JP6689931B2 - 粘着剤組成物及び表面保護フィルム - Google Patents
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Description
一般的には、架橋反応の反応速度が優れている点から、架橋反応の触媒として、有機錫化合物であるジブチル錫ジラウレート等が使用されていたが、ジブチル錫化合物は、有害毒性を呈することから使用することが避けられている。
このため、イソシアネート系架橋剤と併用される、ジブチル錫化合物の代替となる、安価であり、且つ、架橋反応の反応速度が優れている架橋触媒が求められているが、見つけることが困難であった。
この架橋触媒と反応遅延剤との併用に関して、特許文献2には、ポリウレタンの製造方法であって、少なくとも1種の金属アセチルアセトネートとアセチルアセトンの混合物で成り、前記金属アセチルアセトネートと前記アセチルアセトンとの重量比が2:1である触媒システムを含んだ反応ウレタン混合物を用いることが開示されている。
しかし、特許文献2に記載の方法は、金属アセチルアセトネートとアセチルアセトンとの重量比を2:1としているが、この配合比率をアクリル系粘着剤の製造工程に適用しても、架橋反応の一時停止を行うことができなかった。
また、前記(C)2官能以上のイソシアネート化合物のうち、3官能イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のアダクト体、イソホロンジイソシアネート化合物のアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のビュレット体、イソホロンジイソシアネート化合物のビュレット体、トリレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、キシリレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、水添キシリレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネート化合物のアダクト体、キシリレンジイソシアネート化合物のアダクト体、水添キシリレンジイソシアネート化合物のアダクト体からなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも一種と、共重合可能なモノマー群として(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーとの共重合体の100重量部に対して、(C)2官能以上のイソシアネート化合物0.1〜10重量部と、(D)金属キレート化合物の架橋触媒0.001〜0.5重量部と、(E)ケトエノール互変異性体化合物0.1〜300重量部と、を含有してなり、(E)/(D)の重量部比率が70〜1000であることを特徴とする。
前記共重合体の100重量部に対して、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを50〜98重量部の割合で含有していることが好ましい。
8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
前記共重合体の100重量部に対して、前記(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーを0.1〜10重量部の割合で含有していることが好ましい。
前記共重合体が、その他共重合可能なモノマー群として、カルボキシル基含有モノマーを含む場合、前記共重合体の100重量部に対して、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜1.0重量部の割合で含有していることが好ましい。前記共重合体が前記カルボキシル基含有モノマーを含有しなくてもよい。
ポリアルキレングリコールの有するアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の2種以上のポリアルキレングリコールの共重合体であってもよい。ポリアルキレングリコールの共重合体としては、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール等が挙げられ、該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体であってもよい。
前記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数が3〜14であることが好ましい。「アルキレンオキサイドの平均繰り返し数」とは、前記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子構造に含まれる「ポリアルキレングリコール鎖」の部分において、アルキレンオキサイド単位が繰り返す平均の数である。
より具体的には、ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート;エトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記共重合体の100重量部に対して、前記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、0〜50重量部の割合で含有していることが好ましい。前記共重合体が、前記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有しなくてもよい。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、2官能イソシアネート化合物(1分子中に2個のNCO基を有する化合物)のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパン(TMP)やグリセリン等の3価以上のポリオール(1分子中に少なくとも3個以上のOH基を有する化合物)とのアダクト体(ポリオール変性体)などが挙げられる。
(C)2官能以上のイソシアネート化合物として、(C−1)3官能イソシアネート化合物のみ、または(C−2)2官能イソシアネート化合物のみを用いることも可能である。また、(C−1)3官能イソシアネート化合物と、(C−2)2官能イソシアネート化合物を併用することも可能である。
また、(C−1)3官能イソシアネート化合物は、前記(C−1−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上と、前記(C−1−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上とを含み、前記共重合体の100重量部に対して、合計して0.5〜5.0重量部含まれることが好ましい。また、(C−1−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上と、(C−1−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上との混合比率は、(C−1−1):(C−1−2)が重量比で10%:90%〜90%:10%の範囲内であることが好ましい。
例えば、一般式「O=C=N−X−N=C=O」(ただし、Xは2価基)でジイソシアネート化合物を、一般式「HO−Y−OH」(ただし、Yは2価基)でジオール化合物を表すとき、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させて生成された化合物としては、例えば、次の一般式Zで表される化合物が挙げられる。
O=C=N−X−(NH−CO−O−Y−O−CO−NH−X)n−N=C=O
多座配位子Lとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン(別名2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。これらは、ケトエノール互変異性体化合物であり、多座配位子Lにおいてはエノールが脱プロトンしたエノラート(例えばアセチルアセトネート)であってもよい。
単座配位子Xとしては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基等のアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
本願発明に係わる粘着剤組成物における金属キレート化合物としては、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、鉄キレート化合物からなる群の中から選択された少なくとも1種以上含まれることが好ましい。
(D)金属キレート化合物の架橋触媒は、共重合体の100重量部に対して、0.001〜0.5重量部含まれることが好ましい。
(E)ケトエノール互変異性体化合物は、共重合体の100重量部に対して、0.1〜300重量部含まれることが好ましい。
前記帯電防止剤は、融点が25〜50℃であるイオン性化合物、及び/又は、アクリロイル基含有イオン性化合物であることが好ましい。これらの帯電防止剤は、融点が低いため、また、長鎖のアルキル基を有するため、アクリル共重合体との親和性は高いと推測される。
融点が25〜50℃であるイオン性化合物は、共重合体の100重量部に対して0.05〜5重量部含まれることが好ましい。
アクリロイル基含有イオン性化合物は、共重合体中に0.1〜5.0重量%共重合されることが好ましい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物は、HLB値が7〜15であるポリエーテル変性シロキサン化合物であることが好ましい。また、共重合体の100重量部に対して、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が0.01〜1.0重量部含まれることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5重量部である。
HLBとは、例えばJIS K3211(界面活性剤用語)等に規定する親水親油バランス(親水性親油性比)である。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物は、例えば、水素化ケイ素基を有するポリオルガノシロキサン主鎖に対し、不飽和結合及びポリオキシアルキレン基を有する有機化合物をヒドロシリル化反応によりグラフトさせることによって得ることができる。具体的には、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン重合体等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤の粘着力及びリワーク性能を改善することができる。粘着剤組成物がポリエーテル変性シロキサン化合物を含有しない場合、より低コストとなる。
本発明に用いるトコフェロール系化合物としては、粘着剤組成物に配合して用いる(人体内のように代謝を受けない)ことから、トコフェロールのフェルール性水酸基がエステル等に変化しておらず、フェルール性水酸基を有する化合物が好ましい。例えば、トコフェロールやトコトリエノールが挙げられる。トコフェロールやトコトリエノールには、天然型の化合物(d−体)、非天然型の化合物(l−体)、これらの等量混合物であるラセミ体(dl−体)などの区別があることが知られている。天然型の化合物(d−体)やラセミ体(dl−体)は、食品添加物等として用いられるものもあることから、好ましい。
具体的なトコフェロール系化合物としては、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、d−α−トコトリエノール、dl−α−トコトリエノール、d−β−トコトリエノール、dl−β−トコトリエノール、d−γ−トコトリエノール、dl−γ−トコトリエノール、d−δ−トコトリエノール、dl−δ−トコトリエノールからなる化合物群の中から選択された少なくとも1種が挙げられる。2種以上のトコフェロール系化合物を併用してもよい。食品添加物として、「ミックストコフェロール」と呼ばれるものは、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール及びd−δ−トコフェロールを主成分とする混合物であり、「トコトリエノール」と呼ばれるものは、d−α−トコトリエノール、d−β−トコトリエノール、d−γ−トコトリエノール及びd−δ−トコトリエノールを主成分とする混合物である。
本発明の粘着剤組成物がトコフェロール系化合物を含有する場合、共重合体の100重量部に対して、トコフェロール系化合物を0.01〜5重量部含有することが好ましい。
また、前記共重合体は、その他共重合可能なモノマー群として、カルボキシル基含有モノマー、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、の少なくとも一種以上を含むことができる。
本発明の粘着剤組成物は、上記の共重合体に、(C)2官能以上のイソシアネート化合物、(D)金属キレート化合物の架橋触媒、(E)ケトエノール互変異性体化合物、さらに適宜任意の添加剤を配合することで調製することができる。
また、前記共重合体の酸価は、8.0以下、さらには0.01〜8.0であることが好ましい。これにより、汚染性を改善し、糊残りの発生防止性能を向上することができる。
ここで、「酸価」とは、酸の含有量を表す指標の一つであり、カルボキシル基を含有するポリマー1gを中和するのに要する、水酸化カリウムのmg数で表される。
また、樹脂フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
また、剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート100重量部、8−ヒドロキシオクチルアクリレート3.5重量部を加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で6時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1を得た。アクリル共重合体の一部を採取し、後述する酸価の測定試料として用いた。
[実施例2〜6、及び比較例1〜3]
単量体の組成を各々、表1の(A)、(B)、(I)の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1と同様にして、実施例2〜6、及び比較例1〜3に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造した、実施例1のアクリル共重合体溶液1に対して、アセチルアセトン6.0重量部を加え撹拌したのち、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)1.5重量部、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)0.05重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。
その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2〜6、及び比較例1〜3]
添加剤の組成を各々、表1の(C)〜(E)の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2〜6、及び比較例1〜3の表面保護フィルムを得た。
実施例1〜6、及び比較例1〜3における表面保護フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させた。さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力の測定試料とした。
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を、180°方向に引張試験機を用いて低速の剥離速度(0.3m/min)及び高速の剥離速度(30m/min)において剥がして、測定した剥離強度を粘着力とした。
(C)〜(E)の添加剤を配合した直後の、粘着剤組成物の粘度η0(初期粘度)を測定し、さらに粘着剤組成物を密閉状態で23℃×8時間放置した後の、粘着剤組成物の粘度η1(8時間後の粘度)を測定した。ポットライフの指標として、η0を1.0としたときのη1の値、すなわち、η1/η0の比を求めた。評価目標基準は、8時間後の粘度が初期粘度の1.25倍未満である場合を「○」、1.25倍以上1.50倍未満の場合を「△」、1.50倍以上または8時間放置でゲル化してしまった場合を「×」と評価した。
すなわち、低速の剥離速度、及び高速の剥離速度において、粘着力のバランスが優れ、さらに、ポットライフが長く、表面保護フィルムとしての特性が優れている。
また、実施例1〜6の表面保護フィルムによれば、粘着剤組成物に有機錫化合物が含まれないので、安全性が高い。
比較例2の表面保護フィルムは、(D)金属キレート化合物の架橋触媒に対する(E)ケトエノール互変異性体化合物の割合が小さいため、ポットライフが短くなった。
比較例3の表面保護フィルムは、(D)金属キレート化合物の架橋触媒に対する(E)ケトエノール互変異性体化合物の割合が小さいため、ポットライフが短くなりすぎ、塗布前に架橋が進行したため、塗工をすることができなかった。
このように、比較例1〜3の表面保護フィルムでは、低速の剥離速度、及び高速の剥離速度において、粘着力のバランスが優れ、さらに、ポットライフが長いという、全ての要求性能を、同時に満たすことができなかった。
Claims (6)
- アクリル系ポリマーと架橋剤とを含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系ポリマーが、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種と、共重合可能なモノマー群として(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種とを共重合させた共重合体であり、
前記粘着剤組成物が、前記共重合体の100重量部に対して、前記架橋剤として(C)2官能以上のイソシアネート化合物0.1〜10重量部と、(D)金属キレート化合物の架橋触媒0.001〜0.5重量部と、(E)ケトエノール互変異性体の化合物0.1〜300重量部と、を含有してなり、(E)/(D)の重量部比率が80〜600であり、
前記(D)金属キレート化合物が、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、鉄キレート化合物からなる群の中から選択された少なくとも1種以上であり、
前記粘着剤組成物が、さらに酸化防止剤として、油溶性であり常温で液体であるトコフェロール系化合物を含有してなり、
前記トコフェロール系化合物が、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、d−α−トコトリエノール、dl−α−トコトリエノール、d−β−トコトリエノール、dl−β−トコトリエノール、d−γ−トコトリエノール、dl−γ−トコトリエノール、d−δ−トコトリエノール、dl−δ−トコトリエノールからなる化合物群の中から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする粘着剤組成物。 - 前記共重合体が、その他共重合可能なモノマー群として、カルボキシル基含有モノマー、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、の少なくとも1種以上を含むアクリル系ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を、樹脂フィルムの片面または両面に形成してなることを特徴とする粘着フィルム。
- 請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を、樹脂フィルムの片面に形成してなる表面保護フィルムであることを特徴とする表面保護フィルム。
- 偏光板の表面保護フィルムの用途として使用する、請求項4に記載の表面保護フィルム。
- フレキシブルプリント配線基板、リジッドプリント配線基板、透明導電性フィルムからなる精密電気・電子部品群から選択されたいずれかの精密電気・電子部品の表面保護フィルムの用途として使用する、請求項4に記載の表面保護フィルム。
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