以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装ラインの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1,2では、基板搬送方向(図1,2における左右方向)において、紙面の左側を上流側、右側を下流側とする。また、図1,2では、基板搬送方向に水平面内で直交する方向(図1,2における上下方向)において、紙面の下側をフロント側、上側をリア側とする。
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、3本の部品実装ラインL1〜L3を通信ネットワーク2によって接続し、管理コンピュータ3によって管理される構成となっている。各部品実装ラインL1〜L3は、後述するように部品実装装置を含む複数の部品実装関連装置を連結して構成され、基板に部品を実装した実装基板を生産する機能を有する。各部品実装ラインL1〜L3は、フロント側およびリア側にそれぞれ実装基板を生産する機能を有する部品実装レーンL1F〜L3Fおよび部品実装レーンL1R〜L3Rを備えている。
3本の部品実装ラインL1〜L3は、部品実装ラインL1のフロント側の部品実装レーンL1Fと部品実装ラインL2のリア側の部品実装レーンL2R、および部品実装ラインL2のフロント側の部品実装レーンL2Fと部品実装ラインL3のリア側の部品実装レーンL3Rがそれぞれ対向するように、フロア4に並列に設置されている。なお、図1に示す例では、管理コンピュータ3は部品実装ラインL1〜L3が設置されたフロア4の内部に設置されているが、管理コンピュータ3はフロア4の外部に設置してもよい。また、部品実装システム1が備える部品実装ラインL1は3本である必要はなく、1本でも4本以上でも良い。また、部品実装ラインL1〜L3が備える部品実装レーンはフロント側とリア側に2本ある必要はなく、それぞれ1本であってもよい。
次に図2を参照して、部品実装ラインL1〜L3の詳細な構成を説明する。部品実装ラインL1〜L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL1について説明する。部品実装ラインL1は、基板搬送方向の上流側から下流側に向けて、基板供給装置M1、基板振分け装置M2、はんだ印刷装置M3、印刷検査装置M4、基板振分け装置M5、部品実装装置M6〜M9、基板振分け装置M10、実装検査装置M11、リフロー装置M12、基板振分け装置M13及び基板回収装置M14を直列に連結して構成されている。
基板振分け装置M2、はんだ印刷装置M3、印刷検査装置M4、基板振分け装置M5、部品実装装置M6〜M9、基板振分け装置M10、実装検査装置M11、リフロー装置M12、基板振分け装置M13は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。基板供給装置M1はフロント側とリア側の2本のコンベア5a,5bを有し、コンベア5a,5bはそれぞれ供給された異なる基板種の基板6A、基板6Bを下流側の基板振分け装置M2に受け渡す機能を有する。なお、基板6Aと基板6Bは、同じ基板種でもよい。
図2において、基板振分け装置M2,M5,M10,M13は、基板振分け作業部(作業部)である搬送コンベアおよび搬送コンベアをフロント側とリア側の間で移動させるコンベア移動機構を備え、上流側の部品実装関連装置から受け取った基板6A,6Bを下流側の部品実装関連装置に振り分けて受け渡す基板振分け作業(部品実装関連作業)を実行する部品実装関連装置である。基板振分け装置M2,M10は、上流側に連結されたフロント側とリア側の2本のコンベアから基板6A,6Bを搬送コンベアに受け取り、基板6A,6Bを保持した状態で搬送コンベアを移動させ、下流側に連結された1本のコンベアに順に受け渡す。下流側に受け渡した基板6A,6Bの順番に関する情報は、内蔵する装置通信部より通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に送信される。
基板振分け装置M5,M13は、上流側に連結された1本のコンベアから基板6A,6Bを搬送コンベアに受け取り、基板6A,6Bを保持した状態で搬送コンベアを移動させ、下流側に連結されたフロント側とリア側の2本のコンベアに振り分けて受け渡す。下流側に受け渡す際、内蔵する管理通信部が受信した、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3より送信された基板6A,6Bの順番に関する情報に基づいて、上流側から混合されて搬送される基板6Aと基板6Bは、フロント側またはリア側の所定のコンベアに振り分けられる。
図2において、はんだ印刷装置M3は、はんだ印刷作業部(作業部)によって実装対象の基板6A,6Bにはんだを印刷するはんだ印刷作業(部品実装関連作業)を実行する部品実装関連装置である。はんだ印刷装置M3において、はんだ印刷作業を反復継続する間に収容するはんだが消費されて無くなると(はんだ切れが発生すると)、オペレータOPによってはんだの補給作業が実行される。また、生産する実装基板を切り替える段取り替えでは、はんだ印刷装置M3において、オペレータOPによってはんだ印刷用のマスクの交換作業、はんだ印刷時に基板6A,6Bを下方から支持する下受けピンの配置変更作業などが実行される。
印刷検査装置M4は、はんだ検査カメラを含む印刷検査作業部(作業部)によって基板6A,6Bに印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査作業(部品実装関連作業)を実行する部品実装関連装置である。部品実装装置M6〜M9は、それぞれフロント側とリア側の2本のコンベア、2つの部品供給部、2つの実装ヘッドを含む部品実装作業部(作業部)によって基板6A、基板6Bに部品Dを搭載する部品実装作業(部品実装関連作業)を実行する部品実装関連装置である。部品実装装置M6〜M9において、基板搬送方向に延伸する2本のコンベアはフロント側とリア側に並行して配設され、2つの部品供給部は並設された2本のコンベアの外側(フロント側とリア側)にそれぞれ配設されている。
部品供給部は、部品Dを保持するキャリヤテープをテープ送りして部品Dを供給する複数のテープフィーダ、複数の部品Dを保持するトレイを入れ替えながら部品Dを供給するトレイフィーダなどを備え、部品Dを実装ヘッドによるピックアップ位置まで供給する。実装ヘッドは部品Dを真空吸着する吸着ノズルを備え、部品供給部が供給する部品Dをピックアップし、コンベアが搬送して位置決め保持している基板6A,6Bに移送搭載する。部品供給部のテープフィーダとトレイには、生産する実装基板の基板種に応じて所定の部品Dが供給されるように、段取り替え時に所定の部品Dを保持するキャリヤテープやトレイがセットされる(部品Dが配列される)。
部品実装装置M6〜M9において、部品実装作業を反復継続する間に部品供給部が保有する部品Dが消費されて所定の残数を下回ると(部品切れ警告が発生すると)、もしくは部品Dが無くなると(部品切れが発生すると)、オペレータOPによって部品Dの補給作業(キャリヤテープの補給、トレイの交換など)が実行される。また、吸着ノズルが部品Dを正常に吸着していない吸着エラー、キャリヤテープが絡まること(ジャミング)によるテープフィーダによる部品Dの供給停止エラーなど部品実装装置M6〜M9が停止する装置エラーが発生すると、オペレータOPによって装置エラーからの復旧作業が実行される。また、生産する実装基板を切り替える段取り替えでは、部品実装装置M6〜M9において、オペレータOPによってテープフィーダの交換作業、トレイの交換作業、吸着ノズルの交換作業、部品実装時に基板6A,6Bを下方から支持する下受けピンの配置変更作業などが実行される。
上記の作業を実行する際、オペレータOPは作業対象となる部品実装装置M6〜M9の操作面(フロント側またはリア側)に移動して作業を実行する。なお、装置エラーには、装置エラーが発生しているフロント側またはリア側の部品実装作業のみが停止して、反対側では部品実装作業が停止されることなく継続される装置エラーや、部品実装装置M6〜M9による復旧処理により自動で復旧する装置エラーもある。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M6〜M9が4台の構成に限定されることなく、部品実装装置M6〜M9が1台であっても5台以上であってもよい。
図2において、実装検査装置M11は、部品検査カメラを含む実装検査作業部(作業部)によって基板6A,6Bに搭載された部品Dの状態を検査する実装検査作業(部品実装関連作業)を実行する部品実装関連装置である。リフロー装置M12は、装置内に搬入された基板6A,6Bを基板加熱部(作業部)によって加熱して、基板6A,6B上のはんだを硬化させ、基板6A,6Bの電極部と部品Dとを接合する基板加熱作業(部品実装関連作業)を実行する部品実装関連装置である。基板回収装置M14はフロント側とリア側の2本のコンベア5c,5dを有し、コンベア5c,5dは上流側の基板振分け装置M13よりそれぞれ基板6A、基板6Bを受け取って回収する機能を有する。
このように部品実装ラインL1では、基板供給装置M1のフロント側のコンベア5aに供給された基板6Aに部品Dが実装され、基板回収装置M14のフロント側のコンベア5cより部品Dが実装された基板6Aが回収される。この経路がフロント側の部品実装レーンL1Fとなる。同様に、部品実装ラインL1では、基板供給装置M1のリア側のコンベア5bに供給された基板6Bに部品Dが実装され、基板回収装置M14のリア側のコンベア5dより部品Dが実装された基板6Bが回収される。この経路がリア側の部品実装レーンL1Rとなる。以下、部品Dが実装された基板6Aおよび部品Dが実装された基板6Bを単に「実装基板B」と称する。
部品実装関連装置においてオペレータOPが作業を行う操作面は、部品実装関連装置の構成と部品実装ラインL1への配置に応じてフロント側にもリア側にも成り得る。本実施例では、基板振分け装置M2,M5,M10,M13、はんだ印刷装置M3、印刷検査装置M4、実装検査装置M11、リフロー装置M12の操作面はフロント側にのみ配設されているとする。部品実装装置M6〜M9には操作面がフロント側とリア側の両面にあるが、以下、フロント側とリア側を区別する場合は、フロント側の場合はM6Fのように記号の末尾に「F」を付加し、リア側の場合はM6Rのように記号の末尾に「R」を付加して区別する。
次に図3を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。部品実装システム1が備える部品実装ラインL1〜L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL1について説明する。部品実装ラインL1が備える部品実装関連装置は同様の構成をしており、以下、部品実装装置M6について説明する。
部品実装装置M6は、作業制御部20、作業部21、装置記憶部22、装置入力部23、装置表示部24、装置通信部25を備えている。作業制御部20は、装置記憶部22が記憶する部品実装関連データに基づいて作業部21を制御することにより、部品実装装置M6による部品実装作業を制御する。なお作業制御部20は、基板振分け装置M2,M5,M10,M13では基板振り分け作業、はんだ印刷装置M3でははんだ印刷作業、印刷検査装置M4では印刷検査作業、実装検査装置M11では実装検査作業、リフロー装置M12では基板加熱作業を制御する。
装置入力部23は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、オペレータOPによる操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。装置表示部24は液晶パネルなどの表示装置であり、装置入力部23による操作のための操作画面などの各種画面の表示を行う。装置通信部25は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して他の部品実装関連装置や管理コンピュータ3との間で信号、データの授受を行う。
図3において、管理コンピュータ3は、管理制御部30、管理記憶部31、生産能力推定部32、判定部33、決定部34、生産実績情報取得部35、情報生成部36、入力部37、表示部38、通信部39を備えている。入力部37は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部38は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部37による操作のための操作画面などの各種画面の他、各種情報を表示する。通信部39は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置との間で信号、データの授受を行う。
管理制御部30はCPUなどの演算装置であり、管理記憶部31が記憶する情報に基づいて部品実装システム1を管理する。管理記憶部31は記憶装置であり、部品実装データの他、フロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、イベント情報31d、オペレータ情報31e、生産計画情報31f、目標生産能力31g、生産実績情報31hなどを記憶する。
フロア配置情報31aは、フロア4における部品実装ラインL1〜L3が備える部品実装関連装置の配置や、柱や作業机などオペレータOPがフロア4内を移動する際に障害となる物の配置などに関する情報である。実装基板情報31bは、部品実装ラインL1〜L3において生産される実装基板Bに関する情報で、基板に実装される部品Dの種類、実装位置が各実装基板Bに紐付けられて記憶されている。
生産ロット情報31cは、部品実装装置M6〜M9の部品供給部にセットされた部品Dの配列、セットされた部品Dの残数、部品実装関連装置おける部品実装関連作業に要する標準的な処理時間である装置タクト時間Ttが、部品実装関連装置毎、生産される実装基板Bのロット毎に記憶されている。すなわち、生産ロット情報31cには、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置が実装基板Bを生産するのに必要な時間(装置タクト時間Tt)に関する情報が含まれている。
ここで図4に示す例を参照して、生産ロット情報31cの詳細について説明する。生産ロット情報31cには、「実装基板」欄42に示される実装基板Bを生産する際の生産単位である「ロットID」欄41に示されるロットに対応して、部品実装ラインL1〜L3の構成と、その構成における部品実装関連装置の標準的な装置タクト時間Ttが「タクト時間」欄46に示されている。この例では、「ラインID」欄47に示される部品実装ラインL1の部品実装関連装置が実装基板Bを生産する場合の装置タクト時間Ttが示されている。なお、装置タクト時間Ttは、基板6A,6Bの搬入時間、作業部21における部品実装関連作業に要する時間、基板6A,6Bの搬出時間に区分して記憶させてもよい。
部品実装関連装置の構成は、「装置ID」欄43に示される部品実装関連装置の装置ID(種類)によって特定される。さらに、部品実装装置M6〜M9では、装置IDより実装基板Bが生産されるコンベア(この例では、リア側)が特定される。「位置」欄44にはテープフィーダの配置位置Sまたはトレイフィーダのトレイ位置Tが示され、供給される部品Dの種類が「部品番号」欄45に示されている。各ロットにおける各部品実装関連装置での装置タクト時間Ttは、生産する部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置の構成、部品実装装置M6〜M9における部品Dの配列などに依存する。推定する生産能力Cmに高い精度が必要な場合は、部品実装ラインL1〜L3や部品Dの配列が異なる複数の生産ロット情報31cが用意される。
図3において、イベント情報31dは、部品実装ラインL1〜L3での部品実装関連作業中に発生する事象(イベント)に関する情報である。イベント情報31dには、部品実装関連装置において消費される部材(はんだ、部品Dなど)の補給作業、部品実装関連装置で部品実装作業が一時停止する装置エラーなどが含まれる。
ここで図5に示す例を参照して、イベント情報31dの詳細について説明する。イベント内容の「大項目」欄51aには、イベントが補給作業であるか、装置エラーであるかの区別が示されている。イベントが補給作業の場合、「中項目」欄51bには、はんだ印刷装置M3におけるはんだ補給、部品実装装置M6〜M9におけるキャリヤテープの補給(テープ補給)、トレイの交換(トレイ交換)などの区別が示される。さらに補給作業がテープ補給、トレイ交換の場合、「小項目」欄51cには、補給対象となるテープフィーダ、トレイフィーダを特定するための部品Dの種類が示される。
図5において、イベントが装置エラーの場合、「中項目」欄51bには、はんだ印刷装置M3においてはんだ印刷が正常に実行されない印刷エラー、部品実装装置M6〜M9において吸着ノズルが部品Dを正常に吸着していない吸着エラー、テープフィーダにおいてキャリヤテープが絡まるジャミングなどの区分が表示される。さらに装置エラーが吸着エラー、ジャミングの場合、「小項目」欄51cには、復旧作業の対象となるテープフィーダ、トレイフィーダを特定するための部品Dの種類が示される。「発生頻度」欄52には、その装置エラーが発生する発生頻度Feがppm(100万分の1)単位で表示される。
「自動復旧」欄53には、その装置エラーが装置自身の処理で自動復旧が可能か(「○」)、オペレータOPによる作業が必要か(「×」)が表示される。例えば、吸着エラーのうちテープフィーダによって供給される比較的小型の部品(aa1、aa3)は、部品実装装置M6〜M9によって再吸着を試みる自動復旧が実行される。一方、吸着エラーのうちトレイフィーダによって供給される比較的大型で高価な部品(aa1、aa3)は、オペレータOPが状況を確認しながらの復旧作業が行われる。
図5において、「作業時間/復旧時間」欄54には、各イベントに対するオペレータOPによる標準的な作業時間Tw、または、部品実装装置M6〜M9による自動復旧処理に要する標準的な復旧時間Trが示されている。なお、「小項目」欄51cに示す情報は部品Dの種類の他、作業対象のテープフィーダ、トレイフィーダを特定するための装置IDと配置位置Sまたはトレイ位置Tの組合せの情報や、テープフィーダ、トレイフィーダのIDであってもよい。
このように、イベント情報31dのオペレータOPの作業を必要とする事象には、部品実装装置M6〜M9の部品切れ、部品実装関連装置が停止する装置エラーの少なくともいずれかが含まれている。そして、イベント情報31dの装置エラーには、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象とその発生頻度Feに関する情報、および、オペレータOPの作業は必要としないが停止された実装基板Bの生産を再開させる処理(自動復旧)が必要な事象とその発生頻度Feに関する情報が含まれている。
図3において、オペレータ情報31eは、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を実行するオペレータOPに関する情報であり、オペレータOPの作業能力、勤務予定、フロアにおける担当範囲、オペレータOPの移動速度の少なくともいずれかを含んでいる。
ここで図6に示す例を参照して、オペレータ情報31eの詳細について説明する。各オペレータOPには、「オペレータID」欄61に示すオペレータOPを特定するID(OP1〜OP5)が付与されている。オペレータOPの作業能力に関する情報は、「補給作業、交換作業」欄62、「装置エラー復旧作業」欄63、「段取り替え作業」欄64、「移動速度」欄65に含まれている。
図6において、「補給作業、交換作業」欄62には、各オペレータOPの部品実装関連装置における補給作業の熟練度がA(上級),B(中級),C(初級),×(作業不可)の4段階で示されている。具体的には、はんだ印刷装置M3におけるはんだの補給・交換作業、部品実装装置M6〜M9におけるテープフィーダへのキャリヤテープの補給・交換作業、トレイフィーダのトレイの交換作業の熟練度がそれぞれ示されている。熟練度は、同じ作業の場合、上級(A)のオペレータOPの方が中級(B)のオペレータOPより、中級(B)のオペレータOPの方が初級(C)のオペレータOPより作業時間Twが短く、作業不可(×)のオペレータOPは、その作業を遂行する技能を未取得であることを示している。
「装置エラー復旧作業」欄63には、各オペレータOPの部品実装関連装置における装置エラーからの復旧作業の熟練度が○(作業可),×(作業不可)の2段階で示されている。具体的には、はんだ印刷装置M3における装置エラーからの復旧作業、吸着ノズルが部品Dを正常に吸着していない吸着エラーからの復旧作業、テープフィーダにおけるキャリヤテープのジャミングなどによる供給停止エラーからの復旧作業、トレイフィーダにおける供給停止エラーからの復旧作業の熟練度がそれぞれ示されている。「段取り替え作業」欄64には、各オペレータOPの部品実装関連装置における段取り替えの熟練度が○(作業可),×(作業不可)の2段階で示されている。
図6において、「移動速度」欄65には、各オペレータOPのフロア4内での移動速度がA(速い)、B(普通)、C(遅い)の3段階で示されている。移動速度が速いオペレータOPの方が、より短時間で作業対象の部品実装関連装置まで移動することができる。「勤務予定」欄66には、各オペレータOPの所属する勤務班(この例では、A班〜D班の4つの班)および休暇予定日が示されている。
オペレータ情報31eに含まれるフロアにおける担当範囲は、具体的には各オペレータOPが担当する部品実装関連装置を特定する情報であり、図13(a)、図13(b)に例示されている。図13(a)、図13(b)において、例えばオペレータOP1の担当範囲は、部品実装ラインL1のリア側の部品実装レーンL1R、部品実装ラインL1のフロント側の部品実装レーンL1F、部品実装ラインL2のリア側の部品実装レーンL2Rに操作面がある全ての部品実装関連装置である。
オペレータOP1の担当範囲のうち、例えば部品実装ラインL1のリア側の部品実装レーンL1Rは、まだ熟練度が低くて装置エラーからの復旧作業ができないオペレータOP5の担当範囲と重複している。なお、担当範囲は、部品実装レーンL1F〜L3F,L1R〜L3Rの部品実装関連装置の全てではなく、例えば部品実装レーンL1Fの上流側と下流側で異なるオペレータOPが担当するように分担してもよい。
図3において、生産計画情報31fには、部品実装ラインL1〜L3で予定されている実装基板Bを生産する生産計画に関する情報が含まれる。ここで図7に示す例を参照して、生産計画情報31fの詳細について説明する。生産計画情報31fには、「実装基板」欄72に示される実装基板Bを生産する「ロットID」欄71に示されるロットに対応して、「レーンID」欄73にそのロットを生産する部品実装レーンL1F〜L3F,L1R〜L3Rが示されている。
また、「生産開始日時」欄74にはそのロットの生産を開始する(開始可能な)予定日時、「生産枚数」欄75にはそのロットの生産枚数、「段取り時間」欄76には生産する実装基板Bの切替えに伴う段取り替えに要する段取り時間が示されている。この例では、段取り時間として、標準的な作業能力のオペレータOPが1人で段取り替え作業を行う場合に要する時間が入力されている。また、ロットIDがAA3のように、割り振られた部品実装レーンL1Rで直前に生産していたロット(AA1)が同じ実装基板B(AA)の場合には段取り替えは必要ないため、「段取り時間」欄76には「―」が入力されている。なお、生産計画情報31fには、各ロットの生産を終了する目標納期に関する情報を含めてもよい。
図3において、目標生産能力31gは、1日の稼動時間に生産される実装基板Bの生産枚数、所定の稼働時間あたりの実装基板Bの生産枚数、所定の生産枚数の実装基板Bを生産するのに要する時間などで表される生産能力Cmの目標値である。目標生産能力31gは、過去の生産実績、管理者の経験などに基づいて決められる他、後述する生産能力推定部32によって推定される(生産能力推定工程において推定される)、部品実装ラインL1〜L3で生産され最大の生産能力Cmに0.9(90%)など1以下の所定の係数を乗じた生産能力Cmが使用される。これにより、管理者の経験によらずに目標生産能力31gを決定することができる。
図3において、生産実績情報31hは、部品実装ラインL1〜L3の部品実装装置M6〜M9から送信される実装基板Bの生産状況、テープフィーダやトレイフィーダが保持する部品Dの残数の他、各部品実装関連装置から送信されるイベントに関する情報が含まれる。ここで図8に示す例を参照して、生産実績情報31hの詳細について説明する。「イベント発生日時」欄81には各イベントの発生日時が、「イベント内容」欄82にはそのイベントの内容が示されている。イベントとして、部品実装関連装置での作業を停止させることなくテープフィーダやトレイに部品Dを補給する部品補給、オペレータOPによる作業が間に合わずに部品実装作業が停止した状態で部品補給される部品切れの他、吸着エラー、印刷エラー、ジャミングなどが記録される。
図8において、イベントが発生した部品実装関連装置を特定する情報として、「ラインID」欄83には部品実装ラインL1〜L3を特定する情報、「装置ID」欄84には部品実装関連装置を特定する情報が示される。イベントが発生した部品実装関連装置が部品実装装置M6〜M9の場合、部品配列の「位置」欄85にはテープフィーダの配置位置Sまたはトレイフィーダにおけるトレイ位置Tが、「部品番号」欄86には部品Dの種類が示される。「オペレータID」欄87には、発生したイベントに対応したオペレータOPのIDが示されている。自動復旧されたイベントには「―」が記録されている。
「装置停止時間」欄88には、発生したイベントが原因で部品実装関連装置が停止した時間が記録されている。イベントのうち、部品補給や自動復旧された吸着エラーでは部品実装関連装置が停止することなくイベントが解消されるため「0」が記録されている。「作業時間/復旧時間」欄89には、各イベントに対するオペレータOPによる作業時間Tw、または、部品実装関連装置による自動復旧処理に要する復旧時間Trが記録されている。
図3において、生産能力推定部32は、管理記憶部31に記憶されるフロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、イベント情報31d、オペレータ情報31e、生産計画情報31fに基づき、後述するように生産計画に従って実装基板Bを生産した場合の部品実装ラインL1〜L3の生産能力Cmを推定する生産能力推定処理を実行する。生産能力推定処理において、生産能力推定部32は、実装基板Bの生産に従って消費される部品Dの消費量と部品Dの残数から部品切れの発生時間を予想し、装置エラーの発生頻度Feから装置エラーの発生時間を予想するなど、様々なイベントの発生時間を予想する。
次いで生産能力推定部32は、オペレータOPの担当範囲、移動速度、フロア配置、イベント発生時のオペレータOPの位置と仕掛作業の内容などから、一番早く対象装置に到着可能なオペレータOPを選定する。その際、生産能力推定部32は、オペレータOPの現在位置から復旧作業を行う部品実装関連装置までの最短経路を計算し、この最短経路に基づき対象装置に到着するまでの移動時間を計算する。
次いで生産能力推定部32は、この移動時間を仕掛作業の残り時間に加算して対象装置に到着するまでの時間を計算する。次いで生産能力推定部32は、発生したイベントの内容とオペレータOPの作業能力から復旧に必要な作業時間Twを計算し、オペレータOPが対象装置に著着するまでの時間を考慮して部品実装関連装置が停止する装置停止時間を予想する。
そして生産能力推定部32は、各部品実装装置における部品実装関連作業に要する装置タクト時間Ttに、上述のように予想した装置停止時間を加算して、生産計画に規定される生産枚数の実装基板Bを生産するのに要する時間(生産能力Cm)を推定する。また生産能力推定部32は、生産計画に規定される1日の稼働時間(24時間からオペレータOPの交代、休憩、装置のメンテナンスなどで部品実装ラインL1〜L3が停止される時間を減算した時間)に生産される実装基板Bの生産枚数(生産能力Cm)を推定する。また生産能力推定部32は、所定の稼働時間(例えば当直時間の8時間)あたりの実装基板Bの生産枚数(生産能力Cm)を推定する。
このように生産能力推定部32は、生産能力推定処理において、生産能力Cmとして、生産計画に規定される1日の稼動時間に生産される実装基板Bの生産枚数、所定の稼働時間あたりの実装基板Bの生産枚数、生産計画に規定される生産枚数の実装基板Bを生産するのに要する時間のいずれかを推定する。
図3において、判定部33は、生産能力推定部32により推定された生産能力Cmと管理記憶部31に記憶された目標生産能力31gを比較して、生産能力Cmが目標生産能力31g以上であるか否かを判定する。すなわち判定部33は、生産能力推定部32により推定された生産能力Cmが所定の目標生産能力31g以上であるか否かを判定する。
決定部34は、オペレータOPに関する情報(オペレータ情報31e)に基づき、部品実装ラインL1〜L2の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定する。その際、オペレータOPの作業能力に基づいて、部品実装ラインL1〜L3の全ての部品実装関連装置に対して、その部品実装関連装置における補給作業、交換作業、装置エラー復旧作業ができるオペレータOPが少なくとも1人は指定されるように担当範囲を決定する。すなわち、決定部34は、オペレータOPのフロア4における担当範囲も合わせて決定する。
図3において、生産実績情報取得部35は、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置において発生したイベントの情報、はんだの残良や部品Dの残数の情報を取得して生産実績情報31hとして管理記憶部31に記憶する。すなわち生産実績情報取得部35は、部品実装ラインL1〜L3における生産実績情報31hを取得する。取得される情報は、各部品実装関連装置の装置記憶部22に記憶させていても、実装基板Bの生産中に各部品実装関連装置より管理コンピュータ3に送信して管理記憶部31に生産実績情報31hとして記憶させていてもよい。
情報生成部36は、管理記憶部31に記憶される生産実績情報31hよりイベント情報31dを生成して管理記憶部31に記憶する。すなわち情報生成部36は、生産実績情報取得部35により取得された生産実績情報31hから、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象に関する情報を含むイベント情報31dを生成する。つまり情報生成部36で生成される情報には、部品実装装置M6〜M9の部品切れの発生頻度Fe、オペレータOPが部品実装装置M6〜M9に部品Dを補給する作業時間Tw、部品実装関連装置が停止する装置エラーの発生頻度Fe、オペレータOPが装置エラーを復帰させる作業時間Twの少なくともいずれかが含まれている。
入力部37は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、管理者による操作コマンドや、オペレータOPに関する情報(オペレータ情報31e)、部品実装ラインL1〜L3で予定されている実装基板Bを生産する生産計画に関する情報(生産計画情報31f)などのデータ入力時に用いられる。表示部38は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部37による操作のための操作画面などの各種画面の表示を行う。通信部39は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置との間で信号の授受を行う。
次に図9のフローに則して図10を参照しながら、部品実装ラインL1〜L3により生産される実装基板Bの生産能力Cmを推定する生産能力推定方法について説明する。生産能力Cmの推定は、部品実装ラインL1〜L3における生産計画の立案、必要な実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの人数、各オペレータOPの勤務予定などを管理者が立案する際に実行される。
まず管理者は、管理コンピュータ3の入力部37を操作してオペレータ情報31e、生産計画情報31fを入力する(ST1:入力工程)。これにより、管理コンピュータ3にオペレータOPに関する情報と、部品実装ラインL1〜L3予定されている実装基板Bを生産する生産計画に関する情報とが入力される。そして、入力されたオペレータ情報31e、生産計画情報31fは、管理記憶部31に記憶される。
次いで生産能力推定部32は、管理記憶部31に記憶されているフロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、イベント情報31d、オペレータ情報31e、生産計画情報31fに基づいて、生産能力Cmを推定する(ST2:生産能力推定工程)。
すなわち、管理記憶部31(記憶部)に記憶される部品実装ラインL1〜L3のフロア4における配置に関する情報(フロア配置情報31a)と、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置が実装基板Bを生産するのに必要な時間に関する情報(生産ロット情報31c)と、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象とその発生頻度Feに関する情報(イベント情報31d)の各情報と、入力部37より入力されたオペレータOPに関する情報(オペレータ情報31e)および生産計画に関する情報(生産計画情報31f)とに基づき、生産計画に従って実装基板Bを生産した場合の部品実装ラインL1〜L3の生産能力Cmが推定される。
なお、生産能力Cmを推定する際のオペレータ情報31eは、図6に示す作業能力、勤務予定と紐付けられた各オペレータOPを特定する情報であっても、オペレータOPは特定せずに仮想的に定義した作業能力が標準的なオペレータOPであってもよい。また、オペレータOPの休憩時間を含む生産計画に基づいて推定してもよい。休憩時間は、オペレータOPのうち半数ずつ交代しながら休憩を取るような休憩であってもよい。また、生産計画では、1日の24時間からオペレータOPの交代、休憩、装置のメンテナンスなどで部品実装ラインL1〜L3が停止される時間を減算した時間を、部品実装ラインL1〜L3を稼働させて実装基板Bを生産する1日の稼働時間をして定義してもよい。
また、イベント情報31dとして、オペレータOPの作業を必要とする事象(イベント)のみならず、オペレータOPの作業は不必要で自動復旧されるため部品実装関連装置は停止しないが、自動復旧作業中に実装基板Bの生産が一時中断する吸着エラーなどを含めてもよい。すなわち、生産能力推定工程(ST2)において、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置においてオペレータOPの作業は必要としないが停止された実装基板Bの生産を再開させる処理が必要な事象とその発生頻度Feに関する情報にさらに基づき生産能力Cmを推定してもよい。これにより、生産能力Cmの推定の精度を向上させることができる。
このように、管理コンピュータ3は、フロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、イベント情報31dを記憶する記憶部(管理記憶部31)と、オペレータ情報31e、生産計画情報31fが入力される入力部37と、生産能力推定部32とを備えた、部品実装装置M6〜M9を含む複数の部品実装関連装置を連結して構成される部品実装ラインL1〜L3により生産される実装基板Bの生産能力を推定する生産能力推定装置となる。
管理者は、この生産能力推定装置を用いて、実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの人数や熟練度、フロア4における担当範囲、生産する実装基板Bの種類、枚数、生産日時などを入力することにより(ST1)、推定された生産能力Cmを取得することができる(ST2)。管理者は、このシミュレーションを繰り返しながら、実装基板Bの生産計画やオペレータOPの割り振りを精度良く立案することができる。
ここで、図10(a)、図10(b)を参照して、推定された生産能力Cmの2つの例を説明する。この例では、オペレータOPは6時から14時までの第1直、14時から22時までの第2直、22時から翌日の6時までの第3直の1日3交代勤務で作業している。そして、4/1から生産を開始して総生産数15,000枚の実装基板Bを生産する場合の、各当直時間に生産される実装基板Bの枚数と、実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPに人数を推定している。
図10(a)は、オペレータOP不足に起因する部品切れや装置エラーによる部品実装関連装置の停止を最小限にするためにオペレータ数91b,92b,93bは制限せず、部品実装ラインL1〜L3において生産可能な最大の実装基板Bの生産可能数91a,92a,93aを推定する生産能力推定処理を実行した結果を示している。この例では、各当直時間のオペレータ数91b,92b,93bは8人から9人で、8時間の当直時間で最大1300枚の実装基板Bを生産して4/4の第3直中に生産が完了すると推定されている。
図10(b)は、4/5の第3直で生産完了させる前提で各当直時間での実装基板Bの生産数(最適生産数94a,95a,96a)を平準化し、割り当てられた最適生産数94a,95a,96aを生産可能であるならば部品実装関連装置が停止することは許容する条件で、各当直時間に実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPのオペレータ数94b,95b,96bを最小にする生産能力推定処理を実行した結果を示している。この例では、各当直時間に生産される実装基板Bは1000枚で、各当直時間のオペレータ数94b,95b,96bは6人と推定されている。
次に図11のフローに則して図12、図13を参照しながら、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当ての最適化を行う第1の管理方法について説明する。オペレータOPの割り当ての最適化は、実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの勤務予定などを管理者が決定する際に実行される。以下、前述の生産能力推定方法と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
まず、生産能力推定部32によって、生産能力推定方法と同様に、管理記憶部31に記憶されているフロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、イベント情報31d、オペレータ情報31e、生産計画情報31fに基づいて、生産能力Cmを推定する生産能力推定工程(ST2)が実行される。この際、実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの初期条件として、オペレータOP不足に起因する部品実装関連装置の停止を最小限にする十分なオペレータ数が指定される。
すなわち、部品実装ラインL1〜L3のフロア4における配置に関する情報(フロア配置情報31a)と、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置が実装基板Bを生産するのに必要な時間に関する情報(生産ロット情報31c)と、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象とその発生頻度Feに関する情報(イベント情報31d)と、オペレータOPに関する情報(オペレータ情報31e)と、部品実装ラインL1〜L3で予定されている実装基板Bを生産する生産計画に関する情報(生産計画情報31f)とに基づき、生産計画に従って実装基板Bを生産した場合の部品実装ラインL1〜L3の生産能力Cmが推定される。
図11において、次いで判定部33は、生産能力推定工程(ST2)において推定された生産能力Cmが、管理記憶部31に記憶されている目標生産能力31g以上であるか否かを判定する(ST11:第1判定工程)。すなわち、判定部33は、推定された生産能力Cmが所定の目標生産能力31g以上であるか否かを判定する。推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上であると判定された場合(ST11においてYes)、決定部34は、オペレータOPに関する情報(オペレータ情報31e)に基づき、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定する(ST12:第1決定工程)。
次いで生産能力推定部32は、第1決定工程(ST12)で割り当てられたオペレータOPから1人削減して(ST13)、生産能力推定工程(ST2)を実行して生産能力Cmを再推定する。次いで第1判定工程(ST11)が実行されて、再推定された生産能力Cmが目標生産能力31gより小さいと判定(ST11においてNo)されるまで、第1決定工程(ST12)で割り当てられたオペレータOPから1人ずつ削減し(ST13)、生産能力推定工程(ST2)を実行する生産能力Cmの再推定が繰り返して実行される。
図11において、再推定された生産能力Cmが目標生産能力31gより小さいと判定されると(ST11においてNo)、生産能力推定部32は、割り当てられたオペレータOPから1人増員し(ST14)、生産能力推定工程(ST2)と同様の処理を実行して生産能力Cmを再推定する(ST15)。次いで判定部33は、再推定された生産能力Cmが、管理記憶部31に記憶されている目標生産能力31g以上であるか否かを判定する(ST16:第2判定工程)。
再推定された生産能力Cmが目標生産能力31gより小さいと判定される間は(ST16においてNo)、生産能力推定部32は、オペレータOPを1人ずつ増員しながら(ST14)、生産能力Cmを再推定する(ST15)。再推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上であると判定された場合(ST16においてYes)、決定部34は、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定する(ST17:第2決定工程)。
このように、第1判定工程(ST11)において判定部33により推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上であると判定された場合(No)、オペレータOPを減少させて生産能力推定工程(ST2)を実行して生産能力Cmを再推定している。そして、第2決定工程(ST17)において決定部34は、再推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上で、かつ、人数が最小となるように部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定する。
これにより、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当てを最適化することができる。また、生産能力推定工程(ST2)から第2決定工程(ST17)までの一連の工程は、管理記憶部31に記憶される各種情報に基づいて生産能力Cmを推定してオペレータOPを決定するオペレータ決定工程(ST10)となっている。
ここで図12、図13を参照して、決定されたオペレータOPの割り当ての例を説明する。図12には、当直時間毎に割り当てられたオペレータOPのオペレータ数101c,102c,103cとオペレータOPの所属101b,102b,103bと伴に、実装基板Bの生産予定数101a,102a,103aが示されている。
図13(a)には、割り当てられたオペレータOPの情報のうち、「オペレータID」欄111と「担当範囲」欄112には、4/1の第1直で所属がA班の5人のオペレータOP1,OP5,OP10,OP12,OP21の具体的なオペレータIDと担当範囲(部品実装レーンL1F〜L3F,L1R〜L3R)が示されている。すなわち決定部34は、第1決定工程(ST11)、第2決定工程(ST17)において、オペレータOPのフロア4における担当範囲も合わせて決定している。図13(b)において、「ラインID」欄112aと「装置ID」欄112bには、それぞれ各オペレータOPが担当する具体的な部品実装関連装置を特定するラインIDと装置IDが示され、「作業レベル」欄113には、その装置に対する作業レベルが「メイン」か「サポート」かが示されている。
例えば、オペレータOP1は部品実装ラインL1のフロント側の部品実装レーンL1Fの部品実装関連装置は「メイン」として優先的に作業を行うが、部品実装ラインL1のリア側の部品実装レーンL1Rの部品実装装置M6〜M9は、「メイン」のオペレータOP5が優先的に作業を行う。しかし、複数の部品実装装置M6〜M9で装置停止が発生しているような場合には、オペレータOP1も「サポート」として作業する。これにより、装置の停止時間を縮小させることができる。
また、オペレータOP1は、部品実装ラインL1のフロント側の部品実装レーンL1Fに加えて部品実装ラインL2のリア側の部品実装レーンL2Rの部品実装関連装置も「メイン」として優先的に作業を行うように決定している。すなわち決定部34は、第1決定工程(ST11)、第2決定工程(ST17)において、決定部34は、少なくとも1人のオペレータOPは、複数の部品実装ラインL1〜L3のうち少なくとも2本の部品実装ラインL1および部品実装ラインL2において作業するように決定している。このように割り当てることにより効率的に実装基板Bを生産するための作業を行うことができるため、必要なオペレータ数を削減することができる。
このように、管理コンピュータ3は、フロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、イベント情報31d、オペレータ情報31e、生産計画情報31fを記憶する記憶部(管理記憶部31)と、生産能力推定部32と、判定部33と、決定部34とを備えた、判定部33により生産能力推定部32によって推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上であると判定された場合、決定部34が部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定することにより、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当ての最適化を行う管理装置となる。
次に図14のフローに則して、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当ての最適化を行う第2の管理方法について説明する。第2の管理方法は、部品実装ラインL1〜L3で実装基板Bを生産した生産実績情報31hより、部品切れや装置エラーなどの部品実装関連装置で発生したイベントの情報を生成して生産能力Cmを推定するところが第1の管理方法と異なる。以下、前述の第1の管理方法と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
まず、生産実績情報取得部35は、部品実装関連装置などに記憶されている生産履歴情報などから、部品実装ラインL1〜L3における生産実績情報31hを取得する(ST21:生産実績情報取得工程)。取得された生産実績情報31hは、管理記憶部31に記憶される。なお、生産実績情報取得部35は、生産能力Cmを推定する直前だけでなく、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bが生産されている間に生産実績情報31hを取得しながら記憶させておいてもよい。
次いで情報生成部36は、管理記憶部31に記憶されている生産実績情報31hを基に、部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象に関するイベント情報31dを生成する(ST22:情報生成工程)。すなわち、取得された生産実績情報31hから、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象に関する情報(イベント情報31d)を生成する。
次いで第1の管理方法と同様に、管理記憶部31に記憶された各種情報に基づいて生産能力Cmを推定してオペレータOPを決定するオペレータ決定工程(ST10)が実行される。これにより、第1の管理方法と同様にオペレータOPの割り振りが決定される。第2の管理方法では、実装基板Bの生産実績より部品切れや装置エラーなどのイベントの発生頻度Feや装置停止時間を更新して生産能力Cmを推定するため、生産能力Cmの推定精度が向上でき、実装基板Bの生産計画からの誤差が少なくなるようにオペレータOPの割り当てを最適化することができる。
このように、管理コンピュータ3は、フロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、オペレータ情報31e、生産計画情報31fを記憶する記憶部(管理記憶部31)と、生産実績情報31hを取得する生産実績情報取得部35と、イベント情報31dを生成する情報生成部36と、生産能力推定部32と、判定部33と、決定部34とを備えた、判定部33により生産能力推定部32によって推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上であると判定された場合、決定部34が部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定することにより、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当ての最適化を行う管理装置となる。
次に図15のフローに則して、部品実装ラインL1〜L3と、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当ての最適化を行う管理装置(管理コンピュータ3)とを備えた部品実装システム1における部品実装方法について説明する。以下、前述の第2の管理方法と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
まず、第2の管理方法と同様に、部品実装関連装置などに記憶されている履歴情報などから、部品実装ラインL1〜L3における生産実績情報31hを取得する生産実績情報取得工程(ST21)が実行され、取得した生産実績情報31hが管理記憶部31に記憶される。次いで第2の管理方法と同様に、管理記憶部31に記憶されている生産実績情報31hを基に、イベント情報31dを生成する情報生成工程(ST22)が実行される。すなわち、情報生成工程(ST22)において情報生成部36は、管理記憶部31(生産実績情報記憶部)に記憶された生産実績情報31hから、部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に対してオペレータOPの作業を必要とする事象に関する情報(イベント情報31d)を生成する。
図15において、次いで第1の管理方法および第2の管理方法と同様に、管理記憶部31に記憶された各種情報に基づいて生産能力Cmを推定してオペレータOPを決定するオペレータ決定工程(ST10)が実行される。これにより、第1の管理方法および第2の管理方法と同様にオペレータOPの割り当てが決定される。次いで決定されたオペレータOPの割り当てに従って、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bが生産される(ST31:生産工程)。
各部品実装関連装置において、搬入された基板6A,6Bに対する部品実装関連作業が完了すると、生産実績情報取得部35は、生産実績情報31hを取得して管理記憶部31に記憶する(ST32:生産実績情報記憶工程)。すなわち、生産実績情報記憶工程(ST32)において、部品実装ラインL1〜L3における生産実績情報31hが記憶される。すなわち、管理記憶部31は、部品実装ラインL1〜L3における生産実績情報31hを記憶する生産実績情報記憶部となる。なお、生産実績情報記憶部は、通信ネットワーク2に接続される管理コンピュータ3とは異なる装置に設けてもよい。
次いで、予定されたロットの実装基板Bの生産が完了して段取り替えのタイミングとなったか否かが判定される(ST33)。予定の生産が完了していない間は(ST33においてNo)、生産工程(ST31)と生産実績情報記憶工程(ST32)が繰り返され、実装基板Bが生産されている間に生産実績情報31hが更新される。すなわち、生産実績情報記憶工程(ST32)において、管理記憶部31(生産実績情報記憶部)に記憶された生産実績情報31hが、決定部34により決定されたオペレータOPの割り当てに従って実装基板Bを生産して得られた生産実績情報31hに更新される。
予定された実装基板Bの生産が完了すると(ST33においてYes)、情報生成工程(ST22)が実行されて生産実績に基づくイベント情報31dが生成され、オペレータ決定工程(ST10)が実行されて生産実績に基づいて生産能力Cmが推定されて、次の生産のためのオペレータOPの割り当てが決定される。
このように、部品実装システム1は、部品実装装置M6〜M9を含む複数の部品実装関連装置を連結して構成される部品実装ラインL1〜L3と、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当ての最適化を行う管理装置(管理コンピュータ3)とを備えている。そして、管理装置(管理コンピュータ3)は、フロア配置情報31a、実装基板情報31b、生産ロット情報31c、オペレータ情報31e、生産計画情報31fを記憶する管理記憶部31と、イベント情報31dを生成する情報生成部36と、生産能力推定部32と、判定部33と、決定部34とを備えている。
そして、部品実装システム1は、生産実績情報31hを記憶する生産実績情報記憶部(管理記憶部31)を備えており、判定部33により生産能力推定部32によって推定された生産能力Cmが目標生産能力31g以上であると判定された場合、決定部34が部品実装ラインL1〜L3の部品実装関連装置に割り当てるオペレータOPを決定し、生産実績情報記憶部(管理記憶部31)に記憶された生産実績情報31hを、決定部34により決定されたオペレータOPの割り当てに従って前記実装基板を生産して得られた生産実績情報31hに更新している。
これによって、最新のイベント情報31dに基づいて、部品実装ラインL1〜L3において実装基板Bを生産するための作業を行うオペレータOPの割り当てを最適化することができる。