JP6679949B2 - 浮体構造物の係留構造 - Google Patents

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本発明は、海底や湖底等の水底部に設置されたサクションアンカーを用いた浮体構造物の係留構造に関する。
近年、温室効果ガスの排出抑制が可能で安全性にも優れたエネルギー源として、洋上風力発電が有望視されている。洋上風力発電の設置方法については、我が国の周辺海域の水深が比較的大きいことから、浮体構造物を利用した浮体式洋上風力発電の導入が検討されている。浮体構造物の所定位置に保持するためには、引張材(ワイヤーやチェーンで構成された係留索、係留鎖、緊張係留索等)を介して水底部に設置したアンカーに係留する必要がある。アンカーには、いくつかの形式が存在するが、水深が比較的大きい場合、施工性を考慮して、サクションアンカーの使用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
サクションアンカーは、筒状周壁部とその一端を塞ぐ天板部とで構成されたサクション構造体を水底部の地盤に沈設してアンカーとして利用するものである。サクション構造体の沈設の際には、筒状周壁部の開口側が下方となるようにサクション構造体を水底部に設置した後、筒状周壁部内の水を排水してその内外で水圧差(サクション力)を生じさせ、その水圧差を押込み力として筒状周壁部を水底部の地盤に貫入させる。このように、サクションアンカーの設置には、特殊な施工機械を必要とすることなく、起重機船やサクション力を与える排水ポンプさえあれば良く、施工性に優れ、且つ工期短縮が可能である。
特開2015−34430号公報
サクションアンカーには引張材を介して引張力が伝達されるが、サクション構造体の自重とサクション構造体の周面に作用する海底地盤からの周面摩擦力とを合わせた把駐力(引き抜き抵抗力)となり、該把駐力が上述の引張力を支持する。そのため、引張力がサクションアンカーの最大把駐力以下である場合には、引抜きに関するサクションアンカーの健全性も確実に維持される。
しかしながら、波浪や強風といった過大な外力が浮体構造物に作用し、一時的に引張力がサクションアンカーの最大把駐力を上回ると、サクションアンカーが海底地盤から引き抜かれる現象が発生する。その際、サクションアンカーにおいて、サクション構造体の内部空間に負圧が生じ、サクション構造体の内外の圧力差が引き抜きに対する抵抗力となるものの、引き抜き変位は、過大な外力が作用するたびに累積して大きくなる。従って、把駐力に占める周面摩擦力が徐々に低下し、やがてサクションアンカーはアンカーとしての機能を喪失する。ちなみに、サクションアンカーの規模を大きくしてサクション構造体の自重と周面摩擦力とを増やせば、サクションアンカーの最大把駐力を高めることも可能であるが、その場合には経済性の低下が懸念される。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、サクションアンカーの規模を大きくすることなく、サクションアンカーの最大把駐力を高めることができる浮体構造物の係留構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、水底部に設置されたサクションアンカーと浮体構造物とを引張材で接続させ、前記引張材に伝達された引張力を前記サクションアンカーの把駐力によって支持する浮体構造物の係留構造であって、前記引張力の増加に伴って負圧を生成する負圧生成機構と、該負圧生成機構によって生成された負圧を前記サクションアンカーの内部空間に伝達する連通管とを具備し、前記負圧生成機構は、水で満たされたシリンダ部と、該シリンダ部の内部空間を第1空間と第2空間とに区画して配置され、前記引張力の増加に伴う移動によって、前記第1空間に負圧を生成させるピストン部とを具備し、前記連通管は、前記第1空間と前記サクションアンカーの内部空間とを連通させ、前記第2空間は、周辺水域と連通されていることを特徴とする
らに、本発明において、前記引張材は、前記ピストン部に接続されており、前記シリンダ部内には、前記ピストン部を前記引張力に抗する方向に付勢する付勢部材が配置されていても良い。
さらに、本発明において、前記シリンダ部は、前記第1空間に侵入した気体を排出するエア抜き機構を備えていても良い。
また、本発明は、水底部に設置されたサクションアンカーと浮体構造物とを引張材で接続させ、前記引張材に伝達された引張力を前記サクションアンカーの把駐力によって支持する浮体構造物の係留構造であって、前記引張力の増加に伴って負圧を生成する負圧生成機構と、該負圧生成機構によって生成された負圧を前記サクションアンカーの内部空間に伝達する連通管とを具備し、前記負圧生成機構は、前記浮体構造物に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明は、水底部に設置されたサクションアンカーと浮体構造物とを引張材で接続させ、前記引張材に伝達された引張力を前記サクションアンカーの把駐力によって支持する浮体構造物の係留構造であって、前記引張力の増加に伴って負圧を生成する負圧生成機構と、該負圧生成機構によって生成された負圧を前記サクションアンカーの内部空間に伝達する連通管とを具備し、前記連通管を前記引張材として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、引張力を、サクションアンカーの自重と、水底部の地盤からサクションアンカーの周面に作用する周面摩擦力と、負圧による抵抗力とを合わせた把駐力Hによって支持させることができため、サクションアンカーの最大把駐力を高めることができるという効果を奏する。
本発明に係る浮体構造物の係留構造の第1実施形態の構成を示す側面図である。 図1に示すサクションアンカーと引張材との接続部の構成を示すである。 図1に示す負圧生成機構の構成を示す断面図である。 図1に示す負圧生成機構の浮体構造物への他の取り付け例を示す断面図である。 図1に示す負圧生成機構の浮体構造物への他の取り付け例を示す断面図である。 図1に示す負圧生成機構の動作を説明する説明図である。 図1に示す負圧生成機構の動作を説明する説明図である。 図1に示す負圧生成機構の浮体構造物内部への取り付け例を示す断面図である。 図1に示す負圧生成機構の浮体構造物内部への他の取り付け例を示す断面図である。 本発明に係る浮体構造物の係留構造の第2実施形態の構成を示す側面図である。 図10に示す第2実施形態の変形例を示す図である。
以下、本発明に係る浮体構造物の係留構造の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態は、浮体構造物10を海底や湖底等の水底部1に係留するための係留構造であり、図1を参照すると、水底部1に設置されたサクションアンカー20と、サクションアンカー20に浮体構造物10を係留する引張材30と、負圧生成機構40とで構成されている。
浮体構造物10は、例えば、浮体式洋上風力発電施設の一部を構成し、浮体構造物10に上面に形成された立ち上がり部に図示しない風力発電設備が立設される。浮体構造物10は、耐食性の高張力繊維が添加された無筋コンクリート等を用い、内部に中空空間が形成されたコンクリート函体として構成することができる。なお、本実施形態の浮体構造物10は、図1に示すように、水面2の下に沈み込んでいる半潜水式のセミサブ型浮体としたが、円盤ブイ型浮体、スパー型浮体、トライフローター型浮体等の他の浮体構造であっても良い。
サクションアンカー20は、筒状周壁部21と、筒状周壁部21の一端を塞ぐ天板部22とからなるサクション構造体23で構成され、筒状周壁部21の開口側が下方となるように水底部1に設置した後、筒状周壁部21を水底部1の地盤に貫入させて設置されている。
引張材30は、パイプやホース等の管状部材で構成され、中空部がサクション構造体23の内部空間と連通した状態で、サクションアンカー20の天板部22に接続されている。
天板部22には、図2(a)に示すように、接続口22aが形成されており、この接続口22aに引張材30が接続されている。接続口22aの代わりに、図2(b)、(c)に示すように、天板部22に可動ジョイント部25を設け、この可動ジョイント部25に引張材30を接続することもできる。この場合には、サクション構造体23と引張材30との接続部が可動可能であるため、引張材30として鉄管等の剛性の大きいパイプを用いることが可能になる。
なお、サクション構造体23の沈設の際には、サクション構造体23の内部空間24に満たされた水を、サクション構造体23の外部に排水してその内外で水圧差(サクション力)を生じさせ、その水圧差を押込み力として筒状周壁部21を水底部1の地盤に貫入させる。この際に、サクション構造体23の内部空間24に満たされた水の排水口は、接続口22aとは別に形成するようにしても良く、接続口22aを用いるようにしても良い。また、サクション構造体23の沈設の際の排水口として接続口22aを用いる場合には、接続口22aに接続された引張材30を、排水時に使用するパイプやホースとして用いるようにしても良い。
負圧生成機構40は、図3を参照すると、円筒状のシリンダ部41と、シリンダ部41内に配置された円盤状のピストン部42と、ピストン部42を付勢するコイルスプリング等の付勢部材43とを備えている。
シリンダ部41は、筒状周壁部411と、筒状周壁部411の一端を塞ぐ天板部412とからなり、筒状周壁部411の開口側が下方となるように浮体構造物10の上面に取り付けられている。従って、浮体構造物10の上面が筒状周壁部411の他端を塞ぐ底板部として機能する。
ピストン部42は、シリンダ部41の軸方向に移動可能に配置されている。シリンダ部41の内部空間は、ピストン部42によって上部空間44と下部空間45とに区画されている。
浮体構造物10には、下面と上面とを連通する連通孔11が設けられており、引張材30が連通孔11を通ってピストン部42に接続されている。引張材30は、中空部が上部空間44と連通した状態でピストン部42に接続されている。従って、引張材30は、ピストン部42内の上部空間44と、サクション構造体23の内部空間24とを連結する連通管として機能する。
負圧生成機構40は、シリンダ部41の内部空間(上部空間44、下部空間45)に水で満たした状態で動作させる。従って、シリンダ部41の天板部412には、シリンダ部41の内部空間に侵入した気体を排出するエア抜き機構としてエア抜きバルブ46が設けられている。本実施の形態では、浮体構造物10が半潜水式のセミサブ型浮体で構成され、図1に示すように、シリンダ部41の天板部412が水面2の下に位置するため、エア抜きバルブ46を開くことで、簡単にシリンダ部41の内部空間に侵入した気体を排出させることができる。また、シリンダ部41に気体が侵入したことを確認する図示しない確認窓を設けると好適である。なお、シリンダ部41の内部空間(上部空間44、下部空間45)を水で満たした状態に維持することが可能であれば、負圧生成機構40の一部もしくは全部を水面2の上に位置させるようにしても良い。さらに、エア抜きバルブ46を開放した状態で、エア抜きバルブ46と排水ポンプとを接続すると、上部空間44を介してサクション構造体23の内部空間24に満たされた水を排水してその内外で水圧差(サクション力)を生じさせることができる。これにより、第1実施形態の係留構造をサクション構造体23の沈設の際に用いることもできる。
筒状周壁部411には、下部空間45と周辺水域とを連通する流出入孔47が形成されている。流出入孔47は、ピストン部42が軸方向に移動しても常に下部空間45と周辺水域とを連通する位置、すなわちピストン部42のストロークの下限よりも下方側に形成されている。なお、浮体構造物10に形成された連通孔11と引張材30との間隙が流出入孔47の機能を代替することができる場合には、流出入孔47を省略しても良い。
付勢部材43は、浮体構造物10の上面と、ピストン部42との間に介装され、ピストン部42を上方向、すなわち上部空間44の体積を縮小する方向に付勢している。なお、ピストン部42の上方向への移動は、筒状周壁部411の内壁に設けられたストッパ部材48によって制限されている。付勢部材43としては、浮体構造物10からピストン部42への荷重伝達を可能にするものであれば、どのような構成でも良く、例えば、コイルスプリングや透水性ゴムで構成することが可能である。
なお、図4に示すように、筒状周壁部411の他端を塞ぐ底板部413を設け、負圧生成機構40の底板部413を浮体構造物10の上面に取り付ける用にしても良い。この場合、浮体構造物10の連通孔11と、底板部413に形成された連通孔49とを通って引張材30がピストン部42に接続される。また、図5に示すように、負圧生成機構40の天板部412を浮体構造物10の下面に取り付ける用にしても良い。この場合、エア抜きバルブ46を浮体構造物10の内部空間に開口させるように構成すると良い。
次に、負圧生成機構40の動作について図6及び図7を参照して詳細に説明する。
引張材30は、一端がサクションアンカー20に接続され、他端がピストン部42に接続されている。そして、ピストン部42と浮体構造物10の上面との間には、付勢部材43が介装されている。従って、浮体構造物10の浮力は、付勢部材43を介し、引張力Pとして引張材30に伝達される。そして、引張材30を介してサクションアンカー20に伝達される引張力Pは、図6に示すように、サクション構造体23の自重Wと、水底部1の地盤から筒状周壁部21の周面に作用する周面摩擦力Rとを合わせた把駐力(引き抜き抵抗力)Hによって支持される。
この力の関係は、
P=H=W+R (1)
となる。
浮体構造物10は、波浪や潮流を受けて上下左右に並進移動しあるいは揺動するため、浮体構造物10から引張材30に伝達される引張力Pも変動する。ここで、水底部1の地盤から筒状周壁部21の周面に作用する最大周面摩擦力をRmaxとすると、サクションアンカー40の最大把駐力Hmaxは、次式で表される。
max=W+Rmax (2)
従って、引張力Pがサクションアンカー40の最大把駐力Hmax以下である場合には、引抜きに関するサクションアンカーの健全性も確実に維持される。換言すると、潮位変動等による想定された最大の引張力Pを上回るようにサクションアンカー40の最大把駐力Hmaxが設定されている。
図7には、波浪や潮流といった過大な外力が浮体構造物10に作用することで、引張力Pが引張力P+ΔPに増加し、ピストン部42が下方に移動された例が示されている。なお、付勢部材43は、ピストン部42がストッパ部材48によって位置決めされた状態で、最大把駐力Hmaxよりも小さい値に設定された所定の力(以下、初期弾性変形力と称す)で弾性変形が生じた状態となっている。そして、引張力Pに引張力ΔPが加わって初期弾性変形力を超えると、ピストン部42が下方に移動される。
ピストン部42の下方への移動に伴い、上部空間44の体積が拡大され、上部空間44において負圧ΔUが生成される。この負圧生成機構40で生成された負圧ΔUは、引張材30の中空部を通って、サクション構造体23の内部空間24に伝達され、サクション構造体23の内外の圧力差が引き抜きに対する抵抗力となる。なお、ピストン部42の下方への移動に伴い、流出入孔47から下部空間45内の水が流出し、下部空間45は、周辺水域と同じ水圧に維持される。
従って、引張材30を介してサクションアンカー20に伝達される引張力P+ΔPは、図7に示すように、サクション構造体23の自重Wと、水底部1の地盤から筒状周壁部21の周面に作用する周面摩擦力Rと、負圧ΔUによる抵抗力ΔU・Aとを合わせた把駐力Hによって支持される。但し、Aはサクション構造体23の断面積である。
この力の関係は、
P+ΔP=H=W+R+ΔU・A (3)
となる。
すなわち、把駐力Hの一部が負圧ΔUによる抵抗力ΔU・Aで負担されるため、把駐力Hに占める周面摩擦力Rは、負圧ΔUによる抵抗力ΔU・A分だけ小さくなる。従って、サクションアンカー40の最大把駐力Hmaxを超えるような引張力P+ΔPが加わった場合でも、負圧ΔUによる抵抗力ΔU・Aが作用することで、周面摩擦力Rが最大周面摩擦力Rmaxに達することを防止できる。
一時的な引張力ΔPがなくなると、付勢部材43の復元力によってピストン部42が上方に移動して図6に示した元の状態に戻り、次なる引張力Pの変動に備える状態となる。
なお、サクション構造体23の内部空間24(もしくは上部空間44)には、上部空間44で生成された負圧ΔUによって、水底部1の地盤等を介して水が流入する。そして、付勢部材43の復元力では、サクション構造体23の内部空間24(もしくは上部空間44)から流入した水を排出することができず、ピストン部42を元の状態に戻すことができなくなってしまうことがある。そこで、サクション構造体23や、上部空間44を構成するシリンダ部41(もしくはピストン部42)に周辺水域と連通する連通孔を設けるようにしても良い。この場合、上部空間44で生成された負圧ΔUが解消されるまでの時間は、設けた連通孔等からの水の流入量によって決定される。従って、連通孔の断面積を適切に設定して水の流入量をコントロールすることで、一時的な引張力ΔPに対抗する時間を確保することができる。
なお、負圧生成機構40は、図8及び図9に示すように、浮体構造物10の内部空間に取り付けるようにしても良い。浮体構造物10の内部空間は、浮力を得るため、空気で満たされている。従って、負圧生成機構40のメンテナンスを空気中で行うことができる。図8に示す取り付け例では、負圧生成機構40を浮体構造物10の内部空間床面に取り付けている。この場合、浮体構造物10の下面に下部空間45と周辺水域とを連通する流出入孔47aを形成し、流出入孔47aを通して引張材30をピストン部42に接続すると良い。また、図9に示す取り付け例では、負圧生成機構40を浮体構造物10の内部空間天井面に取り付けている。この場合、浮体構造物10の下面から負圧生成機構40の底板部413に形成された連通孔49を繋ぐ連通孔11を形成し、連通孔11及び連通孔49を通して引張材30をピストン部42に接続すると良い。また、連通孔11及び連通孔49は、下部空間45と周辺水域とを連通する流出入孔として機能させると良い。
以上説明したように、第1実施形態は、水底部1に設置されたサクションアンカー20と浮体構造物10とを引張材30で接続させ、引張材30に伝達された引張力Pをサクションアンカー20の把駐力Hによって支持する浮体構造物10の係留構造であって、引張力Pの増加(+ΔP)に伴って負圧ΔUを生成する負圧生成機構40を備え、負圧生成機構40によって生成された負圧ΔUをサクションアンカー20の内部空間24に伝達する連通管として引張材30が機能する。
この構成により、引張材30を介してサクションアンカー20に伝達される引張力P+ΔPを、サクション構造体23の自重Wと、水底部1の地盤から筒状周壁部21の周面に作用する周面摩擦力Rと、負圧ΔUによる抵抗力ΔU・Aとを合わせた把駐力Hによって支持させることができため、サクションアンカー20の最大把駐力を高めることができる。
すなわち、引張材30を介して伝達されてきた引張力Pの増加分(+ΔP)は、従来であればその全てが筒状周壁部21に伝達し、筒状周壁部21に作用する周面摩擦力で支持させることになる。これに対し、本発明によれば、増加した引張力(P+ΔP)の一部を負圧ΔUによる抵抗力ΔU・Aに負担させることができる。従って、筒状周壁部21に作用する周面摩擦力が最大周面摩擦力に近い状態であっても、サクションアンカー20が水底部1から引き抜かれる懸念を低減することができる。
さらに、第1実施形態において、負圧生成機構40は、水で満たされたシリンダ部41と、シリンダ部41の内部空間を上部空間44(第1空間)と下部空間45(第2空間)とに区画して配置され、引張力Pの増加(+ΔP)に伴う移動によって、上部空間44に負圧を生成させるピストン部42とを具備し、連通管として機能する引張材30は、上部空間44とサクションアンカー20の内部空間24とを連通させ、下部空間45は、周辺水域と連通されている。
この構成により、動力を必要とすることなく、簡単に構成で負圧ΔUを生成することができる。
さらに、第1実施形態において、下部空間45は、周辺水域と連通されている。
この構成により、ピストン部42の移動をスムーズに行うことができる。
さらに、第1実施形態において、引張材30は、ピストン部42に接続されており、シリンダ部41内には、ピストン部42を引張力Pに抗する方向に付勢する付勢部材43が配置されている。
この構成により、付勢部材43の復元力によってピストン部42を元の状態に戻すことができ、次なる引張力Pの変動に備えることが可能になる。
さらに、第1実施形態において、シリンダ部41は、上部空間44(第1空間)に侵入した気体を排出するエア抜き機構として機能するエア抜きバルブ46を備えている。
この構成により、シリンダ部41内に気体が侵入してしまっても、シリンダ部41内を水で満たされた状態に戻すことができる。また、エア抜きバルブ46は、シリンダ部41の天板部412に設けられているため、天板部412が水面2の下に位置する場合には、エア抜きバルブ46を開けることで簡単に気体を排出することができる。
さらに、第1実施形態において、負圧生成機構40は、浮体構造物10に取り付けられている。
負圧生成機構40を水深の浅いところに設置できるため、負圧生成機構40のメンテナンスを容易に行うことができる。特に、負圧生成機構40を浮体構造物10の内部空間に取り付けた場合には、負圧生成機構40のメンテナンスを空気中でより簡単に行うことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、図10を参照すると、負圧生成機構40aを介して接続された引張材30と引張材31とによって、サクションアンカー20に浮体構造物10を係留するように構成されている。なお、第1実施形態の同一の構成には、同一符号を付与し、適宜説明を省略する。
負圧生成機構40aは、円筒状のシリンダ部41aと、シリンダ部41a内に配置された円盤状のピストン部42と、ピストン部42を付勢するコイルスプリング等の付勢部材43とを備えている。
シリンダ部41aは、筒状周壁部411と、筒状周壁部411の一端を塞ぐ天板部412と、筒状周壁部411の他端を塞ぐ底板部413とからなる。引張材30は、中空部がピストン部42によって区画されたシリンダ部41a内の下部空間45と連通した状態で、底板部413に接続されている。また、引張材31は、ワイヤーやチェーンで構成された通常の係留部材であり、天板部41に形成された流出入孔47bを介してピストン部42と浮体構造物10との間に接続されている。流出入孔47bは、上部空間11と周辺水域とを連通する孔としても機能する。また、付勢部材43は、天板部412と、ピストン部42との間に介装され、ピストン部42を下方向、すなわち下部空間45の体積を縮小する方向に付勢している。なお、ピストン部42の下方向への移動は、筒状周壁部411の内壁に設けられたストッパ部材48によって制限されている。
第2実施形態において、波浪や潮流といった過大な外力が浮体構造物10に作用し、一時的な引張力ΔPが引張材30に伝達されると、ピストン部42が上方に移動される。そして、ピストン部42の上方への移動に伴い、下部空間45の体積が拡大され、下部空間45において負圧ΔUが生成される。この負圧生成機構40aで生成された負圧ΔUは、引張材30の中空部を通って、サクション構造体23の内部空間24に伝達され、サクション構造体23の内外の圧力差が引き抜きに対する抵抗力となる。なお、ピストン部42の上方への移動に伴い、流出入孔47bから上部空間44内の水が流出し、上部空間44は、周辺水域と同じ水圧に維持される。
なお、図11に示すにように、第2実施形態の引張材30の代わりに、サクションアンカー20に浮体構造物10を係留する係留部材としてのみ機能する引張材32と、ピストン部42内の下部空間45とサクション構造体23の内部空間24とを連結する連通管33とを設けるようにしても良い。
1 水底部
2 水面
10 浮体構造物
11 連通孔
20 サクションアンカー
21 筒状周壁部
22 天板部
22a 接続口
23 サクション構造体
24 内部空間
25 可動ジョイント部
30、31、32 引張材
33 連通管
40、40a 負圧生成機構
41、41a シリンダ部
411 筒状周壁部
412 天板部
413 底板部
42 ピストン部
43 付勢部材
44 上部空間
45 下部空間
46 エア抜きバルブ
47、47a、47b 流出入孔
48 ストッパ部材
49 連通孔

Claims (5)

  1. 水底部に設置されたサクションアンカーと浮体構造物とを引張材で接続させ、前記引張材に伝達された引張力を前記サクションアンカーの把駐力によって支持する浮体構造物の係留構造であって、
    前記引張力の増加に伴って負圧を生成する負圧生成機構と、
    該負圧生成機構によって生成された負圧を前記サクションアンカーの内部空間に伝達する連通管とを具備し、
    前記負圧生成機構は、
    水で満たされたシリンダ部と、
    該シリンダ部の内部空間を第1空間と第2空間とに区画して配置され、前記引張力の増加に伴う移動によって、前記第1空間に負圧を生成させるピストン部とを具備し、
    前記連通管は、前記第1空間と前記サクションアンカーの内部空間とを連通させ、
    前記第2空間は、周辺水域と連通されていることを特徴とする浮体構造物の係留構造。
  2. 前記引張材は、前記ピストン部に接続されており、
    前記シリンダ部内には、前記ピストン部を前記引張力に抗する方向に付勢する付勢部材が配置されていることを特徴とする請求項記載の浮体構造物の係留構造。
  3. 前記シリンダ部は、前記第1空間に侵入した気体を排出するエア抜き機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の浮体構造物の係留構造。
  4. 水底部に設置されたサクションアンカーと浮体構造物とを引張材で接続させ、前記引張材に伝達された引張力を前記サクションアンカーの把駐力によって支持する浮体構造物の係留構造であって、
    前記引張力の増加に伴って負圧を生成する負圧生成機構と、
    該負圧生成機構によって生成された負圧を前記サクションアンカーの内部空間に伝達する連通管とを具備し、
    前記負圧生成機構は、前記浮体構造物に取り付けられていることを特徴とする浮体構造物の係留構造。
  5. 水底部に設置されたサクションアンカーと浮体構造物とを引張材で接続させ、前記引張材に伝達された引張力を前記サクションアンカーの把駐力によって支持する浮体構造物の係留構造であって、
    前記引張力の増加に伴って負圧を生成する負圧生成機構と、
    該負圧生成機構によって生成された負圧を前記サクションアンカーの内部空間に伝達する連通管とを具備し、
    前記連通管を前記引張材として機能させることを特徴とする浮体構造物の係留構造。
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