JP6615311B2 - 流体が流れるコリオリ式流量計の左側固有ベクトルを求める方法 - Google Patents

流体が流れるコリオリ式流量計の左側固有ベクトルを求める方法 Download PDF

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Description

本発明は流量計に関するものであり、とくにコリオリ式流量計に関するものである。
流体を搬送するチューブを正弦波運動させ、チューブ上の2つ以上の部位における振動応答の間の時間遅延(または位相角)を測定することにより、コリオリ式流量計により質量流用が測定される。実際の状況では、時間遅延は、質量流量に対して直線的に変化するものの、質量流量が零の時に零でないのが一般的である。たとえば、装置電子機器には、非比例減衰、残留柔軟性応答、電磁気的クロストークまたは位相遅延の如き複数の要因により起こされるゼロ流量遅延またはゼロ流量オフセットが一般的に存在する。
このゼロ流量オフセットは、通常、ゼロ流量状態においてゼロ流量オフセットを測定し、流れのある間に測定される次の測定結果からゼロ流量オフセット測定値を減算することにより補正される。ゼロ流量オフセットが一定のままならば、ゼロ流量オフセット問題の解決にはこれで十分のはずである。しかしながら残念なことには、ゼロ流量オフセットは、周囲環境(たとえば、温度)の僅かな変化によりまたは物質が流れる配管システムの変化により影響を受ける恐れがある。ゼロ流量オフセットが変化すると流量測定値に誤差を生じさせてしまう。正常動作時、流れのない状態と流れのない状態との間に長い期間があり、これらの流れのない状態においてのみ流量計をゼロに設定して流量計を較正することができる。したがって、ゼロオフセットが時間の経過とともに変化してしまうと、流量測定結果に大きな誤差が生じてしまう恐れがある。
コリオリ式流量計の動作は数式を用いて説明することができる。このことについてはMicro Motion Inc.社に付与された米国特許第7,441,469号および同第7,706,987号にさらに詳細に記載されている。これらの特許はここで参照することにより援用するものとする。線形システムの運動を説明する一般1次微分方程式系(general system of first order differential equations)は次の通りである:
Figure 0006615311
式(1)において、MおよびKは系の質量マトリックスおよび剛性マトリックスであり、Cは減衰に起因する対称な構成要素およびコリオリ力に起因する歪対称な構成要素を有しうる一般減衰マトリックスである。
Figure 0006615311
式1は式2に書き直すことができる。式2において、Aはマトリックス
Figure 0006615311
と等しく、Bはマトリックス
Figure 0006615311
と等しく、uは
Figure 0006615311
と等しい。
式1および式2に目を向けると、この運動方程式についての洞察を得ることができる。式(2)に関連する一般固有値問題は、右側固有ベクトル、φ(r)についての次のような解を得ることができる:
Figure 0006615311
AマトリックスおよびBマトリックスが対称な場合、固有ベクトルを用いて運動方程式を対角化(diagonize)または分離(decouple)させることができる。分離後の方程式は容易に解くことができる。例えばCがコリオリマトリックスを含む非対称なシステムの場合、右側固有ベクトルは運動方程式を対角化せず、結合方程式が得られる。結合方程式は解くのがより困難であり、解を求める妨げとなる。非対称なAマトリックスまたはBマトリックスを対角化するには左側固有ベクトルが必要となる。次の導出はこの過程を示したものである。左側固有ベクトルは次の一般化された固有値問題の解を求めることにより得られる:
Figure 0006615311
コリオリ式流量計の場合、MおよびKは通常対称である。流れがない場合、Cも対称であるので、システムマトリックスAおよびBは対称となる。この場合、式(3)および式(4)は同一であり、左側固有ベクトルは右側固有ベクトルと同じである。流れがある場合、Cマトリックスに付随する非対称性により左側固有ベクトルは右側固有ベクトルとは異なるものとなる。
j’番目の右側固有ベクトルを検討すると:
Figure 0006615311
また、i’番目の左側固有ベクトルを検討すると;
Figure 0006615311
式(5)を
Figure 0006615311
で前から乗算(pre−multiply)し、式(6)を
Figure 0006615311
で後から乗算(post−multiply)し、両者の差を計算すると、次の式が得られる:
Figure 0006615311
式(5)を1/λjで乗算し、式(6)を1/λiで乗算し、同じ手順を行うことにより,次の式が得られる:
Figure 0006615311
式(7)および式(8)は、システムマトリックスAまたはBに左側固有ベクトルマトリックスΦ(L)を前乗算し、右側固有ベクトルマトリックスΦ(R)を後乗算することにより、システムマトリックスが対角化されることを示している。すなわち次の式が得られる:
Figure 0006615311
左側固有ベクトルマトリックスおよび右側固有ベクトルマトリックスがシステムマトリックスを対角化するという事実は、一組の右側固有ベクトルおよび一組の左側固有ベクトルトの両方が一次独立であることを意味する。いずれの組でも応答の座標系の基底として用いることができる。左側固有ベクトルと右側固有ベクトルとの間の差が歪対称を有するコリオリマトリックスに起因するということを認識することが本発明の1つの基礎をなしている。
流量計の数学モデルに関しては、非コリオリ効果をモデル化する質量マトリックス、剛性マトリックスおよび減衰マトリックスは対称である。流れのないシステムの場合、左側固有ベクトルおよび右側固有ベクトルは同一である(任意の倍率内では)。しかしながら、流れに付随するコリオリ力は、数学モデルでは歪対称減衰行列となって現れる(転置行列が元のマトリックスに負の符号を付けたものとなる)。歪対称コリオリマトリックスによりシステムの左側固有ベクトルと右側固有ベクトルとを異ならせる。非比例減衰のない流れシステムの場合、左側固有ベクトルの様々な係数間の相対位相は右側固有ベクトルの同じ係数間の相対位相と大きさが等しく、符号が反対である。非比例減衰を有するシステムの場合、これらの位相値は左側固有ベクトルおよび右側固有ベクトルの両方について等しくオフセットされるが、差は同じままである。
以上のように、左側固有ベクトルおよび右側固有ベクトルの位相特性を正確に測定することができる場合、この特性は、非比例減衰からのゼロオフセットに起因する位相と物質流れに起因する位相とを区別し、付随するゼロオフセット誤差をなくすことを可能とする。したがって、流動時にゼロ流量オフセットを正確に較正するためのシステムおよび方法が必要とされている。
フローチューブの振動モードを励振しながらフローチューブに物質を投入することを含む方法が提供されている。フローチューブの振動モードを励振することは、第一のドライバを第一の信号で周期的に駆動させるステップと、第二のドライバを第二の信号で周期的に駆動させるステップとを含み、第二のドライバが第一のドライバと実質的に同位相で駆動され、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する。加えて、フローチューブの振動モードを励振することは、第一のピックオフと第二のピックオフとの間の相対位相を測定するステップと、 フローチューブの右側固有ベクトルの相対位相を求めるステップとを含む。
フローチューブを振動モードで周期的に励振させながら、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達するように、フローチューブに物質を流すことを含む方法が提供されている。かかる方法は、振動するフローチューブの相対運動を測定するステップと、フローチューブの振動モードを励振しながら右側固有ベクトルの相対位相を測定するステップと、ゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いてフローチューブを流れる物質の流量を求めるステップとをさらに含んでいる。フローチューブの左側固有ベクトルの相対位相を用いてフローチューブを流れる物質の流れを止めることなく新たなゼロオフセットがさらに求められる。加えて、新たなゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いてフローチューブを流れる物質の流量がさらに求められる。
1つ以上のフローチューブと、第一のピックオフセンサーおよび第二のピックオフセンサーと、1つ以上のフローチューブを振動させるように構成される第一のドライバおよび第二のドライバとを有する流量計組立体を備える振動式流量計が提供されている。メーター電子機器が、第一のピックオフセンサーおよび第二のピックオフセンサーと結合され、さらに、第一のドライバおよび第二のドライバと結合されている。このメーター電子機器は、第一のドライバに第一の信号を提供し、第二のドライバに第二の信号を供給するように構成され、第二のドライバと第一のドライバとは実質的に同位相で駆動され、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達するようになっている。また、メーター電子機器は、第一のピックオフと第二のピックオフとの間の相対位相を測定し、フローチューブの右側固有ベクトルの相対位相を求めるようにさらに構成されている。
態様
ある態様によれば、ある実施形態にかかる方法は、フローチューブの振動モードを励振しながらフローチューブ内に物質を投入することであって、フローチューブの振動モードを励振することが、第一のドライバを第一の信号で周期的に駆動させるステップと、第二のドライバを第二の信号で周期的に駆動するステップとを含み、第二のドライバが第一のドライバと実質的に同位相で駆動され、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する、物質を投入することと、第一のピックオフと第二のピックオフとの間の相対位相を測定することと、フローチューブの右側固有ベクトルの相対位相を求めることとを含んでいる。
好ましくは、かかる方法は、第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトを測定することと、第一の信号をある位相シフトだけオフセットさせることと、周波数シフトを実質的に検出できなくなるまで第一の信号のオフセットを調節することと、周波数シフトを実質的に検出できなくするのに必要な第一の信号のオフセットから左側固有ベクトル係数の相対位相を求めることとをさらに含んでいる。
好ましくは、フローチューブを流れる物質の実際の流量を求めるステップは、右側固有ベクトルの相対位相を用いてフローチューブを流れる物質の補正前流量を求めることと、補正前流量を実際の流量と比較することによりフローチューブを流れる物質の流量のゼロオフセットを求めることとをさらに含んでいる。
好ましくは、かかる方法は、ゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いてフローチューブを流れる物質の流量を求めることをさらに含んでいる。
好ましくは、かかる方法は、右側固有ベクトルの相対位相を求めることと、右側固有ベクトルの相対位相を左側固有ベクトルの相対位相で重み付け平均することにより、フローチューブを流れる物質の流量のゼロオフセットを求めることをさらに含んでいる。
好ましくは、かかる方法は、ドライバの切り換えにより引き起こされる周波数シフトを推定することと、周波数シフトを流量と関連付けすることとをさらに含んでいる。
好ましくは、この周波数シフトは、周波数変調二次無限インパルス応答適応ノッチフィルタで推定される。
好ましくは、かかる方法は、メーター電子機器にノッチフィルタ先鋭度(α)パラメータを入力することと、メーター電子機器にノッチフィルタ変調周波数(fm)パラメータを入力することと、ノッチフィルタ変調周波数(fm)パラメータおよびノッチフィルタ先鋭度(α)パラメータに基づいてノッチフィルタ適応率(λ)パラメータを求めることと、適応ノッチフィルタにピックオフ信号を入力することとを含んでいる。周波数変調二次無限インパルス応答適応ノッチフィルタはフィルタ出力を最小化するように適応される中心周波数を有している。
好ましくは、周波数変調二次無限インパルス応答適応ノッチフィルタの出力は切り換え周波数で復調される。
好ましくは、かかる方法は、第一のドライバを第一のピックオフセンサーと並置することと、第二のドライバを第二のピックオフセンサーと並置することとをさらに含んでいる。
好ましくは、第一のドライバを第一の信号で周期的に駆動させるステップは、第一のドライバを正弦波で駆動させることを含み、第二のドライバを第二の信号で周期的に駆動させるステップは第二のドライバを正弦波で駆動させることを含んでいる。
ある態様によれば、ある実施形態にかかる方法は、フローチューブを振動モードで周期的に励振させながら、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達するように、フローチューブに物質を流すことと、振動するフローチューブの相対運動を測定することと、フローチューブの振動モードを励振しながら右側固有ベクトルの相対位相を測定することと、ゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いてフローチューブを流れる物質の流量を求めることと、フローチューブの左側固有ベクトルの相対位相を用いて、フローチューブを流れる物質を止めることなく新たなゼロオフセットを求めることと、新たなゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いて、フローチューブを流れる物質の流量を求めることとを含んでいる。
好ましくは、かかる方法は、第一のドライバを第一のピックオフセンサーと並置することと、第二のドライバを第二のピックオフセンサーと並置することとをさらに含んでいる。
ある態様によれば、振動式流量計は、1つ以上のフローチューブと第一のピックオフセンサーおよび第二のピックオフセンサーとを有する流量計組立体と、1つ以上のフローチューブを振動させるように構成される第一のドライバおよび第二のドライバと、第一のピックオフセンサーおよび第二のピックオフセンサーと結合され、第一のドライバおよび第二のドライバと結合され、第一のドライバに第一の信号を提供し、第二のドライバに第二の信号を提供するように構成されるメーター電子機器とを備え、第二のドライバは第一のドライバと実質的に同位相で駆動され、第一のドライバの振幅変調駆動信号は第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に最大振幅に達し、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に最小振幅に達し、メーター電子機器は、第一のピックオフと第二のピックオフとの間の相対位相を測定し、フローチューブの右側固有ベクトルの相対位相を求めるようにさらに構成されている。
好ましくは、かかるメーター電子機器は、第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトを測定し、第一の信号をある位相シフトだけオフセットし、周波数シフトを実質的に検出できなくなるまで第一の信号のオフセットを調節し、周波数シフトを実質的に検出できなくするのに必要な第一の信号のオフセットから左側固有ベクトル係数の相対位相を求めるように構成されている。
好ましくは、メーター電子機器は、右側固有ベクトルの相対位相を用いて1つ以上のフローチューブを流れる物質の補正前流量を求め、補正前流量を実際の流量と比較することにより1つ以上のフローチューブを流れる物質の流量のゼロオフセットを求めるようにさらに構成されている。
好ましくは、メーター電子機器は、ゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いて1つ以上のフローチューブを流れる物質の流量を求めるようにさらに構成されている。
好ましくは、メーター電子機器は、右側固有ベクトルの相対位相を求め、右側固有ベクトルの相対位相を左側固有ベクトルの相対位相で重み付け平均することにより、1つ以上のフローチューブを流れる物質の流量のゼロオフセットを求めるようにさらに構成されている。
好ましくは、メーター電子機器は、ドライバの切り換えにより引き起こされる周波数シフトを推定し、周波数シフトを流量に関連付けするようにさらに構成されている。
好ましくは、振動式流量計は、周波数変調二次無限インパルス応答適応ノッチフィルタを備え、メーター電子機器は周波数シフトの推定を行なうように構成されている。
好ましくは、メーター電子機器は、ノッチフィルタ先鋭度パラメータおよびノッチフィルタ変調周波数を受け取るようにさらに構成されている。メーター電子機器は、先鋭度パラメータおよびノッチフィルタ変調周波数に基づいてノッチフィルタ適応率パラメータを求め、適応ノッチフィルタにおいてピックオフ信号を受け取るように構成されており、適応ノッチフィルタはフィルタ出力を最小化するように適応される中心周波数を有している。
好ましくは、ノッチフィルタの出力は切り換え周波数で復調される。
好ましくは、第一のドライバは第一のピックオフセンサーと並置され、第二のドライバは第二のピックオフセンサーと並置される。
好ましくは、第一の信号は正弦波である。
好ましくは、フィルタは複数の適応可能なフィルタ係数を有している。
ある実施形態にかかる振動式流量計を示す図である。 本発明の例示的な実施形態において非湾曲位置にあるフローチューブを示す平面図である。 本発明の例示的な実施形態において主曲げモードに対応する湾曲位置にあるフローチューブを示す平面図である。 本発明の例示的な実施形態においてコリオリ力により誘発された捻れモードに対応する湾曲位置にあるフローチューブを示す平面図である。 位相を周波数に転換する一例を示す図である。 従来の2位相切り換えを示す図である。 ある実施形態にかかる駆動信号を示す図である。 ある実施形態にかかる周期的位相切り換えを示す図である。 ある実施形態にかかる振幅変調信号を示す図である。 ある実施形態に従って右側固有ベクトルの相対位相を求める方法を示すフローチャートである。 ある実施形態に従って左側固有ベクトルの相対位相を求める方法を示すフローチャートである。 ある実施形態に従って流動時の流量計の実時間ゼロオフセット較正を示すフローチャートである。 ある実施形態に従ってヒルバートフィルタと適応ノッチフィルタとの間の左側固有ベクトル誘発周波数比較を示す図である。 ある実施形態に従って周波数変調適応ノッチフィルタを改善する方法を示すフローチャートである。 ある実施形態に従って捻れモードを抑制する方法を示すフローチャートである。
図1〜図11および下記の記載には、本発明を最良のモードで作製および利用する方法を当業者に教示するための具体的な実施形態が示されている。本発明の原理を教示するために、従来技術の一部が単純化または省略されている。当業者にとって明らかなように、これらの実施形態の変形例もまた本発明の技術範囲内に含まれる。また、当業者にとって明らかなように、下記の記載の構成要素を様々な方法で組み合わせて本発明の複数の変形例を形成することもできる。したがって、本発明は、下記に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。
残留柔軟性、電磁気的クロストークおよび電子測定システムの特性はすべてゼロオフセットの原因となる。これらの影響の1つの解釈は、右側固有ベクトル位相の測定結果に誤差を導入してしまうということである。駆動モード(右側固有ベクトル)を正確に測定することができれば、非比例減衰がゼロオフセットを引き起こすただ一つの影響となる。この誤差は左右固有ベクトルのΔt情報を用いて流れの影響から容易に区別することが可能である。
図1には、ある実施形態にかかる振動式流量計5が示されている。流量計5は、センサー組立体10と、センサー組立体10と結合されているメーター電子機器20とを備えている。センサー組立体10はプロセス物質の質量流量および密度に反応するようになっている。メーター電子機器20は、リード線100を介してセンサー組立体10に接続され、通信リンク26を通じて密度、質量流量、温度に関する情報および他の情報を提供するようになっている。コリオリ式流量計の構成が説明されているが、当業者にとって明らかなように、本発明を振動管式デンシトメータとして用いられてもよい。
センサー組立体10は、マニホルド150、150’と、フランジネック110、110’を有するフランジ103、103’と、並列に配置されるフローチューブ130、130’と,第一のドライバ180Lおよび第二のドライバ180Rと、第一のピックオフセンサー170Lおよび第二のピックオフセンサー170Rとを有している。第一のドライバ180Lおよび第二のドライバ180Rは、1つ以上のフローチューブ130、130’に間隔をおいて配置されている。加えて、実施形態によっては、センサー組立体10が温度センサー190を有している場合もある。フローチューブ130、130’はそれぞれフローチューブマウント用ブロック120、120’に向けて互いに間隔が狭まって行く2つの実質的に真っ直ぐな流入口脚部131、131’と流出口脚部134、134’とを有している。フローチューブ130、130’はそれぞれその長さ方向に沿った位置にある2つの対称な部位で曲がり、かつ、その長さ方向に沿って実質的に平行に配置されている。ブレースバー140、140’は軸線Wおよびそれと実質的に平行な軸線W’を規定する働きをし、各フローチューブはそれを中心として振動するようになっている。特筆すべきことは、ある実施形態では、第一のドライバ180Lが第一のピックオフセンサー170Lと並置され、第二のドライバ180Rが第二のピックオフセンサー170Rと並置されるようになっていてもよいという点である。
フローチューブ130の側脚部131、134はそれぞれフローチューブマウント用ブロック120、120’に固定されており、また、これらのブロックはそれぞれマニホルド150、150’に固定されている。同様に、フローチューブ130’の側脚部131’、134’はそれぞれフローチューブマウント用ブロック120、120’に固定されている。このことにより、センサー組立体10を通る連続しかつ閉じた物質経路が形成されることになる。
孔102、102’を有するフランジ103、103’を被測定プロセス物質を移送するプロセス配管(図示せず)と流入口端部104および流出口端部104’を介して接続すると、物質は、フランジ103内のオリフィス101を通り、振動式流量計の流入口端部104の中へと流入し、マニホルド150を通り、表面121を有するフローチューブマウント用ブロック120へと導かれていく。プロセス物質は、マニホルド150内で分流し、フローチューブ130、130’を流れ、フローチューブ130、130’から流出すると、マニホルド150’内で合流して1つのストリームとなり、その後、流出口端部104’へ導かれる。この流出口端部104’は、ボルト孔102’を有するフランジ103’によってプロセス配管(図示せず)に接続されている。
フローチューブ130、130’は、それぞれ曲げ軸線W−W、W’−W’に対して実質的に同一の質量分布、慣性モーメントおよびヤング率を有するように選択され、フローチューブマウント用ブロック120、120’に適切にマウントされる。これらの曲げ軸線はブレースバー140、140’を貫通するようになっている。フローチューブのヤング率が温度とともに変化し、この変化が流量および密度の計算結果に影響を与えるので、測温抵抗体(RTD)190がフローチューブ130’にマウントされてフローチューブの温度が連続的に測定されるようになっている。RTD190の両端に現れる温度依存性電圧は、フローチューブ温度の変化に起因するフローチューブ130、130’の弾性率の変化を補償するためにメーター電子機器20により用いられる。RTD190はリード線195によりメーター電子機器20に接続されている。
図2A〜図2Cは、物質が流れるように構成されるフローチューブ130、130’を示す平面図である。180Lおよび180Rはフローチューブ130、130’に沿って間隔をおいて配置されている2つのドライバ(アクチュエータとも呼ぶ)である。好ましい形態では、2つのドライバはフローチューブの軸方向中央部を中心に対称となるように間隔をおいて配置されるようになっている。2つのドライバは、フローチューブ130、130’に力を印加してフローチューブ130、130’を複数の振動モードで励振させるように構成されている。力は実質的にコヒーレント(たとえば、狭い周波数に制限されたもの)であってもよいしまたは広帯域のものであってもよい。ドライバは、たとえばフローチューブに取り付けられる磁石と、リファレンスに取り付けられて振動電流が流されるコイルとから形成される既知の手段であってもよい。
170L、170Rはそれぞれドライバ180L、180Rと並置される2つのセンサー(ピックオフとも呼ぶ)を表している。これら2つのセンサーはフローチューブ130、130’の位置および運動を表わす複数の信号を生成するように構成されている。また、これら2つのセンサーには、様々なデバイス、たとえばコイルタイプ速度トラスデューサ、光学もしくは超音波運動センサー、レーザーセンサー、加速度計、慣性速度センサーなどが含まれうる。この実施形態では、2つのセンサーが例示され、各センサーがドライバ180L、180Rのうちの1つと並置されるようになっている。また、2を超える数のセンサーを備える他の構成も可能である。
図2Aには、非湾曲状態にあるフローチューブ130、130’が示されている。等しいパワーでアクチュエーターを駆動させることによって、フローチューブを主曲げモードで励振させることができる。「振動式フローチューブを振動させるためのドライバ」という表題を有するMicro Motion Inc.に付与された米国特許第6,092,429号には、フローチューブを様々な振動モードで励振させるように構成されるドライバ180L、180Rが開示されている。この発明はここで参照することにより援用されるものとする。図2Bには、フローチューブの主曲げモードに対応する湾曲状態にあるフローチューブ130、130’が示されている。また、この振動モードは物質がフローチューブを流れていない状況に相当する。図2Bおよび図2Cのフローチューブ130、130’の湾曲は明瞭さのために拡大されている。フローチューブ130、130’の実際の湾曲ははるかに小さい。物質が振動フローチューブ130、130’を流れている時、流れている物質はコリオリ力を生じさせる。このコリオリ力はフローチューブ130、130’を湾曲させてさらなる振動モードで励振させる。図2Cには、コリオリ力により励振された主振動モードが示されている。センサー170Lとセンサー170Rとの間に検出される相対的位相差を用いてフローチューブ130、130’を流れる物質の流量を求めることができる。流れのない状態(図2Bに記載)では、170Lと170Rとの間に検出される流れに起因する位相差はないものの、ゼロオフセット状態に起因する位相差が存在する可能性があることに留意されたい。いったん物質がフローチューブ130、130’を流れると、170Lと170Rとの間に位相差が生じる。170Lと170Rとの間に検出される位相差測定値は、システムの右側固有ベクトルの相対位相の尺度であり、フローチューブを流れる物質の流量に比例する。θが右側固有ベクトルの相対位相に等しく、θがフローチューブのセンサー170Lの位置の振動の位相測定値であり、θがフローチューブのセンサー170Rの位置の振動の位相測定値である場合:
Figure 0006615311
時差Δtは、位相差を振動数ωで除算することにより計算することができる。
Figure 0006615311
また、時差Δtはフローチューブを流れる物質の流量に比例し、質量流量計において通常用いられる測定値である。ゼロオフセット量で物質流量測定値を補正して補正後のΔtであるΔtを導出することで、フローチューブ130、130’を流れる物質流量についてのさらに正確な定量値を計算することができるようになる:
Figure 0006615311
本発明の1つの例示的な実施形態では、正常動作時、両方のドライバ180L、180Rを用いてフローチューブを主曲げ振動モードで励振させるようになっている。フローチューブを流れる物質の流量は、たとえば、右側固有ベクトルの相対位相を測定し、Δtドメインへと変換してΔtを求め、この値をゼロオフセット補正量で補正して、補正後のΔtであるΔtRCを求めることにより算出される:
Figure 0006615311
ある実施形態では、フローチューブは、第一のドライバを周期的に駆動させ、第二のドライバを周期的に駆動させることにより励振され、第一のドライバおよび第二のドライバは互いに異なる位相で振幅変調されるようになっている。ある実施形態では、二つのドライバ180L、180Rは両方とも共鳴周波数に一致する周波数で周期的に駆動されるようになっている。これらの駆動信号は極めて低い周波数で振幅変調されている。この極めて低い周波数とは、位相変移/周波数シフトが後に復調される切り換え周波数(cycling frequency)のことである。これらの(切り換え周波数において)振幅変調された駆動信号は位相が異なっている。共鳴周波数/駆動周波数における各ドライバへの駆動信号は、実質的に同一の信号であり、対応する変調信号により乗算されている。周期的スイープは正弦波状、矩形波状、ノコギリ波状などであってもよい。フローチューブの複数の部位において振動と駆動信号との間の位相が測定される。これらの測定結果はシステムの左側固有ベクトルの相対位相を求めるために用いられる。ある実施形態では、第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達した時と第二のドライバ(180R)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達した時との間に生じる周波数シフトが測定され、この周波数シフトがメーター電子機器20に入力されるようになっている。次いで、第一のドライバ180Lを駆動する駆動信号がある位相シフトだけオフセットされる。次いで、第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と第二のドライバ(180R)の駆動振幅が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトが測定される。周波数シフトが約0である場合には調節を行う必要はない。しかしながら、第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と第二のドライバ(180R)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトが依然として検出可能である場合、第一の信号は、第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と第二のドライバ180R)の駆動振幅が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトが実質的に検出可能でなくなるまで再度オフセットされる。いったん周波数シフトが実質的に検出できなくなると、左側固有ベクトル係数間の相対位相が、周波数シフトをほぼ検出できなくするのに必要な信号オフセットから計算される。
図3から明らかなように、このアプローチ固有の主要な難題として、システムの位相から周波数への変換が非常に急激であるため、流量計全体にわたる比較的大きな位相変化に対して非常に小さな周波数変化が生じることと、その逆方向の変換もまた難しいということとを挙げることができる。その結果、必要とされる周波数精度は、かなり高く、ナノヘルツ程度である。この位相切り換えに対する従来のアプローチはドライバ180Lとドライバ180Rとを2値的(in a binary manner)に効果的に切り換える(toggle)ことである。このことは図4に示されている。この従来のアプローチは、信号が消滅するのに少なくとも数秒間(15〜30)待ってから切り換えられた新たなドライバからの新たな周波数を観察する必要とする。このような長い遅延は使用されるシステムにとって非実用的である。このような急激な駆動動作(drive、ドライブ)の遷移を用いて定期的に駆動動作が切り換えられる場合、駆動動作の遷移に対するシステムの過渡応答が実際のところ決して完全に消滅してしまうことはない。このことは駆動周波数の所望の変移を結局は不明瞭なものとしてしまうことになる。流量計5が閉ループフィードバック信号で駆動される時、たとえば1つ以上のピックオフ信号がスケーリングされ、フィードバックされ、駆動信号が生成される時、この位相から周波数への変換の特性が特に顕著になる。このフィードバック駆動スキームの下では、本来システムの開ループ特性における位相変化であるはずのものがそうではなく駆動周波数シフトとして現れる。このことはフィードバック駆動システムの固有の特性である。というのは、定義により、開ループシステムの位相はシステムのフィードバック部の位相と一致させなければならないからである。したがって、これら2つの位相を一致させるには駆動周波数の変更が必要となる。このことは閉ループコントローラーから自動的にもたらされる。上述のように、比較的大きな位相変化が比較的小さな周波数シフトとして現れるので、閉ループ駆動において位相効果を観察するのは極めて困難なほどに挑戦的である。というのは、一般的に周波数変化が、検出するには小さ過ぎるからである。
図5A〜図5Cを参照すると、駆動信号振幅を周期的に切り換えることにより過渡信号を最小に抑えるようになっている実施形態が例示されている。このアプローチにより時間に対する駆動振幅の変化の傾斜が最小限に抑えられるため(ある与えられた必要な切り換え周波数において)、システムに対する衝撃が最小限に抑えられる。このアプローチにより、駆動動作が完全に一方のドライバまたは他方のドライバにあるのはほんの一瞬の間だけである。図5Aには、実質的に同位相にある2つの駆動信号の特性が示されている。図5Bには振幅変調信号が示されている。図5Cには、第二のドライバの振幅が最小値に達する時に第一のドライバの振幅が最大値に達し、第二のドライバの振幅が最大値に達する時に第一のドライバの振幅が最小値に達する振幅変調駆動信号が示されている。
図6は、例示的な実施形態におけるシステムの右側固有ベクトルの相対位相を求める方法を例示するフローチャートである。正常動作時、ステップ500で、両方のドライバ180L、180Rを用いてフローチューブを励振させる。ドライバ180L、180Rは周期的に切り換えられ、180Lが最大振幅にある時、180Rが最小振幅で駆動され、180Lが最小振幅にある時、180Rが最大振幅で駆動される。ステップ502では、ドライバ180Lが最大振幅でフローチューブを励振させるように切り換えられ、同時に、180Rが最小振幅でフローチューブを励振させるように切り換えられる。この期間、ピックオフセンサー170Lとピックオフセンサー170Rとの間の位相が測定される。これを位相差θと呼ぶ。
ステップ504では、2つの駆動動作が周期的に切り換えられるにつれて、ドライバ180Lが最小振幅でフローチューブを励振させ、同時に、180Rが最大振幅でフローチューブを励振させる。ピックオフセンサー170Lとピックオフセンサー170Rとの間の位相が測定される。特筆すべきことは、2つのピックオフセンサー170R、170Lの間の位相差が継続的に(continually)測定されてもよいしまたは離散的に(discrete time period、個別の時間に)測定されてもよい。いずれの場合であっても、これを位相差θと呼ぶ。
ステップ506では、右側固有ベクトルの相対位相が計算される。ある実施形態では、高周波数モードの残留柔軟性に起因するシステム雑音およびシステム位相が位相信号を重み付け平均することにより減衰されるようになっており、したがって、ある実施形態では、平均相対位相θARが以下の式に従って計算することができるようになっている:
Figure 0006615311
しかしながら、式(14)以外の他の式も考えられている。
図7は、ある例示的な実施形態に従って左側固有ベクトルの相対位相を求める方法を示すフローチャートである。ステップ600では、正常動作時、両方のドライバを用いてフローチューブを励振させる。180Lが最大振幅にある時に180Rが最小振幅で駆動され、同時に、180Lが最小振幅にある時に180Rが最大振幅で駆動されるように2つのドライバ180L、180Rが周期的に切り換えられる。ステップ602では、ドライバ180Lにより用いられる駆動信号とドライバ180Rにより用いられる駆動信号との間の周波数シフトが測定される。
ステップ604では、2つの駆動動作が周期的に切り換えられる中、第一の信号がある位相シフトだけオフセットされる。ステップ606では、周波数シフトが実質的に検出できなくなるまで第一の信号がオフセットされていく。ステップ608では、周波数シフトをほぼ検出できなくなるようにするのに必要な第一の信号オフセットから左側固有ベクトル係数の相対位相が求められる。
図8は、ある例示的な実施形態に従って流動時の流量計を実時間でゼロオフセット再較正する方法を示すフローチャートである。ステップ700では、正常動作時、両方のドライバ180L、180Rを用いてフローチューブを周期的に励振させる。右側固有ベクトルの補正前相対Δtが求められる。右側固有ベクトルの補正前相対Δtがゼロオフセットを用いて補正される。右側固有ベクトルの補正後相対Δtを用いて流量計を流れる流体の流量が求められる。ステップ702では、左側固有ベクトルの相対Δtが周期的に求められる。左側固有ベクトルの相対Δtが残留柔軟性および電子クロストーク効果について補正されてもよい。ステップ704では、左側固有ベクトルの相対Δtおよび右側固有ベクトルの補正前相対Δtを用いて新たなゼロオフセットが求められる。新たなゼロオフセットが前のゼロオフセットと交換され、上述の方法がステップ700から再び開始される。新たなゼロオフセットを計算し、それを流量計に入力することにより、物質が流量計を流れている間に流量計をゼロ流量状態について再較正されることになる。
1つの例示的な実施形態では、較正と較正との間の時間間隔を一定にするように再較正を行う時間が決定されるようになっていてもよい。他の例示的な実施形態では、環境または配管システムに変化が検出された時に再較正が行われるようになっていてもよい。たとえば、温度の変化がしきい値より大きい時に再較正が行われるようになっていてもよい。再較正を何時行うかの判断が周期タイマーと環境変化の検出とを組み合わせたものに基づくものであってもよい。高精度を必要としないシステムよりも高精度を必要とするシステムに対して再較正と再較正との間の期間が短くなるようになっていてもよい。左側固有ベクトルの相対位相を測定するためにドライバ180Lとドライバ180Rとを切り換えることが流量計の正常動作(すなわち、右側固有ベクトルのΔtを用いて流量を測定すること)を中断させなければならないということを意味しない。さらに他の実施形態では、流量計の零点の変動が監視されているようになっているだけである。したがって、ゼロ検証ツールについての実施形態も考えられている。これは、たとえば特定の状況下以外では零点の変動が許されない管理輸送の如き複数の用途において有用である。
しかしながら、上述のように、従来のアプローチにおいて遭遇する問題は、ドライバ180L、180Rを切り換えることに起因する位相効果をコントローラからの他の過度的効果から分離させることに関するものである。具体的にいえば、ドライバ180L、180Rを急激に切り換えると、望ましくない過渡応答に対してシステムが反応してしまう恐れがある。駆動コントローラは、システムにおいてこれらの段階変化(step changes)を強化する傾向がある。この急激な駆動動作の遷移(abrupt drive transition)を用いて定期的に駆動動作を往復して切り換える場合、遷移に対するシステムの過渡応答がまったく消滅しないため、駆動周波数の望ましい変移が不明瞭なものとなる。他の問題として周波数測定感度が挙げられる。2つのドライバ180L、180Rの切り換えの際に生周波数信号(raw frequency signal)を検査する場合、対称とする変動が雑音の影響で不明瞭になってしまうという問題がある。信号処理方法および電子機器についてはMicro Motionに付与された米国特許第5,734,112号に説明されている。この特許はここで参照することにより援用されるものとする。
行われる様々なΔtの計算に関しては、信号プロセッサはフローチューブの曲げ振動モードの振動の周波数の推定値に依存している。ヒルバートフィルタに基づく周波数推定アプローチは、従来から知られているものの、望ましい精度を考えると雑音が多すぎることが分かっている。ある実施形態では、改良された周波数推定フィルタを用いてこの正弦波サイクルアプローチを向上させるようになっていてもよい。具体的にいえば、改良適応ノッチ周波数推定器を用いるようになっている。改良適応ノッチ周波数推定器はヒルバートフィルタよりもはるかに正確な周波数推定値を提供することができる。図9には、ヒルバートフィルタ(H)と適応ノッチフィルタ(AN)との2つの周波数推定器を用いて左側固有ベクトルにより誘発される周波数の変動が示されている。改良適応ノッチフィルタの方がよりきれいである。このことは、左側固有ベクトルの位相を除去するとより明確になる。ヒルバートフィルタを用いた場合に存在する雑音の標準偏差は改良適応ノッチフィルタの雑音の標準偏差の500倍を超えている。
ある実施形態では、改良適応ノッチフィルタは、入力信号に適用される周波数変調二次無限インパルス応答フィルタである。改良適応ノッチフィルタの中心周波数は出力を最小限に抑えるように適応される。純音信号の場合、このことはフィルタの周波数が入力信号の周波数と一致する場合に該当する。多重音信号の場合、フィルタは存在する最大音に自動追尾する。適応された中心周波数を超えると、フィルタの動作はフィルタの先鋭度αと周波数の適応率λとの2つの設計パラメータにより制御される。ある実施形態では、先鋭度(α)は静的設計パラメータとして維持され、通常製造段階において規定されるようになっている。周波数の適応率(λ)というパラメータは周波数変調信号に対する感度に影響を与える。ある例示的な実施形態では、改良適応ノッチフィルタの変調周波数は次の式により表されている:
Figure 0006615311
この式では、α=フィルタの先鋭度であり、λ=周波数の適応率であり、dt=フィルタのサンプリングレートであり、fm=変調周波数である。
したがって、サンプリングレート、αの値、変調周波数fmが与えられると、適切な値の周波数の適応率(λ)が次の式で求められる:
Figure 0006615311
このようにして、従来の汎用適応ノッチフィルタを用いるよりも数10倍程度正確に既知の変調周波数における周波数変調が追跡される。
図10は、ある実施形態に従って周波数変調改良適応ノッチフィルタを用いる方法を示すフローチャートである。最終的に、周波数推定値が左側固有ベクトルの相対位相から計算される。ステップ900では、左側固有ベクトルの相対位相が計算される。ステップ902では、フィルタの応答時間に対応する先鋭度パラメータ(α)がフィルタに入力される。ある実施形態では、このパラメータは流量計の組立て・検証時に求められるようになっている。ステップ904では、ノッチフィルタ変調周波数(fm)がフィルタに入力される。ステップ906では、先鋭度パラメータ(α)およびノッチフィルタ変調周波数パラメータ(fin)に基づいて適応率パラメータ(λ)が計算される。ある例示的な実施形態では、この計算のために式(15)が用いられるようになっている。しかしながら、他の式も考えられている。この式(15)に実施形態が限定されることはない。ステップ908は、第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と第二のドライバ(180R)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトを入力し、第一の駆動信号を位相シフトオフセット分だけオフセットすることに相当する。このことは、実質的に周波数シフトが検出できなくなるまで第一の信号オフセットを調節することを必要とする。ステップ910では、周波数シフトを実質的に検出できなくするのに必要な第一の信号オフセットから左側固有ベクトル係数の相対位相が求められる。
関連する他の実施形態では、上述のような純周波数推定器を用いることに代えて、既知の変調周波数で周波数変調信号が抽出されるようになっている。既知の周波数ωにおいて固定変調がなされる周波数変調信号を考える:
Figure 0006615311
ある実施形態では、目的がΔωを測定することにあり、この測定のための1つの方法が信号yをその時間遅延バージョンと比較することと、その位相差φ(phi)を演算することとを含んでいる:
Figure 0006615311
位相が周波数の積分として定義されるので、ある例示的な実施形態では、限定するわけではないが、位相は次の式で計算することが可能である:
Figure 0006615311
変調周波数ωが既知であるので、時間遅延Δtが次のように変調周波数の4分の1周期として選択される:
Figure 0006615311
式(19)は次のように単純化される:
Figure 0006615311
この式は、DC値+変調周波数における正弦波を表し、その振幅はΔωに比例している。したがって、既知の変調周波数における周波数変調の振幅にあっては、信号の位相をその適切に遅延されたバージョンと比較し、得られた正弦波周波数変調の振幅を計算することにより導出することが可能となる。したがっていうまでもなく、この技術は、期待周波数における変調感度が良好であり、大部分の帯域外雑音を除くことが明らかである。
上述の実施形態では、両方のドライバ180L、180Rを用いて左側固有ベクトルの相対Δtを求めるようになっている。さらに他の実施形態では、一度に一つのドライバだけが用いられるようになっていてもよい。たとえば、単一のドライバ180Lを駆動し、ピックオフセンサー170Lにおける位相を測定し、次いで、他方のドライバ180Rを駆動し、次いで、同じピックオフ170Lにおける位相を測定することにより、各ドライバの固有の寄与を識別することができる。低減衰流量計によりもたらされる固有の欠点は、第一のドライバの応答の消滅に最大5分またはそれ以上の時間を必要とすることであり、第二のドライバを駆動することができるようになるには第一のドライバの応答が消滅することが必要である。現実世界の多くの状況下では、このアプローチは時間遅延が長いために事実上役に立たつアプローチではない。というのは、環境条件が速い速度で変わってしまうため測定結果を用いることができなくなるからである。したがって、ある実施形態では、この時間遅延問題に対する一つの解決策が提供されている。
ある実施形態では、ドライバの力を較正してシステムの精度を向上させるようになっている。従来の単一ドライバ式流量計では、捻れモードのモード形状のノードに駆動コイルを配置してセンサーのバランスを取るように設計されている。このようにすることによって、ドライバが直接捻れモードを励振させることが非常に困難なものとなり、捻れモードの励振が直接ピックオフセンサー170L、170Rにおいて測定される駆動位相に大きく影響を及ぼさなくなり、それにより、流量測定における零点誤差の1つの潜在的な原因が取り除かれる。しかしながら、2重ドライバアプローチでは、2つのドライバ180L、180Rが捻れモードのノードに配置されていないため、直接捻れモードを励振させてしまう危険性がある。以上の理由により、直接捻れモードを励振させてしまうことは重要な問題である。相対捻れモード応答(駆動モード応答と比較)は、密度と温度との関数として変化しうる。したがって、駆動モードが捻れモードに比較的近い場合、相対捻れモード応答は増大することになる。これは、純粋なゼロ点効果ではなく、どちらかといえば、少なくとも部分的には駆動周波数に依存する流量誤差である。まず、単一ドライバ式流量計のドライバの配置などにより捻れモードが励振されない場合、この誤差の原因が取り除かれることになる。
したがって、ある実施形態では、システムゲインを補正し、捻れモードを抑制しながら駆動モードの駆動を可能とするドライバ力プロジェクションベクトル(Ψdr)およびピックオフモーダルフィルタベクトル(Ψpo)が選択されるようになっている。この主たる目標は、図11に示されているように、両方のドライバ180L、180Rおよびピックオフセンサー170L、170Rにおける捻れモードを抑制することにある。このことは、標準的な単一ドライバ式流量計からの改良である。標準的な単一ドライバ式流量計は、本質的に、ドライバにおける抑制のみを可能とし、ピックオフセンサー170L、170Rが捻れモード応答を測定してしまうことを防止することに関しては何もしない。
ステップ1100では、捻れモードを励振させることなく駆動モードを励振させるために、得られた残余マトリックスから捻れモードのモード形状(すなわち、固有ベクトル)が求められる。ステップ1102に示されているように、捻れモードの左側固有ベクトルおよび右側固有ベクトル(すなわち、ピックオフおよびドライバのモード形状)を用いて、直交駆動モードベクトル(orthogonal drive mode vector)が設計される。ある実施形態では、このことは次の式を用いて達成されるようになっている:
Figure 0006615311
ステップ1104に記載のように、ベクトルΨdrを用いて2重ドライバ式流量計を駆動させ、ベクトルΨpoを用いてピックオフセンサー170L、170Rを組み合わせてフィードバックを求めることにより、捻れモードの所望の抑制が実現される。というのは、次の式に示される関係があるからである:
Figure 0006615311
捻れモードのモード形状を測定することが理想的であるかもしれないが、他の実施形態では、駆動モードのデータのみが用いられるようになっている。このアプローチは、上述のアプローチに類似しているものの、駆動される流量計のバランスが保たれているので、駆動モード形状および捻れモード形状が一般的に次の式で表されるということがさらに仮定されている:
Figure 0006615311
次いで、これらはトランスデューサ利得によってのみ次のようになる:
Figure 0006615311
したがって、流量計が対称な場合、上述のように左側固有ベクトルおよび右側固有ベクトルが測定されるので、左側固有ベクトルおよび右側固有ベクトルの捻れモードの推定をさらに行うことが可能となる。その時点から上述のアプローチと同じアプローチを用いて、捻れモードを抑制するドライバプロジェクションベクトルおよびピックオフモーダルフィルタベクトルが導き出される。流量計の製造工場での初期較正であれまたは現場での較正であれ、いずれのアプローチでも流量計の較正に適用可能である。したがって、捻れモードを直接励振させないように、ドライバゲインおよび/またはピックオフゲインを調節してさらに安定な流量推定値が求められるようになっている。これらの方法は、2重ドライバ式システムにより適しているが、2つのドライバ180L、180Rを超える数のドライバおよび/または2つのピックオフ170、170Rを超える数のプックオフセンサーを備えるシステムにも適用可能である。
2重ドライブ式流量計の場合、左側ピックオフチャンネルの前方端側回路と右側ピックオフチャンネルの前方端側回路との間のドリフトに起因する電子的なゼロ点の望ましくないドリフトは、流量計の正確さを低下させてしまうような問題となる恐れがある。もちろん、ゼロ点のドリフトは、たとえば上述の方法により補償することが可能であるものの、これらの方法のみで、アナログ−デジタル(A/D)変換器および入力回路ならびにデジタル−アナログ(D/A)変換器および出力回路における位相ドリフトおよび振幅ドリフトから発生し、測定結果に影響を与えることが知られている他の不正確さの原因に対して対処することはできない。ある実施形態では、A/D変換器およびD/A変換器に伴う位相ドリフトおよび振幅ドリフトが補償されるようになっている。
通常、A/D変換器はそれぞれ対応するフローチューブセンサーの出力信号からアナログ信号を受け取る。プロセッサは、A/D変換器に制御信号を印加し、A/D変換器からデジタル化されたサンプル値を受け取る。限定するわけではないが、たとえば、プロセッサが、チャンネルとチャンネルとの間のサンプリングされた位相差からΔt値を求め、次いで、D/Aコンバータがデジタル信号値を質量流量に比例するアナログ信号に変換するようになっている。当業者にとって明らかなように、様々な構成部品により必要とされるクロック信号が、たとえば水晶制御発振器または市販されている複数のクロック発生集積回路のうちのいずれかの如きいかなる周知のクロック生成技術によって生成されるようになっていてもよい。
通常、A/D変換器は、複数の変換器とDSPプロセッサに接続される通信バスとを備え、単一の集積回路に具現化される。このことは、サンプリングされた信号と信号との間の位相関係が、プリント回路板を経由して物理的に分離されたA/D変換器回路へと延びている信号トレースの影響を受けたものではなく、振動するフローチューブのコリオリ力に起因するものであることを担保する助けとなる。このようなものとして多くのステレオA/D変換器チップが当業者に知られている。このようなチップの一例がクリスタルセミコンダクタCS5329、2チャンネル式ステレオA/D変換器である。上述の信号処理方法および信号処理電子機器については米国特許第5,734,112号によりさらに詳細に開示されている。
入力位相オフセットは単に電子的ゼロのことであり、当該技術分野において周知事項である。Δt信号を流量に変換する前に一定の2つの入力チャンネル間の位相オフセットが減算される。歴史的にみて、入力位相ドリフトは、主として、入力回路コンポーネントと入力回路コンポーネントとを正確にマッチングさせることにより対処されてきた。他方、入力振幅オフセットは、標準的な単一ドライブ式流量計にとってそれほど大きな問題ではないものの、二重ドライブ式流量計にとっては重要な対処すべき問題である。ピックオフ信号から導出されるモーダルフィルタベクトルが最適化されることを担保することが望ましい。たとえピックオフ位置、すなわちピックオフセンサー170L、170Rにおける固有ベクトル係数が対称であるとしても、ピックオフセンサー170L、170Rの入力回路とA/D変換器とが相互間にバイアスまたはオフセットを有している場合もある。
同様に、入力振幅オフセットは、標準的な単一ドライブ式流量計にとってそれほど大きな問題ではなく、ほとんどの場合無視される。ピックオフ振幅は駆動制御に用いられ、最大ピックオフ信号が振幅フィードバック信号として用いられる。通常、スマート流量計検証(Smart Meters Verification)により、右側ピックオフの剛性と左側ピックオフの剛性との間にかなり大きな差が測定されている。このオフセットは、各ピックオフについて、振幅オフセットを無視しながら上述の剛性を工場のベースライン剛性を基準として正規化することにより対処されている。
ピックオフ信号から導出されるモーダルフィルタベクトルが最適化されることを担保することが望ましい。このことは、ピックオフ位置、すなわちピックオフセンサー170L、170Rにおける固有ベクトル係数が対称であると仮定している。しかしながら、ピックオフセンサー170L、170Rの入力回路およびA/D変換器は相互間にバイアスまたはオフセットを有しうる。入力回路の予備較正を実施し、この較正ステップの間、1つのピックオフを両方のチャンネルの中に同時に供給しうる。したがって、前方端側回路が同じ電圧を読む取ることを担保するためにソフトウェアゲインを調節することができる。この較正ステップは、通常、モーダルフィルタベクトルの計算前に行われ、製造環境において容易に実施することができる。位相ドリフトを最小限に抑えるために必要となるコンポーネントとコンポーネントとの正確なマッチングを行うことにより、振幅ドリフトを無視することができるということを合理的に期待することができるようになる。ある実施形態では、2つのドライバを流れる電流を入力として測定し、電流測定用の入力回路およびA/D変換器をピックオフ入力チャンネルに関して較正することができるようになっている。実施形態によっては、電流測定の較正に、限定するわけではないがたとえばリレイまたは外部からのアクセスが可能なジャンパ(jumpering)の如きハードウェアが組み込み電子機器にさらなる設けられるようになっている場合もある。
二つのドライバ180L、180Rの2つ出力チャンネルの振幅オフセットが、捻れモードの残留柔軟性応答を励振して妨害信号を発生する場合もある。ある実施形態では、2つの出力回路の較正が同じ信号を両方の駆動チャンネルへ送ることにより実施されるようになっている。次いで、測定された両方の電流値が相互に比較され、測定された両方の電流値が等しくなるまで2つの出力チャンネルのうちの一方の出力チャンネルのゲインが調節される。このことにより、2つのドライバ180L、180Rの出力電流が等しくなることが担保され、次いで、上述の力プロジェクションベクトルの計算が正確に行えることが可能となる。したがって、電子機器コンポーネント/信号を正しくマッチングさせることにより振幅ドリフトを無視できるようになる。
上述の実施形態の詳細な記載は、本発明の技術範囲内に含まれるものとして本発明者が考えているすべての実施形態を完全に網羅するものではない。さらに正確にいえば、当業者にとって明らかなように、上述の実施形態のうちの一部の構成部材を様々に組み合わせてまたは除去してさらなる実施形態を作成してもよいし、また、このようなさらなる実施形態も本発明の技術範囲内および教示範囲内に含まれる。また、当業者にとって明らかなように、本発明の技術および教示の範囲に含まれるさらなる実施形態を作成するために、上述の実施形態を全体的にまたは部分的に組み合わせてもよい。以上のように、本発明の特定の実施形態または実施形態が例示の目的で記載されているものの、当業者にとって明らかなように、本発明の技術範囲内において様々な変更が可能である。本明細書に記載の教示を上述のかつそれに対応する図に記載の実施形態のみでなく他の振動式システムにも適用することができる。したがって、本発明の技術範囲は下記の請求項によって決められるものである。

Claims (23)

  1. フローチューブの振動モードを励振しながら前記フローチューブ内に物質を投入することであって、前記フローチューブの振動モードを励振することが第一のドライバを第一の信号で周期的に駆動させるステップと第二のドライバを第二の信号で周期的に駆動するステップとを含み、前記第二のドライバが前記第一のドライバと実質的に同位相で駆動され、前記第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に前記第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、前記第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に前記第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する、物質を投入することと、
    第一のピックオフと第二のピックオフとの間の相対位相を測定することと、
    前記フローチューブの右側固有ベクトルの相対位相を求めることと、
    前記第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と前記第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトを測定することと、
    前記第一の信号をある位相シフトだけオフセットさせることと、
    前記周波数シフトが実質的に検出できなくなるまで前記第一の信号のオフセットを調節することと、
    前記周波数シフトを実質的に検出できなくするのに必要な前記第一の信号のオフセットから左側固有ベクトル係数の相対位相を求めることと、
    を含む、方法。
  2. 前記フローチューブを流れる前記物質の実際の流量を求めるステップが、前記右側固有ベクトルの相対位相を用いて前記フローチューブを流れる前記物質の補正前流量を求めることと、前記左側固有ベクトル係数の相対位相を用いて前記フローチューブを流れる前記物質の流量のゼロオフセットを求めることとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ゼロオフセットにより補正された前記右側固有ベクトルの相対位相を用いて前記フローチューブを流れる前記物質の流量を求めることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 右側固有ベクトルの相対位相を求めることと、
    前記右側固有ベクトルの相対位相左側固有ベクトルの相対位相とを重み付け平均することにより、前記フローチューブを流れる前記物質の流量のゼロオフセットを求めることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. ドライバの切り換えにより引き起こされる周波数シフトを推定することと、該周波数シフトを流量と関連付けすることとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 周波数変調二次無限インパルス応答適応ノッチフィルタを用いて前記周波数シフトが推定される、請求項5に記載の方法。
  7. メーター電子機器にノッチフィルタ先鋭度(α)パラメータを入力することと、
    前記メーター電子機器にノッチフィルタ変調周波数(fm)パラメータを入力することと、
    前記ノッチフィルタ変調周波数(fm)パラメータおよび前記ノッチフィルタ先鋭度(α)パラメータに基づいてノッチフィルタ適応率(λ)パラメータを求めることと、
    前記適応ノッチフィルタにピックオフ信号を入力することとを含み、
    前記適応ノッチフィルタがフィルタ出力を最小限に抑えるように適応される中心周波数を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ノッチフィルタの出力が前記切り換え周波数で復調される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記第一のドライバを第一のピックオフセンサーと並置することと、前記第二のドライバを第二のピックオフセンサーと並置することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記第一のドライバを第一の信号で周期的に駆動させるステップが前記第一のドライバを正弦波で駆動させることを含み、前記第二のドライバを前記第二の信号で周期的に駆動させるステップが前記第二のドライバを正弦波で駆動させることを含む、請求項1に記載の方法。
  11. フローチューブを振動モードで周期的に励振させながら、第二のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に第一のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、前記第二のドライバの振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に前記第一のドライバの振幅変調駆動信号が最小振幅に達するように、前記フローチューブに物質を流すことと、
    振動する前記フローチューブの相対運動を測定することと、
    前記フローチューブを前記振動モードで励振させながら右側固有ベクトルの相対位相を測定することと、
    ゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いて前記フローチューブを流れる前記物質の流量を求めることと、
    前記フローチューブの左側固有ベクトルの相対位相を用いて前記フローチューブを流れる前記物質を止めることなく新たなゼロオフセットを求めることと、
    前記新たなゼロオフセットにより補正された右側固有ベクトルの相対位相を用いて前記フローチューブを流れる前記物質の流量を求めることと
    を含む、方法。
  12. 前記第一のドライバを第一のピックオフセンサーと並置することと、前記第二のドライバを第二のピックオフセンサーと並置することとをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 振動式流量計(5)であって、
    1つ以上のフローチューブ(103、103’)ならびに第一のピックオフセンサー(170L)および第二のピックオフセンサー(170R)を有する流量計組立体(10)と、
    前記1つ以上のフローチューブ(130、130’)を振動させるように構成される第一のドライバ(180L)および第二のドライバ(180R)と、
    前記第一のピックオフセンサー(170L)および前記第二のピックオフセンサー(170R)と結合され、前記第一のドライバ(180L)および前記第二のドライバ(180R)と結合され、前記第一のドライバ(180L)に第一の信号を提供し、前記第二のドライバ(180R)に第二の信号を提供するように構成されるメーター電子機器(20)とを備え、
    前記第二のドライバ(180R)が前記第一のドライバ(180L)と実質的に同位相で駆動され、前記第二のドライバ(180R)の振幅変調駆動信号が最小振幅に達する時に前記第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達し、前記第二のドライバ(180R)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時に前記第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最小振幅に達し、前記メーター電子機器(20)が第一のピックオフ(170L)と第二のピックオフ(170R)との間の相対位相を測定し、前記フローチューブの右側固有ベクトルの相対位相を求めるように構成されてなり、且つ、
    前記メーター電子機器(20)が、前記第一のドライバ(180L)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時と前記第二のドライバ(180R)の振幅変調駆動信号が最大振幅に達する時との間に生じる周波数シフトを測定し、 前記第一の信号をある位相シフトだけオフセットし、 前記周波数シフトを実質的に検出できなくなるまで前記第一の信号のオフセットを調節し、 前記周波数シフトを実質的に検出できなくするのに必要な前記第一の信号のオフセットから左側固有ベクトル係数の相対位相を求めるように構成されてなる、振動式流量計(5)。
  14. 前記メーター電子機器(20)が、前記右側固有ベクトルの相対位相を用いて前記一つ以上のフローチューブ(130、130’)を流れる物質の補正前流量を求め、前記左側固有ベクトル係数の相対位相を用いて前記1つ以上のフローチューブ(130、130’)を流れる前記物質の流量のゼロオフセットを求めるようにさらに構成されてなる、請求項13に記載の振動式流量計(5)。
  15. 前記メーター電子機器(20)が、前記ゼロオフセットにより補正された前記右側固有ベクトルの相対位相を用いて前記1つ以上のフローチューブ(130、130’)を流れる前記物質の流量を求めるようにさらに構成されてなる、請求項14に記載の振動式流量計(5)。
  16. 前記メーター電子機器(20)が、右側固有ベクトルの相対位相を求め、該右側固有ベクトルの相対位相左側固有ベクトルの相対位相とを重み付け平均することにより前記1つ以上のフローチューブ(130、130’)を流れる物質の流量のゼロオフセットを求めるようにさらに構成されてなる、請求項13に記載の振動式流量計(5)。
  17. 前記メーター電子機器(20)が、ドライバの切り換えにより引き起こされる周波数シフトを推定し、該周波数シフトを流量に関連付けするようにさらに構成されてなる、請求項16に記載の振動式流量計(5)。
  18. 前記周波数シフトの推定を実行するように構成される前記メーター電子機器(20)と共に周波数変調二次無限インパルス応答適応ノッチフィルタを備えてなる、請求項17に記載の振動式流量計(5)。
  19. 前記メーター電子機器(20)がノッチフィルタ先鋭度(α)パラメータおよびノッチフィルタ変調周波数(fm)を受け取るようにさらに構成され、前記メーター電子機器(20)が前記ノッチフィルタ変調周波数(fm)および前記ノッチフィルタ先鋭度(α)パラメータに基づいてノッチフィルタ適応率(λ)パラメータを求め、前記適応ノッチフィルタにおいてピックオフ信号を受け取るように構成され、前記適応ノッチフィルタがフィルタ出力を最小化するように適応される中心周波数を有してなる、請求項18に記載の振動式流量計(5)。
  20. 前記ノッチフィルタの出力を前記切り換え周波数で復調するように構成されてなる、請求項18の振動式流量計(5)。
  21. 前記第一のドライバ(180L)が前記第一のピックオフセンサー(170L)と並置され、前記第二のドライバ(180R)が前記第二のピックオフセンサー(170R)と並置されてなる、請求項13に記載の振動式流量計(5)。
  22. 前記第一の信号が正弦波である、請求項13に記載の振動式流量計(5)。
  23. 前記フィルタが複数のフィルタ係数を有してなる、請求項18に記載の振動式流量計(5)。
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