以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の無線通信装置の構成を簡略化して表すブロック図である。この第1実施形態の無線通信装置1は、FDD(周波数分割多重)方式を採用したポイントツーポイントの無線通信方式でもって無線通信する装置である。すなわち、この無線通信装置1が通信する通信相手の無線通信装置7は予め設定(固定)されている。また、無線通信装置1から通信相手である無線通信装置7に信号を送信する際に利用する送信周波数帯と、無線通信装置1が無線通信装置7から信号を受ける際に利用する受信周波数帯とは、互いに異なる周波数帯が予め設定されている。通常、受信周波数帯は複数の領域にチャネルとして区分され、それら区分領域(チャネル)の中から選択されたチャネルが受信チャネルとして利用される。また、送信周波数帯に関しても同様に、送信周波数帯は複数の領域にチャネルとして区分され、それら区分領域(チャネル)の中から選択されたチャネルが送信チャネルとして利用される。なお、受信チャネルは、受信周波数(つまり、受信チャネルの中心周波数)と帯域幅によって設定される。送信チャネルは、送信周波数(つまり、送信チャネルの中心周波数)と帯域幅によって設定される。
この第1実施形態では、無線通信装置1とその通信相手である無線通信装置7は次のような共通の構成を備えている。すなわち、無線通信装置1(無線通信装置7)は、共通の構成として、調査部2と、情報取得部3と、判断部4と、同期部5とを備えている。
調査部2は、予め定められている受信周波数帯の全域に亘り受信信号のノイズレベルを調査する機能を備えている。
情報取得部3は、予め定められた通信相手の無線通信装置7に向けて、調査部2の調査結果に基づいた受信周波数帯のノイズレベル調査情報を送信する機能を備えている。また、情報取得部3は、通信相手の無線通信装置7から送信されてくる受信周波数帯のノイズレベル調査情報を送信周波数帯のノイズレベル調査情報として取得する機能を備えている。
判断部4は、受信信号の品質が予め定められている変更判定状態よりも悪化した場合に、信号の無線通信の基となる通信設定の変更候補を決定する機能を備えている。すなわち、判断部4は、受信周波数帯のノイズレベル調査情報と送信周波数帯のノイズレベル調査情報に基づいて、無線通信による信号の品質を改善すべく、通信設定の変更候補を決定する。なお、信号の品質とは、ここでは、信号が情報をどの程度、正確に伝達できるかを表すものである。例えば信号のノイズレベルの悪化や、伝搬(伝送)に因る信号レベルの減衰量の増加等に起因して信号の品質が悪くなる。また、通信設定としては、例えば、受信チャネルや送信チャネルを設定する中心周波数(受信周波数、送信周波数)やその帯域幅や、信号を送信する際の信号の変調方式などがある。
同期部5は、その通信設定の変更候補を通信相手の無線通信装置7に送信することにより、通信設定の変更に関し通信相手の無線通信装置7との同期を取る機能を備えている。なお、ここでの同期とは、無線通信装置1が通信設定を変更することに応じて無線通信装置7もその無線通信装置1における変更後の通信設定と同じ通信設定に変更し、通信設定を合わせることである。つまり、無線通信装置1,7が通信設定を、FDD方式のポイントツーポイントの無線通信方式でもって無線通信する装置を構成するような無線対向できる送信および受信チャネルを使用して、同じ通信設定となるように変更できればよく、通信設定を変更するタイミングは、時間を合わせたタイミングであってもよいし、時間が多少ずれたタイミングであってもよい。
この第1実施形態の無線通信装置1(7)は、上記のような構成(機能)を備えていることにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、無線通信装置1(7)は、電波状況の変化に起因して無線通信の信号品質が低下し続けることを防止できるという効果を得ることができる。つまり、この第1実施形態の無線通信装置1は、受信信号の品質が予め定められている変更判定状態よりも悪化した場合に、無線通信による信号の品質を改善するために通信設定の変更候補を決定する機能を備えている。その通信設定の変更候補を決定する際に、無線通信装置1は、受信周波数帯の全域のノイズレベル状況だけでなく、通信相手の無線通信装置7から取得した送信周波数帯の全域のノイズレベル状況をも考慮する。これにより、無線通信装置1は、無線通信における信号の品質を改善すべく、受信チャネルだけでなく送信チャネルをも考慮した通信設定の変更候補を決定することができる。
さらに、無線通信装置1は、その通信設定の変更候補を通信相手の無線通信装置7に送信(通知)する機能を備える。これにより、無線通信装置1,7は、通信設定を無線対向できる同じ通信設定に変更できる。つまり、無線通信装置1は、無線通信装置7の通信設定の内容を、当該無線通信装置1における変更後の通信設定に同期させることができる。これにより、無線通信装置1が通信設定を変更した後に無線通信装置7も同時期に通信設定を変更することに起因して無線通信装置1,7の通信設定が異なることにより、無線通信装置1,7間の信号通信が不通(遮断)状態で固定(維持)されてしまうという問題を防止できる。
上記のように、無線通信装置1は、無線通信による信号の品質が悪化した場合に、その信号品質を改善すべく、通信設定を、通信相手の無線通信装置7と共に変更できる。これにより、第1実施形態の無線通信装置1は、電波状況の変化に起因して無線通信の信号品質が低下し続ける事態、および、信号の遮断状態が継続される事態を防止できる。
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
この第2実施形態の無線通信装置は、第1実施形態と同様に、FDD方式を採用したポイントツーポイントの無線通信方式でもって通信相手と通信する無線通信装置である。図2は、第2実施形態の無線通信装置の構成を表したブロック図である。この第2実施形態の無線通信装置20は、記憶部22と、復調部23と、制御部24と、変調部25と、調査部26と、通信部27と、アンテナ28とを有している。この第2実施形態では、ポイントツーポイントの無線通信方式を採用していることから、無線通信装置20の通信相手である無線通信装置50も同様な構成を備えている。なお、無線通信装置20,50は、図2に表される構成を共通の構成として備えているが、それ以外の構成は異なっていてもよい。また、ここでは、主に、無線通信装置20の構成について説明する。
記憶部22は、各種のコンピュータプログラム(プログラム)やデータを記憶する機能を備え、例えば、ハードディスク装置、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、あるいは、それら記憶媒体の組み合わせにより構成される。この第2実施形態では、記憶部22は、設定情報格納部31と、取得情報格納部32と、ノイズ情報格納部33とを備えている。これら設定情報格納部31と、取得情報格納部32と、ノイズ情報格納部33は、不揮発性メモリに設定された記憶領域である。
設定情報格納部31は、無線通信に必要な設定情報が格納される。その設定情報としては、例えば、受信周波数帯と、送信周波数帯と、受信チャネルと、送信チャネルとをそれぞれ表す情報がある。ここでは、受信周波数帯とは、無線通信によって無線通信装置50から送信されてくる信号を無線通信装置20が受信する周波数帯として予め許可されている周波数帯であり、この受信周波数帯としての周波数範囲を表す情報が設定情報格納部31に格納される。また、受信周波数帯を複数に区分けすることにより、受信周波数帯には複数のチャネル(区分領域)が設定される。これら各チャネルの周波数帯(周波数範囲)を表す情報が設定情報格納部31に格納される。さらに、受信周波数帯における複数のチャネルの中から、信号の受信に実際に利用するチャネルとして選択されたチャネルが受信チャネルとして設定される。この受信チャネルを表す情報(例えば、受信チャネルの中心周波数である受信周波数とその帯域幅を表す情報)が設定情報格納部31に格納される。
また、送信周波数帯とは、無線通信装置20が通信相手の無線通信装置50に信号を送信する周波数帯として予め許可されている周波数帯であり、この送信周波数帯としての周波数範囲を表す情報が設定情報格納部31に格納される。また、送信周波数帯を複数に区分けすることにより、送信周波数帯には複数のチャネル(区分領域)が設定される。これら各チャネルの周波数範囲を表す情報が設定情報格納部31に格納される。さらに、送信周波数帯における複数のチャネルの中から、信号の送信に実際に利用するチャネルとして選択されたチャネルが送信チャネルとして設定される。この送信チャネルを表す情報(例えば、送信チャネルの中心周波数である送信周波数とその帯域幅を表す情報)が設定情報格納部31に格納される。なお、この第2実施形態では、受信チャネルの受信周波数と送信チャネルの送信周波数との間隔は、予め定められている。また、受信チャネルの帯域幅は送信チャネルの帯域幅と同じである。
さらに、設定情報格納部31には、複数種の変調方式の情報が格納されている。
さらにまた、設定情報格納部31には、次のような通信設定の情報が格納されている。通信設定とは、無線通信する際に利用される無線通信の基となる設定情報が組み合わされている情報である。この第2実施形態では、通信設定は、受信周波数と送信周波数を含む無線周波数の項目と、受信チャネルおよび送信チャネルの帯域幅の項目と、信号の変調方式の項目との設定項目を含んでいる。設定情報格納部31には、それら無線周波数と帯域幅と変調方式との組み合わせが異なる複数種の通信設定が、優先順位情報が付与された状態で格納されている。例えば、最も望ましい通信設定であると決定された通信設定には、最も高い優先順位が付与される。さらに、その最も高い優先順位の通信設定以外の通信設定を設定しなければならない場合に、その通信設定の設定に関し、次のような要望があるとする。この要望とは、例えば、主に使用すると設定された無線周波数(受信周波数および送信周波数)をできるだけ変更せずに、かつ、単位時間当たりのデータの伝送量(以下、単に、データ伝送量とも記載する)は多い方が好ましいという要望である。このような要望が有る場合には、例えば、無線周波数が同じ、かつ、帯域幅と変調方式のうちの少なくとも変調方式が互いに異なる複数種の通信設定が設定される。そして、それら通信設定のうち、データ伝送量を多くできる通信設定には高い優先順位が付与され、データ伝送量が少ない通信設定にはそれよりも低い優先順位が付与される。なお、無線周波数を変更せずに無線通信による信号品質を改善することが難しい場合が想定される。このことも考慮し、さらに、上記のような主となる無線周波数とは異なる無線周波数を持ち、かつ、帯域幅と変調方式との組み合わせが異なる複数種の通信設定が設定されていてもよい。そして、これら通信設定には、主となる無線周波数を持つ通信設定に付与された優先順位よりも低い優先順位が付与される。さらにまた、無線通信による信号品質の悪化の原因には、例えば、フェージングや降雨等の環境変化や、レーダ等による突発的な電磁波干渉というような複数種の原因があることを考慮し、通信設定には、それら原因毎の優先順位が付与されていてもよい。
さらに、設定情報格納部31には、そのような通信設定の中から実際に使用する通信設定として選択された通信設定の選択情報が格納されている。このように、実際に使用する通信設定の選択情報が不揮発性メモリである設定情報格納部31に格納されている。これにより、予期せぬ事態により、無線通信装置20の機能が停止してしまっても、当該無線通信装置20は、再起動する際に、その格納情報に基づいて、元の状態に復帰することができる。
ノイズ情報格納部33は、受信信号のノイズに関する情報を格納する。その受信信号のノイズに関する情報は、この第2実施形態では、調査部26と制御部24の機能により取得される情報である。
取得情報格納部32は、通信相手の無線通信装置50から送信されてきた受信信号のノイズに関する情報を格納する。
アンテナ28は、予め設定(許可)されている受信周波数帯および送信周波数帯の信号を無線通信(送受信)可能な構成を備えている。通信部27は、アンテナ28により受信された信号を受ける回路構成と、無線通信により送信する信号をアンテナ28に向けて出力する回路構成とを備えている。さらに、通信部27は、帯域透過フィルタ(図示せず)を備えており、アンテナ28が受信した信号の中から、帯域透過フィルタによって、受信チャネルとして設定されている周波数帯の信号を抽出する回路構成を備えている。
調査部26は、通信部27を介して受信周波数帯の全域に亘る受信信号を取り込み、受信周波数帯における受信信号のノイズレベルを取得する機能を備えている。この第2実施形態では、調査部26は、スペクトラムアナライザー機能を有し、これにより、受信周波数帯において受信信号のノイズレベルを連続的に取得することによって、受信周波数帯におけるノイズレベルの周波数分布を得ることができる機能を備えている。さらに、調査部26は、取得したノイズレベルに関する情報をノイズ情報格納部33に格納する機能を備えている。
復調部23は、通信部27の帯域透過フィルタによって抽出された受信チャネルの受信信号を受け取り、この受信信号を搬送波と信号(データ)に分離し信号を取り出す(復調する)回路構成を備えている。その復調方式は、設定情報格納部31に格納されている通信設定の選択情報により表される通信設定(実際に無線通信に利用している通信設定)に含まれている変調方式に基づいて求まる復調方式である。すなわち、この第2実施形態では、通信相手の無線通信装置50から送信されてくる信号の変調方式は、設定情報格納部31に格納されている通信設定の選択情報により表される通信設定に含まれている変調方式と同じである。このため、通信相手の無線通信装置50から受け取った受信信号を復調する方式(復調方式)は、設定情報格納部31に格納されている通信設定の選択情報により表される通信設定に含まれている変調方式に基づいて求めることができる。
この第2実施形態では、復調部23は、さらに、通信部27から受け取った受信信号を復調することにより取り出した信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し当該変換後の信号を出力する構成を備えている。この出力されたデジタル信号は、例えば、インターフェース部(図示せず)を介して他の装置や回路に出力される。また、この第2実施形態では、通信相手の無線通信装置50の制御部24から無線通信装置20の制御部24に向けて信号が送信されてくる構成となっている。その宛先が制御部24である信号が無線通信装置50から送信されてきた場合には、その信号は、復調部23から制御部24に供給される。
さらに、この第2実施形態では、復調部23は、復調された信号のビットエラーを検知する機能を備えている。さらにまた、復調部23は、ビットエラーの発生率が閾値以上であるという変更判定状態であることを検知した場合に、受信信号の品質が悪化したと判断する機能を備え、それを知らせる信号を制御部24に通知する機能を備えている。
変調部25は、無線通信により送信する送信対象の信号を、制御部24によって定められた変調方式でもって変調する回路構成を備えている。変調部25に供給される送信対象の信号は、例えば、他の装置や回路からインターフェース部(図示せず)を介して変調部25に加えられる。また、この第2実施形態では、制御部24からも送信対象の信号が変調部25に加えられる。
この第2実施形態では、変調部25に加えられる送信対象の信号はデジタル信号であり、変調部25は、そのデジタル信号をアナログ信号に変換し当該アナログ信号を変調する機能を備えている。その変調方式は、設定情報格納部31に格納されている通信設定の選択情報により表される通信設定に含まれている変調方式である。変調後の信号は、無線送信用の信号として変調部25から通信部27に出力される。
制御部24は、復調部23と変調部25と通信部27を制御することによって無線通信を制御する機能を備えると共に、無線通信による信号の品質が悪化した場合に、その無線通信の基となる通信設定を変更する機能を備えている。この第2実施形態では、そのような機能を実現するために、制御部24は、機能部として、監視部35と、同期部36と、算出部37と、判断部38と、信号部39とを備えている。なお、この制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備え、CPUが記憶部22から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより、制御部24における上記のような機能が実現される。このように制御部24の機能は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実現される。あるいは、制御部24は、ハードウェアのみにより構成されてもよい。
算出部37は、調査部26により得られた受信周波数帯のノイズレベル状況に基づいて、受信周波数帯の各チャネルにおけるノイズレベルのピーク値と平均値を算出する機能を備えている。なお、ここでは、算出部37が算出するノイズレベルのピーク値と平均値は、予め設定された時間分のノイズレベル状況を利用して算出される。算出部37は、さらに、その算出結果を受信周波数帯のノイズレベル調査情報としてノイズ情報格納部33に格納する機能を備えている。
さらに、算出部37は、算出結果(チャネル毎のピーク値と平均値)を受信周波数帯のノイズレベル調査情報として、変調部25と通信部27とアンテナ28を順に介して無線通信装置50に送信する機能を備えている。この第2実施形態では、上記のように、調査部26により得られた受信周波数帯の全域に亘るノイズレベルの情報は、算出部37により加工された後に、受信周波数帯のノイズレベル調査情報として通信相手の無線通信装置50に送信される。
監視部35は、通信相手の無線通信装置50から送信されてくる受信周波数帯のノイズレベル調査情報を送信周波数帯のノイズレベル調査情報として受け取る機能を備えている。さらに、監視部35は、その受け取った情報を送信周波数帯のノイズレベル調査情報として取得情報格納部32に格納する機能を備えている。
この第2実施形態では、監視部35および算出部37によって、情報取得部(つまり、受信周波数帯のノイズレベル調査情報を通信相手に送信する機能と、送信周波数帯のノイズレベル調査情報を通信相手から受け取る機能とを持つ機能部)が構成される。このような監視部35と算出部37によって、無線通信装置20,50は、無線通信装置20,50間の無線通信で利用する周波数帯域全域のノイズレベル状況を常時取得(監視)している。
判断部38は、復調部23から、受信信号の品質が悪化していることを知らせる信号を予め設定された時間に亘り連続して受けた場合に、無線通信の信号品質を改善するために、前述したような通信設定を変更する必要があると判断する機能を備えている。
さらに、判断部38は、ノイズ情報格納部33における受信周波数帯のノイズレベル調査情報と、取得情報格納部32における送信周波数帯のノイズレベル調査情報とに基づいて、通信設定の変更候補を決定する機能を備えている。
この第2実施形態では、前記の如く、設定情報格納部31には、無線周波数と帯域幅と変調方式との組み合わせが異なる複数種の通信設定が、優先順位情報が付与された状態で格納されている。判断部38は、通信設定の変更候補を決定する場合には、優先順位の高い通信設定から順に、受信周波数帯および送信周波数帯のノイズレベル状況に基づいて、通信設定の変更候補として採用するか否かを判断する。そして、判断部38は、通信設定の変更候補として採用すると判断した通信設定を、通信設定の変更候補として決定する。
なお、通信設定に信号品質の悪化の原因毎の優先順位情報が付与されている場合には、判断部38は、ノイズレベル状況に基づいて信号品質の悪化の原因を判定し、この原因に応じた通信設定の優先順位情報に基づき前記同様に通信設定の変更候補を決定する。つまり、図4(a)は、レーダなどの突発的な電磁波干渉を受けたことに因り悪化したノイズレベルを実線Aにより表す図である。この場合には、ノイズレベルは、一部の周波数において突発的に悪化している。一方、図4(b)は、降雨等の自然現象に因り悪化したノイズレベルを実線Aにより表す図である。この場合には、ノイズレベルは、周波数によらずに全体的に悪化している。このように、ノイズレベルの悪化の原因によってノイズレベルのパターンが異なる。このことから、無線通信装置20には、ノイズレベルの悪化の原因を識別する情報(原因識別情報)と、その原因により悪化したノイズレベルのパターンとが関連付けられているデータが与えられる。判断部38は、そのデータと、ノイズレベルの調査情報とに基づいて、信号品質の悪化の原因を判定する。前述したような原因毎の優先順位は原因識別情報に関連付けられており、判断部38は、判定した悪化の原因に応じた原因識別情報と、それに応じた原因毎の優先順位とを利用して、前記同様に、通信設定の変更候補を決定する。
ここで、通信設定の変更に関わる具体例を説明する。図3(a)〜(c)は、周波数と、ノイズレベルと、ノイズの悪影響を受けずに通信可能なデータ伝送量との関係を模式的に表す図である。図3(a)〜(c)において、横軸は周波数を表している。また、縦軸はノイズレベルを表し、数値が大きくなるに従ってノイズレベルが高くなっている(悪化している)状況を表す。また、実線Aは、ノイズレベルの周波数分布を表している。さらに、四角形状のブロックBはその面積により、データ伝送量を表している。さらに、このブロックBと実線Aが重なっている状態は、無線通信の信号がノイズの影響を受け、予め求められている信号品質を得ることができない状態を表す。
この例では、無線通信装置20から無線通信装置50に信号を送信する送信周波数帯F1と、無線通信装置50から無線通信装置20が信号を受信する受信周波数帯F2とは、それぞれ、7つのチャネルに区分されている。ここでは、便器上、それらチャネルには、周波数の低い帯域から順番に、CH1〜CH14の名称が付与されている。
図3(a)に表されている状態は、送信周波数帯F1および受信周波数帯F2の全域において、ノイズレベルがレベル0以下である良好な状態である。また、無線通信装置20から信号を送信する送信チャネルとしてチャネルCH1が設定され、無線通信装置20が信号を受信する受信チャネルとしてチャネルCH8が設定されている。この場合には、無線対向する無線通信装置50が送信チャネルとしてチャネルCH8が設定され、信号を受信する受信チャネルとしてチャネルCH1が設定されている。さらに、無線通信装置20,50が信号を送信する際の変調方式は、1つのチャネル分の周波数帯域で、図3(a)に表される3ブロック分の信号(データ)量を伝送可能な変調方式が設定されている。例えば、このような変調方式として、256QAM(Quadrature Amplitude Modulation;直角位相振幅変調)がある。なお、そのような変調方式をここでは説明を容易にするために変調方式S1とも記載する。
このような状態から無線通信装置20の周囲の電波状況が変化して、ノイズレベル状況が図3(b)に表される実線Aのように悪くなる方向に変化したとする。このような場合に、チャネルCH1,CH8を利用し、かつ、変調方式S1でもって信号の無線通信を継続しようとすると、CH1による無線通信はノイズの悪影響を受けてビットエラーが生じ、良好な信号品質を維持できない。そこで、無線通信装置20は、通信設定を変更することにより、信号品質の改善を図ることになる。
図3(b)では、各チャネルにおいて、ノイズの悪影響を受けずに通信することができる信号(データ)量がブロックBにより表されている。例えば、変調方式S1を変更せずに、受信チャネルおよび送信チャネルの変更によって通信品質の改善を図るとする。この場合、送信チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2(3ブロック分の信号(データ)量を1つのチャネルで良好に送信可能なチャネル)に変更すると仮定する。この送信チャネルの変更により、無線通信装置20から無線通信装置50に信号を送信する場合の信号品質は改善する。しかしながら、送信チャネルと受信チャネル間の間隔(中心周波数間の間隔)は予め定められていることから、送信チャネルを変化させたことにより、受信チャネルも変更する必要が有る。このため、送信チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2に変更すると、受信チャネルもチャネルCH8からチャネルCH9に変更する必要が有る。しかし、受信チャネルCH9でもって、3ブロック分の信号(データ)量の信号を通信しようとすると、ノイズの悪影響によって信号品質が大幅に悪化するという問題が発生する。このことから、送信チャネルをチャネルCH1からチャネルCH2に変更することは好ましくない。そこで、送信チャネルをチャネルCH2ではなくチャネルCH5に変更し、かつ、受信チャネルはチャネルCH8からチャネルCH12に変更すると仮定する。この場合には、変更後の送信チャネルおよび受信チャネルの両方において、無線通信による良好な信号品質を得ることができる。
また、変調方式を変更せずに送信チャネルおよび受信チャネルの周波数変更により無線通信による信号品質を改善する手法に代えて、例えば変調方式を変更することにより信号品質の改善を図ることができる。例えば、データ伝送量を減少することなく、受信チャネルあるいは送信チャネルの帯域幅を変更することによって無線通信による信号品質を改善する変調方式(便宜上、変調方式S2とも記載する)に変更することが考えられる。この場合には、例えば、図3(c)におけるα部分のように、3つのチャネルCH1〜CH3が送信チャネルとして設定され、3つのチャネルCH8〜CH10が受信チャネルとして設定される。この場合においても、変更後の送信チャネルおよび受信チャネルの両方において、データ伝送量を減少させることなく無線通信による良好な信号品質を得ることができる。
判断部38は、上記のように信号品質を改善する通信設定の変更候補を決定すると、その変更候補と、通信設定の変更を要求するリクエストとを同期部36に出力する機能を備えている。それら変更候補とリクエストは、同期部36の機能によって、変調部25と通信部27とアンテナ28を順に介して無線通信装置50に向けて送信される。
さらに、判断部38は、無線通信装置50から、変更候補と、通信設定の変更を要求するリクエストを受け取った場合には、通信設定をその変更候補に変更した場合における信号品質を検証する機能を備えている。この検証には、判断部38は、ノイズ情報格納部33における受信周波数帯のノイズレベル調査情報と、取得情報格納部32におけるノイズレベル調査情報とを利用する。そして、この検証により、判断部38は、変更候補を採用しても信号品質は悪化しないので当該変更候補を採用すると判断した場合には、そのことを表す通知(合意通知)を同期部36を介し無線通信装置50に返信する機能を備えている。
さらに、判断部38は、無線通信装置50の判断部38から同期部36を介し合意通知が返信されてきたことを検知した場合には、通信設定を、決定した変更候補の内容に変更することにより信号の品質を改善できることを再確認する機能を備えている。そして、判断部38は、再確認できた場合に、変更候補の内容を通信設定の変更内容として確定し信号部39に出力する機能を備えている。また、判断部38は、記憶部22に格納されている情報の一部を通信設定の変更に合わせて変更する機能を備えている。
さらにまた、判断部38は、合意通知を送信した場合には、その後に、その合意通知を送信してからの経過時間が予め設定された監視期間を越えたか否かを判断する機能を備えている。さらに、判断部38は、その経過時間が監視期間を越える前に通信相手からの信号を受信しなくなったこと(信号遮断)を検知した場合に、通信相手が通信設定を変更したと判断し、通信設定を、受け取った変更候補の内容に変更する機能を備えている。
信号部39は、判断部38から受け取った通信設定の変更内容に基づいて、信号の無線通信に関する設定を変更する機能を備えている。つまり、信号部39は、周波数部41と、帯域部42と、方式部43とを備えている。
周波数部41は、信号を送信する際に利用する送信チャネルの送信周波数(中心周波数)と、信号を受信する際に利用する受信チャネルの受信周波数(中心周波数)を通信部27に向けて送信する機能を備えている。帯域部42は、通信部27に向けて帯域幅の情報を送信する機能を備えている。このような周波数部41と帯域部42によって、受信チャネルと送信チャネルが変更される。
方式部43は、変調方式を変更する機能を備えている。さらに、方式部43は、変調方式に関連して定まる復調方式をも変更する機能を備えている。
同期部36は、判断部38と、通信相手の無線通信装置50における判断部38との情報のやりとりに関わる中継機能を備えている。つまり、同期部36は、無線通信装置20,50間の無線通信における通信設定の変更に関し、同期を取るために機能している。なお、ここでの同期とは、第1実施形態でも述べたと同様に、無線通信装置20が通信設定を変更することに応じて無線通信装置50もその無線通信装置20における変更後の通信設定と同じ通信設定に変更し、通信設定を合わせることである。つまり、無線通信装置20,50が通信設定を同じ通信設定となるように変更できればよく、通信設定を変更するタイミングは、時間を合わせたタイミングであってもよいし、時間が多少ずれたタイミングであってもよい。
以下に、第2実施形態における無線通信装置20の通信設定変更の動作例を図5を利用して説明する。なお、図5は、無線通信装置20,50が通信設定を変更する動作の一例を表すフローチャートである。
無線通信装置20,50は、調査部26と制御部24(算出部37と監視部35)によって、常時、受信周波数帯および送信周波数帯のノイズレベル状況を監視する(ステップS101)。このノイズレベル状況の監視動作により実行される無線通信装置20,50間の無線通信で使用するチャネルは、例えば、図3(a)に表されるチャネルCH1,CH8とする。
無線通信装置20の周囲の電波状況が変化したことにより、無線通信装置20の受信信号の品質が悪化したとする。この受信信号の品質悪化を無線通信装置20の復調部23が検知し(ステップS102)、これにより、判断部38もその受信信号の品質悪化を検知する。そして、判断部38が通信設定の変更候補を決定する(ステップS103)。この変更候補の決定は、受信周波数帯および送信周波数帯のノイズレベル調査情報と、設定情報格納部31に格納されている通信設定の情報およびその優先順位情報とを利用し、前記の如く行われる。この際に、受信信号悪化の原因毎の優先順位が通信設定に付与されている場合には、判断部38は、受信信号悪化の原因をも考慮して通信設定の変更候補を決定する。
その後、判断部38は、その変更候補および通信設定変更のリクエストを同期部36に出力し、同期部36が変更候補および通信設定変更のリクエストを通信相手の無線通信装置50に送信する。
無線通信装置50の判断部38は、その変更候補を受け取ると、当該変更候補を検証する(ステップS104)。これにより、無線通信装置50の判断部38は、通信設定を変更候補の内容に変更しても信号品質の悪化が無いと判断すると、合意通知を無線通信装置20に返信する。
無線通信装置20の判断部38は、同期部36を介して合意通知を受け取ったことにより、通信相手の無線通信装置50が通信設定を変更候補の内容に変更することに合意したことを確認する(ステップS105)。そして、判断部38は、その変更候補を新たな通信設定として確定(変更)し(ステップS106)、当該通信設定の内容を信号部39に出力する。これにより、信号部39が、その変更後の通信設定に応じて通信部27と復調部23と変調部25を制御し、無線通信状態(通信設定である受信チャネル、送信チャネル、帯域幅、変調方式)が変更される。
このように無線通信装置20の通信設定が変更され、例えば、無線通信装置20から無線通信装置50への信号送信に使用する送信チャネルがチャネルCH1からチャネルCH5に変更になると、無線通信装置50は、無線通信装置20からの信号を受信できなくなる。無線通信装置50が、無線通信装置20からの信号を受信できなくなったこと(信号遮断)を検知すると(ステップS107)、無線通信装置50の判断部38は、通信設定を、無線通信装置20から受け取った変更候補の内容に変更する(ステップS108)。これにより、無線通信装置50は、チャネルCH8からチャネルCH12に変更して信号を送信する。無線通信装置20は、その信号を受信し、当該受信信号に基づいて信号品質が改善していることを確認する(ステップS109)。
このように、無線通信装置20,50は、通信設定を変更することにより、信号品質を維持しながら無線通信を継続することができる。換言すれば、無線通信装置20,50は、信号品質の低下により、無線通信の遮断状態が継続してしまう事態を回避できる。
ここで、さらに通信設定の変更における具体例を説明する。すなわち、図6は、図4(a)、(b)に表されるようなノイズレベルの悪化に起因して変更した通信設定の具体例を説明する図である。この具体例は、無線周波数(受信周波数と送信周波数)が規制されており、無線周波数は変更できない場合における通信設定の変更の具体例である。また、帯域幅は、チャネル単位で可変調整されるとする。図6では、図3と同様に、実線Aはノイズレベルを表し、ブロックBはデータ伝送量を表している。また、実線AとブロックBが重なってしまう状態は、信号がノイズの悪影響を受け、予め求められている信号品質を得ることができない状態であるとする。
まず、図6(a)に表されるように、無線周波数は周波数fmであり、受信チャネルと送信チャネルの各帯域幅は4つのチャネル分であるとする。また、データ伝送量は16このブロック分であるとする。このような通信設定である場合に、例えば、突発的な電磁波干渉を受け、図6(b)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況になったとする。ここでは、無線周波数を変更できないので、図6(b)におけるブロックBに表されるように通信設定を変更することによって、無線通信による信号品質の改善を図ることができる。つまり、その変更後の通信設定では、無線周波数は変更せず、帯域幅は2つのチャネル分であり、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量が4つのブロック分となる変調方式となっている。
さらに、図6(c)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況に悪化したとする。ここでは、チャネル単位で帯域幅が設定されるので、図6(b)に表される状態は、無線周波数だけでなく、帯域幅も変更できない状態である。このことから、図6(c)におけるブロックBに表されるように通信設定を変更することによって、無線通信による信号品質の改善を図ることになる。つまり、その変更後の通信設定では、無線周波数および帯域幅は変更せず、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量が3つのブロック分となる変調方式となっている。
さらにまた、図6(d)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況に悪化したとする。この場合には、さらに通信設定を図6(d)におけるブロックBに表されるように通信設定を変更することによって、無線通信による信号品質の改善を図る。つまり、その変更後の通信設定では、無線周波数および帯域幅は変更せず、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量が2つのブロック分となる変調方式となっている。
また、図6(a)に表される状態から、例えば、降雨によって、図6(e)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況になったとする。この場合には、例えば、図6(e)におけるブロックBのように、無線周波数および帯域幅は変更せず、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量が3つのブロック分となる変調方式を持つ通信設定に変更することによって、信号品質の改善を図る。
さらに、図6(f)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況に悪化したとする。この場合には、図6(f)におけるブロックBのように、無線周波数および帯域幅は変更せず、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量がさらに少ない2つのブロック分となる変調方式を持つ通信設定に変更することによって、信号品質の改善を図る。
さらにまた、図6(g)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況に悪化したとする。この場合には、図6(f)におけるブロックBのように、無線周波数および帯域幅は変更せず、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量が1つのブロック分となる変調方式を持つ通信設定に変更することによって、信号品質の改善を図る。
さらに、図6(g)に表されるように降雨等によりノイズレベル状況に悪化している場合に、突発的な電磁波干渉を受け、図6(h)における実線Aに表されるようなノイズレベル状況に悪化したとする。この場合には、図6(h)におけるブロックBに表されるように通信設定を変更することによって、無線通信による信号品質の改善を図る。つまり、その変更後の通信設定では、無線周波数は変更せず、帯域幅は2つのチャネル分に狭くし、かつ、1つのチャネルにおけるデータ伝送量が1つのブロック分となる変調方式となっている。
第2実施形態の無線通信装置20,50は、無線通信の基となる通信設定に関し交信することによって、互いに同じ通信設定の内容であって、かつ、ノイズレベル状況に応じた、無線通信を継続できる上記のような通信設定の内容に柔軟に変更できる。
<第3実施形態>
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。なお、この第3実施形態の説明において、第2実施形態と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
前述した第2実施形態では、調査部26は、スペクトラムアナライザー機能を有し、これにより、受信周波数帯において受信信号のノイズレベルを連続的に取得している。これに対し、この第3実施形態では、調査部26は、受信周波数帯において、予め定められた周波数間隔毎に、受信信号のノイズレベルを調査(サンプリング)する機能を備えている。具体的には、例えば、調査部26は、図7(a)に表されているような受信周波数帯F2における各チャネルCH8〜CH14の中心周波数における受信信号のノイズレベルSを取得する。あるいは、調査部26は、図7(b)に表されているような受信周波数帯F2における各チャネルCH8〜CH14の帯域端における受信信号のノイズレベルSを取得してもよい。さらに、調査部26は、図7(c)に表されているような受信周波数帯F2における各チャネルCH8〜CH14の中心周波数および帯域端(図中の縦線(点線)の周波数位置)における受信信号のノイズレベルSを取得してもよい。この場合については、換言すれば、ノイズレベルを調査する分解能は、1つのチャネルの帯域幅の3分の1程度の精度であると言える。具体的には、1つのチャネルの帯域幅が30MHzである場合には、ノイズレベルを調査する分解能としては10MHzが設定される。
このように、受信信号のノイズレベルを間欠的に取得(サンプリング)する周波数の位置は適宜設定してよい。ただ、ノイズレベルをサンプリングする周波数の位置が多くなるに従ってノイズレベル状況の調査の精度を高めることができる。このことから、判断部38による変更後の通信設定をより良くノイズレベル状況に合ったものとするためには、ノイズレベルをサンプリングする周波数の位置(ノイズレベルのサンプリング数)は多い方が好ましい。しかしながら、ノイズレベルのサンプリング数が多くなると、ノイズレベルのサンプリング値を処理する処理時間が長くなる。すなわち、ノイズレベルのサンプリング数(ノイズレベルを取得する周波数の位置)は、ノイズレベル状況の調査の精度と、処理時間と、例えば無線通信装置の想定されている使用形態とを考慮し、適宜に設定される。
第3実施形態の無線通信装置20における調査部26以外の構成は、第2実施形態の無線通信装置20の構成と同様であり、ここでは、その説明は省略する。
なお、第2実施形態では、算出部37によって、調査部26により取得された受信信号の各チャネルにおける予め設定された時間分のノイズレベルのピーク値と平均値が算出され、当該算出結果が受信周波数帯のノイズレベル調査情報として利用されている。この第3実施形態においても、算出部37が第2実施形態と同様の算出動作を実行し、当該算出部37による算出結果を受信周波数帯のノイズレベル調査情報として利用してもよい。あるいは、それに代えて、算出部37を省略し、調査部26による調査結果をそのまま受信周波数帯のノイズレベル調査情報としてもよい。
この第3実施形態では、調査部26は、受信周波数帯における受信信号のノイズレベルを予め定められた周波数間隔毎に調査する。このため、第3実施形態の無線通信装置20は、受信信号のノイズレベルを連続的に調査する場合に比べて、受信信号のノイズレベルの調査に要する時間の短縮化を図ることができる。これにより、第3実施形態の無線通信装置20は、受信信号のノイズレベル状況の悪化により無線通信による信号の品質が低下してから当該品質を改善するために通信設定を変更するまでの時間を短く(制御の応答性を早く)することができる。
<その他の実施形態>
なお、この発明は第1〜第3の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第2実施形態では、復調部23が、受信信号のビットエラー発生率を利用することにより、信号品質の低下を検知している。これに代えて、例えば、復調部23は、受信信号のSN(Signal-to-Noise)比を利用することにより、信号品質の低下を検知してもよい。あるいは、復調部23は、ビットエラー発生率およびSN比を利用することにより、信号品質の低下を検知してもよい。
また、図6に表される通信設定を変更する具体例では、受信チャネルや送信チャネルの帯域幅は、2つのチャネル分(予め定められた区分領域(チャネル)の2つ分の帯域幅)、4つのチャネル分というように、偶数個のチャネル(区分領域)分に応じた帯域幅である。これに代えて、例えば、受信チャネルや送信チャネルの帯域幅は、1つのチャネル分、3つのチャネル分というように、奇数個のチャネル分に応じた帯域幅であってもよい。図8には、その具体例が表されている。つまり、図8(a)では、無線周波数は周波数fnであり、受信チャネルと送信チャネルの各帯域幅は1つのチャネル分である。また、データ伝送量は3つのブロック分となっている。このような通信設定でもって無線通信を行っている場合に、図8(b)における実線Aあるいは鎖線aのようなノイズレベル状況に悪化したとする。この場合には、図8(b)におけるブロックBに表されるような通信設定に変更することによって、無線通信による信号品質を改善することができる。その変更後の通信設定では、無線周波数は周波数fnであり、帯域幅は3つのチャネル分である。また、変調方式は、そのような送信チャンネルにおいてデータ伝送量が3つのブロック分となる変調方式となっている。
さらにまた、受信チャネルの帯域幅は、図9(a)に表されるような奇数個のチャネル分から図9(b)に表されるような偶数個のチャネル分に、またその逆に、帯域幅は、偶数個のチャネル分から奇数個のチャネル分に変更してもよい。
さらに、第2又は第3の実施形態に加えて、無線通信装置20,50は、例えば図2の点線に表されるような外部情報取得部45を備えていてもよい。例えば、外部情報取得部45は、標準電波(国家標準あるいは国際標準としての標準時の情報を含む電波)を受信し、当該受信電波に含まれている標準時の情報を取得する機能を備えていてもよい。この場合には、例えば、無線通信装置20,50は、通信設定だけでなく、当該通信設定を変更する変更時刻情報をもやり取りし、当該変更時刻情報と、標準時の情報に基づいた時刻情報とに基づいて、通信設定を変更する時間を同期させてもよい。
また、外部情報取得部45は、無線通信装置20,50が設置されている周囲環境の状況を表す情報(例えば湿度など)を取得する機能を備えていてもよい。この場合には、例えば、無線通信装置20,50は、湿度の上昇傾向等によって雨の降り出し時刻を予想する機能をさらに備える。さらにまた、無線通信装置20,50は、雨の降り出し時に適切と想定される通信設定の情報が予め定められて格納されているとする。無線通信装置20,50は、雨の降り出し時刻が予想された場合には、その時刻の情報と、雨の降り出しに応じた通信設定の情報とを同期させるために交信する。これにより、無線通信装置20,50は、その雨の降り出しを予想した時刻に、通信設定を同期して変更する構成としてもよい。
さらに、前記各実施形態では、受信周波数帯と送信周波数帯が規定されているが、それら規定の周波数帯域がより広い場合にも本発明は適用可能である。この場合には、次のように通信設定を変更することができる。つまり、図10は、通信設定の変更に関わる具体例を説明する図である。この図10に表される具体例では、例えば、無線周波数が周波数faであり、受信チャネルと送信チャネルの各帯域幅が2つのチャネル分であり、データ伝送量が4つのブロック分であるという通信設定でもって、無線通信装置20が無線通信を行っているとする。この場合に、電波状況の変化により無線通信の信号品質が悪化したことに因り、通信設定を変更する必要が生じたとする。ここでは、使用可能な周波数帯についての規制が緩いことから、無線周波数を例えば周波数fbや周波数fc等に適宜に変更することによって、無線通信状態の回復を図ることができる。つまり、受信チャネルと送信チャネルの各帯域幅が2つのチャネル分であり、データ伝送量が4つのブロック分であるという設定を変更することなく(例えば、変調方式は変更せずに)、無線通信状態を回復することが可能である。