JP6692157B2 - X線吸収ガラス及びこれを含んでなる感光性ペースト - Google Patents

X線吸収ガラス及びこれを含んでなる感光性ペースト Download PDF

Info

Publication number
JP6692157B2
JP6692157B2 JP2015250914A JP2015250914A JP6692157B2 JP 6692157 B2 JP6692157 B2 JP 6692157B2 JP 2015250914 A JP2015250914 A JP 2015250914A JP 2015250914 A JP2015250914 A JP 2015250914A JP 6692157 B2 JP6692157 B2 JP 6692157B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
ray
cation
ray absorption
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015250914A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017114719A (ja
Inventor
拓朗 池田
拓朗 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Yamamura Glass Co Ltd
Original Assignee
Nihon Yamamura Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Yamamura Glass Co Ltd filed Critical Nihon Yamamura Glass Co Ltd
Priority to JP2015250914A priority Critical patent/JP6692157B2/ja
Publication of JP2017114719A publication Critical patent/JP2017114719A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6692157B2 publication Critical patent/JP6692157B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)

Description

本発明は、X線吸収ガラス及び感光性ペーストに関する。
従来より、医療用途、検査用途等にはX線透過画像が用いられている。このX線透過画像としては、X線により感光したフィルムを現像することによって得られるアナログ画像が主として利用されている。これに対し、近年では、デジタル画像方式としてフラットパネル型の放射線ディテクタ(放射線検出装置)が開発されている。
フラットパネル型の放射線ディテクタにおいては、放射線を可視光に変換するために、シンチレータパネルが使用される。シンチレータパネルは、ヨウ化セシウム等のX線形交替部(シンチレータ層)を含み、照射されたX線に応じて、該X線蛍光体が可視光を発光し、その可視光をTFT又はCCDで電気信号に変換し、デジタル画像情報として得るものである。
このような放射線ディテクタとしては、より高精細な画像を得るためには隔壁で仕切られたセル内に蛍光体を充填した構造においてガラス粉末を含有した感光性ペーストで隔壁を形成されたものが提案されている(特許文献1)。
感光性ペーストを用いる場合、1)低融点ガラス粉末と感光性有機成分を含有し、場合により隔壁の形状を整え、熱膨張係数を調整するためのフィラー(結晶であっても高融点ガラスであってもよい)も含有させた感光性ペーストをガラス基板上に塗布し、感光性ペースト塗布膜を形成する工程、2)得られた感光性ペースト塗布膜を所定の開口部を有するフォトマスクを介して露光する露光工程、3)露光後の感光性ペースト塗布膜の現像液に可溶な部分を溶解除去する現像工程、4)現像後の感光性ペースト塗布膜パターンを高温に加熱して有機成分を除去するとともに低融点ガラスを軟化及び焼結させ、隔壁を形成する工程によって隔壁形成が行われている。
また、X線撮像装置において、X線がCCD素子に直接入射するとCCD素子の破壊や画像へのノイズの発生が起こりうることが知られている(特許文献2)。
また、各種元素によるX線の質量吸収係数はNISTが公表しているデータが知られている(非特許文献1)。
国際公開WO2012/161304号 特開2000−329898号公報
J. H. Hubbell and S. M. Seltzer 、Tables of X-Ray Mass Attenuation Coefficients and Mass Energy-Absorption Coefficients from 1 keV to 20 MeV for Elements Z = 1 to 92 and 48 Additional Substances of Dosimetric Interest 、[online]、Last updated: May 19, 2015、Radiation Physics Division, PML, NIST、[平成27年12月21日検索]、インターネット<URL:http://www.nist.gov/pml/data/xraycoef/#>
シンチレータパネルにおける隔壁材料は蛍光体ではないため可視光を発することはないが、同時にX線の吸収をすることもない。すると、隔壁を透過したX線が直接TFTやCCDに影響を与え、信号にノイズを生じさせ、画像のコントラスト低下を引き起こしてしまうおそれがある。特に、感光性ペースト法においては有機成分に合わせた低屈折率・高透過率のガラスが求められることから、必然的に重元素含有率の低いガラスとなり、X線を透過しやすいガラスとなっている。
そこで、本発明の目的は、感光性ペーストに用いるに適した低屈折率とX線吸収に適した重元素含有率の高さとを両立したガラスを提供することである。
本発明者は、Si、B、Al、Ba、O、Fを含有するガラスにおいて特定の組成範囲に制御することで、ガラスの失透や分相を抑えて透明なガラスを得ることができ、重元素Baの含有率を高くでき、かつ屈折率を低くすることができることを見出し、更に検討を加えて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のX線吸収ガラスと感光性ペーストは以下のように構成されている。
(1)本発明に従ったX線吸収ガラスは、カチオン成分としてSi4+、B3+、Al3+、Ba2+を含有し、カチオン%で、Si4+ 18〜40%、B3+ 18〜46%、Al3+ 8〜20%、Ba2+ 5〜25%であり、アニオン成分としてO2−、Fを含有し、アニオン%で、O2− 52〜90%、F 10〜48%である。
(2)本発明に従ったX線吸収ガラスは、g線における屈折率が1.52〜1.62であることが好ましい。
(3)本発明に従ったX線吸収ガラスは、100keVのX線に対する線吸収係数が1.0cm−1以上であることが好ましい。
(4)本発明に従ったX線吸収ガラスは、カチオン%で、Si4+ 21〜36%、B3+ 21〜43%、Al3+ 11〜17%、Ba2+ 13〜22%であり、アニオン%で、O2− 58〜86%、F 14〜42%であり、X線吸収係数が1.3cm−1以上であり、g線における屈折率が1.55〜1.60であることが好ましい。
(5)本発明に従ったX線吸収ガラスは、50℃〜400℃における熱膨張係数が60〜100×10−7/Kであることが好ましい。
(6)本発明に従ったX線吸収ガラスは、カチオン成分としてアルカリ金属イオンを含有し、アルカリ金属イオンの合計の含有率が、カチオン%で、3〜21%であり、軟化点が500〜700℃であることが好ましい。
(7)本発明に従ったX線吸収ガラスは、カチオン成分としてLiを含有し、カチオン%で、Li 3〜21%であり、軟化点が500〜700℃であることが好ましい。
(8)本発明に従ったX線吸収ガラスは、カチオン成分としてアルカリ金属イオンの合計の含有率が、カチオン%で、0〜5%であり、軟化点が650〜850℃であることが好ましい。
(9)本発明に従ったX線吸収ガラスは、Pb2+を実質的に含有しないことが好ましい。
(10)本発明に従ったX線吸収ガラスは、体積基準の粒度分布における50%粒子径が0.1〜10μmであり、感光性ガラスペースト用であることが好ましい。
(11)本発明に従った感光性ペーストは、光重合性多官能モノマー又はオリゴマー、光重合開始剤、及び、(10)のX線吸収ガラスを含む。
本発明のX線吸収ガラスは、可視光に対して透明であり、X線を吸収する元素としてBaを多く含有し、かつ屈折率が低いため感光性ペースト法を用いたシンチレータパネルの隔壁材料に適している。
本発明のX線吸収ガラスをシンチレータ用隔壁に用いた放射線検出装置の概略図である。
本発明に従ったX線吸収ガラスは、カチオン成分としてSi4+、B3+、Al3+、Ba2+を含有し、カチオン%で、Si4+ 18〜40%、B3+ 18〜46%、Al3+ 8〜20%、Ba2+ 5〜25%であり、アニオン成分としてO2−、Fを含有し、アニオン%で、O2− 52〜90%、F 10〜48%である。
以下、本発明のガラス組成物の各成分及びその含有量について説明する。本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全てモル比に基づくカチオン%またはアニオン%で表示されるものとする。ここで、「カチオン%」および「アニオン%」とは、本発明の光学ガラスのガラス構成成分をカチオン成分およびアニオン成分に分離し、それぞれにおいて合計割合を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
Si4+は必須成分である。Si4+はガラスのネットワークフォーマーであり、ガラスの安定性を高め、屈折率を低くする成分である。一方、含有量が多くなると粘性が高くなりガラスの溶融が困難になる。そのため、Si4+はカチオン%で18〜40%であり、好ましくは20〜37%であり、より好ましくは21〜36%である。
3+は必須成分である。B3+はガラスのネットワークフォーマーであり、ガラスの安定性を高め、軟化点を下げ、熱膨張係数を高める成分である。一方、含有量が多くなると耐水性の悪化を招く。そのため、B3+はカチオン%で18〜46%であり、好ましくは20〜44%であり、より好ましくは21〜43%である。
Al3+は必須成分である。Al3+はガラスのネットワークフォーマーとして機能する。また、SiO、B、BaOはそれぞれ相互に混和し難い性質があり、これら3種を含むガラスは分相を起こしやすい。分相を起こすとガラスは白濁し、光を散乱するため、感光性ペーストに適さないガラスとなってしまう。Al3+を一定量以上添加することで分相を抑制することができる。一方でAl3+の含有量が多くなると失透しやすくなり、融点も高くなりガラスの溶融が困難になる。そのため、Al3+はカチオン%で8〜20%であり、好ましくは10〜18%であり、より好ましくは11〜17%である。
Ba2+は必須成分である。Ba2+はX線を吸収する成分であり、屈折率を高める成分である。一方でBa2+の含有量が多くなると失透しやすくなり、融点も高くなりガラスの溶融が困難になる。そのため、Ba2+はカチオン%で5〜25%であり、好ましくは8〜23%であり、より好ましくは13〜22%である。
2−は必須成分である。ガラスのネットワークフォーマーを結合する役目がある。一方でO2−の含有量が多くなると屈折率が高くなり、融点も高くなり溶融が困難になる。そのため、O2−はアニオン%で52〜90%であり、好ましくは56〜88%であり、より好ましくは58〜86%である。
は必須成分である。Fは屈折率を下げ、熱膨張係数を高める成分である。一方でFの含有量が多くなると失透しやすくなる。熱膨張係数が高くなる。そのため、Fはアニオン%で10〜48%であり、好ましくは12〜44%であり、より好ましくは14〜42%である。
アルカリ金属イオン(Li、Na、K、Rb、Cs)は任意成分である。ガラスの軟化点を下げ、熱膨張係数を高める成分である。低温で軟化する低融点ガラスにしたい場合にはアルカリ金属イオンの合計量はカチオン%で3〜21%であり、好ましくは5〜19%であり、より好ましくは6〜18%である。一方、低温では軟化しないフィラーガラスにしたい場合にはアルカリ金属イオンの合計量はカチオン%で5%以下であり、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下である。
アルカリ金属イオンの中でもLiは熱膨張係数を高める効果が比較的弱いイオンであるため、低い軟化点と低い熱膨張係数を両立させたい場合にはLiを含有させることが好ましい。低温で軟化する低融点ガラスにしたい場合にはLiはカチオン%で3〜21%であり、好ましくは5〜19%であり、より好ましくは6〜18%である。一方、低温では軟化しないフィラーガラスにしたい場合にはLiはカチオン%で6%以下であり、好ましくは4%以下であり、より好ましくは2%以下である。
Mg2+、Ca2+、Sr2+は任意成分である。ガラスを安定化させ、屈折率を高める成分である。一方でこれらの含有量が多くなると失透しやすくなり、融点も高くなりガラスの溶融が困難になる。そのため、Mg2+、Ca2+、Sr2+の合計はカチオン%で好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下である。
La3+、Gd3+、Yb3+、Hf4+、Ta5+は任意成分である。これらは重元素イオンでありX線を吸収する上、ガラスを着色することもない。一方でこれらの含有量が多くなると屈折率は高くなり、失透しやすくなり、融点も高くなりガラスの溶融が困難になる。そのため、La3+、Gd3+、Yb3+、Hf4+、Ta5+の合計はカチオン%で好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下である。
その他の元素も本件発明のガラスの特性を損なわない範囲で加えることができる。5族〜11族の遷移金属イオン(但しTa5+を除く)は着色を生じ透明性を損なうおそれがある。Pb2+は環境有害成分であり実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に含有しない」とは不可避的に不純物として含有する場合であっても質量濃度で1000ppm未満であることをいう。より好ましくはPb2+は100ppm未満である。
そのため、Si4+、B3+、Al3+、Ba2+、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、La3+、Gd3+、Yb3+、Hf4+、Ta5+の合計はカチオン%で好ましくは90%以上であり、より好ましくは97%以上であり、更に好ましくは99%以上である。
アニオンであるCl、Br、Iは化学的耐久性を損なうおそれがある。
そのため、O2−、F、の合計はアニオン%で好ましくは90%以上であり、より好ましくは97%以上であり、更に好ましくは99%以上である。
本発明のガラスのX線吸収能力は式1により算出する線吸収係数μ(cm−1)により表される。ここでρglassはガラスの密度(g/cm)、wはガラス中の元素iの質量分率、(μen/ρ)は元素iの質量吸収係数(cm/g)である。
Figure 0006692157
質量吸収係数はNISTが公表しているデータ(非特許文献1)を用いることができる。例えば、X線のエネルギーが100keVであるときの質量吸収係数は表1の通りである。
Figure 0006692157
本発明のガラスの100keVにおける線吸収係数μ(cm−1)は1.0以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましい。
本発明のガラスのg線(約436nm)における屈折率は、感光性ペーストを露光する際の光散乱を抑制するため、感光性ペーストに用いられる有機成分と同等の値であると良い。したがって屈折率の値は好ましくは1.520〜1.620、より好ましくは1.530〜1.610、更に好ましくは1.540〜1.600である。
本発明のガラスの軟化点(後述する測定条件におけるDTAの軟化点)は、低温で軟化する低融点ガラスとする場合には500〜700℃とする。このようにすることにより、隔壁に用いる低融点ガラスとして優れたものとなる。隔壁作製プロセスを低温で行うには軟化点は650℃以下であることが好ましい。軟化点は上記した各成分の特徴に基づいて適宜調整することができる。
一方でフィラーガラスとする場合に適した軟化点は、これと組み合わせる低融点ガラスの軟化点により定まる。フィラーガラスの軟化点は低融点ガラスよりも50℃以上高ければよい。多くの低融点ガラスと適合するフィラーガラスとして好ましい軟化点は、650〜850℃である。このようにすることにより、低温では軟化しないため、低融点ガラスと組み合わせるフィラー用ガラスとして優れている。
本発明のガラスの熱膨張係数は特に限定されない。シンチレータパネルの基板材料の熱膨張係数は各種異なった値であり、低融点ガラスとフィラーとを混合した結果の熱膨張係数が、シンチレータパネルの基板材料と近い熱膨張係数であれば良いためである。例えば、ソーダライムガラス基板の熱膨張係数は約90×10−7/K、アルミナ基板の熱膨張係数は約70×10−7/Kである。多くの基板材料と適合するガラスとして好ましい熱膨張係数は(60〜100)×10−7/Kである。
本発明におけるガラスは、慣用の方法で製造することができる。材料としては、本発明におけるガラスの各成分の供給源となる化合物を出発原料として使用すればよい。例えばBのためにHBO、B等を用いることができる。また例えばAlのためにAl(OH)、Al、AlF等を用いることができる。他の成分についても、SiO、BaCO、LiCO等のように、各種酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等、ガラスの製造で通常に用いられる出発原料を採用することができる。そして、これらを所定の割合で含有する混合物を出発原料として用いて混合物の溶融を行う。
本発明のガラスは、例えば、原料化合物を混合することにより混合物を得る第1工程及び得られた混合物を溶融することにより溶融物を得る第2工程を含む慣用の製造方法によって、製造できる。
第1工程では、意図するガラスの組成・比率となるように前記出発原料を秤量し、混合することにより混合物を調製する。この場合、各成分の原料の混合順序等は特に制限されず、同時に配合してもよく、特定の化合物順に配合してもよい。原料は、通常は粉末の形態でガラス溶融炉に供給される。そのための原料粉末は、各成分を含む原料を慣用の方法で粉砕、混合等することにより得ることができる。
第2工程では、上記の混合物を溶融することにより溶融物を得る。溶融に際しては、原料の組成に応じてガラス溶融温度を設定すればよいが、通常は1300〜1600℃程度とすればよい。得られた溶融物は、必要に応じて、溶融物からそのまま粉末を製造する工程に供してもよい。例えば、溶融物を冷却ロールにて冷却しながらフレーク状粉末を得ることができる。また溶融物を冷却した後、必要に応じて粉砕、分級等の処理をすることにより粉末を得ることもできる。このように本発明のガラスは、粉末状として好適に提供することができる。
本発明において「X%粒子径」とは、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて測定した体積基準の粒度分布において小粒子径側から数えて累積X%となる粒子径をいう。また、本発明において「最大粒子径」の語は、99.9%粒子径をいう。
本発明においてガラスを粉末状とする場合、50%粒子径(D50)は、限定的ではないが、通常は50μm以下の範囲内において使用形態、用途等に応じて適宜調節することできる。例えばガラスの粉末を用いてペーストを調製する場合は、次に述べる粒度に調整すればよい。
本発明におけるガラス粉末を用いて感光性ペーストを調製することができる。即ち、バインダーの少なくとも1種と溶剤とガラス粉末とを用い、主としてバインダーポリマー、光重合性多官能モノマー(又はオリゴマー)、光重合開始剤、その他の添加物からなるビヒクル中に、ガラス粉末を均一に分散させればよい。
本発明においてガラス粉末の50%粒子径(D50)は、特に限定されないが、通常は0.1〜10μmとし、特に0.5〜5μmとすることが好ましい。50%粒子径が0.1μm未満である場合には、ペーストを作製する際、樹脂分が多く必要となり、焼成前後での体積収縮の程度が大きくなるほか、粒子の強固な凝集によりペースト中での分散性が悪化する恐れがある。50%粒子径が10μm以上では線幅の細いパターンを作製することが困難になる。
また前記粉末の最大粒子径も、限定的ではないが、通常は30μm以下とし、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
前記ガラス粉末のペースト中での濃度は、特に制限されないが、通常はペースト中60〜90重量%程度の範囲内で適宜設定することができる。
前記バインダーポリマーとしては、主成分であるメチルメタアクリレートと各種アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル等とアクリル酸、メタクリル酸等との共重合体及びこれにさらに各種不飽和基を付加させたもの等が挙げられる。また、前記光重合性多官能モノマー(又はオリゴマー)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトール(トリ〜ヘキサ)アクリレート等が挙げられる。これら光重合性多官能モノマー(又はオリゴマー)は、1種のみでは特性(感度、解像度、接着性、パターニング性、現像性等)のバランスがとり難い場合があるため、2種以上を混合して使用することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン系、チオキサントン系、アンスラキノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系等が挙げられる。
その他、感光性ガラスペーストの調製においては、必要に応じて熱重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、増感剤、分散剤、溶剤等を添加物として加えることができる。
その他、ガラスペーストの調製においては、必要に応じて常法により、可塑剤、増粘剤、分散剤、溶剤等を添加物として適宜加えることができる。
本発明のX線吸収ガラスの用途は限定的ではないが、好ましくは感光性ペースト法による構造体の形成に用いる。本発明では、この中でも、特に放射線検出装置のシンチレータパネルにおいて蛍光体を収容(格納)する隔壁を形成するために本発明のX線吸収ガラスを好適に用いることができる。
図1には、放射線検出装置の構造の概略図を示す。この放射線検出装置10は、放射線透過性基板11上に緩衝層16を介して隔壁13が形成されており、隔壁で囲まれた領域(セル)に蛍光体(シンチレータ)12が収容され、さらにその上に光電変換層(図示せず)を有する出力基板15が設けられている。シンチレータパネル14は、図1に示すように、放射線透過性基板11、蛍光体12及び隔壁13から構成されている。図1では、より効果的に隔壁を形成するための緩衝層16が設けられているが、緩衝層16が省略された構造であっても良い。また、図1では、隔壁は、各セルの側面のみに形成されているが、必要に応じて各セルの底面も隔壁で構成することもできる。
図1の隔壁において、隔壁を構成する材質以外の構成・構造自体は、公知又は市販の放射線検出装置(あるいはシンチレータパネル)と同様とすることができる。
以下、実施例を参照して本発明の特徴をより具体的に説明するが、本発明がそれらの実施例に限定されることは意図しない。
〔出発原料〕
実施例及び比較例のガラス組成物を作製するために用いた出発原料は、以下の通りである:SiO、HBO、Al(OH)、AlF、BaCO、BaF、LiCO、KCO、及びYb
〔ガラスの製造〕
酸化物及びフッ化物基準のモル%で、表2にそれぞれ示した組成となり、100gのガラスが得られるように上記出発原料を調合し、混合した後、500ccの白金質のルツボを用いて1300〜1400℃の温度で1〜2時間溶融した。融液をステンレススチール製の冷却ロールにて急冷し、厚さ0.3〜0.6mmのガラスフレークを作製した。次いでこのガラスフレークを粉砕し、気流分級により、平均粒径(D50)1〜4μm、最大粒径20μm以下の粉末ガラスを得た。なお、粉末ガラスの粒径はレーザー散乱式粒度分布測定機を用いて測定し、それにより気流分級条件を求めた。
また、同様にして溶融した融液をカーボン製の型に流し出し、徐冷した後、所定形状に切り出して屈折率測定、又は熱膨張係数測定用の試験片とした。
なお、酸化物及びフッ化物基準のモル%をカチオン%、アニオン%に換算した値も表2に示す。
〔各評価試料の作製〕
1.屈折率:溶融して得られた上記ガラスを7mm以上×7mm以上×7mm以上の直方体状に加工し、屈折率測定用試料とした。
2.ガラスの示差熱分析:気流分級により得られた上記粉末ガラスを示差熱分析(DTA)用試料とした。
3.ガラスの熱膨張係数測定:溶融して得られた上記ガラスを5mm径×15mm長のロッド状に加工し、熱膨張係数測定用試料とした。
〔各物性の評価方法〕
1.屈折率
各ガラスのヘリウムg線における屈折率を、精密屈折計(型名「KPR200」、(株)島津デバイス製造製)を用いて、Vブロック法により測定した。
2.密度
各ガラスの密度を、それらのバルクを用いてアルキメデス法により測定した。
3.ガラス転移点、屈伏点、軟化点
各ガラスの粉末状試料の約50mgを白金セルに入れ、アルミナ粉末を標準試料として、大気雰囲気下に、示差熱分析装置(型名「TG−8120」、(株)リガク製)を用いて室温から20K/分の昇温速度でDTA曲線を得た。最初の吸熱ピークの開始点(外挿点)をガラス転移点とし、その吸熱ピークの頂点(外挿点)の温度を屈伏点とした。第2の吸熱ピークの開始点(外挿点)を軟化点とした。
4.熱膨張係数(α)
各ガラス及びガラス焼成物の実施例及び比較例のロッド状試料と石英ガラスにより形成された標準試料とを、熱機械測定装置(型名「TMA8310」、(株)リガク製)を用いて、室温から10K/分で昇温して熱膨張曲線の測定を行い、50℃〜400℃までに観測される熱膨張係数の値を平均して各試料の熱膨張係数とした。
5.線吸収係数(μ)
各ガラスの組成を質量分率に換算し、密度の実測値、100keVにおける質量吸収係数の文献値を用いて算出した。
〔物性の評価〕
各実施例及び比較例で得られたサンプルを用いて各物性をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006692157
表2に示すとおり、本発明の実施例のガラスは透明であり、屈折率が1.52〜1.62の範囲内にあり、感光性ペースト法に適している。更に、実施例1〜10は軟化点が低く、低融点ガラスとして適している。実施例11〜13は軟化点が高く、フィラーガラスに適している。一方、比較例1、2のガラスは分相によって白濁しており、感光性ペースト法に適さない。比較例3のガラスは線吸収係数が小さい点でX線吸収に適さない。比較例4のガラスは屈折率が高い点で感光性ペースト法に適さない。
本発明のX線吸収ガラスは、感光性ペースト法に用いることができ、特に、シンチレータパネルの製造に有用である。
10 放射線検出装置
11 放射線透過性基板
12 シンチレータ(蛍光体)
13 隔壁
14 シンチレータパネル
15 出力基板
16 緩衝層

Claims (12)

  1. カチオン成分としてSi4+、B3+、Al3+、Ba2+を含有し、
    カチオン%で、
    Si4+ 18〜40%、
    3+ 18〜46%、
    Al3+ 10〜20%、
    Ba2+ 5〜25%、
    であり、
    アニオン成分としてO2−、Fを含有し、
    アニオン%で、
    2− 52〜90%、
    10〜48%である、X線吸収ガラス。
  2. カチオン%で、Al 3+ 11〜17%である、請求項1に記載のX線吸収ガラス。
  3. g線における屈折率が1.52〜1.62である、請求項1または請求項2に記載のX線吸収ガラス。
  4. 100keVのX線に対する線吸収係数が1.0cm−1以上である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  5. カチオン%で、
    Si4+ 21〜36%、
    3+ 21〜43%、
    Al3+ 11〜17%、
    Ba2+ 13〜22%、
    であり、
    アニオン%で、
    2− 58〜86%、
    14〜42%であり、
    100keVにおけるX線吸収係数が1.3cm−1以上であり、
    g線における屈折率が1.55〜1.60である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  6. 50℃〜400℃における熱膨張係数が60〜100×10−7/Kである請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  7. カチオン成分としてアルカリ金属イオンを含有し、アルカリ金属イオンの合計の含有率が、カチオン%で、3〜21%であり、軟化点が500〜700℃である、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  8. カチオン成分としてLiを含有し、カチオン%で、Li 3〜21%であり、軟化点が500〜700℃である、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  9. カチオン成分としてアルカリ金属イオンの合計の含有率が、カチオン%で、0〜5%であり、軟化点が650〜850℃である、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  10. Pb2+を実質的に含有しない請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  11. 体積基準の粒度分布における50%粒子径が0.1〜10μmであり、感光性ガラスペースト用の、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のX線吸収ガラス。
  12. 光重合性多官能モノマー又はオリゴマー、光重合開始剤、及び、請求項11に記載のX線吸収ガラスを含んでなる感光性ペースト。
JP2015250914A 2015-12-24 2015-12-24 X線吸収ガラス及びこれを含んでなる感光性ペースト Active JP6692157B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015250914A JP6692157B2 (ja) 2015-12-24 2015-12-24 X線吸収ガラス及びこれを含んでなる感光性ペースト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015250914A JP6692157B2 (ja) 2015-12-24 2015-12-24 X線吸収ガラス及びこれを含んでなる感光性ペースト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017114719A JP2017114719A (ja) 2017-06-29
JP6692157B2 true JP6692157B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=59233151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015250914A Active JP6692157B2 (ja) 2015-12-24 2015-12-24 X線吸収ガラス及びこれを含んでなる感光性ペースト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6692157B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230128019A (ko) * 2020-12-28 2023-09-01 닛폰 파이버 코포레이션 무기 조성물 및 그의 섬유 그리고 플레이크

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4221824A (en) * 1978-09-05 1980-09-09 Eagle-Picher Industries, Inc. Method for enameling ferrous objects
DE2952705C2 (de) * 1979-12-29 1982-03-18 Schott Glaswerke, 6500 Mainz Optisches Glas mit der optischen Lage n↓D↓ ist 1,62+-(1,5 mal 10-2), V↓D↓ ist 59,5+-1,0, mit hoher chemischer Beständigkeit und geringer Kristallisationsneigung aufbauend auf dem an sich bekannten System SiO↓2↓-B↓2↓O↓3↓-La↓2↓O↓3↓-SrO-
JPS61151037A (ja) * 1984-12-22 1986-07-09 Matsushita Electric Works Ltd 紫外線遮断用コ−テイングガラス組成物
US5281562A (en) * 1992-07-21 1994-01-25 Corning Incorporated Ultraviolet absorbing glasses
JP2004277212A (ja) * 2003-03-14 2004-10-07 Okuno Chem Ind Co Ltd プラズマディスプレイパネルの隔壁形成用ガラス組成物
JP6329716B2 (ja) * 2013-10-31 2018-05-23 日本山村硝子株式会社 隔壁形成用ガラス組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017114719A (ja) 2017-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dong et al. Investigation of gamma radiation shielding properties of lithium zinc bismuth borate glasses using XCOM program and MCNP5 code
Kurtulus et al. A comprehensive study on novel alumino-borosilicate glass reinforced with Bi2O3 for radiation shielding applications: synthesis, spectrometer, XCOM, and MCNP-X works
Mhareb et al. Radiation shielding, structural, physical, and optical properties for a series of borosilicate glass
Mhareb et al. The impact of barium oxide on physical, structural, optical, and shielding features of sodium zinc borate glass
Shamshad et al. A comparative study of gadolinium based oxide and oxyfluoride glasses as low energy radiation shielding materials
Kaewjang et al. New gadolinium based glasses for gamma-rays shielding materials
Sayyed et al. Recycling and optimizing waste lab glass with Bi2O3 nanoparticles to use as a transparent shield for photons
Singh et al. Gamma-ray shielding and structural properties of PbO–SiO2 glasses
Issa et al. Enhancement of nuclear radiation shielding and mechanical properties of YBiBO3 glasses using La2O3
Sayyed et al. Investigation of radiation shielding properties for MeO-PbCl2-TeO2 (MeO= Bi2O3, MoO3, Sb2O3, WO3, ZnO) glasses
Singh et al. ZnO–PbO–B2O3 glasses as gamma-ray shielding materials
Kaur et al. Investigation of lead borate glasses doped with aluminium oxide as gamma ray shielding materials
Wagh et al. Gamma rays interactions with Eu2O3 doped lead fluoroborate glasses
Tuscharoen et al. Improvement of BaO: B2O3: fly ash glasses: radiation shielding, physical and optical properties
Al-Buriahi et al. Radiation sensing properties of tellurite glasses belonging to ZnO–TeO2–PbO system using Geant4 code
Almuqrin et al. An experimental and theoretical study to evaluate Al2O3–PbO–B2O3–SiO2–BaO radiation shielding properties
Alzahrani et al. Physical, structural, mechanical, and radiation shielding properties of the PbO–B2O3–Bi2O3–ZnO glass system
Al-Hadeethi et al. Physical, optical properties and radiation shielding studies of xLa2O3-(100-x) B2O3 glass system
JP6329716B2 (ja) 隔壁形成用ガラス組成物
JPWO2015190444A1 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
Mhareb Optical, Structural, Radiation shielding, and Mechanical properties for borosilicate glass and glass ceramics doped with Gd2O3
Intachai et al. Effect of Gd2O3 on radiation shielding, physical and optical properties of sodium borosilicate glass system
Yonphan et al. The photon interactions and build-up factor for gadolinium sodium borate glass: Theoretical and experimental approaches
Kalyani et al. Synthesis, thermal, optical, and radiation-absorbing properties of Bi2O3-Li2O-As2O3-B2O3 glasses
Sayyed et al. An extensive assessment of the impacts of BaO on the mechanical and gamma-ray attenuation properties of lead borosilicate glass

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190813

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191008

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6692157

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250