EGFRの上昇は、心保護的として以前説明されている(35)。
次に、我々は、誕生後に他の胎児の心臓遺伝子と一緒に抑制されるが、心不全の後期の間に大幅に上昇する胎児の心臓タンパク質である、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の発現を判定した(2)。興味深いことに、ANPレベルは、年月を経たWT心臓(梗塞なしの2歳超のマウス)において、AAV9−Tert治療後に減少し、Tert治療が胎児の遺伝子の病理学的発現を抑制することを示唆する。
心臓中でTertによって媒介される遺伝子発現変化へのさらなる洞察を得るために、我々は、MIの6週間後に、心臓リモデリングおよび瘢痕形成を含む組織修復プロセスの後期を反映する、マイクロアレイDNA分析を行った(33)。我々は、異なる群(疑似(MIなし)、MI+AAV9−Tert、MI+AAV9−空)からの、左心室の心臓組織からのRNAを使用した。遺伝子セット濃縮分析(GSEA)は、疑似群(MIなし)と比較して、梗塞マウスにおける炎症、増殖、およびDNA複製と関連した経路の増加を明らかにし、これらは、AAV9−空対照群と比較して、AAV9−Tertで治療したマウスにおいて著しくレスキューされた。炎症の増加が、MI後のアポトーシスおよび壊死心筋細胞の排除に起因する一方で、増殖の増加は、線維芽細胞を有する損傷区域の再増殖と関連する(36)。したがって、Tertが炎症および増殖に関与した遺伝子の発現を弱めるという事実は、AAV9−Tert治療が心保護的であるという我々の実用的研究結果を裏付ける。さらに、我々は、空ベクター制御群と比較して、TERTで治療した群において細胞外マトリックスのリモデリングならびに線維芽細胞動態(例えば、ECM、TGFβ、およびFGFR)に関連するいくつかの特性において、大幅な強化を見出した。我々は、qRT−22 PCRによって、これらの遺伝子セット(それぞれFgfr3およびBmpr1b)内の最も特異的に発現した遺伝子のうちのいくつかを確認した。さらに、Timp1、Thbs1、およびThbs4(トロンボスポンジン1&4)もまた、Tertで治療したマウスにおいて特異的に発現した。Timp1発現の上昇は、Tertで治療したマウスからの血清中のより高いTIMP1タンパク質レベルと一致する。これらの研究結果は、Timp1の過剰発現が有害な心筋のリモデリングを軽減し、心機能を改善することが示された一方で、Thbs1およびThbs4は、線維症の調節および心筋のリモデリングによる、MI後の心臓適応の重要な調節因子であることを考慮すると、興味深い(37〜39)。
新生仔マウスは、生後1週間の間、明確な遺伝子発現特性を特徴とする、完全な再生能を有する。したがって、我々は次に、成体の心臓におけるTert治療に関連した遺伝子発現の変化が、新生仔マウスにおいて説明される再生遺伝子発現特性において強化されたかどうかを扱い始める。際立ったことに、我々の発現データを、(生後10日目に対して)心臓がMI後に完全再生能を有する段階である生後1日目に過剰発現したか、または過小に現れた(underrepresented)遺伝子と比較することにより(7)、我々は、AAV9−空と比較して、AAV9−TERT群において大幅な強化を見出した。我々は、qRT−PCRによって、これらの遺伝子セット(Irf7およびItgb6)内の最も特異的に発現した遺伝子のうちのいくつかを確認した。要約すれば、Tert治療は、MI後の生存および再生に有利に働き、新生児の心臓の遺伝子発現特性に似た転写プログラムを調節することができる。

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Claims (11)

  1. 急性心筋梗塞の治療において使用するための、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)コードする核酸配列を含む非組み込み核酸ベクターを含む、薬学的組成物
  2. TERTは、配列番号1または配列番号3の配列を含む核酸配列によってコードされる、請求項に記載の薬学的組成物
  3. TERTは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の薬学的組成物
  4. TERTをコードする前記核酸配列は、前記コード配列の発現を促進する調節配列に作動可能に連結される、請求項1〜のいずれかに記載の薬学的組成物
  5. 前記ベクターは、アデノ随伴ウイルス(adeno−associated virus)系非組み込みベクターである、請求項1〜のいずれかに記載の薬学的組成物
  6. 前記ベクターは、血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)由来のアデノ随伴ウイルス系ベクターである、請求項1〜のいずれかに記載の薬学的組成物
  7. 前記アデノ随伴ウイルス系ベクターのカプシドは、前記血清型9アデノ随伴ウイルス(AAV9)のカプシドタンパク質からできており、前記カプシド内に含まれる前記核酸配列は、血清型2アデノ随伴ウイルスに対応する内部末端反復配列と両端で隣接している、請求項に記載の薬学的組成物
  8. 前記カプシド内に含まれる前記核酸は、TERTをコードする前記アミノ酸配列をコードする断片を含む、請求項に記載の薬学的組成物
  9. 前記ベクターは、恒常的プロモータである調節配列を含む、請求項1〜のいずれかに記載の薬学的組成物
  10. 前記調節配列は、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)(CMV)プロモータである、請求項に記載の薬学的組成物
  11. 前記ベクターは、心臓組織に直接投与される、請求項1〜10のいずれかに記載の薬学的組成物
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