JP6680410B1 - プリプレグ、プリプレグテープおよび繊維強化複合材料の製造方法ならびに塗工装置 - Google Patents

プリプレグ、プリプレグテープおよび繊維強化複合材料の製造方法ならびに塗工装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、強化繊維シートにマトリックス樹脂を付与したプリプレグの製造方法に関して、走行速度が速い場合でも発生した毛羽が詰まることなく連続走行が可能で、かつ強化繊維シートにマトリックス樹脂を効率よく含浸させることが可能な、プリプレグの製造方法を提供することを課題とし、マトリックス樹脂(2)が貯留された塗布部(20)の内部に、強化繊維シート(1a)を、実質的に鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂(2)を強化繊維シート(1a)に付与し、その後、塗布部(20)から引き出された1次プリプレグ(1b)に樹脂フィルム(3)を付与するプリプレグ(1c)の製造方法であって、塗布部(20)は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有する、プリプレグの製造方法であることを本旨とする。

Description

本発明は、プリプレグの製造方法に関し、特に、強化繊維シートにマトリックス樹脂を均一に含浸する方法に関する。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含むマトリックス樹脂を強化繊維で補強した繊維強化複合材料(FRP)は、航空・宇宙用材料、自動車材料、産業用材料、圧力容器、建築材料、筐体、医療用途、スポーツ用途など様々な分野で用いられている。特に高い力学特性と軽量性が必要な場合には、炭素繊維強化複合材料(CFRP)が幅広く好適に用いられている。一方、力学特性や軽量性よりもコストが優先される場合にはガラス繊維強化複合材料(GFRP)が用いられる場合がある。FRPは強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸し中間基材を得、これを積層、成形し、さらに熱硬化樹脂を用いた場合には熱硬化させて、FRPからなる部材を製造している。前記用途では平面状物やそれを折り曲げた形態のものが多く、FRPの中間基材としても1次元のストランドやロービング状物よりも、2次元のシート状物の方が部材を作製する際の積層効率や成形性の観点から幅広く使用されている。
また、最近、FRPからなる部材の生産効率を向上させるため、シート状中間基材の積層の機械化・自動化が推進されており、ここでは細幅テープ状中間基材が好適に使用されている。細幅テープ状中間基材は広幅シート状中間基材を所望の幅でスライスしたり、細幅の強化繊維シートに直接マトリックス樹脂を含浸させたりして得ることができる。
2次元のシート状中間基材としては、プリプレグが一般的に用いられている。プリプレグは強化繊維にマトリックス樹脂を付与・含浸して作製する。強化繊維シートとしては、複数本の強化繊維を一方向に面上で配列させた一方向材(UD基材)や、強化繊維を多軸で配列させる、またはランダム配置してシート化した強化繊維ファブリックがある。
プリプレグの製造方法の一つであるホットメルト法は、マトリックス樹脂を溶融した後、離型紙上にコーティングし、これを強化繊維シートの上面、下面でサンドイッチした積層構造を作製後、熱と圧力でマトリックス樹脂を強化繊維シート内部に含浸するものである。本方法は工程数が多く、また生産速度も上げられず、高コストとなる問題があった。
含浸の効率化としては、例えば特許文献1のような提案があった。これはガラス繊維を溶融紡糸し、それを集束してストランドやロービング状としたものを熱可塑性樹脂を満たした円錐状の流路を有する液溜り部に通過させる方法であった。
他方、シート状物の両面に同時に塗膜形成する方法が特許文献2に記載されているが、これは塗膜形成時のシート状物の揺らぎを防止するため、ウエブガイドにシート状物を通し、その後、パイプ型ドクターで塗工するものである。
熱可塑性樹脂を用いた帯状プリプレグの製造方法として、帯状強化繊維束を水平方向(横方向)に搬送し、ダイに通過させ、帯状強化繊維束に熱可塑性樹脂を付与・含浸する横型引き抜き方式(特許文献3)が知られている。特許文献3には、複数の帯状強化繊維束を別々に溶融熱可塑樹脂が満たされたダイ内へ導入し、固定ガイド(例えばスクイーズバー)により、開繊、含浸、積層し、最終的に1枚のシート状プリプレグとしてダイから引き抜くことが記載されている。
文献4には、マニホールドに熱可塑性樹脂を満たし、強化繊維束を縦に引き抜くプルトルージョン方法において出口に超音波振動を与える装置が記載されている。
また、プリプレグや、プリプレグを硬化して得られるCFRPの機能性向上や機械特性向上のため、粒子含有マトリックス樹脂を付与して、粒子をプリプレグ表面に配置することが知られている。例えば、ポリマー粒子を用いたプリプレグとして、プリプレグ表層にポリマー粒子を配置することでCFRPの耐衝撃性が向上することが知られている(特許文献5)。
国際公開WO2001/028951号パンフレット 特開平10−337516号公報 国際公開WO2012/002417号パンフレット 特開平1−178412号公報 特開平1−104624号公報
しかしながら、特許文献1の方法ではストランドやロービング状物しか製造できず、本発明の対象とするシート状プリプレグの製造には適用できない。また、特許文献1では含浸効率を向上させるため、ストランドやロービング状強化繊維束側面に熱可塑性樹脂の流体を当て円錐状流路内で乱流を積極的に発生させている。これは強化繊維束の配列を一部乱してマトリックス樹脂を流入させることを意図していると考えられるが、この思想を強化繊維シートに適用すると、強化繊維シートが変形し、プリプレグの品位が低下するばかりか、FRPの力学特性が低下してしまうと考えられる。
また、特許文献2の技術を適用した場合には、ウエブガイドでの擦過により毛羽が発生し、強化繊維シートが走行困難になると考えられる。また、特許文献2の技術は樹脂の塗工であり、含浸は意図されていない。
また、特許文献3の方法では連続生産時に液溜り部に毛羽が滞留し易く、引き抜き部で毛羽が詰まり易い。特に、帯状強化繊維束を高速で連続走行させると、毛羽が詰まる頻度が非常に高まるため、非常に遅い速度でしか生産ができず、生産性が上がらない問題点があった。また、横型引き抜き方式の場合、ダイ部は液漏れ防止のため密閉する必要があり、連続生産中に毛羽を回収することも十分ではない。さらに、横型引き抜き方式においては、強化繊維シートの内部にマトリックス樹脂が含浸する際、帯状強化繊維束の内部に残留していた気泡は、浮力により強化繊維束の配向方向と直交する方向(帯状強化繊維束の厚み方向)に排出されるため、含浸してくるマトリックス樹脂を押しのけるようにして気泡の排出が進む。そのため、気泡の移動が液によって阻害される上に、マトリックス樹脂の含浸も気泡によって阻害されるため、含浸効率が悪いという問題点があった。更に、気泡をベントから排気することも提案されているが、ダイ出口付近のみであり、その効果は限定的と考えられる。
また、特許文献4記載の方法では、マニホールド上部に樹脂で満たされていないノズル部が設けられており、ノズルはストランドやロービング状物で最適化することができるが、強化繊維シートのような平面形状には対応が難しく、強化繊維シートがここを通過する際、毛羽が発生し、それがマニホールドに持ち込まれるとダイで詰まり易いと考えられる。
さらに、特許文献5においては従来のホットメルト法を用いたプリプレグの作製方法を実施例において示しているが、工程数が多く、生産速度も上げられないものであった。
このように、強化繊維シートに対して効率的にマトリックス樹脂を付与、含浸させることができるプリプレグの製造方法は未だ確立されていなかった。
本発明の課題は、プリプレグの製造方法に関して、毛羽発生を抑制し、かつ毛羽が詰まることなく連続生産が可能であり、さらに強化繊維シートにマトリックス樹脂を効率よく含浸させ、生産速度の高速化が可能な、プリプレグの製造方法および塗工装置を提供することにある。また、プリプレグやCFRP表面を機能化するための、効率的なプリプレグの製造方法および塗工装置を提供することにある。
前記の課題を解決する本発明のプリプレグの製造方法は、マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に、強化繊維シートを、実質的に鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂を強化繊維シートに付与し、その後、前記塗布部から引き出された1次プリプレグに樹脂フィルムを付与するプリプレグの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有する、プリプレグの製造方法である。
また、マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂を強化繊維シートに付与して得られる1次プリプレグの表面に、下記[1]〜[4]からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法で平均粒子径が0.1μm以上500μm以下である粒子を付与するプリプレグの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有することを特徴とするプリプレグの製造方法である。
[1]走行する基材に粒子を自重落下させる方法
[2]粒子が拡散された空間に基材を通す方法
[3]静電塗装による方法
[4]粒子を混合した気流を用いる方法
また、前記のプリプレグをスリットするプリプレグテープの製造方法である。
さらに、前記のプリプレグおよび/または前記のプリプレグテープを成形する繊維強化複合材料である。
本発明のプリプレグの製造方法によれば、毛羽による詰まりを大幅に抑制、防止できる。さらに、強化繊維シートを連続かつ高速で走行させることが可能となりプリプレグの生産性が向上する。
さらに、マトリックス樹脂に粒子が含有された場合であっても均一に付与・含浸がされたプリプレグを得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るプリプレグの製造方法および塗工装置を示す概略図である。 図1aとは別の実施形態の本発明に係るプリプレグの製造方法および塗工装置を示す概略図である。 図1における塗布部20の部分を拡大した詳細横断面図である。 図2における塗布部20を、図2のAの方向から見た下面図である。 図2における塗布部20を、図2のBの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。 図4aにおける隙間26でのマトリックス樹脂2の流れを説明するための模式断面図である。 幅規制機構の設置例を示す図である 図2とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。 図6とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。 図6とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。 図6とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。 本発明とは異なる実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。 本発明の実施形態の一例である液溜まり部内にバーを具備した態様を示す図である。 本発明を用いたプリプレグ製造工程・装置の例を示す概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明の一実施形態に係る複数のプリプレグを積層する態様の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る複数の塗布部を具備する態様の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る複数の塗布部を具備する別の態様の例を示す図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。
本発明の望ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は発明の実施形態を例示するものであり、本発明はこれに限定して解釈されるものではなく、本発明の目的・効果を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
<プリプレグの製造方法の概略>
まず、図1aにより本発明のプリプレグの製造方法の概略を述べる。図1は本発明の一実施形態に係るプリプレグの製造方法および装置を示す概略図である。塗工装置100には、強化繊維シート1aを実質的に鉛直方向下向きZに走行させる走行機構である搬送ロール13、14と、搬送ロール13と14との間に設けられ、マトリックス樹脂2が溜められた塗布部20が具備されている。また、塗工装置100の前後には、強化繊維1を巻き出す複数のクリール11と、巻き出された強化繊維1を一方向に配列した強化繊維シート1a(図1aでは紙面奥行き方向に配列)を得る配列装置12とプリプレグ1cの巻取り装置15を備えることができ、また、図示していないが塗工装置100にはマトリックス樹脂の供給装置が具備されている。さらに、樹脂フィルム3aおよび3bを供給する供給装置16aおよび16bを備える。
次に、図1bにより本発明のもう一つのプリプレグの製造方法の概略を述べる。図1bは本発明の一実施形態に係る強化繊維シートとしてUD基材を用いた時のプリプレグの製造方法を示す概略図である。塗工装置100には、強化繊維シート1aを実質的に鉛直方向下向きZに走行させる走行機構である搬送ロール13と搬送ロール14の間に設けられ、塗布機構であるマトリックス樹脂2が溜められた塗布部20が具備されている。塗布部20よりも工程下流側に塗布部20を通過させて得られた1次プリプレグ1bに対し粒子を付与する粒子付与装置28が具備されている。また、塗工装置100の前後には、強化繊維1を巻き出す複数のクリール11と、巻き出された強化繊維1を一方向に配列してUD基材とした強化繊維シート1a(図1bでは紙面奥行き方向に配列)を得る配列装置12と、プリプレグ1cの巻取り装置15を備えることができ、また、図示していないが塗工装置100にはマトリックス樹脂の供給装置が具備されている。さらに、必要に応じ、離型シート4を供給する供給装置16を備えることもできる。
次に、より具体的に本発明の製造方法を説明する。図1bは、クリール11から巻き出された複数本の強化繊維1が配列装置12により配列され、得られた強化繊維シート1aを搬送ロール13で走行方向を水平方向から鉛直方向下向きに方向転換させ塗布部20に通過させることで1次プリプレグ1bを得た後に、粒子付与装置28で1次プリプレグ1bの少なくとも片面に粒子を付与し、プリプレグ1cを得る例である。図1bでは省略したが、強化繊維を巻き出すクリールから塗布部までの間において、適宜強化繊維シート拡幅装置、平滑化装置、強化繊維予熱装置を用いることもできる。また、配列装置、強化繊維シート拡幅装置、平滑化装置、強化繊維予熱装置は適宜順番を変更し用いることもできる。プリプレグ1cを得た後、巻取り装置15でプリプレグ1cを巻き取る。また、プリプレグ1cの少なくとも片面に離型シート4を付与し、巻取り装置15でプリプレグ1cと離型シート4を同時に巻き取ってもよい。特に、プリプレグ1cに付与されたマトリックス樹脂2が搬送ロール14に至っても、マトリックス樹脂2の一部がプリプレグ1c表面に存在し、かつ流動性や粘着性が高い場合には、離型シート4により、プリプレグ1c表面のマトリックス樹脂2の一部が搬送ロール14に粘着したり転写されるのを防ぐことができる。さらに、プリプレグ1c同士の接着も防ぐことができ、後工程での取り扱いが容易になる。離型シートとしては、前記効果を奏するものであれば特に制限は無いが、例えば、離型紙の他、有機ポリマーフィルム表面に離型剤を塗布したもの等を挙げることができる。
粒子の付与をマトリックス樹脂の塗布後とすることで、マトリックス樹脂に粒子を含有させて塗布する場合よりもマトリックス樹脂の粘度を下げることができ、強化繊維シートの塗布部での走行を安定させることができる。特に、粒子として靭性向上粒子を付与する場合、粒子はプリプレグの表層に配置されることが好ましいが、塗布部での塗布後に粒子を付与することは、プリプレグ表層に粒子を残しやすくなることから好ましい。
また、強化繊維シートとして強化繊維ファブリックを用いることもできる。この場合、図1bにおいて、クリール11は強化繊維ファブリックを巻き出す巻出し装置に、配列装置12は強化繊維ファブリックを引き出すニップロールに置き換える等することで強化繊維ファブリックが用いられたプリプレグを製造することができる。
<強化繊維シート>
ここで、強化繊維1としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、金属酸化物繊維、金属窒化物繊維、有機繊維(アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維など)などを例示することができるが、炭素繊維を用いることが、FRPの力学特性、軽量性の観点から好ましい。
強化繊維シートとは、強化繊維を配列あるいはランダム配置させてシート化したものであり、複数本の強化繊維を一方向に面上で配列させた一方向材(UD基材)や、強化繊維を多軸で配列させた強化繊維ファブリック、また、強化繊維をランダム配置してシート化した強化繊維ファブリックが例示できる。
UD基材を形成する方法は公知の方法を用いることができ、特に制限は無いが、単繊維をあらかじめ配列させた強化繊維束を形成し、この強化繊維束を更に配列させて強化繊維シートを形成させることが、工程効率化、配列均一化の観点から好ましい。例えば炭素繊維では、テープ状の強化繊維束である「トウ」がボビンに巻かれているが、ここから引き出されたテープ状の強化繊維束を配列させて強化繊維シートを得ることができる。また、クリールにかけられたボビンから引き出された強化繊維束を整然と並べ、強化繊維シート中で強化繊維束の望ましくない重なりや折りたたみ、強化繊維束間の隙間を無くするための強化繊維配列機構を有することが好ましい。強化繊維配列機構としては公知のローラーやくし型配列装置などを用いることができる。また、予め配列した強化繊維シートを複数枚重ねることも強化繊維間の隙間を減じる観点から有用である。なお、クリールには強化繊維を引き出す際に張力制御機構が付与されていることが好ましい。張力制御機構としては、公知のものを使用可能であるが、ブレーキ機構などが挙げられる。また、糸道ガイドの調整などによっても張力を制御することができる。
一方、強化繊維ファブリックの具体例としては、織物や編物などの他、強化繊維を2次元で多軸配置したものや、不織布やマット、紙など強化繊維をランダム配向させたものを挙げることができる。この場合、強化繊維はバインダー付与、交絡、溶着、融着などの方法を利用してシート化することもできる。織物としては、平織、ツイル、サテンの基本織組織の他、ノンクリンプ織物やバイアス構造、絡み織、多軸織物、多重織物などを用いることができる。バイアス構造とUD基材を組み合わせた織物は、UD構造により塗布・含浸工程での引っ張りでの織物の変形を抑制するだけでなく、バイアス構造による擬似等方性も併せ持っており、好ましい形態である。また、多重織物では織物上面/下面、また織物内部の構造・特性をそれぞれ設計できる利点がある。編物では塗布・含浸工程での形状安定性を考慮すると経編が好ましいが、筒状編み物であるブレードを用いることもできる。
これらの中で、FRPの力学特性を優先させる場合には、UD基材を用いることが好ましく、UD基材は、強化繊維を一方向にシート状に配列させる既知の方法により作製することができる。
<強化繊維シートの平滑化>
本発明においては、強化繊維シートの表面平滑性を高くすることで、塗布部での塗布量の均一性を向上させることができる。このため、強化繊維シートを平滑化処理した後、液溜り部に導くことが好ましい。平滑化処理法は特に制限は無いが、対向ロールなどで物理的に押しつける方法や空気流を用いて強化繊維を動かす方法などを例示できる。物理的に押しつける方法は簡便かつ、強化繊維の配列を乱しにくいため好ましい。より具体的にはカレンダー加工などを用いることができる。空気流を用いる方法は擦過が起こりにくいだけでなく、強化繊維シートを拡幅する効果もあり好ましい。
<強化繊維シートの拡幅>
また、本発明において、強化繊維シートを拡幅処理した後、液溜り部に導くことも、薄いプリプレグを効率的に製造できる観点から好ましい。拡幅処理方法は特に制限は無いが、機械的に振動を付与する方法、空気流により強化繊維束を拡げる方法などを例示できる。機械的に振動を付与する方法としては、例えば特開2015−22799号公報記載のように、振動するロールに強化繊維シートを接触させる方法がある。振動方向としては、強化繊維シートの進行方向をX軸とすると、Y軸方向(水平方向)、Z軸方向(垂直方向)の振動を与えることが好ましく、水平方向振動ロールと垂直方向振動ロールを組み合わせて用いることも好ましい。また振動ロール表面は複数の突起を設けておくと、ロールでの強化繊維の擦過を抑制でき、好ましい。空気流を用いる方法としては、例えば、SEN−I GAKKAISHI,vol.64,P−262−267(2008).記載の方法を用いることができる。
<強化繊維シートの予熱>
また、本発明において、強化繊維シートを加熱した後、液溜り部に導くと、マトリックス樹脂の温度低下を抑制し、マトリックス樹脂の粘度均一性を向上させられるため好ましい。強化繊維シートはマトリックス樹脂温度近傍まで加熱されることが好ましいが、このための加熱手段としては、空気加熱、赤外線加熱、遠赤外線加熱、レーザー加熱、接触加熱、熱媒加熱(スチームなど)など多様な手段を用いることができる。中でも赤外線加熱は装置が簡便であり、また強化繊維シートシートを直接加熱できるため、走行速度が速くても所望の温度まで効率よく加熱が可能であり、好ましい。
<マトリックス樹脂>
本発明で用いるマトリックス樹脂は、後述する各種樹脂や粒子、硬化剤、更に各種添加剤を含む、樹脂組成物として用いることができる。本発明により得られるプリプレグは、強化繊維シートにマトリックス樹脂が含浸した状態となり、そのままシート状プリプレグとして積層、成形してFRPからなる部材を得ることができる。含浸度は、塗布部の設計や、塗布以降の追含浸により制御することができる。マトリックス樹脂としては、用途に応じ適宜選択可能であるが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが一般的である。マトリックス樹脂は、加熱し溶融させた溶融樹脂でも室温で流動性を有する樹脂でも良い。また、溶媒を用いて溶液やワニス化したものでも良い。
マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などFRPに一般的に使用されるものを用いることができる。また、これらは室温で液体であればそのまま用いても良いし、室温で固体や粘稠液体であれば、加温して低粘度化する、あるいは溶融し融液として用いても良いし、溶媒に溶解し溶液やワニス化して用いても良い。
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素・炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合から選ばれる結合を有するポリマーを用いることができる。具体的には、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリアミドイミド(PAI)などを例示できる。航空機用途などの耐熱性が要求される分野では、PPS、PES、PI、PEI、PSU、PEEK、PEKK、PEAKなどが好適である。一方、産業用途や自動車用途などでは、成形効率を上げるため、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンやPA、ポリエステル、PPSなどが好適である。これらはポリマーでも良いし、低粘度、低温塗布のため、オリゴマーやモノマーを用いても良い。もちろん、これらは目的に応じ、共重合されていても良いし、各種を混合しポリマーブレンドやポリマーアロイとして用いることもできる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂があげられる。これらは、一般に硬化剤や硬化触媒と組合せて用いることができる。また、適宜、これらの熱硬化性樹脂を混合して用いることも可能である。
本発明に適した熱硬化性樹脂として、耐熱性、耐薬品性、力学特性に優れていることからエポキシ樹脂が好適に用いられる。特に、アミン類、フェノール類、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体、フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては脂環式エポキシ樹脂等があげられるが、これに限定されない。またこれらのエポキシ樹脂をブロモ化したブロモ化エポキシ樹脂も用いられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代表される芳香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は耐熱性が良好で強化繊維との接着性が良好なため本発明に最も適している。
熱硬化性樹脂は硬化剤と組合せて、好ましく用いられる。例えばエポキシ樹脂の場合には、硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。またジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好んで用いられ、ジアミノジフェニルスルホンに比較して、耐熱性に劣るものの、引張強度に優れるため、用途に応じて選択して用いられる。また、もちろん必要に応じ硬化触媒を用いることも可能である。また、マトリックス樹脂のポットライフを向上させる意味から、硬化剤や硬化触媒と錯体形成可能な錯化剤を併用することも可能である。
また本発明では、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して用いることも好適である。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物は、熱硬化性樹脂を単独で用いた場合より良好な結果を与える。これは、熱硬化性樹脂が、一般に脆い欠点を有しながらオートクレーブによる低圧成型が可能であるのに対して、熱可塑性樹脂が、一般に強靭である利点を有しながらオートクレーブによる低圧成型が困難であるという二律背反した特性を示すため、これらを混合して用いることで物性と成形性のバランスをとることができるためである。混合して用いる場合は、プリプレグを硬化させてなるFRPの力学特性の観点から熱硬化性樹脂を50質量%より多く含むことが好ましい。
<マトリックス樹脂や樹脂フィルムに含有される粒子>
また、本発明では、無機粒子や有機粒子をマトリックス樹脂や樹脂フィルムに含有させることができる。無機粒子は特に制限されないが、例えば、導電性、伝熱性、チクソトロピー性などを付与するために、カーボン系粒子や窒化ホウ素粒子、二酸化チタン粒子、二酸化珪素粒子などを好適に用いることができる。有機粒子も特に制限されないが、特に、ポリマー粒子を用いると、得られるFRPの靱性や耐衝撃性、制振性などを向上させることができ、好ましい。この時、ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)はマトリックス樹脂温度よりも20℃以上高くすると、マトリックス樹脂中でポリマー粒子の形態を保持し易く、好ましい。ポリマー粒子のTgは温度変調DSCを用い、以下の条件で測定することができる。温度変調DSC装置としては、TA Instrments社製 Q1000などが好適であり、窒素雰囲気下、高純度インジウムで校正して用いることができる。測定条件は、昇温速度は2℃/分、温度変調条件は周期60秒、振幅1℃とすることができる。これで得られた全熱流から可逆成分を分離し、階段状シグナルの中点の温度をTgとすることができる。
また、Tmは通常のDSCで昇温速度10℃/分で測定し、融解に相当するピーク状シグナルのピークトップ温度をTmとすることができる。
また、ポリマー粒子としては、マトリックス樹脂に溶けないことが好ましく、このようなポリマー粒子としては、例えば、WO2009/142231パンフレット記載などを参照し、適切なものを用いることができる。より、具体的には、ポリアミドやポリイミドを好ましく用いることができ、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる、ポリアミドは最も好ましい。ポリアミドとしてはポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開平01−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。この熱可塑性樹脂粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため、本発明の製造法では特に好ましい。また、球状であれば応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点でも好ましい態様である。
ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムザベルケ(株)社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704、(デグサ(株)社製)等を使用することができる。これらのポリアミド粒子は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
また、FRPの強化繊維層間樹脂層を高靭性化するためには、ポリマー粒子を強化繊維層間樹脂層に留めておくことが好ましい。そのため、ポリマー粒子の数平均粒径は5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは7〜40μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。数平均粒径を5μm以上とすることで、粒子が強化繊維の束の中に侵入せず、得られる繊維強化複合材料の強化繊維層間樹脂層に留まることができる。数平均粒径を50μm以下とすることで、プリプレグ表面のマトリックス樹脂層の厚みを適正化し、ひいては得られるFRPにおいて、繊維質量含有率を適正化することができる。
また、粒子を含有した樹脂フィルムを1次プリプレグに付与して積層することでプリプレグの表面に粒子を位置規制して配することが可能である。
<マトリックス樹脂の粘度>
本発明で用いるマトリックス樹脂としては、工程通過性・安定性の観点から最適な粘度を選択することが好ましい。具体的には、粘度を1〜60Pa・sの範囲とすると、狭窄部出口での液垂れを抑制するとともに強化繊維シートの高速走行性、安定走行性を向上させることができ、好ましい。ここで、粘度は歪み速度3.14s−1で液溜り部でのマトリックス樹脂温度で測定したものを言う。測定装置としては平行円盤型やコーン型などの粘弾性測定装置を用いることができる。マトリックス樹脂の粘度はより好ましくは10〜30Pa・sである。
<塗布工程>
UD基材を例として、図1を参照してマトリックス樹脂の塗布工程を説明すると、塗工装置100におけるマトリックス樹脂2を強化繊維シート1aに付与する方法は、クリール11から巻き出された複数本の強化繊維1を、配列装置12によって一方向(紙面奥行き方向)に配列して強化繊維シート1aを得た後、強化繊維シート1aを塗布部20に実質的に鉛直方向下向きZに通過させて、強化繊維シート1aの両面にマトリックス樹脂2を付与するものである。これにより、1次プリプレグ1bを得ることができる。
次に図2〜4により、強化繊維シート1aへのマトリックス樹脂2の付与工程について詳述する。図2は、図1における塗布部20を拡大した詳細横断面図である。塗布部20は、所定の隙間Dを開けて対向する壁面部材21a、21bを備え、壁面部材21a、21bの間には、鉛直方向下向きZ(すなわち強化繊維シートの走行方向)に断面積が連続的に減少する液溜り部22と、液溜り部22の下方(強化繊維シート1aの搬出側)に位置し、液溜り部22の上面(強化繊維シート1aの導入側)の断面積よりも小さい断面積を有するスリット状の狭窄部23が形成されている。図2において、強化繊維シート1aは、紙面の奥行き方向に配列されている。
塗布部20において、液溜り部22に導入された強化繊維シート1aは、その周囲のマトリックス樹脂2を随伴しながら、鉛直方向下向きZに走行する。その際、液溜り部22の断面積は鉛直方向下向きZ(強化繊維シート1aの走行方向)に向かって減少するため、随伴するマトリックス樹脂2は徐々に圧縮され、液溜り部22の下部に向かうにつれてマトリックス樹脂2の圧力が増大する。液溜り部22の下部の圧力が高くなると、前記随伴液流がそれ以上は下部に流動し難くなり、壁面部材21a、21bに向かって流れ、その後、壁面部材21a、21bに阻まれ、上方へ流れるようになる。結果、液溜り部22内では強化繊維シート1aの平面と、壁面部材21a、21b壁面に沿った循環流Tを形成する。これにより、仮にシート状強化繊維1aが毛羽を液溜り部22に持ち込んだとしても毛羽は循環流Tに沿って運動し、液圧の大きな液溜り部22下部や狭窄部23に近づくことができない。さらに下で述べるとおり、気泡が毛羽に付着することにより毛羽が循環流Tから上方に移動し、液溜り部22の上部液面付近を通過する。そのため、毛羽が液溜り部22の下部および狭窄部23に詰まることが防止されるだけでなく、滞留する毛羽は液溜り部22の上部液面から容易に回収することも可能となる。さらに、強化繊維シート1aを高速で走行させた場合、前記の液圧はさらに増大するため、毛羽の排除効果がより高くなる。その結果、強化繊維シート1aにより高速でマトリックス樹脂2を付与することが可能となり、生産性が大きく向上する。
また、前記の増大した液圧により、マトリックス樹脂2が強化繊維シート1aの内部に含浸しやすくなる効果がある。これは、強化繊維束のような多孔質体にマトリックス樹脂が含浸される際、その含浸度がマトリックス樹脂の圧力で増大する性質(ダルシーの法則)に基づく。これについても、強化繊維シート1aをより高速で走行させた場合、液圧がより増大することから、含浸効果をより高めることができる。なお、マトリックス樹脂2は強化繊維シート1aの内部に残留する気泡と気/液置換で含浸されるが、気泡は前記の液圧と浮力により強化繊維シート1aの内部の隙間を通って、繊維の配向方向(鉛直方向上向き)に排出される。このとき、気泡は含浸してくるマトリックス樹脂2を押しのけずに排出されるため、含浸を阻害しない効果もある。また、気泡の一部は強化繊維シート1aの表面から面外方向(法線方向)に排出されるが、この気泡も前記の液圧と浮力により速やかに鉛直方向上向きに排除されるため、含浸効果の高い液溜り部22の下部に留まらず、効率よく気泡の排出が進む効果もある。これらの効果により、強化繊維シート1aにマトリックス樹脂2を効率よく含浸させることが可能となり、その結果、マトリックス樹脂2が均一に含浸された高品質のプリプレグ1bを得ることが可能となる。
さらに、前記の増大した液圧により、強化繊維シート1aが隙間Dの中央に自動的に調心され、強化繊維シート1aが液溜り部22や狭窄部23の壁面に直接擦過せず、ここでの毛羽発生を抑制する効果もある。これは、外乱などにより強化繊維シート1aが隙間Dのどちらかに接近した場合、接近した側ではより狭い隙間にマトリックス樹脂2が押し込まれて圧縮されるため、接近した側で液圧がより増大し、強化繊維シート1aを隙間Dの中央に押し戻すためである。
狭窄部23は、液溜り部22の上面よりも断面積が小さく設計される。図2や図4から理解されるとおり専ら強化繊維シートによる疑似平面の垂線方向の長さが小さい、すなわち部材間の間隔が狭い、ことで断面積は小さくなる。これは、前記のように狭窄部で液圧を高くすることで、含浸や自動調心効果を得るためである。また、狭窄部23の最上部の面の断面形状は、液溜り部22の最下部の面の断面形状と一致させることが、強化繊維シート1aの走行性やマトリックス樹脂2の流れ制御の観点から好ましいが、必要に応じ狭窄部23の方を若干大きくしてもよい。
ここで、図2の塗布部20では、強化繊維シート1aが完全に鉛直方向下向きZ(水平面から90度)に走行しているが、これに限定されず、前記の毛羽回収、気泡の排出効果が得られ、強化繊維シート1aが安定して連続走行可能な範囲で、実質的に鉛直方向下向きであればよい。
また、強化繊維シート1aに付与されるマトリックス樹脂2の総量は、狭窄部23の隙間Dで制御可能であり、例えば、強化繊維シート1aに付与するマトリックス樹脂2の総量を多くしたい(目付けを大きくしたい)場合は、隙間Dが広くなるよう、壁面部材21a、21bを設置すればよい。
図3は、塗布部20を、図2のAの方向から見た下面図である。塗布部20には、強化繊維シート1aの配列方向両端からマトリックス樹脂2が漏れるのを防ぐための側壁部材24a、24bが設けられており、壁面部材21a、21bと側壁部材24a、24bに囲われた空間に狭窄部23の出口25が形成されている。ここで、出口25はスリット状をしており、断面アスペクト比(図3のY/D)はマトリックス樹脂2を付与したい強化繊維シート1aの形状に合わせて設定すればよい。
図4aは塗布部20を、Bの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。なお、図を見やすくするため壁面部材21bは省略してあるほか、強化繊維シート1aは強化繊維1を、隙間を開けて配列しているように描画しているが、実際には強化繊維1を隙間無く配列することが、シート状プリプレグの品位、FRPの力学特性の観点から好ましい。
図4bは隙間26でのマトリックス樹脂2の流れを示している。隙間26が大きいとマトリックス樹脂2には、Rの向きに渦流れが発生する。この渦流れRは、液溜り部22の下部では外側に向かう流れ(Ra)となるため、強化繊維シートを引き裂いてしまう(シート状繊維束の割れが発生する)場合や強化繊維間の間隔を拡げてしまい、そのためにプリプレグとしたときに強化繊維の配列ムラを発生する可能性がある。一方、液溜り部22の上部では、内側に向かう流れ(Rb)となるため、強化繊維シート1aが幅方向に圧縮され、その端部が折れてしまう場合がある。特許文献2(特許第3252278号公報)に代表されるような、一体物のシート状基材(特にフィルム)にマトリックス樹脂を両面塗布する装置ではこのような隙間26での渦流れが発生しても品質への影響が少ないため、注意がされていなかった。
そこで、本発明においては、隙間26を小さくする幅規制を行い、端部での渦流れの発生を抑制することが好ましい。具体的には、液溜り部22の幅L、すなわち、側板部材24aと24bの間隔Lは、狭窄部23の直下で測定した強化繊維シートの幅Wと下記式(1)の関係を満たすよう構成することが好ましい。
L≦W+10(mm) (1) 。
これにより、端部での渦流れ発生が抑制され、強化繊維シート1aの割れや端部折れを抑制でき、プリプレグ1bの全幅(W)にわたって均一に強化繊維1が配列された、高品位で安定性の高いプリプレグ1bを得ることができる。さらに、この技術をプリプレグに適用した場合には、プリプレグの品位、品質を向上させるのみならず、これを用いて得られるFRPの力学特性や品質を向上させることができる。LとWの関係はより好ましくは、L≦W+2(mm)とすると、さらに強化繊維シートの割れや端部折れを抑制することができる。
また、Lの下限は、W−5(mm)以上となるよう調整することが、プリプレグ1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。
なお、この幅規制は、液溜り部22下部の高い液圧による渦流れR発生を抑制する観点から、少なくとも液溜り部22の下部(図4aのGの位置)で行うことが好ましい。さらに、この幅規制はより好ましくは、液溜り部22の全域で行うと、渦流れRの発生をほぼ完全に抑制することができ、その結果、強化繊維シートの割れや端部折れをほぼ完全に抑制することが可能となる。
また、前記幅規制は、前記隙間26の渦流れ抑制の観点からは、液溜り部22だけでもよいが、狭窄部23も同様に行うと1次プリプレグ1bの側面に過剰なマトリックス樹脂2が付与されることを抑制する観点から好ましい。
<幅規制機構>
前記では幅規制を側壁部材24a、24bが担う場合を示したが、図5に示すように、側壁部材24a、24b間に幅規制機構27a、27bを設け、かかる機構で幅規制を行うこともできる。これにより、幅規制機構によって規制される幅を自在に変更可能とすることで一つの塗布部により、種々の幅のプリプレグを製造できる観点から好ましい。ここで、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅(W)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅(L2)との関係は下記式(2)を充たすことが好ましい。
L2≦W+10(mm) (2) 。
より好ましくは、L2≦W+2(mm)を充たすことである。また、L2の下限は、W−5(mm)以上となるよう調整することが、プリプレグ1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。幅規制機構の形状および材質に特に制限は無いが、板形状のブッシュであると簡便であり、好ましい。また、上部、すなわち液面に近い場所では壁面部材21a、21bとの間隔よりも小さい幅(図5参照。「Z方向からみた図」中、幅規制機構の上下方向の長さを指す)を有することで、マトリックス樹脂の水平方向の流れを妨げないようにでき、好ましい。一方、幅規制機構の中間部から下部にかけては塗布部の内部形状に沿った形状とすることが液溜り部でのマトリックス樹脂の滞留を抑制でき、マトリックス樹脂の劣化を抑制できることから好ましい。この意味から、幅規制機構は狭窄部23まで挿入されることが好ましい。図5は、幅規制機構として板形状ブッシュの例を示しているが、ブッシュの中間より下部が液溜り部22のテーパー形状に沿い、狭窄部23まで挿入される例を示している。図5にはL2が液面から出口まで一定の例を示しているが、幅規制機構の目的を達成する範囲で部位によって規制する幅を変更してもよい。幅規制機構は任意の方法で塗布部20に固定することができるが、板形状ブッシュの場合には、上下方向で複数の部位で固定することで、高液圧による板形状ブッシュの変形による規制幅の変動を抑制することができる。例えば、上部はステーを用い、下部は塗布部に差し込むようにすると、幅規制機構による幅の規制が容易であり、好ましい。
<液溜り部の形状>
前記で詳述したように、本発明においては、液溜り部22で強化繊維シートの走行方向に断面積が連続的に減少することで、強化繊維シートの走行方向に液圧を増大させることが重要であるが、ここで強化繊維シートの走行方向に断面積が連続的に減少するとは、走行方向に連続的に液圧を増大可能であれば、その形状には特に制限は無い。液溜り部の横断面図において、テーパー状(直線状)であったり、ラッパ状などのように曲線的な形態を示してもよい。また、断面積減少部は液溜り部全長にわたって連続してもよいし、本発明の目的、効果が得られる範囲であれば、一部に断面積が減少しない部分や逆に拡大する部分を含んでいてもよい。これらについて、以下に図6〜9で例を挙げて詳述する。
図6は、図2とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21c、21dの形状が異なる以外は、図2の塗布部20と同じである。図6の塗布部20bのように、液溜り部22が、鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域22aと、断面積が減少しない領域22bに分かれていてもよい。このとき、断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは10mm以上であることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。これにより、強化繊維シート1aによって随伴されたマトリックス樹脂2が、液溜まり部22の断面積が連続的に減少する領域22aで圧縮される距離が確保され、液溜り部22の下部で発生する液圧を十分に増大させることができる。その結果、液圧により毛羽が狭窄部23に詰まるのを防止し、また液圧によりマトリックス樹脂2が強化繊維シート1aに含浸する効果を得ることができる。
ここで、図2の塗布部20や図6の塗布部20bのように、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aをテーパー状とする場合、テーパーの開き角度θは小さい方が好ましく、具体的には鋭角(90°以下)にすることが好ましい。これにより、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22a(テーパー部)でマトリックス樹脂2の圧縮効果を高め、高い液圧を得やすくすることができる。
図7は、図6とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21e、21fの形状が2段テーパー状となっている以外は、図6の塗布部20bと同じである。このように、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aを2段以上の多段テーパー部で構成してもよい。このとき、狭窄部23に最も近いテーパー部の開き角度θを鋭角にするのが、前記の圧縮効果を高める観点から好ましい。またこの場合も、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの高さHを10mm以上にすることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。図7のように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aを多段のテーパー部にすることで、液溜り部22に貯留できるマトリックス樹脂2の体積を維持しつつ、狭窄部23に最も近いテーパー部の角度θをより小さくすることができる。これにより液溜り部22の下部で発生する液圧がより高くなり、毛羽の排除効果やマトリックス樹脂2の含浸効果をさらに高めることが可能となる。
図8は、図6とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21g、21hの形状が階段状となっている以外は、図6の塗布部20bと同じである。このように、液溜り部22の最下部に断面積が連続的に減少する領域22aがあれば、本発明の目的である液圧の増大効果は得られるため、液溜り部22の他の部分に断面積が断続的に減少する領域22cを含んでいてもよい。液溜り部22を図8のような形状にすることで、断面積が連続的に減少する領域22aの形状を維持しつつ、液溜り部22の奥行きBを拡大して貯留できるマトリックス樹脂2の体積を大きくすることができる。その結果、塗布部20dにマトリックス樹脂2を連続して供給できない場合でも、長時間強化繊維シート1aにマトリックス樹脂2を付与し続けることが可能となり、プリプレグ1bの生産性がより向上する。
図9は、図6とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21i、21jの形状がラッパ状(曲線状)となっている以外は、図6の塗布部20bと同じである。図6の塗布部20bでは、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aはテーパー状(直線状)だが、これに限定されず、例えば図9のようにラッパ状(曲線状)でもよい。ただし、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部は滑らかに接続することが好ましい。これは、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部の境界に段差があると、強化繊維シート1aが段差に引っ掛かり、この部分で毛羽が発生する懸念があるためである。また、このように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域をラッパ状とする場合は、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの最下部における仮想接線の開き角度θを鋭角にするのが好ましい。
なお、上記は滑らかに断面積が減少する例をあげて説明したが、本発明の目的を損なわない限り、本発明において液溜まり部の断面積は必ずしも滑らかに減少しなくともよい。
図10は本発明とは別の実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。本発明の実施形態とは異なり、図10の液溜り部32は鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域を含まず、狭窄部23との境界33で断面積が不連続で急激に減少する構成である。このため、強化繊維シート1aが詰まり易い。
また、塗布部内で強化繊維シートを複数本のバーに接触させることで含浸効果を向上させることも可能である。図11にバー(35a、35bおよび35c)を3本用いた例を示しているが、バーは本数が大きいほど、強化繊維シートとバーの接触長が長いほど、接触角が大きいほど、含浸率を向上させることができる。図11の例では含浸率を90%以上とすることが可能である。なお、係る含浸効果の向上手段は複数種を組み合わせて用いても良い。
<1次プリプレグ>
本発明において、塗布部から引き出された1次プリプレグにおけるマトリックス樹脂の含浸率は10%以上であることが望ましい。マトリックス樹脂の含浸率は、粒子を付与せずに巻取り採取した1次プリプレグを裂き、内部を目視することで含浸の有無を確認することができ、より定量的には例えば剥離法で評価することが可能である。剥離法によるマトリックス樹脂の含浸率は以下のようにして測定することができる。すなわち、採取した1次プリプレグを粘着テープで挟み、これを剥離し、マトリックス樹脂が付着した強化繊維とマトリックス樹脂が付着していない強化繊維を分離する。そして、投入した強化繊維シート全体の質量に対するマトリックス樹脂が付着した強化繊維の質量の比率を剥離法によるマトリックス樹脂の含浸率とすることができる。また、含浸率が高い場合には、特表2016−510077号公報に記載の方法にならい、プリプレグを10cm×10cmにカットし、その1辺を5mm、水に5分間浸漬した時の質量変化から計算して求めることができる。
<樹脂フィルム付与工程>
本発明にあっては、前記塗布工程から引き出された1次プリプレグ1bにさらに樹脂フィルムを付与することができる。図1aで説明すると、供給装置16a、16bから樹脂フィルム3a、3bを供給し、搬送ロール14上で1次プリプレグ1bに積層することができる。図1aでは、2枚の樹脂フィルムで1次プリプレグ1bを挟み込むプロセスを示しているが、樹脂フィルムは3a、3bのどちらか一方を用いることとしても良い。樹脂フィルムを1枚とする場合には、もう片方の供給装置16からは離型シートを供給することもできる。また、樹脂フィルムを2枚用いる場合には、同じ樹脂フィルムとしても良いし、異なる種類の樹脂フィルムとしても良い。また、樹脂フィルムの上にさらに離型シートが積層された態様であっても構わない。
本発明においては、樹脂フィルムに用いる樹脂には特に制限は無く、機能化する目的に応じて適宜選択できる。樹脂フィルムとする樹脂は、単独の樹脂でも良いし、異種ポリマーのブレンド物としたり、さまざまな成分のブレンド物である樹脂組成物とすることもできる。前記のとおり樹脂フィルムには、粒子を含むことができる。前記塗布工程で、粒子を含むマトリックス樹脂を用いると粘度が高くなり易く、強化繊維シートの高速走行時に塗布均一性が悪化する場合がある。このため、粒子を樹脂フィルム付与工程で付与すると、塗布工程での強化繊維シートの高速走行安定性が向上し、好ましい。このとき、粒子を含有する樹脂フィルムとしては、マトリックス樹脂と同一の種類の樹脂に粒子が分散された樹脂フィルムとすることが好ましい。このようにすることで、粒子を前記塗布工程とは別に付与しつつ、マトリックス樹脂も付与できるため効率的である。前記塗布工程における高速走行安定性や前記塗布部での貯留でのポットライフも考慮して、前記塗布工程で用いるマトリックス樹脂と樹脂フィルム化するマトリックス樹脂の成分を調整することができる。
また、マトリックス樹脂から、ある樹脂成分を取り出して、これを樹脂フィルム化することもできる。例えば、FRPでは、熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂をブレンドし樹脂靭性を向上させることができるが、この熱可塑性樹脂がマトリックス樹脂粘度を増加させる場合がある。このような場合、この熱可塑性樹脂を前記塗布工程で付与するマトリックス樹脂から除き、樹脂フィルムとして1次プリプレグに付与することで、塗布安定性を向上させることができる。このような熱可塑性樹脂としては、PESやPEI、PIなどが用いられる場合が多い。また、このような熱可塑性樹脂フィルムは支持体を必要としない自己支持フィルムとできる場合もあり、支持体を省略できる観点から有用である。
樹脂フィルムの製造は公知の方法を用いることができ、例えば、ロールコーターやコンマコーター、ナイフコーター、ダイコーター、スプレーコーター等の各種公知のコーターを用い、フィルム形成することできる。また、必要に応じ離型シートなどの支持体上に樹脂を塗工し、フィルム形成することができる。
<粒子付与工程>
また、本発明にあっては、前記塗布工程から引き出された1次プリプレグ1bに直接的に粒子を付与することができる。この粒子付与工程について図1bを参照しつつ詳述する。本発明では、塗布部20で強化繊維シート1aにマトリックス樹脂2を塗布し、得られた1次プリプレグ1bに粒子付与装置28を用いて粒子を付与し、プリプレグ1cを得ている。
(粒子を付与する方法、装置)
1次プリプレグに粒子を付与する方法は特に制限はなく、一般的に粉体を供給する方法や装置を用いて付与することができる。
粒子を付与する機構としては、[1]走行する基材に粒子を自重落下させて付与する機構、[2]粒子が拡散された空間に基材を通し付与する機構、[3]静電塗装を用いた装置、[4]粒子を混合した気流により付与する機構、などを用いることができる。
([1]粒子を自重落下させて付与する機構)
粒子を自重落下させて付与する機構は、供給する粒子を基材に対し自重で落下させて付与する機構である。粒子を自重落下させて付与する機構としては一般的な粉体供給装置を用いることが可能で、一般的な粉体供給装置は図解「粉体機器・装置の基礎知識」、平成13年9月11日工業調査会発行、P68−69に例示されている。この例示の装置を用いて粒子を付与することもできる。以下、より具体的に粒子を自重落下させて付与する装置を例示する。粒子を自重落下させて付与する装置としては、ふるい振動方式、スクリューフィーダー方式、回転落下方式、ベルトフィーダー方式などの装置を用いることができる。
ふるい振動方式の装置とは、例えば、メッシュのあるふるい等に粒子を投入し、そのふるいを振動させることで、メッシュを通過する粒子を自重で落下させて付与する装置である。ふるい振動方式の装置は簡便かつ設置が容易で、付与する幅方向の範囲の調整も容易である。
スクリューフィーダー方式の装置とは、モーター等に接続されたスクリューを回転させ、スクリューの先端にある供給口から出た粒子を、自重で基材に落下させ粒子を付与する装置である。スクリューフィーダー方式の装置としては、スクリューの回転数やスクリューの形状により供給量を容易に調整が可能である。市販のスクリューフィーダー方式の装置としては、FCμ−030F、FCμ−200F(以上、日清エンジニアリング(株)製)などが挙げられる。
回転落下方式の装置とは、ブラシや羽根がついたローラーを回転させ、供給口あるいは粒子が供給される狭窄部の粒子を掻き落としたり叩き落とすことで、粒子を自重で落下させて付与する装置である。市販の回転落下方式の装置としては、例えばニッカK−VIIスプレー(ニッカ(株)製)などが挙げられる。
ベルトフィーダー方式の装置とは、ループ状に回転するベルトに粒子をのせ、ベルトの端部で粒子を基材に自重落下させて付与する装置である。市販のベルトフィーダー方式の装置としては、BW−150−1B((株)クボタ製))などが挙げられる。
粒子を自重落下させて付与する装置を用い、粒子を1次プリプレグに付与する場合、1次プリプレグの搬送方向は水平方向であることが好ましい。水平方向に搬送している区間で付与することで、1次プリプレグに粒子が付着しにくい場合も、粒子を1次プリプレグに載せることが可能で、粒子付与装置周辺の汚染を抑制できる。また、プリプレグの搬送方向を、方向転換ロールにより方向転換する場合、粒子を付与した面に離型シートを付与した後、方向転換させることが好ましい。離型シートを付与することで、1次プリプレグに付着していない粒子が脱落し、工程を汚染するのを防止することができる。
粒子を自重落下させて付与する具体的な例としては特許第5815501号明細書、特許第5878017号明細書、国際公開WO2013/107829などに記載がある。
([2]粒子が拡散された空間に基材を通し付与する機構)
粒子が拡散された空間に1次プリプレグを通し付与する機構は、気流を用いたり、帯電させることで粒子を空間に分散させ、その空間に1次プリプレグを通すことで、粒子の付与が可能な装置である。具体的な例としては、特開平6−71646号公報や米国特許明細書5198281号などに記載がある。
([3]静電塗装を用いた機構)
静電塗装を用いた機構は、静電塗装の原理を利用した粒子の付与装置である。静電塗装は塗料粒子を塗布する際に用いられることが多いが、その他機能粒子の付与にも適用可能である。具体的には、高電圧を印加する事により、粒子を帯電させ、静電気の引力で粒子を基材に引き寄せて付着させる方法、装置である。静電気によって粒子が基材に引き寄せられるため、効率よく粒子を1次プリプレグに付着させることができる。また、粒子付与の方向は電気力線で決まるため、下向き方向のみならず、水平方向や上方向への付与も可能であり、1次プリプレグの搬送方向が鉛直方向下向きの場合でも粒子を付着させることが容易で好ましく用いられる。
具体的な例としては、国際公開WO2013/107829、国際公開WO2015/007862などに記載がある。
静電塗装に用いる装置としては、特に制限は無く、一般に静電塗装で用いられる装置、あるいはこれをプリプレグ向けに改良した装置を用いることができる。市販の静電塗装としては、例えば、EA−MS40−15、E−M15C、E−M25、E−A10、EBG、EP−MG10、EP−MG10L、EP−AG10H(以上、アネスト岩田コーティングソリューションズ(株)製)、GX355(PARKER IONICS社製)、TRIBO MATIC II(Nordson社製)などを挙げることができる。
([4]粒子を混合した気流により付与する機構)
粒子を混合した気流により付与する機構は、粒子を混合させたエアーを1次プリプレグに吹き付けたり、粒子混合気流に高電圧を印加し、粒子同士の斥力を生じさせ付着均一性を向上させて付与する装置である。具体的な例としては、特開平6−71646号公報、特許第5814964号明細書などに記載がある。
(粒子の付与量)
本発明において1次プリプレグに付与される粒子の付与量は特に制限は無く、得られるCFRPの機械特性を大きく損なわない範囲の付与量とすることが好ましい。一般に、粒子の付与量が塗布部で付与するマトリックス樹脂の総質量に対し、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この範囲であるとき、粒子付与による効果が得られるとともに、CFRPの機械特性も良好である。
(粒子付与工程で付与される粒子)
この工程で付与される粒子の種類は目的に応じて任意に選択可能であり、特に制限は無く、種々の粒子を用いることができる。また付与する粒子は単一のものでも、複数のものでも、複数のものを混合したものでもよい。
この工程で付与される粒子の平均粒子径としては0.1μm以上500μm以下である。粒子の平均粒子径がこの範囲であるとき、得られるプリプレグやCFRPの機能性や特性を向上させることが。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により粒度分布を測定し、得られた粒度分布の累積カーブにおける50%での粒子径(メジアン径)を平均粒子径とする。平均粒子径の測定は、レーザー回折散乱法を用いた測定装置で測定が可能である。例えば、以下の装置、条件により平均粒子径を測定することができる。なお測定時は粒子を下記分散媒100mlに対して、1g投入し攪拌した分散液を用いることができる。
測定装置:LA−950V2(堀場製作所製)
分散媒:“Triton−X(登録商標)”100 0.5wt%水溶液
測定セル:フローセル
超音波照射時間(秒):10
粒子の具体例としては、以下に説明するような、靭性向上粒子、難燃性向上粒子、硬化剤粒子、制振性向上粒子、タック調整粒子やシリカ粒子,酸化チタン粒子などを好ましく例示できる。
(靭性向上粒子)
靭性向上粒子とは、付与することで、得られるCFRPの靱性や耐衝撃性を向上させることができるポリマー粒子である。靭性向上粒子を用いる場合、粒子の平均粒子径は5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは7〜40μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。平均粒子径を5μm以上とすることで、粒子が強化繊維の束の中に侵入せず、得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層に留まることができる。平均粒子径を50μm以下とすることで、1次プリプレグ表面のマトリックス樹脂層の厚みを適正化し、ひいては得られるCFRPにおいて、繊維質量含有率を適正化することができる。
靭性向上粒子としては、マトリックス樹脂に溶けないことが好ましく、例えば、国際公開WO2009/142231の記載などを参照し、適切なものを用いることができる。より、具体的には、ポリアミドやポリイミドを好ましく用いることができ、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる、ポリアミドは最も好ましい。ポリアミドとしてはポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開平1−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。この靭性向上粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため、本発明の製造法では特に好ましい。また、球状であれば応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点でも好ましい態様である。ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムザベルケ(株)社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704(以上、デグサ(株)社製)などを用いることができる。
(難燃性向上粒子)
難燃性向上粒子とは、CFRPの難燃性を向上させる粒子である。難燃性は航空機機や車両等の構造部材、建築材料等で必要とされる特性である。本発明で用いる難燃性向上粒子としては、一般に公知の難燃剤を用いることができる。例えば金属水酸化物、金属酸化物、赤リン、リン酸エステル、リン酸塩などのリン原子含有化合物、窒素含有化合物、三酸化アンチモンなどが挙げられる。
(硬化剤粒子)
硬化剤粒子とは、付与することで塗布部20で強化繊維シートに塗布した熱硬化性のマトリックス樹脂を硬化させる硬化剤や、硬化を促進させる硬化促進剤を含有した粒子である。硬化剤粒子には硬化剤あるいは効果促進剤が粒化したものも含まれる。塗布部で付与するマトリックス樹脂に硬化剤や硬化促進剤を含むこともできるが、その硬化剤の一部または全部を、粒子付与工程として、塗布工程とは別工程で付与する場合、熱硬化性樹脂の反応性の観点から難しかった温度域まで、マトリックス樹脂を昇温することが可能になったり、樹脂のハンドリング性等を改善できたり、反応が暴走する可能性を下げることができる。本発明で用いる硬化剤粒子としては、23℃で固形の種々の硬化剤や硬化促進剤を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤の場合、硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。またジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好んで用いられ、ジアミノジフェニルスルホンに比較して、耐熱性に劣るものの、引張強度に優れるため、用途に応じて選択して用いられる。硬化促進剤としては、例えば、三級アミン、三級アミン塩、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール化合物、尿素化合物、ヒドラジド化合物などが挙げられる。
(制振性向上粒子)
制振性向上粒子とは、付与することで得られるCFRPの制振性が向上する粒子である。制振性向上粒子としては、例えばウレタン粒子を用いることができる。中でも3次元架橋構造を有するウレタン粒子が好まく、CFRPの制振性や耐溶剤性を向上させることができる。市販の3次元架橋構造を有するウレタン粒子としては、 “ダイミックビーズ(登録商標)”UCN−5070、5150(以上、大日精化工業(株)製)や“アートパール(登録商標)”C−400、P−400T、JB−400T、CE−400T(以上、根上工業(株)製)などを用いることができる。
(タック調整粒子)
タック調整粒子とは、付与することで1次プリプレグの貼り付き性を調整できる粒子である。タック調整粒子としては、23℃で固形のエポキシ樹脂粒子、熱可塑性ポリマー粒子などを用いることができる。タック調整粒子としてエポキシ樹脂粒子を用いる場合、23℃で固形のエポキシ樹脂を必要に応じ粉砕等し粒子状にしたものを用いることができる。市販のエポキシ樹脂としては、特に制限なく用いることができるが、塗布部で付与するマトリックス樹脂中に含まれる成分と同一のであることが好ましく、CFRPの物性への影響が小さい。市販品のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であれば、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003、“jER(登録商標)”1055、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1004AF、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009、“jER(登録商標)”1003F、“jER(登録商標)”1004F、“jER(登録商標)”1009F、“jER(登録商標)”1004FS、“jER(登録商標)”1006FS、“jER(登録商標)”1007FS、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4005P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4010P、“jER(登録商標)”1256P、“jER(登録商標)”154P、“jER(登録商標)”157S70、“jER(登録商標)”1031S、“jER(登録商標)”1032H60、“jER(登録商標)”YL6810、“jER(登録商標)”YX7700、“jER(登録商標)”YX8800、“jER(登録商標)”YX4000、“jER(登録商標)”YX4000H、“jER(登録商標)”YK6121HA、“jER(登録商標)”YX4000(以上三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”1050、“エピクロン(登録商標)”1055、“エピクロン(登録商標)”2050、“エピクロン(登録商標)”3050、“エピクロン(登録商標)”4050、“エピクロン(登録商標)”7050、“エピクロン(登録商標)”HM−091、“エピクロン(登録商標)”HM−101、“エピクロン(登録商標)”152、“エピクロン(登録商標)”153、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−680、“エピクロン(登録商標)”N−690、“エピクロン(登録商標)”N−695、“エピクロン(登録商標)”N−655−EXP、“エピクロン(登録商標)” N−655−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−662−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−665−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−670−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−685−EXP−S、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775、“エピクロン(登録商標)”N−865、“エピクロン(登録商標)”HP−7200L、“エピクロン(登録商標)”HP−7200、“エピクロン(登録商標)”HP−7200H、“エピクロン(登録商標)”HP−7200HH、“エピクロン(登録商標)”HP−4700、“エピクロン(登録商標)”HP−5000、エピクロン(登録商標)”HP−6000、“エピクロン(登録商標)”HP−4710(以上DIC(株)製)などが挙げられる。
熱可塑性ポリマー粒子としては、特に制限なく用いることができる。熱可塑性ポリマー粒子としては、塗布部で付与するマトリックス樹脂中に含まれる成分と同一の熱可塑性ポリマーであることが好ましく、CFRPの物性への影響が小さい。熱可塑性ポリマーのTgは180℃以上で、分子内に芳香環を有することが好ましい。これにより耐熱性を付与することができる。具体的にはポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンなどが好ましく用いられる。スルホン系またはイミド系の熱可塑性ポリマーの市販品として、ポリエーテルスルホンとしては末端に水酸基を有する“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(住友化学(株)製)や、“Virantage(登録商標)”VW10700(Solvay
Advanced Polymers社製)、末端が塩素化された“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(住友化学(株)製)、ポリエーテルイミドとしては末端に酸無水物やアミノ基を有する“Ultem(登録商標)”1010(Sabicイノベーティブプラスチックス(株)製)、ポリスルホンとしては“Virantage(登録商標)”VW30500(Solvay Advanced Polymers(株)製)などが挙げられる。また、熱可塑性ポリマー粒子としてテルペン樹脂粒子を用いることも可能である。市販のテルペン樹脂としては、例えばYSレジンPX1250、YSレジンPX1150、YSレジンPX1000(以上ヤスハラケミカル(株)製)などが挙げられる。
(シリカ粒子)
シリカ粒子とは、二酸化ケイ素からなる粒子である。シリカ粒子を付与することで、CFRPの耐熱性、耐食性、耐溶剤性を付与することができる。本発明で用いるシリカ粒子は特に制限は無く、公知のものを用いることができる。本発明で用いるシリカ粒子は表面処理が施されていても良い。市販されているシリカ粒子の例としては、QSG−100、QCB−100(以上、信越化学工業(株)製)、SO−C1、SO−C2、SO−C4、SO−C5、SO−C6、SO−E1、SO−E2、SO−E4、SO−E5、SO−E6(以上、(株)アドマテックス製)などが挙げられる。
(酸化チタン粒子)
酸化チタン粒子とは、チタン酸化物の粒子である。酸化チタンを付与することで、CFRPの耐薬品性、耐熱性を向上させたり、室外の太陽光や雨水にさらされる環境に置かれた場合、光触媒としての効果を発現し、表面の汚れを抑制することができる。用いる酸化チタン粒子は特に制限は無く、公知のものを用いることができる。酸化チタンはルチル型、アナターゼ型などの結晶型があるが特に問わない。本発明で用いる酸化チタン粒子は表面処理が施されたものでも良い。市販の酸化チタン粒子の例としては、例えばCR−EL、PT−301(以上、石原産業(株)製)、SA−1、SA−1・L、TCR−52、R−39、R−38L、R−62N、R−24、FTR−700、D−962(以上、堺化学工業株式会社)などが挙げられる。
(粒子を付与する面)
本発明で1次プリプレグへの粒子付与は1次プリプレグの片面でも両面であってもよい。
<走行機構>
強化繊維シートや本発明のプリプレグを搬送するための走行機構としては、公知のローラー等を好適に用いることができる。本発明では強化繊維シートが鉛直下向きに搬送されるため、塗布部を挟んで上下にローラーを配置することが好ましい。
また、本発明では、強化繊維の配列乱れや毛羽立ちを抑制するため、強化繊維シートの走行経路はなるべく直線状であることが好ましい。また、プリプレグは離型シートとの積層体であるシート状一体物とすることが多いが、これの搬送工程において、屈曲部を有すると、内層と外層の周長差による皺が発生する場合が有るため、シート状一体物の走行経路もなるべく直線状であることが好ましい。この観点からは、シート状一体物の走行経路中では、ニップロールを用いる方が好ましい。
S字ロールとニップロールのどちらを用いるかは、製造条件や製造物の特性に応じ、適宜選択することが可能である。
<高張力引き取り装置>
本発明では、塗布部からプリプレグを引き出すための高張力引き取り装置を塗布部より工程下流に配置することが好ましい。これは、塗布部で、強化繊維シートとマトリックス樹脂の間で高い摩擦力、せん断応力が発生するため、それに打ち勝ってプリプレグを引き出すためには、工程下流で高い引き取り張力を発生させることが好ましいためである。高張力引き取り装置としては、ニップロールやS字ロールなどを用いることができるが、いずれもロールとプリプレグの間の摩擦力を高めることで、スリップを防止し、安定した走行を可能とすることができる。このためには、摩擦係数の高い材料をロール表面に配したり、ニップ圧力やS字ロールへのプリプレグの押し付け圧を高くすることが好ましい。スリップを防止する観点からは、S字ロールの方がロール径や接触長などで容易に摩擦力を制御でき、好ましい。
<離型シート供給装置、ワインダー>
本発明を用いてのプリプレグやFRPの製造においては適宜離型シート供給装置やワインダーを用いることができ、そのようなものとしては公知のものを使用することができるが、いずれも巻き出し、あるいは巻き取り張力を巻き出しあるいは巻き取り速度にフィードバックできる機構を備えていることがシートの安定走行の観点から好ましい。
<追含浸>
所望の含浸度に調整するために、本発明にさらに塗布後に別途、含浸装置を用いて更に含浸度を高める手段を組み合わせることも可能である。ここでは、塗布部での含浸と区別するために、塗布後に追加で含浸することを追含浸、そのための装置を追含浸装置と称することとする。追含浸装置として用いられる装置には特に制限は無く、目的に応じて公知のものから適宜選択することができる。例えば、特開2011−132389号公報やWO2015/060299パンフレット記載のように、シート状炭素繊維束と樹脂の積層体を、熱板で予熱しシート状炭素繊維束上の樹脂を十分軟化させた後、やはり加熱されたニップロールで加圧する装置を用いることで含浸を進めることができる。予熱のための熱板温度やニップロール表面温度、ニップロールの線圧、ニップロールの直径・数は所望の含浸度になるように適宜選択することができる。また、WO2010/150022パンフレット記載のようなプリプレグシートがS字型に走行する“S−ラップロール”を用いることも可能である。本発明では“S−ラップロール”を単に“S字ロール”と称することとする。WO2010/150022パンフレット図1ではプリプレグシートがS字型に走行する例が記載されているが、含浸が可能であれば、U字型や、V型またはΛ型のようにシートとロールの接触長を調整してもよい。また、含浸圧を高め含浸度を上げる場合には、対向するコンタクトロールを付加することも可能である。さらにWO2015/076981パンフレット図4記載のように、“S−ラップロール”に対向してコンベヤーベルトを配することで含浸効率を向上させ、プリプレグの製造速度の高速化をはかることも可能である。また、WO2017/068159パンフレットや特開2016−203397号公報などに記載のように、含浸前にプリプレグに超音波を付与し、プリプレグを急速昇温することで、含浸効率を向上させることも可能である。また、特開2017−154330号公報記載のように、超音波発生装置で複数の“しごき刃”振動させる含浸装置を用いることも可能である。また、特開2013−22868号公報記載のようにプリプレグを折り畳んで含浸することも可能である。
<簡易追含浸>
上記では、従来の追含浸装置を適用する例を示したが、塗布部直下では未だ1次プリプレグの温度が高い場合があり、そのような場合には塗布部を出て後、あまり時間が経っていない段階で追含浸操作を加えると、1次プリプレグを再昇温するための熱板などの加熱装置を省略あるいは簡略化し、含浸装置を大幅に簡略化・小型化することも可能である。このように塗布部直下に位置させる含浸装置を簡易追含浸装置と称することとする。なお、簡易追含浸は追含浸の一態様として理解できる。簡易追含浸装置としては加熱ニップロールや加熱S字ロールを用いることができるが、通常の含浸装置に比較し、ロール径や設定圧力、1次プリプレグとロールの接触長を減じることができ、装置を小型化できるだけでなく消費電力なども減じることができ、好ましい。
また、1次プリプレグが簡易追含浸装置に入る前に、1次プリプレグに離形シートを付与すると、1次プリプレグの走行性が向上し好ましい。
図15には、追含浸装置を具備したプリプレグ製造工程の一例を示している。塗布部430の直下に簡易追含浸装置453を備えている。ここでは、簡易追含浸装置453はニップロールの例を示しているが、ニップローラーは加熱機構を備えていることが好ましい。また、ニップロールの段数は目的により適宜選択可能であるが、工程簡略化の観点からは3段以下が好ましい(図15では2段の例を示している)。また、ニップローラーは駆動装置を備えていることがプリプレグ搬送の張力制御が容易である観点から好ましい。ニップ圧力は所望の含浸度に合わせ、適宜調整可能である。
また、ニップロール表面は1次プリプレグが貼りつかないように適切な離型処理が施されていたり、1次プリプレグとニップロールの間に離型シートを挿入したりすることが好ましい(簡略化のため図15には描画していない)。1次プリプレグとニップロールの間に離型シートを挿入する場合には、塗布部430側から挿入し、高張力引き取り装置444側のロールで離型シートを1次プリプレグから引き離すことが好ましい。引き離された離型シートはそのまま巻き取ってもよいし、そのまま再度、塗布部430側から挿入するようサーキット走行させてもよい。
また、追含浸装置としてはニップロールのほか、前記した“S−ラップロール”や固定バー等を用いることもできる。
なお、図15では、簡易追含浸、樹脂フィルム付与した後、そのまま追含浸装置450に導く例を記載している。
<樹脂フィルム付与+追含浸>
また、本発明において更に効率を高めるため、樹脂フィルム付与と追含浸を同時に行うことも可能である。ここで、塗布部を出て後、あまり時間が経っていない段階で行うことが簡便であるが、1次プリプレグの表面温度を高めて行うことは1次プリプレグ表面のマトリックス樹脂の粘度が低下し、追含浸し易くなるため、塗布部と簡易追含浸装置の間に熱処理装置を配置することも好ましい態様である。また、この熱処理装置は非接触タイプとすると、1次プリプレグの熱処理装置への貼りつきを回避できるため好ましい。
図22に樹脂フィルム付与と簡易追含浸を同時に行う方法、装置の一例を示すが、塗布部の直下に非接触加熱装置483を配置することで、塗布部から引き出された1次プリプレグの表面温度を容易に液溜り部でのマトリックス樹脂の温度より高温とすることができる。更に簡易追含浸装置を熱処理装置の直下に配置することで、1次プリプレグ表面温度が追含浸に適した温度範囲に保持することが可能となる。
1次プリプレグの表面温度が十分高ければ、付与する樹脂フィルムの表面温度や追含浸装置の温度は室温付近(10〜30℃程度)とすると、加熱機構を省略し装置を簡略化する観点からは好ましい。ただし、工程温度を管理する観点からは、低温(約50℃以下)でよいので温度変動を小さくすることが好ましく、容量の小さな加熱機構を組み込むこともできる。一方、追含浸での含浸効果をより高くするためには、加熱により適切な範囲の温度(マトリックス樹脂の粘度が十分低くなる温度)とすることも好ましい。
なお、樹脂フィルムに粒子を含む場合、簡易追含浸時の樹脂フィルムの粘度が低くなり過ぎると、粒子が強化繊維シートに流入する場合があるので、それを抑制したい場合には温度設定を低くすることができる。
<プリプレグ>
本発明の製造方法で得られるプリプレグは、1次プリプレグに樹脂フィルムまたは粒子が付与されたものであるが、マトリックス樹脂の含浸率は10%以上であることが望ましく、さらに好ましくは50%以上である。含浸率は高いほど望ましく理想的には100%であるが、上限としては95%程度が実用的である。マトリックス樹脂の含浸率は、前記1次プリプレグと同様に確認することができる。また、含浸度が高いプリプレグでは、プリプレグの毛細管現象による吸水率により含浸度を評価することもできる。具体的には、特表2016−510077号公報に記載の方法にならい、プリプレグを10cm×10cmにカットし、その1辺を5mm、水に5分間浸漬した時の質量変化から計算することができる。
<プリプレグの幅>
FRPの前駆体の一種であるプリプレグは本発明で得られるプリプレグの一形態であるため、本発明をFRP用途に適用する場合を挙げて以下説明する。
プリプレグの幅には、特に制限は無く、幅が数十cm〜2m程度の広幅でも良いし、幅数mm〜数十mmのテープ状でも良く、用途に応じ幅を選択することができる。近年では、プリプレグの積層工程を効率化するため、細幅プリプレグやプリプレグテープを自動積層していくATL(Automated Tape Laying)やAFP(Automated Fiber Placement)と呼ばれる装置が広く用いられるようになってきており、これに適合した幅とすることも好ましい。ATLでは幅が約7.5cm、約15cm、約30cm程度の細幅プリプレグが用いられることが多く、AFPでは約3mm〜約25mm程度のプリプレグテープが用いられることが多い。
所望の幅のプリプレグを得る方法には特に制限は無く、幅1m〜2m程度の広幅プリプレグを細幅にスリットする方法を用いることができる。また、スリット工程を簡略化あるいは省略するため、最初から所望の幅となるよう本発明で用いる塗布部の幅を調整することもできる。例えば、ATL用に30cm幅の細幅プリプレグを製造する場合には、塗布部出口の幅をそれに応じて調整すればよい。また、これを効率的に製造するためには、製品幅を30cmとして製造することが好ましく、係る製造装置を複数個並列させると、同一の走行装置・搬送装置、各種ロール、ワインダーを用いて複数ラインのプリプレグを製造することができる。図17には一例として、塗布部を5つ並列方向に連結した例を示している。この時、5枚の強化繊維シート416は、それぞれ独立した5つの強化繊維予熱装置420、塗布部430を通過し、5枚の1次プリプレグ471が得られるようにしても良いし、強化繊維予熱装置420、塗布部430は並列方向に一体化されていてもよい。この場合には、塗布部430中で幅規制機構、塗布部出口幅を独立に5つ備えればよい。
また、プリプレグテープの場合には、テープ状の強化繊維束が1糸条〜3糸状程度で強化繊維シートを形成させ、これを所望のテープ幅が得られるように幅を調整した塗布部に通すことで得ることもできる。プリプレグテープの場合はテープ同士の横方向の重なりを制御する観点から、特にテープ幅の精度が求められる場合が多い。このため、塗布部出口幅をより厳密に管理することが好ましく、この場合には、前記のL、L2およびWが、L≦W+1mmまたはL2≦W+1mm、の関係を満たすようすることが好ましい。
<スリット>
プリプレグのスリット方法にも特に制限は無く、公知のスリット装置を用いることができる。プリプレグを一旦巻き取った後、改めてスリット装置に設置し、スリットを行っても良いし、効率化のため、プリプレグ一旦巻き取ることなくプリプレグ作製工程から連続してスリット工程を配置しても良い。また、スリット工程は1m以上の広幅プリプレグを直接、所望の幅にスリットしても良いし、一旦、30cm程度の細幅プリプレグにカット・小分けした後、これを改めて所望の幅にスリットしても良い。
なお、上記の細幅プリプレグ、プリプレグテープを複数の塗布部を並列させた場合には、それぞれ独立に離型シートを供給しても良いし、1枚の広幅の離型シートを供給し、これに複数枚のプリプレグを積層させても良い。このようにして得られるプリプレグの幅方向の端部を切り落とし、ATLやAFPの装置に供給することができる。この場合には切り落とす端部の大部分が離型シートとなるため、スリットカッター刃に付着するマトリックス樹脂成分(FRPの場合には樹脂成分)を減じることができ、スリットカッター刃の清掃周期を延長できるというメリットもある。
<本発明の変形態様(バリエーション)および応用態様>
本発明においては、塗布部を複数個用い、更なる製造工程の効率化やの高機能化を図ることができる。
例えば、複数枚のプリプレグを積層させるように複数の塗布部を配置することができる。図16には一例として、2つの塗布部を用いてプリプレグの積層を行う態様の例を示している。第1の塗布部431と第2の塗布部432から引き出された2枚の1次プリプレグ471は方向転換ロール445を経て、その下方の積層ロール447で樹脂フィルム443とともに積層される。プリプレグと方向転換ロール間に離型シートを位置させると、プリプレグがニップロールに貼りつくことを抑制し、走行を安定化することができ、好ましい。図16では、2つの方向転換ロール445に離型シート446をサーキット走行させている装置を例示している。なお、方向転換ロールは、離型処理の施された方向転換ガイド等で代用することも可能である。図16では高張力引き取り装置444は1次プリプレグ471の積層後に配置しているが、積層前に配置することももちろん可能である。
このような積層型のプリプレグとすることで、プリプレグ積層工程の効率化を図ることができ、例えば厚ものFRPを作製する場合に有効である。また、薄ものプリプレグを多層積層することで、FRPの靱性や耐衝撃性が向上することが期待でき、本製造方法を適用することで、薄もの多層積層プリプレグを効率的に得ることができる。さらに、異なる種類のプリプレグを容易に積層することで、機能性を付加したヘテロ結合プリプレグを容易に得ることができる。この場合、強化繊維の種類や繊度、フィラメント数、力学物性、繊維表面特性などを変更することが可能である。また、マトリックス樹脂(プリプレグの場合は樹脂)も異なるものを用いることが可能である。例えば、厚みの異なるプリプレグや力学物性が異なるものを積層したヘテロ結合プリプレグとすることができる。また、第1の塗布部で力学物性の優れる樹脂を付与し、第2の塗布部でタック性に優れる樹脂を付与し、これらを積層することで力学物性とタック性を両立できるプリプレグを容易に得ることができる。また、逆に表面にタック性の無い樹脂を配置することも可能である。また、第1の塗布部で粒子なしの樹脂を付与し、第2の塗布部で粒子含有樹脂を付与することもできる。
別の様態としては、図17で例示し前記したように、塗布部を強化繊維シートの走行方向に対し、複数個並列させる、すなわち複数個の塗布部を強化繊維シートの幅方向に並列させることができる。これにより、細幅やテープ状のプリプレグの製造を効率化することができる。また、塗布部毎に、強化繊維やマトリックス樹脂を変更すると幅方向に性質の異なるプリプレグを得ることもできる。
また、別の様態としては、強化繊維シートの走行方向に対して塗布部を直列に複数個配置させることができる。図18には一例として、2つの塗布部を直列に配置させた例を示している。第1の塗布部431と第2の塗布部432の間には高張力引き取り装置448を配置させると強化繊維シート416の走行を安定化させる観点から好ましいが、塗布条件、工程下流の引き取り条件によっては省略することも可能である。また、第1の塗布部から引き出した1次プリプレグと高張力引き取り装置448間に離型シートを位置させると、1次プリプレグがニップロールに貼りつくことを抑制し、走行を安定化することができ、好ましい。図18では、高張力引き取り装置448をニップロールとし、また、2つのロールに離型シート446をサーキット走行させている装置を例示している。
このような直列型の配置とすることで、1次プリプレグの厚み方向にマトリックス樹脂種類を変えることができる。また、同じ種類のマトリックス樹脂であっても、塗布部によって塗布条件を変えることで、走行安定性や高速走行性などを向上することもできる。例えば、第1の塗布部で力学物性の優れる樹脂を付与し、第2の塗布部でタック性に優れる樹脂を付与し、これらを積層することで力学物性とタック性を両立できるプリプレグを容易に得ることができる。また、逆に表面にタック性の無い樹脂を配置することも可能である。また、第1の塗布部で粒子なしの樹脂を付与し、第2の塗布部で粒子含有樹脂を付与することもできる。
以上のように、複数の塗布部を配置させる様態をいくつか示したが、塗布部の数に特に制限は無く、目的に応じ種々、適用することができる。また、これらの配置を複合させることももちろん可能である。更に、塗布部の各種サイズ・形状や塗布条件(温度など)も混合して用いることもできる。
以上述べてきたように、本発明の製造方法は製造効率化・安定化のみならず、製品の高性能化・機能化も可能であり、拡張性にも優れた製造方法である。
<マトリックス樹脂供給機構>
本発明において塗布部内にマトリックス樹脂は貯留されているが、塗工が進行するのでマトリックス樹脂を適宜補給することが好ましい。マトリックス樹脂を塗布部に供給する機構には特に制限は無く、公知の装置を使用することができる。マトリックス樹脂は連続的に塗布部に供給することが、塗布部の上部液面を乱さず、強化繊維シートの走行を安定化でき、好ましい。例えば、マトリックス樹脂を貯留する槽から自重を駆動力として供給したり、ポンプなどを用いて連続的に供給することができる。ポンプとしては、ギヤポンプやチューブポンプ、圧力ポンプなどマトリックス樹脂の性質に応じ適宜使用することができる。また、マトリックス樹脂が室温で固体の場合には、貯留層上部にメルターを備えておくことが好ましい。また、連続押し出し機などを用いることもできる。また、マトリックス樹脂供給量はマトリックス樹脂の塗布部上部の液面がなるべく一定となるよう、塗布量に応じ連続供給できる機構を備えることが好ましい。このためには、例えば液面高さや塗布部重量などをモニタリングし、それを供給装置にフィードバックするような機構が考えられる。
<オンラインモニタリング>
また、塗布量のモニタリングのために、塗布量をオンラインモニタリングできる機構を備えることが好ましい。オンラインモニタリング方法についても特に制限は無く、公知のものを使用可能である。例えば、厚みを計測する装置として、例えばベータ線計などを用いることができる。この場合は、強化繊維シート厚みとプリプレグの厚みを計測し、その差分を解析することで塗布量を見積もることが可能である。オンラインモニタリングされた塗布量は、直ぐに塗布部にフィードバックされ、塗布部の温度や狭窄部23の隙間D(図2参照)の調整に利用することができる。塗布量モニタリングは、もちろん欠点モニタリングとしても使用可能である。厚み計測位置としては、例えば図12で言えば、方向転換ロール419近傍で強化繊維シート416の厚みを計測し、塗布部430から方向転換ロール441の間でプリプレグの厚みを計測することができる。また、赤外線、近赤外線、カメラ(画像解析)などを用いたオンライン欠点モニタリングを行うことも好ましい。
本発明の塗工装置は、強化繊維が一方向に配列された強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、塗布機構を有し、前記塗布機構はその内部にマトリックス樹脂を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部を備えており、前記液溜り部は、強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有するものである。
以下では、本発明の第1の製造方法(樹脂フィルム付与)に関するプリプレグの製造例を具体的に挙げてより詳細に説明する。なお、以下は例示であり、本発明は以下に説明される態様に限定して解釈されるものではない。
図12は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の例の概略図である。複数個の強化繊維ボビン412はクリール411に掛けられ、方向転換ガイド413を経て、上方に引き出される。この時、クリールに付与されたブレーキ機構により一定張力で強化繊維束414を引き出すことができる。引き出された複数本の強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列され、強化繊維シート416が形成される。なお、図12では強化繊維束は3糸条しか描画されていないが、実際には、2糸条〜数百糸条とすることができ、所望のプリプレグ幅、繊維目付けとするよう調整可能である。その後、拡幅装置417、平滑化装置418を経て、方向転換ロール419を経て、鉛直下向きに搬送される。図12では、強化繊維配列装置415〜方向転換ロール419まで強化繊維シート416は装置間を直線状に搬送される。なお、拡幅装置417、平滑化装置418は、目的に応じ、適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。また、強化繊維配列装置415、拡幅装置417、平滑化装置418の配列順序は目的に応じ適宜変更することもできる。強化繊維シート416は方向転換ロール419から鉛直下向きに走行し、強化繊維予熱装置420、塗布部430を経て方向転換ロール441に到達する。塗布部430は本発明の目的を達成する範囲で任意の形状を採用することができる。例えば、図2、図6〜図9のような形状が挙げられる。また、必要に応じ図5のようにブッシュを備えることもできる。さらに、図11のように、塗布部内にバーを備えることもできる。図12では、樹脂フィルム供給装置442から巻き出された樹脂フィルム443を方向転換ロール441上で1次プリプレグ471の片面に積層し、更に引き続いて1次プリプレグ471の別の片面に樹脂フィルムを積層することができる。ここで、樹脂フィルムは離型シートとの積層体であり、樹脂面をプリプレグ表面に密着させることが好ましい。離型シートには離型紙や離型フィルムなどを用いることができる。これを高張力引取り装置444で引き取ることができる。図12では高張力引き取り装置444としてニップロールを描画している。その後、シート状一体物は熱板451と加熱ニップロール452を備えた追含浸装置450を経て、冷却装置461で冷却された後、引き取り装置462で引き取られ、上側の離型シート446を剥がした後、ワインダー464で巻き取り、製品となるプリプレグ/離型シートからなるシート状一体物472を得ることができる。方向転換ロール441からワインダー464までシート状一体物は基本直線状に搬送されるため、皺の発生を抑制することができる。なお、図12では、マトリックス樹脂供給装置、オンラインモニタリング装置の描画は省略してある。
図13は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図13では、クリール411から強化繊維束414を引き出し、そのまま強化繊維配列装置415で強化繊維シート416を形成し、その後、拡幅装置417、平滑化装置418まで直線状に搬送され、その後、強化繊維シート416を上方に導く点が図12とは異なる。このような構成とすることで、上方に装置を設置することが不要となり、足場などの設置を大幅に簡略化することができる。
図14は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図14では、階上にクリール411を設置し、強化繊維シート416の走行経路を更に直線化している。
図15は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。ここでは、簡易追含浸装置を用いた例を示している。図15においては、簡易追含浸装置453は塗布部430の直下に設置されているため、プリプレグ471が高温状態で簡易追含浸装置453に導かれるため、含浸装置を簡略化・小型化できる。図15では、一例として加熱ニップロール454を描画しているが、目的によっては、もちろん小型の加熱S字ロールでも良い。簡易追含浸装置を用いるとプリプレグ製造装置全体を非常にコンパクトにすることができることもメリットである。特に、樹脂フィルム443を粒子含有の樹脂フィルムとする場合には、1次プリプレグの含浸度を上げておくと、次工程で樹脂フィルム中の粒子をプリプレグ表層に配置することができ、好ましい。
図19は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図19では、高張力引き取り装置として高張力引取りS字ロール449、追含浸装置として “S−ラップロール”型の加熱S字ロール455を2ロール−2セット(合計4個)用いた例を描画しているが、ロール数は目的に応じ、もちろん増減できる。また、図19では含浸効果を高めるためのコンタクトロール456も描画しているが、目的により省略することももちろん可能である。
図20は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。この例では“S−ラップロール”型の加熱S字ロールを高張力引き取り装置と兼用する例を示している。プリプレグ製造装置全体を非常にコンパクトにすることができるメリットがある。
次に、本発明の第2の製造方法(粒子付与)に関するプリプレグの製造例を具体的に挙げて詳細に説明する。なお、以下は例示であり、本発明は以下に説明される態様に限定して解釈されるものではない。
図21aは強化繊維シートとして、UD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程の例の概略図である。複数個の強化繊維ボビン412はクリール411に掛けられ、方向転換ガイド413を経て引き出される。この時、クリールに付与されたブレーキ機構により一定張力で強化繊維束414を引き出すことができる。引き出された複数本の強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列され、強化繊維シート416が形成される。なお、図21aでは強化繊維束は3糸条しか描画されていないが、実際には、1糸条から数百糸条とすることができ、所望のプリプレグ幅、繊維目付とするよう調整可能である。その後、拡幅装置417、平滑化装置418まで直線的に搬送され、その後方向転換ロール419を経て上方に導く。その後2つの方向転換ロールを経て、強化繊維シートは鉛直方向下向きに搬送方向を変え、強化繊維予熱装置420、塗布部430を経て1次プリプレグ422が得られる。その後、粒子付与装置440を経てプリプレグ482が得られる。得られたプリプレグは方向転換ロール441に進入する際、離型シート供給装置481より離型シート446が付与された後、鉛直方向下向きから水平方向に搬送方向を変え、高張力引取り装置444、追含浸装置450を通り、ワインダー464で巻き取る。
図21aは、強化繊維配列装置415から平滑化装置418まで強化繊維シート416は装置間を直線状に搬送させる例を示した。なお、拡幅装置417、平滑化装置418は目的に応じ公知のものを使用したり適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。また、強化繊維配列装置415、拡幅装置417、平滑化装置418の配列順序は目的に応じ適宜変更することもできる。強化繊維予熱装置420は目的に応じ適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。塗布部430は本発明の目的を達成する範囲で任意の塗布部形状を採用することができる。例えば、図2、図6〜図9のような形状が挙げられる。また、必要に応じ図5のようにブッシュを備えることもできる。さらに、図11のように、塗布部内にバーを備えることもできる。粒子付与装置440としては、種々の粒子付与機構を用いることができ、中でも静電塗装を用いた機構、粉体を混合した気流により付与する機構を好ましく用いることができ、このような機構を用いることで鉛直方向下向きに走行する1次プリプレグに粒子を付着させることが容易であり、さらに粒子付与装置周辺の床やロール等の汚染を抑制することができる。
図21aでは、1次プリプレグ422の両面に対向して粒子付与装置440を配置しているが、片面にのみ対向するものであってもよい。また図21aでは、プリプレグの両面に離型シートを付与しているが、片面にのみ付与するものでもよい。粒子の脱落やロール等の汚染を防ぐため、粒子を付与した面に離型シートを付与することが好ましい。図21aでは、離型シート供給装置481から巻き出された離型シート446を方向転換ロール441上でプリプレグ482に積層し、シート状一体物とすることができる。離型シートとしては、離型紙や離型フィルムなどを用いることができる。これを高張力引取り装置444で引き取ることができる。図21aでは高張力引き取り装置444としてニップロールを描画している。その後、シート状一体物は熱板451と加熱ニップロール452を備えた追含浸装置450を経て、冷却装置461で冷却された後、引き取り装置462で引き取られ、上側の離型シート446を剥がした後、ワインダー464で巻き取り、製品となるプリプレグ/離型シートからなるシート状一体物472を得ることができる。方向転換ロール441からワインダー464までシート状一体物は基本直線状に搬送されるため、皺の発生を抑制することができる。
図21bは図21aと同様、強化繊維シートとしてUD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程の例であるが、粒子付与装置440の位置が追含浸装置450よりも下流側にあるワインダー464で巻き取られる直前であり、1次プリプレグの搬送方向が水平の区間で粒子が付与される点が異なる。水平方向に搬送する区間で粒子を付与する場合、粒子の付与装置としては、粒子を自重落下させて付与する機構を用いることもでき、粒子を付与する面が片面の場合は粒子付与装置の選択肢が広がる。また、1次プリプレグを含浸機に通した後に粒子を付与することから、粒子をプリプレグの表層に残しやすい。
図21cは図21bと同様、強化繊維シートとしてUD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程の例であるが、1次プリプレグの両面に粒子を付与するため、片面に粒子を付与した後、方向転換ロール465で走行方向を折り返した経路をとる例である。図21cの工程とすることで、プリプレグ両面に、水平方向に上側から粒子を付与することができる。
図21dは図21b同様、強化繊維シートとしてUD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程の例であるが、追含浸装置を経た後の1次プリプレグ両面から粒子を付与するため、追含浸通過後に離型シートを一度巻き剥がした後に再度離型シートを付与し巻き取っている。図21dでは、粒子付与装置440が水平方向に搬送される1次プリプレグの上下に設置されているため、粒子を自重落下させて付与する方式以外の装置を用いるべきである。
図21eは図21d同様、強化繊維シートとしてUD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程の例であるが、粒子付与装置440が走行する1次プリプレグを囲うように設置されている。粒子が拡散された空間に1次プリプレグを通して粒子を付与する場合に有効な装置構成である。
なお、図21a、図21b、図21c、図21d、図21eではマトリックス樹脂供給装置、オンラインモニタリング装置などの付帯的な装置の描画は省略してある。
以下に、さらに具体的に本発明の製造方法によりプリプレグを得る例を説明する。なお、粒子の平均粒子径は、前記した方法を用いた。
なお、例1〜例5で得られたプリプレグの剥離法による含浸率は50%以上とすることができる。
また、プリプレグの幅方向100mm四方角の目付は、炭素繊維、樹脂ともプラスマイナス3質量%の範囲に収めることができ、優れた幅方向の目付均一性を得ることができる。なお、プリプレグの幅方向の目付均一性は以下のように評価できる。幅300mmのプリプレグを幅方向に100mm四方で右端部、中央、左端部で切り出し、プリプレグの質量、炭素繊維の質量をそれぞれn=3で測定する。炭素繊維の質量はプリプレグから樹脂を溶剤で溶出した残渣として測定する。これから、各サンプリング位置での平均値をそれぞれ算出し、各サンプリング位置での平均値同士を比較する。
さらに、このプリプレグを6層積層し、オートクレーブを用いて180℃、6kgf/cm(0.588MPa)で2時間硬化させることでCFRPを得ることができる。引っ張り強度は2.9GPa程度であり、糸割れ防止剤を付与せずに得たプリプレグと、炭素繊維およびマトリックス樹脂Aを用い、従来のホットメルト法で作製したプリプレグを同様に積層、硬化させることで得たCFRPの引っ張り強度も2.9GPa程度と同程度である。なお、CFRP引っ張り強度は、WO2011/118106パンフレットと同様に測定を行い、プリプレグ中の強化繊維の体積%を56.5%に規格化した値を用いる。
最終的に得られるプリプレグは、品位良好かつ積層、硬化してなるCFRPの引っ張り強度の大きな低下もないプリプレグを得ることができる。
<例1:靭性向上粒子を付与したプリプレグの製造方法>
靭性向上粒子を付与したプリプレグの製造装置としては、図21b、図21cに記載の構成の装置(なお、塗布部へのマトリックス樹脂供給装置は描写から省略している)から、拡幅装置417、平滑化装置418を除いた装置を用いることができる。
(マトリックス樹脂の塗布)
複数個の強化繊維ボビン412はクリール411に掛けることができ、方向転換ガイド413を経て、強化繊維束414が引き出される。強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列することができ、強化繊維シート416を形成することができる。形成された強化繊維シート416は、方向転換ロール419により、搬送方向を水平方向、鉛直方向上向きから水平方向へ、さらに水平方向から鉛直方向下向きへ方向転換することができる。鉛直方向下向きに走行する強化繊維シートを、強化繊維予熱装置420、塗布部430を通過させることで両面にマトリックス樹脂を塗布した1次プリプレグ422が得られる。
塗布部としては、図7の形態の塗布部20cタイプの塗布部を用いることができる。塗布部はステンレス製とし、さらにマトリックス樹脂を加温するため、塗布部外周にプレートヒーターを貼り付け、熱電対で温度測定を行いながら、マトリックス樹脂の温度および粘度を調整することができる。また、液溜り部での強化繊維シートの走行方向は鉛直方向下向き、液溜り部は2段テーパー状であるが、1段目テーパーは開き角度15〜20°、テーパー長さ(すなわちH)は10〜70mm、2段目テーパーは開き角度5〜10°とすることができる。また、幅規制機構として、図5記載のような塗布部内部形状に合わせた板状ブッシュを備えており、さらにこの板状ブッシュの設置位置自在に変更し、L2を適宜調整できる。所望の目付に応じ調整可能であるがL2を300mm、さらに狭窄部の隙間Dは0.2mm程度とすると一般的な目付のプリプレグが得られる。また、狭窄部出口からマトリックス樹脂が漏れないように、狭窄部出口面においてブッシュより外側は塞いで使用することができる。
(マトリックス樹脂)
塗布部430で塗布するマトリックス樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂組成物であるマトリックス樹脂Aを用いることができる。これは、エポキシ樹脂(芳香族アミン型エポキシ樹脂+ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物)、硬化剤(ジアミノジフェニルスルホン)、ポリエーテルスルホンの混合物であり、ポリマー粒子は含有していない。このマトリックス樹脂Aの粘度はTA Instruments社製ARES−G2を用いて測定でき、測定周波数0.5Hz、昇温速度1.5℃/分、40℃で3675Pa・s、75℃で50Pa・s、90℃で15Pa・s、105℃で4Pa・sである。このマトリックス樹脂Aを用い、塗布部のマトリックス樹脂温度を75〜105℃とし、強化繊維シート、1次プリプレグの走行速度を5〜25m/分としてプリプレグを作製することができる。
(粒子の付与)
塗布部430を通過し得られた1次プリプレグ422は、離型シート供給装置422から離型シート446を巻き出し、1次プリプレグ422に付与し搬送することができる。離型シートを付与された1次プリプレグは、高張力引取り装置444で引き取られ、追含浸装置450を経て、粒子を付与する面の離型シート446を離型シート巻取装置463で巻き取り、粒子付与装置440を用い1次プリプレグに付与することができる。
(粒子を付与する方法)
1次プリプレグに粒子を付与する方法は特に制限なく、一般的に粉体を供給する方法や装置を用いて付与することができ、走行する基材に粒子を自重落下させて付与する装置を用いることができる。粒子を自重落下させて付与する装置は、供給する粒子を基材に対し自重で落下させて付与する装置である。粒子を自重落下させて付与する装置は一般的な粉体供給装置を用いることが可能で、一般的な粉体供給装置は図解「粉体機器・装置の基礎知識」、平成13年9月11日工業調査会発行、P68−69に例示されている。これに記載の装置を用い、粒子付与することもできる。より具体的に粒子を自重落下させて付与する装置としては、ふるい振動方式、スクリューフィーダー方式、回転落下方式、ベルトフィーダー方式などの装置を用いることができる。
ふるい振動方式の装置としては、例えば、メッシュのあるふるい等に粒子を投入し、そのふるいを振動させることで、メッシュを通過する粒子を自重で落下させて付与する装置を用いることができる。スクリューフィーダー方式の装置としては、モーター等に接続されたスクリューを回転させ、スクリューの先端にある供給口から出た粒子を、自重で基材に落下させ粒子を付与する装置を用いることができる。スクリューの回転数やスクリューの形状により供給量を容易に調整が可能である。市販のスクリューフィーダー方式の装置としては、FCμ−030F、FCμ−200F(以上日清エンジニアリング(株)製)などを用いることができる。回転落下方式の装置としては、ブラシや羽根がついたローラーを回転させ、供給口あるいは粒子が供給される狭窄部の粒子を掻き落としたり叩き落としたりして、粒子を自重で落下させて付与する装置を用いることができる。市販の回転落下方式の装置としては、例えばニッカK−VIIスプレー(ニッカ(株)製)などを用いることができる。ベルトフィーダー方式の装置としては、ループ状に回転するベルトに粒子をのせ、ベルトの端部で粒子を基材に自重で落下させて付与する装置を用いることができる。市販のベルトフィーダー方式の装置としては、BW−150−1B((株)クボタ製))などを用いることができる。また、粒子を自重落下させて付与する方法、装置としては、特許第5815501号、特許第5878017号、WO2013/107829などに記載の方法、装置を用いることもできる。
(粒子の付与量)
本発明において1次プリプレグに付与する粒子の付与量は特に制限は無く、得られるCFRPの機械特性を大きく損なわない範囲であればよい。粒子の付与量が塗布部で付与するマトリックス樹脂の総質量に対し、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この範囲であるとき、粒子付与による効果が得られるとともに、CFRPの機械特性も良好である。
(付与する粒子)
付与する靭性向上粒子は特に制限は無く、種々の粒子を用いることができる。また付与する粒子は単一のものでも、複数のものでも、複数のものを混合したものでもよい。粒子の平均粒子径は0.1μm以上500μm以下である。平均粒子径がこの範囲であるとき、得られるプリプレグやCFRPの機能性や特性を向上させることができる。
靭性向上粒子は、付与することで、得られるCFRPの靱性や耐衝撃性を向上させることができるポリマー粒子である。靭性向上粒子としては、例えば、WO2009/142231パンフレット記載などを参照し、適切なものを用いることができる。より、具体的には、ポリアミドやポリイミドを好ましく用いることができ、ポリアミドとしてはポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開平01−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムザベルケ(株)社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704、(デグサ(株)社製)などを用いることができる。
特にCFRPの耐衝撃性高めるには、CFRPの層間樹脂層の靭性を高めることが重要であり、ポリマー粒子を層間樹脂層に留めておくことが好ましい。図21bに示す製造方法例では、1次プリプレグを追含浸した後に、1次プリプレグ表面に粒子を付与するため、粒子がプリプレグ表層に残りやすく、ひいてはCFRPの層間樹脂層に粒子が留まりやすくすることができる。
(巻取り)
プリプレグは、粒子を付与した面に、離型シート供給装置481で離型紙を付与した後、さらに片面の離型シートを離型シート巻取装置463で巻取り、ワインダー464でシート状一体物472を巻き取ることができる。
<例2:硬化剤粒子を付与したプリプレグの製造方法>
硬化剤粒子を付与したプリプレグの製造装置としては、図21aに記載の構成の装置(樹脂供給部は描写から省略)から、拡幅装置417、平滑化装置418を除いた装置を用いることができる。
マトリックス樹脂の塗布、マトリックス樹脂、は例1と同様であり、粒子の付与が図21bでは巻取り部の前であったのに対し、図21aでは塗布部430直下で粒子付与を付与する。
(粒子の付与)
塗布部430を通過し得られた1次プリプレグ422に対し、塗布部430の直下で、1次プリプレグ両面に配置された粒子付与装置440から粒子を付与することができる。
(粒子を付与する方法)
1次プリプレグに粒子を付与する方法は特に制限なく、一般的に粉体を供給する方法や装置を用いて付与することができ、静電塗装を用いた装置を用いることができる。静電塗装を用いた装置とは、帯電した塗料粒子を静電気で帯電させ、基材に付与する方法として一般に用いられている静電塗装において用いられる装置であり、これを粒子付与装置として適用したものである。より具体的には、高電圧を印加したスプレーガンなどにより粒子を帯電させ、静電気の引力で基材に引き寄せて付着させる方法、装置を用いることができる。静電気力によって粉体が基材に引き寄せられるため、効率よく粒子を基材に付着させることができる。そのため、1次プリプレグの搬送方向が鉛直方向下向きの場合でも粒子を付着させることが容易である。具体的には、WO2013/107829、WO2015/007862などに記載の方法、装置を用いることができる。市販の静電塗装を用いた装置としては、EA−MS40−15、E−M15C、E−M25、E−A10、EBG、EP−MG10、EP−MG10L、EP−AG10H(以上、アネスト岩田コーティングソリューションズ(株)製)などを用いることができる。
(粒子の付与量)
本発明において1次プリプレグに付与する粒子の付与量は特に制限は無く、得られるCFRPの機械特性を大きく損なわない範囲であればよい。粒子の付与量が塗布部で付与するマトリックス樹脂の総質量に対し、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この範囲であるとき、粒子付与による効果が得られるとともに、CFRPの機械特性も良好である。
(付与する粒子)
付与する硬化剤粒子は特に制限は無く、種々の粒子を用いることができる。また付与する粒子は単一のものでも、複数のものでも、複数のものを混合したものでもよい。
本発明で付与する粒子の平均粒子径は0.1μm以上500μm以下である。平均粒子径がこの範囲であるとき、得られるプリプレグやCFRPの機能性や特性を向上させることができる。
(硬化剤粒子)
硬化剤粒子とは、付与することで塗布部20で強化繊維シートに塗布した熱硬化性のマトリックス樹脂を硬化させる硬化剤や、硬化を促進させる硬化促進剤からなる粒子である。塗布部で付与するマトリックス樹脂に硬化剤や硬化促進剤を含むこともできる。硬化剤粒子は、23℃で固形の種々の硬化剤や硬化促進剤を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤の場合、硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類を用いることができる。硬化促進剤としては、例えば、三級アミン、三級アミン塩、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール化合物、尿素化合物、ヒドラジド化合物などを用いることができる。
(巻取り)
プリプレグは、粒子を付与した面に、離型シート供給装置481で離型紙を付与した後、さらに片面の離型シートを離型シート巻取装置463で巻取り、ワインダー464でシート状一体物472を巻き取ることができる。
<例3:制振性向上粒子を付与したプリプレグの製造方法>
制振性向上粒子を付与したプリプレグの製造装置としては、図21eに記載の構成の装置(樹脂供給部は描写から省略)から、拡幅装置417、平滑化装置418を除いた装置を用いることができる。
マトリックス樹脂の塗布、マトリックス樹脂、は例1と同様であり、粒子の付与が図21bでは水平に搬送する1次プリプレグの上面からの付与であったのに対し、図21eでは粒子を分散させた囲いの中に1次プリプレグを通過させる装置構成である。
(粒子の付与)
塗布部430を通過し得られた1次プリプレグ422は追含浸450を経た後、離型シートを剥がすことで、1次プリプレグ両面に粒子付与ができる。
(粒子を付与する方法)
1次プリプレグに粒子を付与する方法は特に制限なく、一般的に粉体を供給する方法や装置を用いて付与することができ、粉体が拡散された空間に基材を通し付与する装置を用いることができる。粉体が拡散された空間に基材を通し付与する装置としては、粉体を気流や帯電させることで空間に分散させ、その空間に基材を通すことで粒子の付与が可能な装置である。具体的には、特開平6−71646号公報やUS5198281などに記載のような方法、装置を用いることができる。
(粒子の付与量)
本発明において1次プリプレグに付与する粒子の付与量は特に制限は無く、得られるCFRPの機械特性を大きく損なわない範囲であればよい。粒子の付与量が塗布部で付与するマトリックス樹脂の総質量に対し、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この範囲であるとき、粒子付与による効果が得られるとともに、CFRPの機械特性も良好である。
(付与する粒子)
付与する粒子は特に制限は無く、種々の粒子を用いることができる。また付与する粒子は単一のものでも、複数のものでも、複数のものを混合したものでもよい。
本発明で付与する粒子の平均粒子径は0.1μm以上500μm以下である。平均粒子径がこの範囲であるとき、得られるプリプレグやCFRPの機能性や特性を向上させることができる。
(制振性向上粒子)
制振性向上粒子とは、付与することで得られるCFRPの制振性を向上させる粒子である。制振性向上粒子としては、例えばウレタン粒子を用いることができる。中でも3次元架橋構造を有するウレタン粒子を用いることができ、CFRPの制振性と耐溶剤性を向上させることができる。市販の3次元架橋構造を有するウレタン粒子としては、 “ダイミックビーズ(登録商標)”UCN−5070、5150(以上、大日精化工業(株)製)や“アートパール(登録商標)”C−400、P−400T、JB−400T、CE−400T(以上、根上工業(株)製)などを用いることができる。
(巻取り)
プリプレグは、粒子を付与した面に、離型シート供給装置481で離型紙を付与した後、さらに片面の離型シートを離型シート巻取装置463で巻取り、ワインダー464でシート状一体物472を巻き取ることができる。
<例4:タック調整粒子を付与したプリプレグの製造方法>
タック調整粒子を付与したプリプレグの製造装置としては、図21dに記載の構成の装置(樹脂供給部は描写から省略)から、拡幅装置417、平滑化装置418を除いた装置を用いることができる。
マトリックス樹脂の塗布、マトリックス樹脂、は例1と同様であり、粒子の付与が図21bでは片面であったのに対し、図21dでは1次プリプレグ両面から粒子を付与する。
(粒子の付与)
塗布部430を通過し得られた1次プリプレグ422は追含浸450を経た後、離型シートを剥がすことで、1次プリプレグ両面に粒子付与ができる。
(粒子を付与する方法)
1次プリプレグに粒子を付与する方法は特に制限なく、一般的に粉体を供給する方法や装置を用いて付与することができ、粉体を混合した気流により付与する装置を用いることができる。粉体を混合した気流により付与する装置とは、粉体を混合させたエアーを基材に吹き付けることで付与する装置である。具体的には、特開平6−71646号公報、特許第5814964号などに記載のような方法、装置を用いることができる。
(粒子の付与量)
本発明において1次プリプレグに付与する粒子の付与量は特に制限は無く、得られるCFRPの機械特性を大きく損なわない範囲であればよい。粒子の付与量が塗布部で付与するマトリックス樹脂の総質量に対し、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この範囲であるとき、粒子付与による効果が得られるとともに、CFRPの機械特性も良好である。
(付与する粒子)
付与する粒子は特に制限は無く、種々の粒子を用いることができる。また付与する粒子は単一のものでも、複数のものでも、複数のものを混合したものでもよい。
本発明で付与する粒子の平均粒子径は0.1μm以上500μm以下である。平均粒子径がこの範囲であるとき、得られるプリプレグやCFRPの機能性や特性を向上させることができる。
(タック調整粒子)
タック調整粒子とは、付与することで1次プリプレグの貼り付き性を調整できる粒子である。タック調整粒子としては、23℃で固形のエポキシ樹脂粒子、熱可塑性ポリマー粒子などを用いることができる。タック調整粒子としてエポキシ樹脂粒子を用いる場合、23℃で固形のエポキシ樹脂を必要に応じ粉砕等し粒子状にしたものを用いることができる。市販のエポキシ樹脂としては、特に制限なく用いることができるが、塗布部で付与するマトリックス樹脂と同じものであるとCFRPの物性への影響が小さく好ましい。市販品のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であれば、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003、“jER(登録商標)”1055、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1004AF、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009、“jER(登録商標)”1003F、“jER(登録商標)”1004F、“jER(登録商標)”1009F、“jER(登録商標)”1004FS、“jER(登録商標)”1006FS、“jER(登録商標)”1007FS、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4005P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4010P、“jER(登録商標)”1256P、“jER(登録商標)”154P、“jER(登録商標)”157S70、“jER(登録商標)”1031S、“jER(登録商標)”1032H60、“jER(登録商標)”YL6810、“jER(登録商標)”YX7700、“jER(登録商標)”YX8800、“jER(登録商標)”YX4000、“jER(登録商標)”YX4000H、“jER(登録商標)”YK6121HA、“jER(登録商標)”YX4000(以上三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”1050、“エピクロン(登録商標)”1055、“エピクロン(登録商標)”2050、“エピクロン(登録商標)”3050、“エピクロン(登録商標)”4050、“エピクロン(登録商標)”7050、“エピクロン(登録商標)”HM−091、“エピクロン(登録商標)”HM−101、“エピクロン(登録商標)”152、“エピクロン(登録商標)”153、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−680、“エピクロン(登録商標)”N−690、“エピクロン(登録商標)”N−695、“エピクロン(登録商標)”N−655−EXP、“エピクロン(登録商標)” N−655−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−662−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−665−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−670−EXP−S、“エピクロン(登録商標)” N−685−EXP−S、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775、“エピクロン(登録商標)”N−865、“エピクロン(登録商標)”HP−7200L、“エピクロン(登録商標)”HP−7200、“エピクロン(登録商標)”HP−7200H、“エピクロン(登録商標)”HP−7200HH、“エピクロン(登録商標)”HP−4700、“エピクロン(登録商標)”HP−5000、エピクロン(登録商標)”HP−6000、“エピクロン(登録商標)”HP−4710(以上DIC(株)製)などを用いることができる。
熱可塑性ポリマー粒子としては、特に制限なく、熱可塑性ポリマーを必要に応じ粉砕等し粒子状化して用いることができる。塗布部で付与するマトリックス樹脂中の成分と同じ熱可塑性ポリマーであることが好ましく、CFRPの機械特性への影響が小さい。熱可塑性ポリマーのTgは180℃以上で、分子内に芳香環を有することが好ましい。これにより耐熱性を付与することができる。具体的にはポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンなどが好ましく用いられる。スルホン系またはイミド系の熱可塑性ポリマーの市販品として、ポリエーテルスルホンとしては末端に水酸基を有する“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(住友化学(株)製)や、“Virantage(登録商標)”VW10700(Solvay Advanced Polymers社製)、末端が塩素化された“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(住友化学(株)製)、ポリエーテルイミドとしては末端に酸無水物やアミノ基を有する“Ultem(登録商標)”1010(Sabicイノベーティブプラスチックス(株)製)、ポリスルホンとしては“Virantage(登録商標)”VW30500(Solvay Advanced Polymers(株)製)などが挙げられる。また、テルペン樹脂粒子を用いることも可能で、テルペン樹脂を必要に応じ粉砕等して用いることができる。市販のテルペン樹脂としては、例えばYSレジンPX1250、YSレジンPX1150、YSレジンPX1000(以上ヤスハラケミカル(株)製)などを用いることができる。
タック調整粒子を付与する装置としては、特に制限無く用いることができ、中でも粉体を混合した気流により付与する装置が好ましい。これにより、粒子による装置や装置周辺の汚染を低減することができる。
(巻取り)
プリプレグは、粒子を付与した面に、離型シート供給装置481で離型紙を付与した後、さらに片面の離型シートを離型シート巻取装置463で巻取り、ワインダー464でシート状一体物472を巻き取ることができる。
<プリプレグ製造装置>
特記しない限り、各実施例および比較例においては、図7の形態の塗布部20cタイプの塗布部を用い、プリプレグ製造装置として図15記載の構成の装置(塗布部へのマトリックス樹脂供給装置は描画を省略)から拡幅装置、平滑化装置を除いた装置を用いた。また、強化繊維シートの形成はクリールから強化繊維を引き出して上方に配置の配列装置415にて行い、強化繊維予熱装置420に導いた。
<塗布部>
塗布部は、液溜り部および狭窄部を形成する壁面部材にはステンレス製のブロックを用い、また側板部材にはステンレス製のプレートを用いた。さらにマトリックス樹脂を加温するため、壁面部材および側板部材の外周にプレートヒーターを貼り付け、熱電対で温度計測を行いながら、マトリックス樹脂の温度および粘度を調整した。また強化繊維シートの走行方向は鉛直方向下向き、液溜り部は2段テーパー状であるが、上部テーパーは開き角度17°、テーパー高さ(すなわちH)は100mm、下部テーパーは開き角度7°であった。また、幅規制機構として、図5記載のような塗布部内部形状に合わせた板状ブッシュを備えており、さらにこの板状ブッシュの設置位置自在に変更し、L2を適宜調整できるようにした。L2は特に断らない限り300mmとした。狭窄部の隙間Dは0.18mmとした。この場合、出口スリットのアスペクト比は約1667となる。また、狭窄部出口からマトリックス樹脂が漏れないように、狭窄部出口下面においてブッシュより外側は塞いで使用した。
<強化繊維シート>
プリプレグの作製は、強化繊維として炭素繊維(東レ製、トレカT800S(24K))を用い、マトリックス樹脂として後記する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用い、上記装置によりFRP用シート状プリプレグの作製を行った。また、強化繊維ボビンの数は作製するプリプレグに応じて変更を行ったが、特に断らない限り、56とした。
<プリプレグ製造工程>
クリールに掛けられた複数の強化繊維ボビンから強化繊維束を引き出し、強化繊維配列装置で強化繊維シートを形成させ、方向転換ロールで一旦上方に導いた。その後、強化繊維シートは方向転換ロールを経て、鉛直下向きに搬送され、強化繊維予熱装置で塗布部温度以上に加熱され、塗布部に導かれ、マトリックス樹脂が塗布された。その後、塗布部からプリプレグが引き出され、加熱ニップロールを備えた簡易追含浸装置で追含浸を行った。この時、加熱ロールとプリプレグの間には離型紙を挿入した。そして、簡易追含浸装置下部で離型紙を剥がし、高張力引き取り装置上で離型紙を備えた樹脂フィルムをプリプレグ両面に積層した。さらに、これが熱板と加熱ニップロールを備えた追含浸装置に導かれ、場合により追含浸を行った。その後、冷却装置を経て、上側離型紙を剥がし、シート状一体物が巻き取られた。
<マトリックス樹脂>
マトリックス樹脂(熱硬化性エポキシ樹脂組成物):
熱硬化性エポキシ樹脂組成物1(マトリックス樹脂A):
エポキシ樹脂(芳香族アミン型エポキシ樹脂+ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物)、硬化剤(ジアミノジフェニルスルホン)、ポリエーテルスルホンの混合物であり、ポリマー粒子は含有していない。この熱硬化性エポキシ樹脂1の粘度をTA Instruments社製ARES−G2を用いて、測定周波数0.5Hz、昇温速度1.5℃/分で測定したところ、75℃で50Pa・s、90℃で15Pa・s、105℃で4Pa・sであった。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物2(マトリックス樹脂B):
エポキシ樹脂(芳香族アミン型エポキシ樹脂+ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物)、硬化剤(ジアミノジフェニルスルホン)、ポリエーテルスルホンの混合物に、ポリマー粒子として、特開2011−162619号公報実施例記載の「粒子3」(Tg=150℃)を樹脂組成物全体の質量を100質量%としたとき13質量%となるよう添加したものを用いた。
この熱硬化性エポキシ樹脂2の粘度をTA Instruments社製ARES−G2を用いて、測定周波数0.5Hz、昇温速度1.5℃/分で測定したところ、75℃で118Pa・s、90℃で32Pa・s、105℃で10Pa・sであった。
<樹脂フィルム>
公知のロールコーターを用い、樹脂を離型紙上に塗布し、樹脂をフィルム状に成形して樹脂フィルムを作製した。なお、離型紙に載せた状態で巻き取った。
<連続走行性の評価>
強化繊維シートの塗布部での連続走行性を評価するため、30分間連続走行させ、毛羽詰まり・糸切れが無いものを「Good」、毛羽が詰まり糸切れしたものを「Bad」とした。
また、毛羽詰まりの兆候を評価するため、60分間および120分間の連続走行後に塗布部を分解して壁面部材の接液面を目視で観察し、毛羽の有無を調べた。連続走行後に狭窄部の付近に毛羽が付着しているものを毛羽防止性「Poor」、連続走行後に狭窄部23から遠い部分(液溜り部22の上部付近)に毛羽が付着しているものを毛羽防止性「Fair」、連続走行後に壁面部材21の接液面に毛羽が付着していないものを毛羽防止性「Good」として、毛羽防止性を評価した。
また、走行速度20m/分で60分間連続走行させ、液溜まり部直上の強化繊維シートに繊維束の割れ(縦スジ状にシート状炭素繊維束が裂けている部分)や繊維束の端部折れ(炭素繊維束が重なっている部分)がなく均一に走行している時間を測定した。繊維束の割れ、および繊維束の端部折れがなく均一に走行している時間の割合が全走行時間の90%以上を占めるものを「Excellent」、50%以上90%未満のものを「Good」、10%以上50%未満のものを「Fair」、10%未満のものを「Poor」とした。
<含浸度の評価>
・剥離法(含浸度が低い場合)
採取したプリプレグを粘着テープで挟み、これを剥離し、マトリックス樹脂が付着した強化繊維とマトリックス樹脂が付着していない強化繊維を分離した。そして、投入した強化繊維シート全体の質量に対するマトリックス樹脂が付着した強化繊維の質量の比率を剥離法によるマトリックス樹脂の含浸率とした。
・吸水率(含浸度が高い場合)
特表2016−510077号公報に記載の方法にならい、プリプレグを10cm×10cmにカットし、その1辺を5mm、水に5分間浸漬した時の質量変化から計算した。
[実施例1〜4]
塗布部で熱硬化性エポキシ樹脂組成物1(マトリックス樹脂A)を用い、また樹脂フィルムとして別途で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物2(マトリックス樹脂B)を用いて得た樹脂フィルムを用いて、プリプレグを作製した。ただし、本実施例では、樹脂フィルム付与後の追含浸は行わなかった。なお、液溜り部のマトリックス樹脂Aの温度は90℃(15Pa・s相当)とした。また、強化繊維シート、プリプレグの走行速度は20m/分とした。
幅規制機構下端部の幅L2と1次プリプレグの幅Wの関係L2−Wと塗布部の断面積が連続的に減少する高さHを種々変更した時の塗布部での1次プリプレグの走行安定性の評価結果を表1に示す。これよりL2−Wが小さく、Hが大きい方が1次プリプレグの安定走行性が向上することが分かる。なお、簡易追含浸を行わず、簡易追含浸装置下部で1次プリプレグを採取し、含浸率を剥離法で調べたところ、いずれも50〜60%であり、塗布部で含浸が進んでいることを確認した。また、前記のように採取した1次プリプレグの幅方向の目付け均一性を以下のように評価した。幅300mmのプリプレグを幅方向に100mm四方で右端部、中央、左端部で切り出し、プリプレグの質量、炭素繊維の質量をそれぞれ測定数3(n=3)で測定した。炭素繊維の質量はプリプレグから樹脂を溶剤で溶出した残渣として測定した。これから、各サンプリング位置での平均値をそれぞれ算出し、各サンプリング位置での平均値同士を比較したしたところ、炭素繊維、樹脂ともプラスマイナス2質量%の範囲に収まっており、優れた目付け均一性であった。
[比較例1]
塗布部として、図10に示す断面積が連続的に減少する部分の無いもの(H=0)を用い、表1記載の条件で実施例1と同様にプリプレグを作製しようとしたが、20m/分で走行開始後、すぐに強化繊維シートが詰まり、連続走行性が不良であった。
[実施例5]
実施例1の条件でマトリックス樹脂の塗布、簡易追含浸、樹脂フィルムの付与まで行った後、さらに追含浸装置に導き、追含浸を行った。このプリプレグの吸水率を調べたところ、5%と十分な含浸度であった。
次に、得られたプリプレグを6層積層し、オートクレーブを用いて180℃、6kgf/cm(0.588MPa)で2時間硬化させ、CFRPを得た。得られたCFRPは何れも引っ張り強度が3.0GPaであり、航空・宇宙用の構造材料として好適な機械特性を有していた。なお、CFRP引っ張り強度は、WO2011/118106パンフレットと同様に測定を行い、プリプレグ中の強化繊維の体積%を56.5%に規格化した値を用いた。
また、得られたCFRPの断面観察を電子顕微鏡で行ったところ、炭素繊維層が整然と水平方向に積層されており、炭素繊維層と炭素繊維層の間にマトリックス樹脂層が形成されていることを確認した。さらに、この炭素繊維層間にポリマー粒子のほとんどが配置されていることを確認した。
[比較例2]
塗布部で用いるマトリックス樹脂として、熱硬化性エポキシ樹脂組成物1に代えて熱硬化性エポキシ樹脂組成物2(マトリックス樹脂B)を用い、狭窄部の隙間Dを0.2mmとし、また、樹脂フィルムの付与を行わなかった他は実施例1と同様にしてプリプレグの作製を行った。なお、簡易追含浸装置を用いての追含浸は行わなかった。マトリックス樹脂Bの粘度が高いため、実施例1、5とは異なり、安定走行上問題となるほどではないが、炭素繊維束の揺れや割れが散見された(繊維束の割れは「Good」評価)。
得られたプリプレグを実施例5と同様の操作でCFRPを作製し、CFRPの断面観察を電子顕微鏡で行ったところ、頻度は低いものの炭素繊維層の所々に乱れが見られた。
[参考例1]
炭素繊維および熱硬化性エポキシ樹脂1(マトリックス樹脂A)を用い、従来のホットメルト法で作製したプリプレグを、オートクレーブを用いて180℃、6kgf/cm(0.588MPa)で2時間硬化させたCFRPの引っ張り強度2.9GPaであった。
[実施例6]
プリプレグ製造装置として、塗布部の直下に非接触加熱装置、更にその直下に簡易追含浸装置としてニップロールを有する図22記載(塗布部へのマトリックス樹脂供給装置は描画を省略)のものを用い、塗布部として、図7記載の20cタイプのものを用いた。塗布部20bの液溜り部は2段テーパー状であるが、上部テーパーは開き角度90°でテーパー高さ(すなわちH)は40mm、下部テーパーは開き角度60°でテーパー高さは15mmであった。また、塗布部を構成する壁面の材質は実施例1の場合と同様の材質であり、実施例1の場合と同様の板状ブッシュ、ヒーター、計測装置を用いた。また、塗布部は幅規制機構として、図5に記載のような塗布部内部形状に合わせた板状ブッシュを備え、該幅規制機構により規制される幅(L2)を300mmとした。狭窄部の隙間Dは0.18mmとした。この場合、出口スリットのアスペクト比は約1667となる。また、狭窄部出口からマトリックス樹脂が漏れないように、狭窄部出口下面においてブッシュより外側は塞いで使用した。
強化繊維シートは実施例1と同様のものを用いた。
また、非接触加熱装置は塗布部の直下15cmに配置し、簡易追含浸装置は非接触加熱装置の直下15cmに配置した。簡易追含浸装置に導入される前の1次プリプレグの表面温度は、液溜り部でのマトリックス樹脂の温度以上であった。
塗布部で付与するマトリックス樹脂および樹脂フィルム(離型紙付)は実施例1と同様とし、液溜り部のマトリックス樹脂温度を90℃、供給する樹脂フィルム温度は室温(約20℃)、追含浸装置のニップロール温度は全て室温(約20℃)として、走行速度10m/分でプリプレグの作製を行った。この時、L2−W=0とした。また、追含浸装置450を用いた更なる追含浸は行わなかった。
走行性を実施例1と同様に評価したところ、連続走行性:Good、毛羽防止性(60分間):Good、毛羽防止性(120分間):Good、繊維束の割れ:Excellent、繊維束の端部折れ:Excellent であった。
更に、実施例5と同様にプリプレグの成形を行い、得られたCFRPの断面を観察したところ、炭素繊維層/マトリックス樹脂層の層構造が形成され、ポリマー粒子の炭素繊維層への流入は見られず、ポリマー粒子はマトリックス樹脂層に配置されていた。また、炭素繊維層の乱れもほとんど見られなかった。
本発明の製造方法で得られるプリプレグは、CFRPに代表されるFRPとして、航空・宇宙用途や自動車・列車・船舶などの構造材や内装材、圧力容器、産業資材用途、スポーツ材料用途、医療機器用途、筐体用途、土木・建築用途など広く適用することができる。
1 強化繊維
1a 強化繊維シート
1b 1次プリプレグ
1c プリプレグ
2 マトリックス樹脂
3a、3b 樹脂フィルム
4 離型シート
11 クリール
12 配列装置
13、14 搬送ロール
15 巻取り装置
16、16a、16b 供給装置
20 塗布部
20b 別の実施形態の塗布部
20c 別の実施形態の塗布部
20d 別の実施形態の塗布部
20e 別の実施形態の塗布部
21a、21b 壁面部材
21c、21d 別の形状の壁面部材
21e、21f 別の形状の壁面部材
21g、21h 別の形状の壁面部材
21i、21j 別の形状の壁面部材
22 液溜り部
22a 液溜り部のうち断面積が連続的に減少する領域
22b 液溜り部のうち断面積が減少しない領域
22c 液溜り部のうち断面積が断続的に減少する領域
23 狭窄部
24a、24b 側板部材
25 出口
26 隙間
28 粒子付与装置
30 比較例1の塗布部
31a、31b 比較例1の壁面部材
32 比較例1の液溜り部
33 比較例1の液溜り部のうち断面積が断続的に減少する領域
35a、35b、35c バー
100 塗工装置
B 液溜り部22の奥行き
C 液溜り部22の上部液面までの高さ
D 狭窄部の隙間
G 幅規制を行う位置
H 液溜り部22の断面積が連続的に減少する鉛直方向高さ
L 液溜り部22の幅
R、Ra、Rb 渦流れ
T 循環流
W 狭窄部23の直下で測定した1次プリプレグ1bの幅
Y 狭窄部23の幅
Z 強化繊維シート1aの走行方向(鉛直方向下向き)
θ テーパー部の開き角度
411 クリール
412 強化繊維ボビン
413 方向転換ガイド
414 強化繊維束
415 強化繊維配列装置
416 強化繊維シート
417 拡幅装置
418 平滑化装置
419 方向転換ロール
420 強化繊維予熱装置
430 塗布部
431 第1の塗布部
432 第2の塗布部
441 方向転換ロール
442 樹脂フィルム供給装置
443 樹脂フィルム
444 高張力引取り装置
445 方向転換ロール
446 離型シート
447 積層ロール
448 高張力引取り装置
449 高張力引取りS字ロール
450 追含浸装置
451 熱板
452 加熱ニップロール
453 簡易追含浸装置
454 加熱ニップロール
455 加熱S字ロール
456 コンタクトロール
461 冷却装置
462 引き取り装置
463 離型シート(上)巻取装置
464 ワインダー
471 1次プリプレグ
472 プリプレグ/離型シート(シート状一体物)
481 離型シート供給装置
482 プリプレグ
483 非接触加熱装置
484 簡易追含浸装置(ニップロール)

Claims (15)

  1. マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に、強化繊維シートを、
    実質的に鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂を強化繊維シートに付与し、
    その後、前記塗布部から引き出された1次プリプレグに樹脂フィルムを付与するプリプレグの製造方法であって、
    前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、
    前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、
    前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有する、
    プリプレグの製造方法。
  2. 前記樹脂フィルムが、フィルム中に粒子を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  3. 樹脂フィルムを付与する工程よりも後に追含浸を行う工程を有する請求項1または2に記載のプリプレグの製造方法。
  4. 前記1次プリプレグに追含浸を行う工程、該追含浸を行う工程よりも後に樹脂フィルムを付与する工程を有する請求項1または2に記載のプリプレグの製造方法。
  5. 前記1次プリプレグに対して、樹脂フィルムの付与と追含浸とを同時に行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプリプレグの製造方法。
  6. マトリックス樹脂が貯留された塗布部の内部に強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに通過させてマトリックス樹脂を強化繊維シートに付与して得られる1次プリプレグの表面に、下記[1]〜[4]からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法で平均粒子径が0.1μm以上500μm以下の粒子を付与するプリプレグの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部を備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有することを特徴とするプリプレグの製造方法。
    [1]走行する基材に粒子を自重落下させる方法
    [2]粒子が拡散された空間に基材を通す方法
    [3]静電塗装による方法
    [4]粒子を混合した気流を用いる方法
  7. 液溜り部における断面積が連続的に減少する部分の鉛直方向高さが10mm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  8. 強化繊維シートの幅方向における液溜り部の下部の幅(L)と、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅(W)との関係が下記式(1)を満たす、請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
    L≦W+10(mm) (1)
  9. 液溜り部内に強化繊維シートの幅を規制するための幅規制機構を備え、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅(W)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅(L2)との関係が下記式(2)を満たす、請求項1〜8のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
    L2≦W+10(mm) (2)
  10. 請求項4〜9のいずれかに記載の製造方法で得られるプリプレグに更に追含浸を行うプリプレグの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のプリプレグの製造方法によりプリプレグを得て、その後に該プリプレグをスリットするプリプレグテープの製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のプリプレグの製造方法によりプリプレグを得て、その後に該プリプレグを成形する繊維強化複合材料の製造方法。
  13. 請求項11に記載のプリプレグテープの製造方法によりプリプレグテープを得て、その後に該プリプレグテープを成形する繊維強化複合材料の製造方法。
  14. 強化繊維シートに塗液を付与する塗工装置であって、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、塗布機構を有し、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部を備えており、前記液溜り部は、強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、かつ、
    前記塗布機構の下流側に樹脂フィルム付与機構を有する塗工装置。
  15. 強化繊維シートに塗液を付与する塗工装置であって、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、塗布機構を有し、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部を備えており、前記液溜り部は、強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、かつ、
    前記塗布機構の下流側に下記[1]〜[4]からなる群から選ばれる少なくとも1つの粒子付与機構を有する、塗工装置。
    [1]走行する基材に粒子を自重落下させて付与する機構
    [2]粒子が拡散された空間に基材を通し付与する機構
    [3]静電塗装を用いた機構
    [4]粒子を混合した気流により付与する機構
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