JP6638347B2 - 固体撮像素子および電子機器 - Google Patents
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Description
一般的なCCD、CMOSセンサーには、画素ごとに特定の波長の光を透過するためのカラーフィルタが形成される。最も一般的な構成では、赤色の光を通すRフィルタ、青色の光を通すBフィルタ、緑色の光を通すGフィルタが、市松模様状に配置される。固体撮像装置に入射した光は、カラーフィルタによって画素ごとに特定の色に選別されて、受光素子で光を検出する(特許文献1)。
しかし、カラーフィルタの透過波長以外の光が入射した場合、その光はカラーフィルタで吸収されるため、有効活用できないという問題がある。特に、画素サイズが小さくなった場合、1画素あたりの光量が少ないため、カラーフィルタで入射した光の大半を無駄にしてしまうことは問題が大きい。
本発明の一態様に係る電子機器は、上記の固体撮像素子を備えたことを特徴とする。
図1(a)〜(c)は、カラーフィルタ4を備えた固体撮像素子10の一例を示す平面図と、この平面図をV1−V1’線で切断した断面図である。
図1(a)及び(b)に示す固体撮像素子10は、光電変換領域1aと、光電変換領域1aの光入射面側(図1(b)では、上面)に設けられ、赤色光を透過するRフィルタ(図1(a)で「R」と記載)、青色光を透過するBフィルタ(図1(a)で「B」と記載)、緑色光を透過するGフィルタ(図1(a)で「G」と記載)とをそれぞれ有するカラーフィルタ4と、カラーフィルタ4の光入射面側に設けられ、カラーフィルタの表面を平坦化する第2の平坦化層3bと、第2の平坦化層3bを介してカラーフィルタ4の光入射面側に設けられ、Rフィルタ、Bフィルタ及びGフィルタと一対一で向かい合う複数のマイクロレンズ5を有するマイクロレンズ群と、を備える。
RフィルタとBフィルタ、第1のGフィルタについて記載した直方体構造は、略直方体構造の場合を含む。
第2の平坦化層3bの屈折率をNf、Gフィルタの屈折率をNgとしたとき、|Ng−Nf|が0.05以上である。
基板1および光電変換領域1aは例えばシリコンで構成される。画素間の混色を防ぐため、必要に応じて遮光膜2をアルミニウム、銀、クロム、タングステンなどの金属で形成する。第1の平坦化層3aは、基板1上に形成されており、光電変換領域1aと遮光膜2とを覆っている。第1の平坦化層3aの表面は、基板1の表面に平行な平坦面である。この第1の平坦化層3a及び第2の平坦化層3bは、酸化シリコンや窒化シリコン等で形成する。
カラーフィルタ4の代表的な配列方式は、図1(a)に示したような緑市松(べイヤー(Bayer)配列)である。色再現性が高く、デジタルカメラを中心に多く採用されている配列方式である。
カラーフィルタ4は、B、R画素は略直方体形状のフィルタが形成される。カラーフィルタ4のGフィルタは、マイクロレンズ5側に形成された上に凸形状のフィルタ(第1のGフィルタG1)と、第1の平坦化層3a側に形成された略直方体形状のフィルタ(第2のGフィルタG2)とにより構成される。
図2は、本発明の実施形態に係るカラーフィルタ4の作用を説明する図である。また、図5は、本発明の比較形態に係るカラーフィルタ104の作用を説明する図である。なお、図2に示すカラーフィルタ4と、図5に示すカラーフィルタ104には構造の違いがある。すなわち、図2に示すカラーフィルタ4では、Gフィルタは、凸形状の第1のGフィルタG1と、略直方体形状の第2のGフィルタG2とを有する構造である。これに対し、図5に示すカラーフィルタ104では、Gフィルタは、略直方体形状のフィルタのみからなる構造であり、その表面は凸形状ではなく平坦な面となっている。
一方、図2に示す実施形態では、カラーフィルタ4は、G画素のフィルタ(すなわち、Gフィルタ)の頂部が湾曲している。そのため、光がカラーフィルタに入射すると、Gフィルタの表面に沿って隣接画素に流入する光が発生する。これは、Gフィルタの屈折率と、第2の平坦化層3bの屈折率とが異なる場合に発生する。この場合、界面での材質の屈折率差によって光がGフィルタ表面で反射され、光が画素境界方向へ流れるためである。画素境界から隣接画素に流入した光は、隣接画素の光電変換領域に到達し、信号成分に加わる。
同様に、G画素に青色の光が入射した場合、Gフィルタ表面に沿って隣接するRもしくはBフィルタへ光が流入する。Bフィルタに流入した青色の光はBフィルタを透過し、光電変換領域PBで信号成分に加わる。Rフィルタに流入した青色の光はRフィルタで吸収されるため、PRでは信号に加わらない。
このように、図2に示す固体撮像素子10では、比較形態のカラーフィルタ104では吸収されていた透過波長以外の光が、隣接画素方向に流れて信号成分として加わるため、光を有効活用でき、感度向上に寄与する。
D1がD2と比べて小さすぎる場合、Gフィルタの頂部が殆ど平坦になるため、隣接画素へ流れる光が少なくなり、感度向上効果が小さい。
D1がD2と比べて大きすぎる場合、Gフィルタの画素境界付近の厚みが薄くなるため、Gフィルタで吸収されずに透過してしまう赤色や青色の光が増えてしまい、混色が悪化するようになる。
Gフィルタを構成するG1フィルタの形状は、上に凸形状とするのが好ましい。凹形状とした場合、隣接画素に光が流入しないので、感度向上効果を示さない。より好ましくは、G1フィルタの光入射面の形状を、略楕円体の表面形状(以下、単に楕円体形状と称する)とする。楕円体形状とすることで、G画素の混色の悪化を抑えつつ、隣接画素の感度を効果的に高めることができる。
カラーフィルタ4の光入射面側には第2の平坦化層3bが形成される。第2の平坦化層3bの屈折率をNf、Gフィルタの屈折率をNgとしたとき、|Ng−Nf|≧0.05を満たすことが望ましい。第2の平坦化層3bとGフィルタの屈折率差が増加するにつれて、Gフィルタ表面での反射量も増加するためである。
|Ng(λ=630nm)―Nf(λ=630nm)|≧0.05 を満たすように層の屈折率を調整するのが望ましい。
例えば、B画素の感度を高めたい場合は、Gフィルタの波長450nmの屈折率をNg(λ=450nm)、第2の平坦化層3bの波長450nmの屈折率をNf(λ=450nm)としたとき、
|Ng(λ=450nm)―Nf(λ=450nm)|≧0.05 を満たすように層の屈折率を調整するのが望ましい。
例えば、R画素とB画素の両方の感度を高めたい場合は、
|Ng(λ=630nm)―Nf(λ=630nm)|≧0.05 かつ、
|Ng(λ=450nm)―Nf(λ=450nm)|≧0.05 の両方を満たすように層の屈折率を調整するのが望ましい。
カラーフィルタ4を透過した光は、平坦化層3を透過し、光電変換領域1aに集光される。光電変換領域1aに光が照射されると、光強度に比例して電荷が発生し、発生した電荷は電子回路に転送されて信号が読み出される。
カラーフィルタ4の作製方法の一例は、以下の通りである。
カラーフィルタ4は、シリコンウエハ上に直接形成する。カラーフィルタ4は、顔料や染料を感光性樹脂の中に分散させた、色素含有レジスト工法により作製する。レジストをウエハ上に塗布後、紫外線による露光、現像によるリソグラフィー工程を通してパターニングを行い、カラーフィルタ4を形成する。リソグラフィー工程では、例えば段階的に透過率が変化するフォトマスク(グレートーンマスク)を用いて、レジストの露光量にグラデーションを与えることで、頂部が凸形状からなるカラーフィルタ4を形成することができる。
本発明の実施形態に係るカラーフィルタ4は、Gフィルタの頂部形状を湾曲させ、RフィルタとBフィルタの頂部は平坦面としている。そのような構成とすることで、Gフィルタに入射した光をRフィルタとBフィルタ方向に流すことができ、R画素とB画素の感度を増加させることができる。
R画素やB画素はシリコンフォトダイオードの特性上、G画素と比べて感度が低下しやすいという特徴がある。シリコンの透過率は長波長の光で高くなるため、可視光の中でも赤色の光は光電変換の効率が低く、感度が低下しやすい。一方、短波長の光は、シリコン表面近傍の無効層で吸収される割合が大きく、電荷を蓄積できるシリコンフォトダイオード内部の空乏層に到達できる光量が減少し、感度が低下しやすい。
その一方で、G画素の感度が若干減少する可能性はあるが、ベイヤー配列の場合、G画素はR画素やB画素と比べて2倍多く配列されている分多くの光を取り込むことができ、G画素の感度が多少減少しても影響度は小さい。また、Gフィルタの緑色の光に対する屈折率と第2の平坦化層3bの屈折率差を0.05未満に設定すれば、G画素の感度低下が発生しないようにすることも可能である。
なお、上記ではGフィルタのみ頂部形状を湾曲させる構成を説明したが、これに限らず、RフィルタやBフィルタの頂部形状も同様に湾曲させても良い。
この場合、更なる入射光量の効率改善を図ることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、固体撮像素子の1画素あたりの感度を向上させることが可能である。この固体撮像素子を例えばデジタルカメラやビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等に代表される電子機器に適用することで、これらの電子機器の感度と画質の均一性を高めることができる。
<実施例1>
図4(a)〜(d)は、本発明の実施例を示す図である。詳しくは、図4(a)はカラーフィルタ4の構成を示す模式図である。また、図4(b)〜(d)は、カラーフィルタ4のうち、RフィルタとBフィルタを略直方体形状とし、Gフィルタを構成するG1フィルタの形状を、(b)放物面形状、(c)楕円体形状、(d)円錐形状とした場合の受光感度のシミュレーションを行った図である。カラーフィルタ4の高さは、R、Bフィルタを700nmとした。また、Gフィルタは、G1フィルタの高さD1とG2フィルタの高さD2の和D1+D2を700nmに固定し、D1の高さを0〜700nmの範囲で変化させて、シミュレーションを行った。マイクロレンズ5は、カラーフィルタに一対一に対応させて、放物面形状で高さ450nmのレンズを画素に隙間無く敷き詰めた。シミュレーションは、波長オーダーの構造の光学解析で一般的に用いられる時間領域差分法(FDTD法)を用いて実施した。
・画素ピッチ:1200nm(1.2μm)
・マイクロレンズ5の高さ:450nm(放物面形状)
・マイクロレンズ5の屈折率:1.6(全波長)
・カラーフィルタ4:700nm厚、RGB3色のベイヤー配列
・Rフィルタの屈折率:1.59(450nm)、1.75(550nm)、1.79(630nm)
・Gフィルタの屈折率:1.86(450nm)、1.74(550nm)、1.65(630nm)
・Bフィルタの屈折率:1.61(450nm)、1.45(550nm)、1.66(630nm)
・第1の平坦化層3aの屈折率:1.47(450nm)、1.46(550nm)、1.46(630nm)
・第2の平坦化層3bの屈折率:1.62(450nm)、1.60(550nm)、1.60(630nm)
・第1の平坦化層3aの厚み:500nm
・第2の平坦化層3bの厚み:100nm(BフィルタもしくはRフィルタ頂部からマイクロレンズ5底面までの距離)
・入射波長:400nm〜700nm、20nm刻み
・入射角:0°
・偏光:TE波、TM波 (平均)
・受光面:平坦化層3と光電変換領域1aとの界面に設定(受光面は画素面積と同サイズに設定)
・R画素:580nm〜700nm
・G画素:500nm〜580nm
・B画素:420nm〜480nm
(S:シグナル)
・R画素:580nm〜700nm
・G画素:500nm〜580nm
・B画素:420nm〜480nm
(N:ノイズ)
・R画素:420nm〜480nm、500nm〜580nm
・G画素:420nm〜480nm、580nm〜700nm
・B画素:500nm〜580nm、580nm〜700nm
以上の結果、Gフィルタを構成するG1フィルタを上に凸の湾曲形状とすることで、Gフィルタに入射した青色、もしくは赤色の光を隣接するB画素、R画素に流すことができ、感度が上昇することを確認できた。特に効果的に感度を高めるには、D1を100nm以上に設定するのが好ましく、この場合、感度はB、R画素それぞれ1%以上の感度上昇効果が得られる。
Gフィルタを構成するG1フィルタの形状としては、頂部が略平坦面で、側面が傾斜した面で形成してもよい。ここでは、G1フィルタの形状を、図3に示すような形状(側面は平坦な斜面)とした場合の、R、G、B各画素の感度とS/N比のシミュレーションを行った。他のシミュレーション条件は実施例1と同様である。感度の結果を表3に、S/N比の結果を表4に記す。
以上の実施例より、Gフィルタを構成するG1フィルタを上に凸の湾曲形状とすることで、G画素と隣接するB画素やR画素の感度を高めることが可能であることを確認した。また、G1フィルタの高さD1を100nm以上500nm未満に設定することで、混色によるS/N比低下を抑えることが可能であることを示した。今回のシミュレーションでは、Gフィルタの厚み(D1+D2)を700nmに固定しているので、
α=D1/(D1+D2)で定義すると、αは0.14以上0.71未満の範囲で設定するのが好ましいといえる。
第2の平坦化層の波長630nmにおける屈折率を1.63とした場合の、G1フィルタの形状が楕円体形状の感度シミュレーションの結果を表5に記す。感度はR画素の値である。この場合、第2の平坦化層とGフィルタの屈折率差が0.02と小さいため、R画素の感度が実施例と比較してあまり上がらなかった。
1a 光電変換領域
2 遮光膜
3a 第1の平坦化層
3b 第2の平坦化層
4 カラーフィルタ
5 マイクロレンズ
10 固体撮像素子
G1 第1のGフィルタ
G2 第2のGフィルタ
Claims (5)
- 光電変換領域と、
前記光電変換領域の光入射面側に設けられ、赤色光を透過するRフィルタと、青色光を透過するBフィルタと、緑色光を透過するGフィルタとをそれぞれ有するカラーフィルタと、
前記カラーフィルタの光入射面側に設けられ、前記カラーフィルタの表面を平坦化する平坦化層と、
前記平坦化層を介して前記カラーフィルタの光入射面側に設けられ、前記Rフィルタ、前記Bフィルタ及び前記Gフィルタと一対一で向かい合う複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズ群と、を備え、
前記Gフィルタは、前記カラーフィルタの光入射面側に形成されて該Gフィルタの中央部が周辺部よりも前記マイクロレンズ側に突き出た凸形状の面構造を含む第1のGフィルタと、前記カラーフィルタの光射出面側に形成されて直方体構造を含む第2のGフィルタとを有し、
前記平坦化層の屈折率をNf、前記Gフィルタの屈折率をNgとしたとき、|Ng−Nf|が0.05以上であり、
前記Rフィルタ及び前記Bフィルタは、それぞれが直方体構造からなることを特徴とする、固体撮像素子。 - 前記第1のGフィルタの厚みをD1、前記第2のGフィルタの厚みをD2としたとき、D1/(D1+D2)が、0.14以上0.71未満であることを特徴とする、請求項1に記載の固体撮像素子。
- 前記第1のGフィルタの光入射面は、
該光入射面の中央部を頂点とする楕円の表面、又は、該光入射面の中央部を頂点とする放物面であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の固体撮像素子。 - 前記第1のGフィルタの光入射面は、該光入射面の中央部が平坦面で周辺部が斜面であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の固体撮像素子。
- 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の固体撮像素子を備えたことを特徴とする電子機器。
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