JP6679064B2 - 真空紫外線センサ - Google Patents

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Description

本発明は、真空紫外線を選択的に検出することができる真空紫外線センサに関するものである。
従来、紫外域から赤外域までの光を検出する光センサとしては、光電子倍増管(フォトマル)やシリコンフォトダイオードなどの受光素子を有するものが広く使用されている。 一方、半導体の露光処理や、光による有機物洗浄処理、殺菌処理などにおいては、波長が200nm以下の真空紫外線が用いられている。これは、波長が200nm以上の光と比較して、光学系における分解能を高いこと、光子エネルギーが大きく、照射による有機物分解効率が高いことなどの理由による。このため、上記処理工程において、条件の管理や適正化を図る観点から、真空紫外線の強度を定量的に検出することが可能な真空紫外線センサが求められている。
このような真空紫外線センサとしては、従来、以下の構造のものが知られている。
(1)光電子倍増管やシリコンフォトダイオードなどの既存の受光素子と、検出すべき紫外線を透過すると共にそれ以外の光を遮断するバンドパスフィルタなどの光学素子とを備えてなるもの。
(2)紫外域から可視光域の光を検出する受光素子と、真空紫外線を紫外域または可視光域の光に変換する蛍光体とを有し、蛍光体からの蛍光の強度を真空紫外線の強度として計測するもの。
(3)バンドギャップが比較的大きいダイヤモンド半導体からなる受光素子を有し、真空紫外線の照射により伝導帯に遷移した電子による電流と光強度との相関から真空紫外線の強度を計測するもの。
しかしながら、上記の真空紫外線センサにおいては、以下のような問題がある。
上記(1)の真空紫外線センサにおいては、バンドパスフィルタなどの光学素子が必要である。そのため、真空紫外線センサを構成する部品の数が増加することにより、真空紫外線センサの小型化、薄型化を図ることが困難である。また、光学素子の特性バラつきや、受光による光学素子の劣化などによって、真空紫外線センサの出力値が変動しやすく、そのため、校正頻度や、光学素子の交換頻度が高くなる、という問題がある。
上記(2)の真空紫外線センサにおいては、レーザーやエキシマランプに代表される、単一波長とみなせる光源からの光の計測には適する。然るに、アーク放電型ランプや白熱電球に代表される真空紫外域から〜赤外域の広波長域にわたって発光する光源を用いる場合には、蛍光体からの蛍光と光源から発せられた光とを区別することができない。従って、バンドパスフィルタなどの光学素子を用いることが必要となる。
上記(3)の真空紫外線センサにおいては、ダイヤモンド半導体からなる受光素子は、波長が200nmより長い紫外線に対しても感度を有する。そのため、真空紫外線を選択的に検出するためには、バンドパスフィルタなどの光学素子を用いることが必要となる。また、強度が高い真空紫外線を照射すると、受光素子を構成するダイヤモンドの炭素結合が切断されるため、早期に受光素子の性能が低下する、という問題がある。また、受光素子が、真空紫外線の照射によって生ずるオゾンや酸素ラジカルに曝されると、受光素子が早期に酸化して劣化する、という問題がある。
このような問題を解決するために、基板と、この基板上に形成された金属フッ化物よりなる紫外線検出層と、この紫外線検出層上に形成された一対の電極とを備えてなる真空紫外線センサが提案されている(特許文献1参照。)。
この真空紫外線センサにおいては、紫外線検出層に、当該紫外線検出層を構成する金属フッ化物のバンドギャップ以上の光子エネルギーを有する光が入射されると、金属フッ化物中の電子が価電子帯から伝導帯に遷移する。これにより、電気的に中性であった部分に電子・正孔キャリアが発生し、このキャリアが一対の電極に印加された電圧による電気伝導に寄与する結果、紫外線検出層の電気抵抗が低下する。その後、伝導帯にある電子と、価電子帯にある正孔が再結合することにより、電気伝導への寄与が終了する。このような作用を利用して、電気抵抗率の変化量が電気的信号として検出される。従って、紫外線検出層を構成する金属フッ化物を選択することにより、真空紫外線を選択的に検出することが可能となる。
国際公開2010/013748号
しかしながら、上記の真空紫外線センサにおいては、以下のような問題があることが判明した。
上記の真空紫外線センサは、一対の電極が露出した状態で形成されているため、真空紫外線の照射によって生じたオゾンや酸素ラジカルが電極に接触すると、電極を構成する金属が酸化する。特に、最近においては、強度の高い真空紫外線を放射する光源が開発されており、このような光源からの真空紫外線を検出する場合には、発生するオゾンや酸素ラジカルの量が多いため、電極が早期に酸化劣化する結果、長期間にわたって真空紫外線を安定して検出することが困難である。また、紫外線検出層を構成する金属フッ化物の種類によっては、波長が200nmを超える光を吸収するため、紫外線検出層の温度が上昇する結果、いわゆる温度ドリフトが生じる、という問題がある。
本発明は、真空紫外線を選択的に検出することができ、しかも、長期間使用した場合でも、真空紫外線を安定して検出することができる真空紫外線センサを提供することを目的とする。
本発明の真空紫外線センサは、基板と、当該基板上に設けられた感光層と、当該感光層上に形成された一対の金属電極とを備えてなる真空紫外線センサであって、
前記金属電極および前記感光層の各々の表面全面を覆うよう形成された被覆層を有し、 前記感光層は、真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するフッ化物(A)よりなり、
前記被覆層は、前記フッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するフッ化物(B)よりなり、
前記感光層は、前記一対の金属電極が形成された面が受光面とされることを特徴とする。
本発明の真空紫外線センサにおいては、前記フッ化物(A)は、イッテルビウム、イットリウム、ネオジム、セリウム、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、ランタンおよびバリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のフッ化物であり、
前記フッ化物(B)は、フッ化マグネシウムであることが好ましい。
本発明の真空紫外線センサによれば、真空紫外線を選択的に検出することができ、しかも、長期間使用した場合でも、真空紫外線を安定して検出することができる。
本発明の真空紫外線センサの一例における構成を示す説明用断面図である。 金属電極の一例における形状を示す説明図である。 本発明の真空紫外線センサの他の例における構成を示す説明用断面図である。
以下、本発明の真空紫外線センサの実施の形態について説明する。
図1は、本発明の真空紫外線センサの一例における構成を示す説明用断面図である。この真空紫外線センサ10は、基板11と、この基板11の表面上に設けられた感光層12と、この感光層12の表面上に形成された一対の金属電極13,14と、これらの一対の金属電極13,14の各々の表面を覆うよう形成された被覆層15とにより構成されている。また、この例の真空紫外線センサ10の感光層12は、一対の金属電極13,14が形成された面(図1において上面)が受光面12aとされている。
図1に示す真空紫外線センサ10において、基板11を構成する材料は、特に限定されず、常温、常圧で安定な無機固体材料であればよい。この無機固体材料は、後述する感光層12を形成する工程において劣化が生じないものであることが好ましい。このような無機固体材料の具体例としては、石英ガラス、シリコン、サファイア、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、炭化珪素(SiC)や、フッ化カルシウム(CaF2 )、フッ化マグネシウム(MgF2 )、フッ化セリウム(CeF3 )、フッ化ネオジム(NdF3 )、フッ化ランタン(LaF3 )等の金属フッ化物単結晶などが挙げられる。
基板11の厚みは、特に限定されないが、0.3〜30mmが好適である。
感光層12を構成する材料としては、真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップ(Eg)を有するフッ化物(A)が用いられる。ここで、真空紫外線とは、波長が10〜200nmの紫外線である。具体的には、フッ化物(A)としては、常温におけるバンドギャップ(Eg)が6.0〜12.0eVであるフッ化物を用いることが好ましい。
なお、現在、フッ化物のバンドギャップ値はあまり知られておらず、本明細書中には、権威ある文献である「CRC Handbook of Laser Science and Technology」等に文献値として知られているものを記載する。それ以外のフッ化物のバンドギャップについては、一般的に知られている実験や理論計算により求めることができる。
バンドギャップの測定方法や算出方法は特に限定されないが、例えば物質を透過する光の透過率から計算可能であることが知られており、2つの物質のバンドギャップを比較する上ではこの方法で十分である。フッ化物は、間接遷移の半導体として取り扱われることが知られており、当業者にとって実施可能である。
例えば、光化学的測定手法であるTaucプロット法を利用する。光吸収係数αと光エネルギーhν(hはプランク定数、νは振動数)と、バンドギャップエネルギーEgとの間には下記式1の関係が成り立つと考えられる。
式1 αhν=B(hν−Eg n
ここで、フッ化物は間接遷移型なので、n=2である。上記のようにフッ化物試料の透過スペクトルを測定し、当該測定結果から横軸の波長をエネルギーhν(eV)、縦軸の透過率を(αhν)1/2 に変換したものをグラフ上にプロットして曲線を描く。この吸収スペクトル曲線の立ち上がり直線となる部分に、フィッティング直線を引き、当該フィッティング直線と横軸(すなわちα=0のベースライン)が交わる点のエネルギー(eV)をバンドギャップエネルギーEgとする。
以下に文献値が無いフッ化物のバンドギャップについてTaucプロット法による測定値の一例を示すが、これらの値は薄膜の状態で測定したものであり、あくまで参考値である。
フッ化ネオジム(NdF3 ):,Eg=7.1eV(参考値)
フッ化イッテルビウム(YbF3 ):Eg=6.0eV(参考値)
フッ化イットリウム(YF3 ):Eg=8.2eV(参考値)
このようなフッ化物(A)としては、イッテルビウム、イットリウム、ネオジム、セリウム、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、ランタンおよびバリウムなどの金属のフッ化物を用いることが好ましい。これらの中では、イッテルビウム、イットリウム、ランタンのフッ化物が好ましい。これらの金属のフッ化物は、1種の金属によるフッ化物であっても、2種以上の金属によるフッ化物であってもよい。
1種の金属によるフッ化物の具体例としては、フッ化イッテルビウム(YbF3 )、フッ化イットリウム(YF3 )、フッ化カルシウム(CaF2 ,Eg=10eV)、フッ化ストロンチウム(SrF2 ,Eg=9.4)、フッ化バリウム(BaF2 ,Eg=9.1)、フッ化ネオジム(NdF3 )、フッ化ガドリニウム(GdF3 )、フッ化ランタン(LaF3 ,Eg=6.6)などが挙げられる。これらの中では、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタンが好ましい。
2種以上の金属によるフッ化物としては、真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するものであれば、上記の金属を適宜組み合わせたものを用いることができる。2種以上の金属によるフッ化物を用いる場合には、金属の種類や比率を選択することにより、検出すべき真空紫外線の波長に対する感度が良好な感光層12を形成することができる。また、希土類金属のフッ化物は、2種以上の金属によるフッ化物の形成が容易な点で好ましく、特にイオン半径が互いに近似した金属を組み合わせて用いることが好ましい。
2種以上の金属によるフッ化物の具体例としては、フッ化ランタンとフッ化セリウムの混晶などが挙げられる。
感光層12の厚みは、特に限定されない。但し、均一な厚みを有する感光層12を形成する観点から、感光層12の厚みは平均で50nm以上であることが好ましい。また、真空紫外線の検出効率の観点から、真空紫外線の侵入長(入射光の強度が1/eまで減衰する長さ)と同程度の厚み以上であることが好ましい。真空紫外線の侵入長は、真空紫外線の波長や感光層12を構成するフッ化物(A)の種類によって異なるが、一般には、約1μm以下である。ただし、厚みを大きくすることによって、感光層12を構成するフッ化物(A)の結晶性が損なわれる場合にはこの限りではなく、厚みを紫外線の侵入長よりも小さくすることにより、総合的に検出感度が優れた感光層12が得られることもある。感光層12の厚みの上限は、フッ化物(A)の結晶性が著しく損なわれない限りは任意であるが、小型軽量化の観点から平均で1000μm未満であることが好ましい。
感光層12の受光面12aの面積は、特に限定されず、取り扱いが可能で、当該感光層12の受光面12aに一対の金属電極13,14を形成することが可能な大きさであればよい。
感光層12は、単一の層によって形成されていても、互いに異なるフッ化物による多重層によって形成されていてもよい。
基板11上に感光層12を形成する際には、感光層12を構成するフッ化物の結晶欠陥密度は、基板11を構成する材料の種類によって影響される。従って、基板11を構成する材料および感光層12を構成するフッ化物としては、格子定数および熱膨張係数の差が小さいものを組み合わせて用いることが好ましい。
また、基板11を構成する材料と感光層12を構成するフッ化物との格子不整合を解消するために、基板11と感光層12との間に緩衝層が形成されていてもよい。
感光層12を構成するフッ化物(A)は、単結晶、多結晶およびアモルファスのいずれであってもよいが、空孔が少なく組成が均一であるために、均一な受光感度が得られる点で、単結晶が好ましい。また、単結晶に結晶欠陥が存在する場合には、キャリアがトラップされることによって再結合が生じる結果、暗電流の原因になるなどの特性悪化の原因となりやすい。このため、感光層12を構成するフッ化物としては、格子結晶欠陥の少ない単結晶を用いることが特に好ましい。
基板11上に感光層12を形成する方法としては、パルスレーザー堆積法(レーザーアブレーション法)、分子線エピタキシー法、液相エピタキシー法などを利用することができる。
これらの中では、パルスレーザー堆積法が好適である。パルスレーザー堆積法は、レーザーパルスを原料(ターゲット)に照射することによって、原料に大きなエネルギーを与えて昇華させ、基板11上に堆積させる物理的気相成長法である。この方法は、形成される薄膜の光学的性質が不均一になりやすい化学的気相成長法に比較して、光学的性質が均一な薄膜が容易に形成することができるため、受光感度が均一な感光層12が得られる点で優れている。
パルスレーザー堆積法によって感光層12を形成する場合において、ターゲットとしては、フッ化物の単結晶体、多結晶体、ペレットなどを用いることができる。また、レーザー光としては、Nd:YAGレーザーの第三高調波などが用いられる。
金属電極13,14を構成する材料としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、コバルト、金、銀、銅、クロム、またはこれらの合金を用いることができる。
金属電極13,14の厚みは、特に限定されないが、金属電極13,14の耐久性の観点から1nm以上であることが好ましく、真空紫外線センサ10の小型軽量化の観点から1000μm以下であることが好ましい。
金属電極13,14の形状は、特に限定されないが、図2に示すように、それぞれ一方向に伸びる胴部13a,14aと、この胴部13a,14aから一方向に垂直な他方向に伸びる複数の歯部13b,14bと有し、歯部13b,14bが相互にかみ合ったくし型形状が好ましい。このような形状の金属電極13,14を形成することにより、例えば矩形の金属電極を形成した場合に比較して、受光面の面積が大きく、高い受光感度が得られる。
また、一対の金属電極13,14における電極間距離は、例えば0.2〜0.4mmである。
金属電極13,14を形成する方法としては、特に限定されないが、真空蒸着法を用いることが好ましい。この真空蒸着法においては、真空中で蒸着材料(金属材料)を加熱により昇華または蒸発させて粒子を生成させ、感光層12の表面に沈着させることによって、金属電極13,14が形成される。形成すべき金属電極13,14のパターンに対してネガパターンのマスクを用いることにより、所要の形状の金属電極13,14を形成することができる。
被覆層15を構成する材料としては、フッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するフッ化物(B)が用いられる。
被覆層15を構成するフッ化物(B)としては、感光層12を構成するフッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するものであれば、特に限定されないが、フッ化マグネシウムを用いることが好ましい。
被覆層15を構成するフッ化物(B)は、単結晶、多結晶およびアモルファスのいずれであってもよいが、単結晶が好ましい。
被覆層15の厚みは、1〜50μmであることが好ましい。
図示の例では、被覆層15は、一対の金属電極13,14および感光層12の各々の表面全面を覆うよう形成されているが、被覆層15によって、一対の金属電極13,14の表面全面が覆われていればよく、感光層12の表面全面が覆われていなくてもよい。
金属電極13,14の表面に被覆層15を形成する方法としては、パルスレーザー堆積法(レーザーアブレーション法)、分子線エピタキシー法、液相エピタキシー法などを利用することができる。これらの中では、パルスレーザー堆積法が好適である。
上記の真空紫外線センサ10においては、一対の金属電極13,14間に所要の電圧が印加され、この状態で、真空紫外線が被覆層15を介して感光層12の受光面12aに入射される。このとき、感光層12を構成するフッ化物(A)は、真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するため、当該フッ化物(A)において、価電子帯にある電子が励起されて伝導帯に遷移する。これにより、電気的に中性であった部分に電子・正孔キャリアが発生し、このキャリアが一対の金属電極13,14に印加された電圧による電気伝導に寄与する結果、感光層12の電気抵抗が低下する。その後、伝導帯にある電子と、価電子帯にある正孔が再結合することにより、電気伝導への寄与が終了する。このような作用を利用して、電気抵抗率の変化量が電気的信号として検出される。
このような真空紫外線センサ10によれば、感光層12が真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するフッ化物(A)によって構成されているため、真空紫外線を選択的に検出することができる。また、一対の金属電極13,14の各々は、感光層12および被覆層15によって覆われているので、真空紫外線が照射されることにより生じたオゾンや酸素ラジカルが、金属電極13,14の各々に接触することがない。このため、オゾンや酸素ラジカルによる金属電極13,14の酸化を防止することができる。その結果、真空紫外線センサ10を長期間使用した場合でも、真空紫外線を安定して検出することができる。また、被覆層15が、感光層12を構成するフッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するフッ化物(B)によって構成されているため、当該被覆層15において、検出すべき真空紫外線が吸収されることを防止することができる。その結果、真空紫外線の検出において高い感度が得られる。また、感光層12を構成するフッ化物(A)および被覆層15を構成するフッ化物(B)はいずれも、真空紫外線の光子エネルギー以上のバンドギャップを有するため、真空紫外線よりも長い波長の光を吸収することがない。従って、使用時において感光層12の温度の上昇を抑制することができ、その結果、いわゆる温度ドリフトが生じることを抑制することができる。従って、真空紫外線の検出において高い信頼性が得られる。
図3は、本発明の真空紫外線センサの他の例における構成を示す説明用断面図である。この真空紫外線センサ10は、基板11と、この基板11の表面上に形成された一対の金属電極13,14と、一対の金属電極13,14の各々を含む基板11の表面を覆うよう設けられた感光層12により構成されている。また、この例の真空紫外線センサ10の感光層12は、基板11に接する面(図3において下面)が受光面12aとされている。
この例における感光層12および金属電極13,14の各々における具体的な構成は、図1に示す真空紫外線センサと同様である。
図3に示す真空紫外線センサ10において、基板11を構成する材料としては、フッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するフッ化物(B)が用いられる。
基板11を構成するフッ化物(B)としては、感光層12を構成するフッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するものであれば、特に限定されないが、フッ化マグネシウムを用いることが好ましい。
基板11を構成するフッ化物(B)は、単結晶、多結晶およびアモルファスのいずれであってもよいが、単結晶が好ましい。
上記の真空紫外線センサ10においては、一対の金属電極13,14間に所要の電圧が印加され、この状態で、真空紫外線が基板11を介して感光層12の受光面12aに入射される。このとき、感光層12を構成するフッ化物(A)は、真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するため、当該フッ化物(A)において、価電子帯にある電子が励起されて伝導帯に遷移する。これにより、電気的に中性であった部分に電子・正孔キャリアが発生し、このキャリアが一対の金属電極13,14に印加された電圧による電気伝導に寄与する結果、感光層12の電気抵抗が低下する。その後、伝導帯にある電子と、価電子帯にある正孔が再結合することにより、電気伝導への寄与が終了する。このような作用を利用して、電気抵抗率の変化量が電気的信号として検出される。
このような真空紫外線センサ10によれば、感光層12が真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するフッ化物(A)によって構成されているため、真空紫外線を選択的に検出することができる。また、一対の金属電極13,14の各々は、基板11および感光層12によって覆われているので、真空紫外線が照射されることにより生じたオゾンや酸素ラジカルが、金属電極13,14の各々に接触することがない。このため、オゾンや酸素ラジカルによる金属電極13,14の酸化を防止することができる。その結果、長期間使用した場合でも、真空紫外線を安定して検出することができる。また、基板11が、感光層12を構成するフッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するフッ化物(B)によって構成されているため、当該基板11において、検出すべき真空紫外線が吸収されることを防止することができる。その結果、真空紫外線の検出において高い感度が得られる。また、感光層12を構成するフッ化物(A)および基板11を構成するフッ化物(B)はいずれも、真空紫外線の光子エネルギー以上のバンドギャップを有するため、真空紫外線よりも長い波長の光を吸収することがない。従って、使用時において感光層12の温度の上昇を抑制することができ、その結果、いわゆる温度ドリフトが生じることを抑制することができる。従って、真空紫外線の検出において高い信頼性が得られる。
以下、本発明の真空紫外線センサの具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
厚みが1mmのフッ化マグネシウムよりなる基板を用意し、以下のようにして、図1に示す構成の真空紫外線センサを作製した。
(1)感光層の形成
基板の一面に、パルスレーザー堆積法によって、縦横の寸法が8mm×10mmで、厚みが20μmのフッ化イットリウムの単結晶よりなる感光層を形成した。パルスレーザー堆積法における具体的な条件は以下の通りである。
ターゲット:フッ化イットリウム焼結体
基板の温度:400℃
レーザー:Ti:サファイアレーザー
レーザーパルスの周波数:1kHz
単位面積あたりのレーザーの照射エネルギー量:54.8J/cm2
処理時間:60分間
蒸着チャンバー内圧力:2×10-4Pa
ターゲット−基板間距離:5cm
以上において、単位面積あたりのレーザーの照射エネルギー量は、レーザー照射後のターゲットにおけるレーザー照射痕の幅Dと、実験時のパルスエネルギーEから、式:E/πD2/4により算出した。また、パルスエネルギーは、実験時の平均レーザーパワーPから、式:E(J)=P(W)/1(kHz)により算出した。
(2)金属電極の形成
真空蒸着法により、感光層の表面に、図2に示す形状のアルミニウムよりなる一対の金属電極を形成した。得られた一対の金属電極の各々は、厚みが10μm,歯部の数が6本、歯部の長さが9.8mm、歯部の幅が0.3mm、隣接する歯部の離間距離が0.2mm、電極間距離(一方の金属電極の歯部と他方の金属電極の歯部との離間距離)が0.2mmである。
(3)被覆層の形成
一対の金属電極および感光層の表面全面に、フッ化マグネシウムよりなる被覆層を形成した。パルスレーザー堆積法における具体的な条件は以下の通りである。
ターゲット:フッ化マグネシウム焼結体
基板の温度:400℃
レーザー:Ti:サファイアレーザー
レーザーパルスの周波数:1kHz
単位面積あたりのレーザーの照射エネルギー量:54.8J/cm2
処理時間:60分間
蒸着チャンバー内圧力:2×10-4Pa
ターゲット−基板間距離:5cm
得られた被覆層を構成するフッ化マグネシウム(Eg=10.8eV)は、感光層を構成するフッ化イットリウム(Eg=8.2eV(参考値))よりも大きいバンドギャップを有するものである。
〈実施例2〉
フッ化マグネシウムよりなる基板の代わりに石英ガラスよりなる基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空紫外線センサを作製した。
〈実施例3〉
厚みが1mmのフッ化マグネシウムの単結晶よりなる基板を用意し、以下のようにして、図3に示す構成の真空紫外線センサを作製した。
(1)金属電極の形成
真空蒸着法により、基板の表面に、図2に示す形状のアルミニウムよりなる一対の金属電極を形成した。得られた一対の金属電極の各々は、厚みが10μm,歯部の数が6本、歯部の長さが9.8mm、歯部の幅が0.3mm、隣接する歯部の離間距離が0.2mm、電極間距離(一方の金属電極の歯部と他方の金属電極の歯部との離間距離)が0.2mmである。
(2)感光層の形成
一対の金属電極の各々を含む基板の表面に、基板の一面に、パルスレーザー堆積法によって、縦横の寸法が8mm×10mmで、厚みが20μmのフッ化イットリウムの単結晶よりなる感光層を形成した。パルスレーザー堆積法における具体的な条件は以下の通りである。
ターゲット:フッ化イットリウム焼結体
基板の温度:400℃
レーザー:Ti:サファイアレーザー
レーザーパルスの周波数:1kHz
単位面積あたりのレーザーの照射エネルギー量:54.8J/cm2
処理時間:60分間
蒸着チャンバー内圧力:2×10-4Pa
ターゲット−基板間距離:5cm
得られた感光層を構成するフッ化イットリウム(Eg=8.2eV(参考値))は、基板を構成するフッ化マグネシウム(Eg=10.8eV)よりも小さいバンドギャップを有するものである。
〈比較例1〉
被覆層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして真空紫外線センサを作製した。
[評価]
実施例1〜3および比較例1に係る真空紫外線センサを、酸素濃度が約5%の雰囲気下に配置すると共に、この真空紫外線センサから50cm離間した位置に、波長172nm付近にピークを有する真空紫外線を放射するエキシマランプを、真空紫外線センサにおける感光層の受光面に対向するよう配置した。そして、真空紫外線センサに対して、エシキマランプからの真空紫外線を20時間連続して照射した。
上記の試験の前後において、真空紫外線センサの各々に対して、一対の金属電極に100Vの電圧を印加した状態で、重水素ランプによって真空紫外線を10秒間照射し、一対の金属電極間に流れる電流を、アンプにより増幅して電圧値として測定した。それぞれの平均値および試験前後における変化率を表1に示す。
Figure 0006679064
表1の結果から明らかなように、実施例1〜3に係る真空紫外線センサによれば、真空紫外線が照射されることにより生じたオゾンや酸素ラジカルによって、金属電極が酸化されることが防止され、長期間使用した場合でも、真空紫外線を安定して検出することができることが確認された。
10 真空紫外線センサ
11 基板
12 感光層
12a 受光面
13,14 金属電極
13a,14a 胴部
13b,14b 歯部
15 被覆層

Claims (2)

  1. 基板と、当該基板上に設けられた感光層と、当該感光層上に形成された一対の金属電極とを備えてなる真空紫外線センサであって、
    前記金属電極および前記感光層の各々の表面全面を覆うよう形成された被覆層を有し、 前記感光層は、真空紫外線の光子エネルギーに相当するバンドギャップを有するフッ化物(A)よりなり、
    前記被覆層は、前記フッ化物(A)よりも大きいバンドギャップを有するフッ化物(B)よりなり、
    前記感光層は、前記一対の金属電極が形成された面が受光面とされることを特徴とする真空紫外線センサ。
  2. 前記フッ化物(A)は、イッテルビウム、イットリウム、ネオジム、セリウム、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、ランタンおよびバリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のフッ化物であり、
    前記フッ化物(B)は、フッ化マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載の真空紫外線センサ。
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