JP6610755B2 - 画像処理装置及び表示判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像処理装置及び表示判定方法に関する。
現在、HDR(High Dynamic Range)コンテンツが普及しつつある。しかしながら、表示装置が表示できる色空間がHDRコンテンツの色空間よりも狭く、表示装置がHDRコンテンツの色を正しく再現して表示できないことがある。
非特許文献1には、表示装置において、3次元ルックアップテーブル(以下、「3D−LUT」という。)データを組み込み、8Kスーパーハイビジョン放送の「Rec.2020」色域の映像の中で、現行のフルハイビジョン放送の「Rec.709」色域では再現できない色をグレイ(灰色)に変換して警告表示し、又は、Rec.709色域内に収まるように変換して表示することが記載されている。
EIZO株式会社、"製品情報"、[online]、[平成27年8月19日検索]、インターネット〈URL:http://www.eizo.co.jp/products/ce/cg3184k/index.html〉
背景技術に係る表示装置のように、今までは主に表示の色、コントラストなどについて管理してきた。今後は、表示の明るさが実際に人間が被写体を見たときの明るさ、又は、実際に被写体を撮像したときの明るさに対応するように、表示の明るさ(輝度値)についても管理するようになる。
しかしながら、今までの表示装置では、入力画像データにおいて最大輝度レベルに対応する明るさが規定されているような場合でも、入力画像データの各輝度レベルに対応する明るさで画像を表示できるか判定して警告することができなかった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、表示装置が入力画像データの各輝度レベルに対応する明るさで画像を表示できるか判定することができる画像処理装置及び表示判定方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、XYZ表色系の入力画像信号を判定対象の表示装置に表示させた画像を測定して得られたXYZ値を所定の輝度値で正規化した値を成分とする行列の逆行列でリニアRGB表色系の出力画像信号に変換する第1の色域変換部と、出力画像信号のR、G又はB値が所定値よりも大きいときに、入力画像信号に係る画像を表示装置が入力画像信号の各輝度に対応する明るさで表示することができないと判定する判定部とを備える画像処理装置を提供する。
また、本発明は、判定対象の表示装置に表示させた画像を測定して得られたXYZ値を所定の輝度値で正規化した値を成分とする行列を用いる表示判定方法であって、XYZ表色系の入力画像信号を行列の逆行列でリニアRGB表色系の出力画像信号に変換するステップと、出力画像信号のR、G又はB値が所定値よりも大きいときに、入力画像信号に係る画像を表示装置が入力画像信号の各輝度に対応する明るさで表示することができないと判定するステップとを有する表示判定方法を提供する。
本発明により、表示装置が入力画像データの各輝度レベルに対応する明るさで画像を表示できるか判定することができる画像処理装置及び表示判定方法を提供することができる。
実施の形態に係る画像処理装置1の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態に係る画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。 実施の形態に係る色域変換部20の動作を説明するための図である。 実施の形態に係る範囲外判定を説明するための図である。 実施の形態に係るモノクロ・色域変換部30の動作を説明するための図である。 実施の形態に係る表示装置2の表示の状態を示す図である。 他の実施の形態に係る画像処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本実施の形態に係る画像処理装置について説明する。本実施の形態に係る画像処理装置は、表示装置が入力画像データに対応する輝度又は色で、すなわち、入力画像データに係る画像において意図されているような輝度又は色で画像を表示できるか判定し、表示できないときに警告を表示するものである。
なお、本明細書で説明する「画像」には、「静止画像」及び「動画像(映像)」が含まれる。
まず、本実施の形態に係る画像処理装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置1の概略構成を示すブロック図である。
画像処理装置1は、入力部10、色域変換部20、モノクロ・色域変換部30、範囲外判定部40、信号選択部50、ガンマ補正部60などを備えている。画像処理装置1は、表示装置(図示せず)を構成してもよいし、表示装置とは別に存在していてもよい。
入力部10は、画像信号A0を入力し、その表色系、例えば、相対色空間であるRGB表色系を絶対色空間であるXYZ表色系に変換して、XYZ表色系の画像信号A1を生成し、色域変換部20及びモノクロ・色域変換部30に出力する。
色域変換部20は、3行3列の行列M(マトリクスM)を記憶し、XYZ表色系の画像信号A1を行列Mの逆行列で線形変換してリニアRGB表色系のカラー画像信号A2を生成し、範囲外判定部40及び信号選択部50に出力する。ここで、色域変換部20には、行列Mの逆行列が記憶されていてもよい。
モノクロ・色域変換部30は、3行3列の行列Mを記憶し、XYZ表色系の画像信号A1をモノクロ変換してXYZ表色系のモノクロ画像信号B1を生成し、モノクロ画像信号B1を行列Mの逆行列で線形変換してリニアRGB表色系のモノクロ画像信号B2を生成し、信号選択部50に出力する。
範囲外判定部40は、カラー画像信号A2のR、G及びB値に基づいて、表示装置が画像信号A0に係る画像を画像信号A0にそれぞれ対応する輝度及び色で表示できるか判定し、判定信号C0〜C3を信号選択部50に出力する。判定信号C0〜C3の詳細については後述する。
信号選択部50は、判定信号C0〜C3に基づいて、画像信号A0に係る画像の画素毎に、カラー画像信号A2又はモノクロ画像信号B2を選択して、ガンマ補正部60に出力する。また、信号選択部50は、カラー画像信号A2を出力するときに、そのR、G又はB値が0.0より小さいときは0.0に制限して(クリップして)、1.0より大きいときは1.0に制限して出力する。
ガンマ補正部60は、リニアRGB表色系のカラー画像信号A2又はモノクロ画像信号B2を、表示装置のガンマ特性に合うようにガンマ補正を行い、カラー画像信号A3又はモノクロ画像信号B3を表示装置に対して出力する。
なお、画像処理装置1が実現する各構成要素は、例えば、コンピュータである画像処理装置1が備える演算装置(図示せず)の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、画像処理装置1は、記憶部(図示せず)に格納されたプログラムを主記憶装置(図示せず)にロードし、演算装置の制御によってプログラムを実行して実現する。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、画像処理装置1に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって画像処理装置1に供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線や光ファイバ等の有線通信路を介して、又は、無線通信路を介して、プログラムを画像処理装置1に供給できる。
続いて、本実施の形態に係る画像処理装置1の動作、すなわち、画像処理方法について説明する。
図2は、本実施の形態に係る画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
画像処理装置1が動作を開始すると、入力部10が画像信号A0をXYZ表色系に変換して画像信号A1を生成する(ステップS10)。
次に、色域変換部20がXYZ表色系の画像信号A1を行列Mの逆行列で線形変換してリニアRGB表色系のカラー画像信号A2を生成する(ステップS20)。
図3は、本実施の形態に係る色域変換部20の動作を説明するための図である。
線形変換に用いる行列Mは次のようにして算出する。
まず、表示装置に表示したRGB出力の各々をXYZ測定(三刺激値測定)して得られたXYZ値を各成分とする3行3列の行列M0を算出する。このときの表示輝度は任意の値でよい。


ここで、行列M0の成分Rx、Ry、Rzには表示装置にR(赤)を表示したときの測定値X、Y、Zを用い、成分Gx、Gy、GzにはG(緑)を表示したときの測定値X、Y、Zを用い、成分Bx、By、BzにはB(青)を表示したときの測定値X、Y、Zを用いる。ここで、行列M0の成分を決定するために、フィルタ式のセンサや分光式のセンサなどを用いて白色光を表示させてRx、Ry、Rzを測定してもよい。
そして、行列M0を、表示装置の白点の輝度Yw(=Ry+Gy+By)、及び、表示装置の白点の最大輝度値(例えば、1000[cd/m])と入力画像信号A0の白点の最大輝度値(例えば、10000[cd/m])との比YwRを用いて正規化して3行3列の行列Mを算出する。このとき、行列Mは



で表すことができる。
例えば、SMPTE(Society of Motion Picture & Television Engineers:米国テレビ技術者協会)が提唱する広いダイナミックレンジを持つ映像規格「SMPTE ST 2084」では白点の最大輝度値を10000[cd/m]と規定しており、SMPTE ST 2084に準拠する画像を入力するときは、入力画像信号A0の白点の最大輝度値として10000[cd/m]を用いる。
そして、色域変換部20は画像信号A1を行列Mの逆行列で線形変換してカラー画像信号A2を生成する。
画像信号A1のXYZ値を、例えば、X1、Y1、Z1とすると、色域変換後のカラー画像信号A2のリニアRGB値は、次の(1)式により算出される。


色域変換部20は、3行3列の行列Mの逆行列を用いた画素毎の線形変換を行うので、最大限の変換精度を確保することができる。また、3D−LUT方式を用いるときのような補間演算が不要で、処理も早い。また、画像信号A1がCIE XYZフォーマットで絶対色空間であるため、変換パラメータ(行列Mの逆行列)は1つで良く、3D‐LUT方式を用いるときのように入力信号の規格毎にそれぞれLUTデータを用意する必要がない。
また、色域変換部20は、行列Mの逆行列を用いた符号付固定小数点演算又は浮動小数点演算を行うので、線形変換後の値はビデオ出力値の範囲外(最大値で正規化した場合は0未満、1以上)の値をとることができる。この変換で範囲外となった信号が表示装置で表示できない輝度又は色と同義であり、行列演算結果から簡単に輝度及び色の表示範囲の内外を判定することができる。
次に、範囲外判定部40が、画像信号A0に係る画像の画素毎に、カラー画像信号A2のR、G、B値としきい値0、1とを比較して、表示装置が当該画素の輝度及び色を、画像信号(入力画像データ)A0に対応する輝度及び色で表示できるか判定し、判定信号C0〜C3を出力する(ステップS30)。
図4は、本実施の形態に係る範囲外判定を説明するための図である。図4(a)は従来のxy色度図であり、図4(b)はxy色度図にY(輝度)軸を新たに追加したものを図4(a)の矢印の方向と同じ方向で視た図である。どちらの図も、R信号に注目した場合のR信号値による領域分けの例を示している。
図4において、座標aは白色(1,1,1)を、座標bは黄色(1,1,0)を、座標cはシアン(0,1,1)を、座標dは青色(0,0,1)を、座標eはマゼンダ(1,0,1)を、座標fは赤色(1,0,0)を、座標gは緑色(0,1,0)をそれぞれ示す。
図4(a)の従来のxy色度図では、RGB信号それぞれについて、0未満又は0.0以上1.0以下の値しか表現できず、表示の色の範囲外判定にしか利用することができなかった。ここでは、点aefbを結ぶ線の内部の領域αがR=1の範囲であり、点abgcdeを結ぶ線の内部の領域βが0≦R≦1の範囲である。
これに対し、図4(b)のxy色度図にY軸を新たに追加したものでは、RGB信号がどのような値でも表現できるようになり、表示の明るさ及び色の範囲外判定に利用することができる。ここでは、面γ、δより向こう側にある立体部分(図示せず)が0≦R≦1の範囲であり、面α、βより向こう側にある立体部分(図示せず)が1<Rの範囲である。
そこで、範囲外判定部40は、カラー画像信号A2のR値、G値、B値の少なくとも1つが、境界面(R、G又はB=1)よりも大きいときに、その画素の明るさが表示範囲外であると判定する。
範囲外判定部40が行う判定の内容及び範囲外判定部40が出力する判定信号の種類を表1に示す。

例えば、範囲外判定部40は、カラー画像信号A2のある画素のR、G及びB値が0以上、1以下のときに、輝度、色共に表示装置の表示可能範囲内であるとして、その画素について判定信号C0を出力する。
また、ある画素のR及びG値が0以上、1以下で、B値が0よりも小さいときに、輝度は表示可能範囲内であるが、色は表示可能範囲外であるとして、その画素について判定信号C1を出力する。
また、ある画素のB値が0よりも小さく、G値が1よりも大きいときに、輝度、色共に表示装置の表示可能範囲外であるとして、その画素について判定信号C3を出力する。
一方、モノクロ・色域変換部30は、画像信号A1に対して、モノクロ変換及び色域変換を行う。
図5は、本実施の形態に係るモノクロ・色域変換部30の動作を説明するための図である。
まず、モノクロ変換部32がXYZ表色系の画像信号A1をそのY値を用いて次の(2)式のようにX’Y’Z’変換してXYZ表色系のモノクロ画像信号B1を生成する(ステップS40)。

Xm = Xw × Y
Ym = Yw × Y ・・・(2)
Zm = Zw × Y
このとき、係数Xw、Yw、Zwは、係数Ywを1.0に固定して、係数Xw、Zwを既定の比率で設定する。係数Ywを1.0に固定することで、入力した画像信号A1の輝度と、出力するモノクロ画像信号B1の輝度とを揃えることができ、モノクロ変換後も画像信号A1の最大輝度を保つことができる。
モノクロ変換部32では、係数Xw、Yw、Zwにより、任意の色温度(暖色、寒色、ニュートラルなど)のモノクロ画像を生成することができ、また、変換の基準がY値であるため、どのような色味のモノクロ画像でも正確な明るさで変換することができる。
ここでは、モノクロ変換部32は、画像信号A1から3種類(3色、すなわち、緑、黄、赤)のモノクロ画像信号B1を生成する。
次に、色域変換部34が3行3列の行列Mの逆行列を用いてモノクロ画像信号B1を色域変換し、リニアRGB表色系の3種類のモノクロ画像信号B2を生成する(ステップS50)。色域変換部34の行列Mは、色域変換部20の行列Mと同一の行列である。このため、色域変換部20が色域変換部34を兼ねることができる。
次に、信号選択部50が、画像信号A0に係る入力画像の画素毎に、判定信号C0〜3に基づいて、カラー画像信号A2又は3種類のモノクロ画像信号B2のいずれかを選択する(ステップS60)。
次に、ガンマ補正部60が、リニアRGB表色系のカラー画像信号A2及びモノクロ画像信号B2を、表示装置のガンマ特性に合うようにガンマ補正を行う(ステップS70)。
その後、表示装置がカラー画像信号A3又はモノクロ画像信号B3に対して、必要な画像処理を行い、画面に画像を表示する。
図6は、本実施の形態に係る表示装置2の表示の状態を示す図である。表示装置2の画面3には、部屋の内部及び窓の外の景色が写った画像が表示されている。
画面3の中央下には、机の上の花4が写っているが、画像信号A0(又は、画像信号A2)の花4の色が表示装置2の表示可能範囲外であったために、範囲外判定部40の判定信号がC1となり、花4の領域はモノクロ(緑)で表示されている。
また、画面3の中央の横方向には、窓の外の景色(空5)が写っているが、画像信号A0の空5の輝度が表示装置2の表示可能範囲外であったために、判定信号がC2となり、空5の領域はモノクロ(黄)で表示されている。
また、画面3の中央の横方向には、窓の外の景色(パラソル6)が写っているが、画像信号A0のパラソル6の輝度、色共に表示装置2の表示可能範囲外であったために、判定信号がC3となり、パラソル6の領域はモノクロ(赤)で表示されている。
また、画面3の全体に部屋の内部7が写っているが、画像信号A0の部屋の内部(花以外)7の輝度、色共に表示装置2の表示可能範囲内であったので、判定信号がC0となり、部屋の内部(花以外)7の領域はカラーで表示されている。
このように、本実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法によれば、入力画像の輝度又は色が、表示装置2で表示可能であるかを一目で確認することができる。
なお、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法では、カラー画像信号A2のR、G、B値としきい値0、1とを比較して、表示装置2が画像を、画像信号A0に対応する輝度及び色で表示できるか判定したが、カラー画像信号A2の値が色域変換部20、範囲外判定部40などで変化するのであれば、しきい値0、1に代えて所定の第1及び第2のしきい値を用いるようにし、カラー画像信号A2のR、G、B値と第1及び第2のしきい値とを比較して、表示装置2が画像を、画像信号A0に対応する輝度及び色で表示できるか判定するようにしてもよい。
また、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法では、行列M0を、表示装置の白点の輝度Yw、及び、表示装置の白点の最大輝度値と入力画像信号A0の白点の最大輝度値との比YwRを用いて正規化して行列Mを算出したが、例えば、表示装置にCGを表示する場合には、CG作成ソフトウェアなどで規定された明るさに基づいて画像信号の出力コード値が明るさで規定されており、この規定された明るさの値を上記の入力画像信号A0の白点の最大輝度値として用いて行列M0を正規化して行列Mを算出すればよい。これにより、表示装置がCGをCG作成時に意図した明るさで表示できるか判定することができるようになる。
また、上記の入力画像信号A0の白点の最大輝度値として任意の輝度値を用いて行列M0を正規化すれば、表示装置がその明るさを表示できるか判定することができるようになる。例えば、画像を撮影するときに明るさ(輝度)を測定するなどして画像を撮影したときの明るさが分かっていれば、その明るさを用いて行列M0を正規化すれば、表示装置に画像を表示するときに、撮影時の明るさを再現できるか判定することができるようになる。
なお、行列M0を、最大輝度値の比YwRを用いずに、表示装置の白点の輝度Ywだけで正規化したときは、色の判定はできるが、明るさの判定ができない。
また、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法では、色域変換部が一つの行列Mを保持して色域変換を行っていたが、入力画像信号A0の全ての輝度(0〜255)毎に、又は、入力画像信号A0の所定の範囲の輝度毎に行列Mを用意して、保持するようにしてもよい。
図7は、他の実施の形態に係る画像処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
画像処理装置100は、画像処理装置1と比較すると、入力部110と色域変換部120との間に第1の信号パス選択部115を、また、色域変換部120と範囲外判定部140又は信号選択部150との間に第2の信号パス選択部125を更に備えている。また、色域変換部120は複数の行列M11、M12、・・・、Mnを有している。
第1の信号パス選択部115は、画像信号A1の輝度レベルに対応した行列Mを選択する。例えば、8ビット信号(0〜255)の場合、入力信号の輝度レベルが0〜15のときは行列M11を、輝度レベルが16〜64のときは行列M12を、また、輝度レベルが240〜255のときは行列Mnを選択する。
また、第1の信号パス選択部115は、1つのパスでよいときは、任意の行列M、例えば、最大値(255)に対応する行列Mnを選択する。
また、入力信号の輝度レベルが0〜15のときに用いる行列M11は、入力信号の輝度レベルが略中央の8のときの表示装置のRGB出力をXYZ測定して得られた行列M0を、表示装置の白点の輝度Yw、及び、表示装置の白点の最大輝度値と入力画像信号A0の白点の最大輝度値との比YwRを用いて正規化して算出する。
同様に、入力信号の輝度レベルが16〜64のときに用いる行列M12は、入力信号の輝度レベルが略中央の40のときのRGB出力をXYZ測定して得られた行列M0を、正規化して算出する。
液晶表示装置(LCD)のような表示装置は、例えば、図4(b)に示したように、輝度レベルによって表示できる色域が変化する、すなわち、Rx、Ry、Rzなどの比率が変化するので、入力画像信号の各輝度レベルに対応する行列Mを保持しておくことにより、明るさ及び色の表示判定をより正確に行うことができるようになる。
また、表示装置に最大輝度レベルの画像信号を入力して表示し、そのXYZ測定で得られたXYZ値による行列Mで、入力信号のすべての輝度レベルに対応して、表示装置が表示できる輝度又は色の範囲内かを判定するようにしてもよい。例えば、有機EL表示装置(OLED)のような表示装置は、輝度レベルによって表示できる色域が変化しない、すなわち、Rx、Ry、Rzなどの比率が変化しないので、一つの行列Mを用いて、入力画像信号が表示装置の表示できる輝度又は色の範囲内か判定することができる。
また、表示装置のバックライト、ランプなどの部品に応じて行列Mを用意して保持するようにしてもよい。
また、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法では、色域変換部20が予め行列Mを記憶しているものとしたが、表示装置が画像を表示する毎に、又は、所定のタイミングで行列Mを算出するようにしてもよい。例えば、記憶部(図示せず)に上記の行列M0を記憶しておき、演算装置(図示せず)が、画像信号A0に含まれる輝度情報を用いて上述のように行列M0を正規化して行列Mを算出し、当該行列Mを用いて、色域変換部20が色域変換をするようにしてもよい。これにより、より精度の高い表示判定をすることができる。例えば、上述したSMPTE ST 2084に準拠する画像では、出力コード値に輝度値が関連付けられており、このようなことが実現可能となる。
また、表示特性の経時変化が大きいような表示装置では、所定のタイミング毎にXYZ測定を行って行列Mを算出することにより、表示装置の経時変化によらず、より精度の高い表示判定をすることができる。
また、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法では、入力信号が表示装置の明るさ又は色の表示範囲内であるときにカラー表示を行い、入力信号が表示装置の明るさ又は色の表示範囲外であるときに警告のためのモノクロ表示を行ったが、表示範囲内であるときにモノクロ表示を行い、表示範囲外であるときにカラー表示を行ってもよい。モノクロ表示も3色を使わずに、1色だけを使うようにしてもよい。このときは、判定信号は、C0、C1の2種類だけとなる。
また、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法では、表示判定をしたときに、判定信号に応じてカラー表示又はモノクロ表示を行ったが、表示判定をしないとき、すなわち、通常の画像表示をするときは、入力信号が表示装置の明るさ又は色の表示範囲内であるときにはそのまま表示し、入力信号が表示装置の明るさ又は色の表示範囲外であるときには、信号選択部50でクリップした信号を表示するようにしてもよい。
また、実施の形態に係る画像処理装置又は画像処理方法を、色域変換及び範囲外判定を行う表示判定装置又は表示判定方法などとして構成してもよい。
上述したように、実施の形態に係る画像処理装置1は、XYZ表色系の入力画像信号を判定対象の表示装置2に表示させた画像を測定して得られたXYZ値を所定の輝度値で正規化した値を成分とする行列Mの逆行列でリニアRGB表色系の出力画像信号A2に変換する第1の色域変換部20と、出力画像信号A2のR、G又はB値が所定値1よりも大きいときに、入力画像信号A1に係る画像を表示装置2が入力画像信号A1の各輝度に対応する明るさで表示することができないと判定する判定部40とを備えるものである。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、判定部40が、更に、出力画像信号A2のR、G又はB値が所定値0よりも小さいときに、入力画像信号A1に係る画像を表示装置2が入力画像信号A1の各色に対応する色で表示することができないと判定することが好ましい。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、所定の輝度値が、入力画像信号A1に含まれる輝度情報に含まれる輝度値であることが好ましい。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、XYZ値を記憶する記憶部と、所定のタイミングで所定の輝度値を取得して、行列を算出する行列算出部とを更に備えることが好ましい。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、所定の輝度値が、入力画像信号A1の最大輝度レベルの輝度値であることが好ましい。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、所定の輝度値が、入力画像信号A1に係る画像を撮像したときの輝度値であることが好ましい。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、行列Mは、入力画像信号の輝度値毎に、又は、入力画像信号の所定の範囲の輝度値毎に用意された行列M11〜Mnであることが好ましい。
また、実施の形態に係る画像処理装置1は、モノクロ・色域変換部30と、選択部50とを更に備え、モノクロ・色域変換部30は、入力画像信号A1をモノクロ変換してXYZ表色系の入力モノクロ画像信号B1を出力するモノクロ変換部32と、入力モノクロ画像信号B1を行列Mの逆行列でリニアRGB表色系の出力モノクロ画像信号B2に変換する第2の色域変換部34とを有し、選択部50は、判定部40が表示装置2は入力画像信号A1の各輝度又は各色に対応する明るさ又は色で表示することができないと判定した画素については、出力画像信号A2又は出力モノクロ画像信号B2の一方を出力し、判定部40が表示装置2は入力画像信号A1の各輝度又は各色に対応する明るさ又は色で表示することができると判定した画素については、出力画像信号A2又は出力モノクロ画像信号B2の他方を出力することが好ましい。
また、実施の形態に係る表示判定方法は、判定対象の表示装置2に表示させた画像を測定して得られたXYZ値を所定の輝度値で正規化した値を成分とする行列Mを用いる表示判定方法であって、XYZ表色系の入力画像信号A1を行列Mの逆行列でリニアRGB表色系の出力画像信号A2に変換するステップS20と、出力画像信号A2のR、G又はB値が所定値1よりも大きいときに、入力画像信号A1に係る画像を表示装置2が入力画像信号A1の各輝度に対応する明るさで表示することができないと判定するステップS30とを有するものである。
1、100 画像処理装置
2 表示装置
10、110 入力部
20、120 色域変換部(第1の色域変換部)
30、130 モノクロ・色域変換部
32 モノクロ変換部
34 色域変換部(第2の色域変換部)
40、140 範囲外判定部
50、150 信号選択部
60、160 ガンマ補正部
115 第1の信号パス選択部
125 第2の信号パス選択部

Claims (6)

  1. XYZ表色系の入力画像信号を、判定対象の表示装置に表示させた測定用画像を測定して得られたXYZ値を所定の輝度値で正規化した値を成分とする行列の逆行列で、リニアRGB表色系の出力画像信号に変換する第1の色域変換部と、
    前記出力画像信号のR、G又はB値が第1の所定値よりも大きいときに、前記入力画像信号に係る画像を前記表示装置が前記入力画像信号の各輝度に対応する明るさで表示することができないと判定する判定部とを備え、
    前記所定の輝度値が、前記入力画像信号の最大輝度レベルの輝度値である
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記判定部は、更に、前記出力画像信号のR、G又はB値が第2の所定値よりも小さいときに、前記入力画像信号に係る画像を前記表示装置が前記入力画像信号の各色に対応する色で表示することができないと判定する
    請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記XYZ値を記憶する記憶部と、
    所定のタイミングで前記所定の輝度値を取得して、前記行列を算出する行列算出部と
    を更に備える
    請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
  4. 前記行列は、入力画像信号の輝度値毎に、又は、入力画像信号の所定の範囲の輝度値毎に用意された行列である
    請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
  5. モノクロ・色域変換部と、選択部とを更に備え、
    前記モノクロ・色域変換部は、
    前記入力画像信号をモノクロ変換してXYZ表色系の入力モノクロ画像信号を出力するモノクロ変換部と、
    前記入力モノクロ画像信号を前記行列の逆行列でリニアRGB表色系の出力モノクロ画像信号に変換する第2の色域変換部とを有し、
    前記選択部は、前記判定部が前記表示装置は前記入力画像信号の各輝度又は各色に対応する明るさ又は色で表示することができないと判定した画素については、前記出力画像信号又は前記出力モノクロ画像信号の一方を出力し、前記判定部が前記表示装置は前記入力画像信号の各輝度又は各色に対応する明るさ又は色で表示することができると判定した画素については、前記出力画像信号又は前記出力モノクロ画像信号の他方を出力する
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の画像処理装置。
  6. 判定対象の表示装置に表示させた測定用画像を測定して得られたXYZ値を所定の輝度値で正規化した値を成分とする行列を用いる表示判定方法であって、
    XYZ表色系の入力画像信号を、前記行列の逆行列でリニアRGB表色系の出力画像信号に変換するステップと、
    前記出力画像信号のR、G又はB値が第1の所定値よりも大きいときに、前記入力画像信号に係る画像を前記表示装置が前記入力画像信号の各輝度に対応する明るさで表示することができないと判定するステップとを有し、
    前記所定の輝度値が、前記入力画像信号の最大輝度レベルの輝度値である
    ことを特徴とする表示判定方法。
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