JP6645619B2 - 嚥下センサ - Google Patents

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Description

本発明は、嚥下動作を検出する嚥下センサに関する。
肺炎は、日本人の死因の上位である。肺炎による死者の多くは、65歳以上の高齢者である。高齢者の肺炎で最も頻度が高いのは、誤嚥性肺炎である。高齢化に伴い嚥下障害患者は増え続けている。
誤嚥の原因として、嚥下反射の鈍化、筋力の低下に加えて、タイミングの異常が考えられる。即ち、吸息相に嚥下が起きたり、嚥下が起きてから呼吸再開までの無呼吸時間が短くなってしまったりすると、誤嚥しやすい。嚥下と呼吸相の関係については、高齢者やパーキンソン病患者では、若年健常者に比べて吸息相に嚥下する頻度が高く、誤嚥の誘因となっていることが知られている。また、睡眠中も唾を無意識下で嚥下しているため、誤嚥性肺炎は食事中だけでなく、睡眠中の誤嚥によっても起こる。
このような嚥下障害の診断に役立てるために、人体の嚥下動作を検出する嚥下センサが開発されている。例えば、特許文献1には、圧力センサを用いた嚥下センサが開示されている。特許文献1に記載された嚥下センサは、縦方向に配列して支持された複数の圧力センサと、圧力センサを被験者の前頸部に当接して固定するための圧力センサ装着具を備えている。この圧力センサ装着具は、食物の飲込み時における甲状軟骨の上下運動方向に沿って圧力センサを配列して支持するウレタンフォームと、ウレタンフォームを支持する圧力センサ固定具と、圧力センサ固定具を被験者の前頸部に保持する保持バンドとを備えている。
特開2006−95264号公報
ところで、特許文献1に記載された嚥下センサでは、保持バンドを首の後ろに回して嚥下運動測定装置を前頸部に接触させている。このため以下に示す問題がある。
例えば、首の太さ、形状および前頸部形状(甲状軟骨の突出度合等)の個人差は大きい。このため、保持バンドを首の後ろに回して装着する方法では圧力センサの前頸部への接触状態を一定にすることが困難であり、測定バラツキが大きくなってしまう。保持バンドの締め付け度合によっても接触状態が大きく変化するため、熟練者による個人毎の調整が不可欠になってしまう。
また、上を向くと後頸部に対して甲状軟骨が上方に変位するため、首の後ろに回した保持ベルトで装着している場合、嚥下と首の上下の動き(首を上下に振る動作)を区別することが難しい。
さらに、頸部全体に圧迫がある状態であり、嚥下運動測定装置も大きく厚く重いため、長時間測定すると被験者の負担が大きく、長時間測定には適さない。行動への制約も大きいため、測定環境が限定されてしまう(例えば側臥位、伏臥位での測定や歩行中の測定には適さない)。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、個人差の影響を抑制して嚥下を検出することができる嚥下センサを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明による嚥下センサは、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲に位置して前頸部の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分を有する圧電素子を有し、前記圧電素子は、複数の前記センシング部分の変形に伴う信号を個別に出力し、複数の前記センシング部分の信号に基づいて甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定する嚥下判定部をさらに備え、前記嚥下判定部は、複数の前記センシング部分の信号に基づいて喉頭隆起の上方移動と前方移動を判定することで嚥下を判定する。

また、本発明による嚥下センサは、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲に位置して前頸部の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に沿って配列された複数のセンシング部分を有する圧電素子を有し、複数の前記センシング部分のうち少なくとも一つは、極性が反転し、前記圧電素子は、極性が反転した前記センシング部分の変形に伴う信号と、極性が反転していない前記センシング部分の変形に伴う信号とを加算して出力する。
本発明によれば、個人差の影響を抑制して嚥下を検出することができる。
本発明の第1の実施の形態による嚥下センサを示す正面図である。 圧電フィルムセンサを図1中の矢示II−II方向からみた断面図である。 図1中の嚥下センサを被験者の前頸部に取り付けた状態を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態による嚥下センサを示すブロック図である。 図4中の信号処理部による嚥下検出処理を示す流れ図である。 口腔期の甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 咽頭期の甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 咽頭期から食道期に遷移するときの甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 食道期の甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 嚥下動作前の甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 嚥下動作中の甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 上を向く動作中の甲状軟骨と嚥下センサのセンシング部分との位置関係を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態による嚥下センサについて、嚥下動作時の変位信号と音信号の一例を示す特性線図である。 本発明の第2の実施の形態による嚥下センサを示す正面図である。 圧電フィルムセンサを図14中の矢示XV−XV方向からみた断面図である。 図14中の圧電フィルムセンサを示す等価回路図である。 本発明の第2の実施の形態による嚥下センサを示すブロック図である。 図17中の信号処理部による嚥下検出処理を示す流れ図である。 本発明の第2の実施の形態による嚥下センサについて、嚥下動作時の変位信号と音信号の一例を示す特性線図である。 第1の変形例によるセンサ部を示す説明図である。 第2の変形例によるセンサ部を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態による嚥下センサを、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図5に本発明の第1の実施の形態による嚥下センサ1を示す。嚥下センサ1は、被験者101(人体)の嚥下を検出するセンサ部2と、センサ部2から出力された信号を処理する本体部20と、を有している。
センサ部2は、例えば全体として長方形状をなし、嚥下センサ1のうち上下方向の一端側(図1中の上側)に位置して設けられている。図2に示すように、センサ部2は、圧電フィルムセンサ3、絶縁フィルム7、シールド膜8,9等を備えている。図3に示すように、センサ部2は、嚥下に伴って発生する甲状軟骨103の動きの範囲に位置して、被験者101の前頸部102の皮膚に貼り付けられる。
甲状軟骨103の上方には下顎骨104が位置しており、下方には胸骨105が位置している。甲状軟骨103の左右両側には一対の頸動脈106が位置している。センサ部2は、下顎骨104、胸骨105および頸動脈106に重ならない範囲に配置される。センサ部2は、被験者101の嚥下に伴う甲状軟骨103の変位により変形し、甲状軟骨103の動きを検出する。
圧電フィルムセンサ3は、圧電素子の一例を示している。圧電フィルムセンサ3は、センサ部2の内側に位置して設けられている。圧電フィルムセンサ3は、フィルム状に形成され、その変形に応じて電気信号(電荷)を発生させる。
図1に示すように、圧電フィルムセンサ3は、複数(例えば2個)のセンシング部分3A,3B(センシング領域)を有している。センシング部分の個数は、2個に限らず、3個以上でもよいが、概ね2〜4個程度である。センシング部分3A,3Bは、圧電フィルムセンサ3を被験者101の前頸部102に貼り付けた状態で、頸部の長さ方向(上下方向)に沿って並べられる。具体的には、センシング部分3A,3Bは、甲状軟骨103を挟んで上下方向に配置される。このため、上側のセンシング部分3Aは、甲状軟骨103の上側に配置される。下側のセンシング部分3Bは、甲状軟骨103の下側に配置される。センシング部分3A,3Bは、互いに電気的に分離され、個別に信号(アナログ信号S1a,S2a)を出力する。
図1に示すように、センシング部分3A,3Bの横方向寸法L1は、例えば5mm以上50mm以下が望ましい。センシング部分3A,3Bの縦方向寸法L2は、例えば5mm以上15mm以下が望ましい。複数のセンシング部分3A,3Bを合わせた合計の縦方向寸法は、即ち圧電フィルムセンサ3全体の縦方向寸法L3は、例えば20mm以上45mm以下が望ましい。このとき、センシング部分3A,3B等の横方向寸法L1および縦方向寸法L2等は、以下の事項を考慮して、設定されている。
1回の嚥下動作において、甲状軟骨103は、嚥下動作前の位置から上方に約20mm上昇し、前方に移動した後、下降して元の位置に戻る(図6ないし図9参照)。このため、圧電フィルムセンサ3の縦方向寸法L3は、20mm以上に設定されている。この場合、最大4個のセンシング部分を想定した場合には、1個のセンシング部分の縦方向寸法L2は、好ましくは5mm以上になる。
これに加え、甲状軟骨103の動きが1個のセンシング部分の範囲内に収まらないようにする必要がある。このため、1個のセンシング部分の縦方向寸法L2は、20mmよりも短い値として、例えば15mm以下に設定されている。
また、甲状軟骨103から下顎骨104までの距離は、顔の向きにもよるが、約50mmである。甲状軟骨103から下方の胸骨105までの距離は、約45mmである。このため、圧電フィルムセンサ3と本体部20とからなる嚥下センサ1全体の縦方向寸法は、95mm以下に設定される。これにより、圧電フィルムセンサ3および本体部20を固定するための貼付部材10は、縦方向において下顎骨104と胸骨105に重ならないように配置可能となる。このため、振動のノイズを検知してしまうことを抑制することができるのに加え、貼付部材10を剥がれ難くすることができる。
但し、胸骨105付近の皮膚は、甲状軟骨103付近の皮膚と比較して、上を向く動作時に上方への変位は小さい。従って、圧電フィルムセンサ3の貼付領域が胸骨105付近に達すると、上を向く動作と嚥下の判別精度が低下する。増幅回路21A,22A等を含む本体部20は、圧電フィルムセンサ3に比較して硬くて重い。このため、柔軟な圧電フィルムセンサ3の変形を阻害しないように、圧電フィルムセンサ3の下方または側方に配置することが望ましい。しかしながら、本体部20も皮膚に貼付する場合、本体部20が胸骨105にかかると、やはり上を向く動作と嚥下の判別精度が低下してしまう。本体部20の大きさは、バッテリ26等の内蔵部品の大きさのため、15mm程度以上になる。
また、下顎骨104付近の皮膚は弛んでいることが多い。特に高齢者では弛みが大きい。弛んだ皮膚上に圧電フィルムセンサ3を貼付すると皮膚の弛みにより甲状軟骨103の動きが圧電フィルムセンサ3に伝わり難くなる。従って、下顎骨104付近には圧電フィルムセンサ3を貼付しないことが望ましい。このため、圧電フィルムセンサ3全体の縦方向寸法L3は、好ましくは45mm以下に設定されている。
このような構成において、圧電フィルムセンサ3の中心が甲状軟骨103の突起部である喉頭隆起に重なると共に、複数のセンシング部分3A,3Bが縦方向に並ぶように嚥下センサ1が配置される。このような配置を想定し、圧電フィルムセンサ3(センシング部分3A,3B)の横方向寸法は、5mm以上に設定される。
甲状軟骨103の左右に配置された胸鎖乳突筋同士の相対的な距離は、約60〜100mmである。しかしながら、胸鎖乳突筋上の皮膚は、甲状軟骨103付近の皮膚と比較して、上を向く動作時に上方への変位は小さい。従って、胸鎖乳突筋近傍まで圧電フィルムセンサ3の貼付領域が達すると、上を向く動作と嚥下の判別精度が低下する。そのため、胸鎖乳突筋上の皮膚にかからないように、圧電フィルムセンサ3の横方向寸法は、50mm以下に設定されている。
図2に示すように、圧電フィルムセンサ3(センシング部分3A,3B)は、圧電フィルム4を用いて形成されている。具体的には、圧電フィルムセンサ3は、圧電フィルム4と第1,第2の電極膜5,6とによって構成されている。
圧電フィルム4は、絶縁材料からなる基材4A上に、圧電薄膜4Bを成膜することによって、形成されている。基材4Aには、例えばポリイミドフィルムが使用されるが、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のような他の樹脂フィルムを使用してもよい。ポリイミドは、樹脂フィルムとしては高耐熱であり、成膜時の温度上昇に耐えられるのに加え、電気接続を得るためのはんだ接続や熱圧着等での温度上昇にも耐えられる。このため、基材4Aの材料には、ポリイミドを用いるのが好ましい。
圧電薄膜4Bには、例えば窒化アルミニウム(AlN)が使用されるが、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸ナトリウムカリウム(KNN)等のような無機材料を用いてもよい。また、圧電フィルム4には、圧電高分子膜であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸(PLLA)を用いてもよい。
第1,第2の電極膜5,6は、圧電フィルムセンサ3の厚さ方向の両側(表面側と裏面側)にそれぞれ設けられている。このとき、第1の電極膜5は、圧電フィルム4の圧電薄膜4Bを覆って、圧電フィルム4の表面(一方の主面)に設けられている。第2の電極膜6は、圧電フィルム4の基材4Aを覆って、圧電フィルム4の裏面(他方の主面)に設けられている。
第1,第2の電極膜5,6には、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)のような金属材料が使用されるが、酸化インジウム錫(ITO)等の導電性材料を使用してもよく、カーボン等を使用してもよい。第1,第2の電極膜5,6は、圧電フィルムセンサ3(センシング部分3A,3B)の変形に応じたアナログ信号S1a,S2aを検出し、本体部20の増幅回路21A,22Aに検出したアナログ信号S1a,S2aを出力する。この場合、微小な変形を検出するため、第1,第2の電極膜5,6は、軟らかく薄いものが好ましい。
絶縁フィルム7は、第1の電極膜5を覆って設けられている。このため、絶縁フィルム7と圧電フィルムセンサ3の圧電薄膜4Bとの間には、第1の電極膜5が挟まれている。絶縁フィルム7は、例えば絶縁性の軟質樹脂材料を用いて、弾性変形可能なフィルム状に形成されている。絶縁フィルム7は、第1の電極膜5を全面に亘って覆い、第1の電極膜5とシールド膜8,9との間を絶縁している。
シールド膜8,9は、センサ部2の外側(外殻)に位置して、圧電フィルムセンサ3および絶縁フィルム7の厚さ方向の両側にそれぞれ設けられている。即ち、シールド膜8,9は、圧電フィルムセンサ3および絶縁フィルム7を厚さ方向の両側からそれぞれ覆っている。シールド膜8,9は、導電性があればよく、樹脂フィルムに金属薄膜を成膜したもの、導電性樹脂フィルム、導電糸で作製した導電性布(不織布)等が適している。シールド膜8,9は、弾性変形可能なシート状に形成されている。シールド膜8,9は、圧電フィルムセンサ3を外部の電磁ノイズからシールドする。シールド膜8,9は、本体部20に設けられた電気回路のグランド(GND)に接続されている。
貼付部材10は、嚥下センサ1の厚さ方向の一側に位置して設けられている。貼付部材10は、例えば生体適合性のある両面テープ等を用いて、長方形状に形成されている。貼付部材10は、嚥下センサ1を被験者101の前頸部102の体表に貼り付けるものである。
本体部20は、嚥下センサ1のうち上下方向の他端側(図1中の下側)に位置して設けられている。図4に示すように、本体部20は、前処理部21,22、信号処理部23、無線通信モジュール25等を備えている。この場合、本体部20は、コネクタ(図示せず)等を用いてセンサ部2とは取外し可能に接続され、被験者101に貼付されたセンサ部2の下端側に貼り付けられている(図3参照)。これにより、センサ部2のみが破損した場合や汚れた場合に、センサ部2のみを本体部20から取外して交換することができる。なお、図1は、本体部20がセンサ部2の下側に配置された場合を例示した。本発明はこれに限らず、本体部20は、センサ部2の側方(右側または左側)に配置されてもよい。
前処理部21,22は、圧電フィルムセンサ3のセンシング部分3A,3Bの個数に応じて、複数系統(例えば2系統)設けられている。前処理部21,22は、圧電フィルムセンサ3から出力されるアナログ信号S1a,S2aに対する前処理として、増幅、フィルタリング、A/D変換を行う。
前処理部21は、増幅回路21A、低域通過フィルタ21B(以下、LPF21Bという)、高域通過フィルタ21C(以下、HPF21Cという)、A/Dコンバータ21D,21Eを備えている。前処理部21の入力側は、圧電フィルムセンサ3のセンシング部分3Aに接続され、前処理部21の出力側は、信号処理部23に接続されている。
増幅回路21Aの入力側は、圧電フィルムセンサ3のセンシング部分3Aに接続されている。増幅回路21Aは、センシング部分3Aの第1,第2の電極膜5,6から出力されるアナログ信号S1aを増幅する。増幅されたアナログ信号S1aは、例えば数十〜100Hzを基準にして、LPF21BとHPF21Cとによって、低周波成分S1La(変位速度)と高周波成分S1Ha(音)とに分離される。
LPF21Bは、増幅されたアナログ信号S1aのうち、遮断周波数よりも低い低周波成分S1Laを通過させ、遮断周波数よりも高い成分を減衰させる。このとき、低周波成分S1Laは、嚥下に伴う甲状軟骨103の変位速度に応じた変位成分を含む。嚥下の判定を行うためには、低周波成分S1Laは、数十Hz以下の信号で十分である。このため、LPF21Bの遮断周波数は、例えば数十〜100Hz程度に設定されている。
HPF21Cは、増幅されたアナログ信号S1aのうち、遮断周波数よりも高い高周波成分S1Haを通過させ、遮断周波数よりも低い成分を減衰させる。このとき、高周波成分S1Haは、嚥下動作時の発生音に応じた音成分を含む。このため、高周波成分S1Haは、少なくとも3kHz程度までの信号を含む。HPF21Cの遮断周波数は、例えば数十〜100Hz程度に設定されている。
なお、HPF21Cの遮断周波数は、例えば嚥下音のような必要な音成分が取得できる範囲で、LPF21Bの遮断周波数よりも高い値(例えば、100〜500Hz程度)に設定してもよい。
A/Dコンバータ21Dは、LPF21Bから出力されたアナログ信号S1aの低周波成分S1Laを、デジタル信号S1Ldに変換する。このとき、嚥下判定を行うためには、変位信号(変位速度信号)は、数十Hz以下の周波数成分で十分である。このため、A/Dコンバータ21Dのサンプリング周波数は、数十Hz以下の変位信号を含む低周波成分S1Laに対して、十分に高い周波数(例えば、100Hz〜1000Hz程度)に設定されている。
A/Dコンバータ21Eは、HPF21Cから出力されたアナログ信号S1aの高周波成分S1Haを、デジタル信号S1Hdに変換する。このとき、音信号を取得するためには、サンプリング周波数は、最低でも3kHz程度までの周波数成分が必要になる。このため、A/Dコンバータ21Eのサンプリング周波数は、10kHz程度が必要になる。
前処理部22は、前処理部21とほぼ同様に構成されている。このため、前処理部22は、増幅回路21A、LPF21B、HPF21C、A/Dコンバータ21D,21Eとほぼ同様な増幅回路22A、低域通過フィルタ22B(以下、LPF22Bという)、高域通過フィルタ22C(以下、HPF22Cという)、A/Dコンバータ22D,22Eを備えている。前処理部22の入力側は、圧電フィルムセンサ3のセンシング部分3Bに接続され、前処理部22の出力側は、信号処理部23に接続されている。
増幅回路22Aは、センシング部分3Bから出力されるアナログ信号S2aを増幅する。LPF22B、HPF22Cは、増幅されたアナログ信号S2aを、低周波成分S2La(変位速度)と高周波成分S2Ha(音)とに分離する。A/Dコンバータ22Dは、低周波成分S2Laをデジタル信号S2Ldに変換する。A/Dコンバータ22Eは、高周波成分S2Haをデジタル信号S2Hdに変換する。
信号処理部23は、嚥下の動作を判定する嚥下判定部を構成している。信号処理部23は、本体部20に設けられ、バッテリ26から供給される電力によって駆動する。信号処理部23の入力側は、A/Dコンバータ21D,21E,22D,22Eに接続されている。一方、信号処理部23の出力側は、メモリ24および無線通信モジュール25に接続されている。信号処理部23は、例えばマイクロコンピュータ(CPU)等により構成されている。信号処理部23は、デジタル信号S1Ld,S2Ldに基づいて、被験者101の嚥下を判定する。信号処理部23は、被験者101の嚥下を判定したときに、その検出した嚥下時の変位成分(デジタル信号S1Ld,S2Ld)と、音成分(デジタル信号S1Hd,S2Hd)とを抽出し、メモリ24に保存する、または無線通信モジュール25を用いて無線出力する。
嚥下時のデータは、例えば変位速度成分の信号強度変化が閾値を超えたデータ範囲とすることができる。また、嚥下時のデータは、例えば予め設定しておいた嚥下の基準パターンと合致した変化パターンに対応するデータ範囲(基準パターンの嚥下開始点から嚥下終了点までのデータ範囲)としてもよい。さらに、嚥下時のデータは、上述した2つのデータ範囲のいずれか一方に、その前後の所定時間のデータを追加したデータ範囲としてもよい。
抽出されたデジタル信号S1Ld,S2Ld,S1Hd,S2Hdは、本体部20の内部に設けられたメモリ24(記憶部)に保存される、または、無線通信モジュール25を用いて無線出力される。このとき、メモリ24は、揮発性メモリと不揮発性メモリのいずれでもよい。
無線通信モジュール25は、本体部20に設けられ、信号処理部23と接続されている。無線通信モジュール25は、各種の無線通信規格に応じて信号を変調する変調回路と、変調信号を送信する送信部(いずれも図示せず)等を備えている。無線通信モジュール25は、信号処理部23によって抽出された嚥下時のデジタル信号S1Ld,S2Ld,S1Hd,S2Hdを、PC(コンピュータ)、携帯端末、記憶装置、サーバ(いずれも図示せず)等のような外部機器(解析装置)に向けて出力する。外部機器は、受信したデータに基づいて、嚥下機能解析を行う。
なお、データを外部機器に無線で送信する構成としたが、ケーブルで本体部20と解析装置とを接続し、データをケーブル経由で送信してもよい。
嚥下センサ1は上述の如き構成を有するもので、次に信号処理部23によって被験者101の嚥下を検出する嚥下検出処理について、図5を参照して説明する。この嚥下検出処理は、嚥下センサ1が駆動している間に所定周期毎に繰り返し実行される。
まず、ステップ1では、LPF21B,22Bから出力された低周波成分S1La,S2Laを、A/Dコンバータ21D,22Dによって、デジタル信号S1Ld,S2Ldに変換する。信号処理部23は、例えば100Hz程度の低サンプリング周波数で変換された、変位信号のデータとなるデジタル信号S1Ld,S2Ldを取得する。
ここで、嚥下前に生じる喉の動作に伴って、変位速度(デジタル信号S1Ld,S2Ld)の絶対値は増加する。このため、続くステップ2では、変位信号のデジタル信号S1Ld,S2Ldに基づいて、変位速度の絶対値が所定の閾値ST以上か否かを判定する。変位速度の絶対値が閾値STよりも小さいときには、嚥下前の動作は検出されない。このため、ステップ2で「NO」と判定し、ステップ1に戻る。一方、変位速度の絶対値が所定の閾値STを超えたときには、嚥下前の動作が検出されている。このため、ステップ2で「YES」と判定し、ステップ3に移行する。
ステップ3では、センシング部分3A,3Bの信号強度変化を個別に取得する。具体的には、デジタル信号S1Ld,S2Ldの時間変化の波形パターンを取得する。併せて、A/Dコンバータ21D,22Dを用いて、HPF21C,22Cから出力された高周波成分S1Ha,S2Haをデジタル信号S1Hd,S2Hdに変換する。そして、信号処理部23は、音信号を含むデジタル信号S1Hd,S2Hdの取得を開始する。
続くステップ4では、デジタル信号S1Ld,S2Ldの変化パターンと各センシング部分3A,3Bでの変化(例えば信号強度最大)のタイミングが所定範囲内か否かに基づいて、嚥下か否かを判定する。
図13に、嚥下時の波形パターンの一例を示す。図13に示すように、嚥下時には、1.5秒付近で、上側のセンシング部分3Aの下向きの鋭いピークPa1と、下側のセンシング部分3Bの上向きの鋭いピークPb1が所定時間内に発生する。その後に、1.6秒付近で、上側のセンシング部分3Aの少しブロードな上向きのピークPa2と、下側のセンシング部分3Bの少しブロードな上向きのピークPb2が所定時間内に発生する。さらに、1.7〜2.1秒付近で、緩やかな下向きの2個のピークPb3,Pb4が所定時間内に発生する。このため、信号処理部23は、これらのピークPa1,Pa2,Pb1〜Pb4が全て発生したか否かに基づいて、嚥下か否かの判定を行う。
ピークPa1,Pb1は、喉頭隆起の上方への移動(挙上)に対応している。ピークPa2,Pb2は、喉頭隆起の前方への移動(前進)に対応している。ピークPb3,Pb4は、喉頭隆起の元の位置への移動に対応している。
上側のセンシング部分3Aの下向きの鋭いピークPa1と、下側のセンシング部分3Bの上向きの鋭いピークPb1を得るためには、上側のセンシング部分3Aと下側のセンシング部分3Bの配置間隔を、皮膚上から甲状軟骨103の動きを捉え易いように、喉頭隆起の頸部の長さ方向の大きさ程度にし(10〜35mm程度)、喉頭隆起を挟んで上下に上側のセンシング部分3Aと下側のセンシング部分3Bを配置することが望ましい。複数のセンシング部分3A,3Bをこのように配置した場合には、喉頭隆起の上方移動と前方移動を区別して判定することが可能である。
なお、図13は、嚥下時の波形パターンの一例を示したものであり、例えば圧電フィルムセンサ3の貼付位置、測定条件の違い、個人差、嚥下障害度合等に応じて、ピーク個数やピークタイミングが異なる場合がある。このため、嚥下の判定には、全てのピークPa1,Pa2,Pb1〜Pb4を用いる必要はなく、例えばピークPa1,Pa2のように、検出が容易で特徴的なものだけを用いてもよい。また、例えば、下側のセンシング部分3BのピークPb3,Pb4に対応した時刻に、上側のセンシング部分3Aでもピークが検出されることがある。このため、ピークPa1,Pa2,Pb1〜Pb4だけでなく、他のピークも併せて考慮することによって、嚥下の判定を行ってもよい。
上述の判定条件を満たさないときには、嚥下とは判定しない。このため、ステップ4で「NO」と判定し、ステップ1に戻る。これに対し、上述の判定条件を満たすときには、嚥下と判定する。このため、ステップ4で「YES」と判定し、ステップ5に移行して、嚥下時のデータのみを抽出する。
例えば、嚥下時のデータは、ステップ2で嚥下前の動作を検出した時点(変位速度の絶対値が所定の閾値STを超えた時点)を始点とし、ステップ4で嚥下を判定してから所定時間が経過する時点を終点としたときに、始点から終点までの間のデジタル信号S1Ld,S2Ld,S1Hd,S2Hdのデータである。
なお、所定時間は、例えば被験者101毎の波形データの個人差を考慮し、適宜設定される。また、ステップ2で取得を開始したデータを全て抽出する必要はなく、例えばステップ4で嚥下を判定した時点を基準に、その前後で予め決められた時間範囲内のデータを抽出してもよい。続くステップ6では、抽出したデータを、内部メモリ24に保存する、または、無線通信モジュール25を用いて外部機器に送信する。
かくして、第1の実施の形態によれば、圧電フィルムセンサ3は、嚥下に伴って発生する甲状軟骨103の動きの範囲の皮膚に貼り付けられる。このため、例えば首(頸部)の太さおよび形状が被験者101毎に異なるときでも、このような個人差の影響を抑制することができ、多くの人に調整することなく使用することができる。また、圧電フィルムセンサ3は、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分3A,3Bを有し、複数のセンシング部分3A,3Bのそれぞれの変形に伴う信号をそれぞれ出力する。このため、複数のセンシング部分3A,3Bは、甲状軟骨103の動作(上方移動、前方移動)に応じて、互いに波形パターンの異なる信号を出力することができる。このため、複数のセンシング部分3A,3Bからのアナログ信号S1a,S2aを用いることによって、単一のセンシング部分を用いた場合に比べて、嚥下を容易に特定することができる。
また、圧電フィルムセンサ3は、甲状軟骨103上の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分3A,3Bを有する。このとき、例えば頷くときのように、甲状軟骨103とその上の皮膚の相対位置が変化しない首の動作(首を縦に振る動作)をしたときには、甲状軟骨103と皮膚との相対位置が変化しない。これ対し、嚥下動作をしたときには、甲状軟骨103と皮膚との相対位置が変化する。
この点について、図6ないし図12を参照して具体的に説明する。例えば、図6に示すように、嚥下動作前の基準姿勢時となる口腔期には、被験者101は、食物Fを咀嚼し、咽頭へ送り込む。このとき、甲状軟骨103は、2個のセンシング部分3A,3Bとのうち下側のセンシング部分3Bに近い位置に配置されている。
続く、咽頭期では、被験者101は、食物Fを口腔から咽頭へ送り込む。このとき、図7に示すように、下側のセンシング部分3Bの下にあった甲状軟骨103が、嚥下動作時に上側のセンシング部分3Aの下に移動する。続く、図8および図9に示す食道期では、被験者101は、食物Fを咽頭から食道へ送り込む。このとき、気道は閉塞されるため、食物Fは気道には入らない。食物Fは、食道から胃に送り込まれる。
ここで、嚥下動作時には、下側のセンシング部分3Bからの変位信号(低周波成分S1La)と、上側のセンシング部分3Aからの変位信号(低周波成分S2La)とでは、その波形パターンが異なる。出力の変位速度成分が最大となるのは、甲状軟骨103が上方へ移動するときである(図7参照)。図10および図11に示すように、例えば、甲状軟骨103が圧電フィルムセンサ3の下側から上側に移動するときには、下側のセンシング部分3Bからの変位信号と、上側のセンシング部分3Aからの変位信号とには、互いに逆向きの大きなピークPa1,Pb1が発生する(図13参照)。
これに対し、図12に示すように、上を向く動作時には、甲状軟骨103は、下側のセンシング部分3Bの下から移動しない。このため、出力の変位速度成分に大きなピークは発生し難く、また発生したとしても、下側のセンシング部分3Bからの変位信号と上側のセンシング部分3Aからの変位信号とでは、互いに逆向きの大きなピークは発生しない。このように、首の上下動作と嚥下動作とで、センシング部分3A,3Bからの変位信号が異なるから、首の上下動作に伴う誤検出を抑制することができる。
なお、図10ないし図12に示すように、首の側面部Aおよび前頸部102の下部Bに対する甲状軟骨103の相対位置関係は、嚥下動作時と上を向く動作時とでは、あまり差がないことが分かる。一方、嚥下動作時には、甲状軟骨103は上方に変位するが、首の側面部Aと前頸部102の下部Bはほぼ変位しない。これに対し、特許文献1に開示されたように、保持バンドを首に巻き付けてセンサを頸部に固定した場合には、被験者101が上を向くと後頸部に対して甲状軟骨103が上方に変位する。このため、嚥下動作による皮膚下での甲状軟骨103の動きと、首の上下動による後頸部に対する甲状軟骨103の動きとを、区別することが難しくなる。従って、嚥下センサ1を固定する範囲は、甲状軟骨103上とその近傍の狭い範囲の皮膚であることが望ましい。
但し、センシング領域が狭い範囲だと嚥下時の甲状軟骨103が移動した際に、甲状軟骨103のセンシング領域の範囲外に出てしまう。このため、嚥下センサ1は、甲状軟骨103が移動する範囲を複数のセンシング部分3A,3Bで覆っている。
嚥下センサ1は、複数のセンシング部分3A,3Bのアナログ信号S1a,S2aに基づいて甲状軟骨103の動きを検出し、嚥下の動作を判定する信号処理部23を備える。このとき、複数のセンシング部分3A、3Bは、甲状軟骨103の動作(上方移動、前方移動)に応じて、互いに波形パターンの異なるアナログ信号S1a,S2aを出力することができる。このため、信号処理部23は、複数のセンシング部分3A,3Bからアナログ信号S1a,S2aが出力されたときに、それぞれのアナログ信号S1a,S2aの波形パターンの特徴を比較することによって、甲状軟骨103の動きを検出し、嚥下の動作を判定することができる。
具体的には、信号処理部23は、複数のセンシング部分3A,3Bのアナログ信号S1a,S2aに基づいて喉頭隆起の上方移動と前方移動を判定することで嚥下を判定する。このため、信号処理部23は、アナログ信号S1a,S2aに、喉頭隆起の上方移動に応じたピークPa1,Pb1と、喉頭隆起の前方移動に応じたピークPa2,Pb2が発生するか否かに応じて、嚥下を判定することができる。
圧電フィルムセンサ3は、圧電フィルム4を用いて形成されているから、センシング部分3A,3Bを薄くて軽く形成することができ、甲状軟骨103を含む喉頭の動きを阻害しない。また、患者の違和感を小さくすることができるのに加え、軽いため、頸部の皮膚からの剥離を抑制することができる。
信号処理部23は、圧電フィルムセンサ3から出力されるアナログ信号S1a,S2aの変位成分(低周波成分S1La,S2La)を用いて嚥下の動作を判定する。このとき、変位成分は、信号の周波数が低いから、信号処理部23は、サンプリング周波数の低いデジタル信号S1Ld,S2Ldの変位成分を用いて嚥下の動作を判定することができる。
信号処理部23が嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データの変位成分(低周波成分S1La,S2Laのデジタル信号S1Ld,S2Ld)と音成分(高周波成分S1Ha,S2Haのデジタル信号S1Hd,S2Hd)を抽出し、メモリ24に保存する、または無線出力する。このため、変位成分に加えて音成分を解析することで、嚥下機能の判定精度を向上することができる。
また、音成分は、最低でも3kHz程度までの周波数成分が必要になるため、サンプリング周波数としては10kHz程度必要になる。このため、音成分を長時間測定すると、データ量が膨大になる。これに対し、嚥下センサ1は、嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データの変位成分と音成分を抽出し、メモリ24に保存する、または無線出力する。このため、常時は信号データの変位成分および音成分を保存または無線出力する必要がなく、嚥下判定時に限って信号データの変位成分と音成分を抽出すればよい。従って、信号データを常に保存または無線出力する場合に比べて、取得データの膨大化を抑制することができる。
次に、図14ないし図19を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の特徴は、圧電フィルムセンサは、頸部の長さ方向に沿って配列された複数のセンシング部分を有し、複数のセンシング部分のうち少なくとも一つは極性が反転する構成とし、圧電フィルムセンサは、極性が反転したセンシング部分の変形に伴う信号と、極性が反転していない前記センシング部分の変形に伴う信号とを加算して出力することにある。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略する。
図14に示すように、第2の実施の形態による嚥下センサ31は、被験者101の嚥下を検出するセンサ部32と、センサ部32から出力された信号を処理する本体部34と、を有している。センサ部32は、第1の実施の形態によるセンサ部2と同様に構成され、圧電フィルムセンサ33を備えている。
図15に示すように、圧電フィルムセンサ33は、圧電素子の一例を示し、第1の実施の形態による圧電フィルムセンサ3と同様に構成されている。このため、圧電フィルムセンサ33は、圧電フィルム4と第1,第2の電極膜5,6とによって構成されている。圧電フィルムセンサ33は、センサ部32の内側に位置して設けられている。圧電フィルムセンサ33は、フィルム状に形成され、その変形に応じて電気信号(電荷)を発生させる。
圧電フィルムセンサ33は、頸部の長さ方向に沿って配列された複数(例えば2個)のセンシング部分33A,33Bを有している。これらのセンシング部分33A,33Bのうち少なくとも一つは、極性が反転している。センシング部分33A,33Bは、圧電フィルムセンサ33を被験者101の前頸部102に貼り付けた状態で、頸部の長さ方向(上下方向)に沿って並べられる。具体的には、センシング部分33A,33Bは、甲状軟骨103を挟んで上下方向に配置される。
センシング部分33Aとセンシング部分33Bは、互いに極性が反転している。具体的には、センシング部分33Aとセンシング部分33Bは、圧電フィルム4の表面側(外気側)に位置する第1の電極膜5と、裏面側(皮膚側)に位置する第2の電極膜6とを逆にして並列に接続されている(図16参照)。即ち、センシング部分33Aの第1の電極膜5は、センシング部分33Bの第2の電極膜6に接続されている。センシング部分33Aの第2の電極膜6は、センシング部分33Bの第1の電極膜5に接続されている。これにより、センシング部分33Aとセンシング部分33Bは、互いに電気的に並列接続されている。このため、圧電フィルムセンサ33は、2個のセンシング部分33A,33Bの変形に伴う信号を加算した加算信号Saを出力する。
本体部34は、嚥下センサ31の他端側(図1中の下側)に位置して設けられている。本体部34は、前処理部35、信号処理部36、無線通信モジュール25等を備えている。
前処理部35は、第1の実施の形態による前処理部21とほぼ同様に構成されている。このため、前処理部35は、増幅回路35A、低域通過フィルタ35B(以下、LPF35Bという)、高域通過フィルタ35C(以下、HPF35Cという)、A/Dコンバータ35D,35Eを備えている。前処理部35の入力側は、圧電フィルムセンサ33に接続され、前処理部35の出力側は、信号処理部36に接続されている。
増幅回路35Aは、圧電フィルムセンサ33から出力される加算信号Saを増幅する。LPF35B、HPF35Cは、増幅された加算信号Saを、低周波成分SLa(変位速度)と高周波成分SHa(音)とに分離する。A/Dコンバータ35Dは、低周波成分SLaをデジタル信号SLdに変換する。A/Dコンバータ35Eは、高周波成分SHaをデジタル信号SHdに変換する。
信号処理部36は、嚥下の動作を判定する嚥下判定部を構成している。信号処理部36は、本体部34に設けられ、バッテリ26から供給される電力によって駆動する。信号処理部36の入力側は、A/Dコンバータ35D,35Eに接続されている。一方、信号処理部36の出力側は、メモリ24および無線通信モジュール25に接続されている。信号処理部36は、例えばマイクロコンピュータ(CPU)等により構成されている。信号処理部36は、第1の実施の形態による信号処理部23と同様に、図18に示す嚥下検出処理を実行する。
具体的には、信号処理部36は、デジタル信号SLdに基づいて、被験者101の嚥下を判定する。信号処理部36は、被験者101の嚥下を判定したときに、その検出した嚥下時の信号データとして、その検出した嚥下時の変位成分(低周波成分SLaのデジタル信号SLd)と、音成分(高周波成分SHaのデジタル信号SHd)とを抽出し、メモリ24に保存する、または無線通信モジュール25を用いて無線出力する。
嚥下センサ31は上述の如き構成を有するもので、次に信号処理部36によって被験者101の嚥下を検出する嚥下検出処理について、図18を参照して説明する。この嚥下検出処理は、嚥下センサ31が駆動している間に所定周期毎に繰り返し実行される。
まず、ステップ11では、LPF35Bから出力された低周波成分SLaを、A/Dコンバータ35Dによって、デジタル信号SLdに変換する。信号処理部36は、例えば100Hz程度の低サンプリング周波数で変換された、変位信号のデータとなるデジタル信号SLdを取得する。
続くステップ12では、変位信号のデジタル信号SLdに基づいて、変位速度の絶対値が所定の閾値ST以上か否かを判定する。変位速度の絶対値が閾値STよりも小さいときには、嚥下前の動作は検出されない。このため、ステップ12で「NO」と判定し、ステップ11に戻る。一方、変位速度の絶対値が所定の閾値STを超えたときには、嚥下前の動作が検出されている。このため、ステップ12で「YES」と判定し、ステップ13に移行する。
ステップ13では、変位信号の信号強度変化を取得する。具体的には、デジタル信号SLdの時間変化の波形パターンを取得する。併せて、A/Dコンバータ35Eを用いて、HPF35Cから出力された高周波成分SHaをデジタル信号SHdに変換する。そして、信号処理部36は、音信号を含むデジタル信号SHdの取得を開始する。
続くステップ14では、デジタル信号SLdの変化パターンとセンシング部分33A,33Bでの変化(例えば信号強度最大)のタイミングが所定範囲内か否かに基づいて、嚥下か否かを判定する。
ここで、第2の実施の形態では、圧電フィルムセンサ33の出力信号(加算信号Sa)は単一である。このため、判定に用いる信号強度変化は、1個のみであるため、第1の実施の形態による信号処理部23とは、嚥下判定のためのパターンが異なる。
図19に、加算信号Saに基づく変位信号について、嚥下時の波形パターンの一例を示す。図19に示すように、嚥下時には、加算信号Saから得られる変位信号(デジタル信号SLd)は、嚥下時(1.5秒付近)に非常に鋭い上向きの大きなピークP21が発生し、その後の所定時間内(1.7〜2.1秒付近)に、2個の緩やかな下向きのピークP22,P23が発生する。このため、信号処理部36は、これらのピークP21〜P23が全て発生したか否かに基づいて、嚥下か否かの判定を行う。
なお、図19は、嚥下時の波形パターンの一例を示したものであり、例えば圧電フィルムセンサ33の貼付位置、測定条件の違い、個人差、嚥下障害度合等に応じて、ピーク個数やピークタイミングが異なる場合がある。このため、嚥下の判定には、全てのピークP21〜P23を用いる必要はなく、例えばピークP21のように、検出が容易で特徴的なものだけを用いてもよい。
上述の判定条件を満たさないときには、嚥下とは判定しない。このため、ステップ14で「NO」と判定し、ステップ11に戻る。これに対し、上述の判定条件を満たすときには、嚥下と判定する。このため、ステップ14で「YES」と判定し、ステップ15に移行して、嚥下時のデータのみを抽出する。続くステップ16では、抽出したデータを、内部メモリ24に保存する、または、無線通信モジュール25を用いて外部機器に送信する。
かくして、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第1の実施の形態では、複数のセンシング部分3A,3Bは個別にアナログ信号S1a,S2aを出力するから、センシング部分の個数が多い場合には、出力信号の数が増えてデータ量が増加し、演算処理負荷も増加する。これに対し、第2の実施の形態では、極性が反転したセンシング部分33A,33Bがそれぞれ1個ずつを上下に並べた構造となっており、圧電フィルムセンサ33は、複数のセンシング部分33A,33Bの変形に伴う信号を加算した加算信号Saを出力する。このため、データ量は増加させずに、嚥下判定を行い易くすることができる。
この点について、図19を参照して具体的に説明する。図19中の破線は、比較例として、2個のセンシング部分33A,33Bを互いに同じ極性(非反転の極性)にして並列接続した場合について、その出力信号を示している。この比較例は、センシング部分が単一の場合に相当する。図19に示すように、比較例の場合には、約1.5秒から上向きのピークP31が発生し、その後下向きの比較的緩やかな2個のピークP32,P33が発生している。しかしながら、明確な特徴のあるパターンとは言えず、首の上下動等と明確に区別できない場合がある。
図19中の実線は、第2の実施の形態による圧電フィルムセンサ33からの出力信号(加算信号Sa)を示している。この場合、2個のセンシング部分33A,33Bは、互いに極性が反転した状態で、電気的に並列接続されている。図19に示すように、第2の実施の形態では、加算信号Saの波形パターンは、約1.5秒で非常に鋭い上向きの大きなピークP21が発生し、その後、2個の緩やかな下向きのピークP22,P23が発生している。このように、第2の実施の形態では、比較例に比べて、約1.5秒の甲状軟骨103の上方移動時のピークの特徴が明確になっており、嚥下判定が容易になる。従って、データ量を増やすことなく嚥下検出の精度を向上できる。
前記第2の実施の形態では、センサ部32の圧電フィルムセンサ33が2個のセンシング部分33A,33Bを有する場合を例示して説明したが、3個以上のセンシング部分を有してもよい。
図20に示す第1の変形例では、センサ部41の圧電フィルムセンサ42は、4個のセンシング部分42A〜42Dを有している。4個のセンシング部分42A〜42Dは、上下方向(頸部の長さ方向)に沿って配列され、交互に極性が反転している。即ち、センシング部分42A,42Cとセンシング部分42B,42Dとは、極性が反転している。この場合、圧電フィルムセンサ42は、2組の出力部43,44を有している。出力部43は、センシング部分42Aとセンシング部分42Bとが並列接続され、センシング部分42Aの信号とセンシング部分42Bの信号とを加算した加算信号を出力する。出力部44は、センシング部分42Cとセンシング部分42Dとが並列接続され、センシング部分42Cの信号とセンシング部分42Dの信号とを加算した加算信号を出力する。
図21に示す第2の変形例では、センサ部51の圧電フィルムセンサ52は、4個のセンシング部分52A〜52Dを有している。4個のセンシング部分52A〜52Dは、上下方向(頸部の長さ方向)に沿って配列され、上側の2個のセンシング部分52A,52Bと、下側の2個のセンシング部分52C,52Dとは、極性が反転している。この場合、圧電フィルムセンサ52は、2組の出力部53,54を有している。出力部53は、センシング部分52Aとセンシング部分52Cとが並列接続され、センシング部分52Aの信号とセンシング部分52Cの信号とを加算した加算信号を出力する。出力部54は、センシング部分52Bとセンシング部分52Dとが並列接続され、センシング部分52Bの信号とセンシング部分52Dの信号とを加算した加算信号を出力する。
圧電フィルムセンサ42,52のいずれでも、センシング部分42A〜42D,52A〜52Dの個数に比べて、加算信号の出力数が少なくなる。
なお、極性が反転しているセンシング部分(例えばセンシング部分42C,52B)と反転していないセンシング部分(例えばセンシング部分42D,52D)の配置間隔D1,D2は、皮膚上から甲状軟骨103の動きを捉えやすいように、喉頭隆起の大きさ程度にし(例えば、10〜35mm程度)、喉頭隆起の上下に、極性が反転しているセンシング部分と、反転していないセンシング部分とを配置することが望ましい。
また、前記各実施の形態では、増幅後のアナログ信号や加算信号を低周波成分と高周波成分とに分離する構成とした。本発明はこれに限らず、AD変換後のデジタル信号で低周波成分と高周波成分とに分離してもよい。さらに、増幅前のアナログ信号を低周波成分と高周波成分とに分離してもよい。
また、前記各実施の形態では、圧電素子として圧電フィルムセンサ3,33を例示したが、圧電素子はフィルム状である必要はなく、バルク状(塊状)であってもよい。また、圧電素子の圧電材料は、圧電性を有する物質であれば特に限定されるものではない。例えば、圧電素子の圧電材料は、ウルツ鉱型構造を有する化合物やペロブスカイト構造(ABO3)を有する複合酸化物(ペロブスカイト系複合酸化物)を主成分とする材料を用いることができる。
ウルツ鉱型構造を有する化合物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化亜鉛またはヨウ化銀が挙げられる。
ペロブスカイト系複合酸化物のペロブスカイト構造(ABO3)のAサイトとしては、例えば、鉛(Pb)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、リチウム(Li)およびビスマス(Bi)の中から選択される少なくとも1種の元素を採用することができる。ペロブスカイト構造(ABO3)のBサイトとしては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)および鉄(Fe)の中から選択される少なくとも1種の元素が採用される。
このようなペロブスカイト系複合酸化物の具体例としては、チタン酸ジルコン酸鉛[Pb(Zr,Ti)O](PZTともいう)、ニオブ酸タンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O]、チタン酸バリウム(BaTiO)、(Pb,La)(Zr,Ti)O[チタン酸鉛(PbTiO)など]、等が挙げられる。
次に、上記の実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明による嚥下センサは、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲に位置して前頸部の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分を有する圧電素子を有し、前記圧電素子は、複数の前記センシング部分の変形に伴う信号を個別に出力する。
本発明によれば、圧電素子は、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲の皮膚に貼り付けられる。このため、例えば首(頸部)の太さおよび形状が被験者毎に異なるときでも、これらの個人差の影響を抑制することができ、多くの人に調整することなく使用することができる。また、圧電素子は、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分を有し、複数のセンシング部分の変形に伴う信号をそれぞれ出力する。このため、複数のセンシング部分は、甲状軟骨の動作(上下動作)に応じて、互いに波形パターンの異なる信号を出力することができる。この結果、複数のセンシング部分からの信号を用いることによって、単一のセンシング部分を用いた場合に比べて、嚥下を容易に特定することができる。
また、圧電素子は、甲状軟骨上の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分を有する。このとき、例えば頷く動作のように、甲状軟骨とその上の皮膚の相対位置が変化しない首の動作(首を縦に振る動作)をしたときには、甲状軟骨と皮膚との相対位置が変化しない。これ対し、嚥下動作をしたときには、甲状軟骨と皮膚との相対位置が変化する。このため、首の上下動作と嚥下動作とで、センシング部分からの信号が異なるから、首の上下動作に伴う誤検出を抑制することができる。
本発明では、複数の前記センシング部分の信号に基づいて甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定する嚥下判定部をさらに備えている。
このとき、複数のセンシング部分は、甲状軟骨の動作(上下動作)に応じて、互いに波形パターンの異なる信号を出力することができる。このため、嚥下判定部は、複数のセンシング部分から信号が出力されたときに、それぞれの信号の波形パターンの特徴を比較することによって、甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定することができる。
本発明では、前記嚥下判定部は、複数の前記センシング部分の信号に基づいて喉頭隆起の上方移動と前方移動を判定することで嚥下を判定する。
喉頭隆起の上方移動では、喉頭隆起が上方に移動することによって、複数のセンシング部分の信号にピークが発生する。また、喉頭隆起の前方移動では、喉頭隆起が前方に移動することによって、複数のセンシング部分の信号にピークが発生する。嚥下判定部は、これらのピークの有無を判定することによって、嚥下を判定することができる。
本発明による嚥下センサは、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲に位置して前頸部の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に沿って配列された複数のセンシング部分を有する圧電素子を有し、複数の前記センシング部分のうち少なくとも一つは、極性が反転し、前記圧電素子は、極性が反転した前記センシング部分の変形に伴う信号と、極性が反転していない前記センシング部分の変形に伴う信号とを加算して出力する。
本発明によれば、圧電素子は、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲の皮膚に貼り付けられる。このため、例えば首の太さおよび形状について、個人差の影響を抑制することができ、多くの人に調整することなく使用することができる。また、圧電素子は、頸部の長さ方向に沿って配列した複数のセンシング部分のうち少なくとも一つの極性が反転したセンシング部分を有している。例えば、甲状軟骨を挟んで上下方向に複数のセンシング部分を配置した場合、甲状軟骨が上方に移動したときに、上側のセンシング部分と下側のセンシング部分とでは、大きな信号のピークが逆向きに発生する。このとき、極性が反転した複数のセンシング部分では、信号が反転するから、これらの信号を加算することによって、甲状軟骨の上方移動時の大きなピークが強調される。この結果、複数のセンシング部分から別個の信号を出力した場合に比べて、データ量を増加させずに、嚥下検出の精度を向上させることができる。
また、圧電素子は、甲状軟骨上の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分を有する。このとき、首を縦に振る動作をしたときには、甲状軟骨と皮膚との相対位置が変化しない。これに対し、嚥下動作をしたときには、甲状軟骨と皮膚との相対位置が変化する。このため、首の上下動作と嚥下動作とで、センシング部分からの信号が異なるから、首の上下動作に伴う誤検出を抑制することができる。
本発明では、少なくとも一つずつの極性が反転した前記センシング部分の変形に伴う信号と、極性が反転していない前記センシング部分の変形に伴う信号とを加算した加算信号に基づいて甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定する嚥下判定部をさらに備えている。
極性が反転した複数のセンシング部分の変形に伴う信号と極性が反転していないセンシング部分の変形に伴う信号とを加算した加算信号は、甲状軟骨の上方移動時に、大きなピークが強調される。このため、嚥下判定部は、加算信号のピークを検出することによって、甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定することができる。
本発明では、前記嚥下判定部が嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データを抽出し、メモリに保存する、または無線出力する。
このため、常時は信号データを保存または無線出力する必要がなく、嚥下判定時に限って信号データを抽出すればよい。従って、信号データを常に保存または無線出力する場合に比べて、取得データの膨大化を抑制することができる。
本発明では、前記圧電素子は圧電フィルムを用いて形成されている。
本発明によれば、圧電素子は圧電フィルムを用いて形成されているから、センシング部分を薄くて軽く形成することができ、甲状軟骨を含む喉頭の動きを阻害しない。また、患者の違和感を小さくすることができるのに加え、軽いため、頸部の皮膚からの剥離を抑制することができる。
本発明では、前記圧電素子から出力される信号を低周波成分の変位成分と高周波成分の音成分とに分離し、前記嚥下判定部は、前記変位成分を用いて嚥下の動作を判定する。
このとき、変位成分は、信号の周波数が低いから、嚥下判定部は、サンプリング周波数の低い信号データの変位成分を用いて嚥下の動作を判定することができる。
本発明では、前記嚥下判定部が嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データの変位成分と音成分を抽出し、メモリに保存する、または無線出力する。
このため、変位成分に加えて音成分を解析することで、嚥下機能の判定精度を向上することができる。
また、音成分は、最低でも3kHz程度までの周波数成分が必要になるため、サンプリング周波数は少なくとも10kHz程度にする必要がある。このため、音成分を長時間測定すると、データ量が膨大になる。これに対し、本発明による嚥下センサは、嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データの変位成分と音成分を抽出し、メモリに保存する、または無線出力する。このため、常時は信号データの変位成分および音成分を保存または無線出力する必要がなく、嚥下判定時に限って信号データの変位成分と音成分を抽出すればよい。従って、信号データを常に保存または無線出力する場合に比べて、取得データの膨大化を抑制することができる。
1,31 嚥下センサ
2,32,41,51 センサ部
3,33,42,52 圧電フィルムセンサ(圧電素子)
3A,3B,33A,33B,42A〜42D,52A〜52D センシング部分
4 圧電フィルム
5,6 第1,第2の電極膜
10 貼付部材
20,34 本体部
21,22,35 前処理部
21B,22B,35B LPF
21C,22C,35C HPF
23,36 信号処理部
24 メモリ
25 無線通信モジュール

Claims (6)

  1. 嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲に位置して前頸部の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に複数のセンシング部分を有する圧電素子を有し、
    前記圧電素子は、複数の前記センシング部分の変形に伴う信号を個別に出力し、
    複数の前記センシング部分の信号に基づいて甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定する嚥下判定部をさらに備え、
    前記嚥下判定部は、複数の前記センシング部分の信号に基づいて喉頭隆起の上方移動と前方移動を判定することで嚥下を判定する嚥下センサ。
  2. 嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲に位置して前頸部の皮膚に貼り付けられ、頸部の長さ方向に沿って配列された複数のセンシング部分を有する圧電素子を有し、
    複数の前記センシング部分のうち少なくとも一つは、極性が反転し、
    前記圧電素子は、極性が反転した前記センシング部分の変形に伴う信号と、極性が反転していない前記センシング部分の変形に伴う信号とを加算して出力し、
    複数の前記センシング部分の変形に伴う信号を加算した加算信号に基づいて甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定する嚥下判定部をさらに備えている嚥下センサ。
  3. 前記嚥下判定部が嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データを抽出し、メモリに保存する、または無線出力する請求項1またはに記載の嚥下センサ。
  4. 前記圧電素子は圧電フィルムを用いて形成された請求項1またはに記載の嚥下センサ。
  5. 前記圧電素子から出力される信号を低周波成分の変位成分と高周波成分の音成分とに分離し、
    前記嚥下判定部は、前記変位成分を用いて嚥下の動作を判定する請求項1またはに記載の嚥下センサ。
  6. 前記嚥下判定部が嚥下と判定したときに、その検出した嚥下時の信号データの変位成分と音成分を抽出し、メモリに保存する、または無線出力する請求項に記載の嚥下センサ。
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