JP6655665B2 - フレキシブルレート金融オプションの取引方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2011年5月19日付けの米国出願番号13/068,781「レートが取り決めされた、標準化クーポン金融商品」の一部継続出願に係り、当該出願の内容全体は参照によって本明細書に含まれる。
本発明は、金融商品、及び、このような金融商品の電子清算及び決済方法に関するものである。
世界中で様々な種類の金融商品が取り引きされている。金融商品としてはキャッシュコントラクト、および、デリバティブを例示することができる。キャッシュコントラクトは、特定のアセットの引き渡しについての取り決めである。デリバティブは、その価値が、コモディティの潜在的なプライス、アセット、レート、インデックス、通貨、イベントの生起や重大性にリンクした金融商品である。デリバティブの典型例には、先物、フォワード、オプション、スワップ、及びスワップ先物が含まれる。
最も一般的に、スワップは、当事者である2者がある設定した期間においてキャッシュフローのシーケンス(sequence)を交換する取り決めである。通常、スワップが開始される時には、一連のキャッシュフローの少なくとも1つが、金利、外国為替レート、株価、商品価格のような変数である指標あるいはアセットを基準とすることが行われる。スワップは、また、満期(債権)、発行の質(株や債券)を変更するため、あるいは投資目的における変更を促すために、ある担保と他の担保を交換することにも用いられる。
ある特定のスワップの特徴を記述するための命名が行われている。プレーンバニラ("plain-vanilla")スワップは、最もシンプルなスワップであり、最も一般的な条件である。スポット・スターティング("spot" starting)スワップは、スワップの経済的側面が、当事者である2者が当該スワップを締結するとほとんど即時に開始されるスワップである。シーズンド("seasoned")スワップは、ある期間において存在するスワップである。フォワード・スターティング("forward-starting")スワップは、スワップの最初の計算日(発効日)が将来の指定された時点まで開始されないようなスワップである。フォワード・スターティング・スワップの当事者は、彼らの義務を実行する責任があるが、この義務は当事者がスワップ契約を結んでから所定期間は開始されない。オフマーケット("off-market")スワップは、0以外の価値を有するスワップである。
最初のスワップは、1981年IBMと世界銀行との間で行われた。スワップは1980年代から取引されているにすぎないが、爆発的な人気を呼んでいる。1987年には、スワップマーケットの概念的な全体価値は8656億ドルであり、2006年中頃までには、数字は250兆ドルを越えた。これは、米国の上場株式市場の15倍以上である。
最も一般的なタイプのスワップは、金利スワップである。プレーンバニラ、すなわち金利スワップでは、当事者である2者は、典型的には一方の支払いが固定レートで他方の支払いが原資産基準レート(underlying reference rate)のパフォーマンスにしたがって変化する場合に、定期的な金利支払いを交換することを合意する。一般に、金利スワップは、特にパー・スワップでは、利回り期間で価格が提示される。概念的には、金利スワップは、フォワードのポートフォリオとして、あるいは、変動利付債券におけるショート(ロング)ポジションと対となる、固定利付債券におけるロング(ショート)ポジションと考えることができる。一般に、米国ドル建て金利スワップでは、提示されたレートは、3ヶ月ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)、あるいは、スワップにおいて特定された原資産基準レート、を差し引いたマーケットが期待する固定レートである。LIBORは、ロンドンホールセールインターバンクマーケットで銀行が他行から無担保資金を借りる時の日割りの基準レートである。キャッシュは、固定利率と変動利率との差異に依存して、売り手と買い手との間で一定期間を基準として流れる。例えば、ある当事者(当事者A)が他の当事者(当事者B)に対して、ある特定された期間にわたり、特定日における想定元本についての予め決定された固定金利を支払うことを合意し、同時に、当事者Bが当事者Aに対して、同じ特定された期間にわたり、同じ特定日における想定元本と同額についての変動金利を支払うことを合意する。支払い金利は、年ごと、四半期ごと、月ごと、あるいは、当事者によって決定された他のいかなる期間において行われる。他の基準レートの例には、東京銀行間取引金利 (TIBOR)、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)、ユーロオーバーナイトインデックスアベレージ (EONIA)等がある。
プレーンバニラ金利スワップの他には、フロート・フォー・フロート・スワップ(ベーシス・スワップとして知られる)がヘッジ及び投資ツールとして市場で広く用いられている。フロート・フォー・フロート・スワップは、カウンターパーティ間の異なる基準金利での2つの変動支払いの交換を含む。2つの変動支払いの回数は同じでもそうでなくてもよい。例えば、3/6LIBORベーシス・スワップでは、一方の当事者(当事者A)は、他方の当事者(当事者B)に3ヶ月毎に所定の想定元本について3ヶ月物LIBORに紐付けられた変動金利を支払うことを同意し、同時に、当事者Bは当事者Aに6ヶ月毎に同額の想定元本について6ヶ月物LIBOR に紐付けられた変動金利を支払うことを同意する。Fed Funds/LIBORベーシス・スワップでは、一方の変動支払いは、所定期間のフェデラルファンド実効オーバーナイトレートによって決定され、他方の変動支払いはLIBORによって決定される。Fed Funds/LIBORベーシス・スワップにおいて、利払いは、一般に、四半期毎に行われる。フェデラルファンド実効オーバーナイトレートは、ある預貯金取扱金融機関が直ぐ利用できるファンドを他の預貯金取扱金融機関にオーバーナイトで貸し付ける金利である。
今日のOTC市場で一般に取引される他の金融商品はスワップのオプションである。金利スワップのオプションは一般にスワップションと呼ばれるが、スワップションはいかなるタイプの原資産スワップをベースとし得る。伝統的なスワップション及びスワップ先物のオプション、ここではまとめてスワップションと言う、はオプションの条項にしたがって、所有者に原資産スワップ(あるいはスワップ先物)を締結する権利、義務ではない、を与える。
ペイヤー・スワップションは、スワップションの所有者に対して、所有者が固定レグを支払い、変動レグを受け取るスワップを契約する権利を与える。レシーバー・スワップションは、スワップションの所有者に対して、所有者が固定レグを受け取り、変動レグを支払うスワップを契約する権利を与える。
カウンターパーティが合意しなければならなりスワップション特徴には、価格(プレミアム換算)、ストライクレート(オプションの行使時に原資産の固定レグのクーポン価値を表すレートベース・ストライクプライス)、オプションの満期までの時間、原資産スワップの発効日、原資産スワップのテナー(tenor)、想定元本、支払いスケジュールやアモチゼーションのような原資産スワップの他のカスタマイズ可能な特徴が含まれる。このストライクレートが、CMEで取引される先物や米国債オプションやミッドカーブユーロドルオプションのような他のアセットの伝統的なオプションにおけるストライクといかに異なるかについて留意することは意味がある。伝統的オプションのストライクは、オプションの所有者が行使時に原資産のロングポジションあるいはショートポジションを引き受けるために支払う行使価格である。現在のスワップションの慣習では、行使価格は実効的に0であり、ストライクレートは、スワップションの所有者が行使時に支払う(ペイヤー・スワップション)、あるいは、受け取る(レシーバー・スワップション)スワップの固定クーポンレートである。CMEグループは、イリノイ州 60606、シカゴ、サウス ワッカ―ドライブ20に所在する。
スワップションは、ウィリアムロートンによって1983年に発明されたと言われている。した。ロートンは、当時ロスアンジェルスのファーストインターステートバンクの固定インカムデリバティブのヘッドトレーダーであった。ロートンは、金利スワップとオプションの概念を統合した。スワップションは1年期間のものであった。ファーストインタステートは、プレミアムとして、ロスアンジェルスベース貯蓄貸付に、500万ドルの想定元本について固定対3月LIBORを支払う5年物金利スワップを契約する権利を売った。例えば、http://www.reference. com/browse/forward+ swap (2012年4月7日アクセス)を参照のこと。
標準化されたデリバティブは、従来、取引所で取引されるものであり、中央清算される金融商品である。これに対して、スワップは、従来、カスタマイズされた金融商品であり、OTCマーケットで相対取引されている。OTCマーケットは、最も一般的には、当事者2者間で個々に交渉された取引を意味し、中央清算されない(すなわち、クリアリングされない)。各当事者は、履行について他の当事者のみを見ており、したがって、他の当事者の信用リスク(しばしばカウンターパーティーリスクと称される)に晒される。中央清算される金融商品と異なり、履行についての独立した保証機関はない。クリアリングされないスワップは、しばしば、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)マスター文書にしたがって取引される。ISDA、360 マジソン アベニュー、16階、ニューヨーク、ニューヨーク10017、は参加当事者を代表する個々に処理されるデリバティブマーケットによって作られた協会である。
担保において、クリアリングされないポジションの変化にしたがって持ち札を変えることは一般的である。未決済でクリアリングされないポジションに関する未知の損失を有する当事者は、債務を保証するために、未知の利益を有する当事者に対して担保を差し出す。一般的な担保の形式は、米国債(例えば、財務省債券、手形、証券)の債務証書である。米国債務証書が担保として差し入れられると、金融商品を差し入れた当事者である担保の所有者に対する金融商品及びクーポン支払いの利益が発生することで価格が変動する。キャッシュを担保として差し出してもよく、この場合、担保としてキャッシュを受け取った当事者は、キャッシュ担保を差し出した当事者に対して、当事者間の取り決めによって設定された利率で金利を支払う義務がある。取引を解消したり満期終了したりした時には、担保を保有している当事者は他方の当事者に当該担保を返し、取引は最終的に決済される。
取引所で取引される金融商品は、クリアリングされない金融商品と本来的に異なる。これらの2つの経済的側面は類似しているが、先物及び先物オプションは取引所の規則にしたがって取引される。取引の条件を当事者が設定するクリアリングされない金融商品とは異なり、取引所に上場された先物及び先物オプションは標準化されている。この条件には、想定元本、利益毎の価格変更、期日、期日に金融商品をどのように決済するか(現金決済、あるいは、現物渡し)が含まれる。先物において当事者が交渉すべきことは、いずれの当事者が買い手、売り手であるか以外には、取引される金融商品の数量と価格のみである。
全ての先物及び先物オプションは、カウンターパーティ間での定期的な支払い及び徴収を交換する中央清算機関によって、中央清算(セントラルクリアリング)される。これは、上述のクリアリングされない金融商品と全く異なる。中央清算(セントラルクリアリング)は、カウンターパーティーリスクが取り除かれることを意味する。取引の当事者は互いに取引先となることがなくなり、各当事者は中央清算機関(クリアリングハウス)に相対し、取引の清算、証拠金の徴収及び維持、引き渡しの規制、取引データの報告については中央清算機関のみを見ていればよい。
伝統的な非清算型OTC金利スワップは、2つのカテゴリーに分類される。1つは、パー・スワップであり、2つのレグ(1の当事者が支払い、受け取るような支払い)の初期価値は同じである。もう1つはオフマーケット・スワップであり、純現在価値(NPV)で見積もった時に一方のレグ(leg)が他方のレグ(leg)よりも価値がある。
非清算型のパー・スワップでは、カウンターパーティは多くの場合取引時にキャッシュや有価証券を交換しない。ポジションの価値は、スワップの商品寿命の間にクリアリングされたいパー・スワップから逸脱するため、カウンターパーティは、ISDA規則の規定にしたがって担保を交換する。クリアリングされるパー・スワップでは、契約履行保証として知られる初期証拠金として、カウンターパーティは典型的には取引時にクリアリングエージェントにキャッシュや他の有価証券を差し出すことが求められる。初期証拠金の目的は、一方のカウンターパーティが後の段階の取引時に必要とされる支払いが出来ずに債務不履行となった時に、クリアリングエージェントが、他方のカウンターパーティに支払うべき全額を支払うため、ポジションを換金して利用できる十分な資本金(換金したスワップポジションの価値、初期証拠金として差し出された元の担保の換金価値、を含む)を有することを保証することにある。
典型的には、パー・スワップの契約を望む取引者は、ある一定の特徴によって定義されるパー・スワップとして当該ディーラが提供し得る固定クーポンレートが何であるかを見出すために、ディーラ銀行(ディーラ)に接触する。これらの特徴には、発効日、フィックシングデート(fixing date)、テナー(tenor)、満期日、指数、固定レグ支払い間隔、変動レグ支払い間隔、固定レグ日数計算慣習、変動レグ日数計算慣習、休日カレンダー、その他が含まれる。パー・クーポンレートは、想定価値のパーセンテージとして表され、固定レグ支払者から固定レグ受け取り者へ支払うべき年間支払い総額を定義する。例えば、100億ドルの想定価値のスワップについての3.005%のパー・クーポンレートは、スワップのテナー(tenor)のため固定レグ支払い者が固定レグ受け取り者に対して年毎に$3,005,000を支払うことを合意することを意味しており、このような年額は、年間の支払い回数によって均等に分割される。最も広く用いられている固定レグ支払い間隔は半年であり、この例では、6ヶ月毎の$1,502,500の支払いを意味する。上記支払い額は、正確でなく概算であり、固定レグにおける特定の日数計算に基づいて変わる可能性があるものを説明するように示されている。
パー・スワップ取引を完了させる前に、カウンターパーティは、スワップの特徴や予想される先物金利を考慮しつつ、NPVが0となるような固定レートクーポンであるパー・クーポンについて合意する必要がある。スワップトレーダーは、適切なパー・クーポンレートを計算するために様々な公的に利用可能なあつらえのツールを採用し、その中には、市場データサービス(例えば、ブルームバーグ・エル・ピー、レキシントン アベニュー、ニューヨーク、ニューヨーク10022やトムソンロイター、3 タイムズスクエア、ニューヨーク、ニューヨーク10036)、分析ソフトウェアパッケージ(例えば、リスクヴァル・フィナンシャル・ソリューション、120ウエスト 31ストストリート、ニューヨーク、ニューヨーク10001から入手可能なリスクヴァルRVFIプラットフォームやスーパーデリバティブ・インク、545、マジソン アベニュー、17スフロア、ニューヨーク、ニューヨーク10022から入手可能なスーパーデリバティブSDX金利)、及び、特定用途向けに構築されたソフトウェアやスプレッドシート、が含まれる。
スワップトレーダーによって所与のスワップのパー・クーポンの計算に広範囲に用いられているツールの典型的な例は、ブルームバーグSWPMページである。ブルームバーグSWPMページでは、スワップトレーダーが上述したスワップの特徴を入力すると、SWPMスワップページが、現時点で予測される金利を見積もり、NPVゼロ(固定レグPV−変動レグPV=0)を含む固定クーポンレートを計算し、この値をパー・クーポンとしてユーザに出力する。
バニラ・スワップにおけるパー・クーポンと同様に、パーでのベーシス・スワップを取引するカウンターパーティは、パー・スプレッドについて合意する必要がある。パー・スプレッドは、取引時に、一方の変動レグの現在価値が他方の変動レグの現在価値と等しくなるように一方の変動レグに足される金利支払いである。
オフマーケット・スワップという用語は、取引時にゼロ以外の公正市場NPVを持つスワップとして言及される。取引の完了のために、このNPVについてカウンターパーティ間で合意がなされる必要があり、この取り決められたNPVは、取引の価格として見られる。クリアリングされないスワップにおいては、取引時に、取り決めたNPVは一方のカウンターパーティから他方のカウンターパーティへ、アップフロント・ペイメント、一般的にはキャッシュ、として支払われる。今のところ、クリアリングされる金利スワップやクリアリングされるスワップ先物のために中央清算機関にオフマーケット・スワップを受け入れさせるような明確な標準市場慣習は登場していない。1つの手法は、インターナショナル・デリバティブ・クリアリング・グループ・エル・エル・シー (IDCG)、150 イースト 52ンド ストリート、フィフス フロア、ニューヨーク、ニューヨーク10022に採用されているものであって、カウンターパーティは、二者間で中央清算機関が携わることなく、取引時にアップフロント・ペイメントを交換するものである。
他の手法は、クリアリングされる金利スワップについてCMEクリアリングに採用されているものであって、取り決めたアップフロント・ペイメント額と中央清算機関によって決定された公正市場価値からの実際の逸脱との起こり得るいかなる小さな差異を除いて、取引がアップフロント・ペイメントを行ったカウンターパーティの利益として特徴付けられ、支払い額が有効にネットアウト(netting out)された同じ日に中央清算機関を通してカウンターパーティ間でアップフロント・ペイメントが行われるようにしたものである。
3番目の手法は、エリス・エクスチェンジ先物の清算のためにCMEクリアリングに採用されているものであって、取り決めたアップフロント・ペイメント額を取引自体の価格に埋め込み、先物の公正価値が将来の取引価格から外れた時に限り、当事者間で変動証拠金の支払い/徴収を行うようにするものである。エリス・エクスチェンジ、イリノイ州 60616、シカゴ、スイート 950、311 サウス ワッカー ドライブは、米国商品先物取引委員会 (CFTC)の管轄下で免除取引所(exempt board of trade)として機能する先物取引所である。
与えられたオフマーケット・スワップの価格(NPV換算による)の取り決めを開始するために、カウンターパーティは先ず上記のスワップ特徴について合意する必要がある。さらに、カウンターパーティは、スワップのNPVを評価するための十分なデータを提供するために、バニラ・スワップの固定レートクーポン(ベーシス・スワップの場合はスプレッド)についても合意する必要がある。カウンターパーティにより取り決められたNPVについて合意すると、取引が完了する。以下の表は、バニラ・パー・スワップ及びオフマーケット・スワップについて、NPV及び固定レートの合意の仕方をまとめたものである。
ベーシス・スワップにおけるスプレッドは、クーポンの特別な形式であるとみなすことができるので、以下の議論においてクーポンという用語及びスプレッドという用語ははっきりとは区別されない。クーポンは、バニラ・スワップにおける固定レートクーポン、ベーシス・スワップにおけるスプレッドの両方を示し得るものである。
多くの理由によって、金利スワップマーケットのトレーダーの大多数は、パー・スワップとしてレートを条件(in rate terms)として取り決めを行っており、それについて市場参加者による明確な選択が示されている。OTCパー・スワップは、典型的には、カウンターパーティ間のキャッシュのアップフロント・ペイメント交換を含まない。ISDAマスターアグリーメントにしたがって実行される多くの2者間ISDAスワップは、カウンターパーティに初期証拠金(ISDAマスターアグリーメントのクレジット・サポート・アネックスにおいて独立担保額と呼ばれる)を差し出すことを必要とせず、また、定義によりパー・スワップは取引時にゼロのNPVを有するため、取引の初めに一方のカウンターパーティから他方のカウンターパーティへ担保を差し入れることを必要としない。これに対して、クリアリングされるパー・スワップ・デリバティブは、各カウンターパーティに、中央清算機関(CCP)へ初期証拠金を差し出すことを必要とする。
OTCオフマーケット・スワップは、先物キャッシュフローの予想される価値の差を相殺するように、カウンターパーティ間でキャッシュのアップフロント・ペイメント交換を必要とする。他の条件が同等であり、一方のカウンターパーティから交換された価値は、当該スワップの寿命を通して他方のカウンターパーティに定期的に分割された払い戻されることにおいて、市場関係者は適切に、この取引に埋め込まれた黙示的イローンを認識する。完全に担保保証されず、クリアリングされない取引について、この貸し付けにより得られる適切なリターンを保証するために、OTCディーラの多くは銀行において内部ファンディングモデルを採用し、スワップトレーダーが全てのオフマーケット・スワップのアップフロント・ペイメント及び契約解消に係る取消支払いにおいて貸出及び借入レートを適切に組み込むことを保証する。
さらに、オフマーケット・スワップは、しばしば、スワップ・カウンターパーティにおいて望ましくないとみなされる会計処理を必要とする。幾つかのファームは、FAS133に規定された米国財務会計基準審議会(FASB)基準に基づくヘッジ会計処理の特定アプリケーションを得られるようにスワップを構築できる時にのみスワップを用いる。この取り扱いを受けることは、スワップの存続期間にわたる当該スワップの価値の変化を当該ファームのインカムステートメントを通して報告する必要がないことを保証する。アップフロント・ペイメントを伴うオフマーケット・スワップは一般に、この会計処理の最も望ましい形式を受ける資格が無いであろう。FASBは、金融会計及び非政府機関の報告の基準を確立する。
オフマーケット・スワップに関連する要因、特に、望ましくない会計処理を生じ、ファンディングを必要とするオフバランスシートローンに相当するアップフロント・ペイメント、は市場参加者において、OTC金利スワップをパー・スワップとして取引する明確な選択を説明するさらなる理由となる。オフマーケット・スワップに対するパー・スワップの比較的な人気の高さは、主としてこのアップフロント・ペイメント問題に帰するものであるが、時間にともなう自己強化にも帰するであろう。スワップ市場の成熟やトレーダーに利用可能なパー・スワップについての分析に着目するツールの量を考えると、パー・スワップとして取引されないスワップと同種の商品を上場する試みは、ここで言うパー・スワップ選好問題を乗り越えなければならない。
伝統的な先物は、一般的には月や四半期である満期日によって定義され、取引量は、3ヶ月〜2年間の間の所与の取引日に満期となる月物先物あるいは四半期物先物に集中する傾向がある。今日、当事者が6ヶ月で満了する10-ユーロドル先物を買う(ロング)ことができ、この6ヶ月内におけるいかなる取引日において、同じ満了日を有する10-ユーロドル先物を売る(ショート)ことで、市場に再参入し、イニシャルポジションを取引で解消することができる。各取引について取り決めされた先物価格にかかわらず、2つの取引の結果について、トレーダーはいかなる責任も負わず、ポジションを持たず、すなわち、先物業界用語における「ネットフラット」である。複数の取引参加者は四半期で満了する先物を様々な価格で取引するビット及びオファーを出すため、先物の標準化特性は、中央指値オーダーブック内での流動性の集中をもたらす。
中央清算される金利スワップデリバティブ(クリアリングされる金利スワップ、あるいは、フレキシブルクーポンを伴うスポット・スターティング金利スワップ先物)の特徴は、伝統的な先物とは大きく異なる取引及び流動性特徴を含んでいる。今日取引されるスポット・スターティング商品は明日取引されるスポット・スターティング商品と異なる。そして、所定の日およびテナー(tenor)のパーとして取引される各クーポンレートは独立した商品である。伝統的に、最も頻繁に取引される スポット・スターティング・スワップは、1年刻みで取引される(例えば、2年、3年、5年、7年、10年)、いわゆる標準満期日すなわち標準テナー(tenor)を有している。
取引に用いられる金融商品の粒状化(グラニュラリゼーション)は、各個別の商品について生じる比較的に低いレベルの未決済建玉をもたらし、このことは、所与のトレーダーにおいて、リーズナブルな価格でカウンターパーティとして行動する意思のある買い手及び売り手を見付けることに困難性を付加する。これは、粒状化(グラニュラリゼーション)問題として言及される。
スワップのオプションは、2つの観点において、粒状化(グラニュラリゼーション)問題の影響を受ける。第1に、サブベーシスポイント・インクレメントを用いたストライクレート条件(strike rate terms)でのスワップにおけるオプションの取引は、個別の金融商品の拡散をもたらす。各商品は比較的に低いレベルの未決済建玉を有し、このことは、終了前にポジションから脱することを考える所与のトレーダーにおいて、リーズナブルな価格でカウンターパーティとして行動する意思のある買い手及び売り手を見付けることに困難性を付加する。第2に、個別のストライクレートで複数のスワップションのポートフォリオを有するトレーダーは、個別の固定レートでの原資産スワップの行使時にポジションを受け取り、スワップ自身の粒状化(グラニュラリゼーション)問題にさらされることになる。
スワップにおける粒状化(グラニュラリゼーション)問題の認識は、クレジットデフォルトスワップのトレーダー間でのより標準化クーポンへの最近の移行において経験的に見受けられている。このような移行は、規制的な命令によるというよりは、上述の幾つかの問題に応答して産業界によりリードされたものである。
http://www.markit.com/cds/announcements/resource/cds_big_bang.pdf(2012年4月11日アクセス)。金利スワップを含む他のスワップ市場は、よりゆっくりとクーポン標準化へ移行しているが、将来的にはそのようになるであろう。
各金融商品は、日々の評価の目的のために指定される価値を備えており、セントラルクリアリングされるマーケットでは、クリアリングハウスがこの価値を指定する。先物のポジションの価値を決定するために、市場参加者は先物毎の価格を用い、この価値をカウンターパーティによって所有される先物の総数に掛ける。スワップポジションの価値を決定するために、市場参加者は残存キャッシュフローのNPVを用いる。
エリス・エクスチェンジは2010年8月にエリス・エクスチェンジ金利スワップ先物("エリス金利スワップ先物")を導入した。この金融商品は、先物として規制されるが、典型的に金利スワップに関連付けられた経済的かつ柔軟な特徴を含んでいる。例えば、エリス金利スワップ先物は、カウンターパーティが、上述したように、固定クーポンレートを取り決めることによってパー・スワップ・ポジションを開始することを可能とする。エリス金利スワップ先物は、市場参加者において、将来における30年間までのいかなる有効なビジネスデイで満期となる発効日t+2(取引日から2営業日)のスポット・スターティング商品を取引することを可能とする。
2011年10月に、エリス・エクスチェンジは、CMEクリアリングによってクリアリングされる、発効日が将来の最大10年までのフォワード・スターティング・エリス金利スワップ先物の取引を始めた。スポット・スターティング・エリスIRスワップ先物の日々の時価(値洗い値)評価プロセスは、両方の契約(エリス金利スワップ先物、OTC金利スワップ)がディスカウント・ファクターとフォワードレートの共通のセットを用いるとして、市場参加者が同一に構築された担保OTC金利スワップから導出されるであろうトータルキャッシュフローと同様のキャッシュフローをもたらす。この柔軟性は、CMEグループのシカゴ商品取引所、5年物金利スワップ先物、10年物金利スワップ先物("CBOTスワップ先物")と対象的である。CBOTスワップ先物は、標準化固定レート4%を含み、四半期毎の満期日でもある発効日を備えた単なるフォワード・スターティングであり、等価のスワップポジションの経済性を複製しない。OTCスワップとエリス金利スワップ先物は、満期日まで未決済であり、先に終了することはない。市場参加者が先物形式において金利スワップデリバティブの取引を行うことを可能とすることによって、エリス・エクスチェンジは、複数のカウンターパーティに電子取引プラットフォームを通して中央指値オーダーブック(central limit order book)において匿名のビット及びオファーを出すことを可能とする。
典型的には、金利スワップのオプションの契約を望むトレーダーは、彼らが取引を望むスワップションの原資産スワップの条件にマッチするフォワード・スターティング・スワップのパー・レートを表す固定クーポンレートが何であるかを見出すために、ディーラに接触し、それは、特定の特徴によって定義されたスワップションについてディーラがオファーするストライクレート及び価格(プレミアム)を合意するためのベーシスとして用いられる。ストライクレートは、原資産のパー・レートよりも高くても低くてもよい。オプションの特徴には、ペイヤー/レシーバ、満期までの期間、想定元本が含まれる。原資産スワップの特徴には、発効日、フィックシングデート(fixing date)、テナー(tenor)、満期日、指数、固定レグ支払い間隔、変動レグ支払い間隔、固定レグ日数計算慣習、変動レグ日数計算慣習、休日カレンダー、その他が含まれる。ストライクレートは、原資産スワップの想定価値のパーセンテージとして表され、オプションの行使に従って、固定レグペイヤーから固定レグレシーバへ支払うべき一年周期の支払い総額を定義する。
実務上、カウンターパーティは、先ず、原資産フォワード・スターティング・スワップのパー・レートを現在反映する固定クーポンレートについて合意し、そして、ストライクレートについて合意し、そして、ストライクレートに基づいてオプション買い手がオプション売り手に対して支払う価格(プレミアムにおける)について取り決めることに進む。あるいは、トレーダーは、ストライクを考えて価格において取り決めを行うであろう。オプションのストライクレートは、原資産スワップのパー・レートと等価であってもよく、あるいは、それよりも高くても低くてもよい。ストライクレートが原資産スワップのパー・レートと等価であるオプションは、アット・ザ・マネー・フォワード(at-the-money-forward)と呼ばれる。OTC市場参加者において、原資産スワップのパー・レートに対するストライクレートの関係の見地から話すことは一般的である。原資産フォワード・スターティング・スワップのパー・レートは常に動いているので、アット・ザ・マネー・ストライクレートもまた変化する。スワップション取引の条件は、取引時にプレミアムのやり取りを要求(一般に、アップフロント・ペイメント・プレミアムと呼ばれる)し、あるいはオプションの終了日にプレミアムのやり取りを要求(一般にデファード・ペイメント・プレミアムと呼ばれる)する。
歴史的にスワップション市場慣習は、1ベーシスポイントあるいはそれより低い、一般的には、1/4ベーシスポイントである、ミニマムインクレメント(サブベーシスポイント・インクレメントと呼ばれる)でのレート条件(in rate terms)でのストライクの取り決めを含む。例えば、1/4ベーシスポイントのインクレメントでオファーされた金融商品のスワップションを取引することに合意するカウンターパーティは、2.0000%、2.0025%、あるいは、2.0050%のストライクについて合意するであろう。スワップション市場の成熟や上述の特徴を備えたストライクレート(レートベースストライク価格)における取引の確立された慣習を考えると、レートベース・ストライクプライス選好問題として言及されるものを克服するために、固定レート以外の何かによるレート建てのストライクプライスを備えたスワップションの取引の促進が強いられるであろう。
未決済建玉を保有している一方、オプショントレーダーは典型的にはリスク管理のためデルタヘッジングのプラクティスに従事する。デルタは、原資産の価値の変化に対するオプションの価値の変化の尺度である。デルタヘッジングを行うために、オプショントレーダーは、オプションの価値と相関する様々な金融商品を売買することができる。効率的な(対費用効果が高い)デルタヘッジング金融商品であるように当該金融商品に十分な流動性があることを条件とすると、オプションとの黙示の高い相関から、好ましい選択は、原資産自体を売買することである。2012年4月に満期が来る5月引き渡しコーン先物のロングコールオプションポジションのリスクを管理するためにデルタヘッジングを用いるトレーダーは、一般に、保有期間を通して先物及びオプションの価格が変化した時に5月コーン先物を複数回にわたり売買するであろう。
デルタヘッジングの目的に用いる金融商品の選択において、トレーダーは、2つの要素を結合する金融商品を探す。第1に、金融商品の価値がオプションの価値に高い相関を示すことを意味するような、有効ヘッジの金融商品を探す。第2に、流動性の高い金融商品を探す。デルタヘッジングは、オプショントレーダーに対して、オプション保有期間において複数回の取引を要求し、都度デルタヘッジ金融商品のbid-askスプレッドをクロスさせることを要求する。これによって、最大効率性(最小コスト)を獲得することは、十分な数の市場参加者が、可能な限り小さいbid-askスプレッドで十分なサイズの売買オーダの取引を進んで行うようなデルタヘッジ金融商品を選択することを意味する。
オプショントレーダーは、適切なデルタヘッジング金融商品を選択する際にこれら2つの検討事項の間のトレードオフをしばしば要求される。例えば、上記の5月コーン先物の例は最も効果的なヘッジ金融商品である。しかしながら、トレーダーは、7月コーン先物のような、より有効的でないが、より高い流動性からある時点においてより魅力的であるかもしれないヘッジ金融商品を探すこともあり得る。7月コーン先物は、ヘッジ金融商品としては比較的有効的でない。7月コーン先物の価格は5月コーン先物と相関する傾向にあるものの、5月コーン先物自身の相関よりは相関の程度が低いからである。デルタヘッジングのための理想的な金融商品は、高い有効的なヘッジと高い流動性の両方を備えたものである。
デルタヘッジングに用いることができる金融商品の相対的品質は、オプション市場自体の流動性に直接影響を与える。デルタヘッジング金融商品が相対的に有効でなく、および/あるいは、より流動性が無いようなオプション商品は、より高いクオリティのデルタヘッジング機会を有し他の条件が同じオプションに比べて、高い取引量を生成するために十分な大きさ及び価格品質で有用なビットとオファーの不足を被ることになる。オプション流動性とデルタヘッジング金融商品の品質との関係は明確である。リスクを管理するために彼らにとって利用し得る金融商品の品質が向上すれば、オプショントレーダーは、より大きなサイズでより効率的な価格(より小さいbid/askスプレッド)を備えたオプションの取引に関連してより高いリスクをより進んで取る。
ヘッジ有効性と流動性の間のトレードオフによって、OTCスワップショントレーダーは、スワップションのデルタヘッジングを実施するためにスポット・スターティング・パー・スワップをよく用いる。これは、たとえ、より有効なヘッジである複数の他の金融商品が利用可能であっても行われる。オプション価値により高い相関を示す各代替商品は、通常、効率的なデルタヘッジ金融商品として用いられるような十分な流動性を備えていない。
例えば、スワップショントレーダーが、発効日が2012年6月20日、10年テナー、ストライクが2.0025%の原資産プレーンバニラ金利スワップについて、2012年6月18日満期日のレシーバオプションを、2012年5月1日に売った(writes)場合について考える。デルタヘッジングの目的で利用され得る最も有効なヘッジ金融商品は、発効日、満期日及びクーポンレートを含む、オプションの原資産スワップに一致する条件を備えたスワップであろう。1つのスワップションポートフォリオを備えたこの例において、スワップショントレーダーは、このスワップに十分な流動性が存在していれば、デルタヘッジングのためにこのスワップを用いることを明確に好むであろう。残念ながら、この特定の金融商品(すなわち、特定のクーポンを備えたフォワード・スターティング金利スワップ)の相対的な流動性の不足は、スワップショントレーダーにおいて、デルタヘッジングのための他の金融商品を用いることの強い動機となる。
この例において利用可能なデルタヘッジングのための他の選択は、原資産スワップの発効日及び満期日と一致するフォワード・スターティング・スワップであるが、スワップ取引時のパー価値を反映したクーポン価値は、かなりの確率でスワップションのストライクレートからは逸脱するであろう。また、これらの市場は効率的なデルタヘッジングを提供するために十分な流動性が不足しており、これらの金融商品のbid/askスプレッドは標準的な満期のスポット・スターティング・パー・スワップのbid/askスプレッドに比べて殆ど不可避的に大きく拡がってしまう。このことは、スワップショントレーダーに、デルタヘッジングのために、期日及びクーポンにおいて原資産スワップから逸脱するより効果的でない金融商品を利用させることになる。さらなる可能性のある選択には、スポット・スターティング・パー・スワップ、米国トレジャリーボンドおよびノートが含まれる。
さらに、上記のパー・クーポン取引慣習を用いるOTCスワップションのトレーダーは、オプション満了日、原資産スワップの発効日及びテナーにおいて実質的に同じであるが個別のストライクレートレベルを備えた複数のオプションポジションのポートフォリオを積み上げる。例えば、オプショントレーダーが、3つのレシーバオプション、それぞれ、発効日2012年6月20日、10年のテナーを備えた原資産プレーンバニラ・金利スワップについて2012年6月18日に満期となり、3つの個別のストライクレート2.0025%、2.5000%、2.6000%を備えている、について未決済建玉を積み上げているとする。完全に有効なデルタヘッジングは、トレーダーに対して、3つの別個の原資産スワップ、それぞれ本日は比較的に非流動的である、についてのポジションを確立することを要求するであろう。ここで、粒状化(グラニュラリゼーション)問題が働く。なぜなら、取引に利用可能な固定レートスワップの拡散によって、効率的なデルタヘッジング目的のための十分な流動性が、単一の特定の固定レートクーポンを備えたスワップのいかなる市場において生成されることは考えにくいからである。
デルタヘッジング有効性に関する粒状化(グラニュラリゼーション)問題の結果は、多くのスワップション(オプショントレーダーに対して、より流動性がありより有効でないデルタヘッジング金融商品を利用することを強いる)の基礎となる特定のスワップにおける現時の流動性不足と共に、デルタヘッジング流動性問題として言及されているものをもたらし、それによって今日の多くのスワップション市場が影響を受けている。
スワップ及びスワップにおけるオプション(特に、金利スワップ及びクレジットデフォルトスワップ)の取引の大きな割合は伝統的にクリアリングされてこなかったが、最近は、スワップをセントラルクリアリングに変換する圧力があり、このような圧力には、2010年7月21日にオバマ大統領によって署名されたドッド・フランク・ウォールストリート・リフォーム及び消費者保護法("ドッド・フランク法")(Pub.L.111-203,H.R.4173)に基づく指令がある。クリアリングされない金融商品のより大きい透明性の政治的圧力の結果、2008年から2009年にかけての金融危機によって、ドッド・フランク法は法制化された。2008年から2009年の間、クリアリングされない金融商品についての多くの参加者が義務を果たせないカウンターパーティと向き合うことになった。欧州公的債務に関連するクレジット懸念を含む市場の力によって、多くの市場参加者は金利スワップのクリアリングを積極的に求めるようになった。さらに、バーゼルIIIの幾つかの要素は、市場参加者に対して金利スワップをクリアリングする経済的インセンティブを与えた。バーゼルIIIは、2010〜2011の銀行監視についてのバーゼル委員会のメンバー間で合意された銀行資本の妥当性、ストレステスト、市場流動性リスクについての世界的な規制標準である。バーゼル銀行監督委員会は、1974年にベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スウェーデン、英国及び米国の中央銀行総裁によって設立された銀行監視機関の委員会である。
OTC金利スワップは、2008年までに取引量において大きな成長を経験したが、事例証拠によって2008年には取引量が大きく落ち込み、未だ2008年前のレベルに戻っていない。
2012年4月時点で、主要なデリバティブ清算機関であるCMEクリアリング及びロンドンクリアリングハウス(LCH) は金利スワップのオプション及びクレジットデフォルトスワップのオプションに対してCCPサービスを提供してこなかったが、CMEクリアリングとLCHは共に、スワップのオプションについてのCCPサポートを次の新しい提供に含めることを公表した。 http://www.thejavelin.com/recent-press/swapclear-CME-and-javelin-on-swap-clearing (2012年4月11日アクセス)。多くの市場参加者、特に、カウンターパーティクレジットリスクの懸念および/あるいはクリアリングされない取引の日々の時価プロセスの不透明性からクリアリングされないOTCスワップションの取引を控えているトレーダー、にとって、OTCスワップションの中央清算化バージョンは、クリアリングされないOTCスワップションに対して優れていると見られる。CCPが、 ベーシスポイントの4分の1あるいはそれに近いミニマム価格インクレメントのレートで取引され、各ストライクレートが別個のクーポンレートを伴う別個のスワップへ受け渡しされるパー・レート・オプションの取引を許容する現存のOTC金利スワップション慣習を追従するのであれば、現物渡しでクリアリングされるオプションは、粒状化(グラニュラリゼーション)問題及びデルタヘッジング流動性問題の影響を受け続けるであろう。金利スワップの大多数がクリアリングされるようになれば、市場参加者にとって、初期証拠金を差し出すことに関連したカウンターパーティーリスクを低減し経済効率を最大化するために、スワップションもクリアリングされることが重要(おそらく強制)である。
上述のように、現存するスワップデリバティブ商品は、構造面で利点及び欠点を備えている。政府による新しい規制環境下において、伝統的なパー・スワップ、オフマーケット・スワップ、先物の取引における本来的なトレードオフを克服することは、重大な挑戦であることが判る。一見したところでは、これらの問題に対する解法は、標準化クーポンにおけるフォワード・スターティング・スワップの先物商品を作ることによって全て対処できるように思える。フォワード・スターティングで標準化クーポンを備えた先物を上場することによって、粒状化(グラニュラリゼーション)問題の効果が緩和される。そして、先物はアップフロント・ペイメントを課すことを必要とせず、したがって、アップフロント・ペイメント問題を回避することができる。
シカゴ商品取引所の10年物金利スワップ先物は、標準化されたクーポンに基づくフォワード・スターティング・スワップの経済性を伴う先物商品の上場を試みている。 http://www.CMEgroup.com/trading/interest-rates/files/IR145_SwapFC_lo-res_web.pdf(2011年5月17アクセス)を参照のこと。しかしながら、数年間やってみたところ、10年物金利スワップ先物取引の日々の出来高レベルは、金利スワップ市場の出来高に対して低く、このことは、金利スワップの真の代替としてこれらを採用することに市場が失敗したことを示唆する。2011年5月17日での未決済建玉はCMEグループによって報告されており、想定価値10億6千9百万ドルと同等な11,694契約であり
(http://www.CMEgroup.com/daily_bulletin/preliminary_voiA^OIREPORT.pdf, 2011年5月17アクセス)、これに対して、2011年3月ISDAが見積もった金利デリバティブの未決済建玉の想定価値は364兆ドルであり
(http://online.wsj.com/article/BT-CO-20110329-709826.html2011年5月17アクセス)、0.0003%.である。
先物市場の発展は、商品設計、ディストリビューション、テクノロジー、流動性、マクロ経済要因を含む多くの要因の組み合わせを必要とするため、先物商品の可能性のある成功の評価や成功の欠如の説明は簡単ではない。商業的成功の欠如に寄与するであろうCBOTスワップ先物の設計に関連する問題は、商品はトレーダーに対して単一のクーポンレートでの取引のみを許容し、粒状化(グラニュラリゼーション)問題を最小化するために厳格な標準化を課してしまうことを含む。商品の開始から2009年12月までに満了する契約についてのレートは6.0%であり、それ以降は取引所において4.0%に設定されている。さらに、CBOTスワップ先物は、スワップ市場においてより一般的なパー・クーポンやNPVプロトコルではなく、CBOTウェブサイトによって、トレード・イン・プライス・クォ―ト・イン・ポイント("traded in price and quoted in points")、される。
http://www.CMEgroup.com/trading/interest-rates/files/IR145 _SwapFC_lo-res_web.pdf (2011年5月17アクセス)。
商業的成功の欠如の一因となるであろうCBOTスワップ先物の設計に関連するもう一つの問題は、商品がスワップの全体の満期に亘るスワップの経済性をまねることを追求していないということである。商品は、スワップのフォワード期間の終結時に満了し現金決済される。例えば、2011年9月CBOT10年物金利スワップ先物は2011年9月19日に満了するが、その時点でポジションは中央清算機関により決済され、未決済建玉が無くなる。比較するOTC金利スワップは、フォワード期間が2011年9月に終了することは含むが、スワップ自体は2021年9月まで満期にならない。さらに、CBOTスワップ先物は、LIBORあるいはオーバーナイトインデックススワップ(OIS)レートでキャッシュフローを割り引くスワップ慣習に固着せず、単純な現在価値分析を用いている。
よって、デルタヘッジング流動性問題を解決するような十分な流動性を備えた原資産に基づく、新しいスワップション及びこのようなスワップションの電子的清算及び決済が望まれる。さらに、限定された量の標準化ストライクレートレベルを提供する新しいスワップション及びこのようなスワップションの電子的清算及び決済は、粒状化(グラニュラリゼーション)問題を緩和するであろう。さらに、レートベース・ストライク価格選好問題に取り組む新しいスワップション及びこのようなスワップションの電子的清算及び決済は、現在利用することができるスワップション金融商品よりも好ましい選択を提供するであろう。さらに、これらの特徴を備えた新しいスワップションの清算及び決済サービスを行う中央清算機関を提供することは、現在のOTC市場の2つの他の欠点、具体的には、カウンターパーティクレジットリスク及びスワップションポートフォリオの独立した評価の欠如、をも緩和するであろう。
1つの観点では、本発明の原理にしたがったフレキシブルレート・オプション及び取引方法は、伝統的なOTCスワップションに影響を与える粒状化(グラニュラリゼーション)問題を緩和するスワップション(スワップのオプションやスワップ先物のオプション)商品の取引を可能とする。1つの観点では、本発明の原理にしたがったフレキシブルレート・オプション及び取引方法は、レートベース・ストライク価格選好問題に対処するものである。1つの観点では、本発明の原理にしたがったフレキシブルレート・オプション及び取引方法は、市場に複数のストライクレベルに跨る共通の原資産を提供することによって、デルタヘッジング流動性問題を解決するより大きな機会を有する。これはさらに、これらの原資産ベンチマーク金融商品における流動性を増大し、デルタヘッジングのための望ましい取引手段としての魅力を高める。
本発明の原理にしたがって、フレキシブルレート(flexible-rate)・オプション及び電子的取引方法が提供される。フレキシブルレート・オプションは、取り決め可能なプレミアム及び対応するレートベース(rate-based)・ストライクレートを含んでいる。少なくとも1つのディスカウントカーブ、及び、潜在的にはフォワードカーブが決定される。金融商品のためのアジャストメント・ファクターが決定される。
1つあるいは複数のカーブを用いることで、アジャストメント・ファクターを決定し、オプション行使時あるいはその近くでの、標準化クーポンを伴う原資産の調整された行使価格を、固定レートを備えた受け渡される金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として決定する。
よって、本発明のフレキシブルレート・オプションは、レートベース・ストライク価格(ストライクレート)を備えた金融商品を、オプション条件によって定義された原資産スワップと同じ条件を備え、潜在的に異なる固定レート及び行使価格を備えた等価の標準化クーポン金融商品の原資産ポジションへと行使する。
このサマリーは簡潔な形式での概念を紹介するものであり、下記の詳細な説明においてさらに詳述される。このサマリーは、クレーム化されたサブジェクトマターの重要な特徴や本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、クレーム化されたサブジェクトマターの範囲を決定することを補助するために用いられることを意図していない。
図1は、例示するアジャストメント・ファクターを用いて、オプションの行使時に受け渡される金利スワップの調整された行使価格を決定する実施例のフローチャートを示す。 図2は、他の例示するアジャストメント・ファクターを用いて、オプションの行使時に受け渡される金利スワップの調整された行使価格を決定する実施例のフローチャートを示す。 図3は、本発明に係るフレキシブルレート金融オプションの電子取引を実行するシステムを実行するために用い得るハードウェアインフラストラクチャの非限定実施形態を示す。
本発明の実施形態をエリス・エクスチェンジにおける取引上場を計画するものについて例示し説明するが、本発明はそのように限定されるものではなく、米国内にあるか外国にあるか、プライベートネゴシエーションを通した取引であるか、米国ドル以外の通貨での取引であるか、先物オプション、クリアリングされるスワップオプション、LIBOR以外のインデックスに連動し、アップフロントあるいはデファードで支払われるプレミアムで取引される金融商品に基づく他のタイプの金融商品であるか、にかかわらず、いかなる他の取引所や取引プラットフォームにおいても取引される。本明細書において、取引所及び取引プラットフォームという用語は、株、コモディティ、デリバティブ、他の金融商品が取り引きされる市場(marketplace)を広く意味するものであり、必ずしも限定されるものではないが、指定契約市場、免除取引所、指定清算機関、株式取引所、スワップ実行機関、電子通信ネットワーク、等を含む。
現存のスワップション市場における出来高及び流動性を向上させるための1つの可能性のある手法は、トレーダーが標準化された固定レートストライクレベルでオプション取引を行うよう確信させることであろう。例えば、フレキシブルなパー・レートストライクで取引を行うのではなく、中央市場あるいは取引所が標準化ストライクレートレベルの限定されたセットのスワップを提供し得る。この標準化は、オプション取引を、限定された数の標準化ストライクレートレベルに集中させることによって粒状化(グラニュラリゼーション)問題を緩和するであろうが、残念ながら、依然として、オプションの行使時に個別のストライクレートで個別の金融商品を引き渡すことになる。標準化された固定レートクーポン自体を備えた原資産スワップがさらなる流動化を生成するものでない限り、この標準化は、デルタヘッジング流動化問題を解決することはできないであろう。
2011年10月、エリス・エクスチェンジは、国際通貨市場(IMM)カレンダーに基づく期日、標準化された固定レートクーポンを備えたフォワード・スターティング・エリス・金利スワップ先物の取引を売り物とした。例えば、2012年4月に、いわゆるエリス・エクスチェンジIMM日付ベンチマーク先物が、NPVで取り決めた価格を備えた以下の3つのプレーンバニラ金利スワップ先物を含む。
・6月IMM 2年:2年テナー(tenor)、発効日2012年6月20日、満期日2014年6月20日、クーポン0.500%.
・6月IMM 5年:5年テナー(tenor)、発効日2012年6月20日、満期日2017年6月20日、クーポン1.250%.
・6月IMM 10年:10年テナー(tenor)、発効日2012年6月20日、満期日2017年6月20日、クーポン2.000%.
2012年4月時点において、エリス・エクスチェンジIMM日付ベンチマーク先物は、多くの取引日において想定価値$50,000,000から$300,000,000の複数の流動性プロバイダからの継続したビッド及びオファーの提示の形での積極的な参加を呼んでいる。出来高は想定価値において$225,000,000より多い。これらの先物が、パー・レート・ベース(par rate-based)スワップデリバティブ取引から流動性を集中させ、パー・スワップ選好問題を解決することを試みるという点において、流動性について初期の基礎を開発したこの比較的小さな成功は注目に値する。
エリス・エクスチェンジIMM日付ベンチマーク先物が、参加者数の増加、ビッド及びオファーのより大きな量、よりタイトなビッド・アスクスプレッド、より多い取引及び未決済建玉の組み合わせを通して、流動性において増加するならば、エリス・エクスチェンジIMM日付ベンチマーク先物は、デルタヘッジング流動性問題及び粒状化(グラニュラリゼーション)問題を解決するスワップションの原資産として実用的な選択となるであろう。流動性6月IMM 2年金利スワップ先物のオプションの上場にあたり、エリス・エクスチェンジは、'par'の単一のストライクを上場すること、あるいは、NPV建ての複数のストライクレート(例えば、NPVストライクレートは-$10,000,-$5000,$0,$5000,$10000であり得る)を上場することを選択するかもしれない。しかしながら、いずれの構築も、レートベース・ストライク価格選好問題を低減することはできない。NPVや価格を条件としてストライクを設定することは、時間に伴うレートとNPVレベルとの非線形関係を仮定して取引されているリスクを変える。
2009年、OTCスワップション市場から取引量を誘引することを試みるため、CBOTは、CBOTスワップ先物のオプションの取引を上場した。この先物は、原資産金融商品としてCBOTスワップ先物商品を用いることによって、デルタヘッジング流動性問題を解決することを試みたものである。この金融商品によって、トレーダーは100に指数連動させた先物価格建てのストライクレベルで取引することができる。2012年4月時点で、CBOTスワップ先物のオプションは上場されたままであり取引が可能であるが、導入以来CBOTスワップ先物のオプションの取引は行われていない。
http://www.CMEgroup.com/trading/interest-rates/options-open-interest/main.html(2012年4月11日アクセス)。また、商業的成功の欠如の一因であるCBOTスワップ先物のオプションの設計に関する問題には、原資産スワップ先物の設計の実行可能性の欠如、原資産スワップ先物の流動性の不足、レートベース・ストライク価格選好問題の緩和の欠如、が含まれる。
望まれることは、上述の可能性があるエリス・エクスチェンジ・オプションのようなオプションの利点と、複数のストライクレートが行使時に共通の原資産金融商品に受け渡しされるような限定された数のストライクレートレベルとを、レートベース・ストライク価格選好問題を解決する形式で統合することであり、もって、実質的に粒状化(グラニュラリゼーション)問題を軽減すると共にデルタヘッジング流動性問題を解決する。
本発明は、レートベース・ストライク価格(a rate-based strike price)を備えた金融オプションを潜在的に異なる固定レート以外において全て同じ条件を備えた金融商品の原資産ポジションへと行使することができるようなメカニズムを提供する。受け渡しされる原資産の固定レートは、多くの場合、取り決めたストライクレートとは異なることになり、よって行使価格が適宜決定されて、固定レートを備えたスワップと取り決めたストライクレートを備えたスワップとの現在価値の差を説明する。本発明の原理にしたがって、フレキシブルレート金融オプション、及び、行使価格で標準化クーポン金融商品に行使する電子取引の方法、及び取引方法が提供される。本発明は、2つの金融商品が等価かつ等価価値を有するような行使価格を割り当てることによって、受け渡されるであろう原資産パー金融商品(すなわち、固定レートがオプション・ストライクレートと等しい)と1つの異なる条件(固定レート)を有する。本明細書において、等価という用語は、量、価値、測定量、フォース、効果、重大性等においてニアリーイコールであることを意味し、調整された価格で、異なるクーポンレートを備え、殆ど等価であるが経済的に満足できるポジションを備えた金融商品を包含する。例えば、上述のエリス・エクスチェンジ・IMM日付ベンチマーク先物のオプションと共に用いることによって、本発明を採用することでオプションのレートベース・ストライク価格を上場することができる。このオプションは、複数のストライクレートレベルで発効されるであろうが、以下に記載する手法にしたがって適切な行使価格を決定することによって、単一のクーポンレートを備えた共通の原資産金融商品へと行使され受け渡しされる。結果として得られるオプションは、様々なストライクレートのオプションの単一の固定レートを備えた単一原資産金融商品への受け渡しを通して、粒状化(グラニュラリゼーション)問題及びデルタヘッジング流動性問題を低減する。また、本発明の使用を通して、レートベース・ストライク価格選好問題に対処する。
先ず、原資産の行使価格を決定するための一般的な例について記載する。デポジットレート、スワップレート、スプレッド、トレジャリーレート、リスクフリー貸出レート、フォワードレート契約レート、金利先物価格等のカーブ入力データが、ディスカウントカーブ及びフォワードカーブを生成するカーブ構築器に入力される。プレーンバニラ金利スワップの純現在価値(NPV)は、固定クーポン支払いと変動クーポン支払いの現在価値の差として記載することができる。固定クーポンcを備えたスワップの価格は
であり、ここで、
L(t,Tl,i)は、Tl,iでの変動支払いに関連する、tでのフォワードレート、
DF(t,s)は、tからs、t≦s、のディスカウント・ファクター、
τc,i、τl,iは、それぞれ、固定支払い、変動支払いの利付期間のイヤー・フラクションである。
式1は、金利スワップを評価する一般式を表す。この式の拡張は、固定レート以外の全てで同じ条件の2つのスワップの価値の違いを補償する適切な行使価格を決定することに用いることができる。行使価格を計算する手法は、一般にPV01、DV01として称される量を用いる。
ディスカウントレート及びフォワードレートは、同じイールドカーブから導出してもよく、そうでなくてもよい。例えば、2007年前にバニラ金利スワップをモデリングする時には、市場慣習では、これらの両方のレートを導出するのにLIBORカーブを用いていた。一方、金融危機後には、ディスカウントレートを導出するのにOISカーブを用い、フォワードレートを計算するのにLIBORカーブを用いることにコンセンサスが益々移行している。数々の仮説やカーブ構築手法は、本発明の適用に影響を与えるものではない。
本発明の原理にしたがって、オプションの行使時あるいは行使時近くにおいて、ディスカウントカーブは、例えば下記の式3を用いて、その価格でオプション行使時に原資産金融商品が受け渡されるであろう適切な行使価格を決定することに用いられ得る。これは、固定レートを備えた受け渡しされる金融商品とオプション・ストライクレートを備えた同商品との現在価値の差に対処する。
合計
をA(t)で表すと、A(t)は、スワップのアニュイティと呼ばれ、また、ベーシスポイント(PV01)の現在価値として知られており、さらに、PV01は固定レートベーシスポイントの価値とも称され、固定レートにおける1ベーシスポイントの変化に対するスワップの価値の変化を表す。PV01は、ディスカウント(ファンディング)カーブによって決定される。PV01は、固定レート以外の同じ条件を備えた全てのスワップについて同じであり、例えば、固定レート以外において同じ特徴、−変動レグ・インデックス(floating leg index)、スタート日、支払いスケジュール、日数計算、休日慣習−、を有する2つのスワップについて、NPVにおける差は、
である。
この着目に基づいて、フレキシブルレート金融オプション及び取引方法の実施例が提供される。図1を参照すると、アジャストメント・ファクターとしてPV01を用いることによって、どのようにオプションポジションの結果として受け渡しされる原資産の行使価格を決定するかを説明する実施例のフローチャートが示してある。cは、オプション・ストライクレートとマッチする固定レートを備えたスワップの固定レートとする。プレミアム条件(in premium terms)における価格の合意を通した取引の完了の後のいかなる時点において、そして、原資産スワップへのオプションの行使が続くように、所与のクーポンcを備えたスワップには、クーポンcを備えたスワップとクーポンcを備えたスワップとの現在価値の差と等しい行使価格が割り当てられる。行使価格は以下のように決定される。
図2に示すように、本発明の他の実施例では、パー・スワップ・レートの変化に関するスワップのセンシティビティー(sensitivity)が、行使価格を計算することに用いられ得る。センシティビティーはしばしば"DV01"として言及される。DV01は、スワップカーブにおける1ベーシスポイントの平行移動についてのスワップの価値の変化を表す。これは、また、カーブ'01とも称される。市場においては、DV01を決定するために様々な手法が採用されている。本適用では、全ての変形を含むものと意図される。固定レート以外の同じ条件を備えたスワップのDV01は異なるDV01レベルを有することに留意されたい。実務上、DV01 とPV01は置換可能に用いられることが多く、パー・スワップではこれらの値は近い。したがって、PV01ではなく DV01を用いることによって、前述の実施例と類似のプロセスによって行使価格を決定ないし近似することができる。
ベーシス・スワップのNPVは、2つの変動クーポン支払いの現在価値の差として書くことができる。固定クーポンを備えたスワップの価格は、
であり、ここで、
L1(t,T1,i)、L2(t,T2,i)は、それぞれ、T1,i、T2,iにおける変動支払いに関連する、tにおいて2つのフォワードカーブによって決定されたレートであり、
DF(t,s)は、tからs、t≦s、のディスカウント・ファクターであり、
τ1,i、τ2,iは、それぞれ、2つの変動支払いの利付期間のイヤー・フラクションである。
べーシス・スワップにおけるクーポンはしばしば2つのフォワードカーブの差を示す。プレーン・バニラ・スワップと同様に、2当事者間でクーポンが取り決められるが、フォワードカーブ及びディスカウントカーブが決定される。そして、例えば上記NPV式4のような純現在価値が用いられあるいは近似されて、別個のクーポンを備え、その他は等価であるスワップの適切な調整価格を決定するためのアジャストメント・ファクターを生成する。
プレーン・バニラ・スワップに適用される取り決めたクーポンから固定クーポンスワップ価格を決定する同じ手法がベーシス・スワップにも適用可能である。例えば、合計
はA(t)によって表され、同じ特徴、−変動レグ・インデックス(floating leg indices)、スタート日、支払いスケジュール、日数計算、休日慣習−、を有する2つのスワップについて、NPVにおける差は、
である。
ベーシス・スワップのオプションは、買い手が、そのレグに対して予め決められた固定スプレッドを備えた変動レグの一方を支払う権利を有するように構築され得る。このオプションはまた、買い手が、そのレグに対して予め決められた固定スプレッドを備えた変動レグの一方を受け取る権利を有するように構築され得る。変動レグの一方に対して予め決められた固定スプレッドは、オプションのストライクである。
オプションストライクと同等の変動レグの一方に対する固定スプレッドを備えた原資産ベーシス・スワップにおいて受け渡しが行われ得る。この商品はパーで受け渡しされるので、行使価格は事実上0である。
本発明は、スプレッドベース・ストライク(a spread based strike)を備えたベーシス・スワップのオプションが、適切な行使価格で、潜在的に異なるスプレッドを備えたベーシス・スワップへと行使されるようなメカニズムを提供する。スワップションの場合と同様に、このメカニズムは、様々なストライクスプレッドレベルを備えたオプションの単一の固定スプレッドを備えた単一の原資産ベーシス・スワップへの受け渡しを通して、粒状化(グラニュラリゼーション)問題及びデルタヘッジング流動性問題を緩和する。式6の拡張は、あるストライクスプレッドを備えたベーシス・スワップと異なる固定スプレッドを有するであろう受け渡しされるベーシス・スワップの現在価値の差を決定することに用いられる。この現在価値の差は、オプションの行使価格を決定する。この行使価格は、PV01あるいはDV01を用いて決定することができる。
一般に、クリアリングされるスワップの損益は価格変動のみによるものなので、よって、定数の足し引きによる価格プロセスの修正はスワップの性質に影響を与えない。同様に、本発明にしたがう他の実施例では、行使価格は同じ定数によって調整され得る。
カウンターパーティは、特定のストライクレートを備えたオプション商品のプレミアムを条件とした(in premium terms)価格を取り決める。取引について複数のストライクレートレベルを用いることができ、それぞれ、共通の原資産金融商品の受け渡しという結果をもたらす。各ペイヤーオプションについて1つの類似のレシーバオプションが存在する。オプションの行使時において、受け渡しされる金融商品の行使価格は、上記式3あるいは式4にしたがって、固定レートを備えた受け渡しされる金融商品とオプション・ストライクレートを備えた金融商品との現在価値の差によって決定される。価格調整の望ましい実行はオプション行使時に行われることである。この調整は、取引が完了した後いつでも実行することができるが、行使の直前ないし同時での調整は、現時点ではより高い商業的実行可能性を表すものと考えられる。
本発明の原理にしたがってエリス・エクスチェンジに上場された商品は四半期国際通貨市場(IMM)日付の発効日を有するが、他の実施形態も可能である。本発明は、アメリカンスタイルオプション(満了日あるいはその前のいかなる時点でもオプションを行使し得る)、ヨーロピアンスタイルオプション(オプションの満了日においてのみ行使される)のいずれにも用いられる。
以下の記述は、フレキシブルレート・オプションを、行使価格を備えた標準化クーポン金融商品へと行使する非限定的実施例である。特に記載しない限り、行使価格は、ストライクレートを備えたスワップと別個の固定レートを備えた受け渡しスワップの現在価値の差に等しい。全ての行使価格は、固定レートペイヤーの観点から決定される。
[実施例1]
この実施例は、上記式3に記載したように、行使価格を決定するためにPV01を用いることによってフレキシブルレート・オプションを標準化クーポン金融商品へと行使することを示す。この実施例は、ペイヤーオプションである。
想定元本$1,000,000のフォワード・スターティング・2年物LIBOR金利スワップについて考える。ディスカウントカーブがOISカーブで、フォワードカーブがLIBORカーブである、本実施例における本発明の適用にはフォワードカーブの構築は必ずしも必要ではないが、と仮定する。LIBORスワップレート、ユーロドルレート、フォワードレートアグリーメントレート、LIBORレート、トレジャリーレート、スワップスプレッド等のセットがOISカーブ及びLIBORカーブを構築するのに用いられる。共通のクーポン価値を備えた原資産スワップに基づく複数のオプションのリストは以下の通りである。
この実施例において、カウンターパーティは、特定のストライクレート2.250%のペイヤーオプション商品の価格(プレミアム条件における)を取り決める。取引時のオプションの明細は、このオプションがクーポン2.000%の原資産スワップについてのオプションであると述べている。原資産ベンチマーク金融商品は、発効日2012年6月20日、固定レグ2.000%を備えた2年物6月IMM 日付金融商品である。このオプションはヨーロピアンスタイル行使を有している。
オプションが満了する日(2012年6月15日)における、決済(値洗い)価格が未決済のエリス金利スワップ先物に割り当てられる時の、原資産PV01(固定レグの1ベーシスポイント(bp)変化についての価値の変化)は$924である。

6月IMM日付2年物スワップとしての同様の条件の金融商品の06/15/12の引けのパー・レートは2.400%である。このオプションはイン・ザ・マネー(すなわち、金融商品のパー・レートが上記ストライクレートよりも高いので)、オプション所有者は、ストライクレート2.250%を伴う1つのペイヤーオプションの行使を選択する。

各カウンターパーティは、06/18/2012の取引所のオープニングに先立って、発明により決定された価格$23,100で、1つの原資産(発効日06/20/2012、2年テナー、クーポン2.000%)において、ポジション(オプション買い手がロングをとり、オプション売り手がショートをとる)を受け取る(受け渡しされる)。
この行使価格は:
(ストライクレート-原資産先物の固定レート)*100*原資産金融商品のPV01
=受け渡し金融商品の価格= 25 bps*924
オプション売り手は、いま、$23,100の同じ価格の同じ金融商品のショートをとる。固定レート2.000%を伴う原資産の公正市場価値は、約$36,960であり、これは2.400%での行使のパー・レートと2.000%の原資産の固定レートとの現在価値の差(924 * 40 bps)である。結果として、オプション買い手は、約13,860の含み益を有し、これは、2.250%のストライクと2.400%のパー・レートとの現在価値の差(924 * 15 bps)である。オプション売り手は、同じ金額の等価の含み損を有する。これは、オプションストライクと同じ固定レートを備えた金融商品において受け渡しが行われたと仮定した時に(現在のOTCスワップションプロトコールに関連する摩擦コストや他の非効率は無視する)、トレーダーが有するであろう含み益と等価である。
[実施例2]
この実施例は、式3に記載したように、アジャストメント・ファクターとしてPV01を用いることによってフレキシブルレート・オプションを標準化されたクーポン金融商品へと行使できることを示す。今回は、レシーバオプションである。
$1,000,000の想定元本を備えたフォワード・スターティング10年LIBOR金利スワップについて考える。本実施例における本発明の適用ではフォワードカーブの構築は必要でないかもしれないが、ディスカウントカーブがOISカーブであり、フォワードカーブがLIBORカーブであると仮定する。LIBORスワップレート、ユーロドルレート、フォワードレート契約レート、LIBORレート、トレジャリーレート、スワップスプレッド、等のセットが、OISカーブ及びLIBORカーブを構築することに用いられる。共通のクーポン価値を備えた原資産スワップに基づく複数のオプションのリストは、以下のようになるであろう。
この実施例において、カウンターパーティは、ストライクレート3.600%のレシーバオプション商品の価格(プレミアムを条件とした)を取り決める。取引時のオプションの明細は、このオプションはクーポン3.500%を備えた原資産スワップのオプションであると述べている。原資産ベンチマーク金融商品は、2012年9月19日の発効日及び固定レグ3.500%を備えた10年物9月IMM日付金融商品である。このオプションはヨーロピアンスタイル行使である。
オプションが満了する日(2012年9月14日)において、決済(値洗い)価格が未決済のエリス金融商品に割り当てされる時に、原資産PV01(固定レグの1ベーシスポイント(bp)変化についての価値の変化)は$1231である。9月IMM日付10年物スワップとしての同様の条件の金融商品の09/14/12の引けのパー・レートは3.551%である。オプション買い手は、ストライクレート3.600%を伴う1つのレシーバオプションを行使することを選択する。各カウンターパーティは、09/16/2012の取引所のオープニングに先立って、発明により決定された価格$12,310で、1つの原資産(発効日09/19/2012、10年テナー、クーポン3.500%)において、ポジション(オプション買い手がロングをとり、オプション売り手がショートをとる)を受け取る(受け渡しされる)。
この行使価格は:
(ストライクレート-原資産先物の固定レート)*100*原資産金融商品のPV01
=受け渡し金融商品の価格=10 bps*1231
オプション買い手は、いま、$12,310の価格の同じ原資産におけるショートポジションを有する。固定レート3.500%を伴う原資産の公正市場価値は、約$6,278であり、これは、3.551%での行使のパー・レートと3.500%の原資産の固定レートとの現在価値の差(1231 * 5.1 bps)である。結果として、オプション買い手は、約$6,032の含み益を有し、これは、3.600%のストライクと3.551%のパー・レートとの現在価値の差(1231 * 4.9 bps)である。オプション売り手は、同じ金額の等価の含み損を有する。これは、また、原資産の公正市場価値($6,278)と受け渡しレベル($12,310)を比較することによって決定される。これは、オプションストライクと同じ固定レートを備えた金融商品において受け渡しが行われたと仮定した時に(現在のOTCスワップションプロトコールに関連する摩擦コストや他の非効率は無視する)、トレーダーが有するであろう含み益と等価である。
[実施例3]
この実施例は、式4と一致するアジャストメント・ファクターとしてDV01を用いることによって、フレキシブルレート・オプションを標準化されたクーポン金融商品へと行使できることを示す。今回は、レシーバオプションである。
$1,000,000の想定元本を伴うフォワード・スターティング10年LIBOR金利スワップについて考える。ディスカウントカーブがOISカーブで、フォワードカーブがLIBORカーブであると仮定する。LIBORスワップレート、ユーロドルレート、フォワードレート契約レート、LIBORレート、トレジャリーレート、スワップスプレッド、等のセットが、OISカーブ及びLIBORカーブを構築することに用いられる。共通のクーポン価値を備えた原資産スワップに基づく複数のオプションのリストは、以下のようになるであろう。
オプションが満了する日(2012年9月14日)において、決済(値洗い)価格が未決済のエリス金融商品に割り当てる時に、原資産DV01 (スワップカーブにおける1ベーシスポイントの平行移動についての原資産の価値の変化)は$1,350である。9月IMM日付10年物スワップとしての同様の条件の金融商品の09/14/12の引けのパー・レートは3.551%である。オプション買い手は、ストライクレート3.600%を伴う1つのレシーバオプションを行使することを選択する。各カウンターパーティは、09/16/2012の取引所のオープニングに先立って、発明により決定された価格$13,500で、1つの原資産(発効日09/19/2012、10年テナー、クーポン3.500%)において、ポジション(オプション買い手がロングをとり、オプション売り手がショートをとる)を受け取る(受け渡しされる)。
この行使価格は:
(ストライクレート-原資産先物の固定レート)*100*原資産金融商品のDV01
=受け渡し金融商品の価格=10 bps*1,350
オプション買い手は、いま、$13,500の価格の同じ原資産におけるショートポジションを有する。固定レート3.500%を伴う原資産の公正市場価値は、約$6,885であり、これは、3.551%での行使のパー・レートと3.500%の原資産の固定レートとの現在価値の差(1,350 * 5.1 bps)である。
結果として、オプション買い手は、約$6,615の含み益を有し、これは、3.600%のストライクと3.551%のパー・レートとの現在価値の差(1,350 * 4.9 bps)である。オプション売り手は、同じ金額の等価の含み損を有する。これは、また、原資産の公正市場価値($6,885)と受け渡しレベル($13,500)を比較することによって決定される。これは、オプションストライクと同じ固定レートを備えた金融商品において受け渡しが行われたと仮定した時に(現在のOTCスワップションプロトコールに関連する摩擦コストや他の非効率は無視する)、トレーダーが有するであろう含み益と等価である。
ここでまた、上述のものは、フレキシブルレート・オプションを、オプションストライクとは異なるであろう固定レート、行使価格を備えた標準化金融商品へと行使する非限定的実施例である。
本発明の原理にしたがって、最終決済価値を毎日公表するために、清算機関、取引所、スワップ実行機関、先物取引業者、他の市場参加者は、この目的のために特に設計されたソフトウェアを備えたコンピュータを用いることができる。本発明に係る最終価値の計算は、反復かつ複雑であり、この目的には特別なソフトウェアが必要となる。このソフトウェアは、データライン、ネットワーク、あるいはインターネットを通して中央市場に接続されており、価格がシームレスに公表される。清算機関は、ある所与の瞬間にデータベースで存在している各金融商品の日々の価格を格納し、市場に電子的に公表してもよい。
図3を参照して、本発明のシステムを実行するのに用いることができるハイレベルハードウェア手段の非限定実施例を説明する。インフラストラクチャーは、限定されないものの、ワイドエリアネットワーク接続、ローカルエリアネットワーク接続、適切なネットワークスイッチ及びルータ、電源(バックアップ電源)、ストレージエリアネットワークハードウェア、サーバクラスコンピューティングハードウェア、例えば、レッドハットリナックスエンタープライズASオペレーティングシステム(レッドハット、インク、1801ヴァーシティドライブ、ラレイ、ノースキャロライナ、から入手可能)のようなオペレーティングシステム、を備えている。
清算・決済及び管理アプリケーションソフトウェアサーバは、例えば、3.33 GHzのプロセッサベース周波数、192GBまでのRAM、2 PCIE拡張スロット、1GBないし10GBのネットワークコントローラ、ホットプラグSFF SATAドライブ、余剰電源を備えたマルチプルインテルXeon5600シリーズプロセッサを備えたHP ProLiant DL 360 G6サーバ(ヒューレッドパッカード、インク、3000ハノーバストリート、パロアルト、カリフォルニア、から入手可能)上で実行される。データベースサーバは、例えば、3.33GHzのプロセッサベース周波数、192GBまでのRAM、6 PCIE拡張スロット、16SFFSATAドライブベイ、インテグレートP410iインテグレートストレージコントローラ、余剰電源を備えたマルチプルインテルXeon5600シリーズプロセッサを備えたHP ProLiant DL 360 G6サーバ(ヒューレッドパッカードから入手可能)上で実行される。
本発明について具体的な実施形態に基づいて説明したが、他の代替、修正、変更は当業者にとって明白である。例えば、変換を実施する行使まで待つのではなく、オプションは、実行時に、別個の原資産及びストライクレートを備えた調整されたオプションへと変換されてもよい。したがって、そのような代替、修正、変更の全てが添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含むことを意図する。
[付記]
一連のステップを実行するようにプログラムされた汎用デジタルコンピュータであって、前記一連のステップはフレキシブルレート金融オプションを電子的に清算及び決済するものであり、
前記汎用デジタルコンピュータのメモリにおいて、2当事者間で取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートを受け取り、
前記汎用デジタルコンピュータのメモリと通信するプロセッサにおいて、前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定し、
前記汎用デジタルコンピュータのプロセッサにおいて、前記少なくとも1つのディスカウントカーブに基づいて、アジャストメント・ファクターを決定し、
前記汎用デジタルコンピュータのプロセッサにおいて、前記アジャストメント・ファクターを用いて、満了時あるいは満了時近くにおける、標準化クーポンを備えた原資産の行使価格を決定し、
それによって、レートベース・ストライクレート及びプレミアム条件を備えた金融オプションを、潜在的に異なる固定レート及び行使価格を備えた等価の標準化クーポン金融商品の原資産ポジションへと行使する、汎用デジタルコンピュータ。
1つの態様では、標準化クーポンを備えた原資産の調整価格を、オプション行使時あるいはその近くにおける、固定レートを備えた受け渡し金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として決定する。
1つの態様では、アジャストメント・ファクターを決定することは、フォワード・スターティング・スワップのアジャストメント・ファクターを決定するものである。
1つの態様では、アジャストメント・ファクターを用いて、標準化クーポンを備えた原資産の満了時の行使価格を決定する。
1つの態様では、アジャストメント・ファクターを用いて、標準化クーポンを備えた原資産の満了時近くにおける行使価格を決定する。
コンピュータ可読プログラムコードが具現化されたコンピュータプログラムないし記憶媒体であって、コンピュータ可読プログラムコードは、コンピュータがフレキシブルレート金融オプションを清算し決済する方法を実行するように適合されており、前記方法は、
2当事者間で取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートを受け取り、
前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定し、
前記少なくとも1つのディスカウントカーブに基づいて、アジャストメント・ファクターを決定し、
前記アジャストメント・ファクターを用いて、満了時あるいは満了時近くにおける、標準化クーポンを備えた原資産の行使価格を決定し、
それによって、レートベース・ストライクレート及びプレミアム条件を備えた金融オプションを、潜在的に異なる固定レート及び行使価格を備えた等価の標準化クーポン金融商品の原資産ポジションへと行使する、コンピュータプログラムないし記憶媒体。
1つの態様では、前記方法は、取り決められたクーポンと一致するように、少なくとも1つのフォワードカーブ及び少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することを含む。
1つの態様では、取り決めたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用いるものである。
1つの態様では、取り決めたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用い、オーバーナイトインデックススワップ(OIS)カーブを用いて少なくとも1つのディスカウントカーブを電子的に包含ないし近似する。
1つの態様では、アジャストメント・ファクターを決定するステップは、フォワード・スターティング・スワップについてアジャストメント・ファクターを決定するものである。
1つの態様では、前記方法は、標準化クーポンを備えた原資産の調整価格を、オプション行使時あるいはその近くにおける、固定レートを備えた受け渡し金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として決定することを含む。
1つの態様では、金融オプションは取引所取引される。
1つの態様では、金融オプションは相対取引される。
1つの態様では、汎用デジタルコンピュータのプロセッサにおいて、決定することは、包含、近似、計算、及びこれらの組み合わせを含む。
1つのプロセッサ、2つ以上のプロセッサ、これらの組み合わせからなる群から汎用デジタルコンピュータを選択することを含む。
フレキシブルレート金融オプションを、セントラル・カウンターパーティ(CCP)のコンピュータにおいて、電子的に中央清算し、決済して、取引の当事者間の支払いを実行する方法であって、
前記CCPのコンピュータのメモリにおいて、2当事者間で取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートを受け取り、
前記メモリと通信する前記CCPのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記取り決めたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定し、
前記CCPのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記少なくとも1つのディスカウントカーブに基づいて、アジャストメント・ファクターを決定し、
前記CCPのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記アジャストメント・ファクターを用いて、満了時ないし満了時近くにおける標準化クーポンを備えた原資産の調整価格を、固定レートを備えた受け渡し金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として決定し、
前記CCPのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサにおいて、レートベース・ストライクレート及びプレミアム条件を備えた金融オプションを、潜在的に異なる固定レート以外は同じ条件を備えた等価の標準化クーポン金融商品における原資産ポジションへと行使し、
前記CCPのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記フレキシブルレート金融オプションを清算し決済する、方法。
1つの態様では、前記調整価格は、
を用いて決定され、
1は、固定クーポン、
2は、オプション・ストライクレートにマッチする固定レートを備えたスワップの固定レート、
τc,iは、固定支払いの利付期間のイヤー・フラクション、
DF(t, Tc,i)は、tからTc,iへのディスカウント・ファクター、
である。
1つの態様では、前記調整価格は、
を用いて決定され、
1は、固定クーポン、
2は、オプション・ストライクレートにマッチする固定レートを備えたスワップの固定レート、
DV01は、パー・スワップ・レートの変化に関するスワップのセンシティビティー、である。
1つの態様では、CCPの少なくとも1つのプロセッサにおいて、取り決められたクーポンと一致するように、少なくとも1つのフォワードカーブ及び少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することを含む。
1つの態様では、CCPの少なくとも1つのプロセッサにおいて、取り決めたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用いるものである。
1つの態様では、CCPの少なくとも1つのプロセッサにおいて、取り決めたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに一致するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、オーバーナイトインデックススワップ(OIS)カーブを用いるものである。
1つの態様では、CCPの少なくとも1つのプロセッサにおいて、アジャストメント・ファクターを決定するステップは、フォワード・スターティング・スワップについてアジャストメント・ファクターを決定するものである。
1つの態様では、アジャストメント・ファクターを用いて、標準化クーポンを備えた原資産の満了時における調整価格を決定する。
1つの態様では、金融オプションは取引所取引される。
1つの態様では、金融オプションは相対取引される。
1つの態様では、決定することは、包含、近似、計算、及びこれらの組み合わせを含む。
1つの態様では、1つのプロセッサ、2つ以上のプロセッサ、これらの組み合わせからなる群からCCPにおける少なくとも1つプロセッサを選択することを含む。
フレキシブルレート金融オプションを、電子取引プラットフォーム及び電子中央清算機関を通じて生成し、中央清算し、決済して、取引の当事者間の支払いを実行する、コンピュータにより実行される方法であって、
前記電子取引プラットフォームのメモリにおいて、第一の当事者と第二の当事者との間で取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートを受け取り、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記メモリに保持された前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを電子的に自動的に決定し、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記少なくとも1つのディスカウントカーブに基づいて、電子的に自動的にアジャストメント・ファクターを決定し、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記アジャストメント・ファクターを用いて、満了時ないし満了時と同等の時における標準化クーポンを備えた原資産の調整価格を、固定レートを備えた受け渡される金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として、
を用いて電子的に自動的に決定し、
1 は、固定クーポン、
2 は、オプション・ストライクレートにマッチする固定レートを備えたスワップの固定レート、
τ c,i は、固定支払いの利付期間のイヤー・フラクション、
DF(t, T c,i )は、tからT c,i へのディスカウント・ファクター、であり、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、レートベース・ストライクレート及びプレミアム条件を備えた金融オプションを、潜在的に異なる固定レート以外は同じ条件を備えた等価の標準化クーポン金融商品における原資産ポジションへと行使し、
プロセッサが前記電子中央清算機関のメモリと通信することで、前記フレキシブルレート金融オプションを中央清算し決済する、方法。
1つの態様では、上記方法において、少なくとも1つのプロセッサによって、前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用いることを含む。
1つの態様では、上記方法において、少なくとも1つのプロセッサによって、前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用いること、オーバーナイトインデックススワップ(OIS)カーブを用いて少なくとも1つのディスカウントカーブを電子的に包含ないし近似することを含む。
1つの態様では、上記方法において、少なくとも1つのプロセッサによって、アジャストメント・ファクターを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサによって、フォワード・スターティング・スワップについてアジャストメント・ファクターを決定するものである。
1つの態様では、上記方法において、少なくとも1つのプロセッサによって、アジャストメント・ファクターを用いて、標準化クーポンを備えた原資産の満了時における調整価格を決定する。
1つの態様では、前記金融オプションは取引所取引される。
1つの態様では、前記金融オプションは相対取引される。
1つの態様では、少なくとも1つのプロセッサによって決定することは、包含、近似、計算、及びこれらの組み合わせを含む。
1つの態様では、1つのプロセッサ、2つ以上のプロセッサ、及びこれらの組み合わせからなる群から前記プロセッサを選択することを含む。
フレキシブルレート金融オプションを、電子取引プラットフォーム及び電子中央清算機関を通じて生成し、中央清算し、決済して、取引の当事者間の支払いを実行する、コンピュータにより実行される方法であって、
前記電子取引プラットフォームのメモリにおいて、第一の当事者と第二の当事者との間で取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートを受け取り、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記メモリに保持された前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを電子的に自動的に決定し、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記少なくとも1つのディスカウントカーブに基づいて、電子的に自動的にアジャストメント・ファクターを決定し、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記アジャストメント・ファクターを用いて、満了時ないし満了時と同等の時における標準化クーポンを備えた原資産の調整価格を、固定レートを備えた受け渡される金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として、
を用いて電子的に自動的に決定し、
c1は、固定クーポン、
c2は、オプション・ストライクレートにマッチする固定レートを備えたスワップの固定レート、
DV01は、パー・スワップ・レートの変化に関するスワップのセンシティビティー、であり、
プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、レートベース・ストライクレート及びプレミアム条件を備えた金融オプションを、潜在的に異なる固定レート以外は同じ条件を備えた等価の標準化クーポン金融商品における原資産ポジションへと行使し、
プロセッサが前記電子中央清算機関のメモリと通信することで、前記フレキシブルレート金融オプションを中央清算し決済する、方法。
1つの態様では、上記方法において、少なくとも1つのプロセッサによって、アジャストメント・ファクターを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサによって、フォワード・スターティング・スワップについてアジャストメント・ファクターを決定するものである。
1つの態様では、上記方法において、少なくとも1つのプロセッサによって、アジャストメント・ファクターを用いて、標準化クーポンを備えた原資産の満了時における調整価格を決定する。
1つの態様では、上記方法において、1つのプロセッサ、2つ以上のプロセッサ、及びこれらの組み合わせからなる群から前記プロセッサを選択することを含む。
1つの態様では、上記方法において、1つのメモリ、2つ以上のメモリ、及びこれらの組み合わせからなる群から前記メモリを選択することを含む。

Claims (9)

  1. フレキシブルレート金融オプションを、電子取引プラットフォーム及び電子中央清算機関を通じて生成し、中央清算し、決済して、取引の当事者間の支払いを実行する、コンピュータにより実行される方法であって、
    前記電子取引プラットフォームのメモリにおいて、第一の当事者と第二の当事者との間で取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートを受け取り、
    プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記メモリに保持された前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを電子的に自動的に決定し、
    プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記少なくとも1つのディスカウントカーブに基づいて、電子的に自動的にアジャストメント・ファクターを決定し、
    プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、前記アジャストメント・ファクターを用いて、満了時ないし満了時と同等の時における標準化クーポンを備えた原資産の調整価格を、固定レートを備えた受け渡される金融商品とストライクレートを備えたスワップの現在価値の差として、
    を用いて電子的に自動的に決定し、
    1は、固定クーポン、
    2は、オプション・ストライクレートにマッチする固定レートを備えたスワップの固定レート、
    τc,iは、固定支払いの利付期間のイヤー・フラクション、
    DF(t, Tc,i)は、tからTc,iへのディスカウント・ファクター、であり、
    プロセッサが前記電子取引プラットフォームのメモリと通信することで、レートベース・ストライクレート及びプレミアム条件を備えた金融オプションを、潜在的に異なる固定レート以外は同じ条件を備えた等価の標準化クーポン金融商品における原資産ポジションへと行使し、
    プロセッサが前記電子中央清算機関のメモリと通信することで、前記フレキシブルレート金融オプションを中央清算し決済する、
    方法。
  2. 少なくとも1つのプロセッサによって、前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用いることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも1つのプロセッサによって、前記取り決められたプレミアム及び対応するレートベース・ストライクレートに整合するように少なくとも1つのディスカウントカーブを決定することは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)カーブを用いること、オーバーナイトインデックススワップ(OIS)カーブを用いて少なくとも1つのディスカウントカーブを電子的に包含ないし近似することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1つのプロセッサによって、アジャストメント・ファクターを決定するステップは、少なくとも1つのプロセッサによって、フォワード・スターティング・スワップについてアジャストメント・ファクターを決定するものである、請求項1に記載の方法。
  5. 少なくとも1つのプロセッサによって、アジャストメント・ファクターを用いて、標準化クーポンを備えた原資産の満了時における調整価格を決定する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記金融オプションは取引所取引される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記金融オプションは相対取引される、請求項1に記載の方法。
  8. 少なくとも1つのプロセッサによって決定することは、包含、近似、計算、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 1つのプロセッサ、2つ以上のプロセッサ、及びこれらの組み合わせからなる群から前記プロセッサを選択することを含む、請求項1に記載の方法。
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