JP6641870B2 - パラサイロイドホルモン類含有製剤の製造方法 - Google Patents
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Description
凍結乾燥製剤は、その製造過程において、生理活性ペプチドが溶液の状態にある工程が必然となる。よってこの工程の間に生理活性ペプチドの分解等が起こり、製造直後の凍結乾燥製剤の品質を劣化させることが余儀なくされる。
本発明は、良好な保存安定性を維持した製剤としながら、保存開始の時点でも不純物の含有量が少ない優良なパラサイロイドホルモン類含有製剤の製造方法を提供することを目的とする。
〔1〕パラサイロイドホルモン類を含有する溶液を調製する工程、
調製途中の溶液及び/又は得られた溶液を凍結乾燥工程の前に冷却する工程を含む
凍結乾燥用パラサイロイドホルモン類含有製剤の製造方法。
この製造方法では、以下の1以上を備えることが好ましい。
〔2〕前記冷却工程において、前記溶液を15℃以下に冷却する。
〔3〕前記冷却工程を、窒素充填容器内で行う。
〔4〕凍結乾燥工程を、凍結乾燥機内で行い、
前記冷却工程を、前記溶液の前記凍結乾燥機への移載中に及び/又は前記凍結乾燥機内で行う。
〔5〕前記冷却工程を、非金属容器内で行う。
〔6〕前記非金属容器が単層又は複層の容器であり、接液層の材質がポリエチレン又はポリプロピレンである。
〔7〕前記パラサイロイドホルモン類が、副甲状腺ホルモン、テリパラチド又はヒト−PTH(1−38)である。
〔8〕さらに、前記凍結乾燥した製剤を容器に収容し、該容器の外側に脱酸素剤を配置する。
〔9〕前記容器を、酸素透過性が1mL/m2・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/平方メートル・日以下の樹脂製の袋で包装する。
安定化剤は、液体組成物の全質量に対して、0.1〜10質量%で含有される。また、凍結乾燥製剤を調製する場合は、凍結乾燥製剤の全質量に対して、0.1〜100質量%が挙げられ、0.1〜99.99質量%が好ましく、1〜30質量%となるように調製することがより好ましい。
容器内で溶液を調製した場合には、容器の空間に窒素ガス等の不活性なガスを充填することが好ましい。
従って、冷却は、静置した状態で行ってもよいし、後述するように次工程で凍結乾燥機を利用する場合には、その凍結乾燥機への移載中に及び/又は乾燥機内で行ってもよい。 冷却は、後述する1投与単位の凍結乾燥製剤ごとに行ってもよいし、複数の投与単位を同時に行ってもよい。
特に、冷却の際に非金属容器を用い、金属容器を用いない場合、溶液の調製及び冷却の際に金属容器を用いない場合、容器の空間に窒素ガスを充填した場合などにおいては、初期の類縁物質の50%以内の増加、好ましくは40%以内の増加、より好ましくは30%以内の増加である。
ただし、後述するように、パラサイロイドホルモン類はγ線滅菌したプラスチック容器との接触安定性が悪いこと等から、上述した類縁物質の増加割合は、このようなγ線滅菌したプラスチック容器を用いない場合の割合を示す。
バイアル、シリンジ等の容器は、ガラス製又はプラスチック製のいずれでもよい。なかでも、ガラス製又はオレフィン系のプラスチックが好ましい。プラスチックとしては、特に、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンがより好ましい。
なお、パラサイロイドホルモン類、特に、テリパラチドは、γ線滅菌したプラスチック容器とは接触安定性が悪いことから(特許第5522879号)、テリパラチドを用いる場合には、γ線滅菌したプラスチック容器を使用しないことが好ましい。
包装体の材質は水蒸気及び/又は酸素の透過性が低いものが好ましい。例えば、酸素透過性が1mL/m2・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/平方メートル・日以下であるものがより好ましい。このような包装体は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィンのような各種樹脂(アルミニウム蒸着品を含む)の単層構造又は積層構造等からなる樹脂製の袋が挙げられる。
以下の実施例又は比較例において、保管した各試験のサンプル50μLを試験に供し、類縁物質の経時変化を測定した。
<検出条件>
機器名:超高速液体クロマトグラフ装置
検出器:紫外吸光光度計(波長:220nm)
カラム:50×2.1mmI.D.オクタデシルシリカゲル
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸と0.07%アセトニトリルの混液
流 量:テリパラチドの保持時間が約18分になるように調整する。
上記の検出条件で、各サンプルの各々のピーク面積を自動積分法により測定し、3回測定の平均値により得られた類縁物質の割合(%)を得た。
遮光された環境で、ポリプロピレン容器を用いて、窒素バブリングした25℃の注射用蒸留水1Lに、塩化ナトリウムを0.56g及び精製白糖を11.2g加えて溶解した。
次いで、得られた溶液にPTH(1−34)酢酸塩の67.9mgを添加し、攪拌機を用いて溶解してPTH水溶液を得た。
得られたPTH水溶液をろ過滅菌処理した後、γ線滅菌処理したポリプロピレン容器に10mL充填して密栓した。このポリプロピレン容器を10℃にて保持して冷却した。なお、冷却開始時、保持の4及び8時間後にサンプリングした。
その後、冷却したPTH水溶液を、ガラスバイアル(ニプロ製)に、PTH(1−34)が63.3μg含有されるように充填し、凍結乾燥機を利用して凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を製造した。
遮光された環境で、ポリプロピレン容器を用いて、窒素バブリングした25℃の注射用蒸留水1Lに、塩化ナトリウムを0.56g及び精製白糖を11.2g加えて溶解した。
次いで、得られた溶液にPTH(1−34)酢酸塩の67.9mgを添加し、攪拌機を用いて溶解してPTH水溶液を得た。
得られたPTH水溶液をろ過滅菌処理した後、γ線滅菌処理したポリプロピレン容器に10mL充填して密栓した。このポリプロピレン容器を室温にて保持した。なお、冷却開始時、保持の4及び8時間後にサンプリングした。
その後、得られたPTH水溶液を用いて、実施例1と同様に凍結乾燥製剤を製造した。
これによって、保存開始の時点で不純物の含有量が少ない、優良な保存安定性を維持し得る凍結乾燥製剤を簡便かつ確実に製造することができることがわかった。
遮光された環境で、ポリプロピレン容器を用いて、窒素バブリングした25℃の注射用蒸留水1Lに、塩化ナトリウムを0.56g及び精製白糖を11.2g加えて溶解した。
次いで、得られた溶液にPTH(1−34)酢酸塩の67.9mgを添加し、攪拌機を用いてこれを溶解してPTH水溶液を得た。
得られたPTH水溶液を濾過滅菌処理した後、ガラスバイアルに1mL充填して、5℃の遮光条件下で保持して冷却した。冷却開始時、約1、4及び8時間後にサンプリングした。
その後、実施例1と同様に凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を製造した。
遮光された環境で、ポリプロピレン容器を用いて、窒素バブリングした25℃の注射用蒸留水1Lに、塩化ナトリウムを0.56g及び精製白糖を11.2g加えて溶解した。
次いで、得られた溶液にPTH(1−34)酢酸塩の67.9mgを添加し、攪拌機を用いてこれを溶解してPTH水溶液を得た。
得られたPTH水溶液を濾過滅菌処理した後、ガラスバイアルに1mL充填して、遮光、曝光又は空間部を窒素置換後曝光の条件下、25℃で保持した。保持開始時、約1、4及び8時間後にサンプリングした。
その後、実施例1と同様に凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を製造した。
また、実施例1及び実施例2により、保存容器の種類及び滅菌処理条件にかかわらず、冷却工程を行うことが、類縁物質の生成を抑制することが確認された。
これによって、保存開始の時点で不純物の含有量が少ない、優良な保存安定性を維持し得る凍結乾燥製剤を簡便かつ確実に製造することができることがわかった。
実施例1の方法において、得られたPTH水溶液をγ線照射滅菌処理する代わりにAC滅菌処理したポリプロピレン容器にて保管したこと以外、実施例1と同様の方法によって、水溶液のサンプリングを行い、凍結乾燥製剤を製造した。
実施例1の方法において、ポリプロピレン容器を用いる代わりにSUS(SUS316L)を用いた以外、実施例1と同様の方法によって、水溶液のサンプリングを行い、凍結乾燥製剤を製造した。
なお、冷却工程を行う場合であっても、保存容器を非金属容器とすることにより、金属容器を用いるよりも、より一層類縁物質の生成を抑制できることが確認された。
これによって、保存開始の時点で不純物の含有量が少ない、優良な保存安定性を維持し得る凍結乾燥製剤を簡便かつ確実に製造することができることがわかった。
遮光された環境で、ステンレス容器を用いて、窒素バブリングした25℃の注射用蒸留水1Lに、塩化ナトリウム0.56g及び精製白糖11.2gを加え、溶解した。
次いで、得られた溶液にPTH(1−34)酢酸塩の67.9mgを添加し、攪拌機を用いて溶解してPTH水溶液を得た。
このPTH水溶液を濾過滅菌処理した後、ステンレス容器(SUS316L)に10mL充填し、空間部を窒素置換した後、密栓した。この容器を15℃にて保持して冷却した。冷却開始時、4及び8時間後にサンプリングした。
その後、実施例1と同様に凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を製造した。
また、冷却工程を、窒素充填容器内で行うことにより、窒素充填容器内で行わない場合に対して、類縁物質の生成を抑制できることが確認された。
これによって、保存開始の時点で不純物の含有量が少ない優良な保存安定性を維持し得る凍結乾燥製剤を簡便かつ確実に製造することができることがわかった。
遮光された環境で、ポリエチレン容器を用いて、窒素バブリングした25℃の注射用蒸留水1Lに、塩化ナトリウムを1g及び精製白糖を20g加えて溶解した。
次いで、得られた溶液にPTH(1−34)酢酸塩の67.9mgを添加し、攪拌機を用いて溶解してPTH水溶液を得た。
得られたPTH水溶液を濾過滅菌処理した後、ガラスバイアル(ニプロ製)に63.3μg含有するように充填して、凍結乾燥を行い、ガラスバイアル製剤を製造する。
Claims (9)
- パラサイロイドホルモン類を含有する溶液を調製する工程、
調製途中の溶液及び/又は得られた溶液を凍結乾燥工程の前に容器に充填し、密栓して冷却する工程、
冷却後の容器に充填した前記溶液を凍結乾燥する工程を含む凍結乾燥パラサイロイドホルモン類含有製剤の製造方法。 - 前記冷却工程において、前記溶液を15℃以下に冷却する請求項1に記載の製造方法。
- 前記冷却工程を、窒素充填容器内で行う請求項1又は2に記載の製造方法。
- 凍結乾燥工程を、凍結乾燥機内で行い、
前記冷却工程を、前記溶液の前記凍結乾燥機への移載中に及び/又は前記凍結乾燥機内で行う請求項1又は2に記載の製造方法。 - 前記冷却工程を、非金属容器内で行う請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
- 前記非金属容器が単層又は複層の容器であり、接液層の材質がポリエチレン又はポリプロピレンである請求項5に記載の製造方法。
- 前記パラサイロイドホルモン類が、副甲状腺ホルモン、テリパラチド又はヒト−PTH(1−38)である請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法。
- さらに、前記凍結乾燥した製剤を、バイアル又はシリンジ容器に収容し、該バイアル又はシリンジ容器の外側に脱酸素剤を配置する請求項1〜7のいずれか1つに記載の製造方法。
- 前記バイアル又はシリンジ容器を、酸素透過性が1mL/m2・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/平方メートル・日以下の樹脂製の袋で包装する請求項1〜8のいずれか1つに記載の製造方法。
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JP2015202823A JP6641870B2 (ja) | 2015-10-14 | 2015-10-14 | パラサイロイドホルモン類含有製剤の製造方法 |
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WO2019059302A1 (ja) * | 2017-09-22 | 2019-03-28 | 旭化成ファーマ株式会社 | 安定性に優れるテリパラチド含有液状医薬組成物 |
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