JP6673941B2 - イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学のための染色品質評価方法およびシステム - Google Patents

イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学のための染色品質評価方法およびシステム Download PDF

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Description

[0000] 本願は、2016年4月27日に出願された米国仮出願第62/328,041号の出願日の権利を主張し、更に2015年5月26日に出願された米国仮特許出願第62/166,155号のの出願日の権利も主張する。これらの出願をここで引用したことにより、その開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
[0001] 免疫組織化学(IHC)とは、生物学的試料において、個々の抗原に対して特異的な抗体を使用して、タンパク質のような抗原を検出し、位置確認し(localize)、および/または定量化するプロセスを指す。IHCは、組織試料内においてどこに個々のタンパク質が位置するか正確に特定するという実質的な利点を提供する。また、これは組織自体を検査する有効な方法でもある。イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(ISH)とは、核酸を検出し、位置確認し、定量化するプロセスを指す。IHCおよびISHは双方共、組織(例えば、新鮮冷凍、ホルマリン固定、パラフィン埋め込み)および細胞学的な試料のような、種々の生物学的試料上で実行することができる。ターゲットの認識は、このターゲットが核酸か抗原かには関係なく、種々の標識(例えば、発色性標識、蛍光性標識、発光性標識、放射測定標識等)の使用によって検出することができる。
[0002] 臨床現場においてターゲットをロバストに検出、位置確認、および定量化するためには、認識イベントの増幅が望ましい。何故なら、少量の細胞マーカを信頼性高く検出する能力が、診断の目的のために増々重要になっているからである。例えば、1回の抗原検出に応答して、マーカの部位に数百または数千の標識分子を沈着させる(deposit)と、増幅によって認識イベントを検出する能力が高まる。増幅には、増大したバックグラウンド・シグナル(background signal)として現れる非特異的シグナルのような有害事象を伴うことが多い。増大したバックグラウンド・シグナルは、低いが臨床的に重要な表現と関連付けることができる微かなシグナルを曖昧にすることによって、臨床分析を妨害するおそれがある。
[0003] ISHにおいて、対象のターゲット配列に対する標識付けを制限する努力にも拘わらず、染色装置の一貫性のない動作、試薬の不安定および特異的結合活性または集成の喪失、不適切な染色プロトコル、およびスライドの汚染というような、種々の原因によって、検出試薬またはDNAプローブの異常な非特異的局在性(localization)が発生するおそれがある。同じ問題は、色原体、蛍光体、および/または量子ドットによって染色された試料にも当てはまるおそれがある。
[0004] 商用の試験管内診断ISHアッセイでは、高い反復度で対象の配列に対する高感度で特異的な染色を遂行するために、染色性能、例えば、染色の均一性、染色強度、またはバックグラウンド染色を実証しなければならない。この理由のために、ISHアッセイの容認可能な性能に影響をおよぼす種々の要因を定める明細(specifications)を作成し(develop)文書化する必要がある。
[0005] 現在のISH性能指定方法は、主に、多数のスライドに対する統計的測定を補助するために開発されたスケール(scale)上に記録された種々の要因の主観的な印象に基づく。このような主観的な採点は、一般に、明視野の目視または蛍光顕微鏡によるスライドの直接検査によって行われる。人間の感覚は専ら相対的であり、経験、視力、および個々のコンテキストにおいて使用される計量システムの理解が影響するために、使用されている主観的な採点方法を正式な標準に定めることはできない。
[0006] 現在の実務では、少なくとも3つの主観的測定、(i)染色局在性の強度(またはコントラスト)、(ii)カバレッジ(シグナルを発する潜在的に利用可能なハイブリダイゼーション部位の割合)、および(iii)バックグラウンド(レポーター(量子ドットおよび標識抗体(conjugated antibody))の付着またはDNAプローブ自体の付着による、シグナルの非特異的局在性)があり、ISHに対する総合的な染色品質評価を判定する際にこれらが重み付けされる。このため、スライド毎のばらつきを比較するのは困難であり、染色性能に対して具体的な明細を定めるのはほぼ不可能である。
[0007] したがって、本発明の目的は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学の分野において染色品質を評価する手段を提供すること、およびイン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学の染色品質を評価するための客観的な判断基準を確立する手段を提供することである。
[0008] 免疫組織化学(IHC)およびイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(ISH)は、診断の目的で特定の検体を検出し、位置確認し、定量化する目的を有する。分析される染色(stain)の品質は、種々の理由のために、常軌を逸するおそれがある。本発明は、染色の品質を評価し、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学の分野における応用のために、染色の品質を評価するための客観的判断基準を確立する方法およびシステムを提供する。
[0009] 本発明の実施形態は、検体強度画像を得るために組織標本のマルチスペクトル画像データを分離するステップであって、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含む、ステップと、検体強度画像に基づいてメトリックを計算するステップであって、メトリックが、検体強度画像における画素強度値の均一性、分布、および/または散布度(dispersion)である、ステップと、計算したメトリックを、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に関する所定のカットオフ値と比較することによって、スライドの染色品質を評価するステップであって、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、スライドの染色品質が受入可能であると評価され、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致しない場合、スライドの染色品質が受入不可能であると評価される、ステップとを含む。染色品質を評価するための客観的判断基準を確立するために、可能な一実施形態では、前述の方法およびシステムは、検体強度画像に基づいて計算したメトリックを、染色品質を定量化する既定の(pre-established)評定データと組み合わせることによって、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に対するカットオフ値を導き出すステップを含む。
[0010] 本発明の実施形態によれば、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学への適用のために染色品質を評価する方法を提供する。可能な一実施形態では、この方法は、組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して検体強度画像を得るステップであって、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含む、ステップと、検体強度画像に基づいてメトリックを計算するステップであって、メトリックが、検体強度画像における画素強度値の均一性、分布、および/または散布度である、ステップと、計算したメトリックを、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に関する所定のカットオフ値と比較することによって、スライドの染色品質を評価するステップとを含む。ここでは、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、スライドの染色品質が受入可能であると評価され、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致しない場合、スライドの染色品質が受入不可能であると評価される。
[0011] 本発明の一実施形態(an embodiment)によれば、第1ステップにおいて、マルチスペクトル画像データを分離する。一般に、この分離プロセスは、染色特異的チャネル(stain-specific channel)または検体特異的チャネル(analyte-specific channel)を抽出して、組織および染色の組み合わせの標準的なタイプに対して周知の基準スペクトルを使用して、個々の染色の局所的濃度を判定する。したがって、分離ステップによって、分析されるスライド内に同時に存在する異なるタイプの検体について、強度画像を導き出すことができる。更に他のステップにおいて、種々の計算メトリックを検体強度画像に適用する。これらのメトリックは、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に関連する。既におわかりであろうが、これら3つのメトリックは、スライドの染色品質を判定するのに適している。本発明によれば、3つのメトリック全てを、染色品質を評価するために適用することが好ましい。
[0012] 計算したメトリックを所定のカットオフ値と比較する。これらのカットオフ値は、手作業で決定されていてもよい。また、これらのカットオフ値は、自動化された方法で決定されていてもよく、これも本発明の主題である。計算したメトリック値が所定のカットオフ値と一致または超過した場合、スライドの染色品質は受入可能である。これは、スライドが診断作業に適していることを示す。
[0013] 本発明の一実施形態によれば、検体強度画像における画素強度値の均一性および分布のメトリックは、エントロピー計算によって導き出すことが好ましい。加えて、検体強度画像における画素強度値の散布度のメトリックは、平均-分散値の計算によって導き出すことが好ましい。これらの方法は、検体強度画像において発見される均一性、分布、および散布度に関して高精度の結果を得るのに非常に適していることが分かっている。
[0014] 好ましくは、エントロピーの計算は次のように実行する。第1ステップにおいて、検体強度画像の各々から、強度値の画像ヒストグラムを導き出す。第2ステップにおいて、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算する。この目的のために、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって、強度値を導き出すことができる。
[0015] 一実施形態によれば、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率は、導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計して、この導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、ビット単位の値を合計することによって、計算される。このようにして、エントロピー値を導き出すことができる。
[0016] エントロピー値の計算の他に、平均-分散比の値の計算は非常に重要である。何故なら、これは検体強度画像における画素強度値の散布度を判定するために使用できるからである。平均-分散比の値は、検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、導き出したヒストグラムから、測定強度モード値および測定強度分散値の比を計算することによって、計算される。
[0017] 以上で説明した方法は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学において応用することができる。染色は、量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、および色原体を含む(consist of)一群から選択することができる。
[0018] 本発明の一実施形態によれば、マルチスペクトル画像データは、スペクトル・キューブ(当業者に対しては、画像キューブまたはハイパースペクトル・キューブとも呼ぶ)から導き出すことができる。スペクトル・キューブは、2本の軸に沿って画像データ、そして第3軸において波長データを含む。したがって、スペクトル・キューブは、画像データを分離するプロセスに必要な全ての関連入力データを表す。
[0019] 分離を必要とする根底にある問題は、異なる染色が、重複する波長において、強度増大の原因になる可能性があるということである。したがって、分離は、一定の波長の強度が複数の染色によって高められている可能性があることを考慮して、別個の染色各々の強度を引き出すことを目的とする。本発明によれば、この問題は、好ましくは、当業者には知られている線形最小二乗アルゴリズムを適用することによって解決してもよい。
[0020] 本発明の一実施形態(one embodiment)では、検体強度画像は、エントロピー値および平均-分散比の値を計算する前に、篩にかけられる(thresholded)。この処理は、取得したデータのダイナミック・レンジの内一貫性のある部分にシグナルの分析を制限し、シグナルの局在性(localization)に関連がない画素値が含まれるのを回避する。
[0021] また、本発明の目的は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学への適用のために染色品質を評価するシステムによって達成される。このシステムは、先に説明したステップを実行するように構成される。可能な一実施形態では、このシステムは、画像データに対して関連する計算を実行するためにコンピュータまたはワークステーションを含む。好ましくは、このシステムは撮像装置を含む。好ましい実施形態によれば、この撮像装置はマルチスペクトル撮像システムである。
[0022] 可能な一実施形態では、本発明の目的は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学への適用のために、染色品質を評価する客観的判断基準を確立する方法によって達成される。この方法は、1組の基準スライドを選択し、基準スライド毎にマルチスペクトル画像データを得るステップであって、各基準スライドに染色品質を定量化する評定データが注釈として付けられる、ステップと、組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して検体強度画像を得るステップであって、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含む、ステップと、検体強度画像に基づいて、メトリックを計算するステップであって、メトリックが、検体強度画像における画素強度値の均一性、分布、および散布度である、ステップと、検体強度画像と、染色品質を定量化する評定データと、に基づいて、計算したメトリックを組み合わせることによって、染色品質を評価するために、画素強度の均一性、分布、および散布度に対してカットオフ値を導き出すステップとを含む。
[0023] これが含意するのは、この実施形態によれば、複数の基準スライドから画像データを得て、続いて、関連メトリックの分離および適用のステップを実行するということである。その場合、検体強度画像における画素強度値に均一性および分布のメトリックは、エントロピー計算によって導き出されることが好ましい。加えて、検体強度画像における画素強度値の散布度のメトリックは、平均-分散値の計算によって導き出されることが好ましい。これらの方法は、検体強度画像において発見される均一性、分布、および散布値に関する高精度の結果を得るのに非常に適していることが分かっている。
[0024] これらのメトリックを計算した後、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に関するカットオフ値が自動的に導き出される。これらのカットオフ値を設定できるようにするために、基準スライド毎に評定データを考慮に入れる。この評定データは、本方法の適用前に設定されている。例えば、各スライドが、病理医または他の医療専門家によって判定されるような、受入可能または受入不可能な染色品質を有するとして識別されていてもよい。
[0025] 好ましくは、カットオフ値は機械学習の方法によって設定される。特定的な一実施形態によれば、カットオフ値は、サポート・ベクトル・マシン、下判別分析、および/またはロジスティック回帰を適用することによって導き出される。
[0026] 他の実施形態では、本発明は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学のために、染色品質を評価する客観的判断基準を確立するシステムも含み、このシステムは、前述のような、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学のために、染色品質を評価する客観的判断基準を確立する方法を実行するように構成される。このシステムは、パーソナル・コンピュータおよび/またはワークステーションを含んでもよい。また、このシステムは、撮像装置も含んでも良い。これは好ましくはマルチスペクトル撮像システムである。
[0027] 本開示の一態様は、染色評価のためのコンピュータ・デバイスおよび方法である。一般に、コンピュータ・デバイスは、1つ以上の検出可能な染色または検体を内部に有する組織標本から画像データを受け、この画像データを分離して検体強度画像を得て、各検体強度画像が異なる画像チャネル(例えば、特定の染色または検体に対応する画像チャネル)に対応し、検体強度画像からメトリックを計算し、計算したメトリックを評価して、(i)染色性能に対する客観的判断基準(例えば、特定のアッセイまたは1組の染色に対するカットオフ値)を確立する、(ii)所定のカットオフ値を仮定して、スライドの染色品質を評価する、または(iii)染色不一致(staining inconsistencies)を性格付ける(qualify)(例えば、「根本原因分析」)ように構成される。ある実施形態では、画像データはマルチスペクトル画像データであり、組織標本は多重化アッセイにおいて染色されたものである。
[0028] 本開示の他の態様は、客観的染色評価のためのコンピュータ・デバイスであり、1つ以上のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む。少なくとも1つのメモリは、1つ以上のプロセッサによる実行のために非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納し、1つ以上のプロセッサに、(i)組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して検体強度画像を得させ、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含み(例えば、染色は、発色団、蛍光体、量子ドット等でもよく、組織はIHCおよび/またはISHアッセイにおいて染色されていてもよい)、(ii)検体強度画像に基づいてメトリックを計算させ、このメトリックがエントロピー値および平均-分散比の値であり、(iii)計算したメトリックを所定のカットオフ値(例えば、所定のエントロピー・カットオフ値、所定の平均-分散比カットオフ値等)と比較することによってスライドの染色品質を評価させ、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、スライドの染色品質が受入可能であると評価され、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致しない場合、スライドの染色品質が受入不可能であると評価される(ここで、「受入可能」および「受入不可能」という用語は、本明細書において定義される通りである)。ある実施形態では、所定のカットオフ値は、特定のアッセイあるいは特定の検出可能な染色または検体に特異的である。実施形態では、染色品質が受入不可能であると判定された場合、あらゆる染色不一致の根本原因を判定するために命令が与えられる(例えば、根本原因がスキャニングにおける欠陥によるものであったのか、または染色における欠陥によるものであったのか判定する)。ある実施形態では、染色品質は、染色の均一性の評価である。ある実施形態では、染色品質は、異常バックグラウンド染色の評価である。ある実施形態では、染色品質は、染色の均一性の評価、および異常バックグラウンド染色の量の評価である。
[0029] ある実施形態では、エントロピー値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される。ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムは、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される。ある実施形態では、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率が、(i)導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計し、導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、(ii)ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、(iii)画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、(iv)ビット単位の値を合計することによって、計算される。
[0030] ある実施形態では、平均-分散比の値は、(i)検体強度画像の各々から画素強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)導き出したヒストグラムから測定画素強度モード値および測定画素強度分散値の比を計算することによって、導き出される。ある実施形態では、画素強度モード値は、特定のヒストグラムにおいて最も頻繁に現れる画素強度値を表す。ある実施形態では、画素強度分散値(pixel intensity variance value)は、特定の画素強度がヒストグラムにおいてどれくらい離間されているかを表す値である。
[0031] ある実施形態では、1つ異常の検出可能な検体は、 量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、および色原体を含む(consist of)一群から選択される。ある実施形態では、組織試料は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・アッセイ(FISH)において蛍光において染色され、ある実施形態では、組織試料は、1つ以上の量子ドットによってFISHアッセイにおいて染色される。ある実施形態では、組織試料は、染色体切断点を検出するために、FISHアッセイにおいて染色される。ある実施形態では、線形最小二乗アルゴリズムを適用することによって、マルチスペクトル画像データが分離される。ある実施形態では、メトリック計算の前に、検体強度画像が篩にかけられる。
[0032] ある実施形態では、マルチスペクトル画像データは、染色された組織標本をスキャニングした画像、例えば、スライド上に装着された標本を含む。ある実施形態では、組織試料のスペクトル画像が様々な軸位置において取り込まれる。ある実施形態では、スキャニングした画像をスペクトル・キューブに組み込む(当業者に対しては、画像キューブまたはハイパースペクトル・キューブとも呼ぶ)。ある実施形態では、組織試料は、その内部におけるバイオマーカの検出のために、多重化IHCまたはISHアッセイにおいて染色されたものである。
[0033] 本開示の他の形態は、客観的染色評価のためのコンピュータ・デバイスであって、1つ以上のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含み、少なくとも1つのメモリが、1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納し、1つ以上のプロセッサに、組織標本のマルチスペクトル画像を分離して検体強度画像を得させ、検体強度画像に基づいてメトリックを計算させ、第1メトリックが、検体強度画像における画素強度値の均一性および分布の数値記述子であり、第2メトリックが、検体強度画像における画素強度値の散布度の数値記述子であり、画素強度値が各検体強度画像における検出可能な染色からのシグナルに対応し、計算したメトリックを所定のカットオフ値と比較することによってスライドの染色品質を評価させ、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、スライドの染色品質が受入可能であると評価され、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致しない場合、スライドの染色品質が受入不可能であると評価される。実施形態において、染色品質が受入不可能であると判定された場合、あらゆる染色不一致の根本原因を判定するために命令が与えられる(例えば、根本原因がスキャニングにおける欠陥によるものであったのか、または染色における欠陥によるものであったのか判定する)。ある実施形態では、受入不可能と見なされる画像は、再度スキャニングされ、染色品質が再度評価される。ある実施形態では、染色品質は、染色の均一性の評価である。ある実施形態では、染色品質は、異常バックグラウンド染色の評価である。ある実施形態では、染色品質は、染色の均一性の評価、および異常バックグラウンド染色の量の評価である。
[0034] ある実施形態では、エントロピー値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される。ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムは、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される。ある実施形態では、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率は、(i)導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計し、当該導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、(ii)ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、(iii)画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、(iv)ビット単位の値を合計することによって、計算される。
[0035] ある実施形態では、平均-分散比の値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)導き出したヒストグラムから測定画素強度モード値および測定画素強度分散値の比を計算することによって導き出される。ある実施形態では、1つ以上の検出可能な検体は、量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、および色原体を含む(consist of)一群から選択される。ある実施形態では、所定のカットオフ値は非一時的メモリに格納される。ある実施形態では、異なるアッセイおよび/または異なる検出可能な検体に対する所定のカットオフ値を、データベースが格納する。ある実施形態では、検出対象検体は、1つ以上の量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、または発色性染料(chromogenic stains)、あるいはその任意の組み合わせを含む。
[0036] 本開示の他の形態は、客観的染色評価のためのコンピュータ・デバイスであって、1つ以上のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含み、少なくとも1つのメモリが、1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納し、1つ以上のプロセッサに、免疫組織化学アッセイまたはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、特定のバイオマーカの存在を求めて染色された組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、検体強度画像を得させ、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含み、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、検体強度画像の各々についてエントロピー値を計算させ、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)強度ヒストグラムから測定強度モード値および測定強度分散値の比を計算することによって、検体強度画像の各々について平均-分散比を計算させ、計算したエントロピー値および平均-分散比の値を、所定のエントロピー・カットオフ値および平均-分散比カットオフ値と比較することによって、染色の均一性および/または異常バックグラウンド染色の存在を評価させ、計算したエントロピー値および平均-分散比の値が所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、染色の均一性および/または異常バックグラウンド染色の存在が、受入可能であると評価され、計算したエントロピー値および平均-分散比の値が所定のカットオフ値と一致しない場合に染色の均一性および/または異常バックグラウンド染色の存在が、受入不可能であると評価される。
[0037] 本開示の他の形態は、撮像装置(例えば、マルチスペクトル撮像システム)と、本明細書において説明したような、染色評価のためのコンピュータ・デバイスとを含むシステム(例えば、アナライザ)である。
[0038] 本開示の他の形態は、染色評価のコンピュータ実装方法である。この方法は、マルチスペクトル画像データを分離して検体強度画像を得るステップであって、検体強度画像が、各々、特定の染色からのシグナルに対応する1つの画像チャネルを含む、ステップと、検体強度画像の各々について、エントロピー値を計算するステップと、検体強度画像の各々について、平均-分散比を計算するステップと、計算したエントロピー値および平均-分散比の値を所定のエントロピー・カットオフ値および平均-分散比カットオフ値と比較することによって、スライドの染色品質を評価するステップであって、計算したエントロピー値および平均-分散比の値が所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、染色品質が受入可能であると評価され、計算したエントロピー値および平均-分散比の値が所定のカットオフ値と一致しない場合、染色品質が、受入不可能であると評価される、ステップとを含む。
[0039] ある実施形態では、エントロピー値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される。ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムは、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される。ある実施形態では、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率は、(i)導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計し、導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、(ii)ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、(iii)画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、(iv)ビット単位の値を合計することによって、計算される。
[0040] ある実施形態では、平均-分散比の値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)導き出したヒストグラムから測定画素強度モード値および測定画素強度分散値の比を計算することによって、導き出される。ある実施形態では、1つ以上の検出可能な検体は、量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、および色原体を含む(consist of)一群から選択される。
[0041] 本開示の他の形態は、染色評価のためのコンピュータ・デバイスであって、1つ以上のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含み、少なくとも1つのメモリが、1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納し、1つ以上のプロセッサに、(i)1つ以上の検出可能な染色検体を有する組織標本のマルチスペクトル画像データ(例えば、スキャニングした画像)を得るために画像処理モジュールを実行させ、(ii)マルチスペクトル画像を検体強度画像に分離するために分離モジュールを実行させ、(ii)検体強度画像に基づいてメトリックを導き出すために、メトリック計算モジュールを実行させ、(iii)計算したメトリックを所定のカットオフ値と比較することによって染色品質を評価するために評価モジュールを実行させ、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致するかまたはこれを超過する場合、染色品質が受入可能であると評価され、計算したメトリックが所定のカットオフ値と一致しない場合、染色品質が受入不可能であると評価される。
[0042] ある実施形態では、エントロピー値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される。ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムは、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される。ある実施形態では、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率は、(i)導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計し、当該導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、(ii)ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、(iii)画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、(iv)ビット単位の値を合計することによって、計算される。
[0043] ある実施形態では、平均-分散比の値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)導き出したヒストグラムから測定画素強度モード値および測定画素強度分散値の比を計算することによって、導き出される。
[0044] 本開示の他の態様は、染色評価に対する客観的判断基準を確立するためのコンピュータ・デバイスであって、1つ以上のプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含み、少なくとも1つのメモリが、1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納し、1つ以上のプロセッサに、(i)免疫組織化学アッセイまたはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・アッセイにおいて、特定のバイオマーカの存在を求めて染色された組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、検体強度画像を得させ、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含み、マルチスペクトル画像データが、受入可能または受入不可能であると識別された複数の基準スライドに由来し(例えば、病理医または他の医療専門家によって判定されるような、受入可能または受入不可能な染色品質を有するとして識別されている既知の基準スライド)、(ii) 得られた検体強度画像の各々に基づいて、エントロピー値および平均-分散比の値を計算させ(例えば、受入可能な染色品質を有するスライドおよび受入不可能な染色品質を有するスライドに対するエントロピーおよび平均-分散比を導き出す)、(iii)計算したエントロピー値および測定強度分散比の値に基づいて、染色品質評価に対するカットオフ値(例えば、後続の染色評価プロセスにおいて使用することができるカットオフ値)を導き出させ、染色品質評価に対するカットオフ値が、免疫組織化学アッセイおよび/またはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・アッセイにおいて使用された染色に対応する。
[0045] ある実施形態では、エントロピー値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される。ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムは、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される。ある実施形態では、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率は、(i)導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計し、当該導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、(ii)ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、(iii)画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、(iv)ビット単位の値を合計することによって、計算される。
[0046] ある実施形態では、平均-分散比の値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)導き出したヒストグラムから測定画素強度モード値および測定画素強度分散値の比を計算することによって、導き出される。ある実施形態では、1つ以上の検出可能な検体は、量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、および色原体を含む(consist of)一群から選択される。ある実施形態では、所定のカットオフ値は非一時的メモリに格納される。ある実施形態では、検出対象検体は、1つ以上の量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、または発色性染料、あるいはその任意の組み合わせを含む。ある実施形態では、カットオフ値はサポート・ベクトル・マシンによって導き出される。サポート・ベクトル・マシンとは、パターン認識および機械学習方法である。これは所望のカットオフ値の導出に適している。しかしながら、カットオフ値を導き出すためには、任意の他の適した機械学習方法も同様に適用することができる。
[0047] 本開示の他の態様は、染色評価に対する客観的判断基準を確立するためのコンピュータ実装方法である。この方法は、複数の基準スライドからの組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、一連の検体強度画像を得るステップであって、各検体強度画像が、1つの染色からのシグナルを含み、基準スライドが、各々、受入可能または受入不可能であると識別される、ステップと、得られた検体強度画像の各々に基づいて、エントロピー値および平均-分散比の値を計算するステップと、計算したエントロピー値および平均-分散比の値に基づいて、染色品質評価に対するカットオフ値を導き出すステップであって、染色品質評価に対するカットオフ値が、免疫組織化学アッセイおよび/またはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・アッセイにおいて使用された染色に対応する、ステップと、を含む。
[0048] ある実施形態では、エントロピー値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される。ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムは、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される。ある実施形態では、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率は、(i)導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計し、当該導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、(ii)ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、ヒストグラムにおける画素の総数で除算して、画素が特定のビン内に属する確率を求め、(iii)画素が特定のビンに属する各確率に、確率の2を基底とする対数を乗算してビット単位の値を求め、(iv)ビット単位の値を合計することによって、計算される。ある実施形態では、平均-分散比の値は、(i)検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)導き出したヒストグラムから測定画素強度モード値および測定画素強度分散値の比を計算することによって、導き出される。
[0049] 本明細書において説明するように、本発明は染色品質を評価するための改良されたシステムおよび方法を提供する。実際には、本発明はメトリックを計算するプロセスを提供する。メトリックは、染色品質評価に対する客観的判断基準の形成(development)のための決定要因として役割を果たし、更に(b)計算したメトリックを、検出対象検体に対する所定のカットオフ値と比較することによって、特定のスライドが染色性能標準を満たすか否か客観的に判定する手段として役割を果たす。ここに開示する方法は、病理医および主観的判断基準のみに頼るものによって使用される技術的現状の技法と比較して優れた評価方法を念頭に置く。ここに開示する方法は、病理医の主観的解釈に頼らず、特定のアッセイ、組織試料、検出可能な検体、および/または処理方法に特異的に形成された(develop)客観的判断基準の使用により、一貫性があり反復可能な評価を行うことを可能とし、この評価は反復可能であり誤りを生ずるおそれが少ない。更に、本明細書において開示する方法は、(1)信号強度の空間分布を反映する記述的統計に関して染色局在性の報告を可能にし、(2)異常なバックグラウンド染色またはその他のアーチファクト(例えば、斑点)の指示を与え、および/または(3)染色分布および均一性間の差を区別する。本開示は、ISHおよびFISHアッセイに対する染色品質を評価する方法を可能とし、更に受入可能な染色分布に対する仕様の識別も可能にする。
産業上の利用可能性
[0050] 本開示は、診断の分野において産業上の利用可能性を有する。
図1は、開示する技術の実施形態にしたがって、標本を分析するコンピュータ・ベース・システムを示す。 図2Aは、本開示のある種の実施形態による標本分析システムを示す。 図2Bは、コンピュータ・ベース・システムおよび方法内において使用されるモジュールの全体像を表すフローチャートを示す。 図3Aは、2組のスライドの受入可能な染色と受入不可能な染色との間の差を示す。 図3Bは、2組のスライドの受入可能な染色と受入不可能な染色との間の差を示す。 図4Aは、画像処理のステップを図示するフローチャートを示す。 図4Bは、様々なz位置からスペクトル・キューブ(spectral cube)へのデータの組み込みを表す図を示す。 図4Cは、閾値設定(thresholding)の例を示す。 図4Dは、スペクトル・キューブの生成および投影のステップを表すフローチャートを示す。 図5Aは、エントロピー・メトリックおよび平均分散比メトリックを計算するステップを表すフローチャートを示す。 図5Bは、任意の特定のビンにおける強度ヒストグラムおよび画素数の例を示す。 図5Cは、ヒストグラムが導かれた検体強度画像における画素の総数を得るための、ヒストグラムの各ビンにおける全画素の総和を示す。 図5Dは、個々のビンにおける画素数を、検体強度画像における画素の総数で除算するステップを示す。 図6Aは、受入可能な染色品質を有するスライドのヒストグラムを示す。 図6Bは、受入不可能な染色品質を有するスライドのヒストグラムを示す。 図7は、カットオフ値を決定するステップを表すフローチャートを示す。 図8は、受入可能および受入不可能なデータ点間において決定されたカットオフを示す。 図9Aは、染色不一致の根本原因を判定するステップを表すフローチャートを示す。 図9Bは、染色不一致の根本原因を判定するステップを表すフローチャートを示す。 図10は、ERG5’3’に標識付けされた4つのスライドFISHについての画像エントロピーの比較を示す。 図11は、ERG5’3’に標識付けされた4つのスライドFISHについての画像平均分散比の比較を示す。 図12は、量子ドット655(ERG3’)および量子ドット565(ERG5’)によって標識付けされたスライドについてのエントロピー対平均分散比の散布図を示す。 図13は、組織コア上におけるFISH染色品質の評価のための取得計画を示す。 図14は、均一性、分散、および散布度のメトリックを別個に計算する本発明の実施形態を表すフローチャートを示す。
[0072] 総じて、本開示は、客観的に染色品質を評価する、または組織標本の染色品質を評価するための客観的判断基準を形成する(develop)ためのコンピュータ・デバイスおよび方法に関する。本明細書において説明するデバイスおよび方法は、病理医および熟練の医療専門家によって現在利用されている主観的技法に対して相対的に優れた結果をもたらす。
[0073] 定義
[0074] 本明細書において使用する場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その1つ(the)」という単数形には、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象が包含される。同様に、「または」という語には、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り「および」を包含するものとする。また、「含む」という用語は、「AまたはBを含む」がA、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包含的に定義される。
[0075] 「備える」(comprising)および「含む」(including)、「有する」(having)等の用語は、相互交換可能に使用され、同じ意味を有するものとする。同様に、「備える」(comprises)、「含む」(includes)、「有する」(has)等も相互交換可能に使用され、同じ意味を有するものとする。具体的には、これらの用語の各々は、「備える」(comprising)の一般的な米国特許法の定義と一貫して定められ、したがって「少なくとも以下のこと」を意味する開いた用語であると解釈され、更に追加の特徴、制限、態様等を除外しないように解釈されるものとする。つまり、例えば、「コンポーネントa、bおよびcを有するデバイス」とは、そのデバイスが少なくともコンポーネントa、bおよびcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、bおよびcを伴う方法」という句は、この方法が少なくともステップa、bおよびcを含むことを意味する。更に、ステップおよびプロセスが本明細書において特定の順序で概要が述べられることもあるが、ステップおよびプロセスの順序付けは異なっても良いことは当業者には認められよう。
[0076] 本明細書において使用する場合、「生物学的試料」という用語は、任意の生物学的組織から得られる、任意の生物学的組織によって排泄される、または分泌される任意の個体または流体試料とすることができる。生物学的組織とは、限定ではなく、とりわけ、バクテリア、酵母菌、原虫、およびアメーバ等の単細胞生物、多細胞生物(植物又は動物等であり、健康であるか又は見掛け上健康であるヒトの被験者あるいは癌などのように診断又は検査を行うべき状態又は病気の影響を受けているヒトの患者からの試料も含まれる)を含む。例えば、生物学的試料は、例えば、血液、血漿、漿液、尿、胆汁、腹水、唾液、脳脊髄液、房水または硝子体液、あるいは任意の身体分泌物、濾出液、浸出液(例えば、膿瘍あるいは感染または炎症の任意の他の部位から得られた流体)、あるいは関節(例えば、正常な関節または疾病に冒された関節)から得られる液体から得られる生物学的体液とすることができる。また、生物学的試料は、任意の臓器または組織(腫瘍生検のような生検または検死試料を含む)から得られた試料とすることができ、あるいは細胞(初代細胞か培養細胞かは問わない)、あるいは任意の細胞、組織、または臓器によって条件付けられた培養基を含むことができる。ある例では、生物学的試料は細胞核抽出物である。ある種の例では、試料とは、開示される細胞ペレット断片試料(cell pellet section sample)の内の1つのような、品質対照試料である。他の例では、試料は検査試料である。試料は、当業者によって、当技術分野において周知の任意の方法を使用して準備することができる。試料は、定期検診の被験者から得ることができ、あるいは遺伝的異常、感染、または腫瘍形成のような障害を有することが疑われる被験者から得ることができる。また、開示する方法について説明する実施形態は、遺伝的異常、疾病、変調(disorder)等を有さない試料、「正常」試料と呼ばれるものにも適用することができる。試料は、1つ以上の検出プローブによって特異的に結合することができる複数のターゲットを含むことができる。
[0077] 本明細書において使用する場合、「発色団」という用語は、分子またはその色に関与する分子の部分を指す。色は、分子が可視光のある波長を吸収し、他の波長を透過または反射するときに発生する。可視スペクトルの範囲に該当する2つの異なる分子軌道間でエネルギ差を有する分子は、可視光を吸収し、したがって、発色団として特徴付けられることが相応しいと言える。発色団に入射した可視光は、吸収され、電子を基底状態分子軌道から励起状態分子軌道に励起させることができる。
[0078] 本明細書において使用する場合、「多重化する」、「多重化された」、または「多重化している」という用語は、試料において、同時に、実質的に同時に、または順次複数のターゲットを検出することである。多重化は、複数の異なる核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、miRNA)およびポリペプチド(例えば、タンパク質)を、個々にならびに任意のおよび全ての組み合わせの双方において、同定および/または定量化することを含むことができる。
[0079] 本明細書において使用する場合、「スペクトル曲線」という用語は、三次元に沿って整列されたデータを指す。これらの次元の内2つは、画像視野の「x」および「y」座標であり、三番目の次元は波長である。
[0080] 本明細書において使用する場合、「ターゲット」という用語は、存在、位置、および/または濃度を判定するまたは判定することができる任意の分子を指す。ターゲット分子の例には、タンパク質、核酸配列、およびタンパク質に共有結合されたハプテンのような、ハプテンが含まれる。ターゲット分子は、通例、特異的な結合分子および検出可能な標識の1つ以上の複合体(conjugate)を使用して検出される。
[0081] 「分離画像」(unmixed image)とは、本明細書において使用する場合、マルチチャネル画像の1つのチャネルについて得られる中間値またはスカラー画像を含む。マルチチャネル画像を分離することによって、チャネル毎に1つの分離画像が得られる。
[0082] 全体像
[0083] 本開示は、検体強度画像(特定の検出可能な検体または染色に対応する純粋な単一チャネル画像)からメトリックを導くために開発されたコンピュータ・デバイスおよびコンピュータ実装方法を対象とする。導かれたメトリックは、(i)染色評価のための客観的判断基準として役割を果たすカットオフ値を導くため(当技術分野において現在使用されている主観的判断基準ではなく)、(ii)導かれたメトリックを所定のカットオフ値と比較することによって特定のスライドの染色品質を評価するため、または(iii)染色品質が受入不可能と見なされたスライドにおける染色不一致を性格付ける(qualify)ために使用することができる。
[0084] スライドまたは染色品質は、本明細書では、「受入可能」または「受入不可能」であると指示されることがある。本明細書において使用する場合、「受入可能」とは専門の病理医によって判定されるような、主観的性能判断基準(例えば、染色均一性/カバレッジ、染色強度、および非特異的バックグラウンド染色)を満たすスライドまたは染色品質を指す。「受入可能」なスライドは、均一な染色を有し、これらのスライドは下流の処理または分析のいずれにおいてもエラーの原因となる程度までの、異常なバックグラウンド染色を含まない。本明細書において使用する場合、「受入不可能」とは専門の病理医によって判定されるような、主観的性能判断基準(例えば、染色均一性/カバレッジ、染色強度、および非特異的バックグラウンド染色)を満たさないスライドまたは染色品質を指す。「受入可能」および「受入不可能」なスライドという呼び方(reference)は、染色評価のための客観的指標として使用するカットオフ値を設定するように、計算したメトリック間において相関関係を築くための基礎として使用される(図8および本明細書における開示を参照のこと)。図3Aおよび図3Bは、「受入可能な」スライドと「受入不可能な」スライドとの間における差を示す。ここで、「受入不可能な」スライドは非特異的バックグラウンド染色および/またはその他のアーチファクト(例えば、増幅によって生ずる)を含み、これらは、当業者が主観的にプローブの局在性(probe localization)を判定する能力を妨害する。スライドが「受入不可能」であると判定され得るのは、プローブ局在性を求めるための染色が、サイズ、コントラスト、およびカバレッジに関して均一でない場合である。何故なら、これは、人間の視覚およびマシン・ビジョンのどちらにしても、当業者がプローブ局在性の同定(identification)を認識するのを一層困難にするからである。
[0085] 本明細書において開示する技術の少なくとも一部の実施形態は、1つ以上の染料(例えば、ISHおよび/またはIHCアッセイにおいて組織に供給される染料)によって染色された組織試料からキャプチャされたディジタル画像またはマルチスペクトル画像データを分析するためのコンピュータ・システムおよび方法に関する。本明細書における具体例では、具体的な組織、および/または特定のマーカ(したがって、疾病)の検出のための具体的な染料の適用について述べることもあるが、異なる組織および異なる染料(またはプローブ)も、異なるマーカおよび異なる疾病を検出するために適用できることは、当業者には認められよう。更に、本明細書における特定の実施形態および例はISHまたはFISHアッセイを対象とするが、これらの実施形態はIHCアッセイにも等しく適用可能であることは、当業者には認められよう。加えて、特定の例では量子ドットを検出可能な検体として採用するが、他の検出可能な染料または検体も、本開示の実施形態において採用してもよいことは当業者には認められよう。
[0086] 標本(specimen)を分析するためのコンピュータ・ベース標本アナライザ(10)を図1に示す。コンピュータ・ベース標本アナライザ(10)は、撮像装置(12)とコンピュータ(14)とを含むことができ、撮像装置(12)およびコンピュータは、ネットワーク(20)を通じて、例えば、直接または間接的に、通信可能に一緒に結合することができる。尚、他のコンピュータ・デバイスまたはシステムが利用されてもよいこと、そして本明細書において説明するコンピュータ・システムが、追加のコンポーネント、例えば、標本アナライザ、スキャナまたは撮像システム、自動スライド調製機器(automated slide preparation equipment)等に通信可能に結合できることは、当業者には認められよう。これらの追加のコンポーネントおよび種々のコンピュータの内、利用することができる一部のものについては、本明細書において更に説明する。
[0087] 一般に、撮像装置(12)、または他の画像源は、限定ではなく、1つ以上の画像キャプチャ・デバイスを含むことができる。画像キャプチャ・デバイスは、限定ではなく、カメラ(例えば、アナログ・カメラ、ディジタル・カメラ等)、光学素子(例えば、1つ以上のレンズ、センサ合焦レンズ群、顕微鏡対物レンズ等)、撮像センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ等)、写真用フィルム等を含むことができる。ディジタルの実施形態では、画像キャプチャ・デバイスは、協働してその場で合焦を試す(prove)複数のレンズを含むことができる。画像センサ、例えば、CCDセンサは、標本のディジタル画像をキャプチャすることができる。ある実施形態では、撮像装置(12)は、明視野撮像システム、マルチスペクトル撮像(MSI)システム、または蛍光顕微鏡システムである。更に他の撮像デバイスおよびシステムについても、本明細書において更に説明する。
[0088] 図1、図2Aおよび図2Bを参照すると、コンピュータ・システム(14)は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット等、ディジタル電子回路、ファームウェア、ハードウェア、メモリ(110)、コンピュータ記憶媒体(110)、コンピュータプ・ログラム(例えば、プログラムがメモリまたは記憶媒体内に格納される場合)、プログラミングされたプロセッサを含むプロセッサ(120)等を含むことができる。図1に示すコンピューティング・システム(14)は、画面またはディスプレイ・デバイス(16)およびエンクロージャ(18)を有するコンピュータ、例えば、図示のように、タワー内に内蔵されたシステムであってもよい。コンピュータ・システムは、ディジタル画像を二進形態で(ローカルに、サーバ上に、または他のネットワーク接続デバイスに)格納することができる。また、画像を画素の行列に分割することもできる。画素は、ビット深さによって定められる、1ビット以上のディジタル値を含むことができる。
[0089] 再度図1Aを参照すると、ネットワーク(20)は、ある実施形態では、撮像装置(12)とコンピュータ・システム(14)とを相互接続する。ネットワーク(20)は、限定ではなく、1つ以上のゲートウェイ、ルータ、ブリッジ、これらの組み合わせ等を含むことができる。ネットワーク(20)は、ユーザにアクセス可能な1つ以上のサーバと1つ以上のウェブサイトとを含むことができ、コンピュータ・システム(14)が利用することができる情報を送信および受信するために使用することができる。サーバは、限定ではなく、情報(例えば、ディジタル画像、アルゴリズム、染色プロトコル、相対評価用カットオフ値等)を格納するために1つ以上の関連データベースを含むことができる。ネットワーク(20)は、送信制御プロトコル(TCP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)、インターネット・プロトコル(IP)、およびその他のデータ・プロトコルを使用するデータ・ネットワークを含むことができるが、これらに限定されるのではない。ある実施形態では、コンピュータ・デバイスまたはシステムは、更に、表示出力、あるいはデータ/出力をユーザ、操作者、あるいは下流側の計器(instrument)またはプロセスに供給する他の手段も含む。
[0090] 図2Aおよび図2Bを参照すると、コンピュータ・デバイスまたはシステム(14)(またはコンピュータ実装方法)は、1つ以上のプロセッサ(120)と少なくとも1つのメモリ(110)とを含む。少なくとも1つのメモリ(110)は、1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納する。これらの非一時的コンピュータ読み取り可能命令は、入力画像(12)(IHCおよび/またはISHにおいて染色された組織標本の入力画像)を受け取り、画像データまたはマルチスペクトル画像データを受け取りおよび/またはキャプチャするために画像処理モジュール(210)を実行し、単一チャネル検体強度画像(チャネルは組織標本における異なる検出可能な検体に対応する)を導出するために分離モジュール(unmixing module)(240)を実行し、染色品質の一定の数値記述子を導出するためにメトリック計算モジュール(220)を実行し、染色品質を評価し、更なる染色品質評価を可能にするため(たとえば、後の評価のための客観的染色判断基準を決定するため)、あるいは染色不一致または欠陥の根本原因を評価するための客観的判断基準を導出するために評価モジュール(230)を実行するための命令を、1つ以上のプロセッサに実行させる。これらのモジュールの各々について、本明細書において更に詳しく説明する。尚、各モジュール内において使用するためとして説明される命令、アルゴリズム、およびフィルタはいずれも、検出される検体に基づいて改変(adapt)または変更できることは、当業者には認められよう。ある実施形態では、コンピュータ・デバイスまたはシステムは、更に、表示出力、あるいはデータ/出力をユーザ、操作者、あるいは下流側の計器またはプロセスに供給する他の手段も含む。
[0091] 画像取得および処理
[0092] 本明細書において説明する方法は、波長分布が重複する共局在シグナル(colocalized signals)から分離された、純粋なシグナル局在性を評価するために開発された(例えば、複数の染色が多重アッセイにおいて適用される場合等)。通例、このデータは、スペクトル撮像技術の手段によって取得され、検体強度画像(即ち、純粋なシグナル局在性の画像または検体を表す画像)は、生スペクトル・データにおけるシグナルの分離(unmixing)によって得られる(例えば、先見的に知られているスペクトル成分についての基準データによる線形最小二乗処理)。
[0093] 一般に、画像処理モジュール(210)は、画像データ、例えば、マルチスペクトル画像データを入力として受けまたはキャプチャし、分離モジュール(240)と協働して、検体強度画像を、メトリック計算モジュール(220)への出力として供給する。図4Aは、前述の画像処理および分離モジュールを利用する「画像処理」の種々のステップを表すフローチャートを示す。本明細書において更に詳しく説明するが、最初に複数の視野を選択し(ステップ(410))、様々な軸方向(z)位置においてスペクトル画像を取得する(ステップ(420)、図4Bも参照のこと)。次いで、z次元方向にスペクトル画像を投影し(ステップ(430))、分離モジュール(240)によって分離して検体強度画像を生成し(ステップ440))、更に任意に閾値を設定する(ステップ450))。
[0094] 画像処理モジュール
[0095] 画像は、組織標本が配置されたスライドから取得され、組織標本は染色されており(例えば、蛍光体によるFISH)、このため、組織標本は1つ以上の検出可能な染料または検体を含む。染料または検体は、試料における標識の存在および/または濃度を示す(視覚的に、電子的に、またはその他の方法で)検出可能なシグナルを産生することができる分子または材料である(標識はターゲットまたはバイオマーカの大凡の位置を示す)。本明細書には、検体の例、および生物学的試料内においてターゲットに「標識付けする」方法が添えられている。
[0096] 生物学的試料内においてターゲットに標識付けするプロセスは、多くの場合スペクトル的に多重化される。即ち、複数のターゲットを識別するために組織が染色され、各ターゲットは異なる染色によって識別される。例えば、多重化アッセイでは、組織試料を、異なる波長で蛍光する複数の蛍光体および/または量子ドットによって染色することができる。したがって、組織の画像は、複数のスペクトル帯域において取得され、これらの帯域が、総合的に、検体、例えば、標識付けに使用される量子ドットまたは蛍光染料/プローブのスペクトル特性によって定められるスペクトル範囲にわたって広がる。スペクトル帯域は、例えば、約400nmから約900nmまでの範囲に及ぶ波長を有することができる。ある実施形態では、スペクトル画像は、約400nmから約800nmまでの範囲に及ぶ約96の波長において取得される。
[0097] ある実施形態では、蛍光は、アリゾナ州、ツーソン(Tucson)のVentana社、マサチューセッツ州、ワーバン(Woburn)のNuance(商標) Cambridge Research & Instrument社、またはカリフォルニア州、ビスタ(Vista)のSpectraView(商標) Applied Spectral Imaging社から入手可能なもののような、マルチスペクトル撮像システムによって測定することができる。一般に、MSIは、コンピュータ化顕微鏡ベース撮像システムを病理標本の分析のために装備し、画素レベルにおける画像のスペクトル分布の利用法を提供する。種々のマルチスペクトル撮像システムが存在するが、これらのシステムの全てに共通する動作的態様はマルチスペクトル画像を形成する能力である。マルチスペクトル画像とは、電磁スペクトルにわたる特定の波長または特定のスペクトル帯域幅において画像データをキャプチャした画像である。これらの波長は、光学フィルタによって選別することができ、または、例えば、赤外線(IR)のような可視光範囲を超える波長における電磁放射光線を含む所定のスペクトル成分を選択することができる他の計器(instrument)の使用によって選別することができる。
[0098] MSIは、光学撮像システムを含むことができ、その一部が、所定数Nの離散光帯域を定めるように調整可能な(tunable)スペクトル選択システムを内蔵する。この光学システムは、光検出器上に広帯域光源によって透過照明される組織試料を撮像するように構成する(adapt)ことができる。光学撮像システムは、一実施形態では、例えば、顕微鏡のような拡大システムを含むことができ、この光学システムの1つの光出力と空間的にほぼ一直線状である1本の光軸を有する。このシステムは、スペクトル選択システムが、異なる離散スペクトル帯域において画像が取得されることを確保するように調節または調整される(例えば、コンピュータ・プロセッサによって)に連れて、組織の画像のシーケンスを形成する。加えて、本装置はディスプレイも含むことができ、このディスプレイにおいて、取得された画像のシーケンスから、少なくとも1つの視覚的に知覚可能な組織の画像が現れる。スペクトル選択システムは、回折格子、薄膜干渉フィルタのような光学フィルタの集合体、あるいはユーザ入力または予めプログラミングされたプロセッサのコマンドのいずれかに応答して、光源から試料を透過して検出器に向かう光のスペクトルから特定の通過帯域を選択するように構成された任意の他のシステムのような、光分散エレメントを含むことができる。代替実施態様では、スペクトル選択システムは、N個の離散スペクトル帯域に対応する様々な光出力を定める。このタイプのシステムは、光学システムからの透過光出力を取り込み、識別されたスペクトル帯域内の試料を検出システム上に、この識別されたスペクトル帯域に対応する光路に沿って撮像するような方法で、この光出力の少なくとも一部を、N本の空間的に異なる光路に沿って空間的に方向転換させる。
[0099] 他の実施形態では、Ventana Medical System Inc.の米国特許出願第2014/0078286号に明記されているマルチスペクトル撮像システムを使用して撮像を行うことができる。この特許出願は、マルチスペクトル撮像システムおよび方法を例示し、この特許出願をここで引用したことにより、その開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
[0100] 再度図4Aを参照すると、最初に、スライド(当業者には分かるように、自動または手動のいずれかで)上に装着されたまたは埋め込まれた組織試料から、複数の視野(FOV)を取得する(ステップ410)。ある実施形態では、選択されるFOVの数は、染色の分析によって、組織切片全体をディジタル化する場合と比較して、組織染色パターンの高精度のモデルが得られるように、適切な組織のサンプリングを行うのに十分でなければならない(Gundersen, et. al, "The Efficiency of Systematic Sampling in Stereology and its Prediction"(立体解析学およびその予測における統計的サンプリングの効率)、J. of Microscopy, vol. 147, pt. 3, Sept. 1987, pp.229-263、およびKayser et al. "Theory of Sampling and its Application in Tissue Based Diagnosis"(組織に基づく診断におけるサンプリング理論およびその応用)、Diagnostic Pathology, 2009, 4;6を参照のこと。これらの文献をここで引用したことにより、その開示内容は本願にも含まれるものとする)。他の実施形態では、少なくとも3つのFOVが選択される。更に他の実施形態では、約10から約300まで間のFOVが選択される。
[0101] 視野毎に、オプティカル・セクショニング(optical sectioning)によってというようにして、数カ所の軸(z)位置において組織試料のスペクトル画像を撮影する(ステップ(420)。オプティカル・セクショニングとは、z方向の焦点面を変化させ各平面において画像を撮影することによって、三次元試料の異なる深度位置を光学的に撮像する技法である。 D. A. Agard, "Optical Sectioning Microscopy: Cellular Architecture in Three Dimensions"(オプティカル・セクショニング顕微鏡撮影法:三次元の細胞構造)Annual Reviews in Biophysics and Bioengineering(生物物理および生物工学における年次評価), vol. 13, pp. 191-219, 1984.、S. Joshi and M. I. Miller, "Maximum a Posteriori Estimate with Good's Roughness for Three-Dimensional Optical-Sectioning Microscopy"(三次元オプティカル・セクショニング顕微鏡撮影法に対するグッドの粗さによる事後推定の最大化)、Journal of Optical Society of America, vol. 10, no. 5, pp. 1078-1085, 1993を参照のこと。これらの文献をここで引用したことにより、その開示内容は本願にも含まれるものとする。ある実施形態では、複数の深度においてカメラを動作させる(即ち、z平面方向に焦点設定を移動させる)。ある実施形態では、z位置は視野の深度方向に約1.8ミクロンのところで、互いに約0.5ミクロン離間されているが、当業者は、提示される組織試料、および光学システムの焦点深度を考慮して、任意の適した間隔を選択することができよう。複数のz位置(/平面)画像をキャプチャすることによって、組織切片の厚さおよび軸方向色収差の影響を軽減する。
[0102] ある実施形態では、最初の焦点平面は、バックグラウンド染色シグナル(例えば、DAPI、4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)に関連付けられたフィルタを使用して決定される。ある実施形態では、x、y、z空間次元における最初の焦点面座標が、組織切片毎に複数のFOVに対して定められ、続いて、自動取得により、定められた領域毎に3つの平面において更に長いスペクトル取得を収集する。
[0103] 当業者には知られているように、z位置(図4A内では「z」が付されている)からのデータを、三次元空間全域におけるデータを表すスペクトル・キューブに組み込む(ステップ(430))。スペクトル・キューブを形成するプロセスを、概略的に図4Bに示す。ある実施形態では、スペクトル・キューブは、空間エリアおよびスペクトル・エリアにおける画素の再サンプリング・プロセスによって得られる仮想スペクトル・データ構造を表す(denote)。ある実施形態では、スペクトル・キューブは空間軸、即ち、空間軸xおよび空間軸y、ならびに複数の収集画像、即ち、波長λに関するスペクトル画像を含む。即ち、複数のスペクトル画像における各画像は、長さ座標、幅座標、および対応する波長、例えば、発光または励起を含むことができるので、複数のスペクトル画像は三次元行列を定めることができる。
[0104] 最初に、z次元方向にスペクトル画像を取得する(ステップ(431))。各スペクトル・キューブを、各画素座標における次のものと比較し(ステップ(432))、最も明るい相同画素(homologous pixel)を新たなキューブ内に保存する(ステップ(433))。最も明るい値を含む新たなキューブを次のzキューブと比較し(ステップ(434))、全てのz位置が組み込まれるまで、このプロセスを繰り返す。結果的に得られる画像キューブは、各波長におけるz次元を通る最大投影(maximum projection)で構成され、関連情報の損失を殆どなくして、処理の高速化を可能にする。蛍光に使用される単純な最大投影の代わりに、ウェーブレット変換のような、延長被写界深度を形成する代替方法を明視野データのために利用してもよい。
[0105] 分離モジュール
[0106] 複数のz平面においてデータを取得し(複数のz位置におけるx、yデータ)、z次元方向に投影した(生のスペクトル・キューブ)後(ステップ(430))、検体強度画像を生成するために、基準スペクトルと対照しつつ、分離モジュール(240)によってスペクトル的に分離する。ステップ(440)も参照のこと。
[0107] 分離の方法は、当業者には周知であり、現在知られている方法または今後発見される方法の内任意のものを、マルチスペクトル画像データまたは画像を検体強度画像に「分離する」ために使用することができる。一般に、分離プロセスは組織および染色の組み合わせの標準タイプに周知の基準スペクトルを使用して、個々の染色の局所濃度を判定するために、染色特異的チャネルまたは検体特異的チャネルを抽出する。例えば、前述のように、入力画像における各画素は、ターゲット構造を表す1つ以上の量子ドットを含む成分スペクトルの混合体を、DAPIおよび自己蛍光のような広帯域信号に加えて、含むことができる。分離は、対照画像から引き出された基準スペクトル、または観察対象画像から推定された基準スペクトルを使用することができる。各入力画素の成分信号を分離することによって、染色特異的チャネルの引き出しおよび分析が可能になる。「分離」および「カラー・デコンボリューション」(color deconvolution)(または「デコンボリューション」)等の用語(例えば、「デコンボリュートしている」(deconvoluting)、「分離された」(unmixed))は、当技術分野では相互交換可能に使用される。
[0108] ある実施形態では、線形分離を使用して、多重化画像を分離する。線形分離については、例えば、Zimmermannの"Spectral Imaging and Linear Unmixing in Light Microscopy"(光顕微鏡撮影におけるスペクトル撮像および線形分離)、Adv Biochem Engin/Biotechnol (2005) 95:245-265、および C. L. Lawson and R. J. Hanson,の"Solving least squares Problems"(最小二乗問題の解法)、PrenticeHall, 1974, Chapter 23, p. 161に記載されている。これらの文献をここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする。線形染色分離では、任意の画素において測定されたスペクトル(S(λ))は、染料スペクトル成分の線形混合物と見なされ、各画素において表現されている個々の蛍光基準スペクトル・シグネチャー(R(λ))各々の比率または重み(A)の和に等しい。
[0109]
Figure 0006673941


[0110] これは、以下のような行列形式として更に一般的に表現することができる。
[0111]
Figure 0006673941

[0112] M個のチャネル画像が取得され、N個の個々の蛍光体がある場合、M×N行列Rの列は、個々の蛍光体の既知の基準スペクトル・シグネチャーであり、N×1ベクトルAは、未知の個々の蛍光体の比率であり、M×1ベクトルSは画素において測定されたマルチチャネル・スペクトル・ベクトルである。これらの式において、各画素(S)における信号は、多重画像の取得中に測定され、既知の染色に対する基準スペクトルは、通常、同じ計器設定を使用して、1つだけの染色で標識付けされた蛍光標本から独立したオフライン方法で判定される。これは、測定されたスペクトルにおける各点に対する寄与を計算することによって、種々の染色(Ai)の寄与を判定するための単純な線形代数行列演算(exercise)となる。ある実施形態では、逆最小二乗当てはめ手法を使用して、解が得られる。逆最小二乗当てはめ手法は、以下の1組の式を解くことによって、測定および計算したスペクトル間の二乗差を最小化する。
[0113]
Figure 0006673941


[0114] この式では、jは検出チャネルの数を表し、iは染色の数に等しい。線形式を解くとき、重み(A)を合計して1にさせるために、制約付き分離を許容することを必要とする場合が多い。
[0115] 他の実施形態では、分離は、"Image Adaptive Physiologically Plausible Color Separation"(画像適応型の生理学的に最もらしい色分離)と題し、2014年5月28日に出願されたWO2014/195193に記載されている方法を使用して行われる。この出願をここで引用したことによって、その内容全体が本願にも含まれるものとする。概略的に、WO2014/195193は、繰り返し最適化される基準ベクトルを使用して入力画像の成分信号を分離することによる分離方法について記載している。ある実施形態では、アッセイからの画像データを、そのアッセイの特性に特異的な予測結果または理想的な結果と相関付けて、品質メトリックを判定する。画質が低い場合、または理想的な結果に対して相関が薄い(poor)場合、行列Rにおける1つ以上の基準列ベクトルを調節し、生理的および解剖学的要件と一致する高品質の画像を相関が示すまで、調節した基準ベクトルを繰り返し使用して、分離をやり直す。 測定された画像データに適用される規則を定めるために、解剖学的情報、生理学的情報、およびアッセイ情報を使用して、品質メトリックを判定することができる。この情報は、組織がどのように染色されたか、組織内のどの構造を染色することを意図したのか、または意図しなかったのか、そして構造、染色、および処理されるアッセイに特異的なマーカ間における関係を含む。繰り返しプロセスの結果、染色特異的ベクトルが得られ、対象の構造および生物学的に関連のある情報を精度高く識別し、あらゆるノイズ・スペクトル即ち望ましくないスペクトルがなく、したがって分析に適した(fit for)画像を生成することができる。基準ベクトルは検索空間内に収まるように調節される。検索空間は、基準ベクトルが染色を表すために取ることができる値の範囲を定める。検索空間は、既知の問題または共通して起こる問題を含む種々の代表的訓練アッセイをスキャンし、訓練アッセイに対して複数組の高品質な基準ベクトルを判定することによって決定することができる。
[0116] 他の実施形態では、2015年2月23日に出願され"Group Sparsity Model for Image Unmixing"(画像分離のためのグループ・スパーシティ・モデル)と題するWO2105/124772に記載されている方法を使用して、分離が行われる。この出願をここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする。概略的に、WO2015/124772は、グループ・スパーシティ・フレームワークを使用した分離について記載する。ここでは、複数のコロケーション・マーカ(colocation marker)からの染色寄与の端数(fraction)が「同じグループ」内においてモデル化され、複数の非コロケーション・マーカからの染色寄与の端数が異なるグループにおいてモデル化され、複数のコロケーション・マーカの、モデル化されたグループ・スパーシティ・フレームワークに対する共局在情報を提供し、グループ・ラッソー(group lasso)を使用して、モデル化されたフレームワークを解いて、各グループ内において最小二乗解を求める。この場合、最小二乗解は、コロケーション・マーカの分離に対応し、非コロケーション・マーカの分離に対応するグループ間においてスパース解を生成する。更に、WO2015/124772は、分離方法について記載する。この分離方法は、生物学的組織試料から得られた画像データを入力し、電子メモリから基準データを読み取る。基準データは複数の染色の各々の染色(stain color)を記述する。電子メモリからコロケーション・データを読み取り、このコロケーション・データは染色のグループを記述する。各グループは、生物学的組織試料内に共存する(collocate)ことができる染色を含み、更に各グループはグループ・ラッソー判断基準に合ったグループを形成し、これらのグループの内少なくとも1つは2以上のサイズを有する。基準データを基準行列として使用して、分離画像を得るためのグループ・ラッソー判断基準の解を計算する。ある実施形態では、この画像分離方法は、グループ・スパーシティ・モデルを生成するステップを含むことができ、共局在するマーカからの染色寄与の端数が1つのグループ内において割り当てられ、共局在しないマーカからの染色寄与の端数が別個のグループ内において割り当てられる。この方法は、各グループにおいて最小二乗解を生成する分離アルゴリズムを使用して、グループ・スパーシティ・モデルを解くステップも含むことができる。
[0117] 先に説明した線形分離モデルに加えて、特に、少数のスペクトル・チャネルだけで構成されるデータ集合には、顕微鏡データのスペクトル分離のために、代わりの手法を利用することもできる。この手法は、異なる画像チャネルにおける画素の強度値の相関に基づく(細胞蛍光(cytofluorimetry)において使用されるものと同様の散布図において可視化することができる)。次いで、散布図において所望の蛍光体の分布角度を発見することにより、そしてこれらを別個のチャネルに直交化する(orthogonalizing)ことによって(これらを異なるプロット軸に「伸長する」(stretching))ことによって、分離を行う。この方法は、原則として、スペクトルに関する先験的情報を必要としない。何故なら、主要な分布はライン・フィッティング(line fitting)によって発見できるからである(前述のZimmermannを参照のこと)。
[0118] ある実施形態では、分離画像を一定のダイナミック・レンジの制約に限定することができる。例えば、閾値フィルタを適用することによって、ダイナミック・レンジを限定することができる(ステップ450))。ある実施形態では、閾値は、分離画像の正のスペクトル範囲全体をカバーするように設定される(負の値をゼロ値に固定して、最も明るい値を0〜100%で表示する)。この処理は、信号の分析を、取得したデータのダイナミック・レンジの中の一定部分に制限し、シグナル局在性に関連のない画素値が含まれることを回避する。
[0119] ある実施形態では、閾値設定(ステップ(450))は、「前景」を「バックグラウンド」からセグメント化するための客観的閾値設定計算を適用することによって行われる(図4Cも参照のこと)。例えば、Otsuの閾値設定方法を使用してこれを遂行してもよい(Nobuyuki Otsu (1979) "A threshold selection method from gray-level histograms"(中間調ヒストグラムからの閾値選択方法)、IEEE Trans. Sys, Man., Cyber. 9 (1): 62-66を参照のこと。この文献をここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする)。他の実施形態では、Kurita, T., Otsu, N., Abdelmalik, N. (1992) "Maximum Likelihood Thresholding Based On Population Mixture Models"(母集団混合モデルに基づく最尤閾値設定)Pattern Recognition, 25, 10: 1231-1240に記載されているように、最尤法を適用することもできる。この文献をここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする。更に他の実施形態では、最も明るい値の約5%と約95%との間の閾値を適用する。ゼロよりも大きな画素値(1〜100)を全て含むことが好ましい。何故なら、FISHおよび明視野ISHシグナルは小さく点状であるからである(したがって、負の値を除外することに加えて、ゼロの値も除外することが重要である)。
[0120] メトリック計算モデル
[0121] 画像処理モジュール(210)から検体強度画像が導き出された後、メトリック計算モジュール(220)内部において、導き出された検体強度画像に基づいてメトリックを計算する命令を供給する。ある実施形態では、計算されるメトリックは、染色品質評価のための客観的指標の形成(development)のための決定要因または数値記述子として役割を果たす。これは、ディジタル病理学の分野において通例行われるプロセスとは対照的である。通例行われるプロセスでは、一般に、計装(instrumentation)および方法が組織試料の画像において発見された形態的特徴の認識および/または分析を目的として行われる。
[0122] 本開示では、(i)検体強度画像内の画素強度値の均一性の数値記述子として役割を果たすメトリック、および(ii)検体強度画像内の画素強度値の分布の数値記述子として役割を果たすメトリックを計算する。導き出すことができる2つの適したメトリックは、エントロピー値、および平均-分散比値である。これらの各々について、本明細書において更に詳しく説明する。他の適したメトリックには、画素強度の分散の測定値、または画素強度の標準偏差の測定値が含まれる。更に他のメトリックには、画素強度の測定された平均値の測定された標準偏差の比がある。これらの計算したメトリックは、その後、本明細書において説明する評価モジュール(230)に出力される。
[0123] エントロピー・メトリック
[0124] 強度値の均一性および分布の1つのメトリック(すなわち、検体強度画像において画素強度値がどのくらい互いに整合する(consistent)か)はエントロピーである。エントロピー・メトリックを計算するステップの全体像を図5Aに示し、この章において更に詳しく説明する。
[0125] エントロピーは、一次元ディジタル信号における情報量の尺度を記述する情報理論から導き出されるメトリックである。エントロピーの計算は、繰り返しサンプリングから信号について追加の情報を得る確率に基づく。一般に、情報エントロピーの概念は、信号または画像内にどのくらい不規則性(または不確実性)があるかを記述する。撮像の前後に不確実性を測定する場合、不確実性の低下、すなわち、情報エントロピーは、画像によって伝えられる情報の定量的尺度として役割を果たすことができる。情報エントロピーの概念は、更に、Tsai, et. al. "Information Entropy Measure for Evaluation of Image Quality”(画像品質の評価のための情報エントロピー測定)、 J Digit Imaging, 2008 Sep 21(3):338-347によって論じられている。この文献をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
[0126] ある意味では、エントロピーは、画素強度値が特定の強度に偏る度合いを記述する。例えば、そしてISHまたはFISHのコンテキスト(図6A参照)では、シグナル局在性が均一強度であることが理想的である場合、強度値の狭い分布があり、したがってエントロピーは低くなる。再度、ISHまたはFISHのコンテキストでは(図6B参照)、シグナルの均一性が低い場合、強度値の比較的大きい分布があり、したがってエントロピーは高くなる(シグナル値の特定値への偏りは少なくなる)。シグナルは、造影剤による非特異的染色の結果として、または造影剤が適切なターゲットを信頼性高く染色することができなかったことにより、またはこれら2つの可能性の組み合わせによって、ますます均一でなくなっていく。
[0127] 本開示におけるように染色均一性を評価するとき、観察者が画素をランダムにサンプリングすることによって失う不確実性の量は、ヒストグラムにおけるその特定値の度数に依存する。画像においてサンプリングされる次の画素の値の不確実性の低下は、次のように記述することができる。
Figure 0006673941


[0128] ここで、Hは画像のエントロピーであり、pは所与のヒストグラム・ビンにおける画素の度数(frequency)を表す。実際には、個々のヒストグラム・ビンにおける画素値のカウント(検体強度画像から導き出されるヒストグラム)は、同じ強度範囲に属する値を有する画像(検体強度画像)から新たにサンプリングされた値(画素)の確率を推定するために使用することができる。例えば、全ての画素が同じ強度である場合、ヒストグラムはその強度を表す1つのビンに全ての画素を収容する(contain)。一例として、画像が256画素×256画素である、つまり、画像が65536画素を有すると仮定する。全ての画素が同じ強度である(例えば、125の値を仮定する)場合、256通りの強度値(または1〜256のダイナミック・レンジ)を表すヒストグラムは256個のビンを有する。ビン125は65536の度数を有する。何故なら、画像における全ての画素は125の値を有するからである。他のビンは全て0の度数を有する。この画像からサンプリングされた画素が125の値を有する確率は100%である。
[0129] ある実施形態では、強度値の画像ヒストグラムを導き出し、サンプリングされた画素(即ち、検体強度画像からサンプリングされた画素)が各ヒストグラム・ビン(それぞれの検体強度画像から導き出されたヒストグラムの)における特定の画素強度値を有する確率を計算することによって、画像エントロピーを計算する。例えば、1つの画像内に1000個の画素があり、強度ビン225内に100個の画素がある場合、255の画素強度値を有する画素をランダムに選択する確率(chance)は1/10となる。この確率の2を基底とする対数を計算し、ビット単位でサンプリングされた任意の画素に対して期待される情報の量を計算するために、確率で重み付けする。この考慮によって、定められた単位、ここではビットに関して、画像エントロピーを報告することが可能になる。
[0130] 更に具体的には、そして図5Aを参照すると、測定すべき検体強度画像(したがって、対応する染色または検体チャネル)を最初に選択する(ステップ(510))。次に、検体強度画像の各々について、画像強度ヒストグラムを導き出す(ステップ(520))。ここで、導き出されるヒストグラムは各ビンにおける画素数を示す(図5B参照)。ヒストグラム毎に個々のビンの全てにおける画素の総数を合計して、それぞれの検体強度画像毎に画素の総数を得る(ステップ(550))(図5Cも参照のこと)。次いで、任意の1つの特定のビンにおける画素数を、検体強度画像における画素の総数で除算して、サンプリングされた画素が特定のビンに属する確率を判定する(ステップ(560))。このステップは、ビン毎に(そして、選択されたチャネル毎に)繰り返され、サンプリングされた画素が特定のビンに属する確率を得る。次いで、各確率と、確率の2を基底とする対数とを乗算して、この値をビット単位に変換する(ステップ(570))。次いで、確率を合計して、検体チャネルに対するエントロピーを推定する(ステップ(580))。
[0131] 画素値が大きなダイナミック・レンジを有する画像で作業するとき、エントロピー値がビン数に応じて変化することを考えて、ヒストグラムを計算するために使用されるビンの数を考慮に入れなければならない。実際に、大きなダイナミック・レンジを有する画像を処理するとき、使用するヒストグラムのビン数が相対的に少ない程、ヒストグラム・ビンの数は、画像データの可変性を過小評価する可能性がある。つまり、大きなダイナミック・レンジの画像に対してエントロピーの小さな変化を測定するためには、多数のビンを有するヒストグラム(ほぼ画像データのダイナミック・レンジ)を使用しなければならない。例えば、ダイナミック・レンジが1:65536(16ビット即ち65536個の値のディジタル化)となることもある。他の例では、ダイナミック・レンジが1:256となる場合もある。勿論、任意のダイナミック・レンジを使用することができ、ダイナミック・レンジは、利用されるディジタル化システム次第で異なってもよいことは、当業者には認められよう。
[0132] 例1は、図5Aに示すように、測定すべき検体強度を選択するステップ(510)と、ヒストグラムを導き出すステップ(520)と、画素の総数を合計するステップ(550)と、画素毎に確率値を計算するステップ(560)と、確率値をビット単位に変換するステップ(570)と、確率を合計して、検体チャネルに対するエントロピーを推定するステップとを含み、画像エントロピーを計算するための擬似コードの見本を提供する。しかしながら、結果的に行われる計算が、染色品質を評価できるように、またはカットオフ値を導き出すことができ染色性能(staining performance)に対する客観的判断基準として役割を果たすように、評価モジュール(230)への出力に必要なエントロピー値を与えるのであれば、任意のコードで代用できることは当業者には認められよう。
[0133] 他の実施形態では、そしてエントロピー・メトリックを判定する代わりとして、検体強度画像から導き出された画像ヒストグラムにおける画素値の分散または標準偏差の測定値を計算し、強度値の均一性の数値記述子として役割を果たすことができる。
[0134] 平均対分散比メトリック(Mean to Variance Ratio Metric)
[0135] ある実施形態では、スペクトル的に分離された画像に対する画素強度値の散布度(dispersion)の数値記述子として役割を果たすメトリックを導き出す。ある実施形態では、強度値の散布度のメトリックは、平均対分散比(「M/V比」)、即ち、画像ヒストグラムにおける信号の平均強度値の画像ヒストグラムにおけるその信号の分散値に対する比率である。ある実施形態では、画素強度モード値は、特定のヒストグラムにおいて(したがって、検体強度画像において)最も頻繁に発生する画素強度値を表す。ある実施形態では、画素強度分散値は、ヒストグラムにおいて(したがって、検体強度画像において)特定の画素強度がどのくらい離れているかの値を表す。
[0136] 図5Aは、M/V比を計算するために必要なステップの全体像を示す。最初に、測定すべき検体強度画像を選択し(ステップ(510))、検体強度画像毎にヒストグラムを導き出す(ステップ(520))。次に、画素強度の平均値および分散を、導き出された各画像強度ヒストグラムから測定する(ステップ(530))。次いで、画素強度の平均値および分散の比を計算して(ステップ(540))、M/V比メトリックを求める。
[0137] 均一な染色の場合、画像にわたる平均強度および強度の分散は、一方側から他方側まで一定となる(例えば、所与の量子収量を有する量子ドット検体に対して)。これは、測定された信号強度と測定された光強度の不確実性との間の関係によるもので、予測可能なポワソン分布(即ち、固定時間間隔の間に起こる所与の数のイベントが、既知の平均率で、そして最後のイベント以来の時間に独立して起こる場合における、これらのイベントの確率を表す離散確率分布)に従う。例えば、蛍光体の非特異的沈着(deposition)による信号強度の可変性に対する寄与が低いとき、シグナル局在性は均一強度となることが予期される(図6A参照)。この場合、信号分布の分散は、分離画像における相対画素値(染色を表す)の平均信号振幅(magnitude)の平方根に比例する。したがって、信号の分散は、平均信号レベルに対する比率を有し、この比率は、信号の可変性上昇にも可変性低下にも他の要因が寄与していないとき、一定値になる。例えば、真の信号が散在する量子ドットの大きな集合体がいくつかあると、分散の尾部を長引かせ、平均信号に比例する分散を著しく減少させるおそれがある。他の例として、スライドの領域に、表面に非特異的に密着している量子ドット試薬がある場合、明瞭で均一に明るい信号の局在性と比較すると、測定される全体的な分散が増大(または減少)するおそれがある(図6B参照)。したがって、このメトリックは、非特異的試薬の密着があるスライド(図6B)を、バックグラウンドが低いスライド(図6A)から区別する手段となる(provide)。
[0138] 画像測定には、センサを選択し、増大する照明に対して線形応答を有することを確認して使用する。選択されるセンサは、ノイズ分布(測定の不確実性)が、試料における対象強度のダイナミック・レンジに比例して小さくなるように、十分に高い品質でなければならない。これらの条件が満たされるとき、均一強度の測定における不確実性に対する主要な寄与(contributor)は、測定光子の量子不確実性である。この不確実性の発生源(source)を「ショット・ノイズ」(Shot Noise)と呼び、十分に高い品質のセンサは、「ショット・ノイズ限定」(Shot Noise Limited)と呼ぶことができる(「ショット・ノイズ」は、ポワソン・プロセスによってモデル化することができる一種の電子ノイズである。ショット・ノイズは光学デバイスにおける光子計数(photon counting)において発生し、ショット・ノイズには光の粒子性(particle nature)が伴う)。センサの例には、Sony ICX 285センサのようなインターラインCCDが含まれる。あるいは、そしてCCDセンサの代わりに、画像測定は、当技術分野において知られているように、レーザ・スキャニングおよび光電子増倍管を合体させることによって実行することもできる。
[0139] 標準化された条件の下で感光センサを使用すると、量子不確実性によるのではないノイズの寄与は、比較的一定であると予測される。したがって、安定した状態の下で測定された画素値の分布における変化は、標準的な撮像条件の要件が満たされるときは、試料に起因する可能性がある。
[0140] いずれの特定の理論にも束縛されることを望むのではないが、測定強度値に関連付けられた量子不確実性は予測可能なポアソン分布に従う。これが意味するのは、一定の光レベルに対して記録される値の散布度は、サイズ変更可能な数の測定値(CCDアレイにおける多数の画素、または光電子増倍管から経時的に記録された複数の強度値)に対して記録されたモード強度値の平方根に比例するということである。このことから、散布度の尺度(measure)を二乗すると、対象範囲内にある値に対するモード強度に比例する値が生成されるはずであるということになる。この測定値(measured)の散布度に対する強度の比例関係は、信号の可変性がショット・ノイズによって制限されるとき、一定になると予期される。実際には、特に、画素の大多数がシグナルを有さない画像については、モードの代わりに平均強度値が使用されることもある。ある実施形態では、画像において関連のない画素が無視されないように閾値が設定される場合(暗エリアがヒストグラムから除外されない(thresholded out of))、画素(モード)の大部分が実際に関連のない値(0または黒)となる可能性がある。この場合、平均値の方が、ISHおよびFISHの場合には画像全体の小さな割合である、該当する画素(染色されたシグナル)の値を密接に近似することができる。
[0141] 測定された画素強度モード値および測定された画素強度分散値の比率は、標準的条件下で撮像された所与の検体に対しては一定であると予測され、これは、余分な要因が、被測定範囲全域にわたる強度値の散布度に影響を及ぼしているか否か判定するために使用することができる。画素強度値の散布度が、ショット・ノイズおよび均一信号から予測されるものよりも大きいまたは小さい場合、これは、染色均一性の品質が仕様を外れていることを示す。
[0142] 例2は、MV比を計算するための擬似コードの見本を示す。しかしながら、結果的に行われる計算が、染色品質を評価できるように、またはカットオフ値を導き出すことができ染色性能に対する客観的判断基準として役割を果たすように、評価モジュール(230)への出力に必要なM/V比の値を与えるのであれば、任意のコードで代用できることは当業者には認められよう。
[0143] 他の実施形態では、そしてM/V比メトリックの代わりとして、検体強度画像から導き出された画像ヒストグラムから、測定された平均および測定された標準偏差の比を計算することができる。例えば、標準偏差は、染色の強度が均一である場合、平均の平方根に比例する目盛を取ると予測される。ここでは、分散(標準偏差を二乗したもの)は、染色が均一でありセンサ・ノイズが少ない場合、平均にほぼ等しくなる。画像における画素の強度値にもっと大きな可変性がある場合、この測定から得られる比率は、理想的な均一性(uniformity)の特性比(characteristic ratio)から逸脱する。
[0144] 評価モジュール
[0145] メトリック計算モジュール(220)によって計算されたメトリックは、
(i)染色品質または性能に対する客観的判断基準、例えば、カットオフ値を決定することができるように、
(ii)未知の染色品質を有するスライドを評価して、これが染色品質の所定の客観的判断基準を満たすか否か判定することができるように、
(iii)染色の不一致を性格付ける(根本原因分析)ために、
評価モジュール(230)によって使用することができる。
[0146] 染色性能に対する判断基準の確立
[0147] 図7を参照すると、熟練の病理医によって受入可能であると判定されたものであることが分かっている基準スライド(ステップ(710))を、熟練の病理医によって受入不可能であると判定されたもの(ステップ(710))であることが分かっているものと比較し評価することによって、客観的判断基準(例えば、カットオフ値)の生成(development)を経験的に判定することができる。ここでは、受入可能および受入不可能な品質のスライド双方において、同じ検体が検出されている。これを行うために、双方の組の基準スライドに対してメトリック(例えば、エントロピーおよびM/V比)を計算し(ステップ(720)および(730))、全ての基準スライドに対するメトリックを分析して、サポート・ベクトル・マシン、線形判別分析、またはロジスティック回帰分析の内1つを使用して、カットオフ値または判断境界を導き出す(ステップ(740))。例えば、熟練の病理医によって受入可能または受入不可能と見なされたスライドに対して計算したエントロピー値およびM/V比の値をプロットすることによって(図8参照)、判断境界を判定することができ、グラフ上の各点は、各基準スライドからのエントロピーおよびM/V値を表す(例えば、多変量データ点を表すベクトル)。次いで、カットオフ値(例えば、SVMからの超平面)または判断境界を、染色品質が知られていないスライドの染色評価のための客観的判断基準として使用する(ステップ(750))。
[0148] 線形判別分析およびロジスティック回帰分析は、当業者には知られている統計方法である。例えば、ロジスティック回帰は、未知のスライドが受入可能または受入不可能である確率を分類するために使用することができ、ここでは、カットオフが確率となる(例えば、p=0.005)。
[0149] サポート・ベクトル・マシンとは、統計学習理論に基づく分類技法であり、非線形の場合に対するカーネルを介して、非線形入力データ集合を高次元線形特徴空間に変換する。一般に、サポート・ベクトル・マシンは、2つの異なるクラスを表す1組の訓練データEを、カーネル関数Kによって高次元空間に投影する。この変換データ空間において、クラス分離を最大化するようにクラスを分離する平坦線を生成することができるように(判別超平面)、非線形データを変換する。次いで、Kを介して検査データを高次元空間に投影し、検査データが超平面に関してどこに該当するかに基づいて、検査データを分類する。カーネル関数Kは、データを高次元空間に投影する方法を定める。
[0150] 客観的判断基準の決定により、主観的判断基準ではなく、計算したメトリックに基づいて、スライドを「受入可能」または「受入不可能」に分類することができる。客観的判断基準として設定されたカットオフ値または判断境界は、(i)染色均一性、(ii)異常なバックグラウンド染色、(iii)斑点、(iv)強度、および/または主観的標準に頼らない他の性能判断基準について、受入可能または受入不可能の判定を可能にする。実際、客観的判断基準の確立によって、検査の反復が可能になり、更に、染色性能における異なる試薬(例えば、種々の販売業者から供給される試薬)、計器、または技法(以下の根本原因分析および図9を参照のこと)の使用によって生ずる変化というような、小さな変化であっても検出し分類することが可能になる。本明細書において、例3および例4は、熟練の病理医によって判定された受入可能および受入不可能な基準スライドから画像データを収集し、画像からデータを分離して分離検体強度画像を生成し、これらの分離検体強度画像に対してエントロピーおよびM/V比メトリックを計算する方法について記載する。次いで、例5は、計算したメトリックに基づく客観的判断基準、即ち、カットオフ値の形成(development)を実証する。
[0151] 所定のカットオフ値に基づく染色品質評価
[0152] ある実施形態では、特定の検出可能な検体、組織標本、またはアッセイに対して設定された(established)カットオフ値を使用して、未知の染色品質のスライドが、染色品質に対する所定の客観的判断基準を満たすか否か判定する。例えば、計算したメトリックを所定のカットオフ値と客観的に比較することにより、このようなスライドが受入可能かまたは受入不可能か判定するために、このスライドに対してメトリック(例えば、エントロピー、M/V比)を計算することができる。計算したメトリックがカットオフ値に一致するかまたは任意の誤差許容度以内で超過する場合、更なる下流側処理のために、これらのスライドを保持することができる。計算したメトリックが設定したカットオフ値と一致しない場合、更なる下流側処理に対してこのスライドを拒否することができる(または、例えば、スライドをなおも処理することができるが、このスライドは受入不可能な染色品質を有すること、そしてこのスライドから導き出されるデータはいずれも誤りである可能性があることを注記すればよい)。カットオフ値は、コンピュータ・デバイスまたはシステムによってアクセス可能なデータベースに格納することができる。カットオフ値は、特定の組織タイプおよびアッセイに特異的であってもよく、したがって、受入可能な染色カットオフ判断基準のライブラリを、スライド分類に使用するコンピュータ内に維持してもよい。所与の染色プロトコルおよびアッセイの生成(development)のために、染色条件を各々調節しつつ、受入可能範囲に該当するスライドの割合を、受入不可能な範囲に該当するスライドの割合と比較する。このプロセスは、受入可能な範囲内のスライド染色を生成する可能性が最も高い染色条件の判定を可能にする。
[0153] ある実施形態では、計算したカットオフ値または所定のカットオフ値はエントロピー・カットオフ値である。他の実施形態では、計算したカットオフ値または所定のカットオフ値は、平均-分散比カットオフ値である。更に他の実施形態では、計算したカットオフ値または所定のカットオフ値は、エントロピー・カットオフ値または平均-分散比カットオフ値の何らかの数値的組み合わせである値である。
[0154] 染色不一致の性格付け(qualification)(根本原因分析)
[0155] カットオフ値と一致しない染色品質を有するスライドを更に評価して、染色品質の欠陥または不一致の根本原因を判定することができる。1つ以上の計算したメトリックを更に分析することにより、染色品質の欠陥または不一致を性格付けすることができる(例えば、計装の問題/相違、試薬の問題/相違、調製の不一致等に起因する)。染色品質の性格付けは、スライドを処置してあらゆる染色または標識付けの欠陥を訂正することができるように、あるいは計器処理パラメータを調節して要求性能判断基準(requisite performance criteria)を満たすスライドを提供することができるように、ユーザに出力することができる。ある実施形態では、染色をリアル・タイムで監視できるように、または組織試料のいずれのバット処理にも先だって検査を実行できるように、特許請求する開示(claimed disclosure)のデバイスおよび/または方法を染色装置に結び付ける(tied to)ことができる。自動染色器具(instrumentation)上において染色特性が知られている組織または異種移植切片を有する対照スライドを通す(running)により、基準試料が得られ、このような標準化された試料に対して期待される染色成果とこの基準試料を比較することができる。染色品質測定値が期待成果とは異なる場合、計器上で貴重な臨床試料が通される前に、計器が正常に動作していることを確認してもよい。染色メトリックにおける特定の偏差と計器障害メカニズムとの間には、既知の相関関係が存在する場合がある。例えば、不十分な洗浄が、高い非特異的バックグラウンド測定値および高いエントロピー測定値を生ずる可能性がある。この情報は、計器障害の診断、およびその後の計器の修理において使用することができる。
[0156] 一例として、そして図9Aを参照すると、被採点スライド(scored slide)をスキャンし(ステップ(910)、結果が不一致であるか否かに関して評価を行う(ステップ(920))。不一致の結果がスライド染色装置またはスキャナが原因で発生したのか否か判定するために、別の撮像計器上でスライドを分類し(ステップ(930))、スライドが染色仕様を満たす場合(ステップ(940))、不一致についてスキャナをチェックすればよい。一方、スライドが染色仕様を満たさない場合(ステップ(950))、不一致について染色装置をチェックすればよい。スライド染色が仕様範囲内に該当すると判定された場合、不一致の結果につながるアーチファクトは撮像プロセスに起因するとしてよい。スライド評価に影響を及ぼす撮像プロセスの態様(aspects)は、標本の焦点ぼけ、汚れた光学部品、カメラの電子回路の誤動作、照明装置の誤動作、および標本位置決めメカニズムに伴う問題を含むことができる。撮像の問題の原因を絞り込むために、異常なスキャン画像の検査および/または測定によって、撮像機器の特徴(diagnostic)である特性的アーチファクトを解明することができる。画像測定の一例を挙げるとすると、派生画像(derivative image)に対する異常に低い値であろう。これは、構造の縁が焦点外れであることを暗示する。
[0157] 他の例として、斑点アーチファクトの根本原因を発見するために、可能な原因(例えば、試薬の安定性、プロトコル変更、あるいは特定の機械または計器)を離別する(isolate)ために実験を行うこともできる。図9Bを参照のこと。例えば、エントロピーおよびM/V比のようなメトリックを各変数の観点で測定して比較し、個々の変数の内いずれかが、被観測アーチファクトに対して大きな影響を有するか否か判定することができる。スライド染色の条件の全てが、洗浄の厳しさ(washing stringency)のような1つの変数を除いて、一定に保持されるとき、エントロピーおよびM/V比のような複数のメトリックを使用して、この変数の影響を測定すればよい。この変数の偏差が、他方のメトリックよりも一方のメトリックに向かって偏る影響を有する可能性があり、例えば、M/V比がエントロピーよりも大きな偏差を示すこと、またはその逆があり得る。何らかの染色の混乱(perturbation)が、メトリック毎に特性の値を高く(または低く)する結果となることもあり得る。既知の異常条件下で撮像された多くのスライドから決定された基準データ集合を組み合わせることにより、スライドのクラスタリングを可能にするパターンが未知の染色条件から現われ、測定値のグループ毎に最も可能性が高い根本原因に相関付けられる。
[0158] 標識ターゲット用検体およびコンポーネントの例
[0159] ある実施形態では、検出対象染色または検体は、1つ以上の量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体(enzyme-deposited fluorophores)、または発色性染料、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。ここに開示する実施形態の内、例3、4、および5を含むものは、1つ以上の量子ドットで標識付けされた組織試料を引用することもあるが、本開示は量子ドットの使用に限定されるのではない。例示的な標識には、放射性同位体、蛍光体、量子ドット、発色団、発色性明視野剤(chromogenic brightfield agent)、リガンド、化学発光剤、酵素沈着蛍光体、ハプテン、およびこれらの組み合わせが含まれる。実際、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・プローブにおける標識付けには、多種多様の蛍光体および発色性染料が利用可能であり、以下で更に説明するように、発光(または吸光)は、スペクトルの紫外線端部から近赤外線までに及ぶ。一般に、最も頻繁に使用される蛍光体は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、およびシアニンを含む、様々な一般的な化学クラスに属する。銀染料およびファスト・レッド染料(fast red stain)は、当業者によって使用されてもよい、酵素沈着発色性染料または吸光性染料の例である。標識付け方法、および種々の目的に適した標識の選択における指針については、例えば、Sambrook et al,のMolecular Cloning: A Laboratory Manual,(分子クローニング:実習マニュアル)、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、およびAusubel et al.,のCurrent Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル)、Greene Publishing Associates and Wiley-lntersciences (1987)において論じられている。これらの文献をここで引用したことによりその内容が本願にも含まれるものとする。勿論、当業者は、染色品質および/または均一性の評価を行うことができるように、これらおよびその他の薬剤を受け入れる(accommodate)ために、本明細書において採用される方法を適応化することができるであろう。
[0160] 検出可能な標識は直接または間接的に検出することができ、異なる特異的結合分子に共役された様々な異なる検出可能な標識を、1つ以上のターゲットを検出するために、組み合わせて使用することができる。例えば、ターゲットに特異的な抗体に共役されたハプテンのような第1検出可能標識は、第1検出可能標識を特異的に結合する分子に共役された第2検出可能標識の使用によって間接的に検出することができる。試料における複数のターゲットの同時検出を行うことができる多重化アッセイを提供するために、別個に検出することができる複数の検出可能な標識を、特異的に異なるターゲットを結合する異なる特異的結合分子に共役することができる。光子の吸収、放出、および/または散乱を含む、任意の既知のメカニズムまたは未だ発見されていないメカニズムによって、検出可能なシグナルを産生することができる(無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線周波数、可視光周波数、および紫外線周波数光子を含む)。先に説明したように、検出可能な標識または検体には、着色、蛍光、燐光、および発光性分子ならびに材料、検出可能な相違を得るために1つの物質を他の物質に変換する触媒(酵素のような)(無色の物質を着色物質に変換することによって、またはその逆によって、あるいは沈殿物を生成するまたは試料の混濁を増大させることによってというようにして)、追加の検出可能に標識付けされた抗体複合体(antibody conjugate)、ならびに常磁性または磁性分子あるいは材料を使用して、抗体-ハプテン結合相互作用によって検出することができるハプテンが含まれる。検出可能な標識の特定的な例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ・ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、またはβグルクロニダーゼのような酵素、フルオレセイン、ルミノホル、クマリン、BODIPY染料、レソルフィン、およびローダミンのような蛍光体(蛍光分子の多くの追加例は、The Handbook- A Guide lo Fluorescent Probes and Labeling Technologies, Molecular Probes(ハンドブック-蛍光プローブおよび標識付け技術、分子プローブに対する指針)、オレゴン州、ユージーン(Eugene)において見出すことができる)、量子ドット等のナノ粒子(以下で更に説明する)、Gd3+のような放射性または常磁性金属イオンのDOTAおよびDPTAキレート等の金属キレート、ならびにリポソーム、例えば、捕捉蛍光分子を含有するリポソームを含む。ここで、検出可能な標識が酵素を含む場合、色原体のような検出可能な基質、蛍光性化合物、または発光性化合物を該酵素と組み合わせて使用し、検出可能なシグナルを産生することができる(多種多様なかかる化合物は、例えば、Invitrogen Corporation,Eugene ORから商業的に入手可能である)。発色性化合物の特定的な例は、ジアミノベンジジン(DAB)、4−ニトロフェニルリン酸(pNPP)、ファスト・レッド、ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファスト・レッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンゾチアゾリンスルホン酸](ABTS)、o−ジアニシジン、4−クロロナフトール(4−CN)、ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、o−フェニレンジアミン(OPD)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−Gal)、メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド(MU−Gal)、p−ニトロフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(PNP)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド(X−Gluc)、3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウム・ブルーおよびテトラゾリウム・バイオレットを含む。あるいは、酵素を金属組織検出方式で使用することができる。金属組織検出方法は、アルカリ・ホスファターゼ等の酵素を水溶性金属イオンおよび当該酵素の酸化還元に不活性な基質と組み合わせて使用するステップを含む。ある実施形態では、基質は、酵素によって酸化還元に活性な薬剤に変換され、この酸化還元に活性な薬剤は金属イオンを還元し、検出可能な沈殿物を形成する。例えば、2004年12月20日に出願された米国特許出願第11/015,646号、PCT公開番号第2005/003777号、および米国特許出願公開第2004/0265922号を参照のこと。これらの出願を各々ここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。金属組織検出方法は、水溶性金属イオン、酸化剤、および還元剤と併せて、酸化還元酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)を使用して、再度検出可能な沈殿物を作製するステップを含む。例えば、米国特許第6,670,113号を参照のこと。この出願をここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。ハプテンは、特異的に抗体によって結合される小分子であるが、それら自体は動物において免疫応答を惹起せず、免疫応答を生成するには、最初にタンパク質等のより大きい担体分子に付着されなければならない。ハプテンの例には、ジニトロフェニル、ビオチン、ジゴキシゲニン、およびフルオレセインを含まれる。 オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラン、トリペルペン、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリンおよびシクロリグナンハプテンの追加の例は、2006年11月1日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第60/856133号において開示されている。この出願をここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
[0161] ナノ結晶量子ドットとは、半導体ナノ結晶粒子であり、通例約2〜10nmの範囲を取るサイズである。量子ドットは、安定な蛍光体であり、光退色に耐性であることが多く、そして広範囲の励起波長および狭い発光スペクトルを有する。本明細書において使用する場合、「量子ドット」という用語は、一般に、CdSeナノ粒子およびCdTeを含む発光半導体ナノ粒子、または他の発光半導体ナノ粒子をカバーするように広義に読解されてしかるべきである。このような粒子は、球体、棒体、線体、またはその他を含む任意の幾何学的形状をなすことができる。金粒子も使用することができる。
[0162] 量子ドットは、例えば、半導体材料(例えば、セレン化カドミウムおよび硫化鉛)、および結晶(分子線エピタキシーによって成長させる)などから構築されている。 様々な界面化学および蛍光特性を有する種々の量子ドットが、Invitrogen Corporation(オレゴン州、ユージーン(Eugene))、または Invitrogen Nanocrystal Technologies(カリフォルニア州、ヘイワード(Hayward))から市販されている(例えば、米国特許第6,815,064号、第6,682,596号および第6,649,138号を参照のこと。これらの特許の各々をここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする)。また、量子ドットはまた、Evident Technologies(ニューヨーク州、トロイ(Troy))からも市販されている。他の量子ドットには、ZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdSSe、CdSeTe、ScSTe、HgSSe、HgSeTe、HgSTe、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、ZnCdSSe、ZnHgSSe、ZnCdSeTe、ZnHgSeTe、CdHgSSe、CdHgSeTe、InGaAs、GaAlAsおよびInGaN量子ドットのような合金量子ドットが含まれる。
[0163] 更に他の市販されている量子ドットには、Life Technologies、IncからのQdot(商標)という製品名で提供されているものが含まれる。例示的な実用的実施形態(working embodiment)は、Qdot(商標)565およびQdot(商標)655ナノ結晶のような量子ドットを利用し、このような名称において使用される数値は、ナノ粒子の発光最大値の大まかな波長を示す。例えば、Qdot(商標)565ナノ結晶は、565nmの波長を有する光を放出し、明るい緑色を生成する。このように、特定の波長において検出可能なシグナルを供給するように量子ドットを選択することができる。検出は、所与の用途に応じて、種々の手段、例えば、蛍光顕微鏡、蛍光光度計、蛍光スキャナ等によって行われる。
[0164] 複数の異なる発光特性を有する複数の異なる量子ドットを使用して、複数の異なるターゲットを同定できるように、特定の波長における発光というような、特定の発光特性を有する量子ドットを選択することができる。量子ドット・バイオコンジュゲート(bioconjugate)は、入手可能な従前からの最も明るい蛍光染料に相当する量子収量によって特徴付けられる。加えて、これらの量子ドット系発光体は、従前の蛍光染料よりも、約10〜1000倍多い光を吸収する。量子ドットからの発光は狭く対称的であり、これが意味するのは、他の色との重複が最小限に抑えられるということであり、その結果、隣接する検出チャネルへの裏抜けが最小限となり、クロストークが減衰し、検出目的のために異なる発光を行う量子ドットの同時多重化が可能になる。対称的で調整可能な発光スペクトルは、粒子のサイズおよび材料組成にしたがって変化させることができ、これにより実質的にスペクトル重複がなく、量子ドットの柔軟で密接な配列(spacing)を可能にする。加えて、これらは吸収スペクトルが広いので、1つの励起波長を使用して、全ての量子ドット色彩変異(quantum dot color variant)を同時に励起することが可能になり、これによって試料の自己蛍光を最小限に抑える。
[0165] 本開示の実施形態を実施するためのその他のコンポーネント
[0166] 本開示のコンピュータ・システムは、組織標本上で1つ以上の調製プロセスを実行することができる標本処理装置に繋ぐことができる。調製プロセスは、限定ではなく、標本を脱パラフィンし、標本をコンディショニングし(例えば、細胞コンディショニング)、標本を染色し、抗原賦活化を実行し、免疫組織化学染色(標識付けを含む)または他の反応を実行し、および/またはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(例えば、SISH、FISH等)染色(標識付けを含む)または他の反応を実行し、更には、顕微鏡撮影法、微細分析、質量分光分析法、または他の分析方法のために標本を調製する他のプロセスを実行することを含むことができる。
[0167] 標本処理装置は、定着剤を標本に適用することができる。定着剤は、架橋剤(アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒド、ならびに非アルデヒド架橋剤のような)、酸化剤(例えば、四酸化オスミウムおよびクロム酸のような、金属イオンおよび複合体)、タンパク質変性剤(例えば、酢酸、メタノールおよびエタノール)、定着剤の未知のメカニズム(例えば、塩化第二水銀、アセトンおよびピクリン酸)、組合せ試薬(例えば、カルノア固定液、メタカーン、ブアン液、B5定着剤、ロスマンの液体およびジャンドルの液体)、マイクロ波および種々雑多な固定剤(例えば、体積固定および蒸気固定を除く)を含むことができる。
[0168] 標本がパラフィン埋め込み試料である場合、適切な脱パラフィン液(1つまたは複数)を使用してこの試料を脱パラフィンすることができる。廃物除去装置が脱パラフィン液(1つまたは複数)を除去した後、任意の数の物質を連続的に標本に適用することができる。物質は、前処置(例えば、タンパク質架橋、核酸露出等)、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄(例えば、ストリンジェンシ洗浄)、検出(例えば、視覚、またはマーカ分子をプローブにリンクする)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子等を増幅する)、対比染色、封入処理等のためとすることができる。
[0169] 標本処理装置は、広範囲の物質を標本に適用することができる。物質は、限定ではなく、染料、プローブ、試薬、リンス、および/またはコンディショナを含む(以後纏めて「染料」と呼ぶ)。物質は、流体(例えば、気体、液体、または気体/液体混合物)等とすることができる。流体は、溶媒(例えば、極性溶媒、非極性溶媒等)、溶液(例えば、水溶液または他のタイプの溶液)等とすることができる。試薬は、限定ではなく、 染料、湿潤剤、プローブ、抗体(例えば、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体等)、抗原回復流体(例えば、水性または非水性系抗原光源緩衝液(retrieval solutions)、抗原光源回復緩衝剤(buffer)等)を含むことができる。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子に付着した(attached)単離核酸または単離合成オリゴヌクレオチドとすることができる。標識は、放射性同位体、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光または蛍光剤、ハプテン、および酵素を含むことができる。
[0170] 標本処理装置は、Ventana Medical Systems,Inc.が販売するBENCHMARK XT計器およびSYMPHONYC計器のような、自動装置とすることができる。Ventana Medical Systems,Inc.は、自動解析を行うためのシステムおよび方法を開示する多数の米国特許の譲受人であり、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号、および第6,943,029号、および米国公開出願第2003/0211630号および第2004/0052685号を含む。これらの特許文書をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。あるいは、標本を手作業で処理することもできる。
[0171] 標本を処理した後、ユーザは、標本支持スライドを撮像装置に移送することができる。撮像装置は、明視野撮像スライド・スキャナ、スキャナまたはスペクトル・カメラと関連付けられたまたはこれを含む顕微鏡、あるいはある範囲の周波数において画像コンテンツをキャプチャすることができ、ハイパースペクトルまたは蛍光撮像を可能にする任意のソースであってもよい。明視野撮像装置の1つに、Ventana Medical Systems,Inc.が販売するiScan Coreo(商標)明視野スキャナがある。自動化された実施形態では、撮像装置は、IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUES(撮像システムおよび技法)と題する国際特許出願第PCT/US2010/002772号(特許公報第WO/2011/049608号)、またはIMAGING SYSTEMS, CASSETTES, AND METHODS OF USING THE SAME(撮像システム、カセット、およびこれらの使用方法)と題する米国特許出願第61/533,114号、2011年9月9日出願に開示されるようなディジタル病理デバイスである。国際特許出願第PCT/US2010/002772号および米国特許出願第61/533,114号をここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。他の実施形態では、撮像装置には、顕微鏡に結合されたディジタル・カメラが含まれる。
[0172] 本明細書において説明した主題および動作の実施形態は、ディジタル電子回路において、あるいは本明細書に開示する構造およびその構造的同等物を含めて、コンピュータ・ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアにおいて、あるいは1つ以上のこれらの組み合わせにおいて、実現することができる。本明細書において説明した主題の実施形態は、1つ以上のコピュータ・プログラム、即ち、データ処理装置によって実行するため、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体上にエンコードされる、1つ以上のコンピュータプ・ログラム命令のモジュールとして実現することができる。本明細書において説明したモジュールの内任意のものは、プロセッサ(1つまたは複数)によって実行されるロジックを含むこともできる。
[0173] 前述のように、モジュールは、プロセッサ105によって実行されるロジックを含む。「ロジック」とは、ここでそして本開示全域で使用される場合、プロセッサの動作に作用ために適用することができる命令信号および/またはデータの形態を有する任意の情報を指す。ソフトウェアは、このようなロジックの一例である。また、ロジックは、ディジタルおよび/またはアナログ・ハードウェア回路、例えば、論理AND、OR、XOR、NAND、NOR、およびその他の論理演算を含むハードウェア回路も含むことができる。ロジックは、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで形成されてもよい。ネットワーク上では、ロジックは、サーバまたはサーバの複合体上でプログラミングされてもよい。特定の論理ユニットは、ネットワーク上における1つの論理位置には限定されない。
[0174] コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶デバイス、コンピュータ読み取り可能記憶基板、ランダムまたは連続アクセス・メモリ・アレイまたはデバイス、あるいはその1つ以上の組み合わせであることができ、あるいはこれらに含まれることも可能である。更に、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号にエンコードされたコンピュータプ・ログラム命令の供給源または宛先であることが可能である。また、コンピュータ記憶媒体は、1つ以上の別個の物理コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)であることもでき、あるいはこれらに含まれることも可能である。本明細書において説明した動作は、1つ以上のコンピュータ読み取り可能記憶デバイス上に格納されているデータ、または他のソースから受け取られたデータに対してデータ処理装置によって実行される動作として実現することができる。
[0175] 「プログラミングされたプロセッサ」という用語は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を含み、例えば、プログラム可能なマイクロプロセッサ、コンピュータ、1つまたは複数のシステム・オン・チップ、あるいは以上のものの組み合わせを包含する。前述の装置には、特殊用途のロジック回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途集積回路)を含むことができる。また、前述の装置には、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプ・ログラムのための実行環境を形成するコード、例えば、プロセッサ・ファームウェア、プロトコル・スタック、データベース管理システム、オペレーティング・システム、クロスプラットフォーム・ランタイム環境、仮想機械、あるいはこれらの1つ以上の組み合わせを含むことができる。前述の装置および実行環境は、ウェブ・サービス、分散型コンピューティング、およびグリッド・コンピューティング・インフラストラクチャのような、種々の異なるコンピューティングモデル・インフラストラクチャを実現することができる。
[0176] コンピュータプ・ログラム(別名プログラム、ソフトウェア、ソフトウェア・アプリケーション、スクリプト、またはコード)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、更にこれは、単体プログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境における使用に適した他のユニットとしてを含む、任意の形態でデプロイすることができる。コンピュータプ・ログラムは、ファイル・システムにおけるファイルに対応することができるが、そうする必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書中に格納される1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に格納されてもよく、対象のプログラムに専用に割り当てられる1つのファイルに格納されてもよく、あるいは複数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を格納するファイル)に格納されてもよい。コンピュータプ・ログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは1つのサイトに位置するか、または複数のサイトにまたがって分散され、そして通信ネットワークによって相互接続される、複数のコンピュータ上で実行されるようにデプロイすることもできる。
[0177] 入力データに対して動作し、出力を生成することによって、アクションを実行する1つ以上のコンピュータプ・ログラムを実行する1つ以上のプログララマブル・プロセッサによって、本明細書に記載したプロセスおよびロジック・フローを実行することができる。また、プロセスおよびロジック・フローは、特殊用途のロジック回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途集積回路)によって実行することもでき、更に装置も、こうしたロジック回路として実装することができる。
[0178] コンピュータプ・ログラムの実行に適したプロセッサは、例えば、汎用および特殊用途マイクロプロセッサの双方、ならびに任意の種類のディジタル・コンピュータの任意の1つ以上のプロセッサも含まれる。一般に、プロセッサは、命令およびデータを読み取り専用メモリまたはランダム・アクセス・メモリあるいは両方から受け取る。コンピュータの必須要素は、命令にしたがって動作を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリ・デバイスである。一般に、コンピュータはデータを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクも含み、あるいはこのようなデバイスからデータを受け取るかまたはこのようなデバイスにデータを転送するか、あるいは双方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータはこのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータは、他のデバイス、例えば、移動体電話、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、移動体オーディオまたはビデオプレーヤ、ゲーム・コンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、あるいは携帯用記憶デバイス(例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュ・ドライブ)、更にはその他多くのデバイスに埋め込むことができる。コンピュータプ・ログラム命令およびデータを記憶するのに適したデバイスには、すべての形式の不揮発性メモリ、媒体およびメモリ・デバイスが含まれ、一例として、半導体記憶デバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハード・ディスクまたはリムーバブル・ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特殊用途ロジック回路によって補充すること、またはこのロジック回路に組み込むこともできる。
[0179] ユーザとの対話処理に備えるため、本明細書において説明した主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ・デバイス、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、ならびにユーザがコンピュータに入力を供給することができるキーボードおよびポインティング・デバイス、例えば、マウスまたはトラックボールを有するコンピュータ上に実装することができる。ある実施態様では、タッチスクリーンを使用して情報を表示し、そしてユーザからの入力を受け取ることができる。また、他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話処理に備えることもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックが、任意の形式の感覚フィードバック、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックとすることができ、そしてユーザからの入力を、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形式で受け取ることができる。加えて、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスに文書を送り、そしてこのデバイスから文書を受け取ることによって、例えば、ウェブ・ブラウザから受けた要求に応じて、ユーザのクライアント・デバイス上のウェブ・ブラウザにウェブ・ページを送ることによって、ユーザと対話処理することができる。
[0180] 本明細書において説明した主題の実施形態は、例えば、データ・サーバのようなバック・エンド・コンポーネントを含むか、あるいはミドルウェア・コンポーネント、例えば、アプリケーション・サーバを含むか、あるいはフロント・エンド・コンポーネント、例えば、ユーザが本明細書において説明した主題の実施態様と相互作用することができるグラフィカル・ユーザ・インターフェースまたはウェブ・ブラウザを有するクライアント・コンピュータを含むコンピューティング・システム、あるいは1つ以上のこのようなバックエンド、ミドルウェアまたはフロント・エンド・コンポーネントの任意の組み合わせで実現することができる。任意の形式または媒体のディジタル・データ通信、例えば、通信ネットワークによって、本システムのコンポーネントを相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)およびワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、相互ネットワーク(例えば、インターネット)、ならびにピア・ツー・ピア・ネットワーク(例えば、アドホック・ピア・ツー・ピア・ネットワーク)が含まれる。例えば、図1Aのネットワーク109には、1つ以上のローカル・エリア・ネットワークを含むことができる。
[0181] コンピューティング・システムには、任意の数のクライアントおよびサーバ含むことができる。クライアントおよびサーバは、通常互いに離れており、そして通信ネットワークを通じて相互作用するのが通例である。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、そして互いにクライアント−サーバ関係を有するコンピュータプ・ログラムによって生じる。ある実施形態では、サーバは、データ(例えば、HTMLページ)をクライアント・デバイスに(例えば、クライアント・デバイスと対話処理するユーザにデータを表示し、そしてこのユーザからユーザ入力を受け取る目的で)送信する。クライアント・デバイスにおいて生成されるデータ(例えば、ユーザ対話処理の結果)を、サーバにおいてクライアント・デバイスから受信することができる。
[0182] 試料およびターゲット
[0183] 試料は、生物学的成分を含み、一般に、1つ以上の着目ターゲット分子を含むことが疑われる。ターゲット分子が細胞の表面上にある可能性があり、細胞は懸濁液内または組織切片内にあることができる。また、ターゲット分子は細胞内にあり、細胞分解、またはプローブによる細胞の貫入のときに検出されることが可能である。試料においてターゲット分子を検出する方法は、試料のタイプおよび使用されるプローブに応じて異なることは、当業者には認められよう。試料を収集し準備する方法は、当技術分野では周知である。
[0184] 組織または他の生物学的試料のような、本明細書において開示した方法の実施形態において、そして本明細書において開示した構成(composition)と共に使用する試料は、当業者によって当技術分野では周知の任意の方法を使用して調製することができる。試料は、定期検診の間に被験者から得ることができ、あるいは遺伝的異常、感染、または腫瘍のような障害を有することが疑われる被験者から得ることができる。また、開示する方法の説明する実施形態は、遺伝的異常、疾患、腫瘍等を有さない、「正常」試料と呼ばれる試料にも適用することができる。このような正常試料は、とりわけ、他の試料との比較のための対照(control)として有用である。試料は、多くの異なる目的のために分析することができる。例えば、試料は、被疑病弊の科学的研究においてまたはその診断のために、あるいは処置成功、生存等の予後指標として使用することができる。
[0185] 試料は、プローブまたはレポーター分子によって特異的に結合することができる複数のターゲットを含むことができる。ターゲットは、核酸配列またはタンパク質であることが可能である。本開示全体を通じて、ターゲット・タンパク質を引用するときは、そのタンパク質に関連付けられた核酸配列もターゲットとして使用できることは理解されよう。ある例では、ターゲットは、ウイルス・ゲノムからというような、ウイルス、バクテリア、または細胞内寄生生物というような、病原体からのタンパク質または核酸分子である。例えば、ターゲット・タンパク質は、疾病に関連付けられた(例えば、相関付けられた、因果的に巻き込まれた等)ターゲット核酸配列から産生されてもよい。
[0186] ターゲット核酸配列は、サイズが著しく異なる可能性がある。限定ではなく、核酸配列は、可変数の核酸残基を有する可能性がある。例えば、ターゲット核酸配列は、少なくとも約10個の核酸残基、または少なくとも約20、30、50、100、150、500、1000個の核酸残基を有することもあり得る。同様に、ターゲット・ポリペプチドも、サイズが著しく異なる可能性がある。限定ではなく、ターゲット・ポリペプチドは、ペプチド特異的抗体、またはその断片に結合する少なくとも1つのエピトープを含む。ある実施形態では、このポリペプチドは、ペプチド特異的抗体またはその断片に結合する少なくとも2つのエピトープを含むこともあり得る。
[0187] 特定の非制限的な例において、ターゲット・タンパク質は新生物(例えば、癌)と関連のあるターゲット核酸配列(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)によって産生される。多くの染色体異常(転座および他の再配置、増幅または欠損を含む)を、腫瘍細胞、特に癌細胞、例えば、B細胞およびT細胞白血病、リンパ腫、乳癌、大腸癌、神経性腫瘍等において同定した。したがって、ある例では、ターゲット分子の少なくとも一部を、試料中の少なくとも細胞の部分集合において、増幅または除去された核酸配列(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)によって産生した。
[0188] 発癌遺伝子がいくつかのヒトの悪性腫瘍の原因であることが知られている。例えば、染色体18q11.2の切断点領域に位置するSYT遺伝子を含む染色体再配置が、滑膜肉腫軟部組織腫瘍において一般的である。例えば、プローブと異なる標識を使用して、t(18q11.2)転座を同定することができる。第1プローブは、SYT遺伝子から遠位に延在するターゲット核酸配列から発生するFPC核酸分子を含み、第2プローブは、3’またはSYT遺伝子の近位に延在するターゲット核酸配列から発生するFPC核酸を含む。これらのターゲット核酸配列(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)に対応するプローブを、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション法において使用するとき、正常細胞は、SYT遺伝子領域にてt(18q11.2)を欠損し、2つの融合シグナル(近接近の2つのラベルから生じる)を示し、SYTの2つの完全なコピーを反映する。t(18q11.2)を有する異常細胞は、単一の融合シグナルを示す。
[0189] 他の例において、核酸配列(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)から産出されるターゲット・タンパク質は、悪性細胞において消失(欠失)する腫瘍抑制因子遺伝子であるものを選択する。例えば、染色体9p21に位置するp16領域(D9S1749、D9S1747、p16(INK4A)、p14(ARF)、D9S1748、p15(INK4B)およびD9S1752を含む)は、特定の膀胱癌にて消失する。染色体1の短腕の末端領域(例えば、SHGC57243、TP73、EGFL3、ABL2、ANGPTL1およびSHGC−1322を包含する)および動原体周辺領域(例えば、19p13−19q13)の染色体19(例えば、MAN2B1、ZNF443、ZNF44、CRX、GLTSCR2およびGLTSCR1を包含する)を含む染色体消失は、特定の中枢神経系の固形腫瘍に特徴的な分子特性である。
[0190] 前述の例は、単に説明の目的に限って示したのであって、限定することを目的とするのではない。腫瘍性形質転換および/または成長と相関関係がある多くの他の細胞発生異常が、当業者には知られている。核酸配列によって産出されるターゲット・タンパク質(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)は、腫瘍性形質転換と相関し、開示した方法において有用であり、更に、EGFR遺伝子(7p12、例えば、GENBANK(商標)取得番号_NC_000007、ヌクレオチド55054219-55242525)、C−MYC遺伝子(8q24.21、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000008、ヌクレオチド128817498-128822856)、D5S271(5p15.2)、リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子(8p22、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000008、ヌクレオチド19841058-19869049)、RB1(13q14、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000013、ヌクレオチド47775912-47954023)、p53(17p13.1、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000017、相補体、ヌクレオチド7512464-7531642))、N−MYC(2p24、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000002、相補体、ヌクレオチド151835231-151854620)、CHOP(12q13、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000012、相補体、ヌクレオチド56196638-56200567)、FUS(16p11.2、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000016、ヌクレオチド31098954ー31110601)、FKHR(13p14、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000013、相補体、ヌクレオチド40027817-40138734)、ならびに、例えば、ALK(2p23、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000002、相補体、ヌクレオチド29269144-29997936)、Ig重鎖、CCND1(11q13、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000011、ヌクレオチド69165054-69178423)、BCL2(18q21.3、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000018、相補体、ヌクレオチド58941559-59137593)、BCL6(3q27、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000003、相補体、ヌクレオチド188921859-188946169)、MALF1、AP1(1p32−p31、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000001、相補体、ヌクレオチド59019051-59022373)、TOP2A(17q21−q22、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000017、相補体、ヌクレオチド35798321-35827695)、TMPRSS(21q22.3、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000021、相補体、ヌクレオチド41758351-41801948)、ERG(21q22.3、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000021、相補体、ヌクレオチド38675671-38955488)、ETV1(7p21.3、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000007、相補体、ヌクレオチド13897379-13995289)、EWS(22q12.2、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000022、ヌクレオチド27994271-28026505)、FLI1(11q24.1−q24.3、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000011、ヌクレオチド 128069199-128187521)、PAX3(2q35-q37、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000002、相補体、ヌクレオチド222772851-222871944)、PAX7(1p36.2−p36.12、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000001、ヌクレオチド18830087-18935219)、PTEN(10q23.3、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000010、ヌクレオチド89613175-89716382)、AKT2(19q13.1−q13.2、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000019、相補体、ヌクレオチド45431556-45483036)、MYCL1(1p34.2、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000001、相補体、ヌクレオチド40133685-40140274)、REL(2p13−p12、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000002、ヌクレオチド60962256-61003682)およびCSF1R(5q33-q35、例えば、GENBANK(商標)取得番号NC_000005、相補体、ヌクレオチド149413051-149473128)を含む。
[0191] 他の例では、ターゲット・タンパク質は、疾病または状態に関連するウイルスまたは他の微生物から選択される。細胞または組織試料におけるウイルスまたは微生物の誘導ターゲット核酸配列(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)の検出は、生命体の存在を示す。例えば、ターゲット・ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、発癌性のゲノムまたは病原性ウイルス、バクテリアまたは細胞内寄生虫(例えば、熱帯熱マラリア原虫および他の帯熱マラリア種、リーシュマニア(sp.)、クリプトスポリジウムパルブス、およびランブル鞭毛虫、更にはトキソプラズマ属、アイメリア属、タイレリア属およびバベシア属の種)から選択することができる。
[0192] ある例では、ターゲット・タンパク質は、ウイルス・ゲノムからの核酸配列(例えば、ゲノムターゲット核酸配列)から産出される。例示的なウイルスおよび相当するゲノム配列(括弧内にGENBANK(商標)RefSeq取得番号を記載する)には、ヒト・アデノウイルスA(NC_001460)、ヒト・アデノウイルスB(NC_004001)、ヒト・アデノウイルスC(NC_001405)、ヒト・アデノウイルスD(NC_002067)、ヒト・アデノウイルスE(NC_003266)、ヒト・アデノウイルスF(NC_001454)、ヒト・アストロウイルス(NC_001943)、ヒトBKポリオーマウイルス(V01109;GI:60851)ヒト・ボカウイルス(NC_007455)、ヒト・コロナウイルス229E(NC_002645)、ヒト・コロナウイルスHKU1(NC_006577)、ヒト・コロナウイルスNL63(NC_005831)、ヒト・コロナウイルスOC43(NC_005147)、ヒト・エンテロウイルスA(NC_001612)、ヒト・エンテロウイルスB(NC_001472)、ヒト・エンテロウイルスC(NC_001428)、ヒト・エンテロウイルスD(NC_001430)、ヒト・エリスロウイルスV9(NC_004295)、ヒト泡沫状ウイルス(NC_001736)、ヒト・ヘルペスウイルス1(単純ヘルペスウイルス1型)(NC_001806)、ヒト・ヘルペスウイルス2(単純ヘルペスウイルス2型)(NC_001798)、ヒト・ヘルペスウイルス3(水痘帯状疱疹ウイルス)(NC_001348)、ヒト・ヘルペスウイルス4の1型(エプスタインバー・ウイルス1型)(NC_007605)、ヒト・ヘルペスウイルス4の2型(エプスタインバー・ウイルス2型)(NC_009334)、ヒト・ヘルペスウイルス5病原菌AD169(NC_001347)、ヒト・ヘルペスウイルス5病原菌マーリン・ストレイン(NC_006273)、ヒト・ヘルペスウイルス6A(NC_001664)、ヒト・ヘルペスウイルス6B(NC_000898)、ヒト・ヘルペスウイルス7(NC_001716)、ヒト・ヘルペスウイルス8のM型(NC_003409)、ヒト・ヘルペスウイルス8のP型(NC_009333)、ヒト免疫不全ウイルス1(NC_001802)、ヒト免疫不全ウイルス2(NC_001722)、ヒト・メタ肺炎ウイルス(NC_004148)、ヒト・パピロマウイルス-1(NC_001356)、ヒト・パピロマウイルス-18(NC_001357)、ヒト・パピロマウイルス-2(NC_001352)、ヒト・パピロマウイルス54(NC_001676)、ヒト・パピロマウイルス61(NC_001694)、ヒト・パピロマウイルス-cand90(NC_004104)、ヒト・パピロマウイルスRTRX7(NC_004761)、ヒト・パピロマウイルス10型(NC_001576)、ヒト・パピロマウイルス101型(NC_008189)、ヒト・パピロマウイルス103型(NC_008188)、ヒト・パピロマウイルス107型(NC_009239)、ヒト・パピロマウイルス16型(NC_001526)、ヒト・パピロマウイルス24型(NC_001683)、ヒト・パピロマウイルス26型(NC_001583)、ヒト・パピロマウイルス32型(NC_001586)、ヒト・パピロマウイルス34型(NC_001587)、ヒト・パピロマウイルス4型(NC_001457)、ヒト・パピロマウイルス41型(NC_001354)、ヒト・パピロマウイルス48型(NC_001690)、ヒト・パピロマウイルス49型(NC_001591)、ヒト・パピロマウイルス5型(NC_001531)、ヒト・パピロマウイルス50型(NC_001691)、ヒト・パピロマウイルス53型(NC_001593)、ヒト・パピロマウイルス60型(NC_001693)、ヒト・パピロマウイルス63型(NC_001458)、ヒト・パピロマウイルス6b型(NC_001355)、ヒト・パピロマウイルス7型(NC_001595)、ヒト・パピロマウイルス71型(NC_002644)、ヒト・パピロマウイルス9型(NC_001596)、ヒト・パピロマウイルス92型(NC_004500)、ヒト・パピロマウイルス96型(NC_005134)、ヒト・パラインフルエンザ・ウイルス1(NC_003461)、ヒト・パラインフルエンザ・ウイルス2(NC_003443)、ヒト・パラインフルエンザ・ウイルス3(NC_001796)、ヒト・パレコウイルス(NC_001897)、ヒト・パルボウイルス4(NC_007018)、ヒト・パルボウイルスB19(NC_000883)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(NC_001781)、ヒト・ライノウイルスA(NC_001617)、ヒト・ライノウイルスB(NC_001490)、ヒト・スプーマレトロウイルス(NC_001795)、ヒトT−リンパ向性ウイルス1(NC_001436)、ヒトT−リンパ向性ウイルス2(NC_001488)が含まれる。
[0193] 特定の例では、ターゲット・タンパク質は、発癌性ウイルス、例えば、エプシュタイン−バー・ウイルス(EBV)またはヒト・パピロマウイルス(HPV、例えば、HPV16、HPV18)からの核酸配列(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)から産出される。他の例では、核酸配列から産出されるターゲット・タンパク質(例えば、ゲノム・ターゲット核酸配列)は、病原性ウイルス、例えば、呼吸器合胞体ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(例えば、SARSウイルス)、アデノウイルス、ポリオーマウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、または単純疱疹ウイルス(HSV)に由来する。
[0195] 例1-画像エントロピーを計算するアルゴアリズムを記述する擬似コードの見本
[0196] エントロピー計算関数(引数=ヒストグラム)
[0197] 合計=0
[0198] エントロピー=0
[0199] ヒストグラムにおけるビン毎に:合計=合計+ビン度数
[0200] ヒストグラムにおけるビン毎に:確率=ビン度数合計
[0201] 確率>0.99/合計である場合、
[0202] エントロピー=エントロピー+(-1×確率×(log(確率)/log(2.0))
[0203] エントロピーを戻す。
[0204] 例2-画像平均/分散比を計算するアルゴリズムを記述する擬似コードの見本
[0205] 画素平均:分散計算(引数=画素値のリスト)
[0206] 平均画素値=平均(画素値のリスト)
[0207] 画素値分散=(標準偏差(画素値のリスト))2
[0208] 平均:分散比=平均画素値/画素値分散
[0209] 平均:分散比を戻す
[0210] 例3-スライド調製および撮像
[0211] DIG=3-[(3S,5R,8R,9S,10S,12R,13S,14S,17R)-3,12,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-1,2,3,4,5,6,7,8,9,11,12,15,16,17-テトラデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-17-y1]-2H-フラン-5-オン
[0212] DNP=2,4-ジニトロフェニル
[0213] 同じ組織のマイクロアレイ(TMA)ブロックからの切片を有する4つの異なるスライドを、5’3’ERG FISH染色品質について、量子ドット565および量子ドット655によって評価した。一方の波長の量子ドット(例えば、655nm)がDNP標識付きFISHプローブを標的とし、他方の量子ドット(例えば、565nm)がDIG標識付きFISHプローブを標的とするように、粒子を報告する量子ドットを、抗DNPハプテンまたは抗DIGハプテンのいずれかに共役させた。この特定的な例では、量子ドット655(3’プローブを標識付けする)の非特異的結合のレベルを、抗DIGモノクロナール抗体に共役した量子ドット655および抗DNPモノクロナール抗体に共役した量子ドット655を使用して比較した。3’ERGが量子ドット655抗DNPで標識付けされた場合、量子ドット(5’プローブ)を抗DIGに共役させた。量子ドット655がDIGハプテンを標識付けする場合、量子ドット565を抗DNPに共役させた。
[0214] 2週間の期間にわたって全てのスライドを染色し、ハプテン標識プローブおよび量子ドット原材料は全てのスライドで同一であった。光退色を最小限に抑えて組織コア上における複数のエリアの指定切片の厚さ方向の取得を可能にするために、取得を標準化および自動化し、標準化された発光(100mw)および露出(80ms)および倍率(32x)を取得の全てにおいて使用した。評価したスライド毎に、同じVCAP異種移植組織コアから3つの視野を取得した。視野毎に、スペクトル画像(96の波長、400nm〜800nmの波長まで)を3つの軸(z)位置(被写界深度1.8ミクロン、0.5ミクロン間隔)で撮影した。生データをz次元方向に投影し、線形最小二乗法を使用して、基準スペクトルと対比しつつ分離し、検体を表す画像を生成した(図13参照)。
[0215] 例4-分離画像の処理
[0216] 続いて、画像エントロピーおよびM/V比について、本明細書において開示した計算モジュール、ならびに例1および例2からのコードを使用して、分離検体レイヤを分析した。「受入可能」および「受入不可能」な染色であると判定されたスライドに対するメトリック値間の差の評価のために、メトリックを測定値の母集団に纏めた。この結果、スライド毎に3つの測定値が得られ(同じ異種移植ブロックの連続切片)、これらを使用してスライド毎に得られた値を比較し、数値記述子がスライド間の差を反映するか否か判定した。
[0217] 例5-メトリックの評価
[0218] 計算したメトリックがどのくらい整合するか判定するために、様々なスライドからの複数の測定値を取得し、箱髭図を使用してプロットし、各スライドからの測定値の分布を図示した。このフォーマットを使用して、計算したメトリック測定値の母集団を比較し、異なるスライドから取り込んだ測定値から計算したメトリック間の差が統計的に有意であるか否か判定した。
[0219] 図10は、ERG5’3’に標識付けされた4つのスライドFISHについて、画像エントロピーの比較を示す。「A」におけるデータは、DIGハプテンに共役されたQD565(緑)、およびDNPハプテンに共役されたQD655(赤)で染色されたスライドを表す。「B」および「C」におけるデータは、DNPハプテンに共役されたQD565、およびDIGハプテンに共役されたQD655で染色されたスライドから由来する。これらのスライドは、各々、「受入可能な」染色品質を有するスライドを表す。図10における各箱体は、3つの視野に対する測定値の分布を表し、視野毎に3つのz位置を取得した(白線は測定値の平均を示す)。量子ドット565および量子ドット655に対するエントロピー間の関係は、抗ハプテン結合体(anti-hapten conjugate)を交換することによって予期されたものと一致した(抗ハプテン結合体が、量子ドット材料よりも非特異的染色の尤度に影響を及ぼす場合)。「受入不可能な」バックグラウンド・レベルを表すデータ集合を、スライド「D」内に示す。スライドDが「受入不可能」であったのは、これが量子ドット・レポーターの重い非特異的沈着(heavy non-specific deposition)を含有し、スライドを解釈する能力を阻害させたからである。これらのプロットから分かるように、スライド「D」から測定された画像エントロピーに対する分布の限界は、この場合、受入可能なFISH染色スライド(「A」から「C」まで)から取り込んだ測定値と全く重複しなかった。
[0220] 図11は、ERG5’3’に標識付けした4つのスライドFISHについて、画像M/V比の比較を示す。「A」におけるデータは、DIGハプテンに共役されたQD565(緑)、およびDNPハプテンに共役されたQD655(赤)で染色されたスライドを表す。「B」および「C」におけるデータは、DNPハプテンに共役された、QD565、およびDIGハプテンに共役されたQD655で染色されたスライドから由来する。この場合も、これらのスライドは「受入可能な」品質を有する。各箱体は、3つの視野に対する測定値の分布を表し、視野毎に3つのz位置を取得した(白線は測定値の平均を示す)。受入不可能なバックグラウンド・レベルを表すデータ集合を「D」に示す(以上で使用したのと同じスライド)。これらのプロットから分かるように、スライド「D」から測定された画像M/V比に対する分布の限界は、この場合、Qdot565染色の場合に受入可能なFISH染色スライド(「A」から「C」まで)から取り込まれた測定値と全く重複しなかった。M/V比は、QD655の場合における受入可能なスライドに相当した。
[0221] 図12は、取得した着眼領域に対するエントロピー対M/V比の散布図を示す。赤いドットは各々、取得した着眼領域からの量子ドット655の染色を表し、緑色のドットの各々は、取得した着眼領域からの量子ドット565の染色を表す。このプロットから認めることができるように、受入可能なFISH染色を呈するスライドから取り込まれたM/V比に対する値の母集団は、このプロットにおける左下エリアに集中した。エントロピーおよびM/V比双方を考慮に入れたとき、バックグラウンド比が高い染色から取り込まれた測定値は明確に分離された。量子ドット655の場合、エントロピーは、受入可能および受入不可能な染色スライド間における主要な違い(distinction)であるように思われた。量子ドット565の場合、エントロピーおよびM/V比の値双方が、受入可能な染色を示す領域と比較して、高バックグラウンドの例において一定して著しく異なった。
[0222] このグループ(「D」)におけるスライドの内1つが、他のスライドとはレポーティング量子ドットの非特異的バックグラウンドのレベルが異なることが明白であった。また、記述的値のプロットもこの相違を伝えたが、有用な仕様を生み出す(develop)ことができる客観的数値形態においてであった。これによって、量子ドット染色FISHスライド上において非特異的染色バックグラウンドを一貫して報告する新規なメカニズムが提供されたことになる。したがって、これらの例は、複数の変数(エントロピー、平均強度、および分散)の測定値の組み合わせが、スライド染色分布間の差を区別するための複数の変数の使用を可能にすることを実証する。
[0223] 図14は、本発明の特定的な一実施形態を示し、均一性、分布、および散布度のメトリックを別個に計算する。第1ステップにおいて、組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、検体強度画像を得る(1410)。その後、3回の計算を実行する。これらの計算は、図示のように、直列または並列で実行することができる。均一性メトリックの計算1420、分布メトリックの計算1430、および散布度メトリックの計算1440を実行する。当業者は、これらのメトリックの計算に適したアルゴリズムを選択することができる。続くステップにおいて、計算したメトリックを、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に関する所定のカットオフ値と比較することによって、染色品質を評価する(1450)。
[0224] 以上、本明細書では特定的な実施形態を参照しながら本開示について説明したが、これらの実施形態は本開示の原理および用途を単に例示するに過ぎないことは理解されてしかるべきである。したがって、添付した請求項によって定められる本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して多数の変更を行うことができ、他の構成も考案できることは理解されよう。

Claims (15)

  1. イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学への適用のために染色品質を評価する方法であって、
    -組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、検体強度画像を得るステップ(1410)であって、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含む、ステップと、
    -前記検体強度画像における画素強度値に基づいて、均一性メトリックを計算し(1420)、および/または分布メトリックを計算し(1430)、および/または散布度メトリックを計算する(1440)ステップと、
    -前記計算したメトリックを、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に関する所定のカットオフ値と比較することによって、スライドの染色品質を評価するステップ(1450)であって、前記計算したメトリックが前記所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、前記スライドの染色品質が受入可能であると評価され、前記計算したメトリックが前記所定のカットオフ値と一致しない場合、前記スライドの染色品質が受入不可能であると評価される、ステップと、を含み、
    前記検体強度画像における画素強度値の均一性および分布の前記メトリックが、前記検体強度画像のエントロピー計算によって導き出され、
    前記検体強度画像における画素強度値の散布度の前記メトリックが、平均-分散比の値の計算によって導き出され、前記平均-分散比の値がそれぞれ、前記検体強度画像の各々から導き出される強度値の画像ヒストグラムから判定されるモード値および分散値に基づいて計算される、方法。
  2. 請求項1記載の染色品質を評価する方法において、前記エントロピー値が、前記検体強度画像(520)の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、計算される、方法。
  3. 請求項2記載の染色品質を評価する方法において、前記強度値の画像ヒストグラムが、各検体強度画像からの画素をビンにソートすることによって導き出される、方法。
  4. 請求項3記載の染色品質を評価する方法において、検体強度画像からサンプリングされた画素が前記それぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する前記確率が、前記導き出されたヒストグラムの全てのビンにおける画素の総数を合計して(550)、前記導き出されたヒストグラムにおける画素の総数を求め、前記ヒストグラムの各ビンにおける画素数を、前記ヒストグラムにおける画素の総数で除算して(560)、画素が特定のビン内に属する確率を求め、画素が特定のビンに属する各確率に、前記確率の2を基底とする対数を乗算して(570)ビット単位の値を求め、前記ビット単位の値を合計する(580)ことによって、計算される、方法。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項記載の染色品質を評価する方法において、前記平均-分散比の値が、前記導き出したヒストグラムから、測定強度モード値および測定強度分散値の比を計算する(540)ことによって、計算される、方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項記載の染色品質を評価する方法において、前記染色が、量子ドット、蛍光体、酵素沈着蛍光体、および色原体からなる群から選択される、方法。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項記載の染色品質を評価する方法において、前記マルチスペクトル画像データがスペクトル・キューブから導き出される、方法。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項記載の染色品質を評価する方法において、前記マルチスペクトル画像データが、線形最小二乗アルゴルズムを適用することによって分離される、方法。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項記載の染色品質を評価する方法において、前記検体強度画像が、前記エントロピー値および平均-分散比の値を計算する前に、篩にかけられる、方法。
  10. イン・サイチュー・ハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学への適用のために、染色品質を評価する客観的判断基準を確立する方法であって、
    -1組の基準スライドを選択し、基準スライド毎にマルチスペクトル画像データを得るステップであって、各基準スライドに染色品質を定量化する評定データが注釈として付けられる、ステップと、
    -組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して検体強度画像を得るステップ(1410)であって、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含む、ステップと、
    -前記検体強度画像における画素強度値に基づいて、均一性メトリックを計算し(1420)、分布メトリックを計算し(1430)、および散布度メトリックを計算する(1440)ステップであって、
    前記検体強度画像における画素強度値の均一性および分布の前記メトリックが、前記検体強度画像のエントロピー計算によって導き出され、前記検体強度画像における画素強度値の散布度の前記メトリックが、平均-分散比の値の計算によって導き出され
    前記平均-分散比の値がそれぞれ、前記検体強度画像の各々から導き出される強度値の画像ヒストグラムから判定されるモード値および分散値に基づいて計算される、
    ステップと、
    -前記検体強度画像と、前記染色品質を定量化する評定データとに基づいて、前記計算したメトリックを組み合わせることによって、前記染色品質を評価するために、画素強度の均一性、分布、および/または散布度に対してカットオフ値を導き出すステップと、
    を含む、方法。
  11. 請求項10記載の方法において、前記カットオフ値が、サポート・ベクトル・マシン、下判別分析および/またはロジスティック回帰を適用することによって導き出される、方法。
  12. 客観的染色評価のためのコンピュータ・デバイス(14)であって、1つ以上のプロセッサ(120)と少なくとも1つのメモリ(110)とを含み、前記少なくとも1つのメモリ(110)が、前記1つ以上のプロセッサによる実行のための非一時的コンピュータ読み取り可能命令を格納し、前記1つ以上のプロセッサ(110)に、
    免疫組織化学アッセイまたはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、特定のバイオマーカの存在を求めて染色された組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、検体強度画像を得させ、各検体強度画像が1つの染色からのシグナルを含み、
    (i)前記検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)検体強度画像からサンプリングされた画素がそれぞれのヒストグラムにおいて特定の値を有する確率を計算することによって、前記検体強度画像の各々についてエントロピー値を計算させ、
    (i)前記検体強度画像の各々から強度値の画像ヒストグラムを導き出し、(ii)前記強度ヒストグラムから測定強度モード値および測定強度分散値の比を計算することによって、前記検体強度画像の各々について平均-分散比を計算させ、
    前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値を、所定のエントロピー・カットオフ値および平均-分散比カットオフ値と比較することによって、染色の均一性および/または異常バックグラウンド染色の存在を評価させ、前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値が前記所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、前記染色の均一性および/または異常バックグラウンド染色の存在が、受入可能であると評価され、前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値が前記所定のカットオフ値と一致しない場合に前記染色の均一性および/または異常バックグラウンド染色の存在が、受入不可能であると評価される、
    コンピュータ・デバイス(14)。
  13. 請求項12記載のコンピュータ・デバイス(14)と、マルチスペクトル撮像システム(12)とを含む、システム(10)。
  14. コンピュータ実装染色評価方法であって、
    マルチスペクトル画像データを分離して検体強度画像を得るステップであって、前記検体強度画像が、各々、特定の染色からのシグナルに対応する1つの画像チャネルを含む、ステップと、
    前記検体強度画像の各々について、エントロピー値を計算するステップと、
    前記検体強度画像の各々について、平均-分散比を計算するステップと、
    前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値を所定のエントロピー・カットオフ値および平均-分散比カットオフ値と比較することによって、スライドの染色品質を評価するステップであって、前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値が前記所定のカットオフ値と一致するまたはそれを超過する場合、染色品質が受入可能であると評価され、前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値が前記所定のカットオフ値と一致しない場合、前記染色品質が、受入不可能であると評価される、ステップと、
    を含み、前記平均-分散比の値がそれぞれ、前記検体強度画像の各々から導き出される強度値の画像ヒストグラムから判定されるモード値および分散値に基づいて計算される、コンピュータ実装方法。
  15. 染色評価に対する客観的判断基準を確立するためのコンピュータ実装方法であって、
    複数の基準スライドからの組織標本のマルチスペクトル画像データを分離して、一連の検体強度画像を得るステップであって、各検体強度画像が、1つの染色からのシグナルを含み、前記基準スライドが、各々、受入可能または受入不可能であると識別される、ステップと、
    前記得られた検体強度画像の各々に基づいて、エントロピー値および平均-分散比の値を計算するステップと、
    前記計算したエントロピー値および平均-分散比の値に基づいて、染色品質評価に対するカットオフ値を導き出すステップであって、前記染色品質評価に対するカットオフ値が、前記免疫組織化学アッセイまたはイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション・アッセイにおいて使用された染色に対応する、ステップと、
    を含み、前記平均-分散比の値がそれぞれ、前記検体強度画像の各々から導き出される強度値の画像ヒストグラムから判定されるモード値および分散値に基づいて計算される、コンピュータ実装方法。
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