以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。なお、図面において一般的に信号と表記しているものは、以下で説明する各実施形態ではMACフレームと表記するが、これに限定されるものではない。なお、以下の説明では、MACフレーム内で識別子を付与する/付与されている位置を示すのに「先頭」という用語を使用しているが、これは、MACフレームにおける先頭を必ずしも意味していない。具体的には、「先頭」とは、VIDなどの識別子を付与することのできる所定のフィールドについての順序を指す。かかるフィールドは、例えば、MACフレーム内の、送信先MACアドレスフィールドと送信元MACアドレスフィールドに続く、VLAN−tagフィールドであり得る。すなわち、識別子をMACフレームの先頭に付与する/識別子がMACフレームの先頭に付与されているとは、識別子をMACフレーム内の先頭のVLAN−tagフィールドに付与する/識別子がMACフレーム内の先頭のVLAN−tagフィールドに付与されていることを意味するように使用している点に留意して頂きたい。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態に係るネットワークシステムの概略構成図である。本実施形態のネットワークシステムは、例えば、サービス機能を集約したサービス機能部α 1を、中継NW 2を介してユーザ側のスイッチa 31に接続したものであり、スイッチa 31は、拠点1(ユーザA)41、拠点2(ユーザA)42に接続されている。各拠点が送信するMACフレームは、当該MACフレームの送信元の拠点を特定する拠点識別VLAN ID(VID)を付与した上で送信される。これにより、中継NW 2を介して当該MACフレームを受信したサービス機能部α 1は、いずれの拠点から受信したMACフレームであるかを認識することができる。サービス機能部α 1では、受信した当該MACフレームの送信元の拠点を示す拠点識別VIDを送信先の拠点を示す拠点識別VIDに変換した上で、当該MACフレームを中継NW 2に送信する。なお、拠点1(ユーザA)41から送信されるMACフレームには、拠点1(ユーザA)41が送信元であることを示すMACアドレスXが付与され、拠点2(ユーザA)42から送信されるMACフレームには、拠点2(ユーザA)42が送信元であることを示すMACアドレスYが付与される。
この発明の第1の実施形態についての理解を深めるために、まず、各種原理および比較例について説明する。
(1)比較例1
図2は、この発明の第1の実施形態との比較例にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおける、中継NW 2において使用される中継スイッチの一例を示す図である。なお、図2に図示した中継スイッチ202は、中継NW 2内のスイッチ群中の1つのスイッチであり、スイッチ群中のスイッチの数は1つ以上の任意の数であってよい。上記で説明したように、サービス機能部α 1は、中継NW 2から受信した当該MACフレームの送信元の拠点を示す拠点識別VIDを送信先の拠点を示す拠点識別VIDに変換した上で、当該MACフレームを中継NW 2に送信する。これにより、図2に図示した中継NW 2内の中継スイッチ202において、拠点識別VIDに基づく転送処理を行うことができ、結果、中継NW 2は、サービス機能部α 1から受信したMACフレームを、当該MACフレームに含まれる拠点識別VIDが示す送信先の拠点に転送できるようになる。
図2の中継スイッチ202内では、上述した拠点識別VIDに基づく転送処理を行うために、当該中継スイッチ202内の各物理ポートに対して(図2では、物理ポートとして図示しているが、論理ポートなどの他の何らかの通信ポートでもよい。以下の図面も同様である。)、受信したMACフレームをいずれのポート間接続部に転送するかを拠点識別VIDに対応付けて管理する。このように、各拠点識別VIDと各ポート間接続部を対応付けて管理する場合は、新たな拠点が追加されるたびに、追加された拠点の拠点識別VIDを新たにポート間接続部と対応付けする必要がある。
また、図2に図示しているような複数のポート間接続部を備える装置では、ポート間接続部毎に、異なるフォワーディングデータベース(FDB)でMACアドレス学習が行われる。各ポート間接続部は、MACフレームを受信すると、当該MACフレームの送信先のMACアドレスがFDBに記憶されているか否かを確認し、記憶されていれば当該MACフレームをMACアドレスに対応するポートへ転送し、記憶されていなければ当該MACフレームを、そのMACフレームを受信したポート以外のすべてのポートに送信する(フラッディング)。このようなフラッディングによる無駄な通信が生じないように、このようにMACフレーム転送を行う装置では、受信したフレームの送信元のMACアドレスと受信した通信ポートを対応づけてFDBに記憶する(MACアドレス学習)。
(2)比較例2
図3は、この発明の第1の実施形態との別の比較例にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいて使用される、中継NW 2内の例示的な中継スイッチ201および例示的なスイッチa 311での信号通信の一例を示す図である。図3に図示したスイッチa 311と中継NW 2との間で通信されるMACフレームでは、MACフレーム11U2、MACフレーム21D2、MACフレーム31U2、MACフレーム41D2において図示されているように、送信元または送信先のスイッチを特定するスイッチ識別VIDをMACフレームの先頭に付与して、当該MACフレームが拠点識別VIDとスイッチ識別VIDとの2段VIDを有するようにして送信している。この例では、サービス機能部α 1は、当該MACフレームにおいて、図1に関して上述したように拠点識別VIDを変換するのに加え、スイッチ識別VIDも、送信元のスイッチを示すスイッチ識別VIDから送信先のスイッチを示すスイッチ識別VIDに変換して送信する。この例では、中継NW 2内の中継スイッチ201では、MACフレームの先頭に付与されているスイッチ識別VIDのみを認識し、内部の拠点識別VIDはデータの一部として扱われる。このため、新たな拠点が追加されたとしても、中継NW 2内の中継スイッチ201において、新たな拠点識別VIDに基づく設定変更を行う必要はない。図3の中継スイッチ201では、転送処理において利用されるのは、送信元または送信先のスイッチがスイッチa 311であることを示すスイッチ識別VIDの値10のみなのでポート間接続部は1つとなっている。
図4Aは、図3に示した中継スイッチ201において使用される識別子情報の一例を示す図である。当該識別子情報は、各物理ポートに対して、受信したMACフレームの先頭に付与されているスイッチ識別VIDに対応するポート間接続部を示しており、各通信ポートにおいて受信されたMACフレームが、当該受信したMACフレームの先頭に付与されているスイッチ識別VIDに対応するポート間接続部に送信されることが分かる。
図4Bは、図3に示した中継スイッチ201のポート間接続部1 201−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図3に示した中継スイッチ201中のポート間接続部201−11においても、比較例1において上記で説明したのと同様に、MACアドレス学習が行われる。図3に示した中継スイッチ201中のポート間接続部201−11では、例えば、拠点1(ユーザA)41を送信元とするMACアドレスXを含むMACフレームが上りで、中継スイッチ201の物理ポート#2 201−22において受信されたとき、MACアドレスXはポート#2に対応付けて記憶される。一方、当該MACフレームが拠点2(ユーザA)42を送信先として下りで、図3の中継スイッチ201の物理ポート#1 201−21において受信されたとき、MACアドレスXはポート#1に対応付けて記憶される。このように、図3に図示した例では、各MACアドレスを学習するポートが、当該MACアドレスを含むMACフレームの上りと下りの通信が行われるたびに入れ替わり、その結果、通信が不安定となる(FDBフラッピング)。
(3)比較例3
図5は、この発明の第1の実施形態とのさらに別の比較例にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいて使用される、中継NW内の例示的な中継スイッチ202および例示的なスイッチa 311での信号通信の一例を示す図である。図5の例では、図3の例と比較すると、中継スイッチの構成のみが変更されている。図5の中継スイッチ202では、ポート間接続部を2つ備えるような構成にすることによって、各ポート間接続部において、上りと下りとの両側のポートから同一の送信元MACアドレスを含むMACフレームを受信しないようにする。これにより、上記で説明したFDBフラッピングが起こらず、通信は安定する。
図6Aは、図5に示した中継スイッチ202において使用される識別子情報の一例を示す図であり、この識別子情報により、上記の図5に関して説明したような通信が可能になる。図5の中継スイッチ202では、受信したMACフレームの先頭に付与されている値10を有するスイッチ識別VIDのみを認識できるとすると、中継スイッチ202内での転送処理では、MACフレームをいずれのポート間接続部に転送するかを選択することができない。したがって、図5の中継スイッチ202では、受信したMACフレームの内部にある拠点識別VIDに基づいて、受信したMACフレームをいずれのポート間接続部に転送するかを選択する転送処理を行うようにする。図6Aに示される識別子情報では、各ポートに対して、拠点識別VID(表中では、VID(Inner)と示している)の有する値によりポート間接続部1、2が対応付けられており、これにより、受信したMACフレームの拠点識別VIDに基づいて、当該MACフレームを転送するポート間接続部を選択することができる。このように、図5、図6Aの例では、MACフレームの転送処理は2段VIDに基づいている。
図6Bは、図5に示した中継スイッチ202のポート間接続部1 202−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図であり、図6Cは、図5に示した中継スイッチ202のポート間接続部2 202−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図5、図6Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
図5の中継スイッチ202には、上述したような2段VIDに基づいてMACフレームの転送処理を行えるような特殊な装置を用いる必要がある。
(構成)
この発明の第1の実施形態では、図1に示したネットワークシステムにおいて、スイッチa 31およびサービス機能部α 1として、図7および図8に示す終端装置を使用するように構成する。
図7は、この発明の第1の実施形態にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいてスイッチa 31およびサービス機能部α 1として使用される終端装置51の機能構成の一例を示すブロック図である。すなわち、スイッチa 31およびサービス機能部α 1として使用される終端装置51は、物理ポート51−21、51−22と、識別子付与/削除部51−41、51−42と、識別子情報記憶部51−61と、ポート間接続部51−11、・・・、51−1nと、転送情報記憶部51−51、・・・、51−5nとを備えている。
物理ポート51−21、51−22は、第1の識別子と第2の識別子とを含むMACフレームを他終端装置と通信する。他終端装置から受信するMACフレームに含まれる第2の識別子は、当該MACフレームが他終端装置から送信されることを示す第1の値を有し、他終端装置へ送信するMACフレームに含まれる第2の識別子は、当該MACフレームが他終端装置へ送信されることを示す第2の値を有している。
識別子付与/削除部51−41、51−42は各々、通信ポートと1対1で対応しており、第1の識別子と第2の識別子とを含むMACフレームが通信ポートから転送された際に、識別子情報を参照して、第1の識別子の有する値に対応するポート間接続部を選択し、MACフレームから第1の値を有する第2の識別子を削除し、当該第2の識別子を削除後のMACフレームを、選択されたポート間接続部に転送する。識別子付与/削除部51−41、51−42は、識別子情報において記憶されている第1の値を参照して、MACフレームから第1の値を有する第2の識別子を削除するように構成してもよい。また、識別子付与/削除部51−41、51−42は、いずれかのポート間接続部から第1の識別子を含むMACフレームが転送された際に、識別子情報において記憶されている第2の値を参照して、第2の値を有する第2の識別子を当該MACフレームの先頭に付与し、当該第2の識別子を付与後のMACフレームを、通信ポートに転送する。
識別子情報記憶部51−61は、識別子情報として、上述の第2の値を記憶し、さらに、識別子情報として、MACフレームに含まれる第1の識別子の有する値に対応するポート間接続部を示す情報を記憶する。識別子情報記憶部51−61は、識別子情報として、上述の第1の値を記憶していてもよい。
ポート間接続部51−11、・・・、51−1nは各々、予め設定された通信ポートの間を接続するものであり、通信ポートからMACフレームを受信し、転送情報記憶部に記憶されている情報を参照して、当該MACフレームの送信先MACアドレスが対応する通信ポートに当該MACフレームを転送する。当該MACフレームの送信先MACアドレスが対応する通信ポートが転送情報記憶部に記憶されていない場合は、当該MACフレームを受信したポートを除くすべての通信ポートに当該MACフレームを転送する。また、ポート間接続部51−11、・・・、51−1nは各々、当該受信したMACフレームの送信元MACアドレスの値と、当該MACフレームを受信したポートを識別する値とを組にして転送情報記憶部に転送する。
転送情報記憶部51−51、・・・、51−5nは、ポート間接続部より転送された、MACアドレスの値と通信ポートを識別する値との組を記憶する。
図8は、この発明の第1の実施形態にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいてスイッチa 31およびサービス機能部α 1として使用される終端装置52の機能構成の別の例を示すブロック図である。すなわち、スイッチa 31およびサービス機能部α 1として使用される終端装置52は、物理ポート52−21、52−22と、論理ポート52−31、52−32、52−33と、物理ポート−論理ポート接続部52−71と、識別子付与/削除部52−41、52−42、52−43、52−44と、識別子情報記憶部52−61と、ポート間接続部52−11、・・・、52−1nと、転送情報記憶部52−51、・・・、52−5nとを備えている。
論理ポート52−31、52−32、52−33の各々と、それぞれの論理ポートに接続されている識別子付与/削除部52−41、52−42、52−43の各々との組み合わせはそれぞれ、終端装置52内の他のコンポーネントである識別子情報記憶部52−61、ポート間接続部52−11、・・・、52−1n、および転送情報記憶部52−51、・・・、52−5nに関して、図7に関して上記で説明した物理ポート51−21と識別子付与/削除部51−41との組み合わせと同様の動作を行うので、ここでは簡略のために詳細は省略する。図7に示した終端装置51では、各物理ポートに対して論理ポートが備えられておらず、ゆえに、他終端装置6、7との通信は、各物理ポートを介した論理的に1つの通信となる。一方、図8に示す終端装置52では、物理ポート52−21に対して複数の論理ポートが接続されており、他終端装置6との通信では、複数の論理ポートを介して論理的に複数の通信を束ねて行うことが可能になる。物理ポートと1対1に対応付けられている物理ポート−論理ポート接続部52−71において、他終端装置6から受信した信号に含まれる何らかの識別子に基づいて、束ねられた通信を各論理ポートに分けて転送することができる。例えば、識別子情報記憶部52−61に、識別子情報として、物理ポート52−21に対して、上述した第1の識別子の値や第2の識別子の値を各論理ポートに対応付けて記憶させておく。物理ポート−論理ポート接続部52−71は、この識別子情報を参照して、受信したMACフレームに付与されている第1の識別子の値や第2の識別子の値に対応する論理ポートに、当該MACフレームを転送することができる。
(動作)
以上のように構成された、スイッチa 31およびサービス機能部α 1として使用される終端装置の動作を説明する。
図7に示した終端装置51の識別子付与/削除部51−41、51−42において、および、図8に示した終端装置52の識別子付与/削除部52−41、52−42、52−43、52−44において、MACフレームの通信方向を示す値を有する識別子を、MACフレームに付与、または、MACフレームから削除する信号処理が行われる。図9A、図9Bは、当該信号処理の例示的なフロー図である。当該信号処理について、以下では、図7の識別子付与/削除部51−41を例に挙げて説明するが、同様の処理が、図7の終端装置51に含まれる他の識別子付与/削除部、および、図8の終端装置52に含まれる任意の識別子付与/削除部においても実行できることに留意して頂きたい。
図9Aは、MACフレームの通信方向を示す当該識別子をMACフレームから削除する信号処理の例示的なフロー図である。ステップS901において、識別子付与/削除部51−41は、第1の識別子と第2の識別子とを含むMACフレームを物理ポート51−21から受信する。当該受信するMACフレームに含まれる第2の識別子は、当該MACフレームが他終端装置から送信されることを示す第1の値を有している。ステップS902において、識別子付与/削除部51−41は、識別子情報記憶部51−61に記憶される識別子情報を参照して、当該MACフレームに含まれる第1の識別子に対応するポート間接続部を選択する。識別子情報記憶部51−61は、識別子情報として、第1の識別子の有する値に対応するポート間接続部を示す情報を記憶している。ステップS903において、識別子付与/削除部51−41は、当該MACフレームにおいて第1の値を有する第2の識別子を削除する。識別子情報記憶部51−61が、識別子情報として、当該第1の値を記憶し、識別子付与/削除部51−41が、識別子情報において記憶されている第1の値を参照して、当該MACフレームから第1の値を有する第2の識別子を削除するように構成してもよい。ステップS904において、識別子付与/削除部51−41は、第2の識別子を削除後のMACフレームを、ステップS902において選択されたポート間接続部に転送する。なお、図9AのフローにおけるステップS902とステップS903の順序は例に過ぎず、ステップS903の後にステップS902が実行される処理が行われてもよい。
図9Bは、MACフレームの通信方向を示す当該識別子をMACフレームに付与する信号処理の例示的なフロー図である。ステップS905において、識別子付与/削除部51−41は、ポート間接続部51−11、・・・、51−1nのうちのいずれかのポート間接続部から、第1の識別子を含むMACフレームを受信する。ステップS906において、識別子付与/削除部51−41は、識別子情報記憶部51−61に記憶される識別子情報において第2の値を参照して、当該第2の値を有する第2の識別子を当該MACフレームに付与する。識別子情報記憶部51−61は、識別子情報として、当該第2の値を記憶している。ステップS907において、識別子付与/削除部51−41は、当該第2の識別子を付与後のMACフレームを物理ポート51−21に転送する。第2の識別子の有する第2の値は、MACフレームが他終端装置へ送信されることを示す。
(1)スイッチaにおける信号処理
図10は、この発明の第1の実施形態にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいて使用される例示的なスイッチa 312での信号通信の一例を示す図である。
図10に図示されているように、スイッチa 312は、値100を有する拠点識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム12U1を、拠点1(ユーザA)41から受信する。MACフレーム12U1は、図9BのステップS905において説明したように、ポート間接続部1 312−11を介して、スイッチa 312内のここでは図示していない識別子/付与削除部において受信される。当該識別子/付与削除部は、図9BのステップS906において説明したように、当該MACフレーム12U1の先頭に、当該MACフレームが他終端装置へ送信されることを示す値10を有する通信方向識別VIDを付与する。当該通信方向識別VID付与後のMACフレーム12U2は、図9BのステップS907において説明したように、論理ポート#1 312−31を介して物理ポート#1 312−21に転送される。その後、MACフレーム12U2は、スイッチa 312から中継NW 2に送信される。
拠点2(ユーザA)42から送信され、値200を有する拠点識別VIDを含むMACフレーム32U1についても、同様の処理が行われて、ポート間接続部2 312−12を介して転送され、MACフレーム32U2として中継NW 2に送信される。
一方、スイッチa 312は、値20を有する通信方向識別VIDと値100を有する拠点識別VIDとを含むMACフレーム22D2を、中継NW 2から物理ポート#1 312−21において受信する。当該MACフレーム22D2では、通信方向識別VIDが先頭に付与されている。当該通信方向識別VIDの値20は、当該MACフレーム22D2が他終端装置から送信されることを示す。ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレーム22D2に対して、物理ポート#1 312−21と値100を有する拠点識別VIDとに対応する論理ポート#1 312−31が選択されるようにしてもよい。当該MACフレーム22D2は、図9AのステップS901において説明したように、物理ポート#1 312−21を介して、ここでは図示していない識別子/付与削除部において受信される。当該識別子/付与削除部において、図9AのステップS902において説明したように、ポート間接続部1 312−11が選択される。当該識別子/付与削除部において、図9AのステップS903において説明したように、当該MACフレーム22D2から、先頭に付与されている通信方向識別VIDが削除される。その後、当該通信方向識別VID削除後のMACフレーム22D1は、図9AのステップS904において説明したように、選択されたポート間接続部1 312−11に転送される。その後、当該MACフレーム22D1は、拠点1(ユーザA)41に送信される。
値200を有する拠点識別VIDを含むMACフレーム42D2についても、同様の処理が行われて、ポート間接続部2 312−12を介して転送され、MACフレーム42D1として拠点2(ユーザA)42に送信される。
図11Aは、図10に示したスイッチa 312において使用される識別子情報の一例を示す図である。識別子情報として、各物理ポートと、各拠点識別VID(表中では、VID(Inner)と示している)と、各通信方向識別VID(表中では、送信/受信VID(Outer)と示している)とに対して、対応する論理ポートおよびポート間接続部が示されている。これにより、スイッチa 312の各物理ポートにおいて通信するMACフレームに関して、上記の拠点識別VIDを示すVID(Inner)に基づいて当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を選択できることが示されている。例えば、図10の物理ポート#1 312−21において中継NW 2から、値100を有する拠点識別VIDを含むMACフレーム22D2を受信する場合について説明する。図11Aに示される識別子情報の表を参照すると、物理ポート#1とVID(Inner)100とには論理ポート#1およびポート間接続部1が対応している。このようにして、図10に関して説明したように、MACフレーム22D2の転送先として論理ポート#1 312−31およびポート間接続部1 312−11を選択することができる。他の物理ポートにおいて外部から受信されるMACフレームについても、当該MACフレームの転送先の論理ポートおよびポート間接続部を同様に選択することができる。したがって、図10に図示したように、拠点1(ユーザA)41を送信先とする値100を有する拠点識別VIDを含むMACフレーム22D2を、MACフレーム22D1として拠点1(ユーザA)41に送信することができ、拠点2(ユーザA)42を送信先とする値200を有する拠点識別VIDを含むMACフレーム42D2を、MACフレーム42D1として拠点2(ユーザA)42に送信することができる。また、図11Aの識別子情報の表では、MACフレームが中継NW 2に送信されるポートである物理ポート#1について、VID(Inner)が有するいずれの値に対しても送信VID(Outer)に対する値10が記憶されており、これにより、図10に関して説明したように、スイッチa 312から中継NW 2に送信されるMACフレームに、当該値10を有する通信方向識別VIDを付与することができる。図11Aの識別子情報の表は例に過ぎず、スイッチa 312の各物理ポートにおいて通信するMACフレームに関して、当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を拠点識別VIDによって選択でき、また、中継NW 2に送信するMACフレームに、いずれの値を有する通信方向識別VIDを付与するかが決定できるものであればよい。
図11Bは、図10に示したスイッチa 312のポート間接続部1 312−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。上記で説明したように、ポート間接続部1 312−11には、物理ポート#2 312−22からは、拠点1(ユーザA)41を送信元とするMACフレーム12U1が転送される。すなわち、当該MACフレーム12U1の送信元の拠点1(ユーザA)41のMACアドレスであるXが、物理ポート#2 312−22に対応付けて記憶される。一方、ポート間接続部1 312−11には、論理ポート#1 312−31から、拠点1(ユーザA)41を送信先とするMACフレーム22D1が転送される。すなわち、当該MACフレーム22D1の送信元の拠点2(ユーザA)42のMACアドレスであるYが、論理ポート#1 312−31に対応付けて記憶される。
図11Cは、図10に示したスイッチa 312のポート間接続部2 312−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。上記で説明したように、ポート間接続部2 312−12には、物理ポート#3 312−23からは、拠点2(ユーザA)42を送信元とするMACフレーム32U1が転送される。すなわち、当該MACフレーム32U1の送信元の拠点2(ユーザA)42のMACアドレスであるYが、物理ポート#3 312−23に対応付けて記憶される。一方、ポート間接続部2 312−12には、論理ポート#2 312−32から、拠点2(ユーザA)42を送信先とするMACフレーム42D1が転送される。すなわち、当該MACフレーム42D1の送信元の拠点1(ユーザA)41のMACアドレスであるXが、論理ポート#2 312−32に対応付けて記憶される。
図11B、図11Cに示されているように、スイッチa 312の各ポート間接続部の各MACアドレス学習結果においては、各MACアドレスは特定の通信ポートに対して学習され、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
(2)サービス機能部αにおける信号処理
図12は、この発明の第1の実施形態にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいて使用される例示的なサービス機能部α 101での信号通信の一例を示す図である。
図12に図示されているように、サービス機能部α 101は、値10を有する通信方向識別VIDと値100を有する拠点識別VIDとを含むMACフレーム12U3を中継NW 2から受信する。当該MACフレーム12U3では、通信方向識別VIDが先頭に付与されている。サービス機能部α 101では、当該通信方向識別VIDの値10は、当該MACフレーム12U3が他終端装置から送信されることを示す。サービス機能部α 101において、ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレーム12U3に対して、値100を有する拠点識別VIDに対応する論理ポート#1 101−31が選択される。当該MACフレーム12U3は、図9AのステップS901において説明したように、論理ポート#1 101―31を介して、ここでは図示していない識別子/付与削除部において受信される。当該識別子/付与削除部において、図9AのステップS902において説明したように、ポート間接続部1 101−11が選択される。当該識別子/付与削除部において、図9AのステップS903において説明したように、当該MACフレーム12U3から、先頭に付与されている通信方向識別VIDが削除される。その後、当該通信方向識別VID削除後のMACフレームは、図9AのステップS904において説明したように、選択されたポート間接続部1 101−11に転送される。当該MACフレームでは、当該MACフレームの送信元が拠点1(ユーザA)41であることを示す値100を有する拠点識別VIDが削除され、代わりに、送信先が拠点2(ユーザA)42であることを示す値200を有する拠点識別VIDが付与される。その後、ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレームに対して、値200を有する拠点識別VIDに対応する論理ポート#2 101−32が選択される。その後、当該MACフレームは、図9BのステップS905において説明したように、ポート間接続部1 101−11から識別子/付与削除部に転送される。当該識別子/付与削除部は、図9BのステップS906において説明したように、当該MACフレームの先頭に、当該MACフレームが他終端装置へ送信されることを示す値20を有する通信方向識別VIDを付与する。当該通信方向識別VID付与後のMACフレーム42D3は、図9BのステップS907において説明したように、論理ポート#2 101−32に転送され、その後、物理ポート#1 101−21を介して中継NW 2に送信される。
サービス機能部α 101では、MACフレーム32U3についても、同様の処理が行われて、論理ポート#2 101−32を介してポート間接続部1 101−11に転送され、値200を有する拠点識別VIDが削除され値100を有する拠点識別VIDが付与され、MACフレーム22D3として、論理ポート#1 101−31を介して中継NW 2に送信される。
図13Aは、図12に示したサービス機能部α 101において使用される識別子情報の一例を示す図である。識別子情報として、各物理ポートと、各拠点識別VID(表中では、VID(Inner)と示している)と、各通信方向識別VID(表中では、送信/受信VID(Outer)と示している)とに対して、対応する論理ポートおよびポート間接続部が示されている。これにより、サービス機能部α 101の物理ポート#1 101−21において通信するMACフレームに関して、上記の拠点識別VIDを示すVID(Inner)に基づいて当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を選択できることが示されている。例えば、図12の物理ポート#1 101−21において中継NW 2から、値100を有する拠点識別VIDを含むMACフレーム12U3を受信する場合について説明する。図11Aに示される識別子情報の表を参照すると、物理ポート#1とVID(Inner)100とには論理ポート#1およびポート間接続部1が対応している。このようにして、図12に関して説明したように、MACフレーム12U3の転送先として論理ポート#1 101−31およびポート間接続部1 101−11を選択することができる。また、サービス機能部α 101において、当該MACフレームから値100を有する拠点識別VIDを削除し、値200を有する拠点識別VIDを付与した後には、図12に関して説明したように、物理ポート#1とVID(Inner)200とに対応する論理ポート#2 101−32を転送の際に使用することができる。物理ポート#1 101−21において通信される他のMACフレームについても、当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を同様に選択することができる。また、図13Aの識別子情報の表では、MACフレームが中継NW 2に送信されるポートである物理ポート#1について、VID(Inner)が有するいずれの値に対しても送信VID(Outer)に対する値20が記憶されており、これにより、図12に関して説明したように、サービス機能部α 101から中継NW 2に送信されるMACフレームに、当該値20を有する通信方向識別VIDを付与することができる。図13Aの識別子情報の表は例に過ぎず、物理ポート#1 101−21において通信するMACフレームに関して、当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を拠点識別VIDによって選択でき、また、中継NW 2に送信するMACフレームに、いずれの値を有する通信方向識別VIDを付与するかが決定できるものであればよい。
図13Bは、図12に示したサービス機能部α 101のポート間接続部1 101−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図11B、図11Cに関して詳細に説明したのと同様に、図12、図13Aの例にしたがうと、図13Bに示されているように、サービス機能部α 101のポート間接続部1 101−11のMACアドレス学習結果においては、各MACアドレスは特定の通信ポートに対して学習され、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
(3)上記終端装置に対応する中継NW内の中継スイッチにおける信号処理
図14は、この発明の第1の実施形態にしたがって、図1に示したネットワークシステムにおいて使用される中継NW 2内の例示的な中継スイッチ203での信号通信の一例を示す図である。
図14に図示されているように、中継スイッチ203は、スイッチa 312から送信された、値10を有する通信方向識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム52U2を、物理ポート#2 203−22において受信する。なお、MACフレーム52U2は、値100を有する拠点識別VIDを含みMACアドレスXを含むMACフレーム12U2であっても、値200を有する拠点識別VIDを含みMACアドレスYを含むMACフレーム32U2であってもよい。中継スイッチ203において、ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレーム52U2に対して、値10を有する方向識別VIDに対応するポート間接続部1 203−11が選択される。選択されたポート間接続部1 203−11を介して、当該MACフレーム52U2は転送され、MACフレーム52U3として、物理ポート#1 203−21からサービス機能部α 101側に送信される。
一方、中継スイッチ203は、サービス機能部α 101から送信された、値20を有する通信方向識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム62D3を、物理ポート#1 203−21において受信する。なお、MACフレーム62D3は、値100を有する拠点識別VIDを含みMACアドレスYを含むMACフレーム22D3であっても、値200を有する拠点識別VIDを含みMACアドレスXを含むMACフレーム42D3であってもよい。中継スイッチ203において、ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレーム62D3に対して、値20を有する方向識別VIDに対応するポート間接続部2 203−12が選択される。選択されたポート間接続部2 203−12を介して、当該MACフレーム62D3は転送され、MACフレーム62D2として、物理ポート#2 203−22からスイッチa 312側に送信される。
図15Aは、図14に示した中継スイッチ203において使用される識別子情報の一例を示す図である。識別子情報として、各物理ポートと、各通信方向識別VID(表中では、VID(Outer)と示している)とに対して、対応する論理ポートおよびポート間接続部が示されている。これにより、中継スイッチ203の各物理ポートにおいて通信するMACフレームに関して、上記の通信方向識別VIDを示すVID(Outer)に基づいて当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を選択できることが示されている。例えば、図14の物理ポート#2 203−22において、スイッチa 312から送信された、値10を有する通信方向識別VIDを含むMACフレーム52U2を受信する場合について説明する。図15Aに示される識別子情報の表を参照すると、物理ポート#2とVID(Outer)10とには論理ポート#3およびポート間接続部1が対応している。このようにして、図14に関して説明したように、MACフレーム52U2の転送先として論理ポート#3 203−33およびポート間接続部1 203−11を選択することができる。中継スイッチ203の他の物理ポートにおいて通信される他のMACフレームについても、当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を同様に選択することができる。図15Aの識別子情報の表は例に過ぎず、各物理ポートにおいて通信するMACフレームに関して、当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を通信方向識別VIDによって選択できるものであればよい。
図15Bは、図14に示した中継スイッチ203のポート間接続部1 203−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。また、図15Cは、図14に示した中継スイッチ203のポート間接続部2 203−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図11B、図11Cに関して詳細に説明したのと同様に、図14、図15Aの例にしたがうと、図15B、図15Cに示されているように、中継スイッチ203の各ポート間接続部の各MACアドレス学習結果においては、各MACアドレスは特定の通信ポートに対して学習され、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。また、中継スイッチ203では、通信方向識別VIDを認識できるようにすることで、比較例1とは異なり、新たな拠点が追加された場合にも設計変更する必要はなく、さらに、比較例3とも異なり、2段VIDに基づいてMACフレームの転送処理を行えるようにする必要もない点に着目して頂きたい。
(効果)
以上詳述したように、この発明の第1の実施形態に係るシステムは、以下のような処理を行っている。
(1)スイッチa 312とサービス機能部α 101とが中継NW 2を介して通信するネットワークシステムにおいて、スイッチa 312およびサービス機能部α 101が、中継NW 2を介して通信するMACフレームに、当該MACフレームの通信方向を識別できる通信方向識別VIDを当該MACフレームに付与して通信する。スイッチa 312は、拠点1(ユーザA)41および拠点2(ユーザA)42からMACフレームを受信し、識別子/付与削除部において、当該MACフレームの先頭に、当該MACフレームが他終端装置へ送信されることを示す値10を有する通信方向識別VIDを付与した上で、当該MACフレームを中継NW 2に送信する。また、スイッチa 312は、値20を有する通信方向識別VIDを含むMACフレームを中継NW 2から受信する。通信方向識別VIDの値20は、当該MACフレームが他終端装置から送信されることを示す。スイッチa 312は、その後、識別子付与/削除部において当該通信方向識別VIDを当該MACフレームから削除した上で、当該MACフレームを拠点1(ユーザA)41または拠点2(ユーザB)42に送信する。サービス機能部α 101は、値10を有する通信方向識別VIDを含むMACフレームを中継NW 2から受信する。その後、サービス機能部α 101は、当該MACフレームから当該通信方向識別VIDを削除した上で、当該MACフレームをポート間接続部1 101−11に送信する。また、サービス機能部α 101では、ポート間接続部1 101−11から識別子付与/削除部にMACフレームが転送された場合に、当該MACフレームは、識別子付与/削除部において、当該MACフレームの先頭に、値20を有する通信方向識別VIDが付与された上で、中継NW 2に送信される。
(2)スイッチa 312およびサービス機能部α 101の内部の識別子付与/削除部では、スイッチa 312とサービス機能部α 101との間で通信するMACフレームの先頭に通信方向識別VIDを付与する。
(3)スイッチa 312は、中継NW 2からMACフレームを受信する物理ポート#1 312−21に対して、論理ポート#1 312−31と論理ポート#2 312−32とを利用している。また、サービス機能部α 101は、中継NW 2からMACフレームを受信する物理ポート#1 101−21に対して、論理ポート#1 101−31と論理ポート#2 101−32とを利用している。
以上の処理を行うことで、この発明の第1の実施形態によれば次のような効果が奏せられる。
(1)スイッチa 312とサービス機能部α 101との間で通信するMACフレームに、通信方向を識別できる識別子を付与した通信が行われている。このため、スイッチa 312とサービス機能部α 101との間の中継NW 2では、当該識別子を利用してMACフレームの適切な転送処理を行うことができ、ゆえに、比較例1とは異なり、拠点の追加毎に中継NW 2内のスイッチの設定変更をする必要もなく、また、比較例3とも異なり、中継NW 2内の中継スイッチ203において、2段VIDに基づいてMACフレームの転送処理を行えるようにする必要もない。
(2)スイッチa 312とサービス機能部α 101との間で通信するMACフレームでは、先頭に通信方向識別VIDが付与されている。このため、スイッチa 312とサービス機能部α 101との間の中継NW 2では、当該MACフレームの先頭に付与されている当該通信方向識別VIDを利用して、当該MACフレームの適切な転送処理を実行することができる。
(3)スイッチa 312とサービス機能部α 101との間では、MACフレームを受信する1つ物理ポートに対して複数の論理ポートが利用されている。このため、スイッチa 312とサービス機能部α 101との間の通信では、複数の通信を同時に処理することが可能になっている。
[第2の実施形態]
図16は、この発明の第2の実施形態に係るネットワークシステムの概略構成図である。本実施形態のネットワークシステムは、例えば、サービス機能を集約したサービス機能部α 1を、中継NW 2を介してユーザ側のスイッチa 31およびスイッチb 32に接続したものであり、スイッチa 31は、拠点1(ユーザA)41、拠点2(ユーザA)42に接続され、スイッチb 32は、拠点3(ユーザA)43に接続されている。なお、図16において、第1の実施形態と同一の動作を行う同一のコンポーネントには同一の符号を付しており、詳細は、簡略のためにここでは省略する。なお、拠点3(ユーザA)43から送信されるMACフレームには、当該MACフレームの送信元の拠点を特定する拠点識別VIDとMACアドレスZが付与されている。
(構成)
この発明の第2の実施形態では、図16に示したネットワークシステムにおいて、スイッチa 31、スイッチb 32、およびサービス機能部α 1として、図7および図8に示したのと同様の終端装置を使用するように構成し、詳細は、簡略のためにここでは省略する。
上記の第1の実施形態では、終端装置間で通信するMACフレームに、当該MACフレームの通信方向を示す通信方向識別VIDを付与する構成をとっていた。一方、この発明の第2の実施形態では、通信方向識別VIDの代わりに、当該MACフレームの送信元または送信先のスイッチと当該MACフレームの通信方向とを示すVID(以降、スイッチ&通信方向識別VID)を付与する構成とする。
以下の説明では、スイッチa 31から中継NW 2に送信されるMACフレームに付与されるスイッチ&通信方向識別VIDとして、当該MACフレームにスイッチ&通信方向識別VIDを付与する終端装置がスイッチa 31であることと当該MACフレームが他終端装置へ送信されることとを示す値10を有するスイッチ&通信方向識別VIDを使用する。また、スイッチa 31が中継NW2から受信するMACフレームに付与されるスイッチ&通信方向識別VIDとして、当該MACフレームの送信先の終端装置がスイッチa 31であることと当該MACフレームが他終端装置から送信されることとを示す値20を有するスイッチ&通信方向識別VIDを使用する。また、スイッチb 32から中継NW 2に送信されるMACフレームに付与されるスイッチ&通信方向識別VIDとして、当該MACフレームにスイッチ&通信方向識別VIDを付与する終端装置がスイッチb 32であることと当該MACフレームが他終端装置へ送信されることとを示す値30を有するスイッチ&通信方向識別VIDを使用する。さらに、スイッチb 32が中継NW2から受信するMACフレームに付与されるスイッチ&通信方向識別VIDとして、当該MACフレームの送信先の終端装置がスイッチb 32であることと当該MACフレームが他終端装置から送信されることとを示す値40を有するスイッチ&通信方向識別VIDを使用する。
(動作)
(1)スイッチaにおける信号処理
スイッチa 312では、中継NW 2と通信するMACフレームにおいて、上記の値10および20を有するスイッチ&通信方向識別VIDを付与/削除する。図10に示した第1の実施形態に係るスイッチa 312での信号通信と同一の処理が行われるので、詳細はここでは省略する。図17Aは、図16に示したネットワークシステム中の例示的なスイッチa 312において使用される識別子情報の一例を示す図であるが、図11Aに関して説明したのと同一の処理が行われるので詳細はここでは省略する。
図17Bは、図16に示したネットワークシステム中の例示的なスイッチa 312のポート間接続部1 312−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。また、図17Cは、図16に示したネットワークシステム中の例示的なスイッチa 312のポート間接続部2 312−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。拠点3(ユーザA)43からのMACアドレスZを含むMACフレームが拠点1(ユーザA)41および拠点2(ユーザ2)42に送信されるので、図11B、図11Cにおいて記憶される学習結果に加えて、図17Bに示されるポート間接続部1 312−11におけるMACアドレス学習結果では、MACアドレスZが論理ポート#1 312−31に対応付けて記憶され、図17Cに示されるポート間接続部2 312−12におけるMACアドレス学習結果では、MACアドレスZが論理ポート#2 312−32に対応付けて記憶される。図17B、図17Cに示されているように、スイッチa 312の各ポート間接続部の各MACアドレス学習結果においても、各MACアドレスは特定の通信ポートに対して学習され、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
(2)スイッチbにおける信号処理
図18は、図16に示したネットワークシステムにおいて使用される例示的なスイッチb 32での信号通信の一例を示す図である。図18に図示されているように、スイッチb 32は、値300を有する拠点識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム73U1を、拠点3(ユーザA)43から受信する。MACフレーム73U1は、図9BのステップS905において説明したように、ポート間接続部1 32−11を介して、スイッチb 32内のここでは図示していない識別子/付与削除部において受信される。当該識別子/付与削除部は、図9BのステップS906において説明したように、当該MACフレーム73U1の先頭に、値30を有するスイッチ&通信方向識別VIDを付与し、当該スイッチ&通信方向識別VIDの有する値30は、当該MACフレームにスイッチ&通信方向識別VIDを付与する終端装置がスイッチb 32であることと当該MACフレームが他終端装置へ送信されることとを示す。当該通信方向識別VID付与後のMACフレーム73U2は、図9BのステップS907において説明したように、物理ポート#1 32−21に転送される。その後、MACフレーム73U2は、スイッチb 32から中継NW 2に送信される。
一方、スイッチb 32は、値40を有するスイッチ&通信方向識別VIDと値300を有する拠点識別VIDとを含むMACフレーム83D2を、中継NW 2から物理ポート#1 32−21において受信する。当該MACフレーム83D2では、スイッチ&通信方向識別VIDが先頭に付与されている。当該スイッチ&通信方向識別VIDの値40は、当該MACフレーム83D2の送信先の終端装置がスイッチb 32であることと当該MACフレーム83D2が他終端装置から送信されることとを示す。当該MACフレーム83D2は、図9AのステップS901において説明したように、物理ポート#1 32−21を介して、ここでは図示していない識別子/付与削除部において受信される。当該識別子/付与削除部において、図9AのステップS902において説明したように、ポート間接続部1 32−11が選択される。当該識別子/付与削除部において、図9AのステップS903において説明したように、当該MACフレーム83D2から、先頭に付与されているスイッチ&通信方向識別VIDが削除される。その後、当該通信方向識別VID削除後のMACフレーム83D1は、図9AのステップS904において説明したように、選択されたポート間接続部1 32−11に転送される。その後、当該MACフレーム83D1は、拠点3(ユーザA)43に送信される。
図19Aは、図18に示したスイッチb 32において使用される識別子情報の一例を示す図である。識別子情報として、各物理ポートと、各拠点識別VID(表中では、VID(Inner)と示している)と、各スイッチ&通信方向識別VID(表中では、送信/受信VID(Outer)と示している)とに対して、対応するポート間接続部が示されている。これにより、スイッチb 32の各物理ポートにおいて通信するMACフレームに関して、上記で図18に関して説明したように、上記の拠点識別VIDを示すVID(Inner)に基づいて当該MACフレームの通信に使用するポート間接続部を選択できることが示されている。
図19Bは、図18に示したスイッチb 32のポート間接続部1 32−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図18、図19Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
(3)サービス機能部αにおける信号処理
図20は、図16に示したネットワークシステムにおいて使用される例示的なサービス機能部α 102での信号通信の一例を示す図である。
図20に図示するサービス機能部α 102では、値100、200、300の3種類の拠点識別VIDに基づく処理になるという点以外は、図12に示した第1の実施形態に係るサービス機能部α 101での信号通信と同一の処理が行われるので、詳細はここでは省略する。
図21Aは、図20に示したサービス機能部α 102において使用される識別子情報の一例を示す図であるが、図13Aに関して説明したのと同一の処理が行われるので詳細はここでは省略する。
図21Bは、図20に示したサービス機能部α 102のポート間接続部1 102−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図20、図21Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
(4)上記終端装置に対応する中継NW内の中継スイッチにおける信号処理
図22は、図16に示した中継NW 2における、スイッチの例示的な接続様式を示す図である。図示されているように、中継NW 2において、終端装置であるスイッチa 31は中継NW 2内のスイッチA 21を含むスイッチ群に接続され、終端装置であるスイッチb 32は中継NW 2内のスイッチB 22を含むスイッチ群に接続され、スイッチA 21を含むスイッチ群とスイッチB 22を含むスイッチ群は、スイッチa 31とスイッチb 32との通信を多重するスイッチC 23、および、スイッチD 24を含むスイッチ群を介して、サービス機能部α 1に接続されている。なお、スイッチ群中のスイッチの数は、1つ以上の任意の数であってよい。
図23は、図22に示したスイッチA 21での信号通信の一例を示す図である。
図23のスイッチA 21では、図14に示した第1の実施形態に係る中継スイッチ203での信号通信と同一の処理が行われるので、詳細はここでは省略する。
図24Aは、図23に示したスイッチA 21において使用される識別子情報の一例を示す図であるが、図15Aに関して説明したのと同一の処理が行われるので詳細はここでは省略する。
図24Bは、図23に示したスイッチA 21のポート間接続部1 21−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。また、図24Cは、図23に示したスイッチA 21のポート間接続部2 21−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図23、図24Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
図25は、図22に示したスイッチB 22での信号通信の一例を示す図である。
図25のスイッチB 22では、図14に示した第1の実施形態に係る中継スイッチ203での信号通信と同一の処理が行われるので、詳細はここでは省略する。
図26Aは、図25に示したスイッチB 22において使用される識別子情報の一例を示す図であるが、図15Aに関して説明したのと同一の処理が行われるので詳細はここでは省略する。
図26Bは、図25に示したスイッチB 22のポート間接続部1 22−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。また、図26Cは、図25に示したスイッチB 22のポート間接続部2 22−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図25、図26Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
図27は、図22に示したスイッチC 23での信号通信の一例を示す図である。
図27に図示されているように、スイッチC 23は、サービス機能部α 102から送信されたMACフレームを、当該MACフレームのスイッチ&通信方向識別VIDの有する値に基づいて、当該値が示す送信先のスイッチにつながるポート間接続部に転送することができる。例えば、スイッチC 23は、サービス機能部α 102から送信された、値20を有するスイッチ&通信方向識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム63D5を、物理ポート#1 23−21において受信する。上記で説明したように、スイッチ&通信方向識別VIDの有する値20は、当該MACフレーム63D5の送信先の終端装置がスイッチa 312であることと当該MACフレーム63D5が他終端装置から送信されることとを示す。スイッチC 23において、ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレーム63D5に対して、値20を有するスイッチ&方向識別VIDに対応するポート間接続部2 23−12が選択される。選択されたポート間接続部2 23−12を介して、当該MACフレーム63D5は転送され、MACフレーム63D4として、物理ポート#2 23−22からスイッチa 312側に送信される。同様に、サービス機能部α 102から送信された、値40を有するスイッチ&通信方向識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム83D5は、ポート間接続部4 23−14を介して転送され、MACフレーム83D4として、物理ポート#3 23−23からスイッチb 32側に送信される。
一方、中継スイッチC 23は、スイッチa 312から送信された、値10を有するスイッチ&通信方向識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム53U4を、物理ポート#2 23−22において受信する。スイッチC 23において、ここでは図示していない識別子情報が参照され、当該MACフレーム53U4に対して、値10を有するスイッチ&方向識別VIDに対応するポート間接続部1 23−11が選択される。選択されたポート間接続部1 23−11を介して、当該MACフレーム53U4は転送され、MACフレーム53U5として、物理ポート#1 23−21からサービス機能部α 102側に送信される。同様に、スイッチb 32から送信された、値30を有するスイッチ&通信方向識別VIDが先頭に付与されたMACフレーム73U4は、ポート間接続部3 23−13を介して転送され、MACフレーム73U5として、物理ポート#1 23−21からサービス機能部α 102側に送信される。
図28Aは、図27に示したスイッチC 23において使用される識別子情報の一例を示す図である。識別子情報として、各物理ポートと、各スイッチ&通信方向識別VID(表中では、VID(Outer)と示している)とに対して、対応する論理ポートおよびポート間接続部が示されている。これにより、スイッチC 23の各物理ポートにおいて通信するMACフレームに関して、図27に関して説明したように、上記のスイッチ&通信方向識別VIDを示すVID(Outer)に基づいて当該MACフレームの通信に使用する論理ポートおよびポート間接続部を選択できることが示されている。
図28Bは、図27に示したスイッチC 23のポート間接続部1 23−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。また、図28Cは、図27に示したスイッチC 23のポート間接続部2 23−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。さらに、図28Dは、図27に示したスイッチC 23のポート間接続部3 23−13におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。さらに、図28Eは、図27に示したスイッチC 23のポート間接続部4 23−14におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図27、図28Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
図29は、図22に示したスイッチD 24での信号通信の一例を示す図である。
図29のスイッチD 24では、図27に示したスイッチC 23での信号通信と類似する処理が行われるので、詳細はここでは省略する。
図30Aは、図29に示したスイッチD 24において使用される識別子情報の一例を示す図であるが、図28Aに関して説明したのと類似する処理が行われるので詳細はここでは省略する。
図30Bは、図29に示したスイッチD 24のポート間接続部1 24−11におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。また、図30Cは、図29に示したスイッチD 24のポート間接続部2 24−12におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。さらに、図30Dは、図29に示したスイッチD 24のポート間接続部3 24−13におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。さらに、図30Eは、図29に示したスイッチD 24のポート間接続部4 24−14におけるMACアドレス学習結果の一例を示す図である。図29、図30Aの例にしたがうと、示されているようなMACアドレス学習結果となり、上記の比較例2で説明したようなFDBフラッピングは起こらない。
(効果)
以上詳述したように、この発明の第2の実施形態に係るシステムでは、以下のような処理を行っている。
スイッチa 312とスイッチb 32とサービス機能部α 102とが中継NW 2を介して通信するネットワークシステムにおいて、スイッチa 312、スイッチb 32、およびサービス機能部α 102それぞれが中継NW 2に送信するMACフレームは、スイッチ&通信方向識別VIDが付与された上で送信されており、スイッチ&通信方向識別VIDは、当該MACフレームの通信方向に加えて、当該MACフレームに当該スイッチ&通信方向識別VIDを付与する終端装置を特定する値、または、当該MACフレームの送信先の終端装置を特定する値を有する。
このため、この発明の第2の実施形態によれば、ネットワークシステムにおいて終端装置の数を増加させた場合も、中継NWでは、当該スイッチ&通信方向識別VIDを利用して、当該MACフレームを適切な終端装置に転送処理することができる。
ここで、図31は、図16に示したネットワークシステム中のサービス機能部α 1を上述の特許文献1の技術を利用して実現した場合の、例示的なサービス機能部α 103での信号通信の一例を示す図である。また、図32は、図31に示したサービス機能部α 103において使用される識別子情報の一例を示す図である。上記で図20に図示したこの発明の第2の実施形態に係るサービス機能部 102を使用する場合は、図31に図示した特許文献1の技術を利用したサービス機能部α 103と比較して、利用される論理ポートの数が減少される。
[その他の実施形態]
上記で詳細に説明した第1の実施形態では、終端装置としての1つのサービス機能部αに対して、終端装置として1つのスイッチが接続されているネットワークシステムについて記載した。また、第2の実施形態では、終端装置としての1つのサービス機能部αに対して、終端装置として2つのスイッチが接続されているネットワークシステムについて記載した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるわけではなく、例えば、終端装置としての1つのサービス機能部αに対して、終端装置としてN個のスイッチが接続されているようなネットワークシステムを構成してもよい。また、終端装置としてのサービス機能部を複数設けた上で、上記の実施形態2において終端装置としてのスイッチを識別する識別子を利用したように、サービス機能部を識別する識別子を別途用いるような構成にして、終端装置としてのN個のサービス機能部に対して、終端装置としてM個のスイッチが接続されているネットワークシステムを構成してもよい。また、上記の実施形態では、識別子としてVIDを利用する場合を例として示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、PBBにおけるB−tag/I−tagにも応用可能であり、また、MACアドレス学習に用いることができる識別子であれば他のものを利用してもよい。
その他、例えば、サービス機能部および各スイッチの構成や、識別子の付与/削除の処理手順および処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。