JP6680777B2 - 妊娠非ヒト哺乳動物における貧血の治療又は予防 - Google Patents

妊娠非ヒト哺乳動物における貧血の治療又は予防 Download PDF

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Description

本発明は、鉄−炭水化物複合体での妊娠非ヒト哺乳動物における貧血の治療に関する。本発明は、一般に、非ヒト哺乳動物のヘモグロビンレベル及び/又は仔で測定されるパラメーター、例えば死産率、授乳期における死亡率、ヘモグロビンレベルの上昇、及び授乳期における成長速度などを改善する。
先行技術
獣医師の診療ではめったに診断されないものの、いくつかの研究は、メス豚では貧血が非常に一般的であることを示唆している。最近のデンマークの調査では、大規模なデンマークの養豚群中のメス豚の59%が110g/l未満の血中ヘモグロビン(Hb)濃度を有し(Jensen et al、2014)、これは妊娠メス豚の下限基準値と考えられる(Thorn, 2010)。
貧血の最も一般的な理由は、鉄欠乏症である。鉄は酸素の輸送に関与するため、DNAの合成並びに細胞の正常な構造及び機能を維持する他の多くのプロセスにおいて(Morris et al., 1995)、低鉄状態は、メス豚とその同腹仔豚の健康と出産に、可視及び不可視の色々な影響を及ぼす。
近年、妊娠中のメス豚の高ヘモグロビンレベルが死産仔豚の割合の低下と関連していることが示された(Jensen et al 2014)。メス豚のヘモグロビンレベルと死産率との関係は、現在の品種より多産ではないメス豚でこれより早く研究されている(Archibald and Hancock, 1939, Moore et al., 1965, Zaleski and Hacker, 1993)。
また、死産仔豚は出生仔豚よりもヘモグロビン値が低く(Svetinaら、2006; Zaleski and Hacker、1993)、死産仔豚の75%が娩出中に死亡することが示されている(Glastonbury, 1977; Leenhouwers et al., 1999)。さらに、メス豚のヘモグロビンレベルは、その仔豚のヘモグロビンレベルと関連している(Jensen and Nielsen, 2013)。死産率に対する高ヘモグロビンレベルの認められる影響についての最も明白な説明としては、メス豚及び仔豚における低酸素症のリスクが低く、分娩時の仔豚の活力が高まることである。したがって、メス豚におけるヘモグロビンレベルの改善は、死産の減少のための効果的な手段を切り開く可能性がある。
デンマークでは、死産で同腹仔当たり平均1.7頭の仔豚が失われ(Vinther, 2013)、それにより養豚における深刻な経済上及び厚生上の問題が課されている。死産の数を減らすための群れの介入は、多くの場合適用が難しく、感染要因や管理上の要因にはほとんど寄与しない。
授乳期の仔豚に鉄を補うことは標準的な処置であり、業界標準は、生後初期の間に200mgの単体鉄を注射することである。その結果としてのヘモグロビン産生が得られるまで、仔豚は、母豚の子宮内の胎盤から妊娠期間中に得られた鉄にのみ依存する。
Gleptosilを分娩予定日の7週間前及び4週間前に2gの量で注射することによって、メス豚におけるヘモグロビンのレベルを上昇させる試みは成功しなかった(Auvigne, 2009)。血液中に107.7から117.3g/Lのヘモグロビンを有するメス豚の場合、鉄−炭水化物の非経口投与は、血中ヘモグロビン濃度の増加をもたらさなかった。
高ヘモグロビンレベルで生まれた仔豚は、離乳までの生存の可能性が増す。そのため、本発明の目的は、メス豚のヘモグロビンレベルを上昇させることができ、かつ/又は同腹仔豚で測定されるパラメーターを改善することができる鉄補給を妊娠メス豚に与えることである。
本発明は、妊娠非ヒト哺乳動物の血中ヘモグロビン濃度を増加させる方法における使用のための鉄−炭水化物複合体に関し、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物が1用量当たり1800mg以上の量の単体鉄を含む鉄−炭水化物複合体の1用量以上を投与される。
別の態様では、本発明は、妊娠非ヒト哺乳動物からの死産仔の割合を減少させる方法における使用のための鉄−炭水化物複合体に関し、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物が1用量当たり1800mg以上の量の単体鉄を含む鉄−炭水化物複合体の1用量以上を投与される。
さらに別の態様では、本発明は、出生及び/又は離乳から3日以内に同腹仔の血中ヘモグロビン濃度を増加させる方法における使用のための鉄−炭水化物複合体に関し、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物が1用量当たり1800mg以上の量の単体鉄を含む鉄−炭水化物複合体の1用量以上を投与される。
さらに別の態様では、本発明は、非ヒト哺乳動物のその後の産歴における産仔数を増やす方法における使用のための鉄−炭水化物複合体に関し、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物が1用量当たり1800mg以上の量の単体鉄を含む鉄−炭水化物複合体の1用量以上を投与される。
妊娠中の鉄欠乏性貧血は、胎児の成長に伴う血液量の損失増及び代謝の変化に起因し、大半の哺乳動物にとって共通の問題であると理解される。それは詳細に研究されており、ヒトにおいては一般的に治療されている。非ヒト哺乳動物の中では、鉄欠乏性貧血はブタで最もよく理解されており、大部分の研究は全乳食の仔豚の鉄欠乏性貧血に焦点を当てている。大部分の他の非ヒト哺乳動物とは異なり、妊娠メス豚でも鉄欠乏性貧血及びその治療が研究されており、したがって本発明は、例示的な妊娠非ヒト哺乳動物としてのメス豚に基づいている。本明細書においては、例示的な非ヒト哺乳動物としてブタを用いて本発明を記載しているが、任意の非ヒト哺乳動物で本発明が実施可能であることは当業者には明らかであろう。本発明の特定の態様において、非ヒト哺乳動物は、ブタ、ウマ、ラクダ、ヒツジ、ヤギ又はウシである。
血中ヘモグロビンレベルが105g/L以下に低下する早期の兆候は、フェリチン濃度レベルの低下である。なぜなら、フェリチンレベルは生物体の鉄貯蔵を表すからである。したがって、本発明はまた、妊娠非ヒト哺乳動物が本発明の方法に従って治療されない場合に、血中ヘモグロビンレベルの105g/L以下への低下を予測する、低フェリチンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物の予防的治療も包含する。
本発明の文脈における用量は、同じ日に実施される単回投与又は2回以上の投与であり得る。あるいは、2回以上の投与を、5日以内、例えば4日、3日又は2日以内に非ヒト哺乳動物に実施することができる。各投与は、経腸経路又は非経口経路のいずれかによってなされ得る。本発明の好ましい態様では、用量は、非経口的に投与される。好ましい非経口投与は、注射又は注入による。特定の実施態様では、2回注射又は注入が、同じ日に非ヒト哺乳動物の頸部の各側に投与される。
本発明によれば、非ヒト哺乳動物は、妊娠中に1以上の用量、例えば2、3、4、5、6又はそれより高い用量を投与される。さらに、2以上の用量が投与される場合、各用量間の時間間隔は、1週間以上、例えば2週間、3週間、4週間、5週間、6週間又はそれより長い。2用量を投与する場合、初回用量は、分娩予定日の15から3週間前に投与され、2回目用量は、分娩予定日の8から1週間前に投与される。
本発明の鉄−炭水化物複合体は、貧血の非哺乳動物(メス豚など)の血中ヘモグロビンを増加させると考えられる。このこと自体、前記複合体がメス豚の健康及び一般的な福祉を改善することから、重要である。さらに特定の実施態様において、本発明者らは、本発明の鉄−炭水化物複合体を妊娠中の貧血メス豚に投与することがその仔豚にも影響を及ぼすことを見出した。したがって、妊娠中の貧血メス豚に鉄−炭水化物複合体をメス豚の分娩前に1回以上投与すると、その投与によりその仔豚の血中ヘモグロビンレベルも上昇するであろう。
第一の効果として、母豚への投与は、死産仔豚の割合を減少させるであろう。死産とは、肺が膨張していることを意味する。別の実施態様では、ミイラ化した子豚の割合が低下する。ミイラ化した仔豚は、肺が膨張していない仔豚と定義される。したがって、同腹仔のより高い割合が出生するであろう。産仔数という用語が使用される場合、それは、死産仔豚及び出生仔豚の全規模又は総数として理解される。さらに、母豚への投与は、離乳までの同腹仔豚の血中ヘモグロビン濃度、生存率、健康及び/又は成長を増加させ得る。本発明の好ましい態様において、死産仔の平均割合は、12%以下、例えば11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又はそれ未満である。本発明の別の態様では、離乳までの平均生存率は、80%以上、例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、96%、97%、98%、99%又はそれより高い。平均生存率は、出生仔豚、すなわち死産仔豚又ミイラ化した仔豚を差し引いた仔豚の総数と離乳時に生きている仔豚とを基にして計算される。
したがって、妊娠中の貧血メス豚に鉄−炭水化物複合体が投与されない状況と比較して、出生から離乳まで、より多くの同腹仔豚が生存するであろう。さらに、仔豚は離乳時にさらに健康になるであろう。それは例えば、体重又は血中ヘモグロビン濃度の増加などの健康パラメーターで表される。鉄−炭水化物複合体を妊娠中の貧血メス豚に投与すると、妊娠中の貧血メス豚に鉄−炭水化物複合体を投与しなかった場合よりも、その仔豚は離乳するまでに体重及び/又は血中ヘモグロビン濃度が増加しているであろう。特定の実施態様では、本発明者らは、鉄−炭水化物複合体を本発明に従って妊娠中の貧血メス豚に投与すると、その授乳期の仔豚に追加の鉄を経腸的に又は非経口的に投与する必要性が低下することを観察した。したがって、本発明は、養豚業者の仕事を単純化し、かつ母豚とその仔豚の両方の一般的な健康を改善する。
本発明の治療により、平均産仔数は、その後の産歴で平均産仔数が13以上、例えば14、15、16、17又はそれより多いレベルまで増加し得る。さらに、妊娠中のメス豚の平均ヘモグロビン濃度は、1%以上、例えば2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%又はそれより高く増加する。さらに、本発明の好ましい態様において、死産仔の平均割合は、1%以上、例えば2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%又はそれより多く減少する。本発明の特定の実施態様では、離乳時までの同腹仔の平均血中ヘモグロビン濃度は、1%以上、例えば2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%又はそれより高く増加する。本発明の一態様では、妊娠メス豚のその後の産歴における平均産仔数は、1%以上、例えば2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、40%、50%又はそれより多く増加する。
本発明に従って治療されたメス豚は、背脂肪厚によって反映される様々な健康状態であり得る。好ましい態様において、メス豚は、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm又はそれ未満の背脂肪厚を有する。また、メス豚には一又は複数の産歴があった可能性も考えられ、好ましくは、治療されたメス豚の場合、その産歴は、2、3、4、5、6、7、8、9産目又はそれより多い。
本発明の文脈では、鉄−炭水化物複合体は、ブタに投与するのに適した、Fe3+及び/又はFe2+を含む鉄イオン若しくは鉄粒子と炭水化物との任意の複合体である。本発明の特定の態様において、鉄−炭水化物複合体は、メス豚の胎盤に浸透し、それにより胎児に進入し得るのが好ましい。鉄−炭水化物複合体は、当業者に周知であり、適切な鉄−炭水化物複合体の特定の選択は、当業者の知識の範囲内である。好ましい実施態様において、鉄−炭水化物複合体は、炭水化物と複合体化される単体鉄の含有量が5〜25%(w/v)、例えば50〜250g/Lである注射可能な獣医用組成物として製剤化される。獣医用組成物は、この分野で通常適用される助剤を含むことができる。さらに、鉄−炭水化物複合体を含む獣医用組成物は、フェノールなどの保存剤を1〜10g/Lの量で含有してもしなくてもよい。特定の実施態様では、フェノールの量は、1g/L未満である。必要であれば、代わりの方法で滅菌が得られる。
鉄−炭水化物複合体は、様々な異なる物質から選択することができる。好ましくは、鉄−炭水化物複合体は、カルボキシマルトース鉄、鉄ポリグルコースソルビトールカルボキシメチルエーテル複合体、鉄マンニトール複合体、デキストラン鉄、水素化デキストラン鉄、カルボキシアルキル化還元オリゴ糖及び多糖、スクロース鉄、グルコン酸鉄、デキストリン鉄、水素化デキストリン鉄、ポリマルトース鉄、水素化ポリマルトース鉄、ポリイソマルトース鉄、水素化ポリイソマルトース鉄、鉄サッカリド複合体、ピロリン酸鉄、ソルビトール鉄、グリコヘプタン酸、酸化デキストリン、酸化デキストラン、酸化オリゴ及びポリサッカリド又はそれらの混合物を含む群から選択される。特定の実施態様では、鉄は、デキストラングルコヘプトン酸と複合体化される。この鉄−炭水化物複合体は、グレプトフェロン(Gleptoferron)としても知られており、例えばGleptosil(英国、ヨーク市のAlstoe Limited Animal Health)、Ursoferran(ドイツ、ベルンブルク市のSerumwerk Bernburg AG)として入手可能である。別の実施態様では、鉄は、水素化デキストランと複合体化される。市販の鉄−水素化デキストラン複合体は、デンマーク、ホルベック市のPharmacosmos A/Sから入手可能なUniferon、CosmoFer、MonoFer、及びDiaFerである。
本発明の鉄−炭水化物複合体の炭水化物成分は、任意の適切な分子量を有することができる。鉄−炭水化物複合体の炭水化物成分の重量平均分子量(MW)が800から80000ダルトン、好ましくは800から10000ダルトンである分子量を有する炭水化物成分を使用することが一般に好ましい。この範囲の重量平均分子量は、妊娠メス豚から胎児へと、より運搬し易い。好ましい態様では、鉄−炭水化物複合体の見かけの分子量は、500000ダルトン以下、例えば400000ダルトン以下である。
鉄−炭水化物複合体の用量は、一般に単体鉄に基づいて計算され、通常1800mgから10000mgの範囲である。ある実施態様では、前記用量は、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、620 0mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg又はそれより高い。特定の状況では、1650mg、例えば1700mg、例えば1750mg以上の用量の単体鉄を投与することが適切であり得る。
この範囲の用量は、約250kgの体重(BW)を有する典型的なサイズのメス豚に適用可能である。メス豚の重さは品種及び栄養によって変化するため、前記用量は、いくつかの実施態様においてメス豚の体重に基づいてよりよく表すことができる。したがって、鉄、すなわち単体鉄の用量は、6mg/kg BWから30mg/kg BWの範囲、例えば7mg/kg BW、8mg/kg BW、9mg/kg BW、10mg/kg BW、11mg/kg BW、12mg/kg BW、13mg/kg BW、14mg/kg BW、15mg/kg BW、16mg/kg BW、17mg/kg BW、18mg/kg BW、19mg/g BW、20mg/kg BW、21mg/kg BW、22mg/kg BW、23mg/kg BW、24mg/kg BW、25mg/kg BW、26mg/kg BW、27mg/kg BW、28mg/kg BW、29mg/kg BW、30mg/kg BW又はそれより高くてもよい。
本発明の鉄−炭水化物複合体は、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有するメス豚に鉄−炭水化物複合体を注射する方法における使用適している。しかし、鉄−炭水化物複合体は血液ヘモグロビンレベルにかかわらず、すべてのメス豚に対して所望の効果を有するであろうことが考えられる。したがって、鉄−炭水化物複合体はまた、メス豚が約110g/L以下、例えば109g/L、108g/L、107g/L、106g/L又はそれ未満の血中ヘモグロビンレベルを有する場合にも有効であると考えられる。一般に、治療されたメス豚は、105g/L以下、例えば104g/L、103g/L、102g/L、101g/L、100g/L、95g/L、90g/L、80g/L、75g/L、70g/L、65g/L、60g/L、55g/L、50g/L、45g/L、40g/L又はそれ未満の血中ヘモグロビンレベルを有する。これらのレベルの血中ヘモグロビンを有するメス豚は、一般的に「貧血」と呼ばれることがある。
鉄−炭水化物複合体で治療されるメス豚は、通常は産歴が2産目又はそれより多い。メス豚の血中ヘモグロビンレベルは産歴が増えるにつれて低下することが一般に認められており(Normand et al.,2012)、本発明者らは驚くべきことに、本発明の鉄−炭水化物複合体が2産目又はそれ以上の産歴、例えば3産目の産歴、4産目の産歴、5産目の産歴、6産目の産歴、7産目の産歴、8産目の産歴、9産目又はそれ以上の産歴のメス豚に投与する場合に特に有効であることを見出した。しかしながら、鉄−炭水化物複合体は、1産目の産歴の貧血メス豚に投与しても有効であると考えられる。
本発明の好ましい態様において、本発明の鉄−炭水化物複合体は、注射による非経口投与、例えば筋肉内(IM)、皮下(SC)又は静脈内(IV)注射用である。IM注射は、場合によってボーラス注入としてが好ましい。分娩の予定時刻は、当業者に周知であり、授精又は受胎の日から計算することができる。したがって、投与タイミングの決定は、授精又は受胎日から計算される。
仔豚に対する最良の効果を得るために、最後の用量投与は分娩の遅くとも1週間前、好ましくは2〜4週間前に実施するべきであると一般に考えられている。妊娠の最後の20日間のうちに、胎児は体重を2倍にすると予想される。初回用量は、一般に分娩の15週間前に送達されるべきである。ただし、上記の指示は単なるガイド的なものであり、分娩の15週間から2週間前の好ましい期間以外に投与された鉄−炭水化物複合体も貴重な効果を提供し得る。
鉄−炭水化物複合体の投与量は、妊娠中の貧血メス豚に対して、妊娠中の1以上の時点、例えば2、3、4、5、6回又はそれより多い回数で、好ましくはメス豚の分娩の15週間前から2週間前の期間内に投与される。したがって、各投与時には、鉄−炭水化物複合体として製剤化された単体鉄1800mgから10000mgが、例えばIM、SC又はIVで、妊娠中の貧血メス豚に投与される。各投与時の用量は、同じであってもよいし、用量が異なってもよい。例えば、初回の注射は、2回目の注射よりも例えば500mg、1000mg、1500mg、2000mg多くてもよく又はその逆であってもよい。通常、分娩の9週間前から3週間前の期間内に2回投与すれば十分である。各投与間の時間間隔は、1週間以上、例えば2週間、3週間、4週間、5週間、6週間又はそれより長くてもよい。
鉄−炭水化物複合体は、他の獣医用医薬と共に投与することができる。他の獣医用医薬類の例には、PRRSワクチンなどのワクチンが含まれる。抗生物質もまた、鉄−炭水化物複合体と共に投与することができる。抗生物質の例には、アミカシン、アミノペニシリン、アモキシシリン、アジスロマイシン、セファロスポリン(ceohalospirin)、シプロフロキサシン、クリンダマイシン(clinamycin)、ドキシサイクリン、エンロフロキサシン、エリスロマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、マルボフロキサシン、メトロニダゾール、ノボビオシン、オルビフロキサシン、ペニシリンG、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン、スルファジメトキシン、テトラサイクリン、チアベンダゾール、ネオマイシン、デキサメタゾン、トリメトプリム、及びタイロシンが含まれる。特定の態様において、鉄−炭水化物複合体は、エリスロポエチンと共に投与され、血液細胞の産生を刺激する。
単体鉄として計算される鉄−炭水化物複合体の総量は、少なくとも1800mg以上の単体鉄である。好ましい実施態様において、単体鉄の総量は、2000mg、2500mg、3000mg、3500mg、4000mg、4500mg、5000mg、6000mg、7000mg、8000mg、9000mg、10000mgの単体鉄又はそれより多い。また、鉄の総量は、1800mg/L未満を含むことがある複数の投与に分割することもできると考えられる。
本発明は、血中ヘモグロビン濃度を増加させる方法における使用のため、死産仔豚の割合を減少させる方法における使用のため、離乳時までの同腹仔豚の生存、健康及び/若しくは成長を増進させる方法における使用のため、又は産仔数を増やす方法における使用のための鉄−炭水化物複合体に関する。
以下、本発明をサポートする実験プロトコールを説明する。
1 材料及び方法
1.1 対象及び試験集団
本試験は、大量生産のメス豚の群れで実施される。このような群れは、デンマークにおける集約的なメス豚の群れの典型である。試験集団は、低ヘモグロビン値を有する妊娠メス豚及び離乳までのそれらの同腹仔からなる。妊娠メス豚は、妊娠の60日〜80日目に、試験のために選抜される。
1.2 試験設計
本試験は、無作為化臨床試験である。試験の開始前に、デンマークの動物実験検査官(Danish Animal Experiments Inspectorate)及びデンマーク医薬品庁(Danish Medical Agency)からの承認を取得する。本試験は、プロトコールに従って実施される。
1.3 試験単位
試験単位は、メス豚及びその同腹仔豚である。
1.4 群れの選抜
ブタ専門獣医の協力で、デンマークメス豚における貧血の有病率調査を実施する。高い貧血有病率を有する群れが、本試験のために選抜される。
1.4.1 群れの選抜基準
1. 少なくともメス豚1000頭の群れサイズ
2. 群れデータの良好な記録保持
3. 意欲的な、群れの所有者
4. 4日目のみ、200mgのデキストラン鉄を注射することによる仔豚の鉄補給
1.4.2 群れの除外基準
1. 経口又は注射による、メス豚への余分な鉄の供給(飼料配合中は除く)
2. 繁殖中の群れ
3. 例えばプロスタグランジンによる分娩誘導
4. 死産になりやすい、明らかな感染症又は管理上の問題
1.5 試料サイズ
有病率を推定するために必要な試料サイズは、以下の通りである。
N=(Z(1−a/2) )/L(J.P.T.M et al., 2001)
N=採取された試料の数
a=0.05(信頼水準95%)=>Z(1−0.05/2)=Z0.975=1.96
s=標準偏差
L=予測絶対誤差
50%のメス豚が貧血(ヘモグロビン<100g/L)に罹患している群では、許容誤差±13%で有病率を決定するのに50頭の試料サイズで十分である。
1.6 臨床試験のためのメス豚の識別
200頭に相当する十分な数の群れから2回以上出産経験のあるすべてのメス豚を、妊娠の60〜80日目で毎週識別する。1産目の産歴のメス豚は除外する。
200頭のメス豚におけるヘモグロビンの初回測定を、HemoCue測定により実施する。100g/l未満のヘモグロビンを有する健康なメス豚については、試験に含める。
1.7 血液採取
メス豚を拘束し、試験開始時(妊娠11週目)及び分娩予定日の1週間前に、頸静脈から5mLの血液をEDTA入り無地のバキュテナーチューブに採取する。試料は、完全な血液学的検査によって、セクション4.6.3及び4.8に記載のように血清鉄、TIBC、及び血清フェリチンについて分析される。トランスフェリン飽和度も、セクション4.9に記載のようにして算出される。
1.8 メス豚の血液学的検査
200個すべてのEDTA安定化血液試料には、HemoCueによるヘモグロビン濃度の検査を最初に実施する。この検査に必要な装置は、Pharmacosmosにより提供される。100頭の貧血メス豚の選抜は、この検査に基づいて行われる。
選抜された100頭のメス豚の試料は、コペンハーゲン大学で完全な血液学的検査(ベースライン測定)に供される。
血液試料は、赤血球数(RBC)、白血球数(総白血球数及び白血球百分率)、血小板、平均血小板容積(MPV)、赤血球分布幅(RDW)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘモグロビン分布幅(HDW)、ヘマトクリット(HCT)、平均細胞容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、及び平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)について分析される。網状赤血球数(絶対及び相対)、網状赤血球ヘモグロビン含量(Chr)、網状赤血球の平均ヘモグロビン濃度(CHCMr)、平均網状赤血球細胞容積(MCVr)、網状赤血球分布幅(RDWr)、及び網状赤血球ヘモグロビン分布幅(HDWr)を含む網状赤血球指数も分析される。
血清試料は、臨床試験のための試験メス豚を識別するまで保存される。
1.9 メス豚データの記録
各メス豚について、次の記録がなされる:メス豚の年齢、初回授精の年齢、過去の産歴での死産及び出生仔豚の数、授精日、メス豚の分娩日及び産歴。
2. 臨床試験の試料サイズの算出
動物群間の差異を計算するために必要な各群の試料サイズは、以下の方程式により算出する(Graat et al., 2001)。
N=2×(Za+Zb2*SD/Δ
式中、
N=各群に必要なメス豚の頭数
a,Zb=特定の信頼水準及び検出力での標準正規分布値
SD=標準偏差
Δ=推定差分
定数2は、SDが両方の群で等しいことを意味する。
aが0.05、Z0.05=1.96、かつ80%の検出力、Z0.20=0.84での両側検定を仮定する。
2群間のヘモグロビン差(Δ)は、10g/Lと仮定し、SDは、過去の研究に基づいて15g/Lに設定する。
治療群とコントロール群との間のヘモグロビン濃度差が9g/Lであると仮定すると、群当たり50頭のメス豚が必要である。
2.1 凍結試料の実験室分析
可能であれば、選抜した100頭のメス豚(治療群50頭及びコントロール群50頭)から得られた血清試料の血清鉄、総鉄結合能(TIBC)、及び血清フェリチンについて分析する。血清鉄及び総鉄結合能は、コペンハーゲン大学中央研究所で分析され、血清フェリチン測定は、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン獣医学部Ritzmanns教授の研究室で実施される。
2.2 トランスフェリン飽和度(TfS)の算出
トランスフェリン飽和度は、式:TfS(%)=血清鉄/TIBC×100を使用して、すべての血液試料について算出する。
2.3 背脂肪厚の測定
メス豚のベースライン背脂肪測定は、超音波装置を用いて行う。測定は、メーカーのガイドラインに従って、背中の正中線の左右7cm、最も下側の浮動肋骨のところで行う。背脂肪測定は、試験開始時、分娩時、及び離乳直前に行う。
2.4 メス豚の無作為化
選抜したメス豚を二つの群に無作為に振り分ける。
1. コントロール群
2. 治療群
無作為化は、メス豚の耳タグ番号のくじを使用して行う。
2.5 メス豚の治療
試験及びコントロール物質の調製並びに注射用装置は、Pharmacosmosにより提供される。
− 初回投与
妊娠70日目(分娩の6週間前)、治療群のメス豚の頚部に、12.5mL(2500mg)の鉄の筋肉内注射(Uniferon)を投与する。同日、コントロール群には、頚部に12.5mLの等張性生理食塩水を筋肉内投与する。鉄注射に起因するいかなる反応にも注意し、適宜治療する。
− 2回目の投与
鉄を最初に投与してから2週間後の84日目(分娩4週間前)に、前記メス豚は、2回目の投与として12.5mL(2500mg)の鉄の筋肉内注射(Uniferon)を頸部に受ける。また、コントロールメス豚は、等張性生理食塩水の2回目の投与を受ける。
2.6 仔豚のメス豚の管理
すべてのメス豚は、試験期間中、農場で標準的な手順に従って管理される。
2.7 死産仔豚の記録と分類
同腹で完全に成熟したすべての死亡仔豚は、分娩時に収集する。死亡した仔豚を剖検し、肺を検査する。肺が水に沈めば、その仔豚は死産とみなされる。死産仔豚は、以下のように分類される。
1. 非新生児死産:茶色の肌、腐敗の兆候を示す−このような仔豚は、おそらく分娩開始の1週間以上前に死亡(Randall and Penny 1967)。
2. 分娩直前の死産:外見上は腐敗の兆候は見られないが、溶血及び自己融解によりすべての腹部臓器が同じ赤れんが色になっている−このようなブタは、分娩日の直前に子宮内で死亡(Bille et al., 1974)。
3. 分娩時の死産:腹部臓器の色は正常だが、気管内に粘液及び/又は胎便が存在し、分娩中の仔豚の死亡を示す。
ミイラ化した胎児は記録するが、試験には含めない。各死産仔豚及び出生仔豚について、性別を記録し、実務上可能であれば、個々の体重を入手する。
2.8 仔豚の血液学的検査
同腹当たり二匹の出生仔豚のサブセットの前大静脈から血液を採取する。これらの仔豚は、その特定の同腹のすべての仔豚の中から無作為に選抜する。同腹当たり2匹の死産仔豚の血液を、Rootweltらの2012年のガイドラインに従って採取する。
血液は、セクション1.8及び2.1に記載されている通り、血清鉄、TIBC、及び血清フェリチンを含めた完全な血液学的検査に供される。各仔豚の乳酸も測定される。
2.9 メス豚における有害反応
試験中、離乳時にメス豚の20%が淘汰されることが予想される。これらのメス豚の中で、10頭が注射部位反応の試験のために選抜される。注射部位を巨視的に評価し、注射による組織損傷の程度を決定する。組織学的検査用の試料は、ホルマリンで固定する。
治療動物における出生仔豚の総数をコントロールのそれと比較する。離乳が近いメス豚の背脂肪厚を記録する。
3 統計分析
データ分析にはSAS 9.3を用いる。SASのPROC GLMプロシジャを使用し、鉄注射の前後のメス豚の血液学的な比較を一般線形モデルによって行う。PROC GLMプロシジャを使用し、コントロールメス豚と治療メス豚間の血液学的相違を一般線形モデルによって算出する。説明要因には、ベースラインのHb値、出生仔豚の総数、及びメス豚の産歴が含まれるであろう。PROC LOGISTICプロシジャを使用し、各コントロール及び治療メス豚における仔豚が死産となる確率を一般化線形モデルにより算出する。このプロシジャにおいて、Hbのベースライン測定値、出生仔豚の総数、メス豚の産歴、仔豚の性別が、分析のために考慮される説明変数である。
偶然要因としてメス豚を用いたPROC MIXEDプロシジャを使用し、線形混合モデルによって生存仔豚と死産仔豚間の血液学的相違を明らかにする。その他の説明変数には、産仔数、メス豚の産歴、及びメス豚のヘモグロビンが含まれる。
実施例1
高い貧血罹患率を示す群れから100頭のメス豚を選抜した。実務的理由から、本試験は二回に分けて実施された。すべてのデータをプールした。
頸静脈から5mlの血液を、試験の開始時(すなわち妊娠8週目)、分娩予定日の約1週間前、及び分娩の4週間後にEDTA中に採取した。血液試料は、それぞれHb_S1、Hb_S2、及びHb_S3をマークされた。試料を分析し、血液ヘモグロビン濃度(Hb)を決定した。
選抜したメス豚を二つの群に無作為に振り分ける。
1. コントロール群(C)
2. 治療群(T)
無作為化は、メス豚の耳タグ番号のくじを使用して行う。各群には50頭のメス豚が含まれる。
妊娠70日目(分娩の6週間前)、治療群のメス豚の頸部に、500mgの鉄に相当する初回用量のデキストラン鉄(Uniferon、20%)12.5mlを筋肉内送達した。同日、コントロール群には、頚部に12.5mLの等張性生理食塩水を筋肉内投与した。鉄注射に起因するいかなる反応にも注意し、適宜治療する。
鉄を最初に投与してから2週間後の84日目(分娩4週間前)に、前記メス豚は、2回目の投与として12.5mL(2500mg)の鉄の筋肉内注射(Uniferon)を頸部に受けた。また、コントロールメス豚は、等張性生理食塩水の2回目の投与を受けるであろう。
Figure 0006680777
同腹で完全に成熟したすべての死亡仔豚は、分娩時に収集する。死亡した仔豚を剖検し、肺を検査する。肺が水に沈めば、その仔豚は死産とみなされる。
ミイラ化した胎児は記録するが、試験には含めない。各死産仔豚及び出生仔豚について、性別を記録し、実務上可能であれば、個々の体重を入手する。

Figure 0006680777
表1に示すメス豚のヘモグロビン濃度は、105g/lより低いベースラインHbを有するメス豚について増加することに留意されたい。具体的には、105g/l未満の低いベースラインHbを有する貧血メス豚は、試験開始から分娩予定日の1週間前まででは、コントロール群の0.28g/lと比較して1.40g/lの増加、開始から分娩後4週まででは、コントロール群の0.22と比較して1.66g/lの増加を経験する。この結果は、貧血の妊娠メス豚が鉄−炭水化物複合体の投与から恩恵を受けることを示している。105g/lを超えるベースラインHbを有するメス豚のΔ(Hb_S1,Hb_S2)及びΔ(Hb_S1,Hb_S3)はマイナスであり、これらの動物が本発明の治療の恩恵を受けないことを示している。
表2の死産率は、105g/l未満のベースラインを有するメス豚が鉄−炭水化物複合体で治療される場合、コントロール群の7.9%から治療群の6.6%に低下している。この結果は、鉄−炭水化物複合体の投与によって死産仔の割合が低下することを示している。逆に、死産率は、ベースラインHbが105g/lを超える場合、コントロール群の6.6%から治療群の6.4%への低下であり、このメス豚の群の死産率の改善は得られないことを示している。
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Claims (15)

  1. 妊娠非ヒト哺乳動物の血中ヘモグロビン濃度を増加させる方法であって、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物が1用量当たり1800mg以上の単体鉄の量での鉄−炭水化物複合体の1用量以上を投与される、方法。
  2. 妊娠非ヒト哺乳動物からの死産仔の割合を減少させる方法であって、105g/L以下の血中ヘモグロビンレベルを有する妊娠非ヒト哺乳動物が1用量当たり1800mg以上の単体鉄の量での鉄−炭水化物複合体の1用量以上を投与される、方法。
  3. 非ヒト哺乳動物がブタ、ウマ、ラクダ、ヒツジ、ヤギ又はウシである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 哺乳動物がブタである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  5. 2用量が投与され、初回用量は分娩予定日の15から3週間前に投与され、2回目用量は分娩予定日の8から1週間前に投与される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  6. 用量が6mg/kg BW(体重)以上、例えば7mg/kg BW、8mg/kg BW、9mg/kg BW、10mg/kg BW、11mg/kg BW、12mg/kg BW、13mg/kg BW、14mg/kg BW、15mg/kg BW、16mg/kg BW、17mg/kg BW、18mg/kg BW、19mg/kg BW、20mg/kg BW、21mg/kg BW、22mg/kg BW、23mg/kg BW、24mg/kg BW、25mg/kg BW、26mg/kg BW、27mg/kg BW、28mg/kg BW、29mg/kg BW、30mg/kg BW又はそれより高い、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  7. 鉄−炭水化物複合体がカルボキシマルトース鉄、鉄ポリグルコースソルビトールカルボキシメチルエーテル複合体、鉄マンニトール複合体、デキストラン鉄、水素化デキストラン鉄、カルボキシアルキル化還元オリゴ糖及び多糖、スクロース鉄、グルコン酸鉄、デキストリン鉄、水素化デキストリン鉄、ポリマルトース鉄、水素化ポリマルトース鉄、ポリイソマルトース鉄、水素化ポリイソマルトース鉄、鉄サッカリド複合体、ピロリン酸鉄、ソルビトール鉄、グリコヘプタン酸、酸化デキストリン、酸化デキストラン、酸化オリゴ及びポリサッカリド又はそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  8. 鉄−炭水化物複合体が水素化デキストラン鉄である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  9. 鉄−炭水化物複合体の炭水化物成分の重量平均分子量が800から50000ダルトン、好ましくは800から10000ダルトンである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  10. 鉄−炭水化物複合体の見かけの分子量が500000ダルトン以下、例えば400000ダルトン以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  11. 非経口投与が筋肉内(IM)、皮下(SC)、及び静脈内(IV)投与からなる群の中で選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 鉄−炭水化物複合体を含む製剤中の生殖毒性を持つ保存剤の量が1g/L以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 生殖毒性を持つ保存剤がフェノールである、請求項12に記載の方法。
  14. 用量が2分以内に投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 液体獣医用組成物中の鉄−炭水化物複合体の濃度が5g/100mLから25g/100mLの範囲である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
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