したがって、本発明の基礎とする課題は、種々にコンフィグレーションされた生産システム又は印刷システムに対して制御装置を簡単かつ迅速に調整できる、生産システム用の制御装置のコンフィグレーション方法及びコンフィグレーション装置を提供することである。
本発明の別の課題は、サードパーティ製のコンポーネントや相応の監視ソフトウェアを容易に統合可能な、生産システムの監視装置及び監視方法を提供することである。
本発明は、さらに、生産システムにおける制御装置グループを表示する装置を提供することも課題とする。
上記課題は、独立請求項に規定された方法及び装置によって解決される。有利な実施形態は各従属請求項に示されている。
本発明は、生産システム、特に印刷システム用の制御装置のコンフィグレーション方法に関する。ここで、生産システムは複数のコンポーネントを含み、これら複数のコンポーネントは、それぞれ、データリンクを介してホストコンピュータに接続されたクライアントコンピュータを有する。当該方法は、
・個々のコンポーネントをスキャンするステップと、
・スキャンされた情報に基づいて、ホストコンピュータ及びデータリンク及び各コンポーネントを含むネットワークプランを作成するステップと、
・作成されたネットワークプランにしたがって制御装置をコンフィグレーションし、各コンポーネント専用の監視ルーチンを実行するステップと
を含む。
生産システムの個々のコンポーネントを自動スキャンし、スキャン情報に基づいてネットワークプランを作成することにより、作成されたネットワークプランにしたがって制御装置を完全自動でコンフィグレーションできる。これにより、制御ソフトウェアを種々のコンフィグレーションの生産システムに手動で適合させる必要がなく成る。各コンポーネント専用の監視ルーチンが設けられ、これらが自動的に実行される。
監視ルーチンは、好ましくは、一方では、個々のコンポーネントのクライアントコンピュータ及び個々のコンポーネント自体の機能性、又は、部分コンポーネントの機能性の監視に用いられる。個々のコンポーネントとは、例えば印刷機構、調節機構、反転ユニット、レジスタユニット、トラクション機構、定着ユニット、空調モジュール、液体制御ユニットなどであり、部分コンポーネントとはファン、ローラ、駆動機構などである。
クライアントコンピュータは、生産システム内に設けられ、データリンクを介して直接若しくは間接にホストコンピュータに接続された全てのコンピュータ及びマイクロプロセッサシステムである。クライアントコンピュータは唯一のタイプのネットワーク、例えばイーサネットのデータリンクによって構成可能である。但し、データリンクは、イーサネット、CANバス、Infiniバスなどの異成るタイプのネットワークに基づいていてもよい。
好ましくは、各コンポーネントのスキャンは2段階で行われる。この場合、まず、基本情報、例えばMACアドレス、ARPリスト、遠隔監視機能の有無、スイッチポート、コンポーネントIDなどが求められ、その後、第2ステップで、個々のコンポーネントの詳細情報が求められる。ここで、求められた基本情報、例えばアドレス及び各コンポーネントの専用の識別子などに基づいて、詳細情報を読み出すために、個々のコンポーネントとの通信が行われる。
好ましくは、本発明の方法は、各コンポーネントがスキャンされる際に、専ら、標準機能、特にクライアントコンピュータのオペレーティングシステム機能が呼び出されるか、又は、データリンクを介して伝送されるメッセージが分析されるように構成される。これにより、クライアントコンピュータのスキャンに対して専用のソフトウェアモジュールを構成し実行する必要はない。典型的な標準機能は、例えばPINGクエリである。コンピュータがデータリンクによって相互接続されている場合、常にある程度のシステム通信が行われている。当該システム通信が「聴取」及び分析され、ここからデータネットワーク専用の情報が導出される。こうした手法は、生産システムに統合されるコンポーネントを専用のソフトウェアパッケージで用意しなくてよいという利点を有する。
本発明の方法の一実施形態によれば、作成されたネットワークプランにしたがって操作フィールドがコンフィグレーションされる。操作フィールドとは、ユーザーが個々のコンポーネントの機能方式を観察し、相応の権利を有する場合に状況に応じてこれを制御できるようにするためのものである。
コンフィグレーションは、好ましくは、生産システムの個々のコンポーネントに対して予め定められたテンプレートによって行われる。各テンプレートは、個々のコンポーネントのスキャン時に求められたコンポーネント専用の識別子に基づいて各コンポーネントに対応付けられる。生産システム毎に多様なコンポーネントが存在しうるが、コンポーネントの数は大きいにしても有限である。生産システムへの組み込みが可能な全てのコンポーネントに対して、対応するテンプレートを1回だけ作成すればよい。当該テンプレートは、通常、コンポーネント専用の監視ルーチンと動作時に遵守すべき制御パラメータとを含む。さらに、当該テンプレートは、生産システム全体におけるコンポーネントの位置に依存してコンポーネントの機能方式を定義するコンフィグレーションパラメータを含む。例えば、コンピュータの冷却及びセンサ装置の冷却に用いられるファンは、コンピュータ又はセンサ装置のいずれに組み込まれているかに応じて、異なったコンフィグレーションを有する。
各コンポーネントのスキャン時に、テンプレートの設けられていないコンポーネントが検出された場合、当該コンポーネントを未知のコンポーネントとして識別できる。未知のコンポーネントの識別によって、未知のコンポーネントを分析するルーチンを開始できる。当該ルーチンにより、例えば、当該コンポーネントの製造番号又は他の情報が読み出される。この場合、インターネットでの自動調査により、当該コンポーネントについての別の情報を求めることもできる。これらの情報はオペレータに提供され、オペレータは当該コンポーネントを生産システムに残すべきか否かを決定できる。各コンポーネントから所定の情報が得られない場合、相応のデータリンクの中断によって情報をデータネットワークから分離するか、又は、一般に未知のコンポーネントをデータネットワークから分離することも有意である。
本発明の方法の一実施形態によれば、データネットワークは、例えばアドレスコンフリクトなどのネットワークコンフリクトを自動で検査する。こうしたネットワークコンフリクトは自動的に解消可能である。例えば、ネットワークアドレスが新たに対応付けられる。他方で、コンフリクトを引き起こすコンポーネントをネットワークから自動的に分離することによって、ネットワークコンフリクトを解消することもできる。
コンポーネントのスキャンは、好ましくは、ホストコンピュータに設けられたウェブユーザーインターフェースプラグインを用いて行われる。こうしたウェブユーザーインターフェースプラグインを使用することにより、生産システムへのコンポーネントの組み込みが許可されると直ちに、所定のコンポーネント又は所定のコンポーネントグループに対して相応のプラグインを後から追加することができる。これにより、システムがモジュラー状に構成され、あらゆる時点で拡張可能と成る。
コンフィグレーションは、好ましくは、ホストコンピュータに配置されたウェブユーザーインターフェースによって実行される。コンポーネントのスキャンは繰り返し実行可能である。これにより、ネットワークプランを反復して形成できる。こうしたネットワークプランは、生産システムの変更及び開発のドキュメンテーションのためにアーカイブ化できる。
ネットワークプランはエクスポート可能である。この場合、ネットワークプランの種々のデータをフィルタリングできる。例えば、それぞれのコンポーネントに対する動作時間及び/又は生産されたユニット数(例えば印刷ページ数)を記述した、サービスエンジニアに対するネットワークプランのエクスポートが行われる。エラーメッセージが含まれることもあり、これにより、サービスエンジニアは、どのコンポーネントを修理又はメンテナンスしなければならないかを直ちに認識できる。他方では、個々のコンポーネントの利用又は材料の消費を記述した、簿記及び/又はメンテナンス契約にとって重要なデータを、エクスポートによって出力できる。動作出力については、ネットワークプランは、個々のコンポーネントの信頼性を記述した統計データとともにエクスポートされる。
制御装置は、動作特有のパラメータを各コンポーネントへ読み出すように構成される。こうした動作特有のパラメータは、例えば、処理された製品ユニットの数、動作時間、消費された材料などである。こうした動作特有のパラメータは、個々のコンポーネントの監視のために用いられる。これらのパラメータは、分析して他のアプリケーションへ供給することもできる。
本発明の別の特徴は、生産システム、特に印刷システムのコンフィグレーションを検査する方法に関する。ここで、生産システムは複数のコンポーネントを含み、これら複数のコンポーネントは、データリンクを介してホストコンピュータに接続されたクライアントコンピュータをそれぞれ1つずつ有し、各コンポーネントが1つ若しくは複数の交換可能なモジュールを含む。当該方法は、
・データネットワークに接続された個々のコンポーネントをスキャンするステップと、
・個々のコンポーネント及び個々のモジュールの静的パラメータと、該静的パラメータに基づく、各コンポーネント及び/又は各モジュールの識別子とを読み出すステップと
を含む。
個々のコンポーネント及び個々のモジュールから、種々のパラメータを読み出すことができる。例えば、動作中に変化する温度などの動的パラメータが存在する。また、常に一定の静的パラメータも存在する。こうした静的パラメータは、例えば、コンポーネント及びモジュールの個々の構成要素のコンポーネントID又はバージョン番号である。個々の構成要素とは、例えば、ファームウェア若しくはカーネル、又は、特にCPU及び他の接続機器の集積回路若しくはプロセッサである。さらに、コンポーネント及びモジュールでは、タイプ標識、及び、コンポーネント及びモジュールの構成及びコンフィグレーション(設定)を記述した情報を読み出し可能である。ここでの情報には、供給可能なメモリ領域、使用されるクロック周波数、ポート数などが含まれ、これらは静的パラメータである。
静的パラメータは、各コンポーネント及び各モジュールに典型的なものであり、各コンポーネントのタイプ又は各モジュールのタイプを表す一種の指紋と成る。
静的パラメータに基づいて、各コンポーネントのタイプ又は各モジュールのタイプを一義的に識別できる。
この識別により、生産システムのコンフィグレーションを自動で確実に検査することができる。このために、検出されている各コンポーネント及び/又は各モジュールで検出された静的パラメータを、参照データベースの相応の静的パラメータと比較するだけでよい。
参照データベースは、生産システムの全てのコンポーネント及び/又は全てのモジュールの静的パラメータセットを含む。当該静的パラメータセット(以下では参照セットと称する)は、個々のコンポーネントの上述した自動スキャンによって作成され、データベースに格納される。これを用いれば、生産システムの正しいコンフィグレーションが存在しているか否かをいつでも検査できる。
個々のコンポーネント及び/又は個々のモジュールは、生産システムの機能及び動作を損なうことなく、相応の他のコンポーネント及び/又は他のモジュールと交換可能である。こうした交換可能なコンポーネント及び/又はモジュールが既知であれば、参照データベースが作成される際、及び/又は、検出された静的パラメータセットと参照データベースとが比較される際に、既知の交換可能なコンポーネント及び/又はモジュールを考慮できる。参照データベースは、交換可能なコンポーネント及び/又は交換可能なモジュールの静的パラメータセットを含むか、又は、自身に対する差が検出された場合に、当該静的パラメータセットの差を交換可能なコンポーネント及び/又は交換可能なモジュールに対応付けることができるか否かを、別のステップで検査する。好ましくは、静的パラメータセットの差を交換可能なコンポーネント及び/又は交換可能なモジュールに対応付けることができない場合にのみ、差を有するコンポーネント及び/又は差を有するモジュールのコンフィグレーションを実行するか、又は、当該状態をコンフィグレーションコンフリクトとして評価する。
差を有するコンポーネント及び/又は差を有するモジュールが生産システムの機能及び動作を損なわないコンポーネント及び/又はモジュールである場合、相応の検査の後に、差を有するコンポーネント及び/又は差を有するモジュールの静的パラメータセットがコンフィグレーションの構成部分として参照データベースに記憶される。これにより、参照データベースが新たな状況に適合化される。
また、差を有するコンポーネント又は差を有するモジュールに適したコンフィグレーションテンプレートが存在するか否かを検査し、当該コンフィグレーションテンプレートを用いて、差を有するコンポーネント又は差を有するモジュールが生産システムに統合されるように、生産システムをコンフィグレーションすることができる。
機能乃至動作を損なうことなく交換可能であるか又はコンフィグレーションテンプレートによってコンフィグレーション可能な、差を有するコンポーネント又は差を有するモジュールが検出された場合、コンポーネント及び/又はモジュールの交換がロジックファイルとして記憶される。さらに、コンポーネント及び/又はモジュールの交換は、所定の部門へ報告される。所定の部門とは、例えば、操作フィールドでの表示によってコンポーネント及び/又はモジュールの交換を報知される、生産システムのオペレータ、又は、生産システムのメンテナンスを担当するサービス機関などである。こうしたメッセージに基づいて、サービス機関は、生産システムの最新のコンフィグレーションを常に認識でき、コンポーネント及び/又はモジュールが権限なく交換された場合にも、直ちに対抗措置を採ることができる。
予め定められたコンフィグレーションからの差は、基本的にはコンフィグレーションコンフリクトとして評価される。但し、予め定められたコンフィグレーションからの差は、その差が交換不能なコンポーネント及び/又は交換不能なモジュールに基づく場合及び/又はコンフィグレーション不能なコンポーネント及び/又はコンフィグレーション不能なモジュールに基づく場合にのみ、コンフィグレーションコンフリクトとして評価されてもよい。
コンフィグレーションコンフリクトが検出された場合、
・コンフィグレーションコンフリクトを報告するステップ、
・差を有するコンポーネントを生産システムから切り離すステップ、
・差を有するコンポーネントを仮想ネットワークへ分離するステップ、及び、
・生産システムの動作モードを変更するステップ
のうち1つ若しくは複数のステップが行われる。
コンフィグレーションコンフリクトは、生産システムのオペレータ及び/又はサービスを担当する機関に報告される。このメッセージは、操作フィールドでの表示によって、又は、特別のメッセージによって、又は、SMS若しくはEメール若しくは他の通信手段によって、送信可能である。
差を有するコンポーネントは、生産システムから切り離すことができる。このことは、生産システムのデータネットワークにおいて権限が認証されていないコンピュータ若しくはマイクロプロセッサが検出された場合に、特に有意である。
差を有するコンポーネントは、自動的に仮想ネットワークへ分離される。これにより、アドレスコンフリクトのおそれが排除され、差を有するコンポーネントのアクセス手段を生産システムへ制限できる。例えば、こうした差を有するコンポーネントには読み出しの権利しか認容されないので、差を有するコンポーネントが生産システムでの変更を引き起こさないことが保証される。
生産システムの動作モードの変更は、特に生産動作にとって決定的に重要なコンポーネントが差を有することが検出された場合に有意であり、これにより、差を有するコンポーネントなしでさら成る生産が可能と成るよう、動作モードが修正される。例えば、生産速度を低下させることができる。生産システムが記録担体の両面印刷を行う印刷システムであって、記録担体の片面印刷用の印刷機構で差が検出された場合、動作モードを片面印刷に制限できる。
生産システムにインストールすべきソフトウェアコンポーネントでは、生産システムに存在しているハードウェアコンポーネント及び/又は他のソフトウェアコンポーネントに対する依存関係を有する。こうした依存関係を解消するために、生産システムのコンフィグレーションを検査する方法を拡張して、
・新たにインストールすべきソフトウェアコンポーネントを含むソフトウェアパッケージを読み込むステップと、
・読み込まれたソフトウェアパッケージから、新たにインストールすべきソフトウェアコンポーネントと他のソフトウェアコンポーネント及び他のハードウェアコンポーネントに対する依存関係を抽出するステップと、
・静的パラメータに基づいて、新たにインストールすべきソフトウェアコンポーネントに必要なソフトウェア及びハードウェアが生産システムに存在しているか否かを検査するステップと
を含ませることができる。
ソフトウェアパッケージには、インストールすべきソフトウェアに加え、当該ソフトウェアをさらに記述する情報も含まれる。特には、こうした情報は、他のソフトウェアコンポーネント乃至ソフトウェアパッケージ及び/又はハードウェアコンポーネントに対する依存関係を含む。こうした依存関係の解消がインストールを行うサービスエンジニアによって行われる必要はなく、ソフトウェアコンポーネントのインストール前に、必要なソフトウェア乃至ハードウェアが生産システムに存在しているか否かが検査される。これにより、生産システムのソフトウェアコンポーネントのインストールをエラー無く効率的に実行できる。
ソフトウェア成る概念は、生産システムで実行可能なソフトウェア及び実行されたソフトウェアの全体を含む。当該ソフトウェアは、特には、アプリケーションソフトウェア、及び、オペレーティングシステムソフトウェア、及び、生産システムに設けられているコンポーネントのファームウェアである。
上記方法は、さらに、生産システムに存在してはいないが、新たにインストールすべきソフトウェアコンポーネントに対する依存関係を有するソフトウェアコンポーネントを、新たなソフトウェアコンポーネントのインストール前に自動的にインストールすることによって、拡張可能である。
必要なソフトウェアコンポーネントを自動インストールすることによって、生産システムのインストールを著しく促進して効率的に実行できる。
新たにインストールすべきソフトウェアコンポーネントに必要なソフトウェア及びハードウェアが生産システムに存在しているか否かを検査するための基準と成る静的パラメータは、当該静的パラメータを用いて作成されたネットワークプランから読み出すことができる。
付加的に、上記方法は、ソフトウェアコンポーネントのインストールに際して生産システムにインストールされているソフトウェアコンポーネントでの変更が行われる都度、当該変更が規定されるように、拡張される。必要に応じて、変更の都度、完全な撤回(アンドゥ)が行われるので、ソフトウェアコンポーネントの先行状態を再構成できる。
ソフトウェアのインストールの際に行われる変更を記録することにより、迅速かつ簡単に先行のソフトウェア状態へ回帰でき、ここから生産システムが当該ソフトウェア状態で正しく動作したことが既知と成る。
さらに有利には、上記方法を、外部(リモート、英語remote)からのソフトウェア管理に利用でき、インストールを行うサービスエンジニアが現場へ臨む必要なく、ソフトウェアコンポーネントの報知又はアンインストールが可能と成る。
本発明のさら成る特徴は、複数のコンポーネントを含む生産システムの監視装置、特に印刷装置と制御装置とを含む印刷システムの監視装置に関する。ここで、個々のコンポーネント及びコンポーネントグループは、それぞれ異成る監視プログラムモジュールを有する。本発明の監視装置は、
・コンポーネント及び/又はコンポーネントグループのステータスデータを伝送するための、監視プログラムモジュール用のインターフェースと、
・パラメータ値として各ステータスデータを検出し、監視装置で求められたパラメータセットの各パラメータに対応付ける評価装置と
を含む。ここで、それぞれ異成る監視プログラムモジュールのステータスデータは、パラメータ値の検査のために同じパラメータに対応付けられ、差が生じた場合にはエラーと評価される。
コンポーネントとは、生産システムのうち、データリンクを介してホストコンピュータに直接若しくは間接に接続されており、これにより、IPアドレスによってコンタクト可能なクライアントコンピュータを含む全ての部分である。
監視プログラムモジュール用のインターフェースが設けられることにより、特に第三者であるプロバイダの監視プログラムモジュールを、効率的かつ低コストに、監視されるべき生産システムへ統合する手段が得られる。この場合、プログラム技術的にその出力又は他の機能を変更する必要なく、監視プログラムモジュールを使用できる。インターフェースを介してステータスデータをコンポーネント及び/又はコンポーネントグループへ伝達するには、インターフェースのみを適合化すればよい。
インターフェースを介して引き渡されるステータスデータから、さら成る処理を可能にするために、監視システムの所定のパラメータに対応するパラメータ値が抽出される。特には、さら成る処理に際して、生産システムで発生するエラーを検出するためのパラメータ値が検査される。
パラメータは、生産システムの特性を記述しており、パラメータ値を有する。この場合、パラメータ値は、数値及び論理値を含む。
発生したエラーによって、生産システムの正常な機能及び/又は効率的な機能が損なわれることがある。エラーのタイプ及びその程度については後に詳述する。
別の実施形態では、評価装置が、生産システムのコンポーネント毎にモジュール内のコンポーネントの構造を記述した、記憶されているコンポーネントデータにアクセスし、エラーを各モジュールに対応付けるように構成される。この場合、1つのコンポーネントは1つ若しくは複数のモジュールから構成されており、モジュールは交換可能なユニットである。
モジュールはさらに下位モジュールを含むことができる。コンポーネントデータは階層構造を有するデータであり、このデータはモジュール及び下位モジュールの各コンポーネントの構造を記述している。これは、コンポーネントデータが1つのコンポーネントの各モジュール若しくは1つのモジュールに対応付けられることを意味する。
あるコンポーネントがエラーを有する場合、コンポーネントデータによって、当該コンポーネントを構成している各モジュールを識別することができる。伝送されるステータスデータを解釈することにより、評価装置がエラーを有するモジュール又はエラーを有するコンポーネントの下位モジュールを推定できる。推定のためのステータスデータが十分でない場合には、評価装置はさら成るステータスデータ、特に、個々のモジュール及び/又はコンポーネントを監視している監視プログラムモジュールの個々の下位モジュールのステータスデータを要求できる。
交換すべきモジュールを識別することにより、エラーを有するコンポーネントのエラーを迅速かつ効率的に制限することができる。これにより、コンポーネントに対してエラーを有するモジュールが検出され報告されるので、事前のエラー除去が促進される。
本発明の別の特徴によれば、特に上述した監視装置を用いた、生産システムの監視方法が提供される。この場合、監視方法は、
・生産システムの複数のコンポーネント及び/又はコンポーネントグループのステータスデータを検出するステップと、
・監視装置で求められたパラメータセットの各パラメータに対し、パラメータ値としてステータスデータを対応付けるステップであって、それぞれ異成るステータスデータを同じパラメータに対応付けることができるステップと、
・パラメータ値を検査するステップであって、予め定められた差をエラーとして評価するステップとを含む。但し複数のコンポーネント又はコンポーネントグループは、異成る監視プログラムモジュールを有することができる。
それぞれ異成る監視プログラムモジュールは、コンポーネント及び/又はコンポーネントグループのステータスデータを求めるそれぞれ異なった方法を含む。この場合、同じパラメータに対してそれぞれ異成る方法を実行することにより、測定誤差若しくは測定トレランスに起因して、監視プログラムモジュールから引き渡されるステータスデータがエラーの有無に関する矛盾した結論をもたらすという問題が発生する。
この問題を解決するために、それぞれ異成る監視プログラムモジュールのステータスデータの全てがまず記憶され、それぞれ異成る方法で求められたステータスデータをさらに処理できるよう、同じパラメータに対する全てのステータスデータが当該パラメータに対応付けられる。
好ましくは、同じパラメータに対してそれぞれ異成るパラメータ値が伝送され、これらのパラメータ値のうち少なくとも1つが、エラーとして評価される予め定められた差を有する場合、監視方法の実行時にエラーが検出される。
パラメータ値は数値若しくは論理値を含む。論理値は数「0」若しくは「1」として、又は、文字列(「正」「偽」「真」など)として表される。数値では、通常、所定の数値領域を外れると、エラーが識別される。論理値では、予め定められた論理値と異成る場合に、エラーが識別される。
同じパラメータに対応付け可能な複数のパラメータ値をステータスデータから抽出できることにより、少なくとも1つのパラメータ値がエラーを表し、かつ、これが全体でのエラーと評価される場合、1つのパラメータ値でも予め定められた差を有すれば、エラーの識別にとって十分であることが保証される。1つのエラーを確実に識別するには、いずれかの監視プログラムモジュールのいずれかのパラメータ値が予め定められた差を有する場合にエラーが識別されるようにするとよい。
ステータスデータを用いて、エラーのタイプが検出され、コンポーネントのエラー及び/又は生産システムのアプリケーションソフトウェアのエラーを識別できる。上記監視方法により、発生する全てのタイプのエラーが識別される。
コンポーネントのエラーとは、当該コンポーネント上で実行されるアプリケーションソフトウェアのモジュールのエラーを除いた、各エラーである。アプリケーションソフトウェアのエラーの原因はそれぞれのアプリケーションソフトウェアにあるので、コンポーネントのエラーからは除外される。
有利な実施形態では、この監視方法は、検出されたエラーを自動的に、エラー除去のための外部の保守機構に転送するように構成されている。
ここで自動的な転送は、Eメール、SMS、ファックス又は他の適切な通信チャネルを介して送信されエラー通知を含んでいる。この中継はここで、エラー除去のために、生産システムに構築された外部の保守機構に向けて行われる。ここで「外部の」とは、生産システムの外を意味している。この自動的なエラー通知によって、このような機構には迅速にエラーが報告される。従って、エラー除去を効率的及び期限通りに行うことができる。基本的に、エラーを、操作者に通知することもできる。
有利には、この監視方法は、エラーを検出すると、このエラーに所定の基準に従って、エラー除去に対するエラー優先度を割り当てるように構成されている。ここでこのエラー優先度は、このエラーが生産システムの生産プロセスにどのような影響を与えるかを表している。
エラー優先度に関して、エラーは有利には、警告乃至はエラー優先度が低いエラーと、エラー優先度が中程度のエラーと、エラー優先度が高いエラーとに分類される。これとは異なり、エラー優先度をより多くの段階に分けることもできる。
警告は、低いエラー優先度を有するエラーである。これは、生産システムの動作をすぐに妨害することはない。しかし警告は、その後、エラーによって動作の妨害が生じるように発展することがある。
中程度のエラー優先度を有するエラーは、生産動作を妨害するが、生産動作を完全に止めるものではない。
高いエラー優先度を有するエラーとは、その発生時に、生産動作をもはや維持することができないエラーである。
エラー優先度に基づいて、保守が調整される。ここでエラー優先度は、このエラーがどのような優先性で除去されるべきかを表す。エラー優先度を転送することによって、複数の警告及び/又はエラーが存在する場合に、エラー除去を担当している外部の保守機構は、エラー除去のための保守力を効率的に、各エラー通知に分配することができる。これに相応して、高いエラー優先度を有するエラーは優先的に処理され、使用可能な保守力はまずは、この高いエラー優先度を有するエラーを除去するために使用される。高いエラー優先度を有するエラーが処理された後にはじめて、同じ生産システム又は他の生産システムの中程度のエラー優先度を有するエラー又は低いエラー優先度を有するエラー乃至は警告の除去が行われる。これによって、保守機構が担当する生産システムが多数ある場合でも、効率的な生産動作が保証される。
さらに、以降で詳細に説明される保証乃至メンテナンス取り決めの応答時間、及び/又は、エラー確実性をこの保守調整時に考慮することができる。これは、これらをエラー優先度と結び付けることによって行われる。メンテナンス乃至保証取り決めを考慮することによって、保守力が制限されている場合に、制限されず、妨害の無い動作が重視される生産システムに対して、できるだけ迅速に保守乃至はメンテナンスが実行されることが保証される。また、要求が低い生産システムでは、低いエラー優先度を有するエラー及び警告は後で処理される。
同様に、保守投入の計画が加速される。なぜなら、後に接続された、保守調整のためのシステムは、上述した基準を考慮することによって、保守調整を自動で行い、さらに保守投入を自動的に制御することができるからである。
有利には、この監視方法は、コンポーネント、コンポーネントグループ、モジュール、ステータスデータ、パラメータ及び/又はパラメータセットを、各エラーとともに、1つのコンピュータの操作フィールドに示すように構成されている。コンポーネントはここで1つ又は複数のモジュールから形成されており、1つのモジュールは、コンポーネントの交換可能な1つのユニットである。モジュールは同様に他のモジュールを含み得る。コンポーネントとモジュールとの間のこの関係は既に上述してある。
表示によって、操作者は、操作フィールドにおいて、生産システムを俯瞰することができる。殊に、操作者はこれによって、発生しているエラーを迅速かつ効率良く検出することができる。
有利には、構造化された、殊に、階層的及び/又はグラフィック化された図として表示が行われる。ここで、図示された構造は、ネットワークプラン又はその一部を表す。
ネットワークプランの形態の構造化された図によって、生産システムが複雑な場合でも、属するネットワークを有する生産システムの俯瞰図において、操作フィールドで操作者に、発生したエラーに関して迅速かつ効率的に情報が伝えられる。ここでは、最も上のレベルとして、完全な生産システムが表示装置で示される。ここでは、図示されたオブジェクト、すなわち、装置、設備、コンポーネント及び/又はモジュールでの視覚的な表示によって、種々のエラーの種類及び/又はエラー優先度が区別可能に表示される。これは例えば、オブジェクトの色付けによって行われる。
ここで1つのレベルは、生産システム内に存在するオブジェクトの論理的なイメージを表している。このオブジェクトは例えば、コンポーネント、モジュール、設備、装置である。ここで、上位のレベルの図示されたオブジェクトは、それに階層的に下位に配置されている、下位のレベルのオブジェクトを含む。
表形式の図を介して、相互作用、例えばオブジェクトをマウスでクリックすることによって、このオブジェクトを含む、その下位のオブジェクト共に、オブジェクトの、次に低いランクに表示可能なレベルを操作フィールドのユーザーに示すことができる。すなわち、ユーザーを、次の低いレベルに誘導することができる。これによって、オブジェクトのエラーをより低いレベルに示すことができ、これによって、エラーをさらに絞り込むことができる。
表示の個々のレベルにおいて示されるオブジェクトは、図形として示される。ここでこの図形は、概略的に、各オブジェクトの外見を再現することができる。オブジェクトが存在している位置及びその配向は、同様に、オブジェクトのこの表示において、できる限り、現実に即して再現される。従って操作者、殊に保守技術者を、このような視覚的な情報によってサポートすることが可能に成る。この保守従業者には、エラー除去乃至はメンテナンスを実施する際に、交換されるべき各モジュール乃至はメンテナンスされるべき各モジュールの位置及び配向が示されるので、彼は、自身の仕事を効率的かつ容易に、自身の誤りを回避しながら実行することができる。付加的に、保守技術者に操作指示が、表示において与えられ、作業時にサポートされる。さらに、表示されたモジュールの眺めを変えること、例えば前面図から後面図又は側面図に変えることによって、保守技術者の仕事はさらにサポートされる。これは殊に、モジュールが、接続部、ディスプレイ、スイッチ等を前面や後面に有している場合である。
サーバー棚乃至はラック、ラックモジュール、コンポーネント及びモジュールの表示に関しては、以降で詳細に説明する。
この監視方法の別の実施形態では、検出された少なくとも1つのエラーから、生産システムの設定が決められる。この設定では、生産プロセスへのエラーの影響が最小化される、又は、完全に除去される。
ここでは、1つ又は複数の、存在し得る、変更された調整を求めることができる。生産システムの目下の調整が、唯一の可能な調整として求められる場合、生産プロセスへのエラーの影響をさらに最小化する又は完全に除去する、他の変更された調整は存在しない。この場合には、生産システムの調整は目下設定されているままであり、エラーの影響は変わらない。しかし、1つ又は複数の変更された調整を求めることによって、次のことが可能に成る。すなわち、エラーを有するモジュールの交換まで、少なくとも、生産システムの生産性及び/又は生産の質が極めて僅かだけ制限されるように、又は、全く制限されないように生産プロセスを保持することが可能に成る。
求められた、少なくとも1つの変更された調整は、操作フィールドに表示される。従って、操作者又は保守技術者はサポートされ、これを手動で行うことができる。付加的に、ここで、再構築に関するさら成る指示を表示することができる。操作者又は保守技術者は、表示された調整を生産システムに当てはめて、生産システムを再構築する。
本願で再構築と、生産システムでの他の調整の使用乃至はその目下の構築の変更を意味する。再構築は、コンポーネント又はアプリケーションソフトウェア等のソフトウェア及び/又はハードウェアの構築調整に関し、ここでは生産システムのパラメータを変更することができる。
殊に印刷システムでは、変更された調整を求めることは、印刷パラメータを求めることでもあり、ソフトウェアコンポーネントの調整は、この印刷パラメータの調整でもある。例えば、エラー時には、可能な最高印刷速度又は印刷解像度が表示される。
この監視方法によって、検出されたエラーから、生産プロセスへのエラーの影響が最小化される又は完全に除去される、生産システムの少なくとも1つの、有利には変更された設定が特定されると、この設定は有利には自動的に実行される。ここでは、コンポーネント、アプリケーションソフトウェア及び/又は生産システムがこれに相応して再構築される。
変更された調整の再構築が自動で行われるのは有利である。なぜなら、これによって、生産システムの効率乃至は機能が、迅速に駆けつけられる保守技術者がいなくても、直接的に乃至は迅速に保証されるからである。付加的に、エラー発生時の迅速な再構築によって、欠陥製品が回避される又は低減される。これは例えば、生産速度を下げることによって行われる。
殊に、高性能印刷システムでは、エラー時に、刷り損じが生じ得る。これは例えば、記録担体で50mにも成る。このような刷り損じは、自動的な再構築によって低減される、又は、回避される。従って、記録担体の損失は格段に少なく成る。
この監視方法のさら成る実施形態では、検出されたエラーは、付属の情報とともに、エラーリスト内に格納される。
エラーに属している情報は、タイムスタンプ、エラー箇所、コンポーネント、モジュール、エラーの種類、エラー優先度、エラー頻度、エラー確実性及びその他の、エラーを表す情報を含んでいる。
有利には、エラーリストは、所定のエラー数に達すると、所定の時間間隔で、又は、エラーのさら成る評価のための必要性に応じて、外部の評価機構に伝達される。エラーのさら成る評価は、ここで、コンポーネント及び/又はモジュールの品質の評価を含んでいる。
必要に応じた伝達は、要求に応じた伝達を含む。用語「外部の」とは、生産システムの外を意味している。
エラーリストを伝達することによって、多数の種々の印刷システムのエラーリストをまとめ、ひいては、効率的に評価することが可能に成る。ここから、さらに、次の利点が得られる。すなわち、このような幅の広いデータベースを用いて、生産システムの個々のハードウェア構成部品並びにソフトウェア構成部品の質並びにコンパチビリティに関する、より正確な情報が得られるという利点である。このような情報は、生産システムの新たに形成されるべき構築及びその調整に対する決定支援として用いられる。
この監視方法の別の実施形態では、検出されたエラーに対するエラー確実性が求められる。ここでこのエラー確実性は、実際にエラーが発生したか否かの確率がどのくらい大きいかを示す。
このエラー確実性は、エラー通知において、外部の保守機構に伝達される。ここには、エラーリストが格納されており、外部の評価機構に伝達される、及び/又は、製品システムの再構築のために考慮される。エラーメッセージ、エラーリスト及び再構築は、上で既に説明した。
エラー確実性と結び付いたエラー優先度によって、保守乃至はメンテナンス又は再構築を行わなければならないかを正確に見積もることが可能に成る。エラー確実性が大きい場合、上記の実行されるべき措置の判断の際、エラー優先度が重要に成る。しかしエラー確実性が低い場合にはむしろ、上述の措置のいずれもが行われるべきでないだろう。従って、例えば、保守調整のための外部の保守機構乃至はそのシステムは、この情報に基づいて、保守投入を時間的に最適に計画することができる。
検出されたエラーに対するエラー確実性は、1つ又は複数の、相互に組み合わせられた、以下のストラテジーを考慮して、求められる:
・他の監視プログラムモジュールのパラメータ値との比較によって、エラーを引き起こすパラメータの確実性を検査する。ここで、他の監視プログラムモジュールのパラメータ値は、同じパラメータに割り当てられているか、又は、エラーを引き起こすパラメータ値と、論理的な関係にある。ここでこの比較は、種々のパラメータ値の重み付けされた評価を含んでいる。
・測定エラー及び/又は測定誤差を考慮して、エラーを引き起こしているパラメータ値の確実性を検査する、及び/又は、
・エラーのエラー頻度及び/又は持続性を求める。
相互に論理的な関係にあるパラメータ値は、パラメータ値が相互に結合されているパラメータ値である。なぜなら、これらは、同一のデータ基礎を有している、又は、相互に論理的な関係にあるデータ基礎を有しているステータスデータから生じているからである。このような論理的な関係は、例えば、次のようなセンサで生じる。すなわち、ステータスデータとして、同じ物理的な値を、生産システムの異成る位置で検出するセンサである。
従って、このような、偏差を有しているパラメータ値を、これと論理的に結び付いている他のパラメータ値にマッピングすることによって、偏差の妥当性、ひいては、確率を評価することができる。
このような評価に使用されるパラメータ値は、付加的に、重み付けして評価可能である。ここでこの重み付けは、最も簡単な場合には等しく分配される。
しかし、特定の監視プログラムモジュールのステータスデータに、他の監視モジュールのステータスデータよりも高い重みを付けることもできる。これによって、より正確なステータスデータを求める監視プログラムモジュールのステータスデータを、不正確である、他の監視プログラムモジュールのステータスデータよりも大きな割合で、エラー確実性の評価に用いることができる。殊に、これによって、種々の監視プログラムモジュール間の測定誤差の作用を低減させることができる。
このような重み付けによって、1つの監視プログラムモジュールをマスターとして設定し、1つ又は複数の他の監視プログラムモジュールをスレーブとして設定することが可能に成る。ここで、エラー確実性が、基本的に、全ての監視プログラムモジュールのパラメータ値から求められる。しかしマスターと、1つ又は複数のスレーブとの間の値が、一義的なエラー確実性が求められない程度に異なっている場合、マスターのパラメータ値のみが、エラー確実性を求めるために使用される。
重み付けによってエラー確実性を求めるさら成る手段は、種々の監視プログラムモジュールの、複数の、少なくとも3つの、相互に論理的に結合されているパラメータ値が存在する場合に、多数乃至は過半数が、個々のパラメータ値の偏差の情報をエラー確実性のために考慮することである。
付加的に、エラー確実性の計算に対して、監視プログラムモジュールの測定誤差を考慮することができる。これは、伝達されたステータス値の偏差を、この測定誤差によって生じるであろう偏差と比較することによって行われる。
エラー確実性を求める他の手段は、エラー発生頻度及び/又はエラー持続性乃至は永続性を考慮することである。エラーが頻繁に又は永続的に検出される場合、このエラーのエラー確実性は、たまにしか検出されないエラーのエラー確実性よりも高い。
本発明のさら成る態様は、生産システム、殊に印刷システムにおける制御機器を示すシステムに関する。ここでこの生産システムは、複数のラックモジュールを収容するためのラックを有する。ここでこれらのラックモジュールは、生産システムのコンポーネントと結合可能である、及び/又は、ラックモジュール内のエラーを表示する、及び/又は、各コンポーネントのエラーを表示するエラー表示装置を有し得る。ここで、ラック表示ユニットは、ラック図を表示するために設けられている。これによって、それぞれ複数のラックモジュールのうちの1つのラックモジュールのイメージを示すラックモジュール図を、ラック内の相応するラックモジュールの実際の場所に相当するラック図内の場所に配置することができる。ここで、ラック表示ユニットは、エラーリストと結合されている。ここには、生産システムのエラーが格納されている。さらに、ラック表示ユニットは、次のように形成されている。すなわち、エラーが、ラック図内の相応するラックモジュール図で表示されるように形成されている。
このように形成されたラック表示ユニットを設けることによって、長い距離離れたところから(英語でremote)も、ステータス、殊に、生産システムにおいてエラーが発生しているか否か、及び、生産システムにおいてどのようなエラーが発生しているのかを検査することができる。殊に保守技術者又は操作者に、エラーが発生した際に、ラック図の表示で、ラック内の相応するラックモジュールの実際の場所に関する情報が与えられる。従って、保守技術者又は操作者は、エラー除去時にサポートされ、エラー除去を高い確率で、誤り無く実行することができる。
ラックは、アッセンブリ担体又は保持装置である。これは、典型的に、多数の小さいエレメント乃至はアッセンブリを1つのユニットにまとめる。これは例えばスタンド又はフレームである。
有利には、制御機器を示すシステムが、生産システム内に次のように形成されている。すなわち、ラックモジュール図の1つ又は複数がエラー表示手段を有しているように形成されている。このエラー表示装置は、相応するラックモジュールのエラー表示装置に相当する。このエラー表示手段によって、相応するエラーが存在する場合には、エラー表示装置でのように同様に表示することができる。
相応して、これによって、エラー表示手段の図を変更する情報だけを、エラー発生の際に、ラック図を表示するクライアントコンピュータに伝送することができる。
相応するラックモジュール図でのエラーの表示は、例えば、色及び/又は形状を変えることによって行われる。
生産システム内の制御機器を示すためのシステムの別の実施形態では、少なくとも1つのラックモジュールのためのラック表示ユニットは、異成る2つのラックモジュール図を含む。ここで、2つのラックモジュール図のうちの1つは、通常動作時のラックモジュールを示し、他方のラックモジュール図は、エラー動作時のラックモジュールを示す。
制御機器の表示のためのシステムのこの実施形態では、これらのラックモジュール図は、エラー時に交換される。ここで、エラー時用のラックモジュール図は、エラーが識別可能であるように作成されている。これは例えば、次のことによって示される。すなわち、ラックモジュール図において、例えばエラー時に赤く発光する特定のエラーランプが、相応に赤く示されることによって示される。他方で、これによって、実際のラックでは見えないエラーも示される。例えば、実際のラックモジュールが故障しており、エラー表示装置を有していない場合、ラックモジュールには、エラー時に、相応する警告色、殊に赤色が付けられる。これによって、実際のラックでは見られないエラーも示される。
制御機器を示すためのシステムの別の実施形態では、ラック表示ユニットは、ラックの前面用のラック図も、後面用のラック図も含んでいる。ここでこのラック表示ユニットは次のように形成されている。すなわち、ラック内の特定の場所へ特定のラックモジュール図を配置した時に、相応する、対応する図が、相応するラック図の前面又は後面に自動的に割り当てられるように形成されている。
本発明のシステムによって、操作フィールドにラック図を表示することができる。これは、その場所がラックモジュール図において、実際のラック内の場所に相当するラックモジュール配置を有している。さらに、個々のラックモジュール図では、エラーが表示可能である。これによって、生産システムの操作者は、このラック図に基づいて、どのラックモジュールにエラーが存在するかを迅速に識別することができ、同様に、このラックモジュール自体又は生産システムの各ラックモジュールと接続されているコンポーネントが故障しているか否かを迅速に識別することができる。このようなラックは、多数のラックモジュールを含むことができる。ここでは、しばしば、多数の同じ、又は、極めて類似のラックモジュールも、1つのラック内に配置されている。本発明のラック表示ユニットによって、これまでよりも格段に容易に、エラーを有するラックモジュールを見つけ出すことができる。
制御機器を示すシステムの別の実施形態では、生産システムは制御装置を有している。この制御装置は、ホストコンピュータを含んでいる。このホストコンピュータは、データ接続部によって、1つ又は複数のクライアントコンピュータと接続されている。クライアントコンピュータ上ではブラウザが実行される。ここで、ホストコンピュータには、操作フィールド−モジュールライブラリがインストールされており、ここで実行される。これによって、生産システムのための操作フィールドが形成及び提供される。この操作フィールドは、マークアップ言語ファイルとして、ホストコンピュータから、各ブラウザに伝達され、ブラウザ内で、操作フィールドの表示のために実行される。ここで、ラック図が操作フィールド上に表示される。
これによって、ラック図が、複数のクライアントコンピュータのうちの1つのクライアントコンピュータにも表示される。このクライアントコンピュータは、ラック表示ユニットから離れて配置されている。マークアップ言語用の規格に従って作成されたマークアップ言語ファイルを使用することによって、ブラウザ規格に従って形成されたものをブラウザとして使用することが可能に成る。これによって、ラック図の表示及び操作フィールドの表示は、クライアントコンピュータの、使用されている別のソフトウェア乃至はハードウェアに依存しなく成る。
有利には、ラック図を示す操作フィールドは、同時に、複数のクライアントコンピュータに表示可能である。
これによって、複数の人間、例えば操作者及び/又は保守技術者が同時に、メンテナンス乃至はエラー除去を、生産システムにおいて実施することができる。ここで、種々のクライアントコンピュータでも、種々のラック図を、各操作フィールドに表示することができる。従って、各操作フィールドで、種々のメンテナンス作業乃至は保守作業を実行することができる。
制御機器を示すためのシステムの別の実施形態では、クライアントコンピュータは、モバイル機器として形成されている。ここで、無線接続を介した、ホストコンピュータへのデータ接続は、無線システム規格に従って形成されている。
モバイル機器はモバイルコンピュータ、例えばタブレットコンピュータ、ラップトップ、ノートブック又は携帯電話である。無線接続の無線システム規格は、WLAN、Bluetooth(R)、GSM、UMTS及び他の適切な無線システムを含んでいる。モバイル機器としてクライアントコンピュータを設けることによって、保守乃至はメンテナンスを行う操作者又は保守技術者は、このモバイルクライアントコンピュータとともに、ラック図において、操作フィールド上にエラーが表示されたラックに赴くことができる。操作者又は保守技術者がラックの近くにいる間に、エラーを光学的に表示することによって、より迅速かつ効率的なエラーサーチ並びにエラー除去を行うことができる。
制御機器を示すシステムの別の実施形態では、モバイルクライアントコンピュータは周辺センサを有している。この周辺センサは、各クライアントコンピュータの位置及び/又は向きを検出する。この情報は、周辺センサから、ラック表示ユニットに伝達される。ここで、ラック表示ユニットは、各ブラウザに伝達されたマークアップ言語ファイルの形成を次のように制御するように形成されている。すなわち、相当するクライアントコンピュータの位置情報及び/又は向き情報が、相応するクライアントコンピュータの操作フィールド上のラック表示の際に考慮されるように制御する。この考慮は、複数のラック図のうちの1つが、生産システムに対する相応するクライアントコンピュータの相対的な位置及び/又は向きに相応して自動的に選択されて、操作フィールドに示されるように行われる。
これによって、モバイルクライアントコンピュータの使用時には、生産システムに関連したクライアントコンピュータの位置及び/又は向きに応じて、自動的に、複数のラック図のうちの1つが選択されて、操作フィールド上に表示される。
この自動的な選択は、ここで、次のように行われる。すなわち、クライアントコンピュータの位置を基準にして、最も近くにあるラックが、ラック図に表示されるように行われる。これは殊に、複数のラックを有する生産システムにおいて、ラック図の表示を自動的に、各ラックまでの距離に基づいて制御することを可能にする。操作者及び/又は保守技術者があるラックから別のラックの方に動くと、操作者及び/又は保守技術者がこの別のラックに近づいたときに、ラック図は自動的に、この別のラックの表示に切り替わる。
クライアントコンピュータの向きを考慮することによって、ラック図の表示を自動的に、複数のラックを有する生産システムにおいて次のことが可能に成るように制御することができる。すなわち、モバイルクライアントコンピュータを手に持っており、操作フィールドの表示を自身の視線方向で見ている操作者又は保守技術者に、自動的に、同様に視線方向に存在するラックのラック図が表示されることが可能に成る。ここで操作者乃至保守技術者が他の方向に向きを変えると、すなわち自身の視線方向を変えて、同様にクライアントコンピュータの向きを変えると、視線方向に入るラックが自動的に、ラック図内に表示される。
位置及び/又は向きを検出することによって同様に、ラックの前面又は後面の表示を、ラック図において自動的に切換えることが可能に成る。操作者乃至は保守技術者が、ラックの前又はラックへの視線方向にいると、ラックの前面がラック図内に示される。しかし操作者乃至は保守技術者が、ラックの後面又はラックの後面への視線方向にいると、ラックの後面がラック図内に示される。ユーザー又は保守技術者が動くと、ラック図内の前面と後面の切換えが自動的に、詳細には、クライアントコンピュータの位置及び/又は向きに従って行われる。
各クライアントコンピュータの位置及び/又は向きを検出する周辺センサは、(ステレオ)カメラ、ナビゲーションセンサ、殊に、Bluetooth(R)無線規格に従って送信された無線信号を受信するための無線受信器、ライダーセンサ、超音波センサ、加速度センサ乃至は運動センサ、磁界センサ、赤外線センサ、又は、これらの複数のセンサの組み合わせとして形成されている。
有利には、このような生産システムは、上述したように、屋内空間に設けられている。ここでは位置を確認することを可能にするために衛星ナビゲーションシステム用の通常のナビゲーションセンサを使用することはできない。しかし、クライアントコンピュータの位置及び/又は向きの特定を屋内空間でも可能にする、殊に、Bluetooth(R)無線規格に従った無線システムが既知である。しかし位置及び/又は向きの特定を、他の上述したセンサによって実行してもよい。
複数のこれらのセンサを組み合わせることによって、位置及び/又は向きの特定の精度が改善される。
この生産システムは有利には、液体トナー印刷機である。
液体トナー印刷機は、印刷されるべき記録担体上に、トナー粒子が現像液を用いて被着される印刷機である。このために、静電荷像担体の静電潜像が現像液を用いて電気泳動によって着色される。このようにして生じたトナー像は、間接的に、搬送部材を介して、又は、直接的に、記録担体に転写される。現像液は所望の割合で、トナー粒子とキャリア液とを有している。キャリア液として有利には鉱油が使用される。トナー粒子に静電荷を付与するために、現像液に電荷制御剤が添加される。付加的に、例えば、現像液の所望の粘性又は所望の乾燥特性を得るためにさら成る添加物が添加される。
このようなデジタル印刷機は例えば、独国特許出願公開第102010015985号明細書、独国特許出願公開第102008048256号明細書、独国特許出願公開第102009060334明細書乃至は独国特許出願公開第102012111791号明細書から公知である。
印刷システムは、上述した態様の1つ又は複数を実行するように構成可能である。
上述した個々の態様に従った方法は、相互に依存しないで実行可能である。しかし、これらの方法を、それ自体任意の組み合わせで実行することも可能である。
本発明を以降で例示的に、図面に基づいて説明する。
デジタル印刷機の例示的な構造を備えたデジタル印刷機の図
印刷機、制御装置ひいては接続されている機器の概略的なブロック回路図
制御装置のホストコンピュータとこのホストコンピュータに接続されているクライアントコンピュータとの概略的なブロック回路図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
制御装置乃至はクライアントコンピュータのハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントの概略図
自動的に検出されたネットワークスキームの一部
自動的に検出されたネットワークスキームの一部
自動的に検出されたコンポーネントのリスト
図16に示されたリストの特定のコンポーネントの詳細情報
プラグインの規格化された呼び出しパラメータが記載されたテーブル
プラグインの他の呼び出しパラメータが記載されたテーブル
プラグインの呼び出し時の領域定義の例
仮想のプラグインの呼び出しに対するコマンド行の一覧
用紙搬送ユニットを有する印刷機の図
生産システムを監視するためのシステムを有する、論理的な接続を備えた生産システム、殊に印刷システムのコンポーネント、機器乃至設備の図
エラーリストを備えた、生産システムのハードウェア及びソフトウェアの状態の表示の図
ラック図の表示の図
デジタル印刷システムの実施形態には、印刷機1及び制御装置2が含まれている(図2参照)。
図1によれば、印刷機1として、記録担体120を印刷するためのデジタルプリンタが示されており、これは、トナー画像(印刷画像)を記録担体120に印刷する1つ又は複数の印刷機構111a〜111d及び112a〜112dを有している。記録担体120として、図示のように、シート状の記録担体120が、繰出し器6によってロール121から繰り出され、第1の印刷機構111aに供給されている。定着ユニット130内では、印刷画像が記録担体120上に定着される。それに続いて記録担体120は、巻取り器7によってロール128に巻き取ることができる。このような構成は、ロールツーロールプリンタとも称される。
図1に示されている好適な構成において、シート上の記録担体120は、4つの印刷機構111a〜111dによって前面側が、そして4つの印刷機構112a〜112dによって背面側がフルカラーで印刷される(いわゆる4/4コンフィグレーション)。これのために記録担体120は、操出し器6によってロール121から繰り出され、オプションの調節機構123を介して第1の印刷機構111aに供給される。調節機構123内では、記録担体120を適切な材料によって前処理若しくはコーティングすることができる。コーティング材(これはプライマーとも称される)として好適にはワックスや同等な化学的材料を用いることが可能である。
この材料は、印刷用記録担体120の準備のために、及び/又は、印刷画像の被着の際の記録担体120の吸着特性に影響を与えるために、記録担体120全面に亘って被着されてもよいし、後から印刷すべき箇所のみに被着されてもよい。それにより、後で被着されるトナー粒子又は担体液体は、過度に記録担体120内に浸透しなく成るのではなく、実質的に表面に留まるように成る(これによってカラー画質及び画像品質が改善される)。
続いて記録担体120は、まず第1の印刷機構111aから印刷機構111dに順に供給され、そこでは前面側のみが印刷される。印刷機構111a乃至111dの各々は、記録担体120を、通常は他の色乃至他のトナー材料、例えば電磁的に読み取り可能なMICRトナーで印刷する。
前記記録担体120は、前面側の印刷の後、反転ユニット124内で反転され、残りの印刷機構112a乃至112dに背面側印刷のために供給される。前記反転ユニット124の領域には、前記記録担体120を背面側印刷のために準備するさらに別の調節機構(図示せず)が、例えば前に印刷した前面側印刷画像(乃至は前面側全体又は背面側全体)の定着(部分定着)又はそれ以外の調節のための機構などがオプションで配設されていてもよい。それによって、さら成る転写の際に、前面側印刷画像が後続の印刷機構によって機械的に損なわれることが避けられる。
フルカラー印刷を得るために、少なくとも4つの色(これに伴って少なくとも4つの印刷機構111,112)が必要とされ、具体的には、例えば基本色YMCK(黄色、マゼンタ、シアン、黒)が必要とされる。また、特別色(例えばユーザー固有の色又は印刷可能な色空間を拡大するための追加原色)を有するさら成る印刷機構111,112が用いられてもよい。
印刷機構112dの下流にはレジスタユニット125が設けられており、このレジスタユニットによって、印刷画像に依存することなく記録担体120上に(特に印刷画像外に)印刷されるレジスタマークが評価される。それにより、横方向及び縦方向のレジスタマーク(1つのカラードットを形成する原色ドットは、相互に上下で若しくは局所的に非常に近接して配置されていなければならず、カラーマーク乃至4色マークとも称される)並びにレジスタ(前面側及び背面側は局所的に正確に一致されなければならない)が設定でき、これによって品質的に良好な印刷画像が得られる。
レジスタユニット125の下流側には定着ユニット130が設けられており、この定着ユニット130によって記録担体120上の印刷画像が定着される。電気泳動式のデジタルプリンタでは、定着ユニット130として好適には熱乾燥器が用いられ、この熱乾燥器は担体液体を十分に蒸発させる。それによりトナー粒子のみが記録担体120上に残される。これは、熱作用のもとで生じる。その際には、トナー粒子が熱作用に起因して溶融可能な材料、例えば樹脂を含んでいる場合には、トナー粒子も記録担体120上で溶融され得る。
定着ユニット130の下流側には、トラクション機構126が設けられており、このトラクション機構126は、全ての印刷機構111a〜112d及び定着ユニット130を通して記録担体120を引っ張る。これは当該領域内にさら成る駆動部を設けることなしに行われる。なぜなら記録担体120のための摩擦駆動部によって、まだ定着していない印刷画像がこすり取られる危険性が生じるからである。
このトラクション機構126は、記録担体120を巻取り器7に供給し、この巻取り器7は印刷された記録担体120を巻き取る。
印刷機構111,112及び定着ユニット130のもとでは、デジタルプリンタ1のための全ての供給装置、例えば空調モジュール140、エネルギー供給源150、制御装置2(コントローラ)、液体制御ユニット171や様々な液体用保管容器172などの液体管理部170が集中的に配置されている。液体として、特に純粋な担体液、高濃度の液体現像剤(担体液に比べてトナー粒子の割合が高い)及びしょう液(液体現像剤+電荷制御剤)は、デジタルプリンタ1に供給するために必要であり、また廃棄すべき液体のための廃棄容器や洗浄液のための容器も必要である。
デジタルプリンタ1は、構造が同じ印刷機構111,112を用いてモジュール式に構成されている。これらの印刷機構111,112は、機械的に異なっているのではなく、その中で使用される液体現像剤(トナーカラー又は種類)が異なっているだけである。
そのような印刷機構111,112は、電子写真原理に基づいており、ここでは電子写真画像担体が、液体現像剤を用いて、帯電したトナー粒子で着色され、そのように形成された画像が記録担体20上に転写される。
印刷機構111,112は、実質的に電子写真ステーション、現像ステーション及び転写ステーションからなっている。
このような高性能なデジタルプリンタは、モデル及び構成に応じて10mから30mの長さに亘って延在している。それ故に、多数の人々が同時にデジタルプリンタのデータを読み取り、複数の場所において操作フィールドの検証を可能にする複数の操作フィールドを設けることは合目的である。
印刷機1は、印刷機制御部4と複数の印刷機構制御部5(バードライビングボード:BDB)とを含んだ内部制御装置を備えている(図2参照)。印刷機構制御部5は、ラスタ処理された印刷データを対応する印刷機構に伝送する。このラスタ処理された印刷データは通常は二進の印刷データであり、そこでは各ビットが印刷ドットを表す。このビットが設定されている場合には、対応する印刷ドットが印刷される。ビットが設定されていない場合には、対応する印刷ドットは印刷されない。
印刷機制御部4は、印刷機1のメインモジュール及び用紙搬送部を制御し、印刷機構3についての一般的な制御タスクを実行する。この印刷機制御装置4は、特に繰出し器6と巻取り器7を含む前処理装置及び後処理装置のためのインターフェースを有する。ここでは、例えば切断装置や包み込み装置などのさら成る前処理及び後処理装置が接続されていてもよい。
制御装置2は、印刷サーバー8から制御装置2に伝送される印刷ジョブの処理のために用いられる。そのような印刷ジョブは、通常は印刷データとジョブチケットから成る。このジョブチケットには、印刷データをどのように処理すべきかについての指示が含まれている。制御装置2は、複数のコンピュータユニットを含んでおり、それらは内部LAN9を介して、相互に接続されている。このLANは、イーサネットやインフィニバンドとして形成されていてもよい。前記コンピュータユニットは、ホストコンピュータ10、複数のラスタコンピュータ11、複数のインターフェースコンピュータ12を含んでいる。
ホストコンピュータ10は、印刷ジョブを受信し、印刷ジョブの一部を、印刷データをラスタ処理するための複数のラスタコンピュータ11に分配する。このホストコンピュータ10は、ここではこれらのラスタコンピュータ11の負担ができるだけ均等に成るように試みる。これらのラスタコンピュータ11は、印刷データを印刷機構3の駆動制御に適するようにラスタ処理された印刷データに変換する。ラスタ処理された印刷データは、ラスタコンピュータ11から内部LAN9を経由してインターフェースコンピュータ12に転送される。インターフェースコンピュータ12では、ラスタ処理された印刷データが一次的に記憶される。各インターフェースコンピュータ12は、それぞれ光導波路13を介して印刷機構制御部5の1つに接続され、光導波路13を介して、ラスタ処理された印刷データを対応する印刷機構制御部5に伝送する。
印刷機制御部4は、制御装置2の内部LAN9の外部インターフェースに接続され、制御装置2のホストコンピュータ10から、印刷機、前処理装置、後処理装置を制御するための制御命令を受け取る。
制御装置2の内部LAN9は、1つ以上の操作フィールドコンピュータ14及び/又は1つ以上のサービスコンピュータ15を接続するためのさら成る外部インターフェースを有していてもよい。
さらにまた制御装置2はルータ16を有しており、該ルータ16にはWANを介してサービスコンピュータ17が接続可能である。
印刷機操作フィールドコンピュータ18は、SPO−LAN(サービスパネルオペレータ−LAN)を経由して制御装置2のホストコンピュータ10と直接接続されている。印刷機操作フィールドコンピュータ18は、印刷データを検査し、制御するために使用される。この印刷機操作フィールドコンピュータ18は、典型的には、印刷システムにおける様々な印刷過程の経過を制御している一人のオペレータによって使用される。一方、操作フィールドコンピュータ14やサービスコンピュータ15は、印刷システム自体の連続運転を担当している複数のオペレータ又はサービス技術者によって利用される。
さらにこの印刷システムは、複数の操作フィールドコンピュータ14及び/又は複数のサービスコンピュータ15を有し、複数の印刷機操作フィールドコンピュータ18に接続されていてもよい。
サービスコンピュータ15,17は、それらのアクセス権に関して、操作フィールドコンピュータ14とは異なっており、サービスコンピュータ15,17は、さらに先の方で説明するように、操作フィールドコンピュータ14よりも多くの印刷システムの設定を行うことが許されている。サービスコンピュータでは、例えば、印刷システムにソフトウェアコンポーネントのインストールを行うことができるが、操作フィールドコンピュータ14では行うことができない。
制御装置2は、遠隔制御モジュール(PCI:電力制御インターフェース)19を有している。この遠隔制御モジュール19を用いることによって遠隔制御で制御装置2の立ち上げとシャットダウンを行うことが可能である。さらにこの遠隔制御モジュール19により、制御装置2を遠隔制御するさら成る機能が提供される。
この印刷システムでは、コンピュータ14,15,17,18上に複数の操作フィールドが設けられている。
制御装置2のホストコンピュータ10には、コンピュータディスプレイ上に印刷機のための操作フィールドを表示させ得る複数の操作フィールドモジュールを含んだ操作フィールドモジュールライブラリ20が設けられている(図3)。前記操作フィールドモジュールにより、コンピュータのディスプレイ上に表示される操作フィールドを介して印刷機1を制御することも可能に成る。
印刷機操作フィールドコンピュータ18は、SPO−LANを介して操作フィールドモジュールライブラリ20に接続されている。印刷機操作フィールドコンピュータ18には、操作フィールドを表示させ、また対応する制御機能を実行させるクライアントプログラムが設けられている。
操作フィールドモジュールライブラリ20は、ウェブユーザーインターフェース21に接続されており、このウェブユーザーインターフェース21は、操作フィールドモジュールライブラリ20の操作フィールドモジュールをブラウザ内で使用できるようにするウェブサーバーである。本実施形態では、ウェブユーザーインターフェース21は、アパッチトムキャットサーバーによって実現されているが、基本的には、他のウェブサーバーも適する。
このウェブユーザーインターフェース21は、同じコンピュータ上に設けられたブラウザ22と直接通信することができ、その際にはウェブソケット24,25を介して通信が実施される。さらに別のコンピュータ14,15上に設けられている「外部」のブラウザ23との通信のために、ウェブユーザーインターフェース21にはそれぞれさらに別のウェブソケット24が結合されている。このウェブソケット24,25は、データリンクを介してウェブソケット24,25が設けられているコンピュータに接続されているブラウザに対し、持続的な論理インターネット接続を形成することができるインターフェースを形成するソフトウェアモジュールである。ここでこのデータリンクは、例えばデータネットワークである。
これにより、ホストコンピュータ10におけるブラウザ22と、コンピュータ14,15におけるブラウザ23とは、ウェブユーザーインターフェース21から持続的に情報を供給することができ、乃至は、いつでも複数の情報や特定のメッセージを、ウェブユーザーインターフェース21に伝送することができる。ブラウザ22,23は、このために1つずつの対応するウェブソケット25を有する。
以下では、様々なコンピュータに設けられている個々のソフトウェアモジュールを詳細に説明する。
ホストコンピュータ10には、既に説明した操作フィールドモジュールライブラリ20と、ウェブユーザーインターフェース21と、ブラウザ22との他に、オペレーティングシステム26と、ファンクションコード27と、ハードウェアに対するインターフェースのためのインフラストラクチャマネージャ28と、ウェブユーザーインターフェースデータベース29と、ウェブユーザーインターフェースプラグイン30と、トレースモジュール31とが設けられている(図4参照)。
トレースモジュール31は、印刷機1及び/又は制御装置2において実行されたソフトウェアコンポーネント及び/又は他のコンピュータ8,14,15,16,17,18上で実行される「外部の」ソフトウェアコンポーネントの全てのエラープロトコルを記録するために用いられる。
ファンクションコード27は、とりわけ印刷に係るソフトウェアルーチン、例えばホストコンピュータ10からラスタコンピュータ1への印刷データの負荷分散、ラスタコンピュータ11上での印刷データのラスタ処理のためのラスタ処理計算、ラスタ処理された印刷データのインターフェースコンピュータ12上での一次的な記憶(キャッシュ)などを制御するために形成されている。前記ファンクションコード27により、到来する印刷ジョブが、印刷機1において印刷され得るように処理される。
ウェブユーザーインターフェースデータベース29は、ウェブユーザーインターフェース21を作動するための全ての持続的なデータを含んでおり、例えば長期データ、ユーザーコンフィグレーションのためのデータ、設定、例えば一連のセンサのための初期化データ、後の方で説明する制御構造のためのデータ、並びにウェブユーザーインターフェース21を作動するために必要と成るさら成るデータなどを含んでいる。
ウェブユーザーインターフェースプラグイン30は、対応するウェブユーザーインターフェースプラグイン30が設けられているローカルコンピュータ若しくは別の外部コンピュータとの通信のために用いられる。ウェブユーザーインターフェースプラグイン30には、予め定められたタスクやアプリケーションがファイルされている。
操作フィールドモジュールライブラリ20は、複数の操作フィールドモジュールを含む。これらの操作フィールドモジュールについては以下で詳細に説明する(図5)。
DEエージェント(デバイスエージェント)32は、操作フィールドと印刷システムとの間の通信用のデータリンクを形成し、操作フィールドと印刷システムとの間の結合要素に成る。さらに、DEエージェント32は、プリンタステータスを利用可能にするための標準化されたインターフェースを準備する。
RMIサーバー(リモートメソッドインヴォケーションサーバー)33は、複数の機能を有しており、これらの機能は、外部コンピュータから呼び出し可能であり、かつ、当該RMIサーバーが実行されているコンピュータ上で、例えばイベントのさら成る処理のために実行可能である。また、RMIサーバーは、こうしたリモートアクセスを可能にする若しくは容易にする複数の機能を利用できる。こうした機能は例えばアクセスチケットの設定であり、以下に詳細に説明する。
ORSエージェント(オセ・リモートサービスエージェント)34はハードウェアデータ及びソフトウェアイベントのデータを収集し、これらのデータをホストコンピュータ10から(図示されていない)サービスセンタのコンピュータへWAN(ワイドエリアネットワーク)を介して伝送する。
トレースエージェント35により、他のモジュールのトレースデータの記録若しくはロギング及びこれらのデータの処理が可能と成る。
ウェブサーバー36は、操作フィールドをコンピュータ14に表示して制御可能にするために、例えばJavaプログラミングライブラリなどのプログラミングライブラリをホストコンピュータ10からコンピュータ14へダウンロードできる。また、ウェブサーバー36は、コンピュータ14上の操作フィールドを初期化するために、ウェブスタート機能、例えばJavaウェブスタート機能を準備する。この実施形態では、ウェブサーバー36はアパッチトムキャットサーバーによって実現される。但し、基本的には、このために他の全てのウェブサーバー、他の全てのプログラミングライブラリ及び/又は他の全てのウェブスタート機能も適する。システムパラメータマネージャ(SPマネージャ)37はモジュール間でのデータ分配に用いられる。
SEAエージェント(サービスイベントログエージェント)38は、発生するイベントのプロトコル又はログファイルをガイドする。
OPマスター39は、ネットワークインターフェース、例えばパラメータを印刷機1へ伝送するため及びパラメータを印刷機1から伝送するためのSNMPゲートウェイを利用可能にする。
UICエージェント(ユーザーインターフェースコントローラエージェント)40により、予め設定されたフローの制御、又は、ホストコンピュータ10に接続された印刷システムの所定の状態の設定が可能と成る。例えば、これにより、印刷機1の動作準備過程が自動的に実行することができる。
TRファイルコレクタ41は、トレースエージェント35を補完するものとして、ホストコンピュータ上で動作する外部のメーカから供給されたプログラムのトレースデータを収集して処理するエージェントである。
Ops−PAC(Opsプリヴィリジドアクセスサービス)42は、所定の機能を実行する他のエージェント又は他のアプリケーションに特権(管理者権限)を割り当てるために用いられる。当該特権は、エージェント又はアプリケーションを所望の効果で実行するために一時的に必要と成る。
RDPエージェント(リモートダイアグノーシスプロセスエージェント)43は、内部サービスインターフェースを提供する。
エラーエージェント44は、エラーの設定、収集、分配、表示及びリセットに用いられる。
CDCエージェント45は、他のエージェント若しくはモジュールへの印刷パラメータを規格化して他の印刷機1の他の制御装置2に転送するのに用いられる。これらの印刷パラメータは例えば紙幅、色などである。
ウェブユーザーインターフェース21は、複数のウェブユーザーインターフェースモジュールを含む。これについて次に詳細に説明する(図6)。
ウェブサーバーモジュール46、例えばアパッチトムキャットは、ウェブユーザーインターフェース21の上述したウェブサーバー機能を提供する。ウェブサーバーモジュール46及び上述したウェブサーバー36は、ホストコンピュータ10で実行可能であるか又は実行されるウェブサーバーに統合することができる。
ウェブサーバー46には、ウェブサーバーモジュール46の制御、特に操作フィールドを規定するデータオブジェクトに関する制御のための、規則、メソッド、機能、クラス及び/又は構造を提供するフレームワーク47が存在している。この実施形態では、フレームワーク47はGrailsフレームワークである。但し、基本的には他のフレームワークも適する。
ウェブサーバーモジュール46又はウェブユーザーインターフェース21の制御のプログラミングは、プログラムコード48を用いて行われる。さらに、プログラムコード48の一部であるプログラムルーチンは、必要に応じて実行のためにブラウザ22,23に伝送され、伝送された当該プログラムルーチンによって、後述するように、好ましくは操作フィールドファイルにおいて、ブラウザ22,23が制御される。プログラムコード48は1つ若しくは複数の(スクリプト)プログラミング言語で作成される。この実施形態では、使用される(スクリプト)プログラミング言語はJava及びGroovyである。基本的には他のプログラミング言語又は他のスクリプトプログラミング言語も適する。プログラムコード48は印刷機固有のプログラム、プログラムルーチン、メソッド、機能、クラス、構造及び/又は拡張を含む。
外部のプラグイン49及び外部のライブラリ50は、ウェブユーザーインターフェース21のプログラミング及び/又は制御のための別の機能を供給するために用いられる。
ウェブサーバーサービス(英語:services)51は、ウェブユーザーインターフェース21によって外部通信パートナーに提供される。ここで、外部通信パートナーとは、ウェブユーザーインターフェース21の外部に存在してこれと通信する機器、装置、設備又はソフトウェアモジュールである。ウェブサーバーサービス51は外部の通信相手によって初期化され、ウェブユーザーインターフェース21内の機能を実行する。
ビュー(英語:views)52を用いて、操作フィールドのユーザーインターフェースでの表示のためにデータが処理される。コントロールストラクチャ(英語:controllers)53は、ウェブユーザーインターフェース21内の制御機能を引き継ぎ、表示すべきデータの内容を処理して、機能及びデータを準備する。この場合、特に、ブラウザ22,23からの問合せに対して表示すべきデータがビュー52に準備される。
ウェブサーバーサービス51は、複数のサービス要素を含む。これにつき以下に詳細に説明する(図7)。
IsMaサービス(インフラストラクチャマネージャサービス)54は、プラグインを呼び出せるようにし、また「外部」のシステム、例えば他のコンピュータ11,12上の他のIsMaサービス28と通信するために用いられる。
メニューサービス55により、メニューストラクチャが形成及び管理される。例えば「外部」のシステムにメニューをダイナミックにダウンロードすることができる。
PushHelperサービス56により、「外部」システムへの制御された時間的に段階付けられた状態でのデータの引き渡しと負荷分散とが可能に成る。
RMIサービス57により、ウェブユーザーインターフェース21と操作フィールドモジュールライブラリ20のRMIサーバー33との間の通信が可能と成る。
スケジューラーサービス58は、ソフトウェアイベントに応答し、時間に応じて予め計画されたタスク、例えばデータベースのクリーンアップを実行する。
ブラウザ22,23は種々のブラウザ要素を含む。これについて以下に説明する(図8)。
(スクリプト)プログラミング言語モジュール59は、ブラウザ22,23の制御、及び、これらのブラウザとウェブユーザーインターフェース21との通信の制御に用いられる。(スクリプト)プログラミング言語モジュール59は、スクリプトプログラミング言語又はプログラミング言語用のインタープリタ又はコンパイラである。この実施形態ではJavaスクリプトがスクリプトプログラミング言語として使用される。但し、基本的には、他の(スクリプト)プログラミング言語も適する。
マークアップ言語モジュール60により、ブラウザ22,23に伝送されたマークアップ言語ファイルの解釈及び表示が可能と成る。ここで、マークアップ言語は、上述したように、電子ドキュメントにおけるテキスト、画像及びハイパーリンクなどのデジタルコンテンツの構造化に用いられる。この実施形態では、マークアップ言語は、現在ワールドワイドウェブコンソーシアムで作成されている規格“HTML5”(英語:Hypertext Markup Language 5)にしたがって実現されている。但し、基本的には他のマークアップ言語も適する。
ドキュメントアクセスインターフェース61は、構造化された電子ドキュメント、例えばブラウザ22,23へ伝送されるマークアップ言語ファイルへのアクセスを可能にするインターフェースである。この場合、そのデータ構造はツリー構造の形態で表示することができる。この実施形態では、ワールドワイドウェブコンソーシアムで定義されている“DOMLevel3”規格(英語:Document Object Model Level 3)に準拠したドキュメントアクセスインターフェースが用いられる。但し、基本的には、他のドキュメントアクセスインターフェースも適する。
設計言語モジュール62により、フォーマット化のためのテキストベースの設計言語、又は、構造化された電子ドキュメントのスタイルシートのための宣言型プログラミング言語が利用可能に成る。設計言語モジュール62を用いると、ブラウザ22,23に伝送されるマークアップ言語ファイルの表示が整形される。この実施形態では、設計言語は、ワールドワイドウェブコンソーシアムで定義されている“CSS3”規格(英語:Cascading Style Sheets)に準拠して実現される。但し、基本的には、他の設計言語も適する。
ラスタコンピュータ11は種々のソフトウェアコンポーネントを含む(図9)。この実施形態では、こうしたソフトウェアコンポーネントは、既に上述した、オペレーティングシステム26、ファンクションコード27、インフラストラクチャマネージャ28及びウェブユーザーインターフェースプラグイン30である。
インターフェースコンピュータ12は、種々のソフトウェアコンポーネントを含む(図10)。この実施形態では、これらのソフトウェアコンポーネントは、上述したオペレーティングシステム26、ファンクションコード27、インフラストラクチャマネージャ28及びウェブユーザーインターフェースプラグイン30である。これらのソフトウェアコンポーネントに加えて、さらに、インターフェースコンピュータ12から印刷機構制御部5への印刷データの伝送を可能にする印刷機構制御ドライバ63も設けられている。
印刷機制御部4は、種々のソフトウェアを含む(図11)。これについて以下に説明する。
メインモジュール64は印刷機制御部4の別のソフトウェアコンポーネントを制御及び監視するために用いられる。
用紙搬送モジュール65は、印刷機1の繰出し器6及び巻取り器7及び(図示されていない)別の駆動ローラを駆動することにより、印刷機1の用紙搬送を制御する。
印刷ユニットモジュール66は、(図示されていない)センサによって、印刷能力及び/又は印刷品質に直接若しくは間接的に影響する印刷機構4の種々のパラメータ、例えば温度、空気湿分、用紙の有無などを検出する。印刷ユニットモジュール66は、検出されたパラメータを評価することにより、検出されたセンサデータから印刷機ステータスを求める。この評価は、そのつどのパラメータ値が印刷機構4の通常の動作を定義する予め設定された値範囲内に存在するか否かを検査することにより行われる。印刷機ステータスはホストコンピュータ10へ通知される。
遠隔制御モジュール19は、ソフトウェアコンポーネントとして、オペレーティングシステム26及びSNMPサービス(シンプルネットワークマネージメントプロトコルサービス)67を含む(図12)。SNMPサービス67は、遠隔制御モジュール19が制御装置2の他の装置と単純なネットワーク通信を行う際に用いられる。
操作フィールドコンピュータ14は、ソフトウェアモジュールとして、オペレーティングシステム26、ブラウザ23及び操作フィールドユーザーインターフェース68を含む(図13)。操作フィールドユーザーインターフェース68により、操作フィールドコンピュータ14上に印刷機1及び/又は制御装置2を操作するための複数の操作フィールドを表示し、このフィールド内で設定を行うことができる。操作フィールドユーザーインターフェース68は、ウェブサーバー36から操作フィールドコンピュータ14へダウンロードされるJavaプログラミングライブラリとJavaウェブスタート機能とによって、上述したように初期化及び表示及び制御される。
サービスコンピュータ15,17はソフトウェアコンポーネントとしてオペレーティングシステム26,ブラウザ23及びサービスモジュール(CoDi:コンフィグレーションアンドディアグノスティクス)69を含む(図14)。サービスモジュール69を用いて、印刷機1及び/又は制御装置2のコンフィグレーションを変更して、印刷機1又は制御装置2からソフトウェア診断及び/又はハードウェア診断のための情報を受信することができる。
本発明によるこの実施形態では、ホストコンピュータ10に接続されている複数のコンポーネントをスキャンするため、少なくともいくつかのウェブユーザーインターフェースプラグイン30が形成されている。ここでコンポーネントとは、データリングを介して直接又は間接的にホストコンピュータ10に接続されておりかつこれによってIPアドレスを介して通信を行うことができるクライアントコンピュータを有する、印刷システムのすべての部分のことである。クライアントコンピュータとは、生産システム内に設けられておりかつデータリンクを介して直接又は間接的にホストコンピュータ10と通信することができるすべてのコンピュータ及びマイクロプロセッサのことである。コンポーネントの例は、印刷機構111,112,調節機構123,反転ユニット124,レジスタユニット125,トラクション機構126,定着ユニット130,空調モジュール140、液体制御ユニット171、印刷機制御部4、印刷機構制御部5、ラスタコンピュータ11、インターフェースコンピュータ12、及び、遠隔制御モジュール19である。
プラグインとは、決められたパラメータによって呼び出されかつ予め定められたリターン値についてのハードウェア又はソフトウェア情報を供給するコマンドラインプログラムのことである。このようなプラグインは一般的に、コマンドラインから起動することができるスクリプト又はコンパイル済みのプログラムであり、これによって対応するパラメータが呼び出される。
これらのプラグインは、標準化された呼び出し/リターンインターフェースを有する。異成るタイプのコンポーネント及び/又はモジュール毎に異成るプラグインが設けられる。プラグインは、各コンポーネント及び/又はモジュール及び/又はアプリケーションソフトウェアモジュールのインターフェースと通信して、複数の値(論理値及び/又は数値)を含むステータスデータを読み出し、これらのコンポーネント、モジュール、アプリーションソフトウェアモジュール又はこれらの部分の特性を記述する。これらのステータスデータは、プラグインによって分析され、場合によってさらに処理され、これによってこれらのステータスデータから、生産システムの所定のパラメータに対応付けることができる複数の値を抽出することできる。プラグインは、複数のコンピュータ又はネットワークの所定のデータ処理モジュールを読み出すことができ、例えばRAIDコントローラ、GbEスイッチ、無停止電源又は所定の生産モジュールを読み出すことができ、例えば印刷ヘッド、定着ステーションの加熱装置、又は例えば温度センサのような生産システムに配置された複数のセンサを読み出すことができる。ここでは特に、エラーを求めるのに関連しているステータスデータが検出され、例えばエラーカウンタ(error counter)又はモジュール若しくは生産システムの動作に関連する値を測定する所定のセンサが検出される。これらのプラグインは、これらの値に基づいてエラー及び/又は警告信号を形成することができ、これらのエラー及び警告信号には異成る優先度を付与することができる。
プラグイン30は、生産システムのすべてのコンポーネントをスキャンする。これらのコンポーネントをスキャンする際には、例えばIPアドレス、MACアドレス、ARPリスト、個々のクライアントコンピュータの遠隔制御機能の有無、並びに、印刷機1のデータリンク及び内部LAN9のスプリッタ(スイッチ)の使用されているポートなどのような基本情報をまず求める。このステップでは、アドレス及び各コンポーネントに固有の識別子を、例えば予め定められたコンポーネントIDなどを求める。これらのアドレス及び識別子により、ホストコンピュータ10と各コンポーネントとの間の通信を確立することができる。
MACアドレスは、1つのコンポーネントにつき全世界で一意のネットワークアドレスである。このMACアドレスはIPv4ネットワーク標準規格に従い、ARPリストを介して、各コンポーネントに対応した各IPアドレスに結合されている。このARPリストは、各ネットワーク加入者が管理し、他のネットワーク加入者のARP要求に従って更新するものである。
各クライアントコンピュータは遠隔保守機能を有することができる。この遠隔保守機能は、例えばコンパック(Compaq)社の、市場にて出回っている製品「Integrated Lights-Out」等のように、予め定められたポートを介して提供される。
印刷システムへ統合されることは、所定のコンポーネントしか許可されていない。このコンポーネントはそれぞれ、この種のコンポーネントに典型的なコンポーネントIDを有する。このコンポーネントIDは、所定のコンポーネントに対して既に設けられた典型的な識別子とすることができる。機器固有の識別番号を有する市販の機器が存在する。機器の特定の種類に固有であるこの識別番号を、コンポーネントIDとして使用することができる。コンポーネントが本来的に、各コンポーネントの種類に固有の識別子を有さない場合には、当該コンポーネントに上述のようなコンポーネントIDを付与する。コンポーネントはクライアントコンピュータを備えているので、このコンポーネントIDをクライアントコンピュータのメモリに記憶しておくことができる。
走査の第2のステップは、各コンポーネントから更成る詳細情報を読み出すための、ホストコンピュータ10上に実装されたプラグイン30と各コンポーネントとの通信を含む。この詳細情報は例えば、コンフィグレーション設定情報を含むか、又はコンポーネントの状態を記述する状態を、例えば稼働時間又は各コンポーネントにより印刷されるページ数若しくは枚数を含むことができる。
コンポーネントは、標準オペレーティングシステム機能を用いて、まず最初に走査される。例えば、Ping問合せを用いてコンポーネントを呼び出すことができる。このPing問合せのIPアドレスは、記憶及び更新されたARPリスト内の情報に基づいて求められる。さらに、予め定められたIPアドレス空間を走査することも可能である。
また、データリンクを介して転送されたメッセージを読み出して解析することも可能である。その際にはとりわけ、ネットワークに接続されたコンポーネントから基本情報を受け取ることができる。
ホストコンピュータ10には、印刷システムへの統合を許可されたコンポーネント毎に制御テンプレートに記憶されている。走査により求められた固有の識別子に基づき、各コンポーネントに対して各テンプレートが割り当てられる。このテンプレートは、コンポーネントに固有の監視ルーチン(モニタリングサービス)と、動作中に遵守すべき制御パラメータとを含む。さらにテンプレートは、印刷システム全体におけるコンポーネントの位置に依存して当該コンポーネントの動作を規定するコンフィグレーション設定パラメータを含むこともできる。前記監視ルーチンはウェブ‐ユーザーインターフェース21において、転送された制御パラメータに応じて構築され、ここで実行される。このようにしてウェブ‐ユーザーインターフェース21は、各コンポーネントを監視及び制御するための制御手段として機能する。ウェブ‐ユーザーインターフェース21において監視ルーチンが構築されるときには、作成されたネットワークプランのトポロジも考慮される。このネットワークプランから、各コンポーネントがどのように相互に接続されているかが分かる。上述の制御手段(=ウェブ‐ユーザーインターフェース21及び監視ルーチン)はこのようにして、制御テンプレートとネットワークプランとに基づき自動的に構築される。以下、このネットワークプランの作成について詳細に説明する。
走査時に、対応する制御テンプレートが存在しないコンポーネントが検出された場合、このコンポーネントを未知のコンポーネントとして識別する。この未知のコンポーネントは、同様の未知のコンポーネントを解析するためのルーチンを用いて詳細に検査することができる。この解析により、当該コンポーネントの信頼できる説明が得られない場合には、この未知のコンポーネントとのデータリンクを切断する。このことにより、如何成るコンポーネントも任意に印刷システムに統合されることがないことが保証される。好適なのは、印刷システムにおいて、予め許可及び証明されたコンポーネントのみを許容することである。
前記プラグインは、前記制御手段と監視対象のハードウェア及びソフトウェアとの間の、一種の抽象化レイヤーである。制御手段は、使用されるコンポーネントやモジュールに完全に依存しないように構築されている。プラグインは単独では、ハードウェア及びアプリケーションのインターフェースに固有に構築されている。前記プラグインを用いると、静的パラメータの他に動的パラメータも監視することができ、例えばデータ誤り率、プロセス温度、室温、空気中湿度、CPU電圧又はその他の値を監視することができる。プラグインには既に、特定の値に関する統計を作成することができる。前記制御手段は、複数の異成るプラグインにより生成されたデータを組み合わせて一緒に評価することができる。前記プラグインだけが、各モジュール、各コンポーネント及び各アプリケーションソフトウェアモジュールに固有に構成されているので、これらの独自性を考慮すべきなのは、プラグインの作成時のみだけである。よって、生産システムに関して許可されるコンポーネントに対応したプラグインを作成して、実行のために、当該プラグインをウェブ‐ユーザーインターフェース21によって呼び出せるようにメインコンピュータ10に記憶することにより、コンポーネントを簡単に統合することができる。
図18は、標準化された呼び出しパラメータを示すテーブルである。この呼び出しパラメータは、該当のプラグインを呼び出すときにどの情報を伝送すべきかを特定するためのものである。各パラメータは、「-」と1つの文字とを用いて、又は、「--」と、例えば version、help、timeout、warning、critical 等の対応するパラメータ名とを用いて、呼び出すことができる。パラメータ - w(-- warning)により、警告状態に対応する閾値が引き継がれ、パラメータ - c(-- critical)により、クリティカル状態に対応する閾値が引き継がれる。パラメータ - v(-- verbose)を用いると、エラー分析に適した詳細情報(=ステータスデータ)を呼び出すことができる。上記閾値を用いると、このステータスデータがクリティカル状態を意味するのか、又は警告状態を意味するのかを判断することができる。前記閾値は、範囲の形態で指定することも可能である。範囲は、数値スケール上の開始点及び終了点を有する。この開始点又は終了点は、+/−とすることも可能である。
図19は、標準化された他の呼び出しパラメータを示すテーブルであり、この他の呼び出しパラメータは、実行すべき問合せを認証するために用いられるものである。
図20は、プラグインの呼び出ししにおける範囲指定の例である。
図21は、各呼び出しパラメータを用いて仮定上のプラグイン「check_stuff」を呼び出すためのコマンド行を列挙したテーブルである。
プラグインは、出力として少なくとも1行のテキストを出力するように構成されている。しかし、複数行のテキストを出力することも可能である。
以下、一例として、HP社のGbEスイッチを検査するためのプラグインの出力を挙げる。すなわち、
switch OK−HP ProCurve 1810G−24 GE, P.2.12, eCos-2.0, CFE-2.1, GbESwitchLAN1。
他の例として、ブレードと称されるサーバーにおいて特定のスロット「9」においてエラーが生じた、HPサーバエンクロージャ(英語:enclosure)を検査するためのプラグインの出力がある。すなわち、
CRITICAL System: Blade Bay 9 error; Device Degraded; MP reports device is degraded. Check MP LOG for more details。
さらに、電力制御インターフェース(PCI)を検査するためのプラグインの出力も示す:すなわち、
PCI OK−U24482−C6100-V170000, 15:27:26 up 9 days, 7:46, load average: 0.41, 0.46, 0.41。
プラグインの出力は、性能データ(performance data)、コンフィグレーション設定データ(静的又は動的)、及び、対応するコンポーネントコードを提供することができる。
プラグイン30によって収集された情報は、編成されて構造化される。情報の「構造化」とは、情報乃至はデータを操作フィールド又は他のグラフィックユーザーインターフェース(GUI)においてフォーマッティングした状態で出力できるようにフォーマッティングすることも意味する。好適なのは、データを、各行に特定のパラメータの説明と、その値とが含まれる表形式にすることである。既にプラグインによって上述のように構造化されているデータは、制御手段がそのまま直接引き継いで、操作フィールドにて表示することができる。本実施例では、これらのデータはJSON/XMLファイルとしてまとめられる。データをこのようにまとめて構造化することにより、ネットワークプランのトポロジが定義される。この構造化されたデータは、ウェブ‐ユーザーインターフェース21へ引き渡される。
好適には前記プラグインは、当該プラグインによって静的パラメータを問合わせることができるように構成されている。こうするためには例えば、問合せパラメータ“-- static”乃至は“-- json static”が設けられており、後者の場合には、パラメータ値はJSONフォーマット(Java Script Object Notation)で出力される。このような静的パラメータ値は、コンフィグレーション比較に用いることができる。こうするためには、制御手段に基準データベースを保管しておく。この基準データベースは、生産システムに統合されることを許可されているすべてのコンポーネント及び/又はモジュールの静的パラメータを含む。これらの静的パラメータは、コンポーネント及び/又はモジュールの一種の指紋と成るので、どのコンポーネント乃至はどのモジュール乃至はどのアプリケーションソフトウェアモジュールが生産システムに設けられているかを、この静的パラメータに基づいて特定することができる。このことにより、生産システムのコンフィグレーション設定を自動的かつ完全に取得することができる。
前記制御手段は、取得された静的パラメータと、基準データベースに保持されている静的パラメータとの差を競合として判定することにより、静的パラメータに基づく上記の「指紋」をコンフィグレーション競合の検出に使用することができる。
また、上記の「指紋」は、生産システムの自動構築にも用いることができる。コンポーネントによって、生産システムのために新たなバージョンが許可されたときには、この新規のコンポーネント又は新規のモジュールに対応するコンフィグレーションテンプレートを1回作成するだけでよい。このコンフィグレーションテンプレートは、ホストコンピュータ10にロードされる。コンポーネント又はモジュールの新規バージョンが生産システムに組み込まれると、静的パラメータの指紋に基づいて、コンポーネント乃至はモジュールのこの新規バージョンが検出され、コンフィグレーションテンプレートを用いて生産システムにおいて正確に構築される。この構築は自動的に行われるので、新規バージョンのコンポーネント及びモジュールを統合するのに係るコストが格段に削減される。このことは特に、冒頭に述べたように2年未満の定期的な生成サイクルを施される標準的コンピュータを、生産システムにおいて用いるときに有利である。
コンフィグレーションテンプレート、及び、上記にて説明した制御テンプレートは、生産システムにおいて新規のコンポーネント及び/又は新規のモジュールが検出されるたびに適用されるので、特定のコンポーネント又は特定のモジュールの制御テンプレート及びコンフィグレーションテンプレートを、各コンポーネントを監視するための制御手段の構築と、生産システム自体の構築との双方に適した1つのテンプレートにまとめることもできる。
上記にて説明した指紋を用いることにより、コンフィグレーションテンプレートを用いることにより自動構築を実行できるようにするための、各コンポーネント又はモジュールの正確な説明が得られる。よって、この指紋は好適には、コンポーネント又はモジュール自体を記述する1つ又は複数の静的パラメータ(シリアル番号、コンポーネントID、型式名等)と、コンポーネント又はモジュールの構成を詳細に定義する1つ又は複数の静的パラメータ(例えば、インストールされた記憶領域、ポート数、コンポーネント乃至はモジュール上にインストールされたソフトウェアの識別子、特にファームウェア及びオペレーティングシステムソフトウェアの識別子、及び/又は、例えば、現在位置、乃至は、取付スペース等(英語:「location」)、社内アドバイザ(英語:「maintainer」)、検査試行の最大回数(英語:「max check attemps」)、(外部)サービス連絡先(英語:「contact」)、エラー時の新規サービスメッセージに係る期間(英語:「notification period」)、検査インターバル(英語:「retry interval」)等の好適な設定の記述)との双方を含む。設定を記述する上記パラメータは、各コンポーネントにおける設定を、及び/又は、新規に追加されたコンポーネント及び/又は新規に追加されたモジュールと協働する他のコンポーネント並びに/若しくはモジュールにおける設定を定義することができる。また、複数のコンポーネント乃至はモジュールに重要である特定のパラメータについて自動構築を行う際に、当該複数のコンポーネント又はモジュールすべてに適した1つ又は複数の値を求めるために共通集合を形成できるように、特定のパラメータの設定時に遵守すべき領域を規定することも可能である。
前記走査により、上記にて既に説明したように、生産システムの各コンポーネントに関する情報が得られる。プラグインによって求められたMACアドレスに基づき、生産システムのネットワークのトポロジを求めることができる。求められたこのトポロジは、階層構造のネットワークプランを表す適切なデータ構造で記憶される。その際に好適なのは、内部LAN9が、乃至は、内部LAN9を構成する複数のスイッチのうちいずれか1つが、このネットワーク階層構造において最上位にあることである。その際には、内部LAN9の各スイッチに接続されたコンポーネントは、階層的に当該スイッチの次に分類される。各コンポーネント、スイッチ等の詳細情報は、上記にて説明したように、前記走査によって既に分かっている。この詳細情報は、ネットワークプランを表すデータ構造の後続のステップにおいて、MACアドレスにより参照されるコンポーネントへ追加される。このような詳細情報の追加によってネットワークプランが作成され、他のコンポーネント及び/又はソフトウェアモジュールがこのネットワークプランを更に使用することができる。
コンポーネントの走査と、ネットワークプランの作成とを、繰り返し実施することも可能である。有利には、印刷システムが再起動する度にネットワークプランを作成する。走査時には有利には、各コンポーネント及び/又はモジュールを、上記にて説明した指紋に基づいて検出する。しかし基本的には、少なくとも2つの静的パラメータ、有利には少なくとも3つの静的パラメータを含む上述の指紋に代えて、1つのパラメータのみに基づいて、特にコンポーネントIDにのみ基づいて、コンポーネントを検出することも可能である。
さらに、所定の期間の経過後にネットワークプランを新規作成することも可能である。この期間は、数時間から数日までの範囲内とすることができる。好適には毎日、新規のネットワークプランを作成する。このネットワークプランは好適には、印刷システムの状態を記録するためにアーカイブ保存される。
さらに、印刷システムにおいて新規のコンポーネントが検出された場合、当該印刷システムの走査を行って新規のネットワークプランを作成することも好適となり得る。
上述のように作成されたネットワークプランは、操作フィールドにおいて可視化することができる(図15a,15b)。この可視化に際しては、ネットワークプランを複数の異成るカットでそれぞれ異成る拡大率で表示することができる。
操作フィールドを構築するために、上述の作成されたネットワークプランを用いることも好適である。各テンプレートは操作フィールドのうち、操作フィールド‐モジュールライブラリ20の予め定められた操作フィールドモジュールを参照する部分も含むことができ、又は、当該操作フィールドモジュールを補足する部分も含むことができる。
各コンポーネント(図16)及び各コンポーネントの詳細(図17)を、操作フィールドにて表示することも可能である。
さらに、ネットワークプランをエクスポートすることも可能である。このエクスポートは、データ構造又は画像ファイルとして行うことができる。エクスポートされるデータを、エクスポート前にフィルタリング処理することも可能である。例えば、各コンポーネントの稼働時間及び/又は生産単位数(例えば印刷ページ数)を実施するサービス技術者用に、ネットワークプランのエクスポートを設けることができる。どのコンポーネントを修理乃至は保守すべきかをサービス技術者が即座に分かるように、エクスポートファイルにエラーメッセージを包含させることが可能である。
また、上述のデータを他の目的のために処理することにより、エクスポートされるデータが、各コンポーネントの使用乃至は材料の使用を説明する、会計及び/又は保守契約に関するデータを含むようにすることも可能である。このデータは、種々のフォーマット(例えばpdf、SAP、xls)でエクスポートすることができる。稼働効率乃至は企業管理においては、各コンポーネントの信頼性を記述する静的データと共にネットワークプランをエクスポートすることも好適となり得る。
よって、自動的に取得された上記ネットワークプランは、多方面にわたって使用することができる。
本発明の方法により、以下の利点が奏される。:すなわち、
印刷システムの各コンポーネントの重要な情報が常に全て得られること
如何成るときにも、オペレータが印刷システムを簡単に概観できるようにネットワークプラン乃至はネットワークスキーマを可視化すること
印刷システムの最新の状態を、参照としてアーカイブ保存すること
制御手段の構築を完全自動で行うこと。このことによりエラーを回避することができ、印刷システムは、どのようなコンフィグレーション設定でも迅速に稼働させることができる
印刷システムの新規のコンフィグレーション設定の作成時に面倒なプログラミング作業を行う必要が無く成ること
印刷システムのコンフィグレーション設定の変化を監視し、迅速に検出すること
アドレス競合を検出すること。このアドレス競合は例えば、サービス技術者及び/又は開発者が、適正に設定されていないコンピュータを印刷システムに接続したときに生じ、このコンピュータの接続を拒否すること、又は、これによる競合を自動修正することができる。
インストールされるソフトウェアコンポーネントの、他のソフトウェアコンポーネントやハードウェアコンポーネントに対する依存性を検査し、生産システムにインストールされるソフトウェアを管理するように当該ソフトウェアコンポーネントを当該生産システムにインストールするため、本発明の方法を拡張することができる。
以下、特に印刷システム等である生産システムのソフトウェアを効率的に管理できる、上述のように拡張された本発明の方法の一実施例を説明する。
インストール乃至は更新を行うためには、インストールされるソフトウェアを複数の個別のソフトウェアパッケージに分割する。このソフトウェアパッケージには、インストールされるソフトウェアコンポーネントの他に、名前、作成者、バージョン、簡易説明、詳細説明、他のソフトウェアコンポーネント乃至はソフトウェアパッケージ並びに/若しくはハードウェアコンポーネントに対する依存性、パケット署名、チェックサムを有するファイルリスト、使用されるレジスタデータベース値及び周辺変数等の、当該ソフトウェアコンポーネントを詳細に記述する情報も含まれている。
ソフトウェアコンポーネントが他のソフトウェアコンポーネント又はハードウェアコンポーネントに依存する場合、このソフトウェアコンポーネントが実行可能と成るためには、当該他のコンポーネントのインストールを前提条件とする。
ソフトウェアコンポーネントが他のソフトウェアコンポーネント又はハードウェアコンポーネントに依存する、ということは、少なくとも、他のコンポーネントの存在を含意する。さらに、各コンポーネントのバージョンも、前記依存性に影響を及ぼし得る。というのも、インストールされるソフトウェアコンポーネントが依存する他のコンポーネントのバージョン状態は、予め決まっているからである。
ソフトウェアパッケージのインストール前に上述の依存性を自動検査することは、本発明の方法により、コンポーネントについての上述の依存関係を、ソフトウェアパッケージに含まれる情報から抽出して、生産システムの各コンポーネントについて、必要なコンポーネントが生産システムにインストールされているか否か、乃至はソフトウェアコンポーネントが実行可能であるか否かを検査することにより行われる。
生産システムにインストールされたソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネントの検査は、ネットワークプラン及び/又は各コンポーネントの指紋に記憶されている情報によって、効率的に行うことができる。その際には、上記にて既に説明したネットワークプラン又は指紋から、生産システムにおいてソフトウェアコンポーネント及び/又はハードウェアコンポーネントが存在するか否かを効率的に判定することができ、かつ、コンポーネントのバージョンを効率的に特定することができる。
これにより、インストールするサービス技術者が依存性を手動で判別乃至は解明する必要が無くなり、本発明の方法を実施する際にインストール前に自動的に検査されることと成る。
生産システムの検査により、必要なコンポーネントが存在しないことが特定された場合には、各コンピュータ10,14,15,17に設置された操作フィールドにおいて警告メッセージを出力し、変更が行われないようにインストールを中止する。
警告の出力に代えて択一的に、インストールするサービス技術者によって開始された、ソフトウェアパッケージのインストールが実行される前に、必要なソフトウェアコンポーネントを自動的にインストールする。このことにより、ソフトウェアコンポーネントに必要な他のソフトウェアコンポーネントが存在することが保証される。ソフトウェアコンポーネントが存在しない場合、インストールされたソフトウェアに変更を施すことなくインストールを中止するか、又は、必要なソフトウェアコンポーネントを事前にインストールしておくことを試行するかを、事前に操作フィールドにおいて選択できるのであれば、ソフトウェアコンポーネントの依存性が検出された場合に所望する振舞いを、予め定めておくことが可能である。
よって、上述のソフトウェア管理システムにより、ソフトウェアのインストールが簡略化されて効率的に実施できるだけでなく、僅かなユーザーインタラクションで、生産システムのすべてのソフトウェアを、乃至は相互に依存するソフトウェアを、自動的に最新の状態にすることも可能と成る。
ソフトウェアコンポーネントのインストールが行われる間、及び、当該インストールの前に、当該インストールされるソフトウェアコンポーネントが依存する他のソフトウェアコンポーネントの先行のインストールが行われる間、インストールルーチンによって生産システムにおいて行われる変化を全て記録することにより、エラー発生時、例えば、インストール時又は生産システムの後の稼働時にエラーが発生したときに、完了したソフトウェアインストールをリセット処理できるようにし、生産システムのソフトウェアの初期状態に戻せるようにする。
さらに、本発明の方法により、生産システムにおいて実行可能であるソフトウェアコンポーネント全てを、中央において管理することも可能と成る。このように中央管理できることにより、種々のソフトウェアコンポーネントの概観を維持することが、より容易に成る。このことが特に好適であるのは、1つの生産システムには多数の異成るソフトウェアコンポーネントが、特にファームウェアとして存在しているからである。
ソフトウェアインストール時に行われる変更を記録することにより、以前のソフトウェア状態に迅速かつ簡単に戻ることができ、この以前のソフトウェア状態から、生産システムがこのソフトウェア状態で適正に機能していたことが分かる。
以下、とりわけ印刷システム等である生産システムの監視システムの第1の実施例について説明する(図22)。図22は、図2に示された印刷機1と繰出し器6と巻取り器7の詳細図である。図2において同一の符号が付された装置乃至は手段は、図22において同一の符号が付された装置乃至は手段と一致する。図22にはさらに、生産システムの管理システムに関連する、物理的に存在する接続部も示されている。
印刷機制御部4は、DE‐LAN70と、メインモジュール71と、用紙搬送用DE‐アッセンブリ72と、1つ又は複数の印刷機構用DE‐アッセンブリ73と、1つ又は複数のプリント基板74,75とを含む。メインモジュール71、用紙搬送用DE‐アッセンブリ72、及び、1つ若しくは複数の印刷機構用DE‐アッセンブリ73はDE‐LAN70に接続されており、このDE‐LAN70は内部LAN9に接続されている。
1つ又は複数のプリント基板74はCANバス76を介して、用紙搬送用DE‐アッセンブリ72に接続されている。さらに、1つ又は複数のプリント基板75は他のCANバス76を介して、各個々の印刷機構用DE‐アッセンブリ73に接続されている。用紙搬送用のプリント基板74は、前記繰出し器6に包含される繰出し器用アクチュエータセンサユニット77に接続されており、かつ、前記巻取り器7に備えつけられている巻取り器用アクチュエータセンサユニット78に接続されている。印刷機構用の1つ又は複数のプリント基板75は、1つ又は複数の印刷機構用アクチュエータセンサユニット79に接続されている。
DE‐LAN70により、内部LAN9乃至は内部LAN9に接続されたコンポーネントと、メインモジュール71、用紙搬送用DE‐アッセンブリ72及び1つ若しくは複数の印刷機構用DE‐アッセンブリ73との間において通信を行うことができる。
用紙搬送用DE‐アッセンブリ72は、CANバス76を介して用紙搬送用プリント基板74を駆動制御し、乃至は、当該用紙搬送用プリント基板74からステータスデータを受信する。用紙搬送用プリント基板74は繰出し器用アクチュエータセンサユニット77と巻取り器用アクチュエータセンサユニット78を駆動制御し、乃至は、これら両ユニットからステータスデータを受信する。
各印刷機構用DE‐アッセンブリ73は、それぞれ接続されたCANバス76を介して、当該CANバス76に接続された印刷機構用プリント基板75を制御し、乃至は、当該印刷機構用プリント基板75からステータスデータを受信する。印刷機構用プリント基板は、それぞれ接続された印刷機構用アクチュエータセンサユニット79を駆動制御し、乃至は、当該印刷機構用アクチュエータセンサユニット79からステータスデータを受信する。
ホストコンピュータ10乃至はコンピュータ11,12において、監視プログラムモジュールが実行可能であるか、乃至は、ここで実行される。この監視プログラムモジュールは、印刷システムのコンポーネント及び/又はコンポーネントグループのステータスデータを取得する。監視プログラムモジュールがこのステータスデータをウェブユーザーインターフェースプラグイン30へ引き渡すことができるように、監視プログラムモジュールには、各コンピュータ10,11,12毎にウェブユーザーインターフェースプラグイン30によってインターフェースが供給される。
さらに、ホストコンピュータ10においてウェブユーザーインターフェース21に評価装置80が設けられている。この評価装置80は、各ウェブユーザーインターフェースプラグイン30からステータスデータを引き継ぎ、このステータスデータをパラメータ値として、監視システムのパラメータセットのそれぞれ求められたパラメータに対応付ける(図6)。その際には、複数の異成る監視プログラムモジュールのステータスデータを同じパラメータに対応付けることにより、1つのパラメータに対し、複数の異成る監視プログラムモジュールからステータスデータとして引き渡された複数の異成るパラメータ値が対応付けられるようにすることができる。
評価装置80はさらに、前記パラメータ値を検査するようにも構成されている。その際には、特定の偏差をエラーとして推定する。
評価装置80によって監視される対象と成る、印刷システムのコンポーネントには、内部LAN9と、当該内部LAN9を介してコンピュータ11,12及びDE‐LAN70と、当該DE‐LAN70を介してメインモジュール71と、用紙搬送用DE‐アッセンブリ72と、1つ又は複数の印刷機構用DE‐アッセンブリ73とが含まれる。プリント基板74,75及びアクチュエータセンサユニット77,78,79を介して、評価装置80はさらに、印刷機構3と、繰出し器6と、巻取り器7とを監視する。
以下、図23を参照して、生産システムの監視システムの論理結合乃至は論理接続について説明する。同図には、図2及び図22と実質同じ構成を示している。図23にて示されている装置及び手段には、図2及び図22中にて示されている装置や手段と同一の符号を付している。
基本的に、生産システムのコンポーネント及び/又はアプリケーションソフトウェアの監視は、それぞれ異成る論理接続部を有する複数のメカニズムを介して行われる。これについては以下説明する。
生産システムを監視するための第1のメカニズムは、ウェブユーザーインターフェース21のIsMaサービス54を介してのラスタコンピュータ11及びインターフェースコンピュータ12の監視である。このIsMaサービス54は各インフラストラクチャマネージャ28に論理接続されており、インフラストラクチャマネージャ28は、各ラスタコンピュータ11上と各インターフェースコンピュータ12上とにおいて実行可能なものであるか、乃至はこれらのコンピュータ上にて実行されるものである。
上記コンピュータ11,12上にてそれぞれ実行されるインフラストラクチャマネージャ28は、同一のコンピュータ11,12上にて実行されるウェブユーザーインターフェースプラグイン30に論理的に接続されている。
監視は、評価装置80がIsMaサービス54を介して監視命令を、上記コンピュータ11,12のうちいずれかのコンピュータのインフラストラクチャマネージャ28へ送信することにより行われる。当該インフラストラクチャマネージャ28はこの命令を、当該コンピュータ11,12のウェブユーザーインターフェースプラグイン30へ転送する。上記にて既に説明したように、ウェブユーザーインターフェースプラグイン30は監視プログラムモジュールに対し、当該ウェブユーザーインターフェースプラグイン30の求めたステータスデータを当該監視プログラムモジュールが受け取るためのインターフェースを生成する。ステータスデータを求めること乃至はその受け取りは、予め定められた時点にて、すなわち周期的に行われるか、又はオンデマンド方式で行われ、又は、各監視プログラムモジュールの構成に応じて、上記の生成されたインターフェースを介して、前記ステータスデータを求めること乃至はその受け取りをトリガすることができる。
受け取ったステータスデータは、ウェブユーザーインターフェース21のIsMaサービス54へ伝送され、IsMaサービス54はこのステータスデータを、後続処理のために評価装置80へ転送する。
生産システムの監視を行うための他の1つのメカニズムは、評価装置80が、ホストコンピュータ10に設置されたウェブユーザーインターフェースプラグイン30を介して、コンピュータ11,12と、内部LAN9と、DE‐LAN70と、これを介して接続されたメインモジュール71と、これを介して接続されたDEアセンブリ72,73とに、標準的なネットワークインターフェースを介して論理接続されている、というものである。この標準的なネットワークインターフェースを介して、評価装置80がホストコンピュータ10のウェブユーザーインターフェースプラグイン30に対してステータスデータを要求することにより、上掲のコンポーネントのステータスデータが呼び出される。ホストコンピュータ10のウェブユーザーインターフェースプラグイン30はこの問合せを、前記標準的なネットワークインターフェースを介して各コンポーネントへ転送する。各コンポーネントは同一経路を介して、上述の要求されたステータスデータを、後続処理のために評価装置80へ転送して返信する。
特に印刷システム等である生産システムの監視システムの他の1つの実施例では、前記評価装置80は、当該評価装置80に接続されているコンポーネントデータベース81にアクセスできるように構成されている。コンポーネントデータベース81には、生産システムの各コンポーネントについて、モジュール内における当該コンポーネントの構成を記述するコンポーネントデータが記憶されている。ここで、1つのコンポーネントは1つ又は複数のモジュールから構成され、1つのモジュールは交換可能な単位ユニットである。評価装置80はさらに、前記コンポーネントデータを用いて、発生したエラーを、エラーが発生した各モジュールに対応付けられるようにも構成されている。
生産システムの監視システムの構築は、好適には、上記にて既に説明した、予め定められた制御テンプレートを用いて行われる。その際には、各コンポーネントに固有の監視ルーチンと制御パラメータとのみを構築するだけでなく、当該コンポーネントの他の構成要素、例えばウェブユーザーインターフェースプラグイン30やウェブサーバーサービス51も構築する。
上述のように、ステータスデータの引き渡しのためにインターフェースの生成を受ける複数の異成る監視プログラムモジュールが、前記コンポーネント及び/又はコンポーネントグループのうちいずれかのコンポーネント及び/又はコンポーネントグループの同一のステータスデータを求めるために異成る手法をとるという事態が生じうる。その場合には、同一のステータスデータを求めるために、すなわち、同一のパラメータのステータスデータを求めるために上述の複数の異成る手法を実施することにより、測定誤差又は測定許容誤差に起因して、監視プログラムモジュールから引き渡されたステータスデータにより、エラーの有無について矛盾する結論が生じ得るという問題が生じる。例えば、1つの監視プログラムモジュールのパラメータ値が、エラーを示さない偏差を有するにもかかわらず、それと同時に、監視システムのパラメータセットの同一のパラメータについて、他の1つの監視プログラムモジュールのパラメータ値は、エラーを示す偏差を有する、という事態が生じる。
よって、複数の異成る手法によって求められたステータスデータを更に処理できるようにするためには、複数の異成る監視プログラムモジュールのステータスデータすべてを、最初に記憶してから、同一のパラメータについてのすべてのステータスデータを当該パラメータに対応付ける。
同じパラメータに関して伝達された種々のパラメータ値のうちの1つが、エラーとみなされる所定の偏差を有しているならば、評価装置80によってエラーが検出される。これによって、評価装置80が、同じパラメータに割り当て可能な複数のステータスデータのうち少なくとも1つのステータスデータにおいて、所定の偏差を識別したときに、エラーの検出が十分に確実に行われるように成る。つまりこの場合、評価装置80は結果として、検出された1つのステータスデータだけが所定の偏差を有しているならば、生産システムの個々のコンポーネント及び/又はコンポーネントグループにおけるエラーであると判定する。
この場合、評価装置80により検出されたエラーには、コンポーネントのエラー及び/又は生産システムのアプリケーションソフトウェアのエラーが含まれる。
これに加え監視装置80を、検出されたエラーをエラー除去のため外部のサービス機関に自動的に転送するように、構成することができる。この場合、評価装置80は、Eメール、SMS、ファックス、又は他の適切な通信チャネルを介して送信されるエラーメッセージを生成する。この種の自動的なエラーメッセージによって、外部のサービス機関に対しエラーを迅速に通知することができ、したがってエラーを効率的かつ適正な期限で取り除くことができるように成る。特にこのことによって外部のサービス機関は、投入可能なサービススタッフを種々の生産システムにおいて発生したエラーの除去に、効率的に配分できるように成る。
さらに評価装置80は、検出されたエラーに対し所定の基準に従い、エラー除去の優先度を割り当てるように構成されている。この場合、優先度は、エラーが生産システムの生産プロセスに対しどのような影響を与えるのかを表す。評価装置80は識別したエラーを有利には、警告若しくは優先度が低いエラー、エラー優先度が中程度のエラー、又はエラー優先度が高いエラー、として評価する。エラー優先度を、これとは異なりより多くの段階に分けてもよい。
警告若しくは優先度の低いエラーは、生産システムの動作をすぐに妨害することはない。但し警告はその後、エラーによって動作の妨害が発生するように発展する可能性がある。
警告として挙げられるのは例えば、ホストコンピュータ10に設けられているソリッドステートドライブ(英語:SSD)に対し最低限保証される書き込みサイクルの回数よりも少ない所定の閾値である。これによって、ソリッドステートドライブの交換が目前に迫っていることを適時に指示することができ、若しくは最低限保証される書き込みサイクルの回数に達する前に適時に、このドライブを交換することができる。
この種の警告の別の例は、コンポーネントの温度値が、正常動作温度範囲とエラーが通報される温度範囲との間の境界領域にある、というものである。この種の警告に対し適切に対処することによって、温度がさらに上昇するのを回避することができる。それというのも、生産システムのエラーを引き起こす温度値が発生すると、生産システムが停止状態に至ってしまう可能性があるからである。
警告に関するさらに別の例として挙げられるのは、インクジェット印刷システムの1つの印刷ヘッドの動作時間が所定の値に達した、というものである。この種の印刷ヘッドには、保証された総動作時間の数値というものがあり、この時間内では印刷ヘッドはエラーなく動作するように設定されている。このような保証された全動作時間の数値よりも小さい所定値を超えた場合、印刷ヘッドの故障が予期される可能性がある時点よりも前に、警告を発生させるのが有利である。これによって、保証された最小動作時間の経過前に、若しくはその時点に、適切なタイミングで印刷ヘッドを交換できるように成る。
エラー優先度が中程度のエラーとは、生産動作を損なうが完全には阻止されないエラーである。
エラー優先度が中程度のエラーの例は、ホストコンピュータ10における冗長ハードディスクアレイにおいて、1台のハードディスクが故障してデータ伝送レートの低減が引き起こされた、というものである。この問題は、元々記憶されていた適正なデータをハードディスクアレイから読み出す際に、そのデータの再構築のために余分に計算が必要とされることに起因して、発生する可能性がある。データ伝送レートの低減に起因して、生産システムは引き続き適正に機能するが、データ伝送レートが低減したことで、生産に必要とされるデータを適切なタイミングで準備できないことから、生産速度が低下する可能性がある。
エラー優先度が高いエラーとは、このエラーが発生すると生産動作をもはや維持できないようなエラーである。
エラー優先度が高いエラーとして挙げられるのは例えば、生産システムにおいて非冗長的なコンポーネント若しくは多重に設けられていないコンポーネントが完全に故障した場合であり、それらのコンポーネントは、制御装置の一部であって生産システム自体を制御するホストコンピュータ10や、印刷機構3のうちの1つのように、生産システムの動作に不可欠なものである。
評価装置80がエラーメッセージにエラー優先度を付して、それらを転送することにより、エラー除去の役割を担う外部のサービス機関は、エラー除去のために確保しているサービススタッフを、対応する個々のエラーメッセージによるエラーの除去に対し、効率的に配分することができる。
したがって、エラー優先度が高いエラーは優先的に扱われ、確保されているサービススタッフは、そのようなエラーを真っ先に取り除くために投入される。エラー優先度の高いエラーが取り除かれてからはじめて、同じ生産システム又は他の生産システムにおいて発生しているエラー優先度が中程度の又は低いエラー若しくは警告の除去が実施される。これによって、サービス機関が受け持つ生産システムが多数あったとしても、いっそう効率的な生産動作が保証される。
評価装置80は有利には、生産システムにおいて発生するエラーを、それらのエラーを記述したパラメータを含むエラーリストとして、操作フィールド−モジュールライブラリ20に引き渡すように構成されている。このようにすれば、操作フィールド−モジュールライブラリ20は、引き渡されたエラー情報に基づき、マークアップ言語ファイルを生成することができる。マークアップ言語ファイルは、エラーリストの表示を含む操作フィールドを記述したものであり、それをブラウザ22,23において表示可能である。
エラーリストには、検出されたエラーがそれらに属する情報とともに含まれており、その情報とは例えば、タイムスタンプ、エラー発生場所、コンポーネント、モジュール、エラーの種類、エラー優先度、エラー発生頻度、エラー確実性、及びエラーを表すその他の情報などである。
これによって、コンポーネント、コンポーネントグループ、モジュール、ステータスデータ、パラメータ、及び/又はパラメータセットを、個々のエラーとともに、コンピュータ14,15,17の操作フィールドに表示することができる。したがってオペレータは操作フィールドを見れば、生産システム及び特に生産システムにおいて発生しているエラーについて把握することができる。
操作フィールド−モジュールライブラリ20は、表示のために構造化された図、特に階層化された図を生成し、このような図は有利にはグラフィック表示として構築されている。ここで表示される構造は、ネットワークプラン又はその一部分を表すものである。
ネットワークプランとして構造化されている図において、エラーを有するコンポーネント及び/又はコンポーネントグループを、マーキング若しくは強調表示することができる。このようにすれば、生産システムをそれに属するネットワークとともに概観することで、発生したエラーについて操作フィールドでユーザーに通知することができる。
ネットワークプランから出発して、コンポーネント、コンポーネントグループ及びモジュールを、オペレータのインタラクションによって詳細に表示させることができる。このようなインタラクションによって、生産システムの様々な論理レベルにわたってナビゲート可能となり、つまりオペレータは操作フィールドにおける表示を、それぞれ異成る論理レベル間を行き来しながら切換えることができる。この場合、最上位の論理レベルとして、図1に示したような表示を行うことができ、すなわち生産システム全体が操作フィールドに表示される。これにより、生産システムを概観することで、生産システムのうちエラーを有する箇所を効率的に特定することができる。
これについての具体例として、エラー発生に起因して生産システムの表示においてカラーで強調された、有利には赤でマーキングされたサーバーキャビネット若しくはラックを挙げておく。ユーザーがこのサーバーキャビネット若しくはラックをクリックすると、表示が変化して、サーバーキャビネット若しくはラックに含まれるコンポーネント若しくはラックモジュール例えばサーバーなどが操作フィールドに表示されるようになり、その場合、エラーが発生しているコンポーネント例えば複数のサーバーのうちの1つが、やはりカラーで強調表示されるように成る。さらにこのコンポーネントをクリックすると、そのコンポーネントに含まれるモジュールが次に低いレベルとして表示され、その際、エラーが発生しているモジュール例えばサーバーのハードディスクモジュールが、やはりカラーで強調表示される。エラーが発生しているモジュールを新たにクリックすると、次に低いレベルとしてさらに詳しいモジュールデータ例えばハードディスクパラメータを示す表示がオープンし、その際、エラーが発生しているモジュールデータは、カラーで強調表示されてマーキングされている。当然ながらユーザーはこの表示において、高いレベルからそれよりも低いレベルへのナビゲートだけでなく、低いレベルからそれよりも高いレベルへのナビゲートも可能である。
さらに評価装置80は、検出されたエラーのうち少なくとも1つのエラーに基づき、生産システムの設定を決定するように構成されており、その設定によって、生産プロセスに及ぼされるエラーの影響が最小限に抑えられるようにし、あるいは完全に排除されるようにする。その際に評価装置80は、リコンフィグレーション後、変更されたコンフィグレーションを記述したデータを、操作フィールド−モジュールライブラリ20に引き渡し、それによって操作フィールド−モジュールライブラリ20はそのデータから、マークアップ言語ファイルを生成することができ、このファイルはブラウザ22,23において、操作フィールドとしてリコンフィグレーション情報とともに表示可能である。これは、エラーを取り除きたいオペレータ又はサービスエンジニアのための情報として用いられる。
それ相応の表示がなされた後、オペレータ又はサービスエンジニアが操作フィールドにおいて実施すべき手動のコンフィグレーションに関する具体例として挙げられるのは、内部LAN(スイッチ)9において、エラーが発生しているネットワークポートからエラーが発生していないネットワークポートへ、ネットワーク接続を差し替えることである。
エラー発生時に生産システムの設定を決定することに加えて、評価装置80を、生産システムのリコンフィグレーションのためのコンフィグレーションデータを、生産システムのリコンフィグレーションを自動的に実施するインフラストラクチャマネージャ28へ転送するように、構成することができる。生産システムのこのような自動設定によって、コンポーネント、アプリケーションソフトウェア、及び/又は生産システムが、適切にリコンフィグレーションされる。
インフラストラクチャマネージャ28によって実行される自動的なリコンフィグレーションとして挙げられるのは、例えば生産システムの生産速度低減、特に印刷システムの印刷速度低減であり、これが行われるのは、エラーが発生したコンポーネントに起因して、現在の生産速度に必要とされるデータを適切な時間内に準備するには、もはや十分な計算能力が得られない場合である。このことが当てはまるのは、ここで説明している印刷システムにおいては特に、多重に設けられているラスタコンピュータ11のうちの1つが故障した場合である。この場合、インフラストラクチャマネージャ28は、印刷システムをリコンフィグレーションして、ラスタ処理すべき印刷データが、エラーの発生したラスタコンピュータ11にはもはや伝送されないようにし、適正に機能している他のラスタコンピュータ11に振り分けられて、後続処理が行われるようにする。
インフラストラクチャマネージャ28によるリコンフィグレーション後、適正に機能しているラスタコンピュータ11の計算能力が、印刷データのラスタ処理に不十分である事態が発生したならば、さらに次の段階としてインフラストラクチャマネージャ28はラスタコンピュータ11に指示を出し、印刷解像度を低減して印刷データをラスタ処理させるようにする。このように解像度低減を適用すると、印刷データのラスタ処理に係る手間つまりはそれに必要とされる計算時間が低減される。
別の選択肢として、又はこのことに加えて、インフラストラクチャマネージャ28は、複数のラスタコンピュータ11のうち1つのラスタコンピュータにおいてエラーが発生した場合、印刷速度を低減し、この印刷速度低減は、記録担体120の搬送速度を、刷り損じなく引き続き印刷が可能な値まで下げることによって行われる。
さらに別のエラー状況において、生産システムの適正な動作のために、他のパラメータ若しくは新たなパラメータを、インフラストラクチャマネージャ28によって自動的に設定し、若しくはそれらのパラメータに作用が及ぶようにすることもできる。
既述のエラーリストを、予め定められたエラー数に達したときに、又は予め定められたタイムインターバルで、あるいは要求に応じて、エラーをさらに詳しく評価するために、評価装置80から外部の評価機関へ伝達することができる。このような伝達によって、多数の種々の生産システムのエラーリストに基づき、生産システムの個々のハードウェアパーツ及びソフトウェアパーツの品質並びに互換性に関する情報を求めることができる。このような評価は、外部の評価機関において一般に統計的手法に従って行われる。
これらに加えさらに評価装置80を、検出されたエラーに対するエラー確実性を求めるように構成することができる。この場合、エラー確実性によって表されるのは、本当にエラーが発生したのか否かの確率がどの程度であるのか、ということである。エラー確実性を、評価装置80からエラーメッセージとして外部のサービス機関に伝達することができ、及び/又は、エラーリストに格納して外部の評価機関に伝達することができ、及び/又は、生産システムのリコンフィグレーションのために考慮することができる。エラー確実性をエラー優先度とリンクさせれば、生産システムにおいてサービス若しくはメンテナンスあるいはリコンフィグレーションを行うべきか否か、それらをいつ行うべきか、をいっそう正確に見積もることができるように成る。
検出されたエラーのエラー確実性を、以下のストラテジのうちの1つストラテジ、又は互いに組み合わせられた複数のストラテジを考慮して、求めることができる。すなわち、
エラーを引き起こしたパラメータ値の信頼性を、他の監視プログラムモジュールのパラメータ値と比較することにより検査する。この場合、他の監視プログラムモジュールのパラメータ値は、同じパラメータに対応付けられたものであるか、又はエラーを引き起こしたパラメータ値と論理的に関連するものであり、ここで比較にあたり、種々のパラメータ値の重み付けによる評価も行われる。及び/又は、
エラーを引き起こしたパラメータ値の信頼性を、測定誤差及び/又は測定トレランスを考慮して検査する。及び/又は、
エラー発生頻度及び/又は意エラーの持続性を求める。
論理的に関連し合うパラメータ値とは、データの根拠が同一又は論理的に関連し合っているステータスデータに由来していることから、パラメータ値が互いにリンクされているようなパラメータ値のことである。このような論理的関連性は例えば、ステータデータとして生産システムのそれぞれ異成るポジションにおいて等しい物理的な値を検出する複数のセンサにおいて得られる。
この種のセンサの一例は、電気泳動による印刷システムの場合であれば、熱の作用で記録担体120にトナーが定着される定着ユニット130の領域に設けられた種々のセンサである。この場合、これらの温度センサによって、定着ユニット130の様々な箇所で温度が測定され、その際、定着ユニット130において熱的に関連する領域に配置され、そこにおいて温度値を測定する温度センサが、存在することに成る。よって、それらのセンサによって測定された温度値は、論理的に関連し合うことに成る。
このような論理的関連性によって、ある温度センサの温度値から、論理的に関連し合う他の温度センサの温度値を推定することができる。但し、測定された温度値は論理的に関連し合っているけれども、互いに偏差が生じていることも多く、そのような偏差は、温度センサのポジションがそれぞれ異成ること、その結果としてそれらの温度センサ間で温度勾配が生じること、に起因している。したがって好適であるのは、所定の偏差を予め設定しておき、その偏差に基づき誤差を識別するようにして、たとえ印刷システムが適正に機能している場合でも生じる測定値の偏差も一緒に考慮することである。
したがって、論理的に互いにリンクされている複数の温度センサのうち1つの温度センサが、評価装置80が誤差とみなす偏差を有している場合には、そのセンサと論理的に関連する別の温度センサを、エラー確実性のチェックに利用することができる。
生産システムのそれぞれ異成るポジションにおいてステータスデータとして同じ物理的な値を検出するセンサに関するさらに別の例は、例えば印刷システム内に配置され記録担体120の速度を測定するセンサである。この記録担体120は連続的に印刷可能な媒体であることから、この種のセンサによって測定された種々の速度値は、それらの温度センサが記録担体120の同じ物理的パラメータを検出することから、論理的関連性を有することに成る。
有利にはそれらの速度センサは、印刷システムを通過する記録担体120が辿る経路のそれぞれ異成る箇所に、予め定められた順序で配置されている。評価装置80は、記録担体120の搬送に関するエラーのエラー確実性を求める際に、個々のセンサにより測定された記録担体速度に僅かな誤差が発生する可能性だけでなく、印刷システム内のセンサの順序も考慮する。これによって評価装置80は、この種のセンサのエラーに対する確率と、記録担体120の搬送エラー例えば記録担体120の切断などの確率を、求めることができる。
基本的に、論理的に関連するパラメータ値の偏差は、部品の公差、測定トレランス、測定方法の相違などによって、発生する可能性がある。特定のセンサにおいては、それらが配置されているポジション及び/又はそれらの向きによっても、偏差を引き起こす可能性がある。
評価装置80はさらに、種々のパラメータ値をそれぞれ異成るように重み付けて評価することができ、最も簡単なケースでは重み付けは等しく配分される。但し評価装置80は、特定の監視プログラムモジュールからのステータスデータに、他の監視プログラムモジュールのステータスデータよりも高い重み付けを設定することもできる。このようにすることで評価装置80は、精度がよくない他のステータスデータよりも高い精度の監視プログラムモジュールからのステータスデータを、いっそう大きい割合でエラー確実性の評価に算入させることができる。これにより評価装置80は、種々の監視プログラムモジュール間若しくはそれらのステータスデータ間の偏差の作用を最小限に抑える。
適切な重み付けを行うことにより有利には、評価装置80は、複数の監視プログラムモジュールのパラメータ値から明確なエラー確実性を求めることができない場合であっても、1つの監視プログラムモジュールのパラメータ値を優先的にエラー確実性の算出に関与させることができる。このため、同じステータスデータ又は互いに論理的にリンクされているステータスデータを伝達する複数の監視プログラムモジュールのうち、1つの監視プログラムモジュールをマスターと称し、同じステータスデータを伝達する他の監視プログラムモジュールを、スレーブと称する。ステータスデータのために引き渡されるパラメータ値が、マスターとスレーブとの間で異なっており、一義的なエラー確実性を求めることができない場合、評価装置80は、エラー確実性を求めるためにマスターのステータスデータだけを考慮し、その際、スレーブのステータスデータは、エラー確実性の算出において何の役割も果たさない。この場合、有利にはマスターは、スレーブよりも精度の高いパラメータ値を供給する監視プログラムモジュールである。
さらに適切な重み付けを利用して、エラー確実性の算出にあたり、論理的に互いにリンクされているステータスデータ相互間に偏差が生じている場合に、個々のパラメータ値の偏差の情報についてマジョリティ若しくはマイノリティを考慮するように、評価装置80を構成することができる。
評価装置80に対し、それぞれ異成る監視プログラムモジュールの論理的に関連し合うステータスデータを供給すれば、評価装置80は、エラーを表すステータスデータを有する監視プログラムモジュールの個数と、論理的にリンクされている相応のステータスデータを伝達する監視プログラムモジュールの総数との比率を計算することで、エラー確実性を求めることができる。そしてこの比率が、エラー確実性に対応することに成る。
これらに加えさらに評価装置80を、エラー確実性を計算するために監視プログラムモジュールの測定トレランスも一緒に考慮するように構成することができ、この場合、評価装置80は、伝達されたステータス値の偏差を、測定トレランスによって生じると予想される偏差とを比較する。
測定トレランスがいっそう大きい監視プログラムモジュールの場合、それよりも高い精度で特定のステータス値を伝達する監視プログラムモジュールよりもエラー確実性が低い、と想定することができる。
これらに加え評価装置80を、エラー確実性を求めるために、エラー発生頻度及び/又はエラーの持続性若しくは永続性も一緒に考慮するように、構成することができる。評価装置80がエラーをかなり頻繁に又は持続的に検出した場合、検出頻度が低い場合よりもそのエラーのエラー確実性は高い。
エラー確実性を求めるための上述の種々のストラテジを、互いに組み合わせることもできる。
評価装置80を、ウェブサーバーサービス51内のソフトウェアモジュールとして実装することもできる。この種の実装は、図7において評価モジュール82として示されている。この場合、評価モジュール82は、評価装置80の上述の機能を実行する。
次に、生産システム例えば印刷システムにおいて制御装置を成すシステムの実施例について説明する。
生産システムの概観を示す表示において、生産システムにおけるハードウェア及びソフトウェアの状態が操作フィールドに示されており、さらにそれらに対するエラーリストが、表形式で示されている(図24)。
コンピュータの状態のほか、生産システムにおけるサービスの状態及びコンポーネントの状態も、グラフィック表示で示されている。個々の状態表示には、種々の状態に関する凡例、特に様々なエラーの種類及び優先度に関する凡例が設けられている。このようにグラフィック表示することによって、生産システムの状態、特にエラーが発生しているのか否か、及びどのようなエラーが発生しているのか、を効率的に把握することができる。
下方に示されているエラーリストには、発生したエラーに関する詳細情報が示されている。例えばこの図には、タイムスタンプ、ロケーション、エラーに関連するサービス、エラー優先度、並びにエラーがまだアクティブであるか否か、が示されている。
エラーリストの表示を、ユーザーが操作フィールドにおいて表示設定をプリセットすることによって、コントロールすることができる。例えば、表形式で表示される列を予め設定することができ、若しくはそれらの表示をコンフィグレーションすることができる。
エラーリストに基づき、発生したエラーに対する情報を、所期のように特定の基準に従って作成し、操作フィールドに表示させることができる。この場合、既述の列だけでなく、生産システムのハードウェア及び/又はソフトウェアと関連する情報を有するさらにさらに別の列を表示させることができる。そのような情報の具体例は、稼働時間、故障時間、最終チェック時点、応答時間、その他のネットワーク統計データ及びネットワーク情報、実行時間、所要時間、応答ステータス、サービスステータスと関連するその他の情報、監視システムが使用したテンプレートの定義及びそれらに関連する情報、などである。
図24に示されているクリティカルなエラーは、既に説明したエラー優先度の高いエラーである。
図25には、操作フィールドにおけるラック図の表示が示されており、この表示はラック表示ユニットによって生成される。この場合、ラック1の前面と背面とが示されている。
ラックの前面と背面の個々の表示において、複数のラックモジュールのうち1つのラックモジュールのイメージをそれぞれ表すラックモジュール図が示されている。これらのラックモジュール図は、ラック図中、ラック内の対応するラックモジュールの実際の位置と一致する場所に配置されている。
ある1つのラックモジュール内でエラーが発生した場合、ラック図若しくはラックモジュール図における変化によって、そのエラーを表すことができる。
この場合に可能性として挙げられるのは、ラックモジュール図のうちの1つ又は複数がエラー表示手段を有することであり、このエラー表示手段は、対応するラックモジュールのエラー表示装置に対応しており、この手段を用いることで、それ相応のエラーが発生した場合に、そのエラーをエラー表示装置と類似した形式で表示させることができる。例えば1つのラックモジュールを成しているハードディスクは、エラー発生時にそのエラーをハードディスクのところで表示するLEDを備えており、つまりこれはエラー表示装置として構成されている。このような構成において、LEDがエラーを表示したならば、このエラーは、ハードディスクのラックモジュール図において、ハードディスクに対応するラックモジュール図の対応するエラー表示装置のところで表示される。
この場合、エラー表示手段は、ラックモジュール図の表示の上に重ねられる別個のソフトウェアユニットである。このようにすれば、エラー発生時、ラックモジュール図それ自体が変更されるのではなく、エラー表示手段の表示だけが変更されることに成る。
したがってこのようにすることにより、エラー発生時、エラー表示手段の表示を変更する情報だけを、操作フィールドにラック図を表示するクライアントコンピュータ14,15,17に伝送するだけでよく成る。
別の選択肢として、又はこのことに加えて、ラック表示ユニットは、少なくとも1つのラックモジュールのために2つの異成るラックモジュール図を有している。この場合、2つのラックモジュール図のうち一方は、正常動作時のラックモジュールを表し、他方はエラー動作時のラックモジュールを表す。つまりエラー発生時にはラックモジュール図が交換され、その際、エラー発生時用のラックモジュール図は、エラーが識別可能と成るように作成されている。一例としてこのラックモジュール図を、その図において例えばエラー発生時に赤で点灯する規定のエラーランプが、同様に赤で表示されるように描いておくことができる。このようにすれば、実際のラックでは見ることができないエラーも確認若しくは表示することができる。例えば実際のラックモジュールが故障しており、かつエラー表示装置を備えていない場合、エラー発生時にそのラックモジュールをそれ相応の警告色例えば赤色で目立たせることができる。
ラック図を、クライアントコンピュータ14,15,17において表示される複数の操作フィールドに、それらがかなり隔てられていても、同時に表示させることができる。
クライアントコンピュータ14,15,17を例えば、ホストコンピュータ10へのモバイルデータコネクションを備えたモバイル機器として構成することができる。この種のモバイル機器が備えられているならば、オペレータ又はサービスエンジニアは、エラー除去のためにそのポジションを変えることができ、したがってラック付近に移動することができ、その際にオペレータ又はサービスエンジニアは、ラック図におけるラックの前面及び背面が発生したエラーとともに表示されるのを、操作フィールド上で見ることができる。
それらのモバイル機器の1つが、個々のクライアントコンピュータ14,15,17の位置及び/又は向きを検出する周辺センサを備えているならば、ラック表示ユニットはその情報を利用して、そのモバイル機器の最も近くにあるラックの個々のラック図を、及び/又は、そのモバイル機器のオペレータの視線方向にあるラックの個々のラック図を、操作フィールドに表示する。この場合、ラック表示ユニットは、モバイル機器が移動すると、特に種々のラックの間において、「最も近いラック」及び/又は「視線方向のラック」という基準に従って、表示を自動的に切換える。
個々のラックモジュールのラックモジュール図は、グラフィックテンプレートとして必要に応じてエラー表示手段とともに、生産システムの納品前に作成して、生産システムに記憶させる。この種のグラフィックテンプレートは、ラックモジュール図として1つのラックモジュールの前面又は背面を描いたものである。
ラック若しくはラックモジュールの見え方は、個々の生産システムに合わせてコンフィグレーションされる。このコンフィグレーションは、ラック図中のラックモジュール図の個々のグラフィックテンプレートが、実際にラック内のラックモジュールが存在している相応のポジションに配置されるようにして行われる。ラックモジュール図のこのポジションは、ラックモジュールのグラフィックテンプレートへのリンクとともに記憶される。グラフィックテンプレートのポジションの指定を、コンフィグレーションファイルによって行ってもよいし、又はグラフィックエディタにおいて実行してもよい。
この場合、グラフィック編集のベースとして、スキャンにより事前に生成されたネットワークプランが利用される。ネットワークプランによって、生産システムにおける個々のコンポーネント、スイッチ、ラックモジュール等がまえもって設定される。グラフィックエディタはこれに対応できるように、ネットワークプランのインポート機能を備えている。ネットワークプランがグラフィックエディタにインポートされた後、グラフィックエディタは、生産システムのコンポーネント、スイッチ、ラックモジュール等の対応するグラフィックテンプレートを表示する。あとはユーザーが、表示されたそれらのグラフィックテンプレートのポジションを適切に指定するだけよい。
グラフィックテンプレートのポジション指定をサポートする目的で、グラフィックエディタにおいて、個々のコンポーネント毎にユーザーによってコンフィグレーション信号を表示させることができる。コンフィグレーション信号は例えば、表示のために配置すべきコンポーネントにおいて点滅中のLEDである。ユーザーは、そのようなコンポーネントにおいてコンフィグレーション信号を表示させることができるので、ラック中のコンポーネントの実際のポジションを識別できる。これにより、効率的に誤りなくグラフィックテンプレートを配置することができる。ユーザーがコンフィグレーション信号に基づき個々のコンポーネントを識別したならば、ついでユーザーはグラフィックエディタにおいて、対応するコンポーネントにおけるコンフィグレーション信号の表示を取り消す。
コンフィグレーションファイルを作成する場合であれば、ラック内のラックモジュールの実際のポジションを記述するだけでよい。グラフィックエディタを利用する場合には、ラック図の対応するポジションに前面のラックモジュール図を配置するだけでよい。ラック図における背面のラックモジュール図は、前面のラックモジュール図のポジション指定から得られたポジション情報に基づき、常に自動的に行われる。
例えばマウスアクションなどのようなユーザーインタラクションによって、個々のラックの表示から、生産システム全体又はその一部分を表示する概観図に切換えることができる。同様にユーザアクションによって、ラック図から出発して個々のラックモジュールを詳細に表示させることができ、この場合、選択されたラックモジュールのラックモジュール図が拡大されて、若しくは単独で、操作フィールドに表示される。
本発明は、生産システム、特に印刷システム用の制御装置をコンフィグレーションする方法及び装置に関する。この場合、生産システムは複数のコンポーネントを含み、これら複数のコンポーネントは、それぞれデータリンクを介してホストコンピュータ(10)に接続されたクライアントコンピュータ(4,5,14,17)を有している。本発明による方法は、以下のステップを含む。すなわち、
データネットワークに接続された個々のコンポーネントをスキャンするステップ、
スキャンされた情報に基づいて、ホストコンピュータ(10)、複数のデータリンク、及び複数のコンポーネントを含むネットワークプランを作成するステップ、
作成されたネットワークプランに従って、制御装置をコンフィグレーションするステップを含む。ここでは、各コンポーネント専用の監視ルーチンが実行される。