本発明の商品情報取得システム1の全体のシステム構成の一例を図1に示す。また,商品情報取得システム1における,後述の陳列棚画像情報解析処理部22の構成の一例の概念図を図2に示す。
商品情報取得システム1は,そのシステムを運営する企業等の組織が利用するコンピュータである管理サーバ2において実現される。図3にコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。コンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と,情報を表示するディスプレイなどの表示装置72と,情報の入力が可能なキーボードやマウスなどの入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。
本発明における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
商品情報取得システム1における管理サーバ2は,小売店などの店舗における商品の陳列状況を撮影する撮影者が利用するコンピュータである撮影者端末3と,商品情報取得システム1によって商品の陳列状況を把握することを所望するシステム利用者が利用するコンピュータであるシステム利用者端末4と,ネットワークを介して情報の送受信が可能である。
商品情報取得システム1における管理サーバ2は,陳列棚画像情報受付処理部20と陳列棚画像情報記憶部21と陳列棚画像情報解析処理部22と商品情報記憶部23と陳列状況情報記憶部24と出力処理部25とを有する。
陳列棚画像情報受付処理部20は,店舗において商品を陳列している陳列棚を撮影した画像情報(陳列棚画像情報)を撮影者端末3から受け付ける。ここで受け付ける陳列棚画像情報には,店舗識別情報(店舗名などの店舗を識別する情報)や撮影日時情報と紐付けられていることが好ましい。すなわち,陳列棚画像情報を撮影した店舗の店舗識別情報や撮影日時情報の入力を撮影者端末3で受け付け,それらの紐付けが行われていると良い。陳列棚画像情報は,通常,店舗ごとに撮影されるので,一つの店舗につき複数の陳列棚画像情報の入力を受け付けることが一般的であるが,一つの動画像や静止画像として入力を受け付けても良い。
陳列棚画像情報記憶部21は,陳列棚画像情報受付処理部20で受け付けた陳列棚画像情報を記憶する。陳列棚画像情報には,店舗識別情報,撮影日時情報などと対応付けられているとよい。
陳列棚画像情報解析処理部22は,陳列棚画像情報受付処理部20で受け付けた陳列棚画像情報について,後述する画像解析処理を実行することによって,商品タグや陳列棚などに付された商品コードを読み取り,その位置に陳列されている商品IDと,陳列棚における商品の陳列位置との関連づけを行う。商品IDとは,陳列棚の棚などに陳列されている商品を識別するための情報(商品識別情報)であって,たとえばJANコードそのもの,またはJANコードに対応付けられた情報などがある。商品IDとは数字,文字のほか,記号等が含まれていてもよい。なお,商品IDには,商品を識別するための情報のほか,当該小売店における価格または希望小売価格など,商品の価格を示す情報が含まれていてもよい。商品コードとは,商品IDが所定の方式でコード化された情報である。
なお商品コードとしては,色を用いて情報を表示する方式,人間が視認することができないインキによって所定の情報を印字する方式などの方式を用いることができる。たとえば色を用いて情報を表示する方式としては,カラービット,カメレオンコード,High Capacity Color Barcode,Colorzip,カラードットコード(ADEU.NEK)などのカラーコード(カラーバーコード)がある。カラーコードとは,情報を表現するために用いられる色の羅列からなる符号である。カラーコードの一例であるカラービットは,隣接する色の変化(色の並び順)により情報を表現する。またカラーコードの一例であるカメレオンコードは,シアン,マゼンダ,イエローの色の組み合わせを用いることで情報を表現する。なお,カラーコードは,情報を表現するために用いられる色の羅列からなる符号であればよく,上述の例に限定されるものではない。なお,以下の説明では,商品コードとしてカラーコードの一例であるカラービットを用いた場合を説明する。
陳列棚画像情報解析処理部22は,陳列棚画像情報から読み取った商品コードを商品IDに,所定の方式に従って変換処理を行う。そして変換した商品IDと,その商品コードが付されていた陳列棚の位置とを関連づけ,当該変換した商品IDに対応する商品が,陳列棚の当該位置に置かれていると判定する。
陳列棚画像情報解析処理部22は,陳列棚画像情報補正処理部220と棚段位置指定処理部221と商品コード変換処理部222と陳列状況情報処理部223とを有する。
陳列棚画像情報補正処理部220は,陳列棚画像情報受付処理部20で受け付けた陳列棚画像情報,または陳列棚画像情報記憶部21に記憶する陳列棚画像情報について,画像解析処理を実行するために必要な補正処理を実行する。補正処理としては,たとえば台形補正処理や,一つの陳列棚が複数の陳列棚画像情報に分かれている場合には,それらを合成して一つの陳列棚画像情報にする処理などを実行する。陳列棚画像情報補正処理部220において補正処理を実行した画像を補正後画像情報と呼ぶこととする。
商品コード変換処理部222は,補正後画像情報または補正処理を実行しない場合には陳列棚画像情報から,商品コードを認識して所定の方法により商品コードを商品IDに変換をする。また,変換した商品IDに対応する商品情報を,後述する商品情報記憶部23を参照することで特定する。画像情報から商品コードを認識する処理は,画像情報から商品コードの領域を特定し,商品コードの領域に表示されている情報を用いて,商品コードに対応する変換方法で商品IDに変換する処理を実行すればよい。たとえば,商品コードとしてカラーコードを用いる場合には,画像情報中のカラーコードを公知の方法で認識し,変換すればよい。
陳列状況情報処理部223は,商品コード変換処理部222が変換をした商品IDと,その商品が陳列されている陳列棚における位置情報(何段目の棚段か,棚段において右または左の基準点からどれだけの位置にあるかなどを示す座標情報など)とを関連づける。そして関連づけの情報を,後述する陳列状況情報記憶部24に記憶させる。
商品情報記憶部23は,図7に示すように,商品ID,JANコード,商品名,定格,メーカーなどの商品に関する情報(商品情報)を記憶する。商品情報として,販売価格,希望小売価格などの価格情報が含まれていてもよい。
陳列状況情報記憶部24は,陳列棚画像情報解析処理部22で判定した,商品IDと,その商品の陳列棚における位置との関連づけられた情報を,陳列状況情報として記憶させる。
出力処理部25は,システム利用者端末4からの出力要求を受け取り,陳列状況情報を出力する。
つぎに本発明の商品情報取得システム1の処理プロセスの一例を,図4乃至図6のフローチャートを用いて説明する。
まず商品情報取得システム1を用いるための前提として,カラーコードなどの商品コードを,陳列棚に取り付ける商品タグに付するための処理を説明する。商品コードを商品タグに付する担当者は,所定のコンピュータ(図示せず)を操作することで,商品を一意に識別可能な商品IDを入力することで,当該コンピュータにおいて,カラーコードなどの商品コードの所定の変換方式によりコード化する(S100)。
図7に示すように,商品IDが「123456」と定められた商品については,当該商品ID「123456」を所定の方法で2進値に変換をする。この変換の際に,データの正確性を高めるためのチェックビット(補正コード)を付加した上で変換することが好ましい。たとえば「123456」を変換したときの2進値として「00000001001011000011111100011」を生成したとする。生成した2進値を,所定のカラービットで定められた相関関係にしたがって,カラービットを生成することでコード化をする。数値と色の変化の相関関係の一例を図8(a)に,カラービットによる2進値の表示例を図8(b)に示す。また図8(c)は,上記生成した2進値をカラービットにより表記をした場合の一例である。図8(c)では横一直線ではなく,変形をしているが各マス目は連続している。カラービットの場合,最初のマス目は「赤」で始まり,最後のマス目は「緑」または「青」で終了することを規定しているので,かかる規定に沿うようにカラービットを生成するが,これ以外の規定を設けてもよいし,この規定に限定されるものでもない。そのため,「赤色」のマスから順に連続的に,隣接する色の変化によって「0」または「1」を示している。なお,図面の関係上,色の代わりにパターンで表示をしているが,実際には,対応する色が表示されている。
以上のように生成した商品コードを,当該コンピュータで所定の操作が行われることで,印刷装置が当該商品コードを商品タグに印刷する(S110)。商品コードは,商品タグのうち,商品に関する情報が表示されていない余剰スペース(空白)に印刷することが好ましい。商品タグは,消費者に対して商品の商品名,価格などを表示するものであり,陳列棚の対応する商品が置かれる近傍,たとえば下方,上方に取り付けられる。図9(a)に通常の商品タグの一例を,図9(b)に商品コードを印刷した商品タグの一例を示す。
S110において商品コードが印刷された商品タグは,陳列棚において当該商品が陳列される位置の近傍,たとえば上や下などの取り付けられる(S120)。図10は,商品タグが陳列棚に取り付けられた状態を模式的に示す図である。
以上のように,店舗の陳列棚には,商品コードが印刷された商品タグが取り付けられ,所定の撮影者が陳列棚を撮影可能となる。
つぎに店舗の陳列棚を撮影する場合の処理プロセスを説明する。
まず所定の撮影者は,店舗に行き,カメラなどの撮影装置によって陳列棚を撮影することで,陳列棚画像情報を取得する(S200)。陳列棚画像情報の一例を図11に示す。そして取得した陳列棚画像情報を,撮影者が利用する撮影者端末3に読み込ませ,当該店舗の識別情報を入力するなどによって,陳列棚画像情報と店舗識別情報とが紐付けられる(S210)。なお,撮影装置がスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの可搬型通信端末の場合には,撮影装置と撮影者端末3とが一体的に構成されていてもよい。陳列棚が複数ある場合には,各陳列棚を撮影することが好ましい。さらに,陳列棚を識別する識別情報の入力を行い,陳列棚画像情報と陳列棚識別情報とが紐付けられていてもよい。加えて,撮影日時の情報の入力を受け付けて,陳列棚画像情報と紐付けられていてもよい。
そして撮影者が撮影者端末3において所定の操作を行うことで,陳列棚画像情報,店舗識別情報,陳列棚識別情報,撮影日時情報を管理サーバ2にアップロードする(S220)。撮影者端末3からアップロードされた陳列棚画像情報などは陳列棚画像情報受付処理部20で受け付け,陳列棚画像情報,店舗識別情報,陳列棚識別情報,撮影日時情報などを対応付けて陳列棚画像情報記憶部21に記憶させる。そして正常にアップロードが行えた場合には(S230),そのまま処理を終了し,正常にアップロードが行えなかった場合には(S230),再度,アップロードを行わせる。
つぎに管理サーバ2における,アップロードされた陳列棚画像情報を用いた解析処理を説明する。
撮影者端末3から送られた陳列棚画像情報は陳列棚画像情報受付処理部20で受け付けられ,陳列棚画像情報記憶部21に記憶されている。そして,所定のタイミングでシステム利用者は,システム利用者端末4で所定の操作をすることによって,処理対象とする陳列棚画像情報記憶部21に記憶した陳列棚画像情報を抽出し,陳列棚画像情報に基づく陳列状況情報の解析処理を行う。この場合,陳列什器画像解析処理部は,たとえば店舗識別情報,撮影日時情報などをシステム利用者端末4から受け付けることで,該当する店舗の陳列棚画像情報を抽出すればよい。
まず,抽出した陳列棚画像情報を読み込むことで,図12に示す画面に表示し,陳列棚画像情報に対する補正処理を実行する(S300)。すなわち,陳列棚の棚段が水平に,商品が垂直になるように,陳列棚画像情報について,台形補正処理を実行する。
台形補正処理を実行するため,図12に示すような,陳列棚画像情報に四角形(図12において破線で示した四角形)を重畳表示させ,当該四角形の4点を処理対象とする範囲に合わせる入力操作をシステム利用者端末4から陳列棚画像情報補正処理部220で受け付ける。たとえば図12では抽出した同一の陳列棚画像情報を左右に表示させ,左側にはシステム利用者が台形補正の入力を行うための四角形(システム利用者が4点を移動させるための四角形であって,図12で破線で示した四角形)を重畳表示させる。そして,右側の陳列棚画像情報には,左側の陳列棚画像情報に重畳して表示する四角形(図12において実線で示した四角形)の4点の移動に基づいて行われる台形補正処理後の画像情報が表示されている。そのため,左側の陳列棚画像情報に重畳して表示する四角形(破線で示した四角形)の各点は,右側の陳列棚画像情報に重畳して表示する長方形(実線で示した四角形)の垂直線,水平線に合うように移動させる。図13に左側の陳列棚画像情報に重畳して表示する四角形(破線で示した四角形)の4点の移動を行った場合の画面の一例を示す。左側の陳列棚画像情報に重畳して表示する四角形(破線で示した四角形)の各点を,右側の陳列棚画像情報に重畳して表示する長方形(実線で示した四角形)の垂直線,水辺線に合う位置に移動させたら,図13の画面における「台形補正確定」ボタンを押下する。
「台形補正確定」ボタンの受付を陳列棚画像情報補正処理部220でシステム利用者端末4から受け付けると,陳列棚画像情報補正処理部220は,陳列棚画像情報に対して台形補正処理を実行し,補正処理後の陳列棚画像情報(補正後画像情報)を画面上に表示させる。
そして補正後画像情報について,棚段位置の指定処理を行う(S310)。棚段の位置指定処理としては,棚段位置指定処理部221において,システム利用者端末4から,補正後画像情報のうち棚段の位置指定処理を行う領域について,棚段の位置の指定を受け付ける。すなわち,棚段ごとに商品が存在する領域の指定を受け付ける。そして各棚段の領域について,一段目,二段目のように,順次,段数の識別情報を付す。この場合,段数の識別情報の入力を受け付けてもよいし,指定された順番に順次,段数の識別情報を自動的に付してもよい。図14に補正後画像情報に棚段の位置指定を受け付けた場合の画面の一例を示す。なお,図14では,補正後画像情報のうち,位置指定を受けた領域が拡大して表示されている場合を示している。そして,棚段位置指定処理部221において棚段位置の指定を受け付けることによって,棚段として指定されていない領域が,商品タグがある領域として定められる。
以上のようにして棚段位置指定処理部221において,補正後画像情報における棚段位置が指定されると,棚段として指定されていない領域に対して,商品コード変換処理部222が,商品タグに表示されている商品コードを読み取り(S320),商品コードと商品IDの変換方式に従って,商品コードを商品IDに変換する処理を実行する(S330)。商品コードを商品IDに変換する処理は,解析対象となる画像情報のうち,商品コードの領域の画像情報を抽出し,商品コードの変換方式にしたがって商品IDに情報の変換を行えばよい。たとえば商品コードとしてカラービットを用いる場合,基準となるマス目,たとえば「赤色」のマス目から順に,隣接するマス目の色の変化に応じて情報を変換する。なお,商品コードの読取処理を行う場合,上述のように,棚段として指定されていない領域に対して行うほか,補正後画像情報または陳列棚画像情報の棚段として指定されている領域や,画像情報の全体にわたって処理を行ってもよい。
商品コードとしてカラービットを用いる場合,画像のうち2%程度の大きさであれば情報の変換が可能である。そのため,たとえば解析対象となる補正後画像情報が図14に示すように複数の商品が陳列されている場合であっても,十分に商品コードを商品IDに変換することが可能である。またカラービットの場合,一つの画像情報に複数のカラービット(商品コード)が写っていてもそれぞれ商品IDに変換することが可能であるので,同時に複数の変換処理も可能である。
以上のようにして解析対象となった画像情報(補正後画像情報または陳列棚画像情報)から読み取った商品コードを商品IDに変換すると,商品コード変換処理部222は,変換した商品IDに対応する商品情報を商品情報記憶部23を参照して抽出する。
そして陳列状況情報処理部223は,変換した商品IDに対応する商品コードが付された商品タグの位置情報を特定する。すなわち棚段の何段目か,左右の基点からどの程度の位置にあるかを特定する。棚段の段数は棚段位置指定処理部221で棚段の段数の情報を受け付けているので,それに基づいて特定できる。また,左右の位置については,たとえば相対座標に基づいてその位置を特定することができる。
以上のように位置情報を特定すると,陳列状況情報処理部223は,S330で抽出した商品情報と商品IDと,上記で特定した陳列棚における位置とを関連づけて陳列状況情報として陳列状況情報記憶部24に記憶させる(S340,S350)。なおこの際に,処理対象とした陳列棚画像情報を撮影した日時情報,店舗識別情報なども関連づけて記憶させるとよい。
そして,システム利用者端末4が所定の操作をすることで,ある店舗のある時点における陳列状況情報を取得した場合には,店舗識別情報や日時情報に基づいて,商品の陳列棚における陳列状況情報(たとえばどの商品がどの陳列棚の何段目のどの位置で販売されていたか)を,出力処理部25がシステム利用者端末4に出力することができる。また,期間を指定することで,出力処理部25が,陳列状況情報記憶部24に記憶する,指定期間における商品の陳列棚における陳列状況情報を抽出し,それらを合計したり,時系列的に整理して出力するなどにより,経時的変化を出力することもできる。さらに,特定の商品IDの指定を受け付けることで,さらに出力処理部25が,指定された商品IDの陳列状況情報を抽出し,出力することもできる。
このように,商品コードを印刷した商品タグを陳列棚に取り付け,それを撮影した陳列棚画像情報を撮影し,解析処理を実行することで,ある時点における陳列されている商品の情報を取得することができる。また,経時的変化を把握することができる。
つぎに本発明の異なる実施態様として,陳列棚画像情報において陳列されている商品も特定し,その商品のフェイス数も陳列状況情報として特定する場合を説明する。フェイス数とは,同一商品が同一の棚段にいくつ横方向に並んでいるか(横方向への露出数)を示す情報であり,フェイス数が多いほど商品の露出が多く,売り場面積が確保されていることを意味するので,商品の販売会社にとっては重要な情報である。
そして,商品の購入者の目線となる位置の棚段はゴールデンラインと呼ばれ,陳列棚のうち,特に重要な棚段である。ゴールデンラインにおかれることで,購入者の目にとまりやすくなり,商品の認知度が高まるとともに,購入の可能性が高まるからである。そのため,商品の販売会社は,自社の商品をゴールデンラインの棚段の位置に置いてもらうよう店舗に働きかけを行うが,実際にどの程度,おかれていたのかを客観的に把握することが従来はできなかった。そこで,本実施例では,実施例1の変形例として,商品のフェイス数を棚段の位置ごとに陳列状況情報として出力できるので,商品のフェイス数を把握可能にし,また,いわゆるゴールデンラインにどれだけ商品が陳列されていたのかが把握可能となる。
本実施例の商品情報取得システム1においては,さらに標本画像情報記憶部26を備えており,また,陳列棚画像情報解析処理部22において,商品特定処理部224を備える。本実施例における商品情報取得システム1の構成の一例を図15に,陳列棚画像情報解析処理部22の構成の一例を図16に示す。
商品特定処理部224は,棚段の位置指定を受け付け後,図14の画面における「フェイス自動切出」または「フェイス修正」のボタンの押下を受け付けることで,システム利用者端末4から管理サーバ2にフェイス数特定処理の要求が行われ,それを商品特定処理部224で受け付けることで実行する。
商品特定処理部224は,補正後画像情報または陳列棚画像情報において,棚段として指定された領域においてフェイスを特定し,さらに特定したフェイスから商品の認識処理を実行する。そして同一の商品についてフェイス数を特定する処理を実行する。なお,フェイスとは,商品が陳列(露出)されている領域である。
フェイスの特定処理にはさまざまなものがあり,商品の種別や形態によって切り替えることができるが,(1)フェイスとフェイスの間の影を検索する,(2)繰り返している画像領域があるかのパターンを検索する,(3)ある一つのフェイスを特定した場合,商品幅がほぼ一定であるなど商品形態の特徴を用い,商品幅ごとに順次フェイスを特定する,(4)商品の種別ごとに商品幅が定まっているので,商品幅ごとにフェイスを特定する,など(1)乃至(4)を一以上,組み合わせることによって,フェイスを特定することができる。また(1)乃至(4)以外の方法を用いることもできる。
商品特定処理部224は,特定したフェイスに対して,図18に示すように特定したフェイスの領域を表示させる。
つぎに,特定したフェイスの領域ごとに,あらかじめ記憶されている各商品の標本画像情報と,フェイスの領域の画像情報との画像マッチング処理を行い,当該フェイスの領域に表示されている商品の認識処理を実行する。各商品の標本画像情報は,あらかじめ商品ごとに複数の角度から撮影された画像情報である。たとえば,当該商品の側面がいずれかの標本画像に写っているだけの画像情報の数を用いると好ましい。
すなわち,特定したフェイス単位ごとに,後述する標本画像情報記憶部26に記憶する各商品の標本画像情報と画像マッチング処理を行い,その類似性を元に商品を同定する処理を実行する。たとえばA商品と類似度が75%,B商品と類似度が25%のように同定してもよいし,もっとも類似度が高い商品を当該フェイスにある商品として同定してもよい。そして,後述する標本画像情報記憶部26を参照して,同定した商品の商品IDを特定する。なお,画像マッチング処理としてはさまざまな処理方法を用いることができるが,たとえば特徴量を用いてその類似度を比較することで処理が行える。
商品特定処理部224は,類似度の高い順に複数の候補を挙げている場合,商品コード変換処理部222において商品タグに付された商品コードから変換した商品IDと,画像マッチング処理で特定した商品IDとの比較を行い,一致している商品IDを,当該フェイスの領域に陳列されている商品として特定をする。なお,いずれの商品とも一致しない場合には,「不明」乃至「欠品」(本来ならば陳列されているべきところ,売り切れなどによって商品が存在しない状態)として扱ってもよい。たとえば「不明」または「欠品」として所定の通知を画面上に表示をしてもよいし,「欠品」として特定を行ってもよい。あるいは当該フェイスの領域について「欠品」の指定の入力を,システム利用者端末4から受け付けてもよい。
そして商品特定処理部224は,各フェイスについて,フェイスの領域と各商品の標本画像情報との画像マッチング処理による商品の認識処理を実行後,商品ごとにフェイス数を算出する。すなわち,同一の商品IDを有する商品が横方向にいくつ並んでいるかを算出する。これはフェイスの領域にある商品がすでに特定できているので,フェイスごとに同定された商品IDが同一の商品がいくつ並んでいるかを算出することで商品ごとのフェイス数を算出できる。なお,各フェイスにおける商品の位置(位置情報)を特定することも行う。なお,「欠品」のフェイスについては,フェイス数としてそのままカウントをしてもよいし,「欠品」(フェイス数として「0」)として処理をしてもよい。商品の認識結果を表示する画面の一例を図19に示す。
陳列状況情報処理部223は,上記のように商品特定処理部224で算出したフェイス数と,商品IDと,陳列棚における商品が陳列されている棚段数,当該棚段における右または左からの位置情報とを関連づけて,陳列状況情報として陳列状況情報記憶部24に記憶させる。
標本画像情報記憶部26は,陳列棚に陳列される可能性のある商品の標本画像情報を記憶する。標本画像情報としては,一つの商品について,異なる角度から撮影された複数の画像情報が記憶されていることが好ましい。標本画像情報は,商品ID,JANコードや商品名などの商品を識別する情報と紐付けられているとよい。
なお,商品特定処理部224における同一の陳列棚に対する2回目以降の処理については,さらに処理を高速化するため,以下のような処理方法を用いることもできる。なお,2回目以降の処理としては,陳列棚画像が同一の領域をおおよそ同じアングルで撮影がされているという前提条件がある場合であり,それを充足しない場合には,同一の領域をおおよそ同じアングルとなるように補正処理をした上で,後述する2回目以降の処理を行う。
2回目以降の処理としては,商品特定処理部224は,補正処理として抽出する陳列棚画像情報について,店舗識別情報,陳列棚識別情報,撮影日時情報に基づいて,2回目以降の処理であることを判定すると,前回,指定を受け付けた四角形の4点を自動的に決定し,台形補正処理を実行する。そして棚段位置の指定処理としては,前回,指定を受け付けた領域を各棚段の領域として自動的に決定し,フェイスの領域を自動的に特定する。
そして,前回,フェイスの領域を特定した画像情報と,今回,フェイスの領域を特定した画像情報との比較を行うことで,商品の認識処理を実行する。たとえばフェイスごとに,前回の画像情報と,今回の画像情報との間で類似性を求め,十分に類似性がある(所定の閾値以上の類似度がある)場合には,前回確定した商品IDと同じ商品であると特定する。なお,この際に,商品位置がずれる場合もあるため,比較対象としては,所定数の範囲内のフェイスの画像情報と比較することが好ましい。
以上のように行うことで,2回目以降の処理については自動的に,あるいは処理手順を減らして実行することが可能となる。
つぎに陳列棚画像情報解析処理部22における処理プロセスの一例を図17のフローチャートを用いて説明する。なおS400乃至S430の処理は,実施例1におけるS300乃至S330の処理と同様なので説明を省略する。
陳列棚画像情報解析処理部22は,S430において商品タグに付されている商品コードを商品IDに変換し,対応する商品情報を商品情報記憶部23から抽出後,商品特定処理部224が,フェイスの特定処理を実行する(S440)。すなわち,補正後画像情報または陳列棚画像情報において,棚段として指定された領域において,(1)フェイスとフェイスの間の影を検索する,(2)繰り返している画像領域があるかのパターンを検索する,(3)ある一つのフェイスを特定した場合,商品幅がほぼ一定であるなど商品形態の特徴を用い,商品幅ごとに順次フェイスを特定する,(4)商品の種別ごとに商品幅が定まっているので,商品幅ごとにフェイスを特定する,など(1)乃至(4)を一以上,組み合わせることによって,フェイスの領域を特定する。
フェイスを特定後,商品特定処理部224は,フェイスの領域ごとに,標本画像情報記憶部26に記憶する各商品の標本画像情報と画像マッチング処理を行うことで,当該フェイスの領域に表示されている商品の認識処理を実行する(S450)。
このようにして商品の認識後,商品特定処理部224は,同一の商品IDを持つ商品が横方向にいくつ並んでいるかを算出することで,商品ごとのフェイス数を算出するとともに(S460),当該商品が陳列されている陳列棚における棚段,棚段における横方向の位置(位置情報)を特定する。
陳列状況情報処理部223は,S450で認識した商品ID,フェイス数,特定した陳列棚における位置とを関連づけて陳列状況情報として陳列状況情報記憶部24に記憶させる(S470,S480)。なおこの際に,処理対象とした陳列棚画像情報を撮影した日時情報,店舗識別情報なども関連づけて記憶させるとよい。
そして,システム利用者端末4が所定の操作をすることで,ある店舗のある時点における陳列状況情報を取得した場合には,店舗識別情報や日時情報に基づいて,商品の陳列棚における陳列状況情報を,出力処理部25がシステム利用者端末4に出力することができる。また,期間を指定することで,出力処理部25が,陳列状況情報記憶部24に記憶する,指定期間における商品の陳列棚における陳列状況情報を抽出し,それらを合計したり,時系列的に整理して出力するなどにより,経時的変化を出力することもできる。さらに,特定の商品IDの指定を受け付けることで,さらに出力処理部25が,指定された商品IDの陳列状況情報を抽出し,出力することもできる。
加えて,あらかじめ陳列棚ごとにどの棚段がゴールデンラインかを指定しておくことで,ゴールデンラインにおける陳列状況情報,あるいは各陳列棚での陳列状況情報と,どの陳列棚がゴールデンラインかを示す情報とを併せて出力させることが可能となる。
このように,商品コードを印刷した商品タグを陳列棚に取り付け,それを撮影した陳列棚画像情報を撮影し,解析処理を実行することで,ある時点における陳列されている商品の情報を取得することができる。また,経時的変化を把握することができる。さらに,実際に店舗の陳列棚画像情報に基づいて,陳列されている商品を同定しているので,仮に商品が欠品をしていた場合にも,それを特定することができる。すなわち,商品タグの商品コードからは商品IDが認識できるものの,フェイスの領域では商品IDを特定できなかった場合,その商品は欠品として処理を行うことができる。
実施例1および実施例2において,さらに,商品タグに印刷されている商品コードに基づいて商品の価格を特定しない場合に,商品タグに画像解析処理を実行することで,商品名,価格,定格などを認識をしてもよい。
この場合,陳列棚画像情報解析処理部22においては,さらに商品タグ認識処理部225を備えている。本実施例における陳列棚画像情報解析処理部22の一例を図20に示す。
商品タグ認識処理部225は,棚段位置指定処理部221で指定を受け付けた棚段位置ではない領域について,所定の閉領域,好ましくは矩形領域を認識することで商品タグの領域を特定する。そして特定した商品タグの領域のうち,OCRや数字フォントとのパターンマッチングなどによって,価格,商品名,定格などの商品情報を抽出する。
商品コード変換処理部222は,商品タグ認識処理部225が認識した価格,商品名,定格などの商品情報と,商品コード変換処理部222で変換した商品IDに対応する,商品情報記憶部23に記憶する商品情報とを比較し,商品名,定格などの商品情報が一致しており,価格が相違する場合には,商品タグ認識処理部225で認識した価格を優先して商品情報として取り扱ってもよい。この場合,商品情報記憶部23に記憶する当該商品の価格の情報を更新してもよい。このような処理によって,変更されやすい価格の情報が更新された場合でも,商品情報記憶部23に記憶する価格情報も更新することが可能となる。なお,商品コード変換処理部222で上記比較等を行った商品情報は,実施例1乃至実施例2などと同様に,陳列状況情報処理部223が陳列状況情報として陳列状況情報記憶部24に記憶させる。
つぎに実施例2および実施例3において,陳列棚画像情報解析処理部22における画像情報のマッチング処理の際に,商品タグに付された商品コードを用いた場合の処理を説明する。
たとえば商品特定処理部224がS450における商品の認識処理において,フェイスの領域の画像情報と,標本画像情報記憶部26に記憶する標本画像情報との画像情報のマッチング処理の際に,商品コード変換処理部222で変換をした商品IDに対応する商品の標本画像情報を優先的に画像情報のマッチング処理の候補として用いる。そして,このマッチング処理の結果,ある一定以上の閾値の類似度であれば,当該商品IDの商品であると同定する。
またフェイスの領域と商品タグの領域とに若干のズレがある可能性もあるので,上記マッチング処理の際には,そのフェイスの近くに位置する商品タグに付された商品コードを商品コード変換処理部222が変換をした商品IDから順に行っていくとよい。すなわち,フェイスと商品タグとの距離の近接性に基づいて,候補とする商品IDの優先度を順位づけ,画像情報のマッチング処理を行う標本画像情報を候補とするとよい。
一般的に画像情報のマッチング処理には処理時間とシステムの負荷が発生するので,本発明のように構成することで,処理時間とシステム負荷を大幅に減らすことができる。商品コードに基づく商品IDの標本画像情報と,フェイスの領域の画像情報とのマッチングの結果,閾値が所定の条件を充足していない場合には,当該商品IDの商品(商品タグに対応する商品)は陳列されていない,すなわち欠品と判定できる。
さらに,商品タグ認識処理部225が,商品タグの認識処理を行うのを,商品コード変換処理部222の処理を実行する際に行ってもよい。また,商品コード変換処理部222において,商品コードを認識した場合,その商品コードを含む閉領域,好ましくは矩形領域を商品タグの領域として認識をしてもよい。なお,商品情報記憶部23において商品IDが価格と関連づけられている場合には,その処理を実行せずともよいし,あるいは商品情報記憶部23に記憶する価格の情報を優先的に,OCR処理,画像マッチング処理に用いてもよい。
上述の各実施例においては,商品タグに商品コードを付した場合を説明していたが,商品コード以外の領域,たとえば陳列棚の背面パネル100に所定の商品コードを付してもよい。この場合の陳列棚の一例を図21に示す。陳列棚の背面パネル100には,所定の情報がコード化された商品コードが貼付されている。この商品コードとしては,「欠品」を示す商品コードであってもよいし,その位置に陳列されるべき商品の欠品を示す情報をコード化した商品コード(欠品の情報と陳列される商品の商品IDの情報)であってもよい。
S200で陳列棚を撮影した場合に,欠品があると背面パネル100にある商品コードも映り込む。そのときに商品コード変換処理部222が読み取り,「欠品」または当該位置に陳列されるべき商品の商品IDの認識を行う。なお,この場合,商品コード変換処理部222は,棚段位置指定処理部221で指定された棚段以外の領域のみならず,陳列棚画像情報,補正後画像情報の全体にわたって,商品コードの読取処理を行う。
このような処理を行うことで,実施例2乃至実施例4に記載のように画像情報に対して標本画像情報を用いた画像マッチング処理を行わずとも,陳列している商品の欠品の認識を行うことが可能である。
なお,実施例1乃至実施例5の各実施例においては,必要に応じて処理の順番を変更することは可能である。