JP6654898B2 - 標的組織指向型薬物送達のための装置および方法 - Google Patents

標的組織指向型薬物送達のための装置および方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本PCT国際特許出願は米国仮出願第61/743,759号(2012年9月11日出願)および米国仮出願第61/749,713号(2013年1月7日出願)に基づいて優先権を主張する。また両出願を参照することを以てその全内容を本明細書に包含する。
本発明は総じて標的組織指向型薬物送達(ターゲテッド・ティシュー・ドラッグ・デリバリー)のための新規な低侵襲で植え込み型の装置および方法に関する。
心房細動などの心調律障害はよく見られる。現行の対処法として、通常、患者の治療に薬物療法および/または電気ショック療法が指示される。従来の薬物療法による心調律障害の治療で効果が得られない場合、電気ショック療法が必要となる。電気ショック療法は大量のエネルギーを必要とするため、これによって洞律動を維持するのは極めて困難である。従来の療法はまた、不整脈の患者の治療に利用するには他にも問題がある。
心房細動により血行動態が不安定な場合や、心房細動の薬物療法による治療に効果が見られない場合、電気ショックによる細動除去が必要となる。従来の体外式の電気的除細動方法は通常大量の電気エネルギー(約50J〜150J(J:ジュール))を必要とし、それに伴って強い電気ショックを発生し、患者に不快感を与えるため、通常、実施に先立って全身麻酔や深い鎮静が必要となるが、いずれの処置にも時間がかかる。加えて、患者の洞律動の回復に大量のエネルギーが使用され、そのため高価な鎮静剤が必要となる一方で外表皮膚の損傷や苦痛も発生し得る。また体外式のショック除細動自体が時間のかかる処置であるうえに、麻酔専門医、心臓専門医、看護師等の形で多くの人手を要する。さらに処置自体が相当なリスクを伴う。すなわち体外式のショック療法に伴う人的損失として、心臓の安定性が乱され、その程度によっては患者が死亡するおそれすらある。従来行われている抗不整脈薬の全身的な投与や体外式の電気ショック療法に伴う様々な合併症、問題点、失敗例に鑑みて、治療法や患者ケアの著しい改善が求められている。
また、心調律障害の患者に対して従来行われている薬物の全身的な投与に伴う全身毒性の低減または排除が長年大いに求められているが、いまだ実現していない。薬物療法が効果を上げるためには、心臓組織における薬物のレベルが十分でなければならず、そのためには通常、多量の薬物を経口または静脈経由の送達方法で全身投与する必要がある。しかし一般的にそのような多量の薬物の投与は全身的な副作用のため実施できない。このため、全身的な薬物送達に伴う全身毒性に患者を曝すことがない治療法が大いに求められている。
慢性の心房細動(AF)に対する従来の治療法、例えば外科治療や心臓アブレーション(高周波/低温アブレーション)、はしばしば重篤で処置困難な合併症、例えば出血、穿孔、瘢痕狭窄、場合によっては死、をもたらす。
加えて、応急処置では慢性の心調律障害を長期にわたって患っている患者の多くに対処できない。米国特許第6,965,798号に記載された発明は手術後の心臓病患者における心房調律障害の応急処置にのみ対応するものであり、それとは別の、慢性のあるいは長期にわたる心調律障害を患う患者に対する安全で効果的な長期的治療が長年大いに求められているが、いまだ実現していない。慢性の心房細動の新たな治療法も長年大いに求められているが、いまだ実現していない。従来の治療法の問題点、例えば全身的な薬物毒性、電気的除細動における大量のエネルギーの必要性、および高い侵襲性、の低減または排除には、新たな治療法が必要となる。
本明細書に記載の本発明の典型的な実施形態は、心臓脈管薬の標的組織指向型送達のための新規な低侵襲で植え込み型の装置および方法に関わる。
本発明のこれらおよびその他の特徴、作用、効果は、以下の記載、添付の各請求項、および図に示されまた本明細書に記載の各実施形態からより明らかになろう。
本明細書に記載の実施形態はすべて例示を目的としたものであり、本発明の範囲のいかなる限定も意図したものではない。
添付の図面は本明細書に開示され記載されている様々な実施形態を図示したものである。本明細書に記載の実施形態はすべて例示を目的としたものであり、本発明の範囲のいかなる限定も意図したものではないと理解されたい。
本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置の図示において、各構成要素の寸法は正確な比率では示されておらず、任意の比率に変形可能である。
本発明の一実施形態において複数のインターフェース装置10を心臓15の前面に接触させた様子を示す。 本発明の他の一実施形態においてインターフェース装置10を心臓15の後面に接触させた様子を示す。 本発明の典型的な一実施形態における患者の体内への低侵襲植え込み前のインターフェース装置10を示す。 本発明の典型的な一実施形態における患者の体内への低侵襲植え込み前のインターフェース装置10を示す。 本発明の典型的な一実施形態における患者の体内への低侵襲植え込み前のインターフェース装置10を示す。 患者の体内へのインターフェース装置10の低侵襲植え込みの様子を模式的に示す。 本発明の典型的な一実施形態において心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の様子を示す。 本発明の典型的な一実施形態において心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の様子を示す。 本発明の典型的な他の一実施形態において心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の様子を示す。 本発明の典型的な他の一実施形態において心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の様子を示す。 本発明における編組シールドの一例を示す。 本発明における編組シールドの一例を示す。 心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の一端の拡大図である。 心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の一端の拡大図である。 心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の一端の別の拡大図であって、薬物を心臓に接触させるべく放出するための放出部を合わせて示す。 心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の一端の別の拡大図であって、薬物を心臓に接触させるべく放出するための放出部を合わせて示す。 心臓に接触させる準備として小葉状アセンブリ50を広げたときのインターフェース装置10の一端の別の拡大図であって、薬物を心臓に接触させるべく放出するための放出部を合わせて示す。 本発明の典型的な一実施形態における接続部300を示す。 本発明の典型的な一実施形態における小葉状片55を示す。 本発明の典型的な一実施形態における小葉状片55を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の組み立て方法を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の組み立て方法を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の組み立て方法を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の組み立て方法を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の組み立て方法を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の断面図である。 本発明の典型的な一実施形態において患者の体内から取り出したときのインターフェース装置10の様子を示し、内側カテーテル100が外側カテーテル200内に引き込まれ、複数の小葉状片も外側カテーテル200内に引き込まれて収納された状態を示す。 本発明の典型的な一実施形態においてフレキシブルな膜で互いに接続された複数の小葉状片を有するインターフェース装置110を示す。 本発明の典型的な一実施形態においてフレキシブルな膜で互いに接続された複数の小葉状片を有するインターフェース装置110を示す。 本発明の典型的な一実施形態において複数のバイメタル片を有するインターフェース装置210を示す。 本発明の典型的な一実施形態において複数のバイメタル片を有するインターフェース装置210を示す。 本発明の典型的な一実施形態において複数のバイメタル片を有するインターフェース装置210を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置310を示す。 本発明の典型的な一実施形態におけるインターフェース装置310を示す。図16Bは本発明の典型的な一実施形態における、図16Aに示す装置の断面図である。
本発明の様々な面についての他の実施形態およびさらなる詳細は以下の説明および請求項に記載のとおりである。ただし本発明は本出願において以下の説明および請求項に具体的に記載したものに限定されず、本発明の実施にあたってはその趣旨に沿った他の実施形態や様々な変形が可能である。
本発明の典型的な実施形態を以下に例示を目的として説明し図示するが、これは本発明の範囲のいかなる限定も意図したものではない。本明細書で引用する文献はいずれも同文献を参照することを以てその全内容を本明細書に包含する。
患者に対する全身毒性(従来の経口または静脈経由の投薬の結果)に起因する体外式除細動の影響の防止が長年求められながら、いまだ実現していない中、治療を必要とする患者に対する薬物投与の様々な方法が鋭意研究されてきた。本発明によれば、抗不整脈薬の局所的な標的指向型投与のための(本明細書に記載の)新規な装置および方法を利用することにより、いくつもの驚くべき予期せぬ効果が得られる。特に、本発明の驚くべき効果の一つとして、本発明に係る装置および方法の利用により、薬物が心臓を標的組織として送達される結果、全身毒性が軽減または排除される。本発明において、局所的な標的指向型薬物送達を行う理由は、薬物が心臓組織に送達される割合が比較的高いため、著しく低い投与量で治療反応が得られるという点である。低い投与量は全身的な薬物レベルを著しく低くするので、全身毒性に起因する従来の体外式除細動の影響を最小限に、または皆無に、することができる。本発明によれば、1種以上の抗不整脈薬および/または他の適切な薬物を心臓に直接送達可能であり、送達先には例えば心膜内空間(心臓を包む液嚢)、心房および房室結節(AVノード)が含まれる。
本発明に係る装置および方法を用いることにより、他にも驚くべき予期せぬ効果が心臓に対する局所的な標的指向型薬物投与において得られる。このような局所的な標的指向型薬物投与によって、従来に比べてはるかに低い投与量(例えば、1/100)で洞律動を回復し、心房細動(AF)を予防することができる。その結果として、従来の薬物投与に伴う全身的な副作用が軽減または排除される。加えて、本発明によれば、洞律動を回復するのに比較的小さなエネルギー(数J)で済むので、従来の体外型除細動方法に比べて必要なエネルギーが著しく小さい。その結果として、鎮静処置や麻酔専門医が不要となり、患者の苦痛も著しく軽減される。また、侵襲が最小となるように装置を使用することにより、患者の苦痛や不快感を著しく軽減することができる。
本発明によれば、本明細書に記載のとおり、投与される薬物の種類、タイミング、頻度、投与量のみならず、薬物の送達量を任意に制御できる。例えば、薬物投与のタイミング、頻度、投与量のみならず、薬物の送達量を、患者の状態の変化に応じて増減することができる。
また、本明細書に記載のとおり、本発明に係る装置および方法はいくつもの驚くべき予期せぬ効果をもたらし、その中のいくつかは次のとおりであるが、これらに限られるものではない。(a)意識があり、鎮静剤を与えられていない患者が気付かないまたは容易に耐えられる程度の少量のエネルギーの送達により、心房に除細動を効果的に施すことができる。(b)抗不整脈薬を心房に直接送達することにより、多量の抗不整脈薬への全身的暴露を原因とする副作用を排除(または少なくとも最小限に)できる。(c)薬物の心房への直接送達において、薬物の種類、タイミングおよび/または投与量を制御できる。また本発明に係る装置および方法は、心臓への薬物の非対称な送達を可能とする点においても、新規で予期せぬ効果をもたらす。
実施形態によっては、1種以上の薬物を連続的にポンプによって心房表面に送達することができる。そのようにして患者に1種以上の薬物が投与されている間に、本発明に係る装置を介して、電気的除細動ショックを患者の心臓に与えることができる。
従来の体外式電気ショックは50J〜150Jのエネルギーを必要とし、その大部分が患者の胴体に吸収される。本発明によればはるかに少量のエネルギー(例えば、約1.0J〜3.0J、より好ましくは約2.0J未満)で左右心房の除細動が可能である。
より好ましくは、本発明によれば、電気的除細動を施すために患者の心臓に与えるエネルギーとして1Jあれば所望の臨床効果が得られる。したがって、好ましい実施形態によれば、より少量のエネルギー(例えば、0J〜1.0J、好ましくは2.0J未満)で所望の、すなわち右心房および/または左心房の除細動が可能な、臨床効果が得られる。
この程度の量のエネルギーであれば、患者は殆ど不快感を覚えないので、麻酔や鎮静を施さずに投与可能である。本発明による患者治療の損失は、電気ショック療法を含めた従来の治療法と比べて大幅に低い。加えて、本発明に係る装置は侵襲を最小に抑えるので、患者の体内への装着にあたって複雑な送達システムを必要としない。
本発明の好ましい実施形態によれば、新規な低侵襲で植え込み型の装置を急性症例(急性の心調律異常の患者)に対して用いることができる。他の好ましい実施形態によれば、新規な低侵襲で植え込み型の装置を慢性症例に対して用いることができる。この場合、慢性の心調律異常の患者を、心臓とのインターフェースとしての役割を果たし心臓に電気的または化学的または両方の心房除細動を施す本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置によってアシストすることができる。病状の急性慢性を問わず、新規な低侵襲で植え込み型の装置は心房に対して電気的または化学的または両方の除細動を施すことができる。新規な低侵襲で植え込み型の装置はまた、その驚くべき予期せぬ効果として、従来の体外式除細動方法に比べて小さな電気エネルギーおよび/または少量の薬物しか必要としない。
本明細書における全ての数値範囲はその範囲内の任意の部分範囲を包含するものとする。例えば、範囲「1〜10」であれば下限「1」および上限「10」を含めたその範囲内の任意の部分範囲も包含するものとする。すなわち、「1」以上を下限とする任意の部分範囲、例えば「1から6.1」、および「10」以下を上限とする任意の部分範囲、例えば「5.5から10」、が包含される。また明細書中で「本明細書に包含する」と記載されている引用文献はいずれもその全内容が本明細書に包含されるものとする。
本明細書において、用語「心調律異常」は任意の種類の心不整脈あるいは心拍異常を指すが、これらに限るものではない。これら以外の「心調律異常」も本発明の範囲に包含されると理解されたい。
特に定義のない限り、本明細書中の技術、科学、その他専門用語は当業者が通常理解する意味において用いられている。
本明細書に記載のとおり、本発明は心臓脈管薬の標的組織指向型薬物送達のための新規な装置および方法に関する。
本明細書において、用語「インターフェース装置」および「装置」、例えば「インターフェース装置10」および「装置10」、は交換可能に使われている。すなわち、これらの用語は同一の装置を指すものと理解されたい。
本明細書において、用語「低侵襲」は、本発明に係る装置の、侵襲を最小に抑えた植え込み処置を指す。侵襲を最小に抑えた植え込み処置とは患者に不快をなるべく与えずに行われる処置のことであり、特に装置が患者の体内に長期的に植え込まれる場合に、患者の通常の活動に干渉しない処置のことである。例えば慢性の心不整脈や慢性の心調律障害などの慢性症例の治療の場合を含む。
本明細書において、用語「急性症例」は1種以上の心調律異常の、持続時間が比較的短い発現が患者にみられることを指すが、これに限るものではない。
本明細書において、用語「慢性症例」は1種以上の心調律異常の、持続時間が長い発現、例えば慢性の心調律異常、が患者にみられることを指すが、これに限るものではない。
本明細書において、用語「電気的除細動」は、心不整脈などの心調律障害の患者を治療する目的で本発明に基づいて心臓に電荷を送達することを指すが、これに限るものではない。実施形態において「除細動」が言及される場合、本発明がペーシング治療を施すためにも用いられることが明示的に想定されている。一実施形態によれば、心臓(例えば心房表面)に送達される電気エネルギーは約1.0J〜約3.0Jである。
本明細書の他の箇所にも記載のとおり、本発明の好ましい実施形態によれば、1J未満もあれば患者の心臓に十分な電気的除細動エネルギーを送出して所望の臨床効果が得られる。したがって、好ましい実施形態によれば、さらに少量のエネルギー(例えば0J〜約1J、好ましくは2.0J未満)で所望の、すなわち右心房および/または左心房の除細動が可能な、臨床効果が得られる。
本明細書で言う「薬剤」は、本発明に係る装置および方法に基づいて心調律異常その他の心疾患を治療する目的で患者の心臓に投与され得る任意の適切な薬剤を包括する。本明細書で「薬剤」と言う場合、それは以下のものをも包括すると理解されたい:同薬剤の、薬学的に許容される任意のプロドラッグ、代謝産物、および誘導体;同薬剤の、薬学的に許容される任意の光学異性体、ラセミ体、塩、遊離塩基、溶媒和物、水和物、半水和物、その他の水和状態物、多様体または結晶体、同形体、およびその他の任意の誘導体。本発明に基づいて使用され得る薬剤および/またはその活性プロドラッグ、代謝産物、または誘導体の典型的な例について、その詳細を本明細書に記載した。
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載する。いくつかの実施形態が米国仮出願第61/743,759号にも記載されており、同出願を参照することを以てその全内容を本明細書に包含する。いくつかの実施形態によれば、本発明の新規な点は、心臓の特定領域と体外型または体内型の電気的および/または化学的除細動刺激発生/送達装置との間の独特のインターフェースを備えることである。新規な発明により例えば、いくつかの好ましい実施形態によれば、心臓の病変領域に電気的または化学的除細動を施すための装置および方法が提供される。新規な発明は、電気的除細動専用のインターフェース、化学的除細動専用のインターフェース、または電気的および化学的除細動両用のインターフェースを備える。いくつかの実施形態によれば、新規な発明のさらなる利用法として、例えば、心臓の電気信号を検出するために既存の電気的接続を利用してもよいし、新たな電気的接続を設けてもよい。
理想的には、新規なインターフェースは植え込み可能なグレードの1種以上の素材からなり、電力および想定薬剤の送達に耐えるものとされる。
新規な装置のいくつかの実施形態が米国仮出願第61/743,759号に記載および図示されており、同出願を参照することを以てその全内容を本明細書に包含する。それらもまた好ましい実施形態において心臓脈管薬の標的組織指向型送達のために効果的に用いられ得る。
図1は患者の心臓の模式図であり、2つの装置10が心臓に装着された様子を示している。図1は本発明の一実施形態を示し、複数のインターフェース装置10が心臓15の前面に接触して装着された様子を示している。一方のインターフェース装置10の花状部140は右心房の心房表面に貼り付けられており、他方のインターフェース装置10の花状部140が左心房の心房表面に貼り付けられている。
図2は本発明の他の一実施形態を示し、インターフェース装置10が心臓15の後面、より具体的には肺静脈が合流している領域、に接触して装着された様子を示している。
図1および図2に示すように、少なくとも1つ以上のインターフェース装置10が心臓に接触して装着されればよい。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、その他任意の数の装置10を心臓に接触して装着することができる。実際に心臓に接触して装着されるインターフェース装置10の数および装着する位置ならびに姿勢は、通常、様々な要素を考慮して決定される。様々な要素とは例えば、医療専門家から見た患者のニーズ、患者の臨床症状と診断、ならびに患者担当の医療専門家または専門家チームによる総合的な所見、評価および判断、などである。
図3A、図3Bおよび図3Cは一実施形態における、侵襲を最小に抑えつつ患者の体内に植え込まれる前の装置10を示している。
本実施形態において、図3Aに示すように、インターフェース装置10は近位部20、中央部30、および遠位部40からなる。装置10の近位部20は患者の体外に位置する。後で詳述するように、遠位部40は小葉状アセンブリ50を備える。小葉状アセンブリ50は1つあたり任意の適切な数の小葉片を備える。小葉片55の個数は例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5、6つ、またはそれ以上であるが、これに限るものではなく、任意の適切な数または複数の小葉片55を設けてよい。
近位部20の詳細を図3Bに示す。図3Bは装置の好ましい構成の模式的に示し、特に小葉状アセンブリ50を引き出すために内側カテーテル100を外側カテーテル200内から引き出す前の段階を示している。これは侵襲を最小に抑えつつ装置10を患者の体内に植え込む前の好ましい構成である。
図3Bはまた内側カテーテル導体120の一例も示している。内側カテーテル導体120は1種以上の導電性素材で作製される。素材は例えば銅および/もしくはその他1種以上の導電性金属、ドープ金属、合金、またはこれらの組み合わせであるが、これに限るものではない。
図3B、図11Cおよび図11Dに模式的に示すように、内側カテーテル導体120は内側カテーテル100の管腔内に設けてもよい。内側カテーテル導体120は1種以上の導電性ワイヤおよび/または他の導電性エレメントで作製してもよい。図示しないが、他の実施形態によれば、内側カテーテル導体120に加えてさらに1つ以上の導体を内側カテーテル100内に、またはそれに沿って、設けてもよい。内側カテーテル導体120は、小葉状アセンブリ50の小葉状片55間に電荷を一様に分配する回路を形成することによって、効果的に電気的除細動を患者の心臓に施す。
他の実施形態(図示せず)よれば、内側カテーテル100に内側カテーテル導体120以外に任意の数の導電性エレメントを設けてもよい。例えば、内側カテーテル100に1本、2本、3本、4本、5本、またはそれ以上の数の導電エレメントをさらに設けてもよい。
図3Aおよび図3Bの例を再び参照して、内側カテーテル導体120は内側カテーテル100の全長にわたって延設される。したがって本例において、内側カテーテル導体120は近位部20から中央部30を通って延設され、そこから、図11C、図11D,図11Eおよび図12を参照して後述するように、接続部300の複数のスロットのうちの1つに挿入される。内側カテーテル導体120の機能と動作は図11C、図11D,図11Eおよび図12を参照して後述する。
図3Bに示すように、他の一実施形態によれば、患者の体外に位置する外側カテーテル200の外面まわりにクランプ220を任意に設けてもよい(クランプの位置を破線で模式的に示す)。任意のクランプ220は必要に応じて緩めたり外したりでき、それによって装置10の内側カテーテル100および遠位部40が外側カテーテル200を通して引っ張りやすくなる。
図3Bを再度参照するとともに併せて図3Cを参照して、そこには内側カテーテル100、内側カテーテル導体120、外側カテーテル200、接続部300、薬物送達チャネル400、および小葉状アセンブリ50が示されている。内側カテーテル100および外側カテーテル200は任意の適切な素材で作製することができる。その素材は例えばテフロン(登録商標)、シリコーン、適切な熱可塑性イラストマー(TPE)、プラスチックおよび/または1種以上の合成素材である。
図3Bを再度参照して、そこでは参照と理解を容易にするため、カテーテル100、200は透明に図示してある。好ましくは、カテーテル100は絶縁され、PVCまたはポリウレタン等の合成素材で形成される。カテーテル100は例えば16G(ゲージ)サイズのもので、好ましくは患者の心房表面から胸壁40外の位置まで渡すのに十分な長さのものとする。
内側カテーテル導体120はエネルギー源に接続されるように構成される(例えば、図4に模式的に示すような、機器60に内蔵された、または機器60と共に使用可能な、エネルギー源)。内側カテーテル導体120のサイズ、形状、長さ、および直径や周長を含めた寸法は任意である。例えば、内側カテーテル導体120は直径を約0.010インチとすることができる。
図4に、侵襲を最小に抑えつつインターフェース装置10を患者に植え込む模範的な手順を示す。
装置10を患者に植え込む際には、図4に示すように装置10の遠位部40が患者の胸壁40を貫通する。本例において、内側カテーテル導体120はエネルギー源に電気的に接続されるように構成される(例えば、機器60に内蔵された、または機器60と共に使用可能な、エネルギー源)。
インターフェース装置10は低侵襲のため、患者への植え込みおよび患者からの取外しの容易さと便宜の点で驚くべき効果をもたらす。ここで説明するのは、本発明に係るインターフェース装置10を低侵襲で植え込むための手順である。図4には、患者の胸壁40を閉じた後の、図3Aの低侵襲装置10が胸壁40を貫通して突出している様子が模式的に示されている。図4を再度参照して、患者の心調律障害の治療を目的として装置10を植え込むための好ましい方法として、この方法は次の工程を含む。(i)低侵襲装置10を患者に胸壁を通して植え込んで、患者の治療のために動作させることが可能となるようにする。(ii)装置の内側カテーテル導体120を含む近位部20をエネルギー源に接続する(例えば、機器60に内蔵されたエネルギー源)。
図4は患者に対するインターフェース装置10の低侵襲植え込みを模式的に示している。図4に示すように、装置10は、患者の胸壁40を閉じた後、胸壁40から突出している。装置10には小葉状アセンブリ50が束ねられた状態(図3Aに示すような)で収納されており、図では装置10が患者から機器60まで延設されて示されているが、装置10の中央部30および遠位部40は胸壁40の外まで達していればよく、そこから先は延長コード(または他の適切な配線)によって内側カテーテル100(内部に内側カテーテル導体120および薬物送達チャネル400が収容されている)を含む近位部20を機器60に接続すればよい。また、機器60は心電図モニター、除細動器(すなわち除細動電源)、除細動装置、ポンプなどの薬物送達装置(1種以上の薬物を継続的にまたは集中的に投与可能に構成されたもの)および/またはこれらの2つ以上の組み合わせを備えていてもよい。
好ましい一実施形態によれば、機器60は患者の心拍数をモニターするのに用いられつつ、除細動エネルギーを装置10を介して両心房の少なくとも一方に送出する(図4に示すように)。したがって、好ましい一実施形態によれば、機器60は患者の心拍数をモニターするためのモニタリング機器を備え、必要に応じて除細動エネルギーを患者の心臓に、装置10と電気的に接続された電気的除細動ワイヤを介して伝達する。心房細動または他の心調律障害が検出されたときに、機器60は除細動エネルギー(例えば1.0J〜3.0Jのオーダーのもの)を1つ以上の小葉状片55を介して患者の心房表面に伝達することができる。
他の一実施形態によれば、機器60を用いて心房調律の状態をモニターしてもよいし、必要に応じて(例えば薬物送達チャネル400に接続された薬剤注入ポンプを介して)追加分の抗不整脈薬および/または麻酔薬(例えば、プロカイン、プロカインアミド、アミオダロン、リドカイン、および/またはこれらや他の薬物1種以上の組み合わせ)の投薬や管理を行ってもよい。麻酔薬は例えば以下からなる群より選択される:プロカイン、リドカイン、プロカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ、リドカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ、およびプロカインとリドカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ。
本発明によれば、1種以上の薬物または薬剤を例えば持続的にまたは集中的に投与することができ、薬剤を放出部420から放出して心房表面に拡散することができる。送達される薬物の量の他にも、本発明によれば医師その他医療専門家は1種以上の薬物の投与のタイミング、投与量、スケジュール、頻度や、薬物投与の継続期間や、投与する薬物の量や種類を容易、確実、安全、効率的に管理することができる。
このように、好ましい実施形態によれば、本発明は心房細動その他心調律障害の診断のための心房表面のモニタリングを可能にする。心房細動が検出されたら、本発明によれば適切なエネルギー量の電荷を送出して除細動を行うことができる。また、1種以上の薬物を、患者の胸壁40を貫通する内側カテーテル100内の1つ以上の薬物送達チャネル400を介して心臓に送達することができる。適切な時期に、装置10は安全、容易、効率的に、患者に不快感や苦痛を与えることなく、取り外すことができる。
好ましくは、薬物送達チャネル400はその長さ方向において、装置10の近位部20の開口405から、装置10の中央部30を通って、放出部420(例えば図3A、図3Bおよび図6Bを参照)に達する全長にわたって延設される。
したがって薬物送達チャネル400は実質的には管腔または開口であって、管状構造物の管腔、開口または内部空間のようなものである。薬物送達チャネル400の長さ、幅、直径は装置10の製造時に適宜決めればよい。一例において、薬物送達チャネル400は長さ約45cmで、それを介して薬剤が送達されるのであるから薬剤に対して耐性のある1種以上の素材で製造される。図6Cおよび図6Dにおいて、後に詳述するように、編組シールド115の長さは薬物送達チャネル400の長さと同等である。
薬剤は放出部420から放出されて心臓に局所的に標的指向型送達される。放出部420から放出された薬物は大体においてドーム62の下側を流れて心臓表面の目標部位において実質的に一時的に封じ込められ、これによって心臓に対する効果が高まることがある。
一実施形態によれば、装置10はビデオ補助下で低侵襲に植え込むことができる。好ましい一例において、患者は全身麻酔および右肺換気を施され、左肺排気が可能な状態とされる。必要であれば、細い管(「導入管」、図示せず)を胸壁40を通して挿入してもよい。装置10(図3Aに模式的に示す)は導入管を通して患者の左胸腔に差し込まれ、両心房表面に届く。装置10の遠位部40はクリップを用いて、縫い付けによって、または他の適切な取り付け手段によって位置決め、固定されることにより、心膜面に貼りつけられる。それから装置10を作動させて心臓に電荷(または電気的除細動エネルギー)を送達し、および/または薬剤を局所送達する。
任意で、装置10を1つ以上のポンプ、例えば1つ以上のマイクロポンプ(図示せず)、に接続して、これを任意に用いて1種以上の薬剤を心臓に局所的に送達することができる。このようなポンプ(例えばマイクロポンプ)は植え込み型のペースメーカーまたはインシュリンポンプに似たものであるが、好ましくは1種以上の薬剤の局所送達および投与の調節が無線でプログラム可能なものであってもよい。好ましくは、ポンプは装置10の近位部20に接続される。
本発明の一実施形態によれば、低侵襲外科手術中、患者の胸を閉じる前に、小葉状片55(例えば図6Aに示す構成の小葉状片55)を有する小葉状アセンブリ50を備えた別の装置10を左右心房の心房表面に装着する。装置10を両心房表面それぞれに装着することにより、装置10ひとつを一方の心房表面に装着するのみで他方に装着しない場合に比べて、必要なエネルギー量を50%に低減し得る。
図5Aおよび図5Bにインターフェース装置10の他の典型的な実施形態を示す。図5Aおよび図5Bに示す構成例において、小葉状アセンブリ50は心臓との接触に備えて広げられている。図5Aおよび図5Bにおいては小葉状片55が4つ示されているが、これは一例に過ぎない。小葉状アセンブリ50は任意の数の小葉状片55を有していてよく、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の小葉状片55を有していてよく、すなわち任意の適切な数の小葉状片55を有していてよい。
小葉状片55の、ひいては小葉状アセンブリ50および花状部140の、サイズおよび長さは、花状部140の装着が想定されている心房表面のサイズに合わせて切り揃えまたはその他の方法で調節可能である。また、小葉状アセンブリ50は、図5Aおよび図5Bに示す小葉状片55同士の間隔(図5Bにおいて符号「X」で示す)を必要に応じて調節可能に構成されてもよい。任意の適切な手法で小葉状片55の長さが調節可能となるように小葉状片55を設計してよい。例えば、小葉状片55を切り揃えて特定の長さにしてよい。各小葉状片55の長さ(図5Bにおいて符号「Y」で示す)は必要に応じて調節可能である。
小葉状片55は、本明細書に記載の他の機能に加えて、好ましくは、さらにアンカーとしても機能する。すなわち、医療専門家は縫い付けまたは他の適切な取り付け手段によって小葉状片55を取り付けて、花状部140を心臓表面の目標部位に固定するためのアンカーとして用いることができる。一実施形態によれば、小葉状片55の1つ以上に1つ以上のスロット(各小葉状片55内に)を形成してもいい。スロットは花状部140を心臓表面の目標部位に確実また適切に縫い付けるための手段となる。
図6Aおよび図6Bにインターフェース装置10の他の典型的な実施形態を示す。図6Aおよび図6Bに示す構成において、小葉状アセンブリ50は心臓15との接触に備えて広げられている。心臓に接触させる際、小葉状片55の位置は容易に制御可能である。
本発明の本実施形態によれば、図6Aおよび図6Bを再度参照すると、広げられた状態の小葉状アセンブリ50が花状部140を構成する。図6Aに示す装置10の具体例は、本明細書に記載のとおりの内側カテーテル100および外側カテーテル200を備える(図3Bに例示する通り)。外側カテーテル200はまた実質的に導入管として機能する。すなわち、外側カテーテル200は、内側カテーテル100を導入し、さらにそれを心臓の心房表面または他の表面への装着のための適切な位置までガイドする役割を果たす。
本発明の好ましい一実施形態によれば、「花状」部140を形成するために、各小葉状片55を成形によって作製するとよい。一例において、各小葉状片55は好ましくは、低デュロメーター硬度(例えば30A)で植え込みグレードのシリコーンゴムを高濃度の銀でドープしたもので作製される。当業者であれば、本明細書において説明されているいずれの実施形態も本発明の範囲のいかなる限定も意図するものではないことは理解されよう。例えば、シリコーンまたはシリコーンゴムを高濃度の銀でドープしたものの代わりに、小葉状片55を特定の薬物を透過する1種以上の素材で作製すれば、心臓組織に対して薬物をよりよく拡散することができる。
装置10(図6Aに示す)の近位部20は患者の体外へ突出しているので、心臓への電気的および/または化学的な除細動刺激の送達のためのどのような種類の接続も確立可能である。心臓の外科手術中、例えば心臓切開手術中、花状部140の小葉状片55はそれぞれが極めて柔軟であるので、各小葉状片55を心臓の表面領域に縫い付け、接着、引っ掛け、その他当業者に周知の方法で固定できる。好ましくは、内側カテーテル100は心臓から患者の体外まで延設される。低侵襲で植え込み型の装置10の取り外しの際には、医療従事者は外側カテーテル200を保持しながら内側カテーテル100、ひいては花状部140、を外側カテーテル200を通して体内から引き出すことができる。
装置10を患者から低侵襲に取り外す際に、花状部140の構造、形状および柔軟性により、医療専門家は複数の小葉状片55を真っ直ぐな状態(例えば図13に示すような)とし、さらに複数の小葉状片55を外側カテーテル200の遠位端212に収めることが容易に行える。このように低侵襲な取り外し処置により、装置10を患者の体内から胸壁40を通して引き出すことの困難さが軽減され、侵襲的な処置に伴う諸問題を回避できる。
一実施形態によれば、外側カテーテル200の遠位端212にフランジを形成して外側カテーテル200の遠位端212における直径を大きくしてもよい。これにより花状部140を畳んで外側カテーテル200内に収めることが容易になり、患者からの取り外しが容易、簡便になる。
図6Aおよび図6Bにさらに示すように、複数の小葉状片55はフレキシブルな膜58によって結合して互いに接続してもよい。膜58のこの典型的な構成により、実質的にドーム62が形成され、このドーム62によって複数の小葉状片55が結合され、互いに接続される。好ましくは、膜58は柔軟で伸縮自在の素材で作製される。膜58の厚さを調節することで、また膜58を柔軟で伸縮自在の素材で作製することで、装置10は従来の心調律障害の治療法に伴う諸問題の少なくともいくつかを軽減または排除できる。そのような問題にはパッドの使用によるものが含まれる(例えば米国特許第6,965,798号に言及されているように。同文献はそれを参照することを以てその全内容を本明細書に包含する)。例えば、パッドにまつわる問題として、米国特許第6,965,798号でも言及されているように、従来のパッドは心臓の拍動に合わせて変形できないために正常な心拍を妨げるというものである。
膜58はそのものが柔軟で伸縮自在なので、必要に応じて変形できる。例えば、膜58で心房を覆った時、膜58は心房の拍動に追従して変形するので、膜58は心房の拍動に干渉しない。膜58は例えばゼラチン、シリコン、またはそれらの任意の組み合わせを含めた1種以上の適切な素材で作製するとよいが、これに限定するものではない。膜58およびドーム62は心臓への局所投与のために放出部420から放出された任意の薬物を封じ込める効果をもたらす。言い換えれば、膜58およびドーム62は、放出部420から放出される薬物を封じ込めて薬物を(放出部420からの放出後)大体において心臓の近傍であって小葉状片55と接触しているあたりに留まらせる効果をもたらす。
図6Bを再度参照して、前述のように一定の領域がドーム62と複数の小葉状片55によって覆われる結果、心房に伝達される電荷が領域にわたって実質的に均一となる。さらに、ドーム62と複数の小葉状片55は好ましくは心房の表面と直接接触して実質的にこれを覆うので、心臓に除細動を施すのに必要なエネルギー量を患者が不快を感じる量より十分に低くすることができる。このため、本発明に係る方法および装置によれば、好ましくは、(a)心房に伝達される電荷の成功率を向上させて所望の臨床結果を得、(b)心臓に伝達されるエネルギーの量を低減し、(c)患者にとっての快適さを全体的に改善することができる。これらは本発明の多くの新規かつ予期せぬ効果のいくつかである。
好ましくはドーム62は形状が円形または略円形で、柔軟で、任意のサイズ、形状、寸法のものでよい。ドーム62は必要に応じて任意の直径および周長のものでよい。例えば、ドーム62の直径は約1.0cm〜約5cmの範囲の任意の値、好ましくは約4cm、さらに好ましくは約3.5cmとする。ドーム62はまた任意の厚さのものでよい。例えば、ドーム62の厚さは約0.01インチ〜約0.05インチの範囲の任意の値、好ましくは約0.03インチ、より好ましくは約0.025インチとする。ドーム62の厚さはドーム62全体にわたって略均一とするとよい。
好ましくは各小葉状片55は放出部420からの長さが約5cm〜約8cmである。だたし、各小葉状片55(および対応の導体520)の長さは植え込みの際に切断、切り揃えその他の方法により調節されて、花状部140の貼り付け先となる心房表面のサイズに合わせられる。一例において、各小葉状片55は長さが約2.5cm、より好ましくは約2.6cmとされる。
本発明に係る方法によれば、心臓周辺の組織に1種以上の麻酔薬を用いて局部麻酔を施したうえで所定のエネルギー量の電荷を心房表面に伝達して心臓の除細動を実施することができる。また、所定のエネルギー量の電荷を心房表面に伝達して心臓の除細動を実施している間に、またはその後で、心臓の心房表面を1種以上の抗不整脈薬に曝すことができる。
一実施形態によれば、好ましくは膜58は編まれたまたは紡がれた構造を有し、放出部420から送出された薬物の少なくとも一部が即座に膜58沿いに拡散し、花状部140によって覆われた心臓の領域に達する。こうして薬物は放出部420から、花状部140に覆われた心房の表面積のかなりの部分に即座に送達される。
膜58は、ドーム62の外周65を放出部420から任意の距離または長さに位置させることができるように形成することができる。この距離、すなわち放出部420から外周65までの距離、は図6Bにおいて符号「Z」で示されている。このようにして、複数の小葉状片55が電荷を心臓へ伝える一方で、薬剤(放出部420から放出されたのち)による局所薬物治療が施され、その際薬剤は心臓の近傍領域内に直接放出される(図1および図2に模式的に示すように)。
他の実施形態によれば、好ましくはドーム62の裏側には接着剤が塗布されていて、膜58は心房表面に貼り付けることができる。接着剤は例えばゼラチン、シリコン、タンパク質ポリマー、コラーゲンペレット、および/またはトロンビンである。
他の一実施形態によれば、膜58は生体吸収型のものとされる。本実施形態によれば膜58を、装置10が植え込まれている期間のうちに生体吸収されるように安全に設計することができる。膜58が生体吸収された後、小葉状片55を外側カテーテル200を通して速やかに引き込んで、医療専門家が決める適切な時期に患者の胸壁40を通して患者から取り外すことができる。
本発明によればまた、導電編組シールド115を用いた電荷(例えば電気的除細動刺激)の送達が可能になる。
図6Cおよび図6Dに示すように、好ましい実施形態によれば、編組シールド115が薬物送達チャネル400を実質的に取り囲んでいる。編組シールド115は適切な任意の接続手段によって、既存の送電系統に接続される。好ましくは、電荷を外部の送電系統(例えば機器60に内蔵されるエネルギー源)から装置10の編組シールド115に伝送する。これによりエネルギー源からの電荷が編組シールド115を介して複数の小葉状片55に伝達され、電荷は心臓に送達される。好ましくは、編組シールド115はステンレススチール、銀、その他1種以上の導電性素材、またはこれらの任意の組み合わせで作製される。これにより編組シールド115は電荷を小葉状アセンブリ50に、さらには心臓に、伝達することができる。
編組シールド115を用いれば、電荷を編組シールド115から複数の小葉状片55へ、さらには心臓へ伝達することができるが、この際好ましくは、電気抵抗が最小となる経路を介して電荷を伝達する。好ましい実施形態によれば、電気抵抗が最小となる経路は導電性の物質(例えば銀)の含有率が高い経路である。このため、小葉状片55は低デュロメーター硬度(例えば30A)で植え込みグレードのシリコーンゴムを高濃度の銀でドープしたもので作製するのが好ましい。
小葉状片55の数は必要に応じて変えてもよく、例えば4つより多くてもよいし4つより少なくてもよいし、非対称に配置してもよい。本実施形態における小葉状片55は送達される電荷の分配を可能にするだけでなく、心臓表面の電気抵抗が最小となる領域の理想的な近傍を通る統計的確率を高めることで、電気抵抗が最小となる経路の確保を容易にする。小葉状片55は、各患者の心臓表面に合わせて都度切り揃える(長さやサイズを調節)ことができる。
図7Aおよび図7Bは一実施形態におけるインターフェース装置10の遠位部40の拡大図である。図7Aは花状部140に接続された内側カテーテル100を示している。図示の例では、花状部140は、膜58によって互いに接続されてドーム62を形成する複数の小葉状片55を有する。花状部140の内側カテーテル100への取り付けにはジョイント303を用いることができる。
内側カテーテル100の花状部140への取り付けは、任意の方法で行われる。一方法によれば、射出成形によってジョイント303を編組シールド115上に直接成形する。ジョイント303は複数の小葉状片55のそれぞれに直接接続される。このため内側カテーテル内の1つ以上の導体(例えば図3A、図11C、図11Dおよび図11Eに示す内側カテーテル導体120を含む)からの電荷が内側カテーテル100から複数の小葉状片55へ効率よく移動する。図7Aは、ジョイント303を編組シールド115上に直接成形した後の装置10の遠位部40を示している。装置10の新規な構成により、電荷の小葉状片55への送達において、つまりは心臓の効率的な電気的除細動において、驚くべき予期せぬ効率が得られる。参考のため、図7Bに同じ構成の、ジョイント303を編組シールド115上に直接成形する前の状態を示す。
図8A、図8Bおよび図8Cは、上に図6Bを参照して説明した放出部420の拡大図である。
この構成において、小葉状アセンブリ50は心臓との接触に備えて、図6Aおよび図6Bに示すように、広げられている。図8A、図8Bおよび図8Cを再度参照して、放出部420はそれを介して1種以上の薬剤を薬物送達チャネル400から放出して心臓と接触させるための開口として機能する。薬物送達チャネル400を通しての1以上の薬剤の送達/放出の濃度、量、容積、速度、その他のパラメーターは必要に応じて、治療対象の患者のニーズに合わせて、そして医療専門家の判断に基づいて調節/変更可能であると理解されたい。
本明細書に記載のドーム62は放出部420から放出される任意の薬物を心臓への局所投与のために封じ込める効果をもたらす。言い換えれば、膜58とドーム62は放出部420から放出される薬物を封じ込めて、薬物が(放出部420からの放出後)大体において複数の小葉状片55と接触している心臓の近傍領域内に局在するようにする効果をもたらす。
図9に接続部300の典型的な一実施形態を示す。図示において、輪郭は大体において丸く、円形に描かれているが、接続部300の形状およびサイズは任意であると理解されたい。図9に示す典型的な実施形態によれば、接続部300は複数の孔290を有する。図11A〜図11Eを参照して以下に詳述するように、装置10の組み立て時に小葉状片55をそれぞれ対応する孔290に差し込むことができる。接続部300はまたスロット295を有する。図11A〜図11Eを参照して以下に詳述するように、内側カテーテル導体120をスロット295に差し込むことができ、これにより複数の小葉状片55間に電荷を略均等に分配する電気回路が形成される。好ましくは、接続部300は導電率の高いものとし、銀のみで作製してもよいし、銀、または他の適切な合金、金属、合金金属、または1種以上の金属および/もしくは合金の適切な組み合わせをかなりの、または高い割合で含むものとしてもよい。実施形態によっては、接続部300は、例えば射出成形によって、非導電性の被覆で覆われてもよい。
図10A〜図10Bに小葉状片55の典型的な一実施形態を示す。図示の好ましい実施形態によれば、小葉状片55は1つ以上の導電性エレメント520(図10A〜図10Bでは例として導電性エレメント520を1本のみ示す)と、各導電性エレメント520に取り付けられた、またはその中に挿入された、1つ以上の導電性ワイヤ515とを備える。導電性エレメント520と導電性ワイヤ515は、必要に応じてまたは医療専門家の指示に従って、適切な除細動エネルギーまたは電荷を患者の心房表面または患者の心臓の他の1箇所以上の表面に伝達するように構成される。
導電性エレメント520は適切な導電性を有する1種以上の部材、金属および/または合金で作製されるか、または、そのようなものからなる。例えば、一実施形態によれば導電性エレメント520は低デュロメーター硬度(例えば30A)で植え込みグレードのシリコーンゴムを高濃度の銀でドープしたものを用いて作製することで、導電性を最適化する。必要な導電性によっては、導電性エレメント520をさらに他の1種以上の金属または金属の組み合わせでドープしてもよい。導電性エレメント520によって電荷が小葉状片55に沿って伝わる。
好ましくは、各導電性エレメント520に1つ以上の導電性ワイヤ515を取り付けるか、前者上に後者を成形するか、前者内に後者を挿入するなどして接続する。導電性ワイヤ515は任意の適切な導電性素材で作製してよく、例えば銅を用いて中実の銅ワイヤとして形成する。導電性ワイヤ515もさらに他の1種以上の金属または金属の組み合わせでドープされていてよく、これにより導電性が向上する。例えば、導電性ワイヤ515を銀でドープすることによって、導電性が最適化される。導電性ワイヤ515は任意の適切な長さ、サイズ、直径、その他の寸法を有する。例えば、導電性ワイヤ515の直径を略0.010インチとすることができる。
導電性エレメント520および導電性ワイヤ515は適切な導電性を有する任意の他の部材、金属、合金、または1種以上の部材、金属および/もしくは合金の組み合わせを用いて製造してもよい。導電性エレメント520および導電性ワイヤ515は任意の製造工程、例えば射出成形、で製造することができる。
図10A〜図10Bに示す典型的な実施形態におけるサイズ、形状および諸寸法は例示のみを目的としたものである。本発明の範囲は、図10A〜図10Bに示す典型的な実施形態におけるサイズ、形状および諸寸法に限定されない。例えば、小葉状片55の高さ(図10Bでは符号「H」で示す)は約0.010インチ〜約0.10インチの範囲の任意の値とすることができる。好ましくは、小葉状片55の高さ「H」を約0.050インチ〜約0.070インチの範囲の任意の値とする。より好ましくは、小葉状片55の高さ「H」を約0.065インチとする。
図10A〜図10Bを再び参照して、心臓を取り囲む組織を小葉状片55を介して伝達されるエネルギーから絶縁するために(またそれによって花状部140と小葉状アセンブリ50が貼り付けられている心房表面にエネルギーがより多く伝達するように)、好ましくは、各小葉状片55の外面部は非導電性(絶縁体)の素材525で覆われる。好ましくは、各小葉状片55の外面部はドープされていない非導電性(絶縁体)の素材525で覆われる。非導電性(絶縁体)の素材525は任意の適切な製造方法、例えば射出外側被覆、によって製造することができる。つまり素材525は射出成形により導電性エレメント520上に直接成形することができる。
好ましくは、非導電性(絶縁体)の素材525は透明または実質的に透明で、1種以上の適切な非導電性(絶縁体)の素材または素材の組み合わせで作製される。本発明においては任意の適切な非導電性(絶縁体)の素材または素材の組み合わせが利用可能であると理解されたい。
図10A〜図10Bを再び参照して、小葉状片55の模範的な一製造方法を説明する。模範的な本製造方法によれば、まず射出成形に用いる金型にワイヤ515(以下に詳説するような)を置く。次に、適切な射出成形方法によって、導電性エレメント520(例えば銀をドープした植え込みグレードのシリコーンゴム)を導電性ワイヤ515上に射出成形で積層する。特に図10Bを参照し、本製造方法の次のステップにおいては、非導電性(絶縁体)の素材525(好ましくは実質的に透明な素材525)を導電性エレメント520の上部または上面部523に積層する。図10Bに示すように、模範的な本方法によって小葉状片55を作製すれば、導電性エレメント520の下面部524が下側に露出する(下面部524は素材525に覆われない)。このようにして小葉状片55は、それと接触している心臓表面に電荷(除細動エネルギー)を安全かつ効率的に伝達するために非常に効果的なものとなる。
図11A〜図11Eに装置10の遠位部40の一製造方法を示す。
図11Aは接続部300の一例として、複数の孔290と1つのスロット295を有したもの示している。図示のように、各小葉状片55それぞれから導出されたワイヤ515が、接続部300の対応する孔290内に挿入されて配される。各ワイヤ515を接続部300の対応する孔290内に固定するのは、半田付けで行う。各ワイヤ515は別々に設けるのが好ましい。ワイヤ515同士を電気的に絶縁された状態に保つことができるからである。
スロット295の特徴を、図11Cの模式図も参照しながら、詳説する。図11Aに示すように、接続部300はさらに少なくとも1つの薬物送達開口408を有している。さらに図11C、図11Dおよび図11Eに図示し、以下に説明するように、装置10は好ましくは、薬物送達チャネル400を通過する1種以上の薬物が薬物送達開口408に送達されるように設計される。薬物送達開口408に送達された薬物はそこからさらに放出部420(例えば図6Bを見よ)を介して心臓表面に送達される。図11Aにおいては薬物送達開口408を1つだけ示しているが、本発明の装置10は複数の薬物送達チャネル400を備え、それらに対応した複数の薬物送達開口408を備えるように製造され得ると理解されたい。
図示はしないが他の実施形態によれば、接続部300に設ける孔290およびスロット295それぞれの数は前述の数より多くても少なくてもよい。
図11Bは図11Aに図示され上に説明したのと同じ装置を示しているが、図11Bが示すのは半田付けによって各ワイヤ515が定位置に設けられ、ワイヤ515が切り揃えられた後の状態の装置である。
図11Cに図示し、以下に説明するように、内側カテーテル導体120は電気的除細動配線に電気的に接続され、これがさらに外部エネルギー源に接続される。エネルギー源は例えば機器60に内蔵のものである。センシング/モニタリング機器、例えば機器60に内蔵のもの、を用いて患者の心電波形をモニターし、心房細動などの心調律障害を検出してもよい。
図11Cに模式的に示すように、内側カテーテル導体120を接続部300のスロット295内に挿入して配置すると、内側カテーテル導体120が複数の小葉状片55間に電荷を実質的に均等に分配する電気回路を形成する。これにより、電気的除細動刺激(例えば、1つ以上の一連の電気ショック)を二相波送達システム(または他の電荷源または電気的除細動刺激源)から心房表面へ、内側カテーテル導体120が形成する電気回路を介して伝達することができる。他の実施形態によれば、本発明は異なる心腔に対して電荷を非対称に送達することができる。例えば1つの装置10によって、特定量の電荷をある心腔に送達し、別の装置10によって、他の特定量の電気的除細動刺激を別の心腔に送達することができる。
図11Cを再度参照して、図示のとおり、任意で接続部300の上側ステム412の外面に接着剤を塗布してもよい。この任意の接着剤により、内側カテーテル100を接続部300上側の定位置に配置したときに、接着剤が内側カテーテル100と接続部300を定位置に封止する。図11Cに示す構成を別の角度から見たのが図11Dである。さらに図11Eが同じ構成において内側カテーテル100が接続部300の上側の定位置に位置決めされ封止された状態を示している。単に図示上、内側カテーテル導体120、薬物送達チャネル400および薬物送達開口408が確認しやすいように、図11Eは内側カテーテル100を透視した図となっている。本明細書に記載のとおり、好ましい実施形態によれば、内側カテーテル導体120は好ましくは銅または他の導電性の金属または複数の導電性の金属の任意の組み合わせで作製される。図11Eは、内側カテーテル導体120および複数の導電性ワイヤ515が定位置に例えば半田付けで固定された状態を示している。
図12はインターフェース装置10の遠位部40の一断面図である。この断面図には、各小葉状片55に対応する複数の導電性エレメント520と、内側カテーテル導体120と、薬物送達開口408とが内側カテーテル100内に配置された様子が示されている。図12にはまた外側カテーテル200の断面も示されている。
図13および図4を参照して、本発明により心房細動または他の心調律障害のリスクが軽減された後、1つ以上の装置10を患者から取り外す必要がある。本発明に係る装置は扱いやすく低侵襲で、患者に不快感を与えないので、好ましくは装置10は患者の胸壁40を再度開けずに取り外し可能とする。図13を再度参照して、患者から装置10を容易に取り外すための方法の第1の実施形態によれば、内側カテーテル100(内側カテーテル導体120を含む)は小葉状アセンブリ50と共に外側カテーテル200を通して容易に引き込める。したがってこの方法で患者の胸壁40を通して装置10を引き込むことにより、装置10を容易、安全、効率的に患者から取り外すことができる。患者の治療に2つ以上の装置10が使用されている場合、2つ目以降の装置10も同様にして取り外すことができる。
図13を再度参照して、患者からの取り外しによって、内側カテーテル100は外側カテーテル200を通して引き込まれ、小葉状アセンブリ50も引き込まれて外側カテーテル200内に収められる。図13を参照して、このようにして、内側カテーテル100および小葉状アセンブリ50を外側カテーテル200を通して引き込み、装置10を胸壁を通して患者から取り出すという簡単な操作で、装置10は患者から容易かつ安全に取り外すことができる。
図14Aおよび図14Bはインターフェース装置110の典型的な一実施形態を示している。このインターフェース装置110は、柔軟で伸縮自在の膜158で互いに接続された複数の小葉状片155を備えている。装置110は本明細書に記載の装置10とほぼ同様に機能することにより、電気的除細動(複数の小葉状片155を介して)と薬剤の送達の両方を可能にする。好ましくは小葉状片155は、電気的および/または化学的除細動が施される心臓の目標部位(例えば左心房または右心房)の構造、サイズ、形状に合わせて(小葉状片155のそれぞれが他に対して)最適の位置関係に配置、分配されることで、最良の臨床効果を発揮する。柔軟な膜158は心臓に局所的に送達される薬物または薬剤の標的指向化を助ける。
図には装置110の外側カテーテル1200も示されている。外側カテーテル1200は装置10の外側カテーテル200と同様に機能する。図14Aに示すように、典型的な本実施形態によれば、装置110は楕円状またはベル(鐘)状に構成される。本明細書に詳細に記載の小葉状片55と同様、小葉状片155は心臓表面、例えば心房表面、に電気的除細動を(例えば、適切な電荷の送達によって)施す機能を有する。装置110は右心房、特に右心房の構造の中で舌状の解剖学的部位、に被せて装着することができる。
(図示しないが)他の構成として、装置110に柔軟で伸縮自在な膜158を設ける一方で小葉状片155を省いてもよい。小葉状片155を省いた場合、心臓表面に対して1種以上の薬剤の送達する一方で、電気的除細動刺激は送達しないでおくことができる。
図14Bは装置110の他の構成を示している。ここでは装置110は柔軟な膜158に加えてさらに柔軟なシート258をそなえる。柔軟で伸縮自在なシート258は心腔の表面、例えば心房表面、に被せて装着することができ、それによって1種以上の薬剤の局所的な標的指向型送達が可能となる。好ましくは、装置110の楕円状またはベル状の部分は、(図14Aおよび図14Bに示すように)右心房の舌状領域に被せたときにそこに「グローブ」のようにフィットし、その際柔軟で伸縮自在なシート258によって右心房の舌状の突起がまわりから締め付けられる。
図15Aはインターフェース装置210の典型的な一実施形態を示している。この装置210はカテーテル2200と遠位アセンブリ2250とを備える。遠位アセンブリ2250は任意の適切な柔軟もしくは伸縮自在の素材または複数の素材の組み合わせで作製され、これにより複数のバイメタル片2204が互いに接続されている。
図15Aに示す実施形態によれば、上側リング2203が装置210の遠位端部240に取り付けられている。上側リング2203の温度は、熱電、液体および/または他の任意の手段で調節できる。好ましくは上側リング2203は、図15Aに大まかに示した姿勢に延設されるバイメタル片2204を1つ以上、好ましくは複数備える。延設された各バイメタル片2204は遠位リング2213に設けられたスロット2210を通して突出する。
バイメタル片2204を用いて電気的除細動を心臓に施すことができる。(図示しないが)他の構成よれば、装置210を遠位アセンブリ2250がバイメタル片2204を備えない設計としてもよい。この構成を用いて(つまり、バイメタル片2204を設けずに)、心臓表面に対して1種以上の薬剤の送達する一方で、電気的除細動刺激は送達しないでおくことができる。この実施形態によれば、装置210はリング2203、2213を備え、遠位アセンブリ2250が大体においてベル状の構成となる姿勢を取る(図15Aに示すように)が、バイメタル片2204は設けられない。
他の実施形態によれば、リング2203、2213の1つ以上を、素材自体を他の部分より厚くした部分として作製してもよい。例えば、リング2203、2213の1つ以上を、素材の射出成形によって形成してもよい。任意の適切な素材または複数の素材の組み合わせを用いてリング2203、2213、バイメタル片2204、および本明細書に記載の装置の部品を本発明の趣旨に沿って作製可能であると理解されたい。
図15Aを再度参照して、本実施形態によれば、上側リング2203はさらに1つの非バイメタル片2205を備え、これは遠位リング2213に設けられた1つの下部スロット2220を通って突出している。本発明の本実施形態は、心腔の表面、例えば心房の表面、への装置210の低侵襲な装着を可能にする。
装置210の好ましい、典型的な使用方法を説明する。医療専門家は装置210を低侵襲に挿入して、遠位アセンブリ2250を実質的に開いたまたは広がった状態とする。それからバイメタル片2204を冷却することによって、遠位アセンブリ2250を心臓表面の目標部位の辺りで実質的に閉じさせる。バイメタル片2204を加熱および冷却するための任意の手段は装置210に設けてもよいし、それに装置210を接続してもよい。このような加熱および/または冷却手段は、好ましくは装置210に内蔵すれば、患者に対する安全性に懸念が生じない。また加熱および/または冷却手段が患者や医療専門家に対して不快感を与えたり、気を散らせたり、傷つけたり、その他の懸念が生じることもない。
一構成によれば、バイメタル片2204はこれを加熱すれば遠位アセンブリ2250が実質的に開くまたは広がる。バイメタル片2204はこれを冷却すれば遠位アセンブリ2250が目標の心臓表面の辺りで実質的に閉じる。
他の構成によれば、バイメタル片2204は作製時には大体において開いた状態とし、低温に曝したときに遠位アセンブリ2250を閉ざすものとする。任意で、この状態、すなわち低温に曝されて目標の心臓表面の辺りで遠位アセンブリ2250が閉ざされた状態、でバイメタル片2204を取り除いてもよい。さらに他の構成によれば、バイメタル片2204は作製時には基本状態として、必要に応じて高温または低温に曝されたときに遠位アセンブリ2250を開くまたは閉じるものとする。
図15Bは装置210の模式的な側面図であって、複数のバイメタル片2204が加熱される前の状態を示している。加熱される前の非バイメタル片2205の状態も示されている。先述のように、バイメタル片2204を加熱および冷却するための任意の手段は装置210に設けてもよいし、および/またはそれに装置210を接続してもよい。このような加熱および/または冷却手段は、好ましくは装置210に内蔵すれば、患者に対する安全性に懸念が生じない。また加熱および/または冷却手段が患者や医療専門家に対して不快感を与えたり、気を散らせたり、傷つけたり、その他の懸念が生じることもない。
図15Bに示すように、熱が加えられてないとき(または熱が加えられる前)にはバイメタル片2204は大体において真っ直ぐな姿勢を取る。加熱前、遠位リング2213は大体において緩んだ状態にある。
図15Cを参照して、熱が加えられると、バイメタル片2204が膨張する。バイメタル片2204の加熱により、図15Cに示すように遠位アセンブリ2250が実質的に開くまたは広がる。加熱後の、遠位アセンブリ2250が開いて拡張した状態が図示されている。
本発明においては、例えばバイメタル片2204の加熱に関して、任意の適切な温度または温度範囲を用い得ると理解されたい。好ましくは、適切な範囲の温度は患者の組織に損傷を与えない温度とし、これは適度な実験を通して簡単に決定できる(例えばPACE2003;26:1379−1385を参照のこと。同文献はそれを参照することを以てその全内容を本明細書に包含する)。本発明によれば、必要と認められるかまたは医療専門家からの要求があれば、若干高めの温度を(例えばバイメタル片2204を加熱するために)短期間用いてもよい。若干高めの温度とは例えば組織に与える損傷を皆無ないしは最小にとどめる温度である。
好ましい実施形態によれば、装置210は熱伝導が良好な部品(図示せず)を1つ以上備える。そうすれば熱伝導が良好な部品に熱が加えられたとき、熱がバイメタル片2204に伝導して伝わるので、装置210の使用時にバイメタル片2204の熱膨張が効率的に調節、制御できる。バイメタル片2204を冷却することで目標の心臓表面の辺りで遠位アセンブリ2250を実質的に閉じることができる。図15Bおよび図15Cに示すように、加熱は非バイメタル片2205には作用を及ぼさない。このため加熱あるいは冷却の有無にかかわらず、非バイメタル片2205は大体において真っ直ぐな姿勢に留まる。
本明細書に記載のとおり、装置10と同様、装置210は目標治療部位(例えば心房表面)への1種以上の薬剤の局所的な標的指向型送達を可能にする。遠位アセンブリ2250がベル状に構成されていることで、1種以上の薬剤を目標治療部位(例えば心房表面)に留めておくことができる。
図16Aおよび図16Bは、インターフェース装置310の典型的な一実施形態を示している。図16Bは図16Aに示された装置の典型的な横断面図である。装置310は本発明に係る方法に従って低侵襲に用いることができる装置の一例である。図示の典型的な実施形態によれば、装置310は包み込みパッド315を1つ備える。本発明の新規な「包み込み」の発想に基づいて、装置310は心臓の心房を包み込むように設計される。図16Aおよび図16Bに示す装置310の実施形態は例えば、患者に低侵襲に植え込まれたのち、患者の心臓の右心房または右側部分を包み込むようにして使用される。同様の設計で心臓の左心房または左側部分を包み込むように成形することも可能で、その場合は装置310の鏡像の構成となる。装置310のサイズおよび形状は必要に応じて変更可能であり、心調律障害が心臓の他の領域で起きている場合には、装置310は患者の心臓のその領域を包み込むようにして使用できる。
図示の実施形態によれば、装置310はカテーテル3003を備える。カテーテル3003は患者の心臓表面への電気的除細動刺激(例えば、装置10に関して本明細書に詳細に記載した導電性エレメントと同様の1以上の導電性エレメントを介した電荷)の送達および/または1種以上の薬剤の送達の両方が可能に構成されている。好ましくは、カテーテル3003は管腔3400(図16Aでは破線で示す;管腔3400は本明細書に記載の薬物送達チャネル400と同様に機能する)および/または導電性の網組シールド3005(本明細書に記載の編組シールド115と同様のもの)を備える。患者の心臓への電荷の伝達が必要ない場合には、網組シールド3005は省いてもよい。
管腔3400を通して1種以上の薬剤が、パッド315内に配置された薬物送達チャネル3009に送達される。
好ましくは、チャネル3009はパッド315の中央に沿って延設される。チャネル3009により、管腔3400内を通る薬物はパッド315の長さ方向にスムーズに流れて、チャネル3009を介して心臓表面に標的指向型送達される。装置310は、1種以上の薬物(すなわち1種以上の薬剤)をチャネル3009を介してチャネル3009の長さ方向沿いの任意の位置で放出可能に設計される。これにより所望の臨床効果が得られ、所望の患者治療が行える。
本発明の一実施形態によれば、包み込みパッド315の作製に用いる素材は導電性のものである必要はない。しかし、包み込みパッド315を導電性の柔軟な素材で作製してもよく、この素材はさらに伸縮自在であってよい。そのようの材質の一例として、低デュロメーター硬度(例えば30A)のシリコーンゴムを高濃度の銀でドープしたものが挙げられる。
図16Aに示す実施形態によれば、包み込みパッド315は1本以上の導電性のリブ3007を備えている。リブ3007はパッド315の両翼に沿って配される。隣接するリブ3007同士の間には柔軟な膜3011が設けられる。膜3011は好ましくは柔軟な薄い膜である。柔軟な膜3011の厚さは例えば約0.01インチ〜約0.05インチの範囲内、好ましくは約0.03インチ、より好ましくは約0.025インチとする。厚さは柔軟な膜3011の全体にわたって実質的に均一であってよい。
柔軟な膜3011は、チャネル3009を介して送達される1種以上の薬剤を封じ込めておくのに適している。実施形態によっては、膜3011は1種以上の薬剤に対して実質的に透過性または半透過性を有し、それによって目標の心臓表面への薬剤の標的指向型送達を助ける。膜3011はまた好ましくは導電性を有し、それによって電荷を伝達する。
好ましくは、柔軟な膜3011と比べて各リブ3007はより厚く、より高濃度の銀でドープされ、したがって電荷をより多く伝達するものとする。電荷は優先的にパッド315のリブ3007を通る。1本以上の導電性のリブ3007を設けることの驚くべき有用性として、心調律障害、例えば不整脈、の治療を目的として目標の心臓表面、例えば心房表面、に電荷を適切な量、周波数、期間を以て送達することができる。好ましくはリブ3007は、電荷の伝達のための目標の心臓表面との接触を実質的に継続的に維持できるように構成される。
リブ3007の驚くべき有用性としてまた、医療専門家はリブ3007を患者の心臓表面に縫い付けるなどして固定することによって、装置310を患者に低侵襲に植え込むことができる。
図16Bは、図16Aに示す装置の横断面図である。図16Bの横断面図を参照して、柔軟な膜3011は好ましくは心臓表面3017に接近して、または接触して、または少なくとも部分的に接触して装着される。図16Bにおいて、破線が心臓表面3017、例えば心房表面、を模式的に表している。
本明細書に記載のとおり、装置310を介して1種以上の薬剤を送達することができ、その際薬物(1種以上の薬剤)は装置310の管腔3400を通ってパッド315の長さ方向に沿って流れ、チャネル3009を通して心臓表面に標的指向型送達される。
本発明の好ましい実施形態によれば、次のような驚くべき効果が得られた:心臓の拍動とともに、薬物は安全かつ容易にチャネル3009から膜3011を通り、それから膜3011の下を進み、それから膜3011の下の空間3019に入る。空間3019は心臓表面3017を直接覆う空間である。したがってチャネル3009と膜3011を上述のように利用することの利点として、薬物を空間3019に留めてその中に心臓表面3017を浸漬することができる。よって本発明のもう一つの予期せぬ効果として、装置310を用いて安全かつ確実に薬物を所望の空間3019内に標的指向型送達できる。その結果、患者において所望の臨床効果を得るために必要な薬物の量を著しく低減することができ、これにより従来の治療法では不可避の全身毒性に伴う深刻な問題を排除することができる。本明細書の各所で詳細に説明しているとおりである。
図16Bの横断面図にさらに示すように、導電性のリブ3007は好ましくは心臓表面3017、例えば心房表面、にしっかりと取り付けられる。リブ3007の心臓表面3017への取り付けは、1回以上の縫い合わせもしくはステープリング、適切な1種以上の接着剤、および/または他の任意の適切な取り付け手段で行う。このようにリブ3007を心臓表面3017に取り付けることが、更なる驚くべき効果をもたらす。すなわち、そのような取り付けにより、送達された薬物が安全かつ確実に空間3019内に留まるので、薬物に心臓表面3017を浸漬して所望の臨床効果を得ることができる。
図示しないが、本発明に係るインターフェース装置は、図16Aに示されている1つの包み込みパッド315に加えて、追加の包み込みパッド315を備えてもよい。例えば本発明に係るインターフェース装置は適切な構成の2つの包み込みパッド315を備えてもよい。この場合各パッド包み込み315に異なる心臓表面を包み込ませることができる。本発明のそのような実施形態は実質的に「複数個所包み込み」装置として機能する。図示しないが、本実施形態において、複数個所包み込みパッド315を1つのカテーテル3003および/または管腔3400および/または網組シールド3005上に成形してもよい。複数個所包み込みパッド315は好ましくは1つのカテーテル3003に、カテーテル3003の末端に形成された分岐部を介して接続される。複数個所包み込みパッド315はまた、必要に応じて、または医療専門家が必要と認めれば、その形状を調節し、および/またはサイズを拡大または縮小して調整することができる。サイズの調節は患者ごとに行うことができる。
図16Aを再度参照して、装置310は一般に螺旋状とするが、他の任意の適切な形状としてよく、任意の適切な素材または複数の素材の組み合わせで形成してよい。
装置310の全体的に螺旋状の形状は例示にすぎない。装置310は任意の適切な形状を有していればよく、それは図16Aに示す全体的に螺旋状の形状に限られない。本明細書に記載のとおり装置310を低侵襲に患者の心臓の一領域に被せて装着したときに、装置310は心臓の拍動を妨げない。装置310は、それが装着された心房の表面、または心臓の他の表面、への薬物送達を容易にする。任意で、装置310の下面に接着剤を塗布してもよく、これにより装置310の心臓表面への取り付けが容易になる。装置310はまた、患者への低侵襲な植え込み前に、切り揃え、切断、サイズ直しなどして任意のサイズおよび形状とすることができる。これは装置310が接着される患者の心房表面のサイズに合わせて行われる。患者によってニーズが異なるので、この処理は患者ごとに行うことができる。
本発明に係るインターフェース装置の様々な実施形態におけるサイズ、形状、寸法に対する任意の変更が許容される。また、図面はインターフェース装置の典型的な実施形態を示すことを意図したものである。実施例や図面に示され、説明される形態は本発明の範囲を限定することを何ら意図したものではない。
他の実施形態によれば、新規な低侵襲で植え込み型の装置は少なくとも1つの電気的除細動インターフェースを単独で備えるか、少なくとも1つの化学的除細動インターフェースを単独で備えるか、または電気的および化学的除細動インターフェースの両方を備える。さらに他の実施形態によれば、本発明は既存の電気的接続を利用し、および/または1つ以上の心臓の電気信号を検出するための外部検出システムを含む。この1つ以上の検出システムと組み合わせて本発明のインターフェース装置を用いることにより、適切な電気的除細動ショック(例えば電荷)を患者の心臓に送達し、所望の臨床効果を得ることができる。
本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置は、医療機関で現在使われている任意の適切な化学的および電気的送達メカニズムとインターフェース可能に設計することができる。
好ましい実施形態によれば、本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置は、患者の心臓表面から患者の体外へと延設され、患者が動き回ることを妨げない。このため、本発明の驚くべき予期せぬ他の効果として、装置を移植したのちの患者の動きを妨げない。本発明の構成の驚くべき効果としてまた、低侵襲で植え込み型の装置の取り外しが一層容易、簡便となる。本明細書の他の箇所でも触れているとおりである。
他の実施形態によれば、本発明に係るインターフェース装置に1つ以上の変形を施すことができる。例えば、1つ以上の機械的エレメント(例えば、1つ以上のバネ作用ワイヤ)を装置と共に用いて、小葉状片55をバネ作用で開いて安全、確実に装着することができる。このようにして、装置を植え込んだ後、小葉状片55を望みどおりに装着することができる。
他の実施形態によれば、本明細書に記載のとおり、装置10の近位部20を適切なサイズのマイクロポンプ(例えば薬物送達用のマイクロポンプ)に接続することができる。マイクロポンプを患者の胸壁40の外側からプログラム可能なもの、さらには無線でプログラム可能なもの、とすることで、安全、確実、簡便に必要な薬物を投与して患者を治療することができる。マイクロポンプは患者の胸壁の皮膚の下に低侵襲に植え込むことができるので、患者の動きまたはその他の行動を妨げない。
本発明はまた驚くべきことに、新規な低侵襲で植え込み型の装置の、指定期間経過後の取り外しを、さらに簡便、容易、低侵襲な形で可能とする。例えば、新規な低侵襲で植え込み型の装置を急性症例に対応して(例えば急性の心調律以上を患う患者の治療のため)指定期間にわたって使用した後は、化学的な接着剤または生分解性の縫い糸またはその両方が劣化しているので、医療従事者は単に装置を患者の体内から引き出すだけで、簡単、容易、簡便に本発明に係る装置(例えば装置10)を取り外すことができる。簡単な取り外しは、例えば患者の体内から突出している低侵襲で植え込み型の装置の端部をつかんで、これを胸壁40を通して患者の体外に引き出すことで実施できる。他の実施形態によれば、低侵襲で植え込み型の装置(例えば装置10)を部分的に自身の内部に引き込んでから、低侵襲で植え込み型の装置全体を患者の体内から確実、効率的に取り外すことができる。このようにして本発明は、低侵襲で植え込み型の装置の患者の身体からの取り外しを、侵入と侵襲を最小限に抑えて実施可能とする。
本発明に係る低侵襲で植え込み型の装置を用いて、様々な種類の心不整脈や心調律異常を含む様々な種類の患者や病状を効果的に治療することができる。これには例えば、従来の薬物療法では手におえない慢性または急性の心房細動(AF)を患う患者における心房細動の治療が含まれる。
いくつか実施形態によれば、低侵襲で植え込み型の装置を急性の症例に用いることができる。つまり患者が急性の心調律異常を患っている場合である。この場合、新規な低侵襲で植え込み型の装置は、化学的送達および電気的送達それぞれのメカニズムが提供する電気的または化学的または両方の心房除細動刺激を伝達することができる。本明細書の他の箇所でも詳細に触れているとおりである。本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置は、心臓とのインターフェースとしての役割を果たすとともに、電気的または化学的または両方の心房除細動刺激を伝達する。本明細書の他の箇所でも詳細に触れているとおりである。
新規な低侵襲で植え込み型の装置は、医療機関で現在使われている一般的な任意の化学的および電気的送達メカニズムと容易、確実、簡便にインターフェース可能に設計することができる。好ましくは新規な低侵襲で植え込み型の装置は心臓表面から患者の体外へと延設され、患者の歩行を妨げないような配慮が最小限で済む。これにより、米国仮出願第61/743,759号に記載されているような新規な低侵襲で植え込み型の装置の急性症例向けの実施形態の取り外しが容易、簡便となる。同出願はそれを参照することを以てその全内容を本明細書に包含する。
好ましい一実施形態によれば、急性の心調律異常を患う患者において、本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置を2つ、左右の心房にそれぞれ1つずつ、装着してもよい。2つの装置は、患者の体外で発生させた電気式除細動ショックを両心房の辺りに分配して安全かつ確実に伝達できる。同様に、2つの装置は、1種以上の薬剤を分配して伝達することにより、両領域のそれぞれを1種以上の薬剤に浸漬することができる。
この驚くべき効果として、本発明によれば、心臓のペーシングに必要な電力を著しく低減することができる。このため、本発明によって、従来の心臓除細動配線(従来の配線は通常心臓の一点に固定される)の大きな欠点や制限の多くが克服される。本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置をそのようにして用いることには他にも多くの利点がある。例えば、本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置を用いることで、必要となる薬剤の量または濃度を著しく低減することができる。これは、各心房の辺りに薬剤を標的指向型送達できるからであり、また薬剤を領域内に長時間留めておくことができるからであり、さらには薬物を全身に送達する従来の治療法に伴う全身毒性を排除できるからである。
他の好ましい実施形態によれば、本発明に係る低侵襲で植え込み型の装置を、慢性の症例に用いることができる。この場合、慢性の心調律異常の患者を、心臓とのインターフェースとしての役割を果たし心臓に電気的または化学的または両方の心房除細動を施す本発明に係る新規な低侵襲で植え込み型の装置によってアシストすることができる。
慢性の症例で、患者が慢性の心調律異常を患っている場合、患者は心臓の外科手術を受けずに低侵襲で植え込み型の装置を装着されることがある。この場合、本発明の一実施形態によれば、本発明に係る低侵襲で植え込み型の装置をより低侵襲な手段、例えばビデオ補助下での胸部手術(VATS、visually assisted thoracic surgery)、で装着することができる。さらに、この低侵襲で植え込み型の装置は、電気的または化学的または両方の除細動刺激を体内に植え込まれた装置からでも、および/または患者の体外に設けられた電気的または化学的刺激源からでも伝送することができる。
他の一実施形態によれば、慢性の症例において、患者が慢性の心調律異常を患っている場合に、新規な低侵襲で植え込み型の装置を1つ右心房に被せて装着し、新規な低侵襲で植え込み型の装置をもう1つ心臓の背部の、肺静脈が心臓に合流している領域に装着する。この領域は、瘢痕組織が形成された場合などに異常な心臓信号がよく発生する。
病状の急性慢性を問わず、本発明に係る新規なインターフェース装置は電気的または化学的または両方の除細動刺激を心臓の患部領域に伝達して除細動を容易にする。本発明の装置は、従来の体外式除細動方法と比べて著しく小さな電気エネルギーおよび/または著しく低濃度の薬剤しか必要としない。急性の症例においては、そのような新規な装置を2つ、左右心房それぞれの辺りに1つずつ、装着してもよい。本発明によれば、2つの装置を用いて、患者の体外で発生させた電気的除細動ショックを両心房の辺りに分配して伝達することができる。同様に、2つの装置は、1種以上の薬剤を分配して伝達することにより、両領域それぞれを1種以上の薬剤に浸漬することができる。
心臓外科手術後の患者が心調律異常を患うことはよくある。そのような場合に、新規な低侵襲で植え込み型の装置を用いて、心調律異常の急性の発現を治療することができる。一実施形態によれば、本発明の除細動装置は、外科手術時に利用されるメカニズムを介して心臓とのインターフェースとしての役割を果たし、後日外科手術なしで取り外しができる。術後の治癒期における患者の術後の経過が向上する。
他の実施形態によれば、新規な装置を間欠的に用いたり、「必要時に随時」用いたり、継続的に用いたりすることができる。本発明に係る新規な装置はまた、異なる心腔に対する非対称的な薬物送達にも用いることができる。このため、実施形態によっては、ある心腔に送達される薬量が他の心腔に送達される薬量と異なり得る。
本発明によれば、新規な低侵襲で植え込み型のインターフェース装置は電気的除細動または化学的除細動または両種の除細動のための刺激を正確かつ確実に心臓に(例えば心房に)伝達することによって、例えば病状の急性慢性を問わず、除細動を容易にする。低侵襲で植え込み型のインターフェース装置の驚くべき予期せぬ効果として、従来の体外式除細動方法と比べて小さな電気エネルギーおよび/または低濃度の薬剤しか必要としない。
心臓に送達され得る少なくとも1種の薬剤または薬物は、例えば、適切なクラス(薬効分類)の薬剤から選ばれた1種以上の薬物の任意の組み合わせである。本明細書に記載のとおり、本明細書で「薬剤」というとき、以下のものを包括する:同薬剤の、薬学的に許容される任意のプロドラッグ、代謝産物、および誘導体;同薬剤の、薬学的に許容される任意の光学異性体、ラセミ体、塩、遊離塩基、溶媒和物、水和物、半水和物、その他の水和状態物、多様体あるいは結晶体、同形体、および任意のその他の誘導体。本発明に基づいて使用可能な1種以上の薬剤の典型的な例を以下に詳細に説明する。薬剤の典型的なクラスは次のとおりだが、これらに限定されない:抗不整脈薬、麻酔薬、鎮静剤および/または他の適切な薬剤。
実施形態によっては、導入管(図示せず)を患者の胸壁を通して低侵襲に差し込んでもよい。そのあと、本発明に係る装置を導入管を通して植え込み、目標の心臓表面(例えば心房表面)に被せて装着する。装置が目標の心臓表面(例えば心房表面)に被せて植え込まれた後で、導入管は容易に取り除くことができる。
本発明に基づいて実施される抗不整脈薬を用いた薬物療法の目的は、患者において正常な心調律と信号伝導を回復することである。正常な洞律動が回復しない場合には、本発明によれば、1種以上の薬剤を用いて、より重篤な、場合によっては致命的な不整脈の発生を防ぐ。抗不整脈薬は本発明によれば必要に応じて用いてよい。その目的は、伝導速度を上げるまたは下げるため;有効不応期の長さを変えて心臓細胞の興奮性を変えるため;異常自動能を抑えるため;そして所望の臨床結果へ導くそのほかの効果を得るため、である。抗不整脈薬は膜イオンコンダクタンスを直接的にまたは間接的に変え、その結果として心筋活動電位の物理的特性を変える。医療専門家であれば、本発明に基づいて1種以上の薬剤を患者に投与するにあたって、薬剤の種類、クラス、薬量、投与量、投与頻度、その他のパラメーターを選択する際に何が適切か判断できる。
例えば、医療専門家は伝導速度を下げる効果のある1種以上の薬剤の投与を選択して、リエントリー回路によって引き起こされる頻脈性不整脈を除去することができる。ほかに活動電位の持続時間、特に有効不応期、に影響する抗不整脈薬もある。有効不応期を長くすることにより、リエントリー性頻拍を除去することがしばしば可能となる。交感神経作用が不整脈を引き起こすこともあるので、医療専門家はβアドレナリン受容体をブロックする1種以上の薬剤の投与を選択して、それによって交感神経の心臓に対する作用を阻害することができる。βアドレナリン受容体は決まった信号変換経路を介してイオンチャネルと結合するので、βブロッカーは間接的に膜イオンコンダクタンス、特にカルシウムとカリウムのコンダクタンス、を変化させる。時折、過度に高い心拍数の原因が、心房粗動または心房細動であることがある。心室頻拍の治療は非常に重要なので、1種以上の薬剤を投与して房室結節伝導を遅くしてもよい。この症状に対してはカルシウムチャネルブロッカーやβブロッカーが選択されることもあり、患者に本発明に基づいて投与される。さらに他の例として、適切な患者においては、房室結節伝導を遅くする1種以上の薬剤を用いて心房粗動または心房細動の発生中の心拍数を正常化してもよい。
例として、本発明に基づいて使用可能な薬剤の典型的なクラスのいくつかを以下に挙げる。これには不整脈の治療に使える薬物の典型的クラスのいくつかが含まれる。下の薬剤リストは例示的なものであって、他の任意の適切な薬剤または1種以上の薬剤の使用も本発明の範囲内であると理解されたい。そのような1種以上の薬剤は当業者であれば適度な実験を通して容易、確実に選択、決定できる。
以下に示す薬剤の典型的なクラスは抗不整脈薬のいくつかのクラスを含んでいる。これら典型的な薬剤はすべて薬効薬理や特性が十分に解明されているので、医療専門家であれば、所望の臨床効果を得るために本発明に係る装置および方法を用いてこれらの薬剤を投与する際の適切な薬量、投与量/投与スケジュール、投与頻度を決定するのは(適度な実験を通して)困難ではなかろう。本発明に基づいて好適に使用可能な抗不整脈薬は、例を挙げれば、以下のものを含む:
・クラスI――ナトリウムチャネル遮断薬
・クラスII――βブロッカー
・クラスIII――カリウムチャネル遮断薬
・クラスIV――カルシウムチャンネル遮断薬
<クラスI(クラスIA、1Bおよび1C)――典型的なナトリウムチャネル遮断薬>
例として、下の表に本発明に基づいて臨床的に使用可能な典型的なクラスI薬剤を挙げる。下の表には例として、それぞれの薬剤の典型的な治療上の用途のいくつかも挙げる。
Figure 0006654898
<クラスII――典型的なβブロッカー>
例として、下の表に本発明に基づいて臨床的に使用可能な典型的なβブロッカーを挙げる。ここに含まれるのは(1)非選択的遮断薬(β1受容体およびβ2受容体の両方を遮断)または(2)比較的選択的なβ1ブロッカー(「心選択性」βブロッカー)。βブロッカーの中にはβ遮断に加えて独特の薬効薬理を示すものがあることが知られている。βブロッカーの2つのクラスそれぞれを代表する薬剤を下の表にあくまでも例として示す。
Figure 0006654898
<クラスIII――典型的なカリウムチャネル遮断薬>
例として、下の表に本発明に基づいて臨床的に使用可能な典型的なクラスIII薬剤(カリウムチャネル遮断薬)を挙げる。下の表には例として、それぞれの薬剤の典型的な治療上の用途のいくつかも挙げる。
Figure 0006654898
<クラスIV――典型的なカルシウムチャネル遮断薬>
(クラスIV抗不整脈薬である)カルシウムチャネル遮断薬(CCB)の薬効薬理や特性はよく知られており、それは同薬剤の心臓内の歩調取り異常部位の発信ペースを下げる能力と、特に房室結節(AV)における伝導速度を下げかつ再分極を引き延ばす能力とに関係がある。後者の房室結節(AV)における作用により、上室性頻拍を引き起こすリエントリー機構を遮断する。本発明に基づいて使用可能な典型的なCCBには例えば次のようなものがある。ベラパミル(フェニルアルキルアミンのクラス)は心筋に対して選択性を示し、患者の不整脈を治療するのに用いられる。ジルチアゼム(ベンゾジアゼピンのクラス)は、CCBの他の一例であって、脈管カルシウムチャネルに対する選択性の点で、ベラパミルとジヒドロピリジン系薬物との中間にあたるものである。これらは本発明に従って使用可能な数多いCCBの例のうちのごく一部に過ぎないと理解されたい。
いくつかの典型的な実施形態によれば、本発明に従って使用可能な薬剤は例えば少なくとも1種の抗不整脈約薬であって、これは例えば次のものを含む:プロカインアミド、アミオダロン、プロカインアミドと他の少なくとも1種の抗不整脈薬との組み合わせ、アミオダロンと他の少なくとも1種の抗不整脈薬との組み合わせ、またはプロカインアミドとアミオダロンと他の少なくとも1種の抗不整脈薬との組み合わせ。この少なくとも1種の抗不整脈約薬はさらに少なくとも1種の麻酔薬を含んでいてよく、これは例えば次のものを含む:プロカイン、リドカイン、プロカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ、リドカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ、またはプロカインとリドカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ。
模範的な薬剤は例えばプロカインアミドおよびアミオダロンのような抗不整脈薬を含む。これに代えてまたは加えて、薬剤はプロカインおよびリドカインのような麻酔薬を含んでもよい。
少なくとも1種の薬剤は(例えば薬物注入ポンプによって)継続的に投与されてもよいし、集中的に投与されてもよい。さらに、少なくとも1種の薬物の投与は、薬物の濃度をモニターしてその濃度に応じて、および/または心房細動の検出など必要性が認められた時点で行われるように自動化されていてもよい。
状況によっては薬物送達チャネル400を通して送達される薬剤によって、除細動効果を高めたり、および/または電気ショックを与える前に心房に局部麻酔を施したりして、ショックを与えられる患者の不快感を軽減する。電気ショックは当然のことながら、医療専門家が必要と認めた場合にのみケースバイケースで投与される。
心房壁は薄く、緩い上皮層で覆われているので、抗不整脈薬はすぐさま心房組織に浸潤して薬効により心房細動を防止するおよび/または排除する。さらに、抗不整脈薬を薬物送達チャネル400を通して直接心房壁に送達することで、従来の全身的治療では避けられない全身毒性を発生させずに心房壁を飽和させることができる。
本明細書に記載のとおり、本発明によれば、新規な低侵襲で植え込み型の装置は電気的または化学的または両方の除細動刺激を心房に伝達することで、例えば病状の急性慢性を問わず除細動を容易にする。
新規な低侵襲で植え込み型の装置は薬剤を心房へ供給することにより除細動を容易にすることができる。1種以上の薬剤を任意の適切な投与量または投与量範囲を以て心房に供給して除細動を容易にすることができる。1種以上の薬剤の適切な投与量または投与量範囲は通常、医療専門家によって決定され、それは通常治療対象の個別の患者のニーズに依存する。
本明細書に記載の本発明によれば、1種以上の薬剤を任意の適切な投与量または投与量範囲を以て用いることができる。本明細書にはいくつかの例が記載されているが、これらは本発明の範囲のいかなる限定をも意図したものではなく、例示のためのものであると解釈されるべきである。
<典型的な例の追加――心臓への薬物の送達>
本発明の好ましい実施形態によれば、1つ以上のアルゴリズムを用いて、例えば本発明に係るインターフェース装置の動作を制御/プログラムすることができる。例えば、1つ以上のアルゴリズムを用いて、例えば本発明に係るインターフェース装置を介して患者の心臓の目標領域へ1種以上の薬剤の送達するための同装置の動作を制御/プログラムすることができる。本明細書に記載のとおり、心臓に送達される薬物(薬剤)は任意数の種類の薬物であって、例えばこれには1種以上の麻酔薬、鎮静剤および/または他のクラスの薬剤あるいはこれらの任意の組み合わせが含まれる。このような薬物を本発明に係るインターフェース装置に供給する手段として、例えば1つ以上のアルゴリズムを用いて、有効薬物を他の製剤、例えば生理食塩水、ヘパリン、抗生剤、その他、と共にパルス様に投入して、パルス幅変調を行うことができる。典型的な一態様によれば、急性症例に対する除細動中に、単位時間ごとの薬剤の量を他の薬物の量に対して増やしていくことができる。いくつかの実施形態によれば、低侵襲で植え込み型の装置内を正圧に維持することで、凝固や目詰まりを防ぎ、また治療中の重大な局面での処置の中断を防ぐことができる。
本発明の好ましい実施形態のさらに他の目的および効果は、本明細書に開示された内容から当業者には直ちに理解されよう。本明細書に記載のいくつかの例は説明を目的としたものである。本発明は様々な面においてその趣旨および範囲から外れない限りの変形を許容する。したがって、本明細書の記載は例示的な性格のものであって限定的な性格ものではく、本発明の範囲のいかなる限定をも意図したものではないと考えられるべきである。
本明細書に記載の模範的な実施形態は説明を意図したものであって限定を意図したものではないと理解されたい。当業者であれば、そのような実施形態において、請求項に記載の本発明およびその均等物の原理や趣旨を逸脱することなく様々な変形が可能であると理解されよう。
<例1>
本例では、術後の心臓組織に対して直接行われるアミオダロン、ソタロールおよびプロカインアミドの標的指向型局所投与において、従来の方法で用いられる全身薬量と比べてはるかに少ない薬量で本発明が効果を上げることが実証された。本例について、下の表1に各薬物の、術後の経口および静脈経由投与(従来の治療における投与方法)による薬量と、それと対照して本発明に係る装置を用いた標的組織指向型送達による薬量を示す。表1から理解されるように、本発明を利用して薬物の標的指向型送達を実施することにより、治療に必要な薬量が遥かに少なくなる。これはまた本発明を利用すれば全身毒性が著しく低減されることを意味する
表1は例示を目的として掲げたものであって、本発明のいくつかの実施形態に従って用いられた典型的な薬物とその薬量を示しているに過ぎないと理解されたい。表1は本発明のいかなる限定をも意図したものではない。したがって、本発明は他の実施形態によれば他の薬物や他の薬量を用いて利用され得ると理解されたい。
Figure 0006654898
<例2>
抗不整脈薬プロカインアミドの心膜内(IPC)送達と静脈経由(IV)送達とを比較する実験を行った。実験の1つにおいて、2グループのブタ(以下動物)に対してプロカインアミドを静脈経由送達(n=6)または心膜送達(n=7)によって投与した。投与量は静脈経由が順次2、8および16各mg/kg(累積2、10および26各mg/kg)、心膜が順次0.5、1および2各mg/kg(累積0.5、1.5、および3.5各mg/kg)であった。いずれの投与量においても、10mLで再懸濁し、1mL/分のレートで投与した。2つの薬物送達方法間の薬物動態の違いは統計学的に著しいものであった。心膜送達では、ピーク薬物濃度が250〜900μg/mLの範囲内であったのに対し、血漿中で測定し得たレベルは低かった(<1μg/mL)。静脈経由送達では、ピーク薬物濃度は<1〜40μg/mLで、心嚢液中濃度は血漿中濃度に等しかった。静脈経由送達による心嚢液中濃度が、心膜内送達による心嚢液中濃度の1/100であることに注目すべきである。心房の電気生理学的数値は2つの送達方法間で同様であった。これはより低い直接投与量で同様の治療反応が得られたことを示している。心膜送達での累積量3.5mg/kgは右心房のERPをベースラインより22%増加させたのに対して、静脈経由送達における累積量10および26各mg/kgは心房ERPをそれぞれ24%および18%引き延ばした。加えて、累積量3.5mg/kg(心膜)および26mg/kg(静脈経由)は動物のそれぞれ71%および83%において心房細動の誘発を防いだ。心室の電気生理学的特性に関しては、心膜送達は心室の電気生理学的特性、心拍数、あるいは全身血圧にさしたる影響を及ぼさなかった。しかしながら、26mg/kgの投与量で静脈注射で投与したプロカインアミドは心房/心室伝導時間を引き延ばし、両心室間伝導(RV興奮およびLV興奮)を低減した。これは、静脈経由送達が心臓の全体に影響を与えるのに対して、IPCが特に心房を標的とすることを示している。また、別の5頭の動物に2mg/kgの投与量で1回限り心膜送達での投与を行ったところ、電気生理学的特性および薬物動態に対する影響の点では累積投与と同様の結果が得られた。以上の典型的な実験からIPCであればより少ない(約10分の1)投与量で、IV注射によるより多い投与量と同等の効果を心房の電気生理学的特性に及ぼすことができ、しかも心室の電気生理学的特性に影響しない。
本明細書に記載の実施形態に加えて、本明細書に記載の装置および方法の用途は心房細動の治療に限定されない。本発明に係る装置および方法は例えば心室細動の治療にも利用し得る。本発明に記載の装置および方法は例示的なものにすぎない。すなわち、本明細書の開示は本発明のいくつかの実施形態にのみに関するものであり、以下の請求項に記載の本発明の趣旨と範囲から逸脱しない限りのあらゆる変形や改変が可能であると理解されたい。

Claims (9)

  1. 患者の治療に用いる低侵襲装置であって、
    (a)前記患者の心臓の表面に薬物を送達可能に構成される少なくとも1つの薬物送達チャネルを含む少なくとも1つの内側カテーテルと、
    (b)前記少なくとも1つの内側カテーテルを実質的に取り囲む外側カテーテルと、
    (c)前記内側カテーテル内にあり且つ前記薬物送達チャネルを取り囲み尚且つ前記低侵襲装置の実質的に遠位部に設けられるように延びる複数の導電性エレメントと、
    (d)前記低侵襲装置の実質的に遠位部で前記複数の導電性エレメントを互いに接続し、心臓の拍動に合わせて変形できる、少なくとも1枚の膜と、
    を備え、
    前記複数の導電性エレメントは、該低侵襲装置の前記実質的に遠位部にて前記膜と相互に接続されるとともに、中心部から漏斗状に広がって花状に配置され、
    前記少なくとも1つの薬物送達チャネルが前記内側カテーテル内に設けられ、
    前記複数の導電性エレメントが前記患者の心臓表面に除細動エネルギーを供給可能に構成され
    前記低侵襲装置は、慢性的な心房細動を治療することに効果を有する
    ことを特徴とする低侵襲装置。
  2. 請求項1に記載の低侵襲装置であって、少なくとも1種の接着性素材が前記膜の裏側に設けられていることを特徴とする低侵襲装置。
  3. 請求項に記載の低侵襲装置であって、前記少なくとも1種の接着性素材は少なくとも1種の接着性ポリマーからなることを特徴とする低侵襲装置。
  4. 請求項1に記載の低侵襲装置であって、少なくとも1種の抗不整脈薬を備えることを特徴とする低侵襲装置。
  5. 請求項に記載の低侵襲装置であって、前記少なくとも1種の抗不整脈薬はプロカインアミド、アミオダロン、プロカインアミドと他の少なくとも1種の抗不整脈薬との組み合わせ、アミオダロンと他の少なくとも1種の抗不整脈薬との組み合わせ、およびプロカインアミドとアミオダロンと他の少なくとも1種の抗不整脈薬との組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする低侵襲装置。
  6. 請求項1に記載の低侵襲装置であって、少なくとも1種の麻酔薬を備えることを特徴とすることを特徴とする低侵襲装置。
  7. 請求項に記載の低侵襲装置であって、前記麻酔薬はプロカイン、リドカイン、プロカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ、リドカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせ、およびプロカインとリドカインと他の少なくとも1種の麻酔薬との組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする低侵襲装置。
  8. 患者の治療に用いる低侵襲装置であって、
    (a)少なくとも1つの内側カテーテルと、
    (b)前記内側カテーテル内に設けられ、前記患者の心臓の表面に薬物を送達可能に構成される少なくとも1つの薬物送達チャネルと、
    (c)前記少なくとも1つの内側カテーテルを実質的に取り囲む外側カテーテルと、
    (d)前記低侵襲装置の実質的に遠位部に設けられ尚且つ前記内側カテーテル内に位置して前記薬物送達チャネルを取り囲む小葉状アセンブリと、
    を備え、
    前記小葉状アセンブリは、少なくとも1つの導電性エレメントを有して、少なくとも1つの膜により相互に接続され、
    前記少なくとも1つの膜は、心臓の拍動に合わせて変形可能であり、
    前記低侵襲装置の前記実質的に遠位部には少なくとも1つの薬物放出部が設けられ、該薬物放出部を介して少なくとも1種の薬物が前記患者の前記心臓表面に送達される
    ことを特徴とする低侵襲装置。
  9. 請求項に記載の低侵襲装置であって、前記小葉状アセンブリは、中心部から漏斗状に広がって花状に配置される複数の小葉状片を有し、
    前記複数の小葉状片は、前記患者の心臓表面に除細動エネルギーを供給する複数の前記導電性エレメントと結合されることを特徴とする低侵襲装置。
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