JP6675129B2 - 流体中を移動する繊維の座屈条件導出方法及び破断条件の算出方法並びに繊維長分布予測方法 - Google Patents

流体中を移動する繊維の座屈条件導出方法及び破断条件の算出方法並びに繊維長分布予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体中を移動する繊維の座屈条件導出方法及び破断条件の算出方法並びに繊維長分布予測方法に関する。
繊維で強化された繊維強化プラスチックは、近年、さまざまな分野で利用されている。繊維強化プラスチックの強度は、繊維の分散、配向、長さ等、繊維のミクロな状態に依存するため、成形過程を経て出てくるプラスチック中の繊維の微視的状態を把握、制御することが重要となる。このような繊維の微視的状態を把握するため、高粘度流体中での繊維の分散、配向状態をシミュレーションで予測する試みが広く行われるようになってきている(非特許文献1、2参照)。一方、繊維長を予測するためには、流れの中での繊維破断過程を解析することが必要になるが、繊維破断を定量的に評価することは難しく、シミュレーションで繊維長を予測するまでには至っていない。
流れの中を移動する繊維状物体の配向および破断予測解析は、山本らにより試みられている(非特許文献3〜7参照)。山本らの解析では、繊維を複数の球粒子の結合体として表現し、流れの中で個々の球が受ける流体抵抗を合算することにより、繊維状物体が流れから受ける力を算出している。
また、フェルプス(Phelps)らは、収縮流中の細長い円柱に働く流体応力に対する近似解を用いることにより、収縮流の中で円柱状繊維が座屈する際の条件を導出した(非特許文献8、9参照)。さらに、導出された座屈条件式は、成形ソフトにも組み込まれている(非特許文献10参照)。
岡田有司,中野亮:成形加工,27,134(2015) 正木炭典,名嘉山祥也,梶原稔尚:成形加工,27,533(2015) Yamamoto, S. and T. Matsuoka: J. Chem. Phys., 98, 644(1993) Yamamoto, S. and T. Matsuoka: Polymer Eng. Sci., 35, 1022(1995) 山本智:豊田中央研究所R&Dレビュー,33,63(1998) 山本智,松岡孝明:成形加工,11,510(1999) 山本智:日本レオロジー学会誌,29,185(2001) Phelps, J. H.: Ph.D. Thesis, University of Illinois at Urbana-Champaign, IL 61801(2009) Phelps, J. H., A.I.A. El-Rahman, V. Kunc and C.L. Tucker III: Composites: Part A, 51, 11(2013) Nguyen, B.N., X. Jin, J. Wang, J. H. Phelps, C. L. Tucker III, V. Kunc, S.K. Bapanapalli and M.T. Smith: FY 2010 Quarterly Report, PNNL-19185, Pacific Northwest National Laboratory(2010)
ところで、山本らの解析では、繊維を複数の球粒子の結合体として表現し、個々の球粒子に働く流体抵抗を合算することにより、繊維状物体が流れから受ける力を算出している。しかしながら、流れの中で物体が受ける力は、一般に、物体を模擬した結合粒子を構成する個々の球粒子に働く流体抵抗の和として表すことはできない。たとえば、一様流中におかれた球粒子の結合体で表された物体を考えると、レイノルズ数の低いストークス領域では、個々の球に働く流体抵抗は粒子径に比例するのに対し、物体を構成する球粒子の数は粒子径の3乗に反比例するため、結合粒子全体に働く流体抵抗は粒子径の2乗に反比例することになる。とくに粒子径が0の極限では、結合粒子全体に働く流体抵抗は無限大になる。このような結合粒子を用いる方法では、流れの中での繊維の配向予測は行えるものの、繊維が流れから受ける力を求めることは難しく、繊維破断を予測することまではできないという問題があった。
また、フェルプスらの導出過程には、後述のように、理論的な側面でいくつかの疑問が残る。
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フェルプスらが対象とした収縮流中の円柱周りの流れ場を、より厳密な方法により算出し、その上で、得られた円柱周りの流体応力分布から導かれる座屈に関する固有値問題を解くことによって、収縮流中におかれた円柱に対する座屈条件を導出する。また、座屈条件を利用した破断条件の算出方法、および繊維長分布を予測するための方法についても示す。
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、流体中を移動する円柱状繊維が、繊維の長軸方向において収縮する方向への流れである収縮流中におかれたときに座屈する条件である座屈条件を導出する方法であって、円柱状繊維の縦横比r’に対して一意的に求まる無次元の流体応力分布に、円柱が存在している場所でのμk(μは流体粘度、kは収縮速度(繊維が存在する場所での長手方向の流速の勾配))を掛けることによって収縮流中の円柱表面に働く流体応力分布を得る工程と、
円柱表面での流体応力分布から導かれる座屈する閾値である最小固有値λを用いることにより、座屈条件を導出する工程と、
を含み、
前記座屈条件は、
Figure 0006675129
で表される(Eはヤング率、r’は円柱の縦横比)ことを特徴とする、座屈条件導出方法が提供される。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によれば、本発明の第1の観点にかかる前記座屈条件を用いて円柱状繊維が破断する条件である破断条件を算出する方法であって、前記座屈条件において、等号が成り立つときのμkの値をμkbuとする工程と、円柱状繊維が破断する際のμkの値をμkbr、μkbrのμkbuに対する比を閾値rbr=μkbr/μkbuとおく工程と、閾値rbrをフィッティングパラメータとみなして実験結果に合うように決定する、又は破断モデルを組み込んだ繊維破断構造解析によって決定する工程と、前記座屈条件においてμkをμkbr/rbr、不等号を等号で置き換えて破断する際のμkbrを求める工程と、を含み、
前記破断条件は、
Figure 0006675129
で表されることを特徴とする、破断条件算出方法が提供される。
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によれば、本発明の第2の観点にかかる前記破断条件を用いて円柱状繊維の長さの分布である繊維長分布を予測する方法であって、適宜設定した計測点に到達するまでのμkの履歴の中での最大値μkmaxを求める工程と、前記最大値μkmaxを前記破断条件のμkbrに代入することによって得られる円柱状繊維の縦横比rmaxを算出する工程と、を含み、円柱状繊維の直径dを用いて、それぞれd/rmaxおよびd/(2rmax)として破断前後の繊維長を求めて、繊維長分布を予測することを特徴とする、繊維長分布予測方法が提供される。
本発明によれば、フェルプスらが対象とした収縮流中の円柱周りの流れ場を、より厳密な方法により算出し、その上で、得られた円柱周りの流体応力分布から導かれる座屈に関する固有値問題を解くことによって、収縮流中におかれた円柱に対する座屈条件を導出することができる。これにより、流体中を移動する繊維の座屈条件導出方法及び破断条件の算出方法並びに繊維長分布予測方法を提供することができる。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
収縮流の中におかれたr’=1/50の円柱周りの流速分布を示す図である。軸対称およびz’=0面に対する面対称モデルを用い、CFDによって算出。左図が無次元の流速分布で、右図がz’方向速度成分コンター。円柱が存在しないときの収縮流(主流)を除いた主流からのずれの流速分布を表示する。 図1の流速分布から算出した円柱表面でのr’方向の無次元の速度勾配f(z’)=δv’/δr’のグラフ(実線)である。破線は、式(14)で表される速度勾配を無次元化したグラフを示す。 収縮流中の円柱に対する座屈解析で用いる記号の説明を示す図である。 数値計算によって求めた最小固有値λ=5.09に対応する固有関数δ(z’)の分布を示す図である。δの最大値が1、δ=0(z’=±1)となるように規格化してある。 上図の流速分布の中を、2連結粒子がクリアランスを通過する様子を解析した事例を示す図である。下図中の粒子の濃淡は、2連結粒子のそれぞれの粒子位置での流速から求まる連結方向の速度勾配(流れの収縮・伸長速度k)を表す。正の値が収縮流、負の値が伸長流に対応する。 フェルプスらが繊維長分布測定に用いた実験装置の概略を示す図である。 図6の実験装置の円板部分を対象とした流動解析結果を示す図であり、上段が流速分布で、下段が粘度分布を示す。 本繊維破断予測理論より求めた図6の装置内のA点での繊維長分布(実線)とフェルプスらの実験データ(棒線)との比較を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1)本発明の一実施形態について、図1〜図8を参照しながら説明する。以下の説明において、上記非特許文献1〜10のほか、以下の非特許文献11〜20を参照する。
巽友正:流体力学,培風館(1982) 吉澤微:流体力学,東京大学出版会(2001) Forgacs, O.L. and S.G. Mason: J. Colloid Interface Sci., 14, 457 (1959) Forgacs, O.L. and S.G. Mason: J. Colloid Interface Sci., 14, 473 (1959) Salinas, A. and J.F.T. Pittman: Polymer Eng. Sci. 21, 23 (1981) von Turkovich R. and L. Erwin: Polymer Eng. Sci. 23, 743 (1983) 中村喜代治:非ニュートン流体力学,コロナ社(1997) Dinh, S.M. and R.C. Armstrong: J. Rheology, 28, 207(1984) Jeffery, G.B.:Proc. R. Soc. London, Ser. A, 102, 161(1922) Advani, S.G. and C.L. Tucker III: J. Rheology, 31, 751(1987)
(2)対象とする流れ場
高粘度流体中を移動する繊維の周りの流れに対しては、一般的に、ストークス近似が成り立つ。また、繊維近傍では、粘度は近似的に一定とみなすことができる。このような条件下では、繊維周りの流れの支配方程式は線形になり、下記のように記述される(非特許文献11、12参照)。
Figure 0006675129
ここに、vは流速ベクトル、pは流体圧力、μは粘度である。なお、繊維とともに移動する座標系で考えるものとし、式(1)では時間微分項についても無視した。ここで、流れ場を、細長い繊維状物体の周りで、繊維中心xを中心に、以下の(式2)のようにテイラー展開する。ここに、下付き添え字i(i=1,2,3)、j(j=1,2,3)はベクトルの(x、y、z)成分を表す。流れの支配方程式(1)が線形であることから、流れ場の重ね合わせを行うことができ、流れ場をテイラー展開の各項ごとに分離して考えることが可能となる。
Figure 0006675129
まず、式(2)の右辺第1項は繊維の移動速度vで移動する一様流を表しており、繊維とともに移動する座標系で考えると無視できる。次に、右辺第2項に注目すると、第2項に含まれる9つの速度勾配テンソル成分の内、せん断変形を表す項は、xを中心とする回転流を表し、繊維とともに回る回転系で考えると、無視できる。残りの速度勾配テンソル成分は、細長い繊維の長軸方向の伸長もしくは収縮流に対応しており、この内の収縮流が、以前より指摘されているように、繊維破断を引き起こす要因と考えられる(非特許文献13〜16参照)。そこで、本実施形態でも、繊維の周りの流れ場から一様流と回転流成分を取り除いた収縮流を考え、その中におかれた繊維を模擬した細長い円柱に働く流体応力について考察する。
収縮(伸長)流は、一般に下記の流速分布によって表される(非特許文献17参照)。
Figure 0006675129
ここに、(v、v、v)は流速の(x、y、z)成分で、流れはz=±∞からz=0に向かって収縮するものとする。また、kはz方向の速度勾配で、収縮速度(k<0のときは伸長速度)に対応している。なお、収縮(z)方向に垂直な方向の速度成分(v、v)はパラメータm(0≦m≦1)に依存し、m=0のときは軸対称流、m=1のときは平面流れとなる。しかしながら、座屈を引き起こすのは円柱表面に働くz方向の流体応力で、(v、v)の影響は2次的と考えられるため、ここでは、mの違いによる(v、v)の違いは無視する。こうしたことから、次節「(3)収縮流中の円柱に働く流体応力分布」では、式(3)においてm=0としたときの軸対称収縮流(以下の(式4))の中におかれたz軸を中心軸とする細長い円柱の周りの流れを対象とする。なお、フェルプスらが行った定式化でも、同様の軸対称収縮流が仮定されている。
Figure 0006675129
(3)収縮流中の円柱に働く流体応力分布
式(4)で表される軸対称収縮流の中におかれた半径r、長さ2lの円柱の周りの流れを考える。ただし、円柱の中心軸はz軸で、中央がz=0とする。流れの支配方程式は式(1)、円柱表面および無限遠での境界条件は
Figure 0006675129
となる。なお、以下の式展開は、収縮流(k>0)、伸長流(k<0)のいずれの場合にも適用されるが、以降、繊維破断の直接の要因とされる収縮流(k>0)を前提に説明する。式(1)および境界条件(5)を以下により無次元化する。
Figure 0006675129
すると、以下の式(6)となる。
Figure 0006675129
式(6)に含まれるパラメータとしては、境界条件も含めて円柱の縦横比r’=r/lのみとなるため、式(6)を解いて得られる無次元の流れ場(流速と圧力)は、r’のみに依存することになる。
(3−1)収縮流中の円柱周りの流れに対する数値解
式(6)は、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)によって解くことができる。図1に、本件出願人が開発している商用の流体・粉体解析ソフトR−FLOWを用いて、式(6)を軸対称およびz’=0面に対する面対称条件の下で解いた結果(無次元の流速分布とz’方向速度成分分布)を示す。ただし、r’=1/50の場合となっている。
なお、式(6)がr’のみに依存することから、このようにして求まった無次元の流速分布(v’’、v’’)あるいは(v’、v’)は、r’が変わらない限り、不変となる。図1のように円柱周りの流速と圧力分布が得られると、円柱表面での流体応力分布の算出に必要な円柱表面での速度勾配と円柱両端での圧力分布が求まる。
図2は、円柱表面でのr’方向の無次元の速度勾配f(z’)=δv’/δr’をz’の関数としてプロットしたグラフである。関数f(z’)はr’が変わらない限り不変な関数となるため、同じr’に対しては、f(z’)は一度求めておくだけよい。同様に、円柱の両端面にかかる無次元の流体圧力p’および粘性応力を求めるための速度勾配についても、r’の関数として求まるため、面全体での中心に向かう無次元の流体応力が、無次元の圧力と速度勾配をr’≦r’の面内で積分することにより算出される。なお、無次元の圧力と速度勾配に対する積分は数値的に行う必要があるが、積分値についてもr’のみに依存することになるため、同じr’に対しては、積分値も一度求めておくだけでよい。
実際の流れの中で円柱側面にかかる粘性応力μδv/δrは、図2中の無次元の速度勾配に収縮速度kを掛けることによって有次元に変換した後、粘度を掛けて、以下の式(7)によって得られる。
Figure 0006675129
同様に、円柱の両端面にかかる流体応力についても、無次元の圧力と速度勾配にμkを掛けることにより算出することができる。
以上のことから、収縮流中の円柱表面に働く流体応力分布は、与えられた円柱の縦横比r’に対して一意的に求まる無次元の流体応力分布に、円柱が存在している場所でのμkを掛けることによって得られることになる。なお、図2に示したような円柱表面上の無次元の速度勾配、あるいは両端での圧力を求める作業は、与えられたr’の値に対しては一度行えばよい。
(3−2)両端近傍を除く円柱周りの流れに対する理論解
円柱が十分に細長い、すなわち縦横比が十分に小さい場合(r’=r/l≪1)、両端近傍を除くと、円柱周りの流れは両端の影響を受けなくなる。両端の影響が無視できる場合の円柱周りの軸対称流を求めるにあたって、支配方程式(1)をストークスの流れの関数φ(r、z)を用いて書き直すと、次のようになる。
Figure 0006675129
式(8)を解くにあたり、
Figure 0006675129
とおくと、f(r)に関して
Figure 0006675129
が得られる。上式を積分するとf(r)に対して次式が得られる。
Figure 0006675129
ここに、c、c、c、cは積分定数である。速度成分(v、v)は、式(8b)より、
Figure 0006675129
により得られる(r’=r/l)。積分定数c、c、c、cは(v、v)に対する境界条件(8c)から決定されるが、ストークス近似の下では、無限遠で対数関数的に増大する解が含まれることが知られている(ストークスのパラドックス)(非特許文献11、12参照)。そのため、無限遠での境界条件からはcのみを0とし、cについては円柱表面の境界条件から決定するものとする。こうして、積分定数が境界条件から
Figure 0006675129
として決まり、流速分布が下記のように求まる。
Figure 0006675129
式(13)で表される流速の内、右辺第1項の(kr/2、−kz)は円柱が存在しない場合の収縮流、すなわち主流に対応し、右辺第2項以下が主流からのずれを表している。式(13b)より、円柱表面での速度勾配は、以下の式(14)となる。
Figure 0006675129
図2に、r’=1/50の場合の式(14)で表される速度勾配を、無次元化した上で、破線でプロットしてある。図をみると、円柱の先端付近を除くと、速度勾配を式(14)で近似しても、ずれはそれ程大きくはなく、繊維形状を円柱で表すこと自体が近似であることを考えると、繊維形状がある程度細長い場合には、式(14)で近似してもよいと考えられる。
(4)収縮流中の円柱に働く流体応力に基づく座屈・破断解析
本節では、前節で求めた収縮流中の円柱表面に働く流体応力分布を用いることにより、収縮流中の円柱に対する座屈条件を導く。また、座屈・破断解析を行う方法についても述べる。
(4−1)座屈解析
円柱の両端に中心に向かう力が作用する場合の座屈条件は、オイラーによって初めて解析され、オイラー座屈として知られている。フェルプスら(非特許文献18参照)は、ディン(Dinh)ら(非特許文献16参照)が近似的に求めた収縮流中の円柱表面に働く流体応力を用いて、オイラー座屈の結果を適用することにより、収縮流中の円柱に対する座屈条件を導出している。しかしながら、ディンらは、円柱表面での速度勾配が円柱表面から遠く離れた場所での(円柱が存在しないときの)収縮流速に比例すると仮定し、その際の比例係数を“抵抗係数”としているが、抵抗係数についての理論的導出は行っておらず、不確定なパラメータとして残っている。そのため、フェルプスらがディンらの近似解に基づいて導出した座屈条件にも、この抵抗係数がそのまま残っており、結果的にフィッティングパラメータになってしまっている。なお、「(3−2)両端近傍を除く円柱周りの流れに対する理論解」で、円柱の両端の影響が無視できる場合の流速分布の導出を行ったが、実際にはこれはディンらの論文における抵抗係数の理論的導出に相当しており、ディンらの論文における“抵抗係数”は、式(14)の速度勾配と粘度の積として表される。したがって、ディンらの近似解の代わりに「(3−2)両端近傍を除く円柱周りの流れに対する理論解」で得られた解を用いることにより、不確定なパラメータを排除することができる。
フェルプスらが行った座屈条件の導出には、上記以外にもう一つ次のような問題がある。フェルプスらは、オイラー座屈問題をそのままの形で適用するために、ディンらの近似理論から求めた円柱中央部に働く流れによる圧縮力を、オイラー座屈問題での円柱の両端に働く内向きの力に置き換えることにより、座屈条件を導出しているが、そのような置き換えが許されることの根拠は示されていない。このようなことから、フェルプスらの結果の妥当性には疑問が残る。
そこで、本節では、ディンらの近似解の代わりに前節で得られた収縮流中の円柱表面での流体応力分布を用いて、収縮流中の円柱に対する座屈条件を導出する。その際、フェルプスらが行ったようなオイラー座屈解析の結果をそのまま転用するという方法ではなく、前節で求まった円柱表面での流体応力分布そのものを用いることによって導かれる固有値問題を解くことにより、座屈条件を導出する。
収縮流中におかれた円柱の座屈条件を求めるにあたり、図3に示すように、円柱が座屈する前の中心軸(z方向)に沿って長さdzの微小要素を取り出し、軸に垂直方向(x方向)の力のつり合いを考えると、次式が得られる。
Figure 0006675129
ここに、N、dN、T、dT、F、θ、θ、θ、dsの各変数の定義は、図3に記載されている通りで、Fは円柱表面に働くz方向の単位長さあたりの収縮流による力に相当する。ここで、x方向の変位をδとし、微小変形を仮定すると、
Figure 0006675129
と近似されるため、式(15)は
Figure 0006675129
となる。式(16)の両辺をdzで割り、さらに、軸(z)方向の力の釣り合いからdN≒−Fds≒−Fdzが成り立つことを用いると、式(16)は以下の式(17)となる。
Figure 0006675129
ここで、曲げモーメントM、ヤング率E、断面2次モーメントI(=πr /4)を導入の上、以下の式(18)の関係を用いる。
Figure 0006675129
すると、式(17)は以下の式(19)となる。
Figure 0006675129
なお、式(19)のNは、円柱内部の軸方向の力の釣り合いから、円柱の端面で受ける流体圧力と粘性応力の総和Pと側面で受ける粘性応力Fの関数として次のように表される。
Figure 0006675129
式(20)におけるPとvは、「(3)収縮流中の円柱に働く流体応力分布」で求めた流れ場を用いて算出される。
円柱が十分に細長く(r’≪1)、円柱表面での速度勾配が式(14)で近似できる場合には、円柱両端における圧力および粘性応力の影響は無視でき(P=0)、式(20)は次式(21)で表される。
Figure 0006675129
式(21)を式(19)に代入すると、式(22)が得られる。
Figure 0006675129
ここでさらに、独立変数をzからz’(=z/l)に変換すると、式(22)は以下の式(23)となる。
Figure 0006675129
式(23)に対する境界条件としては、円柱両端において自由端の条件、すなわち、曲げモーメントおよび円柱両端でのx方向のせん断力が0という条件が課せられる。この境界条件の内、曲げモーメントが0という条件は、式(18a)から、以下の式(24)となる。
Figure 0006675129
一方、x方向のせん断力は、一般的にはTとPの線形結合として表されるが、円柱が十分に細長い場合には、P=0とおいてよいため、Tに等しくなる。そのため、x方向のせん断力が0という境界条件はT=0と表され、式(18b)を用いると、以下の式(25)となる。
Figure 0006675129
微分方程式(23)は、境界条件(24)、(25)とともに、λを固有値とする固有値問題となっており、固有値と固有関数δ(z’)は、式(23)、(24)、(25)を数値的に解くことにより得られる。固有値の内、最小固有値をλとするとき、実際に数値計算によって求めた値は、λ=5.09となっている。
図4に、対応する固有関数δ(z’)の分布を示す。ただし、δの最大値が1、δ=0(z’=±1)となるように規格化してある。図4の固有関数分布を見ると、円柱中央で変位δが最も大きくなることから、最小固有値を超えるような流体応力が働いたときには、円柱中央部で2つに折れ曲がるように座屈することがわかる。
オイラーの座屈条件に相当する座屈条件は、式(23b)および最小固有値λを用いて、λ≧λとおくことにより、以下の式(26)あるいは(27)として得られる。
Figure 0006675129
フェルプスらがディンらの近似解を利用して得た座屈条件式とは異なり、式(27)には、抵抗係数のような不確実なパラメータは含まれない。
(4−2)繊維配向解析を利用した繊維座屈予測
前節で得られた収縮流中の円柱に対する座屈条件を、繊維配向解析の結果に適用することにより、流れの中のどの位置で円柱状繊維が座屈するかを予測できる。
繊維配向解析の手法には、楕円あるいは楕円球を用いる方法(非特許文献19、20参照)と結合粒子を用いる方法(非特許文献1、3〜7参照)の2通りの方法があり、いずれの方法を用いてもよい。
図5は、2結合粒子を用いて、繊維状粒子がどのようにクリアランスの中を通過するかを解析した事例である。クリアランスの中で、繊維状粒子は流れ方向に揃う様子が解析されている。なお、図5中の粒子の濃淡は、2結合粒子のそれぞれの粒子位置での流速から求まる連結方向の速度勾配、すなわち流れの収縮・伸長速度kを表しており、正の値が収縮流、負の値が伸長流に対応している。こうして繊維配向解析により求まった収縮速度kと粘度μに対して、繊維が十分に細長いとみなせる場合の座屈条件(27)を適用することにより、円柱状繊維がどの位置で座屈するかを予測することができる。
(4−3)破断解析
「(4−2)繊維配向解析を利用した繊維座屈予測」では、流れの中での繊維の座屈予測を行う方法を示したが、座屈した繊維が必ず破断するわけではなく、座屈は破断の必要条件でしかない。そのため、繊維長分布を予測するためには、繊維破断そのものを予測するあるいは破断条件と座屈条件の関連付けを行う必要がある。繊維が十分に細長い(r’≪1)とみなせる場合を考え、座屈条件(27)において、等号が成り立つときのμkの値をμkbuとすると、流体中の繊維が存在している場所でのμkがμkbuを越えた時点で繊維は座屈し始めることになる。その後、繊維がより大きなμkの場所に移動すると破断にいたると考えられるが、その破断する際のμkの値をμkbr、μkbrのμkbuに対する比をrbr=μkbr/μkbuとおく。なお、収縮流の中で繊維表面に働く流体応力μkに比例するため、rbr(>1)は繊維に働く流体応力が座屈開始時の何倍になると破断するかを表している。以下、破断に関する閾値μkbrあるいはrbrをどのようにして求めるかについて言及する。
破断条件あるいは閾値の算出方法としてまず考えられるのが、円柱状繊維を対象とした破断モデルを組み込んだ構造解析を行うことによって、破断する際の閾値を求める方法である。ただし、実際に破断構造解析を実施する際には、繊維破断モデルが必要になる。
破断条件あるいは閾値を求める上でのもう一つ考えられる方法は、rbrを定数で近似し、rbrをフィッティングパラメータとみなして実験結果に合うように決定する方法である。この方法では、繊維長分布に関する実験データが必要になるが、実際には、rbrは同じ繊維に対しては同じ値を取ると考えられるため、ある特定の実験データに対してrbrをフィッティングにより決定してしまえば、同じ繊維に対しては共通に用いることができる。閾値rbrが求まると、座屈条件(27)においてμkをμkbr/rbr、不等号を等号で置き換えた次式によって、μkbrを求めることができる。
Figure 0006675129
破断予測解析の例として、フェルプスらの繊維長分布測定実験(非特許文献8、9参照)を追随することにより、座屈条件を利用した本繊維破断予測理論によってどの程度繊維長分布を予測できるかを検証する。フェルプスらは、図6の装置中央の突起部の上端から直径180mm、厚さ3mmの円板領域内に、直径17μmの円柱状繊維を含有した液を流し込んだ上で、図中の円板内のA、B、Cの3か所(中心からそれぞれ15mm、45mm、75mmの位置)での繊維長分布を測定している。
なお、フェルプスらは、繊維長の測定に加えて、フェルプスらが提案している繊維破断予測理論を用いて得られた繊維長分布と実測データとの比較についても行っている。ただ、フェルプスらが行った解析では、装置中央の突起部を無視して、円板部のみを対象としている他、繊維長の流入条件として、装置内に流入時の繊維長分布ではなく、A点での繊維長分布実測データを流入条件として与えて、B点、C点での繊維長分布を解析により予測するということを行っている。
しかしながら、図6の装置では、円板内の外側にいくほど流速は遅くなることから、座屈を引き起こす収縮速度は円板中央部で最大となり、外側ほど弱くなる。そのため、座屈の結果として生じる繊維破断のほとんどは装置中央付近で起きていると考えられる。実際、フェルプスらが得た繊維長分布の実測データでは、A点、B点、C点でほぼ同様の繊維長分布になっている。このようなことから、フェルプスらが行ったA点での繊維長分布実測データを入力条件として与えて、B点、C点での繊維長分布を予測するという方法は、検証としてどれほどの意味を持つか疑問である。
そこで、本解析では、より上流の地点での繊維長分布を与え、A点での繊維長分布を予測することを行う。ただ、フェルプスらの文献には、装置中央の突起物に関する寸法の記載がないため、本解析でもフェルプスらが行った解析と同様、装置中央部の突起物を省略し、円板内部のみを対象とした解析を実施する。なお、流れ場の解析では軸対称性を仮定し、流体は円板中央部上面の半径5mm(具体的な寸法がわからないため適当に仮定)の領域から一定の速度で下向きに流入すると仮定した。流入流量、粘度モデル等、その他の条件、物性については、フェルプスらの文献値をそのまま用いた。
一方、繊維の投入については、流入面の下部領域に図5と同様の繊維を模擬した約5000本の結合粒子を発生し、その際の方向は乱数によって与えた。なお、フェルプスらの文献には、装置内流入時の繊維長分布データが掲載されていないため、本解析では、投入時の繊維長は適当に6mmと仮定した。ただし、フェルプスらが得たA点での実測データでは、大半の繊維は繊維長が6mmよりも短いことから、6mm程度の長い繊維は、A点に到達する前にほとんどが破断し、より短い繊維となっていると考えられる。したがって、流入時の繊維長については、ある程度長く設定しておけば、解析結果にはあまり依存しないものと考えられる。
このように、フェルプスらの繊維長分布実測結果を追随するにあたっては不明な点があり、厳密な再現はできないものの、検証に必要な詳細な繊維長分布測定データが掲載されている文献は見当たらないため、本解析ではフェルプスらの測定データを用いる。このようなことから、本解析では、本繊維破断予測理論の定量的精度の検証ではなく、本繊維破断モデルによって予測される繊維長分布が、概ね実験結果を再現し得るのか、あるいは全くできないのかを検証することを目的とする。
図7に、CFD解析で得られた円板中央付近での流速および粘度分布を示す。図8には、本繊維破断予測理論に基づいて得られたA点における繊維長分布を、フェルプスらの実測データとともにプロットしてある。ただし、rbrとしては多少の試行錯誤の結果、rbr=2を用いた。
図8の繊維長の具体的な計算方法としては、A点を通過した各結合粒子に対して、A点に到達するまでのμkの履歴の中での最大値μkmaxを求めておく。さらに、このμkmaxを式(28)中のμkbrに代入することによって得られるr’(円柱の縦横比)の値、rmaxを算出する。なお、繊維が座屈の結果破断する場合、図4から、繊維の中央で2分割される可能性が最も高いと考えると、破断前後の繊維長は、繊維の直径d(=17μm)を用いて、それぞれd/rmaxおよびd/(2rmax)として求まる。ただし、こうして求まった破断前の繊維長d/rmaxが装置内投入時の繊維長よりも大きい場合には、繊維は破断することなく、投入時の繊維長が維持される。
なお、本解析では、投入時の繊維長を比較的長めの6mmと仮定したため、ほとんどの繊維はA点を通過するまでに破断すると思われるが、実際の実験では、繊維が装置内に流入した時点で繊維長に分布があり、短い繊維も存在していると考えられるため、一部の繊維については、破断することなく、投入時の繊維長を維持したままA点を通過していることも考えられる。
図8をみると、繊維長分布は実測と本解析で違いが見られるものの、平均値を含めた分布は概ね捉えられていることがわかる。先に述べたように、本解析では、繊維投入時の繊維長分布として装置投入時の実測データではなく一定値を仮定しており、投入部の装置形状および投入位置も実装置とは異なっている。このような条件下であっても、繊維長分布が概ね再現できていることを考えると、本繊維破断モデルは、フェルプスらの実験装置内で起きている繊維破断現象の本質は捉えているものと考えられる。
(5)結言
収縮流の中におかれた細長い円柱状繊維表面に働く流体応力分布をCFD等によって簡便に求める方法を提案した。また、円柱の両端の影響が無視できる場合の理論解を導出し、得られた流体応力分布に基づいて、固有値問題を解くことにより、座屈条件を導出した。また、座屈条件を繊維配向解析の結果に適用することにより、流れの中で繊維が座屈する位置を予測する方法についても示した。さらに、座屈条件を利用した破断条件を算出することにより、流れの中での繊維破断を予測するための方法についても提案した。また、 フェルプスらの繊維長分布測定実験結果を追随することにより、本繊維破断予測理論が繊維長分布を予測する上で有効であることを示した。
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、フェルプスらが対象とした収縮流中の円柱周りの流れ場を、より厳密な方法により算出し、その上で、得られた円柱周りの流体応力分布から導かれる座屈に関する固有値問題を解くことによって、収縮流中におかれた円柱に対する座屈条件を導出することができる。これにより、流体中を移動する繊維の座屈条件導出方法及び破断条件の算出方法並びに繊維長分布予測方法を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (3)

  1. 流体中を移動する円柱状繊維が、繊維の長軸方向において収縮する方向への流れである収縮流中におかれたときに座屈する条件である座屈条件を導出する方法であって、
    円柱状繊維の縦横比r’に対して一意的に求まる無次元の流体応力分布に、円柱が存在している場所でのμk(μは流体粘度、kは収縮速度)を掛けることによって収縮流中の円柱表面に働く流体応力分布を得る工程と、
    円柱表面での流体応力分布から導かれる座屈する閾値である最小固有値λを用いることにより、座屈条件を導出する工程と、
    を含み、
    前記座屈条件は、
    Figure 0006675129
    で表される(Eはヤング率、r’は円柱の縦横比)ことを特徴とする、座屈条件導出方法。
  2. 請求項1に記載の前記座屈条件を用いて円柱状繊維が破断する条件である破断条件を算出する方法であって、
    前記座屈条件において、
    等号が成り立つときのμkの値をμkbuとする工程と、
    円柱状繊維が破断する際のμkの値をμkbr、μkbrのμkbuに対する比を閾値rbr=μkbr/μkbuとおく工程と、
    閾値rbrをフィッティングパラメータとみなして実験結果に合うように決定する、又は破断モデルを組み込んだ繊維破断構造解析によって決定する工程と、
    前記座屈条件においてμkをμkbr/rbr、不等号を等号で置き換えて破断する際のμkbrを求める工程と、
    を含み、
    前記破断条件は、
    Figure 0006675129
    で表されることを特徴とする、破断条件算出方法。
  3. 請求項2に記載の破断条件を用いて円柱状繊維の長さの分布である繊維長分布を予測する方法であって、
    適宜設定した計測点に到達するまでのμkの履歴の中での最大値μkmaxを求める工程と、
    前記最大値μkmaxを前記破断条件のμkbrに代入することによって得られる円柱状繊維の縦横比rmaxを算出する工程と、
    を含み、
    円柱状繊維の直径dを用いて、それぞれd/rmaxおよびd/(2rmax)として破断前後の繊維長を求めて、繊維長分布を予測することを特徴とする、繊維長分布予測方法。

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