[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、酸不安定基を含む繰り返し単位を含むベース樹脂、及び下記式(1)で表される塩を含む
式中、R1は、炭素数5〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、ハロゲン原子、エーテル基、チオール基、エステル基、カーボネート基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、アジド基、カーバメート基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、スルトン基、ラクトン環又はラクタム環を含んでいてもよい。Mn+は、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ルビジウムイオン、ストロンチウムイオン、イットリウムイオン、セシウムイオン、バリウムイオン又はセリウムイオンである。nは、1〜3の整数である。
式(1)で表される塩は、酸発生剤から発生される酸とイオン交換を起こさない。イオン交換が起こると式(1)で表される塩に含まれる金属はクエンチャーとして機能し、添加によって感度が低下するが、イオン交換が起こらないため感度が低下することはなく、むしろ金属から2次電子が発生することによって感度が向上する。
式(1)で表される塩は、具体的には、下記式で表されるナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、セシウム、バリウム又はセリウム塩である。
(式中、R1は、前記と同じ。)
R1CF2SO3 -で表されるスルホン酸イオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
式(1)で表される塩の中でも、下記式(2)で表されるバリウム塩、下記式(3)で表されるセシウム塩及び下記式(4)セリウム塩は、原子番号が大きく、より多くの電子を有しているので、EBやEUV露光によって放出される2次電子数が多く、レジスト膜を高感度化させる効果が高いという点から好ましい。
式中、R6は、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、ハロゲン原子、エーテル基、チオール基、エステル基、カーボネート基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、アジド基、カーバメート基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、スルホン酸エステル基、スルトン基、ラクトン環又はラクタム環を含んでいてもよい。
式(1)で表される塩の添加量は、後述するベース樹脂100質量部に対して0.01〜100質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましい。
式(1)で表される塩は、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、セシウム、バリウム又はセリウムのヒドロキシ化合物、ハロゲン化合物、炭酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩又はβ−ケトエステル塩と、α位がフッ素化された、炭素数5〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基若しくは炭素数6〜20のアリール基を含むスルホン酸、又は前記スルホン酸のアンモニウム塩との中和反応又は塩交換反応によって合成することができる。
前記ベース樹脂に含まれる酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(a1)で表されるもの(以下、繰り返し単位a1という。)又は下記式(a2)で表されるもの(以下、繰り返し単位a2という。)が好ましい。
式中、R2及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R3及びR5は、酸不安定基である。Y1は、単結合、若しくはエステル基、ラクトン環、フェニレン基及びナフチレン基から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1〜12の連結基、又はフェニレン基若しくはナフチレン基である。Y2は、単結合、エステル基又はアミド基である。a1及びa2は、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、及び0<a1+a2<1を満たす正数である。
繰り返し単位a1を与えるモノマーとしては以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R2及びR3は、前記と同じである。
繰り返し単位a2を与えるモノマーとしては以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R4及びR5は、前記と同じである。
R3又はR5で表される酸不安定基としては、種々選定されるが、例えば、下記式(A−1)〜(A−3)で表されるものが挙げられる。
式(A−1)中、RL1は、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基、又は式(A−3)で表される基を表す。A1は、0〜6の整数を表す。
前記3級アルキル基としては、t−ブチル基、t−ペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。前記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基等が挙げられる。前記オキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。
式(A−1)で表される酸不安定基としては、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、t−ペンチルオキシカルボニル基、t−ペンチルオキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
更に、式(A−1)で表される酸不安定基として、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で表される基も好適に使用できる。
式中、RL8は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を表す。RL9は、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。RL10は、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を表す。A1は、前記と同じである。
式(A−2)中、RL2及びRL3は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。RL4は、酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18、好ましくは1〜10の1価炭化水素基を表す。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられ、これらの水素原子の一部が、ヒドロキシ基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等で置換されていてもよい。このような置換アルキル基としては、以下に示すもの等が挙げられる。
RL2とRL3と、RL2とRL4と、又はRL3とRL4とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、又は炭素原子と酸素原子と共に環を形成してもよく、この場合、環の形成に関与するRL2及びRL3、RL2及びRL4、又はRL3及びRL4は、それぞれ独立に、炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。これらが結合して得られる環の炭素数は、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜10である。
式(A−2)で表される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69で表されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
式(A−2)で表される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
また、酸不安定基として、下記式(A−2a)又は(A−2b)で表される基が挙げられる。前記酸不安定基によって、ベースポリマーが分子間又は分子内架橋されていてもよい。
式中、RL11及びRL12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。RL11とRL12とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、この場合、RL11及びRL12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。RL13は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。B1及びD1は、それぞれ独立に、0〜10の整数、好ましくは0〜5の整数を表し、C1は、1〜7の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
Aは、(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族若しくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。また、これらの基の炭素原子間にヘテロ原子を含んでいてもよく、又はこれらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。Aとしては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基等が好ましい。Bは、−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を表す。
式(A−2a)又は(A−2b)で表される架橋型アセタール基としては、下記式(A−2)−70〜(A−2)−77で表される基等が挙げられる。
式(A−3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基等の1価炭化水素基を表し、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、RL5とRL6と、RL5とRL7と、又はRL6とRL7とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
式(A−3)で表される基としては、t−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、t−ペンチル基等が挙げられる。
また、式(A−3)で表される基として、下記式(A−3)−1〜(A−3)−18で表される基も好適に使用できる。
式中、RL14は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を表す。RL15及びRL17は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を表す。RL16は、炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を表す。
更に、酸不安定基として、下記式(A−3)−19又は(A−3)−20で表される基が挙げられる。前記酸不安定基によって、ポリマーが分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。
式中、RL14は、前記と同じ。RL18は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(E1+1)価の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜20の(E1+1)価の芳香族炭化水素基を表し、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。E1は、1〜3の整数を表す。
式(A−3)で表される酸不安定基を含む繰り返し単位としては、例えば、下記式(A−3)−21で表されるエキソ体構造を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来するものが挙げられる。
式中、R2は、前記と同じ。RLc1は、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。RLc2〜RLc7、RLc10及びRLc11は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価炭化水素基を表す。RLc8及びRLc9は、水素原子を表す。RLc2とRLc3と、RLc4とRLc6と、RLc4とRLc7と、RLc5とRLc7と、RLc5とRLc11と、RLc6とRLc10と、RLc8とRLc9と又はRLc9とRLc10とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、この場合、結合に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価炭化水素基を表す。また、RLc2とRLc11と、RLc8とRLc11と、又はRLc4とRLc6とは、隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。なお、本式により、鏡像体も表す。
ここで、式(A−3)−21で表される繰り返し単位を与えるモノマーとしては、特開2000−327633号公報に記載されたもの等が挙げられる。具体的には、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R2は、前記と同じである。
式(A−3)で表される酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(A−3)−22で表される、フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来するものも挙げられる。
式中、R2は、前記と同じ。RLc12及びRLc13は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を表す。RLc12とRLc13とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂環を形成してもよい。RLc14は、フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基、又はオキサノルボルナンジイル基を表す。RLc15は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状の1価炭化水素基を表す。
式(A−3)−22で表される繰り返し単位を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R2は、前記と同じであり、Acはアセチル基を表し、Meはメチル基を表す。
前述したもの以外の酸不安定基を含むモノマーとしては、特開2015−166833号公報の段落[0061]〜[0085]に記載されたもの等が挙げられる。
前記ベース樹脂は、更に、下記式(b1)〜(b3)で表される繰り返し単位(以下、それぞれ繰り返し単位b1〜b3という。)から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
式中、R101、R105及びR110は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R102は、単結合、フェニレン基、−O−R114−又は−C(=O)−Y−R114−であり、Yは、−O−又は−NH−であり、R114は、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、フェニレン基、又は炭素数3〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R103、R104、R107、R108、R109、R111、R112及びR113は、それぞれ独立に、カルボニル基、エステル基若しくはエーテル基を含んでいてもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、若しくはメルカプトフェニル基を表し、これらの水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアシロキシ基を含んでいてもよい。R106は、水素原子又はトリフルオロメチル基である。Z1は、単結合、又は−C(=O)−Z3−R115−であり、Z2は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R115−又は−C(=O)−Z3−R115−である。Z3は、−O−又は−NH−であり、R115は、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、フェニレン基、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R103とR104と、R107とR108と、R107とR109と、R108とR109と、R111とR112と、R111とR113と、R112とR113とは、直接又はメチレン基若しくはエーテル結合を介して結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。Q-は、非求核性対向イオンを表す。b1、b2及びb3は、0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0≦b3≦0.5、及び0<b1+b2+b3≦0.5を満たす正数である。
ポリマー主鎖に酸発生剤をバウンドさせることによって、酸拡散距離を縮め、LWRを低減させることができる。
前記ベース樹脂が、繰り返し単位b1〜b3のいずれかを含む場合、露光中に金属からの2次電子の発生によって繰り返し単位b1〜b3に含まれる酸発生剤の分解が起こり、これによってレジスト膜の感度が向上する。PEB温度を高くしたり、PEB時間を長くすることによっても高感度化が可能であるが、この場合は酸拡散距離が長くなり、LWRが大きくなる。式(1)で表される塩を添加すると、酸拡散が小さく、かつ酸の発生効率が高くなるので、高感度かつLWRを小さくすることが可能である。
繰り返し単位b1〜b3のうち、繰り返し単位b2が最も好ましい。
繰り返し単位b1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Q-は、前記と同じである。
繰り返し単位b2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
繰り返し単位b3を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
前記ベース樹脂は、更に、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位cを含んでいてもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
前記ベース樹脂は、更に、他の密着性基として、ヒドロキシ基(ただし、フェノール性ヒドロキシ基を除く。)、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、及び−O−C(=O)−G−(Gは、硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を含む繰り返し単位dを含んでいてもよい。
繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
ヒドロキシ基を含むモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
前記ベース樹脂は、更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体に由来する繰り返し単位eを含んでいてもよい。
繰り返し単位eを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
前記ベース樹脂は、更に、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン又はメチレンインダンに由来する繰り返し単位fを含んでもよい。
繰り返し単位a1、a2、b1、b2、b3、c、d、e及びfの含有比率は、0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0、0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0≦b3≦0.5、0≦b1+b2+b3≦0.5、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9、0≦e≦0.9、0≦f≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b1≦0.4、0≦b2≦0.4、0≦b3≦0.4、0≦b1+b2+b3≦0.4、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8、0≦f≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.15≦a1+a2≦0.7、0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0≦b1+b2+b3≦0.3、0≦c≦0.7、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7、0≦f≦0.3が更に好ましく、0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.15≦a1+a2≦0.7、0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0.1≦b1+b2+b3≦0.3、0<c≦0.7、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7、0≦f≦0.3が最も好ましい。なお、a1+a2+b1+b2+b3+c+d+e+f=1である。
前記ベース樹脂の合成方法としては、例えば、繰り返し単位a1、a2、b1、b2、b3、c、d、e及びfを与えるモノマーのうち所望のモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え、加熱重合を行う方法が挙げられる。
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。反応温度は、好ましくは50〜80℃であり、反応時間は、好ましくは2〜100時間、より好ましくは5〜20時間である。
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンに由来する繰り返し単位を含むポリマーを合成する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりに、アセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後、アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護して、ヒドロキシスチレン単位やヒドロキシビニルナフタレン単位にしてもよい。
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度としては、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては、好ましくは0.2〜100時間、より好ましくは0.5〜20時間である。
前記ベース樹脂は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは2,000〜30,000である。Mwが1,000以上であれば、レジスト材料が耐熱性に優れるものとなり、500,000以下であれば、アルカリ溶解性が低下することもなく、パターン形成後に裾引き現象が生じることもない。
更に、前記ベース樹脂においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それゆえ、パターンルールが微細化するに従って分子量や分子量分布の影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用するベース樹脂の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
前記ベース樹脂は、組成比率やMw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたものでもよい。
前記ベース樹脂は、特にポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適で、前記ベース樹脂に、有機溶剤、溶解阻止剤、酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料とすることができる。このようなポジ型レジスト材料は、これから得られるレジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、特に超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ポジ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができるとともに、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
また、ポジ型レジスト材料に溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。更に、塩基性化合物を添加することによって、例えばレジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し、解像度を一層向上させることができるし、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
本発明のレジスト材料は、前述のように、化学増幅ポジ型レジスト材料として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含んでもよい。前記光酸発生剤は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいかなるものでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。酸発生剤の具体例としては、例えば、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]、特開2009−080474号公報、特開2015−026064号公報に記載されているものが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。酸発生剤を配合する場合、その配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましい。
本発明のレジスト材料に配合することができる有機溶剤としては、例えば、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載の、シクロヘキサノン、メチルn−ペンチルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート等のエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して100〜10,000質量部が好ましく、200〜8,000質量部がより好ましい。
本発明のレジスト材料に配合することができる塩基性化合物(クエンチャー)としては段落[0146]〜[0164]に記載されたもの、界面活性剤としては段落[0165]〜[0166]に記載されたもの、溶解阻止剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]に記載されたものが挙げられる。特開2008−239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。更に、必要に応じて任意成分としてアセチレンアルコール類を添加することもでき、アセチレンアルコール類の具体例としては特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載されている。
ポリマー型のクエンチャーは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
金属塩のクエンチャーとして、特開2013−25211号公報に記載の金属塩を添加することもできる。
なお、クエンチャーを配合する場合、その配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.02〜15質量部がより好ましい。界面活性剤を配合する場合、その配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.0001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がより好ましい。溶解阻止剤を配合する場合、その配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.5〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。ポリマー型クエンチャーを含む場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で任意とすることができる。アセチレンアルコール類を配合する場合、その配合量は、レジスト材料中0〜2質量%が好ましく、0.02〜1質量%がより好ましい。
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、前記レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含む。この場合、前記高エネルギー線で露光する工程において、波長3〜15nmのEUVやEB、特には加速電圧が1〜150kVの範囲のEBを光源として用いることができる。
式(1)で表される塩は、導電性の金属塩を形成しているために、EB描画中のレジスト膜の耐電を防止する効果がある。このため、レジスト膜の上に必ずしも帯電防止膜を形成しなくてもよい。式(1)で表される塩は、波長13.5nmのEUVに強い吸収がある。EUVで露光したときに前記金属の外殻電子が励起され、酸発生剤に電子が移動し、酸の発生効率が高まり、レジストの感度が向上するメリットがある。
また、式(1)で表される塩は、酸発生剤から発生するフルオロスルホン酸やフルオロスルホンイミド酸と塩交換をすることがないので、クエンチャーとしては機能しない。それゆえ、クエンチャーよりも多量に添加することができ、これによってEUVの吸収が増し、高感度化のメリットを享受することができる。
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
前記ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、セシウム、バリウム又はセリウム塩は、EBやEUV露光中に2次電子を発生させ、これに酸発生剤が感光して高感度化する。しかしながら、レジスト膜内を2次電子がランダムに拡散すると像のぼけとなり、酸発生剤から発生した酸の拡散と相まって像のぼけが増大する。像のぼけは、エッジラフネスの増大を招く。ここで、2次電子がレジスト膜方向すなわち基板と垂直方向に拡散すると、像のぼけを抑えることができる。基板がプラス荷電した場合、2次電子が基板に吸い込まれるように移動するので、2次電子が垂直拡散する。これによって像のぼけの発生を抑え、エッジラフネスを劣化することなく感度を向上させることができる。
例えば、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板あるいは該基板上の被加工層(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)や、マスク回路製造用の基板あるいは該基板上の被加工層(Cr、CrO、CrON、MoSi2等)上に、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により、塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。
次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、軟X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、EUV等の高エネルギー線から選ばれる光源で、目的とするパターンを所定のマスクを通じて又は直接露光を行う。露光量は、1〜200mJ/cm2程度、特に10〜100mJ/cm2、又は0.1〜100μC/cm2程度、特に0.5〜50μC/cm2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間PEBする。
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。
有機溶剤現像によってネガ型のパターンを得ることもできる。現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
具体的に、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、t−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−s−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−s−ペンチルエーテル、ジ−t−ペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。
炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼ
ン、t−ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
なお、本発明のレジスト材料は、高エネルギー線の中でもEB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに最適である。特に、波長3〜15nmのEUVや加速電圧1〜150kVのEB、好ましくは加速電圧100kV以下のEB、特には加速電圧50kV以下の低加速電圧EBを光源として用いれば、より微細なパターンを形成することができる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[合成例1]2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸バリウム(バリウム塩1)の合成
[1]ベンジルトリメチルアンモニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート(中間体1)の合成
特開2010−215608号公報に記載の方法に準じて、2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの水溶液を合成した。次いで、この水溶液1,200g(2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウム1mol相当)に、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド223g及び塩化メチレン2,000gを加えて10分攪拌した後、有機層を分取した。抽出した有機層を水で洗浄した後、減圧濃縮を行った。得られた濃縮残渣にジイソプロピルエーテルを加えて再結晶を行い、続いて析出した固体を回収して減圧乾燥を行うことで、目的物であるベンジルトリメチルアンモニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート(中間体1)354gを白色固体として得た(収率86%)。
[2]ベンジルトリメチルアンモニウム 2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート(中間体2)の合成
1−アダマンタンカルボン酸をトルエン中でオキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとし、その後塩化メチレンを加えて25質量%溶液とした。続いて、中間体1を123g、トリエチルアミン45g、4−ジメチルアミノピリジン9g及び塩化メチレン600gの混合溶液を調製し、これに前記カルボン酸クロリドの塩化メチレン溶液を氷冷下滴下した。滴下後10時間室温にて熟成後、希塩酸を加えて反応を停止した。続いて有機層を分取し、水洗を行った後、減圧濃縮を行って得られた濃縮残渣にジイソプロピルエーテル1,500gを加えて結晶を析出させた。得られた結晶をろ別して回収し、減圧乾燥を行うことで、目的物であるベンジルトリメチルアンモニウム 2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート(中間体2)158gを白色結晶として得た(収率90%)。
[3]2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸バリウム(バリウム塩1)の合成
中間体2を16g、デュオライトC255LFH(住化ケムテックス社製イオン交換樹脂)50g、メタノール80gの混合物を2時間攪拌後、イオン交換樹脂をろ別した。ろ液に水酸化バリウム8水和物3gと水100gの混合溶液を加えて減圧濃縮を行った後、濃縮残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し、目的物である2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸バリウム7gを得た(収率80%)。
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(IR)データを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図1及び図2に示す。なお、1H−NMRにおいて微量のジイソプロピルエーテル及びDMSO−d6中の水が観測されている。
IR (D-ATR; cm-1) 2910, 2852, 1725, 1712, 1452, 1375, 1338, 1276, 1235, 1192, 1165, 1103, 1088, 994, 924, 870, 840, 646, 621, 572 cm-1.
[合成例2]2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸セシウム(セシウム塩1)の合成
中間体2 12gをメタノール60gに溶解させ、これにイオン交換樹脂(デュオライト255LFH、住化ケムテックス(株)製)37gを加えて1時間攪拌した。続いて、イオン交換樹脂をろ別し、得られた溶液を減圧濃縮し、メタノールを除去した後、炭酸セシウム4.9gと純水80gを加え、室温下で5分攪拌後に減圧濃縮を行い、溶剤を除去した。濃縮残渣にジイソプロピルエーテルを加えて結晶を析出させ、これをろ別して回収した後に減圧加熱乾燥を施すことで、目的物である2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸セシウム10gを得た(収率86%)。
[合成例3]2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸セリウム(セリウム塩1)の合成
中間体2 8.1gをメタノール40gに溶解させ、これにイオン交換樹脂(デュオライト255LFH、住化ケムテックス(株)製)24gを加えて1時間攪拌した。続いて、イオン交換樹脂をろ別し、得られた溶液を減圧濃縮し、メタノールを除去した後、炭酸セリウム(III)8水和物1.8gを加えて室温下で一晩攪拌した。攪拌後、セライトろ過にて不溶分をろ別し、得られた溶液にメチルイソブチルケトンを加えて減圧濃縮を行い、濃縮残渣の固体をジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧加熱乾燥を施すことで、目的物である2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸セリウム6.1gを得た(収率90%)。
[合成例4〜22]ナトリウム塩1、マグネシウム塩1、カリウム塩1、カルシウム塩1、バリウム塩2〜11、セシウム塩2〜4、ルビジウム塩1、及びストロンチウム塩1の合成
アニオンの種類や金属ヒドロキシドの金属の種類を変えて、合成例1と同様の方法で、ナトリウム塩1、マグネシウム塩1、カリウム塩1、カルシウム塩1、バリウム塩2〜11、セシウム塩2〜4、ルビジウム塩1及びストロンチウム塩1を合成した。
ナトリウム塩1、マグネシウム塩1、カリウム塩1、カルシウム塩1、バリウム塩1〜11、セシウム塩1〜4、ルビジウム塩1、ストロンチウム塩1及びセリウム塩1の構造を以下に示す。
[合成例23〜27]ベース樹脂の合成
各々のモノマーを組み合わせてTHF中で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成のベース樹脂(ポリマー1〜5)を得た。得られたベース樹脂の組成は1H−NMRにより、Mw及びMw/Mnは溶剤としてTHFを用いたGPCにより確認した。
ポリマー1
Mw=7,900
Mw/Mn=1.97
ポリマー2
Mw=9,000
Mw/Mn=1.98
ポリマー3
Mw=8,300
Mw/Mn=1.76
ポリマー4
Mw=9,000
Mw/Mn=1.98
ポリマー5
Mw=8,400
Mw/Mn=1.91
[実施例1〜26、比較例1〜3]
[1]レジスト材料の調製
合成したベース樹脂を用い、界面活性剤として3M社製界面活性剤のFC−4430を100ppmの濃度で溶解させた溶剤に表1に示される組成で所用成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターでろ過して表1〜3記載のポジ型レジスト材料を調製した。
表1〜3中の各組成は次のとおりである。
酸発生剤:PAG1
クエンチャー:Amine 1、Amine 2、ピバル酸セシウム
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
GBL(γ−ブチロラクトン)
[2]EB描画評価
得られたポジ型レジスト材料を直径6インチφのヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライム処理したSi基板上に、クリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で110℃、60秒間プリベークして70nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL-800Dを用いて、真空チャンバー内、HV電圧50kVでEB描画を行った。
描画後、直ちにクリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上で表2に記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
100nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における100nmLSのLWRをSEMで測定した。
レジスト組成とEB露光における感度、LWRの結果を表4に示す。
表4の結果より、本発明のレジスト材料は、LWRが小さくかつ高感度であることがわかった。一方、比較例のレジスト材料は、感度とラインエッジラフネスが本発明のレジスト材料に比べて大きかった。すなわち、本発明のレジスト材料のように、ベース樹脂として、酸不安定基を含む繰り返し単位と、好ましくは酸発生剤を含む繰り返し単位とを含むポリマーに、炭素数5〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、又は炭素数6〜20のアリール基に結合したα位がフッ素化されたスルホン酸のナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、セシウム、バリウム又はセリウム塩を添加したレジスト材料は、高解像度、高感度で、かつラインエッジラフネスも小さいため、超LSI用レジスト材料、マスクパターン形成材料等として非常に有効に用いることができるといえる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。前記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。