JP6631450B2 - 処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、処理装置に関する。
プラズマを用いて処理室内のワークに成膜を行う装置として、処理室内で、ワークに電気的に接続されたワーク側の導電体を、搬送方向に位置する電源部側の導電体に接触させて、電源部側の導電体からワーク側の導電体を介してワークに電力を印加することによって成膜を行う装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2015−94022号公報
特許文献1記載の装置では、処理室内に位置する電源部側の導電体に、処理室内で発生する成膜カス等の異物が付着すると異常放電が発生することがあることから、電源部側の導電体の一部が、パイプ状の絶縁体によって覆われている。しかし、ワーク側の導電体を搬送して、パイプ状の絶縁体の開口を通じて電源部側の導電体に接触させようとする際に、接触させようとする箇所に対するワーク側の導電体の搬送のズレ(搬送ズレ)が生じた場合には、ワーク側の導電体が電源部側の絶縁体に接触して、ワーク側の導電体が電源部側の導電体に到達することが妨げられる場合がある。このような場合には、ワーク側の導電体と電源部側の導電体との間に導通不良が発生し、ワークに電力が適切に印加されないおそれがあった。また、このような搬送ズレに起因する導通不良を抑制するために、パイプ状の絶縁体の開口を単純に大きくすると、開口からプラズマが侵入して異常放電が発生するおそれがあった。なお、同様の構成を備える装置においてエッチングを行う場合にも、このような問題が生じるおそれがあった。そのためワークに成膜又はエッチングを行う処理装置において、ワーク側の導電体の搬送ズレが生じた場合であってもワーク側の導電体と電源部側の導電体との間に導通不良が発生することを抑制しつつ、異常放電の発生を抑制可能な技術が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
プラズマを用いて導電性のワークに成膜又はエッチングを行う処理装置であって、
前記成膜又は前記エッチングが行われる処理室と、
前記処理室内に前記ワークを搬送する搬送部であって、前記搬送の方向である搬送方向を向くワーク側導電体と、前記ワーク側導電体と電気的に接続され、前記ワークを保持する導電性の保持部と、前記ワーク側導電体の前記搬送方向の端部を露出させた状態で前記ワーク側導電体を覆うワーク側絶縁体とを有する搬送部と、
前記処理室内に少なくとも一部が設けられ電力が印加される電源部側導電体と、
前記処理室内において前記電源部側導電体を覆い、前記処理室内の前記電源部側導電体と前記ワーク側導電体の端部とが対向する箇所に開口部を有する電源部側絶縁体と、を備え、
前記開口部は、前記ワーク側導電体側に位置し前記ワーク側導電体側に向けて広がる傾斜部と、前記傾斜部よりも前記電源部側導電体側に位置し前記搬送方向に沿った内壁部と、を有し、
前記搬送部が前記搬送方向に移動して前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触することで、前記電源部側導電体に印加される電力が前記ワーク側導電体及び前記保持部を介して前記ワークに印加され、
前記ワーク側絶縁体の前記搬送方向の端部は、前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触したときに、前記開口部の前記内壁部の内側に位置し、
前記開口部内は、前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触したときに、前記処理室に連通している、
処理装置。
また、本発明は、以下の形態として実現することも可能である。
本発明の一形態によれば、プラズマを用いて導電性のワークに成膜又はエッチングを行う処理装置が提供される。この処理装置は、前記成膜又は前記エッチングが行われる処理室と;前記処理室内に前記ワークを搬送する搬送部であって、前記搬送の方向である搬送方向を向くワーク側導電体と、前記ワーク側導電体と電気的に接続され、前記ワークを保持する導電性の保持部と、前記ワーク側導電体の前記搬送方向の端部を露出させた状態で前記ワーク側導電体を覆うワーク側絶縁体とを有する搬送部と;前記処理室内に少なくとも一部が設けられ電力が印加される電源部側導電体と;前記処理室内において前記電源部側導電体を覆い、前記処理室内の前記電源部側導電体と前記ワーク側導電体の端部とが対向する箇所に開口部を有する電源部側絶縁体と、を備え;前記開口部は、前記ワーク側導電体側に位置し前記ワーク側導電体側に向けて広がる傾斜部と、前記傾斜部よりも前記電源部側導電体側に位置し前記搬送方向に沿った内壁部と、を有し;前記搬送部が前記搬送方向に移動して前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触することで、前記電源部側導電体に印加される電力が前記ワーク側導電体及び前記保持部を介して前記ワークに印加され;前記ワーク側絶縁体の前記搬送方向の端部は、前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触したときに、前記開口部の前記内壁部の内側に位置する。このような処理装置であれば、搬送部に搬送方向に交差する方向の搬送ズレが生じた場合であっても、ワーク側導電体を電源部側絶縁体の開口部に設けられた傾斜部に沿って電源部側導電体まで移動させることができる。そのため、搬送部に搬送ズレが生じた場合であっても、ワーク側導電体と電源部側導電体との間に導通不良が発生することを抑制することができる。また、ワーク側絶縁体の搬送方向の端部は、ワーク側導電体が電源部側導電体に開口部を通じて接触したときに、開口部に設けられた内壁部の内側に位置するので、開口部とワーク側絶縁体との間にプラズマが侵入することが抑制され、異常放電の発生を抑制することができる。
本発明は、上述した処理装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、導電性のワークに成膜又はエッチングを行う処理方法等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態における処理装置の構成を示す概略構成図。 処理装置の部分拡大断面図。 ワーク側導電体と電源部側導電体とが接触した状態を示す部分拡大断面図。 比較例の処理装置を示す図。 本実施形態の処理装置の効果を示す図。
A.実施形態:
図1は、本発明の一実施形態における処理装置100の構成を示す概略構成図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が図示されている。X方向の正方向を+X方向、負方向を−X方向とし、Y方向の正方向を+Y方向、負方向を−Y方向とし、Z方向の正方向を+Z方向、負方向を−Z方向とする。本実施形態では、Y方向は鉛直方向を示し、+Y方向は鉛直方向上方であり、−Y方向は鉛直方向下方である。また、本実施形態では、X方向及びZ方向は水平方向を示す。このことは、以降の図においても同様である。
処理装置100は、プラズマを用いて導電性のワークWに成膜又はエッチングを行う装置である。処理装置100は、いわゆるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、ワークWに薄膜を形成する。本実施形態では、ワークWは、燃料電池のセパレータの基材として用いられる板状の金属板である。処理装置100は、ワークWの表面に、例えば導電性の炭素系薄膜を形成する。
処理装置100は、処理室10と、電源部側導電体30と、電源部側絶縁体40と、搬送部80と、を備える。本実施形態では、処理装置100は、さらに、電源部20と、ガス供給装置91と、排気装置92と、搬送装置75と、制御部90と、を備える。
処理室10は、ワークWを処理室10内に搬入及び処理室10内から搬出可能な開口部15を有し下方に底を有する箱状の導電性の部材である。処理室10では、ワークWに成膜又はエッチングが行われる。処理室10には、処理室10内にガス供給装置91からガスを供給するための供給口11と、処理室10内を排気装置92によって排気するための排気口12と、電源部側絶縁体40が挿入される挿入口13とを備える。本実施形態において、処理室10は、アースに接続されている。
搬送部80は、保持部71とワーク側導電体50とワーク側絶縁体60とを備える。搬送部80は、処理室10の+Y方向に位置しており、Y方向に沿って移動可能である。搬送部80は、成膜又はエッチング時にワークWを−Y方向に搬送して、処理室10内にワークWを搬送する。本実施形態では、−Y方向を「搬送方向」とも呼ぶ。本実施形態では、搬送部80は、さらに、絶縁体77と、蓋78と、シール部材76と、を備える。
蓋78は、−Y方向に移動して処理室10に接触したときに、処理室10の開口部15を覆うように形成された板状の導電性の部材である。蓋78には、ワーク側絶縁体60と接続された絶縁体77が設けられている。また、蓋78には、−Y方向に移動したときに、処理室10に接触して処理室10内の気密を保つためのシール部材76が−Y方向側の面に設けられている。本実施形態では、シール部材76は、オーリングを用いている。
保持部71は、ワークWを保持する導電性の部材である。本実施形態では、保持部71の−Y方向端部はフック形状を有しており、保持部71は、このフック形状の部分をワークWに設けられた孔に引っ掛けることによって、ワークWを保持する。保持部71は、ワーク側絶縁体60内においてワーク側導電体50と電気的に接続される。一方、保持部71は、ワーク側絶縁体60及び絶縁体77によって蓋78と絶縁されている。
搬送装置75は、アクチュエータを備える装置である。本実施形態では、搬送部80は、搬送装置75と接続されており、制御部90(後述)が搬送装置75のアクチュエータを制御することによってY方向に沿って移動可能である。
なお、本実施形態では、処理装置100は、処理室10の+Y方向に予備室200を備える。予備室200は、真空ポンプと、ヒータと、扉と、を備える。ワークWは、扉から予備室200に搬入されて保持部71に保持される。予備室200では、処理室10で成膜又はエッチングが行われる前に、真空状態においてヒータによってワークWが加熱されることで、ワークWに付着した水分や有機物が除去される。本実施形態では、搬送部80は、−Y方向に移動したときにワークWを予備室200から処理室10内へ搬送し、+Y方向に移動したときにワークWを処理室10から予備室200へ搬送する。
ガス供給装置91は、供給口11を介して、処理室10内にキャリアガス及び原料ガスを供給する。本実施形態では、ガス供給装置91は、キャリアガスとして例えば窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスを供給し、原料ガスとして例えばピリジン(CN)ガスを供給する。また、ガス供給装置91は、エッチングガスとしてアルゴンガスを供給することも可能である。
排気装置92は、排気口12を介して処理室10内のガスを排気可能な装置である。排気装置92は、例えば、ロータリポンプや拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ等により構成される。排気装置92は、成膜又はエッチングが行われる前に、排気口12を介して処理室10内を排気し真空化する。
電源部20は、処理室10外に設けられた装置である。電源部20は、電源部側導電体30に電力を印加し、処理室10内に供給された原料ガス等をプラズマ化する。本実施形態では、電源部20は、成膜又はエッチング時に、電源部側導電体30に−3kVの電力を印加する。電源部側導電体30に印加された電力は、電源部側導電体30とワーク側導電体50を介して、ワークWに印加される。
制御部90は、処理装置100全体の動作を制御する。制御部90は、CPUとメモリーとを含む。CPUは、メモリーに格納されたプログラムを実行することによって、処理装置100の制御を行う。このプログラムは、各種記録媒体に記録されていてもよい。本実施形態では、制御部90は、搬送装置75を制御して搬送部80を−Y方向に移動させることによって処理室10内に保持部71、ワーク側導電体50、ワーク側絶縁体60及びワークWを搬入させるとともに、蓋78(シール部材76)を処理室10に接触させて処理室10内の気密を保つ。また、制御部90は、排気装置92を制御して処理室10内を排気させ、ガス供給装置91を制御して処理室10内に原料ガス等を供給させ、電源部20を制御して電源部側導電体30、ワーク側導電体50及び保持部71を介してワークWに電力を印加させる。
以下、処理装置100の部分拡大断面図を用いて、ワーク側導電体50、ワーク側絶縁体60、電源部側導電体30及び電源部側絶縁体40について詳細に説明する。
図2は、処理装置100の部分拡大断面図である。図2には、図1に示したワーク側絶縁体60と電源部側絶縁体40の近傍の断面が拡大して示されており、図2には、ワーク側導電体50と、ワーク側絶縁体60と、電源部側導電体30と、電源部側絶縁体40とが示されている。
ワーク側導電体50は、保持部71(図1)と電気的に接続され、−Y方向を向く導電性の部材である。本実施形態では、ワーク側導電体50は、第1導電体57と第1導電体57の−Y方向側の内部に配置された第2導電体55とバネ53とにより構成されている。第1導電体57の−Y方向側と第2導電体55とは、Y方向に沿って延びる略棒形状を有している。第1導電体57の+Y方向側は、保持部71から分岐して形成されておりワークWと電気的に接続されている。第2導電体55は、第1導電体57と電気的に接続されている。バネ53は導電性を有しており、第2導電体55が電源部側導電体30に接触したときの衝撃を吸収する。
ワーク側絶縁体60は、ワーク側導電体50及び保持部71(図1)を覆う部材である。ワーク側絶縁体60からは、保持部71のフック形状部分が露出している(図1)。また、ワーク側絶縁体60は、−Y方向の端部62において開口した開口部61を備えている。開口部61からは、ワーク側導電体50の−Y方向の端部51が−Y方向に露出している。
電源部側導電体30は、処理室10内に少なくとも一部が設けられ、電力が印加される導電性の部材である。電源部側導電体30は、+Y方向の面である上面31を有する。本実施形態では、電源部側導電体30は、先端部32と本体部34とを有し、成膜又はエッチング時には、処理室10外の電源部20から本体部34に電力が印加される。
電源部側絶縁体40は、処理室10内において電源部側導電体30を覆い、処理室10内の電源部側導電体30とワーク側導電体50の端部51とが対向する箇所に開口部41を有する絶縁体である。本実施形態では、開口部41は、電源部側導電体30の先端部32の上面31において開口する。開口部41は、内壁部41aと傾斜部41bとを備える。傾斜部41bは、ワーク側導電体50側(+Y方向側)に位置し+Y方向側に向けて広がる。内壁部41aは、傾斜部41bよりも電源部側導電体30側(−Y方向側)に位置する。内壁部41aは、搬送方向に沿った壁である。本実施形態では、傾斜部41bは、電源部側絶縁体40の+Y方向端部にXZ平面に沿った仮想底面を有し、内壁部41aの−Y方向端部にXZ平面に沿った仮想上面を有する円錐台の側面部でもある。本実施形態では、傾斜部41bは、内壁部41aの+Y方向端部に接続されている。内壁部41a及び傾斜部41bは開口部41を画定する。本実施形態では、電源部側絶縁体40は、開口部41を備える第1絶縁体43と、電源部側導電体30の本体部34を覆う第2絶縁体44とが接続されて構成されている。第1絶縁体43は、+Y方向の端部と+X方向の端部とを備え、XY断面においてL字型の断面形状を有する筒状の絶縁体である。第2絶縁体44は、X方向に沿って延びる筒状の絶縁体である。第1絶縁体43の+Y方向の端部には開口部41が設けられており、第1絶縁体43の+X方向の端部には、第2絶縁体44の−X方向の端部が嵌め込まれる。本実施形態では、+Y方向端部における第1絶縁体43の外径Aは約20mmであり、傾斜部41bの+Y方向端部における第1絶縁体43の内径Bは約17mmである。また、内壁部41a部分の第1絶縁体43の内径Cは約12mmである。なお、第1絶縁体43、第2絶縁体44及び上記の絶縁体77、ワーク側絶縁体60は、例えば、アルミナ(Al)や二酸化ケイ素(SiO)等のセラミックスで形成することができる。また、第1絶縁体43は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成されていてもよい。なお、外径A、内径B、及び内径Cの値は一例であり、他の値であってもよい。
図3は、ワーク側導電体50と電源部側導電体30とが接触した状態を示す部分拡大断面図である。搬送部80が−Y方向に移動して、ワーク側導電体50が電源部側導電体30に開口部41を通じて接触することで、電源部側導電体30に印加される電力が50及び保持部71を介してワークWに印加される。図3に示すように、ワーク側絶縁体60の−Y方向の端部62は、ワーク側導電体50が電源部側導電体30の上面31に開口部41を通じて接触したときに、開口部41の内壁部41aの内側に位置する。なお、本実施形態では、蓋78(シール部材76)が処理室10に接触したときに、ワーク側導電体50の端部51が電源部側導電体30の先端部32の上面31に接触するように、各部の寸法が設定されている。
図3には、さらに、幅W1、幅W2及びW3と、距離L1、距離L2及び距離L3とが示されている。本実施形態では、電源部側絶縁体40(第1絶縁体43)とワーク側絶縁体60との間には幅W1の隙間が設けられている。幅W1の隙間は、搬送部80が−Y方向に移動したときに、ワーク側絶縁体60と電源部側絶縁体40とが接触してワーク側絶縁体60又は電源部側絶縁体40が磨耗することを抑制する。幅W1は1.5mm以下である。また、幅W1の隙間部分のY方向に沿った距離L1は約3.0mm以上である。このようにすることで、幅W1の隙間にプラズマが侵入することが抑制され、ワーク側絶縁体60とワーク側導電体50が接触する箇所や、電源部側導電体30と電源部側絶縁体40が接触する箇所にプラズマが侵入することが抑制される。また、処理室10内で発生した絶縁性の異物が、開口部41内に落下した場合であっても、異物と電源部側導電体30との接触する箇所にプラズマが侵入することが抑制される。その結果、これらの箇所において異常放電が発生することが抑制される。また、本実施形態では、ワーク側絶縁体60とワーク側導電体50(第1導電体57)との間には幅W2の隙間が設けられている。幅W2は0mmより大きく1.5mm以下である。また、幅W2の隙間部分のY方向に沿った距離L2は約3.0mm以上である。このようにすることで、仮に幅W1の隙間部分にプラズマが侵入した場合であっても、ワーク側絶縁体60とワーク側導電体50(第1導電体57)との接触する箇所にまでプラズマが侵入することが抑制されるので、ワーク側絶縁体60とワーク側導電体50とが接触する箇所において異常放電が発生することがより抑制される。さらに、本実施形態では、第1絶縁体43及び第2絶縁体44と電源部側導電体30との間には幅W3の隙間が設けられている。幅W3は0mmより大きく1.5mm以下である。また、幅W3の隙間部分のX方向に沿った距離L3は約3.0mm以上である。このようにすることで、仮に幅W1の隙間部分にプラズマが侵入した場合であっても、電源部側導電体30と電源部側絶縁体40との接触する箇所にまでプラズマが侵入することが抑制されるので、電源部側導電体30と電源部側絶縁体40とが接触する箇所において異常放電が発生することがより抑制される。なお、上記の値は一例であり、幅W1、幅W2及び幅W3と、距離L1、距離L2及び距離L3の値は、上述のプラズマの侵入が抑制可能な幅及び距離(寸法)に設定されていればよい。
以上で説明した処理装置100では、搬送部80の保持部71にワークWが保持されると、制御部90は搬送装置75を制御して搬送部80を−Y方向に移動させ、ワーク側導電体50を電源部側導電体30の上面31に開口部41を通じて接触させるとともに、蓋78(シール部材76)を処理室10に接触させる。次に、制御部90は、排気装置92を制御して処理室10内を排気させ、ガス供給装置91を制御して処理室10内に原料ガス又はエッチングガスを供給させ、電源部20を制御して電源部側導電体30、ワーク側導電体50及び保持部71を介してワークWに電力を印加させて成膜又はエッチングを行う。制御部90は、ガス供給装置91を制御して原料ガス等の供給を停止させ、電源部20を制御して電力の印加を停止させて成膜又はエッチングを終了する。次に制御部90は、排気装置92を制御して処理室10内の圧力を復圧させ、搬送装置75を制御して搬送部80を+Y方向に移動させワーク側導電体50を上面31から離間させてワーク側導電体及びワークWを処理室10外に搬送させる。以上のようにして、処理装置100による成膜又はエッチングが行われる。
以上で説明した本実施形態の処理装置100による効果を図を用いて説明する。
図4は、比較例の処理装置300を示す図である。処理装置300の電源部側絶縁体340の開口部341は、内壁部341aの+Y方向端部に傾斜部41bを備えていない。処理装置300のその他の構成は、実施形態の処理装置100と同様である。ワーク側導電体50を搬送する搬送部80には、搬送方向に交差する方向(X方向又はZ方向)に搬送ズレが生じる場合がある。図4には、搬送部80に−X方向の搬送ズレが生じた場合を示している。搬送ズレが生じた場合には、図4に示すように、ワーク側導電体50が電源部側絶縁体40の+Y方向端部に接触してワーク側導電体50が電源部側導電体30に到達することが妨げられる場合がある。このような場合には、ワーク側導電体50と電源部側導電体30との間に導通不良が発生し、ワークWに電力が印加されないおそれがある。
図5は、本実施形態の処理装置100の効果を示す図である。図5には、搬送部80が−Y方向に移動する様子が示されている。図5の上部には、搬送部80に−X方向の搬送ズレが生じた様子が示されている。本実施形態の処理装置100では、搬送部80にX方向又はY方向の搬送ズレが生じ、ワーク側導電体50が電源部側絶縁体40の+Y方向端部に接触した場合であっても、ワーク側導電体50を電源部側絶縁体40の開口部41に設けられた傾斜部41bに沿って、図5の下部に示すように電源部側導電体30まで移動させることができる。そのため、搬送部80に搬送ズレが生じた場合であっても、ワーク側導電体50と電源部側導電体30との間に導通不良が発生することを抑制することができる。
また、ワーク側絶縁体60の−Y方向の端部62は、ワーク側導電体50が電源部側導電体30に開口部41を通じて接触したときに、開口部41に設けられた内壁部41aの内側に位置するので、開口部41とワーク側絶縁体60との間にプラズマが侵入することがより抑制され、異常放電の発生を抑制することができる。
B.変形例:
上述の実施形態において、Y方向が鉛直方向であり、X方向及びZ方向が水平方向である。これに対し、X方向が鉛直方向であってもよいし、Z方向が鉛直方向であってもよい。すなわち、搬送部80は、水平方向に沿って移動可能であってもよい。
上述の実施形態において、傾斜部41bの形状は、円錐台の側面部の形状である。これに対し、傾斜部41bの形状は、錐台の側面部の形状であってもよい。また、開口部41は、+Y方向側の端部の少なくとも一部に傾斜部を備えていればよく、搬送ズレが生じにくい方向の部分が、内壁部41aと同様に搬送方向に沿っていてもよい。
上述の実施形態において、保持部71の−Y方向端部はフック形状を有している。これに対し、保持部71の−Y方向端部は、ワークWを保持可能な形状であれば、他の形状であってもよく、例えば、クリップ形状であってもよい。
上述の実施形態において、電源部20は、電源部側導電体30に電力を印加しており、処理室10はアースに接続されている。これに対し、電源部20は、電源部側導電体30及び処理室10に電力を印加して処理室10内にプラズマを発生させるための電場を生成してもよい。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態や変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組合せを行うことが可能である。また、前述した実施形態及び各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。
10…処理室
11…供給口
12…排気口
13…挿入口
15…開口部
20…電源部
30…電源部側導電体
31…上面
32…先端部
34…本体部
40…電源部側絶縁体
41…開口部
41a…内壁部
41b…傾斜部
43…第1絶縁体
44…第2絶縁体
50…ワーク側導電体
51…端部
53…バネ
55…第2導電体
57…第1導電体
60…ワーク側絶縁体
61…開口部
62…端部
71…保持部
75…搬送装置
76…シール部材
77…絶縁体
78…蓋
80…搬送部
90…制御部
91…ガス供給装置
92…排気装置
100…処理装置
200…予備室
300…処理装置
340…電源部側絶縁体
341…開口部
341a…内壁部
A…外径
B、C…内径
L1…距離
L2…距離
L3…距離
W…ワーク
W1…幅
W2…幅
W3…幅

Claims (1)

  1. プラズマを用いて導電性のワークに成膜又はエッチングを行う処理装置であって、
    前記成膜又は前記エッチングが行われる処理室と、
    前記処理室内に前記ワークを搬送する搬送部であって、前記搬送の方向である搬送方向を向くワーク側導電体と、前記ワーク側導電体と電気的に接続され、前記ワークを保持する導電性の保持部と、前記ワーク側導電体の前記搬送方向の端部を露出させた状態で前記ワーク側導電体を覆うワーク側絶縁体とを有する搬送部と、
    前記処理室内に少なくとも一部が設けられ電力が印加される電源部側導電体と、
    前記処理室内において前記電源部側導電体を覆い、前記処理室内の前記電源部側導電体と前記ワーク側導電体の端部とが対向する箇所に開口部を有する電源部側絶縁体と、を備え、
    前記開口部は、前記ワーク側導電体側に位置し前記ワーク側導電体側に向けて広がる傾斜部と、前記傾斜部よりも前記電源部側導電体側に位置し前記搬送方向に沿った内壁部と、を有し、
    前記搬送部が前記搬送方向に移動して前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触することで、前記電源部側導電体に印加される電力が前記ワーク側導電体及び前記保持部を介して前記ワークに印加され、
    前記ワーク側絶縁体の前記搬送方向の端部は、前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触したときに、前記開口部の前記内壁部の内側に位置し、
    前記開口部内は、前記ワーク側導電体が前記電源部側導電体に前記開口部を通じて接触したときに、前記処理室に連通している、
    処理装置。
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