JP6633836B2 - 電解加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電解加工装置に関し、特に、電極と処理対象材との間に電解液を介して電圧が印加される電解加工装置に関する。
従来、電極と処理対象材との間に電解液を介して電圧が印加される電解加工装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、基板の表面上に形成された導電性金属酸化物膜の加工を行う導電性金属酸化物膜の加工装置であって、導電性金属酸化物膜の上に配置された陽電極と、導電性金属酸化物膜に接する陰電極と、陽電極と陰電極(導電性金属酸化物膜)との間に電圧を印加する定電流源装置とを備える加工装置が開示されている。この加工装置では、基板は電解液内に沈められており、陽電極と沈められた基板の表面上に形成された導電性金属酸化物膜との間に電解液を介して電圧を印加することによって、導電性金属酸化物膜の金属酸化物が還元されて金属イオンとして電解液側に電解溶出する。これにより、導電性金属酸化物膜が電解加工される。なお、加工装置には、陽電極と導電性金属酸化物膜との間の距離を調整可能な昇降機構が設けられている。
ここで、陽電極と導電性金属酸化物膜との間の距離はできるだけ小さい方がより効率的に電解加工が行われるので好ましい。
特開平11−165217号公報
しかしながら、上記特許文献1の加工装置では、電解加工を効率的に行うために、陽電極と導電性金属酸化物膜との間の距離を小さくした場合に、昇降機構の制御状態や導電性金属酸化物膜(処理対象材)の表面の凹凸や起伏に起因して、陽電極と導電性金属酸化物膜とが直接接触して短絡する場合があるという問題点がある。このような短絡が発生すると、陽電極と導電性金属酸化物膜との間に大電流が流れることに起因して、定電流源装置などに不具合が生じる虞がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電極と処理対象材とが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことが可能な電解加工装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における電解加工装置は、複数の電極と、電極と導電性を有する処理対象材との間に電解液を介して電圧を印加する電源部と、電極と処理対象材との間に配置され、電極と処理対象材との電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材と、電極を処理対象材側に付勢する、複数の電極に独立して取り付けられている付勢部材とを備え、複数の電極は、互いに平行に隣り合うように配置されているとともに、付勢部材により、互いに同じ方向に独立に付勢されている
この発明の一の局面による電解加工装置では、上記のように、電極と処理対象材との間に、電極と処理対象材との電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材を配置する。これにより、たとえ電極と処理対象材とを近接させたとしても、短絡防止部材により電極と処理対象材とが直接接触して短絡するのを防止することができるので、電極と処理対象材とを十分に近接させることができる。この結果、電極と処理対象材とが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことができる。
また、電解加工装置は、電極を処理対象材側に付勢する、複数の電極に独立して取り付けられている付勢部材を備える。これにより、付勢部材により、電極を処理対象材により近接させることができるので、電極と処理対象材との間の電流経路をより確実に形成することができる。なお、付勢部材により電極を処理対象材側に付勢したとしても、電極と処理対象材との間に配置される短絡防止部材によって、電極と処理対象材とが直接接触して短絡するのが防止される。
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、付勢部材は、電極が挿通されるように、複数の電極に独立して取り付けられているばねを含む
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、短絡防止部材は、電解液を浸透させることが可能な多孔性または繊維状の材料から構成されている。このように構成すれば、多孔性または繊維状の材料から構成された短絡防止部材内を浸透する電解液を介して、電極と処理対象材との間に電流経路を形成することができる。これにより、電極と処理対象材とが短絡するのを防止しつつ、電極と処理対象材との間に電流経路を確実に形成することができる。
この場合、好ましくは、短絡防止部材は、弾性変形するように構成されている。このように構成すれば、処理対象材の表面に凹凸や起伏が形成されている場合であっても、凹凸や起伏に合わせて短絡防止部材を弾性変形させることができるので、処理対象材の表面形状に拘わらず、電極と処理対象材とを容易に近接させることができる。この結果、処理対象材が複雑な形状であっても、電解加工を効率的に行うことができる。
上記短絡防止部材が多孔性または繊維状の材料である構成において、好ましくは、短絡防止部材は、電解液を保持しつつ電解液を浸透させるように構成されている。このように構成すれば、電極と処理対象材との間に配置される短絡防止部材に電解液が保持されない場合と比べて、電解液の流量などを多く確保しなくても電極と処理対象材との間に電流経路を確実に形成することができる。
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、電極は、処理対象材と電極との間に電解液を吐出する吐出口と電解液が流通する中空部とを有し、導電性を有する筒状電極を含む。このように構成すれば、筒状電極が電解液の吐出機構と電極とを兼ねることができるので、部品点数を削減することができる。また、中空部および吐出部を介して筒状電極と処理対象材との間に電解液を容易に配置することができるので、筒状電極と処理対象材との間に電流経路を確実に形成することができる。
この場合、好ましくは、筒状電極には、処理対象材の表面に沿って複数の吐出口が設けられている。このように構成すれば、処理対象材の表面に沿って設けられた複数の吐出口により、一度に加工可能な加工面積を大きくすることができるので、処理対象材の加工時間を効果的に短縮することができる。
上記電極が筒状電極を含む構成において、好ましくは、短絡防止部材は、少なくとも筒状電極の処理対象材側を覆うように筒状電極に嵌め込まれている。このように構成すれば、短絡防止部材が筒状電極と処理対象材との間からずれるのを効果的に抑制することができるので、筒状電極と処理対象材とが短絡するのをより確実に防止することができる。
上記電極が筒状電極を含む構成において、好ましくは、短絡防止部材は、筒状電極の処理対象材側に取り付けられた複数の突起部材を含む。このように構成すれば、複数の突起部材により、筒状電極と処理対象材とを確実に離間させることができるので、筒状電極と処理対象材とが直接接触して短絡するのを確実に防止することができる。
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、電極と処理対象材との離間距離は、0mmよりも大きく、かつ、3mm以下である。このように構成すれば、電極と処理対象材とを十分に近接させることができるので、電解液が電極と処理対象材との間に位置しない状態が生じるのを抑制することができる。また、電極と処理対象材とが十分に近接していることによって、電解加工に用いられない電流(電力)の割合が大きくなるのを抑制することができる。これらの結果、処理対象材の加工効率を十分に向上させることができる。さらに、大きな電圧を印加しなくても十分に電解加工を行うことができるので、電源部の構造を簡素化することができる。
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、電極は、複数形成されており、短絡防止部材は、複数の電極の各々に設けられている。このように構成すれば、各々の電極において、電極と処理対象材とが直接接触して短絡するのを防止することができる。また、電極を複数形成することによって、一度に加工可能な加工面積を大きくすることができるので、処理対象材の加工時間を効果的に短縮することができる。
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、処理対象材は、放射線で汚染された金属製の部材を含む。このような放射線で汚染された金属製の部材に対して本発明の電解加工装置による電解加工を行うことにより、電極と放射線で汚染された金属製の部材とが直接接触して短絡するのを防止しつつ、金属製の部材のうち、放射線で汚染された部分を効率的に除去することができる。これにより、放射線で汚染された金属製の部材から効率的に非汚染材(クリアランス材)を得ることができる。
上記一の局面による電解加工装置において、好ましくは、複数の電極は、筒状電極を含み、互いに平行に隣り合うように配置されている複数の筒状電極が移動可能に挿通されるとともに、付勢部材を固定する板状の固定部材をさらに備える。
本発明によれば、上記のように、電極と処理対象材とが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことができる。
本発明の第1実施形態による電解加工装置の模式的な断面図である。 本発明の第1実施形態による電解加工装置の円筒電極と除染対象材とを示した模式的な拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による電解加工装置の円筒電極と除染対象材とを示した模式的な拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による電解加工装置の円筒電極を除染対象材側から見た下面図である。 本発明の第3実施形態による電解加工装置の模式的な斜視図である。 図5の700−700線に沿った模式的な断面図である。 本発明の実施例1による電解加工装置による電解加工後の除染対象材を示した写真である。 本発明の実施例による電解加工装置の離間距離の逆数に対する平均加工深さを示したグラフである。 本発明の第4実施形態による電解加工装置の模式的な断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例による電解加工装置の模式的な断面図である。 本発明の第3実施形態の変形例による電解加工装置の模式的な斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による電解加工装置100について説明する。
(電解加工装置の全体構成)
本発明の第1実施形態による電解加工装置100は、図1に示すように、放射線で汚染された導電性の除染対象材Mに対して電解加工が行われる本体部1と、電解液Lが貯留される貯留部2と、本体部1と貯留部2とを接続し、電解液Lが内部を流通するパイプからなる循環経路部3とを備えている。なお、電解液Lは、硝酸ナトリウム(NaNO)の水溶液や、塩化ナトリウム(NaCl)の水溶液など中性の水溶液であり、約10wt%以上約20wt%以下の重量パーセント濃度であるのが好ましい。ここで、電解液Lとして中性の水溶液を用いることによって、腐食の恐れがある強アルカリ性の水溶液を用いる場合などと比べて、液漏れや液の飛散などを綿密に防ぐ必要がない。
また、除染対象材Mは、たとえば原子力発電所の配管系で使用されたステンレス製のパイプなど放射線で表面およびその近傍が汚染されている金属製の部材である。この除染対象材Mは、汚染された表面およびその近傍が除去されることによって、非汚染材料(クリアランス材)となり、再利用や通常の産業廃棄物としての処分などを行うことが可能である。これにより、放射線により汚染された材料として特別な処分を行う必要のある材料の総量を減少させることが可能である。なお、除染対象材Mは、本発明の「処理対象材」の一例である。
電解加工装置100の循環経路部3には、循環経路部3の貯留部2よりも上流側に配置されるフィルタ3aと、循環経路部3の貯留部2よりも下流側に配置されるポンプ3bと流量調整弁3cとが設けられている。循環経路部3では、本体部1内の電解液Lが、フィルタ3aを通過して貯留部2に流れるように構成されている。その際、フィルタ3aにより、電解加工により発生した電解液L中の反応生成物などの異物が除去される。その後、ポンプ3bにより、貯留部2内の電解液Lが本体部1に向かって流通する。この際、流量調整弁3cにより、本体部1に供給される電解液Lの流量が調整される。これにより、本体部1内の後述する円筒電極12から流出した電解液Lが循環経路部3を通過して、再度、本体部1内に循環して供給されるように構成されている。なお、循環経路部3には、5つに分岐した分岐経路部3dが設けられている。
<本体部の構成>
本体部1は、電解液Lが貯留される貯留部11を含んでいる。貯留部11内には、除染対象材Mが配置されているとともに、除染対象材Mから流れ落ちた電解液Lが貯留されている。また、貯留部11の底部近傍には、循環経路部3が接続されており、貯留部11内の電解液Lが回収される。
ここで、第1実施形態では、本体部1は、複数(5つ)の円筒電極12と、円筒電極12の除染対象材M側(Z2側)の一方端部に各々に嵌め込まれた複数(5つ)の短絡防止部材13とを含んでいる。なお、円筒電極12は、本発明の「電極」および「筒状電極」の一例である。
5つの円筒電極12は、内部を電解液Lが流通可能な円筒状のパイプから構成されている。つまり、円筒電極12は、円筒電極12の長手方向(鉛直方向、Z方向)の一方端部から他方端部まで延び、電解液Lが流通する中空部12aと、除染対象材M側(Z2側)の一方端部に設けられた吐出口12bと、Z1側の他方端部に設けられた供給口12cとを有している。吐出口12bは、電解液Lが除染対象材M側に吐出されるように構成されている。供給口12cは循環経路部3の分岐経路部3dに接続されており、供給口12cを介して電解液Lが中空部12a内に供給される。また、円筒電極12は、導電性を有しており、後述する直流電源部16の負極側が接続されている。
短絡防止部材13は、図2に示すように、キャップ状に形成されている。そして、キャップ状の短絡防止部材13は、円筒電極12の除染対象材M側の一方端部およびその周辺を覆うように、円筒電極12の吐出口12b側に嵌め込まれている。また、短絡防止部材13は、多孔性で、かつ、弾性変形可能な絶縁性の材料であるスポンジから構成されている。この結果、スポンジから構成される短絡防止部材13は、円筒電極12の吐出口12bから流れ出る電解液Lを保持しつつ、除染対象材M側に浸透させる機能を有している。さらに、スポンジから構成される短絡防止部材13は、弾性変形することによって、円筒電極12の除染対象材M側の一方端部と除染対象材Mの表面Sとを離間した状態で近接させる機能を有している。これにより、円筒電極12と除染対象材Mとが直接接触して短絡するのを抑制しつつ、円筒電極12と除染対象材Mとの離間距離Dを小さくして電解加工の加工効率を向上させることが可能である。なお、離間距離Dは、0mmよりも大きく、かつ、約3mm以下であるのが好ましい。
ここで、第1実施形態の短絡防止部材13には、研磨材が設けられておらず、電解液Lにも研磨材が添加されていない。これにより、研磨ではなく電解液Lを介した電解加工によって、除染対象材Mの表面Sの放射線に汚染された金属部分が除去されるように構成されている。また、研磨材を使用しないことによって、放射線に汚染された金属部分が研磨材に付着することがないので、放射能に汚染された材料に研磨材が含まれることがない。これにより、研磨材を用いる場合と比べて、放射線により汚染された材料として特別な処分を行う必要のある材料の総量を効果的に減少させることが可能である。
また、5つの円筒電極12には、各々、つるまきばねから構成されたばね14がそれぞれ独立して取り付けられている。5つのばね14は、それぞれ、円筒電極12の鍔部12dと図示しない固定部に固定された板状のばね固定部15との間に配置された状態で、鍔部12dとばね固定部15とに固定されている。これにより、5つのばね14は、5つの円筒電極12に対して、それぞれ独立して円筒電極12の延びる鉛直方向に付勢力を生じさせる機能を有している。なお、ばね14は、除染対象材M側に円筒電極12を付勢するように構成されている。これにより、短絡防止部材13が鉛直方向に潰れるように弾性変形される。この結果、円筒電極12と除染対象材Mとの離間距離Dを小さくして電解加工の加工効率を向上させることが可能である。なお、ばね14は、本発明の「付勢部材」の一例である。
また、図2に示すように除染対象材Mの表面Sに凹凸や起伏が形成されている状態であっても、5つのばね14により5つの円筒電極12がそれぞれ独立して付勢されていることによって、凹凸や起伏に合わせて円筒電極12を確実に除染対象材Mの表面Sに近接させることが可能である。
なお、5つの円筒電極12を除染対象材Mの表面S上を所定の方向に移動可能なように構成してもよいし、除染対象材Mを鉛直方向と直交する水平方向に搬送可能に構成してもよい。これにより、除染対象材Mの広範囲の加工を容易に行うことが可能である。なお、5つの円筒電極12の移動や除染対象材Mの搬送は、手動で行ってもよいし、ロボットなどを用いて自動で行ってもよい。
また、図1に示すように、本体部1は、直流電源部16と、直流電源部16の負極側と5つの円筒電極12とをそれぞれ並列に接続する配線17aと、直流電源部16の正極側と導電性の除染対象材Mとを接続する配線17bとを含んでいる。これにより、直流電源部16により、配線17aおよび17bと、電解液Lとを介して、5つの円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路が各々形成されるように構成されている。なお、直流電源部16は、直流電流(DC)を供給するように構成されている。ここで、直流電源部16は、15V程度の電圧を供給可能であればよく、約1000V以上の高い電圧を供給可能である必要はない。また、直流電源部16は、本発明の「電源部」の一例である。
(電解加工の説明)
次に、図1および図2を参照して、第1実施形態の電解加工装置100における電解加工について説明する。なお、本説明では、除染対象材Mが、表面Sおよびその近傍が放射線で汚染された鉄材である場合について説明する。
まず、図2に示すように、円筒電極12の吐出口12b側が除染対象材M側(Z2側)になるように、5つの円筒電極12を除染対象材Mの表面S上に配置する。この際、ばね14の付勢力により円筒電極12は、除染対象材M側に付勢される。しかしながら、円筒電極12と除染対象材Mとの間に短絡防止部材13が配置されているので、円筒電極12と除染対象材Mとが接触するのが防止される。また、短絡防止部材13が弾性変形することによって、短絡防止部材13が潰れるように変形する。この結果、円筒電極12と除染対象材Mとが離間した状態で近接する。なお、除染対象材Mの表面Sに起伏や凹凸が形成されている場合であっても、ばね14の付勢力と短絡防止部材13の変形とにより、起伏や凹凸に拘わらず、円筒電極12と除染対象材Mとが離間した状態で近接する。
そして、電解液Lを供給しつつ、直流電源部16(図1参照)により、5つの円筒電極12と除染対象材Mとの間に、電解液Lを介して電圧を印加する。これにより、円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路が形成されて電解加工が行われる。ここで、円筒電極12と除染対象材Mとの離間距離Dが十分に近接していることによって、円筒電極12と除染対象材Mとの間に大きな電圧(たとえば、約1000V以上)を印加しなくても、小さな電圧(たとえば、約15V)で十分に電解加工を行うことが可能である。
この際、正極側に接続された除染対象材Mでは、電解液Lに接する除染対象材Mの表面Sの鉄(Fe)がイオン化して2価の鉄イオン(Fe2+)となり、電解液L側に移動する。これにより、除染対象材Mの表面Sおよびその近傍に位置する汚染された鉄が電解液L内に溶出する。そして、電解加工を除染対象材Mの所定の深さまで行って汚染された鉄を十分に除去することにより、除染対象材Mが非汚染材料(クリアランス材)となる。一方、溶出したFe2+は、電解液L中の水酸化物イオン(OH)と反応して、水酸化鉄(II)(Fe(OH))、または、水酸化鉄(II)が酸化した水酸化鉄(III)(Fe(OH))として、フィルタ3aにより捕集される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、円筒電極12と除染対象材Mとの間に、円筒電極12と除染対象材Mとの電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材13を配置する。これにより、たとえ円筒電極12と除染対象材Mとを近接させたとしても、短絡防止部材13により円筒電極12と除染対象材Mとが直接接触して短絡するのを防止することができるので、円筒電極12と除染対象材Mとを十分に近接させることができる。この結果、円筒電極12と除染対象材Mとが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことができる。
また、第1実施形態では、短絡防止部材13を、電解液Lを浸透させることが可能な多孔性のスポンジから構成する。これにより、多孔性のスポンジから構成された短絡防止部材13内を浸透する電解液Lを介して、円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路を形成することができる。これにより、円筒電極12と除染対象材Mとが短絡するのを防止しつつ、円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路を確実に形成することができる。
また、第1実施形態では、短絡防止部材13を、弾性変形するように構成することによって、除染対象材Mの表面に凹凸や起伏が形成されている場合であっても、凹凸や起伏に合わせて短絡防止部材13を弾性変形させることができるので、除染対象材Mの表面形状に拘わらず、円筒電極12と除染対象材Mとを容易に近接させることができる。この結果、除染対象材Mが複雑な形状であっても、電解加工を効率的に行うことができる。
また、第1実施形態では、短絡防止部材13を、電解液Lを保持しつつ電解液Lを浸透させるスポンジから構成する。これにより、円筒電極12と除染対象材Mとの間に配置される短絡防止部材13に電解液Lが保持されない場合と比べて、電解液Lの流量などを多く確保しなくても円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路を確実に形成することができる。
また、第1実施形態では、円筒電極12を、除染対象材Mと円筒電極12との間に電解液Lを吐出する吐出口12bと電解液Lが流通する中空部12aとを有するとともに、導電性を有する筒状に形成する。これにより、円筒電極12が電解液Lの吐出機構と円筒電極12とを兼ねることができるので、部品点数を削減することができる。また、中空部12aおよび吐出部12bを介して円筒電極12と除染対象材Mとの間に電解液Lを容易に配置することができるので、円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路を確実に形成することができる。
また、第1実施形態では、短絡防止部材13を、円筒電極12の除染対象材M側の一方端部およびその周辺を覆うように、筒電極12の吐出口12b側に嵌め込む。これにより、短絡防止部材13が円筒電極12と除染対象材Mとの間からずれるのを効果的に抑制することができるので、円筒電極12と除染対象材Mとが短絡するのをより確実に防止することができる。
また、第1実施形態では、好ましくは、円筒電極12と除染対象材Mとの離間距離Dを、0mmよりも大きく、かつ、約3mm以下にする。このように構成すれば、円筒電極12と除染対象材Mとを十分に近接させることができるので、電解液Lが円筒電極12と除染対象材Mとの間に位置しない状態が生じるのを抑制することができる。また、円筒電極12と除染対象材Mとが十分に近接していることによって、電解加工に用いられない電流(電力)の割合が大きくなるのを抑制することができる。これらの結果、除染対象材Mの加工効率を十分に向上させることができる。さらに、大きな電圧(たとえば、約1000V以上)を印加しなくても十分に電解加工を行うことができるので、直流電源部16の構造を簡素化することができる。
また、第1実施形態では、円筒電極12を複数(5つ)形成するとともに、短絡防止部材13を複数の円筒電極12の各々に設ける。これにより、各々の円筒電極12において、円筒電極12と除染対象材Mとが直接接触して短絡するのを防止することができる。また、円筒電極12を複数形成することによって、一度に加工可能な加工面積を大きくすることができるので、除染対象材Mの加工時間を効果的に短縮することができる。
また、第1実施形態では、円筒電極12を除染対象材M側に付勢するばね14を設ける。これにより、ばね14により、円筒電極12を除染対象材Mにより近接させることができるので、円筒電極12と除染対象材Mとの間の電流経路をより確実に形成することができる。なお、ばね14により円筒電極12を除染対象材M側に付勢したとしても、円筒電極12と除染対象材Mとの間に配置される短絡防止部材13によって、円筒電極12と除染対象材Mとが直接接触して短絡するのが防止される。
また、第1実施形態では、放射線で汚染された金属製の部材である除染対象材Mに対して本発明の電解加工装置100による電解加工を行うことにより、円筒電極12と放射線で汚染された金属製の部材とが直接接触して短絡するのを防止しつつ、金属製の部材のうち、放射線で汚染された部分(表面Sおよびその近傍)を効率的に除去することができる。これにより、放射線で汚染された除染対象材Mから効率的に非汚染材(クリアランス材)を得ることができる。
[第2実施形態]
次に、図3および図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態のスポンジから構成された短絡防止部材13の代わりに、ほとんど弾性変形しない硬質の樹脂から構成された複数の短絡防止部材113を用いる場合について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(短絡防止部材の構成)
図3に示すように、第2実施形態における円筒電極12の除染対象材M側(Z2側)の一方端部には、円筒電極12と除染対象材Mとの電気的な短絡を防止するために、複数(8つ)の短絡防止部材113が取り付けられている。この短絡防止部材113は、半楕円体状の形状を有しており、除染対象材M側に向かって突出している。また、短絡防止部材113は、絶縁性を有し、ほとんど弾性変形しない硬質の樹脂(たとえば、硬質ゴムなど)から構成されている。これにより、円筒電極12と除染対象材Mとの離間距離Dを略一定にすることが可能である。なお、短絡防止部材113は、本発明の「突起部材」の一例である。
また、図4に示すように、8つの短絡防止部材113は、円環状の円筒電極12の一方端部に略等角度間隔(約45度間隔)で取り付けられている。これにより、円筒電極12と除染対象材Mとが直接接触して短絡するのをより確実に防止している。なお、第2実施形態のその他の構成および電解加工の内容については、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、円筒電極12と除染対象材Mとの間に、円筒電極12と除染対象材Mとの電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材113を配置する。これにより、上記第1実施形態と同様に、円筒電極12と除染対象材Mとが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことができる。
また、第2実施形態では、円筒電極12の除染対象材M側に、除染対象材M側に向かって突出する複数(8つ)の短絡防止部材113を設ける。これにより、複数の短絡防止部材113により、円筒電極12と除染対象材Mとを確実に離間させることができるので、円筒電極12と除染対象材Mとが直接接触して短絡するのを確実に防止することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図5および図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、上記第1実施形態の円筒電極12の代わりに、複数の吐出口212bが設けられたパイプ電極212を用いる場合について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。また、パイプ電極212は、本発明の「電極」および「筒状電極」の一例である。
(電解加工装置の構成)
第3実施形態における電解加工装置300は、図5に示すように、放射線で汚染された導電性の除染対象材Mに対して電解加工が行われる本体部201と、貯留部2と、本体部201と貯留部2とを接続し、電解液Lが内部を流通するパイプからなる電解液経路部203とを備えている。電解液経路部203には、貯留部2の電解液Lを本体部201に供給するためのポンプ203aが設けられている。
<本体部の構成>
ここで、第3実施形態では、図5および図6に示すように、本体部201は、1つのパイプ電極212と短絡防止部材213とを含んでいる。パイプ電極212は、中央部に形成され、電解液Lが流入する中空部212aと、電解液Lが吐出される複数(4つ)の吐出口212bと、電解液経路部203に接続され、電解液Lが供給される供給口212cと、図示しない固定部に固定された腕部212dとを有している。また、パイプ電極212は、導電性を有しており、直流電源部16の負極側と図示しない端子および配線17aを介して接続されている。
また、本体部201は、図示しない搬送部を含んでおり、除染対象材Mを搬送方向(X1方向)に所定の搬送速度で搬送可能なように構成されている。
4つの吐出口212bは、中空部212aと外部とを接続するように形成されている。また、4つの吐出口212bは、パイプ電極212のX2側で、かつ、除染対象材M側(Z2側)において、除染対象材Mの表面Sに沿うように形成されているとともに、Y方向に略等間隔で形成されている。
短絡防止部材213は、パイプ電極212の腕部212dと配線17aに接続される上面とを除いたパイプ電極212の略全体を覆うようにパイプ電極212に嵌め込まれている。短絡防止部材213は、多孔性で、かつ、弾性変形可能な絶縁性の材料であるスポンジから構成されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(電解加工の説明)
次に、図5および図6を参照して、第3実施形態の電解加工装置300における電解加工について説明する。
まず、図5および図6に示すように、パイプ電極212の4つの吐出口212b側が除染対象材M側(Z2側)になるように、短絡防止部材213で覆われたパイプ電極212を除染対象材Mの表面S上に配置する。この際、パイプ電極212の自重や、固定された腕部212dの高さ位置に応じて、短絡防止部材213が潰れるように変形する。この結果、パイプ電極212と除染対象材Mとが離間した状態で近接する。
そして、電解液Lを供給しつつ、所定の搬送速度で除染対象材Mを搬送方向(X1方向)に搬送しながら、直流電源部16により、パイプ電極212と除染対象材Mとの間に、電解液Lを介して電圧を印加する。これにより、パイプ電極212と除染対象材Mとの間に電流経路が形成されて電解加工が行われる。この際、除染対象材Mが搬送方向に沿って連続的に電解加工される。また、Y方向に略等間隔で形成された4つの吐出口212bの各々から吐出される電解液Lを介して電解加工が行われることによって、除染対象材MのY方向の広範囲が一度に電解加工される。この結果、除染対象材Mの広範囲に亘って迅速に電解加工を行うことが可能である。なお、除染対象材Mからの溶出反応は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、パイプ電極212と除染対象材Mとの間に、パイプ電極212と除染対象材Mとの電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材213を配置する。これにより、上記第1実施形態と同様に、パイプ電極212と除染対象材Mとが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことができる。
また、第3実施形態では、パイプ電極212に、除染対象材Mの表面Sに沿って複数(4つ)の吐出口212bを設ける。これにより、除染対象材Mの表面Sに沿って設けられた複数の吐出口212bにより、一度に加工可能な加工面積を大きくすることができるので、除染対象材Mの加工時間を効果的に短縮することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[実施例]
次に、図5〜図8を参照して、実施例として、第3実施形態による電解加工装置300を用いて行った電解加工の結果について説明する。
第3実施形態による電解加工装置300を用いて行った実施例1では、除染対象材M(処理対象材)として、18Cr−8Ni−Fe合金の平板を用いた。また、電解液は、20wt%の硝酸ナトリウム(NaNO)の水溶液を用いた。そして、パイプ電極212と除染対象材Mとの離間距離D(図6参照)を3mmにした。
そして、図5に示すように、除染対象材Mを1mm/secの搬送速度で搬送方向に搬送しながら、所定の流速で電解液Lをパイプ電極212に供給した。そして、直流電源部16により、15Vの電圧で30Aの電流が流れるように電圧を印加することによって、除染対象材Mを電解加工した。この際、搬送方向に沿って1回だけ電解加工を行った。
また、実施例2、3および4として、パイプ電極212と除染対象材Mとの離間距離Dをそれぞれ1mm、5mmおよび7mmにした点以外は、実施例1と同様にして、搬送方向に沿って1回だけ電解加工を行った。
そして、電解加工により除染対象材Mに形成された加工痕における加工深さ(未加工面と加工面との平板の厚み方向における高さ位置の差)の平均(平均加工深さ)を求めた。
実験結果としては、図7の写真に示す実施例1の結果のように、実施例1〜4のいずれの除染対象材Mにおいても、パイプ電極212の4つの吐出口212bに対応する部分を中心に4つのX方向に延びる加工痕(白色部分)が形成された。また、実施例1、2、3および4の加工痕の平均加工深さは、それぞれ、10μm、20μm、3μmおよび2μmであった。この結果、図8に示すように、実施例1および2のように、パイプ電極212と除染対象材Mとの離間距離Dが3mm以下である場合には、太い実線のように離間距離Dの逆数に対する平均加工深さの増加率が大きくなる一方、実施例3および4のように、離間距離Dが3mmを超えて大きい場合には、細い実線のように離間距離Dの逆数に対する平均加工深さの増加率が小さくなることが判明した。このことから、離間距離Dを0mmより大きく、かつ、3mm以下にすることによって、電解液Lをパイプ電極212と除染対象材Mとの間に確実に配置することができ、その結果、除染対象材Mの加工効率を向上させることができるので好ましいことが判明した。ここで、短絡防止部材を電極と除染対象材との間に配置することによって、電極と除染対象材との短絡を防止しつつ、電極と除染対象材との離間距離を、たとえば3mm以下に小さくすることができるので、短絡防止部材を配置することの有用性が確認できた。
[第4実施形態]
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、上記第1実施形態の円筒電極12の代わりに、傾斜電極312を用いる場合について説明する。なお、上記第1実施形態または上記第3実施形態と同様の構成は、第1実施形態または第3実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。また、傾斜電極312は、本発明の「電極」の一例である。
(電解加工装置の構成)
第4実施形態における電解加工装置400は、図9に示すように、放射線で汚染された導電性の除染対象材Mに対して電解加工が行われる本体部301と、貯留部2と、電解液経路部203とを備えている。
<本体部の構成>
ここで、第4実施形態では、本体部301は、1つの傾斜電極312および短絡防止部材313と、除染対象材Mを搬送方向(X1方向)に所定の搬送速度で搬送する図示しない搬送部とを含んでいる。傾斜電極312は、平板状の金属板から構成されている。つまり、傾斜電極312は、紙面垂直方向に延びるように形成されている。また、傾斜電極312は、図示しない固定部によりX2側に向かって下方(Z2側)に傾斜した状態で固定されている。この際、傾斜電極312の除染対象材M側の一方端部は、除染対象材Mから離間した状態で固定されている。また、傾斜電極312は、直流電源部16の負極側と配線17aを介して接続されている。
傾斜電極312の上面312aには、電解液経路部203から電解液Lが供給されるように構成されている。これにより、電解液Lは、X1側からX2側に向かって傾斜電極312上を下方に流通するように構成されている。
短絡防止部材313は、搬送される除染対象材Mに拘わらず傾斜電極312の除染対象材M側の一方端部と除染対象材Mとの間に位置するように、固定されている。また、短絡防止部材313は、平板状の傾斜電極312に対応するように、紙面垂直方向に延びるように直方体形状に形成されており、平板状の傾斜電極312の全体が、除染対象材Mと直接接触するのを防止している。なお、短絡防止部材313は、多孔性で、かつ、弾性変形可能な絶縁性の材料であるスポンジから構成されている。また、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(電解加工の説明)
次に、図9を参照して、第4実施形態の電解加工装置400における電解加工について説明する。
まず、図9に示すように、傾斜電極312を傾斜するように配置(固定)するとともに、短絡防止部材313を傾斜電極312と除染対象材Mとの間に配置(固定)する。そして、電解液Lを供給しつつ、所定の搬送速度で除染対象材Mを搬送方向(X1方向)に搬送しながら、直流電源部16により、傾斜電極312と除染対象材Mとの間に、電解液Lを介して電圧を印加する。これにより、傾斜電極312と除染対象材Mとの間に電流経路が形成されて電解加工が行われる。この際、除染対象材Mが搬送方向に沿って連続的に電解加工されるとともに、除染対象材Mの紙面垂直方向の広範囲が一度に電解加工される。この結果、除染対象材Mの広範囲に亘って迅速に電解加工を行うことが可能である。なお、除染対象材Mからの溶出反応は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第4実施形態では、上記のように、傾斜電極312と除染対象材Mとの間に、傾斜電極312と除染対象材Mとの電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材313を配置する。これにより、上記第1実施形態と同様に、傾斜電極312と除染対象材Mとが短絡するのを防止しながら、電解加工を効率的に行うことができる。
また、第4実施形態では、傾斜電極312を平板状に形成するとともに、短絡防止部材313を、平板状の傾斜電極312に対応するように、紙面垂直方向に延びるように形成する。これにより、一度に加工可能な加工面積を大きくすることができるので、面積の大きな除染対象材Mの加工時間を効果的に短縮することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、除染対象材M(処理対象材)が、放射線で表面およびその近傍が汚染されている金属製の部材である例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理対象材は、導電性を有する部材であれば、放射線で汚染された金属製の部材でなくてもよい。
また、上記第1実施形態の電解加工装置100および第3実施形態の電解加工装置300では、それぞれ、円筒電極12の吐出口12bおよびパイプ電極212の吐出口212bを除染対象材M側に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電解加工装置において、筒状電極を、筒状電極の吐出口が鉛直方向と交差する方向(たとえば、鉛直方向と直交する水平方向)に向くように横向きに配置したり、鉛直方向の上方に向くように上向きに配置してもよい。これにより、除染対象材Mの配置状況に拘わらず、除染対象材Mを電解加工することが可能である。
たとえば、図10に示す第1実施形態の変形例の電解加工装置500のように、短絡防止部材13が嵌め込まれた円筒電極12を吐出口12bが鉛直方向と直交する水平方向に向くように横向きに配置してもよい。この際、短絡防止部材13がスポンジから構成されていることによって、電解液Lが短絡防止部材13内で保持されつつ浸透するので、電解液Lを介して円筒電極12と除染対象材Mとの間に電流経路を確実に形成することが可能である。なお、この際、短絡防止部材13が嵌め込まれた複数の円筒電極12を紙面垂直方向に沿って並ぶように配置してもよい。
また、上記第3実施形態では、パイプ電極212に電解液Lが突出される吐出口212bを除染対象材Mの表面Sに沿うように4つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、吐出口の数は、4つ以外の複数でもよい。また、図11に示す第3実施形態の変形例の電解加工装置600のように、パイプ電極512に、スリット状の吐出口512bを形成してもよい。このスリット状の吐出口512bは、除染対象材Mの表面Sに沿ってY方向に延びるように1つだけ形成される。これにより、Y方向の広範囲を略均等に電解加工することが可能である。なお、パイプ電極512は、本発明の「電極」および「筒状電極」の一例である。
また、上記第1および第2実施形態では、電解液Lとして中性の水溶液を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電解液として、たとえば、強アルカリ性の水溶液など中性の水溶液以外の溶液を用いてもよい。
また、上記第1、第3および第4実施形態では、短絡防止部材13(213、313)を多孔性のスポンジから構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、短絡防止部材をスポンジ以外の多孔性を有する絶縁性の材料から構成してもよい。また、短絡防止部材を繊維状の絶縁性の材料から構成してもよい。この繊維状の短絡防止部材は、多数の繊維が絡み合うことにより形成されており、電解液を浸透させることが可能である。なお、繊維状の絶縁性の材料は、ある程度電解液を保持可能であるのが好ましい。
また、上記第1、第3および第4実施形態では、短絡防止部材13(213、313)を多孔性のスポンジから構成し、上記第2実施形態では、短絡防止部材113を硬質の樹脂から構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、短絡防止部材として、スポンジおよび硬質の樹脂の両方を併用してもよい。
また、上記第1実施形態では、複数の円筒電極12をそれぞれ独立して除染対象材Mの表面Sに向かって付勢する複数のばね14を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つのばねにより複数の電極を付勢するように構成してもよいし、ばね以外の弾性部材により、除染対象材の表面に向かって電極を付勢してもよい。また、ばねを設けずに、電極の自重により、除染対象材の表面に向かって電極が押し付けられるように構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、円筒電極12と除染対象材Mとの離間距離Dを、0mmよりも大きく、かつ、約3mm以下にする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、円筒電極と除染対象材とを近接させることが困難な場合には、円筒電極と除染対象材との離間距離を約3mmよりも大きく確保してもよい。
また、上記第2実施形態では、円筒電極12の円環状の一方端部に8つの短絡防止部材113を略等角度間隔で取り付けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、短絡防止部材の数は、8つ以外の複数でもよい。また、複数の短絡防止部材を等角度間隔に取り付けなくてもよい。
また、上記第3実施形態、第3実施形態の変形例および第4実施形態では、搬送部により除染対象材Mを搬送方向に搬送可能なように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記第3実施形態(第3実施形態の変形例)において、除染対象材Mを搬送可能に構成するのに代えて(または加えて)、パイプ電極212(512)および短絡防止部材213を除染対象材Mの表面S上を所定の方向に移動可能なように構成してもよい。同様に、上記第4実施形態において、除染対象材Mを搬送可能に構成するのに代えて(または加えて)、傾斜電極312および短絡防止部材313を除染対象材Mの表面S上を所定の方向に移動可能なように構成してもよい。なお、パイプ電極(傾斜電極)および短絡防止部材の移動や除染対象材の搬送は、手動で行ってもよいし、ロボットなどを用いて自動で行ってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、金属製の部材である除染対象材M(処理対象材)に直流電源部16の正極側を接続した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理対象材が導電性酸化物であり、導電性酸化物を還元させて除去するような電解加工を行う場合には、導電性酸化物の処理対象材に直流電源部の負極側を接続する必要がある。
12 円筒電極(電極、筒状電極)
12a、212a 中空部
12b、212b、512b 吐出口
13、213、313 短絡防止部材
14 ばね(付勢部材)
16 直流電源部(電源部)
100、300、400、500、600 電解加工装置
113 短絡防止部材(突起部材)
212、512 パイプ電極(電極、筒状電極)
312 傾斜電極(電極)
L 電解液
M 除染対象材(処理対象材)

Claims (10)

  1. 複数の電極と、
    前記電極と導電性を有する処理対象材との間に電解液を介して電圧を印加する電源部と、
    前記電極と前記処理対象材との間に配置され、前記電極と前記処理対象材との電気的な短絡を防止するための絶縁性を有する短絡防止部材と、
    前記電極を前記処理対象材側に付勢する、複数の前記電極に独立して取り付けられている付勢部材とを備え
    前記複数の電極は、互いに平行に隣り合うように配置されているとともに、前記付勢部材により、互いに同じ方向に独立に付勢されている、電解加工装置。
  2. 前記付勢部材は、前記電極が挿通されるように、複数の前記電極に独立して取り付けられているばねを含む、請求項1に記載の電解加工装置。
  3. 前記短絡防止部材は、前記電解液を浸透させることが可能な多孔性または繊維状の材料から構成されている、請求項1または2に記載の電解加工装置。
  4. 前記短絡防止部材は、弾性変形するように構成されている、請求項3に記載の電解加工装置。
  5. 前記電極は、前記処理対象材と前記電極との間に前記電解液を吐出する吐出口と前記電解液が流通する中空部とを有し、導電性を有する筒状電極を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解加工装置。
  6. 前記筒状電極には、前記処理対象材の表面に沿って複数の前記吐出口が設けられている、請求項5に記載の電解加工装置。
  7. 前記短絡防止部材は、少なくとも前記筒状電極の前記処理対象材側を覆うように前記筒状電極に嵌め込まれている、請求項5または6に記載の電解加工装置。
  8. 前記電極は、複数形成されており、
    前記短絡防止部材は、複数の前記電極の各々に設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解加工装置。
  9. 前記処理対象材は、放射線で汚染された金属製の部材を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解加工装置。
  10. 前記複数の電極は、筒状電極を含み、
    互いに平行に隣り合うように配置されている前記複数の筒状電極が移動可能に挿通されるとともに、前記付勢部材を固定する板状の固定部材をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電解加工装置。
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