JP6689742B2 - 植物を基にした組換えブチリルコリンエステラーゼの製造方法 - Google Patents

植物を基にした組換えブチリルコリンエステラーゼの製造方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年10月1日に出願された係属中の米国特許仮出願第61/885,492号の利益を主張するものである。該特許出願全体が、参照により本明細書に組入れられる。
政府による使用権許諾の権利
本発明は、米国陸軍研究所(ARO)の契約番号HR0011−12−C−0103の下、米国政府の助成によってなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
発明の分野
組換えブチリルコリンエステラーゼ(rBuChE)の、新規で信頼性があり容易に規模拡大可能で、かつ再現性がある生成方法を提供する。植物トランスフェクション手順の利用により、様々な植物株が、効果的かつ規模拡大可能な量のrBuChEを許容し得る製造工程の下で作製して、所望の神経剤防御要件(四量体生成物を含む)に合う、そのような酵素の信頼性のあるレベルを実現することが示された。その上、遺伝子操作された植物系統でのそのような方法は、グリカン形成およびシアリル化(末端基の)を含みながらこれらの酵素を四量体形態で適切に生成して、有機リン剤暴露に対する最適な効力と植物供給源中での適正な免疫原性応答を可能にすることを示した。したがって、生存細胞内での(真菌、細菌、植物、または動物のどの細胞かにかかわらず)トランスフェクションおよび産生、ならびに植物からのそのような信頼性のある供給基盤に伴う工程ステップをはじめとし、生成方法全体が本発明に包含される。
発明の背景
有機リン化合物(OP)は、アセチルコリン加水分解酵素の強力な阻害剤として働く。コリン作動性伝達の主要なシナプス調節物質であるアセチルコリンエステラーゼを阻害するそれらの能力は、不可逆的な神経損傷から死亡まで、ヒトへの高度毒性作用をもたらし得る。OPは、比較的良性の殺虫剤およびかなり有害な化学兵器をはじめとし複数の形態に見出され得る。第二次世界大戦前から今日に至るまで、様々な形態のOPが開発され、非道的な目的で神経剤として配備されてきた。これらの薬剤は、2つの一般的群:1)タブン(GA)、サリン(GB)、ソマン(GD)およびシクロサリン(GF)をはじめとするG剤と、2)VXのV剤と、に分類される。G剤は、一般に非持続性で揮発性の液体であり、高度に持続性で不揮発性であり、より活性のVX化合物とは対照的である。これらの化学兵器を禁止および破壊することへの多くの賛同があるにもかかわらず、合成および配備が比較的容易なために、これらの薬剤は市民および軍隊の両方の人々に高いリスクを与えるテロリスト活動にとって理想的なツールになっている。これらの薬剤の配備は、呼吸器または皮膚への暴露による即座の健康リスクと、固体表面での持続残留により再使用前に大規模な操作汚染除去を必要とするような潜在的脅威と、の両方を併せ持つ。
例として、1995年の東京地下鉄でのサリンガス放出は、大量破壊の化学兵器(WMD)およびそれらの潜在的破滅作用に対する人口集中の弱点を示す不幸な例を与えている。そのような閉鎖的場所では、多くの人々がそのようなOP剤への暴露により死亡する。そのような世界中で起こり得る脅威により(今日のシリアの状況もまた別の発生例)、ヒトの健康リスクおよび操作汚染除去の両方に取り組む方策が、緊急に求められている。
有機リン酸神経剤への急性暴露は、典型的にはアトロピンと、オキシム再賦活剤(2−ピリジンアルドキシムメチルクロリドまたは2−PAMを含む)と、抗痙攣薬とのカクテルの反復投与により処置される。これらの処置は、相当な有害反応、困難な服薬遵守、および不十分な有効性を生じる。現行の薬物の性能を改善する新たな方策で投薬量を減少させるか、または作用機序を加えることにより有効性を増大させる必要がある。ブチリルコリンエステラーゼ(BuChE)は、主要なヒト血清コリンエステラーゼであり、それは結合および加水分解する化学基質に関して顕著な混乱を示す。これらの特性によって、それは環境で発生したOP(殺生物剤)、およびG分類とV分類の両方の化学神経剤に即座に結合することができる。これらの多様な化学剤にする高い結合定数(Km)にもかかわらず、加水分解(Kcat)は非常に緩やかで、1 酵素:1 OP分子の機能的阻害速度になる。ヒトおよび細菌の両方を起源とする酵素活性剤の同定を、多くのグループが懸命に模索した。そのため、研究は大部分がBuChE開発に集中した。
少なくとも、BuChEが有意義であることを立証された哺乳動物対象には、他の条件および状況が存在する。例えば、アルツハイマー病などの特定の神経疾病が、適正な機能および可能性のある神経変性の減少に関してブチリルコリンエステラーゼへの依存性を示すことが理解された。同様に、例えば中毒性物質であるコカインによって引き起こされる特定の生理学的状態は、BuChEを処置剤として導入することにより処置され得る。対象の体内に存在する天然量の欠乏、または対象生物体内で少量産生される突然変異BuChE酵素遺伝子の存在による欠乏を克服するために導入されたブチリルコリンエステラーゼの使用を含む酵素置換療法もある。なお、本質的にOP中毒処置の可能性が、いずれの型のBuChE使用によっても有意義になるとしても、効果的なBuChE製造の要件が非常に有益になり得るような他の状況が存在する。
ウマの血清およびヒト供給源から精製されたhBuChEが、マウス、モルモット、および非ヒト霊長類を、両分類の様々なOP神経剤のLD50用量の3〜5倍から防御し得ることが、初期の研究から実証された。ヒト血清由来BuChEは、四量体の性質と、シアル酸を末端とするグリカン構造を示して、実験動物の血清中で約73時間の半減期を誘導し、それによりヒト臨床試験において安全性を示した酵素を提供する。しかしソマンのLD50の2〜5倍用量を処置するための酵素200mgという要件(平均サイズのヒトの場合)は、利用可能な供給原料が多量で低収率であるため、血清確保を実現不能にしている。組換えBuChE(rBuChE)が、トランスジェニックヤギから産生されたが、それは主に単量体または二量体構造を示し、シアル酸末端をほとんど示さず、急速な血清中半減期を示す。ポリエチレングリコールでの修飾が、好適な薬物動態プロファイルの実現に必要であり、今も尚、臨床試験によりヒトの安全性を適正にテストされなければならない。加えて、BuChEの供給源である使用期限の切れたヒト血漿またはトランスジェニックヤギは両者とも、量的に不十分で、コストがかかり過ぎて、リスクのある軍隊および一般市民に必要な量のBuChEを提供できないと思われる。
rBuChEは、効力、特異性、および安全性プロファイルが見込まれるため、OP防御のための魅力的分類である。しかし、酵素製品を用いた大量破壊兵器(WMD)の課題に取り組む上で、複数の独特な製造課題が提示されている。WMD防御および応答に関連する様々な適用に取り組む規模が、重要となる。リスクのあるエリアで軍事集団への予防的応答および暴露後の応答の両方を提供するには、あまり高くないレベルでの製造が利用され得る。同じく、WMD放出の場合に市民への暴露に取り組むには、製品の十分な供給を確保するために極めて高レベルの製造が必要となろう。モノクローナル抗体(mAb)の典型的な製造方法は、哺乳動物細胞の反応装置を使用する。このアプローチは、予測可能な供給要件を有する疾患に取り組むための使用には成功したが、大規模な哺乳動物培養物は、細胞生育施設に関連する設備投資要件のために、迅速な応答および様々な規模での製造に十分には適さない。空間および利用の償却のために、適切な上流施設の建設に必要となる莫大なコスト(例えば、一部の推定によると5億ドルを超える)のための助成金が提供されない。加えて、必要となる製品の定期修理サイクルの時間枠が、一般に連続供給オプションの場合に不十分となる。さらに、より広範囲の化学構造および特異性に取り組むために新しい酵素製品が入手されるようになるため、構築物の開発からcGMP生成までの工程が、細胞株最適化、工程の適合、および必要な規模拡大要件(特に哺乳動物の生成供給源に関して)のために2〜3年の期間に及ぶ可能性がある(新世代を含むそのような動物の場合、飼育、衛生および摂餌などの一般的コストに言及していない)。最後に、伝統的製造でのmAb(例えば、CHOまたはNS0細胞)は、神経剤暴露の非予測性に必要となる長期継続的予防および治療製品を効果的に提供するには不十分なシアリル化および他のグリカン修飾能力を有する。最小限のシアリル化または化学的シアリル化方法を示す哺乳動物細胞株は、見通しが立たず、とりわけ既に相当な額にのぼる製造コストに加えて、高い特許権使用料が課される。したがって、そのような高コストの構造は、WMD問題の解決策とするには不都合である。これらの制約から、そのような酵素製品のための新しく、より規模拡大が可能で、応答性があり、有効な製造方策が、明らかに望まれている。
さらに重要なこととして、BuChE構造に関するこれまでの研究では、四量体形成とシアリル化の結果を併せて提供することができなかった。特に、細胞のシアリル化が、組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物では実現され得るものの、その四量体を提供する能力が、特に哺乳動物細胞の場合にないと決定された。したがってブチリルコリンエステラーゼ類が、特に哺乳動物系で、多数の処置目的に極めて魅力的であったとしても、この手法で費用効果がある製品だけでなく、哺乳動物処置のための適切な適合性も示す(例えば、シアリル化および四量体化がなされた)そのような製品を製造する能力が、今も尚、開発されなければならない。今日まで、本質的にBuChEの信頼性のある供給源を、反復可能な工程および比較的低い全体的コストでシアリル化四量体形成と共に提供する任意の効果的開発は、全くなされていなかった。
発明の利点および概要
植物を基にした系が、全体的速度および規模拡大性の利益に加えて四量体化構造の均一性により、非常に望ましいシアリル化およびグリカン形成を呈することにより、唯一の哺乳動物生成スキームおよび製造問題を超える明確な利点を提示することが、ここに決定された。非限定的にニコチアナ・ベンタミアナ(Nb)株をはじめとする遺伝子操作された植物生物体の使用によって、そのような植物産生酵素は、所望の期間内で発現構築物から先導的なワクチン候補物質の適切な量および供給源を提供することが可能である。そのような系は、シアリル酸などの哺乳動物系と同様の高均質性グリカンの明白な利点も提供するが、著しいレベルの植物特異性グリカン結合を欠くことで、治療薬、ワクチンまたは他の型のヒト送達工程で用いられた場合に、植物特異的な免疫原性に関する任意の安全性問題が排除される。植物を基にした系は、伝統的な哺乳動物細胞培養物の製造に比較して著しいコスト削減(製造設備の建設コストおよび製造COGSの両方で)によって、哺乳動物タイプを超えるさらに別の利点を提示する。同じく本明細書に記載されたそのような方法は、非限定的に酵母、サッカロマイセスおよびピキアなどの真核微生物細胞、ならびに哺乳動物細胞をはじめとする他の動物細胞などの他のタイプの生存細胞内での、BuChEの信頼性のある四量体形成およびシアリル化という有利な能力を提供する。
植物は、生物製剤のための代わりの製造システムとして行政上の承認を着実に増やしている。本発明のアプローチは、急速な製造サージ能力を有する植物分類を利用して、rBuChEを製造し、差異のある製造要件に関連する難題に迅速に取り組むために使用することができ、新規病原および新たに発生した病原への脅威に取り組むよう適合させることができる。全体的手順は、上流のバイオマスおよび原産物の農業規模拡大を可能にする一過性の植物系製造アプローチを、伝統的な下流のタンパク質精製、放出、および製剤化と共に利用することを含む。このアプローチによって、該植物を基にした系は、伝統的な哺乳動物製造に比較して規模、コストおよび柔軟性において顕著な利点を提示する。
本明細書に記載された1つの可能な実施形態により作製されたrBuChE生成物は、一過性植物発現系により生成され、サージ能力を呈し、一般市民および軍隊における神経剤の脅威のタイミングおよび規模の予測不能性に迅速に取り組むのに有用である。非限定的な一例としてニコチアナ株をはじめとする遺伝子操作された植物変種の使用を介して、植物産生rBuChE生成物は、先に記載された通り、著しいレベルの植物特異性結合を欠くことで植物特異的な免疫原性に関する任意の安全性問題を排除した、高均質性の哺乳動物様グリカンを有する。植物由来酵素が、αガラクトシダーゼA、リソゾーム酸性リパーゼおよびrBuChEをはじめとする伝統的製造によるmAb(例えば、CHO、Per−C6またはNS0細胞)により産生されたものと同等に強力であることも発見されている。植物を基にした系は、効力での利点に加えて、高い効力または特異性(例えば新しい化学剤に対する)を示す新規な酵素の迅速で規模拡大可能な製造を可能にする。適切な遺伝子操作グリカンを有する新規酵素の製造ロットを、1ヶ月以内に製造および販売することができ、cGMP生成までの時間がおよそ6ヶ月になり得る(哺乳動物細胞培養物よりも2〜3倍迅速である)。本発明の植物を基にした生成系は、伝統的な哺乳動物細胞培養物の製造に比較して著しいコスト削減(製造施設の建設コストおよび製造された製品のコストの両方に関係して)も提示する。
したがって本発明は、少なくとも約50%のシアリル化および少なくとも約50%の四量体形成(植物、植物細胞および他の生存細胞、例えば酵母、サッカロマイセスおよびピキアなどの真核微生物細胞および他の動物細胞、例えば哺乳動物細胞などから産生され得る)を呈する、好ましくは少なくとも70%のシアリル化および少なくとも60%の四量体形成を呈する、組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物を包含する。同じく本明細書に包含されるのは、植物、植物細胞、またはその両方(あるいは植物もしくは動物のいずれかにかかわらず任意の生存細胞)からの組換えブチリルコリンエステラーゼの生成方法であって、以下のステップ:a)前記ブチリルコリンエステラーゼを発現することが可能な少なくとも1つのベクターを有する前記植物、植物細胞、またはその両方(または他の生存細胞)を提供するステップ;b)前記ブチリルコリンエステラーゼの合成を誘起し、前記ブチリルコリンエステラーゼでのシアリル化グリカンの作製、四量体形成またはその両方を含む条件で、前記植物、植物細胞、またはその両方(または生存細胞)をインキュベートして、シアリル化および四量体形成のうちの少なくとも一方を呈するブチリルコリンエステラーゼ生成物を形成させるステップ;ならびにc)前記植物、植物細胞、またはその両方(または生存細胞)からステップ「b」の前記ブチリルコリンエステラーゼ生成物を単離するステップ(好ましくは生成物は、少なくとも約50%のシアリル化、より好ましくは少なくとも約70%のシアリル化と、少なくとも約50%の四量体形成、より好ましくは少なくとも60%の四量体形成など、シアリル化と四量体形成の両方を呈する)、を含む、方法である。さらに、前記ブチリルコリンエステラーゼでシアリル化グリカンの作製を誘起する前記条件が、シアル酸合成、ガラクトース転移、およびシアル酸転移のうちの少なくとも1つを発現する遺伝子を、前記生存細胞内に導入することを含み、前記遺伝子発現が、インビボで、または代わりもしくは一過性に、ブチリルコリンエステラーゼシアリル化を生成し、前記ブチリルコリンエステラーゼで四量体形成の生成を誘起する前記条件が、前記生存細胞に内在し、シアル酸合成、ガラクトース転移、およびシアル酸転移のうちの少なくとも1つを発現する遺伝子を、前記生存細胞内に導入することを含み、前記遺伝子発現が、インビボでブチリルコリンエステラーゼシアリル化四量体を作製する、製造方法もまた、本明細書に包含される。加えて、本発明はさらに、ステップ「a」(先に要約された方法から)の前記少なくとも1つのベクターが、ペプチド四量体化を発現し、糖タンパク質シアリル化も発現する、そのような方法をさらに包含する。本発明全体はまた、哺乳動物対象を処置する方法であって、前記処置が、a)少なくとも約50%のシアリル化および少なくとも約50%の四量体形成を呈する組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物を提供するステップ;b)哺乳動物対象内での内部転移のための適切な組成物または配合剤にステップ「a」の前記生成物を導入するステップ;ならびにc)一例として有機リン剤中毒を低減または予防する目的で、静脈内または筋肉内手順により前記哺乳動物対象内にステップ「b」の前記組換えブチリルコリンエステラーゼ含有組成物または配合剤を導入するステップ、を含む、方法も包含する。
本発明に関係する植物を基にした一過性発現分類、さらに一例としてNb類を利用すれば、rBuChEは、得られた純度が99%を超え、予測された比活性および神経剤結合特性を保持する、完全な四量体配座で生成されるだけでなく、そのような結果が種子中の遺伝子修飾により植物作製に伝達されている。したがってそのようなrBuChE生成スキームの作成は、費用効果および信頼性のある再現性および規模拡大性のある形態で提供された。加えて、これに関係する必要な翻訳後修飾も提供する一過性のシアリル化系が、開発された。先に記載された通り、そのようなシアリル化および四量体化の結果は、有機リン系薬剤に対抗する効果的手段を当業界に供給するために有意義である。比較として、純粋な単量体/二量体rBuChE(非シアリル化生成物)は、約30分の血清中半減期を示し、シアリル化された単量体/二量体は、およそ4時間の半減期を示した。しかし本発明の四量体/シアリル化生成物、特にほぼ50%の末端シアル酸占有率のものは、約44時間の血清中半減期を示した。シアル酸占有率の上昇(生成宿主中のグリコシル化経路の修飾により末端シアル酸残基が70%を超えるなど)は、以下の表1に示される通り、対照酵素活性をベースラインとして用いると、静脈内で送達された場合には63時間を超え、筋肉内経路で送達された場合には86時間より多い末端薬物動態半減期を呈する。さらに、rBuChE PK半減期を増大させるための、四量体化とシアリル化との最小限に追加的で、可能ならば相乗的な役割が存在することも明白と思われる。これらの半減期の値は、今日まで報告されたrBuChEの任意の他の組換え形態よりも有意に高い。
そのような結果は、植物を基にした生成スキームにより利用可能な能力が、少なくとも人への静脈内または筋肉内送達では、PK特性に関して十二分に存在することを意味している。以下の表1は、これに関する比較的考察と、本発明の植物を基にした系の予想外に効果的な結果を、類似構造の他の生成手順に対比させて示している。
Figure 0006689742
したがって、四量体形成および高いシアル酸占有率を有する植物を基にした組換え産物は、明らかに、高レベルの酵素および薬剤親和性と薬物動態特性によって神経剤暴露をインビボ防御するための魅力的候補物質となる。
それにより、実際の生成方法論の改善が、この可能性のある経路を実行可能にするのに重要となることが理解された。この目的に向けて、四量体シアリル化rBuChE生成物のコストを削減し、製造能力を強化するために、多重生成により四量体シアリル化rBuChEを生成する能力を示す一組のトランスジェニック植物系統が得られることが、決定された。トランスジェニック宿主を用いた生成、後世代の種子の誘導、および個々の系統のシアリル化能力についての個別のテストなど、そのような植物系統を最適化する能力が、この全体的方法のさらなる魅力を創り出している。例えば4つの遺伝子導入により生成されたrBuChEバッチの分析のうち、3つが70〜73%の末端シアル酸占有率を示し、もう1つが、約50%を示した。そのような測定レベルは、一過性試料での観察と類似していた。遺伝子導入による生成によって、遺伝子操作された植物の種子から生成されたシアリル化レベルが異なる占有率測定を示しながらも一般に静脈内および筋肉内の送達目的で許容され得るレベルであることが、示される。本明細書ではT3系統と称される個々の植物もまた、類似の方法で機能すると思われる。要するに、任意の専門の科学的根拠に依存することなく、植物が魅力的なPK特性を示す四量体化シアリル化rBuChEの優れた組換え形態を生成するための迅速なサージ適合性アプローチを提示することが、理解された。本発明により生成された結果的なrBuChE構造を、哺乳動物の生物体(ハートレー系モルモット)内での実行可能性についてもテストした(先に記載された通り静脈内および筋肉内導入による)。結果は以下の通りであり、静脈内(IV)経路で送達された場合に63.4時間のt1/2を示し、筋肉内(IM)経路で送達された場合に少なくとも86時間のt1/2を示した。同時に得られたデータを、表2にさらに詳述する。
Figure 0006689742
Figure 0006689742
神経剤テストにおいて一過性シアリル化rBuChE生成物の実行可能性を評価するために、同じハートレー系モルモット集団において初期有効性テストも実施した。そのようなテストは、先のSRI薬物動態本試験において用いられたrBuChE生成物の利用を包含し、rBuChEの静脈内送達を利用した短期間投与の有効性についてテストした。植物産生rBuChEは、モルモットモデルにおいて、GD、GBおよびVXに対する有効性を示し、該生成物の翻訳容易性を実証した。
最初に、GDおよびVX神経剤に関して、雄ハートレー系モルモット(300〜350グラム)へのIVカロチドカテーテルを介した本発明の植物を基にした四量体シアリル化BuChE 26.15mg/kgの投与についてのテストを実施した。15分後に、26.15mg/kgを投与された動物に、LD50の3倍のGDまたはVXを、S.C.注射により暴露した(それぞれn=6)。
GB神経剤の場合、対象モルモットの雄ハートレー系モルモット(300〜350グラム)に、IVカロチドカテーテルを介して本発明の植物を基にした四量体シアリル化BuChE 52.3mg/kgを投与した。15分後に、対象動物にLD50の3倍のGBを、S.C.注射により暴露した(n=6)。各試料において、動物全てが24時間生存し、OP中毒の兆候は認められなかった。モルモットにおいてテストされた材料を生成するために用いられた一過性シアリル化方法論と比較して、タンパク質をシアリル化することが可能なトランスジェニック植物を用いて産生されたrBuChEの四量体化とシアリル化が同レベルであったため、遺伝子導入により得られた生成物に関して類似の有効性結果が推測された。
これらのデータから、この方法論が、測定可能なシアリル化を示す生成物の選択的単離よりもむしろrBuChEの全体的単離から、効率的な四量体生成物(60%を超える四量体形成を有する)および高度にシアリル化された生成物(50%を超えるシアリル化を有する)を生成することが示される(Schneider et al.,2014.Plant Biotechnol.J.Mar 11.doi:10.1111/pbi.1218416;Schneider et al Biotechnol J. 2014 Apr;9(4):501−1017)。これらの文献では、トランスフェクトされた葉からの間隙画分(アポプラスト)から得られたrBuChEのみが、40%を超えるシアリル化を示している。さらにこの領域における過去の研究では、rBuChEの非常に低い発現により、精製された材料がいずれもSDS−PAGEゲルにより分析されず、クーマシーブルーまたは他の染色剤により直接視覚化されなかった、とする生成方法が繰り返し示された。そのような過去の研究は、オリゴマー化、特に安定した四量体の形成を実証するデータを提示していない。タンパク質の非常に低い全体的収率と、ER内およびアポプラスト内に配置された非対象にシアリル化された生成物との組み合わせにより、生成された四量体およびシアリル化生成物が全体として極めて低レベルになっている。低い効率レベルと、シアリル化rBuChE材料を均質なレベルに精製することの本質的な難しさが、このタンパク質のPK特性の確定的測定の欠如、およびそのような材料を含む任意のPK分析の欠如に寄与している。加えて、rBuChEの遺伝子導入による発現が、約50%の四量体形成をもたらすことが見出されたが、そのような生成物で得られたt1/2測定値が、特にネイティブ植物産生形態において非常に低かった(約4分)(Geyer et al.,PNAS,November 23,2010,vol,107,no.47,20251−2025611)。有意で生物学的に関連するPK特性を実現するようにレベルを増加させるために、酵素とPEG(5kまたは20k)とのコンジュゲーションが実施された。事実、PEG−rBuChEコンジュゲートは、3〜5時間の初期クリアランスt1/2、23〜58時間のt1/2(5k PEG)、および二相型PKプロットの第二の緩やかなクリアランス相での値については約15時間のt1/2(20k PEG)を示している。これとは逆に、本明細書に開示された一過性の方法は、Ceyerらの一過性の方法に比較して、植物中のrBuChEの四量体形成を有意に改善する手法を提供し、PEG修飾トランスジェニック植物産物と比較して、改善されたPK特性を有するインビボシアリル化生成物を生成する(PEG修飾トランスジェニック生成物の最大58時間と比較して、特にPEG生成物の第二のクリアランス相と比較して、シアリル化四量体植物産物はIVで63.4時間、そしてIMで86時間)。さらに遺伝子導入方法論では、非効率的収率および非常に低い生成物蓄積が示される(基本的に、Ceyer et al.;Castilho et al.,2008;Castilho et al.,2010;Castilho et al.,2011;およびCastilho et al.,2011に開示される通り、経済的視点から不適切である量)。加えて、Ilyushinaら(www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.121111811014)は、遺伝子導入された哺乳動物細胞から70%までの四量体蓄積を示している。哺乳動物が産生した酵素のt1/2は、ネイティブな哺乳動物グリコシル化(シアリル化がない)が存在する場合には、ラットおよびマウスでそれぞれ約15〜16時間と測定されている(Duysen et al.,2002)。Ilyushinaらは、rBuChE四量体を産生および精製するための哺乳動物細胞内でのインビトロポリシアリル化法を開示している。しかしこのエクスビボシアリル化方法論は、植物からインビボシアリル化四量体タンパク質を産生する本発明の方法よりも低効率で高価であり、薬物動態プロファイルに関して魅力が小さかった。CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞からのネイティブ産生rBuChEは、マウスにおいて3〜4時間のt1/2を示す。インビトロシアリル化は、PKプロファイルを16〜23時間に改善する。しかしこれらの時間は、本明細書に開示された植物産生インビボシアリル化rBuChEで観察されたものよりも約3倍短い。これらのデータは、シアリル化四量体rBuChEを生成する一過性植物発現法の優越性を示している。さらに、以下により詳細に開示される通り、一過性発現rBuChEのトランスジェニックシアリル化は、特に規模および製造の経済性に関して、一過性アプローチと同等のシアリル化および四量体化効率を生じる。
さらなる判断材料として、ヒトタンパク質をシアリル化する能力を呈した所有権のある哺乳動物細胞株PerC6がある(Diaz et al.,2009)。しかしそのような研究は、ペプチドの四量体化とPerC6シアリル化との組み合わせを可能にする示唆のレベルに及ばなかった。例えばYim et al.への米国特許第8,729,245号には、四量体サイズによる、大部分の四量体rBuChEの生成に関与する難題が記載されている。同じく、存在するペプチドの四量体化を含む、または含まない哺乳動物細胞産生rBuChEは、四量体と二量体と単量体の形態の混合物で、非常に低収率である。製造工程自体が、非常に複雑であり、得られた半減期は、非常に短期間であり(安定性のためにペグ化が必要)、得られた生成物は、全体的構造が非常に不均質であり(そしてその結果、特徴づけおよびFDA認可の獲得がどちらかといえば困難であり)、非常に高い製造コストになる。結果として、このYimらの開示は、rBuChEの切断された単量体形態が中心で、四量体シアリル化構造ではない。そのような道筋は、表向きは収率、コスト、および最終生成物の特性に関して存在する難題のせいで、この業界の典型となった。したがってYimらの研究は、PerC6細胞内の単量体シアリル化rBuChEの産生に限定された。加えて、そのような開示は、そのような生成物の生化学的特徴づけに限定され、実際の薬物動態挙動に関するものではない。本明細書に記載された本発明から、単量体/二量体シアリル化生成物が生存動物中でかなり低い安定性を示すことが実証されている(表1〜2;16〜17)。加えて、適正なグリコシル化および/またはシアリル化の欠如による二量体/四量体シアリル化生成物の安定性の論争が存在するというYimらの論点が不正確であると、以下に示されている(以下の表16)。それゆえ、本明細書に記載された方法は、ネイティブヒトBuChEと類似の薬物動態活性を有するrBuChEのシアリル化四量体形態を高収率で生成するための当該技術分野で未知の方法を実証した。
したがって本発明の植物を基にした手順により作製された基本的生成物に関して、OP防御への大きな期待が示されている。単糖およびオリゴ糖の同定およびプロファイリングをはじめとする、四量体構造でのシアリル化の程度およびタイプに関係するさらなる試験も、以下に示した。加えて、先に示唆された通り、連続的で拡大可能な生成物製造目的のための植物系統を提供する能力を、全体的信頼性の問題のために検討し、必要な四量体化形態を即座に生成するさらなる能力を、そのような目的に関する本発明の方法の実行可能性を示すために実行した。さらに、そのような四量体化形態でのグリカン形成の能力が、拡大可能かつ反復可能な工程であることが示された。最後に、即座に入手可能で信頼性のある生成手段のためにこの手法で作製された種子系統の能力が立証された。rBuChEを生成するためのこの植物由来の方法は、費用効果のある手法でもある。本質的に、植物を基にした系を利用して規模の経済性を活用すること、および製造工程を最適化することで、最終生成物の有効性を損なうことなく商業的な規模拡大性が可能になる。そのような全体的製造能力および効果的処置を、以下により詳細に示す。
全体的なrBuChE生成システムの植物トランスフェクション手順の技法を示す。 図1の「大規模な」トランスフェクション手順の図を示す 本発明の方法により生成された単量体rBuChEの試料の図を示す。 本発明の生成方法のシアリル化経路を提供するpICH88266の多重遺伝子構築物を組立てるためのレベル1発現カセットの略図である。 シアリル化経路を提供する多重遺伝子構築物pICH88266を組立てるためのレベルM中間構築物の略図である。 シアリル化経路を提供する最終構築物pICH88266の略図である。 BuChE遺伝子を運ぶ一過性ベクターと、pICH88266ベクターを含有するアグロバクテリウム培養物の異なる希釈物との共浸潤の後の、粗植物抽出物中の本発明のブチリルコリンエステラーゼ(rBuChE)活性の測定を示す。 本発明の生成方法におけるシアリル化経路を提供するpICH88266ベクターの異なる希釈物について、rBuChEシアリル化レベルのウェスタンブロット分析を示す。 本明細書に記載された方法の可能な実施形態により生成された本発明のシアリル化四量体生成物の特性の測定を示す。 一過性共発現方法を利用して単量体および四量体rBuChEのシアリル化の実演を示す。 ネイティブ血清由来BuChE生成物のデータを示す。 本発明の内在性シアリル化生成物のために用いられる命名法の叙述を示す。 外因性遺伝子シアリル化の遺伝子導入生成に用いられた方策の叙述を示す。 rBuChEを発現する一過性ベクターがトランスフェクトされたSIAL−NbRNAiΔXF−88266#11植物から産生されたrBuChEの末端シアル酸残基の立体配座の方法の詳細を示す。 T2植物系統におけるシアリル化rBuChEの発現のブロット結果を示す。 血漿由来BuChEを用いた、植物産生の遺伝子導入でシアリル化されたrBuChEへの様々なOP神経剤、GA、GB、GD,GF、VXおよびVRの結合をテストすることに関係した結果の叙述を示す。 各変異体の単一静脈内用量25mg/kgを投与された雄ハートレー系モルモットからの血漿中rBuChE活性を示す。 単一IVまたはIM用量25mg/kgを投与された雄ハートレー系モルモットの血漿中のrBuChE活性を示す。 単一IVまたはIM用量25mg/kgを投与された雄ハートレー系モルモットの血漿中のrBuChE活性を示す。
好ましい実施形態および図の詳細な説明
以下の記述および添付の図の説明は、特に本発明の可能な実施形態に関係する情報を提供することを意図するものである。本発明全体の大きさおよび範囲の限定のいずれも、本明細書に提供された開示により解釈されるべきではない。
本明細書で用いられる以下の用語は、以下の通り理解されるものとする:
「トランスフェクトする」または「トランスフェクション」または類似の言語は、細胞(ネイティブまたは非ネイティブのいずれかにかかわらず)の中での遺伝子材料の発現を可能にするための、そのような細胞内の核酸の計画的導入を意味するものとする;
「ベクター」または「複数のベクター」または類似の言語は、外来遺伝子材料を細胞(ネイティブまたは非ネイティブのいずれかにかかわらず)内に転移することで細胞内部での遺伝子発現を可能にするビヒクルとして働くDNA分子(例えばプラスミドなど)を意味するものとする;
「発現」または「遺伝子発現」または類似の言語もしくは複数の言語は、次の機能的遺伝子産物を合成するために遺伝子からの情報を伝達する工程を意味するものとする;
「内在性」は、細胞、組織または生物体内を起源とすることを意味する;
「トランスジェニック」または「遺伝子導入」または類似の言語は、後に生物体の子孫に伝達される新しい特性の移行のために生存生物体に遺伝子を導入する工程を意味するものとする。なお、本明細書に記載された遺伝子導入方策の全てに、遺伝子発現を可能にするベクターの利用が含まれた。
実施例1:NbRNAiDXF植物中の単量体/二量体rBuChEの生成
本発明の生成系は、一過性の植物ウイルスに基づく生成系を含むアグロバクテリウム株の植物への浸潤により開始された一過性で最小のウイルスに基づく系を用いる。その技術および応用は、数多くの刊行物に記載されている。この一過性の系(図1)は、新鮮なバイオマス1キログラム(kg)あたりに可溶性タンパク質総量が1グラム(g)を超えるレベルで、サイトカイン、インターフェロン、細菌およびウイルス抗原、成長ホルモン、ワクチン抗原、一本鎖抗体、ならびにモノクローナル抗体(mAb)をはじめとする数多くの異種タンパク質の発現の実証によって、多様性が立証された。
図1に示された通り、T−DNAボーダーにより挟まれたウイルスベクター(遺伝子成分および外来遺伝子(緑色蛍光タンパク質GFP)の挿入が記載された拡大図に示す)を含むプラスミドが、左上図に示されている。このプラスミドをアグロバクテリウム株にトランスフェクトして、全植物に浸潤するために発育および使用し、植物の全ての葉をベクターで同時感染させた。アグロバクテリウムは、T−DNAを植物細胞核に送達し、そこで植物のポリメラーゼが感染性ウイルスベクターの転写産物を産生し、細胞質に輸送した後、高レベルまで複製して、左下図に認められる通り、隣接する細胞に感染を拡大して浸潤された葉全体で高レベルの組換えタンパク質(GFP)を産生するために、移行タンパク質を独立して産生する。
さらに、用いられたベクターは、2種の異なる植物ウイルスゲノム:TMV関連ウイルスであるターニップベインクリアリングトバモウイルス(TVCV;図1)またはポテトウイルスX(PVX)から構築される。ウイルスRNA複製のために必要な遺伝子全てをコードするウイルスレプリコンのcDNAを、アグロ浸潤工程によって開始され、そこでは最初、導入されたアグロバクテリウム細菌ベクターにより運搬されるウイルスベクターを、トランスフェクト植物全体の多くの細胞に導入する。その後、ベクターを、トランスファーまたはT−DNA領域からの転写により「活性化」し、インビボでウイルスRNAを産生し、それをウイルスコード化タンパク質を介してRNA増幅のために細胞質に輸送する。これらのベクターは、トバモウイルスを基にしたベクターおよびそのトリプルブロック産物からの移行(30K)タンパク質、ならびにポテックスウイルスを基にしたベクターのためのコートタンパク質を含む細胞移行に必要なタンパク質をコードする。これらのタンパク質は、接種された葉の中でウイルスベクターゲノムを部分的に移動させて細胞の大部分を感染させ、5〜10日という短期間で所望のタンパク質生成物の生成部位になる。植物の空気中の部分は、一般に接種後(dpi)6〜8日までに回収され、所望の生成物について抽出される。一過性のrBuChE産生の場合、アグロバクテリウム細胞株中で異なるTVCVおよびPVXベクター(オオムギαアミラーゼシグナルペプチドに融合された全長BuChEヒト遺伝子(pBCHEKBP007;TVCVベクター))が用いられる。この実施例は、野生型rBuChEの発現、蓄積、精製および特徴づけを詳述しているが、これらの方法は、コカイン解毒のために最適化されたものなど、任意のBuChE変異体に適用し得る(Zheng et al.,201417)。野生型rBuChEの発現は、pBCHEKBP007構築物単独のトランスフェクションにより実施されて、単量体rBuChE生成物を生じる。
植物における単量体rBuChEの一過性発現の場合、ニコチアナ・ベンタミアナ(Nb)植物に、ウイルス発現ベクターをコードするプラスミドを含むアグロバクテリウム株を浸潤させる。Nb植物を、22〜24℃の密閉された生育ルーム内で24〜26日間生育させて、真空浸潤法に用いた。rBuChE(ベクターID:pBCHEKBP007)のために一夜生育されたアグロバクテリウム培養物を、浸潤緩衝液(10mM MES、10mM MgSO、pH5.5)中で混合した。ベクターpBCHEKBP007を1:1000(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈した。産生は、野生型およびトランスジェニックNb植物系統中で実施され、RNAi技術を利用して、キシロースおよびフコースの両方のトランスフェラーゼ活性をノックダウンした(NbRNAiΔXF)。NbRNAiΔXF植物から得られたタンパク質は、高度に均質な哺乳動物グリコフォームを示し、内在性および組換えタンパク質のほとんどが、いかなる植物特異性フコースまたはキシロース残基を含まない。浸潤溶液を、ケンタッキー・バイオプロセシングによる注文製の真空(浸潤)チャンバーに移した(図2に示す)。植物全体の空気中の部分を、さかさまにして細菌/緩衝溶液に沈め、24水銀柱インチの真空を2分間適用して開放した。回収植物のバイオマス80kgの場合、浸潤溶液280Lが、ベクターpBCHEKBP007 280mLを要しながら生成された。浸潤後に、植物を標準生育条件下の生育ルームに戻した。植物全体の空気中の部分の回収を、7dpi(浸潤後日)に行った。
図2にさらに示された通り、プラスミドベクター(左上)を特徴づけて、MCBおよびWCB誘導体化および特徴づけのためにアグロバクテリウム株に形質転換する。WCBを、浸潤のために増幅し、特別に設計されたふたを有するトレイに植物を播種して生育させ、土壌および根の成分のためのバリアを設けた。適切なサイズに植物が生育した後、トレイがコンベヤに載せられて、真空規格のチャンバーに入る(右上にドア開放前および後と中身のない様子が示される)。コンベアは、180°回転してチャンバーに入り(右下)、植物をアグロバクテリウム含有溶液に沈めて、真空を適用して開放する。植物をチャンバーから取り出し、余分な溶液を排出して、右上の位置に回転させ、続いて生育のため、そして生成物の蓄積、抽出および精製のために温室に移す(左下)。
さらに、得られた単量体/二量体rBuChEを精製するために、規模拡大可能な抽出、透明化、および非親和性精製の方法論を開発した。リン酸緩衝液の存在下、感染したバイオマスの機械的分解を利用して、酵素抽出を完遂した。最初の抽出物を、pH変化と、その後のプレート/フレームフィルタープレスおよび珪藻土フィルターエイドを用いた深層ろ過を利用して透明化させた。カプト・アドヒア(商標)マルチモーダル樹脂(GEヘルスケア)を用いて透明化された抽出物からrBuChEを捕捉し、pH低下を利用して溶出を完遂した。その後、捕捉ステップからの溶離液を低導電率まで希釈して、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)I型マルチモーダル樹脂(バイオラッド・ラボラトリーズ)に加えた。塩化ナトリウム勾配の上昇を利用してCHTからrBuChEを溶出し、高濃度のリン酸ナトリウムを使用して宿主タンパク質をカラムから剥離させた。CHT溶離液を1%v/vトリトンX−114と共にインキュベートした後、加熱して、エンドトキシンの大部分を含む沈殿した洗浄剤の相を生成させた。その後、水相(上清)を洗浄剤相から取り出し、最終的な研磨に備えて低導電率まで希釈した。rBuChEをカプトQ(商標)強陰イオン交換樹脂(GEヘルスケア)に結合させ、その後、緩衝液で大規模に洗浄してカラムから洗浄剤を完全に洗い流すことにより、残留する洗浄剤を除去した。カプトQからのrBuChEの溶出は、塩化ナトリウム勾配の上昇を利用して完遂した。その後、カプトQ溶離液をアルギニン含有リン酸緩衝生理食塩水に透析ろ過し(difiltered)、次にタンジェンシャルフロー限外ろ過を利用してほぼ25mg/mLに濃縮した。0.2μmろ過を利用して原薬物質を滅菌して、2〜8℃で貯蔵した。
したがって本発明の手順は、rBuChEにおける四量体形成を実現するための多重遺伝子発現方策と、他の実施例に示されたようなインビボでの生成物のシアリル化をもたらす宿主修飾とを統合しながら、発表されたトランスジェニック植物のアプローチよりも数倍高いレベルでrBuChEを発現するNb宿主植物と共に、この植物の一過性発現技術を利用することを含む。この技術の系は、遺伝子発現を開始するための、Nb植物への、DNA発現ベクター含有アグロバクテリウム株の規模拡大可能な浸潤に依存する。この系を用いて、95%純度を超える単量体/二量体rBuChEを1グラム量ロットよりも多く生成した。この酵素(約1.5グラム/ロットを生成)は、図3に示された通り、米国陸軍化学防衛医学研究所(U.S.Army Medical Research Institute of Chemical Defense)により提供されたトランスジェニックヤギ供給源から精製された陽性対照材料と類似の、高い酵素活性を示す。特にこの図は、本明細書に記載された植物由来の工程を通して生成された単量体rBuChEの1グラムを超える生成ロットからの試料が、Aに示された通り95%を超える純度を呈することを示している。全ての非全長のバンドは、生成物の起源を示す抗BuChE抗体に対して免疫応答性がある。その生成物のオリゴマー状態をBに示しており、64%を超える単量体構造が実証されている。対照と比較した本発明の生成物の比活性をCに示しており、同じくそのようなヤギ由来生成物と同等の結果であることが示される。
実施例2:一過性シアリル化ベクターの作製
シアル酸を合成してガラクトースおよびシアル酸を植物ゴルジ体内の末端N結合グリカン構造に転移させるために、該タンパク質をコードする遺伝子を含むように、多重遺伝子構築物を設計および構築した。図4A、4B、および4Cは、本発明の一過性ベクター作成手順の様々な例を示している。図4Aでは、合成およびN−グリカンへのシアル酸転移に必要な遺伝子の発現のための6つと、トランスジェニック植物の作製のための1つの選択マーカと、の7つの発現カセットからなるプラスミド構築物pICH88266を示している。各発現カセットは、プロモータと、5’非翻訳領域(5’UTR)と、タンパク質コード配列(CDS)と、ターミネータとからなる。様々な構造は以下の通り定義される:Act2 − アラビドプシス・アクチン2遺伝子のプロモータ;Act2ter − アラビドプシス・タリアナ・アクト2遺伝子の転写終結配列;CMP−SAS − ホモサピエンスN−アシルノイラミナートシチジリルトランスフェラーゼ遺伝子;SPM − ジーメイズ・Spm転移性要素MP遺伝子のプロモータ;GCRPter − アラビドプシス・タリアナGCRP(G共役受容体タンパク質)遺伝子転写終結配列;BAR − ストレプトマイセス・ヒグロスコピクスのホスフィノトリシンN−アセチルトランスフェラーゼ遺伝子;Ω − タバコモザイクウイルスの5’−非翻訳リーダー配列(オメガと呼ばれる);NOS − アグロバクテリウム・ツメファシエンス・ノパリンシンターゼ(nos)遺伝子のプロモータ;NOSter − アグロバクテリウム・ツメファシエンス・ノパリンシンターゼ(nos)遺伝子の転写終結配列;GNE − UDP−N−アセチルグルコサミン−2−エピメラーゼ/N−アセチルマンノサミンキナーゼをコードするムス・ムスキュラス遺伝子;35Ster − カリフラワーモザイクウイルス35S遺伝子転写終結配列;SAS− N−アセチルノイラミン酸9−ホスファートの合成を触媒するホモサピエンスシアル酸シンターゼ遺伝子;34S − フィグワートモザイクウイルスの34Sプロモータ;Rbcs1ter − アラビドプシス・タリアナRbcs1(リブロース−1,5−ビスホスファートカルボキシラーゼ小サブユニット)遺伝子転写終結配列;CST − ムス・ムスキュラスCMP−シアル酸トランスポータ(CST)遺伝子;At Rbcs1B − アラビドプシス・タリアナのRbcs1(リブロース−1,5−ビスホスファートカルボキシラーゼ小サブユニット)遺伝子のプロモータ;LHB1B2 − アラビドプシス・タリアナのLHB1B1(集光性クロロフィルタンパク質複合体IIサブユニットB1)遺伝子のプロモータ;rST − ラツス・ノルベギクスβ−ガラクトシドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ1遺伝子;GAL − ホモサピエンスβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子;AGSter − アグロバクテリウム・ツメファシエンスのTi−プラスミドからのアグロシノピンシンターゼ(AGS)遺伝子転写終結配列;STLS − ソラヌム・ツベロスムSTLS(光誘導性組織特異性)遺伝子のプロモータ;g7ter − アグロバクテリウム・ツメファシエンスT−DNAからの遺伝子7転写終結配列;rST-。
構築物の組立ては、多重遺伝子構築物のためのモジュラークローニング(Weber et al.,201115、ならびにWerner et al.,2011および201216内に示される)と併せてゴールデンゲートクローニング技術(Engler et al.,2008に示される)を用いて実施した。最初、全ての基本的要素を、Bsa1認識部位を含むレベル0ベクター内でクローニングして、各タイプのモジュールに特異的な4bpオーバーラップ(例えば、CDSモジュールの場合AATGおよびGCTT)を作製した。その後、ゴールデンゲート制限/ライゲーション手順を利用して、レベル0モジュールをレベル1発現カセットに組立てた。レベル1ベクターを、7つの位置のうちの1つに特異的なBpi1認識部位により骨組みをつくり、最終的な構築物中の発現カセットの順序を画定する。2つのさらなる位置は、トランスジーン挿入部位の分析を容易にする開始および末端配列の2つの約400bpランダム配列に含まれた。モジュラークローニングシステムは、1つが1つの反応で6つのレベル1構築物を組立て得るように、設計される。7つの遺伝子および2つのランダム配列(即ち、9つのレベル1ベクター)が、最終的な構築物に必要なため、組立てを2つのステップで実施した。両末端のBAR遺伝子発現カセットおよびランダム配列を、他の遺伝子の組立て前にデスティネーションベクターに導入した。
最初のステップにおいて、レベル1構築物を、それぞれ2つのレベルMベクター内でのBpi1ゴールデンゲート反応を介して組立て(図4B)、適合性のあるEsp3I部位により骨組みを作る。したがって最後の反応において、2つのレベルM構築物が、レベルPベクター内で組立てられて、構築物pICH88266を与える(図4C、上)。
pICH88266用に用いられた以下の基本的要素を、表3に表す。
Figure 0006689742
実施例3:組換えにより植物で産生されたタンパク質の一過性シアリル化工程のテスト
rBuChE(ウイルス発現ベクター)をシアリル化経路ベクターpICH88266と一過性に共発現させる場合には、通常、後者のベクターを抱えるアグロバクテリウムの一夜培養物の1:10希釈物が用いられる。ウイルス発現ベクターは、上記の技術に基づいており(Gleba, et al.,2005;Gleba et al.,200710);バイナリーベクターは、タバコモザイクウイルス(TMV)またはポテトウイルスX(PVX)からの要素を用いてアイコン・ジェネティクスにより開発されている(Giritch et al.,2006)。pICH88266がウイルスベクターでなく、感染細胞からの拡散(短距離移動)が可能でないことを考慮すれば、植物の大規模浸潤のために、pICH88266を含むアグロバクテリウム培養物が多量に必要となろう。少量のアグロバクテリウムを使用する可能性を検討するために、BuChEウイルス発現ベクターとの共発現に用いられるベクターpICH88266を抱えるアグロバクテリウム培養物のより高希釈のものを用いた実験を実施した。一夜培養物(OD600で約2)の1:10、1:25、1:50、1:100、1:500および1:1000希釈物を、rBuChEのシアリル化をもたらすことに関して比較した。
ニコチアナ・ベンタミアナの野生型植物に、1:1000希釈のBuChEウイルス発現構築物(pICH92631)を抱えるアグロバクテリウム、およびシアリル化経路構築物pICH88266の異なる希釈物を浸潤させた。精製の前に、浸潤7日後の植物組織から回収された粗植物抽出物(1mM EDTAを補充された0.2Mクエン酸緩衝液pH6 0.3ml中に抽出された植物組織100mg)を、エルマンアッセイ(Ellman,1961)を利用してBuChE活性について予備テストした。予備テストの結果を、図5に示す。この図5において、示されたテスト対象は、以下の通りである:非浸潤 − 任意のベクターを有さない植物組織;w/o pICH88266 − BuChEを発現する一過性ベクターのみが浸潤された植物組織;他の列は、BuChEを発現するウイルスベクターと、ベクターpICH88266の異なる希釈物(一夜培養物の10倍〜1000倍希釈物)とが共浸潤された植物組織に対応する。
この予備テストの後、HisタグBuChEを、Ni−NTAクロマトグラフィーを用いて異なる試料から精製した。シアル酸の検出のために、同等量の精製BCHE(それぞれ約2μg)を、SDSを補充されたポリアクリルアミドゲルで分離し、PVDF膜にブロットして、ビオチン化SNAレクチン(グリカンへのシアル酸のα−2,6結合中で優先的に末端ガラクトースに付着したシアル酸に結合し、より少ない程度にα−2,3結合中で結合する、サムブクス・ニゲラのレクチン;ベクター・ラボラトリーズ、英国ピーターバラ所在)およびストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(ライフ・テクノロジーズ、ドイツ ダルムシュタット所在)でプローブした。シアリル化rBuChEの検出を確認するために、膜を剥離させて、ヤギ抗BCHEポリクローナル抗体(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー、ドイツ ハイデルベルグ所在)および抗ヤギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(シグマ・アルドリッチ、USAセントルイス所在)でリプローブした。rBuChEのシアリル化は、テストした希釈物全てで検出されたが、1:10〜1:100希釈物でより強くなった。加えて、rBuChEシアリル化に対応するタンパク質サイズのシフトが、1:10〜1:100希釈物で目視できた。ウェスタンブロット分析の結果を、図6に示す。この図において、上のパネルは、pICH88266を輸送するアグロバクテリウムの異なる希釈物と共浸潤された葉から単離された精製rBuChEのウェスタンブロットを示している。このブロットを、シアル酸の検出のために、ビオチン化SNAレクチン(サムブクス・ニゲラのレクチン;ベクター・ラボラトリーズ、英国ピーターバラ所在)およびストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(ライフ・テクノロジーズ、ドイツ ダルムシュタット所在)でプローブした。下のパネルは、ヤギ抗BuCHEポリクローナル抗体(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー、ドイツ ハイデルベルグ所在)および抗ヤギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(シグマ・アルドリッチ、USAセントルイス所在)でリプローブされた同じブロットを示している。
これらの結果から、pICH88266を含むアグロバクテリウムの1:100までのより高希釈のものを基本的に用いることができたが、その結果が定量的でなかったことが示される。それゆえ、1:10、1:25、1:50および1:100のpICH88266希釈物を用いた試料のMALDI分析を実施した。遊離グリカンの分析から、分析された全ての希釈物について、類似量のシアリル化が示された(1:10希釈物:46%;1:25希釈物:49%;1:50希釈物:57%;1:100希釈物:42%。詳細を以下の表4により効果的に示す)。結論として、pICH88266を抱えるアグロバクテリウムの1:50または1:100希釈物を、BCHEの大規模生成に用いることができる。
Figure 0006689742
実施例4:一過性シアリル化法を利用したΔXTFT N.ベンタミアナ(80kg 植物バイオマス)におけるrBuChEの一過性シアリル化四量体形態の産生
rBuChEのシアリル化を、(a)一過性または(b)遺伝子導入方策、のいずれかを利用して実現することができる。一過性方策(a)は、適切なアグロバクテリウム株中のpICH88266植物発現ベクターを伴う、pBCHEKBP007単独でのコトランスフェクション、またはポリプロリン接着ドメイン(PRAD)ペプチド発現ベクターと一緒のコトランスフェクションを含む(それぞれ単量体または四量体生成物に関して先に記載)。PRADペプチドを、ヒトおよびウマBuChEと関連して同定した(Duysen et al.,2002;Li et al.,200812;Ilyushina et al.,201311)。哺乳動物細胞中の実験から、PRADペプチドの共発現が高レベルの四量体化rBuChEを生成し得ることが示唆される。しかし今日まで、哺乳動物細胞中で効率的に四量体化されたシアリル化rBuChEを生成した人はいなかった(上記の参考資料参照)。以下に記載される方法から、rBuChEによるPRAD共発現が、一過性および遺伝子導入的方法論の効率によりシアリル化され得るrBuChE四量体形成を、60%を超える高割合でもたらすことが実証される(シアリル化された結合の約70%)。
pICH88266プラスミドは、シアル酸をBAR選択マーカ遺伝子と共に植物ゴルジ体中で、合成させ、機能化させて、発生期グリカン株に転移させることが可能な、7つの遺伝子の発現構築物を含む。
四量体rBuChEを生成するために、PRADまたは四量体化ペプチドを発現する一過性ベクターのコトランスフェクションをテストした。以下のPRAD配列(アミノ酸)を用いて、植物体において発現する遺伝子構築物を生成した。
1.MANKHLSLSLFLVLLGLSASLASGAPSPPLPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPLP
2.MANKHLSLSLFLVLLGLSASLASGACCLLMPPPPPLFPPPFF
3.MANKHLSLSLFLVLLGLSASLASGACCLLMPPPPPLFPPPFFDYKDDDDK
4.mankhlslslflvllglsaslasgAQPTFINSVLPISAALPGLDQKKRGNHKACCLLMPPPPPLFPPPFF
4つの遺伝子全てを、Nbコドンバイアスに向けて最適化し、合成した。これらのうち、PRADペプチド1(ラメリポジン由来)およびPRADペプチド4(コラーゲン様CoIQ由来)は、PVX一過性ベクターへのクローニングに成功した。不幸にもタンパク質2および3をコードするPRADペプチド構築物は、クローニングに成功しなかった。両方の構築物が、四量体様のタンパク質を生成し、PRADペプチド4が、時間的制約のため、連続テスト用に選択された。
植物における四量体−シアリル化rBuChEの一過性発現のために、上記のトランスフェクション手順をわずかに改変して用いた。22〜24℃の密閉生育ルーム内で24〜26日生育させた植物を、真空浸潤に用いた。rBuChEのための一夜生育させたアグロバクテリウム培養物(ベクターID:pBCHEKBP007)と、CoIQからの四量体化ペプチド(ベクターID:テトラ4[他の試験で同様に働くことが示されたCoIQおよびラメリポジンの両方のベクター])と、シアリル化経路(ベクターID:pICH88266)とを、浸潤緩衝液(10mM MES、10mM MgSO、pH5.5)中で混合した。ベクターpPBCHKBP007を1:1000(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、テトラ4を1:200(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、pICH88266を1:10(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈した。浸潤溶液を注文製(ケンタッキー・バイオプロセシング、ケンタッキー州オーウェンズボロ所在)の真空チャンバーに移した。植物全体の空気中の部分を、さかさまにして細菌/緩衝溶液に沈め、24水銀柱インチの真空を2分間適用して開放した。回収植物のバイオマス80kgの場合、浸潤溶液280Lが、ベクターpBCHEKBP007 280mL、ベクターテトラ4 1.4LおよびベクターpICH88266 28Lを要しながら生成された。浸潤後に、植物を標準生育条件下の生育ルームに戻した。植物全体の空気中の部分の回収を、7dpi(浸潤後日)に行った。
四量体rBuChEを精製するために、規模拡大可能な抽出、透明化、および非親和性精製の方法論を開発した。リン酸緩衝液の存在下、感染したバイオマスの機械的分解を利用して、酵素抽出を完遂した。最初の抽出物を、pH変化と、その後のプレート/フレームフィルタープレスおよび珪藻土フィルターエイドを用いた深層ろ過を利用して透明化させた。カプト・アドヒア(商標)マルチモーダル樹脂(GEヘルスケア)を用いて透明化された抽出物からrBuChEを捕捉し、pH低下を利用して溶出を完遂した。その後、捕捉ステップからの溶離液を低導電率まで希釈して、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)I型マルチモーダル樹脂(バイオラッド・ラボラトリーズ)に加えた。塩化ナトリウム勾配の上昇を利用してCHTからrBuChEを溶出し、高濃度のリン酸ナトリウムを使用して宿主タンパク質をカラムから剥離させた。CHT溶離液を1%v/vトリトンX−114と共にインキュベートした後、加熱して、エンドトキシンの大部分を含む沈殿した洗浄剤の相を生成させた。その後、水相(上清)を洗浄剤相から取り出し、最終的な研磨に備えて低導電率まで希釈した。rBuChEをカプトQ(商標)強陰イオン交換樹脂(GEヘルスケア)に結合させ、その後、緩衝液で大規模に洗浄してカラムから洗浄剤を完全に洗い流すことにより、残留する洗浄剤を除去した。カプトQからのrBuChEの溶出は、塩化ナトリウム勾配の上昇を利用して完遂した。その後、カプトQ溶離液をアルギニン含有リン酸緩衝生理食塩水に透析ろ過し、次にタンジェンシャルフロー限外ろ過を利用して少なくとも25mg/mLに濃縮した。0.2μmろ過を利用して原薬物質を滅菌して、2〜8℃で貯蔵した。最終生成物の特性を、図7に示す。
しかしこの状況において、一過性シアリル化システムを用いて、またはトランスジェニック植物(非限定的な例として以下の実施例5のものなど)の中での、PRADペプチドでの一過性rBuChE発現を含む本明細書に記載された植物を基にした方法論が、トランスフェクト植物細胞全体に蓄積した高シアリル化生成物を生成し、それが選択的ではないが即座に単離され得ることが、決定された。したがって本発明の技術的な新発見は、実行可能性、拡大可能性、および信頼性に関して非常に予想外であっただけでなく、OP処理分析のための詳細な動物試験に十分な材料を生成するためにより効率的でもあり、さらに高度な費用効果もある、ということである(全体的生成コストを血清由来酵素BuChE生成物と比較して10〜100倍削減する可能性がある)。
実施例5:一過性シアリル化法を利用したΔXTFT N.ベンタミアナ(80kg 植物バイオマス)におけるrBuChEの一過性シアリル化単量体形態の産生
植物における単量体−シアリル化rBuChEの一過性発現のために、上記のトランスフェクション手順をわずかに改変して用いた。22〜24℃の密閉生育ルーム内で24〜26日生育させた植物を、真空浸潤に用いた。rBuChEのための一夜生育させたアグロバクテリウム培養物(ベクターID:pBCHEKBP007)と、シアリル化経路(ベクターID:pICH88266)とを、浸潤緩衝液(10mM MES、10mM MgSO、pH5.5)中で混合した。ベクターpPBCHKBP007を1:1000(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、pICH88266を1:10(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈した。浸潤溶液を注文製の(ケンタッキー・バイオプロセシング、ケンタッキー州オーウェンズボロ所在)真空チャンバーに移した。植物全体の空気中の部分を、さかさまにして細菌/緩衝溶液に沈め、24水銀柱インチの真空を2分間適用して開放した。回収植物のバイオマス80kgの場合、浸潤溶液280Lが、ベクターpBCHEKBP007 280mL、およびベクターpICH88266 28Lを要しながら生成された。浸潤後に、植物を標準生育条件下の生育ルームに戻した。植物全体の空気中の部分の回収を、7dpi(浸潤後日)に行った。
単量体シアリル化rBuChEを精製するために、規模拡大可能な抽出、透明化、および非親和性精製の方法論を開発した。リン酸緩衝液の存在下、感染したバイオマスの機械的分解を利用して、酵素抽出を完遂した。最初の抽出物を、pH変化と、その後のプレート/フレームフィルタープレスおよび珪藻土フィルターエイドを用いた深層ろ過を利用して透明化させた。カプト・アドヒア(商標)マルチモーダル樹脂(GEヘルスケア)を用いて透明化された抽出物からrBuChEを捕捉し、pH低下を利用して溶出を完遂した。その後、捕捉ステップからの溶離液を低導電率まで希釈して、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)I型マルチモーダル樹脂(バイオラッド・ラボラトリーズ)に加えた。塩化ナトリウム勾配の上昇を利用してCHTからrBuChEを溶出し、高濃度のリン酸ナトリウムを使用して宿主タンパク質をカラムから剥離させた。CHT溶離液を1%v/vトリトンX−114と共にインキュベートした後、加熱して、エンドトキシンの大部分を含む沈殿した洗浄剤の相を生成させた。その後、水相(上清)を洗浄剤相から取り出し、最終的な研磨に備えて低導電率まで希釈した。rBuChEをカプトQ(商標)強陰イオン交換樹脂(GEヘルスケア)に結合させ、その後、緩衝液で大規模に洗浄してカラムから洗浄剤を完全に洗い流すことにより、残留する洗浄剤を除去した。カプトQからのrBuChEの溶出は、塩化ナトリウム勾配の上昇を利用して完遂した。その後、カプトQ溶離液をアルギニン含有リン酸緩衝生理食塩水に透析ろ過し、次にタンジェンシャルフロー限外ろ過を利用して少なくとも25mg/mLに濃縮した。0.2μmろ過を利用して原薬物質を滅菌して、2〜8℃で貯蔵した。
最終的な精製産物へのSNA反応性は、単量体タンパク質生成物と四量体タンパク質生成物の両方で類似していた。これらのデータから、一過性シアリル化生成物の潜在的有効性と、新しいトランスジェニック植物株からのシアリル化増加の可能性が裏づけられる。これらのデータは、トランスジェニック植物製造方策を利用すれば、かなりの量のインビボシアリル化が可能であることを示唆している(図8など)。図8は、一過性コトランスフェクション法を利用した単量体および四量体rBuChEのシアリル化の実演を示している。この手法では、Nb植物をpBCHEKBP007およびpICH88266とコトランスフェクトし、単量体生成物のためにrBuChEおよびシアリル化経路をコード化し、そして四量体生成物の生成のためにpBCHEKBP007およびpICH88266と、CoIQ PRADペプチドを発現するPVX一過性ベクターとをコード化した。シアリル化は、シアル酸末端グリカンに結合するサムブクス・ニゲラのレクチンを利用したサンドイッチウェスタンブロットにより決定し、rBuChEもまた、抗BuChE抗血清により測定した。各シアリル化単量体および四量体の純度は、関連のタンパク質に関する生成物の95%を超えていた。シアリル化単量体および四量体の比活性は、それぞれ338および392U/mgと測定された。SECクロマトグラフィーからも、rBuChE生成物が四量体形態の60%を超えることが示された。近年の製造ロットに関する純度、オリゴマー状態、および活性を決定する方法は、図7に示されたもの、ならびに単量体および/または二量体生成物(複数可)の予測結果と類似していた。
ネイティブ血清由来BuChEを、図9に示す。これらのデータは、高レベルの内在性シアリル化残基を示している(このデータの記載目的に用いられる命名法については図10参照)。トリプシンペプチドを用いた一過性シアリル化系、およびMS/MS法を利用したグリカン分析を利用して生成された単量体rBuChEのグリカン組成について、分析を実施した。pBCHEKBP007ベクターを利用した一過性シアリル化工程(a)の利用により、グリカン全ての45%を超える著しく高レベルのシアリル化が示され、末端グリカン構造上に1つまたは複数のシアル酸残基が示される(表4に示す)。これは、ヒトプラスミドBuChE中で観察された全シアリル化のおよそ60%である。単量体rBuChEと四量体rBuChEとで類似していたSNA強度から、単量体および四量体生成物において類似量のシアリル化が示唆される。
実施例6:一過性シアリル化単量体/二量体rBuChEのグリカン分析
ジアリル化(dialylated)単量体タンパク質のグリカン分析を、記載された通り実施した:酵素消化物の分離のためのLC/MS設定は、ギ酸(FA)移動相およびアセトニトリル勾配溶出での1mm×150cmのC18逆相カラムを利用したキャピラリーHPLCからなる。ペプチドおよびグリコペプチドイオンの検出は、飛行時間型(QTOF)質量分析装置の四重極時間における質量検出によるものである。得られたグリコペプチドイオンスペクトルのトリプシンマップを利用して、予測された質量に対する観察されたイオン質量の比較により、特異的グリカン構造を同定する。トリプシン消化物から得られた予測されたペプチドを、N−結合グリコシル化について分析した。ロット13B003、ロット13B005、単量体シアリル化rBuChE、およびCHT溶離液の基本的ピークトリプシンマップを決定した。トリプシンマップは、顕著な差異を有する。単量体シアリル化rBuChEおよびCHT溶出液を、ロット13B003および13B005から別個に分析した。13B003および13B005ロットについては、早期に溶出するグリコペプチドを捕捉するための最適な勾配を用いて分析した。該試料は、同じ勾配を用いて分析すると、同等であった。
BuChEは、9つの潜在的N−結合部位を有し、本試験は、表5および6に示されたN−結合部位の5つにおけるグリカン種の同一性および定量に絞って行った。Asn17、Asn57、Asn256、Asn341およびAsn455が、分析の対象であった。得られたトリプシンペプチドを、表4(全ての部位で同定された全ての構造)および表9(主要なグリカン構造を示し、各部位での占有率を報告している)に示している。5つの分析されたAsnから得られたグリコペプチドに関連するシアリル化、非シアリル化およびグリコシル化の平均レベルを、表5に示している。5つの部位それぞれの主なグリカン構造の占有率を、表5および6に示している。比較として、血清由来BuChEに関連するグリカン構造を、図9に示している。表5および6の場合、植物由来グリカン構造の命名法は、図10に記載している。Asn106、Asn481およびAsn486に関連するペプチドおよび構造を分析する上で、困難に見舞われた。
ネイティブ血清由来BuChEを、図9に示している。これらのデータは、高レベルの内在性シアリル化残基を示している。その後、トリプシンペプチドを利用した一過性シアリル化システムおよびLC MS/MS法を利用したグリカン分析を用いて、生成された単量体rBuChEのグリカン組成物の分析を行った。pBCHEKBP007ベクターを用いた一過性シアリル化工程(a)の利用により、著しく高レベルのシアリル化が示される(全グリカンの70%を超える構造が、末端グリカン構造上に1つまたは複数のシアル酸残基を示す)(表5および6)。これは、ヒト血漿BuChEで観察された全シアリル化のおよそ70%である。単量体rBuChEと四量体rBuChEとの類似のSNA強度から、単量体生成物と四量体生成物とで類似量のシアリル化が示唆される。
透析された単量体タンパク質のグリカン分析を、記載された通り実施した:酵素消化物の分離のためのLC/MS設定は、ギ酸(FA)移動相およびアセトニトリル勾配溶出での1mm×150cmのC18逆相カラムを用いたキャピラリーHPLCからなった。ペプチドおよびグリコペプチドイオンの検出は、飛行時間型(QTOF)質量分析装置の四重極時間における質量検出によるものである。得られたグリコペプチドイオンスペクトルのトリプシンマップを利用して、予測された質量に対する観察されたイオン質量の比較により、特異的グリカン構造を同定する。トリプシン消化物から得られた予測されたペプチドを、N−結合グリコシル化について分析した。ロット13B003、ロット13B005、単量体シアリル化rBuChE、およびCHT溶離液の基本的ピークトリプシンマップを決定した。トリプシンマップは、顕著な差異を有している。単量体シアリル化rBuChEおよびCHT溶出液を、ロット13B003および13B005から別個に分析した。13B003および13B005ロットについて、早期に溶出するグリコペプチドを捕捉するための最適な勾配を用いて分析した。該試料は、同じ勾配を用いて分析すると、同等であった。
BuChEは、9つの潜在的N−結合部位を有し、本試験は、表5に示されたN−結合部位の5つにおけるグリカン種の同一性および定量に絞って行った。Asn17、Asn57、Asn256、Asn341およびAsn455が、分析の対象であった。得られたトリプシンペプチドを、表5(全ての部位で同定された全ての構造)および表6(主要なグリカン構造を示し、各部位での占有率を報告している)に示している。5つの分析されたAsnから得られたグリコペプチドに関連するシアリル化、非シアリル化および非グリコシル化の平均レベルを、表5に示している。5つの部位それぞれの主なグリカン構造の占有率を、表6に示している。比較として、血清由来BuChEに関連するグリカン構造を、図12に示している。表5および6の場合、植物由来グリカン構造の命名法は、図13に記載している。Asn106、Asn481およびAsn486に関連するペプチドおよび構造を分析する上で、困難に見舞われた。
Figure 0006689742
Figure 0006689742
ネイティブ血清由来BuChEを、図12に示している。これらのデータは、高レベルの内在性シアリル化残基を示している。その後、本発明者らは、トリプシンペプチドを利用した一過性シアリル化システムおよびLC MS/MS法を利用したグリカン分析を用いて生成された単量体rBuChEのグリカン組成を分析した。pBCHEKBP007ベクターを用いた一過性シアリル化工程(a)の利用により、著しく高レベルのシアリル化(全グリカンの70%を超える)が示され、末端グリカン構造上に1つまたは複数のシアル酸残基が示される(表5および6)。これは、ヒト血漿BuChEで観察された全シアリル化のおよそ70%である。単量体rBuChEと四量体rBuChEとの類似のSNA強度から、単量体生成物と四量体生成物とで類似量のシアリル化が示唆される。
この一般的方法により作製された一過性シアリル化四量体生成物上の単糖およびオリゴ糖の両方の構成要素で、さらなる分析を実施した。グリカン構造を量について、そして一過性生成スキームが最適なOP有効性のための効果的で高占有率の測定を与えるかどうかについて、基本的に分析した。
回収された試料を、約24時間、脱イオン水を流しながら4−kDa膜を通して透析させた。透析した後、試料を単糖組成分析に備えて凍結乾燥した。次に、各試料のアリコットを、中性およびアミノ糖分析用(約200μg)と、シアル酸分析用(約200μg)に配分した。中性およびアミノ糖用のアリコットは、2.0Nトリフルオロ酢酸(TFA)で加水分解させたが、シアル酸用のアリコットは、2M酢酸で加水分解させた。加水分解の後、消化物を窒素気流の下で乾燥させ、HOに溶解して、氷中で5分間音波処理し、注入バイアルに移した。
中性およびアミノ糖標準と、シアル酸標準との、既知モル数の混合物を、試料と同じ手法で同じ時間に加水分解した。4種の濃度の標準混合物(中性およびアミノ糖とシアル酸)を調製して、較正式を作成した。試料中の各単糖のモル数を、残基エリア単位(residue area units)を較正式に線形補間することにより、定量した。
勾配ポンプ、電気化学的検出器、およびオートサンプラーを具備したジオネックス ICS3000システムを用いたHPAECにより、単糖を分析した。個々の中性およびアミノ糖、ならびにシアル酸を、アミノトラップを有するジオネックス・カルボパックPA20(3×150mm)分析カラムにより分離した。勾配プログラムは、以下の移動相溶離液を用いた:中性およびアミノ糖の場合、脱気したナノピュア水、および200mM NaOH;シアル酸の場合、100mM NaOH、および100mM NaOH中の1M 酢酸ナトリウム。注入は、中性およびアミノ糖の場合40分ごとに、シアル酸の場合35分ごとに実施した。
その後、2種の試料を特定のグリカン残基について分析し、その結果を表7に示している。
Figure 0006689742
フコース、N−アセチルグルコサミン、ガラクトースおよびマンノースが、4種の試料全てで検出された。シアル酸のうちNANAが、4種の糖タンパク質全てで検出された。
実施例7:rBuChEのシアリル化四量体形態の生成
rBuChEのシアリル化を、(a)一過性または(b)遺伝子導入方策、のいずれかを利用して実現することができる。一過性方策(a)は、適切なアグロバクテリウム株中のpICH88266植物発現ベクターを伴う、pBCHEKBP007単独でのコトランスフェクション、またはプロリンリッチ接着ドメイン(PRAD)ペプチド発現ベクターと一緒のコトランスフェクションを含む(それぞれ、単量体または四量体生成物に関して先に記載)。pICH88266プラスミドは、シアル酸をBAR選択マーカ遺伝子と共に植物ゴルジ体中で、合成させ、機能化させて、発生期グリカン株に転移させることが可能な、7つの遺伝子の発現構築物を含む。
植物における四量体−シアリル化rBuChEの一過性発現のために、「マグニフェクション」(アイコン・ジェネティクス GmbH、ドイツ ハレ(ザーレ)所在)手順を、わずかに改変して用いた。22〜24℃の密閉生育ルーム内で24〜26日生育させた植物を、真空浸潤に用いた。rBuChEのための一夜生育させたアグロバクテリウム培養物(ベクターID:pBCHEKBP007)と、CoIQからの四量体化ペプチド(ベクターID:テトラ4[他の試験で同様に働くことが示されたCoIQおよびラメリポジンの両方のベクター])と、シアリル化経路(ベクターID:pICH88266)とを、浸潤緩衝液(10mM MES、10mM MgSO、pH5.5)中で混合した。ベクターpPBCHKBP007を1:1000(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、テトラ4を1:200(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、pICH88266を1:10(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈した。浸潤溶液を注文製の(ケンタッキー・バイオプロセシング、ケンタッキー州オーウェンズボロ所在)真空チャンバーに移した。植物全体の空気中の部分を、さかさまにして細菌/緩衝溶液に沈め、24水銀柱インチの真空を2分間適用して開放した。回収植物のバイオマス80kgの場合、浸潤溶液280Lが、ベクターpBCHEKBP007 280mL、ベクターテトラ4 1.4LおよびベクターpICH88266 28Lを要しながら生成された。浸潤後に、植物を標準生育条件下の生育ルームに戻した。植物全体の空気中の部分の回収を、7dpi(浸潤後日)に行った。
本発明の四量体rBuChEを精製するために、規模拡大可能な抽出、透明化、および非親和性精製の方法論を開発した。リン酸緩衝液の存在下、感染したバイオマスの機械的分解を利用して、酵素抽出を完遂した。最初の抽出物を、pH変化と、その後のプレート/フレームフィルタープレスおよび珪藻土フィルターエイドを用いた深層ろ過を利用して透明化させた。カプト・アドヒア(商標)マルチモーダル樹脂(GEヘルスケア)を用いて透明化された抽出物からrBuChEを捕捉し、pH低下を利用して溶出を完遂した。その後、捕捉ステップからの溶離液を低導電率まで希釈して、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)I型マルチモーダル樹脂(バイオラッド・ラボラトリーズ)に加えた。塩化ナトリウム勾配の上昇を利用してCHTからrBuChEを溶出し、高濃度のリン酸ナトリウムを使用して宿主タンパク質をカラムから剥離させた。CHT溶離液を1%v/vトリトンX−114と共にインキュベートした後、加熱して、エンドトキシンの大部分を含む沈殿した洗浄剤の相を生成させた。その後、水相(上清)を洗浄剤相から取り出し、最終的な研磨に備えて低導電率まで希釈した。rBuChEをカプトQ(商標)強陰イオン交換樹脂(GEヘルスケア)に結合させ、その後、緩衝液で大規模に洗浄してカラムから洗浄剤を完全に洗い流すことにより、残留する洗浄剤を除去した。カプトQからのrBuChEの溶出は、塩化ナトリウム勾配の上昇を利用して完遂した。その後、カプトQ溶離液をアルギニン含有リン酸緩衝生理食塩水に透析ろ過し、次にタンジェンシャルフロー限外ろ過を利用して=25mg/mLに濃縮した。0.2μmろ過を利用して原薬物質を滅菌して、2〜8℃で貯蔵した。最終生成物の特性を、図14に示している。
実施例8:ΔXTFT N.ベンタミアナ植物からのトランスジェニックシアリル化SIAL−NbRNAiΔXF植物系統の産生
pICH88266ベクターからの遺伝子をNbRNAiΔXF植物株に形質転換して、SIAL−NbRNAiΔXF植物系統を生成することにより、遺伝子導入方策を外来遺伝子シアリル化のために開発した。用いられた方策を、図11に詳述している。サムブクス・ニゲラのレクチン(SNA)を用いたPCR方法論およびウェスタンブロットを利用して、植物系統をスクリーニングし、ホモ接合性について選択した。表8に、植物系統の選択を要約している。損なわれていない遺伝子座(PCR分析による)およびグリコシル化表現型(例えば、グリカン鎖上で末端シアル酸に結合するSNAにより結合で決定された、分泌タンパク質上のシアル酸残基の存在)を有するT1およびT2子孫を、同定した。これらの植物系統は、機能的組換えタンパク質シアリル化を示す8つの遺伝子産物全てを発現するホモ接合型の安定したトランスジェニック系統を開発するために、現在、繁殖プログラムの最中である。その後、ホモ接合型種子を、表9に詳述された通り、選択されたSIAL−NbRNAiΔXF−88266#11系統から産生した。
Figure 0006689742

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各系統からの種子が少量であったが大規模な製造が必要であったため、Nb SIAL−NbRNAiΔXF種子を製造のために混合した。その量は重量に関して等しかったが、各系統は異なる効率(より高いまたは低いシアリル化活性)を有する可能性があった。特に種子およびNb SIAL−NbRNAiΔXF−88266#11からプールされた植物に、1:1000希釈のBuChEウイルス発現構築物(pICH92631)を抱えるアグロバクテリウムを浸潤させた。精製の前に、回収された7dpi植物組織からの粗植物抽出物(1mM EDTAを補充された0.2Mクエン酸緩衝液pH6 0.3ml中に抽出された植物組織100mg)を、エルマンアッセイを利用してBuChE活性について予備テストした。この予備テストの後、HisタグBCHEを、Ni−NTAクロマトグラフィーを用いて異なる試料から精製した。シアル酸の検出のために、同等量の精製BCHE(それぞれ約2μg)を、SDSを補充されたポリアクリルアミドゲルで分離し、PVDF膜にブロットして、ビオチン化SNAレクチン(サムブクス・ニゲラのレクチン;ベクター・ラボラトリーズ、英国ピーターバラ所在)およびストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(ライフ・テクノロジーズ、ドイツ ダルムシュタット所在)でプローブした。シアリル化rBuChEの検出を確認するために、膜を剥離させて、ヤギ抗BCHEポリクローナル抗体(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー、ドイツ ハイデルベルグ所在)および抗ヤギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(シグマ・アルドリッチ、USAセントルイス所在)でリプローブした。
rBuChEのシアリル化が、SIAL−NbRNAiΔXF−88266#11系統の多くの植物において検出された(図12および表9)。したがってトランスジェニックアプローチは、シアリル化rBuChEを生成するための可能な経路であると理解された。より早期の実施例から、rBuChE(ベクターID:pBCHEKBP007)のためのアグロバクテリウム培養物と、CoIQからの四量体化ペプチド(ベクターID:テトラ4[CoIQおよびラメリポジンの両方のベクターが他の試験で同様に働くことが示された])と、ラメリポジンベクターと、によるNbRNAiΔXF−88266#11植物のトランスフェクションを測定して、四量体化およびシアリル化rBuChE生成物を生成した。四量体化生成物のサイズ増大、およびシアリル化に関する血清由来BuChEへの類似性もまた、哺乳動物内でのPK性能改善により神経剤除去に関して優れた生成物を生成すると予測された。
Nb SIAL−NbRNAiΔXF種子を播種して、SNAウェスタンブロット方法論を利用してシアリル化能力に関してテストした。表10は、元の形質転換体Nb SIAL−NbRNAiΔXF−11および−5由来の特定の植物系統を示している。SIAL−NbRNAiΔXF−11および−5子孫植物(T2世代)および対照(ベンズ(Benz))を生育させて、pBCHEKBP007の1:1000希釈物およびテトラ4ベクターの1:200希釈物を感染させて、7dpiに回収した。該植物をSNAおよびBCHEウェスタンブロット分析のために抽出した。
1.陰性対照ベンズ
2.陰性対照 トランスジェニック
3.pBCHEKBP007およびテトラペプチド4を有するNBG41
4.pBCHEKBP007およびテトラペプチド4を有するNBG42
5.pBCHEKBP007およびテトラペプチド4を有するNBG43
6.pBCHEKBP007およびテトラペプチド4を有するNBG45
7.pBCHEKBP007およびテトラペプチド4を有するNBG46
8.pBCHEKBP007およびテトラペプチド4を有するNBG47
2:1の緩衝液対バイオマス比を利用して、抽出を実施した。緑葉の搾汁45mLを直ちに遠心分離して、S1試料を生成させた。S1ペレットを、4℃で10分間の10000×gにより生成させた。S1 1000μLを16000×gで2分間遠心分離して、S2を生成させた。還元されたNuPAGE試料を調製して、ゲルを200Vで50分間泳動させた。結果およびロードの順序を、図13に示している。
これらのデータは、104枚の細胞皿で生育された6つのシアリル化トランスジェニック種子系統が、rBuChEの強い発現を示し、rBuChEおよび他のタンパク質のバンドがSNAレクチンと強い反応性を示すことを実証しており、シアリル化系が損なわれておらず、全てのT2系統において機能することが示される(表10)。これらのデータから、プールされた種子集団を使用して、分析およびテストのためにトランスジェニック系統の中でシアリル化rBuChEを産生させた。
Figure 0006689742
さらなる繁殖および選択が、シアリル化経路に関してより安定性を示すと予測されたT3系統に関して引き続き行われている。原種名Nbg−45およびNbg−43(両者とも初期シアル酸トランスジェニック植物Nb88266−11からのもの)を、エタノールおよび次亜塩素酸ナトリウムを用いて表面滅菌し、その後、除草剤ホスフィノトリシンを補充したムラシゲ・スクーグ培地+ガンボルグビタミンプレート上に播種した。ホスフィノトリシン耐性は、トランスジェニック系においてマーカ遺伝子として働く。発芽して緑色を維持する植物は、マーカ遺伝子を含み、シアリル化遺伝子カセットが損なわれていないことを示唆している。発芽およびホスフィノトリシンの結果を、播種後10日目(dps)に記録し、全ての植物が成長していて緑色であった。種子生成のために、植物を培地のプレートから5ガロンポット中の無土壌植物培地に移植した。13ポットを、原種Nbg−45からの植物用に作製し、12ポットをNbg−43用に作製した。
植物における種子ポット回収は、移植の61日後に開始した。標準種子生成プロトコルによって、個々のプラントからの種子ポットを1〜2週間の期間にわたって回収し、その後、ライトカートに移動させて、ポッド乾燥工程を完了させる。その後、種子を浄化し、ふるい工程でサイズ決定した。過度に小さい、または過度に大きい種子は、研究目的では可能な限り保持されると理解されたが、適正なサイズのふるいにより保持された種子を、適格なものとした。この回収、乾燥および浄化ステップを、回収時間全体にわたり反復した。浄化された種子を、個々の植物ごとに一緒にまとめて、十分なテストによって個々の植物からの種子が一緒にまとめられ得ると結論づけられるまで、別にしておく。典型的なN.ベンタミアナΔXF種子ロットテストには、発芽、活力、形態学、およびnptIIテスト(カナマイシン耐性マーカ遺伝子を示す)が含まれる。シアル酸トランスジェニック種子系統の特異的テストを、以下のプロトコルに関連して実施した:
1.ホスフィノトリシン培地プレートでの発芽。ホスフィノトリシンの分離が記録されたら、分離植物からの種子を非分離植物からの種子と一緒にしなかった。
2.ホスフィノトリシン培地の結果が、100%陽性であれば、小植物を無土壌培地を含むポットに移し、HisタグBuChEベクターを含むIFを注入するのに十分大きくなるまで生育させた。IFポットの抽出を実施し、その後、磁気ビーズ(ダイナビーズ(登録商標)Hisタグ・アイソレーション・アンド・プルダウン)を用いてBuChEを濃縮した。抗BuChEウェスタンおよびSNAブロットを、BuChEおよびシアリル化の存在の決定のために実施した。シアリル化に関する分離が記録されたら、分離植物からの種子を非分離植物からの種子と一緒にしなかった。
ホスフィノトリシン除草剤選択およびBuChE/SNA ウェスタン(発芽、活力、形態学、およびnptII)テストについて100%陽性とテストされた種子ロットを一緒にして、以後のBCHE生成実験での使用に承認された。大規模使用の前に、種子(全てまたは一部)をペレット化して、自動播種システムでの使用を容易にした。
種子および200gを回収し、およそ75gを浄化してふるいにかけた(3g/植物×25本=75g)。推定でおよそ600〜800グラムの種子が最終的な大量種子ロット(25本の植物全てが一緒になったもの)で生成されたことが示されるまで、種子回収をさらに6〜8週間継続した。そのような種子量は、潜在的に720万〜960万の植物を生成することができ、製造のためのトランスジェニック方策の規模拡大性および堅牢性が実証される。
実施例9:トランスジェニックシアリル化SIAL−NbRNAiΔXF植物系統における四量体化rBuChEの産生
rBuChE植物を基にした生成物の四量体形成を、以下のベクターの利用により実施した:
・rBuChE:pBCHEKBP007(1:1000希釈)
・PRADペプチド4:テトラ4(1/200希釈)
各系統からの種子が少量であったが大規模な製造が必要であったため、Nb SIAL−NbRNAiΔXF種子を生成のために混合した。その量は重量に関して等しかったが、各系統はより高いまたは低いシアリル化活性に関して異なる効率を有する可能性があった。植物における四量体シアリル化rBuChEの一過性発現のために、マグニフェクション手順をわずかに改変して再度利用した。22〜24℃の密閉生育ルーム内で24〜26日生育させた植物を、真空浸潤に用いた。rBuChEのための一夜生育させたアグロバクテリウム培養物(ベクターID:pBCHEKBP007)と、CoIQからの四量体化ペプチド(ベクターID:テトラ4)と、シアリル化経路(ベクターID:pICH88266)とを、浸潤緩衝液(10mM MES、10mM MgSO4、pH5.5)中で混合した。ベクターpBCHEKBP007を1:1000(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、テトラ4を1:200(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈し、pICH88266を1:10(アグロバクテリウム細胞:緩衝液)に希釈した。浸潤溶液を真空チャンバーに移した。ニコチアナ・ベンタミアナSIAL−NbRNAiΔXFのプールした種子からの植物全体の空気中の部分を、さかさまにして細菌/緩衝溶液に沈め、24水銀の真空を2分間適用して開放した。回収植物のバイオマス80kgの場合、浸潤溶液280Lが、ベクターpBCHEKBP007 280mL、ベクターテトラ4 1.4LおよびベクターpICH88266 28Lを要しながら生成された。浸潤後に、植物を標準生育条件下の生育ルームに戻した。植物全体の空気中の部分の回収を、7dpiに行った。
四量体シアリル化rBuChE生成物を精製するために、規模拡大可能な抽出、透明化、および非親和性精製の方法論を開発した。リン酸緩衝液の存在下、感染したバイオマスの機械的分解を利用して、酵素抽出を完遂した。最初の抽出物を、酸性pH変化と、その後のプレート/フレームフィルタープレスおよび珪藻土フィルターエイドを用いた深層ろ過を利用して透明化させた。カプト・アドヒア(商標)マルチモーダル樹脂(GEヘルスケア)を用いて透明化された抽出物からrBuChEを捕捉し、pH低下を利用して溶出を完遂した。その後、捕捉ステップからの溶離液を低導電率まで希釈して、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)I型マルチモーダル樹脂(バイオラッド・ラボラトリーズ)に加えた。塩化ナトリウム勾配の上昇を利用してCHTからrBuChEを溶出し、高濃度のリン酸ナトリウムを使用して宿主タンパク質をカラムから剥離させた。CHT溶離液を1%v/vトリトンX−114と共にインキュベートした後、加熱して、エンドトキシンの大部分を含む沈殿した洗浄剤の相を生成させた。その後、水相(上清)を洗浄剤相から取り出し、最終的な研磨に備えて低導電率まで希釈した。rBuChEをカプトQ(商標)強陰イオン交換樹脂(GEヘルスケア)に結合させ、その後、緩衝液で大規模に洗浄してカラムから洗浄剤を完全に洗い流すことにより、残留する洗浄剤を除去した。カプトQからのrBuChEの溶出は、塩化ナトリウム勾配の上昇を利用して完遂した。その後、カプトQ溶離液をアルギニン含有リン酸緩衝生理食塩水に透析ろ過し、次にタンジェンシャルフロー限外ろ過を利用して約25mg/mLに濃縮した。0.2μmろ過を利用して原薬を滅菌して、2〜8℃で貯蔵した。
OP剤の結合を、遺伝子導入によりシアリル化されたrBuChEと血漿由来BuChEとで比較した。阻害定数を評価する連続的方法(改変エルマンアッセイにおいてブチリルチオコリンを用いる)を用いて、KBP BuChEを有するOP神経剤のK値を、ヒト血漿由来BuChEに比較しながら測定した。図14に示される通り、任意のテストされたOP神経剤への結合に関して、植物生成rBuChEと血漿由来BuChEの間に統計学的差異はなかった。
同じく図14に示される通り、本発明の植物由来四量体シアリル化rBuChEと比較した、二量体、オリゴマーおよび血漿由来のタイプの範囲内の先に記載された異なるBuChEを、OP効果を阻害する能力について測定した。例として、示されたグラフは、トランスジェニック植物から精製されたシアリル化rBuChE四量体の結合の比較測定を示しており、植物産生rBuChEと血漿由来BuChEの間にある結合定数の類似性を示している。これらの実験において、阻害定数が高い程、より良好な結果が示される。本発明の植物由来生成物は、各有機リン種(具体的にはGA、GB、GD、GF、VX、およびVR)に関して血漿由来化合物と等しいか、またはそれより優れていた。製造が比較的容易なことおよびかなり安価であることに加え、植物を基にした生成物の一般により高い産生能力と、同じく拡大可能性および連続供給のための遺伝子導入能力によって、該植物を基にした方法がこの手法で非常に効果的な結果をもたらすことは、明白である。
実施例10:遺伝子導入によりシアリル化されたrBuChEのグリカン分析
四量体化シアリル化rBuChE植物由来生成物グリカン構成要素で、さらなる分析を実施した。グリカン構造を量について、そして一過性生成スキームが最適なOP有効性のための効果的で高占有率の測定を与えるかどうかについて、基本的に分析した。
各試料の未処理のアリコットを、中性およびアミノ糖分析用(約200μg)とシアル酸分析用(約200μg)に配分した。中性およびアミノ糖用のアリコットは、2.0Nトリフルオロ酢酸(TFA)で加水分解したが、シアル酸用のアリコットは、2M酢酸で加水分解した。加水分解の後、消化物を窒素気流の下で乾燥させ、HOに溶解して、氷中で5分間超音波処理して、注入バイアルに移した。
中性およびアミノ糖標準と、シアル酸標準との、既知モル数の混合物を、試料と同じ手法で同じ時間に加水分解した。4種の濃度の標準混合物(中性およびアミノ糖とシアル酸)を調製して、較正式を作成した。試料中の各単糖のモル数を、残基エリア単位を較正式に線形補間することにより、定量した。
勾配ポンプ、電気化学的検出器、およびオートサンプラーを具備したジオネックス ICS3000システムを用いたHPAECにより、単糖を分析した。個々の中性およびアミノ糖、ならびにシアル酸を、アミノトラップを有するジオネックス・カルボパックPA20(3×150mm)分析カラムにより分離した。勾配プログラムは、以下の移動相溶離液を用いた:中性およびアミノ糖の場合、脱気したナノピュア水、および200mM NaOH;シアル酸の場合、100mM NaOH、および100mM NaOH中の1M 酢酸ナトリウム。注入は、中性およびアミノ糖の場合40分ごとに、シアル酸の場合35分ごとに実施した。以下の表11に、分析結果を示している。
Figure 0006689742
四量体生成物を開裂した後、N−グリカンをさらに分析した。そのようなN−グリカン開裂物は、PNGase Aの溶液による37℃、24時間の、そしてその後、PNGase Fによりさらに37℃、24時間の酵素活性により作製した。放出されたN−グリカンを、その後、C18 SPEカートリッジで精製した。炭水化物画分を5%酢酸で溶出させて、凍結乾燥により乾燥させた。N−結合オリゴ糖をさらに完全メチル化した(Anumula and Taylor,1992に記載された方法に基づく)。グリカンを窒素ガスにより乾燥させて、先に記載された通りNSI−FTMSによりプロファイリングした。
上記の通り、そのような分析は、ナノスプレーイオン源を具備したLTQ オービトラップXL質量分析装置(サーモフィッシャー)を用いて測定した。完全メチル化N−結合グリカンを50%メタノール中の1mM NaOHに溶解し、その後、0.5μL/分の一定流速で機器に直接注入した。フルFTMSスペクトルを、分解能30000および3マイクロスキャンで回収した。キャピラリー温度を210℃に設定し、MS分析を陽イオンモードで実施した。総イオンマッピング(自動MS/MS分析)の場合、200〜2000のm/z範囲で、有効な2つの質量単位窓においてITMSモードでスキャンした。
数多くのN−グリカンが、試料中に見出された。これらは主として、より少量の高マンノースグリコシル化およびハイブリッド型グリコシル化を有する二分岐複合型グリカンであった。以下の表12に、提案された構造を含むこの試料中に見出されたグリカンの概要と、トータルイオンマッピング(TIM)の一部としてのMS/MS分析の結果をしている。
試料中に見出された切断または損傷したグリカンを、表12に太字で示している。試料中に見出された多数のN−グリカンを、最初、通例通り割り付け、その後、TIMマッピングの結果に従って異なる切断構造として再度割り付けた。
Figure 0006689742
遺伝子導入によりシアリル化されたrBuChE生成物のグリカン分析の促進のために、更なるテストを実施した。最初、そのような活性には、単糖同定および測定のために試料の加水分解および分析が含まれた。この目的のために、各試料のアリコットを中性およびアミノ糖分析用とシアル酸分析用に配分し、乾燥させて計量し、分析に用いられる試料の実際の量を測定した。中性およびアミノ糖用のアリコットは、2.0Nトリフルオロ酢酸(TFA)で加水分解したが、シアル酸用のアリコットは、2M酢酸で加水分解した。加水分解の後、消化物を窒素気流の下で乾燥させ、HOに溶解して、氷中で5分間超音波処理して、注入バイアルに移した。
中性およびアミノ糖標準と、シアル酸標準との、既知モル数の混合物を、試料と同じ手法で同じ時間に加水分解した。4種の濃度の標準混合物(中性およびアミノ糖とシアル酸)を調製して、較正式を作成した。試料中の各単糖の量およびモル数を、残基エリア単位を較正式に線形補間することにより、定量した。
勾配ポンプ、電気化学的検出器、およびオートサンプラーを具備したジオネックス ICS3000システムを用いたHPAECにより、単糖を分析した。個々の中性およびアミノ糖、ならびにシアル酸を、アミノトラップを有するジオネックス・カルボパックPA20(3×150mm)分析カラムにより分離した。勾配プログラムは、以下の移動相溶離液を用いた:中性およびアミノ糖の場合、脱気したナノピュア水、および200mM NaOH;シアル酸の場合、100mM NaOH、および100mM NaOH中の1M 酢酸ナトリウム。注入は、中性およびアミノ糖の場合40分ごとに、シアル酸の場合35分ごとに実施した。結果を、2つの試料(ロット4および5)について表13に示している。
Figure 0006689742
これらの結果から、分析された残渣のうち、N−アセチルグルコサミン、ガラクトースおよびマンノースが、両方の試料(ロット)において検出された。シアル酸のNANAもまた、両方の試料において検出された。
一過性に、そして遺伝子導入によりシアリル化されたrBuChE生成物(四量体化、または非四量体化)に関するそのような全体的データから、以下の観察がなされた:
・分析された4つの遺伝子導入での生成のrBuChEバッチのうち、3つは、70〜73%末端シアル酸占有率を示し、1つは50%を示している。糖は全て、適度なモル比で存在する。1つが低い占有率で存在した理由については、決定されなかった。
・一過性の試料は、100%シアル酸占有率で、非天然の糖モル比であり、それはことによると糖の開裂および不安定性が原因の可能性がある(過去のデータでは、70%の占有率が示された)。
・プールされたトランスジェニックT2種子ロットのシアリル化物は、一過性の系と類似のレベルであることが見出された。
・一過性方策は、9つの可能な部位のうち6つで占有を示しているが、遺伝子導入でのアプローチは、9部位のうち8つで占有を示し、最後に部位には問題がある。したがって遺伝子導入アプローチは、優れていて、グリコシル化に関してより完璧であると思われる。
したがって総括すると、本発明者らの植物を基にしたrBuChE生成法が哺乳動物体内で(静脈内送達または筋肉内送達にかかわらず)高度に有効なOP防御だけでなく、その四量体形態および高度にシアリル化された構造を確実に、そして必要な拡大可能なレベルまで生成する能力をもたらすのに適することが明白であるが、そのような生成物は、連続した信頼性のある供給のために種子系統から提供することもできる。
実施例11:植物系において産生されたrBuChEの薬物動態予備試験および本試験
2種のPK試験を、雄ハートレー系モルモットにおいて実施して、rBuChEの特徴を評価した。これらの試験の完全な詳細を、付録IVおよびVに示されたSRI試験番号B616−13およびB618−13の最終報告に表している。最初に、rBuChEの3種の異なる形態:静脈内(IV)経路で投与された、純粋な単量体(ロット13B001)、シアリル化単量体・二量体(ロット13B002)、およびシアリル化四量体(ロット13B003)を比較するパイロット試験を実施した。表14に、パイロット試験(SRI 試験番号B616−13)の計画を表している(適切なパイロット試験の結果がより確定的なテスト方策をもたらすとの予測から)。
Figure 0006689742
次に、PKの本試験を、IVおよび筋肉内(IM)経路の両方により投与されたシアリル化四量体(ロット13B005)を使用して実施した。この本試験においてシアリル化四量体を評価するための判断は、パイロット試験において決定されたPK特性、および連続工程の開発作業を通してKBPで実施された生理化学的特性分析の評価に基づいている。表15に、本試験の計画を表している(SRI試験番号B618−13)。
Figure 0006689742
実施された基本的テスト系は以下の通りであった:
雄ハートレー系モルモットを、運搬の前に供給業者によりシングル頸静脈カテーテル(JVC)またはデュアルJVCと共にチャールズリバー(ノースカロライナ州ローリー)から購入した。動物は、5〜6週齢で、体重320〜409グラムであった。動物のケアおよび飼育の一般的手順は、1991年の9CFR Part 3に組入れられたNational Research Council(NRC) Guide for the Care and Use of Laboratory Animals,8th edition(2011)およびAnimal Welfare Standardを遵守した。硬材チップの床敷きを入れた吊り下げ式ポリカルボナートケージで、動物を12時間明/12時間暗の明暗スケジュール、72〜73°Fおよび湿度33〜46%を利用してで1ケージに1匹ずつ飼育した。動物室は、空気の再循環を行わずに、1時間に少なくとも10部屋分の換気を有した。ハーラン・テクラッド社公認モルモット飼料(#2040C)が、随意に提供された。飼料を定期的に分析し、試験を妨害し得ることが公知でそのような飼料中の存在が合理的に予測される混入物が、試験に影響を及ぼすレベルで存在しないことを確認した。試料分析の記述は、試験記録中に保持されている。水(逆浸透精製水)は、随意に提供された。過去の報告に基づけば、試験を妨害して試験結果に影響を及ぼす可能性がある混入物はいずれも、水中に存在しないと予測された。動物分析報告のコピーは、参照のためにSRIに保持されている。動物は、耳標により個別に識別した。
試験手順およびエンドポイント
投与はIV経路(SRI試験番号B616−13およびB618−13)またはIM経路(SRI試験番号B618−13)によるものであった。致死率および罹患率を1日に少なくとも1回確認し、臨床観察は、投与日なら投与直後に、それ以後は1日1回、または臨床兆候について必要のある場合はより頻繁に記録した。動物を、粗大運動および行動をはじめとする臨床兆候の任意の変化、ならびに外観の観察可能な変化について検査した。体重は、無作為化のために試験開始の1日前と、用量計算のために投与1日目だけ測定した。血液をJVCポート、またはSRIのIACUCおよびACUROにより認可された他の部位から、KEDTAを含む試験管に採取して血漿に処理し、その後、−70±10℃で凍結貯蔵した。全血の合計およそ100μL(血漿約50μL)を、投与前、および投与後5、10、20、30、60分目、2、4、8、24、36、48、72、120および168時間目に各モルモットから採取した。
薬物動態分析の手順:
データをWinNonlin(登録商標)モデル200(血管外投与の場合)またはモデル201(IVボーラス投与の場合)を用いてノンコンパートメント解析に供し、均一な加重因子を各データセットに加えた。TmaxおよびCmax値は、データから直接決定した。AUClast値は、ログ/リニア台形法(IV投与)またはリニアアップ/ログダウン台形法(IM投与)を利用して計算した。各モルモット個体で、値を計算した。投与された用量をU/kgとしてプログラムに入力し、その結果、動物の各体重に追加の修正を加える必要はなかった。投与前に採取された試料から各動物で測定されたBuChEのバックグランドレベルを、測定された血漿濃度から差し引かなかった。試料採取で記録された実際の時間を、計算では最初の4時間内で使用した。以下のパラメータおよび定数を、IVおよびIM群について決定した:観察された最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度までの時間(Tmax)、最終時点までの血漿濃度−時間曲線下面積(AUClast)、無限大まで外挿された血漿濃度−時間曲線下面積(AUCinf)、最終相消失半減期(t1/2)、外挿された無限時間までの平均滞留時間(MRTinf)。定常状態(Vss)およびクリアランス(Cl)での分布容量は、IV群のみで決定した。IM投与後の生物学的利用度(F)を、IVおよびIM群の両方でAUClast値を利用して計算した。
臨床観察:
臨床観察から、四量体シアリル化rBuChE投与群の動物1匹が1日目にわずかに活動低下であることが示された。他の動物は全て、試験期間中、正常と見なされた
血漿中薬物レベル
図15に、3つのrBuChE変異体の血漿プロファイルを示しているが、それらは著しく変動している。データは、U/mL血漿として表されている。変異体A(純粋な単量体)は、結晶から非常に急速にクリアランスされ、濃度は4時間後のBuChEがバックグランド未満であった。変異体B(単量体・二量体シアリル化物)は、24時間の間、バックグランド(1.05±0.185U/mL)を超える血漿中レベルを維持した。変異体C(四量体シアリル化物)は、約4〜8時間の急速な分布相と、それに続く試験の全時間経過に及ぶ長い排出相を含む、二相血漿プロファイルを呈した。rBuChEの血漿中濃度は、最終時点の168時間目に、変異体C群においてバックグランドをわずかに超えていた。
薬物動態分析の結果:
PK分析の結果を、表16に示す。排出半減期の値(t1/2)は、rBuChEの3つの形態の間で著しく変動した。純粋な単量体は、1時間未満(0.37時間)のt1/2で血漿から排出され、単量体・二量体シアリル化物は、7.5時間と約20倍長いt1/2を有した。最も長いt1/2は、四量体シアリル化形態で観察された60時間であった。MRTもまた、0.59時間(変異体A)〜73時間(変異体C)で、投与形態により変動した。Clは、変異体Aが最も高く(76.6ml/時/kg)変異体Cが最も低かった(6.27mL/時/kg)。rBuChEの最高濃度は、投与直後に観察され、バックグランドよりも約80〜100倍高かった。純粋な単量体および単量体・二量体シアリル化変異体は、類似のCmax値で、それぞれ98.8±2.8U/mLおよび91.3±16.2U/mLを有した。四量体シアリル化変異体は、他の2種の変異体よりも高活性の用量を投与されたにもかかわらず、より低い平均Cmax 78.7±3.0U/mLを有した。この差は、3種のrBuChE形態の最高Vssにより示された通り、四量体シアリル化物のより高い分布を原因とする可能性がある。四量体シアリル化物により示されたより好適なパラメータは、AUC1704時間・U/mLにより示された通り最高の暴露をもたらし、それは純粋な単量体および単量体・二量体シアリル化物のAUCmaxよりもそれぞれ約18および7倍高かった。
Figure 0006689742
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パイロット試験の結論:
rBuChEの3つの変異体を、IV経路により雄モルモットに投与した。25mg/kg用量は、良好に耐容された。血漿プロファイルおよび薬物動態パラメータは、3種のタンパク質の間で著しく変動した。最高の初期血漿中濃度は、変異体A(純粋な単量体)で観察されたが、この形態のrBuChEは、1時間未満のt1/2およびMRTと、非常に急速なClで血漿から急速に排出され、低い血漿暴露となった。ヒト血清由来BuChEのものと最も密接に近似した薬物動態特性は、四量体シアリル化形態で観察され、それは二相性の血漿プロファイル、該タンパク質のより大きな分布を示唆する最高のVss、最低のクリアランス(Cl)、t1/2 60時間、および3種のrBuChE変異体のAUC値に基づく最高暴露を有した。
これらの見込みのある結果から、より確定的な試験で血漿由来rBuChE生成物の潜在的利益を分析する価値があると決定された。
本試験の実施:
同じ型のモルモットを、先の通り使用、飼育およびテストし、最大量のrBuChEを投与し、実際に処理された対象に様々なOP剤を暴露した。
致死率/罹患率および臨床観察:
臨床観察を実施し、全ての動物が試験期間中、正常と見なされた。
血漿中薬物レベル:
図16および17に、それぞれIVおよびIM経路で投与されたrBuChEの血漿プロファイルをU/mLおよびμg/mlで示している。IV処置群において、rBuChEは、約4〜8時間の急速な分布相と、それに続く試験の全時間経過に及ぶ長い排出相を含む、二相血漿プロファイルを呈した。IM投与後に、血漿中のrBuChE活性は、最初の時点でバックグランドをわずかに超え、その後、用量注射後36時間目にピークに達するまで、安定的に増加した。その後、rBuChEは、緩やかに排出された。血漿中rBuChE濃度は、IMおよびIVの両方の投与後168時間目の最終採血時点までバックグランドレベルの0.911±0.197U/mLを超えていた。
薬物動態分析:
薬物動態分析の結果を、表17に示す。IV群において、観察されたCmax値は、63.5U/mL、またはバックグランドレベルの約70倍高かった。rBuChEは、血漿から緩やかに排出され、IV群ではt1/263.4時間およびMRTinf83.5時間であり、これはCl 9.8mL/時間/kgに対応した。Vssは、836mL/kgと中等度であり、広範囲の細胞外分布が示唆された。AUClastおよびAUCinfは、それぞれ1124時間・U/mLおよび1368時間・U/mLであった。IM群において、観察されたCmax値は、63.5U/mLで、バックグランドの約8倍高く、それがTmax 36時間で観察された。t1/2およびMRTinfの両者とも、IV群よりも長く、それぞれ86.5時間および142時間であった。AUClastおよびAUCinf値により示された暴露は、それぞれ689時間・U/mLおよび1005時間・U/mLであった。AUClastを利用して決定された生物学的利用度(F)は、61.6±1.8%と計算された。
Figure 0006689742
Figure 0006689742
本試験の結論:
単一用量25mg/kg(13125U/mL)のrBuChEのシアリル化四量体変異体を、雄ハートレー系モルモットにIVおよびIM経路により投与した。処置は良好に耐容され、動物は全て投与後168時間の試験期間全体で正常と見なされた。酵素は、このプロジェクトにおいて開発された他の組換え部分に比較すると、ヒト血清由来BuChEにより密接に同等なPKパラメータを呈した。IM投与の後、rBuChEは、最初の血液採取時点でバックグランドをわずかに超えるレベルで検出され、濃度が注射後36時間目のピークまで安定的に上昇した。T1/2値は、63.4時間(IV)および86.5時間(IM)であり、それは細胞外分布と一致する緩やかなCl 9.8mL/時間/kgおよびVss836ml/kgに相当した。IM投与後のrBuChEの生物学的利用度は、約60%であった。
実施例12:シアリル化rBuChE四量体の有効性テスト
有効性試験を、3種の異なる神経剤を用い、防御のための短い時点のIVモデルを使用して実施した。
・GDおよびVX神経剤
これらの薬剤については、本発明の植物由来四量体シアリル化BuChEを雄ハートレー系モルモット(300〜350グラム)に26.15mg/kgで各対象にIVカロチドカテーテルを介して投与した。
15分後に、26.15mg/kg投与された動物は、s.c.注射を介してGDまたはVXのLD50の3倍量に暴露された(それぞれn=6)。
・GB神経剤
この薬剤については、植物由来四量体シアリル化BuChEを雄ハートレー系モルモット(300〜350グラム)に52.3mg/kgでIVカロチドカテーテルを介して投与された。
15分後に、52.3mg/kg投与された動物は、s.c.注射を介してGBのLD50の3倍量に暴露された(それぞれn=6)。
各状況において、テストの対象動物全てが、任意のOP中毒の兆候を有さずに24時間生存した。
これらのデータから、シアリル化四量体rBuChEによる、致死性神経剤暴露からの哺乳動物防御の潜在的有効性が実証された。この魅力的なPKデータによって、この防御が、シアリル化および四量体化の効率を改善することにより最適化されて、非常に拮抗的に機能する生成物をもたらし得ることが示唆される。
先に言及された通り、そのような四量体化およびシアリル化rBuChE生成物はまた、神経疾病(アルツハイマー病)、中毒治療(例えばコカイン中毒の処置の場合)、および任意の複数の遺伝子または他の障害によるBuChE欠損を克服するための同等な酵素補充療法など、他の哺乳動物処置にも用いられ得る。特に高レベルのシアリル化グリカンおよび四量体形態を用いた、信頼性のある方式による製造の実行可能性が、さらに効果的哺乳動物(ヒトを含む)処置の可能性にもつながり得る。
したがって、この新たに発見された四量体シアリル化rBuChE生成物の全体的効果は、この業界において顕著な改善を与える。遺伝子導入的手段、トランスフェクション工程、および他のタイプの遺伝子発現方法論によりそのような新しい生成物を生成するさらなる可能性が、それによりOP防御のみならず、従来はどちらかといえば限定されていたヒトおよび他の哺乳動物への他の処置についても注目に値する領域を開拓する。
本発明の範囲における様々な改良が、その主旨を逸脱することなく当業者によってなされ得ることが、理解されるべきである。それゆえ、本発明は、先行技術が許容したのと同程度に広範囲に、そして必要に応じて本明細書を考慮しながら、添付の特許請求の範囲により定義されるものと切望する。
先に引用された参考資料は、以下の通りである:
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Claims (9)

  1. ブチリルコリンエステラーゼの四量体形成を可能にするポリプロリン接着ドメインと結合したブチリルコリンエステラーゼ分子を含む、組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物であって、
    前記組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物は、少なくとも50%のシアリル化および少なくとも50%の四量体形成を呈し、
    四量体化した生成物は、グリコシル化部位をさらに含み、そのグリコシル化部位の少なくとも70%は、単一の末端シアル酸に結合している、
    組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物。
  2. 前記組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物が、植物または植物細胞から作製される、請求項1に記載の生成物。
  3. 前記組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物が、少なくとも60%の四量体形成を呈する、請求項1に記載の生成物。
  4. 前記組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物が、少なくとも70%のシアリル化を呈する、請求項3に記載の生成物。
  5. 前記組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物が、植物または植物細胞から作製される、請求項3に記載の生成物。
  6. 前記組換えブチリルコリンエステラーゼ生成物が、植物または植物細胞から作製される、請求項4に記載の生成物。
  7. 植物、植物細胞、またはその両方からの組換えブチリルコリンエステラーゼの生成のための方法であって、以下のステップ:
    a)前記ブチリルコリンエステラーゼを発現することが可能な少なくとも1つのベクターを有する前記植物、植物細胞、またはその両方を提供するステップ;
    b)前記ブチリルコリンエステラーゼの合成を誘起する条件であって、前記ブチリルコリンエステラーゼでの、GlcNAcエピメラーゼ、シアル酸ホスファートシンターゼ、CMPシアル酸シンターゼ、CMPシアル酸トランスポーター、ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の導入によるシアリル化グリカンの生成および四量体形成を含む条件で、前記植物、植物細胞、またはその両方をインキュベートして、シアリル化および四量体形成を呈するブチリルコリンエステラーゼ生成物を形成させるステップ;ならびに
    c)前記植物、植物細胞、またはその両方からステップ「b」の前記ブチリルコリンエステラーゼ生成物を単離するステップ、
    を含み、
    前記ブチリルコリンエステラーゼを発現することが可能な少なくとも1つのベクターは、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列とを含み、前記第1のヌクレオチド配列は、シグナルペプチドと共有結合されたブチリルコリンエステラーゼ分子をコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、四量体形成をもたらす、共発現されるポリプロリン接着ドメインと結合されたシグナルペプチドをコードする、
    方法。
  8. 前記ブチリルコリンエステラーゼ生成物が、シアリル化および四量体形成の両方を呈する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ブチリルコリンエステラーゼ生成物が、少なくとも50%のシアリル化および少なくとも50%の四量体形成を呈する、請求項8に記載の方法。
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