JP6641271B2 - 睡眠を調整する器械及び方法 - Google Patents

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Description

本明細書において説明する器械及び方法は、睡眠の質を向上させる(入眠を速め、睡眠維持を向上させ、睡眠時間を延長し、睡眠に悪影響を及ぼす障害、例えば不眠症にかかっている被験者を含む被験者の浅い眠りに対して深い眠りを増加させることを含む)ために使用できる。かくして、本明細書において説明する器械及び方法を用いると、睡眠障害、例えば不眠症を治療することができる。
〔参照による引用〕
本明細書において言及される全ての非特許文献(又は刊行物)及び特許文献は、個々の非特許文献又は特許文献の各々の内容が参照による引用プラクティスによって具体的に且つ個々に記載されていたものとするのと同じ程度に、参照により引用されてこれらの記載内容全体が本明細書の一部となっているものとする。
不眠症を含む睡眠障害及び睡眠異常(不規則性)は、広く見受けられると共に蔓延している問題であるが、睡眠の治療及び/又は促進(睡眠の質の向上)のための数種類のシステムが存在する。例えば、睡眠障害の治療のための従来開示された器具及び技術は、患者の額(前額部)に加えられる冷却を含む冷却治療を用いた睡眠の促進を含む。これは、例えば、米国特許第8,425,583号明細書及び同第8,236,038号明細書に記載されており、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。かくして、恐らくは下に位置する脳領域の冷却を含む機構を利用することにより患者の皮膚(例えば、額)を冷却することによって睡眠を促進するエビデンスが存在する。この臨床的に実証された作用効果は、冷却ではなく、被験者の額を加温する(周囲温度に対して)ことが睡眠に対して一般的に悪影響を及ぼすことを示唆している場合がある。しかしながら、今日まで、高い温度を被験者の皮膚、具体的に言えば被験者の額に加えた場合の作用効果に関するリサーチタッチング(research touching)は、幾分決め手に欠ける。
一般に、前臨床試験によって示唆されたところによれば、睡眠の制御と温度調節は、視床下部のレベルのところで統合されている。人間(ヒト)に関する研究結果の示すところによれば、種々の手段による環境温度の操作は、睡眠に影響を及ぼす場合があるが、体の選択された領域が視床下部の睡眠及び温度調節中枢にどのように影響を及ぼすことができるかについては十分には分かっていない。臨床上の不眠症及び不眠一般は、睡眠の開始(入眠)及び維持が一時的に又は慢性的に困難であるということを特徴としている。ただし、温度調節における変更が疾患の病態生理学又は治療に著しい役割を果たすかどうかについては明らかではなかった。生理学的及び神経解剖学的研究の示すところによれば、額は、これが温度調節の視床下部制御に影響を及ぼす上で顕著な役割を果たしている場合があること、そして更には、睡眠の視床下部温度調節制御に影響を及ぼす場合のあることを示唆する独特の特性を備えた体の一領域である。
不眠症は、最も多くの場合、容易には寝入ることができず、眠ったままでいることができず、或いは適当な睡眠の機会をもった個人において質の高い睡眠を取ることができないということとして説明される。米国では、慢性不眠症又は一過性不眠症の人口に基づいた推定は、人口の10%から40%までの範囲、或いは米国における3千万人から1億2千万人の成人にわたる。同じ一般的に行われている推定が欧州及びアジアにおいて報告されている。研究により、2つの年齢のピーク、即ち、45〜64歳及び85歳以上が存在する。女性は、男性の1.3〜2倍であり、離婚し又は未亡人になり、そして教育をそれほど受けていない女性では男性よりも睡眠の問題を報告する可能性が一層高い。米国では、不眠症の経済的負担は、直接的な健康保険費用の面、機能的な障害の面、精神健康上の問題の恐れの増大の面、生産性の損失の面、労働者の欠席の面、及び過剰医療利用の面でほぼ1億ドルに等しい。不眠症のエピソードのない医療従事者に起因する医療ミスの数の2倍以上に寄与することが公衆衛生上の問題として認識されている。しかしながら、現在利用できる不眠症治療は、様々な理由で全く満足のゆくものではない。鎮静‐睡眠薬は、不眠症の問題にとって完全な解決策ではない。と言うのは、鎮静‐睡眠薬は、重大な副作用、例えば耽溺/依存性の潜在的可能性、記憶喪失、錯乱性覚醒、転倒及び股関節骨折を招く場合のある夢遊及び協調(調和運動)に関する問題と関連しているからである。不眠症患者の大多数は、自分の不眠症に関する病訴に対して薬を使わない手法を好む。認知行動療法は、有効ではあるが、広く利用されておらずしかも健康保険によっていつでもカバーされているとは言えず、費用がかかり且つ労働集約的な治療である。種々の投薬法及び器具を含む不眠症の治療に対する処方箋なしのやり方は、不眠症患者における重大な影響並びに潜在的に危険な副作用を実証している不適切な臨床上の研究にあえいでいる。したがって、睡眠障害の治療を含む睡眠の治療のための安全で効果的な且つ非侵襲性の薬を使わない器具についての多大な要望が存在する。
睡眠の神経生物学及び革新的な治療を知らせることができる不眠症の神経生物学における最近の技術的進歩がなされた。種々の生物学的レベルに関する「過覚醒」は、不眠症の現在の主要な病態生理学的モデルを示している。この過覚醒が温度調節制御によける変更により仲介される程度は、不明瞭である。不眠症患者は、健常な被験者に対する歩行及び睡眠中における脳代謝全体の増大、安静時代謝率の増大、心拍数の増大及びHRVの交感神経迷走神経緊張、夜及び早朝における睡眠時間中のコルチゾル分泌、NREM睡眠中のベータEEG活動、入眠後における高い覚醒レベルと関連した特に前頭側皮質中の皮質性グルコース代謝のレベルの増大、入眠期間前後の深部体温の正常な低下の障害、及び「レーシング(racing)」の停止不能な且つ睡眠集中と形容される場合が多い不眠症患者の睡眠前思考に寄りかかっている認識的過覚醒を有することが判明している。不眠症患者は、NREM睡眠中における腹内側前頭前野皮質中の代謝の増加と相関するベータEEGスペクトル電力の増加を実証した。不眠症患者における睡眠の質の向上は、機能的神経画像処理により測定される前頭前野皮質機能の向上と関連していた。
相当多くのエビデンスの示唆するところによれば、睡眠と温度調節は、視床下部のレベルのところで統合されている。これらの関係に対して影響を及ぼすよう設計されたインターベンションの開発は、不眠症の治療に関するインターベンションの設計において実りが多いものであると言える。
覚醒、非急速眼球運動(NREM)睡眠又は徐波睡眠(SWS)及び急速眼球運動(REM)睡眠の導入、維持及びタイミングは、脳全体にわたって広く分散して位置する多数の構造及び機構相互間の複雑な相互作用の積である。睡眠と覚醒促進システム相互間の相反相互作用は、睡眠‐覚醒の行動状態が要件ごとに変更されるようにする。これら睡眠促進構造のうちで、REM睡眠特徴の発生に関与する橋被蓋及び隣接の神経群が顕著である。他方、NREM睡眠は、終脳基底部(BF)野と呼ばれる内側視索前野(mPOA)、外側視索前野(lPOA)、腹側外側視索前野(vlPOA)、正中視索前核(mnPO)及び内側中隔を含む幾つかの野によって促進される(シェリン他(Sherin et al.),1996年、ジョン(John)及びクーマー(Kumar ),1998年、ゴング他(Gong et al. ),2000年、ルー他(Lu et al),2000年、シュリヴィジャヤ(Srividya et al.),2004年,2006年)。睡眠状態又は覚醒状態に向かう睡眠‐覚醒のスイングに影響を及ぼす外的要因及び内的要因が存在する。BFは、温度調節と睡眠調節を統合する上で戦略的な役割を果たす。
体温調節は、中枢神経系によって調節される基本的な恒常性機能である。視索前野(POA、例えばmPOA、mnPOA、lPOA、vlPOA)は、局所加温及び冷却、病変、刺激及び単一神経記録及び多くの他の技術により明らかにされる温度調節反応に基づく脳内における最も重要な温度調節部位と考えられる(ナカヤマ他(Nakayama et al.),1961年,1963年、ボーラント(Boulant)及びハーディ(Hardy),1974年、ボーラント(Boulant),1981年、ボーラント(Boulant)及びディーン(Dean),1986年)。POA中の感熱性ニューロンは、皮膚及び深部体内温度情報を受け取ってこれらを統合する。これらニューロンは、熱的中性運動では緊張性的に活動し、温度調節遠心性経路を制御する(ナカヤマ他(Nakayama et al. ),1961年,1963年)。
脳内における睡眠‐覚醒促進野の存在は、最初に、フォン・エコノモ(von Economo)によって示された。睡眠過剰の嗜眠性脳炎患者の脳の剖検の示すところによれば、これら患者は、中脳と間脳の接合部のところに病変部を有していた(フォン・エコノモ(von Economo),1930年)。他方、前視床下部‐POA(POAH)に病変部のある患者の中には、不眠症にかかっている人がいた。睡眠促進野としてのPOA及び覚醒促進野としての後視床下部の概念は、刺激、病変部、シングルユニット記録、神経移植、機能的核磁気共鳴断層装置(fMRI)及びc‐fos研究を採用した数ラインの動物実験によって裏付けられた(ナウタ(Nauta),1946年、スターマン(Sterman)及びクレメント(Clemente),1962、マクギンティ(McGinty)及びスターマン(Sterman),1968年、シムショック(Szymusiak)及びマクギンティ(McGinty ),1986年、ジョン他(John et al. ),1994年,1998年、シェリン他(Sherin et al.),1996年、ジョン(John)及びクーマー(Kumar ),1998年、クブチャンダニ(Khubchandani et al.),2005年)。最近の80年間にわたる臨床上のエビデンス及び実験により、BFがSWS推進又は催眠構造を有しているという広く通用している仮設が得られた。近年、睡眠活動ニューロンは、vlPOA及びmnPOで密度が高いことが判明した(ゴング他(Gong et al. ),2000年、ルー他(Lu et al),2000年)。これら細胞群の重要性は、睡眠状態中におけるc‐fos圧出から明白である(シェリン他(Sherin et al.),1996年)。
睡眠、温度及びこれらの相互関係の調節に関与する神経機序を研究するため、本発明者は、下等動物から得られた情報に頼っている。ネコでは、睡眠は、熱的中性域(TNZ)で最大であり、これは、TNZの上下で減少した(パルメジャーニ他(Parmeggiani et al.),1969年)。次に、幾つかの報告の示すところによれば、周囲温度(T)は、NREM/SWSとREM睡眠の両方において複雑な変化を生じさせる。睡眠‐覚醒の変化は、ネズミが18℃、24℃及び30℃の互いに異なる周囲温度にさらされたときにネズミについて研究された(トーマス(Thomas)及びクーマー(Kumar),2000年)。REM睡眠とSWSにおいて増加があり、30℃の高い周囲温度において覚醒の減少があった。30℃への等しい慢性的な暴露は、REM睡眠の持続的増加を生じさせた(マハパトラ他(Mahapatra et al.),2005年)。ネズミに関する一報告によれば、NREM睡眠及び代謝率は、23℃〜31℃においてそれほど大きな影響を受けなかった。しかしながら、REM睡眠の量は、29℃でそのピークに達し、顕著な減少は、33℃で生じた(シムショック(Szymusiak )及びサチノフ(Satinoff),1981年)。18℃から30℃までの周囲温度の漸次増大にネズミをさらすと、REM睡眠の百分率の線形的増加が生じた(シムショック(Szymusiak)及びサチノフ(Satinoff),1981年、トーマス(Thomas)及びクーマー(Kumar),2000年、クーマー他(Kumar et al.),2009年)。睡眠の量の増加は、エネルギー節約を目的とする熱的負荷に対する適応であると考えられる場合がある(オバル他(Obal et al.),1983年)。被験者としてのヒトが或る範囲の周囲温度にさらされていると、全睡眠時間(TST)、NREM睡眠、及びREM睡眠は、29℃で最大であった(ハスケル他(Haskell et al.),1981年)。しかしながら、被験者としてのヒトが35℃のTにさらされると、TSTが減少し且つ覚醒が増大し、しかもREM又はデルタ睡眠が何ら変化しない睡眠の断片化が生じた(リバート他(Libert et al.),1988年)。睡眠は、Tを低下させると減少する(パルメジャーニ(Parmeggiani)及びラビニ(Rabini),1970年、シュミデク他(Schmideket al.),1972年、シムショック(Szymusiak)及びサチノフ(Satinoff),1984年、アルフォーディ他(Alfoldi et al.),1990年、ローゼンタール(Rosenthal )及びヴォーゲル(Vogel ),1991年、レイ他(Ray et al.),2004年)。TST、SWS及びREM睡眠は、ネズミが数時間の間、18±1℃のTにさらされると、ネズミについては減少した(トーマス(Thomas)及びクーマー(Kumar ),2000年、マハパトラ他(Mahapatra et al.),2005年)。中枢神経系は、Tが低い場合、体温(T)を維持するために睡眠段階、特にREM睡眠を犠牲にして覚醒量の増大を要求することが示唆された(パルメジャーニ(Parmeggiani)及びラビニ(Rabini),1970年、アルフォーディ他(Alfoldi et al.),1990年)。低温Tにおける覚醒の増大は、より多量の熱の生産に必要である(シュミデク他(Schmidek et al.),1972年、パルメジャーニ他(Parmeggiani et al.),1975年)。
睡眠は、Tによって影響を受けると考えられると共にREM睡眠がTNZの範囲内で範囲すると言われるので、小動物についてのTNZの問題に取り組むことが重要である。TNZ、即ち最小代謝率を研究する最も広く用いられている方法により、TNZが18℃〜28℃であることが判明した(プール(Poole )及びステファンソン(Stephenson),1977年)。多くの他の方法は、28℃から34℃までの範囲を記載している(ヘリングトン(Herrington),1940年、クラークソン他(Clarkson et al.),1972年、ゴードン(Gordon),1987年)。別の定義によれば、TNZは、「温度調節が顕熱損失の制御によってのみ達成されるTの範囲」である。これに基づくと、ウィスター(Wistar)ネズミについてのTNZは、29.5℃〜30.5℃であるということが報告された(ロマノフスキー他(Romanovsky et al.),2002年)。かくして、これら全ての研究から示唆されるTNZは、18℃から34℃まで様々である。上述したかかる矛盾は、特定の技術を用いることによって定められる所与の種に関するTNZが別の変数を用いた別の研究についてTを選択する際にほとんど役に立たないということを強調する。したがって、睡眠時にTに対する応答を判定する前に、行動基準を用いて動物のTNZを求めることは、道理にかなっている。3つの互いに組をなす温度(第1の組は、18℃、24℃及び27℃、第2の組は、24℃、27℃及び30℃、第3の組は、27℃、30℃及び33℃)を用いて睡眠アーキテクチャに対するTの影響を調べながら熱的好みを研究した。ネズミは、27℃でいるのを好み、他方、最大の睡眠が29℃〜30℃で得られるということが判明した(レイ他(Ray et al.),2004年,2005年、クーマー他(Kumar et al.),2009年,2012年)。夜行性のネズミの昼間における睡眠‐覚醒記録の示すところによれば、睡眠は、ベル形分布に続き、その最大は、11:00〜15:00の間であった(図2)。他方、Tは、逆ベル形曲線を示した。T曲線のトラフは、昼行性の影響及び睡眠関連変化によるものであると言える(オバル他(Obal et al.),1985年、アルフォーディ他(Alfoldi et al.),1990年、ベーカー他(Baker et al.),2005年)。Tトラフは、30℃で消え、ただし、最大REM睡眠は、30℃のTで記録された。30℃のT付近における睡眠の増大は、エネルギー節約を目的とする熱的負荷に対する応答であると言える(オバル他(Obal et al.),1983年)。理解されていることとして、30℃における熱的負荷の増大は、Tの昼間における低下を減衰させるということが理解できた。Tの昼間におけるシフトに対向する能力は、この野の病変がゴールデンハムスターのTの大きな昼間の変化を生じさせたので、POAにある(オズボーン(Osborne )及びレフィネッティ(Refinetti),1995年)。POAは、体温を微調整して要件に応じて睡眠を調節する際に関与する場合がある(トーマス(Thomas)及びクーマー(Kumar ),2002年、クーマー(Kumar ),2005年)。最大睡眠が30度で記録されたが、温度調節の昼間の変動は、27℃のTでのみ乱れが最小限であった。
ネズミに関するこれらの研究の示唆するところによれば、睡眠を周囲温度の微妙な変化によって調整でき、そして周囲温度の微小であってもかかる変化が睡眠にかなり大きな影響を及ぼす場合があるという可能性を高めることができる。
循環体温による中枢温度受容器の刺激は、BFの睡眠誘導構造を駆動する衝撃の重要な源である可能性が多分にある(モルッチ(Moruzzi),1972年)。ネズミの体温および脳内温度は、周囲温度が21℃から29℃に増大すると、1℃を超える温度だけ増大する(アルフォーディ他(Alfoldi et al.),1990年)。体温および脳内温度のこの増大は、温かいTでの動物および被験者としてのヒトのSWS/NREMの増大の一因であるといえる(ホーム(Home)及びスタッフ(Staff ),1983年、ホーム(Home)及びシャッケル(Shackell),1987年、シャピロ他(Shapiro et al.),1989年、マクギンティ(McGinty)及びシムショック(Szymusiak),1990年、モライアルティ他(Morairty et al.),1993年)。この可能性は、長期的に植え込まれた水還流型熱極を用いたPOAの局所加温がネズミ、ウサギ、及びネコのSWS又はEEG徐波活動をトリガしたという観察に裏付けられている(マクギンティ(McGinty)及び(シムショック(Szymusiak ),2003年)。デルタ活動も又、この持続性SWS中に増大する。デルタ活動の持続性増大は、睡眠駆動がPOAの感熱性ニューロンによって調整されるという仮設を裏付けている。他方、SWS睡眠とREM睡眠の両方は、POAの穏やかな冷却によって抑制された。温かさに敏感なニューロン(WSN)及び冷たさに敏感なニューロン(CSN)は、生体内及び生体外研究に基づいてPOAで識別された(ナカヤマ他(Nakayama et al. ),1961年,1963年)。これらニューロンは、局所加温又は冷却に対する応答に基づいて識別される。最も多くのWSNは、睡眠活動性であり、これに対し、CSNは、覚醒活動性である。後視床下部ニューロン、中脳の背側縫線、外側視床下部オレキシン作動性ニューロン、及びBFコリン作動性ニューロンの活動は、POA加温によって阻害される(クリローヴィチ(Krilowicz et al.),1994年、アラム他(Alam et al.),1995年a、グズマン‐マリン他(Guzman-Marin et al. ),2000年、メシパラ他(Methipara et al.),2003年)。これらの知見の示唆するところによれば、POAのWSNは、覚醒促進ニューロンに対して阻害的作用を有するという可能性が示唆された。POA加温研究によって得られる結果の示すところによれば、体温の中程度の上昇中に睡眠を促進する手段としての恒常性調節は、温度調節性の役割を果たすだけでなく、動物が危険を冒して不利な熱的環境に入るのを阻止するための保護機能としての役目を果たす。
いくつかの研究結果に基づき、周囲温度と体温の両方は、睡眠アーキテクチャに極めて大きな影響を及ぼすということが結論付けられる(ホーム(Home)及びスタッフ(Staff ),1983年、オバル他(Obal et al.),1983年、シムショック(Szymusiak)及びサチノフ(Satinoff),1984年、ホーン(Horne )及びシャッケル(Shackell),1987年、シャピロ他(Shapiro et al.),1989年、マクギンティ(McGinty)及びシムショック(Szymusiak),1990年、モライアルティ他(Morairty et al.),1993年、トーマス(Thomas)及びクーマー(Kumar ),2000年、クーマー他(Kumar et al.),2009年)。熱的及び低温防御反応を開始させる温度調節回路は、皮膚の温度受容器、エンルート(en route)後角、及び傍小脳脚核によってPOAに運ばれる(ナカムラ(Nakamura),2011年)。Tによって生じる睡眠の変化が検出されて温度受容器によって仲介されるということを仮定することは、もっともである。抹消及び中枢温度受容器の役割は、睡眠の促進において抹消及びコアからの求心性の熱入力の役割に対する洞察を得るために研究された。カプサイシンは、伝統的に、温度受容器及びWSNの破壊のために用いられている。初期の報告では、睡眠‐覚醒は、正常なネズミ及びカプサイシン処置ネズミを22℃及び29℃の地位に配置したときにこれらネズミについて研究された(オバル他(Obal et al.),1983年)。29℃の高い温度での睡眠の増加が生じたが、REM睡眠は、ほんの僅かな増大しか示さなかった。NREM睡眠における周囲温度関連増大は、抹消及び中枢の温度受容器の破壊後には認められなかった。T仲介睡眠機構における抹消及び中枢温度受容器の相対的な役割を探るための互いに異なる実験モデルが存在する。第1のモデルでは、高用量でのカプサイシンの全身投与が末梢温度受容器と中枢温度受容器の両方を破壊する。第2のモデルでは、POAの局所適用が、この領域のみのWSNを破壊する。第3のモデルでは、新生ネズミをカプサイシンで治療すると、ネズミの末梢温度感受性が失われ、他方、これらネズミの中枢温度調節ニューロンが保存される(ヘイオース(Hajos et al.),1983年)。最初に述べたように、ネズミが27℃、30℃、及び33℃にさらされると、ネズミは、30℃での最大睡眠度を示した。ただし、ネズミは、27℃のままでいる方を好んだ。末梢温度受容器と中枢温度受容器の両方がこれらのネズミに関して破壊されると(カプサイシンの全身投与によって)、30℃におけるREM睡眠の選択的増加は見られなかった(クーマー他(Kumar et al.),2012年)。末梢温度受容器がカプサイシンの新生治療によって選択的に破壊された場合、中枢温度受容器は、末梢温度受容器が存在しない場合であってもTの増加につれてTSTの増加を仲介することができた(グリア他(Gulia et al.),2005年)。このことは、中枢WSNがSWS及びREM睡眠において温T関連増加を仲介することを示している。POAのWSNがカプサイシンの局所注入によって破壊されると、30℃におけるREM睡眠及びSWSの増加は観察されなかった。これら動物に関し、SWSピークを27℃までに下げ、REM睡眠ピークを33℃という高い温度にシフトさせた。研究の明らかに示すところによれば、POAのWSNは、好ましいTよりも高い温度でSWSの増加を仲介する。研究結果の示すところによれば、POAのニューロンは、恒常性要件により睡眠を調節する際に重要な役割を果たす(クーマー他(Kumar et al.),2011年)。
POAが温度調節及び睡眠を制御することができることに鑑みてPOAの生理学的役割に多大な関心が寄せられた。上述の観察結果の多くは、睡眠がPOAの温度感受性ニューロンによって調整されるという仮設を裏付けている(パルメジャーニ(Parmeggiani et al.),1975年、オバル他(Obal et al.),1983年、マクギンティ(McGinty)及びシムショック(Szymusiak),1990年)。この関係は、相当な関心を惹起したが、「因果」関係が存在するかどうか又はこれらの変化が単に偶然であるかどうかについては依然として知られていない。シングルユニット研究の明らかに実証するところによれば、温度調節を担っている可能性が多分にあるPOAHニューロンは、警戒状態の影響を受ける(アラム他(Alam et al.),1995年a)。POAニューロンの温度感受性は、覚醒状態と比較してSWS中減少する(パルメジャーニ(Parmeggiani et al.),1987年)。SWS中、POAHのWSNの大部分は、排出率の増大を示す。CSNは、SWS中における排出の減少及び温度感受性の低下を示す。これら睡眠関連WSNの活性化及び覚醒関連CSNの阻害は、SWSの開始及び調節に役割を果たす場合がある(アラム他(Alam et al. ),1995年b)。また、睡眠‐覚醒調整を担うPOAHニューロンは、温度感受性であるとみなすことができる(シムショック(Szymusiak)及びマクギンティ(McGinty),1985年、マクギンティ(McGinty)及びシムショック(Szymusiak),2003年)。温度受容素子が睡眠調節を制御するという主張の大部分は、熱極を用いたPOAHニューロンの加温及び冷却から得られた結果に基づいている。POAHの加温は、ネコの覚醒関連巨大細胞BF及び後方外側視床下部の活動を抑制し(クリロウィッツ他(Krilowicz et al.)1994年、アラム他(Alam et al.),1995年a,b)、ネズミの背側縫線及び外側視床下部の活動を抑制する(グズマン‐マリン他(Guzman-Marin et al. ),2000年、メシパラ他(Methipara et al.),2003年)ことが判明した。これら結果の示唆するところによれば、POAHのWSNは、SWS睡眠の調節において重要な役割を果たす場合がある(アラム他(Alam et al.),1995年a,b、マクギンティ(McGinty)及びシムショック(Szymusiak),2003年)。したがって、POAH温度感受性ニューロンによる睡眠‐覚醒状態の調整は、別個の可能性として考察されなければならない。
睡眠に対する昼行性温度リズムの影響がヒトに関して最も良く研究されている。皮膚温度と深部体温の両方は、昼‐夜リズムを示している。ヒトでは、深部体温は、夜間における睡眠中に比較的低く、日中における覚醒期間中に比較的高い。皮膚温度も又、日周期リズムを示すが、その変化は、深部体温の日周期リズムとは逆である(ヴァン・ソメレン(van Someren),2006年)。深部体温と睡眠傾向は、否定的な関連性を持ち、これに対し、皮膚温度と睡眠は、積極的な関係を有する(マグヌセン(Magnussen ),1939年、ラック(Lack)及びルシントン(Lushington),1996年)。手及び足の皮膚のところの熱損失の度合いは、迅速な入眠に関する最適の生理学的予言者であると言える(クラウチ他(Krauchi et al.),1999年,2000年)。深部体温及び皮膚温度における自律性の温度調節変化は、睡眠調節性脳内野における神経活動を調整するために入力信号としての役目を果たすことができる(ヴァン・ソメレン(van Someren),2000年)。POAH中の温度感受性ニューロンの活動は、深部体温の変化によるよりも皮膚温度の変化による方がより強く調整されるということが示唆される(ボーラント(Boulant)及びビッグナール(Bignall),1973年)。TNZ内における体全体にわたる皮膚温度の操作は、温度調節応答を活性化させない場合であっても眠気及び睡眠の深さを調整することができる(レイマン他(Raymann et al.),2008年)。正常な睡眠中に起こる皮膚温度の変化が穏やかであっても、かかる変化は、若い成人だけでなく年取った被験者の場合においても睡眠傾向に対して影響を及ぼす場合がある(レイマン(Raymann)及びヴァン・ソメレン(van Someren),2008年)。しかしながら、求心性の温度情報をPOAHに提供する責任を最も負っている身体の特定の領域が存在するかどうかは、不明確なままである。先行技術の教示するところによれば、手及び足は、温度情報の伝達に重要な役割を果たしている場合がある。ただし、先行技術は、これら相互作用に著しい影響を及ぼすものとして他の身体部分を記載してはいない。
幾つかの研究は、不眠症患者における温度調節の変更を裏付けている。例えば、疾患の病態生理学の一部として研究された不眠症における「過覚醒」の一構成要素は、不眠症患者における異常温度調節である。健常な睡眠者では、深部体温において入眠時に発生し、睡眠の夜全体にわたって続く正常な低下が存在する。セウィッチ(Sewitch)(1987年)は、不眠症患者における深部体温の異常な上昇を記載すると共に不眠症における徐波睡眠欠乏が夜の開始時における温度の下方制御の失敗の結果であることを示唆した。コントロールと比較して、不眠症患者は、高い口腔入眠前温度及び随意睡眠条件下における睡眠期間にわたる高い直腸温度と口腔温度の両方を有することが報告されている。最後に、深部体温と遠位末梢温度との間で報告された逆の関係と一致して、不眠症患者は又、入眠前の数分間に低い指温度を有することが報告されている。これとは対照的に、2つの研究は、深部体温及び覚醒の他の相互関係における不眠症患者とコントロールとの間には差がないことを報告した。アダム他(Adam et al.)は、随意睡眠条件下においてコントロールと比較して中年から老人の不眠症患者における入眠後口腔温度か昼間の副腎皮質活動かのいずれかにおいてそれほど差がないことを観察した。同様に、フリードマン(Freedman)及びサトラー(Sattler)は、随意睡眠中における若年の入眠不眠症患者とコントロールとの間の様々な自律活動尺度(例えば、EMG、心拍率、指温度)には差がないことを観察した。しかしながら、両方の場合において注目されるべきこととして、傾向が予想される方向であった。生理学的覚醒と不眠症患者との間に関連性があるというエビデンスにもかかわらず、研究の大部分が随意睡眠条件下における覚醒を測定したことは、注目すべきである。この方法論的制約は、不眠症患者とコントロールとの間に報告された群の差のうちの幾つかを計算に入れるのが良い。例えば、睡眠の質ではなく身体的活動及び姿勢におけるグループ差は、温度の差を考慮に入れるのが良い。同様に、深部体温は、単に温度が覚醒中には高く、定義上、不眠症患者は夜間の大部分について覚醒して過ごすので、随意睡眠条件下においてコントロールと比較して不眠症患者において高い場合がある。手短に言えば、主張できることとして、高い深部体温は、過覚醒モデルが示唆するように不眠症患者に対する内因性の貢献要因ではなく、単に睡眠‐覚醒状態の結果である。深部体温が不眠症患者において高いというより直接的なエビデンスは、不眠症患者が覚醒した一定の日常的条件下において温度を検査した一グループによる作業から得られた。上記の研究者等は、老齢の不眠症患者(主として、睡眠維持不眠症患者)は、コントロールと比較して、自宅でのこれら不眠症患者の習慣的な入眠時刻前に高い深部体温を有すること及び両方のグループが集まってその日の残り全体にわたってほぼ同じ深部体温値を示したときの早朝まで覚醒した一定の日常的な夜全体にわたって持続したことを発見した。これら知見の示唆するところによれば、老齢睡眠維持不眠症患者は、24時間の期間にわたって慢性的には過覚醒ではなく、夜間に内因的に過覚醒状態である。一定の日常的プロトコルにおいて評価される深部体温の他の1つの研究は、日中又は夜間において良く眠れる人と不眠症患者との間に差を見出すことはなかった。このように差がないことが年齢の低いグループの利用又はグループ相互間において客観的な睡眠パラメータの僅かな差から生じたかどうかは、更に調査を必要とする。累積的エビデンスは、不眠症患者における高い深部体温に関する何らかの裏付けを提供しており、温度調節が病態生理学及び恐らくは不眠症の治療において重要な役割を果たすことができるということを示唆している。
不眠症患者が眠ろうとする皮膚温度を調査するための最初の研究がブラウン(Brown)によって1979年に実施されたが、ブラウンは、不眠症患者が眠ろうとする際につま先の皮膚温度の増大を示したが、場合によっては観察可能な変化が存在しなかったことを示した。さらに、つま先温度が増大した時点を観察し、かかるつま先温度は、変化に富んでおり、よく眠れる人と比較して同じ温度変化量に達するのに2倍の時間がかかった。フリードマン(Freedman)及びサトラー(Sattler)は、よく眠れる人と比較して、不眠症患者が消灯から2期睡眠入眠までの著しく低い指皮膚温度を有することを発見した。しかしながら、いったん眠りにつくと、不眠症患者とよく眠れる人との遠位皮膚温度の差は消え、このことは、消灯と入眠との間に重要な期間が存在することを示唆している。フリードマン及びサトラーが、これらの不眠症患者がよく眠れる人と比較して一般の不安及び心配の尺度についてかなり高いスコアをとり、これが不安と不眠症と低い遠位皮膚温度との間の関連について裏付けをなしていることを発見したのには、注目するだけの価値がある。不眠症患者が眠ろうとしたときに遠位皮膚温度の増加を減少させたという見解を調査しようとするより最近の試みにより、相反する結果が認められた。他の研究により確認されたこととして、入眠及び維持に問題のある中年の不眠症患者は、よく眠れる人と比較して高いレベルの一般的不安と自宅環境内における睡眠予期不安の両方を報告している。それにもかかわらず驚くべきこととして、不眠症患者の指温度の急速な増大分は、かかる不眠症患者が寝入ったときによく眠れる人の増大分よりも大きいことが判明した。しかしながら、注目されるべきこととして、実験室では、不眠症患者は、よく眠れる人と同じほど早く眠り、その意味では、不眠症患者に特有の不眠症を表さなかったということは注目されるべきである。不眠症患者は、日周期リズム全体にわたって著しく高い深部体温(約0.2〜1℃だけ)を示さず、かくして、入眠と睡眠維持の組み合わさった不眠症にかかっている患者について慢性的な過覚醒理論を裏付けている。この研究は、深部体温と一緒に、眠ろうとする前に不眠症患者において高い可能性が多分にある近位皮膚温度を測定したということは興味のあることであった。もしそうであれば、これは、正常に眠る人における長い睡眠潜時と関連した小さい遠位/近位皮膚温度勾配を生じさせるであろう。しかしながら、かかる結果は、不眠症患者が寝入ったときの遠位皮膚温度の堅固な増大という知見を否認していない。慢性的に高い深部体温は又、不眠症患者が指により深部熱を失う大きな要望が存在し、不眠症患者が自分の先の不眠症状のない実験室においてそのようにすることができるように思われるということを示唆している。他方、ファン・デン・ヒューベル他(van den Heuvel et al.)による最近の研究の示唆するところによれば、不眠症患者は、遠位皮膚において血管拡張する能力に乏しい。ファン・デン・ヒューベル他は、若年の入眠不眠症患者が微温浴(30〜35℃)よりも対側手温浴(45℃)による挑戦を受けたときに大きな指温度の増大を示さず、これに対し、よく眠れる人は、温浴に合わせて大きな増大を示すということを発見した。しかしながら、ベースライン指温度が報告されていないので、不眠症患者群における応答の低下は、不眠症患者の指温度の天井効果に起因するものであるという可能性を除外することは可能ではない。不眠症患者が弱められた血管拡張応答を示すかどうかとは無関係に、皮膚加温が入眠を容易にするかどうかを調べることが少なくとも臨床部的観点からは依然として妥当である。レイマン他(Raymann et al.)は、最近、足(遠位)皮膚加温が若年及び老齢の健常な眠る人の場合に短い入眠を著しく容易にするが、不眠症の老人ではそれほど容易ではないということを発見した。それにもかかわらず、興味のあることとして、この老齢の不眠症患者群は、近位皮膚加温中、反応速度が一番遅いということを示した。したがって、よく眠れる人では、場合によっては、不眠症患者の皮膚加温では、視床下部における温かさに敏感なニューロンと眠りを導入するニューロンとの間に先に示唆された関連と一致している眠りに導くように思われる。しかしながら、2つの先の研究の場合におけるように、この研究は又、不眠症が不眠症患者の比較的短い睡眠潜時に従って明らかではない状態で日中、実験室内で実施された。
特に、不眠症患者における皮膚温度の研究は、足及び手の遠位皮膚温度に的を絞った。温度に敏感な情報をPOAHに伝えることができる体の他のより温度に敏感な領域が存在しているかどうかは、知られていない。
したがって、皮膚温度と睡眠との関係が報告されてはいるが、足及び手とは別に選択された皮膚領域での温度を選択的に変更した場合の影響は、明らかにされなかった。さらに、眠れないということ又は不眠症の治療におけるこれらの領域における選択的な変化は、説明されなかった。
体の領域全体のうちで、額は、これが睡眠の温度調節視床下部調整に影響を及ぼす上で顕著な役割を果たすことができるということを示唆する特徴的な生理学的及び神経解剖学的特性を備えている。温点及び冷点の分布は、全ての体の部分のうちで顔面及び額上で最も高いということが示された(リー(Lee)及びタムラ(Tamura),1995年、レイン(Rein),1925年、ストラグホールド(Strughold)及びポーツ(Porz),1931年、タムラ(Tamura)及びリー(Lee),1995年)。温度感覚は、全ての体の部分のうち、額において最も高いということが判明した。一研究(ナデル他(Nadel et al.),1973年)では、熱放射が選択された皮膚領域に加えられて特定の領域が生理学的温度調節応答の判定において他の領域よりも高い温度感受性を示すかどうかということを判定した。太腿発汗率の改変は、各皮膚領域について感度係数をコンピュータ計算することによって、熱放射された皮膚の温度及び皮膚の熱放射された面積の変化に関連付けられた。太腿からの発汗率の変化に対する顔面の影響によって測定される顔面の温度感受性は、胸部、腹部及び太腿の温度感受性の約3倍であることが判明した。下肢は、太腿の約1/2の温度感受性を有することが判明した。他の研究の結果の報告によれば、温度感受性は、あらゆる体の領域のうちで顔面において最も高い(クラウショウ他(Craushaw et al.),1975年、スティーブンス(Stevens)及びチュー(Choo),1998年、スティーブンス他(Stevens et al.),1974年)。さらに、無毛の(毛髪のない)皮膚を有する額は、無毛の皮膚の熱伝達機能及び効率が血液還流の極めて高い速度に関する容量及び血流の動的調節に関する斬新な能力に基づく体全体内で独特であるということを仮定して、温度調節に対する体の応答において顕著な役割を果たすということが判明した(ヘンスリー他(Hensley et al.)。
エビデンスに関するこれらの記載は、額上の頭蓋のところでの加温刺激の適用をPOAHへの温度に敏感な情報の伝達による不眠症患者における睡眠の質の向上と関連付けることができるという考え方を裏付けている。したがって、額上の皮膚温度を変更する医療器具は、極めて狭い温度範囲内における不眠症患者の睡眠を調節する上で極めて敏感であり且つ非浸襲的なやり方であると言える。
米国特許第8,425,583号明細書 米国特許第8,236,038号明細書
入眠潜時を短縮し、睡眠時間を延長すると共に/或いは1期睡眠に対する熟睡期の持続時間を延長することによって睡眠の質を高める器械及び方法(器械を用いる方法を含む)を本明細書において説明する。一般に、これら器械及び方法は、1つ又は2つ以上の標的「温かい」温度を或る期間にわたって被験者の額に加えると共に維持する。標的温度は、25℃〜42℃(例えば、27℃〜40℃、30℃〜40℃、32℃〜40℃、34℃〜40℃、例えば27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃等を含む)であるのが良い。標的温度は、一般に、周囲温度よりも高い一定の温度であるのが良い(しかしながら、幾つかの変形例では、40℃未満である)。この期間は、一定の期間であっても良く可変期間であっても良い。一般的に言って、この期間は、15分を超え、30分を超え、1時間を超え、2時間を超え、3時間を超え、4時間を超え、5時間を超え、6時間を超え、7時間を超え、又は8時間を超える。例えば、この期間は、30分であっても良く、1時間であっても良く、2時間であっても良く、3時間であっても良く、4時間であっても良く、5時間であっても良く、6時間であっても良く、7時間であっても良く、8時間であっても良い。この期間は、被験者の睡眠期間全体に及ぶに足りるほど長いのが良い。幾つかの変形例では、器械及び/又は方法は、一定の(及び互いに異なる)温度の多数の期間を適用するよう構成されているのが良い。例えば、器械は、当初、周囲温度よりも高い加温を第1の期間にわたって(例えば、1時間の間)第1の温度(例えば、約25℃〜40℃、例えば30℃)で適用するステップ及び、次に温度を第2の期間をかけて(例えば、2時間以上をかけて)第2の温度(例えば、約25℃〜40℃、例えば32℃)に増大させるステップを含む治療方式を提供することができる。追加の温度及び時間間隔を適用することができる。以下に説明するように、これら互いに異なる治療方式により、被験者の睡眠パターンを調整することができ、かかる調整としては、入眠潜時を短縮すること(初期時間及び温度に起因して)及び後の(「深い」)眠りの段階に対するタイプ1睡眠(「浅い」眠り)段階を短縮することを含む。
例えば、患者の睡眠の質を向上させる方法を本明細書において説明する。幾つかの形態では、これら方法は、熱伝達領域を有するアプリケータを熱伝達領域が患者の額に接触するよう位置決めするステップを含み、熱伝達領域は、患者の顔面の眼窩周囲領域には接触せず、これら方法は、被験者が睡眠している間、熱伝達領域の温度を周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持して患者の睡眠の質を高めるステップを更に含む。
本明細書で用いられる睡眠の質を高めるという表現は、睡眠の長さ/持続時間(睡眠時間)を延長すること(例えば、眠っている状態を長時間にする等)、睡眠潜時/入眠を短縮すること、睡眠の深さを高めること(例えば、熟睡状態の時間、例えば3期睡眠を長くすると共に/或いは熟睡期の睡眠を達成し、例えば1期睡眠に対する熟睡期の持続時間を長くすること)及び睡眠の主観的実感を向上させることのうちの1つ又は2つ以上を意味する場合がある。睡眠の主観的実感は、睡眠品質指標の自己報告を含むのが良く、例えば、睡眠の主観的実感を向上させることは、睡眠における個人個人の自己報告改善を含むのが良い。かくして、睡眠の質を向上させることは、広義には、客観的(例えば、EEGで測定可能なデータ)と主観的(例えば、自己報告)指標の両方を含むものである。
一般に、本明細書において説明するアプリケータは、アプリケータによって熱エネルギーを加える身体の領域を制限するよう構成されているのが良い。これは、アプリエータの熱伝達領域が熱エネルギー(例えば、加温)を額に加えるが、顔面の他の額ではない領域に相当な量のエネルギーを加えることがないようアプリケータの熱伝達領域を構成することによって達成できる。一般に、熱伝達領域は、エネルギーを眼窩領域(例えば、顔面の眼窩領域及び頬領域を含む眉毛の下の領域)に加えるのを回避することができる。熱伝達領域は又、被験者によって装着されると、これが相当な量の熱エネルギーを頭の非顔面部分(例えば、頭の頂部及び後頭部)に送り出すことがないよう構成されているのが良い。かくして、熱伝達領域は、額にのみ(多くの被験者では、頭髪線又は頭皮の下に位置する)接触するよう構成されているのが良い。このように熱エネルギーを直接送り出す顔面/頭の領域を制限することによって、本発明の器械及び方法の快適さ及び作用効果を高めることができしかも治療に必要なエネルギーの量を減少させることができる。本明細書で用いられる額は、眼窩上隆起上(目の上に位置する)の且つ側頭隆起(眼窩上隆起を冠状縫合に連結している)の傍の各側に位置する頭の領域を意味し、額の上側境界部は、代表的には、頭髪線である。
幾つかの形態では、システムは、使い捨てコンポーネント及び再使用可能コンポーネントを含む。例えば、アプリケータは、一般に再使用可能であるのが良いが、サーマルアプリケータの皮膚接触(インターフェース)部分は、一度又は数回使用され、次に交換されるよう構成されているのが良い。かくして、器械は、使い捨てインターフェースを有するのが良い。したがって、本明細書において説明する治療方法のうちの任意のものは、使い捨てインターフェースをアプリケータ上に配置するステップを含み、使い捨てインターフェースは、アプリケータの熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に患者の額に接触するよう構成される。使い捨てインターフェースは、アプリケータの全て又は一部を覆っても良く、或いは、これをアプリケータに付着保持してこれが皮膚に接触するようにするための接着剤又は他の固定具を有しても良い。
上述したように、アプリケータを位置決めするステップは、熱伝達領域をこの熱伝達領域が被験者の頭の頂部又は後部に接触しないように位置決めするステップを含むのが良い。アプリケータを位置決めするステップは、熱伝達領域を被験者の額にのみ当てて位置決めするステップを含むのが良い。
一般に、熱伝達領域の温度を維持するステップは、温度を約25℃〜約40℃の標的温度範囲内に維持するステップを含む。幾つかの形態では、熱伝達領域の温度を維持するステップは、温度を周囲温度よりも少なくとも約0.5℃高いが約40℃以下である標的温度範囲内に維持するステップを含む。幾つかの形態では、熱伝達領域の温度を維持するステップは、温度を少なくとも約1時間、少なくとも約4時間、及び/又は被験者の睡眠期間全体にわたって標的温度に維持するステップを含む。
また、本明細書において、患者の睡眠の質を向上させる方法が記載され、この方法は、使い捨てインターフェースをアプリケータ上に配置するステップを含み、使い捨てインターフェースは、アプリケータの熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に患者の額に接触するよう構成され、この方法は、アプリケータの熱伝達領域を患者の額に当てて配置するステップと、熱伝達領域の温度を少なくとも所定の期間の間(例えば、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3.0時間等)、周囲温度よりも少なくとも0.5℃だけ温かく且つ約40℃以下の標的温度範囲内に維持するステップとを更に含む。
上述したように、これら方法のうちの任意のものは、熱伝達領域を熱伝達領域から患者の額にのみ接触するようにすると共に/或いは熱伝達領域が患者の顔面の眼窩周囲領域又は頬領域に接触しないよう配置するステップを含むのが良い。
また、入眠潜時を短縮する方法が記載され、この方法は、覚醒している被験者の額上にアプリケータを位置決めしてアプリケータの熱伝達領域が被験者の額に接触するようにするステップを含み、熱伝達領域は、被験者の顔面の眼窩周囲領域又は頬領域には接触せず、この方法は、被験者を睡眠させるよう準備するステップと、熱伝達領域の温度を少なくとも30分間、周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持することによって入眠潜時を短縮するステップとを更に含む。
上述したように、熱伝達領域の温度を維持するステップは、温度を約25℃〜約40℃の標的温度範囲内に維持するステップ、温度を周囲温度よりも少なくとも約0.5℃高いが約40℃以下である標的温度範囲内に維持するステップを含むのが良い。この温度は、少なくとも約1時間の間、少なくとも約4時間の間及び/又は被験者の睡眠期間全体にわたって標的温度に維持されるのが良い。
また、本明細書において、入眠潜時を短縮する方法が記載され、この方法は、使い捨てインターフェースをアプリケータ上に配置するステップを含み、使い捨てインターフェースは、アプリケータの熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に被験者の額に接触するよう構成され、この方法は、アプリケータを覚醒している被験者の額上に位置決めして熱伝達領域が被験者の額に接触するようにするステップと、熱伝達領域の温度を少なくとも30分間、周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持することによって入眠潜時を短縮するステップとを更に含む。
また、睡眠時間を延長する方法が記載され、この方法は、アプリケータを被験者の額上に位置決めしてアプリケータの熱伝達領域が被験者の額に接触するようにするステップを含み、熱伝達領域は、被験者の顔面の眼窩領域又は頬領域に接触せず、この方法は、被験者が睡眠している間、熱伝達領域の温度を少なくとも1時間、周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持することによって睡眠時間を延長するステップとを更に含む。請求項23の方法は、アプリケータの位置決め前に使い捨てインターフェースをアプリケータ上に配置するステップを更に含み、使い捨てインターフェースは、熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に患者の額に接触するよう構成されている。
また、これら方法を実施することができると共に/或いは構成された器械が説明される。例えば、入眠潜時を短縮し、睡眠時間を延長すると共に/或いは1期睡眠に対する熟睡期の時間を延長することによって睡眠の質を高める器械は、被験者の額に装着されるよう構成されたアプリケータを有するのが良く、アプリケータは、被験者の額に接触するが、被験者の顔面の眼窩周囲領域には接触しないよう構成された熱伝達領域を有し、この器械は、温度調節器(例えば、ヒータ及び/又はクーラ)及び温度調節器を制御するコントローラを含む温度調節器ユニットを更に有するのが良く、温度調節器は、熱伝達領域と熱的連絡状態にあり、更に、コントローラは、熱伝達領域が30分を超える時間の間、周囲温度よりも温かい温度の状態にあるようヒータの温度を制御するよう構成されている。
幾つかの形態では、この器械は、熱伝達領域が額にのみ接触するよう構成されている。
温度調節器ユニットは、一般に、ヒータ及び熱伝達領域の温度を調節するよう(加熱及び/又は冷却によって)ヒータを制御するコントローラ含む。温度調節器ユニットは、熱伝達領域の温度を制御するよう加熱/冷却される熱伝達媒体を含むのが良い。例えば、温度調節器は、熱伝達領域の一部をなす熱伝達媒体を含むのが良い。幾つかの形態では、温度調節ユニットは、サーマルアプリケータの伝達ラインを通ってポンプ送りされる熱伝達流体から成る熱伝達媒体を含む。幾つかの形態では、温度調節器ユニットのヒータは、ジュール発熱体から成る。この器械は、1つ又は2つ以上の温度センサ、例えば、センサに作動可能に接続されると共に周囲温度を測定するよう構成された温度センサを更に有するのが良い。
本明細書で用いられる「ヒータ」は、温度がコントローラによって制御可能な適当な熱エネルギー源を含むことを意図している。かくして、「ヒータ」は、加熱素子と冷却素子の両方を含むのが良い。したがって、ヒータは、熱伝達領域と熱的連絡状態にある(又は、熱伝達領域の一部をなす)材料を加温すると共に/或いは冷却するよう構成されている温度調節器ユニットの一部である。上述したように、温度調節器は、熱伝達領域の温度を調節するために冷却と加熱を行うよう構成されているのが良い。かくして、温度調節器ユニットのヒータは、加熱(例えば、ジュール発熱体、化学的加熱素子等)素子と冷却(任意適当な冷却機構、例えばペルチエ冷却、冷却ファン、蒸発式冷却等)素子の両方を含むのが良い。他の例示の加熱/冷却(「ヒータ」又は「サーマルエンジン」)素子が本明細書において説明される。
一般に、コントローラは、熱伝達領域が或る期間にわたって約25℃〜40℃である標的温度に維持されるようヒータの温度を制御するよう構成されているのが良い。この期間は、所定の期間であっても良く、無期限であっても良い。例えば、コントローラは、器械を「オン」にする(ターンオンする)よう構成されているのが良い(その間、ユーザは、手動でこの器械をターンオフし又はこの器械は、所定の期間後に又はこれが被験者から取り外されるので自動的にターンオフしても良い)。例えば、コントローラは、標的温度を、1時間を超える間、2時間を超える間、又はそれ以上の間、維持するよう構成されているのが良い。この器械は、この器械を作動させることができ又はプログラムすることができるユーザ制御部を含む1つ又は2つ以上の制御部(例えば、ボタン、スイッチ等)を更に有するのが良い。
額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械の一部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して上げることによって睡眠の質を向上させる器械のアプリケータ部分の一形態を示す図である。 額温度を周囲温度に対して増大させることによって睡眠の質を向上させる器械のアプリケータの一形態を示す図であり、このアプリケータを図1A〜図1Gの器械と関連して用いることができるということを示す図である。 額温度を周囲温度に対して増大させることによって睡眠の質を向上させる器械のアプリケータを利用する方法の一形態を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、額の(しかも額のみの)温度を30℃に調節したときの入眠潜時(寝入るまでの時間)の著しい減少を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、図6に示されているように、寝ている時間の劇的な増大に起因して同一の被験者における睡眠効率の著しい向上を示すグラフ図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、寝入っている時間の劇的な増加を示すグラフ図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、図4〜図6で試験された同一被験者における1期睡眠の百分率変化を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、図4〜図7の同一被験者のベースラインと比較した2期睡眠の百分率変化を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、図4〜図7の同一被験者のベースラインと比較した3期デルタ睡眠の百分率変化を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、図4〜図7の同一被験者のベースラインと比較したREM睡眠の百分率変化を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、上述の患者における睡眠期動的特徴及び全睡眠時間の変化をまとめて示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、睡眠中及び睡眠直前における被験者の額の温度を30℃に調節したときの被験者の睡眠の主観的質の向上結果を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、上記作用効果が患者の偏見又は期待とは無関係であるように思われる状態を示す図であり、冷却療法が効果的であると期待した患者(N=47)、と冷却療法が効果的であるとは期待していなかった患者(N=41)における30℃治療の均等な作用効果を示す図である。 被験者集団に対して例えば図1〜図3Bに示されている器具又は器械の作用効果を試験する研究結果を示す図であり、上記作用効果が患者の偏見又は期待とは無関係であるように思われる状態を示す図であり、冷却療法が効果的であると期待した患者(N=47)、と冷却療法が効果的であるとは期待していなかった患者(N=41)における30℃治療の均等な作用効果を示す図である。
睡眠を調整するために特に患者の額領域の温度を制御する器械(器具及びシステムを含む)が本明細書において説明される。例えば、本明細書において、睡眠潜時を短縮し、睡眠の深さを向上させると共に/或いは被験者の睡眠の時間を延長させるために、或る期間の間、周囲温度(例えば、幾つかの形態では、約25℃〜約42℃)よりも高い患者の額の温度を提供するよう構成された器械及び方法が説明され、この期間は、所定の期間であるのが良い。幾つかの形態では、被験者は、不眠症にかかっている被験者であるのが良い。
本明細書で用いられる「温かい」又は「加温」という用語は、一般に、被験者の周囲温度、例えば被験者の周りの周囲空気温度(例えば、代表的には22℃)に対する温度を意味している。器械を装用した被験者は、アプリケータの熱伝達領域の実際の温度が皮膚表面の温度よりも低い場合であっても、「温かい」感覚として周囲温度よりも高い刺激を感じることができる。かくして、加えられる熱的刺激が患者の額に加えられたとき、同様に被験者の皮膚の温度受容器の活性化により、熱伝達領域の知覚に基づいて「温かい」又は「加温している」と称される場合がある。かくして、幾つかの場合、この熱的刺激は、より正確に言えば、被験者の知覚に対して(例えば、周囲温度と比較して)加温していることを意味すると言える。一般に、温かい又は加温温度は、約25℃〜42℃(例えば、25℃〜40℃)であるのが良い。
睡眠が元気を回復させる性質(回復性)を持っていること及び医学文献に記載されている不眠症患者における異常な過覚醒を実証している研究の示唆するところによれば、睡眠の回復性の観点を特に前頭部又は領域中のヘテロモーダルな連合皮質に局所的に関連付けることができる。この局所的脳代謝相関関係を明らかにするために2つの研究が行われた。第1の研究では、健常な被験者の覚醒と睡眠との間に起こる局所的脳代謝の変化を識別した。14人の健常な被験者(年齢範囲21〜49、10人の女性及び4人の男性)が覚醒及びNREM睡眠中、同時EEG睡眠研究及び[18F]フルオロ‐2‐デオキシ‐D‐グルコース([18F]‐FDG)陽電子放射形コンピュータ断層撮影(PET)スキャンを受けた。脳グルコース代謝全体が覚醒からNREM睡眠に顕著に傾斜した。覚醒からNREM睡眠への局所的代謝における相対的減少がヘテロモーダル前頭皮質、頭頂皮質、及び側頭皮質、並びに背内側及び前方視床において見受けられた。これらの知見は、主として皮質中のNREM睡眠に関する回復性の役割と首尾一貫しており、この回復性役割は、覚醒状態における意識的な挙動における本質的な実行機能の一助となる。第2の研究では、一晩の断眠に続き、通常のNREM睡眠と回復NREM睡眠との間に生じる局所的脳代謝の変化が識別された。この研究では、恒常性睡眠の必要性又は睡眠衝動が断眠により被験者内計画内で調整された。4人の若い成人健常男性被験者(平均年齢+標準偏差=24.9±1.2歳)は、通常の一晩の睡眠後及び再び36時間の断眠後に[18F]フルオロ‐2‐デオキシ‐D‐グルコース陽電子放射形コンピュータ断層撮影([18F] ‐FDA PET)を用いてNREM睡眠をとった。絶対局所的脳グルコース代謝データと相対的局所的脳グルコース代謝データの両方を得て分析した。ベースラインNREM睡眠に関連して、被験者の回復NREM睡眠を1)徐波活動(睡眠衝動の電気生理学的なマーカ)の増大、2)脳全体の代謝における全域的な低下、及び3)頭頂皮質及び側頭皮質中への幾分かの延長がある状態での前頭皮質の広い領域内におけるグルコース代謝の相対的な低下に関連付けた。結果の実証するところによれば、断眠後における睡眠の恒常性回復機能は、脳全体の代謝における全域的な低下並びに主として前頭皮質及び関連の頭頂皮質及び側頭皮質の広い領域における相対的低下の増大に関連付けられる。還元すると、断民は、通常NREM睡眠中に見える脳代謝の低下を協調する。したがって、断眠後の健常な睡眠又は回復睡眠で見えるパターンに類似したパターンで代謝を変更する医療器具は、不眠症患者に恩恵を与えることができる。
不眠症患者の研究により、脳代謝におけるこれらの通常の変化が不眠症患者においてどのように乱れた状態になるかが調べられた。不眠症患者及び健常な被験者は、[18F]フルオロ‐2‐デオキシ‐D‐グルコース陽電子放射形コンピュータ断層撮影(PET)を用いて覚醒とNREM睡眠の両方の間、局所的脳グルコース代謝評価を済ませた。不眠症患者は、睡眠及び覚醒中、全域脳グルコース代謝の増大を示した。グループx状態相互反応分析により確認したところによれば、不眠症患者は、上向毛様体賦活系、視床下部、視床、島皮質、扁桃及び海馬並びに前帯状回皮質及び内側前頭前野皮質における覚醒からNREM睡眠への相対代謝において健常な患者が示すよりも小さな低下を示した。覚醒中、健常な被験者と比較して、不眠症患者は、前頭皮質の両側性、左半球状の上側頭、頭頂及び後頭皮質、視床、視床下部及び脳幹網様体の広い領域において相対代謝低下を示した。この研究の実証したところによれば、不眠症患者の主観的に妨害される睡眠は、脳代謝の増大と関連している。不眠症患者が寝入ることができないということは、活動において覚醒から睡眠に傾斜するための覚醒機序の失敗に関連付けることができる。さらに、不眠症患者の日常の疲労は、睡眠が不十分であることに起因して生じる前頭前野皮質の活動の低下を反映している場合がある。これらの知見は、不眠症の神経生物学的分野における神経網の相互作用を示している。これらは、全身覚醒系(上向毛様体形成及び視床下部)、情緒調節系(海馬、扁桃体及び前帯状皮質)、及び認知システム(前頭前野皮質)を含む。特に、上向覚醒ネットワークは、機能的に、皮質レベルでの認知覚醒において関与する皮質領域に関連付けられ、かかる皮質領域は、より原始的な脳幹及び視床下部覚醒中心をフィードバックすると共にこれを調整することができる。このネットワークの1つ又は2つ以上の部分における代謝を変更する医療器具は、不眠症患者に恩恵を与えることができると共により安らかな睡眠を生じさせることができる。
不眠症患者に関する第2の研究が一次不眠症患者の入眠後における覚醒度(WASO)の脳代謝相関を明らかにするために行われ、大きなWASOの不眠症患者は、回復性睡眠及び認知覚醒における脳のこの領域の役割が所与である場合に特に前頭前野における相対代謝の増大を実証しているという仮説を試験した。一次不眠症に関するDSM‐IV基準を満たした15人の患者が[18F]フルオロ‐2‐デオキシ‐D‐グルコース陽電子放射型コンピュータ断層撮影(PET)を用いてNREM睡眠中、WASOの1週間睡眠便り(主観的)及び睡眠ポリグラフ(客観的)評価及び局所脳グルコース代謝評価を終えた。前頭、前側頭、前帯状分布における橋被蓋及び視床皮質ネットワーク中のNREM睡眠に関連した脳グルコース代謝と強い相関関係があった。これらの作用効果は、睡眠中における覚醒系における活動の増大及び/又は目標指向挙動、葛藤のモニタ、情緒の意識、不安及び恐れに関連付けられた高次認知プロセスにおける活動の結果として生じる場合がある。これらのプロセスは、前頭前野皮質の活動によって調節されると考えられる。
本明細書において説明する額加温は、睡眠促進作用を示す視床下部中の温かさに感じる神経の活性化に向いた間接的な経路を提供することができる。主として、以下において説明すると共に図示されている実験データに基づき、実験観察結果の示唆するところによれば、額(例えば、頭皮)への局所的加温を生じさせた医療器具が不眠症患者における睡眠を改善することができ、それにより患者は、より容易に睡眠に移行することができ、次に、一晩中安らかな眠りにつくことができる。徐波睡眠におけるその後の増大は、不眠症患者において実証された前頭皮質における代謝活動の低下を招くものと期待されると言える。
額温度を周囲温度に対して増大させることによって睡眠の質を向上させる器械
一般に、本明細書において説明する額温度を(周囲温度に対して)加温することによって睡眠の質を向上させる器械であれば、どれでも、被験者の額に装着されて睡眠前及び/又は睡眠中に装用することができるアプリケータ(例えば、パッド等)を含むのが良い。図2Aは、アプリケータの一形態を示している。この例では、アプリケータは、額(見えない)に装着される皮膚接触面及び器械が被験者にフィットするよう調節可能な1対の側部ストラップ201,201′(固定具)を有する。アプリケータは、アプリケータの皮膚接触面のところの温度を制御する温度調節器に接続されるかこれを含む。温度調節器は、加えられる温度の持続時間を調節するためのタイミング制御部を更に有するのが良い。アプリケータは、設けられている固定具(例えば、ストラップ、接着剤、キャップ等)によって定位置に固定されるのが良い。温度調節器によって制御されるパラメータを設定するための1つ又は複数の制御部も又設けられるのが良く、一般に、制御部により、ユーザ又は付添人は、本明細書において説明するようにパラメータ又は動作モードを選択することができる。幾つかの形態では、システムは、使い捨てコンポーネント及び/又は再使用可能コンポーネントを含むのが良い。例えば、アプリケータの皮膚接触面は、使い捨てであるのが良く、そしてアプリケータ(再使用可能コンポーネント)の残部に取り付けられるのが良い。
例えば、幾つかの形態では、額を周囲温度に対して加温することによって睡眠の質を向上させる器械が漸変温度流体を循環させる前頭皮質上の頭皮の領域にフィットするカスタムメイドのヘッドピース及び加温をもたらすと共に流体をヘッドピースに循環させる電力を提供するプログラム可能な加温チャンバ/ポンプを有するのが良い。
額温度を周囲温度に対して増大させることによって睡眠の質を向上させる器械の一例では、この器械は、熱調節器ユニット、サーマルアプリケータ/ホース組立体(額パッドと呼ばれる場合がある)及びサーマルアプリケータを前頭皮質と接触状態に且つ位置合わせ状態に維持するヘッドギヤを有する。上述したように、本明細書において説明する器械は、睡眠中の被験者によって装用可能であり、これは、快適さ並びに安全性及び効能が得られるよう構成されているのが良い。流体(循環流体を含む)を含む形態では、この器械は、流体損失/漏れを阻止するよう構成されているのが良い。額温度を周囲温度に対して増大させることによって睡眠の質を向上させる器械は又、例えば、アプリケータの皮膚接触面の直接的加熱(抵抗加熱を含む)によって循環流体なしで使用できる。額温度を周囲温度に対して減少させることにより(又は増大させることにより)睡眠の質を向上させる器械は又、アプリケータの皮膚接触面の冷却(熱電式クーラ、対流式クーラ、例えばファン等を含む)直接的冷却によって循環流体なしで使用できる。
例えば、温度調節器ユニットは、アプリケータを直接加熱し(又は冷却し)、或いは、サーマルアプリケータの伝達ラインを通ってポンプ送りされる熱伝達流体(TTF)を加熱する熱電モジュール(TEC)を利用するのが良い。他のヒータ、例えば抵抗加熱コイル、化学的加熱(例えば、発熱反応)、高い比熱容量の物質、又は相変化物質も又、温度調節器ユニットの一部として使用でき、他のクーラ(化学クーラを含む)を使用することができる。
一形態では、この器械は、アプリケータを加熱するためのTTF(流体)で動作するよう構成されている。かかる温度調節器ユニットの主要なコンポーネントは、1つ又は2つ以上の熱交換器、ヒートシンク、TEC、ポンプ、ファン、電子制御回路、ソフトウェア、ユーザインターフェース、TTFリザーバ、ユニットエンクロージャ、到来する電力の接続部、及びサーマルアプリケータのためのTTF接続部を含むことができる。図2Bは、断熱材5によって覆われた管4を含むTTFベースユニットと共に用いられるアプリケータの形態を示しており、管4は、アプリケータの熱伝達領域2に繋がり、TTFベースユニットは、皮膚接触面201を有するヘッドギヤ1を更に含む。
幾つかの形態では、これらコンポーネントは、ヒートシンクがTECの一方の側と、熱的接触関係におかれると共に熱交換器がヒートシンクから見て遠くに位置するTECの反対側の側部と熱的接触関係に置かれるよう組み立てられるのが良い。熱交換器は、任意公知の材料で構成でき且つその目的のために設計できる。組立体の幾つかの部分は、熱交換器に加わる寄生熱負荷を減少させるよう断熱されるのが良い。温度調節器ユニットは、TTFの温度を所望のレベルに制御するよう加温(又は冷却)モードで動作可能である。温度調節器は、TTFを熱交換器及びサーマルアプリケータ中に循環させるためのポンプを利用している。ポンプは、任意適当な形式のものであって良く、例えば、遠心ポンプ、ピストンポンプ、歯車ポンプ、ダイヤフラムポンプ等である。TTFリザーバが何らかの目的でTTFの損失を補充するために追加のTTFを提供するよう設けられている。リザーバは、温度調節器ユニット内の一体形充填可能コンポーネントであっても良く、或いは、交換可能なカートリッジとして構成されても良い。リザーバのための配管連結部は、リザーバ内のTTFの量が熱交換器及びサーマルアプリケータのTTF循環回路内に直列に配置されることがないよう設計されるのが良い。この設計は、サイドストリーム型リザーバと呼ばれている。図1A〜図1Jは、本明細書において説明するTTFに用いられる温度調節器器具の一形態を示している。
サイドストリーム形態により、効果的に、温度調節器は、リザーバ内に保持されているTTFを加熱/冷却する必要がないようにすることによって、循環中のTTFを所望の温度に迅速に加熱/冷却することができる。リザーバ又は交換可能なカートリッジは、ユーザの便宜を図るために所望の容量を提供するよう必要に応じて寸法決め可能である。交換可能なカートリッジは、ユーザがTTFの漏れを生じさせることなくカートリッジを温度調節器中に組み込み又はこれを取り外すことができる弁システムを備えるのが良い。カートリッジは、TTFをカートリッジから排出しているときに空気取り込みを可能にする一方向ベントを備えるのが良い。この形態により、TTFは、カートリッジから出て、背圧が循環回路内に生じた場合であってもカートリッジに再び入ることはない。この種の一方向ベントがカートリッジ内で利用される場合、別個の空気ベントを循環回路中に組み込んで回路内に取り込まれた空気が出るようにすることができる。カートリッジの別の形態は、2つの連結箇所を温度調節器中に利用する。一連結部により、循環回路内に取り込まれた空気がカートリッジ中に逃げることができ、他方、TTFは、第2の連結箇所から循環回路中に流れ出るようになっている。連結弁は、多くの公知の形態で設計可能である。かかる一具体化例では、互いに嵌合する連結コンポーネントの各々内に逆止弁を利用する。これは、TTFが取り外されたカートリッジから漏れ出ることなく又は温度調節器内の相手方の連結箇所から漏れることなく、カートリッジを係合させ又は取り外す手段となることができる。別の形態では、カートリッジは、中空針で穿通可能なゴム状材料で封止される。TTFは、いったん穿通されると、循環回路との流体結合を行うことになる。カートリッジが取り外されると、針が抜去され、それにより、ゴム状材料が穿通穴を再び封止することができ、それによりTTFがカートリッジから漏れ出るのを阻止することができる。針は、設計上、ばね押し摺動ゴム状材料シールを備えるのが良く、このシールは、カートリッジを取り外しているときに針の入口ポート上を摺動する。別の変形例では、一般的に知られているボール型又はOリングシール型逆止弁が利用される。カートリッジの寸法形状は、所要の容量、所望の美的工業上のデザイン及びエンクロージャ内の有効空間によって決まる。カートリッジは、温度調節器内にいったん組み込まれると、ラッチ留め機構体によって定位置に保持される。別の実施形態では、カートリッジ空気ベントは、双方向であり、かかるカートリッジ空気ベントは、例えばゴアテックス(Gore-Tex)のような材料で構成されるのが良い。かかる材料により、空気は、TTFが通過するのを阻止した状態でこの材料を通過することができる。
幾つかの形態では、カートリッジは、流体をカートリッジ内に保持するライナを有するのが良く、このライナは、流体が取り出されるときに潰れることができるのが良く、そして流体がカートリッジに追加されるときに拡張可能であるのが良い。潰れることができるライナ(バッグ又はホルダ)を含む形態では、カートリッジは、流体中へのベントを必要とせず又は含まなくて良く、ライナによって保持された流体リザーバは、環境から隔離されるのが良く、それにより漏れの恐れが減少する。
カートリッジ及び係合弁は、ユーザがカートリッジを補充する潜在的可能性をなくし又は最小限に抑えるよう設計されている。この設計は、ユーザが冷却ユニットによって特別に処方されたTTFだけを利用するようにする。
TTFは、蒸留水、抗菌剤、凍結点を下げるための成分及び湿潤剤(これらには限定されない)から成るのが良い。他のTTF成分も又使用できる。TTFは全て、IEC60601の生体適合性要件及びFDA要件に適合するのが良い。
制御回路は、温度調節器ユニットの冷却又は加熱を制御するソフトウェアを利用しても良く利用しなくても良い。制御回路は、TTFの温度を測定して循環回路内のTTFを所望の温度に維持するのに必要なTECへの電力を調節するよう循環回路内に又はこれに近接して配置される1つ又は2つ以上のサーミスタを利用するのが良い。加うるに、制御回路は、一方又は両方のコンポーネントの温度が所望のしきい値の範囲外にある場合に安全スイッチとしてヒートシンク及び場合によっては熱交換器上に設けられる1つ又は2つ以上の温度制御スイッチを利用するのが良い。制御回路は、TEC、ポンプ及びファンへの電力をもたらすパルス幅変調(PWM)を利用するのが良い。ソフトウェアも又、システムの全ての観点を制御するための制御アルゴリズムを提供するよう利用されるのが良い。ソフトウェアは、TTFの任意所望の冷却曲線を生じさせるような仕方でTECに供給される電力を制御することができる。一形態では、電力は、TTFを電力の発生により迅速に冷却すると共に温度の変化率を実際のTTF温度と標的TTF温度の差が小さくなるときに減少させるようTECに加えられるのが良い。考慮可能な他の温度曲線が存在する。加うるに、TTF温度は、ユーザの生理学的測定値又は時間によって制御可能である。制御回路は又、ユーザインターフェースを冷却ユニットに提供することができる。考えられる形態としては、オン/オフスイッチ、加熱/冷却モードセレクタスイッチ、TTFの標的温度又は実際の温度の温度ディスプレイが挙げられるが、これらには限定されない。制御回路は又、ディスプレイ照明を制御するのが良い。幾つかの形態では、制御回路は、リザーバ又はカートリッジ内のTTFのレベルをモニタしてこのレベルをユーザに表示することができる。制御ユニットは又、これによりTTFレベルが低くなったこと又は空になったことが検出された場合にユニットをシャットオフすることができる。
エンクロージャは、システムの内部コンポーネントの全てを取り付ける手段となると共に空気取り入れ及びファン空気の排出を可能にする。ファン入口及び排出部は、エンクロージャ内に設けられた格子システムを通って差し向けられるのが良く、格子システムは、ユーザがコンポーネントに接触してそれにより怪我を負うのを阻止するよう設計されている。さらに、格子は、ユーザが空気流を格子の望む方向に差し向けることができるよう設計されているのが良い。エンクロージャは、好都合に位置決めされるユーザインターフェース、リザーバ充填又はカートリッジ交換、残っているTTFレベルを求める視覚的手段、到来する電力のための接続箇所、循環回路サーマルアプリケータ/ホース組立体の入口及び出口のための連結箇所及び任意他の所望の連結部の実現を可能にする。
サーマルアプリケータ/ホース組立体の入口/出口コネクタ及び温度調節器エンクロージャコネクタは、サーマルアプリケータ/ホース組立体を調節器組立体に接続したりこれから取り外したりすることができる逆止弁を利用し、この場合、いずれのコンポーネントからもTTFの漏れが生じない。組立体のホース部分は、所望の周囲空気及び湿度条件に対するホース組立体上の凝縮を阻止し又は最小限に抑えるのに十分断熱されている。システムのサーマルアプリケータコンポーネントは、柔軟性ゴム状材料の少なくとも2つの層相互間にシールを形成するよう設計されているのが良い。シールは、任意公知の技術、例えば超音波溶接、RF溶接、接着又は化学溶接によって形成できる。柔軟性材料層は、所望の材料特性、例えば柔軟性、適合性、透過性、ユーザにとっての快適な感触等を呈する広汎な公知の材料、例えばウレタン又はビニルシートから選択される。材料は、生体適合性であることが望ましい。これら層相互間に形成されるシールは、アプリケータがユーザの皮膚と接触状態にある間、TTFを循環させる流れチャネル又は通路を形成する。サーマルアプリケータは、このように用いられた場合に熱交換器としての役目を果たす。温度が温度調節器によって制御されるTTFは、組立体のホース部分を通ってユーザの皮膚と接触状態にあるサーマルアプリケータ中にポンプ送りされる。熱エネルギーは、TTFの選択された温度及びユーザの皮膚温度に応じてユーザに伝えられ又はユーザから伝えられる。アプリケータの層相互間にシールを形成することによって作られるチャネルの設計及びチャネルの全長は、エネルギーの伝達量に影響を及ぼす。アプリケータ内のチャネル及び循環経路の設計も又、アプリケータ内の温度変化に影響を及ぼす。アプリケータの端から端までの温度の均一の分布を維持するようにチャネルを設計することが望ましい。サーマルアプリケータへのホースの入口及び出口接続部は、永続的に作られるのが良く又は切り離し可能な形式の連結部を利用するのが良い。アプリケータ内のチャネルの設計は、これらチャネル内に所望の圧力、温度又は流量を生じさせるようサイズ又は断面積が様々であって良い。加うるに、流れチャネル内の小さな溶接スポット又はドットの使用は、圧力下にある間にチャネルの膨れを制御するために使用できる。アプリケータの外周部は、前頭/前頭前野皮質に近接して位置するユーザの頭蓋の所望の部分に合わせてアプリケータの輪郭を描くことができるよう設計されている。この領域は、一般に、左及び右側頭領域及び眉毛と頭の上中心との間に定められた領域を含む領域として定義される。アプリケータ周囲は又、アプリケータが所望の接触領域内のユーザの頭に合わせて良好に輪郭を形成することができるよう種々の切れ目、スリット又は他の幾何学的特徴を有するのが良い。図2Bは、アプリケータの一形態を示すと共に説明する設計の観点を示している。
サーマルアプリケータは、図3に示されているようにヘッドギヤシステムが装着された被験者の頭と接触状態に保持されるのが良い。ヘッドギヤコンポーネントの一形態では、ユーザに対するアプリケータの接触圧力を選択的に調節するために一連の調節可能なストラップが用いられる。ヘッドギヤの一形態は、調節可能性のない弾性型材料で構成されても良い。材料が弾性であることにより、接触圧力がサーマルアプリケータに加えられる。他の形態は、両方の特徴、即ち、調節可能なストラップと弾性材料の両方を利用する。幾つかの形態では、サーマルアプリケータは、ヘッドギヤと永続的に一体化されるのが良く、他の形態では、サーマルアプリケータは、ヘッドギヤから取り外し可能であるのが良い。
上述したように、本器械のアプリケータ部分は、一般に、被験者の額に当たって位置するよう構成された皮膚接触領域を含む。皮膚接触領域は、一般に、熱伝達領域を有する。温度は、熱伝達領域上でのみ能動的に調節され、この熱伝達領域は、好ましくは、患者の額の領域である。アプリケータは、被験者の頭又は顔面の他の領域が熱伝達領域と接触関係をなさないように構成されるのが良く、かくして、温度調節は、額に対してのみ行われるのが良く、他の領域、例えば眼窩、頬、首、後頭部、頭髪線等には行われないのが良い。かくして、幾つかの形態では、アプリケータは、額だけでなく他の領域に接触し又はこれらを覆うことができるが、熱伝達領域を含まないのが良い。
アプリケータは、一般に、装用者の快適さを高めるよう構成されるのが良い。例えば、アプリケータは、比較的薄い厚さ(例えば、5cm未満、2cm未満、1cm未満等)を有するのが良く、その結果、アプリケータを睡眠中、快適に着用することができるようになっている。アプリケータは、種々の患者の頭の周囲に調節可能にフィットすることができる。
一般に、本明細書において説明する器械のうちの任意のものは、被験者の周りの周囲温度よりも高い温度を加えるよう構成されているのが良い。幾つかの形態では、このことは、アプリケータの患者接触(皮膚接触)表面を25℃〜40℃の温度(例えば、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、又はこれら温度の間に位置する任意の温度)に制御することを意味している。この温度は、一定に保持されても良く又は或る範囲内(例えば、約27℃〜40℃等)で様々であっても良い(又は、変化するようになっていても良い)。
幾つかの形態では、加えられる温度は、相対的な周囲温度に基づいて定められるのが良い。例えば、加えられる温度は、周囲温度よりも所定の量(ΔTemp)高い温度(例えば、周囲温度よりも0.5℃高い温度、周囲温度よりも1℃高い温度、周囲温度よりも1.5℃高い温度、周囲温度よりも2℃高い温度等)に設定されるのが良い。幾つかの形態では、最高温度は、40℃に制限されるのが良い。
器械を作動させる方法及び実験結果
図3は、アプリケータを被験者の頭に取り付ける一方法を示している。アプリケータは、被験者によってその人自体の頭に容易に装着できる。アプリケータは、一般に、寝床に付く直前又は少し前に装着されるのが良い。図3(1)は、アプリケータの一例を示している。被験者(患者を意味している場合がある)は、次に、この器械を図3(2)〜図3(5)に示されているように自分の額に当てるのが良く、そしてこの器械に取り付けられているストラップ(例えば、固定具)を調節して器械が図3(6)〜図3(9)に示されているように快適であり且つしっかりとしているようにする。この例では、アプリケータは、TTFを含み、かくして、管がアプリケータから図3には示されていないが、図1A〜図1Jに示されているベースユニットまで延びる。アプリケータのこの形態は、器具からベースユニットまで延びる1本又は複数の管を含むのが良く、これら管は、被験者の頭上でアプリケータと一緒に調節可能である。被験者は、いったん所定の場所に位置すると、次に、寝床に付くことができる。
図1A〜図1J及び図2Bに示されている器械とほぼ同じ器械を用いた研究を行って不眠症患者の睡眠の質を向上させた。この研究の主要な目的は、器械を2種類の温度、即ち、30℃及び14℃で用いて150人の評価可能な一次不眠症患者におけるEEG入眠尺度、耐容性及び安全性を比較することにあった。説明を簡単にするために、患者の皮膚表面が30℃よりも温かい場合であっても、14℃の温度を「冷却」又は「低温」温度と称し、30℃の温度を「加温」又は「温かい」温度と称する場合がある。
この実験により集められたデータに基づき、睡眠ポリグラム中に得られた睡眠時脳波又は脳電図(EEG)に基づき持続性のある睡眠までの待ち時間の示すところによれば、加熱中の睡眠ポリグラム中に得られた睡眠時EEGに基づく睡眠効率は、ベースラインに対して著しく向上した。これは、図4に示されている。ベースラインは、額の温度を制御していない未治療被験者を意味している。
調査のために用いられた器械は、3つのコンポーネント、即ち、(1)温度制御ユニット、この温度制御ユニットは、流体の温度を調節すると共に流体をこのユニットから額パッドに運ぶ手段となっている、(2)額パッド、及び(3)ヘッドギヤを有していた。温度制御ユニットは、蒸留水及びアルコールから成る熱伝達流体の温度を調節するためにソリッドステート熱電デバイスを利用している。温度制御ユニットは、ユーザ(医師)がユニットをターンオンしたりターンオフしたりし、そして温度を調節して30℃モードと14℃モードを選択することができるようにするユーザインターフェースを含む。温度制御ユニットは、管及び額パッドを通って熱伝達流体を循環させるポンプを備えている。額パッドは、熱伝達領域を備えた皮膚(患者)接触面を含むことによって実際の温度調節を被験者に対して提供する。額パッドは、他の通常の衣料製品で用いられているウレタンフィルムシートで作られていた。ヘッドギヤは、額パッドを定位置に保持するための機構体となっていた。ヘッドギヤは、衣服等級のライクラを主成分とする材料で作られている。
研究は、器械を一次不眠症患者における2つの互いに異なる温度で比較するための多施設計画的でブラインド式のランダム化された交差研究であった。潜在的な被験者は、種々の方法を用いてスクリーニングを受けるよう求められた。電話によるスクリーニングを用いて最初に、包括/除外基準を満たさなかった被験者をふるい落とした。スクリーニングプロセスを続行するのに同意した潜在的な被験者に、完璧を期すために短いインフォームドコンセント(informed consent)書類を送り、スクリーニング行為を続行して被験者の自宅宛に送られるべき研究関連資料の提供を可能にするために書面による同意を得た。サイン入りのスクリーニングコンセントフォームの受け取りに続き、潜在的な被験者は、1週間の睡眠覚醒日誌及び研究上のアンケート調査を終えた。日誌完了後、クリニックへの訪問ダイアリーをスケジュール設定した。インフォームドコンセントは、研究の残部の間、クリニックへの訪問ダイアリーで得られる。クリニックへの訪問ダイアリーを用いて資格審査を試行した。初期資格を判定すると、第1のPSGをスケジュール設定して付随する睡眠疾患を除外した。睡眠疾患がないこと及び睡眠潜時及び効率に関する基準を満たした場合、第2の夜間のベースライン/スクリーニングPSGを実施した。これら2つの研究から得られたデータは、研究に取り入れるための基礎をもたらした。資格があると思われる場合、被験者は、温度条件のうちの一方又は他方のいずれかで開始するようランダム化された。
いったんランダム化されると、各被験者は、各条件で2つの連続した夜を迎えた。被験者は、寝床において全部で8時間を過ごし、そして寝床にいる時間全体の間、器具を装用することが見込まれた。夜の各ダイアドを自宅で3〜5回の夜間の非インターベンション睡眠によって分離した。額パッド及びヘッドピースを被験者の頭に30℃の状態で載せた。被験者へのヘッドギヤ及び額パッドの装着後5分で、条件をランダム化方式(A又はB)に従って設定した。装置を設定した時点と15℃に達した時点との間に25分の時間の遅れが存在した。25分の順化時間後、両方のグループの患者は、患者が快適さに従って温度±1℃を最大限調節することができるよう知らされる。30℃の設定値では、温度調節機能は実施不能であり、温度は、30℃のままであった。快適さ設定値をいったん選択すると、夜の残りについてはそれ以上の調節は許可されなかった。
中央スコアリングサービス(Central Scoring Service :CCS)によって、この部位に対する全体的なPSG研究ガイダンスが提供された。さらに、それによって、PSGデータの集中型スコアリングが得られた。全ての部位は、患者の準備手順、標準的な記録モンタージュ、適切な装置較正及び(PSG収集の開始に先行しなければならなかった)生体−較正手順を含んだ標準的な睡眠プロトコルに従った。記録電極に適切に再接触する時、及び患者の夜半のトイレ休憩の間に記録する方法を含む、PSGをモニタする方法に関する指示の標準化された設定が提供された。
睡眠と睡眠関連イベントのスコアのための、アメリカ睡眠学会(American Academy of Sleep Medicine:AASM)マニュアル(2007)によれば、標準的なPSGモンタージュ、記録のチャネルラベル及び用いる順序は以下の通りであった。すなわち、左の電気眼球図(E1/M2)、右の電気眼球図(E2/M1)、おとがい下筋電図(chin1/chin2)、おとがい下筋電図(chin2/chin3)、脳波図(C3/M2)、脳波図(O2/M1)、脳波図(F4/M1)、脳波図(C4/M1)、及び心電図(ECG)。さらに、睡眠障害スクリーニングナイト(screening night :SN1)に関しては、以下を加えた。胸部インダクタンスプレチスモグラフィー(thoracic inductance plethysmography :TEFFORT)、腹部インダクタンスプレチスモグラフィー(abdominal inductance plethysmography:AEFFORT)、鼻/口の熱センサ(nasal/oral thermal sensor :TFLOW)、鼻/口の鼻空気圧力変換器(nasal/oral nasal air pressure transducer:PFLOW)、酸素飽和度(oxygen saturation :SaO2)、左前脛骨筋筋電図(left anterior tibialis electromyogram :L LEG)、及び右前脛骨筋筋電図(right anterior tibialis electromyogram:R LEG)。PSGを、記録部位ごとにEDF形式に変換し、睡眠段階及び睡眠関連イベントのスコアリングのためにCSSに送った。睡眠は、AASM基準に応じて標準の睡眠段階について30秒のエポックでスコアリングした。呼吸(SBD)及び睡眠時周期性四肢運動(periodic leg movement :PLMS)のイベントを、AASM基準に応じてスコアリングした。睡眠関連呼吸(sleep related breathing :SBD)イベント、無呼吸及び呼吸低下の総数を、PLMSの総数と同様に、総睡眠時間の時間数に対してインデックスを付けた(イベントの数/睡眠時間)。
睡眠潜時は、消灯から持続性睡眠の最初の10分(持続的な睡眠潜時)まで睡眠ポリグラフに由来する主要評価項目によって計算された。睡眠の効率は、TST/総記録時間として決定した。全ての他のEEG睡眠の指標を、睡眠の標準的な指標として収集し、これには、睡眠開始後の覚醒分数(wake minutes after sleep onset:WASO)、覚醒回数(2連続エポックは、覚醒とスコアリングされる)、短時間のAASM−規定の覚醒回数(EEG周波数におけるアルファ、シータ又は16Hz超への3〜15秒のシフト)、ならびに総睡眠時間に対する睡眠段階1、2、デルタNREM睡眠及びREM睡眠の分数及び百分率を含んだ。
本研究の患者集団をスクリーニングした。最初の電話によるスクリーニングの後、150例の一次性不眠症の被験者をランダム化した。被験者は、印刷物及びその他のメディア広告、任意紹介、患者データベース、ならびに口コミで、9つの臨床睡眠研究施設で募集した。この研究に関しては全ての性別及び民族的なバックグラウンドを考慮して、本研究は、22歳以上の成人に限定した。本研究は、全ての人種及び民族群の成人男性及び女性を含んでいた(地域の集団に存在する割合で示される)。本研究は、22歳より若い被験者は含まなかった。この群では、一次性不眠症の臨床的特徴が十分に定義されていないからである。本研究は、被験者の他の特殊な分類、例えば、胎児、新生児、妊婦、囚人、施設に収容された人々、その他脆弱な集団とみなされ得る被験者を含まなかった。
最初の電話によるスクリーニングは、標準的な台本を用いて行った。被験者に電話によるスクリーニングを続けることに同意するよう求めて、口頭の同意を得た。最初の電話によるスクリーニング基準を満たす被験者には、アメリカ合衆国郵便公社又はEメールで短いインフォームドコンセントのフォームを送り、彼らの住所に研究者が研究関連の書類を送付することの許可を求めた。
署名されたインフォームドコンセントのフォームを施設が受け取った際、以下の書類を被験者の家に送付した。不眠重症度指数(Insomnia Severity Index :ISI)、1週のピッツバーグ睡眠−覚醒ダイアリー(ダイアリーは、臨床来診1の2週前まで及びSN1までに完了し得る)、及び自己記入した問診票。1週ピッツバーグ睡眠−覚醒ダイアリーを被験者が終了した際に、診療所スタッフは、臨床来診(臨床来診1)について計画した(研究スタッフは、念のため睡眠−覚醒ダイアリー及びISI、ならびに最初の包含基準を見直した。睡眠−覚醒ダイアリーから睡眠効率に関する算出を行った。必要な睡眠効率(夜間の50%で85%)を確認した後、被験者は研究を中断することに同意した。臨床来診1で、上述の文書の見直しに加えて、以下を行った。病歴/面接(M.I.N.I.,SCIDSLD)、併用する医薬の見直し、尿中薬物スクリーニング、及び必要であれば尿妊娠検査。
睡眠にも健康にも影響しない十分管理された健康状態(例:十分に管理された甲状腺の疾患、喘息又は潰瘍)を有する個人は除外しなかった。ここで個人面接では、これらの基準を評価するために、可能性のある被験者では、一般的な医学的問題の問診票を完成させた。
以下の手段を用いて、二次的不眠症の包含・除外を評価し、医学の専門的知識と組み合わせた、合併する精神医学的、神経精神病的及び医学的状態としては以下が挙げられる。精神疾患簡易構造化面接法(Mini International Neuropsychiatric Interview :M.I.N.I.)、自己報告した病歴の医師による見直し、不眠重症度指数(Insomnia Severity Index :ISI)、SCIDSLD、併用薬、MedTox EZ−Screen及び尿の定性的ヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human Chorionic Gonadotropin:HCG、Qualitative, Urine)。M.I.N.I.は、DSM−IV及びICD−10の精神医学障害の存在について評価するための構造化された診断的面接である。自己報告による病歴及び患者のインタビューの医師による見直しで、適正基準を決定するために必要な場合、現在及び過去の病歴の見直しが得られる。不眠重症度指数(ISI):ISIは、不眠の重症度の値をもたらす主観的な評定尺度である。SCIDSLDを用いて、不眠症の診断を行って、他の睡眠障害の存在は無視した。除外のために医薬の慢性的な使用について併用薬を評価した。MedTox EZ−Screen:尿中薬物スクリーニングも用いた。尿の定性的ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を用いて妊娠について尿を試験した。
述べたとおり、包含基準としては以下が挙げられた。年齢≧22歳、インフォームドコンセントに署名、一次性不眠症のDSM IV(精神障害の診断と統計マニュアル第4版)の診断基準、及びICSD一般不眠症基準及びRDC不眠症障害基準を満たす不眠症の診断(基準には以下を含む。睡眠におちること、寝たままでいることが困難であるという愁訴、早く起きてしまう、又は回復睡眠が取れないこと、睡眠の十分な機会、日中の機能障害の証拠、少なくとも1か月を上回る最少持続基準、及びほぼ毎日睡眠の愁訴が存在すること)、本研究の間アルコールを摂取せず、睡眠に影響し得る薬物を回避する被験者、>14の不眠重症度指数、及び睡眠−覚醒ダイアリーが夜のうち少なくとも50%で睡眠効率<85%を示す。
除外基準としては以下が挙げられた。睡眠、脳機能又は認知に独立して影響し得る神経精神病的障害、例えば、現在の主要な症候性の精神医学障害(例:DSM−IVの心的状態、不安、精神障害及び物質使用障害)、特異的な除外診断としては以下が挙げられる、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、パニック障害、強迫性障害、全般性不安障害、何らかの精神病、及び何らかの最新の物質使用障害。不安定な医学的状態としては、重度の心臓、肝臓、腎臓、内分泌腺(例:糖尿病)、血液学的(例:ポルフィリン症又は任意の出血異常)、他の損なわれているかもしくは不安定な医学的状態又は切迫している手術、中枢神経系障害(例:頭部損傷、発作性障害、多発性硬化症、腫瘍)、進行性の消化性潰瘍性疾患、炎症性腸疾患、及び関節炎(関節炎が睡眠に影響する場合)、レイノー氏病、交代勤務労働者を含む不規則な睡眠スケジュール、睡眠障害スクリーニングナイト又はベースラインのPSG睡眠ナイトのいずれかで持続睡眠が15未満までの潜時、睡眠障害スクリーニングナイト又はベースラインのPSG睡眠ナイトのいずれかに対する85%を超える睡眠効率、無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)>10及び/又は周期性四肢運動覚醒度指標(PLMAI)>15(SN1より)、肥満度指数(Body Mass Index :BMI)>34、睡眠又は覚醒の機能に影響することが既知の医薬(例:催眠薬、ベンゾジアゼピン類、抗うつ薬類、抗不安薬類、抗精神病薬類、抗ヒスタミン剤類、うっ血除去薬類、ベータ遮断薬類、副腎皮質ステロイド類)(血液脳関門を通過しないベータ遮断薬は、許容される)、1日あたり複数のアルコール性飲料の消費、又は研究登録前の1週間に7を超える飲用、1日あたり4を超えるカフェイン添加飲料の消費、又は5杯以上に相当するコーヒー、ならびに英語を読めないか又は理解できないこと。
さらに、尿中薬物スクリーニングが陰性であって、他のI/E基準が満たされた場合、実験室のスクリーニングナイトで2つのうち最初を計画した。これらは、スクリーニングPSG(SN1)臨床来診2及びスクリーニング/ベースラインPSG(SN2)である。
被験者には、3つの別々の出来事(各々少なくとも3〜5日ごとに分かれた)に対する2夜連続で計画されたおやすみ時間(good night time :GNT)の約2〜3時間前に睡眠実験室に報告するように求めた。全ての被験者が、モニタのためにベッド中で8時間という固定時間であった。おやすみ時間は、睡眠−覚醒のダイアリーの完了の1週間にわたって家で平均したベッド中の彼らの睡眠ダイアリー時間の真ん中のポイントの4時間前として決定した。おはよう時間は、家のベッド中での彼らの睡眠ダイアリー時間の真ん中のポイントの4時後として決定した。
記録は、別々に、快適な、暗くされた防音室で、温度を調節して(18〜20℃−65〜68°F)正常な湿度条件でとった。各々の睡眠施設は、標準的な温度計を備えており、睡眠室では各々の夜について各々の被験者について室温を記録した。被験者は、併用薬に関して尋ねられ、ピッツバーグ自宅睡眠ダイアリーの実験室内バージョンに記入した。被験者は、アルコール消費に関して呼気検査を行う必要があった。もし陽性であれば、その被験者は、本研究を継続できなかった。被験者は、睡眠パラメータをモニタするための電極を装着した。PSG SN1の被験者を、睡眠時無呼吸及び周期性四肢運動障害についてスクリーニングした。(臨床来診2)。睡眠潜時、睡眠効率、AHI及びPLMAIに関する睡眠の臨床「クイック」スコアを行い、もし本研究が包含基準を満たす場合、彼らは、SN2について計画した。PSG SN2被験者は、ベースラインのEEG睡眠測定を収集するためのデバイスなしで中断されずに眠った(臨床来診3)。睡眠診療所の職員は、睡眠潜時及び睡眠効率についてSN2をスコアリングした。
DN1では、ランダム化を行った。被験者は、睡眠実験室(30℃が最初又は15℃が最初)でセレブ(Cereve)睡眠システムの設定の配列又は順序に対して無作為化した。被験者のランダム化は、研究センターで階層化して、全ての研究センターに渡る設定の順序のバランスを確保した。被験者は、彼らが、睡眠実験室で第一デバイスナイト(first device night:DN1)に到達したときにランダム化した。睡眠実験室データのスコアリングのために第三者の盲検を用いて、バイアスの管理を補助した。被験者は、どの温度が治療温度であると仮定されたかに関しては知らされていなかった。被験者に接触する全ての研究スタッフは、どれが治療的条件であるかに関して盲検であった。睡眠データのスコアリングのための第三者の盲検を用いて、研究のバイアスを低減した。可能な程度まで、全ての関連研究スタッフを仮定に関して盲検とした。PSGは、スコアリングの信頼性が証明されており、かつ処置の割り当てに関して盲検であったスコアラーのチームによって各々スコアリングされた。被験者は、仮定に関して盲検とされた。
デバイスナイト1〜4の間、睡眠のための条件は、別々の快適な、暗くされた防音室で、温度を調節して(68°−72F)及び正常な湿度条件での記録を含んだ。各々の睡眠施設は、標準的な温度計を備えており、睡眠室では各々の夜について各々の被験者について室温を記録した。被験者は、条件の順序に対してランダム化された。被験者はまた、併用薬に関して尋ねられ、デバイスナイト1〜4に関してピッツバーグ自宅睡眠ダイアリーの実験室内バージョンに記入した。被験者は、アルコール消費に関して呼気検査を行う必要があった。もし陽性であれば、その被験者は、本研究を継続できなかった。被験者は、睡眠パラメータをモニタするための電極を装着した。おやすみ時間の65分前に、そのデバイスをオンにして、温度が30℃に達するのに必要な時間置いておいた。GNTの60分前に、デバイスナイト(DN1、DN2、DN3及びDN4)で、被験者を快適な椅子に座らせて、技術者が、30℃の温度で、装着した額パッド(上述)を備えたヘッドギヤを補助及び/又は取り付けた。
ヘッドギヤを装着したらすぐに、被験者は以下の写真を撮った。顔の前、顔の横、ならびに頭頂部及び後頭部。被験者が匿名性を保持することを選択した場合、サングラスが装着可能であった。写真撮影の直後、被験者は、実験室の寝室で快適な椅子に静かに座るように、そして携帯電話もしくはコンピュータを使うこと、又はテレビを見ることなどの潜在的に刺激的な活動を行わないように求められた。被験者は、この時間の間に接触するのは研究スタッフに限定された。25分後、技術者は、±1℃の変化を1回行う機会を提案した。任意の設定の変化を行った後、被験者は、さらに25分間座り続けた。GNT:25分経過後、被験者は、睡眠期間を開始するために横になることもできた。その睡眠期間は、消灯から点灯までとして定義した。被験者は、GNTの前に全部で60分の間その頭部上にデバイスがあった。被験者は合計8時間ベッドにいた。被験者には、ベッド期間のうち8時間の間、ヘッドギヤ及び額パッドを保持するように求めた。
デバイスナイトの後の朝には、被験者は、最初の覚醒の際に朝のアンケートに記入した。8時間の就寝時間の後、ヘッドギヤを取り外して、被験者は朝のアンケートに記入した。MMSE及び有害事象アセスメントは、覚醒の1時間後に開始した。ミニメンタルステータス検査(mini mental status exam :MMSE)を、任意の所定の条件でのみ、第二夜の朝に被験者に対して行った。
試行の結果が図4〜図13Bに示されている。上述したように、研究結果により分かったこととして、入眠潜時を図4に示されているようにベースラインと比較して実質的に減少させた。かくして、額が30℃の熱伝達領域を有するアプリケータに接触させた患者では、睡眠に至るまでの平均時間を約75分から約30分に短縮させた(約100人の患者のうちのn人に関し)。睡眠の開始待ち時間を決定するにあたって、上述したように患者のECG記録を調べ、そして入眠の客観的尺度を提供した。データは、かなり有意であった(0.001未満のp値)。
同様に、被験者の睡眠効率を図5に示されているように劇的に且つ大幅に増大させた。睡眠効率は、眠っている時間を寝床にいる時間で除算することによって求められ、そして百分率で表される。眠っている時間は又、ECG評価によって求めた。ベースラインと比較して、被験者は、睡眠効率に関して約67%から80%を超える増大を経験した。図5に示されているように、同一の被験者集団について、全体的な眠っている時間(8時間標準化期間について)が約322分から約385分に増大した。注目すべきこととして、本明細書に用いられる「患者」及び「被験者」は、別段の指定がなければ、区別なく用いられている場合がある。被験者としての人間を含む任意適当な被験者を指示することができる。
加うるに、睡眠段階動態又は被験者が平均で睡眠段階の各々(1期、2期、3期、REM)で過ごした時間の量で理解される睡眠の質がベースラインと比較して向上した。例えば、図7は、周囲温度(例えば、ベースライン)と約30℃で温度調節器を額に当てた状態との間におけるベースラインからの1期睡眠のパーセント変化を示している。個々の患者の各々のパーセント増大を求め、そして図7は、夜間にわたって30℃の額温度調節を受けた100人の患者の平均を示している。1期睡眠の変化は、同一の患者のベースラインと比較した各患者についての1期睡眠の全体的増大分(約4%)を示している。
2期睡眠の劇的な増加(1期よりも「深い」睡眠)が図8に示されているように分かった。ベースラインと比較して、上述の被験者は、8時間睡眠期間にわたり2期睡眠において著しい増大を示した。図9は、3期デルタ睡眠も又、被験者の額が睡眠期間中、30℃に保たれている場合には著しく増大したことを示している。最後に、図10は、アプリケータが30℃に保持されたときの同一患者のREM睡眠に対する相当な作用効果を示している。このデータは、図11にまとめ概要が示されており、図11は、各患者の個々のパーセント変化を平均したベースラインのパーセント変化として睡眠段階動態における変化を示している。前睡眠時間の変化(約18%の増加分を示している)も又示されている。同一患者における治療後の(額での30℃)条件と未治療(周囲温度)条件における増大は、全体的睡眠を増加させる場合において、特に、深い睡眠段階の増加において顕著な作用効果を示している。これらの変化は薬理学的睡眠補助手段、例えばアンビエン(ゾルピデム)を用いた場合に分かる変化と同等又はこれよりも大きい。
睡眠の改善は又、相対的尺度、例えば患者報告成果で分かる。例えば、図12に示されているように、患者により報告された睡眠の質(主観的な睡眠の質)は、治療後の患者のうちで67%を超えて劇的に改善した。この主観的な改善は又、非常に著しく、しかも薬理学的作用剤による治療と同等であった。興味深いこととして、これは、実験前からのインタビュー結果により確かめられ、そして図13A及び図13Bに示されている患者の期待に反した。これらの結果に示されているように、睡眠潜時の同等の改善は、加温による治療による改善が見られることを期待した被験者(n=47)とこれとは逆に冷却により改善が見られることを期待した被験者(n=41)の両方で見られ、両方は、約49分の睡眠潜時(寝入るまでの時間)の減少を示した。同様に、睡眠効率も又、同一被験者群においてほぼ同じ量(例えば、22%に対して25%)改善した。
上述の研究では、額だけの温度を周囲温度よりも高い温度まで調節することが患者の睡眠に対してかかる顕著な作用効果をもたらしたということは驚くべきことであった。これら実験は、不眠症の患者について行われたが、作用効果は、不眠症には限定されない。同様な結果を通常の患者においても又はときに眠りにつき又は眠りを持続するのに問題を経験する被験者においても得られるはずである。具体的に言えば、患者の額の温度を周囲温度よりも温かい温度に(且つ/或いは25〜40℃の温度に)調節するための温度制御の利用により、睡眠潜時(寝入るまでの時間)を短縮することができ、入眠後における覚醒を減少させることができ、全睡眠時間を増大させることができ、EEG睡眠段階を睡眠の深い段階にシフトさせることができ、3期デルタ、徐波睡眠を増大させることができ、しかも主観的な睡眠の質を向上させることができる。これら作用効果は、器械の効果に関して治療上の期待とは無関係である。
かくして、幾つかの形態では、熱伝達パッド(アプリケータ)を局所的に当てることにより睡眠の質を向上させることができる。治療領域は、上述したように額には限定されないと言える。例えば、一形態では、熱伝達パッドは、無毛の(頭髪のない)皮膚の上に位置する額の領域を覆うよう形作られる。前頭皮質は、これが体表面の最も高い熱感度を有し、これがこの機能にとって特有の神経及び血管に関する供給を有し、そしてパッドを睡眠適用中に配置する上で好都合な表面が睡眠を妨げたとしても最小限にすることができるということを条件として、温度調節療法を視床下部に提供する上で体の領域全体にわたって特徴的に重要であると考えられる。かくして、アプリケータと額との間の熱伝達を確立するアプリケータの配置は、睡眠に恩恵を与えることができる。
上述の説明は、額の温度を周囲温度に対して加温した場合に分かる堅固な作用効果の何らかの理論的基礎となるよう試みているが、本発明は、この観察される作用効果のこれらの理論的正当化には限定されるべきではない。と言うのは、方法及び器械は、動作理論の正確さとは無関係に効果的に動作することができるからである。さらに、加温された循環流体によって熱伝達とは独立して額皮膚温度を変更する多くの他の電気的又は機械的方法が本明細書に記載されている。これら方法は、単にこれらの領域に加温を提供する別の方法を利用することによって、上述したのと同一の基礎をなす脳機序による睡眠の質を向上させる目的で提供された領域及びやり方で利用できる。
一般に、これらの方法は、眠りに容易につくよう利用できる。例えば、本器械は、額部上の領域の頭蓋上に使用されて、温度調節信号を提供して視床下部の敏感な催眠性のニューロンを加温して、それにより睡眠を容易にする。本器械は、入眠を助けるよう睡眠に先立って使用されるのが良い。睡眠中に本器械を利用すると、徐波睡眠を増大させ、睡眠の維持を向上させ、覚醒を減少させ、しかも夜間にわたって寝入った状態で過ごす時間を増加させることが判明した。本器械は、前頭皮質の領域上の被験者の頭表面領域と連絡するよう構成されるのが良い。
本器械は、少なくとも以下の状態(これらには限定されない)即ち、健常な睡眠を向上させること、不眠症患者の睡眠を向上させること、不眠を経験している個人の睡眠を向上させること、神経精神病学的疾患、例えば抑鬱症、気分障害、不安障害、物質乱用、心理的外傷後ストレス障害、精神病性障害、躁鬱病及び人格障害及び不眠を経験している任意の神経精神病学的患者を改善すること、慢性疼痛を含む疼痛及び偏頭痛を含む頭痛のある患者の睡眠を改善すること、他の医学的疾患、例えば心臓疾患、内分泌疾患及び肺疾患に対して二次性の不眠又は不眠症のある患者の睡眠を改善すること、不眠又は不眠症が起こる神経疾患のある(これは、耳鳴を含むが、これには限定されない)患者の睡眠を改善することにおいて睡眠を改善するために使用されるのが良い。
また、睡眠の質を向上させる方法及びかかる方法を実施するための手段が本明細書において記載され、かかる手段は、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアを含むのが良く、かかる手段としては、実行可能なコードを含む。例えば、本明細書において、器械の温度を制御する方法も又説明される。上述の調査研究は、額の温度を制御して温度を額に加え又は額の温度を制御して睡眠を調整する種々のレート及び時間軸の作用効果を裏付けている。上述の例及び説明の示すところによれば、30℃の一定の温度が不眠症患者の睡眠を改善させた。このデータ及び追加のデータに基づき、約25℃〜40℃の範囲(又は、25℃〜42℃、又は27℃〜40℃、又は30℃〜40℃等)は、不眠症患者の睡眠の質を向上させる上でほぼ同じ作用効果を有すると言える。幾つかの形態では、本器械の一定の温度を使用期間全体にわたって変化させないで維持するのが良い。他の形態では、温度を変化させるのが良い。
一般に、熱伝達パッドは、眠りにつく前に(「良い夜間」前に)利用されるのが良い。一般に、良好な夜間は、患者が寝入る(又は、眠ろうとする)意図した時間を意味する場合があり、これは、患者が寝床に入る時間又はその後の幾分かの時間であるのが良い。かくして、例えば、本器械は、睡眠の開始プロセスを容易にするために、寝床に入る数分前、寝床に入る5分前、寝床に入る10分前、寝床に入る30分前、寝床に入る45分前、寝床に入る1時間前等に患者に利用されるのが良い。上述の調査の示すところによれば、30℃が睡眠の開始を容易にする上で有効である。神経伝達は、数秒以内に起こることが可能であり、従って、本器械を寝床に入るのに近接して利用することにより、本器械が睡眠の開始を短縮する能力を高めることができる。入眠に対してだけの作用効果が望ましい場合、本器械は、被験者が寝入る前に取り外されても良い。幾つかの形態では、患者は、寝床に入る前に(例えば、寝床に入る1時間〜数分前に)着用し、次に寝床に入る直前に本器械を取り外すのが良い。被験者は又、本器械を睡眠中取り付けたままにすることができる。
本器械(熱伝達パッドを含む)は、被験者が寝床に入ったとき又は被験者が寝床に入った後に利用され、そして一晩の睡眠全体にわたって着用され、それにより一晩の睡眠全体にわたって睡眠を容易にする。上述の調査研究の示すところによれば、30℃が深い眠りを容易にする上で効果的であると言える。上述したように、本器械は、睡眠の開始プロセスを容易にするよう寝床に入る前に利用され、そして一晩の睡眠全体にわたって睡眠を容易にするよう一晩の睡眠全体にわたって着用されたままであるのが良い。
一般に、本器械により加えられる温度は、一定であっても良く(例えば、患者が寝床に入ろうとしている時点で周囲温度よりも高い一定の温度に保持され、約25℃〜40℃、例えば30℃等の一定の所定温度に保持されても良く)、或いは、かかる温度を変化させても良い。例えば、本器械は、例えばプロセッサ又は他の制御部を含むことによって、指定された変化が使用期間全体にわたって送られた状態で温度の加え具合を変化させるよう構成されても良い。制御部は、ユーザによって動作可能であるのが良く、その結果、ユーザは、温度及び/又は作動の時間経過を決定することができ、或いは、制御部は、本器械に組み込まれる温度及び/又は時間経過に関するあらかじめ選択された選択肢のメニューをユーザに提供するよう構成されるのが良い。変形例として、本器械は、利用のための温度及び/又は時間経過を自動的に選択しても良い。
例えば、本器械は、NREM及びREM睡眠段階の発生の蓋然性に合わせて温度の時間経過を変化させるよう構成されるのが良い。脳内温度並びに脳内血流及び脳内代謝は、一晩の睡眠全体にわたって特徴的な仕方で変化し、個人の睡眠段階並びに睡眠の始まりからの時間の持続時間で決まる。NREM睡眠段階は、より軽い1期睡眠、より深い2期睡眠及び最も深い徐波睡眠を含み、徐波睡眠は、夜間の最初の半分で顕著である。REM睡眠は、一晩にわたって周期的に、即ち、60〜90分ごとに起こり、次第に長く且つより強くなるREM期間は、夜間の後の部分で起こる。脳内温度、血流及び代謝は、深いNREM睡眠の際に減少し、REM睡眠では増大する傾向がある。これらの変化の起こる度合いは、睡眠にとって機能的に重要であると考えられる。上述したように、周囲温度よりも高い温度を被験者の額に加えるよう本明細書において説明した器械は、次に徐波睡眠の増大を招く視床下部の温かさに敏感なニューロンを活性化することによってNREM睡眠を深くすることを容易にすることができる。可変熱伝達時間経過は、一層の加温(例えば、周囲温度又は絶対温度と比較して高い温度差及び/又は長い加熱時間)を徐波睡眠が最大になろうとするときの夜間の早期に患者の額に及ぼすのが良く、REM睡眠及び自然な脳の加温が起こっているときの夜間の終わりに向かって加温を少なくする(周囲温度又は絶対温度と比較して増大を少なくし且つ/或いは加温期間を短縮する)。
幾つかの障害、例えば抑鬱症は、REM睡眠において特徴的な変化を示す。上述の研究の実証するところによれば、熱伝達アプリケータの温度を変更することによりREM睡眠の発生に対して予測可能な影響を及ぼす。一治療方法は、夜間全体にわたりREM睡眠の発生を治療的に標的にするようになった可変熱伝達を含む場合がある。例えばREM睡眠時間及び強さが夜間の最初の1/3で非常に集中するように思われる抑鬱症では、この期間にわたってアプリケータによる30℃の使用は、異常なREM睡眠発生を阻止するものと見込まれ、これに対し、夜間の後半分でより中立的な温度(例えば、周囲温度)を用いることにより、夜間のその部分においてより正常なREM睡眠の発生を生じさせることができる。
REM及びNREM睡眠における変更は、種々の神経精神病学的疾患において起こる場合がある。アプリケータの熱伝達領域(これは、本明細書において「マスク」という場合がある)の温度を変更して特定の疾患に直接関連付けられた深いNREM睡眠又はREM睡眠の別々の観点を容易にし又は減少させる一般的原理は、その疾患に特有の治療上の有用性を有するものと見込まれる。
本明細書において説明した形態のうちの任意のものにおいて、本器械は、周囲温度及び/又は皮膚温度を検出する1つ又は2つ以上の温度センサを有するのが良い。例えば、本器械は、アプリケータのところ又はその知覚で周囲温度を検出することができると共に/或いはアプリケータを装用している被験者の皮膚温度を検出することができる。検出された温度情報を器械のコントローラにフィードバックするのが良く、そしてこれを用いて例えば加えられる温度を設定し又は調節するのが良い。
本明細書において説明した器械は、被験者の睡眠状態を判定するよう構成された1つ又は2つ以上のセンサ(又は検出サブシステム)を更に含むのが良く又はかかる1つ又は2つ以上のセンサ(又は検出サブシステム)で動作するのが良い。センサ又は検出サブシステムは、EEG(脳波)センサ、動作センサ(睡眠状態を判定するために睡眠運動を検出する)、及び/又は体温センサ又は当業者に知られている睡眠を判定する他の手段を含むのが良く、追加の例を以下に提供する。
アプリケータの温度特性を変更することは、睡眠生理学に対して予測可能な影響を及ぼすことが判明した。したがって、睡眠生理学上の変更を測定し、かかる変更をフィードバックループに組み込むことが可能であり、その結果、温度の変更が生じる。したがって、このようにして、本器械のコントローラは、なんらかの所望の生理学的効果を達成するようリアルタイムで加えられる器械温度を調節するのが良い。
幾つかの形態では、指定された変化を含む可変温度をこれら変化が使用期間中、体の生理学における変化からのフィードバックに関連付けられた状態で、使用期間全体にわたって送られるのが良い。
例えば、以下の生理学的尺度、即ち、当業者による任意のREM/NREM睡眠評価方法による評価されるREM又はNREM睡眠の存在又は不在、例えば、EEG周期、心拍数変化性、筋緊張又は他の手段、EEG波分析又は他の手段により測定される徐波睡眠の深さ、HR可変性又は他の手段により測定される自律性の覚醒度、電気皮膚反応、器械の下に位置する頭上の皮膚のところ又は器械の下には位置していない頭の他の何らかの部分のところの皮膚上の皮膚温度、又は末梢皮膚温度、又は中心の体温(内部で測定され又は何らかの外部手段によって測定される)又は頭及び周囲の温度調節を評価するなんらかの組み合わせ手段、又は体の中心から末梢への温度の尺度をモニタしそして生理学的尺度のレベルに従ってかかる生理学的尺度をリアルタイムで温度調節するのが良い。
上述したように、本器械を着用している人は、幾つかの形態では、変化をフィードバックに関連付けて又は関連付けないで、使用期間全体にわたって温度プロフィールを変更することができる。例えば、本器械に設けられている制御部により、本器械を着用している被験者は、被験者の瞬間の快適さ及び治療上の要望に応じて、温度を幾分かの僅かの増分で上方に又は下方に調節することができる。
本明細書において説明した器械(器具及びシステム)の幾つかの形態では、個人は、自分の就寝時刻及び所望の起床時刻(及び/又は良好な夜間)を設定することができ、あらかじめプログラムされたアルゴリズムがこれらの時刻での開始及び停止を入力することができ、そしてこの期間全体にわたって相対的な方式で起こる小刻みな調節を行うことができる。これら自動化時間計算は、任意の定められた期間全体にわたって熱伝達率の任意の可変スケジュールについて実施できる。
アプリケータは、一般に、皮膚接触(額接触)熱伝達領域を含むのが良い。この熱伝達領域は、任意適当な材料で構成できる。例えば、幾つかの形態では、皮膚に接触する熱伝達パッドの内張りは、表面領域接触を増大させると共に熱伝達特性を向上させることができるヒドロゲルである。適当な温度伝達特性を備えた他の材料を用いることができる。
幾つかの形態では、アプリケータは、夜間全体にわたって接触状態にあるときに皮膚を若返らせることができる皮膚用製品と組み合わされた内張りを含む。例えば、皮膚を水和すると共に/或いは薬物を皮膚に塗布するよう構成されたクリームを用いることができる。
幾つかの形態では、一晩の睡眠全体にわたって塗布されると皮膚に恩恵をもたらすことができる内張りを毎晩又はそれよりも頻度が少ない方式でリフレッシュするのが良い。かくして、アプリケータ、特にアプリケータの皮膚接触部分は、毎日(例えば、毎晩)、一日おき、毎週等で使い捨てであると共に/或いは交換可能であるよう構成されているのが良い。
本明細書において説明する器械の形態のうちの任意のものは又、器具を用いて器具の動作に関するデータを記録し、記憶すると共に/或いは伝送すると共に/或いは被験者に関する情報卯を記録し、記憶すると共に/或いは伝送するよう構成されているのが良い。患者の臨床的管理では、保健医療提供者は、ケアを最適化することができるように、使用の多くの夜間にわたって患者及び/又は器具の或る特定のパラメータを知りたいと思う場合がある。幾つかの形態では、メモリ(例えば、メモリカード、メモリチップ等)が全ての又は幾つかのパラメータを自動的に記録してこれらを後で表示すると共に/或いは保健医療提供者に伝送することができるよう記憶する。さらに、器具ユーザは、自分自身のケアをモニタする際、ケアを最適化することができるように、使用の多くの夜間にわたって患者及び/又は器具の或る特定のパラメータを知りたいと思う場合がある。器械は、例えばコンピュータ計算装置(コンピュータ、移動通信デバイス、ウェブサイト等)へのアップロードのためにこの情報を表示すると共に/或いは伝送するよう構成されているのが良い。
幾つかの形態では、この情報は、電話又はインターネット若しくは誰かがこの情報をレビューしてそれに応じて治療において推奨される調節を行う何らかのワイヤレス技術により保健医療提供者のオフィスに又は他の何らかの中央データベースに伝送されるのが良い。
記憶されるのが良い情報の例としては、アプリケータの温度、皮膚温度、体の中心の温度、自律的可変性、NREM睡眠により評価される睡眠の深さ、別々の周波数帯域でのEEG電力、REM睡眠又は他の睡眠段階等、夜間全体にわたる活動及び/又は覚醒の期間、睡眠深さ/快適さ/満足度の主観的尺度、及び睡眠時間が挙げられるが、これらには限定されない。
本明細書において説明する器械(器具及びシステム)のうちの任意のものは、所定の期間にわたって温度の漸次増大/減少(例えば、「ランピング(ramping )」)を動作させ(又は、これらの動作の一部として含む)よう構成されているのが良い。本明細書において説明する形態のうちの任意のものにおいて、温度は、周囲温度から標的温度まで、又は標的温度範囲に「ランピング」されるのが良い。一般に、標的温度が本明細書において記載されている場合、標的温度は、標的温度範囲、例えば、標的温度を中心とした温度の±範囲であると理解され、この場合、範囲は、約0.5℃相互間(例えば、±0.5℃)、1℃相互間(±1℃)、2℃相互間(±2℃)、3℃相互間(±3℃)、4℃相互間(±4℃)、5℃相互間(±5℃)等であるのが良い。幾つかの形態では、標的温度範囲が特定されている場合がある(例えば、約26℃〜40℃(両端の値を含む)、約27℃〜40℃、約28℃〜40℃、約29℃〜40℃、約30℃〜40℃、約31℃〜40℃、約32℃〜40℃、約33℃〜40℃、約34℃〜40℃、約35℃〜40℃、約36℃〜40℃等)。
例えば、幾つかの形態では、本器械は、或る所定の/ユーザの選択時刻で、アプリケータの温度を所定の温度(例えば、周囲温度)に変化させ(例えば、増減し)、被験者に刺激を与えて起床させる目覚まし時計(又は「起床」)特徴を含むよう構成されるのが良い。例えば、幾つかの形態では、温度は、約25℃(又は30℃等)を中心とする範囲に設定されるのが良い。この温度は、被験者が起床するのを助けることができる。
特徴又は要素を、本明細書において、別の特徴又は要素「上」(“on”)に位置していると言った場合、この特徴又は要素は、他方の特徴又は要素上に直接位置しても良く、或いは、介在する特徴及び/又は要素が更に存在していても良い。これとは対照的に、特徴又は要素を別の特徴又は要素「〜上に直接」(“directly on ”)と言った場合、介在する特徴及び要素は、存在しない。また、理解されるように、特徴又は要素を別の特徴又は要素に「連結され」(“connected ”)、「取り付けられ」(“attached”)又は「結合され」(“coupled ”)と言った場合、この特徴又は要素は、他の特徴又は要素に直接連結され、直接取り付けられ、又は直接結合される場合があり、或いは、介在する特徴又は要素が存在する場合がある。これとは対照的に、特徴又は要素を別の特徴又は要素に「直接連結され」(“directly connected”)、「直接取り付けられ」(“directly attached”)又は「直接結合され」(“directly coupled”)と言った場合、介在する特徴又は要素は、存在しない。一実施形態を参照して説明し又は図示しているが、このように記載され又は示された特徴及び要素は、他の実施形態に利用できる。また、当業者には理解されるように、別の要素に「隣接して」(“adjacent”)配置された構造又は特徴に対する言及は、隣接の特徴とオーバーラップし又はその下に位置する部分を有する場合がある。
本明細書において用いられる用語法は、特定の実施形態だけを説明する目的のためであり、本発明を限定するものではない。例えば、明細書で用いられる単数形“a”、“an”及び“the”は、別段の明示の指定がなければ、複数形をも含むものである。さらに理解されるように、明細書で用いられる「〜を有する」(“comprises”及び/又は“comprising”)は、記載した特徴、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を特定しているが、1つ又は2つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除しているわけではないことは更に理解されよう。明細書で用いられる「及び/又は」は、関連の列記した項目のうちの1つ又は2つ以上の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含み、「/」と略称されている場合がある。
空間に関する用語、例えば「〜の下」(“under”)、「〜の下方」(“below”)、「下側」(“lower”)、「〜の上方」(“over”)、「上側」(“upper”)等は、図に示されているような1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴の関係を説明するよう説明を容易にするために用いられている場合がある。理解されるように、これらの空間に関する用語は、図に示された向きに加えて、使用又は作動中における器具の種々の向きを含むものである。例えば、器具が図中、逆さまになっている場合、他の要素又は特徴の「下」(“under”)又は「下側」(“beneath”)と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方」(“over”)に差し向けられる。かくして、一例として用語「〜の下」(“under”)は、上と下の向きの両方を含む場合がある。器具は、それとは異なるように差し向けられる場合があり(90°回して又は他の向きで)、本明細書で用いられる空間に関する説明は、それに従って解釈される。同様に、「〜の上方に」(“upwardly”)、「〜の下方に」(“downwardly”)、「垂直」(“vertical”)、「水平」(“horizontal”)等という用語は、別段の指定がない場合、本明細書における説明の目的のために用いられているにすぎない。
「第1の」(“first ”)及び「第2の」(“second”)という用語は、本明細書においては、種々の特徴/要素を説明するために用いられている場合があるが、これら特徴/要素は、文脈上別段の指定がなければ、これらの用語によって限定されることはない。これら用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために用いられていると言える。かくして、以下に説明する第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれても良く、同様に、以下に説明する第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれても良く、このことは、本発明の教示から逸脱しない。
本明細書及び特許請求の範囲において用いられているように(実施例で用いられている場合を含むと共に別段の明示の指定がない限り)、全ての数は、語句「約」(“about”)又は「ほぼ」(“approximately”)という用語が前に付けられたものであるかのように読まれるのが良い。たとえ、この用語が明示的に見えていなくてもそうである。語句「約」又は「ほぼ」は、値及び/又は位置の妥当な予想範囲内に収まることを指示するために大きさ及び/又は位置を説明する際に用いられている場合がある。例えば、数値は、記載した値(又は値の範囲)の±0.1%である値、記載した値(又は値の範囲)の±1%、記載した値(又は値の範囲)の±2%、記載した値(又は値の範囲)の±5%、記載した値(又は値の範囲)の±10%等の値を有する場合がある。本明細書に記載した任意の数値範囲は、本明細書において中間合計された全ての部分範囲を含むものである。
種々の例示の実施形態を上記において説明したが、多くの変更のうちの任意のものを種々の実施形態に加えることができ、これは、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱しない。例えば、種々の記載した方法ステップの実施する順序は、変形実施形態では変更される場合が多く、他の変形実施形態では、1つ又は2つ以上の方法ステップは、全て飛ばされる場合がある。種々の装置及びシステム実施形態のオプションとしての特徴は、幾つかの実施形態では含まれ、他の実施形態では含まれない場合がある。したがって、上述の説明は、主として、例示目的のために提供され、本発明の範囲を限定するものと解されてはならない。というのは、本発明は、特許請求の範囲に記載されているからである。
本明細書に含まれる実施例及び例示は、一例として本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を実施することができる特定の実施形態を示している。上述したように、他の実施形態を利用することができると共に上述の実施形態から導き出すことができ、従って、構造的及び論理的な置換及び変更は、本発明の範囲から逸脱しないで実施できる。本発明の要旨に関する幾つかの実施形態は、本明細書においては、単に便宜上且つ本願の要旨をどれか単一の発明又は発明概念に自発的に限定するものではなく(2つ以上が実際に開示されている場合でも)、「本発明」という用語によって個々に又はまとめて言及されている場合がある。かくして、特定の実施形態を図示すると共に本明細書において説明したが、同一の目的を達成するために案出される任意の構成を図示の特定の実施形態に代えて用いることができる。本発明は、種々の実施形態の任意及び全ての改造例又は変形例を含むものである。上述の実施形態の組み合わせ並びに本明細書においては具体的には説明されていない他の実施形態は、上述の説明を読むと、当業者には明らかになろう。
本発明は、以下のような態様であっても良い。
[12]
患者の睡眠の質を向上させる方法であって、前記方法は、
熱伝達領域を有するアプリケータを前記熱伝達領域が前記被験者の額に接触するよう位置決めするステップを含み、前記熱伝達領域は、前記被験者の顔面の眼窩周囲領域には接触せず、
前記熱伝達領域の温度を周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持して前記被験者の睡眠の質を高めるステップを含む、方法。
[13]
前記位置決めステップは、前記アプリケータを前記熱伝達領域が前記被験者の頬に接触しないよう位置決めするステップを含む、[12]記載の方法。
[14]
前記アプリケータの前記位置決め前に使い捨てインターフェースを前記アプリケータ上に配置するステップを更に含み、前記使い捨てインターフェースは、前記熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に前記患者の額に接触するよう構成されている、[12]記載の方法。
[15]
前記アプリケータを位置決めするステップは、前記熱伝達領域を前記熱伝達領域が前記被験者の頭の頂部又は後部に接触しないよう位置決めするステップを含む、[12]記載の方法。
[16]
前記アプリケータを位置決めするステップは、前記熱伝達領域を前記被験者の額にのみ当てて位置決めするステップを含む、[12]記載の方法。
[17]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を約25℃〜約40℃の標的温度範囲内に維持するステップを含む、[12]記載の方法。
[18]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を周囲温度よりも少なくとも約0.5℃高いが約40℃以下である標的温度範囲内に維持するステップを含む、[12]記載の方法。
[19]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を少なくとも約1時間、標的温度範囲内に維持するステップを含む、[12]記載の方法。
[20]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を少なくとも約4時間、標的温度範囲内に維持するステップを含む、[12]記載の方法。
[21]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を前記被験者の睡眠期間全体にわたり標的温度範囲内に維持するステップを含む、[12]記載の方法。
[22]
患者の睡眠の質を向上させる方法であって、前記方法は、
使い捨てインターフェースをアプリケータ上に配置するステップを含み、前記使い捨てインターフェースは、前記アプリケータの熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に前記患者の額に接触するよう構成され、
前記アプリケータの前記熱伝達領域を前記被験者の額に当てて配置するステップを含み、
前記熱伝達領域の温度を少なくとも1時間、周囲温度よりも少なくとも0.5℃だけ温かく且つ約40℃以下の標的温度範囲内に維持するステップを含む、方法。
[23]
前記アプリケータの熱伝達領域を配置するステップは、前記熱伝達領域を、当該熱伝達領域が前記被験者の額にのみ接触するよう配置するステップを含む、[22]記載の方法。
[24]
前記アプリケータの熱伝達領域を配置するステップは、前記熱伝達領域を、当該熱伝達領域が前記被験者の顔面の眼窩周囲領域又は頬領域に接触しないよう配置するステップを含む、[22]記載の方法。
[25]
入眠潜時を短縮する方法であって、前記方法は、
覚醒している被験者の額上にアプリケータを位置決めして前記アプリケータの熱伝達領域が前記被験者の額に接触するようにするステップを含み、前記熱伝達領域は、前記被験者の顔面の眼窩周囲領域又は頬領域には接触せず、
前記患者を睡眠させるよう準備するステップを含み、
前記熱伝達領域の温度を少なくとも15分間、周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持することによって入眠潜時を短縮するステップを含む、方法。
[26]
前記アプリケータの前記位置決め前に使い捨てインターフェースを前記アプリケータ上に配置するステップを更に含み、前記使い捨てインターフェースは、前記熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に前記患者の額に接触するよう構成されている、[25]記載の方法。
[27]
前記アプリケータを位置決めするステップは、前記熱伝達領域を、当該熱伝達領域が前記被験者の頭の頂部又は後部に接触しないよう位置決めするステップを含む、[25]記載の方法。
[28]
前記アプリケータを位置決めするステップは、前記熱伝達領域を前記被験者の額にのみ当てて位置決めするステップを含む、[25]記載の方法。
[29]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を約25℃〜約40℃の標的温度範囲内に維持するステップを含む、[25]記載の方法。
[30]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を周囲温度よりも少なくとも約0.5℃高いが約40℃以下である標的温度範囲内に維持するステップを含む、[25]記載の方法。
[31]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を少なくとも約1時間、標的温度範囲内に維持するステップを含む、[25]記載の方法。
[32]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を少なくとも約4時間、標的温度範囲内に維持するステップを含む、[25]記載の方法。
[33]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を前記被験者の睡眠期間全体にわたり標的温度範囲内に維持するステップを含む、[25]記載の方法。
[34]
入眠潜時を短縮する方法であって、前記方法は、
使い捨てインターフェースをアプリケータ上に配置するステップを含み、前記使い捨てインターフェースは、前記アプリケータの熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に患者の額に接触するよう構成され、
前記アプリケータを覚醒している被験者の額上に位置決めして前記熱伝達領域が前記被験者の額に接触するようにするステップを含み、
前記熱伝達領域の温度を少なくとも15分間、周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持することによって入眠潜時を短縮するステップを含む、方法。
[35]
睡眠時間を延長する方法であって、前記方法は、
アプリケータを被験者の額上に位置決めして前記アプリケータの熱伝達領域が前記被験者の額に接触するようにするステップを含み、前記熱伝達領域は、前記被験者の顔面の眼窩領域又は頬領域に接触せず、
前記被験者が睡眠している間、前記熱伝達領域の温度を少なくとも15分間、周囲温度よりも温かい標的温度範囲内に維持することによって睡眠時間を延長するステップを含む、方法。
[36]
前記アプリケータの前記位置決め前に使い捨てインターフェースを前記アプリケータ上に配置するステップを更に含み、前記使い捨てインターフェースは、前記熱伝達領域の少なくとも一部を形成すると共に前記患者の額に接触するよう構成されている、[35]記載の方法。
[37]
前記アプリケータを位置決めするステップは、前記熱伝達領域を前記熱伝達領域が前記被験者の頭の頂部又は後部に接触しないよう位置決めするステップを含む、[35]記載の方法。
[38]
前記アプリケータを位置決めするステップは、前記熱伝達領域を前記被験者の額にのみ当てて位置決めするステップを含む、[35]記載の方法。
[39]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を約25℃〜約40℃の標的温度範囲内に維持するステップを含む、[35]記載の方法。
[40]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を周囲温度よりも少なくとも約0.5℃高いが約40℃以下である標的温度範囲内に維持するステップを含む、[35]記載の方法。
[41]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を少なくとも約1時間、標的温度範囲内に維持するステップを含む、[25]記載の方法。
[42]
前記熱伝達領域の温度を維持するステップは、前記温度を前記被験者の睡眠期間全体にわたり標的温度範囲内に維持するステップを含む、[35]記載の方法。

Claims (8)

  1. 入眠潜時を短縮し、睡眠時間を延長すると共に/或いは1期睡眠に対する熟睡期の時間を延長することによって睡眠の質を高める器械であって、前記器械は、
    被験者の額に装着されるよう構成されたアプリケータを有し、前記アプリケータは、前記被験者の額に接触するが、前記被験者の顔面の眼窩周囲領域には接触しないよう構成された熱伝達領域を有し、
    ヒータ及び前記ヒータを制御するコントローラを含む温度調節器ユニットを有し、前記ヒータは、前記熱伝達領域と熱的連絡状態にあると共に、循環する流体を用いることなく前記熱伝達領域を直接加熱し、
    前記温度調節器ユニットに作動的に接続されると共に、周囲温度を測定するよう構成された温度センサを更に有し、
    更に、前記コントローラは、前記熱伝達領域が30分を超える時間の間、周囲温度よりも温かく且つ27℃と40℃の間の温度の状態にあるよう前記ヒータの温度を制御し、最高温度が40℃に制限されるよう構成されている、器械。
  2. 入眠潜時を短縮し、睡眠時間を延長すると共に/或いは1期睡眠に対する熟睡期の時間を延長することによって睡眠の質を高める器械であって、前記器械は、
    被験者の額に装着されるよう構成されたアプリケータを有し、前記アプリケータは、前記被験者の額に接触するが、前記被験者の顔面の眼窩周囲領域又は頬領域には接触しないよう構成された熱伝達領域を有し、
    ヒータと、クーラと、前記ヒータ及び前記クーラを制御するコントローラとを含む温度調節器ユニットを有し、前記ヒータ及び前記クーラは、前記熱伝達領域と熱的連絡状態にあると共に、循環する流体を用いることなく前記熱伝達領域を直接加熱し、
    前記温度調節器ユニットに作動的に接続されると共に、周囲温度を測定するよう構成された温度センサを更に有し、
    更に、前記コントローラは、前記熱伝達領域が30分を超える時間の間、27℃と40℃の間であり且つ周囲温度よりも温かい温度の状態にあるよう前記ヒータ及び前記クーラの温度を制御し、最高温度が40℃未満に制限されるよう構成されている、器械。
  3. 前記アプリケータは、前記熱伝達領域が前記額にのみ接触するよう構成されている、請求項1又は2記載の器械。
  4. 前記アプリケータは、前記熱伝達領域が前記被験者の顔面の頬領域に接触しないよう構成されている、請求項1記載の器械。
  5. 前記温度調節器ユニットの前記ヒータは、ジュール発熱体を含む、請求項1又は2記載の器械。
  6. 前記コントローラは、1時間を超える時間の間、前記標的温度を維持するよう構成されている、請求項1又は2記載の器械。
  7. 前記コントローラは、2時間を超える時間の間、前記標的温度を維持するよう構成されている、請求項1又は2記載の器械。
  8. 前記温度調節器ユニットは、クーラを更に含み、前記コントローラは、前記クーラを制御するよう構成され、前記クーラは、前記熱伝達領域と熱的連絡状態にあり、更に、前記コントローラは、前記熱伝達領域の温度を決定するよう前記ヒータ及び前記クーラの温度を制御するよう構成されている、請求項1記載の器械。
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