JP6668826B2 - 熱可塑性樹脂積層体 - Google Patents

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Description

本発明は熱可塑性樹脂積層体に関し、詳しくは、透明性の導光材料に使用される、全光線透過率、表面硬度、吸水・吸湿時の低寸法変化性、吸水・吸湿時の低反り性に優れる熱可塑性樹脂積層体に関する。
メタクリル酸メチルを主成分とする樹脂(以下、メタクリル樹脂という)から成る透明板は、案内板や表示板、看板、額縁、ゴンドラ等の車両用窓、サンルーフ、建物窓、パーティション、室内ドアの窓、照明カバー、画像表示装置の前面板、計器類カバー、反射材、導光板、UVカットフィルター、電子機器のカバー等として利用されている。しかしながら、メタクリル樹脂は吸水率が高いため、湿度環境下では寸法変化および反りが問題になる場合がある。
エッジライト方式大型ディスプレイ用導光板用途では、主にメタクリル樹脂が使用されている。エッジライト方式大型ディスプレイ用導光板では、光路長が非常に長くなるため、メタクリル樹脂に対してわずかに透過率が不足する場合でも、輝度低下や色座標変化が問題になる場合があるため、メタクリル樹脂並みの優れた透明性が必要とされる。また、近年では意匠性の点からディスプレイの枠縁を薄くすることが求められ、これに伴い導光板とエッジライトの距離を近づける必要があるため、メタクリル樹脂製の導光板では寸法変化が大きいことや耐熱不足が問題になる場合がある。
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂から成る透明板は、メタクリル樹脂に比べて吸水率が低いため、湿度環境下での寸法変化および反りの発生が小さいものの、全光線透過率が低いため、優れた全光線透過率を必要とするエッジライト方式大型ディスプレイ用導光板用途には不適である。
吸水率を低減させ、かつ表面硬度を低下させない方法として、特許文献1には、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂の両面に、メタクリル樹脂層を有する透明多層シートが開示されているが、湿度環境下での寸法変化や反りの発生や、耐熱性不足が問題となることがある上、メタクリル酸メチルに比べて全光線透過率が低いため、エッジライト方式大型ディスプレイ用導光板用途には不適である。
また、特許文献2には、メタクリル系樹脂(A)層の片面または両面に、(メタ)アクリル酸エステル構成単位と脂肪族ビニル構成単位とを含むビニル共重合樹脂(B)が積層された合成樹脂積層体が開示されているが、ビニル共重合樹脂(B)層の厚みによっては湿度環境下でビニル共重合樹脂(B)層にクラックを生じやすいため、十分なものではなかった。
特開2010−66744号公報 国際特開W2011/162183号公報
本発明は、以上のような状況から、エッジライト方式大型ディスプレイ用導光板に好適に使用される、全光線透過率、表面硬度、吸水・吸湿時の低寸法変化率、吸水・吸湿時の低反り性に優れる熱可塑性樹脂積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、メタクリル樹脂に特定の構造を有するビニル共重合樹脂を特定の層構成および特定の層比で積層させた熱可塑性樹脂積層体とすることにより、これらの特性を備えた熱可塑性樹脂積層体が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の積層体および該積層体を用いた熱可塑性樹脂積層体を提供するものである。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味するものとする。
[1]少なくともa/b/aまたはb/a/b/a/bの層構成を有し、a層は下記ビニル共重合樹脂(A)を含む層からなり、b層は下記メタクリル樹脂(B)を含む層からなり、全a層と全b層の合計厚みに対する全a層の合計厚みの割合が5〜50%である熱可塑性樹脂積層体。
ビニル共重合樹脂(A);
下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、下記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)との合計割合が全構成単位の合計に対して90〜100モル%であり、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル比が55:45〜85:15であるビニル共重合樹脂
メタクリル樹脂(B);
全構成単位の90モル%以上がメタクリル酸メチルであるメタクリル樹脂
Figure 0006668826
(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜16の基である。)
Figure 0006668826
(式中、R3は水素原子またはメチル基であり、R4はシクロヘキシル基または炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシクロヘキシル基である。)
[2]一般式(1)のR1及びR2がメチル基である[1]に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[3]一般式(2)のR4がシクロヘキシル基である[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂積層体。
[4]総厚みが10μm〜10.0mmの範囲である[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
[5]片面または両面に表面賦形、表面印刷、ハードコート処理、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理から選ばれるいずれか一つ以上を施した[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体を用いた導光板。
本発明によれば、全光線透過率、表面硬度、吸水・吸湿時の低寸法変化性、吸水・吸湿時の低反り性に優れる熱可塑性樹脂積層体が提供され、該積層体はエッジライト方式大型ディスプレイ用導光板用途に好適に使用される。
以下で本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂積層体は、第一層の上下対称位置に少なくとも一層以上の第二層が積層し、前記第一層および第二層のうち、一方がメタクリル樹脂(B)、もう一方がビニル共重合樹脂(A)から成り、前記メタクリル樹脂(B)層と前記ビニル共重合樹脂(A)層の厚みの合計に対するビニル共重合樹脂(A)層の厚みの割合が5〜50%である熱可塑性樹脂積層体であって、前記ビニル共重合樹脂(A)は前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル比が55:45〜85:15であることを特徴とする。
本発明で用いられるビニル共重合樹脂(A)は、前記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(a)と、前記式(2)で示される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(b)とを含む熱可塑性樹脂であって、その構成単位(a)と構成単位(b)の合計に対する構成単位(a)の割合が65〜85モル%であるビニル共重合樹脂(A)において、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(b)中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られる熱可塑性樹脂である。すなわち、ビニル共重合樹脂(A)は、ビニル共重合樹脂(A)の芳香族二重結合を水素化する前の熱可塑性樹脂である。ビニル共重合樹脂(A)において、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、前記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル比は、55:45〜85:15の範囲であり、60:40〜80:20の範囲であるとより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と脂肪族ビニル構成単位(b)との合計に対する(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)のモル比が55%未満であると、メタクリル樹脂(B)層との密着性が低くなるので実用的ではない。また、該モル比が85%を超える範囲であると、得られる熱可塑性樹脂積層体の吸水・吸湿時の寸法変化が大きくなるうえ、吸湿時の反り発生が大きくなるため好ましくない。
ビニル共重合樹脂(A)を構成する前記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(a)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(a)が複数存在する場合、複数存在するR1、R2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、構成単位(a)はR2がメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、およびイソボルニル基から選ばれる少なくとも1種である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位であることが好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が挙げられる。構成単位(a)は、より好ましくは、メタアクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位である。ビニル共重合樹脂(A)の構成単位(a)をメタアクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位とすることで、本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いるビニル共重合樹脂(A)は透明性に優れたものになる。
前記式(2)で表される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(b)において、R3は水素原子又はメチル基であり、R4はフェニル基又は炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するフェニル基である。構成単位(b)が複数存在する場合、複数存在するR3、R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α―メチルスチレン、o―メチルスチレン及びp―メチルスチレンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。より好ましくは、R3が水素原子、R4がフェニル基である、スチレン由来の構成単位である。構成単位(b)をスチレン由来の構成単位とすることで、本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いるビニル共重合樹脂(A)は、吸水・吸湿時の低寸法変化性に優れたものになる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いるビニル共重合樹脂(A)は、後述する方法により、ビニル共重合樹脂(A)の芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(b)中の全芳香族二重結合の70%以上を水素化することにより得られる。ビニル共重合樹脂(A)は、構成単位(b)におけるR4(炭素数1〜4の炭化水素置換基を有することのあるフェニル基)のフェニル基の芳香族2重結合の一部が水添された構成単位を含んでよく、R4がフェニル基である構成単位(すなわちフェニル基の芳香族二重結合が水素化していない構成単位)を含んでもよい。R4のフェニル基の芳香族2重結合の一部または全部が水添された構成単位としては、具体的には、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、α―メチルシクロヘキサン、α―メチルシクロヘキセン、α―メチルシクロヘキサジエン、o―メチルシクロヘキサン、o―メチルシクロヘキセン、o―メチルシクロヘキサジエン、p―メチルシクロヘキサン、p―メチルシクロヘキセン、p―メチルシクロヘキサジエンに由来する構成単位が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種の構成単位を含んでもよい。中でも、シクロヘキサンおよびα―メチルシクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いるビニル共重合樹脂(A)は、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、芳香族ビニルモノマーとを重合することにより製造することが出来る。重合には、公知の方法を用いることが出来るが、例えば、塊状重合法、溶液重合法などにより製造することが出来る。塊状重合法は、上記モノマー、重合開始剤を含むモノマー組成物を完全混合槽に連続的に供給し、100〜180℃で連続重合する方法などにより行われる。上記モノマー組成物は、必要に応じて連鎖移動剤を含んでもよい。
重合開始剤は特に限定されないが、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
連鎖移動剤は必要に応じて使用し、例えば、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒を挙げることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いるビニル共重合樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーを重合してビニル共重合樹脂(A)を得た後に、該ビニル共重合樹脂(A) における芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られる。上記水素化反応に用いられる溶媒は、前記の重合溶媒と同じであっても異なっていてもよい。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒を挙げることが出来る。
水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、水素圧力3〜30MPa、反応温度60〜250℃でバッチ式あるいは連続流通式で行うことが出来る。温度を60℃以上とすることにより反応時間がかかり過ぎることがなく、また250℃以下とすることにより分子鎖の切断やエステル部位の水素化を起こすことが少ない。
水素化反応に用いられる触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等の金属又はそれら金属の酸化物あるいは塩あるいは錯体化合物を、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いるビニル共重合樹脂(A)は、前記ビニル共重合樹脂(A)において、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られたものである。即ち、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中に残存する芳香族二重結合の割合は30%以下である。30%を超える範囲であるとビニル共重合樹脂(A) の透明性が低下し、その結果、本発明の熱可塑性樹脂積層体の透明性が低下する場合がある。上記芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中に残存する芳香族二重結合の割合は、好ましくは10%未満の範囲であり、より好ましくは5%未満の範囲である。また、ビニル共重合樹脂(A)は、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、光拡散剤、難燃剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、染顔料等の、一般に用いられる添加剤を含んでもよい。
ビニル共重合樹脂(A)の重量平均分子量は、特に制限はないが、強度及び成形性の観点から、40,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
ビニル共重合樹脂(A)のガラス転移温度は110〜140℃の範囲であるであることが好ましい。ガラス転移温度が110℃以上であることにより本発明で提供される熱可塑性樹脂積層体が高温環境あるいは高湿環境において寸法変化や反りを生じることが少なく、また140℃以下であることにより鏡面ロールや賦形ロールによる連続式熱賦形、あるいは鏡面金型や賦形金型によるバッチ式熱賦形などの加工性に優れる。なお、本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量測定装置を用い、試料10mg、昇温速度10℃/分で測定し中点法で算出したときの温度である。
本発明の熱可塑性樹脂積層体のビニル共重合樹脂(A)層には、ビニル共重合樹脂(A)の他に、透明性を損なわない範囲で他の樹脂をブレンドすることが出来る。他の樹脂の例としては、例えば、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。具体的には、商品名:エスチレンMS200(新日鉄住金化学(株)製)、レジスファイR−100(電気化学工業(株)製)、XIRAN SZ15170(Polyscope社製)、トーヨースチロールT080(東洋スチレン(株)製)等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂(b)は、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、光拡散剤、難燃剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、染顔料等の、一般に用いられる各種の添加剤を含んでもよい。ビニル共重合樹脂(A)層においてビニル共重合樹脂(A)の含有割合は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂積層体に用いられるメタクリル樹脂(B)は、メタクリル樹脂(B)中の全構成単位の90モル%以上がメタクリル酸メチルであることを特徴とする。上記のメタクリル樹脂(B)を用いることにより、本発明の熱可塑性樹脂積層体は、透明性に優れたものになる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体のメタクリル樹脂(B)層には、メタクリル樹脂(B)の他に、透明性を損なわない範囲で他の樹脂をブレンドすることが出来る。他の樹脂の例としては、例えば、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。具体的には、レジスファイR−100(電気化学工業(株)製)、XIRAN SZ15170(Polyscope社製)等が挙げられる。メタクリル樹脂(B)層においてメタクリル樹脂(B)の含有割合は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂積層体のメタクリル樹脂(B)層および/またはビニル共重合樹脂(A)層は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法等を用いることが出来る。
また、本発明の熱可塑性樹脂積層体のメタクリル樹脂(B)層および/またはビニル共重合樹脂(A)層には各種添加剤を混合して使用することが出来る。添加剤としては、例えば、抗酸化剤や抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料等が挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法等を用いることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、第一層の上下対称位置に少なくとも一層以上の第二層が積層し、前記第一層および第二層のうち、一方がメタクリル樹脂(B)、もう一方がビニル共重合樹脂(A)から成ることを特徴とする。例えば、(B)層/(A)層/(B)層の2種3層、(A)層/(B)層/(A)層/(B)層/(A)層の2種5層、(A)層/(B)層/(A)層の2種3層、(B)層/(A)層/(B)層/(A)層/(B)層の2種5層のような層構成が例示出来る。例えば(A)層/(B)層の2種2層、(A)層/(B)層/(A)層/(B)層の2種4層のような厚み方向に上下非対称となるように積層した場合は、表裏の吸水率差により湿度環境下で反りを生じる場合があり、好ましくない。また、例えば(B)層/(A)層/(B)層の2種3層、(A)層/(B)層/(A)層/(B)層/(A)層の2種5層、(A)層/(B)層/(A)層の2種3層、(B)層/(A)層/(B)層/(A)層/(B)層の2種5層のように厚み方向に上下対称の層構成とした場合でも、各層の厚みが厚み方向に上下対称でない場合、湿度環境下で反りを生じる原因になるため、第一層の上下で対をなす第二層同士の厚みは同等であることが好ましい。具体的には、第一層の上下で対をなす第二層同士の厚み差は、±20%以内とするのが好ましく、±10%以内とするのがより好ましい。上記のように第一層の上下対称位置に少なくとも一層以上の第二層を積層することで、本発明の熱可塑性樹脂積層体は吸水・吸湿時の低反り性に優れたものになる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体の製造方法としては、共押出による方法等を用いることが出来る。共押出の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、フィードブロック方式では、フィードブロックで第一層の上下対称位置に少なくとも一層以上の第二層を積層し、Tダイでシート状に押し出した後、成形ロールを通過させながら冷却し、所望の熱可塑性樹脂積層体を形成する。また、マルチマニホールド方式では、マルチマニホールドダイ内で第一層の上下対称位置に少なくとも一層以上の第二層を積層し、シート状に押し出した後、成形ロールを通過させ挟圧しながら冷却し、所望の熱可塑性積層体を形成する。この成形ロールは特に限定されないが、複数の金属ロールで挟圧して冷却する方法や、金属ロールと非金属ロール又は金属ベルトで挟圧して冷却する方法を例示することが出来る。この成形ロールとして、賦形ロールを組み合わせてもよい。賦形ロールを使用することで、成形時にエンボッシング加工が可能となる。エンボッシング加工は本発明の熱可塑性樹脂積層体の片面又は両面に施すことができる。賦形ロールの溝の形状は特に限定されないが、溝深さが0.1μm〜1000μmであり、凸間距離が5μm〜10000μmの範囲内の凹凸形状であると好ましく、溝深さ10μm〜500μmであり、凸間距離10μm〜3000μmの範囲内の凹凸形状であるとより好ましい。溝深さが0.1μm未満又は凸間距離が5 μ m 未満の場合には、形状によっては精密な成形が困難となる場合がある。一方、高さが1000μm より大きいか凸間距離が10000μmより大きい場合には、成形速度を遅くする必要があり、生産効率に欠け好ましくない。特に凹凸形状がシートの成形方向に対して平行な長手方向を有するシリンドリカルレンズやプリズムであるのがより好適である。
また本発明の熱可塑性樹脂積層体は、延伸処理が施されたものであっても良い。延伸処理によって、機械的強度が高まり、ひび割れし難い熱可塑性樹脂積層体を得ることが出来る。延伸方法は特に限定されず、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、チュブラー延伸法、圧延法等が挙げられる。延伸時の温度は、均一延伸の点からビニル共重合樹脂(A)のガラス転移温度より10℃〜40℃高い温度で行う。延伸温度が低くすぎると延伸中に成形体が破断しやすくなる。延伸温度が高すぎると延伸処理の効果が十分に発揮されず成形品の強度が高くなりにくい。また延伸は、通常100〜5000%/分の延伸速度で行われる。延伸速度が小さいと強度が高くなりにくく、生産性も低下する。また延伸速度が大きいと成形体が破断や偏肉が生じ、均一な延伸が困難になることがある。
本発明の熱可塑性樹脂積層体の厚みは、10μm〜10.0mmの範囲であることが好ましい。このうち延伸処理にて得る積層体の厚みは、10μm〜200μmであることが好ましい。10μm以下では、押出成形で製造する場合、転写不良や厚み精度不良が発生することが多く、一方延伸処理で製造する場合には破断等が起きやすく、成形が困難である。また、10.0mm以上では、押出成形で製造する場合、成形後の冷却ムラなどによる厚み精度不良や外観不良が発生しやすく、一方延伸処理で製造する場合には長時間の予熱を要するため、現実的ではない。より好ましくは20μm〜5.0mmの範囲であり、さらに好ましくは40μm〜3.0mmの範囲である。上記の厚みとすることにより、本発明の熱可塑性樹脂積層体は、厚み精度や外観に優れたものになる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体におけるビニル共重合樹脂(A)層の厚みは、メタクリル樹脂(B)層とビニル共重合樹脂(A)層の厚みの合計に対するビニル共重合樹脂(A)層の厚みの割合が5〜50%の範囲であることが好ましい。ビニル共重合樹脂(A)層の厚みが5%未満であると、吸水・吸湿時の寸法変化が大きいうえ、吸水・吸湿時にビニル共重合樹脂(A)層の機械強度がメタクリル樹脂(B)層の膨張に耐えきれず、ビニル共重合樹脂(A)層にクラックを生じる場合がある。また、ビニル共重合樹脂(A)層の厚みが50%を超えると、寸法変化抑制効果が小さいうえ、透明性と機械強度がやや低下するため、用途によっては不適となる場合があり、好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂積層体には、その片面または両面にハードコート処理、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施すことが出来る。それらの処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、熱硬化性あるいは光硬化性皮膜を塗布する方法、反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法等が挙げられる。コーティング剤は公知のものを用いることが出来、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂等の有機系コーティング剤、シラン化合物等のシリコン系コーティング剤、金属酸化物等の無機系コーティング剤、有機無機ハイブリッド系コーティング剤が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、全光線透過率、表面硬度、吸水・吸湿時の低寸法変化性、吸水・吸湿時の低反り性に優れ、特にエッジライト方式大型ディスプレイ用導光板用途に好適に使用される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例および比較例で得られた積層体の評価は以下のように行った。
<共重合体の水素化率>
以下の合成例にて得られたビニル共重合樹脂について、水素化反応前後のUVスペクトル測定における260nmの吸収の減少率により求めた。水素化反応前の樹脂の濃度C1における吸光度A1、水素化反応後の樹脂の濃度C2における吸光度A2から、以下の式より算出した。
水素化率=100×[1−(A2×C1)/(A1×C2)]
<透明性>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂積層体および熱可塑性樹脂板について、JIS K 7105、ASTM D1003に準拠し、色差計(日本電色工業(株)製:COH―400)にて測定した。全光線透過率92%以上のものを合格とした。
<鉛筆硬度>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂積層体および熱可塑性樹脂板について、JIS K 5600−5−4に準拠し、表面に対して角度45度、荷重750gで熱可塑性樹脂積層体表面を各硬度の鉛筆で引っかき、きず跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度として評価した。鉛筆硬度3H以上を合格とした。
<高温高湿での寸法安定率>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂積層体および熱可塑性樹脂板について、温度23℃、相対湿度50%の環境に24時間以上放置した試験片を120mm四方に切り出した。試験片のMD方向およびTD方向に100mmの標線を引き、MD方向おとびTD方向に引いた標線長さの平均値を初期値とした。温度50℃、相対湿度80%の環境中で240時間保持した。取り出した試験片のMD方向およびTD方向に引いた標線長さを再度測定し、その平均値を試験値とした。試験値と初期値の差を変化量とし、初期値に対する変化量を百分率で算出し、寸法変化率とした。寸法変化率が+0.25%以内のものを合格とした。
<高温高湿での反り性>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂積層体および熱可塑性樹脂板について、温度23℃、相対湿度50%の環境に24時間以上放置した試験片を120mm四方に切り出した。上面が凹となるようガラス板上に平置きにし、4隅の浮きを隙間ゲージで測定し、4隅の平均を初期値とした。温度50度、相対湿度80%の環境中で240時間保持した。取出した試験片を上面が凹となるようガラス板上に平置きにし、4隅の浮きを隙間ゲージで測定し、4隅の平均値を試験値とした。試験値と初期値の差を反り量とし、反り量が0.3mm以下のものを合格とした。
<積層樹脂の密着性評価>
試験片を100mm×300mmに切り出す。試験片を直径80mmの円筒に長辺が円周方向となるように押し付け、積層樹脂の界面の剥離の有無を評価した。剥離の生じる枚数が10枚中2枚以下のものを合格とした。
合成例1〔ビニル共重合樹脂(A1)の製造〕
精製したメタクリル酸メチル(三菱ガス化学社製)77.0モル%と、精製したスチレン(和光純薬工業社製)23.0モル%と、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス575)0.002モル%からなるモノマー組成物を、ヘリカルリボン翼付き10L完全混合槽に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行った。重合槽の液面が一定となるよう底部から連続的に抜き出し、脱溶剤装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂(A1’)を得た。
得られたビニル共重合樹脂(A1’)をイソ酪酸メチル(関東化学社製)に溶解し、10重量%イソ酪酸メチル溶液を調整した。1000mLオートクレーブ装置に(A1’)の10重量%イソ酪酸メチル溶液を500重量部、10重量%Pd/C(NEケムキャット社製)を1重量部仕込み、水素圧9MPa、200℃で15時間保持してベンゼン環部位を水素化した。フィルターにより触媒を除去し、脱溶剤装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂(A1)を得た。H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位の割合は75モル%であり、また波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化反応率は99%であった。
合成例2〔ビニル共重合樹脂(A2)の製造〕
合成例1で使用したメタクリル酸メチルの使用量を62.0モル%とし、またスチレンの使用量を38.0モル%とした以外は合成例1と同様にしてビニル共重合樹脂(A2)を得た。H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位の割合は60モル%であり、また波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化反応率は99%であった。
合成例3〔ビニル共重合樹脂(A3)の製造〕
合成例1で使用したメタクリル酸メチルの使用量を30.000モル%とし、またスチレンの使用量を69.998モル%とした以外は合成例1と同様にしてビニル共重合樹脂(A3)を得た。H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位の割合は28モル%であり、また波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化反応率は99%であった。
合成例4〔ビニル共重合樹脂(A4)の製造〕
合成例1で使用したメタクリル酸メチルの使用量を92.0モル%とし、またスチレンの使用量を8.0モル%とした以外は合成例1と同様にしてビニル共重合樹脂(A4)を得た。H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位の割合は90モル%であり、また波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化反応率は99%であった。
実施例1〔樹脂(A1)/樹脂(B1)/樹脂(A1)〕
軸径32mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて積層体を成形した。軸径32mmの単軸押出機に合成例1で得たビニル共重合樹脂(A1)を連続的に導入し、シリンダ温度250℃、吐出速度6.0kg/hの条件で押し出した。また軸径65mmの単軸押出機にメタクリル樹脂(B1)(住友化学(株)製スミペックスMG5)を連続的に導入し、シリンダ温度250℃、吐出速度54.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種3層の分配ピンを備え、温度250℃として(A1)と(B1)を導入し積層した。その先に連結された温度250℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度90℃、82℃、120℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、(B1)の両側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)/(A1)=100μm/1800μm/100μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は10%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.21%、高温高湿での反り量は0.2mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は合格であった。
実施例2〔樹脂(A1)/樹脂(B1)/樹脂(A1)〕
実施例1の軸径32mmの単軸押出機の吐出速度を12.0kg/h、軸径65mmの単軸押出機の吐出速度を48kg/hとした以外は実施例1と同様にして(B1)の両側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)/(A1)=200μm/1600μm/200μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.19%、高温高湿での反り量は0.1mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は合格であった。
実施例3〔樹脂(A1)/樹脂(B1)/樹脂(A1)〕
実施例1の軸径32mmの単軸押出機の吐出速度を24.0kg/h、軸径65mmの単軸押出機の吐出速度を36.0kg/hとした以外は、実施例1と同様にして(B1)の両側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)/(A1)=400μm/1200μm/400μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は40%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.15%、高温高湿での反り量は0.0mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は合格であった。
実施例4〔樹脂(B1)/樹脂(A1)/樹脂(B1)/樹脂(A1)/樹脂(B1)〕
実施例2のフィードブロックに2種5層の分配ピンを取り付けた以外は、実施例2と同様にして(B1)/(A1)/(B1)/(A1)/(B1)の順に積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(B1)/(A1)/(B1)/(A1)/(B1)=533μm/200μm/533μm/200μm/533μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.12%、高温高湿での反り量は0.1mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は合格であった。
実施例5〔樹脂(A2)/樹脂(B1)/樹脂(A2)〕
実施例2で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに合成例2で得たビニル共重合樹脂(A2)を使用した以外は実施例2と同様にして(B1)の両側に(A2)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)/(A1)=200μm/1600μm/200μmであり、ビニル共重合樹脂(A2)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A2)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.15%、高温高湿での反り量は0.1mm、積層樹脂の密着性評価は2/10であり、総合判定は合格であった。
実施例6〔樹脂(A1)/樹脂(B1)/樹脂(A1)〕
実施例1の軸径32mmの単軸押出機の吐出速度を6.0kg/h、軸径65mmの単軸押出機の吐出速度を24.0kg/hとした以外は実施例1と同様にして(B1)の両側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは1.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)/(A1)=100μm/800μm/100μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.21%、高温高湿での反り量は0.2mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は合格であった。
比較例1〔樹脂(A3)/樹脂(B1)/樹脂(A3)〕
実施例2で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりに合成例3で得たビニル共重合樹脂(A3)を使用した以外は実施例2と同様にして(B1)の両側に(A3)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A3)/(B1)/(A3)=200μm/1600μm/200μmであり、ビニル共重合樹脂(A3)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A3)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は2H、高温高湿での寸法変化率は+0.25%(クラック発生)、高温高湿での反り量は0.1mm(クラック発生)、積層樹脂の密着性評価は10/10であり、総合判定は不合格であった。
比較例2〔樹脂(A4)/樹脂(B1)/樹脂(A4)〕
比較例1で使用したビニル共重合樹脂(A3)の代わりに合成例4で得たビニル共重合樹脂(A4)を使用した以外は比較例1と同様にして(B1)の両側に(A4)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A3)/(B1)/(A3)=200μm/1600μm/200μmであり、ビニル共重合樹脂(A3)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A3)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は4H、高温高湿での寸法変化率は+0.30%、高温高湿での反り量は0.2mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は不合格であった。
比較例3〔樹脂(A1)/樹脂(B1)/樹脂(A1)〕
実施例1の軸径32mmの単軸押出機の吐出速度を2.4kg/h、軸径65mmの単軸押出機の吐出速度を57.6kg/hとした以外は、実施例1と同様にして(B1)の両側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)/(A1)=40μm/1920μm/40μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は4%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.28%(クラック発生)、高温高湿での反り量は0.1mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は不合格であった。
比較例4〔樹脂(A1)/樹脂(B1)〕
実施例2のフィードブロックに2種2層の分配ピンを取り付けた以外は、実施例2と同様にして(B1)の片側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B1)=400μm/1600μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル樹脂(B1)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.28%、高温高湿での反り量は1.0mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は不合格であった。
比較例5〔樹脂(A1)/樹脂(B2)/樹脂(A1)〕
実施例2で使用したメタクリル樹脂(B1)の代わりにメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(B2)(新日鉄住金化学(株)製エスチレンMS−600)を使用した以外は実施例2と同様にして(B2)の両側に(A1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(A1)/(B2)/(A1)=200μm/1600μm/200μmであり、ビニル共重合樹脂(A1)とメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(B2)の合計厚みに対するビニル共重合樹脂(A1)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は90%、鉛筆硬度は3H、高温高湿での寸法変化率は+0.12%、高温高湿での反り量は0.0mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は不合格であった。
比較例6〔樹脂(B1)/樹脂(B2)/樹脂(B1)〕
比較例5で使用したビニル共重合樹脂(A1)の代わりにメタクリル樹脂(B1)(住友化学(株)製スミペックスMG5)を使用した以外は比較例5と同様にして(B2)の両側に(B1)を積層した熱可塑性樹脂積層体を得た。得られた積層体の厚みは2.0mm、各層の厚みは中央付近で(B1)/(B2)/(B1)=200μm/1600μm/200μmであり、メタクリル樹脂(B1)とメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(B2)の合計厚みに対するメタクリル樹脂(B1)の厚みの割合は20%であった。全光線透過率は90%、鉛筆硬度は4H、高温高湿での寸法変化率は+0.12%、高温高湿での反り量は0.1mm、積層樹脂の密着性評価は0/10であり、総合判定は不合格であった。
比較例7〔樹脂(B1)〕
軸径65mmの単軸押出機と、押出機に連結されたTダイとを有する単層押出装置を用いて単層体を成形した。単軸押出機にメタクリル樹脂(B1)を連続的に導入し、シリンダ温度250℃、吐出速度50.0kg/hで押し出した。その先に連結された温度250℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度90℃、82℃、105℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、単層体を得た。得られた単層体の厚みは2.0mmであった。全光線透過率は93%、鉛筆硬度は4H、高温高湿での寸法変化率は+0.35%、高温高湿での反り量は0.3mmであり、総合判定は不合格であった。
比較例8〔樹脂(B2)〕
比較例7で使用したメタクリル樹脂(B1)の代わりに、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(B2)(新日鉄住金化学(株)製エスチレンMS−600)を使用した以外は比較例7と同様にして単層体を得た。得られた単層体の厚みは2.0mmであった。全光線透過率は90%、鉛筆硬度はHB、高温高湿での寸法変化率は+0.12%、高温高湿での反り量は0.1mmであり、総合判定は不合格であった。
Figure 0006668826

Claims (6)

  1. 少なくともb/a/b/a/bの層構成を有し、a層は下記ビニル共重合樹脂(A)を含む層からなり、b層は下記メタクリル樹脂(B)を含む層からなり、全a層と全b層の合計厚みに対する全a層の合計厚みの割合が5〜50%である熱可塑性樹脂積層体。
    ビニル共重合樹脂(A);
    下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、下記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含み、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)との合計割合が全構成単位の合計に対して90〜100モル%であり、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)とのモル比が55:45〜85:15であるビニル共重合樹脂
    メタクリル樹脂(B);
    全構成単位の90モル%以上がメタクリル酸メチルであるメタクリル樹脂
    Figure 0006668826
    (式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜16の基である。)
    Figure 0006668826
    (式中、R3は水素原子またはメチル基であり、R4はシクロヘキシル基または炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシクロヘキシル基である。)
  2. 一般式(1)のR1及びR2がメチル基である請求項1に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  3. 一般式(2)のR4がシクロヘキシル基である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  4. 総厚みが10μm〜10.0mmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
  5. 片面または両面に表面賦形、表面印刷、ハードコート処理、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理から選ばれるいずれか一つ以上を施した請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体を用いた導光板。
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