以下、本発明に係る測定データ処理装置、測定システムおよび測定データ処理用プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、測定装置1、携帯情報端末2およびデータサーバ3を備えて構成されている。
測定装置1は、「測定装置」の一例であって、図2に示すように、測定部11、通信部12、操作部13、表示部14、処理部15および記憶部16を備え、測定対象についての電圧値、電流値および抵抗値などの各種の電気的パラメータを測定することができるように構成されている。測定部11は、一例として、測定用ケーブルを介して測定対象に常時接続される複数の測定モジュール(図示せず)を備え、処理部15の制御に従い、電圧値、電流値および抵抗値などの測定値のうちから各測定モジュール毎に予め指定された1つを測定し、その測定値D0を処理部15に出力する。この場合、本例の測定装置1における測定部11は、入力される信号に応じて測定レンジを自動的に変更するオートレンジ機能を備えて構成されている。
通信部12は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成されている。この通信部12は、処理部15の制御に従い、携帯情報端末2などの各種無線通信機器との間で後述する測定結果データD1などの各種データを送受信する。操作部13は、動作条件(測定条件)の入力操作が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部14は、処理部15の制御に従い、動作条件設定画面や測定結果表示画面等の各種の表示画面(図示せず)を表示する。
処理部15は、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、測定部11を制御して測定処理を実行させる。また、処理部15は、測定部11から出力される測定値D0に基づいて測定結果データD1を生成し、生成した測定結果データD1を記憶部16に記憶させる。さらに、処理部15は、測定値D0を表示部14(測定結果表示画面)に表示させる。また、処理部15は、予め規定された条件が満たされたときに、記憶部16から測定結果データD1を読み出すと共に通信部12を制御して携帯情報端末2等の外部装置に測定結果データD1を送信させる。
この場合、本例の測定システム100(測定装置1)では、上記の測定結果データD1が「第1の文字列を特定可能な第1の測定結果データ」に相当し、測定値等が文字列で記録されたテキスト形式データで構成されている。なお、測定結果データD1のデータ構造(書式)については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。記憶部16は、処理部15の演算結果や測定結果データD1などを記憶する。
一方、携帯情報端末2は、データサーバ3と相まって「測定データ処理装置」を構成する装置であって、一例として、測定データ処理用プログラムDp2をインストールした既存のタブレット端末やスマートフォンで構成されている。なお、広義には、「タブレット端末」は「タッチパネル等のポインティングデバイスと表示装置とを備えたPDA(携帯情報端末)」を意味し、「スマートフォン」は「PDA(携帯情報端末)の機能が備わった携帯電話」を意味するが、本明細書では、この広義の「タブレット端末」および広義の「スマートフォン」のうちの「各種プログラムのインストールによって任意の機能を付加したり、端末の操作環境や表示環境等をカスタマイズしたりすることができるもの」を「タブレット端末」や「スマートフォン」という。
この場合、本例では、図1に示すように、通信部21,22、操作部23、表示部24、処理部25および記憶部26を備えたタブレット端末で携帯情報端末2が構成されているものとする。なお、実際の携帯情報端末2は、上記の各構成要素21〜26の他に、「タブレット端末」としての機能を実現するための各種の構成要素を備えているが、本願発明についての理解を容易とするために、それらの構成要素についての図示および説明を省略する。
通信部21は、「通信部」の一例であって、前述した測定装置1の通信部12と同様にしてブルートゥース等の近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成されている。この通信部21は、後述するように、処理部25の制御に従い、測定装置1から送信される測定結果データD1などの受信処理、および測定装置1に対する各種の制御信号の送信処理を実行する。通信部22は、一例として、無線LAN通信アダプタで構成され、測定システム100の使用者が構築した通信ネットワークNに接続されているデータサーバ3等の外部装置に接続可能に構成されると共に、後述するように、処理部25の制御に従い、通信ネットワークNを介してデータサーバ3に接続して、測定結果データD1やテンプレートデータDtなどを送受信する。
操作部23は、一例として、表示部24の前面側に配設されたタッチパネルや、携帯情報端末2を「タブレット端末」としての機能させるための各種の操作スイッチを備え、操作に応じた操作信号を処理部25に出力する。表示部24は、一例として液晶表示パネルを備え、処理部25の制御に従い、図示しない測定結果表示画面などの各種の表示画面を表示する。
処理部25は、携帯情報端末2を総括的に制御する。この場合、本例の測定システム100では、携帯情報端末2における処理部25と、後述するデータサーバ3における処理部35とが相まって「処理部」が構成されている。具体的には、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、通信部22を介してデータサーバ3からテンプレートデータDtを取得して記憶部26に記憶させると共に、後述するようにデータサーバ3においてテンプレートデータDtを用いて生成される帳票を模した測定結果表示画面を表示部24に表示させる。
また、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、通信部21を介して測定装置1から測定結果データD1を取得すると共に、取得した測定結果データD1を記憶部26に記憶させる。さらに、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、上記のように記憶部26に記憶させた測定結果データD1(または、後述するように、測定結果データD1の内容の一部を改変した測定結果データD1)を通信部22から通信ネットワークNを介してデータサーバ3に送信する。なお、測定結果データD1の取得時からデータサーバ3への送信時までに処理部25によって実行される処理については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。
記憶部26は、上記の測定データ処理用プログラムDp2、テンプレートデータDtおよび測定結果データD1などを記憶する。この場合、本例の測定システム100では、携帯情報端末2における記憶部26と、後述するデータサーバ3における記憶部36とが相まって「記憶部」が構成されている。なお、測定データ処理用プログラムDp2や、テンプレートデータDtおよび測定結果データD1などのデータを記憶するための「記憶部」は、携帯情報端末2の内蔵メモリで構成された記憶部26に限定されず、携帯情報端末2に装着された各種のリムーバブルメモリを使用することもできる。
データサーバ3は、前述したように携帯情報端末2と相まって「測定データ処理装置」を構成する。このデータサーバ3は、測定装置1や携帯情報端末2の使用者(所有者)が、上記のテンプレートデータDtおよび測定結果データD1や、後述するようにテンプレートデータDtを用いて生成される測定結果データD2などの各種のデータを保管するためのサーバであって、一例として、測定データ処理用プログラムDp3がインストールされたサーバーマシン(または、パーソナルコンピュータ)で構成されている。具体的には、データサーバ3は、図1に示すように、印刷部31、通信部32、操作部33、表示部34、処理部35および記憶部36を備えて構成されている。
印刷部31は、後述するように、処理部35の制御下で測定結果データD2などを印刷する。通信部32は、処理部35の制御に従い、通信ネットワークNを介して携帯情報端末2や、携帯情報端末2以外の携帯端末(図示せず)およびパーソナルコンピュータ(図示せず)などの外部装置に接続し、テンプレートデータDtや測定結果データD1などを送受信する。操作部33は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードで構成され、これらの操作に応じた操作信号を処理部35に出力する。表示部34は、処理部35の制御下で帳票を模した画面などを表示する。
処理部35は、データサーバ3を総括的に制御する。具体的には、処理部35は、測定データ処理用プログラムDp3の記述に従い、携帯情報端末2からの要求に応じて通信部32から携帯情報端末2にテンプレートデータDtを送信する。また、処理部35は、測定データ処理用プログラムDp3の記述に従い、携帯情報端末2から送信されて通信部32によって受信された測定結果データD1を記憶部36に記憶させると共に、測定結果データD1に記録されている情報をテンプレートデータDtに入力することで測定結果データD2を生成する。
さらに、処理部35は、測定データ処理用プログラムDp3の記述に従い、印刷部31を制御して測定結果データD2を印刷させる。なお、携帯情報端末2へのテンプレートデータDtの送信や、測定結果データD1の取得時から測定結果データD2の生成および印刷に関する処理については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。記憶部36は、上記の測定データ処理用プログラムDp3、テンプレートデータDtおよび測定結果データD1,D2などを記憶する。なお、データサーバ3については、この測定システム100専用のサーバを用意して使用することもできるが、テンプレートデータDt、測定結果データD1,D2などを記録可能な既存のデータサーバをデータサーバ3として使用することもできる。
この場合、本例の測定システム100では、携帯情報端末2にインストールされた上記の測定データ処理用プログラムDp2、およびデータサーバ3にインストールされた上記の測定データ処理用プログラムDp3の双方が「測定データ処理用プログラム」に相当する。
また、本例の測定システム100では、テンプレートデータDtが「測定結果データ用テンプレートのテンプレートデータ」に相当する。具体的には、図3に示すように、テンプレートデータDtは、後述するように測定装置1を用いた測定処理によって取得される測定値(この例では、電圧値)が入力される測定値入力セルC1〜C4(「入力される測定値が数値として保持される測定値入力セル」の一例)と、測定値入力セルC1,C2に入力される測定値の差分値が自動的に演算されて入力される演算結果表示セルCaと、測定値入力セルC3,C4に入力される測定値の差分値が自動的に演算されて入力される演算結果表示セルCbとが設けられている。
このテンプレートデータDtは、一例として、測定システム100の使用者が、測定作業を実施すべき測定対象毎に、データサーバ3の操作部33を操作してデータサーバ3上で生成して記憶部36に記憶させたり、データサーバ3以外のパーソナルコンピュータ上で生成してデータサーバ3に転送して記憶部36に記憶させたりすることができる。
次に、測定システム100を用いた帳票の作成作業について、添付図面を参照して説明する。
なお、測定装置1(測定部11)における各測定モジュールの測定対象への接続、携帯情報端末2への測定データ処理用プログラムDp2のインストール、データサーバ3への測定データ処理用プログラムDp3のインストール、テンプレートデータDtの生成およびデータサーバ3(記憶部36)への記憶、並びに測定装置1の通信部12と携帯情報端末2の通信部22との間におけるブルートゥースのペアリングなどについては既に完了しているものとする。また、本例の測定システム100では、データサーバ3が通信ネットワークNに常時接続されているものとする。
まず、携帯情報端末2において測定データ処理用プログラムDp2を起動させると共に、通信ネットワークNを介して携帯情報端末2(通信部22)をデータサーバ3(通信部32)に接続する。次いで、操作部23(タッチパネル)を操作することにより、データサーバ3(記憶部36)に記憶されている複数のテンプレートデータDtのなかから、測定作業を実行すべき測定対象についてのテンプレートデータDtを選択する。この際に、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、選択されたテンプレートデータDtをデータサーバ3から読み出して記憶部26に記憶させる。これにより、測定作業を開始する準備が整う。
次いで、測定装置1が設置されている測定現場に携帯情報端末2を携行し、操作部23を操作して測定データ処理用プログラムDp2を起動させる。次いで、操作部23を操作して、測定作業を開始する測定対象についてのテンプレートデータDtを選択する。この際に、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、図3に示すように、テンプレートデータDtの内容(帳票:報告書)を表示部24に表示させる。
この場合、この帳票では、一例として、1つ目の測定モジュールが接続されている測定対象を示す「端子1」との文字列の右横に、測定値入力セルC1、および測定値入力セルC1に入力される測定値について規定された物理単位を示す「V」との文字が並んで表示され、2つ目の測定モジュールが接続されている測定対象を示す「端子2」との文字列の右横に、測定値入力セルC2、および測定値入力セルC2に入力される測定値について規定された物理単位を示す「V」との文字が並んで表示され、かつ「差分値」を示す「Difference」との文字列の右横に、演算結果表示セルCa、および演算結果表示セルCaに入力される測定値について規定された物理単位を示す「V」との文字が並んで表示される。
また、この帳票では、一例として、3つ目の測定モジュールが接続されている測定対象を示す「端子3」との文字列の右横に、測定値入力セルC3、および測定値入力セルC3に入力される測定値について規定された物理単位を示す「V」との文字が並んで表示され、4つ目の測定モジュールが接続されている測定対象を示す「端子4」との文字列の右横に、測定値入力セルC4、および測定値入力セルC4に入力される測定値について規定された物理単位を示す「V」との文字が並んで表示され、かつ「差分値」を示す「Difference」との文字列の右横に、演算結果表示セルCb、および演算結果表示セルCbに入力される測定値について規定された物理単位を示す「V」との文字が並んで表示される。
この場合、このテンプレートデータDtでは、測定値入力セルC1〜C4や演算結果表示セルCa,Cbに入力される測定値について規定された「V」との物理単位と組み合わされる補助単位(接頭辞)が存在せず、測定値入力セルC1〜C4や演算結果表示セルCa,Cbに「補助単位なし」との「第1の補助単位」が対応付けられている。なお、上記のテンプレートデータDtの例とは相違するが、測定値入力セルC1〜C4および演算結果表示セルCa,Cbのうちのいずれかに関し、一例として、「V」との物理単位と組み合わせて「m」、「k」、「M」などの補助単位(接頭辞)が対応付けられているときには、これらの補助単位が「第1の補助単位」に相当する。
続いて、測定装置1の操作部23を操作して測定処理を開始させる。この際には、一例として、「端子1」に接続されている測定モジュールによって「98.92V」の電圧値が測定され、「端子2」に接続されている測定モジュールによって「102.10V」の電圧値が測定され、「端子3」に接続されている測定モジュールによって「870.5mV」の電圧値が測定され、かつ「端子4」に接続されている測定モジュールによって「976.0mV」の電圧値が測定されて測定値D0が測定部11から処理部15に出力される。なお、上記の例は、「端子3」に接続されている測定モジュール、および「端子4」に接続されている測定モジュールにおいて、「V」単位での測定処理が実行されたものの、その測定値(電圧値)が小さいことに起因して、オートレンジ機能によって「mV」単位での測定処理が実行されたものとする。
また、処理部15は、測定部11から出力された測定値D0に基づき、各測定モジュール毎の測定結果を表示部14に表示させると共に(図示せず)、各測定モジュール毎の測定値を示すテキスト形式の測定結果データD1を生成して記憶部16に記憶させる。この際には、一例として「[98.92,,V][102.10,,V][870.5,m,V][976.0,m,V]」との文字列からなる測定結果データD1が生成される。さらに、処理部15は、測定結果データD1の生成が完了したときに、通信部12を介して携帯情報端末2(通信部21)に測定結果データD1を送信する。
なお、この測定結果データD1では、「[」と「]」との間に、各測定モジュール毎の測定結果における「測定値」、「補助単位」および「物理単位」を「,」で区切って記述する書式が採用されている。具体的には、上記の測定結果データD1の例では、「98.92」、「102.10」、「870.5」および「976.0」が「測定値を示す第1の文字列」に相当し、かつ「m」が「測定値の補助単位を示す第2の文字列」に相当すると共に、「V」が「測定値の物理単位を示す第3の文字列」となっている。また、「端子1」や「端子2」に接続されている測定モジュールによる測定結果を示した「[98.92,,V]」や「[102.10,,V]」との文字列における「,,」との記載(「,」および「,」の間に文字列が存在しない記載)は、「測定値の補助単位」が存在しないことを示している。
この場合、各測定モジュール毎の測定値を示す「第1の測定結果データ」としては、上記の例示にような書式に代えて、「[98.92][V][102.10][V][870.5][mV][976.0][mV]」のように、「測定値を示す第1の文字列」と、「測定値の補助単位を示す第2の文字列および測定値の物理単位を示す第3の文字列」とを分けて記述することもできる。また、「測定値の補助単位を示す第2の文字列および測定値の物理単位を示す第3の文字列」については、「[][V]」や「[m][V]」のように分けて記述することもできる。さらに、補助単位(接頭辞)が存在しないときに文字列を記載しない書式に代えて、「0」、「x」、「/」および「 」(スペース)などの予め規定した文字によって補助単位(接頭辞)が存在しないことを示す書式を採用することもできる。
一方、携帯情報端末2では、測定装置1から送信された測定結果データD1を通信部21が受信して処理部25に出力し、処理部25が測定結果データD1を記憶部26に記憶させる。次いで、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、「第1の処理」を開始して、測定結果データD1に基づき、「第1の文字列」および「第2の文字列」を特定する。なお、測定結果データD1がテキスト形式データで構成されている本例では、測定結果データD1内に記録されている文字列のうちのいずれの文字列が「第1の文字列」で、いずれの文字列が「第2の文字列」であるかを特定する処理が「第1の処理」に相当する。
次いで、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、「第5の処理」を開始する。具体的には、処理部25は、まず、テンプレートデータDtの各測定値入力セルC1〜C4に対応付けられている補助単位(「第1の補助単位」の一例)と、測定結果データD1に記録されている各測定値に対応付けられている補助単位(上記の「第1の処理」において特定した「第2の文字列」によって示されている補助単位:「第2の補助単位」の一例)とを比較する。
この際に、測定値入力セルC1〜C4には、前述したように、それぞれ「V」との物理単位と組み合わされて「補助単位なし」との「第1の補助単位」が対応付けられている。これに対して、上記の例の測定結果データD1では、測定値入力セルC1,C2に入力される測定値(1つ目の測定モジュールおよび2つ目の測定モジュールによって測定された電圧値)には、それぞれ「V」との物理単位と組み合わされて、補助単位を示す文字列を存在させないことで「補助単位なし」との「第2の補助単位」が対応付けられているものの、測定値入力セルC3,C4に入力される測定値(3つ目の測定モジュールおよび4つ目の測定モジュールによって測定された電圧値)には、オートレンジ機能によって測定レンジが変更されたことで、それぞれ「V」との物理単位と組み合わされて「m」との「第2の補助単位」が対応付けられている(「第2の補助単位が第1の補助単位とは相違するとき」の一例)。
したがって、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、測定値入力セルC3に入力される測定値を示す「870.5」との文字列(第1の文字列)を、その文字列に基づいて特定される測定値を「補助単位なし」との「第1の補助単位」に対応する指数表記とした測定値を示す「870.5E-03」との文字列(新たな第1の文字列)に変換すると共に、測定値入力セルC4に入力される測定値を示す「976.0」との文字列(第1の文字列)を、その文字列に基づいて特定される測定値を「補助単位なし」との「第1の補助単位」に対応する指数表記とした測定値を示す「976.0E-03」との文字列(新たな第1の文字列)に変換する。
また、処理部25は、測定データ処理用プログラムDp2の記述に従い、測定値入力セルC3に入力される測定値に対応付けられている「m」との文字列(第2の文字列)を消去することにより、測定値入力セルC3に入力される測定値に対応付けられた補助単位(第1の補助単位:この例では、補助単位なし)に変換すると共に、測定値入力セルC4に入力される測定値に対応付けられている「m」との文字列(第2の文字列)を消去することにより、測定値入力セルC4に入力される測定値に対応付けられた補助単位(第1の補助単位:この例では、補助単位なし)に変換する。
なお、補助単位を示す文字を存在させないことで、物理単位と組み合わされる補助単位が「補助単位なし」であることを示す本例の測定結果データD1の例では、「m」との文字を削除する処理(「mV」との文字列を「V」に変更する処理)が、「新たな第2の文字列に変換する処理」に相当する。また、前述したように「0」、「x」、「/」および「 」などの文字列によって「補助単位なし」を示すデータ構成を採用した場合には、「m」を「0」、「x」、「/」および「 」などに変更する処理が「新たな第2の文字列に変換する処理」に相当する。これにより、「第5の処理」が完了する。
次いで、上記のような文字列の変換処理が完了したときに、処理部25は、変換後の各文字列を測定結果データD1内の対応する文字列に上書きして新たな測定結果データD1を生成し、生成した測定結果データD1をする。これにより、「[98.92,,V][102.10,,V][870.5E-03,,V][976.0E-03,,V]」との文字列が記録された新たな測定結果データD1が記憶部26に記憶された状態となり、測定装置1から携帯情報端末2への測定結果の回収作業が完了する。
なお、テンプレートデータDtと測定結果データD1とで、対応付けられた補助単位が相違する測定値が存在した本例では、新たな測定結果データD1を生成する上記の処理が完了した時点において、後述するようにデータサーバ3において実施される処理と同様の処理が実行されて、図5に示すように、テンプレートデータDtの各測定値入力セルC1〜C4に対応する測定値が入力された帳票が携帯情報端末2の表示部24に表示されるが、これらの処理については、データサーバ3において実行される処理として後に詳細に説明する。
この場合、「測定データ処理装置」の一部を携帯情報端末2によって構成している本例の測定システム100では、他の使用者が使用する可能性があるテンプレートデータDtや、他の測定対象についての測定結果データD1が保存されているデータサーバ3とは離れた場所に測定装置1を設置している本例のような環境下においても、測定装置1を測定対象から取り外してデータサーバ3の設置場所に搬送することなく、測定装置1が設置されている場所(測定対象の場所)に携帯情報端末2を携行することで測定装置1から測定結果データD1を取得することができる。また、測定装置1から取得した測定結果データD1の内容を携帯情報端末2の表示部24に表示させることにより、例えば、測定装置1(測定部11)による測定処理にエラーが生じているときに、その場で測定処理を再実行させて有効な測定結果データD1を取得することができる。
続いて、携帯情報端末2を測定現場から持ち帰り、通信ネットワークNを介してデータサーバ3(通信部32)に接続する。次いで、携帯情報端末2の操作部23を操作して測定結果データD1をデータサーバ3に送信する。この際に、データサーバ3では、処理部35が、通信ネットワークNおよび通信部32を介して測定結果データD1を取得したときに(「第1の測定結果データを取得したとき」の一例)、携帯情報端末2から送信された測定結果データD1を記憶部36に記憶させると共に、測定結果データD1に記録されている各測定値を、テンプレートデータDtの各測定値入力セルC1〜C4に入力して測定結果データD2(「第2の測定結果データ」の一例)を生成する。
具体的には、処理部35は、測定データ処理用プログラムDp3の記述に従い、まず、「第1の処理」を開始して、測定結果データD1に基づき、「第1の文字列」および「第2の文字列」を特定する。次いで、処理部35は、「第3の処理」を開始する。この「第3の処理」では、測定結果データD1に記録されている上記の「第1の文字列」に基づいて特定される各測定値が小数を含んでいるか否かを判別する。この際に、「98.92」、「102.10」、「870.5E-03」および「976.0E-03」との文字列が「第1の文字列として測定結果データD1に記録されている本例では、各測定値が小数を含んでいるため、処理部35は、それらの文字列に基づいて特定される各測定値における小数点以下の桁数を特定する。
この際には、測定値入力セルC1に入力される測定値(測定装置1の測定部11における1つ目の測定モジュールによって測定された電圧値)、および測定値入力セルC2に入力される測定値(測定装置1の測定部11における2つ目の測定モジュールによって測定された電圧値)の2つについては、小数点以下の桁数が2桁であると特定され、測定値入力セルC3に入力される測定値(測定装置1の測定部11における3つ目の測定モジュールによって測定された電圧値)、および測定値入力セルC4に入力される測定値(測定装置1の測定部11における4つ目の測定モジュールによって測定された電圧値)の2つについては、小数点以下の桁数が1桁であると特定される。以上により、「第3の処理」が完了する。
次いで、処理部35は、測定結果データD1に記録されている上記の「第1の文字列」に基づいて特定される各測定値が指数表記されているか否かを判別する。この際には、測定値入力セルC3,C4に入力される測定値が、「E-03」との指数表記であると特定される。続いて、処理部35は、測定データ処理用プログラムDp3の記述に従い、「第4の処理」を開始する。この「第4の処理」では、処理部35は、各測定値における小数点以下の桁数、および各測定値が指数表記であるか否かに応じて、テンプレートデータDtにおける各測定値入力セルC1〜C4のセル書式を設定する。
具体的には、処理部35は、図4に示すように、入力される測定値が小数点以下2桁の通常の数値形式の値であると特定した測定値入力セルC1,C2については、「0.00」との数値形式で測定値を保持するように設定する。また、測定値入力セルC1,C2に入力される測定値の差分値が演算されて入力される演算結果表示セルCaについても、測定値入力セルC1,C2に設定したセル書式と同様に「0.00」との数値形式で測定値を保持するように設定する(「小数点以下の有効桁数」を「2桁」に設定する処理の一例)。
一方、入力される測定値が小数点以下1桁で「E-03」との指数表記の値であると特定した測定値入力セルC3,C4については、「0.0E-03」との数値形式で測定値を保持するように設定する。また、測定値入力セルC3,C4に入力される測定値の差分値が演算されて入力される演算結果表示セルCbについても、測定値入力セルC3,C4に設定したセル書式と同様に「0.0E-03」との数値形式で測定値を保持するように設定する(「小数点以下の有効桁数」を「1桁」に設定すると共に、「E-03」との指数表記の測定値を保持するように設定する処理の一例)。以上により、「第4の処理」が完了する。
次いで、処理部35は、測定データ処理用プログラムDp3の記述に従い、「第2の処理」を開始する。具体的には、処理部35は、図5に示すように、測定結果データD1に記録されている上記の各「第1の文字列」に基づき、テンプレートデータDtの測定値入力セルC1に「98.92」との測定値を入力し、測定値入力セルC2に「102.10」との測定値を入力し、かつ演算結果表示セルCaに「98.92」と「102.10」との差である「3.18」との値を入力すると共に、テンプレートデータDtの測定値入力セルC3に「870.5E-03」との測定値を入力し、測定値入力セルC4に「976.0E-03」との測定値を入力し、かつ演算結果表示セルCbに「870.5E-03」と「976.0E-03」との差である「105.5E-03」との値を入力する。
続いて、処理部35は、各測定値を入力したテンプレートデータDtを測定結果データD2として記憶部36に記憶させる。以上により、「第2の処理」が完了し、「第2の測定結果データ」の一例である測定結果データD2の生成が完了する。また、処理部35は、生成した測定結果データD2に基づき、図5に示す帳票を表示部34に表示させると共に、操作部33の操作によって帳票の出力を指示されたときに、印刷部31を制御して測定結果データD2を紙面に印刷させる。これにより、紙面による帳票の作成作業が完了する。なお、測定結果データD2に基づく帳票の表示や印刷については、通信ネットワークNに接続されている図示しないパーソナルコンピュータを用いてデータサーバ3(記憶部36)から測定結果データD2を読み出して実行することもでききる。
このように、このデータサーバ3では、測定値を示す「第1の文字列」が記録された測定結果データD1を取得し、その測定結果データD1に基づいて「第1の処理」において特定した「第1の文字列」によって示されている測定値が小数を含んでいるときに、測定結果データ用テンプレートのテンプレートデータDtにおける測定値入力セルC1〜C4に「第1の文字列」を入力して測定結果データD2を生成する「第2の処理」に先立ち、測定値における小数点以下の桁数を特定する「第3の処理」と、測定値入力セルC1〜C4のセル書式における小数点以下の有効桁数を「第3の処理」において特定した桁数に設定する「第4の処理」とを実行する。また、この測定データ処理用プログラムDp3では、上記のような処理を「測定データ処理装置の処理部」としてのデータサーバ3の処理部35に実行させる。
したがって、このデータサーバ3、測定システム100および測定データ処理用プログラムDp3によれば、測定結果データD1の内容を解析して、測定値入力セルC1〜C4に入力される測定値の小数点以下の有効桁数を特定して手動で設定する煩雑な作業を行うことなく、測定結果データD1に記録されている測定値における小数点以下の桁数に応じて、対応する測定値入力セルC1〜C4のセル書式における小数点以下の有効桁数が自動的に設定されるため、この種の装置(システム)の操作に不慣れな者が使用する場合であっても、小数位点以下の桁数が測定装置1から出力された実際の測定値と同じ桁数で保持される測定結果データD2を確実かつ容易に生成させることができる。これにより、測定結果データD2を表示または印刷した帳票を見た者に対して、その測定値の測定精度を正確かつ容易に認識させることができる。
また、この携帯情報端末2およびデータサーバ3では、測定値の少なくとも補助単位(本例では、補助単位および物理単位)を示す「第2の文字列」が「第1の文字列」に対応付けられて測定結果データD1に記録されているときに、携帯情報端末2の処理部25が、測定値入力セルC1〜C4に対応付けられている「第1の補助単位」と、「第1の処理」において特定した「第2の文字列」によって示されている「第2の補助単位」とを比較し、「第2の補助単位」が「第1の補助単位」とは相違するときに、「第1の文字列」を、「第1の文字列」に基づいて特定される測定値を「第1の補助単位」に対応する指数表記とした測定値に対応する新たな「第1の文字列」に変換し、かつ「第2の文字列」を、「第1の補助単位」を示す新たな「第2の文字列」に変換する「第5の処理」を「第2の処理」に先立って実行すると共に、データサーバ3の処理部35が、「第4の処理」において、「第1の補助単位」に対応する指数表記の測定値を保持するように測定値入力セルC1〜C4のセル書式を設定する。また、この測定データ処理用プログラムDp2,Dp3では、上記のような処理を「測定データ処理装置の処理部」としての携帯情報端末2の処理部25およびデータサーバ3の処理部35に実行させる。
したがって、この携帯情報端末2、データサーバ3、測定システム100および測定データ処理用プログラムDp2,Dp3によれば、各測定値入力セルC1〜C4に対応付けられた補助単位(すなわち、テンプレートデータDtの生成時に各測定対象毎に規定した補助単位)とは異なる補助単位の測定値が記録された測定結果データD1を取得した場合においても、各測定値入力セルC1〜C4に対応付けられた補助単位に対応する指数表記の測定値が自動的に生成されて入力された測定結果データD2を確実かつ容易に生成することができる。これにより、測定結果データD2を表示または印刷した帳票を見たときに、テンプレートデータDtの生成当初に想定した補助単位とは異なる補助単位で測定値が表示されて測定値の大きさを誤って認識する事態を好適に回避することができる。
さらに、この携帯情報端末2では、測定装置1から送信される測定結果データD1を受信可能な通信部21を備えている。また、この測定システム100では、上記の携帯情報端末2および測定装置1を備えて構成されている。したがって、この携帯情報端末2および測定システム100によれば、「測定装置」から測定結果データD1(第1の測定結果データ)を回収して「測定データ処理装置」に転送する外部装置を備えることなく、測定装置1から携帯情報端末2に測定結果データD1を直接送信させて、処理対象の測定結果データD1を取得することができる。
なお、「測定データ処理装置」および「測定システム」の構成や、「測定データ処理用プログラム」の処理内容については、上記の例に限定されない。例えば、測定値等が文字列で記録されたテキスト形式データの測定結果データD1を例示して説明したが、「第1の測定結果データ」は、テキスト形式データに限定されず、「第1の文字列」や「第2の文字列」を特定可能な符号が記録されたバイナリ形式データで構成することもできる。このような「第1の測定結果データ」を採用する場合には、上記の符号を文字列に置き換える処理が「第1の処理」に相当する。
また、テンプレートデータDtの測定値入力セルC1〜C4に対応付けられた「第1の補助単位」と、測定結果データD1に記録されている測定値に対応付けられた「第2補助単位」とが相違するときに、測定結果データD1内に記録されている「測定値を示す文字列」を「第1の補助単位」に対応する「指数表記の測定値を示す文字列」に変換する処理を実行する例について説明したが、このような処理に代えて、測定結果データD1内に記録されている「測定値を示す文字列」を「第1の補助単位」に対応する「整数および小数からなる測定値を示す文字列」に変換する処理を実行することもできる。
具体的には、「補助単位なし」との「第1の補助単位」が関連付けられている測定値入力セルC3に入力される測定値が「870.5mV」で、「補助単位なし」との「第1の補助単位」が関連付けられている測定値入力セルC4に入力される測定値が「976.0mV」であった上記の例において、「870.5」との「第1の文字列」を「0.8705」との「新たな第1の文字列」に変換し、かつ「976.0」との「第1の文字列」を「0.9760」との「新たな第1の文字列」に変換する処理を実行して新たな測定結果データD1を生成する構成・処理方法を採用することができる。このような構成・処理方法を採用した場合においても、「第2の処理」において、変換後の「第1の文字列」を測定値入力セルC3,C4に入力することにより、図6に示すように、テンプレートデータDtのC3,C4に対応付けられている「第1の補助単位」に対応する「0.8705」や「0.9760」との測定値を測定値入力セルC3,C4に入力して保持させることができるため、指数表記の測定値を入力して保持させる上記の構成・処理方法と同様の効果を奏することができる。
さらに、「第2の補助単位」と共に「物理単位」を示す「V」等の文字列を特定可能に記録した測定結果データD1を例示して説明したが、例えば、測定値が電圧値であることが予め規定されているときや、測定値が電流値であることが予め規定されているとき(すなわち、「物理単位」が異なる可能性がない環境下で使用するとき)に、「物理単位」を示す文字列を特定可能な情報を含ませずに「第1の測定結果データ」を構成することもできる。
また、携帯情報端末2およびデータサーバ3が相まって「測定データ処理装置」を構成する例について説明したが、測定システム100における携帯情報端末2において実行した処理、およびデータサーバ3において実行した処理を1台の「処理装置」において実行するように構成することもできる。この場合、1台の「処理装置」によって「測定データ処理装置」を構成する際に、据え置き型の「処理装置(デスクトップ型のパーソナルコンピュータやサーバーマシン等)」を採用する場合には、そのような「処理装置」の設置場所に可搬型の「測定装置」を携行して測定結果データD1を送信すればよい。また、可搬型の「処理装置(ノート型のパーソナルコンピュータやタブレット端末等)」を採用する場合には、「測定装置」の設置場所(測定場所)に「処理装置」を携行し、その現場において帳票を作成することができる。
さらに、「測定データ処理装置」を構成する携帯情報端末2に対して測定装置1から測定結果データD1を直接送信させる使用方法を例に挙げて説明したが、「測定データ処理装置」が取得する「第1の測定結果データ」は、「測定データ処理装置」とは異なる外部装置を経由して取得するデータであってもよい。加えて、「測定データ処理装置」においてデータ処理する「測定値」は、「電圧値」、「電流値」および「抵抗値」に限定されず、各種の物理量(電力量や位相などの電気的パラメータ、並びに温度、湿度、輝度(光度)、照度、歪み、雨量および流量等の各種パラメータ)を対象とすることができる。