説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかる無線通信システムの概略構成図である。実施の形態1にかかる無線通信システムは、互いに離れた基地局にそれぞれ設置された第1無線通信装置11と第2無線通信装置21とがポイントツーポイントで互いに無線通信をする固定型無線通信システムである。本実施の形態における無線通信システムは、平面波を利用して無線通信をする。また、平面波は、例えばマイクロ波やミリ波である。
第1無線通信装置11は主な構成として、アンテナ12、送受信部13および偏波面制御部14を有している。第2無線通信装置21は主な構成として、アンテナ22、送受信部23および偏波面制御部24を有している。なお、第2無線通信装置21は第1無線通信装置11と同様の構成を有しているため、以下は第1無線通信装置11の各構成について説明するとともに、第2無線通信装置21の各構成についての説明は省略する。
アンテナ12は、通信相手である第2無線通信装置21と無線通信するために電波の送受信を行う。本実施の形態において、アンテナ12はパラボラアンテナである。また、アンテナ12は第2無線通信装置21のアンテナ22と互いに対向する位置に固定される。このような構成により、第1無線通信装置11は、指向性の高い電波の送受信を行うことができるため、通信相手との通信を効率よく行うことができる。
本実施の形態において、アンテナ12は平面波の送受信を行う。また、アンテナ12は、アンテナ12が送信する平面波の送信方向である軸X1周りに回転可能に設定されている。アンテナ12は、軸X1周りに回転することにより、アンテナ12が送信する偏波面が回転するように構成されている。
アンテナ12は、軸X1周りに回転するための駆動部としてモータを有している。また、アンテナ12は、ロータリーエンコーダやポテンショメータ等の回転角センサを有しており、これにより回転角度を制御することができる。また、かかる回転制御において、アンテナ12は回転の初期位置が設定されている。このような構成により、第1無線通信装置11は、例えばアンテナ12の初期設定が水平偏波であって、運用中に偏波角を回転させたような場合に、容易に初期位置である水平偏波の位置にアンテナ12を復帰させることができる。
送受信部13は、任意の装置であるバックエンドから送信データを受け取り、受け取った送信データから送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ12に供給する。また、送受信部13は、アンテナ12が受信した受信信号を受け取り、受け取った受信信号を復調する等して受信データを生成し、生成した受信データをバックエンドに出力する。
送受信部13は、上述の機能に加えて、受信信号の伝送品質を検出し、検出した伝送品質に関する情報を偏波面制御部14に供給する。ここで、伝送品質とは、対向する通信相手から受け取った受信信号に含まれる情報が、元の情報に対してどのくらい忠実かを表すための指標である。伝送品質は、偏波面制御部14がアンテナ12の偏波角を変更させるか否かを判断するために用いられる情報を含むものである。具体的には、伝送品質は、受信信号の受信レベル、ビットエラーレート(BER(Bit Error Rate)とも称する)および搬送波対雑音比(C/NまたはCNR(Carrier to Noise Ratio))に関する情報を含む。受信信号の受信レベルおよびビットエラーレート、C/Nに関する情報とは、受信信号の電波強度および伝送データのビットエラーレートやパケットエラーレート、受信信号を復調再生したときのC/Nを示す情報であってもよいし、電波強度およびビットエラーレート、C/N等の変化率を示すものであってもよい。
偏波面制御部14は、送受信部13から受け取った受信信号の伝送品質に関する情報に含まれている受信レベルおよびビットエラーレートから、アンテナ12の偏波面を回転させるか否かを判断する。すなわち、偏波面制御部14は、例えば、受信レベルおよびビットエラーレートを監視して、これらの値と予め設定された閾値とを比較する。そして、例えば、運用開始時と比較して伝送品質が悪化している場合に、アンテナ12の偏波面を回転させるか否かを決定する。
また、偏波面制御部14は、上述の判断により、偏波面を回転させることを決定した場合に、アンテナ12に回転すること指示する。ここで、偏波面制御部14は、アンテナ12を一度の指示により回転させる場合の回転角度が予め設定されている。本実施の形態において、この回転角度を回転ステップと称する。偏波面制御部14は、アンテナ12に対して回転ステップごとに回転するように指示する。回転ステップをこのように設定することにより、第1無線通信装置11は、アンテナ12を安定して回転させることができる。
図2を参照しながら回転ステップの設定について説明する。図2は、実施の形態1にかかる無線通信装置のアンテナを介して送信する平面波の偏波面を回転させたときの放射パタンイメージである。図に示す放射パタンL10は、アンテナ12の偏波面を回転制御したときの放射特性を例示したものである。図において、横軸はアンテナ12と対向するアンテナとの偏波面の傾き差(回転角度差)を示している。また、縦軸は、対向するアンテナが受信する信号レベルである受信レベル(電波強度dBm)を示している。縦軸と横軸が交差する中心点は、対向するアンテナ12とアンテナ22の偏波面の傾き差がゼロ度であり、保守者がそれぞれの無線通信装置の方位角等を最適に調整した回転の初期位置である。平面波を放射するアンテナ12の放射パタンL10は、傾きが±90度でアンテナのXPD(Cross Polarization Discrimination:交差偏波識別度)特性による最低の受信レベルになるケースを示している。このXPD特性を利用して水平垂直の両偏波を同時使用する通信も一般的である。±90度の回転角度差では、受信レベル差が最低(VMIN)になり、傾き差がゼロ度では最大の受信レベル(VMAX)になる。また、放射パタンL10は、イメージとしては傾き差ゼロ度を境に略対称形となる。したがって、放射パタンL10は、傾きゼロ度から傾きが増えると、変化率に波があるものの、信号レベルが低下し、傾き差が±90度で信号レベルが最低になる。
上述した放射パタンにおいて、傾きゼロ度から傾きを増加させた場合、受信レベルがVMAXから3dB低下したVREFとなったときの傾き差がAREFである。本実施の形態において、受信レベルが3dB低下すると、環境変動を網羅できる安定した無線通信は困難となる。すなわち、無線通信システム10において、偏波面制御部14が指示する回転ステップは、通信相手との偏波面の傾き差がAREFを超えないように設定される。また、回転ステップは、図に示した条件に加えて、環境変動を含む通信条件や回転制御のばらつき等を踏まえたうえで設定される。
偏波面を回転させる状況において、無線通信システム10は、少なくともいずれか一方の無線通信装置において理想的な受信状態と異なる状態となっていることが想定される。したがって、回転ステップを設定する際に、マージンを考慮しておくことは重要となる。例えば、回転ステップは、マージンを考慮してAREFの10%に相当する受信レベルが0.3dB低下する場合の傾きに設定される。また、回転角度を更に増加させる場合の回転ステップは、例えば約3倍ならばAREFの33%に相当する、つまり受信レベルが1dB低下する場合の傾きに設定される。このように回転ステップを設定することにより、第1無線通信装置11は、通信相手との通信を維持したまま偏波面を回転させることができる。
以上に説明した条件により回転ステップが設定された第1無線通信装置11において、偏波面制御部14がアンテナ12に対して設定された回転ステップで回転することを指示する。これによりアンテナ12は設定された回転ステップにかかる角度の回転をする。なお、アンテナ12の偏波面が回転したことは、自動的に偏波面制御部14に記憶される構成となっている。これにより、第1無線通信装置11は、アンテナ12の偏波面の傾きを管理する。
第1無線通信装置11の偏波面の傾きに関する情報は、任意の方法により通信相手である第2無線通信装置21に通知される。そして、通知を受けた第2無線通信装置21は、第1無線通信装置11の偏波面の傾きに対応するように、アンテナ22を回転させて偏波面の傾きを同調させる。このように、第1無線通信装置11と第2無線通信装置21の偏波面の傾きを同調させるための構成は、使用者を介さずに行えるように通信機能を用いるように構成されてもよいし、使用者が第2無線通信装置21の偏波面の傾きを同調させるように作業を行う構成であってもよい。
次に、図3を参照しながら、実施の形態1にかかる無線通信システムの運用を開始する場合の処理について説明する。図3は、実施の形態1にかかる無線通信システムの運用を開始する際のフローチャートである。図に示すフローチャートは、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21のいずれにも適用される。
まず、使用者は、第1無線通信装置11のために設定された基地局および第2無線通信装置21のために設定された基地局に入局し、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21をそれぞれ設置する(ステップS11)。
次に、使用者は、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21のアンテナ位置をそれぞれ調整する(ステップS12)。ここで、使用者は、第1無線通信装置11が有するアンテナ12と第2無線通信装置21が有するアンテナ22とを互いに対向するように設置したうえで、良好な通信が実現するように方位角、仰角または偏波角をそれぞれ調整する。この作業により対向するアンテナ12とアンテナ22の偏波面の傾き差がゼロ度の状態(回転の初期位置)が決定される。
次に、使用者は、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21をそれぞれ起動させて無線通信システム10の運用を前記偏波面の傾き差がゼロ度の状態で開始する(ステップS13)。運用を開始することにより、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21は互いに通信可能な状態となる。
次に、使用者は、運用開始時のパラメータを第1無線通信装置11および第2無線通信装置21にそれぞれ保存する(ステップS14)。ここで、パラメータとは、無線通信システム10の運用開始時に第1無線通信装置11および第2無線通信装置21がそれぞれ受信する受信信号の伝送品質に関する情報、アンテナ12およびアンテナ22の回転位置に関する情報およびアンテナ12およびアンテナ22を回転させる場合の回転ステップである。
次に、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21は、伝送品質の監視を開始する(ステップS15)。すなわち、第1無線通信装置11の偏波面制御部14は送受信部13から受け取る伝送品質に関する情報を監視して、アンテナ12に対して回転を指示するか否かの判断を行う。同様に、第2無線通信装置21の偏波面制御部24は、送受信部23から受け取る伝送品質に関する情報を監視して、アンテナ22に対して回転を指示するか否かの判断を行う。
次に、第1無線通信装置11および第2無線通信装置21は、電波干渉による伝送品質劣化が受信信号に生じているか否かをそれぞれ判断する(ステップS16)。第1無線通信装置11において電波干渉による伝送品質劣化が生じていると判断しない場合(ステップS16:No)、偏波面制御部14は、ステップS16を繰り返すことによって伝送品質に関する情報を監視する。同様に、第2無線通信装置21において電波干渉による伝送品質劣化が生じていると判断しない場合(ステップS16:No)、偏波面制御部24は、ステップS16を繰り返すことによって伝送品質に関する情報を監視する。
第1無線通信装置11において電波干渉による伝送品質劣化が生じていると判断する場合(ステップS16:Yes)、偏波面制御部14は、アンテナ12に対して回転することを指示する(ステップS17)。同様に、第2無線通信装置21において電波干渉による伝送品質劣化が生じていると判断する場合(ステップS16:Yes)、偏波面制御部24は、アンテナ22に対して回転することを指示する(ステップS17)。アンテナに対して回転することを指示した後、第1無線通信装置11または第2無線通信装置21は、ステップS16に戻り、伝送品質に関する情報を監視する。
次に、図4を参照しながら第1無線通信装置11および第2無線通信装置21が電波干渉を判断する処理について詳細を説明する。図4は、実施の形態1にかかる無線通信装置が電波干渉を判断する処理のフローチャートである。以下に説明するフローチャートは第1無線通信装置11の偏波面制御部14における処理について説明する。ただし以下のフローチャートは第2無線通信装置21の偏波面制御部24にも同様に適用される。
まず、偏波面制御部14は、相互通信状態が維持されているか否かを判断する(ステップS21)。具体的には、例えば偏波面制御部14は、送受信部13およびアンテナ12を介して通信相手である第2無線通信装置21に応答を求める要求信号を送信する。そして、予め設定された期間内に第2無線通信装置21から応答信号を受信した場合には、偏波面制御部14は、相互通信状態が維持されていると判断する。一方、予め設定された期間内に第2無線通信装置21から応答信号を受信しない場合には、偏波面制御部14は、相互通信状態が維持されていると判断しない。
相互通信状態が維持されていると判断しない場合(ステップS21:No)、偏波面制御部14は、無線通信が不通状態であると判断する(ステップS22)。この場合、偏波面制御部14は、初期化ルーチンへと移行する。初期化ルーチンでは例えば偏波面制御部14は、設定された回転ステップを用いず、前記回転の初期位置であるアンテナ12の傾きをゼロ度に設定することを指示する。このような構成にすることにより、無線通信システム10は、相互通信状態が維持されていない場合に各無線通信装置が初期状態に戻り、通信状態の回復を図ることができる。
一方、相互通信状態が維持されていると判断した場合(ステップS21:Yes)、偏波面制御部14は、ステップS23以降で、伝送品質が劣化しているか否かを判断する。具体的には、偏波面制御部14は、伝送品質に関する情報に含まれているビットエラーレート(BER)の計測を開始する(ステップS23)。すなわち、偏波面制御部14は、例えば、予め設定された期間におけるBERを計測し、かかる期間におけるビットエラーの発生回数CTMPが閾値CTHより多いか否かを判断する(ステップS24)。
ビットエラーの発生回数CTMPが予め設定された閾値CTHより多いと判断しない場合(ステップS24:No)、偏波面制御部14は伝送品質の劣化が起きていないと判断する(ステップS25)。従って、図3に示したステップS16において偏波面制御部14は、No判定を行う。
一方、ビットエラーの発生回数CTMPが閾値CTHより多い(伝送品質が劣化している状態)と判断する場合(ステップS24:Yes)、偏波面制御部14は、電波干渉を受けている可能性があると判断する。この場合に、偏波面制御部14は続いて受信レベルVTMPが予め設定された閾値VTHより高いか否かを判断する(ステップS26)。
受信レベルVTMPが閾値VTHより高いと判断しない場合(ステップS26:No)、偏波面制御部14は電波干渉を受けていないと判断する。すなわち、この場合、伝送品質の劣化は電波干渉によるものではなく、例えば、降雨変動やフェーディング変動等の環境変動による受信レベル低下とC/N低下が原因であると考えられる。そこで、偏波面制御部14は、所定の期間が経過するのを待つ(ステップS28)。そして、偏波面制御部14は、ステップS23に戻り、再びビットエラーの発生回数CTMPと閾値CTHとを比較する。
一方、受信レベルVTMPが閾値VTHより高いと判断する場合(ステップS26:Yes)、ビットエラーレートが閾値より多く伝送品質が劣化している状態で、且つ、受信信号の受信レベルが閾値より高い場合には、電波干渉により伝送品質が劣化している状態であり、偏波面制御部14では、電波干渉が生じていると判断する(ステップS27)。そのため、この場合に、図3に示したステップS16において偏波面制御部14は、Yes判定を行う。
以上、実施の形態1について説明した。実施の形態1によれば、無線通信システムの運用を停止することなく電波干渉による伝送品質の劣化を検出し、アンテナ偏波面を回転指示し、無線通信不通時には回転初期位置へ復旧させることができることで、アンテナ偏波面を回転させることを指示する指示ステップを有する無線通信装置等を提供することができる。
なお、実施の形態1にかかる無線通信システム10は、平面波の送受信を行うものであり、水平偏波であるか垂直偏波であるかは問わない。また、アンテナ12およびアンテナ22は、偏波面が回転可能であれば、パラボラアンテナに限らない。また、アンテナ12およびアンテナ22は駆動部にモータを有さず、使用者が手動で駆動させる構成であってもよい。
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる無線通信システムは、対向するアンテナの偏波面が成す角度が予め設定された範囲内であることを維持しながらアンテナを回転させるための具体的な構成を有している点で実施の形態1と異なる。
図5は、実施の形態2にかかる無線通信システムの概略構成図である。実施の形態2にかかる無線通信システム100は第1無線通信装置101と第2無線通信装置201とがポイントツーポイントで互いに無線通信する固定型無線通信システムである。
第1無線通信装置101は主な構成として、アンテナ102、送信器103、受信器104、変調器105、復調器106、駆動部107、制御部108、およびインタフェース部109を有している。第2無線通信装置201は主な構成として、アンテナ202、送信器203、受信器204、変調器205、復調器206、駆動部207、制御部208、およびインタフェース部209を有している。第2無線通信装置201は第1無線通信装置101と同様の構成を有しているため、以下は第1無線通信装置101の各構成について説明するとともに、第2無線通信装置201の各構成についての説明は省略する。
アンテナ102は、通信相手である第2無線通信装置201と無線通信するために電波の送受信を行う。アンテナ102は第2無線通信装置201のアンテナ202と互いに対向する位置に固定される。また、アンテナ102は送信する平面波の送信方向に平行な軸X1周りに回転可能に設定されている。
送信器103は、変調器105から受け取った変調信号を平面波としてアンテナ102から出力することができる信号である無線出力信号に変換する。送信器103は変換した無線出力信号をアンテナ102に供給する。
受信器104は、アンテナ102が受信した無線受信信号を受け取るとともに、受け取った無線受信信号を受信再生信号に変換する。そして、受信器104は、変換した受信再生信号を復調器106に供給する。また、受信器104は、無線受信信号から受信信号レベル情報を生成し、生成した受信信号レベル情報を制御部108に供給する。受信信号レベル情報は、受信信号の受信レベルに関する情報が含まれている。
変調器105は、インタフェース部109を介してバックエンドから送信データを受け取る。また、変調器105は、制御部108から自局信号を受け取り、送信データに対して多重化する。制御部108から受け取る自局信号は、自局である第1無線通信装置101における所定のパラメータまたは対向する通信相手に対する要求を含む信号である。変調器105は、送信データと自局信号と多重化させたうえで変調して変調信号を生成する。変調器105は、生成した変調信号を送信器103に供給する。
復調器106は、受信器104から受信再生信号を受け取り、受け取った受信再生信号を復調して復調データおよび対向局信号を生成する。また、復調器106は、生成した復調データから復調データ品質情報を生成する。復調データ品質情報は、復調データのビットエラーレートやC/Nに関する情報が含まれる。復調器106は、生成した復調データをインタフェース部109に供給する。そして、復調器106は、対向局信号および復調データ品質情報を制御部108に供給する。
駆動部107は、制御部108の指示を受けてアンテナ102を回転させる。アンテナ102が回転することにより、アンテナ102の偏波面が回転する。駆動部107は、モータに加え、ロータリーエンコーダやポテンショメータ等の回転角センサを有しており、これにより回転角度を制御することができる。これにより、駆動部107は、設定された回転ステップに従ってアンテナ102を回転させることができる。また、駆動部107は回転の初期位置が設定されている。これにより、駆動部107は制御部108から初期位置に移動する指示が出された場合には設定された初期位置に移動することができる。
制御部108は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等により構成され、受け取った所定の情報に基づいて各構成を制御する。具体的には、制御部108は、受信器104から受信信号レベル情報を受け取り、復調器106から対向局信号および復調データ品質情報を受け取る。
また、制御部108は受け取った受信信号レベル情報および復調データ品質情報から、例えば、運用開始時と比較して伝送品質が悪化しているか否かを判断し、アンテナ102の偏波面を回転させるか否かを決定する。アンテナ102の偏波面を回転させることを決定した場合、制御部108は、駆動部107に回転指示に関する信号を供給する。また、制御部108は、変調器105に対して、通信相手に送信する情報または信号である自局信号を供給する。
インタフェース部109は、第1無線通信装置101とバックエンドとのデータの受け渡しを行うインタフェースである。具体的には、インタフェース部109は、バックエンドから受け取った送信データを変調器105に供給するとともに、復調器106から受け取った受信データをバックエンドに出力する。
なお、第1無線通信装置101が有する送信器103、受信器104、変調器105、復調器106および制御部108は、例えば1個の半導体として構成されるものであってもよいし、1個の基板に実装された複数の電子部品により構成されてもよい。あるいは、これらの構成は、別個のハードウェアが有線または無線により接続されているものであってもよい。
以上、第1無線通信装置101の主な構成について説明した。このような構成を有することにより、無線通信システム100は、アンテナ102の偏波面とアンテナ202の偏波面とが成す角度が予め設定された傾き差の範囲内であることを維持しながらアンテナ102およびアンテナ202を回転させる。
次に、図6を参照しながら無線通信システム100が行うアンテナ回転制御の一例を説明する。図6は、実施の形態2にかかる無線通信システムがアンテナ回転制御を行う際のシーケンス図である。ここでは無線通信システム100が運用中であり、第1無線通信装置101が受信した受信信号に電波干渉による伝送品質の劣化が検出されたため、制御部108がアンテナを回転することを判断したという状況(図3のステップS17)である。また、ここでは第1無線通信装置101は電波干渉による信号の劣化を低減するために、アンテナの偏波面を回転ステップである回転角度ATGT分回転させることとする。運用開始時の角度情報に対して、回転角度ATGTは時計回り増加方向制御ならば+90度の方向に増加制御し、反時計回り制御ならば−90度方向に増加制御するが、例えば−90度から+90度の範囲で増加、減少制御を回転角度ATGTごとに制御する。回転制御ステップごとに回転ステップ分の回転角度ATGTが増減し、回転角センサ等により角度情報を収集し、回転角度ATGTに至ったことを確認する。また、運用開始時点の初期位置の回転角度(ゼロ度)に対する回転角度情報(後述説明の図8のACRT)をメモリにデータ更新する。
まず、第1無線通信装置101は、受信信号から受け取った伝送品質の監視により、アンテナを回転させることを判断し、アンテナ回転制御を開始する(ステップS30)。ここでは、第1無線通信装置101は、アンテナを回転角度ATGT回転させることを決定する。
なお、回転角度ATGTは相対的なものに限らず、回転の初期位置(ゼロ度)からの絶対的な角度であってもよい。また、回転ステップ値の回転角度ATGTは、予め設定された一定の値であってもよいし、図2のようなアンテナのXPD特性の実測値に応じた値でもよいし、無線通信装置の伝送品質(BERやC/N)の劣化度合いに応じた値で決定してもよい。伝送品質の劣化度合いに応じる例としては、BER閾値程度で劣化度合いが少ない(例えば1E−5程度)状態では、回転ステップ値を少なくし、BER閾値に対して10倍のエラーが生じているような伝送品質の劣化度合いが多い(例えば1E−4程度)場合には、回転速度を上げるため回転ステップ値を回転角度ATGTの2倍、3倍と増加させるような制御である。
次に、第1無線通信装置101は、第2無線通信装置201に対してアンテナ回転を要求するための要求信号を送信する(ステップS31)。具体的には、第1無線通信装置101の制御部108は、要求信号を生成すると、生成した要求信号を自局信号として変調器105に供給する。変調器105は、制御部108から受け取った自局信号(要求信号)をバックエンドから受け取った送信データに多重化したうえで変調し、変調信号を生成する。このようにして要求信号が多重化された変調信号は、送信器103およびアンテナ102を介して通信相手である第2無線通信装置201に送信される。
次に、要求信号を受け取った第2無線通信装置201は、要求に対する応答信号とともに自己のアンテナ202の角度を通知する信号を第1無線通信装置101に対して送信する(ステップS32)。具体的には、第1無線通信装置101から送信された要求信号はアンテナ202および受信器204を介して復調器206に供給される。復調器206は、受け取った変調信号を復調するとともに、変調信号に含まれていた第1無線通信装置101の自局信号(要求信号)を制御部208に供給する。制御部208は、要求信号を受け取ると、要求信号を受け取ったことを通知するための応答信号を生成する。また、制御部208は、予め記憶しているアンテナ202の角度情報を読み取り、読み取った角度情報および生成した応答信号を変調器205に供給する。以降の処理は上述の第1無線通信装置101の場合と同様であるため、説明を省略する。
次に、第1無線通信装置101は、第2無線通信装置201から応答信号を受け取ると、アンテナ102の回転を駆動部107に指示する(ステップS33)。このとき、制御部108は、予め記憶していた自己のアンテナ102の角度情報を読み取る。そして、読み取ったアンテナ102の角度情報と、第2無線通信装置201から受け取ったアンテナ202の角度情報とを照合して、両者の偏波面が実質的に一致(対向間のアンテナ回転角度差ゼロ度に相当)していることを照合する。ここで実質的に一致しているとは、動作バラつきや測定精度等を許容することを意味するものであって、例えば回転ステップの4分の1以下の角度ずれを許容することを意味する。両者の偏波面が一致していない場合には、制御部108は、駆動部107に対して指示する回転ステップとして、生じている角度ずれを修正した角度を指示する。両者の偏波面が一致している場合には、制御部108は、駆動部107に対して予め設定された回転ステップを指示する。
次に、制御部108は、アンテナ回転通知信号を第2無線通信装置201に送信する(ステップS34)。アンテナ回転通知信号には、自己のアンテナ102の回転を通知する信号と、第2無線通信装置201のアンテナ202を回転することを要求する信号とが含まれている。
次に、第2無線通信装置201の制御部208は、アンテナ回転通知信号を受け取ると、駆動部207に対してアンテナ202を回転させることを指示する(ステップS35)。制御部208は、駆動部207に対して回転ステップにより回転することを指示する。
次に、制御部208は、アンテナ202の回転が完了すると、回転完了を通知する信号である回転完了通知信号を第1無線通信装置101に送信する(ステップS36)。
次に、第1無線通信装置101は第2無線通信装置201から回転完了通知信号を受け取ると、回転制御を開始してから行った処理による回転角度AREQが、決定した回転角度ATGTに達したか否かを判断する(ステップS37)。
回転角度AREQが決定した回転角度ATGT以上であると判断しない場合(ステップS37:No)、第1無線通信装置101は、アンテナ102をさらに回転させるため、ステップS31に戻り、さらにアンテナ102を回転させる処理を行う。一方、回転角度AREQが決定した回転角度ATGT以上であると判断した場合(ステップS37:Yes)、第1無線通信装置101は、アンテナ回転制御を終了する。
上述のように第1無線通信装置101および第2無線通信装置201のアンテナの回転角度を監視しながら処理を行うことにより、無線通信システム100は、通信可能状態を維持しながら偏波面を回転させることができる。なお、ステップS33とステップS34は同時でもよいし、ステップS34が先でもよい。
なお、第1無線通信装置101は、回転制御が終了すると、図3において説明したとおり、再び電波干渉による伝送品質の劣化が生じているか否かを判断する処理を行う。そして、伝送品質の劣化が抑制されたと判断された場合、アンテナを回転させる制御を行わず、新たな電波干渉による伝送品質の劣化が生じているか否かを判断する処理を繰り返す。
次に、図7を参照しながら、上述の回転制御についてさらに説明する。図7は、実施の形態2にかかる無線通信装置における偏波面の角度と干渉波の影響を説明するための模式図である。
以下に図7の模式図について説明する。図において、円L20は、電波干渉がない場合に、アンテナ102とアンテナ202とを同期させながら回転させた場合の回転角度と受信レベルとの関係を示している。図中のゼロ度は、運用開始時点の初期位置のアンテナ角度ゼロ度を示している。また、円L20の半径である矢印V20は、受信信号の受信レベルを示している。すなわち、本例示では、アンテナ102とアンテナ202とを同期させながら回転させた場合、干渉波の影響を受けない場合の最大受信レベルは、回転角度に関わらず一定(V20)である。ここでは、本来は伝搬路の環境変動等で受信レベルは変動するものであるが、そのような変動は説明上省略している。
アンテナ102の回転角度は、円L20の中心から上方に伸びる破線と交差する位置A21がアンテナ102の運用開始時点の初期位置(角度0度)を示している。また、アンテナ102の回転方向は、図に示すとおり、アンテナ102を初期位置から時計回りの右方向に回転させた場合をプラス方向とし、反時計回りの左方向に回転させた場合をマイナス方向とする。位置A+90は、アンテナ102を初期位置からプラス方向へ90度回転させた場合の受信レベルである。同様に、位置A−90は、アンテナ102を初期位置からマイナス方向へ90度回転させた場合の受信レベルである。例えば、この位置A+90から位置A−90の範囲でアンテナ偏波面制御行う制御範囲で、比較しながら増加、減少制御を行う。
円L20の内側に存在する曲線Wは運用開始後に生じた干渉波の信号レベルを示しており、アンテナ102の回転角度に合せて定性的に示したものである。例えば、隣接する同一無線通信システムが同一偏波面で運用している場合のオーバーリーチによる干渉波と想定すると、図に示すように、干渉波は上下方向に長く、左右方向に短い扁平形状をしている。運用初期値の角度ゼロ度(位置A21)において干渉波の影響を受けている状態である。これは、干渉波が位置A21近傍において影響が大きく、A+90またはA−90に向かうにつれて影響が小さい傾向がある一例を示している。
位置A21から円L20の中心に伸びる矢印V21は、位置A21における受信信号のイメージである。矢印V21の長さは電波干渉がない場合の受信レベルである矢印V20の半分程度である。すなわち、電波干渉がない場合には受信レベルがV20であるはずであるが、電波干渉が生じているため、アンテナ102が位置A21にある場合には、受信信号が劣化して矢印V21の状態となっている。ここで、伝送品質が悪化している矢印V21は、制御部108がアンテナ102を回転させることを判断するレベルであるとする。そのため、制御部108は、例えばアンテナ102を位置A21からプラス方向へ回転させることを判断する。
図6を参照して説明したとおり、第1無線通信装置101は、アンテナ102および通信相手のアンテナ202の回転制御を行う。ここで、回転制御をした結果、アンテナ102が位置A22に回転したとする。矢印V22は、位置A22における受信信号の状態を示している。矢印V22は電波干渉の影響を受けているものの、制御部108がアンテナを回転すると判断するレベルではないものとする。このような場合、第1無線通信装置101は、アンテナ102を位置A21から位置A22に回転させたアンテナ回転制御を終了させる。無線通信システム100は、このように、電波干渉の影響が比較的に少ない位置までアンテナを回転させる。これにより、無線通信システム100は、運用後に生じた環境変化などによる電波干渉の影響を自動的に抑制することができる。しかも、両者のアンテナの回転角度が予め設定された回転ステップごとに制御されるため、無線通信システム100は、運用を停止させることなく、電波干渉の影響を自動的に抑制することができる。
次に、図7および図8を参照しながら、上述の回転制御における回転方向を決定する処理の一例について説明する。本実施の形態において、アンテナ102は、位置A−90から位置A+90の範囲である180度の回転角度ATGTの範囲において回転制御されるように設定される。このように設定されている理由は、アンテナ102が受信するのは平面波であり、平面波の特性は180度回転した位置と対称となる所謂2回対称の傾向があるからである。このような構成により、無線通信システム100は、効率よく干渉波の影響を低減させることができる。また、このような構成により、アンテナ102への物理的な信号配線が容易になり過度の屈曲を防止できること、アンテナ回転角度を無限回転する場合に生じる回転制御誤差を抑制することができる。
図7において、初期位置である位置A21から離れる方向に向かってアンテナを回転させる制御を増加制御と称する。また、初期位置である位置A21へ近付く方向に向かってアンテナを回転させる制御を減少制御と称する。本実施の形態において、無線通信システム100は、アンテナの位置を初期位置(位置A21)から90度以上離れないように制御する。例えば、増加制御により位置A+90に至った場合(図6のS37でYes)でアンテナ回転制御を終了した場合、次から位置A21に向かう方向(減少方向)の制御を開始する。また、さらに、位置A21を超えて、位置A−90に向けて増加制御を行い、干渉波の影響を受けない回転位置を探す制御になる。
図8は、実施の形態2にかかる無線通信装置が回転方向を決定する際の処理を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、図6のシーケンス図におけるステップS33の詳細を説明するものである。
図8において、制御部108は、予め記憶されている自己のアンテナ角度ACRTおよびアンテナの回転角度ATGTを読み取る(ステップS41)。自己のアンテナ角度ACRTは、前記回転ステップ分の回転角度ATGTの分回転制御された後のアンテナ角度である。回転制御後、ACRTとATGTを加えた制御値が90度を超えた場合、つまり、|ACRT+ATGT|>90となった場合には回転制御方向を変更することになる。これは、回転制御の角度範囲(位置A−90から位置A+90)であり、アンテナ回転制御の無限回転制御を防止する。制御完了後にACRT+ATGTの加算値にACRTのメモリ値を更新する。
次に、制御部108は、第2無線通信装置201から受け取った応答信号に初期化要求が含まれているか否かを判断する(ステップS42)。応答信号に初期化要求が含まれている場合(ステップS42:Yes)、制御部108は、初期化ルーチンへ移行する。初期化ルーチンでは例えば制御部108は、設定された回転ステップを用いずアンテナ102の角度をゼロ度に設定することを指示する。一方、応答信号に初期化要求が含まれていない場合(ステップS42:No)、制御部108はステップS43に移行する。
次に、制御部108は、アンテナを回転させる方向を選択する処理を行う。すなわち、制御部108は、メモリに格納されている最新の自己のアンテナ角度ACRTに、回転角度ATGTを加えた角度が制御範囲を超えるか否かを判断する(ステップS43)。具体的には、例えば、自己のアンテナ角度ACRTに回転角度ATGTを加えた値が90度を超えるか否かを判断する。
自己のアンテナ角度ACRTに回転角度ATGTを加えた値が90度を超えると判断した場合(ステップS43:Yes)、回転後のアンテナの角度は初期位置から90度を超えることになる。そこで、制御部108は、回転後のアンテナの角度が初期位置から90度を超えないように、減少制御を行う。この場合、制御部108は、回転角度ATGTの符号を反転させたうえで減少制御となる回転制御を行う。回転制御後には回転制御後のアンテナ角度ACRTのメモリのデータを更新する(ステップS44)。
一方、自己のアンテナ角度ACRTに回転角度ATGTを加えた値が90度を超えると判断しない場合(ステップS43:No)、回転後のアンテナの角度は初期位置から90度を超えない。そのため、制御部108は、読み取った値に従った方向の回転制御を行う。回転制御後には回転制御後のアンテナ角度ACRTのメモリのデータを更新する(ステップS45)。
以上、実施の形態2について説明した。実施の形態2によれば、無線通信システムの運用を停止することなく、且つ、使用者がアンテナを回線させる作業を行うことなく、電波干渉による伝送品質の劣化を抑制する無線通信装置等を提供することができる。
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、対向するアンテナの放射パタンが異なる点が、実施の形態2と異なる。すなわち、実施の形態3にかかる第1無線通信装置101のアンテナ102の放射パタンと、第2無線通信装置201のアンテナ202の放射パタンとは、異なる。そのため、偏波面を回転させた場合の信号レベルの変化率が異なる。そこで、実施の形態3では、運用を開始する際に、アンテナ102により決定される回転ステップと、アンテナ202により決定される回転ステップとを比較して、より小さい回転ステップを選択し、選択した回転ステップを両者で共有する。
図9は、実施の形態3にかかる無線通信装置の処理を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップS13とステップS15の間の処理が、図3に示すフローチャートと異なる。以下に、ステップS51およびステップS53について説明する。
ステップS13の後、第1無線通信装置101および第2無線通信装置201は、運用開始時の自己のパラメータをそれぞれ検出する(ステップS51)。ここで、第1無線通信装置101および第2無線通信装置201は、それぞれが有するアンテナの放射パタンから、予め設定された回転ステップを有している。
次に、第1無線通信装置101および第2無線通信装置201は、自己のパラメータを互いに送信するとともに通信相手のパラメータを受信することにより、互いのパラメータを共有する(ステップS52)。ここで共有するパラメータには、放射パタンに関する情報、あるいは、回転ステップに関する情報が含まれる。
次に、第1無線通信装置101および第2無線通信装置201は、共有した互いのパラメータを比較し、比較した結果、より小さい回転ステップを選択する。そして、選択した回転ステップを運用パラメータとして決定する(ステップS53)。運用パラメータを決定すると、第1無線通信装置101および第2無線通信装置201は、決定した運用パラメータに従って運用を続行する。
以上、実施の形態3について説明したが、実施の形態3にかかる無線通信システムの処理はこれに限られず、例えば、運用パラメータを決定するのは、いずれか一方の無線通信装置のみであって、一方が決定した運用パラメータを、他方に通知することにより、両者の回転ステップを決定してもよい。このような構成により、実施の形態3にかかる無線通信装置は、大きさや特性の異なるアンテナを有している場合であっても、無線通信システムの運用を停止することなく、且つ、使用者がアンテナを回線させる作業を行うことなく、電波干渉による伝送品質の劣化を抑制する無線通信装置等を提供することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
送信する平面波の送信方向と平行な軸周りに偏波面が回転可能に設置された第1アンテナと、
前記第1アンテナを介して前記第1アンテナに対向する第2アンテナを有する通信相手と平面波を送信または受信する送受信部と、
前記送受信部が受信する平面波の伝送品質に基づいて前記偏波面を回転させるか否かを判断し、前記判断に基づいて前記偏波面を回転させることを前記第1アンテナに指示する偏波面制御部と、
を備える無線通信装置。
(付記2)
前記偏波面を回転させるために平面波の送信方向と平行な軸周りに前記第1アンテナを回転させる駆動部をさらに備え、
前記偏波面制御部は、前記駆動部が前記第1アンテナを回転させることを指示する
付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)
前記偏波面制御部は、前記第1アンテナが回転する角度である回転角について、予め設定された角度を有する回転ステップごとに前記偏波面を変化させることを指示する
付記1または2に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記偏波面制御部が指示する前記回転ステップは、前記偏波面を回転させた場合の角度と受信する平面波の電波強度との関係に基づいて設定される
付記3に記載の無線通信装置。
(付記5)
前記偏波面制御部は、受信した平面波の信号レベル、受信した平面波のビットエラーレートまたは搬送波対雑音比の少なくともいずれか一方を前記伝送品質として処理する
付記1〜4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記6)
前記偏波面制御部は、前記第1アンテナが送信する平面波の第1偏波面と前記第2アンテナが送信する平面波の第2偏波面とが成す角度を監視しながら偏波面を回転させることを指示する
付記1〜5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記7)
前記偏波面制御部は、前記通信相手に前記第1偏波面を回転させることを通知するとともに前記第1アンテナに前記第1偏波面を回転させることを指示する
付記6に記載の無線通信装置。
(付記8)
前記偏波面制御部は、前記通信相手から前記第1偏波面を回転させることについて許可を受け、前記許可に応じて前記第1偏波面を回転させることを前記第1アンテナに指示する
付記7に記載の無線通信装置。
(付記9)
前記偏波面制御部は、前記通信相手の前記第2偏波面が回転可能に設置されている場合に、
前記通信相手に対して前記第1偏波面の回転に対応するように前記第2偏波面を回転することを要求する
付記6〜8のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記10)
前記偏波面制御部は、前記通信相手の前記第2偏波面が回転可能に設置されている場合に、
前記通信相手から前記第1偏波面を回転させることを要求されたときは、前記要求に従って前記第1偏波面を回転させ、回転が完了した後に、前記要求に対応したことを前記通信相手に通知する
付記6〜9のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記11)
前記偏波面制御部が指示する前記回転ステップは、
前記第1アンテナにおいて偏波面を回転させた場合の角度と受信する平面波の電波強度との関係に基づいて定められた第1角度と、
前記第2アンテナにおいて偏波面を回転させた場合の角度と受信する平面波の電波強度との関係に基づいて定められた第2角度との内、
いずれか小さい方の角度に基づいて設定される
付記3に記載の無線通信装置。
(付記12)
アンテナを介して通信相手から受信した平面波の伝送品質に基づいて、前記アンテナを介して送信する平面波の偏波面を回転させるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断に基づいて前記平面波の前記偏波面を回転させることを前記アンテナに指示する指示ステップと
を備える方法をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記13)
送信する平面波の第1偏波面が送信方向と平行な軸周りに回転可能に設置された第1アンテナを有する第1無線通信装置と、
送信する平面波の第2偏波面が送信方向と平行な軸周りに回転可能に設置された第2アンテナを有し、前記第1無線通信装置と通信可能に対向している第2無線通信装置と、を備え、
前記第1無線通信装置および前記第2無線通信装置は、いずれか一方が受信した平面波の伝送品質に基づいて、前記第1偏波面と前記第2偏波面とが成す角度が予め設定された範囲内であることを維持しながら前記第1偏波面および前記第2偏波面を回転させる
無線通信システム。
(付記14)
前記偏波面制御部が指示する前記回転ステップは、前記第1アンテナまたは前記第2アンテナの交差偏波識別度の実測値に基づいて設定される
付記3に記載の無線通信装置。
(付記15)
前記偏波面制御部が指示する前記回転ステップは、前記平面波の伝送品質の劣化度合いに応じて設定される
付記3に記載の無線通信装置。