JP6655794B2 - 個人認証装置、個人認証方法、およびプログラム - Google Patents

個人認証装置、個人認証方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本開示は、個人の心電波形を用いてその個人を認証する装置または方法などに関する。
従来、個人であるユーザの心電波形を計測し、その心電波形を用いてそのユーザを認証する装置および方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許第4782141号公報
しかしながら、上記特許文献1の装置および方法では、認証の精度が低いという問題がある。
本開示の非限定的で例示的な一態様は、高い精度で個人を認証することができる個人認証装置である。
本開示の一態様に係る個人認証装置は、ユーザに接する複数の電極を用いて前記ユーザの心電波形を計測する心電計測回路と、前記心電波形における、P波のピーク及びQ波のピークの少なくとも1つと、第1のR波のピークと、第2のR波のピークとを検知するピーク検知部と、前記各波のピークに基づいて、前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第1の正規化心電波形を取得する取得部と、複数のユーザの識別情報と、前記複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む登録情報を参照し、前記第1の正規化心電波形と類似する特徴を示す特徴情報に対応付けられたユーザの識別情報を出力する認証部とを備え、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔を第1の所定時間に伸縮し、前記取得部は、(i)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、(ii)前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、または(iii)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮する。
なお、この包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)などの不揮発性の記録媒体を含む。
本開示によれば、高い精度で個人を認証することができる。
図1は、1周期分の心電波形を表す図である。 図2は、特許文献1から想定される、心電波形を用いた個人認証の概要を示す図である。 図3は、2個のR波の間の心電波形を時間軸方向に伸縮する一例を示す図である。 図4Aは、線形補間の一例を示す図である。 図4Bは、線形補間の一例を示す図である。 図5は、被験者6人の心電波形に対して、特許文献1から想定される方法で認証を行った結果を示す図である。 図6は、特許文献1から想定される方法における誤認証の例を示す図である。 図7は、実施の形態1における個人認証装置の構成を示すブロック図である。 図8は、実施の形態1における規則情報の一例を示す図である。 図9は、実施の形態1における登録情報の一例を示す図である。 図10は、実施の形態1における登録情報の他の例を示す図である。 図11は、実施の形態1における正規化の一例を説明するための図である。 図12は、実施の形態1における2個の心電波形の相関の一例を示す図である。 図13は、実施の形態1における個人認証装置の認証フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。 図14は、実施の形態1における取得部の処理動作を示すフローチャートである。 図15は、実施の形態1における取得部による時間軸方向の伸縮の処理動作を示すフローチャートである。 図16は、実施の形態1における取得部13による振幅方向の伸縮の処理動作を示すフローチャートである。 図17は、実施の形態1における認証部15の処理動作を示すフローチャートである。 図18Aは、実施の形態1における規則情報の他の例を示す図である。 図18Bは、実施の形態1における規則情報に示される所定時間の根拠を説明するための図である。 図19は、実施の形態1における正規化の他の例を説明するための図である。 図20は、実施の形態1における2個の波形の相関の他の例を示す図である。 図21は、実施の形態1における正規化で揃えられるピーク(調整対象ピーク)の組み合わせと、その組み合わせに対する正解率とを示す図である。 図22は、実施の形態1の変形例に係る個人認証装置の構成を示すブロック図である。 図23は、実施の形態1の変形例に係る個人認証装置の登録フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。 図24は、実施の形態1およびその変形例における、正規化で揃えられるピーク(調整対象ピーク)の組み合わせと、その組み合わせに対する、シグニチャを用いずに認証が行われる場合の正解率とを示す図である。 図25は、実施の形態2における個人認証装置の構成を示すブロック図である。 図26は、実施の形態2における登録情報の一例を示す図である。 図27は、実施の形態2における特徴ベクトルの生成方法の一例を説明するための図である。 図28は、実施の形態2における個人認証装置の認証フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。 図29は、実施の形態2における、選択される要素の数ごとに、調整対象ピークの組み合わせと、その組み合わせに対する最大の正解率とを示す図である。 図30は、実施の形態2における、選択要素数ごとに、調整対象ピーク組と、その調整対象ピーク組に対して正解率が100%となる要素組の数とを示す図である。 図31は、実施の形態2における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図32は、実施の形態2における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図33は、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図34は、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図35は、実施の形態2の変形例に係る個人認証装置の構成を示すブロック図である。 図36は、実施の形態2の変形例に係る個人認証装置の登録フェーズにおける処理動作を示すフローチャートある。 図37は、実施の形態1における、20秒以上の計測に対する正解率と、3秒間の計測に対する正解率とを示す図である。 図38は、実施の形態2における、20秒以上の計測に対する正解率と、3秒間の計測に対する正解率とを示す図である。 図39は、実施の形態3における特徴ベクトルの生成方法の一例を説明するための図である。 図40は、実施の形態3における、選択要素数が2である場合の最大の正解率を示す図である。 図41は、実施の形態3における、選択要素数が3である場合の最大の正解率を示す図である。 図42は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合の、正解率100%の要素組の数を示す図である。 図43は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合の、正解率100%の要素組の数を示す図である。 図44は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図45は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図46は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図47は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図48は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図49は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図50は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図51は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。 図52は、実施の形態3における個人認証装置の認証フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。 図53は、実施の形態3の変形例に係る個人認証装置の登録フェーズにおける処理動作を示すフローチャートある。 図54は、各実施の形態およびその変形例に係る個人認証装置のハードウェア構成を示す図である。
(本発明の基礎となった知見)
本願発明者は、「背景技術」の欄において記載した、特許文献1から想定される装置および方法に関し、以下の問題が生じることを見出した。まず、特許文献1から想定される装置および方法について説明する。
心電波形は、心臓の心房および心室の分極過程に伴い周期的に現れる電位である心電位の時間変化を示す。
図1は、1周期分の心電波形を表す図である。
心電波形は、P波、Q波、R波、S波、およびT波を有する。P波は、心房の脱分極による波である。Q波、R波、およびS波の各波は、心室の脱分極による波である。T波は、心室の再分極による波である。
心電波形の特徴は、個人ごとに異なる。したがって、心電波形を用いて個人を認証することができる。以下、個人をユーザとして説明する。しかし、同じユーザの心電波形においても、その波形の振幅または周期は変動する。よって、同じユーザの心電位の変動に影響されることなく、複数のユーザ間の心電波形の差異を区別することが求められる。
心電波形を含む生体情報を個人認証に使うには、登録フェーズと認証フェーズとが必要である。登録フェーズでは、個人認証に使われる、複数のユーザの生体情報が登録される。認証フェーズでは、登録された複数のユーザの生体情報の中から、計測されたユーザの生体情報にマッチングする生体情報に対応付けられたユーザが探索される。
図2は、特許文献1から想定される、心電波形を用いた個人認証の概要を示す図である。
登録フェーズでは、各ユーザの1周期分の心電波形を、R−R区間とR波のピーク値に基づいて正規化する。R−R区間は、心電波形における、R波のピークと、次のR波のピークとの間の区間である。次に、全ユーザの平均(全平均)の心電波形を計算する。各ユーザの正規化された心電波形から全平均の心電波形を減算し、その減算によって得られた差分を各ユーザのシグニチャとして保持する。
認証フェーズでは、被験者とされるユーザの1周期分の心電波形を、R−R区間とR波のピーク値に基づいて正規化する。その正規化された心電波形から全平均を減算する。次に、登録されている各ユーザのシグニチャの中から、その減算によって得られた差分との相関が最も高いシグニチャに対応付けられたユーザを探索し、そのユーザのID(識別情報)を出力する。
本願発明者らは、特許文献1から想定される、心電波形を用いた個人認証方法の課題を検討した。具体的には、特許文献1から想定される方法にしたがって、個人認証を以下のように行った。
つまり、ワイヤレス生体電位センサを使って、被験者6人の心電波形を計測した。被験者が一方の手でAg電極を持ち、他方の手でAgCl電極を持った状態で、被験者の心電波形が計測された。この計測のサンプリング周波数は1024Hzであった。被験者ごとに、3日間にわたって異なるタイミングで心電波形が12回計測された。1回の計測ごとに心電波形が20秒以上(21〜39秒)計測された。12回計測された心電波形のうち、9回の心電波形を登録に使い、残りの3回の心電波形を認証に使った。
計測された心電波形に低周波数のノイズが含まれたため、前処理として5Hzのハイパスフィルタを心電波形に適用した。前処理の後、その心電波形の中から、P波、Q波、R波、S波、およびT波の全てのピークを検知した。心電波形の振幅と周期が毎回変動するため、1周期ごとに、その周期の時間(R−R区間)と振幅(R波ピーク値)とに基づく心電波形の正規化を行った。R−R区間に基づく正規化では、R−R区間が所定の時間になるように、2個のR波の間の心電波形を時間軸方向に伸縮した。
図3は、2個のR波の間の心電波形を時間軸方向に伸縮する一例を示す図である。
2個の異なるR−R区間RR1,RR2が、所定の時間RRnormになるように、心電波形を時間軸方向に伸縮した。このような伸縮によって、心電波形を時間軸方向に正規化した。なお、図3に示すグラフの縦軸は電位を表し、横軸はサンプル番号またはサンプル数を表す。サンプリング周波数は1024Hzであるため、その横軸のサンプル番号またはサンプル数は、そのサンプリング周波数に応じた時刻または時間を示す。ここで、RRnormは100サンプルである。心電波形の時間軸方向の伸縮方法は線形補間である。
図4Aおよび図4Bは、線形補間の一例を示す図である。
図4Aに示すサンプル1〜N1からなる波形f1は、図4Bに示すように、サンプル1〜N2からなる波形f2に正規化される。波形f2におけるサンプル番号kの値は、以下の式(1)のように、波形f1におけるサンプル番号を用いて表される。
ここで、(1+(k−1)N1/N2)が整数でなければ、下記式(2)のように、f2(k)が計算される。
ここで、

はそれぞれ負と正の無限大方向の丸めを表す。
次に、R波のピーク値に基づく正規化では、R−R区間ごとに、そのR−R区間の心電波形を、所定比率ratio3に基づいて2個の区間に分割した。そして、R−R区間の時間長をRRとすると、0からratio3×RRまでの時間範囲における心電波形の電位を、第1のR波のピーク値で割った。さらに、ratio3×RRからR−R区間の終端までの時間範囲における心電波形の電位を、第2のR波のピーク値で割った。このような除算、つまり伸縮によって、心電波形を振幅方向に正規化した。この伸縮によって、R波のピーク値を常に1にした。ここで、ratio3は0.7である。
1人のユーザに対して計測された心電波形に、R−R区間の波形が複数存在する場合には、R−R区間とR波のピーク値とに基づいて、1周期分の正規化された複数の心電波形を平均化した。平均化された心電波形において、ratio3×RRからR−R区間の終端までの時間範囲における波形を、0からratio3×RRまでの時間範囲における波形の前にシフトした。これによりP波、Q波、R波、S波、T波の順番に各波が配列する。なお、このシフトは任意である。
ユーザiに対して登録されているデータには、平均化された、時間RRnormの心電波形ECGMeaniと、R−R区間の数RRNumiとが含まれている。登録されているユーザの数がNとすれば、全ユーザの平均(全平均)ECGMeanAllは、以下の式(3)によって計算される。
ここで、kはサンプル番号を表し、1〜RRnormの何れかの値となる。
認証のために計測された心電波形ごとに認証を行った。6人の被験者に対して、被験者ごとに3個の心電波形を認証に用いたため、合計18個の心電波形に対して評価を行った。評価方法として、心電波形が正しく認証された数の割合(正解率)を計算した。
図5は、被験者6人の心電波形に対して、特許文献1から想定される方法で認証を行った結果を示す図である。
図5の表のうち、左端の縦方向に沿って配列されている番号はそれぞれ、実際のユーザ番号であり、上端の横方向に沿って配列されている番号はそれぞれ、認証によって出力されたユーザ番号である。ユーザごとに正しく認証された回数は、図5の表のうち対角線に沿って配列されている数字で表されている。正解率は72%である。このように、特許文献1から想定される方法では、認証の精度は低い。
図6は、特許文献1から想定される方法における誤認証の例を示す図である。
図6における左側のグラフは、被験者1の認証データ(実線)と登録データ(破線)を示す。認証データは、認証のために計測された1個の心電波形に基づいて生成された、平均化および正規化された1周期分の心電波形である。また、登録データは、被験者ごとに、事前に計測された9個の心電波形に基づいて生成された、平均化および正規化された1周期分の心電波形である。図6における真中のグラフは、全ユーザの心電波形の平均(全平均)を示す。図6における右側のグラフは、認証データから全平均を減算することによって得られる差分(実線)と、登録データから全平均を減算することによって得られる差分(破線)とを表す。
2個の差分の相関は、0.23であって、低い。その原因は、左側のグラフで示されるように、2個の波形は似ているが、P波、Q波、S波、およびT波のピークの位置がずれているためである。
R波以外の波のピークと、R波のピークとの間の時間は、R−R区間に対して非線形のため、正規化の際に、このようなずれが生じている。
このような問題を解決するために、本開示の一態様に係る個人認証装置は、ユーザに接する複数の電極を用いて前記ユーザの心電波形を計測する心電計測回路と、前記心電波形における、P波のピーク及びQ波のピークの少なくとも1つと、第1のR波のピークと、第2のR波のピークとを検知するピーク検知部と、前記各波のピークに基づいて、前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第1の正規化心電波形を取得する取得部と、複数のユーザの識別情報と、前記複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む登録情報を参照し、前記第1の正規化心電波形と類似する特徴を示す特徴情報に対応付けられたユーザの識別情報を出力する認証部とを備え、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔を第1の所定時間に伸縮し、前記取得部は、(i)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、(ii)前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、または(iii)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮する。例えば、前記登録情報に含まれる各ユーザの前記特徴情報は、心電波形を示す。
これにより、第1の正規化心電波形では、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間が第2の所定時間にされているか、第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間が第3の所定時間にされている。したがって、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間、または、第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間に影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば94%または83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間だけでなく、第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間にも影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、前記ピーク検知部は、さらに、前記心電波形におけるS波のピークを検知し、前記取得部は、さらに、前記第1のR波のピークと前記S波のピークとの時間間隔を第4の所定時間に伸縮してもよい。
これにより、さらに、第1のR波のピークとS波のピークとの間の時間にも影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば94%または83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、前記ピーク検知部は、さらに、前記心電波形におけるT波のピークを検知し、前記取得部は、さらに、前記第1のR波のピークと前記T波のピークとの時間間隔を第5の所定時間に伸縮してもよい。
これにより、さらに、第1のR波のピークとT波のピークとの間の時間にも影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば89%または83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、前記ピーク検知部は、さらに、前記心電波形におけるS波のピークおよびT波のピークを検知し、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記S波のピークとの時間間隔を第4の所定時間に時間軸方向に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記T波のピークとの時間間隔を第5の所定時間に伸縮してもよい。
これにより、さらに、第1のR波のピークとS波のピークとの間の時間にも、第1のR波のピークとT波のピークとの間の時間にも、影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば94%または83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、前記個人認証装置は、さらに、複数の登録対象ユーザのそれぞれの識別情報の入力を受け付ける入力部と、前記入力部によって受け付けられた前記複数の登録対象ユーザの識別情報と、前記複数の登録対象ユーザのそれぞれに対して前記取得部によって取得された第1の正規化心電波形の特徴を示す特徴情報と、を対応付けることによって、前記登録情報を生成する登録部とを備えてもよい。
これにより、取得部によって取得された第1の正規化心電波形を利用して登録情報が生成されるため、正しい登録情報を簡単に生成することができる。
また、前記個人認証装置は、さらに、前記取得部によって取得された前記第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成するウェーブレット変換部と、生成された前記第1のマトリクスから、少なくとも2つの要素を選択し、選択された前記少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する選択部とを備え、前記認証部は、各ユーザの前記特徴情報としてベクトルを含む前記登録情報を参照し、生成された前記特徴ベクトルと類似するベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力してもよい。
これにより、登録情報に含まれる特徴情報はベクトルであるため、特徴情報が心電波形を示す場合よりも、その登録情報のデータ量を抑えることができる。したがって、登録情報を保持するメモリの容量を削減することができる。また、例えば、20秒以上計測された心電波形に対しては、正解率を100%とすることができる。
また、前記取得部は、さらに、前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第2の正規化心電波形を取得し、前記第2の正規化心電波形は、前記心電波形に含まれる各ピーク間の時間間隔のうち、前記第1のR波のピークと前記第2のR波とのピークとの時間間隔のみが前記第1の所定時間に伸縮されており、前記個人認証装置は、さらに、前記取得部によって取得された前記第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成し、かつ前記取得部によって取得された前記第2の正規化心電波形をウェーブレット変換して第2のマトリクスを生成するウェーブレット変換部と、前記第1のマトリクスおよび前記第2のマトリクスのそれぞれから少なくとも1つの要素を選択し、選択された少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する選択部とを備え、前記認証部は、各ユーザの前記特徴情報としてベクトルを含む前記登録情報を参照し、生成された前記特徴ベクトルと類似するベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力してもよい。
これにより、第1の正規化心電波形に対するウェーブレット変換と、第2の正規化心電波形に対するウェーブレット変換とが行われる。したがって、例えば3秒間計測された心電波形に対しても、正解率を高くすることができ、個人であるユーザを高い精度で短期間に認証することができる。
また、前記取得部によって取得された前記第1の正規化心電波形において、P波、Q波、S波およびT波のうちの少なくとも1つの波のピークである調整対象ピークと、前記第1のR波のピークとの時間間隔が、少なくとも1つの前記調整対象ピークのそれぞれに対応する所定時間に伸縮されている場合、前記登録情報に含まれる各ユーザの前記特徴情報は、当該ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって取得された、登録正規化心電波形の特徴を示し、前記登録正規化心電波形と、前記第1の正規化心電波形とでは、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの時間間隔が等しく、かつ、少なくとも1つの前記調整対象ピークのそれぞれと前記第1のR波のピークとの時間間隔の時間が等しくてもよい。
これにより、登録正規化心電波形と、第1の正規化心電波形とでは、少なくとも1つの調整対象ピークのそれぞれと第1のR波のピークとの間の時間が等しい。したがって、少なくとも1つの調整対象ピークのそれぞれの時刻(時間軸上の位置)に影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
本開示の他の一態様に係る個人認証装置は、複数の電極を用いてユーザの心電波形を計測する心電計測回路と、前記心電波形に含まれる複数のピークを検知するピーク検知器と、前記複数のピークに基づいて、前記心電波形を伸縮することによって、正規化心電波形を取得する取得部と、予め記録された情報と、前記正規化心電波形に基づいて前記ユーザを特定する情報を出力する認証器とを備え、前記心電波形は第1波形と第1波形の直後に続く第2波形を含み、前記複数のピークは、前記第1波形に含まれる第1のR波のピークと、前記第2波形に含まれる第2のR波のピークを含み、前記複数のピークは前記第1波形に含まれるP波のピークまたは前記第1波形に含まれるQ波のピークの少なくとも一方を含み、前記第1波形と前記第2波形の各々は複数のR波のピークを含まず、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークの時間間隔を第1の所定時間に伸縮し、前記取得部は、第1伸張、第2伸張、第3伸張のひとつを実施し、前記第1伸張において、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記P波のピークの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、前記第2伸張において、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、前記第3伸張において、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記P波のピークの前記時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークの前記時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮し、前記予め記録された情報は、前記ユーザを含む複数のユーザの各々の心電波形に基づく情報を含む。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
(個人認証装置10の構成)
図7は、実施の形態1における個人認証装置の構成を示すブロック図である。
個人認証装置10は、心電計測部11と、ピーク検知部12と、取得部13と、認証部15とを備えている。
(心電計測部11)
心電計測部11は、ユーザに接している複数の電極(つまり、電極群)を用いて、そのユーザの心電波形を計測する。なお、具体的には、心電計測部11は、予め定められたサンプリング周期ごとに心電位を計測することにより、心電波形を示す心電データを出力する。心電データは、そのサンプリング周期ごとの、言い換えれば、所定の時間経過ごとの、心電位を示す。したがって、この心電データによって、経時的な心電位の推移が心電波形として示される。なお、心電計測部11は、例えば心電計測回路として構成されている。また、心電計測部11は、電極群を備えていてもよく、電極群を備えていなくてもよい。電極群を備えていない場合には、心電計測部11は、電極群に含まれる個々の電極と電気的に接続される。
このような心電計測部11は、所定時間(例えば1〜2秒)以上計測することによって、2個以上のR波のピークを有する心電波形を計測する。例えば、心電計測部11は、1024Hzのサンプリング周波数で心電位をサンプリングする。
複数の電極は、その複数の電極の間にユーザの心臓が位置するように、ユーザに接してもよい。例えば、複数の電極のうちの何れかは、ユーザの右手に接し、残りの何れかは、左手に接している。または、複数の電極のうちの何れかは、ユーザの右足に接し、残りの何れかは、左足に接している。また、複数の電極は、ユーザの両手で把持されることによって、ユーザに接してもよい。または、複数の電極は、接着剤によってユーザに貼り付けられることによって、ユーザに接してもよい。
(ピーク検知部12)
ピーク検知部12は、心電計測部11によって計測された心電波形から、2個以上のR波のピークを検知する。さらに、ピーク検知部12は、心電計測部11によって計測された心電波形から、調整対象ピークとしてP波のピークを検知する。調整対象ピークは、心電波形に含まれるP波、Q波、S波およびT波のうち、ピークの時刻(時間軸における位置)が調整される波のピークであって、規則格納部DB1に格納されている規則情報に示されている。ここで、本実施の形態では、調整対象ピークは、心電波形に含まれるP波、Q波、S波およびT波のうち、少なくともP波またはQ波を含む1つまたは複数の波である。以下、まず、調整対象ピークがP波のみである場合を例にあげて説明し、図18A以降に、調整対象ピークが、P波、Q波、S波およびT波である例など、他の例について説明する。
ピーク検知部12は、上述のように、2個のR波のピークを検知するとともに、規則情報を参照することによって、調整対象ピークとしてP波のピークを決定し、そのP波のピークを検知する。
例えば、ピーク検知部12は、心電波形のうち、所定の電位における波の幅が閾値以下であって、電位の極大値が閾値以上の波のピークを、R波のピークとして検知する。さらに、ピーク検知部12は、R波のピークの時刻の前にある所定の時間範囲に現れる、電位の極大値を有する波のピークを、P波のピークとして検知する。なお、ピーク検知部12は、他の公知の方法に基づいて、R波のピークおよびP波のピークを検知してもよい。また、電位の極大値から予め定められた電位だけ低い電位を示す波の時刻を、その波のピークの時刻として検知してもよい。
ここで、2個以上のR波のピークを、心電波形において出現する時刻が早いR波から順に、R1波、R2波、・・・、RN波(Nは整数)と表記する。第NのR波のピークを第1のR波と表記し、第N+1のR波を第2のR波と表記する。第1のR波と第2のR波との間の区間を「R−R区間」とする。また、ピーク検知部12は、R−R区間ごとに、S波のピーク、T波のピーク、P波のピーク、およびQ波のピークを検知しても良い。
(取得部13)
取得部13は、ピーク検知部12によって検知された各波のピークに基づいて、計測された心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、正規化心電波形(第1の正規化心電波形)を取得する。
時間軸方向の伸縮を行う際には、取得部13は、規則格納部DB1に格納されている規則情報を参照することによって、調整対象ピークとしてP波を決定するとともに、そのP波のピークに対する所定時間(第2の所定時間)を特定する。この第2の所定時間は、第1のR波のピークと調整対象ピークとの時間間隔である。取得部13は、心電波形における第1のR波のピークと第2のR波のピークとの時間間隔を、所定の時間RRnorm(第1の所定時間)に伸縮する。さらに、取得部13は、心電波形における第1のR波のピークと調整対象ピークであるP波のピークとの時間間隔を、第2の所定時間に伸縮する。
振幅方向の伸縮を行う際には、取得部13は、時間軸方向に伸縮された心電波形における第1の区間の電位を第1のR波のピーク値で割り、その心電波形における第2の区間の電位を第2のR波のピーク値で割る。これにより、心電波形は振幅方向に伸縮される。また、例えば、規則格納部DB1に、予め定められた電位の大きさを示す情報が格納されている場合には、取得部13は、その情報を用いて振幅方向の伸縮を行ってもよい。その情報は、例えばV0の電位の大きさを示す。この場合、取得部13は、時間軸方向に伸縮された心電波形における第1の区間の電位に対して、V0/(第1のR波のピーク値)を乗算し、その心電波形における第2の区間の電位に対して、V0/(第2のR波のピーク値)を乗算する。これにより、心電波形は振幅方向に伸縮され、伸縮された心電波形の最大の電位の大きさはV0となる。
(認証部15)
認証部15は、登録格納部DB2に格納される登録情報を参照し、取得部13によって取得された正規化心電波形のユーザを認証する。ここで、登録情報は、複数のユーザの識別情報と、それらの複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む。本実施の形態では、特徴情報は、そのユーザに対して登録されている心電波形(登録心電波形)である。また、ユーザを認証するとは、登録情報に含まれる複数のユーザの識別情報から1個のユーザの識別情報を出力することを含む。この認証によって、心電計測部11によって計測された心電波形のユーザが特定される。
例えば、認証部15は、登録情報に含まれる複数の登録心電波形の中から、取得部13で取得された正規化心電波形と最も類似する、または最も相関の高い登録心電波形に対応付けられているユーザの識別情報を出力する。または、認証部15は、登録情報に含まれる複数の登録心電波形のそれぞれと、取得部13で取得された正規化心電波形との類似度を求め、所定の類似度以上であって、かつ、最も高い類似度を有する登録心電波形に対応付けられているユーザの識別情報を出力する。その所定の類似度は、登録格納部DB2の登録情報に示されていてもよく、登録格納部DB2に格納されている、登録情報とは異なる情報に示されていてもよい。または、認証部15は、その所定の類似度を示す情報を保持していてもよく、個人認証装置10に具備される記録媒体からその情報を読み出してもよい。
また、認証部15は、登録情報に含まれる複数の登録心電波形のそれぞれに対して求められた類似度が、何れも所定の類似度より小さい場合には、ユーザを認証することができないことを示す情報を出力してもよい。つまり、認証部15は、取得された正規化心電波形が、登録されている識別情報のユーザに関連していないことを示す情報を、出力してもよい。
(規則格納部DB1)
図8は、実施の形態1における規則情報の一例を示す図である。
規則格納部DB1に格納されている規則情報は、調整対象ピークと、その調整対象ピークに対応する所定時間とを示す。調整対象ピークは、P波のピークである。所定時間は、第2の所定時間であって、例えば、0.85×RRnormである。なお、このP波の所定時間を示すために、RRnormに乗算される係数は、0.85ではなく、0.79〜0.94の範囲の値であってもよい。
(登録格納部DB2)
図9は、実施の形態1における登録情報の一例を示す図である。
登録格納部DB2に格納されている登録情報は、複数のユーザの識別情報と、それらの複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む。本実施の形態では、特徴情報は、ユーザの正規化された心電波形である上述の登録心電波形である。登録心電波形は、時刻と、その時刻における心電位の大きさとを示している。ユーザの識別情報は、例えば、ユーザの名前、年齢、または体重を含む、個人を識別し得る情報である。
また、登録情報は、ユーザごとに、そのユーザのR−R区間の数を示していてもよい。このR−R区間の数は、登録心電波形を生成する際に、心電計測部11によって計測されたユーザの心電波形に含まれるR−R区間の数であって、後述する全ユーザの登録心電波形の平均(全平均)を算出するときに用いられる。
また、登録心電波形は、P波、Q波、R波、S波、T波の順番に各波が配列するように、上述のシフトが行われていてもよく、シフトが行われていなくてもよい。
図10は、実施の形態1における登録情報の他の例を示す図である。
登録心電波形は、図9に示すように、所定の時刻ごとに、その時刻と、その時刻における心電位とを示す代わりに、図10に示すように、正規化された心電波形そのものを示していてもよい。この場合でも、登録心電波形は、P波、Q波、R波、S波、T波の順番に各波が配列するように、上述のシフトが行われていてもよく、シフトが行われていなくてもよい。
また、本実施の形態における登録心電波形は、ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、正規化された心電波形である。さらに、その登録心電波形を生成するために心電計測部11によって計測されたユーザの心電波形に、R−R区間が複数ある場合には、そのR−R区間の数だけの正規化された心電波形が平均化される。この平均化によって得られた心電波形が、上述の登録心電波形である。また、その登録心電波形における、第1のR波のピークと調整対象ピーク(P波のピーク)との間の時間は、上述の第2の所定時間と一致する。
図11は、実施の形態1における正規化の一例を説明するための図である。
取得部13は、R−R区間の心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって正規化する。
具体的には、取得部13は、R−R区間の心電波形を、第1のR波のピークとP波のピークとの間の区間であるR−P区間と、P波のピークと第2のR波のピークとの間の区間であるP−R区間に分割する。そして、取得部13は、R−R区間の時間が、第1の所定時間RRrormになり、R−P区間の時間が、第2の所定時間RPnormになり、P−R区間の時間が、所定時間PRnormになるように、それらの区間ごとに、心電波形を時間軸方向に伸縮する。ここで、第1の所定時間RRrormは、例えば100サンプル分の時間である。第2の所定時間RPnormは、図8の規則情報によって示されるように、0.85×100=85サンプル分の時間である。また、所定時間PRnormは、第1の所定時間RRrormから第2の所定時間RPnormを減算することによって得られる時間であり、100−85=15サンプル分の時間である。このように、P波のピークである調整対象ピークは、所定時間に生じるように調整される。言い換えれば、調整対象ピークは、その調整対象ピークと第1のR波のピークとの間の時間が所定時間になるように揃えられる。この調整対象ピークを揃えるときには、心電波形の時間軸方向の伸縮方法として、上述の式(1)と式(2)で示される線形補間が用いられる。
図12は、実施の形態1における2個の心電波形の相関の一例を示す図である。
図12における左側のグラフは、取得部13によって取得されたユーザの正規化心電波形(実線)と、そのユーザの登録心電波形(破線)とを示す。例えば、そのユーザは、図5に示す被験者1である。図12における真中のグラフは、全ユーザの登録心電波形の平均(全平均)を示す。図12における右側のグラフは、正規化心電波形から全平均を減算することによって得られる差分(実線)と、登録心電波形から全平均を減算することによって得られる差分(破線)とを表す。これらの差分の相関は、0.49であって、高い。したがって、取得された正規化心電波形と、被験者1の登録心電波形との相関は、被験者1から被験者6までの登録心電波形との相関の中で最も高いため、その取得された正規化心電波形に対して、被験者1の識別情報を正しく出力することができる。なお、相関は、例えばピアソンの積率相関係数として示される。
(認証フェーズの処理フロー)
図13は、実施の形態1における個人認証装置10の認証フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。
まず、心電計測部11は、ユーザに接する複数の電極を用いて、そのユーザの心電波形を計測する(ステップS10)。
ピーク検知部12は、ステップS10で計測された心電波形から、心電波形の第1のR波および第2のR波のそれぞれのピークを検知する。さらに、ピーク検知部12は、調整対象ピークとしてP波のピークを検知する(ステップS11)。
取得部13は、検知された各ピークに基づいて、その心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、正規化心電波形を取得する(ステップS12)。このとき、取得部13は、時間軸方向の伸縮において、心電波形における第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間の時間を、第1の所定時間(RRnorm)に伸縮する。かつ、取得部13は、正規化心電波形における第1のR波のピークと、調整対象ピークであるP波のピークとの間の時間を、第2の所定時間に伸縮する。つまり、取得部13は、P波のピークを揃える。
また、取得部13は、ステップS10で計測された心電波形にR−R区間が複数含まれている場合には、ステップS12では、平均化された正規化心電波形を取得する。つまり、取得部13は、複数のR−R区間のそれぞれに対して正規化心電波形を生成する。そして、取得部13は、そのR−R区間の数だけの正規化心電波形の平均を算出することによって、その平均化された正規化心電波形を取得する。
認証部15は、登録格納部DB2に格納されている登録情報を受け付ける(ステップS13)。次に、認証部15は、ステップS13で受け付けた登録情報を参照し、ステップS12で取得された正規化心電波形と類似する登録心電波形に対応付けられたユーザの識別情報を出力する。つまり、認証部15は、取得された正規化心電波形と類似する特徴を示す登録心電波形に対応付けられたユーザの識別情報を出力する。
(取得部13の処理フロー)
図14は、実施の形態1における取得部13の処理動作を示すフローチャートである。つまり、図14は、図13のステップS12の処理を詳細に示すフローチャートである。
取得部13は、規則格納部DB1に格納されている規則情報を参照することにより、P波のピーク、Q波のピーク、S波のピーク、およびT波のピークの中から、揃えるピーク、つまり調整対象ピーク(例えばP波のピーク)を決定する(ステップS51)。そして、取得部13は、図13に示すステップS11で検知されたR波のピークに基づいて、心電波形に含まれるR−R区間の数RRNumを特定する(ステップS52)。続いて、取得部13は、値であるカウンターnを1に初期化する(ステップS53)。
次に、取得部13は、カウンターnが数RRNum以下であるか否かを判定する(ステップS54)。ここで、数RRNum以下であると判定すると(ステップS54のYes)、取得部13は、時間軸方向の伸縮によって、ステップS51で決定された調整対象ピークを揃えて、心電波形のn番目のR−R区間を正規化する(ステップS55)。さらに、取得部13は、そのn番目のR−R区間におけるR波のピーク値に基づく、振幅方向の伸縮によって、そのR−R区間の各電位を正規化する(ステップS56)。これにより、n番目のR−R区間の正規化心電波形が生成される。さらに、取得部13は、カウンターnを1だけインクリメントし(ステップS57)、ステップS54からの処理を繰り返し実行する。
取得部13は、ステップS54において、カウンターnが数RRNum以下ではないと判定すると(ステップS54のNo)、RRNum個分の正規化心電波形を平均化する(ステップS58)。これにより、平均化された正規化心電波形が取得される。
ここで、取得部13は、平均化された正規化心電波形に対してシフトを行ってもよい。つまり、取得部13は、平均化された正規化心電波形のうち一部の波形を、残りの部分の波形の前にシフトする。一部の波形は、(ratio3×RRnorm)によって示される時刻から、RRnormによって示される時刻までの時間範囲における波形である。残りの部分の波形は、0から(ratio3×RRnorm)によって示される時刻までの時間範囲における波形である。なお、RRnormは上述の第1の所定時間であり、RRnormによって示される時刻は、0からRRnorm経過した時刻である。同様に、(ratio3×RRnorm)によって示される時刻は、0から(ratio3×RRnorm)経過した時刻である。また、ratio3は、例えば0.7である。これにより、平均化された正規化心電波形では、P波、Q波、R波、S波、T波の順番に各波が配列する。なお、このシフトは任意である。
(時間軸方向の伸縮の処理フロー)
図15は、実施の形態1における取得部13による時間軸方向の伸縮の処理動作を示すフローチャートである。つまり、図15は、図14のステップS55の処理を詳細に示すフローチャートである。
取得部13は、図14のステップS51で決定された調整対象ピークの数PeakNumを特定する(ステップS21)。例えば、調整対象ピークがP波のピークのみならば、取得部13は、数PeakNumとして1を特定する。
次に、取得部13は、図13のステップS11で検知された第1のR波のピークと、調整対象ピークと、第2のR波ピークとが境目になるように、R−R区間を、(数PeakNum+1)個の小区間に分割する(ステップS22)。
そして、取得部13は、規則情報に基づいて、各区間が所定の時間になるように、心電波形を時間軸方向に伸縮させる(ステップS23)。これにより、R−R区間の心電波形が、時間軸方向に伸縮されることによって、正規化される。つまり、時間軸方向の正規化が行われる。
(振幅方向の伸縮の処理フロー)
図16は、実施の形態1における取得部13による振幅方向の伸縮の処理動作を示すフローチャートである。つまり、図16は、図14のステップS56の処理を詳細に示すフローチャートである。
取得部13は、図14のステップS55において時間軸方向の伸縮によって正規化された心電波形を、所定の比率ratio3で2個の区間に分割する(ステップS25)。つまり、取得部13は、心電波形を、第1の区間と第2の区間とに分割する。第1の区間は、0から(ratio3×RRnorm)によって示される時刻までの区間である。第2の区間は、(ratio3×RRnorm)によって示される時刻からRRnormによって示される時刻までの区間である。
次に、取得部13は、第1の区間にある心電波形の電位を第1のR波のピーク値で割る(ステップS26)。
そして、取得部13は、第2の区間にある心電波形の電位を第2のR波のピーク値で割る(ステップS27)。これにより、R−R区間の心電波形が、振幅方向(あるいは高さ方向)に伸縮されることによって、正規化される。つまり、振幅方向の正規化が行われる。
(認証部15の処理フロー)
図17は、実施の形態1における認証部15の処理動作を示すフローチャートである。つまり、図17は、図13のステップS14の処理を詳細に示すフローチャートである。
認証部15は、図13のステップS13で受け付けた登録情報に基づいて、上述の式(3)を用いて全ユーザの登録心電波形の平均(全平均)を計算する(ステップS30)。
認証部15は、図13のステップS13で受け付けた登録情報に基づいて、登録されている各ユーザの識別情報に対応するシグニチャを生成する。言い換えれば、認証部15は、登録されている各ユーザのシグニチャを生成する(ステップS31)。具体的には、認証部15は、登録情報に示されるユーザの識別情報ごとに、そのユーザの識別情報の登録心電波形から、ステップS30で計算された全平均を減算することによって、その差分をシグニチャとして生成する。
認証部15は、図13のステップS12で取得された正規化心電波形(より具体的には、平均化された正規化心電波形)のシグニチャを生成する(ステップS32)。つまり、認証部15は、取得された正規化心電波形から、ステップS30で計算された全平均を減算することによって、その差分を、取得された正規化心電波形のシグニチャとして生成する。
認証部15は、ステップS32で生成されたシグニチャと、ステップS31で生成された各ユーザのシグニチャとの相関を計算する(ステップS33)。そして、認証部15は、ステップS33で計算された相関のうち、登録情報において、最も高い相関を示すシグニチャに対応付けられているユーザの識別情報を探索する(ステップS34)。
ここで、上述の例では、調整対象ピークは、P波のピークのみであった。しかし、調整対象ピークは、心電波形に含まれるP波、Q波、S波およびT波のうち、少なくともP波またはQ波を含む1つまたは複数の波である。例えば、調整対象ピークは、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークであってもよい。
(規則格納部DB1の他の例)
図18Aは、実施の形態1における規則情報の他の例を示す図である。
規則格納部DB1に格納されている規則情報は、調整対象ピークごとに、その調整対象ピークと、その調整対象ピークに対応する所定時間とを示す。調整対象ピークは、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークである。また、規則情報は、P波のピークに対応する所定時間(第2の所定時間)として、0.85×RRnormを示し、Q波のピークに対応する所定時間(第3の所定時間)として、0.95×RRnormを示す。さらに、規則情報は、S波のピークに対応する所定時間(第4の所定時間)として、0.05×RRnormを示し、T波のピークに対応する所定時間(第5の所定時間)として、0.35×RRnormを示す。
なお、P波のピークに対応する所定時間(第2の所定時間)を示すために、RRnormに乗算される係数は、0.85ではなく、0.79〜0.94の範囲の値であってもよい。同様に、Q波のピークに対応する所定時間(第3の所定時間)を示すために、RRnormに乗算される係数は、0.95ではなく、0.95〜0.98の範囲の値であってもよい。同様に、S波のピークに対応する所定時間(第4の所定時間)を示すために、RRnormに乗算される係数は、0.05ではなく、0.01〜0.07の範囲の値であってもよい。同様に、T波のピークに対応する所定時間(第5の所定時間)を示すために、RRnormに乗算される係数は、0.35ではなく、0.26〜0.43の範囲の値であってもよい。
ピーク検知部12は、この規則情報を参照することによって、調整対象ピークとしてP波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークを決定し、それらのピークを検知する。
例えば、ピーク検知部12は、上述のように、心電波形のうち、所定の電位における波の幅が閾値以下であって、電位の極大値が閾値以上の波のピークを、R波のピークとして検知する。そして、ピーク検知部12は、その検知されたR波のピークを基準に、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークを検知する。具体的には、ピーク検知部12は、R波のピークの時刻の前にある所定の時間範囲に現れる、電位の極大値を有する波のピークを、P波のピークとして検知する。さらに、ピーク検知部12は、R波のピークの時刻の後にある所定の時間範囲に現れる、電位の極大値を有する波のピークを、T波のピークとして検知する。さらに、ピーク検知部12は、R波のピークの時刻の前に現れる、電位の極小値を有する波のピークを、Q波のピークとして検知し、R波のピークの時刻の後に現れる、電位の極小値を有する波のピークを、S波のピークとして検知する。なお、ピーク検知部12は、他の公知の方法に基づいて、P波、Q波、R波、S波、およびT波のそれぞれのピークを検知してもよい。また、電位の極大値または極小値から予め定められた電位だけ低いまたは高い電位を示す波の時刻を、その波のピークの時刻として検知してもよい。
図18Bは、実施の形態1における規則情報に示される所定時間の根拠を説明するための図である。
図18Bの(a)に示すように、上述の被験者6人のそれぞれに対して12回計測された心電波形には、ばらつきがある。つまり、それらの心電波形におけるP波、Q波、R波、S波およびT波のピークが現れる時刻には、ばらつきがある。また、1人の被験者から得られる複数の心電波形においても、P波、Q波、R波、S波およびT波のピークが現れる時刻には、ばらつきがある。なお、図18Bの(a)において、RS/RRは、R−R区間における第1のR波のピークからS波のピークまでの時間の、R−R区間の時間に対する比率を示す。同様に、RT/RRは、R−R区間における第1のR波のピークからT波のピークまでの時間の、R−R区間の時間に対する比率を示す。RP/RRは、R−R区間における第1のR波のピークからP波のピークまでの時間の、R−R区間の時間に対する比率を示す。RQ/RRは、R−R区間における第1のR波のピークからQ波のピークまでの時間の、R−R区間の時間に対する比率を示す。
これらのピークが現れる時刻の統計結果に基づいて、図18Bの(b)のように、各ピークに対する比率の平均値および標準偏差が算出される。そして、図18Bの(c)に示すように、各ピークに対する比率に対して、「平均値−(2×標準偏差)」と「平均値+(2×標準偏差)」とが算出される。その結果、図18Bの(d)に示すように、各ピークに対する比率の範囲が、「平均値−(2×標準偏差)」から「平均値+(2×標準偏差)」までと決定される。
規則情報は、各ピークに対応する所定時間として、この図18Bの(d)によって示される範囲内の比率と、R−R区間の時間であるRnormとの積を示す。したがって、規則情報は、各ピークに対応する適切な所定時間を示しているため、規則情報に基づく時間軸方向の伸縮によって、各ピークが不適切な時刻に現れることを抑えることができる。その結果、時間軸方向の伸縮による各ピークの時刻の変更によって、認証の精度が低下してしまうことを抑えることができる。
図19は、実施の形態1における正規化の他の例を説明するための図である。
取得部13は、図18Aに示す規則情報を参照し、心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、正規化心電波形を取得する。より具体的には、取得部13は、平均化された正規化心電波形を取得する。このとき、取得部13は、心電波形における第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間の時間を、第1の所定時間(RRnorm)に伸縮する。さらに、取得部13は、心電波形におけるP波のピークと第1のR波のピークとの間の時間を、第2の所定時間に伸縮する。さらに、取得部13は、心電波形におけるQ波のピークと第1のR波のピークとの間の時間を、第3の所定時間に伸縮する。さらに、取得部13は、心電波形におけるS波のピークと第1のR波のピークとの間の時間を、第4の所定時間に伸縮する。さらに、取得部13は、心電波形におけるT波のピークと第1のR波のピークとの間の時間を、第5の所定時間に伸縮する。つまり、取得部13は、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークの位置(時間軸上の位置)を常に所定の位置に揃えるような正規化を行う。
具体的には、取得部13は、R−R区間を、R−S区間と、S−T区間と、T−P区間と、P−Q区間と、Q−R区間とに分割する。R−S区間は、第1のR波のピークとS波のピークとの間の区間である。S−T区間は、S波のピークとT波のピークとの間の区間である。T−P区間は、T波のピークとP波のピークとの間の区間である。P−Q区間は、P波のピークとQ波のピークとの間の区間である。Q−R区間は、Q波のピークと第2のR波のピークとの間の区間である。次に、取得部13は、R−R区間を含むそれらの区間が、その区間に対応する所定時間になるように、区間ごとに、その区間の心電波形を時間軸方向に伸縮する。R−R区間の所定時間は、RRnorm(第1の所定時間)であって、具体的には100サンプル分の時間である。R−S区間と、S−T区間と、T−P区間と、P−Q区間と、Q−R区間とのそれぞれの所定時間は、RSnorm、STnorm、TPnorm、PQnorm、QRnormである。RSnormは、第4の所定時間であって、STnormは、(第5の所定時間−第4の所定時間)によって算出される時間である。TPnormは、(第2の所定時間−第5の所定時間)によって算出される時間である。PQnormは、(第3の所定時間−第2の所定時間)によって算出される時間である。QRnormは、(第1の所定時間−第3の所定時間)によって算出される時間である。つまり、RSnorm、STnorm、TPnorm、PQnorm、QRnorm、およびRRnormは、それぞれ5サンプル分、30サンプル分、50サンプル分、10サンプル分、5サンプル分、および100サンプル分の時間である。
このような時間軸方向の伸縮によって、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれの位置が常に所定の位置に揃う。
なお、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれの位置を揃えるときには、これらの波のピークが全て調整対象ピークである。したがって、図13のステップS11では、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークが検知される。また、図14のステップS51では、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークが調整対象ピークとして決定される。さらに、図15のステップS21では、調整対象ピークの数PeakNumとして4が特定される。
図20は、実施の形態1における2個の波形の相関の他の例を示す図である。
図20における左側のグラフは、上述のように取得部13によって取得された正規化心電波形(実線)と、そのユーザの登録心電波形(破線)とを示す。例えば、そのユーザは、図5に示す被験者1である。図20における真中のグラフは、全ユーザの登録心電波形の平均(全平均)を示す。図20における右側のグラフは、正規化心電波形から全平均を減算することによって得られる差分(実線)と、登録心電波形から全平均を減算することによって得られる差分(破線)とを表す。これらの差分の相関は、0.66であって、高い。したがって、上述のように取得された正規化心電波形と、被験者1の登録心電波形との相関は、被験者1から被験者6までの登録心電波形との相関の中で最も高いため、その取得された正規化心電波形に対して、被験者1の識別情報を正しく出力することができる。
なお、本実施の形態における登録心電波形は、ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、正規化された心電波形である。さらに、その登録心電波形を生成するために心電計測部11によって計測されたユーザの心電波形に、R−R区間が複数ある場合には、そのR−R区間の数だけの正規化された心電波形が平均化される。この平均化によって得られた心電波形が、上述の登録心電波形である。また、その登録心電波形における、第1のR波のピークと各調整対象ピークとの間の時間は、上述の第2〜第5の所定時間のうちの何れかと一致する。つまり、登録心電波形における、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間は、第2の所定時間に等しい。第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間は、第3の所定時間に等しい。第1のR波のピークとS波のピークとの間の時間は、第4の所定時間に等しい。第1のR波のピークとT波のピークとの間の時間は、第5の所定時間に等しい。
ここで、上述のように、調整対象ピークは、P波、Q波、S波、およびT波のうちの、P波またはQ波を含む少なくとも1個の波のそれぞれのピークであってもよい。
図21は、実施の形態1における正規化で揃えられるピーク(調整対象ピーク)の組み合わせと、その組み合わせに対する正解率とを示す図である。
調整対象ピークの組み合わせは、図20に示すように15組ある。この15組のうち、調整対象ピークとしてS波およびT波のうちの一方のピークのみ、または両方のピークのみを含む3組では、正解率は72%以下である。しかし、15組中のその3組を除く12組のそれぞれでは、正解率は72%を超える。したがって、本実施の形態では、P波、Q波、S波、およびT波のうちの、P波またはQ波を含む少なくとも1個の波のそれぞれのピークを調整対象ピークとすることで、高い精度でユーザを認証することができる。
このように、本実施の形態における個人認証装置10は、心電計測部11と、ピーク検知部12と、取得部13と、認証部15とを備える。心電計測部11は、ユーザに接する複数の電極を用いてそのユーザの心電波形を計測する。ピーク検知部12は、計測された心電波形におけるP波のピークまたはQ波のピークと、第1のR波のピークと、第2のR波のピークとを検知する。取得部13は、ピーク検知部12によって検知された各波のピークに基づいて、計測された心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第1の正規化心電波形を取得する。認証部15は、複数のユーザの識別情報と、それらの複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む登録情報を参照し、第1の正規化心電波形と類似する特徴を示す特徴情報に対応付けられたユーザの識別情報を出力する。ここで、取得部13は、計測された心電波形における、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間を第1の所定時間(RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。さらに、取得部13は、第1のR波のピークとP波のピークとの間を第2の所定時間(例えば0.85×RRnorm)に、または、第1のR波のピークとQ波のピークとの間を第3の所定時間(例えば0.95×RRnorm)に、時間軸方向に伸縮する。例えば、登録情報に含まれる各ユーザの特徴情報は心電波形を示す。
これにより、第1の正規化心電波形では、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間が第2の所定時間にされているか、第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間が第3の所定時間にされている。したがって、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間、または、第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間に影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば図21に示すように、P波に対して94%、またはQ波に対して83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、ピーク検知部12は、P波のピークとQ波のピークとを検知する。取得部13は、計測された心電波形における、第1のR波のピークとP波のピークとの間を第2の所定時間(例えば0.85×RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。かつ、取得部13は、第1のR波のピークとQ波のピークとの間を第3の所定時間(例えば0.95×RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。
これにより、第1のR波のピークとP波のピークとの間の時間、第1のR波のピークとQ波のピークとの間の時間に影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば図21に示すように、P波およびQ波に対して83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、ピーク検知部12は、さらに、計測された心電波形におけるS波のピークを検知する。取得部13は、さらに、計測された心電波形における、第1のR波のピークとS波のピークとの間を第4の所定時間(例えば0.05×RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。
これにより、さらに、第1のR波のピークとS波のピークとの間の時間にも影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば図21に示すように、P波およびS波に対して94%、またはQ波およびS波に対して83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、ピーク検知部12は、さらに、計測された心電波形におけるT波のピークを検知する。取得部13は、さらに、計測された心電波形における、第1のR波のピークとT波のピークとの間を第5の所定時間(例えば0.35×RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。
これにより、さらに、第1のR波のピークとT波のピークとの間の時間にも影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば図21に示すように、P波およびT波に対して89%、またはQ波およびT波に対して83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
また、ピーク検知部12は、さらに、計測された心電波形におけるS波のピークおよびT波のピークを検知する。取得部13は、計測された心電波形における、第1のR波のピークとS波のピークとの間を第4の所定時間(例えば0.05×RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。かつ、取得部13は、第1のR波のピークとT波のピークとの間を第5の所定時間(例えば0.35×RRnorm)に時間軸方向に伸縮する。
これにより、さらに、第1のR波のピークとS波のピークとの間の時間にも、第1のR波のピークとT波のピークとの間の時間にも、影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、例えば図21に示すように、P波、S波およびT波に対して94%、または、Q波、S波およびT波に対して83%の正解率を得ることができ、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
(変形例)
上記実施の形態1における個人認証装置10は、登録格納部DB2に格納されている登録情報を用いて認証を行ったが、その登録情報を生成する処理である登録を行ってもよい。
(個人認証装置10Aの構成)
図22は、実施の形態1の変形例に係る個人認証装置の構成を示すブロック図である。
個人認証装置10Aは、心電計測部11と、ピーク検知部12と、取得部13と、入力部14aと、登録部14bと、認証部15とを備えている。
(入力部14a)
入力部14aは、例えばユーザによる操作によって、そのユーザの識別情報を受け付ける。入力部14aは、例えばキーボード、マウスまたはタッチパネルなどによって構成される。
(登録部14b)
登録部14bは、入力部14aによってユーザの識別情報が受け付けられるごとに、そのユーザの識別情報と、そのユーザの識別情報に対して取得部13によって取得された正規化心電波形と、R−R区間の数とを対応付ける。これによって、登録部14bは、上述の登録情報を生成する。そして、登録部14bは、その生成された登録情報を登録格納部DB2に格納する。このような処理によって、取得部13によって取得されたユーザの正規化心電波形が登録心電波形として登録される。例えば、登録部14bは、入力部14aによってユーザの識別情報が受け付けられた後、所定時間以内に、取得部13によって取得された正規化心電波形を、登録心電波形として登録する。
(登録フェーズの処理フロー)
図23は、実施の形態1の変形例に係る個人認証装置10Aの登録フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。
個人認証装置10Aは、ステップS40〜S42を実行する。これらのステップは、上記実施の形態1における個人認証装置10による認証フェーズで行われる処理、つまり、図13に示すステップS10〜S12の処理と同様の処理である。
次に、登録部14bは、取得部13によって取得された正規化心電波形と、入力部14aによって事前に受け付けられていたユーザの識別情報と、その正規化心電波形の生成に利用されたR−R区間の数とを対応付けて、登録情報に書き込む(ステップS43)。このとき、正規化心電波形は、登録心電波形として書き込まれる。このような書き込みが登録対象ユーザごとに行われることによって、図9または図10に示す登録情報が生成される。また、このステップS43の処理によって、登録対象ユーザの心電波形が登録される。
このように、本変形例に係る個人認証装置10Aは、実施の形態1における個人認証装置10と比較して、さらに、入力部14aと登録部14bとを備える。入力部14aは、複数の登録対象ユーザのそれぞれの識別情報の入力を受け付ける。登録部14bは、入力部14aによって受け付けられた複数の登録対象ユーザの識別情報と、それらの複数の登録対象ユーザのそれぞれに対して取得部13によって取得された第1の正規化心電波形の特徴を示す特徴情報と、を対応付ける。これによって、登録部14bは登録情報を生成する。
これにより、取得部13によって取得された第1の正規化心電波形を利用して登録情報が生成されるため、正しい登録情報を簡単に生成することができる。
また、上記実施の形態1および変形例では、取得部13によって取得された第1の正規化心電波形において、調整対象ピークと、第1のR波のピークとの間が、少なくとも1つの調整対象ピークのそれぞれに対応する所定時間に伸縮されている。なお、調整対象ピークは、P波、Q波、S波およびT波のうちの少なくともP波またはQ波を含む1つまたは複数の波のピークである。この場合、登録情報に含まれる各ユーザの特徴情報は、当該ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって取得された、登録正規化心電波形(登録心電波形)の特徴を示す。さらに、その登録正規化心電波形と、第1の正規化心電波形とでは、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間の時間は等しく、かつ、少なくとも1つの調整対象ピークのそれぞれと第1のR波のピークとの間の時間は等しい。
これにより、登録正規化心電波形と、第1の正規化心電波形とでは、少なくとも1つの調整対象ピークのそれぞれと第1のR波のピークとの間の時間が等しい。したがって、少なくとも1つの調整対象ピークのそれぞれの時刻(時間軸上の位置)に影響されることなく、ユーザの心電波形に対する認証を行うことができる。その結果、個人であるユーザを高い精度で認証することができる。
なお、上記実施の形態1および変形例では、シグニチャを用いるが、シグニチャを用いなくてもよい。この場合、認証部15は、取得部13によって取得された正規化心電波形と、登録情報に示される各ユーザの登録心電波形との間の相関または類似度を、シグニチャを用いずに直接的に算出する。したがって、この場合には、シグニチャを生成するために登録心電波形の全平均を算出する必要がないため、登録情報は、R−R区間の数を含まなくてもよい。
図24は、上記実施の形態1およびその変形例における、正規化で揃えられるピーク(調整対象ピーク)の組み合わせと、その組み合わせに対する、シグニチャを用いずに認証が行われる場合の正解率とを示す図である。
図24に示すように、調整対象ピークがない場合には、認証の正解率は61%である。つまり、この場合の正解率は、P波、Q波、S波およびT波のうちの何れのピークも揃えられない従来の方法による認証を、シグニチャを用いずに行った場合の正解率である。一方、調整対象ピークがある場合、調整対象ピークの組み合わせは、図24に示すように15組ある。この15組のうち、調整対象ピークとしてS波およびT波のうちの一方のピークのみ、または両方のピークのみを含む3組では、正解率は72%以下である。しかし、15組中のその3組を除く12組のそれぞれでは、正解率は72%を超える。したがって、上記実施の形態1およびその変形例では、上述のように、P波またはQ波を含む少なくとも1個の波のそれぞれのピークを調整対象ピークとすることで、シグニチャを用いなくても、従来の方法よりも高い精度でユーザを認証することができる。具体的には、正解率83%以上の精度でユーザを認証することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態における個人認証装置は、ユーザの心電波形の特徴を示す特徴情報として、心電波形の代わりに、ウェーブレット変換によって得られたベクトルを用いる点に特徴がある。
(個人認証装置20の構成)
図25は、実施の形態2における個人認証装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態における個人認証装置20は、心電計測部11と、ピーク検知部12と、取得部13と、ウェーブレット変換部16と、選択部17と、認証部15aとを備えている。心電計測部11、ピーク検知部12および取得部13は、実施の形態1の構成要素と同じのため、それらの構成要素の詳細な説明を省略する。
(ウェーブレット変換部16)
ウェーブレット変換部16は、取得部13で取得された正規化心電波形を、ウェーブレット変換することによって、ウェーブレットマトリクスを生成する。このウェーブレットマトリクスは、複数のウェーブレット係数をマトリクス状に表す。さらに、ウェーブレット変換部16は、そのウェーブレットマトリクスのサイズが予め定められたサイズよりも大きい場合には、そのウェーブレットマトリクスをスケールダウンする。これにより、ウェーブレットマトリクスよりも小さいサイズのマトリクスが生成される。なお、本実施の形態におけるウェーブレット変換部16は、ウェーブレットマトリクスをスケールダウンするが、スケールダウンしなくてもよい。
(選択部17)
選択部17は、選択位置格納部DB3に格納されている選択位置情報を参照する。そして、選択部17は、ウェーブレット変換部16によって生成されたマトリクスから、その選択位置情報によって示される2箇所以上の位置のそれぞれにある要素を選択する。つまり、選択部17は、これらの選択された要素からなるベクトル(以下、特徴ベクトルという)を生成する。なお、選択位置情報は、マトリクスに含まれる各要素のうち、特徴ベクトルに含まれるべき2個以上の要素のそれぞれの、マトリクス上における位置を示す。例えば、マトリクスが8行10列のマトリクスであれば、選択位置情報は、特徴ベクトルに含まれるべき要素ごとに、その要素の位置を第n行および第m列(1≦n≦8、1≦m≦10)によって示す。
(認証部15a)
認証部15aは、登録格納部DB2に格納される登録情報を参照し、選択部17によって生成された特徴ベクトルのユーザを認証する。
(登録格納部DB2)
図26は、実施の形態2における登録情報の一例を示す図である。
登録格納部DB2に格納されている登録情報は、複数のユーザの識別情報と、それらの複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む。本実施の形態では、特徴情報は、ユーザに対して登録されている特徴ベクトル(以下、登録特徴ベクトルという)である。また、登録情報は、ユーザごとに、複数の登録特徴ベクトルを含む。図26に示す例では、複数の登録特徴ベクトルのそれぞれは、例えば2次元のベクトルであって、2個の要素を含が、3次元のベクトルであって、3個の要素を含んでもよい。
選択部17は、図26に示すように、登録特徴ベクトルが2次元のベクトルである場合、ウェーブレットマトリクスから2個の要素の値を選択することによって、2次元の特徴ベクトルを生成する。また、認証部15aは、図26に示す登録情報を参照し、選択部17によって生成された特徴ベクトルと類似する登録特徴ベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する。
なお、本実施の形態における登録特徴ベクトルは、ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって得られた、正規化された心電波形(実施の形態1の正規化心電波形)に基づく特徴ベクトルである。つまり、登録特徴ベクトルは、その正規化心電波形に対してウェーブレット変換およびスケールダウンを行って得られたマトリクスのうち、上述の選択位置情報によって示される各位置の要素からなるベクトルである。また、上述の正規化心電波形は平均化されている。また、その正規化心電波形では、実施の形態1のように、ピーク検知部12によって検知される調整対象ピークと第1のR波のピークとの間の時間が、その調整対象ピークに対応する所定時間に一致している。
図27は、実施の形態2における特徴ベクトルの生成方法の一例を説明するための図である。
まず、取得部13は、例えば、P波、Q波、S波、およびT波のそれぞれのピークが調整対象ピークとして揃えられた正規化心電波形を生成する。ウェーブレット変換部16は、この正規化心電波形に対してウェーブレット変換を行う。このウェーブレット変換には、例えばメキシカンハットのマザーウェーブレットが用いられる。ウェーブレットのスケールファクタは、1〜64であり、周波数4Hz〜256Hzに相当する。心電波形は、100サンプルの配列であるため、ウェーブレット変換の結果は、64行100列のマトリクスで表される。このマトリクスがウェーブレットマトリクスであって、64×100個のウェーブレット係数をそれぞれ要素として含む。
ウェーブレット変換部16は、計算時間を軽減するために、生成されたウェーブレットマトリクスを、8行10列のマトリクスにスケールダウンする。スケールダウンする際には、ウェーブレット変換部16は、64行100列のマトリクスに含まれる、8×10のブロックごとに、そのブロックに含まれるウェーブレット係数を平均化する。
選択部17は、この8行10列のマトリクスから、選択位置情報によって示される2箇所の位置のそれぞれにある要素を選択することによって、2次元の特徴ベクトルを生成する。認証部15aは、この生成された特徴ベクトルと、登録情報とを用いて、例えば判別分析を行うことによって、その特徴ベクトルと類似する登録特徴ベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する。
(認証フェーズの処理フロー)
図28は、実施の形態2における個人認証装置20の認証フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。
まず、心電計測部11は、ユーザに接する複数の電極を用いて、そのユーザの心電波形を計測する(ステップS70)。
ピーク検知部12は、ステップS70で計測された心電波形から、心電波形の第1のR波および第2のR波のそれぞれのピークを検知する。さらに、ピーク検知部12は、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークを調整対象ピークとして検知する(ステップS71)。
取得部13は、検知された各ピークに基づいて、その心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、正規化心電波形を取得する(ステップS72)。このとき、取得部13は、時間軸方向の伸縮において、心電波形における第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間の時間を、第1の所定時間(RRnorm)に伸縮する。かつ、取得部13は、心電波形における第1のR波のピークと、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークである調整対象ピークとの間の時間を、その調整対象ピークに対応する所定時間に伸縮する。つまり、取得部13は、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークを揃える。
また、取得部13は、ステップS70で計測された心電波形にR−R区間が複数含まれている場合には、ステップS72では、平均化された正規化心電波形を取得する。つまり、取得部13は、複数のR−R区間のそれぞれに対して正規化心電波形を生成する。そして、取得部13は、そのR−R区間の数だけの正規化心電波形の平均を算出することによって、その平均化された正規化心電波形を取得する。
ウェーブレット変換部16は、ステップS72で取得された正規化心電波形をウェーブレット変換することによって、ウェーブレットマトリクスを生成する(ステップS73)。続いて、ウェーブレット変換部16は、ステップS73で生成されたウェーブレットマトリクスのサイズが予め定められたサイズよりも大きい場合には、そのウェーブレットマトリクスをスケールダウンする(ステップS74)。
選択部17は、ステップS74のスケールダウンによって生成されたマトリクスから、選択位置情報によって示される位置にあるdim個の要素を選択し、dim次元の特徴ベクトルを生成する(ステップS75)。なお、dimは、2以上の整数値を示す。
認証部15aは、登録格納部DB2に格納されている登録情報を取得する(ステップS76)。そして、認証部15aは、取得された登録情報(例えば図26に示す登録情報)を参照し、選択部17によって生成された特徴ベクトルのユーザを認証する(ステップS77)。つまり、認証部15aは、この生成された特徴ベクトルと、登録情報に含まれる複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた複数の登録特徴ベクトルとを用いて、判別分析を行う。その結果、認証部15aは、その生成された特徴ベクトルに対応するユーザの識別情報を出力する。
図29は、実施の形態2における、選択される要素の数ごとに、調整対象ピークの組み合わせと、その組み合わせに対する最大の正解率とを示す図である。なお、選択される要素の数は、選択部17によって選択される要素の数(上述のdim)であって、以下、選択要素数という。
本実施の形態では、この図29に示すように、選択要素数が2または3であっても、さらに、調整対象ピークの12組の組み合わせのうちの何れの組み合わせで正規化が行われても、最大の正解率として100%を得ることができる。なお、マトリクスからdim個の要素が選択されるが、その選択されるdim個の要素の組み合わせによって、正解率は異なる。図29に示す最大の正解率は、dim個の要素の組み合わせごとに得られる正解率の中で、最大の正解率である。2個の要素の組み合わせは3160個あり、3個の要素の組み合わせは82160個ある。つまり、図29に示す最大の正解率は、これらの組み合わせに対して得られる正解率の最大値である。また、この正解率は、上述の被験者6人のそれぞれに対して12回計測された心電波形に基づく。
ここで、dim個の要素の組み合わせを、以下、要素組と称し、調整対象ピークの組み合わせを、以下、調整対象ピーク組と称する。
図30は、実施の形態2における、選択要素数ごとに、調整対象ピーク組と、その調整対象ピーク組に対して正解率が100%となる要素組の数とを示す図である。
本実施の形態では、この図30に示すように、選択要素数が2であって、調整対象ピーク組がP波のピークのみからなる場合、正解率が100%になる要素組は3個ある。
3個の要素組に含まれる2個の要素のそれぞれは、例えば8行10列のマトリクスに含まれる8×10個の要素のうちの何れかである。この図30に示すように、調整対象ピーク組に含まれる調整対象ピークの数が多いほど、正解率100%の要素組の数が多くなるという傾向がある。つまり、調整対象ピークの数が多いほど、認証を容易に行うことができる。
図31および図32は、実施の形態2における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。なお、各図の3次元グラフの横方向の軸は、マトリクスの列番号を示し、奥行き方向の軸は、マトリクスの行番号を示す。さらに、各図の3次元グラフの縦軸は、マトリクスの行番号および列番号によって示される位置にある要素を含む正解率100%の要素組の個数を示す。
上述の図30に示すように、選択要素数が2であって、調整対象ピーク組がP波のピークのみからなる場合(P波のピークが揃えられる場合)、正解率100%の要素組は3個ある。この場合、図31の左上のグラフに示すように、マトリクス上の位置(1,3)にある要素を含む正解率100%の要素組は2個あり、マトリクス上の位置(2,2)にある要素を含む正解率100%の要素組は1個ある。同様に、マトリクス上の位置(6,6)にある要素を含む正解率100%の要素組は1個あり、マトリクス上の位置(5,7)にある要素を含む正解率100%の要素組は1個ある。マトリクス上の位置(6,7)にある要素を含む正解率100%の要素組は1個ある。なお、位置(n,m)は、マトリクス内の第n行および第m列の位置を示す。
本実施の形態における選択位置情報は、選択要素数が2である場合、つまり、特徴ベクトルが2次元のベクトルである場合、図31および図32に示す各グラフにおいて、縦軸の値が大きい要素から順に選ばれる2つの要素の、マトリクス上の位置を示す。したがって、調整対象ピーク組がP波のピークのみからなる場合(P波のピークが揃えられる場合)、選択位置情報は、図31の左上のグラフに示すように、位置(1,3)と、位置(2,2)位置(6,6)、位置(5,7)または位置(6,7)とを示す。
図33および図34は、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。
上述の図30に示すように、選択要素数が3であって、調整対象ピーク組がP波のピークのみからなる場合(P波のピークが揃えられる場合)、正解率100%の要素組は1706個ある。この場合、図33の左上のグラフに示すように、それらの要素組のうちの多くは、位置(1,3)にある要素を含む。
本実施の形態における選択位置情報は、選択要素数が3である場合、選択要素数が2である場合と同様に、図33および図34に示す各グラフにおいて、縦軸の値が大きい要素から順に選ばれる3つの要素の、マトリクス上の位置を示す。なお、選択要素数が3である場合は、特徴ベクトルが3次元のベクトルである。したがって、調整対象ピーク組がP波およびS波のピークからなる場合(P波およびS波のピークが揃えられる場合)、選択位置情報は、図33の右中央のグラフに示すように、位置(1,4)と、位置(1,3)と、位置(2,3)とを示す。
このように、本実施の形態における選択位置情報は、正解率100%の要素組に含まれる各要素の位置を示すため、高い精度でユーザを認証することができる。
以上のように、本実施の形態における個人認証装置20は、実施の形態1における個人認証装置10と比較して、さらに、ウェーブレット変換部16と選択部17とを備える。ウェーブレット変換部16は、取得部13によって取得された第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成する。選択部17は、生成された第1のマトリクスから、少なくとも2つの要素を選択し、選択された少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する。また、認証部15aは、各ユーザの特徴情報としてベクトルを含む登録情報を参照し、生成された特徴ベクトルと類似するベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する。
これにより、登録情報に含まれる特徴情報はベクトルであるため、実施の形態1のように特徴情報が心電波形を示す場合よりも、その登録情報のデータ量を抑えることができる。したがって、登録情報を保持するメモリである登録格納部DB2の容量を削減することができる。また、例えば、20秒以上の計測された心電波形に対しては、正解率を100%とすることができる。
(変形例)
上記実施の形態2における個人認証装置20は、登録格納部DB2に格納されている登録情報を用いて認証を行ったが、その登録情報を生成する処理である登録を行ってもよい。
(個人認証装置20Aの構成)
図35は、実施の形態2の変形例に係る個人認証装置の構成を示すブロック図である。
個人認証装置20Aは、心電計測部11と、ピーク検知部12と、取得部13と、ウェーブレット変換部16と、選択部17と、入力部14aと、登録部14cと、認証部15aとを備えている。
(入力部14a)
入力部14aは、例えばユーザによる操作によって、そのユーザの識別情報を受け付ける。入力部14aは、例えばキーボード、マウスまたはタッチパネルなどによって構成される。
(登録部14c)
登録部14cは、入力部14aによってユーザの識別情報が受け付けられるごとに、そのユーザの識別情報と、そのユーザの識別情報に対して選択部17によって選択されたdim個の要素からなる特徴ベクトルとを対応付ける。これによって、登録部14cは、上述の登録情報を生成する。そして、登録部14cは、その生成された登録情報を登録格納部DB2に格納する。このような処理によって、選択部17によって取得されたdim個の要素からなる特徴ベクトルが登録特徴ベクトルとして登録される。例えば、登録部14cは、入力部14aによってユーザの識別情報が受け付けられた後、所定時間以内に、選択部17によって取得されたdim個の要素からなる特徴ベクトルを、登録特徴ベクトルとして登録する。
(登録フェーズの処理フロー)
図36は、実施の形態2の変形例に係る個人認証装置20Aの登録フェーズにおける処理動作を示すフローチャートある。
個人認証装置20Aは、ステップS80〜S85を実行する。これらのステップは、上記実施の形態2における個人認証装置20による認証フェーズで行われる処理、つまり、図28に示すステップS70〜S75の処理と同様の処理である。
次に、登録部14cは、選択部17によって選択されたdim個の要素からなる特徴ベクトルを、入力部14aによって受け付けられたユーザの識別情報と対応付けて、登録情報に書き込む(ステップS86)。このとき、特徴ベクトルは、登録特徴ベクトルとして書き込まれる。このような書き込みが、登録対象ユーザごとに行われるとともに、1人の登録対象ユーザの複数回の計測に対して繰り返し行われることによって、図26に示す登録情報が生成される。また、このステップS86の処理によって、登録対象ユーザの特徴ベクトルが登録される。
このように、本変形例に係る個人認証装置20Aは、実施の形態2における個人認証装置20と比較して、さらに、入力部14aと登録部14cとを備える。入力部14aは、複数の登録対象ユーザのそれぞれの識別情報の入力を受け付ける。登録部14cは、入力部14aによって受け付けられた複数の登録対象ユーザの識別情報と、それらの複数の登録対象ユーザのそれぞれに対して取得部13によって取得された第1の正規化心電波形の特徴を示す特徴情報と、を対応付ける。これによって、登録部14cは、登録情報を生成する。
これにより、本変形例においても、実施の形態1の変形例と同様、取得部13によって取得された第1の正規化心電波形を利用して登録情報が生成されるため、正しい登録情報を簡単に生成することができる。
(実施の形態3)
上記各実施の形態では、20秒以上計測された心電波形を用いてユーザの認証を行った。本願発明者らは、この心電波形のうちの最初の3秒のみを用いて、上記各実施の形態における認証の正解率を求めた。
図37は、実施の形態1における、20秒以上の計測に対する正解率と、3秒間の計測に対する正解率とを示す図である。
この図37に示すように、実施の形態1では、正規化に適用される調整対象ピーク組が12種の調整対象ピーク組のうちの何れであっても、3秒間の計測に対する正解率は、20秒以上の計測に対する正解率よりも低い。また、調整対象ピークがない場合(つまり、上記特許文献1の場合)であっても、3秒間の計測に対する正解率は、20秒以上の計測に対する正解率よりも低い。
図38は、実施の形態2における、20秒以上の計測に対する正解率と、3秒間の計測に対する正解率とを示す図である。
この図38に示すように、実施の形態2では、選択要素数が2であっても3であっても、正規化に適用される調整対象ピーク組が12種の調整対象ピーク組のうちの何れであっても、3秒間の計測に対する正解率は、20秒以上の計測に対する正解率よりも低い。
そこで、本実施の形態における個人認証装置は、2種類の正規化心電波形に対してウェーブレット変換を行う。これにより、時間長の短い心電波形に対しても、高い正解率でユーザを認証することができる。なお、本実施の形態における個人認証装置は、実施の形態2の個人認証装置20と同様に、図25に示す、心電計測部11、ピーク検知部12、取得部13、ウェーブレット変換部16、選択部17および認証部15aを備える。しかし、本実施の形態における取得部13、ウェーブレット変換部16および選択部17は、実施の形態2とは部分的に異なる処理を行う。
図39は、実施の形態3における特徴ベクトルの生成方法の一例を説明するための図である。
本実施の形態における個人認証装置20は、ピーク時間調整された正規化心電波形だけでなく、ピーク時間調整されていない正規化心電波形に対しても、ウェーブレット変換およびスケールダウンを行う。なお、ピーク時間調整された正規化心電波形は、調整対象ピークと第1のR波のピークとの間の時間が、その調整対象ピークに対応する所定時間になるように正規化された心電波形である。つまり、ピーク時間調整された正規化心電波形では、P波、Q波、S波およびT波は揃えられている。一方、ピーク時間調整されていない正規化心電波形は、正規化された心電波形であるが、その心電波形に含まれるP波、Q波、S波およびT波のうちの何れの波のピークも、第1のR波のピークとの間の時間が所定時間になるように調整されていない。つまり、ピーク時間調整されていない正規化心電波形では、P波、Q波、S波およびT波のうちの何れの波も揃えられていない。
個人認証装置20は、ピーク時間調整されている正規化心電波形から得られたマトリクスと、ピーク時間調整されていない正規化心電波形から得られたマトリクスとのそれぞれから、少なくとも1個の要素を選択する。なお、これらのマトリクスは、実施の形態2と同様に、正規化心電波形に対してウェーブレット変換を行い、さらにスケールダウンを行うことによって得られたマトリクスである。
これにより、個人認証装置20は、2個のマトリクスのそれぞれから1個の要素を選択したときには、選択された2個の要素からなる2次元の特徴ベクトルを生成する。また、個人認証装置20は、2個のマトリクスのうちの一方から1個の要素を選択し、他方から2個の要素を選択したときには、選択された3個の要素からなる3次元の特徴ベクトルを生成する。
そして、個人認証装置20は、実施の形態2と同様に、生成された特徴ベクトルを用いて判別分析を行うことにより、ユーザの認証を行う。
2個の8行10列のマトリクスの中から選択される2個または3個の要素の組み合わせは多い。2個の要素の組み合わせ、つまり、選択要素数が2である場合の組み合わせは、6400組あり、3個の要素の組み合わせ、つまり、選択要素数が3である場合の組み合わせは、505600組ある。これらの全ての組み合わせのそれぞれに対する、本実施の形態における正解率が計算され、最大の正解率が求められる。
図40は、実施の形態3における、選択要素数が2である場合の最大の正解率を示す図である。図41は、実施の形態3における、選択要素数が3である場合の最大の正解率を示す図である。
これらの図に示すように、20秒以上計測された心電波形に対する、本実施の形態における最大の正解率は、何れのピークを調整対象ピークとした場合であっても、おおよそ100%である。3秒間の計測によって得られたデータに対する、本実施の形態における最大正解率100%の調整対象ピーク組の数は、選択要素数が3の場合であれば、実施の形態2における最大正解率100%の調整対象ピーク組の数よりも多い。
図42は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合の、正解率100%の要素組の数を示す図である。図43は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合の、正解率100%の要素組の数を示す図である。
これらの図に示すように、本実施の形態における、3秒間計測された心電波形に対して正解率100%となる要素組の数は、選択要素数が3の場合であれば、実施の形態2における正解率100%となる要素組の数よりも多い。
図44〜図47は、実施の形態3における、選択要素数が2の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる2個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。なお、これらの図では、調整対象ピーク組ごと、つまり、揃えられる波ごとに、2個のグラフを示す。その2個のグラフのうちの一方は、ピーク時間調整されていない正規化心電波形から得られたマトリクス(ピークを揃えられていないマトリクス)に対応する。2個のグラフのうちの他方は、ピーク時間調整されている正規化心電波形から得られたマトリクス(ピークを揃えるマトリクス)に対応する。
本実施の形態における選択位置情報は、選択要素数が2である場合、つまり、特徴ベクトルが2次元のベクトルである場合、図44〜図47に示す2つのグラフのそれぞれにおいて、縦軸の値が最も大きい要素の、マトリクス上の位置を示す。
図48〜図51は、実施の形態3における、選択要素数が3の場合に、正解率100%の各要素組に含まれる3個の要素のマトリクス上における位置を示す図である。なお、これらの図では、図44〜図47と同様、調整対象ピーク組ごと、つまり、揃えられる波ごとに、2個のグラフを示す。
本実施の形態における選択位置情報は、選択要素数が3である場合、つまり、特徴ベクトルが3次元のベクトルである場合、図48〜図51に示す2つのグラフのうちの一方において、縦軸の値が最も大きい要素の、マトリクス上の位置を示す。さらに、選択位置情報は、その2つのグラフのうちの他方において、縦軸の値が大きい要素から順に選ばれる2つの要素の、マトリクス上の位置を示す。
このように、本実施の形態における選択位置情報は、正解率100%の要素組に含まれる各要素の位置を示すため、高い精度でユーザを認証することができる。
(認証フェーズの処理フロー)
図52は、実施の形態3における個人認証装置の認証フェーズにおける処理動作を示すフローチャートである。
まず、心電計測部11は、ユーザに接する複数の電極を用いて、そのユーザの心電波形を計測する(ステップS90)。
ピーク検知部12は、ステップS90で計測された心電波形から、心電波形の第1のR波および第2のR波のそれぞれのピークを検知する。さらに、ピーク検知部12は、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークを調整対象ピークとして検知する(ステップS91)。
取得部13は、検知された各ピークに基づいて、その心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、ピーク時間調整された正規化心電波形と、ピーク時間調整されていない正規化心電波形とを取得する(ステップS92)。ピーク時間調整された正規化心電波形を取得する際には、取得部13は、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間隔を、第1の所定時間(RRnorm)に伸縮する。かつ、取得部13は、その心電波形における、第1のR波のピークと、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークである調整対象ピークとの間の時間を、その調整対象ピークに対応する所定時間に伸縮する。つまり、取得部13は、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークを揃える。一方、ピーク時間調整されていない正規化心電波形を取得する際には、取得部13は、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの間隔を、第1の所定時間(RRnorm)に伸縮する。しかし、このときには、取得部13は、P波、Q波、S波およびT波のうちの何れのピークに対する時間調整も行わない。つまり、取得部13は、P波、Q波、S波およびT波の何れのピークも揃えない。
ウェーブレット変換部16は、ステップS92で取得された、ピーク時間調整された正規化心電波形と、ピーク時間調整されていない正規化心電波形とをウェーブレット変換し、2個のウェーブレットマトリクスを生成する(ステップS93)。続いて、ウェーブレット変換部16は、ステップS93で生成された2個のウェーブレットマトリクスのサイズが予め定められたサイズよりも大きい場合には、それらのウェーブレットマトリクスをスケールダウンする(ステップS94)。
選択部17は、ステップS94のスケールダウンによって生成された2個のマトリクスのうちの一方から、選択位置情報によって示される位置にあるdim1個の要素を選択し、他方から、選択位置情報によって示される位置にあるdim2個の要素を選択する。そして、選択部17は、選択された(dim1+dim2)個の要素からなる(dim1+dim2)次元の特徴ベクトルを生成する(ステップS95)。なお、dim1およびdim2はそれぞれ1または2である。
認証部15aは、登録格納部DB2に格納されている登録情報を取得する(ステップS96)。そして、認証部15aは、取得された登録情報(例えば図26に示す登録情報)を参照し、選択部17によって生成された特徴ベクトルのユーザを認証する(ステップS97)。つまり、認証部15aは、この生成された特徴ベクトルと、登録情報に含まれる複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた複数の登録特徴ベクトルとを用いて、判別分析を行う。その結果、認証部15aは、その生成された特徴ベクトルに対応するユーザの識別情報を出力する。
このように、本実施の形態における取得部13は、実施の形態1と比較して、さらに、計測された心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第2の正規化心電波形を取得する。このときの伸縮では、取得部13は、計測された心電波形に含まれる各ピーク間のうち、第1のR波のピークと第2のR波とのピークとの間のみを第1の所定時間に時間軸方向に伸縮する。また、本実施の形態における個人認証装置20は、実施の形態1と比較して、さらに、ウェーブレット変換部16と選択部17とを備える。ウェーブレット変換部16は、取得部13によって取得された第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成し、かつ、取得部13によって取得された第2の正規化心電波形をウェーブレット変換して第2のマトリクスを生成する。選択部17は、その第1のマトリクスおよび第2のマトリクスのそれぞれから少なくとも1つの要素を選択し、選択された少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する。また、認証部15aは、各ユーザの特徴情報として登録特徴ベクトルを含む登録情報を参照し、生成された特徴ベクトルと類似する登録特徴ベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する。
これにより、第1の正規化心電波形に対するウェーブレット変換と、第2の正規化心電波形に対するウェーブレット変換とが行われる。したがって、例えば3秒間計測された心電波形に対しても、正解率を高くすることができ、個人であるユーザを高い精度で短期間に認証することができる。
(変形例)
上記実施の形態3における個人認証装置20は、登録格納部DB2に格納されている登録情報を用いて認証を行ったが、その登録情報を生成する処理である登録を行ってもよい。
本変形例に係る個人認証装置20Aは、実施の形態2の変形例に係る個人認証装置20Aと同様に、図35に示す、心電計測部11、ピーク検知部12、取得部13、入力部14a、登録部14c、ウェーブレット変換部16、選択部17および認証部15aを備える。
(登録フェーズの処理フロー)
図53は、実施の形態3の変形例に係る個人認証装置20Aの登録フェーズにおける処理動作を示すフローチャートある。
実施の形態3の本変形例に係る個人認証装置20Aは、ステップS100〜S105を実行する。これらのステップは、上記実施の形態3における個人認証装置20による認証フェーズで行われる処理、つまり、図52に示すステップS90〜S95の処理と同様の処理である。
次に、個人認証装置20Aの登録部14cは、選択部17によって選択された(dim1+dim2)個の要素からなる特徴ベクトルを、入力部14aによって受け付けられたユーザの識別情報と対応付けて、登録情報に書き込む(ステップS106)。このとき、特徴ベクトルは、登録特徴ベクトルとして書き込まれる。このような書き込みが、登録対象ユーザごとに行われるとともに、1人の登録対象ユーザの複数回の計測に対して繰り返し行われることによって、図26に示す登録情報が生成される。また、このステップS106の処理によって、登録対象ユーザの特徴ベクトルが登録される。
このように、本変形例に係る個人認証装置20Aは、実施の形態3における個人認証装置20と比較して、さらに、入力部14aと登録部14cとを備える。入力部14aは、複数の登録対象ユーザのそれぞれの識別情報の入力を受け付ける。登録部14cは、入力部14aによって受け付けられた複数の登録対象ユーザの識別情報と、それらの複数の登録対象ユーザのそれぞれに対して取得部13によって取得された第1および第2の正規化心電波形の特徴を示す登録特徴ベクトルと、を対応付ける。これによって、登録部14cは、登録情報を生成する。
これにより、本変形例においても、実施の形態2の変形例と同様、取得部13によって取得された第1および第2の正規化心電波形を利用して登録情報が生成されるため、正しい登録情報を簡単に生成することができる。
以上、一つまたは複数の態様に係る個人認証装置について、実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態およびその変形例では、個人認証装置は、規則格納部DB1などの記録媒体を備えていないが、このような記録媒体を備えていてもよい。
また、実施の形態2および3とそれらの変形例では、図27および図39に示すように、P波、Q波、S波およびT波のそれぞれのピークが揃えられた正規化心電波形を用いた。しかし、正規化心電波形において、これらの波の全てのピークが揃えられている必要はない。実施の形態1およびその変形例と同様に、P波、Q波、S波、およびT波のうちの、P波またはQ波を含む少なくとも1個の波のそれぞれのピークが揃えられていればよい。
また、実施の形態2および3とそれらの変形例では、登録情報は、ユーザの識別情報ごとに、そのユーザの識別情報に対応付けられた複数の登録特徴ベクトルを含んでいたが、1つの登録特徴ベクトルのみを含んでいてもよい。この場合、認証部15aは、判別分析法でなく、選択部17によって得られた特徴ベクトルと、登録情報に含まれる各登録特徴ベクトルとの距離に基づいて、その特徴ベクトルに類似する登録特徴ベクトルを見つける。そして、認証部15aは、その登録特徴ベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する。
また、上記各実施の形態およびその変形例では、規則情報に基づいて調整対象ピークを決定したが、調整対象ピークとされる波のピークを切り替えてもよい。
また、上記各実施の形態およびその変形例に係る個人認証装置はハードウェアによって構成されていてもよい。
(ハードウェア構成)
図54は、上記各実施の形態およびその変形例に係る個人認証装置のハードウェア構成を示す図である。
個人認証装置40は、上記各実施の形態およびその変形例のうちの何れかの個人認証装置であって、CPU400と、メモリ401と、通信回路402と、電極群403と、入力機器405とを備える。CPU400と、メモリ401と、通信回路402と、電極群403と、入力機器405とは、互いにバス404を介して接続され、相互にデータの送信または受信を行う。入力機器405は、上述の入力部14aに相当し、個人認証装置40に備えられていなくてもよい。
CPU400は、メモリ401に格納されているコンピュータプログラム410を実行する。これによって、CPU400は、心電計測部11、ピーク検知部12、取得部13、登録部14b,14c、認証部15,15a、ウェーブレット変換部16、および選択部17のうちの少なくとも1つの構成要素として機能する。コンピュータプログラム410には、上述したフローチャート(図13〜図17、図23、図28、図36、図52および図53)に示される処理手順を各構成要素に実行させる手順が記述されている。個人認証装置40は、コンピュータプログラム410にしたがって、上述の動作を実行する。
通信回路402は、予め定められた通信プロトコルで外部機器と無線または有線で通信する回路である。
心電計測部11、ピーク検知部12、取得部13、登録部14b,14c、認証部15,15a、ウェーブレット変換部16、および選択部17のうちの少なくとも1つの構成要素は、半導体回路にコンピュータプログラムを組み込んだDSP(digital signal processor)等のハードウェアとして実現されてもよい。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM等の記録媒体に記録されて製品として市場に流通され、または、インターネット等の電気通信回線を通じて伝送され得る。
本明細書において説明される上述の種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。
本開示の一態様に係る個人認証装置は、高い精度で個人を認証することができ、例えばセキュリティー分野などに利用される個人認証装置などに適用することができる。
10,10A,20,20A,40 個人認証装置
11 心電計測部(心電計測回路)
12 ピーク検知部
13 取得部
14a 入力部
14b,14c 登録部
15,15a 認証部
16 ウェーブレット変換部
17 選択部
DB1 規則格納部
DB2 登録格納部
DB3 選択位置格納部

Claims (20)

  1. ユーザに接する複数の電極を用いて前記ユーザの心電波形を計測する心電計測回路と、
    前記心電波形における、P波のピーク及びQ波のピークの少なくとも1つと、第1のR波のピークと、第2のR波のピークとを検知するピーク検知部と、
    前記各波のピークに基づいて、前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第1の正規化心電波形を取得する取得部と、
    複数のユーザの識別情報と、前記複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む登録情報を参照し、前記第1の正規化心電波形と類似する特徴を示す特徴情報に対応付けられたユーザの識別情報を出力する認証部とを備え、
    前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔を第1の所定時間に伸縮し、
    前記取得部は、(i)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、(ii)前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、または(iii)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮する、
    個人認証装置。
  2. 前記ピーク検知部は、
    さらに、前記心電波形におけるS波のピークを検知し、
    前記取得部は、
    さらに、前記第1のR波のピークと前記S波のピークとの時間間隔を第4の所定時間に伸縮する
    請求項1に記載の個人認証装置。
  3. 前記ピーク検知部は、
    さらに、前記心電波形におけるT波のピークを検知し、
    前記取得部は、
    さらに、前記第1のR波のピークと前記T波のピークとの時間間隔を第5の所定時間に伸縮する
    請求項1に記載の個人認証装置。
  4. 前記ピーク検知部は、
    さらに、前記心電波形におけるS波のピークおよびT波のピークを検知し、
    前記取得部は、
    前記第1のR波のピークと前記S波のピークとの時間間隔を第4の所定時間に時間軸方向に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記T波のピークとの時間間隔を第5の所定時間に伸縮する
    請求項1に記載の個人認証装置。
  5. 前記個人認証装置は、さらに、
    複数の登録対象ユーザのそれぞれの識別情報の入力を受け付ける入力部と、
    前記入力部によって受け付けられた前記複数の登録対象ユーザの識別情報と、前記複数の登録対象ユーザのそれぞれに対して前記取得部によって取得された第1の正規化心電波形の特徴を示す特徴情報と、を対応付けることによって、前記登録情報を生成する登録部とを備える
    請求項1〜4の何れか1項に記載の個人認証装置。
  6. 前記登録情報に含まれる各ユーザの前記特徴情報は、心電波形を示す
    請求項1〜5の何れか1項に記載の個人認証装置。
  7. 前記個人認証装置は、さらに、
    前記取得部によって取得された前記第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成するウェーブレット変換部と、
    生成された前記第1のマトリクスから、少なくとも2つの要素を選択し、選択された前記少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する選択部とを備え、
    前記認証部は、
    各ユーザの前記特徴情報としてベクトルを含む前記登録情報を参照し、生成された前記特徴ベクトルと類似するベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する、
    請求項1〜5の何れか1項に記載の個人認証装置。
  8. 前記取得部は、さらに、
    前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第2の正規化心電波形を取得し、
    前記第2の正規化心電波形は、前記心電波形に含まれる各ピーク間の時間間隔のうち、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔のみが前記第1の所定時間に伸縮されており、
    前記個人認証装置は、さらに、
    前記取得部によって取得された前記第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成し、かつ前記取得部によって取得された前記第2の正規化心電波形をウェーブレット変換して第2のマトリクスを生成するウェーブレット変換部と、
    前記第1のマトリクスおよび前記第2のマトリクスのそれぞれから少なくとも1つの要素を選択し、選択された少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する選択部とを備え、
    前記認証部は、
    各ユーザの前記特徴情報としてベクトルを含む前記登録情報を参照し、生成された前記特徴ベクトルと類似するベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する、
    請求項1〜5の何れか1項に記載の個人認証装置。
  9. 前記取得部によって取得された前記第1の正規化心電波形において、P波、Q波、S波およびT波のうちの少なくとも1つの波のピークである調整対象ピークと、前記第1のR波のピークとの時間間隔が、少なくとも1つの前記調整対象ピークのそれぞれに対応する所定時間に伸縮されている場合、
    前記登録情報に含まれる各ユーザの前記特徴情報は、当該ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって取得された、登録正規化心電波形の特徴を示し、前記登録正規化心電波形と、前記第1の正規化心電波形とでは、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの時間間隔が等しく、かつ、少なくとも1つの前記調整対象ピークのそれぞれと前記第1のR波のピークとの時間間隔が等しい
    請求項1〜8の何れか1項に記載の個人認証装置。
  10. ユーザに接する複数の電極を用いて前記ユーザの心電波形を計測する計測ステップと、
    前記心電波形におけるP波のピーク及びQ波のピークの少なくとも1つと、第1のR波のピークと、第2のR波のピークとを検知するピーク検知ステップと、
    前記ピーク検知ステップで検知された各波のピークに基づいて、前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第1の正規化心電波形を取得する取得ステップと、
    複数のユーザの識別情報と、前記複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む登録情報を参照し、前記第1の正規化心電波形と類似する特徴を示す特徴情報に対応付けられたユーザの識別情報を出力する認証ステップとを含み、
    前記取得ステップでは、
    前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔を第1の所定時間に時間軸方向に伸縮し、
    前記取得ステップでは、
    (i)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、(ii)前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、または(iii)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮する、
    個人認証方法。
  11. 前記ピーク検知ステップでは、
    さらに、前記心電波形におけるS波のピークを検知し、
    前記取得ステップでは、
    さらに、前記第1のR波のピークと前記S波のピークとの時間間隔を第4の所定時間に時間軸方向に伸縮する
    請求項10に記載の個人認証方法。
  12. 前記ピーク検知ステップでは、
    さらに、前記心電波形におけるT波のピークを検知し、
    前記取得ステップでは、
    さらに、前記第1のR波のピークと前記T波のピークとの時間間隔を第5の所定時間に時間軸方向に伸縮する
    請求項10に記載の個人認証方法。
  13. 前記ピーク検知ステップでは、
    さらに、前記心電波形におけるS波のピークおよびT波のピークを検知し、
    前記取得ステップでは、
    前記第1のR波のピークと前記S波のピークとの時間間隔を第4の所定時間に時間軸方向に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記T波のピークとの時間間隔を第5の所定時間に時間軸方向に伸縮する
    請求項10に記載の個人認証方法。
  14. 前記個人認証方法は、さらに、
    複数の登録対象ユーザのそれぞれの識別情報の入力を受け付ける入力ステップと、
    前記入力ステップで受け付けられた前記複数の登録対象ユーザの識別情報と、前記複数の登録対象ユーザのそれぞれに対して前記取得ステップで取得された第1の正規化心電波形の特徴を示す特徴情報と、を対応付けることによって、前記登録情報を生成する登録ステップとを含む
    請求項10〜13の何れか1項に記載の個人認証方法。
  15. 前記登録情報に含まれる各ユーザの前記特徴情報は、心電波形を示す
    請求項10〜14の何れか1項に記載の個人認証方法。
  16. 前記個人認証方法は、さらに、
    前記取得ステップで取得された前記第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成するウェーブレット変換ステップと、
    生成された前記第1のマトリクスから、少なくとも2つの要素を選択し、選択された前
    記少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する選択ステップとを含み、
    前記認証ステップでは、
    各ユーザの前記特徴情報としてベクトルを含む前記登録情報を参照し、前記生成された前記特徴ベクトルと類似する前記ベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する、
    請求項10〜14の何れか1項に記載の個人認証方法。
  17. 前記取得ステップでは、さらに、
    前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第2の正規化心電波形を取得し、
    前記第2の正規化心電波形の取得では、前記心電波形に含まれる各ピーク間のうち、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔のみを前記第1の所定時間に時間軸方向に伸縮し、
    前記個人認証方法は、さらに、
    前記取得ステップで取得された前記第1の正規化心電波形をウェーブレット変換して第1のマトリクスを生成し、かつ前記取得ステップで取得された前記第2の正規化心電波形をウェーブレット変換して第2のマトリクスを生成するウェーブレット変換ステップと、
    前記第1のマトリクスおよび前記第2のマトリクスのそれぞれから少なくとも1つの要素を選択し、選択された少なくとも2つの要素からなる特徴ベクトルを生成する選択ステップとを含み、
    前記認証ステップでは、
    各ユーザの前記特徴情報としてベクトルを含む前記登録情報を参照し、生成された前記特徴ベクトルと類似するベクトルに対応付けられたユーザの識別情報を出力する、
    請求項10〜14の何れか1項に記載の個人認証方法。
  18. 前記取得ステップで取得された前記第1の正規化心電波形において、P波、Q波、S波およびT波のうちの少なくとも1つの波のピークである調整対象ピークと、前記第1のR波のピークとの時間間隔が、少なくとも1つの前記調整対象ピークのそれぞれに対応する所定時間に伸縮されている場合、
    前記登録情報に含まれる各ユーザの前記特徴情報は、当該ユーザの心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって取得された、登録正規化心電波形の特徴を示し、前記登録正規化心電波形と、前記第1の正規化心電波形とでは、第1のR波のピークと第2のR波のピークとの時間間隔が等しく、かつ、少なくとも1つの前記調整対象ピークのそれぞれと前記第1のR波のピークとの時間間隔が等しい
    請求項10〜17の何れか1項に記載の個人認証方法。
  19. ユーザに接する複数の電極を用いて前記ユーザの心電波形を計測する計測ステップと、
    前記心電波形におけるP波のピーク及びQ波のピークの少なくとも1つと、第1のR波のピークと、第2のR波のピークとを検知するピーク検知ステップと、
    前記ピーク検知ステップで検知された各波のピークに基づいて、前記心電波形を時間軸方向および振幅方向に伸縮することによって、第1の正規化心電波形を取得する取得ステップと、
    複数のユーザの識別情報と、前記複数のユーザの識別情報のそれぞれに対応付けられた、心電波形の特徴を示す特徴情報とを含む登録情報を参照し、前記第1の正規化心電波形と類似する特徴を示す特徴情報に対応付けられたユーザの識別情報を出力する認証ステップとを、コンピュータに実行させ、
    前記取得ステップでは、
    前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークとの時間間隔を第1の所定時間に時間軸方向に伸縮し、
    前記取得ステップでは、
    (i)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、(ii)前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、または(iii)前記第1のR波のピークと前記P波のピークとの時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークとの時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮する、
    プログラム。
  20. 複数の電極を用いてユーザの心電波形を計測する心電計測回路と、
    前記心電波形に含まれる複数のピークを検知するピーク検知器と、
    前記複数のピークに基づいて、前記心電波形を伸縮することによって、正規化心電波形を取得する取得部と、
    予め記録された情報と、前記正規化心電波形に基づいて前記ユーザを特定する情報を出力する認証器とを備え、
    前記心電波形は第1波形と第1波形の直後に続く第2波形を含み、
    前記複数のピークは、前記第1波形に含まれる第1のR波のピークと、前記第2波形に含まれる第2のR波のピークを含み、
    前記複数のピークは前記第1波形に含まれるP波のピークまたは前記第1波形に含まれるQ波のピークの少なくとも一方を含み、
    前記第1波形と前記第2波形の各々は複数のR波のピークを含まず、
    前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記第2のR波のピークの時間間隔を第1の所定時間に伸縮し、
    前記取得部は、第1伸、第2伸、第3伸のひとつを実施し、
    前記第1伸において、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記P波のピークの時間間隔を第2の所定時間に伸縮し、
    前記第2伸において、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークの時間間隔を第3の所定時間に伸縮し、
    前記第3伸において、前記取得部は、前記第1のR波のピークと前記P波のピークの前記時間間隔を前記第2の所定時間に伸縮し、かつ、前記第1のR波のピークと前記Q波のピークの前記時間間隔を前記第3の所定時間に伸縮し、
    前記予め記録された情報は、前記ユーザを含む複数のユーザの各々の心電波形に基づく情報を含む、
    個人認証装置。
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