以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、一度の撮影で複数の視差画像を撮影可能な撮像装置の一例として、本発明の各実施例で用いる撮像装置について説明する。各実施例の撮像装置は、撮像光学系の射出瞳のうちそれぞれ異なる領域を通過した複数の光束を、撮像素子の互いに異なる受光部(画素)に導いて光電変換を行わせる撮像系を有する。
図2は、撮像素子の受光部と撮像光学系の射出瞳との関係図である。撮像素子には、受光部であるG1画素とG2画素を備える画素対が複数配列されている。カラーフィルタCFは、撮像素子の前方に配置されている。G1画素とG2画素は、共通の(すなわち、画素対ごとに1つずつ設けられた)マイクロレンズ(光学素子)MLを介して撮像光学系の射出瞳EXPと共役な関係を有する。具体的には、G1画素は射出瞳EXP上のP1領域と共役な関係を有し、G2画素はP2領域と共役な関係を有する。撮像素子に配列された複数のG1画素をまとめてG1画素群といい、撮像素子に配列された複数のG2画素をまとめてG2画素群という。
図3は、射出瞳EXPの位置に厚さが無い仮想的なレンズが配置されている場合の撮像系の模式図である。撮像している物点OSPからの光束は、透過する射出瞳EXP内での領域(位置)に応じてG1画素またはG2画素に入射する。G1画素は射出瞳EXPのうちP1領域を透過した光束を受光し、G2画素は射出瞳EXPのうちP2領域を透過した光束を受光する。射出瞳EXP上の互いに異なる領域を光束が透過することは、物点OSPからの入射光が角度(視差)によって分離されることに相当する。すなわち、各マイクロレンズMLに対して設けられたG1画素およびG2画素のうち、G1画素群からの出力信号を用いて生成される画像とG2画素群からの出力信号を用いて生成される画像とが、互いに視差を有する複数(図3では1対)の視差画像となる。以下の説明において、射出瞳EXP内の互いに異なる領域を通過した光束を互いに異なる受光部(画素)により受光することを瞳分割という。
図4は、図3に示される撮像系を物点OSPから見た図である。図4(a)は、G1画素とG2画素を備える画素対とマイクロレンズMLを示す図である。図4(a)では、簡単のためカラーフィルタCFを省略している。図4(b)は、図4(a)のG1画素およびG2画素にそれぞれ対応する射出瞳EXP上のP1領域およびP2領域を示す図である。図4(a),(b)に示される撮像系では、1対の視差画像が得られる。なお、撮像素子には、G1画素およびG2画素を備える画素対の代わりに、図4(c)に示される画素対が複数配列されていてもよい。図4(c)では、簡単のためカラーフィルタCFを省略している。G1画素、G2画素、G3画素およびG4画素はそれぞれ、共通のマイクロレンズMLを介して図4(d)に示される射出瞳EXP上のP1領域、P2領域、P3領域およびP4領域と共役な関係を有する。図4(c),(d)に示される撮像系では、それぞれの画素群からの出力信号を用いて生成される複数の画像が互いに視差を有する4つの視差画像となる。なお、各実施例の撮像系では、射出瞳EXPの位置がずれる等して、上述した共役関係が完全ではなくてもよい。また、図4(b)のP1領域およびP2領域、または図4(d)のP1領域、P2領域、P3領域およびP4領域のそれぞれが部分的にオーバーラップしてもよいし、それぞれの領域の間に間隔があってもよい。また、画素対は、2つまたは4つの画素ではなく、より多くの画素から構成されてもよい。言い換えれば、1つのマイクロレンズMLを介して更に多くの画素が射出瞳EXPと共役な関係を有する撮像素子でもよい。
以上、各実施例の撮像装置の撮像系について説明したが、各実施例の撮像系は瞳分割を行えればよく、上述した撮像系に限定されない。図5は、他の瞳分割を行う撮像系の模式図である。図5の撮像系では、射出瞳EXPのP1領域およびP2領域を通過した1対の光束は、三角形ミラーTMRによってそれぞれ異なる撮像素子SEN1および撮像素子SEN2に導かれる。そのため、撮像素子SEN1および撮像素子SEN2の出力信号をそれぞれ別々に読み出すことで1対の視差画像を生成することができる。
次に、撮像装置により生成される複数の視差画像を用いて、視差画像間の相違に基づき収差の影響による画質の劣化を補正する画像補正処理(以下、瞳分割収差補正という)の基本原理について説明する。一般に、撮像光学系では、光束の通過する射出瞳上の領域によって発生する収差が異なる。瞳分割収差補正は、この相違に基づく補正を行うことで、撮像光学系で発生する収差の影響による画質の劣化が補正された補正画像を生成することができる。ここでは、図3の撮像系で得られる1対の視差画像を用いて説明する。
図6は、瞳分割収差補正の基本原理の説明図である。図7は、撮像光学系で発生する収差量を示す横収差図である。図7の横軸は図3のZ座標を表し、縦軸は横収差量のZ成分を表す。図6(a)は、画質が劣化する要素の無い理想的な撮像装置を用いて被写体を撮像した画像を示す図である。以下の説明では、この画像を理想画像という。通常、図3の撮像系を用いて瞳分割を行わずに被写体を撮像した場合は、図6(b)に示される画像が得られ、図7(a)に示される収差が発生する。図7(b)と図7(c)の破線で囲まれる領域は、図4(b)の射出瞳EXP上のP1領域とP2領域に相当する。P1領域およびP2領域で発生する収差の相違によって、1対の視差画像には相違が生じる。なお、本発明の撮像光学系は、図7の横収差図で表される収差を発生する撮像光学系に限定されず、領域P1および領域P2で発生する収差量が異なる撮像光学系であればよい。図6(c)および図6(d)は、瞳分割を行って撮像することで得られる、1対の視差画像である。撮影された被写体は、図6(c)では黒色で示され、図6(d)では白色で示されている。図6(e)は、1対の視差画像間の収差の差分(相違)、すなわち撮像光学系で発生した収差成分を表している。この相違に基づき補正を行うことで、図6(f)に示される収差による画質の劣化が補正された補正画像を生成することができる。
以下に、具体的な補正の手順を説明する。1対の視差画像をIMG1およびIMG2とし、1対の補正ウェイトをW1およびW2とすると、まず、画素ごとに視差画像IMG1から視差画像IMG2を減算することで1対の視差画像の差分を算出する。次に、算出される差分が正の値を持つ場合はW1=0、W2=1とし、負の値を持つ場合はW1=1、W2=0とする。算出される差分がゼロの場合は、W1およびW2はW1+W2=1を満たす任意の正の値とする。そして、以下の式(1)にしたがい、画素ごとに補正ウェイトW1を掛け合わせたIMG1とW2を掛け合わせたIMG2を足し合わせることで、補正画像RESTを生成する。
ここで、xとyはそれぞれ、画像上の座標を表す。以上の処理は、画素ごとに1対の視差画像のうち最小の画素値を補正画像の画素値として採用することに相当する。
図8は、図6の各画像の図8(a)の理想画像の破線矢印に相当する部分上の1次元分布図である。また、図8(b)〜図8(d)の実線は、理想画像の分布を表す。図8(b)の破線は図6(c)の画像の分布を示し、点線は図6(d)の画像の分布を表す。図8(c)の破線は、補正画像RESTの分布を表す。ここでは例として1対の視差画像の差分に基づく補正ウェイトを用いて補正画像を生成したが、複数の視差画像の相違に基づいて収差補正を行えばよく、差分を用いた手法に限定されない。
瞳分割収差補正は、画素値飽和領域およびその周辺においても良好な補正効果が得られるという特徴がある。撮像素子が出力する画像において、各画素の画素値には上限があり、それ以上の画素値は記録されずに失われる。図9は、撮像素子に入射する光の光量が大きい状況で撮像を行い、画素値が飽和する場合の複数の画像の1次元分布図である。図9の実線は、画素値が飽和しないように光量が抑えられた状況で撮像された理想画像野分布を示す。図9(a)の破線は、各画素の画素値に上限がないと仮定して瞳分割を行わずに撮像した場合の撮像画像の分布を示す。実際は各画素の画素値には上限があるため、図9(b)の破線のように上限を超えた画素値は失われる。このように、画素値情報が欠落している領域では収差特性が崩れるため、光学情報を用いる鮮鋭化処理では収差の影響による画質の劣化を良好に補正することが困難である。図9(c)に示される破線と点線は、各画素の画素値に上限がないと仮定して瞳分割を行って撮像した場合の1対の視差画像の分布を示す。実際は各画素の画素値には上限があるため、図9(d)の点線と破線のように上限を超えた画素値は失われる。しかしながら、画素値飽和領域では画素値情報が欠落しているが、図9(d)に示されるように1対の視差画像間には相違が存在する。そのため、瞳分割収差補正を実行することで、画素値情報が欠落している領域でも図9(e)の破線のように収差の影響による画質の劣化を良好に補正した画像を生成することができる。
瞳分割収差補正は複数の視差画像間の相違に基づいているため、撮像する被写体の構造によっては複数の視差画像間の相違量が小さくなることがあり、そのような場合には瞳分割収差補正の補正効果は低減する。以下、図10を参照して、瞳分割収差補正の補正効果の低減について説明する。図10は、図7の横収差図に表される収差が発生する撮像光学系で、被写体を撮像した場合の瞳分割収差補正の補正効果の説明図である。図10(a)は、画質が劣化する要素の無い理想的な撮像装置を用いて被写体を撮像した画像を示す。図10(b)は、瞳分割を行わずに撮像した画像を示す。図10(c)と図10(d)はそれぞれ、瞳分割を行って撮像した視差画像を示す。図10(c)と図10(d)の視差画像は、対になっている。図10(e)は、視差画像間の差分を示す。図10(f)は、1対の視差画像を用いて瞳分割収差補正を行うことで生成される補正画像を示す。図10(f)の斜線で示される領域は、隣接する被写体から広がる収差が重なる領域である。このような領域では、視差画像間の画素値の相違量が小さいため、補正効果が低減し、図10(f)に示される補正画像上に残存する収差成分である補正残しが発生する。すなわち、通過した瞳上の領域によって発生する収差が異なるものの、視差画像間の画素値の相違量が小さい領域が存在する場合、それらの領域では瞳分割収差補正の補正効果が低減する。
本実施例では、1対の視差画像および鮮鋭化処理により生成される第1補正画像を用いて瞳分割収差補正を行う撮像装置について説明する。
まず、本実施例の撮像装置の構成について、図11を参照して説明する。図11は、撮像装置のブロック図である。撮像光学系100は、被写体からの光をCMOSセンサやCCDセンサ等の光電変換素子により構成される撮像素子102上に結像させる。本実施例の撮像素子102は、図4(a)に示されるように、1つのマイクロレンズに対応してG1画素とG2画素から構成される画素対を備え、射出瞳上の互いに異なる領域を通過した光束を、各領域に対応する画素にて受光することで瞳分割を行う。
撮像素子102での光電変換により生成されるアナログ電気信号は、A/Dコンバータ103でデジタル信号に変換されて画像処理部(画像処理装置)104に入力される。画像処理部104は、画像取得部104a、第1画像生成部104b、第2画像生成部104c、周辺光量補正部104dを備え、記憶部108から撮像光学系100および撮像素子102により構成される撮像系に応じた補正フィルターを読み出す。第1画像生成部104bは、画像取得部104aにより生成される1対の視差画像の平均画像に対し読み出された補正フィルターを適用し、第1補正画像を生成する。第2画像生成部104cは、1対の視差画像および生成された第1補正画像から第2補正画像を生成する。第2画像生成部104cが生成する第2補正画像は、半導体メモリや光ディスク等の画像記憶媒体109に記録される。また、第2補正画像は、画像表示部105に表示されてもよい。
撮像素子102の駆動、画像処理部104での処理および撮像光学系100の動作の制御は、システムコントローラ107によって行われる。システムコントローラ107は、撮像光学系制御部106に、撮像光学系100の絞り101aおよびフォーカスレンズ101bの機械的な駆動を行うように制御指示する。絞り101aの開口径は、設定された絞り値(Fナンバー)に応じて制御される。フォーカスレンズ101bの位置は、被写体距離に応じてピント調整を行うためにAFシステムやマニュアルフォーカス機構によって制御される。なお、撮像光学系100は、図11では撮像装置の一部として構成されているが、一眼レフカメラのように交換式の撮像光学系であってもよい。
次に、第1補正画像を生成するために用いる鮮鋭化処理について説明する。鮮鋭化処理は、補正フィルターを入力画像に対し畳み込み積分することで補正画像を生成する。補正フィルターは、例えば、後述する画像回復フィルターである。
被写体を撮像したとき、取得される撮影画像には被写体像にPSFが畳み込まれて形成され、画質が劣化する。撮影画像をg(x、y)、被写体像をf(x、y)、撮像系のPSFをh(x、y)とすると、撮像過程として以下の式(2)が成立する。ここで、*は畳み込み積分を示し、(x、y)は画像上の座標を示す。
撮影画像のフーリエ変換をG(u、v)、被写体像のフーリエ変換をF(u、v)、撮像系のPSFのフーリエ変換である光学伝達関数(OTF)をH(u、v)とすると、式(2)は2次元周波数空間上では以下の式(3)で表される。ここで、(u、v)は2次元周波数空間上での座標、すなわち周波数を示す。
劣化した撮影画像から被写体像を得るためには、以下の式(4)のように式(3)の両辺をH(u、v)で除算すればよい。
式(4)でF(u、v)を逆フーリエ変換すると、被写体像f(x、y)に相当する補正画像を取得することができる。ここで、H(u、v)の逆数R(u、v)を逆フーリエ変換したものを画像回復フィルターr(x、y)とすると、以下の式(5)のように実面での画像に対する畳み込み積分処理を行うことで、同様に補正画像を取得することができる。
以上説明したように、撮像系のOTFに基づき生成される画像回復フィルターを撮影画像に畳み込み積分することで、鮮鋭化された画像を得ることができる。
また、補正フィルターは、以下の式(6)に示される一般的なアンシャープマスクフィルタであってもよい。
ここで、αは補正ゲインであり、初期値をα=1.0と設定する。また、δはデルタ関数であり、φは例えばガウシアンフィルタ等のぼかしフィルターである。一般的に周辺画角におけるPSFは、異方的である(PSF中心からのアジムス角によって特性が異なる)。そのため、ガウシアンフィルタ等の等方的なぼかしフィルターを用いたアンシャープマスクフィルタを用いるよりも、PSFのアジムス角特性に合わせたぼかしフィルターを用いたほうが補正効果は向上する。そこで、ぼかしフィルターとして、被写体に畳み込まれるPSFとアジムス角特性が同一となる撮像系のPSF自体を用いてもよい。
以上補正フィルターについて複数の例を挙げたが、本発明はこれらに限定されず、撮像系で発生する収差による画質の劣化を補正するフィルターであれよい。また、鮮鋭化処理として、非特許文献1に示すRichardson‐lucy法といった超解像処理を用いてもよい。
本実施例では、画像処理部104は、1対の視差画像と、鮮鋭化処理が施された第1補正画像と、を用いて画像処理を行う。本実施例の画像処理の補正効果について、図12を参照して説明する。図12は、撮像素子に入射する光の光量が大きい状況で撮像を行い、画素値が飽和する場合の複数の画像の1次元分布図である。図12中の実線は、理想画像を示す。図12に示されるように、被写体が近接する領域では、瞳分割収差補正による補正残しが発生しやすい。図12(a)の破線は一対の視差画像の一方の分布を示し、点線は他方の分布を示している。一対の視差画像を用いて瞳分割収差補正を行うことで、図12(b)の破線と点線で示される補正画像を取得することができる。ここで、領域の区別のために破線と点線を用いているが、これらは合わせて1つの補正画像である。このように瞳分割収差補正であれば画素値飽和領域であっても良好な補正効果を得ることができるものの、図12(b)の点線で示される補正残しが発生し、結果として補正画像の品位を損ねる。
図12(c)の破線は1対の視差画像の平均画像の分布を示し、図12(d)の破線は1対の視差画像の平均画像に対し画像回復フィルターを用いて鮮鋭化処理が施された第1補正画像を示す。鮮鋭化処理は、画素値飽和領域およびその周辺においては良好な補正効果を得るのは難しいものの、広がった収差の裾となる瞳分割収差補正で補正残しが発生する領域では一定の補正効果を得ることができる。言い換えれば、鮮鋭化処理は、第1補正画像では瞳分割収差補正で補正できない収差成分を補正することができる。そのため、1対の視差画像に加えて第1補正画像を用いて瞳分割収差補正を行うことで、図12(f)の破線で示されるように、補正残しが低減され、画素値飽和領域およびその周辺においても良好な補正効果を得ることができる。これは、補正残りが発生していた領域では、1対の視差画像および第1補正画像のうち、第1補正画像に重みを置いて補正画像として採用していることに相当する。
以上本実施例の画像処理の補正効果を、画素値飽和領域を例にして説明したが、画素値が飽和していない領域でも第1補正画像を含めて瞳分割収差補正を行うことで同様に補正残しを低減することができる。
次に、本実施例の画像処理方法について、図1を参照して説明する。図1は、本実施例の画像処理を示すフローチャートである。本実施例の画像処理は、画像処理部104が、コンピュータプログラムとしての画像処理プログラムにしたがい、システムコントローラ107の指示のもと実行する。また、本実施例の画像処理は、画像処理部104に備えられる補正処理回路(不図示)によって実行されてもよい。なお、画像処理プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
ステップS101では、システムコントローラ107は、撮像光学系100および撮像素子102により構成される撮像系を制御して被写体の撮像を行う。画像処理部104は、撮像素子102から出力され、A/Dコンバータ103によりA/D変換されたデジタル信号を用いて入力画像を生成する。
ステップS102では、画像取得部104aは、入力画像を再構成することで1対の視差画像および1対の視差画像の平均画像を生成する。
ステップS103では、周辺光量補正部104dは、1対の視差画像間の周辺光量低下量の相違を補正する。1対の視差画像においては周辺光量低下量がそれぞれ異なっており、周辺光量低下量の相違を打ち消す補正(周辺光量補正)を行うことで、瞳分割収差補正の補正効果を向上させることができる。具体的には、周辺光量補正部104dは、あらかじめ記憶部108に記憶されている各画素群に対応する撮像系に応じた周辺光量低下量の情報を読み出す。その後、周辺光量補正部104dは、読み出した周辺光量低下量の情報を用いて、1対の視差画像間で周辺光量低下量が同一となるように画素値補正を行う。このとき、画素値補正後の周辺光量低下量は、1対の視差画像それぞれの周辺光量低下量の平均値となる。
ステップS104では、第1画像生成部104bは、1対の視差画像の平均画像に対し鮮鋭化処理を行い、第1補正画像を生成する。本実施例では、まず、第1画像生成部104bは、撮像系に応じた画像回復フィルターを記憶部108から読み出す。画像回復フィルターは、撮影条件に応じて変化する。その後、第1画像生成部104bは、画像回復フィルターを1対の視差画像の平均画像に畳み込み積分することで、第1補正画像を生成する。画像回復フィルターは、本実施例では記憶部108から読み出されるが、事前に測定した撮像系のOTFから生成されてもよいし、撮像系の設計値から算出されるOTFから生成されてもよい。また、記憶部108は事前に測定した、または設計値から算出したOTFを保存し、第1画像生成部104bは記憶部108から読み出したOTFを用いて画像回復フィルターを生成してもよい。ここで、画像回復フィルターを生成するために用いるOTFは瞳分割を考慮しておらず、OTFの逆フーリエ変換は瞳分割せずに撮像した画像に形成されるPSFである。
ステップS105では、第2画像生成部104cは、1対の視差画像およびステップS103で生成される第1補正画像を用いて瞳分割収差補正処理を行い、第2補正画像を生成する。具体的には、画像処理部104は、以下の式(7)から補正ウェイトW1,W2およびW3を算出する。ここで、IMG1およびIMG2は1対の視差画像を表し、IMG3は第1補正画像を表す。また、補正ウェイトW1、W2およびW3はそれぞれ、IMG1,IMG2およびIMG3に対応する補正ウェイトである。
α,βはそれぞれの画像を示す添え字であり、1、2または3である。また、式(7)のxおよびyは、画像上の座標を表す。補正ウェイトWαは、対応する画像の画素数と同じ要素数を持つ2次元行列である。
次に、第2画像生成部104cは、式(7)に従い算出した補正ウェイトを1対の視差画像IMG1,IMG2および第1補正画像IMG3に適用することで、以下の式(8)にしたがい、第2補正画像RESTを生成する。
以上の処理は、1対の視差画像IMG1,IMG2および第1補正画像IMG3のうち、画素ごとにより小さい画素値を持つ画像に大きなウェイトを掛け合わせ補正画像RESTの画素値としていることに相当する。
このように相違を持った1対の視差画像IMG1およびIMG2に加えて鮮鋭化された第1補正画像IMG3を用いて画像処理を行うことで、補正残しが低減される第2補正画像を生成することができる。
ステップS106では、システムコントローラ107は、ステップS105で生成される第2補正画像を画像記憶媒体109に記憶させる。加えて、システムコントローラ107は、入力画像、補正前の1対の視差画像、1対の視差画像の平均画像および第1補正画像のうち少なくともいずれか1つの画像を画像記憶媒体109に記憶させてもよい。また、それら複数の画像のうち1つもしくは複数を画像表示部105に表示させてもよい。
ステップS102〜ステップS105では、入力画像を再構成し、G1画素群およびG2画素群それぞれの出力信号から成る1対の視差画像を生成してから補正を行ったが、各画素の対応関係に基づいて、入力画像を再構成することなく補正を行ってもよい。また、ステップS103とステップS104は順不同であり、どちらのステップを先に行ってもよく、並行して行ってもよい。
本実施例では、第1補正画像を生成するために、画像回復フィルターを用いる鮮鋭化処理を行ったが、本発明はこれに限定されない。1対の視差画像の収差成分を低減させることにより補正残しを低減させ、瞳分割収差補正の補正効果を向上させる鮮鋭化処理であればよい。例えば、アンシャープマスクフィルタを用いた鮮鋭化処理を行ってもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、画素値飽和領域およびその周辺においても収差による画質の劣化を補正可能な撮像装置を提供することができる。
本実施例の撮像装置の基本構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。本実施例の撮像素子102は図4(c)に示されるように1つのマイクロレンズに対応してG1画素、G2画素、G3画素およびG4画素から構成される画素対を備え、撮像装置は4つの視差画像を生成する。
実施例1の画像処理では、瞳分割を考慮しないOTFから生成した画像回復フィルターを用いて第1補正画像を生成し、それを用いて第2補正画像を生成した。一方、本実施例の画像処理では、瞳分割を考慮したOTFから生成されるPSFを用いる複数のアンシャープマスクフィルタを用いて第1補正画像を生成し、それを用いて第2補正画像を生成する。
本実施例の画像処理の補正効果について、図12を参照して説明する。図12(a)の破線および点線は、4つの視差画像のうち、被写体から広がった収差の裾同士が重なっているために、瞳分割収差補正によって補正残しが発生する2つの視差画像の分布を示している。図12(e)の破線および点線は、図12(a)に示される2つの視差画像に対し、アンシャープマスクフィルタを用いてそれぞれ鮮鋭化した第1補正画像の分布を示している。図12(e)に示されるように、鮮鋭化処理では画素値飽和領域およびその周辺においては良好な補正効果を得るのは難しいものの、広がった収差の裾となる、瞳分割収差補正で補正残しが発生する領域においても一定の補正効果が得られる。そのため、これら2つの第1補正画像を用いて瞳分割収差補正を行うことで、図12(f)の破線で示されるように、補正残しが低減され、画素値飽和領域およびその周辺においても良好な補正効果を得ることができる。
次に、本実施例の画像処理方法について、図13を参照して説明する。図13は、本実施例の画像処理を示すフローチャートである。本実施例の画像処理は、画像処理部104が、コンピュータプログラムとしての画像処理プログラムにしたがい、システムコントローラ107の指示のもと実行する。また、本実施例の画像処理は、画像処理部104に備えられる補正処理回路(不図示)によって実行されてもよい。なお、画像処理プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
ステップS201は、図1のステップS101と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ステップS202では、画像取得部104aは、入力画像を再構成することで複数の視差画像IMG1、IMG2、IMG3およびIMG4を生成する。
ステップS203では、第1画像生成部104bは、撮像系に応じたアンシャープマスクフィルタr1、r2、r3およびr4を記憶部108から読み出す。各アンシャープマスクフィルタは、撮影条件に応じて変化する。また、アンシャープマスクフィルタr1、r2、r3およびr4は、視差画像IMG1、IMG2、IMG3およびIMG4に対応している。本実施例では、各アンシャープマスクフィルタは、記憶部108から読みだされるが、第1画像生成部104bは、記憶部108が記憶する各画素群に対応する複数のPSFを用いて複数のアンシャープマスクフィルタを生成してもよい。また、第1画像生成部104bは、記憶部108が記憶する各画素群に対応する複数のOTFを逆フーリエ変換することで複数のPSFを生成し、それを用いて複数のアンシャープマスクフィルタを生成してもよい。次に、第1画像生成部104bは、アンシャープマスクフィルタr1、r2、r3およびr4をそれぞれ対応する視差画像IMG1、IMG2、IMG3およびIMG4に適用することで第1補正画像IMG1r、IMG2r、IMG3rおよびIMG4rを生成する。このように、複数の視差画像にそれぞれ鮮鋭化処理を行うことで、画像上の収差の広がりが低減されるために、第1補正画像間では、隣接した被写体から広がる収差が重なる可能性が下がる。そのため、第1補正画像を用いて瞳分割収差補正を行ったときには補正残しの発生を抑えることができる。
ステップS204では、第2画像生成部104cは、ステップS203で生成する複数の第1補正画像を用いて瞳分割収差補正処理を行い、少なくとも1つ以上の第2補正画像を生成する。図14は、第1補正画像および第2補正画像の生成方法の説明図である。図14(a)に示されるように、4つの第1補正画像から1つの第2補正画像REST1を生成してもよい。また、図14(b)に示されるように、4つの第1補正画像のうち2つずつを用いて瞳分割収差補正処理を行い、2つの互いに視差を持つ第2補正画像REST1,REST2を生成してもよい。また、図14(c)に示されるように、2つの第1補正画像および2つの視差画像を用いて瞳分割収差補正処理を行い、1つの第2補正画像REST1を生成してもよい。さらに、図14(d)に示されるように、2つの第2補正画像IMG1r,IMG2rおよび視差画像IMG3rを用いて瞳分割収差補正処理を行い、2つの第2補正画像REST1,REST2を生成してもよい。言い換えれば、複数の第2補正画像を生成する際に、瞳分割収差補正処理に使用する画像に重複があってもよいし、第2の補正画像を生成する際に使用しない視差画像または第1の補正画像があってもよい。なお、例として4通りの第2補正画像の生成方法を説明したが、それぞれを組み合わせた方法で第2補正画像を生成してもよい。
ステップS205では、システムコントローラ107は、生成される少なくとも1つ以上の第2補正画像を画像記憶媒体109に記憶させる。また、システムコントローラ107は入力画像、補正前の複数の視差画像、複数の視差画像の平均画像および複数の第1補正画像のうち少なくともいずれか1つを画像記憶媒体109に記憶させてもよい。また、それら複数の画像の少なくとも1つ以上の画像を画像表示部105に表示させてもよい。
本実施例では、第1補正画像を生成するために、例としてアンシャープマスクフィルタを用いる鮮鋭化処理を行ったが、本発明はこれに限定されない。
以上説明したように、本実施例によれば、画素値飽和領域およびその周辺においても収差による画質の劣化を補正可能な撮像装置を提供することができる。
図15は、本実施例の画像処理装置(画像処理システム)203のブロック図である。画像処理装置203は、画像処理ソフトウェア204(画像処理プログラム)と記憶部205を備え、瞳分割を行う撮像装置201および記憶媒体202の少なくともいずれか1つと接続されている。記憶媒体202は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、またはネットワーク上のサーバーである。画像処理装置203は、撮像装置201または記憶媒体202から入力画像を読み込み、画像処理ソフトウェア204にしたがい、実施例1,2で説明したいずれかの画像処理を行い、補正画像を生成する。記憶部205は、図11の記憶部108に相当する。実施例1,2では、記憶部108は周辺光量低下量や補正フィルターについての情報を有していたが、本実施例ではこれらの情報を入力画像のヘッダ情報等に付与して用いてもよい。
画像処理装置203は、出力機器206および表示機器207の少なくともいずれか1つに接続されていてもよい。出力機器206は例えばプリンタであり、表示機器207は例えば液晶ディスプレイやプロジェクタである。画像処理装置203は、入力画像、複数の視差画像、少なくとも1つ以上の補正画像および処理中に生成される画像のうち少なくともいずれか1つを出力機器206、表示機器207または記憶媒体202のうち少なくともいずれか1つに出力する。
以上説明したように、画素値飽和領域およびその周辺においても収差による画質の劣化を補正可能な画像処理システムを提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。なお、各実施例の画素値は、画像のRGBチャンネルのそれぞれの画素値でもよいし、輝度値であってもよい。