JP6609872B2 - 下肢関節手術用牽引手術台、接続マットユニット及び下肢関節手術用牽引手術台設置・収納システム - Google Patents

下肢関節手術用牽引手術台、接続マットユニット及び下肢関節手術用牽引手術台設置・収納システム Download PDF

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Description

本発明は、下肢関節手術用牽引手術台、接続マットユニット及び下肢関節手術用牽引手術台設置・収納システムに関する。
下肢関節の軟骨の変形や硬化等によって下肢関節の機能が低下した患者は、下肢関節の可動性が低下しているだけでなく痛みも伴う場合が多く、日常生活に制限が加わりQOLが低下してしまうといった問題がある。これら患者に対しては、下肢関節に対する手術(下肢関節手術)が必要となる。
ところで、下肢関節手術においては、患者の下肢関節に対して十分な手術対象領域を確保する必要から、下肢関節を牽引、伸展、内転、内外旋等行う必要がある。公知の下肢関節手術用牽引手術台として、例えば下記特許文献1乃至3には、テーブルマットとトラクションフレームを備えた構造であって、通常の手術台の上にテーブルマットを設置し、トラクションフレームを接続することにより下肢の牽引、伸展、内転、内外旋を同時に保持するとともに、牽引及び伸展する際のリリース機能を一段階で行う技術が開示されている。
欧州特許公開1604629号公報 米国特許第7316040号明細書 米国特許公開20052684001号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、牽引・伸展それぞれにおける解放操作を一度に行ってしまうため、牽引・伸展いずれか一方のみの解放操作を行おうとする場合であっても、他方の解放操作が行われてしまうため、改めて牽引・伸展双方を行わなければならないといった課題が残り、また、意図しない解放操作による手術対象者及び操作を行う者の安全性への懸念も残る。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、牽引・伸展の操作に対する利便性を損なうことなく、牽引・伸展を確実に行うことのできる下肢関節手術用牽引手術台を提供することを目的とする。
また一方で、下肢関節手術用牽引手術台は、手術台本体にジョイント部を介して接続するものであるが、下肢関節手術用牽引手術台は一般に重く、素材を軽量な金属等に変えたとしても片手で軽く持ちあげることができるほどまで現在は軽量化を図ることができていない。従って、下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に設置する作業は容易ではない。
そこで、本発明は、上記のほかに、より容易に下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に設置できるようにする下肢関節手術用牽引手術台設置・収納システムを提供することも目的の一つとする。
すなわち、上記課題を解決する本発明の一観点に係る下肢関節手術用牽引手術台は、二本の平行な棒状部材を備えたメインフレームを有するメインフレーム部と、メインフレームに沿って移動可能である移動フレーム、移動フレームに設置され手術対象者の足を固定するための足固定部、を備える位置調整部と、位置調整部に接続され、メインフレーム部を支持するとともにメインフレーム部の傾きを調整可能な支持脚部と、を有する下肢関節手術用牽引手術台であって、位置調整部は、メインフレームに沿った移動動作及び支持脚部の傾き調整動作を固定する第一のモード、メインフレームに沿った移動動作を解放し支持脚部の傾き調整動作を固定する第二のモード、メインフレームに沿った移動動作及び支持脚部の傾き調整動作を解放する第三のモード、を一つのグリップの握り動作で設定することのできるグリップ部、を備える。
また、本発明の他の一観点に係る接続マットユニットは、手術台本体の設けられる接続マットと、接続マットの下部に接続され、金属硬線からなるグリッド線が配置された透明部材を備えてなるグリッド表示部材を備える。
また、上記課題を解決する本発明の他の一観点に係る下肢関節手術用牽引手術台設置・収納システムは、二本の平行な棒状部材を備えたメインフレームを有するメインフレーム部と、メインフレームに沿って移動可能である移動フレーム、移動フレームに設置され手術対象者の足を固定するための足固定部、を備える位置調整部と、位置調整部に接続され、メインフレーム部を支持するとともにメインフレーム部の傾きを調整可能な支持脚部と、を有する下肢関節手術用牽引手術台と、下肢関節手術用牽引手術台を収容する空間を形成するよう配置される、下端にローラーが付された四本の支柱フレームと、四本の支柱フレームをつなぐ接続フレームと、メインフレームを支持しつつメインフレームの支持高さを調節するフレーム高さ支持部材を備える下肢関節手術用牽引手術台キャリアと、を備える。
以上、本発明により、牽引・伸展の操作に対する利便性を損なうことなく、牽引・伸展を確実に行うことのできる下肢関節手術用牽引手術台が提供される。
また、本発明によって、より容易に下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に設置できるようにする下肢関節手術用牽引手術台設置・収納システムが提供される。
実施形態に係る下肢関節手術用牽引手術台の概略を示す図である。 実施形態に係るメインフレームの概略を示す図である。 実施形態に係る手術台本体の一部とジョイント部、メインフレームの接続関係を示す図である。 実施形態に係る手術台本体とジョイント部、メインフレームの接続関係を示す図である。 実施形態に係る接続固定部材を左右双方に接続する場合の概略図である。 実施形態に係るメインフレームとジョイント部の接続関係の一例を示すイメージ図である。 実施形態に係るグリップ部の構造の概略を示す図である。 実施形態に係る支持フレームの回転移動のイメージを示す図である。 足固定フレームの回転移動のイメージを示す図である。 実施形態に係る回転制御部の構造の概略を示す図である。 実施形態に係る支持フレーム位置調整量表示部のイメージを示す図である。 実施形態に係る支持フレームの回転移動のイメージを示す図である。 実施形態に係るブーツの概略を示す図である。 実施形態に係る傾き表示部のイメージを示す図である。 実施形態に係るトレーの概略を示す図である。 実施形態に係るトレーの脚部材の下端面のイメージを示す図である。 実施形態に係るトレー(非手術側)の概略を示す図である。 実施形態に係る接続マットユニットの概略を示す図である。 実施形態に係る接続マットユニット近傍の概略を示す図である。 実施形態に係る接続マットユニット近傍の概略を示す図である。 実施形態に係る下肢関節手術用牽引手術台システムの概略を示す図である。 実施形態に係るキャリアの概略を示す図である。 実施形態に係るキャリアにおける高さ調節部材の概略を示す図である。 実施形態に係るキャリアを用いて下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に設置する場合のイメージを示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載される例示にのみ限定されるわけではない。
図1は、本実施形態に係る下肢関節手術用牽引手術台(以下「本牽引手術台」という。)の概略を示す図である。本図で示すように、本牽引手術台1は、二本の平行な棒状部材211を備えたメインフレーム21を有するメインフレーム部2と、メインフレーム21に沿って移動可能である移動フレーム31、移動フレーム31に設置され手術対象者の足を固定するための足固定部32、を備える位置調整部3と、位置調整部3に接続され、メインフレーム部2を支持するとともにメインフレーム部2の傾きを調整可能な支持脚部4と、を有する。
本牽引手術台1は、これとは別の手術台本体Aに接続されており、手術台本体Aには手術対象者の上肢を、下肢を本牽引手術台1に載せ、本牽引手術台に手術対象者の足を固定する。そして手術対象者の下肢、具体的には脚に対し牽引、伸展等の操作を行い、手術対象者の体勢を手術を行う者(施術者)が手術を行いやすいよう、手術対象者の体勢を整える。より詳細な動作については後述の記載から明らかとなる。
また、手術台本体Aには接続マットMが設置されており、本牽引手術台1は、接続マットMに接続され、ジョイント部22を介して接続されている。
本牽引手術台1において、メインフレーム部2は、本牽引手術台1の基本骨格を構成する部材であり、二本の平行な棒状部材211を備えたメインフレーム21、手術台本体(図示省略)に接続するためのジョイント部22を備えている。メインフレーム部2の概略図について図2に示しておく。
本実施形態のメインフレーム21の二本の棒状部材211の平行な状態は、二本の棒状部材が一対の固定部材212に固定されることで実現されている。なおこの固定方法としては限定されるわけではなく、例えば固定部材212に棒状部材211を挿入し、これらをねじ止め等することによって達成できる。なおここで「平行」とは、完全な平行を含むことはもちろんであるが、製造上の誤差を含む概念であって、数度程度の誤差は許容することができる。以下「平行」という場合においてすべて同じである。本実施形態では、メインフレーム21に位置調整部を配置するため、二本の棒状部材211としこの各々に位置調整部材を支持させることで位置調整部の向き、位置を安定させることができる。
また本実施形態のメインフレーム21においては、二本の棒状部材211のほか、二本の棒状部材211に平行に配置されるガイド用棒状部材213を備えている。本実施形態において、このガイド用棒状部材213は、上記二本の棒状部材211の間に配置されており、上記固定部材212に固定されている。このガイド用棒状部材213の機能については後で説明するが、延伸方向に沿って表面に溝が設けられており、位置調整部3によって把持されやすくなっている。
また本実施形態では、上記のとおり、メインフレーム21に接続され、これをさらに手術台本体に接続するためのジョイント部22を備えている。図3は、手術台本体の一部(接続マットの一部)と、このジョイント部22、メインフレーム21の接続関係を示す図である。
本実施形態において、ジョイント部22は、上記のとおり、メインフレーム21と手術台本体Aとを確実に接続することができる限りにおいて限定されるわけではないが、手術台本体に接続するための接続固定部材221、接続固定部材221から、手術台本体部の短軸方向に延伸する短軸側延伸部材222、短軸側延伸部材222に接続され手術台本体部の長軸方向に延伸するとともにメインフレーム21に接続される長軸側棒状部材223を備えている。
図3、4は、本実施形態における接続固定部材221の概略を示す図である。本図で示すように接続固定部材221は、手術台本体Aに設置される接続マットMの下側に設置されるガイドに、ネジ等の固定具によって固定される。なお図4は、手術台本体Aを除いた接続マットMを示す図である。非手術側に設置するマットは接続マットの下部に掘られた溝を介して着脱可能である。なお、この接続固定部材はナックル形状となっており、180度回転させることで左右いずれにも対応可能であり、場合によっては左右両方に設置することもできる。この場合の図を図5に示しておく。
なお、本実施形態に係るジョイント部22は、上記の構成の結果、手術台本体に対し、右足側及び左足側のいずれ側としても設置可能となっている。この結果、部品数を削減することが可能となり、より安価な下肢関節手術用牽引手術台を提供することができる。
また本実施形態において、短軸側延伸部材222は、接続固定部材221に接続され、手術台本体部から短軸方向に延伸するよう構成されている部材である。短軸側延伸部材222の構成は、特に限定されるわけではないが、棒状の部材であって断面が円形状の軸部材であることは好ましい一例である。このようにすることで、長軸側棒状部材223をこの短軸側延伸部材222を中心に回転可能となるよう接続し、メインフレームの傾きを調整させるようにすることができるようになる。
また本実施形態において、長軸側棒状部材223は、上記のとおり、メインフレーム21と手術台本体とを接続する部材であり、より具体的には、メインフレーム21と短軸側延伸部材222とを接続するものである。また、本実施形態において、長軸側棒状部材223は、短軸側延伸部材222に対し回転可能に接続されている。この結果、上記のように、メインフレームの傾きを調整することができるようになる。
また本実施形態において、メインフレーム21とジョイント部22は固定されていても良いが、着脱可能となっている構造としても良い。限定されるわけではないが、例えば、メインフレーム21の固定部材212に長軸側棒状部材223を挿入することのできる孔を形成し、長軸側棒状部材223をこの孔に挿入した後、ピン等を固定部及びジョイント部棒状部材223に貫通させることで固定しても良い。この場合のイメージ図を図6に示しておく。
また本牽引手術台1における位置調整部3は、手術対象者の足を固定し、足の位置を調節することで手術を行いやすくするための部材である。本実施形態における位置調整部3の構成は、メインフレーム21に沿って移動可能である移動フレーム31、移動フレーム31に設置され手術対象者の足を固定するための足固定部32、を備える。
本実施形態において、移動フレーム31は、上記のとおり、位置調整部3全体がメインフレーム21に沿って移動可能とするとともに、位置調整部3の構成部材を保持又は収容することができる骨格となる部材である。移動フレーム31の構成は、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、メインフレーム21の二本の棒状部材211それぞれを貫通させる貫通孔311が形成されていることが好ましい。このようにすることで棒状部材上を摺動することができるようになる。
また本実施形態において、位置調整部3は、メインフレーム21に沿った移動動作及び支持脚部の傾き調整動作を固定する第一のモード、メインフレームに沿った移動動作を解放し支持脚部の傾き調整動作を固定する第二のモード、メインフレームに沿った移動動作及び前記支持脚部の傾き調整動作を解放する第三のモード、を一つのグリップの握り動作で順次設定することのできるグリップ部33、を備える。上記のとおり、公知の技術では、牽引・伸展それぞれにおける解放操作を一度に行ってしまうため、牽引・伸展いずれか一方のみの解放操作を行おうとする場合であっても、他方の解放操作が行われてしまうため、改めて牽引・伸展双方を行わなければならないといった課題が残り、また、意図しない解放操作による手術対象者及び操作を行う者の安全性への懸念も残る。これに対し上記の構成を採用することで、牽引・伸展の操作に対する利便性を損なうことなく、牽引・伸展を確実に行うことができるようになる。
本実施形態におけるグリップ部33の構成としては、特に限定されるわけではないが、グリップ331、このグリップ331の握り込み量を伝達する伝達部材332、この伝達部材332の移動量に応じてする上下する第一の抑え部材333、第二の抑え部材334と、を備えて構成されている。このグリップ部の構造の概略について、図7(a)〜(c)に示しておく。
本実施形態において、グリップ331は、本牽引手術台の傾きを調整しようとする者(以下「使用者」という。)が、傾きを調整しようとする際に握るものである。グリップ331にはバネ等の付勢手段が付されており、力を入れて握ると筐体に押し込むことができ、力を抜くと元の位置に戻るようになっている。
伝達部材332は、上記のとおり、グリップ331の握り込み量を伝達する部材である。
また本実施形態において第一の抑え部材333、第二の抑え部材334は、それぞれ伝達部材332に接続されており、グリップ331の握り込み量をに応じてその位置が変化し、抑える対象の固定又は解放を制御することができる。
本実施形態において第一の抑え部材333は、位置調整部3の移動、より具体的にはメインフレーム21の棒状部材211に沿った移動を固定又は解放するために用いられるものである。さらに具体的に説明すると、第一の抑え部材333は、グリップを握っていない場合はメインフレーム部2のガイド用棒状部材213の溝に嵌めあわされており、その位置を固定している(第一のモード)。一方、グリップを軽く握った状態では伝達部材により持ち上げられることでこの溝から離れることとなるため、位置調整部3のメインフレーム21の棒状部材の延伸方向に移動させることが可能となる。ただし、第一の抑え部材333と第二の抑え部材334とは移動するために必要な伝達部材の握りこみ量が異なるため、グリップを軽く握った状態ではまだ第二の抑え部材334はまだ固定先(溝が掘られた軸411)を固定している(第二のモード)。
本実施形態において第二の抑え部材334は、メインフレーム部2の傾きを固定又は解放するために用いられるものであり、具体的には支持脚部4を固定又は解放することで傾きを固定又は調整することができる。更に具体的には、後述する支持脚部4の溝が掘られた軸411にかみ合わせられて支持脚部4の動きを固定、解放するものであって、伝達部材332の移動にあわせて上下する。特に、この第二の押さえ部材334は、バネ等の付勢部材を介して伝達部材332に抑えられており、第一の押さえ部材が上がった後もさらに一定の長さだけ支持脚部4を固定し、さらにグリップが握りこまれた場合に、溝が掘られた軸411を解放することができる。
また本実施形態では、位置調整部3に、足固定部32が配置されている。足固定部32は文字通り手術対象者の足を固定するためのものである。足固定部32の構造は、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、移動フレーム31に接続される足支持フレーム321、足支持フレーム321によって支持されるとともに手術者の足を固定するための足固定フレーム322、足固定フレーム322を回転させる回転ハンドル323、回転ハンドルの回転方向を制御する回転方向制御部324と、を備える。
本実施形態において、足支持フレーム321は、足固定フレーム322を支持するための部材であり、上記のとおり移動フレーム31に接続されている。なお足支持フレーム321は、後述のように、位置を調整することができるようになっており、移動フレームの一点に対して軸を中心に回転移動可能となるよう接続されている。この場合のイメージ図を図8に示しておく。
また本実施形態において足固定フレーム322は、手術対象者の足を固定するフレームであり、後述の記載から明らかであるが、ブーツの挿入部材に挿入され、ブーツごと手術対象者の足を固定することができる。なお足固定フレームは、支持フレーム321に対して軸を介して回転可能に接続されており、更に、後述の回転ハンドルにより更に他方向に回転可能となっている。この場合のイメージを図9に示しておく。
また本実施形態において回転ハンドル323は、上記の図で示すように、足固定フレーム322を回転させるものである。回転ハンドル323は足固定フレームに接続されていることが簡便な構成とするうえで好ましい。なお、本図では軸に対して一対の棒状部材伸びたハンドルとしているが、スティック状のハンドルとすることもできる。
ところで、本実施形態において、回転方向制御部324は、回転ハンドルの回転方向を制御するために用いられるものである。回転方向制御部324の構成は、特に限定されるわけではないが、例えば平行に配置され、溝の向きが反対となるよう組み合わされた一対のギア3241と、回転させることでこのギアのいずれか一方側に組み合わされる爪を供える棒状部材3242と、を備えて構成されていることが好ましい。この場合の概略図を図10に示しておく。このようにすることで、回転方向を制御することが可能となり、手術対象者の足の回転方向を制限し、安定的な固定を実現することができる。
さらに本実施形態において、足固定部は、足支持フレームの位置を調整するための支持フレーム位置調整部、支持フレームの位置調整量を表示する支持フレーム位置調整量表示部、を備えている。このイメージ図を図11に示しておく。
本実施形態において、支持フレーム位置調整部は、足支持フレームの位置を調整するための部材である。この限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、移動フレームに接続されたねじ溝が形成されてなる軸部材と、このねじ部材を回転させる回転ハンドルとを備えていることが好ましい。なおこの場合において、軸部材は足支持フレームを貫通するとともに、足支持フレームに上記軸部材のねじ溝に対応した突起が備えられ、この突起とねじ溝とを組み合わせることで、ハンドルを回転させねじ部材を回転させ、この回転に応じて支持フレームを移動させることができるようになる。
支持フレームの位置調整量を表示する支持フレーム位置調整量表示部は、上記のとおり、上記支持フレーム位置調整部の位置調整量を計測し、表示する機能を有するものである。支持フレーム位置調整量表示部の構造としては、この限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、回転ハンドルの回転量を計測し、表示するためのカウンタを備えていることが好ましい。この場合の例を図12に示しておく。
また本実施形態では、足固定フレームを挿入する挿入部材が裏面に固定されるとともに、手術対象者の足を配置する底部材、手術対象者の足両側部を覆う側部材、前記側部材を固定するバックル及びベルトを備え、バックルは、ベルトを二重に止める構造となっているブーツと、を有する。このブーツの概略について、図13に示しておく。
本図で示すように、本ブーツでは、ブーツの紐部材を一方側において二重に留める構造となっているため、より安定的に手術対象者の足を固定することができる。
また、本実施形態では、メインフレーム21の傾き角を表示するフレーム傾き角表示部213、を備えていることが好ましい。このようにすることで、現在どの程度メインフレームが傾いているのかを確認することができ、手術対象者の足を必要以上に傾けてしまうことを防止することができる。
なお、傾き角表示部としては、上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけではなく、傾き角を検出する角度センサと、この角度センサの検出した値を表示する表示装置とメインフレーム上に備えていてもよいが、角度を表示する分度器と、この分度器に組み合わせて配置される針部材と、を備えており、分度器は中心点を中心に回転可能になっていることも好ましい。本牽引手術台は手術台本体Aの高さによって適宜設定が異なり、その状態では支持脚部4の調整量がそれぞれ異なっている。そこで、メインフレームが平行になっている状態での支持脚部4の調整量を分度器を回転及び調整して基準となる零度とし、その後、支持脚部4を移動させた量を角度として把握することができるようになる。この場合のイメージ図を図14に示しておく。
また本牽引手術台1において、支持脚部4は、上記のとおり、位置調整部3に接続され、メインフレーム部2を支持するとともにメインフレーム部2の傾きを調整可能な部材である。
支持脚部4の構成としては、上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、移動フレーム31に支持される軸部材411と、この軸部材411に接続され、移動フレーム31に対して回転可能な棒状部材412と、この棒状部材412の下端に接続されるローラー413と、この棒状部材の回転に対して負荷を与える負荷部材414と、を備えている。
本実施形態において、軸部材411は、移動フレーム31に支持されており、上記したとおりグリップ部の制御によって回転の解放、固定が制御されるものである(例えば図7参照)。回転が固定される場合は、回転することができず、棒状部材も回転することができなくなる。この結果、棒状部材は動かず、メインフレームの傾きを一定に保つことができる。一方で、解放された場合、回転を自由に行うことができ、メインフレームの傾きを自由に制御することができるようになる。なお、軸部材411は、共通のものであっても良いが、棒状部材別々に備えられていることとしてもよい。また、軸部材411には溝が掘られており、上記第二の抑え部材がこの溝に嵌めあわされることで回転角度を固定し、抜かれることで回転角度を自由に調整できるようになる。
本実施形態において、棒状部材は、上記のとおり、軸部材411に接続されており、軸部材の回転に応じて回転する。棒状部材は、メインフレームをはさんで二本一対となるよう構成されていることが好ましい。このように構成することで、安定的にメインフレームを保持することができる。
また本実施形態において、ローラー413は、設置面上を滑らかに動くことができるよう棒状部材下端に配置される部材である。なお、本実施形態において、限定されるわけではないが、ローラー413は上記二本の棒状部材を貫通する軸を介して接続されていることが安定的な動作の観点から好ましい。
また本実施形態において負荷414は、上記のとおり棒状部材の回転に対して負荷を与えるものである。この負荷414を用いることで、急激な回転変化による不意の事故、例えば患者に対する急激な負荷がかかることを防止することができる。
また本牽引手術台1には、トレー5が配置される。本牽引手術台は、手術対象者の下肢を牽引・伸展させることができるものである一方、メインフレーム等の部材で構成されており、手術対象者の下肢の下には大きな空間が形成されることになる。この結果、例えば、手術対象者が本牽引手術台に足を固定する前は何らかの別の手段で足を支えなければならないといった問題がある。これに対し、本牽引手術台ではトレーを配置することで、手術前後又は手術中において、手術対象者の下肢を安定的に保持することができる。
そして、本実施形態に係るトレー5は、下端面511が、ジョイント部棒状部材223及びメインフレーム21の二本の棒状部材211の断面形状いずれかに合わせて形成されてなる少なくとも三本の脚部材51、三本の脚部材の上に配置されるマット部材52、を有する。図15は、本実施形態に係るトレーの概略を示す図である。
本実施形態において脚部材51は、ジョイント部22のジョイント部棒状部材223、メインフレーム21の二本の棒状部材211それぞれの上に配置され、マット部材52を支えるものである。三本以上脚部材を用いることで安定的に手術対象者の下肢を支えることが可能となる。
また本実施形態において、脚部材51の下端面は、ジョイント部棒状部材223、メインフレーム21の二本の棒状部材の断面形状に合わせて形成されていることが好ましい。具体的には、各棒状部材の断面形状の上半分、より具体的には半円形状に対応した断面を備えていることが好ましい。この下端面のイメージ図を図16に示しておく。
また、本実施形態では、限定されるわけではないが、さらに、非手術側に設置するトレーを備えていてもよい。非手術側に設置するトレーのマットの長さは特に限定されるわけではないが、殿部のみを保持する長さでも良いが、手術台の種類によっては下肢全体を支える長さであっても良い。この場合の例を図17に示しておく。本トレーは、手術側のトレーとは異なり、床まで脚部が伸びており、端面は平坦である。なお、限定されるわけではないが、非手術側にこのトレーを配置する代わりに、図4で示すような手術台本体に備えられるマットMの臀部を支えるマット部分を、下肢全体を支える長さとしたものとしておくことも好ましい形態である。この場合の例を図18に示しておく。
また本実施形態において、接続マットMには、そのガイドGの下に、金属硬線からなるグリッド線が配置された透明部材を備えたグリッド表示部材Gが配置されている。この概略を図19に示しておく。本実施形態によると、接続マットMの下側にこのグリッド表示部材を配置し、上部からX線等を放射する行うことで、手術対象者の体の一部及びこのグリッドを表示させることができるようになり、手術対象部位に関する位置調整が容易になるといった効果がある。
更に、本実施形態の接続マットMには、手術対象者の股関節を支えるためのポールPを上側に配置している一方、下ではジョイント部2の接続固定部を備え、本牽引手術台とを接続しているが、ポールPの一とジョイント部2の接続固定部の位置は長軸方向において同じではなく、ポールPよりも接続固定部がメインフレーム部側となるようずらして配置されている。このようにすることで、手術対象者の体を手術台本体長軸において本牽引手術台がわから遠ざけることが可能となり、ジョイント部と手術対象者の撮影箇所等の重複を避けてX線等の遮断を防止することができるようになるといった利点がある。この概略について図20に示しておく。なお接続マットMとこのポールPを合わせて接続マットユニットと表現する。
以上、本発明により、牽引・伸展の操作に対する利便性を損なうことなく、牽引・伸展を確実に行うことのできる下肢関節手術用牽引手術台が提供される。
(キャリアを含む下肢関節手術用牽引手術台システム)
ところで、本牽引手術台およびこの付属部品は、キャリアに収納され、下肢関節手術用牽引手術台システム(以下「本システム」という。)とすることができる。以下具体的に説明する。
上記のとおり、下肢関節手術用牽引手術台は、手術台本体にジョイント部材を介して接続するものであるが、下肢関節手術用牽引手術台は一般に重く、素材を軽量な金属等に変えたとしても片手で軽く持ちあげることができるほどまで現在は軽量化を図ることができていない。従って、下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に設置する作業は容易ではない。
そこで、本システムSでは、上記の牽引手術台、具体的には、二本の平行な棒状部材を備えたメインフレームを有するメインフレーム部と、メインフレームに沿って移動可能である移動フレーム、移動フレームに設置され手術対象者の足を固定するための足固定部、を備える位置調整部と、位置調整部に接続され、メインフレーム部を支持するとともに前記メインフレーム部の傾きを調整可能な支持脚部と、を有する下肢関節手術用牽引手術台1と、下肢関節手術用牽引手術台を収容する空間を形成するよう配置される、下端にローラーS11が付された四本の支柱フレームS1、四本の支柱フレームをつなぐ接続フレームS2、メインフレームを支持しつつメインフレームの支持高さを調節するフレーム高さ支持部材S3、を備えるキャリアCと、を備える。本システムSの概略を図21に、キャリアCのみの場合の概略図を図22にそれぞれ示しておく。
本システムにおける下肢関節手術用牽引手術台1は基本的には上記実施形態において説明した構造を採用することが好ましいが、メインフレーム部を備えているものであって、手術台本体に接続する部位を備えていれば特に限定されるものではない。
また本実施形態に係るキャリアC(以下「キャリアC」という。)は、上記のとおり、下肢関節手術用牽引手術台を収容する空間を形成するよう配置される、限定されるわけではないが、下端にローラーS11が付された四本の支柱フレームS1、四本の支柱フレームを各支柱の上部において繋ぐ接続フレームS2、メインフレームを支持しつつメインフレームの支持高さを調節するフレーム高さ支持部材S3を備えている。
本実施形態において支柱フレームS1は、上記のとおり、下肢関節手術用牽引手術台を収容する空間を形成する程度のものであれば適宜本数、大きさ、その材質は選択、調整可能である。また、本支柱フレームS1の下端には、上記のとおりローラーS11が付されている。このようにすることで、下肢関節手術用牽引手術台とともに移動が可能となり、手術台本体に対する平面的な位置を調整することができる。
また、本キャリアCは、四本の支柱フレームをつなぐ接続フレームS2を備えている。これも、下肢関節手術用牽引手術台を収納する空間を確保することができる限りにおいてその材質、大きさを適宜調整、選択することができる。ただしこの場合において、キャリアCを大きく持ち上げる等の特別な動作を用いることなくキャリアCと本牽引手術台とを分離させる必要から四本の支柱フレームの各上部で接続されていることが好ましい。
また本実施形態においては、下肢関節手術用牽引手術台のメインフレームを支持しつつメインフレームの支持高さを調節するフレーム高さ支持部材S3を備えている。この高さ支持部材の概略について図23に示しておく。この高さ支持部材は、メインフレームの支持高さを調節し、キャリアCによる支持のみでメインフレームを支え、ジョイント部材22を介して下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に接続、固定するために用いられるものである。これを用いることで非常に手軽に下肢関節手術用牽引手術台を設置できる。
より具体的に説明すると、高さ支持部材は、キャリアC設置面に略水平な面上を回転可能な回転フレームと、この回転フレームを上下させるための昇降機構を備えていることが好ましい。この昇降機構は限定されるわけではないが、例えば回転ハンドルと、この回転ハンドルを回転させることにより回転フレームCを上下させるチェーンとを備えていることは好ましい一例である。
この結果、本実施形態において使用者は、本牽引手術台をキャリアC内の空間に配置するとともに、メインフレーム部をこの高さ支持部材の回転フレームに支持させる。この結果、本牽引手術台及びキャリアCを同時に運ぶことができる。この場合は、キャリアCにより本牽引手術台が支持されているため、本牽引手術台を持ち上げる必要はない。
そして、本牽引手術台を設置する手術台本体に近づけ、メインフレーム部をフレーム高さ支持部材S3により調節し、高さ及び水平位置を調整した後、ジョイント部2を用いて本牽引手術台と手術台本体とを接続する。
そして、この下肢関節手術用牽引手術台を設置したあとは、回転フレームを前方向に回転させた後、キャリアCを引き抜き、下肢関節手術用牽引手術台と手術台のみを残すことができる。この場合のイメージ図を図24に示しておく。
一方、下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体から外す場合は、上記と逆の手順により本牽引手術台を外すことで簡便に下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体から外すことができる。
また、本実施形態では、キャリアCの内部にジョイント部22を収容するジョイント部収容部を設けておくことが好ましい。このようにすることで、キャリアC内に必要な部材一通り全てを収納させることができるようになり、非常に保管が容易となる。
以上の構成によって、より容易に下肢関節手術用牽引手術台を手術台本体に設置できるようにする下肢関節手術用牽引手術台システムが提供されることになる。
本発明は、下肢関節手術用牽引手術台及び下肢関節手術用牽引手術台システムとして産業上の利用可能性がある。

Claims (2)

  1. 二本の平行な棒状部材を備えたメインフレームを有するメインフレーム部と、
    前記メインフレームに沿って移動可能である移動フレーム、前記移動フレームに設置され手術対象者の足を固定するための足固定部、を備える位置調整部と、
    前記位置調整部に接続され、前記メインフレーム部を支持するとともに前記メインフレーム部の傾きを調整可能な支持脚部と、を有する下肢関節手術用牽引手術台であって、
    前記位置調整部は、前記メインフレームに沿った移動動作及び前記支持脚部の傾き調整動作を固定する第一のモード、前記メインフレームに沿った移動動作を解放し前記支持脚部の傾き調整動作を固定する第二のモード、前記メインフレームに沿った移動動作及び前記支持脚部の傾き調整動作を解放する第三のモード、を一つのグリップの握り動作で設定することのできるグリップ部、を備えており、
    前記グリップ部は、前記グリップと、第一の抑え部材と、第二の抑え部材と、前記グリップを握る力を抜くと前記グリップが元の位置に戻るようにするための第一の付勢部材と、を備えており、
    前記第一の抑え部材は、前記グリップを握っていない状態では前記メインフレーム部のガイド用棒状部材の溝にかみ合うことにより前記移動フレームの前記メインフレームに沿った移動動作を固定する一方、前記グリップを軽く握り込んだ状態では前記溝から離れた状態とすることで前記移動フレームの前記メインフレームに沿った移動を解放することが可能であり、
    前記第二の抑え部材は、前記グリップを握っていない状態、及び、前記グリップを軽く握った状態では、前記支持脚部の溝にかみ合うことにより前記支持脚部の傾き調整動作を固定する一方、前記グリップを軽く握った状態から深く握った状態とした場合は前記支持脚部の溝から離れた状態となり前記支持脚部の傾き調整動作を解放することが可能である下肢関節手術用牽引手術台。
  2. 前記グリップ部は、
    前記グリップの握り込み込み量を前記第一の抑え部材に伝達する伝達部材と、
    前記第二の抑え部材と前記伝達部材の間に設けられ、前記移動フレーム部の前記メインフレームに沿った移動動作を解放するための前記グリップの握り込み量と前記支持脚部の傾き調整動作を解放するための前記グリップの握り込み量を異ならせるための第二の付勢部材と、を備えている請求項1記載の下肢関節手術用牽引手術台。
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