本明細書に用いられるセクションの表題は、組織化する目的だけにあり、記載した内容を制限するものではない。
遺伝子組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養及び形質変換、タンパク質精製などのために、標準的技術を用いることができる。酵素的反応及び精製技法は、製造者の仕様書に従って、または、当技術分野で一般に実行されるように、または、本明細書に記載の通りに、実施することができる。以下の方法及び技術は、一般に当技術分野で良く知られている従来の方法に従って、及び本明細書書全体に引用及び記載されているさまざまな一般的及びさらに特定の文献に記載された通りに、実施することができる。例えば、Sambrook et al.,2001、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照。これらは、任意の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される分子生物学、生物化学、物理及び生物物理学化学、分析化学、有機化学、並びに医薬品及び薬品化学と関連して用いられる名称並びにこれらの実験方法及び技術は、当技術分野でよく知られるもの及び一般に用いられるものである。化学合成、化学分析、薬品調製、製剤及びデリバリー並びに患者の治療には、標準的技術を用いることができる。
以下の定義が本明細書に用いられる。
「タンパク質」は、本明細書で用いられる場合、少なくとも2つの共有結合されたアミノ酸を指すことを意味し、ポリペプチド、オリゴペプチド、及びペプチドと交換可能に用いられる。2つ以上の共有結合されたアミノ酸は、ペプチド結合によって結合される。
「B因子」は、ヒトB因子を指し、そのアミノ酸配列は、配列番号16に示される。B因子、タンパク質B、補体B因子、補体タンパク質Bは、配列番号16と同じ配列を指す。B因子と同じもの、またはB因子の変異体を指すために他の用語を用いることができる(例えば、「プレプロタンパク質B」)。Ba因子(配列番号17)は、B因子の1つのポリペプチドフラグメントである。
「Bb因子」は、ヒト因子のポリペプチドフラグメント(配列番号7)を指す。
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、複数のCDR及び抗原のエピトープの結合によって特定の抗原と相互作用する1つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質を指すために、最も広い意味で交換可能に用いられる。抗体は、単クローン(例えば、完全長またはインタクト単クローン抗体)、多クローン、多価、及び/または多重特異性(例えば、所望の生物活性を示す限り、二重特異性抗体)とすることができる。抗体は、また、抗体フラグメント(本明細書に記載のとおり)とすることができる、またはこれを含むことができる。
「エピトープ」は、抗体によって認識及び結合される配列、構造、または分子を指すために用いられる。エピトープは、「抗原部位」を指すことができる。
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体の一部だけを含み、前記部分が、インタクト抗体中に存在する場合、好ましくは、通常、その部分と関係する機能の少なくとも1つ、好ましくはほとんどまたはすべてを保持する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント;二重特異性抗体;直鎖抗体;1本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。1つの実施形態では、抗体フラグメントが、インタクト抗体の抗原結合部位を含み、このため、抗原を結合する能力を保持する。もう1つの実施形態では、抗体フラグメント、例えば、Fc領域を含むものが、インタクト抗体中に存在する場合、通常、Fc領域と関係する少なくとも1つの生体機能、例えば、FcR結合、抗体半減期調節、ADCC機能及び補体結合を保持する。1つの実施形態では、抗体フラグメントが、インタクト抗体と実質的にほぼ同じin vivo半減期を有する一価抗体である。例えば、かかる抗体フラグメントが、フラグメントにin vivo安定性を与えることができるFc配列と結合する抗原結合アームを含んで良い。
「単クローン」抗体は、本明細書で用いられる場合、細胞の集団から得られる抗体を指し、前記細胞の集団が、同一親細胞からクローン由来する。単クローン抗体は、均一抗体である。すなわち、集団を含む個々の抗体が、同じ遺伝子から由来するように同一であり、少量で存在することができ、天然に存在する可能性がある変異型、及びいくつかの場合では異なる可能性がある翻訳後修飾を除いて、同じアミノ酸配列及びタンパク質構造を有する。単クローン抗体は、いくつかの実施形態では、きわめて特異的なものとすることができる。いくつかの実施形態では、単クローン抗体は、単一抗原部位に向けることができる。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含む他の抗体調製とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は抗原の単一決定因子に向けられる。個々の単クローン抗体は、任意の特定の方法によって生成することができる。例えば、本開示に従って用いられる単クローン抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって生成することができる、または遺伝子組換えDNA法(例えば、米国特許第4、816、567号を参照)によって、またはClackson et al.(1991)Nature 352:624−628及びMarks et al.(1991)J.Mol.Biol.222:581−597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから生成することができる。
「多クローン」抗体は、親の異質集団、抗体生成細胞に由来する抗体の異質集団を示すために用いられる。ほとんどの場合では、多クローン抗体が、異なったエピトープへの異なる親和性を有し、異なった配列を有する遺伝子から生成される。
「キメラ」抗体は、2つ以上の異種に由来するアミノ酸配列を含む抗体である。
「ヒト化」抗体は、非ヒト親抗体に由来するキメラ抗体である。多くの場合では、ヒト化抗体の特定のアミノ酸位置が、ヒト抗体の対応する位置で、アミノ酸の同一性と一致するように変わる。多くの場合では、親(非ヒト)抗体の可変部領域の位置が、ヒト種の可変部領域からのアミノ酸と置換される。これにより所望の特異性、親和性、及び能力を有するヒト化マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長動物抗体が生成される。
「変異体」は、親配列と比べて少なくとも1つの差を含む配列を指す。変異体ポリペプチドは、親配列と少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質である。変異体タンパク質は、天然、または野生型アミノ酸配列と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有することができる。いくつかの場合では、変異体抗体が、親抗体と比べてアミノ酸配列の1つ以上の差(単数及び複数)を有する抗体である。ヒト化及びキメラ抗体は、変異体抗体である。このため、変異体抗体は、親抗体と100%未満の配列同一性を含む。
「分離した」または「精製した」は、その自然環境の少なくとも1つの成分から分離及び/または回復した分子を指し、前記成分は、分子の使用、または活性を妨げる可能性がある物質である。成分としては、ペプチド、糖、核酸、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質または非タンパク質溶質が挙げられる。
「相補性決定領域」(CDR)は、1つ以上のCDRの残基が、抗原結合を助ける抗体内の1つ以上の領域を指す。多くの場合では、CDRの個々のアミノ酸が、標的抗原の原子のすぐ近くにある可能性がある。いくつかの実施形態では、CDRが、3つのCDR領域からなっても良い免疫グロブリン中に位置しても良い。いくつかの場合では、より大きなアミノ酸配列中に1つ以上のCDR配列がある場合、CDRは、他の配列から分離して、CDR番号付けしても良い。いくつかの場合では、複数のCDRが、CDR1、CDR2及びCDR3と認識される。各CDRは、カバット(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))によって定義されるとおり、相補性決定領域からのアミノ酸残基を含んでも良い。CDRのアミノ酸位置番号、並びに抗体内の他の配列、または抗体フラグメントは、カバットの定義に従う。多くの場合では、CDRは、可変部領域配列中のCDRの位置(カバット番号)によって定義することができ、例えば、軽鎖CDR1は、位置24及び位置33の間;LC CDR2では、位置50及び位置56の間;及びLC CDR3では、位置89及び位置97の間にアミノ酸配列を含んでも良い;また、重鎖CDRは、CDR1では、位置26及び位置33の間;HC CDR2では、位置50及び位置66の間;HC CDR3では、位置97及び位置103の間に位置しても良い、及び/または超可変ループは、軽鎖残基26〜32(LC CDR1)、残基50〜52(LC CDR2)及び残基91〜96(LC CDR3);並びに重鎖残基26〜32(HC CDR1)、残基53〜55(HC CDR2)及び残基97〜101(HC CDR3)の間に位置しても良い。いくつかの例では、相補性決定領域が、カバットに従って定義されたCDR領域及び超可変ループからのアミノ酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗体が一本鎖免疫グロブリンである場合、1つ以上のCDR、2つ以上のCDR、3つ以上のCDR、4つ以上のCDR、5つ以上のCDRが存在しても良い。いくつかの実施形態では、抗体が、6つのCDRから構成されても良い。
「フレームワーク領域」、FRは、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。ほとんどの実施形態では、可変ドメインが、逐次的に認識される2〜4つのFRを有する。例えば、3つのCDRを含む可変部領域が、4つのFR:FR1、FR2、FR3及びFR4を有する。CDRがカバットに従って定義される場合、軽鎖FR残基は、残基1〜23(LCFR1)、34〜49(LCFR2)、57〜88(LCFR3)、及び98〜107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基中の残基1〜25(HCFR1)、34〜49(HCFR2)、67〜96(HCFR3)、及び104〜113(HCFR4)に位置する。CDRが超可変ループからのアミノ酸残基を含む場合、軽鎖FR残基は、軽鎖中の残基1〜23(LCFR1)、34〜49(LCFR2)、57〜88(LCFR3)、及び98〜107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基中の残基1〜25(HCFR1)、34〜49(HCFR2)、67〜96(HCFR3)、及び104〜113(HCFR4)に位置する。いくつかの例では、CDRがカバットによって定義されるCDR及び超可変ループのCDRからのアミノ酸を含む場合、FR残基は、これに応じて調節される。例えば、HC CDR1がアミノ酸H26〜H35を含む場合、重鎖FR1残基は、位置1〜25に位置し、FR2残基は、位置36〜49に位置する。
「可変ドメイン」は、相補性決定領域(CDR)、及びフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む従来の抗体分子軽鎖及び重鎖の部分を指す。VHは、重鎖の可変ドメインを指す。VLは、軽鎖の可変ドメインを指す。
「Fv」または「Fvフラグメント」は、FR及びCDR配列を含み、完全抗原認識及び結合部位を含有する抗体フラグメントを指す。多くの実施形態では、Fvが、緊密に結合した1本の重鎖及び1本の軽鎖可変ドメインの二量体からなり、本質的に共有結合とすることができ、例えば、一本鎖Fv分子(scFv)である。各可変ドメインの3つのCDRは、相互作用し、VH−VLポリペプチドの表面に抗原結合部位を定義する。集合的に、6つのCDRまたはこれらのサブセットが、抗体に抗原結合特異性を与える。しかし、通常、全結合部位より親和性が低いが、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)でも、いくつかの場合では、抗原を認識及び結合する能力を有する。
「Fab」または「Fabフラグメント」は、軽鎖の可変及び不変部ドメイン(CL)並びに重鎖の可変ドメイン及び第1の不変部ドメイン(CH1)を含有する。F(ab’)2抗体フラグメントは、1対のFabフラグメントを含み、この間ではヒンジシステインによって一般にカルボキシ末端の近くで共有結合される。また、抗体フラグメントの他の化学結合が、当技術分野に知られている。
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列同一性の一部として保存的置換を考慮せず、必要であれば、最大パーセント配列同一性を実現するために、配列をアラインし、ギャップを導入した後の参照配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、当技術分野の技術内にあるさまざまな方法で、例えば、公に入手可能なコンピューターソフトウエア、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアを用いて実現することができる。当業者であれば、比較される配列の完全長を越える最大アラインメントを実現するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための好適なパラメーターを決定することができる。その後、長い方の配列に対して配列同一性が計算される。すなわち、短い方の配列が長い方の配列の一部と100%の配列同一性を示しても、全配列同一性は、100%未満となる。
「パーセント(%)アミノ酸配列相同性」は、必要であれば、最大パーセント配列相同性を実現するために、配列をアラインし、ギャップを導入した後の参照配列中のアミノ酸残基と相同である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。この方法は、保存的置換を考慮に入れる。保存的置換は、アミノ酸がほぼ同じアミノ酸と置換される置換である。アミノ酸は、いくつかの特性、例えば、サイズ、形状、疎水性、親水性、電荷、等電点、極性、芳香族性などでほぼ同じである可能性がある。パーセントアミノ酸配列相同性を決定するためのアラインメントは、当業者の技術内であるさまざまな方法で実現することができる。いくつかの場合では、公に入手可能なコンピューターソフトウエア、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアを用いてアミノ酸配列をアラインすることができる。当業者であれば、比較される配列の完全長を越える最大アラインメントを実現するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための好適なパラメーターを決定することができる。その後、長い方の配列に対して配列相同性が計算される。すなわち、短い方の配列が長い方の配列の一部と100%の配列相同性(identity)を示しても、全配列相同性(identity)は、100%未満となる。
「パーセント(%)核酸配列同一性」は、必要であれば、最大パーセント配列同一性を実現するために、配列をアラインし、ギャップを導入した後の参照配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセンテージと定義される。パーセント核酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、当技術分野の技術内にあるさまざまな方法で、例えば、公に入手可能なコンピューターソフトウエア、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアを用いて実現することができる。当業者であれば、比較される配列の完全長を越える最大アラインメントを実現するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための好適なパラメーターを決定することができる。その後、長い方の配列に対して配列同一性が計算される。すなわち、短い方の配列が長い方の配列の一部と100%の配列同一性を示しても、全配列同一性は、100%未満となる。
分子の「活性」または「生物活性」は、分子の型及び与えられる活性をアッセイするための試験の有効性に依存する可能性がある。例えば、Bb因子抗体の場合、活性が、Bb因子の生物活性を部分的にまたは完全に抑制するその能力、例えば、他の補体タンパク質への結合、セリンプロテアーゼ活性、またはMAC形成を指す。クレームされているBb因子抗体の好ましい生物活性が、状態、例えば、Bb因子関連疾患または状態、例えば、補体関連眼球状態の病理の測定可能な改善を実現する能力である。いくつかの場合では、開示した抗Bb因子抗体によって抑制される活性が、Bb因子プロテアーゼまたは切断活性である。他の場合では、前記活性が、複合体中の他の補体タンパク質を結合する能力である。いくつかの実施形態では、開示した抗Bb因子抗体の活性が、溶血反応を抑制するその能力によって測定される。前記活性は、関連動物モデル、またはヒト臨床試験を用いる結合アッセイを含むin vitroまたはin vivo試験を用いることによって測定することができる。
「補体関連眼球状態」は、最も広い意味で用いられ、全眼球状態を含み、古典的、レクチン、副経路または外因性経路のいずれかによって活性化される補体に関連する状態の病理である。補体関連眼球状態としては、黄斑変性疾患、例えば、乾燥性及び滲出性(非−滲出性及び滲出性)形態を含む老人性黄斑変性症(AMD)の全ステージ、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性黄斑浮腫を含む糖尿病性及び他の虚血関連網膜症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜分枝静脈閉塞症(BRVO)、及び他の眼内血管新生疾患、例えば、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォンヒッペルリンドウ病、眼球のヒストプラズマ症、角膜血管新生、及び網膜血管新生が挙げられるが、これらに限定されない。補体関連眼球状態の好ましいグループとしては、乾燥性及び湿性(非−滲出性及び滲出性)AMDを含む老人性黄斑変性症(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、黄斑末梢血管拡張症、ブドウ膜炎、糖尿病性及び他の虚血関連血管新生関連網膜症、または細胞変性糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォンヒッペルリンドウ病、眼球のヒストプラズマ症、ドイン蜂巣状網膜ジストロフィ/レバンチン病、シュタルガルト病、緑内障(Glucoma)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、BRVO、角膜血管新生、網膜血管新生が挙げられる。
「製剤的に許容可能な」は、動物、及びさらに具体的にヒトに使用するために、連邦または州政府の規制当局によって承認される、もしくは承認可能なこと、または米国薬局方または他の一般に認識される薬局方に記載されることを指す。
「製剤的に許容可能な塩」は、親化合物の所望の薬理活性を保持する化合物の塩を指す。かかる塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などで形成される酸付加塩;または有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1、2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[222]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などで形成される酸付加塩;及び親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンによって置換される場合に形成される塩;または有機塩基、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、Nメチルグルカミンなどとの配位結合物(coordinates)が挙げられる。特定の実施形態では、製剤的に許容可能な塩が、塩酸塩である。特定の実施形態では、製剤的に許容可能な塩が、ナトリウム塩である。
「製剤的に許容可能な賦形剤」は、製剤的に許容可能な希釈剤、製剤的に許容可能なアジュバント、製剤的に許容可能なビヒクル、製剤的に許容可能なキャリア、または患者に本開示によって提供される化合物を投与することができる前記のいずれかの組み合わせを指し、これらの薬理活性が破壊されず、治療有効量の化合物またはこれらの薬理学的活性代謝物質をもたらすのに十分な用量で投与される場合に非毒性である。
「治療」は、障害の発現を予防する、または障害の病理を変化させる、または障害の症状を軽減する、もしくは減らすための少なくとも1つの治療薬剤の投与である。それゆえに、治療は、治療的治療及び予防的または予防手段の両者を指す。治療が必要なものは、すでに障害があるもの並びに障害を予防しなければならないものを含む。本明細書に開示したとおり、投与に好ましい薬剤は、少なくとも1つの開示した抗Bb因子抗体を含む。補体関連疾患の治療では、前記治療薬剤は、少なくとも1つの本明細書に本開示の抗体またはかかる抗体のコード配列を含み、補体経路の成分の反応の大きさを直接または間接に変えても良く、または他の治療薬剤、例えば、抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、化学療法薬などによって疾患をさらに治療しやすいものにしても良い。
「治療有効量」は、疾患、または疾患の少なくとも1つの臨床的症状を治療するために対象に投与する場合、疾患またはその症状のかかる治療をもたらすのに十分な薬剤の量を指す。特定の治療有効量は、例えば、薬剤、疾患及び/または疾患の症状、疾患の重症度及び/または疾患の症状、治療される患者の年齢、体重及び/または健康、並びに処方医の判断に応じて変えても良い。任意の与えられる化合物の好適な量は、当業者によって確かめることができる、及び/または通常の実験によって決定することができる。
「治療有効用量」は、患者の疾患に有効な治療をもたらす用量を指す。治療有効用量は、薬剤及び/または患者に応じて変えても良く、因子、例えば、患者の状態及び疾患の重症度に依存しても良い。治療有効用量は、当業者に知られる通常の薬理方法に従って決定することができる。
疾患の「病理」、例えば、補体関連眼球状態が、患者の健康状態を損なう全現象を含む。これは、異常または制御不能細胞成長、タンパク質生成、異常または非制御細胞死、自己抗体生成、補体生成、補体活性化、MAC形成、隣接細胞の正常機能の妨害、異常レベルのサイトカインまたは他の分泌産物の放出、任意の炎症性または免疫反応の抑制または誇張、炎症性細胞の細胞空間への浸透、などを含むが、これらに限定されない。
「哺乳動物」は、本明細書で用いられる場合、哺乳動物に分類される任意の動物を指し、ヒト、高等霊長動物、飼育動物及び家畜、並びに動物園、スポーツまたはペット動物、例えば、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ及びフェレットなどを含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、哺乳動物がヒトである。
さらに1つ以上の治療薬剤「と組み合わせて」の投与は、同時(併用)及び任意の順序での連続投与を含む。
本開示は、Bb因子タンパク質を結合する抗体を提供する。
本明細書に記載の抗体は、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を有する足場構造を含む。特定の実施形態では、CDRが、1つ以上の親配列の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3からの2つ以下のアミノ酸付加、欠失、または置換を含む。他の実施形態では、CDRが、本明細書に記載のとおり、共通保存アミノ酸配列及び可変アミノ酸配列を有するコンセンサス配列によって定義される。
特定の実施形態では、本開示のBb因子抗体の足場構造が、これらに限定されないが、単クローン抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(例えば、抗体ミメティック)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体フュージョン(例えば、抗体コンジュゲート)、及びそれぞれのフラグメントを含む抗体に基づくものとすることができる。さらに本明細書の以下に、さまざまな構造が、記載され及び定義される。Bb因子抗体は、Bb因子活性に関係する予後、症状、及び/または病理を治療するのに有用である。これらは、アテローム硬化症、急性心筋梗塞後の虚血−再潅流、ヘノッホシェーンライン紫斑病性腎炎、免疫複合体性脈管炎、リウマチ様関節炎、血管炎、動脈瘤、脳卒中、心筋症、出血性ショック、打撲傷、多発臓器不全、低血液量性ショック及び腸管虚血、移植拒絶、心臓手術、PTCA、自然流産、神経細胞損傷、脊髄損傷、重症筋無力症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ギランバレー症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、急性呼吸困難症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患、輸血関連急性肺損傷、急性肺損傷、グッドパスチャー病、心筋梗塞、心肺バイパス後の炎症、心肺バイパス、敗血症性ショック、移植拒絶、異種移植、熱傷、全身性エリテマトーデス、膜性腎炎、ベルジェ病、乾癬、水疱性類天疱瘡、皮膚筋炎、抗リン脂質抗体症候群、炎症性腸疾患、血液透析、白血球分離、血漿交換、ヘパリン誘導性体外膜型酸素付加LDL沈降法、体外膜型酸素付加白血球分離、血漿交換、ヘパリン誘導性体外膜型酸素付加LDL沈降法、体外膜型酸素付加などを含むが、これらに限定されない。
本開示の抗体の他の使用は、例えば、補体及びBb因子関連疾患の診断を含む。
本開示の態様によって、Bb因子抗体、特に、以下でさらに詳細に記載したとおり、重及び/または軽CDRまたはこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのCDRを含む抗体がもたらされる。
1つの態様では、Bb因子抗体が、Bb因子の活性を抑制する、またはタンパク質複合体を形成するBb因子の能力を抑制する。特定の機序または理論に束縛されないと、いくつかの実施形態では、当該抗体が、補体経路を妨げ、これにより、補体カスケード、MACの形成、及び細胞分解を妨げる。この妨害は、乾燥性及び湿性(非−滲出性及び滲出性)AMD、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性及び他の虚血関連網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォンヒッペルリンドウ病、眼球のヒストプラズマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、網膜血管新生などを含んでも良いが、これらに限定されない。
このため、本開示の抗体は、補体系に関連する状態またはBb因子関連疾患もしくは状態を確認する役割を果たしても良い。また、当該抗体は、B因子及び/または他の下流補体タンパク質によって媒介される作用を調節及び/または抑制するために用いることができ、補体及び/またはBb因子に関連するさまざまな疾患または状態の治療及び予防に有効である。この妨害は、アテローム硬化症、急性心筋梗塞後の虚血−再潅流、ヘノッホシェーンライン紫斑病性腎炎、免疫複合体性脈管炎、リウマチ様関節炎、血管炎、動脈瘤、脳卒中、心筋症、出血性ショック、打撲傷、多発臓器不全、低血液量性ショック及び腸虚血、移植拒絶、心臓手術、PTCA、自然流産、神経細胞損傷、脊髄損傷、重症筋無力症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ギランバレー症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、急性呼吸困難症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患、輸血関連急性肺損傷、急性肺損傷、グッドパスチャー病、心筋梗塞、心肺バイパス後の炎症、心肺バイパス、敗血症性ショック、移植拒絶、異種移植、熱傷、全身性エリテマトーデス、膜性腎炎、ベルジェ病、乾癬、水疱性類天疱瘡、皮膚筋炎、抗リン脂質抗体症候群、炎症性腸疾患、血液透析、白血球分離、血漿交換、ヘパリン誘導性体外膜型酸素付加LDL沈降法、体外膜型酸素付加白血球分離、血漿交換、ヘパリン誘導性体外膜型酸素付加LDL沈降法、体外膜型酸素付加、などを含むが、これらに限定されない。
さらに具体的には、本開示によって、抗Bb因子抗体及びこれをコードするポリヌクレオチドが提供される。さまざまな態様では、抗Bb因子抗体が、Bb因子及び/または他の補体タンパク質によって媒介される少なくとも1つの生物反応を抑制し、補体関連及びBb因子関連疾患または障害の作用を改善するのに有用である可能性がある。また、本開示によって、Bb因子抗体の生成のための哺乳動物細胞系及び細菌細胞を含む発現系並びにBb因子に関連する疾患を治療する方法が提供される。
本開示の抗体は、足場構造及びBb因子に結合する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。1つの実施形態では、アミノ酸配列が、配列番号1〜6または配列番号18〜23のいずれかを含む。
さまざまな実施形態では、当該抗体が、第1のアミノ酸配列及び/または第2のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態では、第1のアミノ酸配列及び/または第2のアミノ酸配列が、配列番号8〜15または配列番号24〜31からなる群から選択される。
さまざまな実施形態では、当該抗体が、第1のアミノ酸配列及び第2のアミノ酸配列のうち1つまたは両者を含むことができる。第1のアミノ酸配列及び第2のアミノ酸配列は、単一直鎖アミノ酸配列とすることができ、ジスルフィド架橋による共有結合とすることができ、または非−共有結合とすることができる。
Bb因子
補体B因子は、CFB遺伝子によってコードされる単一93,000Daポリペプチド鎖からなるグリコシル化タンパク質である。これは、補体活性化の副経路の不可欠な成分であり、およそ200μg/mLでヒト血漿中にみられる。Mg++の存在下で、B因子が、C3bに結合し、C3b:B複合体は、活性トリプシン−様セリンプロテアーゼとして循環するセリンプロテアーゼであるD因子によって活性化することができる。D因子によるB因子の切断が、Baフラグメント(33,000Da)を放出させ、C3bに結合した(60,000Da)Bbフラグメントが残る。このBbサブユニットは、C3及びC5コンべルターゼと称されるセリンプロテアーゼである。これは、それぞれ小さなペプチドC3a及びC5aに切断することによって、これらのタンパク質をともにその活性形態に転換するためである。
B因子は、しっかりと調節され、きわめて特異的なセリンプロテアーゼである。その活性化形態では、B因子が、補体活性化の中枢性増幅ステップに触媒作用を及ぼし、炎症性反応、細胞分解、食作用及びB−細胞刺激を開始する。B因子は、表面−結合C3b、またはその可溶性カウンターパートC3(H2O)のいずれかとのアセンブリにより活性化される。C3に結合後、B因子は、D因子によって小さなフラグメント、Ba因子(残基1〜234)及び大きなフラグメント、Bb因子(残基235〜739)に切断される。Ba因子が、複合体から分離し、C3を切断しC3a及びC3bを生成する副経路C3コンべルターゼ複合体C3b−Bbが残る。C3b−Bbプロテアーゼ複合体は、安定しておらず、一旦、複合体Bb因子から分離されると、C3bと再会合しない。
プロ酵素B因子は、3つのN−末端補体制御タンパク質(CCP)ドメインからなり、45−残基リンカーによってVWAドメイン及びC−末端セリンプロテアーゼ(SP)ドメインに結合され、触媒中心を運ぶ。他のセリンプロテアーゼとの著しい相違が、B因子の活性中心にみられる。Bb因子は、C−末端セリンプロテアーゼドメインを含み、CCPドメインは、Ba因子にみられる。
ヒトB因子のアミノ酸配列は、配列番号16に示される。本開示で有用な他の形態のB因子には、配列番号16のヒト天然B因子配列と少なくとも70%または少なくとも90%相同である変異体及び変異が含まれる。
ヒトBb因子のアミノ酸配列は、配列番号7である。本開示で有用な他の形態のBb因子には、配列番号7の天然Bb因子配列と少なくとも70%または少なくとも90%相同である変異体及び変異が含まれる。
ヒトBa因子のアミノ酸配列は、配列番号17である。本開示で有用な他の形態のBa因子には、配列番号17の天然Ba因子配列と少なくとも70%または少なくとも90%相同である変異体及び変異が含まれる。
本明細書に記載のとおり、B因子、Bb因子、またはBa因子の機能/活性を抑制することは、Bb因子の抑制を示す。補体副経路をアッセイする1つの例が、溶血反応アッセイである:副経路(AP)の活性化では、古典的経路より高い濃度の血清が必要とされる。一般に、EGTAがCa++を優先的にキレートするアッセイでは、5mMのEGTAの存在下で最終濃度5mMのMg++が用いられる。ほとんどの哺乳動物種のAPは、ウサギ赤血球によって自然に活性化され、その結果、都合が良い標的となる。GVB0(CompTech product)で3回洗浄し、5X108/mlに再懸濁させることによってウサギ赤血球(Complement Technology,Inc)を調製する。GVB0で異なる量の抗Bb因子抗体を希釈した。氷上で、逐次希釈した抗Bb因子抗体、0.1M MgEGTA(CompTech product)、1/2NHS(GVB0で1/2に希釈した正常ヒト血清)、及びウサギErの順序で100ul反応物を混合する。その後、シェーカー上で、30分間、37℃で、反応物をインキュベートする。1.0ml低温GVBEを添加する。混合し、約1000xg以上で、3分間、遠心分離機にかけ、細胞をペレットする。100ulの上澄みを96−ウエルプレートに移動し、412nm(SoftMax Pro4.7.1)で読む。GraphPad Prism6を用いてデータを分析した。
Bb因子抗体
1つの態様では、本開示により、B因子を結合するよりより大きな親和性でBb因子を結合する抗体が提供される。
特定の態様では、本開示により、Bb因子、すなわちBb因子抗体または抗Bb因子抗体を結合する遺伝子組換え抗体が提供される。この文脈では、以下に記載したとおり、遺伝子組換え技術を用いて、すなわち、遺伝子組換え核酸の発現によって遺伝子組換え抗体を生成することができる。遺伝子組換えタンパク質の生成のための方法及び技術が、当技術分野によく知られている。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体が、分離される、または精製される。分離した、または精製した抗体は、通常、その天然状態に関係がある少なくともいくつかの物質が添加されていないものとすることができる(汚染物質)。好ましい実施形態では、汚染物質が、与えられる試料の総重量の約50重量%未満、さらに好ましくは約20重量%未満、及びさらに好ましくは約10重量%未満を占める。いくつかの実施形態では、汚染物質は、タンパク質またはペプチドとしても良い。
純粋タンパク質が、総タンパク質の少なくとも約50重量%、好ましくは、少なくとも約80重量%、及び特に好ましくは、少なくとも約90重量%を含む。多くの実施形態では、精製した抗Bb因子抗体が、由来する生物以外の生物中で、または生物から生成される。いくつかの実施形態では、抗Bb因子抗体は、誘導性プロモーターまたは高発現プロモーターを使用して、通常みられる濃度より有意に高い濃度で生成することができ、その結果、抗体が、増大した濃度レベルで生成される。
いくつかの実施形態では、分離または精製した抗体は、抗体の診断及び/または治療用使用を妨げる可能性がある成分から除去することができる。好ましい実施形態では、ローリー法によって測定されるとおり、抗体の90重量%以上、及び最も好ましくは99重量%以上で、通常のアミノ酸配列技術(例えば、エドマン分解法及び質量分析法)を使用することによって少なくとも15残基のN−末端または内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、またはクマシーブルーまたは銀染色法を用いて還元または非還元条件下でSDS−PAGEによる均一度まで抗体が精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、分離抗体が、in situで、遺伝子組換え細胞内の抗体を含む。しかし、通常、分離抗体が少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
本開示の抗体は、Bb因子に特異的に結合することができ、Bb因子の生物活性を抑制または調節するために用いることができる。特定の実施形態では、本開示の抗体が、動物の免疫処置によって生成され、他の場合では、遺伝子組換えDNA技術によって抗体を生成することができる。さらに別の実施形態では、自然抗体の酵素的または化学的切断によって抗Bb因子抗体を生成することができる。いくつかの実施形態では、当該抗体が、四量体を含むことができる。これらの実施形態のうちいくつかでは、各四量体が、通常、2つの同一対のポリペプチド鎖からなり、各対が、1つの軽鎖(通常、分子量が約25kDaである)及び1つの重鎖(通常、分子量が約50〜70kDaである)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、約100〜110以上のアミノ酸の可変部領域を含み、抗原認識を担うことができる。各鎖のカルボキシ末端部分は、不変部領域を定義することができ、主にエフェクター機能を担う。ヒト軽鎖は、κ及びλ軽鎖に分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεに分類され、当該抗体のイソ型をそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。IgGは、いくつかのサブクラスを有し、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むがこれらに限定されない。
いくつかの自然抗体、例えば、ラクダ及びラマにみられる抗体は、2本の重鎖からなり、軽鎖を含まないニ量体とすることができる。Muldermans et al.,2001、J.Biotechnol.74:277−302;Desmyter et al.,2001、J.Biol.Chem.276:26285−26290。ラクダ抗体の結晶学的研究が、これらの抗体のCDR3領域が抗原と相互作用する表面を形成し、このため、より典型的な四量体抗体中などで抗原結合に重要であることを明らかにした。本開示は、Bb因子に結合する、及び/またはBb因子の生物活性を抑制することができる2本の重鎖、またはそのフラグメントからなるニ量体抗体を包含する。
本開示の抗体は、Bb因子タンパク質、好ましくはヒトBb因子に特異的に結合する。標的抗原への結合親和性が、他の抗原またはタンパク質より高い抗体である場合、抗体が標的抗原に特異的に結合することができる。このため、本明細書に記載の抗体は、他のタンパク質への親和性より高い親和性でBb因子に結合する。通常、結合親和性は、平衡結合定数、例えばKd(またはKd)、またはKa(またはKa)を測定することによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体が、Kdが、約10-7M〜約10-12M、または約10-8M〜約10-11M、または約10-9M〜約10-10Mで標的抗原に結合する。ほとんどの場合では、本開示の抗体の非標的抗原とのKdは、標的抗原とのKdより高くすることができ、例えば、標的とのKdは、10-10Mであり、非標的とのKdは、10-8Mである。いくつかの場合では、他の抗原とのKdが、標的抗原とのKdの1X以上、標的抗原とのKdの2X以上、標的抗原とのKdの3X以上、標的抗原とのKdの4X以上、標的抗原とのKdの5X以上、標的抗原とのKdの6X以上、標的抗原とのKdの7X以上、標的抗原とのKdの8X以上、標的抗原とのKdの9X以上、標的抗原とのKdの10X以上(例えば、抗体のKdが標的抗原のX-09Mである場合、抗体のもう1つの抗原とのKdは、10X以上、またはX-08Mとすることができる)、または100X以上(例えば、抗体のKdが標的抗原のX-10Mである場合、抗体のもう1つの抗原とのKdは、10X以上、またはX-08Mとすることができる)である。いくつかの場合では、平衡結合定数は、平衡会合定数、KaまたはKaとして表すことができる。
平衡結合定数は、さまざまな方法を用いて測定することができる。いくつかの場合では、本開示の抗体の平衡結合定数が、タンパク質結合アッセイでオン(k1)及びオフ(k-1)レートを測定することによって測定される。平衡結合定数を測定する1つの例示的な方法が、バイオレイヤー干渉法(BLI)によるものである。BLIは、溶液中の結合キネティクスを測定することができる無標識技術である。1つの例示的な方法では、抗体はヒトIgGとすることができ、製造者の指示に従って抗−ヒトIgGFcキャプチャ(AHC)バイオセンサーチップ(ForteBio、Menlo Park、CA、USA)によって抗体を捕捉することができる。他の型のタンパク質結合アッセイとしては、共免疫沈降;蛍光タンパク質再構成法;親和性電気泳動;プルダウンアッセイ;ラベルトランスファー;酵母ツーハイブリッドスクリーニング法;ファージディスプレイ;光反応性アミノ酸類似体を用いたタンパク質複合体のin vivo架橋;タンデム親和性精製;化学的架橋;化学的架橋に続いての高質量MALDI質量分析法;SPINE(ストレップタンパク質相互作用実験);ノックダウンと組み合わせた定量的免疫沈降;近接連結反応アッセイバイオレイヤー干渉法;二面偏波式干渉法;静的光散乱法;動的光散乱法;表面プラズモン共鳴;蛍光偏光/異方性;蛍光相関分光法;蛍光共鳴エネルギー移動;NMR緩和または2D−FT分光法データセットの非線形回帰分析と組み合わせたNMR多核緩和測定によるタンパク質活性測定、または溶液中の2D−FT NMR分光法;タンパク質間ドッキング;等温滴定型熱量測定;及び、マイクロスケール熱泳動が挙げられる。
当該抗体が治療用に用いられる実施形態では、Bb因子抗体の1つの特性が、Bb因子の1つ以上の生物活性、または、Bb因子によって媒介される1つ以上の生物活性を調節及び/または抑制することができることである。この場合では、Bb因子に抗体を特異的に結合することができ、Bb因子の活性を実質的に調節することができる、及び/またはBb因子の他のタンパク質(例えば、因子C3)への結合を抑制することができる。いくつかの場合では、当該抗体が、少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上、Bb因子のセリンプロテアーゼ活性を抑制することができる。
多くの実施形態では、Bb因子活性、及びその活性を抑制する当該抗体の能力が、10%ヒト血清の存在下で赤血球の溶解分析によって測定される。副経路(AP)の活性化には、古典的経路より高い濃度の血清が必要である。一般に、EGTAがCa++を優先的にキレートするアッセイでは、5mMのEGTAの存在下で最終濃度5mMのMg++が用いられる。ほとんどの哺乳動物種のAPは、ウサギ赤血球によって自然に活性化され、その結果、都合が良い標的となる。GVB0(CompTech product)で3回洗浄し、5X108/mlに再懸濁させることによってウサギ赤血球(Complement Technology,Inc)を調製する。GVB0で異なる量の抗Bb因子抗体を希釈した。氷上で、逐次希釈した抗Bb因子抗体、0.1M MgEGTA(CompTech product)、1/2NHS(GVB0で1/2に希釈した正常ヒト血清)、及びウサギErの順序で100ul反応物を混合する。その後、シェーカー上で、30分間、37℃で、反応物をインキュベートする。1.0ml低温GVBEを添加する。混合し、約1000xg以上で、3分間、遠心分離機にかけ、細胞をペレットする。100ulの上澄みを96−ウエルプレートに移動し、412nm(SoftMax Pro4.7.1)で読む。GraphPad Prism6を用いてデータを分析した。
抗原に特異的に結合する抗体がすべて、その正常リガンドへの抗原結合をブロックし、この結果、抗原の生物学的作用を抑制または調節することができるわけではない。当技術分野に知られているとおり、かかる作用は、抗体が抗原のどの部分に結合するか、並びに抗原及び抗体(この場合では、Bb因子抗体)の絶対濃度及び相対濃度の両者に依存する可能性がある。本明細書で意味するとおり、Bb因子の生物活性を抑制または調節することができるのを考慮すると、抗体が、例えば、少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%、90%、95%、99%以上、Bb因子のセリンプロテアーゼ活性またはヒト血清媒介溶血反応を抑制することができる。
Bb因子の活性を抑制するのに必要な抗体の濃度は、広い範囲で変えることができ、抗体がBb因子に結合する緊密度に依存しても良い。例えば、Bb因子の1分子当たり1つの分子以下の抗体は、生物活性を抑制するのに十分なものとすることができる。いくつかの実施形態では、約2:1、1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:20、1:40、1:60、1:100、1:500、1:1,000以上を含む、約1,000:1〜約1:1,000のBb因子抗体の割合が、Bb因子の生物活性を抑制するのに必要なものとすることができる。多くの場合では、Bb因子の活性を抑制する能力が、Bb因子の濃度及び/またはBb因子抗体の濃度に依存しても良い。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体が、(a)足場、及び(b)1つまたは複数のCDR、抗原結合特異性及び親和性に限定的な領域を含む。相補性決定領域つまりCDRは、抗原結合の大半の表面接触点を占める抗体の領域である。1つ以上のCDRが、抗体の足場構造に組み込まれている。本開示の抗体の足場構造は、抗体、またはフラグメントまたはこれらの変異体のフレームワークとすることができる、または本質的に完全に合成とすることができる。本開示の抗体のさまざまな足場構造は、さらに本明細書に記載されている。
本明細書に開示した抗体の好ましい実施形態では、当該抗体は、親抗体のアミノ酸配列と少なくとも75%アミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有する変異体抗体とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、変異体抗体の重または軽鎖可変ドメイン配列が、親抗体の重または軽鎖可変ドメイン配列と75%同一、さらに好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも85%同一、さらに好ましくは少なくとも90%同一、及び最も好ましくは少なくとも95%同一である。ほとんどの場合では、変異体抗体が、CDR配列とほとんど変化がない、または変化がない。このため、変異体抗体は、ほとんどの場合では、親和性がほぼ同じ標的抗原に結合する。この配列に関しての同一性または類似性が、必要であれば、最大パーセント配列同一性を実現するために、配列をアラインし、ギャップを導入した後に、親抗体のアミノ酸配列と同一(すなわち、同じ残基)または類似(すなわち、共通の側鎖特性に基づいた同じグループからのアミノ酸残基、以下を参照)である変異体配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書に定義される。N−末端、C−末端または可変ドメイン外の抗体配列への内部伸長、欠失、または挿入が、配列同一性または類似性に影響を及ぼすと解釈されない。
CDR
本開示の抗体は、足場領域及び1つ以上のCDRを含む。本開示の抗体は、1つ〜6つのCDR(通常、自然抗体である)、例えば、1つの重鎖CDR1(「HC CDR1」または「HC CDR1」)、及び/または1つの重鎖CDR2(「HC CDR2」または「HC CDR2」)、及び/または1つの重鎖CDR3(「HC CDR3」または「HC CDR3」)、及び/または1つの軽鎖CDR1(「LC CDR1」または 「LC CDR1」)、及び/または1つの軽鎖CDR2(「LC CDR2」または「LC CDR2」)、及び/または1つの軽鎖CDR3(「LC CDR3」または「LC CDR3」)を有しても良い。用語「自然の」は、明細書全体にわたって生物材料、例えば、ポリペプチド、核酸、宿主細胞などと関連して用いられる場合、自然にみられる材料を指す。自然抗体では、重鎖CDR1が、通常、約5(5)〜約7(7)のアミノ酸を含み、重鎖CDR2が、通常、約16(16)〜約19(19)のアミノ酸を含み、重鎖CDR3通常が、約3(3)〜約25(25)のアミノ酸を含む。軽鎖のCDR1が、通常、約10(10)〜約17(17)のアミノ酸を含み、軽鎖CDR2が、通常、約7(7)のアミノ酸を含み、軽鎖CDR3が、通常、約7(7)〜約10(10)のアミノ酸を含む。
本開示のアミノ酸が、天然及び合成アミノ酸(例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、及びノルロイシン)を含む。特に抗体が、当技術分野でよく知られる従来の方法によってin vitroで合成される場合、かかる合成アミノ酸を組み入れることができる。また、ペプチド模倣、合成及び自然残基/構造の任意の組み合わせを用いることができる。アミノ酸には、イミノ酸残基、例えば、プロリン及びヒドロキシプロリンが含まれる。アミノ酸「R基」または「側鎖」は、(L)−配置または(S)−配置のいずれかとすることができる。特定の実施形態では、アミノ酸は、(L)−配置または(S)−配置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸が、ペプチド模倣構造、すなわち、ペプチドまたはタンパク質類似体、例えば、ペプトイド(Simon et al.,1992、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:9367を参照、参照により本明細書に組み入れられる)を形成することができ、プロテアーゼまたは他の生理学的及び/または保存状態に対して耐性がある可能性がある。
自然抗体内のCDRの構造及び特性は、さらに以下に記載されている。簡潔にいうと、従来の抗体足場では、CDRが、抗原結合及び認識を担う領域の一部をなす重及び軽鎖可変部領域中のフレームワーク内に組み込まれている。可変部領域が、フレームワーク領域(1991年にKabatらによって示されたフレームワーク領域1〜4、FR1、FR2、FR3、及びFR4;Chothia and Lesk、1987も参照)内に少なくとも3つの重または軽鎖CDRを含む(Kabat et al.,1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Public Health Service N.I.H.,Bethesda、MD;Chothia and Lesk、1987、J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,1989、Nature 342:877−883も参照)。しかし、本開示によって提供されるCDRは、本明細書に記載のとおり、従来の抗体構造の抗原結合ドメインを定義するために用いても良いだけでなく、さまざまな他の足場構造に組み込むことができる。
改変されると、抗Bb因子抗体の結合親和性を変化させるCDR配列中のアミノ酸位置を特定するためにアラニンスキャニングを用いた。
本開示の抗体に用いられる特定のCDRが、表1に示されており、アンダーラインを引いたアミノ酸が、アラニンへの置換により、実質的に結合が低下したアミノ酸である。
B因子、Ba因子及びBb因子の配列は、表2に示されている。
もう1つの実施形態では、本開示は、Bb因子(配列番号7)を結合する抗体を提供し、前記抗体が、配列番号1〜3または配列番号18〜20のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている少なくとも1つのHC CDR領域、及び/または配列番号4〜6または配列番号21〜23のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている少なくとも1つのLC CDR領域を含む。本開示のさまざまな重鎖及び軽鎖可変部領域が、表3及び配列番号8〜15または配列番号24〜31に示されている。いくつかの実施形態では、HC CDR3またはLC CDR3領域を有する抗体が特に用いられる。さらに、いくつかの実施形態では、抗体が、配列番号1〜3または配列番号18〜20のいずれかのHC CDR領域から選択される配列の2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている1つのCDR及び配列番号4〜6または配列番号21〜23のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失、または置換されているLC CDRを有することができる(例えば、抗体が、2つのCDR領域、1つのHC CDR及び1つのLC CDR、を有し、特定の実施形態では、抗体がHC CDR3及びLC CDR3の両者、例えば、配列番号3及び6を有する)。
変異体CDR配列
さらに本開示の1つの態様が、Bb因子を結合する分離抗体を提供し、当該分離抗体が、配列番号12〜15または配列番号28〜31のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている重鎖アミノ酸配列、または配列番号8〜11または配列番号24〜27のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている軽鎖アミノ酸配列を含む。
さらに本開示の1つの態様が、Bb因子を結合する分離抗体を提供し、当該分離抗体が、配列番号12〜15または配列番号28〜31のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている重鎖アミノ酸配列、及び配列番号8〜11または配列番号24〜27のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている軽鎖アミノ酸配列を含む。重鎖配列のいずれかと、軽鎖配列のいずれかを混合し、適合させることができることを明記する。
もう1つの実施形態では、本開示が、Bb因子を結合する抗体を提供し、前記抗体が、配列番号1〜3または配列番号18〜20のHC CDR1、HC CDR2、またはHC CDR3領域(前記に記載したとおり)のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている少なくとも1つのHC CDR領域及び/または配列番号4〜6または配列番号21〜23のLC CDR1、LC CDR2、またはLC CDR3領域(前記に記載したとおり)のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている少なくとも1つのLC CDR領域を含む。この実施形態では、HC CDR3またはLC CDR3領域を有する抗体が特に用いられる。さらに、実施形態では、配列番号1〜3または配列番号18〜20のいずれかのHC CDR領域から選択される配列の2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている1つのCDR、及び配列番号4〜6または配列番号21〜23のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失、または置換されているLC CDR領域を有する抗体が、用いられる(例えば、抗体が、2つのCDR領域、1つのHC CDR及び1つのLC CDRを有し、特定の実施形態では、抗体がHC CDR3及びLC CDR3領域の両者、例えば、配列番号3及び6を有する)。
当業者が理解するとおり、示した配列からの1つ以上のCDRを有する抗体では、示した配列から独立して選択されるCDRの組み合わせが有用である。このため、1、2、3、4、5または6つの独立して選択されるCDRを有する抗体を生成することができる。しかし、当業者が理解するとおり、特定の実施形態では、一般に、例えば、抗体が一般に2つのHC CDR2領域などで生成されない、非反復型であるCDRの組み合わせが用いられる。
さらに本開示の1つの態様が、Bb因子を結合する分離抗体を提供し、当該分離抗体が、配列番号12〜15または配列番号28〜31のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている重鎖アミノ酸配列、または配列番号8〜11または配列番号24〜27のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている軽鎖アミノ酸配列を含む。
さらに本開示の1つの態様が、Bb因子を結合する分離抗体を提供し、当該分離抗体が、配列番号12〜15または配列番号28〜31のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている重鎖アミノ酸配列、及び配列番号8〜11または配列番号24〜27のいずれかの2つ(2)以下のアミノ酸が付加、欠失または置換されている軽鎖アミノ酸配列を含む。重鎖配列のいずれかと、軽鎖配列のいずれかを混合し、適合させることができることを明記する。
一般に、本明細書に記載した個々の変異体CDR間のアミノ酸相同性、類似性、または同一性は、本明細書に開示した配列と比べて少なくとも80%である。多くの場合では、aa相同性、類似性、または同一性が、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、及び99%である。
配列同一性/相同性
当技術分野に知られているとおり、タンパク質または核酸が公知の配列を有する配列同一性または類似性の程度を特定するために多くのさまざまなプログラムを用いることができる。
アミノ酸配列では、当技術分野で知られる標準的技術を用いることによって配列同一性及び/または類似性が測定される。標準的技術としては、ローカル配列同一性アルゴリズム(Smith and Waterman、1981、Adv.Appl.Math.2:482)、配列同一性アラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch、1970、J.Mol.Biol.48:443)、類似性サーチ方法(Pearson and Lipman、1988、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.85:2444)、これらの アルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、及び TFASTA)、ベストフィット配列プログラム(Devereux et al.,1984、Nucl.Acid Res.12:387−395によって示された)が挙げられるが、これらに限定されず、好ましくはデフォルト設定を用いる、またはインスペクションによるものとする。好ましくは、パーセント同一性が、以下のパラメーター:ミスマッチペナルティ1;ギャップペナルティ1;ギャップサイズペナルィ0.33;及びジョイニングペナルティ30に基づくFastDBによって計算される(「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」、Macromolecule Sequencing and Synthesis、Selected Methods and Applications、pp 127−149(1988)、Alan R.Liss、Inc.)。
有用なアルゴリズムの例が、PILEUPである。PILEUPは、プログレッシブ、ペアワイズアラインメントを用いて関連配列のグループから複数の配列アラインメントを生成する。これは、また、アラインメントを生成するために用いられるクラスタリング関係を示すツリーをプロットすることができる。PILEUPは、プログレッシブアラインメント法の単純化を用いる(Feng&Doolittle、1987、J.Mol.Evol.35:351−360);当該方法は、Higgins and Sharp、1989、CABIOS 5:151−153に記載されたものとほぼ同じである。有用なPILEUPパラメーターとしては、デフォルトギャップウエイト3.00、デフォルトギャップレングスウエイト0.10、及びウェイティッドエンドギャップが挙げられる。
有用なアルゴリズムのもう1つの例が、BLASTアルゴリズムであり、Altschul et al.,1990、J.Mol.Biol.215:403−410;Altschul et al.,1997、Nucleic Acids Res.25:3389−3402;及びKarin et al.,1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873−5787に記載されている。特に有用なBLASTプログラムが、Altschul et al.,1996、Methods in Enzymology 266:460−480から得たWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2は、いくつかのサーチパラメーターを用い、そのほとんどがデフォルト値に設定される。調整可能パラメーターが、タンパク質の以下の値で設定される:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワードスレショールド、T=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは、動的値であり、特定の配列の組成物及び対象の配列がサーチされる特定のデータベースの組成物に応じてプログラムそのものによって定められる;しかし、この値は、感度を増大するように調整することができる。
さらに、有用なアルゴリズムが、Altschul et al.,1993、Nucl.Acids Res.25:3389−3402によって報告されたとおり、ギャップドBLASTである。ギャップドBLASTは、BLOSUM−62置換スコアを用いる;スレショールドTパラメーターを9に設定;ツーヒット法が非ギャップエクステンションをトリガーし、ギャップレングスkに10+kのコストをチャージ;Xuを16に設定しアルゴリズムのデータベースサーチステージのためにXgを40に設定し、アウトプットステージのためにXgを67に設定。ギャップドアラインメントは、約22ビットに対応するスコアによってトリガーされる。
一般に、個々の変異体CDRまたは可変部領域間のアミノ酸相同性、類似性、または同一性は、本明細書に示した配列に対して少なくとも80%であり、さらに、通常、好ましくは相同性または同一性が、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及びほぼ100%増大している。
同様に、パーセント(%)核酸配列同一性は、本開示の抗体の核酸配列に関して、抗体のコード配列中のヌクレオチド残基と同一である候補配列中のヌクレオチド残基のパーセンテージである。特定の方法では、デフォルトパラメーターに設定され、オーバーラップスパン及びオーバーラップフラクションがそれぞれ1及び0.125に設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモジュールが用いられる。
一般に、個々の変異体CDRをコードするヌクレオチド配列及び変異体可変ドメイン配列間の核酸配列相同性、類似性、または同一性は、少なくとも80%であり、さらに通常、好ましくは、相同性または同一性が、少なくとも85%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及びほぼ100%増大している。多くの場合では、非同一の核酸配列が、遺伝子コードの縮重のために、同じアミノ酸配列をコードすることができる。
ヌクレオチド配列間の相同性は、互いにハイブリダイズする能力によって定義されることが多い。いくつかの実施形態では、選択的ハイブリダイゼーションが、特異性が高い結合を指すことができる。本開示に従ったポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びこれらのフラグメントが、測定可能な量の非特異的核酸への検出可能結合を最少化するハイブリダイゼーション及び洗浄条件下で、核酸ストランドに選択的にハイブリダイズする。当技術分野に知られ、本明細書に記載されたとおり、高ストリンジェンシィ条件を用いて選択的ハイブリダイゼーション条件を実現することができる。
ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシィは、当業者が容易に確かめることができ、一般に、プローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存した経験的計算である。一般に、適切なアニーリングにはプローブが長いほど高い温度が必要であり、プローブが短いほど低い温度が必要である。相補ストランドがその融解温度以下の環境に存在する場合、ハイブリダイゼーションは、一般に、変性DNAの再アニーリングする能力に依存する。プローブ及びハイブリダイズ可能配列間の所望の相同性の程度が高いほど、高い相対温度を用いることができる。その結果、相対温度が高い方が、反応条件のストリンジェンシィが増す傾向があり、温度が低いと、ストリンジェンシィが減るということになる。さらにハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシィの詳細及び説明には、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience Publishers、(1995)を参照。
高いストリンジェンシィ条件は、当技術分野で知られている;例えば、前記のSambrook et al.,2001、、及びShort Protocols in Molecular Biology、Second Edition、Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons、1992を参照。両者とも参照により本明細書に組み入れられる。ストリンジェント条件は、配列に依存し、異なる環境では異なる。配列が長いほど、高い温度で特異的にハイブリダイズされる。核酸のハイブリダイゼーションについての広範囲にわたるガイドが、Tijssen、Techniques In Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Acid Probes、「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993)にみられる。
いくつかの実施形態では、ストリンジェント条件または高ストリンジェンシィ条件は、以下によって特定することができる:(1)洗浄に低イオン強度及び高い温度を用いる、例えば、50℃で、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム;(2)ハイブリダイゼーション中に変性剤を用いる、例えば、ホルムアミド、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液と、pH6.5で、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムと42Cで、50%(v/v)ホルムアミド;または(3)42℃で、50%ホルムアミド、5XSSC(0.75MNaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5Xデンハート溶液、超音波処理サケ精子DNA(50.mu.g/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランを用い、42℃で、0.2XSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中で洗浄し、55℃で、50%ホルムアミド中で洗浄し、その後、55℃で、0.1XSSC含有EDTAからなる高ストリンジェンシィ洗浄を行う。
一般に、ストリンジェント条件は、規定イオン強度及びpHで特定の配列に対して融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡で(標的配列が過剰に存在するため、Tmでは、プローブの50%が、平衡で占められる)標的配列にハイブリダイズする温度(規定イオン強度、pH及び核酸濃度のもとで)である。ストリンジェント条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で約1.0M未満のナトリウムイオン濃度、通常、約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、ショートプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)では、少なくとも約30℃であり、ロングプローブ(例えば、以上50ヌクレオチド)では少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェント条件は、また、脱安定剤、例えば、ホルムアミドを添加して実現しても良い。
もう1つの実施形態では、低ストリンジェントハイブリダイゼーション条件が用いられる;例えば、当技術分野で知られているとおり、中等度または低ストリンジェンシィ条件を用いることができる;前記のSambrook et al.,2001;前記のAusubel et al.,1992及び前記のTijssen、1993、を参照。
いくつかの場合では、中等度ストリンジェント条件が、洗浄溶液の使用及び前記に記載したものより低ストリンジェントのハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)を含むことができる。中等度ストリンジェント条件の1つの例が、20%ホルムアミド、5XSSC(150mMNaCl、15mMトリクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5Xデンハート溶液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/mL変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベーションし、その後、1XSSC中で、約37〜50℃でフィルターを洗浄することである。当業者であれば、温度、イオン強度などの調節方法、必要に応じて、因子、例えば、プローブ長などの適応方法を理解するであろう。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体及びその変異体は、抗体をコードするDNA配列内のヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発によって調製することができる。これは、本明細書に示したとおり、カセットまたはPCR突然変異誘発または当技術分野でよく知られる他の技術を用いて、変異体をコードするDNAを生成し、その後、細胞培養中で遺伝子組換えDNAを発現させて、実現することができる。いくつかの場合では、確立した技術を用いたin vitro合成によって、最大約100〜150残基を有する変異体CDRを含む抗体フラグメントを調製することができる。以下にさらに詳細に示したとおり、変異体は、また、改変した特性を有するものから選択することができるが、これらの変異体フラグメントは、自然類似体と同じ定性的生物活性、例えば、Bb因子への結合を示し、補体を抑制することができる。
アミノ酸配列変異を導入するための部位または領域は、あらかじめ定められるが、変異それ自体は、あらかじめ定める必要はない。例えば、所与の部位で変異を最適化するために、最適の所望の抗体活性をスクリーニングした標的コドンまたは領域及び発現抗体CDRまたは可変部領域配列変異体で、ランダム突然変異誘発を実施することができる。公知の配列を有するDNA中の所定の部位で置換変異を生じさせる技術がよく知られており、例えば、M13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発である。抗体活性、例えば、Bb因子結合のアッセイを用いて、変異体がスクリーニングされる。
アミノ酸置換は、通常、単一残基のアミノ酸置換である;かなり大きな挿入を許容することができるが、挿入は、通常、約1(1)〜約20(20)のアミノ酸残基程度である。いくつかの場合では、欠失はさらに大きくすることができるが、欠失の範囲は、約1(1)〜約20(20)のアミノ酸残基である。
最終誘導体または変異体に達するように、置換、欠失、挿入またはこれらの任意の組み合わせを用いることができる。一般に分子の変質、特に抗体の免疫原性及び特異性を最小化するために、いくつかのアミノ酸でこれらの変化が行われる。しかし、特定の環境では、さらに大きな変化を許容することができる。保存的置換は、一般に、表4に示した以下の図表に従って行われる。
表4に示したものより保存的ではない置換を選択することによって、機能または免疫同一性の変化を生じさせることができる。例えば、変質の範囲中のポリペプチド主鎖の構造、例えば、αヘリックス構造またはβシート構造;標的部位の分子の電荷または疎水性;または側鎖の容積にさらに有意に影響を及ぼす置換を生じさせることができる。一般的にポリペプチドの特性に最も大きな変化を生じさせると予測される置換は、(a)親水性残基、例えば、セリルまたはトレオニルが、疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニルに(またはこれらによって)置換される;(b)システインまたはプロリンが、他の残基に(またはこれによって)置換される;(c)陽電性側鎖、例えば、リシル、アルギニル、またはヒスチジルを有する残基、が陰電性残基、例えば、グルタミルまたはアスパルチルに(またはこれらによって)置換される;または(d)巨大側鎖、例えば、フェニルアラニンを有する残基が、側鎖を有しない残基、例えば、グリシンに(またはこれらによって)置換されるものである。
変異体は、また、必要に応じて、本開示のBb因子抗体の特性を改変するように選択されるが、変異体は、通常、自然類似体と同じ定性的生物活性を示し、同じ免疫反応を誘発する。代わりに、本開示の抗体の生物活性を変化させる変異体を選択することができる。例えば、本明細書に記載したとおり、グリコシル化部位を変化させる、または除去することができる。
ポリペプチド配列相同である配列番号1〜6及び8〜15並びに配列番号18〜23及び配列番号24〜31が、本明細書に開示される。本明細書に開示したポリペプチドは、開示したアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むことができる。他の場合では、クレームされているポリペプチドが、開示した配列と比べて保存的アミノ酸置換を含むことができるアミノ酸配列を含む。保存的アミノ酸置換は、置換アミノ酸と特性を共有するアミノ酸を含むことができる。さまざまな場合では、ポリペプチドの構造または機能の有意な変化なしで、保存的置換を生じさせることができる。
側鎖、サイズ、電荷、疎水性、親水性、等電点などの相対的類似性に基づいて保存的アミノ酸置換を生じさせることができる。さまざまな場合では、通常の試験によって、タンパク質の機能への作用について置換を分析することができる。アミノ酸は、アミノ酸の疎水性及び電荷に基づくことができる疎水親水指数を有するため、保存アミノ酸置換は、親水性の値がほぼ同じアミノ酸を含む。さまざまな場合では、同じクラスのアミノ酸、例えば、非極性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、及び中性アミノ酸間で保存アミノ酸置換を生じさせることができる。保存的置換は、また、サイズまたは容積に基づくものとすることができる。アミノ酸は、また、所与の構造、例えば、αヘリックス、βシート、または分子内または分子間相互作用を形成または切断する能力に基づいて分類することができる。さまざまな場合では、保存的アミノ酸置換は、1つ以上の特性に基づく。
本明細書に開示したポリペプチドは、自然及び非自然アミノ酸を含むことができる。さまざまな場合では、非自然側鎖で自然アミノ酸側鎖を置換することができる。さまざまな場合では、アミノ酸を誘導体化することができる。
本開示のポリペプチドは、配列番号1〜6及び8〜15並びに配列番号18〜31の配列と相同であるポリペプチドを含む。相同性は、%同一性または%類似性または%陽性として表すとができる。さまざまな場合では、%同一性は、2つのアラインしたポリペプチド間で同一であるアミノ酸のパーセンテージであり、%類似性または%陽性は、同一でないが、保存的置換を示すアミノ酸のパーセンテージである。保存的置換は、電荷が同じアミノ酸、サイズが同じアミノ酸、極性が同じアミノ酸などの置換としても良い。例えば、リジンからアルギニンは、電荷を考慮すると、保存的置換と考えることができる。
さまざまな場合では、アルゴリズム、例えばBLASTpによって、2つのポリペプチドをアラインすることができる。さまざまな場合では、2つのポリペプチドの長い方の長さと比べて等しい、より長い、またはより短い最大標的配列長で、BLASTpパラメーターを設定することができ、予測スレショールドを10に設定し、ワードサイズを3に設定することができ、エグジステンス11及びエクステンション1のギャップコストとし、スコアマトリックスをBLOSUM62とすることができる。BLASTpにより、アラインしたポリペプチドの相同性を「同一性」及び「陽性」として報告することができる。アラインした配列は、アラインメントを実現するためにギャップを含むことができる。
さまざまな場合では、アミノ酸配列の相同性は、前記に記載したとおり、最適にアラインした場合、同一性または陽性のパーセンテージを反映する可能性がある。さまざまな場合では、比較ウィンドウ内のアラインしたアミノ酸の数を割ることによって%相同性(%陽性)または%同一性を計算することができる。2つのポリペプチドの長さが等しくない場合、比較ウィンドウは、ポリペプチドの一方または他方の全長とすることができる。他の場合では、比較ウィンドウは、ポリペプチドの一方の一部とすることができる。さまざまな場合では、2つのポリペプチド配列の相同性または同一性を測定するための比較ウィンドウは、約40以上のaa(アミノ酸)、45以上のaa、50以上のaa、55以上のaa、60以上のaa、65以上のaa、70以上のaa、75以上のaa、80以上のaa、85以上のaa、90以上のaa、95以上のaa、100以上のaa、150以上のaa、または200以上のaa、及び/または約200未満のaa、150未満のaa、100未満のaa、95未満のaa、90未満のaa、85未満のaa、80未満のaa、75未満のaa、70未満のaa、65未満のaa、60未満のaa、55未満のaa、50未満のaa、または45未満のaaである。いくつかの実施形態では、CDR配列を有する場合、比較ウィンドウは、40未満のaa、例えば約25未満のaa、24未満のaa、23未満のaa、22未満のaa、21未満のaa、20未満のaa、19未満のaa、18未満のaa、17未満のaa、16未満のaa、15未満のaa、14未満のaa、13未満のaa、12未満のaa、11未満のaa、10未満のaa、9未満のaa、8未満のaa、7未満のaa、6未満のaa、5未満のaa、または4未満のaaと、約3以上のaa、4以上のaa、5以上のaa、6以上のaa、7以上のaa、8以上のaa、9以上のaa、10以上のaa、11以上のaa、12以上のaa、13以上のaa、14以上のaa、15以上のaa、16以上のaa、17以上のaa、18以上のaa、19以上のaa、20以上のaa、21以上のaa、22以上のaa、23以上のaa、または24以上とのaaの間としても良い。
さまざまな場合では、クレームされているアミノ酸配列は、%同一性または%相同性(%陽性)が、所与の比較ウィンドウに対して、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上、及び/または約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、または70%未満であるものとすることができる。
さまざまな場合では、動的、ローカル、及びグローバルアラインメントを含むさまざまなアルゴリズムを用いて、配列アラインメントを実施することができる。例えば、the algorithm of Smith and Waterman、1981、Adv.Appl.Math 2:482;the alignment algorithm of Needleman and Wunsch、1970、J.Mol.Biol.48:443;the similarity method of Pearson and Lipman、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444を参照。さまざまな場合では、コンピュータープログラムにより、これらのアルゴリズム(例えば、EMBOSS、GAP、BESTFIT、FASTA、TFASTABLAST、BLOSUMなど)を実行することができる。
別の場合では、アミノ酸残基を、例えば、非極性、酸性、塩基性及び中性クラス(以下のとおり:非極性:Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、Met;酸性:Asp、Glu;塩基性:Lys、Arg、His;中性:Gly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、Tyr)にアミノ酸を分割する同じクラス中のもう1つのアミノ酸残基に置換して、保存アミノ酸置換を生じさせることができる。
いくつかの場合では、アミノ酸残基を親水性の値がほぼ同じ(例えば、値がプラスまたはマイナス2.0以内)もう1つのアミノ酸残基に置換して、保存アミノ酸置換を生じさせることができる。疎水親水指数が約−1.6のアミノ酸、例えば、Tyr(−1.3)またはPro(−1.6)が、アミノ酸残基:Arg(+3;0);Lys(+3.0);Asp(+3.0);Glu(+3.0);Ser(+0.3);Asn(+0.2);Gin(+0.2);Gly(O);Pro(−0.5);Thr(−0.4);Ala(−0.5);His(−0.5);Cys(−1.0);Met(−1.3);Val(−1.5);Leu(−1.8);Ile(−1.8);Tyr(−2.3);Phe(−2.5);及びTrp(−3.4)に対応付けられる。
別の場合では、アミノ酸残基を疎水親水指数がほぼ同じ(例えば、値がプラスまたはマイナス2.0以内)もう1つのアミノ酸残基に置換して、保存アミノ酸置換を生じさせることができる。このような場合では、各アミノ酸残基は、以下のとおり、その疎水性及び電荷特性に基づいて疎水親水指数に対応付けすることができる:lie(+4.5);Val(+4.2);Leu(+3.8);Phe(+2.8);Cys(+2.5);Met(+1.9);Ala(+1.8);Gly(−0.4);Thr(−0.7);Ser(−0.8);Trp(−0.9);Tyr(−1.3);Pro(−1.6);His(−3.2);Glu(−3.5);Gln(−3.5);Asp(−3.5);Asn(−3.5);Lys(−3.9);及びArg(−4.5)。
別の場合では、保存的アミノ酸変化が、親水性または疎水性、サイズまたは容積、または電荷の考慮に基づいた変化を含む。アミノ酸は、一般に、主にアミノ酸側鎖の特性に応じて、疎水性または親水性と特徴付けることができる。Eisenbergらの標準化コンセンサス疎水性スケール(J.Mol.Bio.179:125−142、184)に基づいて、疎水性アミノ酸は、0を越える疎水性を示し、親水性アミノ酸は、0未満の親水性を示す。遺伝的コード化疎水性アミノ酸としては、Gly、Ala、Phe、Val、Leu、lie、Pro、Met及びTrpが挙げられ、遺伝的コード化親水性アミノ酸としては、Thr、His、Glu、Gln、Asp、Arg、Ser、及びLysが挙げられる。非遺伝的コード化疎水性アミノ酸としては、t−ブチルアラニンが挙げられ、非遺伝的コード化親水性アミノ酸としては、シトルリン及びホモシステインが挙げられる。
疎水性または親水性アミノ酸は、その側鎖の特性に基づいてさらに細分することができる。例えば、芳香族アミノ酸は、少なくとも1つの芳香族または複素環式芳香族環を含有する側鎖を有する疎水性アミノ酸であり、1つ以上の置換基、例えば、−−OH、−−SH、−−CN、−−F、−−Cl、−−Br、−−I、−−NO2、−−NO、−−NH2、−−NHR、−−NRR、−−C(O)R、−−C(O)OH、−−C(O)OR、−−C(O)NH2、−−C(O)NHR、−−C(O)NRR、などを含有することができ、式中、Rが、独立して(C1−C6)アルキル、置換される(C1−C6)アルキル、(C0−C6)アルケニル、置換される(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換される(C0−C6)アルキニル、(C5−C20)アリール、置換される(C0−C20)アリール、(C6−C26)アルカリール、置換される(C6−C26)アルカリール、5〜20員環ヘテロアリール、置換される5〜20員環ヘテロアリール、6〜26員環アルクヘテロアリールまたは置換される6〜26員環アルクヘテロアリールである。遺伝的コード化芳香族アミノ酸としては、Phe、Tyr、及びTrpが挙げられる。
非極性または無極アミノ酸は、生理学的pHで荷電していない側鎖、及び2個の原子によって共有される1対の電子が、一般に2個の原子のそれぞれによって均一に保持される結合を有する側鎖(すなわち、側鎖は、極性ではない)を有する疎水性アミノ酸である。遺伝的コード化無極アミノ酸としては、Gly、Leu、Val、Ile、Ala、及びMetが挙げられる。無極アミノ酸は、さらに細分することができ、脂肪族アミノ酸を含み、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸である。遺伝的コード化脂肪族アミノ酸としては、Ala、Leu、Val、及びIleが挙げられる。
極性アミノ酸は、生理学的pHで荷電していないが、2個の原子によって共有される1対の電子がさらにその原子の1つによって緊密に保持される1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸である。遺伝的コード化極性アミノ酸としては、Ser、Thr、Asn、及びGlnが挙げられる。
酸性アミノ酸は、側鎖pKa値が7未満である親水性アミノ酸である。酸性アミノ酸は通常、水素イオン欠失のため、生理学的pHで陰性荷電側鎖を有する。遺伝的コード化酸性アミノ酸としては、Asp及びGluが挙げられる。塩基性アミノ酸は、側鎖pKa値が7以上である親水性アミノ酸である。塩基性アミノ酸は、通常、ヒドロニウムイオンとの結合のため、生理学的pHで陽性荷電側鎖を有する。遺伝的コード化塩基性アミノ酸としては、Arg、Lys、及びHisが挙げられる。
%アミノ酸配列同一性の値は、比較ウィンドウ中の一致した同一残基の数を「より長い」配列の残基の総数で割ることによって測定される。「より長い」配列は、比較ウィンドウ中で最も多い実際の残基を有する配列である(アラインメントスコアを最大化するためにWU−Blast−2によって導入されるギャップは無視する)。
アラインメントは、アラインされる配列中のギャップの導入を含むことができる。また、本開示のポリペプチドの配列によってコードされるタンパク質より多いまたは少ないアミノ酸を含有する配列では、1つの場合では、配列同一性のパーセンテージは、アミノ酸の総数に対する同一アミノ酸の数に基づいて測定されると理解される。パーセント同一性の計算では、比重は、配列変異のさまざまな発現、例えば、挿入、欠失、置換などに対応付けられない。
1つの場合では、同一性だけを陽性(+1)とつけ、ギャップを含む配列変異の全形態は、値「0」に対応付けられ、以下に記載したとおり、配列類似性計算のためのスケールまたはパラメーターの重み付けの必要性を除去する。パーセント配列同一性は、例えば、アラインした領域中の一致した同一残基の数を「より短い」配列の残基の総数で割り、100をかけることによって計算することができる。「より長い」配列は、アラインした領域中で最も多い実際の残基を有する配列である。
足場
本明細書に示したとおり、本開示の抗体は、前記に記載したCDR(単数及び複数)をグラフトすることができる足場構造を含むことができる。1つの実施形態では、足場構造は、従来の抗体構造であり、すなわち、2本の重鎖及び2本の軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体である。いくつかの場合では、本明細書に記載の抗体の組み合わせが、重鎖及び/または軽鎖を形成する追加の成分(フレームワーク、J及びD領域、不変部領域など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヒト足場成分の使用を含む。
それゆえに、さまざまな実施形態では、本開示の抗体が、従来の抗体の足場を含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒト及び単クローン抗体、二重特異性抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体、キメラ抗体、抗体フュージョン、及びそれぞれのフラグメントとすることができる。前記記載のCDR及びCDRの組み合わせは、以下の足場のいずれかにグラフトすることができる。
本開示のキメラ抗体は、特定の種に由来する対応する配列と同一または相同である重鎖及び/または軽鎖配列を含むことができる。例えば、1つの実施形態では、抗Bb因子抗体が、ヒトFcドメインを含むキメラ抗体であり、抗体の残りは、対応するマウスまたはげっ歯類配列と同一または相同とすることができる。キメラ抗体は、フラグメントが、所望の生物活性を示し、もう1つの種、抗体のクラス、または抗体のサブクラスに由来する配列を含む限り、かかる抗体のフラグメントとすることができる(米国特許第4、816、567号;及びMorrison et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855)。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示した抗Bb因子抗体の可変部領域が、少なくとも3本の重鎖または軽鎖CDRを含み、(前記のKabat et al.,1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Public Health Service N.I.H.,Bethesda、MDを参照;また、Chothia and Lesk、1987、J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,1989、Nature 342:877−883を参照)、フレームワーク領域内に組み込まれている(前記の1991年にKabatらによって示されたフレームワーク領域1〜4、FR1、FR2、FR3、及びFR4、;また、前記のChothia and Lesk、1987を参照)。
いくつかの場合では、当該抗体は、重鎖可変領配列または軽鎖可変ドメイン配列からなるものとすることができる。いくつかの場合では、重鎖または軽鎖可変ドメイン配列が、表3の配列から選択される配列を含んでも良い。
従来の抗体構造単位は、ほとんどの場合では、四量体を含む。各四量体が、通常、2つの同一対のポリペプチド鎖からなり、各対が、1つの軽鎖(通常、分子量が約25kDaである)及び1つの重鎖(通常、分子量が約50〜70kDaである)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担う約100〜110以上のアミノ酸の可変部領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、不変部領域を定義し、重鎖が計3つの不変部領域(CH1、CH2、及びCH3)を含んでも良く、不変部領域が、エフェクター機能の調節を助けても良い。ヒト軽鎖は、κ及びλ軽鎖に分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεに分類され、当該抗体のイソ型をそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。IgGは、いくつかのサブクラスを有し、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むがこれらに限定されない。IgMは、サブクラスを有し、IgM1及びIgM2を含むがこれらに限定されない。
軽鎖及び重鎖内では、可変及び不変部領域が、約12(12)以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖は、また、約10(10)以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Paul、W.,ed.,1989、Fundamental Immunology Ch.7、2nd ed.Raven Press、N.Y.を参照。軽鎖及び重鎖の各対の可変部領域は、抗体結合部位を形成する。
いくつかの自然抗体、例えば、ラクダ及びラマにみられるものは、2本の重鎖からなるニ量体であり、軽鎖を含まない。Muldermans et al.,2001、J.Biotechnol.74:277−302;Desmyter et al.,2001、J.Biol.Chem.276:26285−26290。ラクダ抗体の結晶学的研究が、CDR3領域が抗原と相互作用する表面を形成し、このため、より典型的な四量体抗体中などで抗原結合に重要であることを明らかにした。本開示は、Bb因子に結合する、及び/またはBb因子の生物活性を抑制することができる2本の重鎖、またはそのフラグメントからなるニ量体抗体を包含する。
重鎖及び軽鎖の可変部領域は、通常、3つの相補性決定領域またはCDRによって結合される比較的保存フレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。CDRは、抗原認識及び結合を担う抗体の超可変部領域を含む。各対の2本の鎖からのCDRは、フレームワーク領域によってアラインされ、支持され、特定のエピトープに結合することができる。N−末端からC−末端まで、軽鎖及び重鎖ともドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸のアサインメントは、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interestの定義に従う。Chothia et al.,1987、J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,1989、Nature 342:878−883。
CDRは、抗原結合の大半の表面接触点を占める。例えば、Chothia and Lesk、1987、J.Mol.Biol.196:901−917を参照。さらに、軽鎖のCDR3及び、特に、重鎖のCDR3は、軽鎖及び重鎖可変部領域内で抗原結合の最も重要な決定因子を構成しても良い。例えば、前記の Chothia and Lesk、1987 ;Desiderio et al.,2001、J.Mol.Biol.310:603−615;Xu and Davis、2000、Immunity 13:37−45;Desmyter et al.,2001、J.Biol.Chem.276:26285−26290;及びMuyldermans、2001、J.Biotechnol.74:277−302を参照。いくつかの抗体では、重鎖CDR3が、抗原及び抗体間の接触の主な範囲を構成すると思われる(前記のDesmyter et al.,2001)。抗体の結合特性を変化させるためにCDR3だけが変わるin vitro選択スキームを用いることができる(前記のMuyldermans、2001;前記のDesiderio et al.,2001)。
自然抗体は、通常、抗体をタンパク質分泌の細胞経路に向け、成熟抗体に存在しないシグナル配列を含む。本開示の抗体をコードするポリヌクレオチドが、以下に記載したとおり、自然シグナル配列または異種シグナル配列をコードしても良い。
1つの実施形態では、抗Bb因子抗体が、本明細書に示したとおり、1(1)〜6つ(6)のCDRを有する単クローン抗体である。本開示の抗体は、IgM、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4を含む)、IgD、IgA、またはIgE抗体を含むいずれかの型とすることができる。特定の実施形態では、当該抗体がIgG型抗体である。さらに特定の実施形態では、当該抗体がIgG2型抗体である。
いくつかの実施形態では、当該抗体が完全重鎖及び軽鎖を含むことができ、全CDRが同じ種、例えば、ヒトに由来する。代わりに、例えば、抗体が、前記に示した配列からの6未満のCDRを含有する実施形態では、追加のCDRは、他の種(例えば、マウスCDR)に由来するものとすることができる、または当該配列に示したものと異なるヒトCDRとすることができる。例えば、本明細書で特定される好適な配列からのヒトHC CDR3及びLC CDR3領域を用いることができ、HC CDR1、HC CDR2、LC CDR1及びLC CDR2は、任意で別種、または異なるヒト抗体配列、またはこれらの組み合わせから選択される。例えば、本開示のCDRは、市販の該当するキメラまたはヒト化抗体のCDR領域に置き換えることができる。
特定の実施形態では、ヒト成分である抗体の足場成分が用いられる。
いくつかの実施形態では、しかし、足場成分は、異なる種からの混合物とすることができる。こうして、当該抗体は、キメラ抗体及び/またはヒト化抗体とすることができる。一般に、キメラ抗体及びヒト化抗体とも1つ以上の種からの領域またはアミノ酸を混合する抗体とすることができる。例えば、キメラ抗体が、ほとんどの実施形態では、マウス、ラット、ウサギ、または他の好適な非ヒト動物からの可変部領域(単数及び複数)及びヒトからの不変部領域(単数及び複数)を含む。
ヒト化抗体は、当初から非ヒト抗体に由来する抗体、例えばマウス抗体である。ヒト化抗Bb因子抗体のさまざまな実施形態では、非ヒト抗体に由来する可変部領域フレームワーク領域またはフレームワークアミノ酸は、ヒト抗体で対応する位置にみられるアミノ酸同一性となるように変化させることができる。ヒト化抗体のいくつかの実施形態では、CDRを除く全抗体が、ヒト由来のポリヌクレオチドによってコードすることができる、またはそのCDR内を除いてかかる抗体と同一である。他の実施形態では、ヒト化抗体は、同一性が対応するヒト抗体の同じ位置またはほぼ同じ位置の同一性に変化する特定のアミノ酸位置を含んでも良い。CDRは、非ヒト生物由来の核酸によってその一部または全部をコードすることができ、抗体を生成するためにヒト抗体可変部領域のβシートフレームワークにグラフトされ、その特異性は、グラフトしたCDRによって測定される。かかる抗体の生成は、例えば、WO 92/11018、Jones、1986、Nature 321:522−525、Verhoeyen et al.,1988、Science 239:1534−1536に記載されている。ヒト化抗体は、また、遺伝子組み換え免疫系のマウスを用いて生成することができる(Roque et al.,2004、Biotechnol.Prog.20:639−654)。いくつかの実施形態では、CDRは、ヒトとすることができ、このため、この文脈では、ヒト化及びキメラ抗体ともいくつかの非ヒトCDRを含む。いくつかの場合では、HC CDR3及びLC CDR3領域を含み、1つ以上の他のCDR領域が異なる特殊な由来の領域であるヒト化抗体を生成することができる。
1つの実施形態では、Bb因子抗体は、多重特異性抗体、及び特に二重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)とすることができる。これらは、2つ(以上)の異なる抗原、例えば、Bb因子、及びもう1つの抗原、またはBb因子の2つの異なるエピトープに結合する抗体である。当技術分野に知られるさまざまな方法で、二重特異性抗体を作製することができ(Holliger and Winter、1993、Current Opinion Biotechnol.4:446−449)、例えば、化学的にまたはハイブリッドハイブリドーマから調製することができる。
1つの実施形態では、Bb因子抗体がミニボディである。ミニボディは、CH3ドメインに結合されるscFvを含む最少化抗体−様タンパク質である(Hu et al.,1996、Cancer Res.56:3055−3061)。
1つの実施形態では、Bb因子抗体がドメイン抗体である;例えば、米国特許第6,248,516号を参照。ドメイン抗体(dAbs)は、分子量がおよそ13kDaである、または完全抗体のサイズの1/10未満であるヒト抗体dABsの重鎖(VH)または軽(VL)鎖の可変部領域に対応する抗体の機能的結合ドメインである。dABsは、細菌、酵母、及び哺乳動物細胞系を含むさまざまな宿主でよく発現される。また、dAbsは、極めて安定しており、厳しい条件、例えば、凍結乾燥または熱変性を受けた後でも活性を保持している。例えば、米国特許第6,291,158号;6,582,915号;6,593,081号;6,172,197号;US Serial No.2004/0110941;European Patent 0368684;US Patent 6,696,245、WO04/058821、WO04/003019及びWO03/002609を参照。全て、参照により全体が組み入れられる。
1つの実施形態では、Bb因子抗体が、抗体フラグメントであり、すなわち、Bb因子への結合特異性を保持する本明細書に示した抗体のいずれかのフラグメントである。さまざまな実施形態では、当該抗体がF(ab)、F(ab’)、F(ab’)2、Fv、または一本鎖Fvフラグメントである。少なくとも、抗体が、本明細書で意味するとおり、抗原に特異的に結合することができるポリペプチドを含み、当該ポリペプチドが軽鎖及び/または重鎖可変部領域の全部または一部を含む。
特定の抗体フラグメントとしては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなるFabフラグメント、(ii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)単一可変部からなるdAbフラグメント(Ward et al.,1989、Nature 341:544−546)、(v)分離したCDRドメイン、(vi)2つの結合Fabフラグメントを含むF(ab’)2フラグメント、二価フラグメント(vii)、VHドメイン及びVLドメインが、2つのドメインを結合させて抗原結合部位を形成するペプチドリンカーによって結合する一本鎖Fv分子(scFv)(Bird et al.,1988、Science 242:423−426、Huston et al.,1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:5879−5883)、(viii)二重特異性一本鎖Fvニ量体(PCT/US92/09965)及び(ix)遺伝子フュージョンによって構成される二重特異性抗体または三量体、多価または多重特異性フラグメント(Tomlinson et.al.,2000、Methods Enzymol.326:461−479;WO94/13804;Holliger et al.,1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6444−6448)が挙げられるが、これらに限定されない。抗体フラグメントは、改変することができる。例えば、当該分子は、VH及びVLドメインを結合するジスルフィド架橋の組み入れによって安定させることができる(Reiter et al.,1996、Nature Biotech.14:1239−1245)。また、本明細書に示したとおり、これらのフラグメントの非CDR成分は、好ましくはヒト配列である。
1つの実施形態では、Bb因子抗体が、従来の抗体、例えば、ヒト免疫グロブリンである。この実施形態では、前記に示したとおり、特定の構造が、CDR領域を含む完全重鎖及び軽鎖を含む。別の実施形態では、他のヒト抗体に由来する他のCDR、フレームワーク領域、J及びD領域、不変部領域などとともに1つ以上の本開示のCDRを用いる。例えば、本開示のCDRは、任意の数のヒト抗体、特に市販の該当する抗体のCDRに置き換えることができる。
1つの実施形態では、Bb因子抗体が、抗体フュージョンタンパク質(例えば、抗体コンジュゲート)である。この実施形態では、当該抗体は、コンジュゲーションパートナーに融合される。コンジュゲートパートナーは、タンパク性または非−タンパク質性とすることができる;後者は、一般に抗体(抗体の共有結合修飾の記載を参照)及びコンジュゲートパートナーの官能基を用いて生成される。例えばリンカーは、当技術分野で知られている;例えば、ホモまたはヘテロ二官能性リンカーがよく知られている(Pierce Chemical Company catalog、technical section on cross−linkers、pages 155−200を参照。これは参照により本明細書に組み込まれる)。
1つの実施形態では、Bb因子抗体が、抗体類似体である。いくつかの場合では、抗体類似体が、合成抗体を指すことができる。例えば、さまざまな最近の研究では、別のタンパク質足場またはグラフトしたCDRを有する人工足場が用いられる。かかる足場としては、抗体の三次元構造を安定させるために導入される変異並びに例えば生体親和性ポリマーからなる完全合成足場が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Korndorfer et al.,2003、Proteins:Structure、Function、and Bioinformatics、Volume 53、Issue 1:121−129. Roque et al.,2004、Biotechnol.Prog.20:639−654を参照。また、ペプチド抗体ミメティック(PAM)を用いることができ、並びに抗体ミメティックに基づく研究では、足場としてフィブロネクチン成分を用いている。
VH及びVL変異体
前記に示したとおり、いくつかの実施形態では、本開示は、前記に定義したとおり、配列番号1〜3を含む重鎖可変部領域及び/または配列番号4〜6の軽鎖可変部領域それぞれ、またはこれらのフラグメントを含む、またはこれらからなる抗体を提供する。このため、これらの実施形態では、当該抗体が、少なくとも1つのCDRまたは変異体だけでなく、また、示したフレームワーク配列の少なくとも一部を含む。また、本開示は、かかる重鎖可変配列または軽鎖可変配列の変異体を包含する。
変異体可変部領域が、一般に、親可変部領域と少なくとも80%のアミノ酸相同性、類似性、または同一性、例えば、本明細書に開示したものを共有する。いくつかの実施形態では、変異体及び親の配列相同性または同一性が少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及びほぼ100%である。本明細書に示した個々の変異体VH及びVLと核酸配列をコードするヌクレオチド配列間の核酸配列相同性、類似性、または同一性は、本明細書に示したものの少なくとも70%であり、さらに通常、好ましくは相同性または同一性が、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及びほぼ100%増大する。また、変異体可変部領域が、多くの実施形態では、生物機能を共有することができ、親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を含むがこれらに限定されない。いくつかの場合では、相同性及び/または同一性が、同一とすることができるCDR配列以外で測定されるにすぎない。他の場合では、相同性及び/または同一性が、CDR配列を含む全配列にわたって測定される。いくつかの実施形態では、また、不変部領域変異体が含まれても良い。
さまざまな場合では、アミノ酸配列の相同性は、前記に記載したとおり、最適にアラインした場合、同一性または陽性のパーセンテージを反映する可能性がある。さまざまな場合では、比較ウィンドウ内のアラインしたアミノ酸の数を割ることによって%相同性(%陽性)または%同一性を計算することができる。2つのポリペプチドの長さが等しくない場合、比較ウィンドウは、ポリペプチドの一方または他方の全長とすることができる。他の場合では、比較ウィンドウは、ポリペプチドの一方の一部とすることができる。さまざまな場合では、2つのポリペプチド配列の相同性または同一性を測定するための比較ウィンドウは、約40以上のaa(アミノ酸)、45以上のaa、50以上のaa、55以上のaa、60以上のaa、65以上のaa、70以上のaa、75以上のaa、80以上のaa、85以上のaa、90以上のaa、95以上のaa、100以上のaa、150以上のaa、または200以上のaa、及び/または約200未満のaa、150未満のaa、100未満のaa、95未満のaa、90未満のaa、85未満のaa、80未満のaa、75未満のaa、70未満のaa、65未満のaa、60未満のaa、55未満のaa、50未満のaa、または45未満のaaである。いくつかの実施形態では、CDR配列を有する場合、比較ウィンドウは、40未満のaa、例えば約25未満のaa、24未満のaa、23未満のaa、22未満のaa、21未満のaa、20未満のaa、19未満のaa、18未満のaa、17未満のaa、16未満のaa、15未満のaa、14未満のaa、13未満のaa、12未満のaa、11未満のaa、10未満のaa、9未満のaa、8未満のaa、7未満のaa、6未満のaa、5未満のaa、または4未満のaaと、約3以上のaa、4以上のaa、5以上のaa、6以上のaa、7以上のaa、8以上のaa、9以上のaa、10以上のaa、11以上のaa、12以上のaa、13以上のaa、14以上のaa、15以上のaa、16以上のaa、17以上のaa、18以上のaa、19以上のaa、20以上のaa、21以上のaa、22以上のaa、23以上のaa、または24以上のaaとの間としても良い。
さまざまな場合では、クレームされているアミノ酸配列は、%同一性または%相同性(%陽性)が、所与の比較ウィンドウに対して、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上、及び/または約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、または75%未満であるものとすることができる。
抗Bb因子抗体の共有結合修飾
抗体の共有結合修飾が、この開示の範囲内に含まれるが、一般に、翻訳後修飾で必ずしも行われるわけではない。例えば、選択した側鎖またはN−末端またはC−末端残基と反応させることができる有機誘導化剤と抗体の特定のアミノ酸残基を反応させることによって、抗体のいくつかの型の共有結合修飾が、分子に導入される。
システイニル残基が、最も一般にα−ハロアセテート(及び対応するアミン)、例えば、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドと反応し、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体が得られる。システイニル残基は、また、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0でジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導体化される。これは、この薬剤が比較的ヒスチジル側鎖に特異的であるためである。また、パラ−ブロモフェナシルブロミドが有用である;反応は、好ましくは0.1Mカコジール酸ナトリウム中でpH6.0で実施される。
リシニル及びアミノ末端残基は、コハク酸無水物または他のカルボン酸無水物と反応する。これらの薬剤による誘導体化には、リシニル残基の電荷を逆にする作用がある。α−アミノ−含有残基を誘導体化する他の好適な薬剤としては、イミドエステル、例えば、メチルピコリンイミデート;ピリドキサールホスフェート;ピリドキサール;クロロボロハイドライド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ尿素;2,4−ペンタンジオン;及びグリオキシレートとのトランスアミナーゼ−触媒反応物が挙げられる。
アルギニル残基は、1つまたはいくつかの従来の試薬、例えば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンとの反応によって改変される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基のpKaが高いため、アルカリ性条件で反応を実施する必要がある。さらに、これらの試薬は、リジン基並びにアルギニンε−アミノ基と反応させても良い。
チロシル残基の特定の修飾は、特に芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって、チロシル残基にスペクトル標識を導入して行うことができる。最も一般に、N−アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタンを用いて、それぞれO−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体が形成される。125Iまたは131Iを用いてチロシル残基をヨウ素化し、前記に記載した放射性イムノアッセイ、クロラミンT法に使用するのに好適な標識タンパク質が調製される。
カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R’−N=C=N−−R’)との反応によって選択的に改変され、式中、R及びR’が、任意で異なるアルキル基、例えば、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドである。さらに、アスパルチル及びグルタミル残基が、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
二官能性薬剤による誘導体化は、さまざまな方法に使用され、抗体を水不溶性支持マトリックスまたは表面に架橋するのに有用である。一般に用いられる架橋薬剤としては、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、ジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、例えば、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、及び二官能性マレイミド、例えば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンが挙げられる。誘導化剤、例えば、メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートにより、光の存在下で架橋を形成することができる光活性化可能中間体が生成される。代わりに、反応性水不溶性マトリックス、例えば、臭化シアン活性化炭水化物及び米国特許第3,969,287号;3,691,016号;4,195,128号4,247,642号;4,229,537号;及び4,330,440号に記載された反応性基質が、タンパク質固定に用いられる。
グルタミニル及びアスパラギニル残基それぞれが、たびたび対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミド化される。代わりに、これらの残基が弱酸性条件下で脱アミド化される。これらの残基のいずれの形態もこの開示の範囲内に入る。
他の修飾としては、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&Co.,San Francisco、1983、pp.79−86)、N−末端アミンのアセチル化、及びC−末端カルボキシル基のいずれかのアミド化が挙げられる。
グリコシル化
この開示の範囲内に含まれる抗体のもう1つの型の共有結合修飾は、タンパク質のグリコシル化パターンを変化させることを含む。当技術分野に知られているとおり、グリコシル化パターンは、タンパク質の両配列(例えば、以下に記載した特定のグリコシル化アミノ酸残基が存在する、または存在しない)、またはタンパク質を生成する宿主細胞もしくは生物に依存する可能性がある。特定の発現系が以下に記載される。
ポリペプチドのグリコシル化は、通常、N−結合型またはO−結合型のいずれかである。N−結合型は、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖に結合することを指す。トリ−ペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニン(Xがプロリンを除くアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素的結合のための認識配列である。このため、ポリペプチド中のこれらのトリ−ペプチド配列のいずれかの存在が、潜在的グリコシル化部位を生じさせる。O−結合型グリコシル化は、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンを用いても良いが、糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうち1つがヒドロキシアミノ酸、最も一般にセリンまたはトレオニンに結合することを指す。
グリコシル化部位の本開示の抗体への付加は、(N−結合型グリコシル化部位では)1つ以上の前記記載のトリ−ペプチド配列を含有するようにアミノ酸配列を変化させることによって従来から実施されている。変質は、また、(O−結合型グリコシル化部位では)、出発配列に1つ以上のセリンまたはトレオニン残基を付加して、または出発配列を1つ以上のセリンまたはトレオニン残基で置換して行っても良い。容易には、抗体のアミノ酸配列は、所望のアミノ酸に翻訳するコドンが生成されるように、好ましくはDNAレベルの変化により、特にあらかじめ選択した塩基で標的ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって変えられる。
抗体の炭水化物部分の数を増大するもう1つの手段が、グリコシドのタンパク質への化学的または酵素的カップリングである。これらの方法は、N−及びO−結合型グリコシル化のグリコシル化能力がある宿主細胞中のタンパク質の生成が必要ではないという点で有利である。用いられるカップリング方法に応じて、糖(単数及び複数)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインの遊離スルフヒドリル基、(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基、(e)芳香族残基、例えば、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に結合させることができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO 87/05330、及びAplin and Wriston、1981、CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306に記載されている。
出発抗体に存在する炭水化物部分の除去は、化学的にまたは酵素的に実施することができる。化学的脱グリコシル化では、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、または同等化合物へのタンパク質の暴露が必要である。この処置の結果、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除く糖のほとんどまたはすべてが切断されるが、ポリペプチドは完全なままである。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.,1987、Arch.Biochem.Biophys.259:52及びEdge et al.,1981、Anal.Biochem.118:131によって記載されている。Thotakura et al.,1987、Meth.Enzymol.138:350に記載されたとおり、さまざまなエンド−グリコシダーゼ及びエキソ−グリコシダーゼを使用することによって、ポリペプチドの炭水化物部分の酵素的切断を実施することができる。Duskin et al.,1982、J.Biol.Chem.257:3105.に記載されたとおり、化合物ツニカマイシンを使用することによって、潜在的グリコシル化部位のグリコシル化は、阻止することができる。ツニカマイシンが、タンパク質−N−グリコシド結合の形成をブロックする。
ペグ化
抗体のもう1つの型の共有結合修飾は、参照により全体が組み入れられる米国特許第4,640,835号;4,496,689号;4,301,144号;4,670,417号;4,791,192号及び/または4,179,337号に記載された方法で、さまざまなポリオール、例えば、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンを含む、さまざまな非タンパク質ポリマーに抗体を結合することを含む。また、当技術分野で知られているとおり、ポリマー、例えば、PEGの付加を促進するために抗体内のさまざまな位置で、アミノ酸置換を生じさせることができる。
標識
いくつかの実施形態では、本開示の抗体の共有結合修飾が、1つ以上の標識の付加を含む。
用語「標識基」は、検出可能標識を意味する。好適な標識基の例としては、放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素基(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または2次リポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、2次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、標識基が、立体障害可能性を減らすためにさまざまな長さのスペーサーアームによって抗体に結合される。タンパク質を標識付けするさまざまな方法が、当技術分野で知られており、本開示で実施するのに用いることができる。
一般に、標識は、以下の標識:a)放射性または重同位体とすることができる同位体標識;b)磁気標識(例えば、磁気粒子);c)酸化還元活性部分;d)光学性染料;酵素基(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);e)ビオチン化基;及びf)2次リポーター(例えば、ロイシンジッパーペア配列、2次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)によって認識される所定のポリペプチドエピトープ、を検出するアッセイに応じてさまざまなクラスに入る。いくつかの実施形態では、標識基が、立体障害可能性を減らすためにさまざまな長さのスペーサーアームによって抗体に結合される。タンパク質を標識付けするさまざまな方法が、当技術分野で知られており、本開示で実施するのに用いることができる。
特定の標識としては、発色団、蛍光体及び蛍光団を含むがこれらに限定されない光学性染料が挙げられ、多くの例で後者が特異的である。蛍光団は、「小分子」蛍光体、またはタンパク質蛍光体のいずれかとすることができる。
蛍光標識は、その固有蛍光特性によって検出することができる任意の分子とすることができる。好適な蛍光標識としては、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロジン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、Malacite green、スチルベン、Lucifer Yellow、Cascade BlueJ、Texas Red、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red 640、Cy 5、Cy 55、LC Red 705、Oregon green、the Alexa−Fluor dyes (Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、Cascade Blue、Cascade Yellow 及び R−phycoerythrin(PE)(Molecularr Probes、Eugene、OR)、FITC、ローダミン、及び Texas Red(Pierce、Rockford、IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science、Pittsburgh、PA)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な光学性染料が、Richard P. HauglandによってMolecular Probes Handbookに記載されている(参照により本明細書に明確に組み入れられる)蛍光団を含む。
また、好適なタンパク質蛍光標識が、Renilla、GFPのPtilosarcus、またはAequorea種(Chalfie et al.,1994、Science 263:802−805)、EGFP(Clontech Laboratories、Inc.,Genbank Accession Number U55762)を含む緑色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質(BFP、Quantum Biotechnologies、Inc.1801 de Maisonneuve Blvd.West、8th Floor、Montreal、Quebec、Canada H3H 1J9;Stauber、1998、Biotechniques 24:462−471;Heim et al.,1996、Curr.Biol.6:178−182)、増強黄色蛍光タンパク質(EYFP、Clontech Laboratories、Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichiki et al.,1993、J.Immunol.150:5408−5417)、βガラクトシダーゼ(Nolan et al.,1988、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603−2607)及びRenilla(WO92/15673、WO95/07463、WO98/14605、WO98/26277、WO99/49019、米国特許第5292658号、5418155号、5683888号、5741668号、5777079号、5804387号、5874304号、5876995号、5925558号)(全て、参照により全体が組み入れられる)を含むが、これらに限定されない。
抗Bb因子抗体をコードするポリヌクレオチド
特定の態様では、本開示によって、本明細書に記載の抗体をコードする核酸分子が提供される。いくつかの場合では、本開示の核酸が、IgG、可変部領域、または本明細書に記載のCDRをコードする。核酸が、DNA分子及びRNA分子をともに含む。核酸は、自然核酸または合成核酸のいずれかとすることができる。本開示の核酸は、通常、ポリ核酸;すなわち、3’,5’リン酸ジエステル結合によって共有結合される個々のヌクレオチドのポリマーである。さまざまな場合では、ヌクレオチド配列は、一本鎖、二本鎖、またはこの組み合わせとすることができる。いくつかの変型では、ヌクレオチド配列は、自然核酸、合成核酸、非自然核酸、及び/または核酸類似体を含むことができる。当該ヌクレオチド配列は、さらに、他の非核酸分子、例えば、アミノ酸、及び他のモノマーを含むことができる。
多くの実施形態では、コード配列は、分離核酸分子としても良い。分離核酸分子は、通常、自然源に関係する少なくとも1つの成分から同定及び分離される。いくつかの場合では、1つの成分は、ヌクレオチド配列、タンパク質、または非タンパク質分子とすることができる。分離した抗Bb因子抗体をコードする核酸分子が、自然にみられる形態またはセッティングと異なる。分離した抗Bb因子抗体をコードする核酸分子は、このため、自然細胞に存在するようなコード核酸分子(単数及び複数)と識別される。しかし、分離した抗Bb因子抗体をコードする核酸分子が、通常、抗Bb因子抗体を発現する細胞に含有される抗Bb因子抗体をコードする核酸分子、例えば、染色体位置が自然細胞と異なる核酸分子を含む。分離核酸分子は、このため、生物中に存在するような核酸分子と識別される。しかし、いくつかの場合では、分離核酸分子は、細胞内に含有される核酸とすることができ、例えば、分離核酸分子が、細胞に導入され、染色体外位置またはその天然位置と異なる染色体位置に存在する。
その使用に応じて、核酸は、二本鎖、一本鎖とすることができる、または両二本鎖または両一本鎖配列の部分を含有することができる。当業者が理解するとおり、一本鎖の記述(「Watson」)が、また、他のストランドの配列(「Crick」)を定義する。遺伝子組換え核酸は、通常、自然にみられない形態で、一般に、エンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって、in vitroで元来、形成される核酸とすることができる。このため、分離抗体は、直鎖形態で核酸によってコードすることができ、または通常、結合されず、DNA分子をリゲートすることによってin vitroで形成される発現ベクターと共に、この開示の目的のための遺伝子組換えと考えられる。遺伝子組換え核酸は、一度、必要な全制御要素とともに、生成され、宿主細胞または生物に再導入され、非遺伝子組換えで、すなわち、in vitro操作ではなく宿主細胞のin vivo細胞機構を用いて複製することができると理解されている;しかし、一度、遺伝子組換えで生成されるかかる核酸は、その後に非遺伝子組換えで複製されているが、なお本開示の目的のための遺伝子組換えと考えられる。
いくつかの実施形態では、遺伝子組換え核酸が、1つ以上の制御要素または制御配列を含んでも良い。制御要素及び制御配列は、特定の宿主生物中の作動可能結合コード配列の発現に必要な核酸配列を指す。原核生物に好適な制御配列は、例えば、プロモーター、任意でオペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞がプロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを用いることが知られている。本明細書で用いられる場合、作動可能結合配列は、もう1つの核酸配列と機能的関係の核酸配列である。例えば、核酸コード配列は、核酸制御配列に作動可能に結合することができる。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に結合される;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に結合される;またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置する場合、コード配列に作動可能に結合される。ほとんどの実施形態では、作動可能結合配列が、例えば、分泌リーダー配列に共有結合したDNA配列である。多くの実施形態では、エンハンサー配列がコード配列に隣接する必要はなく、それどころか、2つの配列は、1つ以上の核酸で分離しても良い。
さまざまな場合では、本開示のヌクレオチド配列の核酸が、自然ヌクレオチドとほぼ同じように代謝されるヌクレオチドを含むことができる。また、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホラミデート、アルキルホスホトリエステル、スルファメート、3’−チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3’−N−カルバメート、モルホリノカルバメート、及びペプチド核酸(PNA)を含むがこれらに限定されない合成主鎖類似体を有する核酸様構造が含まれる(例えば、「Oligonucleotides and Analogues、a Practical Approach」、edited by F.Eckstein、IRL Press at Oxford University Press(1991);「Antisense Strategies」、Annals of the New York Academy of Sciences、Volume 600、Eds.Baserga and Denhardt(NYAS 1992);Milligan(1993)J.Med.Chem.36:1923−1937;and “Antisense Research and Applications”(1993、CRC Press)を参照)。PNAは、非イオン性主鎖、例えば、N−(2−アミノエチル)グリシン単位を含有する。ホスホロチオエート結合は、WO 97/03211;WO 96/39154;及びMata(1997)Toxicol.Appl.Pharmacol.144:189−197に記載されている。この用語に包含される他の合成主鎖としては、メチル−ホスホネート結合または別のメチル−ホスホネート及びリン酸ジエステル結合(Strauss−Soukup(1997)Biochemistry 36:8692−8698)、及びベンジル−ホスホネート結合(Samstag(1996)Antisense Nucleic Acid Drug Dev 6:153−156)が挙げられる。
当業者が理解するとおり、遺伝子コードの縮合のため、極めて多くの核酸を生成することができ、その全てが本開示のCDR(ならびに当該抗体の重鎖及び軽鎖または他の成分)をコードする。このため、当業者であれば、特定のアミノ酸配列を特定し、コードされたタンパク質のアミノ酸配列を変化させないように1つ以上のコドンの配列を単に改変することによって任意の数の異なる核酸を生成することができる。
さまざまな場合では、配列番号1〜6及び8〜15及び18〜31のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる。これらのヌクレオチドコード配列は、本開示のポリペプチド配列と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに翻訳することができる。多くの場合では、同一のポリペプチドをコードするヌクレオチドが、同一のヌクレオチド配列を有しなくても良い。これは、遺伝子コードの縮合によるものである。本開示のコード配列は、さらに非翻訳配列、例えば、ポリアデニル化配列を含むことができる。本発明のコード配列は、また、イントロン配列または介在配列、翻訳前に転写mRNAがスプライシングで切り出される非翻訳配列を含むことができる。さまざまな場合では、転写mRNAは、末端7−メチルグアノシンでキャップすることができる。いくつかの実施形態では、コード配列が、最終抗体にあらわれないアミノ酸のコード配列、例えば、抗体の拡散に必要な配列を含む。
いくつかの変型では、遺伝子コードの縮合のために、複数のヌクレオチドコード配列が、同じポリペプチド配列をコードすることができる。本発明の核酸コード配列は、また、本開示のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と相同とすることができる。当該ヌクレオチドコード配列は、前記に記載したとおり、BLASTnによってアラインすることができる。さまざまな場合では、これらのアラインしたヌクレオチド配列の相同性(またはBLASTnの同一性)は、約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以上及び/または約100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、または45%未満とすることができる。さまざまな場合では、相同アライン配列は、約700nt、600nt、500nt、400nt、300nt、200nt、100nt、90nt、80nt、70nt、60nt、50ntまたは40nt未満、及び/または約50nt、60nt、70nt、80nt、90nt、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、または600nt以上とすることができる。
さまざまな場合では、コード配列は、標準的遺伝子コードに従ってアミノ酸配列に翻訳することができるリボ核酸配列の転写を指図する。さまざまな場合では、当該コードが、カノニカルコードの変型を含むことができる。いくつかの変型では、コード配列は、アミノ酸をコードしないが、転写され、その後、リボ核酸がポリペプチドに翻訳される前に除去することができるイントロン配列または介在配列を含むことができる。
抗体を生成する方法
本開示は、また、前記のとおり、少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形態で、発現系及び構成体を提供する。また、本開示は、かかる発現系または構成体を含む宿主細胞を提供する。
通常、宿主細胞のいずれかに用いられる発現ベクターが、プラスミド維持ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含有する。かかる配列は、まとめてフランキング配列と称され、特定の実施形態では、通常、以下のヌクレオチド配列の1つの以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及び受容スプライス部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現するポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、及び選択可能マーカー要素。これらの配列のそれぞれを以下に記載する。
任意で、ベクターは、「タグ」コード配列、すなわち、Bb因子抗体コード配列の5’または3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有しても良い;オリゴヌクレオチド配列は、polyHisタグ(例えば、hexaHis)、またはもう1つの「タグ」、例えば、市販の抗体が存在するFLAG、HA(ヘマアグルチニンインフルエンザウイルス)、またはmycをコードすることができる。このタグは、通常、ポリペプチドの発現時にポリペプチドに融合され、親和性精製または宿主細胞由来のBb因子抗体の検出の手段として役割を果たすことができる。親和性精製は、例えば、親和性マトリックスとして抗タグ抗体を用いて、カラムクロマトグラフィーによって実施することができる。任意で、当該タグは、その後、さまざまな手段によって、例えば、切断のために特定のペプチダーゼを用いて、精製したBb因子抗体から除去することができる。
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種及び/または菌株に由来)、異種(すなわち、宿主細胞種または菌株以外の種に由来)、ハイブリッド(すなわち、1つ以上のソースに由来するフランキング配列の組み合わせ)、合成または天然とすることができる。こうして、フランキング配列が、宿主細胞機序で機能を果し、宿主細胞機序によって活性化することができるという条件で、フランキング配列のソースは、前核または真核生物、脊椎または無脊椎生物、または植物とすることができる。
この開示のベクターに有用なフランキング配列は、当技術分野によく知られるいくつかの方法のいずれかによって得ることができる。通常、本明細書で有用なフランキング配列は、マッピング及び/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって事前に特定され、このため、好適な制限エンドヌクレアーゼを用いて好適な組織ソースから分離することができる。いくつかの場合では、フランキング配列の完全ヌクレオチド配列をわかることができる。本明細書で、フランキング配列は、核酸合成またはクローニングのための本明細書に記載の方法を用いて合成することができる。
フランキング配列の全てがわかっているか、フランキング配列の部分だけがわかっているかにかかわらず、それは、ポリメラーゼ鎖反応物(PCR)を用いて、及び/または好適なプローブ、例えば、同じ種または別の種に由来するオリゴヌクレオチド及び/またはフランキング配列フラグメントで、ゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。フランキング配列がわかっていない場合、フランキング配列を含有するDNAのフラグメントは、例えば、コード配列または、さらにもう1つの遺伝子または別の遺伝子を含有しても良いDNAの大部分から分離することができる。分離は、好適なDNAフラグメントを生成するために制限エンドヌクレアーゼ消化によって実施され、続いて、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth、CA)、または当業者に知られる他の方法を用いて分離することができる。この目的を達成するための好適な酵素の選択は、当業者には容易に明らかである。
複製起点は、通常、市販されている前核発現ベクターの一部を購入したものであり、この起点は、宿主細胞中のベクターの増幅を助ける。選択したベクターが複製起点部位を含有しない場合、公知の配列に基づいて化学的に1つの複製起点部位を合成し、ベクターにリゲートすることができる。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs、Beverly、MA)からの複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に好適であり、及びさまざまなウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはパピローマウイルス例えば、HPVまたはBPV)は、哺乳動物細胞のクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点成分は、哺乳動物発現ベクター(例えば、SV40起源が、用いられることが多く、その理由はウイルス初期プロモーターも含有するということだけである)に必要ではない。
転写終結配列は、通常、ポリペプチドコード領域の末端の3’に位置し、転写を終結させる役割を果たす。通常、前核細胞の転写終結配列は、ポリ−T配列に続くG−C リッチフラグメントである。当該配列は、ライブラリーから容易にクローン化される、またはベクターの一部として市販されており、それを購入することもあるが、また、核酸合成の方法、例えば、本明細書に記載の方法を用いて容易に合成することができる。
選択可能マーカー遺伝子は、選択的培養培地で成長した宿主細胞の生存及び成長に必要なタンパク質をコードする。通常の選択マーカー遺伝子は、(a)前核宿主細胞に抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシンへの耐性を与える;(b)細胞の栄養要求欠乏を補完する;または(c)複合体または規定培地から入手することができない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。特定の選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、グルタミンシンテターゼ(GS)及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。また、有利には、前核及び真核宿主細胞の両者で選択のためにネオマイシン耐性遺伝子を用いても良い。
発現される遺伝子を増幅するために他の選択可能遺伝子を用いることができる。増幅は、成長または細胞生存に重要なタンパク質の生成に必要な遺伝子が、遺伝子組換え細胞の継代の染色体内でダンデムで繰り返すプロセスである。哺乳動物細胞に好適な選択可能マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)及びプロモーターを持たないチミジン(thyrnidine)キナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳動物細胞転換体は、選択圧下に置かれ、転換体だけがベクター中に存在する選択可能遺伝子によって生存するように一意的に適合される。選択圧は、培地中の選択薬剤の濃度が連続して増大する条件下で、転換細胞を培養することによってかけられ、これにより、選択可能遺伝子及びもう1つの遺伝子、例えば、Bb因子ポリペプチドまたはBb因子エピトープに結合する抗体をコードするDNAの両者を増幅させる。その結果、増加した量のポリペプチド、例えば、Bb因子抗体が増幅DNAから合成される。
リボソーム−結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン−ダルガルノ配列(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴づけられる。当該要素は、通常、発現されるポリペプチドのプロモーターの3’及びコード配列の5’に位置する。
いくつかの場合では、例えば、真核宿主細胞発現系で、グリコシル化が望まれる場合、グリコシル化または収量を改善するためにさまざまなプレ配列またはプロ配列を操作しても良い。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変化させても良い、またはプロ配列を付加しても良い、また、グリコシル化に影響を与えても良い。最終タンパク質生成物は、発現に起こりやすい−1位置(成熟タンパク質の第1のアミノ酸に対して)の1つ以上の付加アミノ酸を有しても良く、完全に除去しなくても良い。例えば、最終タンパク質生成物は、ペプチダーゼ切断部位にみられ、アミノ−末端に結合される1つまたは2つのアミノ酸残基を有しても良い。代わりに、酵素が成熟ポリペプチド内のかかる範囲で切断する場合、いくつかの酵素切断部位を使用して、わずかに短縮した形態の所望のポリペプチドとしても良い。
本開示の発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、Bb因子抗体をコードする分子に作動可能に結合されるプロモーターを含有する。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般に約100〜1000bp以内)出発コドンの上流(すなわち、5’)に位置する非転写配列である。プロモーターは、従来から2つのクラス:誘導プロモーター及び構成プロモーターの1つに分類される。誘導プロモーターは、培養条件のいくつかの変化、例えば、栄養素が存在する、もしくは存在しない、または温度の変化に反応する制御下で、DNAからの転写レベルの増大を開始する。構成プロモーターは、一方、構成プロモーターが作動可能に結合されている遺伝子を均一に転写する、すなわち、または遺伝子発現をほとんど制御しない、または制御しない。さまざまな潜在宿主細胞によって認識される多くのプロモーターが、よく知られている。好適なプロモーターは、制限酵素消化によりソースDNAからのプロモーターを除去すること及びベクターに所望のプロモーター配列を挿入することによって、本開示のBb因子抗体を含む重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に結合される。
いくつかの実施形態では、酵母細胞を用いて、本明細書に開示したBb因子抗体を生成しても良い。また、酵母宿主とともに用いられる好適なプロモーターが、当技術分野でよく知られている。酵母エンハンサーは、有利には、酵母プロモーターとともに用いられる。哺乳動物宿主細胞とともに用いられる好適なプロモーターが、よく知られており、ウイルスのゲノムから得られるもの、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトロメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及び最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な哺乳動物プロモーターとしては、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターが挙げられる。
さらに、対象とすることができるプロモーターとしては、SV40初期プロモーター(Benoist and Chambon、1981、Nature 290:304−310);CMVプロモーター(Thornsen et al.,1984、Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659−663);ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto et al.,1980、Cell 22:787−797);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−1445);メタロチオネイン遺伝子からのプロモーター及び調節配列(Prinster et al.,1982、Nature 296:39−42);及び前核プロモーター、例えば、β−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Kamaroff et al.,1978、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731);またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25)が挙げられるが、これらに限定されない。また、組織特異性を示し、トランスジェニック動物に用いられる以下の動物転写制御領域が、対象となる:脾臓腺房細胞中で活性があるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984、Cell 38:639−646;Ornitz et al.,1986、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409;MacDonald、1987、Hepatology 7:425−515);膵臓ベータ細胞中で活性があるインシュリン遺伝子制御領域(Hanahan、1985、Nature 315:115−122);リンパ系細胞中で活性がある免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984、Cell 38:647−658;Adames et al.,1985、Nature 318:533−538;Alexander et al.,1987、Mol.Cell.Biol.7:1436−1444);睾丸、乳腺、リンパ系及びマスト細胞中で活性があるマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986、Cell 45:485−495);肝臓中で活性があるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987、Genes and Devel.1 :268−276);肝臓中で活性があるαフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985、Mol.Cell.Biol.5:1639−1648;Hammer et al.,1987、Science 253:53−58);肝臓中で活性があるα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987、Genes and Devel.1:161−171);骨髄性細胞中で活性があるβグロブリン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985、Nature 315:338−340;Kollias et al.,1986、Cell 46:89−94);脳の乏突起膠細胞中で活性があるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987、Cell 48:703−712);骨格筋中で活性があるミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani、1985、Nature 314:283−286);及び視床下部中で活性がある生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986、Science 234:1372−1378)。
本開示のBb因子抗体を含む軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増大させるために高等真核生物によってベクターにエンハンサー配列を挿入することができる。エンハンサーは、DNAのシス作用エレメントであり、通常、長さが約10〜300bpであり、転写を増大させるためにプロモーター上で作用する。エンハンサーは、配向及び位置に比較的依存しておらず、転写単位の位置5’及び3’にみられる。哺乳動物遺伝子から入手できるいくつかのエンハンサー配列が知られている(例えば、ゴブリン、エラスターゼ、アルブミン、αフェトプロテイン及びインシュリン)。しかし、通常、ウイルスに由来するエンハンサーが用いられる。当技術分野で知られているSV40エンハンサー、サイトロメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが真核プロモーターの活性化のための例示的なエンハンシング要素である。エンハンサーは、コード配列のベクター5’または3’に位置することができるが、通常、プロモーターから部位5’に位置する。好適な天然または異種シグナル配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)をコードする配列は、抗体の細胞外分泌を促進するために発現ベクターに組み入れることができる。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が生成される宿主細胞の型に依存し、異種シグナル配列は、天然シグナル配列に置き換えることができる。哺乳動物宿主細胞で機能するシグナルペプチドの例としては、以下のものが挙げられる:米国特許第4、965、195号に記載されたインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列;Cosman et al.,1984、Nature 312:768に記載されたインターロイキン−2レセプターのシグナル配列;EP Patent No.0367 566に記載されたインターロイキン−4レセプターシグナルペプチド;米国特許第4、968、607号に記載されたI型インターロイキン−1レセプターシグナルペプチド;EP Patent No.0 460 846.に記載されたII型インターロイキン−1レセプターシグナルペプチド。
本明細書にクレームされている本開示の抗体を発現するための発現ベクターは、出発ベクター、例えば、市販のベクターから構成することができる。かかるベクターは、所望の全フランキング配列を含有しても良い、または含有しなくても良い。1つ以上の本明細書に記載のフランキング配列が、ベクターに既に存在しない場合、個別にこれを得て、ベクターにリゲートすることができる。各フランキング配列を得るために用いられる方法が、当業者によく知られている。
ベクターを構成し、ベクターの好適な部位に軽鎖をコードする核酸分子、重鎖、または軽鎖、及びBb因子抗原結合配列を含む重鎖を挿入した後、増幅及び/またはポリペプチド発現のために好適な宿主細胞に完成したベクターを挿入することができる。Bb因子抗体の発現ベクターの選択した宿主細胞への形質変換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共同沈降反応、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、または他の公知の技術を含むよく知られる方法によって実施することができる。選択した方法は、部分的に、用られる宿主細胞の型の機能となる。これらの方法及び他の好適な方法が、当業者によく知られており、例えば、前記のSambrook etal.,2001に記載されている。
宿主細胞は、好適な条件下で培養される場合、Bb因子抗体を合成する。Bb因子抗体は、その後に、培養培地から採集することができる(宿主細胞が培地にそれを分泌する場合)、またはそれを生成する宿主細胞から直接採集することができる(それが分泌されない場合)。好適な宿主細胞の選択は、さまざまな因子、例えば、所望の発現レベル、活性(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に好適であり、または必要であり、生物学的活性分子にフォールドするのが容易であるポリペプチド修飾に依存する。宿主細胞は、真核または前核細胞とすることができる。
発現の宿主として利用できる哺乳動物細胞系が、当技術分野でよく知られており、これらに限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヘラ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、及び多くの他の細胞系を含む、American TypeCulture Collection (ATCC)から入手できる不死化細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、細胞系は、どの細胞系が、高い発現レベルを有し、構成的にBb因子結合特性で抗体を生成するかを決定して選択することができる。もう1つの実施形態では、それ自体の抗体を生成しないが、異種抗体を生成し、分泌する能力があるB細胞系列からの細胞系を選択することができる。
診断及び治療目的のためのBb因子抗体の使用
本開示の抗体は、生物試料中のBb因子を検出し、Bb因子タンパク質を生成する細胞または組織の特定に有用である。例えば、本開示のBb因子抗体は、組織または細胞中に発現したBb因子を検出及び/または定量化するために、診断アッセイ、例えば、結合アッセイに用いることができる。Bb因子のレベルの増大は、疾患、例えば、眼球障害、癌、感染、及び/または潰瘍性大腸炎、の徴候となり得る。Bb因子のレベルの減少は、硬変症、糸球体腎炎、遺伝性血管性浮腫、肝炎、腎臓移植拒絶、ループス腎炎、栄養不良、及び/または全身性ループスエリテマトーデスの徴候となり得る。
いくつかの実施形態では、Bb因子媒介疾患の治療で、これが必要な患者にBb因子に特異的に結合する本開示の抗体を用いることができる。また、本開示のBb因子抗体を用いて、Bb因子が他の補体タンパク質と複合体を形成するのを抑制し、これにより、細胞または組織中のBb因子の生物活性を調節することができる。Bb因子に結合する抗体は、このため、他の結合化合物との相互作用を調節及び/またはブロックすることができ、Bb因子媒介疾患を改善するのに治療用に使用しても良い。
いくつかの実施形態では、Bb因子抗体が、Bb因子のプロテアーゼ活性をブロックしても良い。いくつかの場合では、Bb因子抗体によるBb因子の結合の結果、Bb因子誘発シグナル伝達カスケードの中断となっても良い。
診断方法
Bb因子またはB因子に関係する疾患及び/または状態を検出する、診断する、またはモニターする診断目的のために本開示の抗体を用いることができる。本開示により、当技術分野の技術に知られる古典的免疫組織学的方法を用いて、試料中のBb因子の存在の検出が提供される(例えば、Tijssen、1993、Practice and Theory of Enzyme Immunoassays、vol 15(Eds R.H.Burdon and P.H.van Knippenberg、Elsevier、Amsterdam);Zola、1987、Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques、pp.147−158(CRC Press、Inc.);Jalkanen et al.,1985、J.Cell.Biol.101:976−985;Jalkanen et al.,1987、J.Cell Biol.105:3087−3096)。Bb因子の検出は、in vivoまたはin vitroで実施することができる。
本明細書で提供される診断用途は、Bb因子の発現及び/またはBb因子への結合を検出するための抗体の使用を含む。Bb因子の存在の検出に有用な方法の例としては、イムノアッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び放射性イムノアッセイ(RIA)が挙げられる。
診断用途では、抗体は、通常、検出可能標識基で標識付けすることができる。好適な標識基としては、放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素基(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または2次リポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、2次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、標識基が、立体障害可能性を減らすためにさまざまな長さのスペーサーアームによって抗体に結合される。タンパク質を標識付けするさまざまな方法が、当技術分野で知られており、本開示で実施するのに用いることができる。
本開示の1つの態様では、Bb因子を発現する細胞(単数及び複数)が特定される。特定の実施形態では、抗体が、標識基で標識付けされ、標識付けされた抗体のBb因子への結合が検出される。さらに特定の実施形態では、in vivoで抗体のBb因子への結合を検出することができる。さらに特定の実施形態では、抗体/Bb因子複合体が、当技術分野で知られる技術を用いて分離され、測定される。例えば、Harlow and Lane、1988、Antibodies:A Laboratory Manual、New York:Cold Spring Harbor(ed.1991 及び periodic supplements);John E.Coligan、ed.,1993、Current Protocols In Immunology New York:John Wiley&Sonsを参照。
本開示のもう1つの態様では、本開示の抗体によるBb因子への結合と競合する試験分子の存在が検出される。1つのかかるアッセイの例では、試験分子が存在する、または存在しない一定量のBb因子を含有する溶液中で遊離抗体の量を検出することを含む。遊離抗体(すなわち、Bb因子に結合されない抗体)の量が増大すると、試験分子が抗体とのBb因子結合と競合することができることを示す。1つの実施形態では、抗体が、標識基で標識付けされる。代わりに、試験分子が標識付けされ、遊離試験分子の量が、抗体が存在しても存在しなくても、モニターされる。
適応
この補体系は、アテローム硬化症、急性心筋梗塞後の虚血−再潅流、ヘノッホシェーンライン紫斑病性腎炎、免疫複合体性脈管炎、リウマチ様関節炎、血管炎、動脈瘤、脳卒中、心筋症、出血性ショック、打撲傷、多発臓器不全、低血液量性ショック及び腸虚血、移植拒絶、心臓手術、PTCA、自然流産、神経細胞損傷、脊髄損傷、重症筋無力症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ギランバレー症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、急性呼吸困難症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患、輸血関連急性肺損傷、急性肺損傷、グッドパスチャー病、心筋梗塞、心肺バイパス後炎症、心肺バイパス、敗血症性ショック、移植拒絶、異種移植、熱傷、全身性エリテマトーデス、膜性腎炎、ベルジェ病、乾癬、水疱性類天疱瘡、皮膚筋炎、抗リン脂質抗体症候群、炎症性腸疾患、血液透析、白血球分離、血漿交換、ヘパリン誘導性体外膜型酸素付加LDL沈降法、体外膜型酸素付加、及び黄斑変性を含むいくつかの急性及び慢性状態に寄与することに関与している。
黄斑変性疾患、例えば、老人性黄斑変性症(AMD)の全ステージは、乾燥性及び湿性(非−滲出性及び滲出性)形態、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性及び他の虚血関連網膜症、及び他の眼内血管新生疾患、例えば、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォンヒッペルリンドウ病、眼球のヒストプラズマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜分枝静脈閉塞症(BRVO)、角膜血管新生、及び網膜血管新生を含む。補体関連眼球状態の好ましいグループが、非滲出性(湿性)及び滲出性(乾燥性または委縮性)AMDを含む老人性黄斑変性症(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、糖尿病性網膜症(DR)、及び眼内炎を含む。
1つ以上のサイトカイン、リンホカイン、造血因子(単数及び複数)、及び/または抗炎症性薬剤と組み合わせて本明細書に開示した抗Bb因子抗体を用いることができる。
本明細書に記載した疾患及び障害の治療は、1つ以上の本明細書に提供した抗体による治療と組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)、痛み及び炎症の制御のための第一選択薬の使用を含むことができる。これらの薬剤は、非ステロイド系、抗炎症性薬剤(NSAID)に分類される。第2の治療は、副腎皮質ホルモン、遅効性抗リウマチ薬(SAARD)、または寛解導入(DM)薬を含む。以下の化合物に関する情報が、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、Sixteenth Edition、Merck、Sharp&Dohme Research Laboratories、Merck&Co.,Rahway、N.J.(1992)及びPharmaprojects、PJB Publications Ltd.にみつけることができる。
特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載した疾患及び障害の治療で、抗体及び1つ以上のNSAIDのいずれかの使用を対象とする。NSAIDの抗炎症性作用は、少なくとも部分的に、プロスタグランジン合成の抑制によるものである(Goodman and Gilman in “The Pharmacological Basis of Therapeutics”、MacMillan 7th Edition(1985))。NSAIDは、少なくとも9の基:(1)サリチル酸誘導体;(2)プロピオン酸誘導体;(3)酢酸誘導体;(4)フェナム酸誘導体;(5)カルボン酸誘導体;(6)酪酸誘導体;(7)オキシカム;(8)ピラゾール及び(9)ピラゾロンに特徴づけることができる。
もう1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のサリチル酸誘導体、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。かかるサリチル酸誘導体、プロドラッグエステル及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、アセトアミノサロール、アロキシプリン、アスピリン、ベノリレート、ブルモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、コリンマグネシウムトリサリチル酸、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸コリン、ジフルニサル(diflusinal)、エテルサレート、フェンドサル、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1−ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サルアセトアミド、サリチルアミドO−酢酸、サルサレート、サリチル酸ナトリウム及びスルファサラジンを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連サリチル酸誘導体が、このグループに包含されることを意図している。
さらに、特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のプロピオン酸誘導体、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。プロピオン酸誘導体、プロドラッグエステル、及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、デキシンドプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、フルクロプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロキサム、インドプロフェン、イソプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピメプロフエン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、ピリドキシプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェンを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連プロピオン酸誘導体が、このグループに包含されることを意図している。
さらにもう1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上の酢酸誘導体、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。酢酸誘導体、プロドラッグエステル、及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラック、デルメタシン、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン、オキシピナク、ピメタシン、プログルメタシン、スリンダク、タルメタシン、チアラミド、チオピナク、トルメチン、トルメチンナトリウム、ジドメタシン及びゾメピラクを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連酢酸誘導体が、このグループに包含されることを意図している。
もう1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のフェナム酸誘導体、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。フェナム酸誘導体、プロドラッグエステル及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、メドフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルメート、テロフェナメート、トルフェナム酸及びウフェナメートを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連フェナム酸誘導体が、このグループに包含されることを意図している。
さらに1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のカルボン酸誘導体、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。用いることができるカルボン酸誘導体、プロドラッグエステル、及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、クリダナク、ジフルニサール、フルフェニサール、イノリジン、ケトロラク及びチノリジンを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連カルボン酸誘導体が、このグループに包含されることを意図している。
さらにもう1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上の酪酸誘導体、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。酪酸誘導体、プロドラッグエステル、及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン及びキセンブシンを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連酪酸誘導体が、このグループに包含されることを意図している。
もう1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のオキシカム、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。オキシカム、プロドラッグエステル、及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、ドロキシカム、エノリカム、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、テノキシカム及び4−ヒドロキシル−1,2−ベンゾチアジン1,1−ジオキシド4−(N−フェニル)−カルボキサミドを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連オキシカムが、このグループに包含されることを意図している。
さらにもう1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のピラゾール、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。用いることができるピラゾール、プロドラッグエステル、及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、ジフェナミゾール及びエピリゾールを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連ピラゾールが、このグループに包含されることを意図している。
さらに1つの特定の実施形態では、本開示は、1つ以上のピラゾロン、プロドラッグエステル、またはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。用いることができるピラゾロン、プロドラッグエステル及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、アパゾン、アザプロパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピルフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン及びチアゾリノブタゾンを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連ピラゾロン(pyrazalones)が、このグループに包含されることを意図している。
もう1つの特定の実施形態では、本開示は、以下のNSAIDの1つ以上のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする:ε−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシル−メチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、アニトラザフェン、アントラフェニン、ベンダザック、ベンダザックリジネート、ベンジダミン、ベプロジン、ブロペラモール、ブコローム、ブフェゾラク、シプロクアゾン、クロキシメート、ダジダミン、デボキサメト、デトミジン、ジフェンピラミド、ジフェンピラミド、ジフィサラミン、ジタゾール、エモルファゾン、メシル酸フェネチゾール、フェンフルミゾール、フロクタフェニン、フルミゾール、フルニキシン、フルプロクアゾン、フォピルトリン、ホスフォサール、グアイメサール、グアイアゾレン、イソニキシルン、塩酸レフェタミン、レフルノミド、ロフェミゾール、ロチファゾール、リジンクロニキシネート、メセクラゾン、ナブメトン、ニクチンドール、ニメスリド、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサセプロール、オキサパドール、パラニリン、ペリソキサール、クエン酸ペリソキサール、ピフォキシム、ピプロキセン、ピラゾラク、ピルフェニドン、プロカゾン、プロキサゾール、チエラビンB、チフラミゾール、チメガジン、トレクチン、トルパドール、トリプタミド、ならびに480156S、AA861、AD1590、AFP802、AFP860、AI77B、AP504、AU8001、BPPC、BW540C、CHINOIN127、CN100、EB382、EL508、F1044、FK−506、GV3658、ITF182、KCNTEI6090、KME4、LA2851、MR714、MR897、MY309、ONO3144、PR823、PV102、PV108、R830、RS2131、SCR152、SH440、SIR133、SPAS510、SQ27239、ST281、SY6001、TA60、TAI−901(4−ベンゾイル−1−インダンカルボン酸)、TVX2706、U60257、UR2301及びWY41770などの企業コード番号で示されるもの。また、NSAIDとほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連NSAIDが、このグループに包含されることを意図している。
さらにもう1つの特定の実施形態では、本開示は、急性及び慢性炎症例えば、リウマチ性疾患、対宿主移植片病及び多発性硬化症を含む本明細書に記載した疾患及び障害の治療のため、1つ以上の副腎皮質ホルモン、プロドラッグエステルまたはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。副腎皮質ホルモン、プロドラッグエステル及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、ヒドロコルチゾン、及びヒドロコルチゾンに由来する化合物、例えば、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメラゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、酪酸クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコン、デソニド、デソキシメラゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオシノニド、フルオロシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、ヘキサン酸フルオコルトロン、吉草酸ジフルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランデノリド、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン21−ナトリウム、テブト酸ヒドロコルチゾン、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン21−ジエドリアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンナトリウム21−m−スルホベンゾエート、プレドニゾロンナトリウム21−ステアログリコレート、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾロン21−ジエドリアミノアセテート、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、プレドニリデン21−ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、及びトリアムシノロンヘキサセトニドを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連副腎皮質ホルモンが、このグループに包含されることを意図している。
もう1つの特定の実施形態では、本開示は、急性及び慢性炎症例えば、リウマチ性疾患、対宿主移植片病及び多発性硬化症を含む本明細書に記載した疾患及び障害の治療のため、1つ以上の遅効性抗リウマチ薬(SAARD)または寛解導入抗リウマチ薬(DMARD)、プロドラッグエステルまたはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。SAARDまたはDMARD、プロドラッグエステル及びこれらの製剤的に許容可能な塩が、アロクプレイドナトリウム、オーラノフィン、オーロチオグルコース、オーロチオグリカニド、アザチオプリン、ブレキナルナトリウム、ブシラミン、3−オーロチオ−2−プロパノール−1−スルホン酸カルシウム、クロラムブシル、クロロキン、クロブザリト、クプロキソリン、シクロ−ホスファミド、シクロスポリン、ダプソン、15−デオキシスペルガリン、ジアセレイン、グルコサミン、金塩(例えば、シクロキン金塩、チオリンゴ酸金ナトリウム、チオ硫酸金ナトリウム)、ヒドロキシクロロキン、硫酸ヒドロキシクロロキン、ヒドロキシ尿素、ケブゾン、レバミソール、ロベンザリット、メリチン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミゾリビン、ミコフェノレートモフェチル、ミオラール、ナイトロジェンマスタード、D−ペニシラミン、ピリジノールイミダゾール、例えば、SKNF86002及びSB203580、ラパマイシン、チオール、チモポエチンを含む。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連SAARDまたはDMARDが、このグループに包含されることを意図している。
さらにもう1つの特定の実施形態では、本開示は、急性及び慢性炎症を含む本明細書に記載した疾患及び障害の治療のため、1つ以上のCOX2抑制剤、プロドラッグエステルまたはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。COX2抑制剤、プロドラッグエステルまたはこれらの製剤的に許容可能な塩の例としては、例えば、セレコキシブが挙げられる。また、ほぼ同じ鎮痛及び抗炎症性特性を有する構造関連COX2抑制剤が、このグループに包含されることを意図している。COX−2選択的抑制剤の例としてはエトリコキシブ、バルデコキシブ、セレコキシブ、リコフェロン、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、などが挙げられるがこれらに限定されない。
さらにもう1つの特定の実施形態では、本開示は、急性及び慢性炎症を含む本明細書に記載した疾患及び障害の治療のため、1つ以上の抗菌剤、プロドラッグエステルまたはこれらの製剤的に許容可能な塩のいずれかと組み合わせた(治療前、治療後、または同時治療)抗体の使用を対象とする。抗菌剤としては、例えば、幅広いクラスのペニシリン、セファロスポリン及び他のβ−ラクタム、アミノグリコシド、アゾール、キノロン、マクロライド、リファマイシン、テトラサイクリン、スルホンアミド、リンコサミド及びポリミキシンが挙げられる。ペニシリンとしては、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、アンピシリン、アンピシリン/スルバクタム、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラネート、ヘタシリン、シクラシリン、バカンピシリン、カルべニシリン、カルべニシリンインダニル、チカルシリン、チカルシリン/クラブラネート、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、及びメシリナムが挙げられるが、これらに限定されない。セファロスポリン及び他のβ−ラクタムとしては、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラジン、セファゾリン、セファドロキシル、セファクロール、セファマンドール、セフォテタン、セフォキシチン、セルロキシム、セフォニシド、セフォラジン、セフィキシム、セフォタキシム、モキサラクタム、セフティゾキシム、セトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、イミペネム及びアズトレオナムが挙げられるが、これらに限定されない。アミノグリコシドとしては、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、カナマイシン及びネオマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。アゾールとしては、フルコナゾールが挙げられるが、これらに限定されない。キノロンとしては、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン及びテマフロキサシンが挙げられるが、これらに限定されない。マクロライドとしては、エリスロマイシン、スピラマイシン及びアジスロマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。リファマイシンとしては、リファンピンが挙げられるが、これらに限定されない。テトラサイクリンとしては、スピサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、デオキシサイクリン、グアメサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン、セノシクリン及びテトラサイクリンが挙げられるが、これらに限定されない。スルホンアミドとしては、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルファジアジン、スルフイソキサゾール及びコトリモキサゾール(トリメトプリム/スルファメトキサゾール)が挙げられるが、これらに限定されない。リンコサミドとしては、クリンダマイシン及びリンコマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。ポリミキシン(ポリペプチド)としては、ポリミキシンB及びコリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。
治療方法:医薬製剤、投与経路
製剤的に許容可能な希釈剤、キャリア、溶解補助剤、乳化剤、防腐剤及び/またはアジュバントとともに治療有効量の1つまたは複数の本開示の抗体を含む組成物を開示する。また、本開示は、かかる医薬組成物を投与することによって患者を治療する方法を提供する。患者は、ヒト対象または動物対象のいずれかとすることができる。
Bb因子活性を低下させるために1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。Bb因子活性に関係する予後、症状、及び/または病理を治療するのに1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。補体経路及び/または他の補体タンパク質に結合するBb因子を抑制する方法に、1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。特定の実施形態では、当該抗体が、Bb因子のプロテアーゼ活性を抑制する。さらに別の実施形態では、Bb因子のプロテアーゼ活性を抑制する方法に、1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。Bb因子活性に関係する予後、症状、及び/または病理を治療する方法に、1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。生成MACを抑制する方法に、1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。黄斑変性を抑制する方法に、1つ以上の抗体を含む医薬組成物を用いることができる。
好ましくは、許容可能な製剤材料が、用いられる用量及び濃度でレシピエントに対して毒性がない。特定の実施形態では、治療有効量のBb因子抗体を含む医薬組成物が提供される。
特定の実施形態では、許容可能な製剤材料が、好ましくは、用いられる用量及び濃度でレシピエントに対して毒性がない。特定の実施形態では、当該医薬組成物が、例えば、組成物のpH、容量オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張力、におい、無菌性、安定性、溶解または放出速度、吸着または浸透を変化させる、維持する、または保つための製剤材料を含有しても良い。かかる実施形態では、好適な製剤材料としては、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);抗菌剤;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(例えば、ホウ酸塩、炭酸水素塩、トリス塩酸、クエン酸塩、リン酸塩または他の有機酸);増量薬剤(例えば、マニトールまたはグリシン);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン);充填剤;単糖;二糖;及び他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);着色剤、香味剤及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩−形成対イオン(例えば、ナトリウム);防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マニトールまたはソルビトール);懸濁化剤;表面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル);安定性増進薬剤(例えば、スクロースまたはソルビトール);等張化増進薬剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マニトールソルビトール);デリバリービヒクル;希釈剤;賦形剤及び/または医薬アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、18th Edition、(A.R.Genrmo、ed.)、1990、Mack Publishing Companyを参照。
特定の実施形態では、最適医薬組成物が、例えば、所期の投与経路、デリバリー形態及び所望の用量に応じて当業者によって決定される。例えば、前記のREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESを参照。特定の実施形態では、かかる組成物が、本開示の抗体の物理状態、安定性、in vivo放出の速度及びin vivoクリアランスの速度に影響を及ぼしても良い。特定の実施形態では、医薬組成物中の一次ビヒクルまたはキャリアは、本質的に水性または非水性のいずれかとすることができる。例えば、好適なビヒクルまたはキャリアは、非経口投与用の組成物でよくみられる他の材料を補うことができる注入用の水、生理食塩水または人工脳脊髄液、とすることができる。さらに、中性緩衝化生理食塩水または血清アルブミンと混合した生理食塩水が、例示的なビヒクルである。特定の実施形態では、医薬組成物が約pH7.0〜8.5のトリス緩衝液、または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、さらにソルビトールまたはこれらの好適な代替物を含んでも良い。本開示の特定の実施形態では、Bb因子抗体組成物は、任意の製剤薬剤と所望の純度の選択した組成物を混合することによって(前記REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES)、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で保管用に調製することができる。さらに、特定の実施形態では、Bb因子抗体生成物は、好適な賦形剤、例えば、スクロースを用いて凍結乾燥物として製剤化することができる。
非経口デリバリー用に本開示の医薬組成物を選択することができる。代わりに、吸入用または消化管を通るデリバリー、例えば、経口用に組成物を選択することができる。かかる製剤的に許容可能な組成物の調製は、当技術分野の技術内である。
製剤成分は、投与される部位に許容可能であるように存在し、好ましくは、投与される部位に許容可能な濃度である。特定の実施形態では、生理学的pHで、またはこれよりわずかに低いpHで、通常、約5〜約8のpH範囲内で当該組成物を維持するために緩衝液が用いられる。
非経口投与が検討される場合、この開示に用いられる治療組成物は、製剤的に許容可能なビヒクル中に所望のBb因子抗体を含み、パイロジェンを含まず非経口で許容可能な水溶液の形態で提供することができる。非経口注入用の特に好適なビヒクルは、Bb因子抗体が無菌等張溶液として製剤化され、適切に保存されている無菌蒸留水である。特定の実施形態では、当該調製物が、蓄積注入によってデリバリーすることができる生成物の制御性または持続性放出をもたらす可能性があり、薬剤、例えば、注入可能微小球、生物浸食性粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームと所望の分子の製剤を含むことができる。特定の実施形態では、また、循環中の持続時間を促進する作用があるヒアルロン酸を用いても良い。特定の実施形態では、所望の抗体を導入するためにインプラント可能な薬剤デリバリー器具を用いることができる。
本開示の医薬組成物は、吸入用に製剤化することができる。これらの実施形態では、Bb因子抗体が、有利には、乾燥吸入可能粉末として製剤化される。特定の実施形態では、また、エアゾールデリバリー用に噴射剤とともにBb因子抗体吸入溶液を製剤化しても良い。特定の実施形態では、溶液を霧状にすることができる。このため、肺投与及び製剤方法が、さらにInternational Patent Application No.PCT/US94/001875に記載されており、これは参照により組み入れられ、化学的に改変したタンパク質の肺デリバリーを記載している。また、経口で投与することができる製剤を検討している。この方法で投与されるBb因子抗体は、通常、固体剤形、例えば、錠剤及びカプセルの配合に用いられるキャリアありで、またはキャリアなしで製剤化することができる。特定の実施形態では、カプセルは、生物学的利用率を最大化し、前全身性分解を最少化する場合、消化管中のポイントで製剤の活性部分を放出するように設計することができる。Bb因子抗体の吸収を促進するために追加の薬剤を含むことができる。また、希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、及び結合剤を用いても良い。
本開示の医薬組成物は、好ましくは、錠剤の作製に好適な非毒性賦形剤との混合物中に、有効量の1つまたは複数のBb因子抗体を含むように提供される。無菌水、またはもう1つの好適なビヒクル中で錠剤を溶解することによって、単位用量形態で溶液を調製することができる。好適な賦形剤としては、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素塩、ラクトース、またはリン酸カルシウム;または結合薬剤、例えば、デンプン、ゼラチン、またはアカシア;または潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクが挙げられるが、これらに限定されない。
追加の医薬組成物は、当業者に明らかであり、持続性デリバリー製剤または制御性デリバリー製剤中にBb因子抗体を含む製剤を含む。また、さまざまな他の持続性デリバリーまたは制御性デリバリー手段、例えば、リポソームキャリア、生物浸食性ミクロ粒子または多孔性ビーズ及び蓄積注入を製剤化する技術が、当業者に知られている。例えば、International Patent Application NoPCT/US93/00829を参照。これは、参照により組み入れられ、医薬組成物のデリバリーのための多孔性ポリマーミクロ粒子の制御放出を記載している。持続放出調製物が、造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態で、半透過性ポリマーマトリックスを含んでも良い。持続放出マトリックスが、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3、773、919号及びEuropean Patent Application Publication No.EP058481に開示されており、それぞれが参照により組み入れられる)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman et al.,1983、Biopolymers2:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−インエタクリレート)(Langer etal.,1981、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277及びLanger、1982、Chem.Tech.12:98−105)、エチレンビニルアセテート(Langer etal.,1981、前記)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(European Patent Application Publication No.EP133、988)を含んでも良い。また、持続放出組成物が、当技術分野に知られるいくつかの方法のいずれかによって調製することができるリポソーム含んでも良い。例えば、Eppstein etal.,1985、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688−3692;European Patent Application Publication Nos.EP036,676;EP088,046及びEP143,949を参照。これは参照により組み入れられる。
in vivo投与に用いられる医薬組成物は、通常、無菌調製物として提供される。滅菌は、無菌濾過膜による濾過によって実施することができる。当該組成物を凍結乾燥する場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥及び再調製の前または後に実施することができる。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態で、または溶液中に保管することができる。非経口組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液バッグ、または皮下注入針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルに入れられる。
一度、医薬組成物が製剤化されると、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、結晶として、または脱水粉末もしくは凍結乾燥粉末として、無菌バイアル中に保管することができる。かかる製剤は、使用準備済の形態で、または投与前に再調製される形態(例えば、凍結乾燥)で、保管することができる。本開示は、また、単一用量投与単位を生成するキットを提供する。本開示のキットは、それぞれ乾燥タンパク質を有する第1の容器及び水性製剤を有する第2の容器の両容器を含有しても良い。この開示の特定の実施形態では、単一及びマルチチャンバープレフィルドシリンジ(例えば、液体シリンジ及びライオシリンジ(lyosyringes))を含有するキットが提供される。
用いられる治療有効量のBb因子抗体を含有する医薬組成物は、例えば、治療の背景及び目的に依存する。当業者であれば、治療のための好適な用量レベルは、部分的に、デリバリーされる分子、Bb因子抗体を用いる症状、投与の経路、及び患者のサイズ(体重、体表面または臓器のサイズ)及び/または状態(年齢及び一般的健康)に応じて変わると理解するであろう。特定の実施形態では、医師が、最適治療効果を得るために用量をタイターし、投与の経路を変更しても良い。通常の用量は、前記に記載した因子に応じて約0.1μg/kg〜約30mg/kg以上の範囲としても良い。特定の実施形態では、用量は、0.1μg/kg〜約30mg/kg、任意で1μg/kg〜約30mg/kgまたは10μg/kg〜約5mg/kgの範囲としても良い。
投与回数は、用いられる製剤中の特定のBb因子抗体の薬物動態学的パラメーターに依存する。通常、用量が所望の作用を実現する用量に達するまで、医師が組成物を投与する。このため、当該組成物は、経時的に単一用量、または2つ以上の用量(同じ量の所望の分子を含有しても良い、または含有しなくても良い)として、またはインプラント器具またはカテーテルによる継続的輸血として投与しても良い。さらに好適な用量の改良が、当業者によって日常的に行われ、当業者によって日常的に実施される作業の範囲内である。好適な用量は、好適な用量−反応データを使用して決定することができる。特定の実施形態では、患者に長期間にわたって本開示の抗体を投与することができる。本開示の抗体の連続投与が、完全ヒト抗体ではない抗体、例えば、非ヒト動物中のヒト抗原に対して生じた抗体、例えば、非ヒト種中で生成された非完全ヒト抗体または非ヒト抗体と一般に関係する有害免疫またはアレルギー反応を最少化する。
当該医薬組成物の投与の経路は、公知の方法(例えば、経口で、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、硝子体内、網膜下、動脈内、門脈内、または腫瘍内経路による注入によって;持続放出系によってまたはインプラント器具による)と一致する。特定の実施形態では、ボーラス注入によって、または継続的に輸血によって、またはインプラント器具によって、当該組成物を投与することができる。
当該組成物また、所望の分子が吸収された、または封入された膜、スポンジまたはもう1つの好適な材料のインプラントを介して局所に投与することができる。特定の実施形態では、インプラント器具を用いる場合、好適な組織または臓器に器具をインプラントすることができ、所望の分子のデリバリーは、拡散、持効性ボーラス、または連続投与により行うことができる。眼球のインプラントでは、インプラントは、眼内注入、硝子体内注入、網膜下注入、脈絡膜上注入、球後注入またはテノン下空間への注入によって、インプラントすることができる。
また、本開示に従って、ex vivoで、Bb因子抗体の医薬組成物を用いることが好ましい可能性がある。かかる例では、患者から除去した細胞、組織または臓器をBb因子抗体の医薬組成物に暴露し、その後、患者に細胞、組織及び/または臓器をインプラントする。
特に、Bb因子抗体を発現する及び分泌するために、方法、例えば、本明細書に記載の方法を用いて、遺伝子組み換えした特定の細胞をインプラントすることによって、Bb因子抗体をデリバリーすることができる。特定の実施形態では、かかる細胞は、動物またはヒト細胞とすることができ、自己由来、異種、またはゼノジェネイックとすることができる。特定の実施形態では、当該細胞は、不死化することができる。他の実施形態では、免疫反応の機会を減らすために、当該細胞を封入して、周囲組織の浸潤を回避することができる。さらに実施形態では、封入材料は、通常、タンパク質生成物(単数及び複数)を放出するが、患者の免疫系による、または周囲組織からの他の有害因子による当該細胞の分解を阻止する生体親和性の半透過ポリマー介在物または膜である。
本明細書の本文内に記載した全文献は、全体が参照により本明細書に明確に組み入れられる。
本発明としては、以下の態様も好ましい。〔1〕 Bb因子抗体であって、前記抗体が、B因子への親和性より大きな親和性でBb因子に結合する;及び補体依存溶血反応を抑制する前記抗体。
〔2〕 約1nM未満のKdでBb因子に結合する、〔1〕に記載の抗体。
〔3〕 前記抗体が、患者の膜侵襲複合体(MAC)の形成をブロックする、〔1〕に記載の抗体。
〔4〕 重鎖及び軽鎖を含む、〔1〕に記載の抗体。
〔5〕 前記軽鎖が、配列番号8〜11からなる群から選択される配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む;及び前記重鎖が配列番号12〜15からなる群から選択される配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、〔4〕に記載の抗体。
〔6〕 前記軽鎖が、配列番号24〜27からなる群から選択される配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む;及び前記重鎖が配列番号28〜31からなる群から選択される配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、〔4〕に記載の抗体。
〔7〕 前記抗体が、重鎖及び軽鎖可変配列:配列番号8/配列番号12;配列番号8/配列番号13;配列番号8/配列番号14;配列番号8/配列番号15;配列番号9/配列番号12;配列番号9/配列番号13;配列番号9/配列番号14;配列番号9/配列番号15;配列番号10/配列番号12;配列番号10/配列番号13;配列番号10/配列番号14;及び配列番号10/配列番号15;配列番号11/配列番号12;配列番号11/配列番号13;配列番号11/配列番号14;及び配列番号11/配列番号15から選択される重鎖及び軽鎖可変ドメインを含む抗体である、〔4〕に記載の抗体。
〔8〕 前記抗体が、軽鎖及び重鎖可変ドメインアミノ酸配列:配列番号24/配列番号28;配列番号24/配列番号29;配列番号24/配列番号30;配列番号24/配列番号31;配列番号25/配列番号28;配列番号25/配列番号29;配列番号25/配列番号30;配列番号25/配列番号31;配列番号26/配列番号28;配列番号26/配列番号29;配列番号26/配列番号30;及び配列番号26/配列番号31;配列番号27/配列番号28;配列番号27/配列番号29;配列番号27/配列番号30;及び配列番号27/配列番号31から選択される重鎖及び軽鎖可変ドメインを含む抗体である、〔4〕に記載の抗体。
〔9〕 前記抗体が、配列番号11の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列及び配列番号15の重鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む、〔4〕に記載の抗体。
〔10〕 前記抗体が、単クローン抗体、多クローン抗体、遺伝子組換え抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、またはこれらの抗体フラグメントである、〔1〕に記載の抗体。
〔11〕 前記抗体フラグメントが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’) 2 フラグメント、Fvフラグメント、二重特異性抗体、または一本鎖抗体分子である、〔10〕に記載の抗体。
〔12〕 前記抗体がIgG1−型、IgG2−型、IgG3−型またはIgG4−型である、〔10〕に記載の抗体。
〔13〕 前記抗体が、標識基に結合する、〔1〕に記載の抗体。
〔14〕 前記抗体を分泌する宿主細胞に由来する前記抗体を調製することを含む、〔1〕記載の分離抗体を調製する方法。
〔15〕 〔1〕記載の分離抗体をコードする核酸分子。
〔16〕 〔1〕記載の抗体及び製剤的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物。
〔17〕 さらに追加の活性剤を含む、〔16〕に記載の医薬組成物。
〔18〕 治療または予防が必要な患者の状態を治療または予防するための方法であって、前記患者に有効量の〔1〕に記載の抗体を投与し、これにより、前記状態を治療または予防することを含む前記方法。
〔19〕 前記状態が、眼球の疾患である、〔18〕に記載の方法。
〔20〕 前記状態が、老人性黄斑変性症(AMD)である、〔19〕に記載の方法。
実施例
実施した実験及び達成した結果を含む以下の実施例は、例示目的だけのために提供しており、本開示を限定すると解釈してはならない。
実施例1−抗B因子抗体と比較した抗Bb因子抗体の結合アッセイ
抗Bb因子単クローン抗体とBb因子(CompTech(登録商標))及びヒトB因子抗原(CompTech(登録商標))の結合キネティクスを測定するために、バイオレイヤー干渉法(BLI)、無標識技術を用いた。抗−ヒトIgGFc捕獲(AHC)バイオセンサーチップ(ForteBio(登録商標)、Menlo Park、CA、USA)を備えたOctet QKeで親和性測定を実施した。30℃で、1xPBS緩衝液(Gibco(登録商標)、PBS pH7.2)中でアッセイを実施した。1000rpmで試料を攪拌した。分析前に、15分間、センサーを加湿した。
AHCセンサーチップで、精製した抗Bb因子抗体の結合能力を試験した。20μg/mlの抗Bb因子抗体を用いてチップにロードした。ローディングが300秒間進んだ結果、捕獲レベルが1.8〜2nmとなった。結合分析のために、1xPBS中で50nMの濃度に希釈することによってBb因子またはB因子抗原を調製した。会合を開始させ、200秒間モニターし、その後、解離をモニターするために、因子タンパク質を含まない1xPBS緩衝液(Gibco、PBS pH7.2)にチップを移動した。全実験にわたってセンサーデータを収集し、Octetデータ分析ソフトウエア7(Forte Bio)を用いてプロセスし、分析した。
Bb因子及びB因子タンパク質の結合正反応速度を比較することによって、最初に抗Bb因子抗体の選択性を試験した。Forte Bio(登録商標)のOctet QKeシステムを用いて、この分析を実施した。50nMのタンパク質調製物中で200秒以上測定した結合は、抗Bb因子抗体が特異的にBb因子に結合するが、B因子への結合は有意に少ないことを示している(図1)。
実施例2−抗Bb因子単クローン抗体の機能アッセイ
溶血反応アッセイ−−副経路(AP)の活性化には、古典的経路より高い濃度の血清が必要である。一般に、EGTAがCa++を優先的にキレートするアッセイでは、5mMEGTAの存在下で最終濃度5mMのMg++が用いられる。ほとんどの哺乳動物種のAPは、ウサギ赤血球によって自然に活性化され、その結果、都合が良い標的となる。GVB0(CompTech product)で3回洗浄し、5X108/mlに再懸濁させることによってウサギ赤血球(Complement Technology,Inc)を調製する。GVB0で異なる量の抗Bb因子抗体を希釈した。氷上で、逐次希釈した抗Bb因子抗体、0.1M MgEGTA(CompTech product)、1/2NHS(GVB0で1/2に希釈した正常ヒト血清)、及びウサギErの順序で100ul反応物を混合する。その後、シェーカー上で、30分間、37℃で、反応物をインキュベートする。1.0ml低温GVBEを添加する。混合し、約1000xg以上で、3分間、遠心分離機にかけ、細胞をペレットする。100ulの上澄みを96−ウエルプレートに移動し、412nm(SoftMax Pro4.7.1)で読む。GraphPad Prism4を用いてデータを分析した。
結果−−抗Bb因子抗体の効力、IC50nM(溶血反応の50%を抑制するために必要な抗体の量)を測定するために、AP溶血反応アッセイを実施した。データは、本明細書に開示した抗Bb因子抗体のIC50が約40nMであり、抗B因子抗体のIC50が約100nMであることを示した(図2)。このため、AP溶血反応アッセイでは、抗Bb因子抗体の方が、抗B因子抗体より約10倍強力である。
実施例3−in vivo有効性モデル
非ヒト霊長動物軽損傷モデルで、ヒト化H4L4 99A12抗体(それぞれの配列番号:15及び11)を試験した。H4L4 99A12抗体の硝子体内投与では、対照に対して網膜中の補体沈着をブロックする有効性をもたらした。このデータは、H4L4 99A12抗体の局所デリバリーが、黄斑変性及び他の眼球の適応症のヒトの治療に関係のあるin vivoモデルで有効であることを示している。