JP6608260B2 - カテーテルシステム - Google Patents

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本発明は、例えば不整脈等の治療に用いられ、患部の焼灼(アブレーション)を行う機構を備えたカテーテルシステムに関する。
アブレーションカテーテルは、血管を通して体内(例えば心臓の内部)に挿入され、不整脈の検査や治療等に用いられるものである。このような電極カテーテルでは一般に、体内に挿入された先端(遠位端)付近の形状が、体外に配置される基端(近位端、後端、手元側)に装着された操作部の操作に応じて、片方向あるいは両方向に変化(偏向、湾曲)するようになっている。また、このように先端の形状が操作に応じて任意に変化するタイプの他にも、先端付近の形状が固定になっているタイプのものも存在する。
アブレーションのための交流電力の供給方法として、アブレーションカテーテルのアブレーション電極と対極板との間に交流電力を供給する、いわゆるユニポーラ式と、一対のアブレーションカテーテルのアブレーション電極間に焼灼部位を狭持し、アブレーション電極間に交流電力を共有する、いわゆるバイポーラ方式が知られている。
特願2014−167382
バイポーラ方式のアブレーションは、アブレーション電極間の焼灼領域を深くすることができるという利点を有しており、たとえば、心室中隔のように、両方のアブレーション電極が同様な環境(ともに血液中)に置かれる場合には有効な手段である。しかし、心臓壁のように一方のアブレーション電極が血液中に浸り、他方のアブレーション電極が心臓外の環境に置かれ、アブレーション電極間でインピーダンスなどの条件が異なる場合には、焼灼効果にアンバランスが生じるという課題がある。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バイポーラアブレーションをバランスよく行うことができる技術の提供にある。
本発明のカテーテルシステムは、対極板と、焼灼対象となる壁状部位の一方の側面に配置される第1アブレーション電極を有する第1アブレーションカテーテルと、前記壁状部位の他方の側面に配置される第2アブレーション電極を有する第2アブレーションカテーテルと、前記対極板と前記第1アブレーション電極との間に第1交流電力を供給する第1電源部と、前記対極板と前記第2アブレーション電極との間に第2交流電力を供給する第2電源部と、前記第1交流電力および前記第2交流電力を調節する制御部とを備えたものである。前記第1交流電力と第前記2交流電力との間には、位相差が生じるように構成されている。前記制御部は、前記第1アブレーション電極の近傍の実測温度と、前記第2アブレーション電極の近傍の実測温度とが、それぞれ、予め設定された目標温度と略等しくなるように、前記第1交流電力および前記第2交流電力の大きさを調節することにより、前記第1アブレーション電極の近傍の前記壁状部位の温度と、前記第2アブレーション電極の近傍の前記壁状部位の温度との差が、小さくなるように制御する。
上記態様のカテーテルシステムにおいて、前記位相差を所定の値に制御する制御部を備えてもよい。前記位相差が略180度であってもよい。前記壁状部位が心臓壁であり、第1アブレーション電極が心内膜に接し、第2アブレーション電極が心外膜に接するように配置されてもよい。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、バイポーラアブレーションをバランスよく行うことができる。
実施形態1に係るカテーテルシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。 第1アブレーションカテーテルの概略構成を模式的に表した図である 第2アブレーションカテーテルの概略構成を模式的に表した図である アブレーションの際の第1アブレーションカテーテルおよび第2アブレーションカテーテルの配置を示す図である。 対極板と一方の先端電極との間に印加される電圧V1、対極板と他方の先端電極との間に印加される電圧V2および一方の先端電極と他方の先端電極との間の電位差(V1−V2)を示すグラフである。 実施形態2に係るカテーテルシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。 実施例に係るアブレーションシステムの効果を確認するための実験セットアップを示す模式図である。 比較例に係るアブレーションシステムの効果を確認するための実験セットアップを示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るカテーテルシステム400の全体構成例を模式的に表すブロック図である。カテーテルシステム400は、患者(この例では患者20)における不整脈等の治療の際に用いられる。図1に示すように、カテーテルシステム400は、第1アブレーションカテーテル1A、第2アブレーションカテーテル1B、対極板30、および電源装置300を備える。
(アブレーションカテーテル)
第1アブレーションカテーテル1Aは血管を通して患者20の体内、具体的には、心腔内に配置され、第2アブレーションカテーテル1Bは、心外膜アプローチにより患者20の体内、具体的には心膜腔に配置される。第1アブレーションカテーテル1Aと第2アブレーションカテーテル1Bとの間に患部を狭持した状態で、アブレーションすることで不整脈等の治療が行われる。アブレーションを行う際の第1アブレーションカテーテル1Aおよび第2アブレーションカテーテル1Bの配置については後述する。なお、第1アブレーションカテーテル1Aおよび第2アブレーションカテーテル1Bは、アブレーションの際に所定の灌注用の液体(例えば、生理食塩水等)を後述する先端P1側から流し出す(噴射させる)灌注機構を有してもよい。
図2、図3は、それぞれ、第1アブレーションカテーテル1A、第2アブレーションカテーテル1Bの概略構成を模式的に表した図である。第1アブレーションカテーテル1A、第2アブレーションカテーテル1Bの各構成は共通している。以下、第1アブレーションカテーテル1Aを例にとって詳細に説明する。第1アブレーションカテーテル1Aは、カテーテル本体としてのシャフト11A(カテーテルシャフト)と、このシャフト11Aの基端に装着された操作部12Aとを有している。
シャフト11Aは、可撓性を有する管状構造(管状部材)からなり、自身の軸方向(Z軸方向)に沿って延伸する形状となっている。また、シャフト11Aは、自身の軸方向に沿って延在するように内部に1つのルーメン(細孔、貫通孔)が形成されたいわゆるシングルルーメン構造、あるいは複数(例えば4つ)のルーメンが形成されたいわゆるマルチルーメン構造を有している。なお、シャフト11Aの内部において、シングルルーメン構造からなる領域とマルチルーメン構造からなる領域との双方が設けられていてもよい。このようなルーメンには、図示しない各種の細線(導線や操作用ワイヤ等)がそれぞれ、互いに電気的に絶縁された状態で挿通されている。
シャフト11Aの先端P1付近には、その先端P1付近(患部周辺)の温度を測定するための機構(温度測定機構)が設けられている。具体的には、シャフト11Aの内部のルーメンに、そのような温度を測定するための温度センサとしての熱電対等が挿通されている。なお、このようにして測定された先端P1付近の温度は、実測温度情報Tm1として第1アブレーションカテーテル1Aから電源装置300(より詳しくは制御部350)へと供給される。同様に、第2アブレーションカテーテル1Bの先端P1付近の温度は、実測温度情報Tm2として第2アブレーションカテーテル1Bから電源装置300(より詳しくは制御部350)へと供給される。
このようなシャフト11Aは、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリウレタン等の合成樹脂により構成されている。また、シャフト11Aの軸方向の長さは、約500〜1200mm程度(例えば1170mm)であり、シャフト11Aの外径(X−Y断面の外径)は、約0.6〜3mm程度(例えば2.0mm)である。
シャフト11Aの先端P1付近には、図2中の先端P1付近の拡大図に示したように、複数の電極(ここでは、3つのリング状電極111Aa、111Ab、111Acおよび1つの先端電極112A)が設けられている。具体的には、先端P1付近において、リング状電極111Aa、111Ab、111Acおよび先端電極112Aが、シャフト11Aの最先端側に向かってこの順で所定の間隔をおいて配置されている。また、リング状電極111Aa、111Ab、111Acはそれぞれ、シャフト11Aの外周面上に固定配置される一方、先端電極112Aは、シャフト11Aの最先端に固定配置されている。これらの電極は、前述したシャフト11Aのルーメン内に挿通された複数の導線(図示せず)を介して、操作部12Aと電気的に接続されるようになっている。
リング状電極111Aa、111Ab、111Acおよび先端電極112Aはそれぞれ、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、金(Au)、白金(Pt)等の、電気伝導性の良好な金属材料により構成されている。なお、第1アブレーションカテーテル1Aの使用時におけるX線に対する造影性を良好にするためには、白金またはその合金により構成されていることが好ましい。また、これらのリング状電極111Aa、111Ab、111Acおよび先端電極112Aの外径は、特には限定されないが、上記したシャフト11Aの外径と同程度であることが望ましい。
操作部12Aは、シャフト11Aの基端に装着されており、ハンドル121A(把持部)および回転板122Aを有している。
ハンドル121Aは、アブレーションカテーテル1Aの使用時に操作者(医師)が掴む(握る)部分である。このハンドル121Aの内部には、シャフト11Aの内部から前述した各種の細線がそれぞれ延伸している。
回転板122Aは、シャフト11Aの先端付近を偏向させる際の操作である、偏向移動操作(首振り操作)を行うための部材である。具体的には、ここでは図2中の矢印で示したように、回転方向d1に沿って回転板122Aを回転させる操作が可能となっている。
カテーテルシステム400では、不整脈等の治療の際に、第1アブレーションカテーテル1Aが血管を通して心腔内に配置され、第2アブレーションカテーテル1Bが心外膜アプローチにより心膜腔に配置される。このとき、操作者による操作部12Aの操作に応じて、体内に挿入されたシャフト11Aの先端P1付近の形状が、例えば片方向あるいは両方向に変化する。具体的には、操作者の指によって、例えば図2中の矢印で示した回転方向d1に沿って回転板122Aが回転されると、シャフト11A内で図示しない操作用ワイヤが、基端側へ引っ張られる。その結果、シャフト11Aの先端付近が、図2中の矢印で示した方向d2に沿って湾曲する。
(対極板30)
対極板30は、図1に示したように、アブレーションの際に患者20の体表に装着された状態で用いられる。後述するように、アブレーションの際に、患者20の体内に挿入された第1アブレーションカテーテル1Aのアブレーション電極と対極板30との間、および、患者20の体内に挿入された第2アブレーションカテーテル1Bのアブレーション電極と対極板30との間で、高周波通電がなされる。
図4は、アブレーションの際の第1アブレーションカテーテル1Aおよび第2アブレーションカテーテル1Bの配置を示す図である。第1アブレーションカテーテル1Aの先端電極112Aがアブレーションの対象となる壁状部位22の一方の側面に接するように配置される。また、第2アブレーションカテーテル1Bの先端電極112Bがアブレーションの対象となる壁状部位22の一方の側面に接するように配置される。壁状部位22としては、心室中隔や、心臓壁などが挙げられる。壁状部位22が心臓壁の場合には、たとえば、先端電極112Aが心内膜に接するように配置され、先端電極112Bが心外膜に接するように配置される。
(電源装置300)
電源装置300は、第1アブレーションカテーテル1Aと対極板30との間、および第2アブレーションカテーテル1Bと対極板30との間にアブレーションの際の交流電力(例えば高周波(RF;RadioFrequency)からなる出力電力Pout)を供給する装置である。言い換えると、電源装置300により第1アブレーションカテーテル1Aと対極板30との間および第2アブレーションカテーテル1Bと対極板30との間に焼灼のための交流電流が流れる。この電源装置300は、図1に示したように、入力部310、第1電源部320、第1電圧測定部322、第1電流測定部324、第2電源部330、第2電圧測定部332、第2電流測定部334、制御部350、および表示部370を有している。なお、図1に示す例では、第1アブレーションカテーテル1A、第2アブレーションカテーテル1Bに設けられた電極のうち、先端電極112Aおよび先端電極112Bを用いたアブレーションについて説明する。
入力部310は、各種の設定値や、後述する所定の動作を指示するための指示信号を入力する部分である。各種の設定値としては、詳細は後述するが、例えば、設定電力Ps(=出力電力Pout1、出力電力Pout2における最大電力)、後述する位相差Δ、目標温度Tt、各種の待機時間等が挙げられる。これらの設定値は、電源装置300の操作者(例えば技師等)によって入力されるようになっている。ただし、例えば位相差Δについては、操作者によって入力されるのではなく、製品の出荷時等に予め電源装置300内で設定されているようにしてもよい。また、入力部310により入力された設定値は、制御部350へ供給されるようになっている。入力部310は、例えば所定のダイヤルやボタン、タッチパネル等を用いて構成されている。
第1電源部320は、後述する制御信号CTL1に従って、上記した出力電力Pout1を第1アブレーションカテーテル1Aの先端電極112Aおよび対極板30に対して供給する部分である。第1電源部320は、所定の電源回路(例えばスイッチングレギュレータ等)を用いて構成されている。なお、出力電力Pout1が高周波電力からなる場合、その周波数は、例えば450kHz〜550kHz程度(例えば500kHz)である。
第1電圧測定部322は、第1電源部320から出力される出力電力Pout1における電圧を随時測定(検出)する部分であり、所定の電圧検出回路を用いて構成されている。このようにして第1電圧測定部322により測定された電圧(実測電圧Vm1)は、制御部350へ出力される。
第1電流測定部324は、第1電源部320から出力される出力電力Pout1における電流を随時測定する部分であり、所定の電流検出回路を用いて構成されている。第1電流測定部324により測定された電流(実測電流Im1)は、制御部350へ出力される。
第2電源部330は、後述する制御信号CTL2に従って、上記した出力電力Pout2を第2アブレーションカテーテル1Bの先端電極112Bおよび対極板30に対して供給する部分である。第2電源部330は、所定の電源回路(例えばスイッチングレギュレータ等)を用いて構成されている。なお、出力電力Pout2が高周波電力からなる場合、その周波数は、例えば450kHz〜550kHz程度(例えば500kHz)である。
第2電圧測定部332は、第2電源部330から出力される出力電力Pout2における電圧を随時測定(検出)する部分であり、所定の電圧検出回路を用いて構成されている。第2電圧測定部332により測定された電圧(実測電圧Vm2)は、制御部350へ出力される。
第2電流測定部334は、第2電源部330から出力される出力電力Pout2における電流を随時測定する部分であり、所定の電流検出回路を用いて構成されている。第2電流測定部334により測定された電流(実測電流Im2)は、制御部350へ出力される。
制御部350は、電源装置300全体を制御すると共に所定の演算処理を行う部分であり、例えばマイクロコンピュータ等を用いて構成されている。具体的には、制御部350は、まず、以下説明する実測電力Pm1(出力電力Pout1の電力値に相当)および実測電力Pm2(出力電力Pout2の電力値に相当)の算出機能を有している。また、制御部350は、制御信号CTL1、CTL2を用いて、それぞれ、第1電源部320における出力電力Pout1、第2電源部330における出力電力Pout2の供給動作を制御する機能(電力供給制御機能および位相差制御機能)を有している。
実測電力Pm1の算出機能は、以下の通りである。すなわち、制御部350は、第1電圧測定部322から出力される実測電圧Vm1と、第1電流測定部324から出力される実測電流Im1とに基づいて、実測電力Pm1を随時算出する。具体的には、制御部350は、以下の演算式(1)を用いて実測電力Pm1を算出する。制御部350により算出された実測電力Pm1は、表示部370へ出力される。
Pm1=(Vm1×Im1)……(1)
実測電力Pm2についても、実測電力Pm1と同様な算出や処理が行われる。
(電力供給制御機能)
制御部350は、前述した実測温度情報Tm1に基づいて制御信号CTL1を生成すると共に、その制御信号CTL1を第1電源部320へ出力することにより、出力電力Pout1の大きさおよび位相を調整(微調整)する。具体的には、実測温度情報Tm1が示すシャフト11Aの先端P1付近の温度が略一定(望ましくは一定)に保たれるように、換言すると、この温度が予め設定された目標温度Ttと略等しくなる(望ましくは等しくなる)ように、出力電力Pout1の大きさを調整する。
詳細には、制御部350は、先端P1付近の温度が目標温度Tt以下である場合には、出力電力Pout1の値が増加するように制御する。一方、先端P1付近の温度が目標温度Ttを超えている場合には、出力電力Pout1の値が減少するように制御する。このようにして、入力された設定電力Psを基に適切な電力調整がなされたうえで、実際の出力電力Pout1が供給されるようになっている。換言すると、設定電力Psの値と、実際の出力電力Pout1(実測電力Pm1)の値とは、必ずしも一致していないと言える。
同様に、制御部350は、制御信号CTL2を第2電源部330へ出力することにより、出力電力Pout2の大きさおよび位相を調整(微調整)する。ただし、出力電力Pout2の大きさについては、実測温度情報Tm2が目標温度Ttと略等しくなる(望ましくは等しくなる)ように調整される。言い換えると、先端電極112Aの近傍の壁状部位22(図4参照)の温度と、先端電極112Bの近傍の壁状部位22の温度との差が小さくなるように、出力電力Pout1および出力電力Pout2の値が制御される。
これによれば、以下の効果を奏することができる。たとえば、第1アブレーションカテーテル1Aの先端電極112Aが心臓壁の内側(心室または心房内)に配置され、第2アブレーションカテーテル1Bの先端電極112Bが心臓壁の外側に配置される場合には、先端電極112Aの周辺環境は血液で満たされるが、先端電極112Bの周辺環境は主に組織または空気となるため、両者の間の条件がアンバランスとなる。具体的には、先端電極112Aと対極板30との間のインピーダンスに比べて、先端電極112Bと対極板30との間のインピーダンスが大きい状態となる。より具体的には、非開胸手術の場合、先端電極112Bは他の組織に覆われ、血液に比べると、インピーダンスが高くなる。また、開胸手術の場合、先端電極112Bの周辺環境は空気となり、インピーダンスが非常に高くなる。このため、仮に、出力電力Pout1を出力電力Pout2と等しくなるように設定すると、先端電極112Bに接する心外膜の部位の方が、先端電極112Aに接する心内膜の部位に比べて、アブレーション効果が高くなり過ぎる場合がある。
これに対して、本実施形態では、上述したように、先端電極112Aの近傍のアブレーション部位の温度と、先端電極112Bの近傍のアブレーション部位の温度との差が小さくなるように、出力電力Pout1および出力電力Pout2の値が制御されるため、先端電極112Aの側と先端電極112Bの側のアブレーション効果のバランスを保つことができる。
(位相差制御機能)
本実施形態では、制御部350は、出力電力Pout1の位相と出力電力Pout2の位相との間に所定の位相差Δが生じるように制御する。位相差Δは、上述したように、入力部310により入力される場合と、出荷時に予め設定される場合とがある。位相差Δは、0度<Δ<360度の範囲で設定されるが、位相差Δが略180度(具体的には、160度〜200度)、好ましくは180度のときに、先端電極112Aと先端電極112Bとの間の電圧を最大にすることができる。
図5は、対極板30と先端電極112Aとの間に印加される電圧V1、対極板30と先端電極112Bとの間に印加される電圧V2および先端電極112Aと先端電極112Bとの間の電位差(V1−V2)を示すグラフである。図5に示すように、電圧V1の位相に対して電圧V2を逆位相(位相差Δ=180度)とすることにより、先端電極112Aと先端電極112Bとの間に電位差(V1−V2)が生じる。これにより先端電極112A、先端電極112Bがそれぞれ接する部位に加えて、先端電極112Aと先端電極112Bとの間のより深い部位においてバイポーラ式の焼灼が引き起こされる。
表示部370は、各種の情報を表示して外部へと出力する部分(モニター)である。表示対象の情報としては、例えば、入力部310から入力される前述の各種の設定値(設定電力Ps等)や、制御部350から供給される実測電力Pm1、実測電力Pm2、第1アブレーションカテーテル1Aから供給される実測温度情報Tm1、第2アブレーションカテーテル1Bから供給される実測温度情報Tm2などが挙げられる。ただし、表示対象の情報としてはこれらの情報には限られず、他の情報を代わりに、あるいは他の情報を加えて表示するようにしてもよい。このような表示部370は、各種の方式によるディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなど)を用いて構成されている。
以上説明したカテーテルシステム400によれば、上述したように、第1アブレーションカテーテル1Aのアブレーション電極(本実施形態では、先端電極112A)と対極板30との間および第2アブレーションカテーテル1Bのアブレーション電極(本実施形態では、先端電極112B)との対極板30との間のユニポーラ方式のアブレーションに加えて、第1アブレーションカテーテル1Aのアブレーション電極と第2アブレーションカテーテル1Bのアブレーション電極との間で、位相差Δを利用したバイポーラ方式のアブレーションを実施するという従来にないハイブリッド方式のアブレーションが可能となる。
これにより、第1アブレーションカテーテル1Aのアブレーション電極と第2アブレーションカテーテル1Bのアブレーション電極との間のバイポーラ方式による深い部位についての焼灼を可能とするとともに、第1アブレーションカテーテル1Aのアブレーション電極と第2アブレーションカテーテル1Bのアブレーション電極にそれぞれ供給される交流電力の大きさを調節することが可能となる。
従来のバイポーラ方式のアブレーションでは一対のアブレーション電極に同一の高周波電流が流れるため、組織のインピーダンスやコンタクトが異なった場合に、アブレーション電極と接触面間で発生するエネルギー(電力)も異なってしまい、焼灼効果のバランスが崩れる場合があるが、本実施形態のカテーテルシステム400のハイブリッド方式では、第1アブレーションカテーテル1Aのアブレーション電極および第2アブレーションカテーテル1Bのアブレーション電極の出力と位相を制御することができるため、組織のインピーダンスやコンタクトが異なった場合でもバランスを保ち、均一に焼灼することができる。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るカテーテルシステム400の全体構成例を模式的に表すブロック図である。
本実施形態では、第1電源部320および第2電源部330から同位相の電力が供給され、制御部350は位相制御を実質的に行わない。先端電極112Aに接続される第1電源部320の出力端子A1と同極の第2電源部330の出力端子A2が対極板30に接続されている。また、対極板30に接続される第1電源部320の出力端子B1と同極の第2電源部330の出力端子B2が先端電極112Bに接続されている。これにより、先端電極112Aに供給される交流電力と、先端電極112Bに供給される交流電力が逆位相(位相差Δ=180度)となる。なお、第1電源部320と第2電源部330とは互いに絶縁されている。
本実施の形態によれば、先端電極112Aに供給される交流電力と、先端電極112Bに供給される交流電力とが逆位相(位相差Δ=180度)に固定されたカテーテルシステム400を簡便な構成で実現することができる。また、この構成によれば焼灼効果を最大限に高めることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例)
図7は、実施例に係るアブレーションシステムの効果を確認するための実験セットアップを示す模式図である。アブレーションシステム自体の基本的な構成は図1に示したとおりである。対極板30の上に、壁部502で仕切られた2つの凹部(空間)を有する部材500を設置した。部材500は導電性ゴムで形成されている。壁部502を貫通するように、焼灼対象としての豚心筋510を保持した。豚心筋510の厚さは約2cmである。一方の凹部に生理食塩水520を満たし、他方の凹部を空気のままとした。第1アブレーションカテーテル1Aの先端電極112Aを生理食塩水520が浸された豚心筋510の側面に接触させ、第2アブレーションカテーテル1Bの先端電極112Bを空気と接する豚心筋510の他方の側面に接触させた。
実施例の出力条件は以下のとおりとした。
先端電極112A:30W開始で55℃にコントロール
先端電極112B:20W開始で50℃にコントロール
先端電極112A−対極板30間の交流電力の周波数:500kHz
先端電極112B−対極板30間の交流電力の周波数:500kHz
先端電極112A−対極板30間の交流電力と先端電極112B−対極板30間の交流電力との位相差Δ:180度
通電時間:60秒
(比較例)
図8は、比較例に係るアブレーションシステムの効果を確認するための実験セットアップを示す模式図である。実施例と比較すると、対極板30を設けず、第1アブレーションカテーテル1Aと第2アブレーションカテーテル1Bとによる、従来のバイポーラアブレーションシステムとした点が異なる。
比較例の出力条件は以下のとおりとした。
出力:40W
先端電極112A−先端電極112B間の交流電力の周波数:500kHz
通電時間:60秒
(実験結果)
実施例では、先端電極112A側と先端電極112B側とで均等の焼灼効果を確認できた。また、焼灼領域は先端電極112Aと先端電極112Bとの間で、豚心筋の厚さ全体に広がっており、貫壁性の焼灼領域が得られた。これに対して、比較例では、先端電極112A側と先端電極112B側とで電流密度の差が生じることにより、先端電極112B側の焼灼層が先端電極112A側に比べて過大となり、焼灼領域にアンバランスが生じることが確認された。
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
例えば、実施形態1,2では、アブレーション電極として先端電極が用いられているが、リング状電極をアブレーション電極として用いてもよい。この場合、例えば、先端電極112Aとこれに隣接するリング状電極111Acに共通(同位相、同出力)の交流電力Aを供給し、先端電極112Bとこれに隣接するリング状電極111Bcに共通(同位相、同出力、ただし交流電力Aと位相差Δを有する)の交流電力Bを供給してもよい。
1A 第1アブレーションカテーテル、1B 第2アブレーションカテーテル、112A 先端電極、112B 先端電極、20 患者、30 対極板、300 電源装置、310 入力部、320 第1電源部、322 第1電圧測定部、324 第1電流測定部、330 第2電源部、332 第2電圧測定部、334 第2電流測定部、350 制御部、370 表示部、400 カテーテルシステム

Claims (4)

  1. 対極板と、
    焼灼対象となる壁状部位の一方の側面に配置される第1アブレーション電極を有する第1アブレーションカテーテルと、
    前記壁状部位の他方の側面に配置される第2アブレーション電極を有する第2アブレーションカテーテルと、
    前記対極板と前記第1アブレーション電極との間に第1交流電力を供給する第1電源部と、
    前記対極板と前記第2アブレーション電極との間に第2交流電力を供給する第2電源部と、
    前記第1交流電力および前記第2交流電力を調節する制御部と
    を備え、
    前記第1交流電力と前記第2交流電力との間に位相差が生じるように構成され、
    前記制御部は、
    前記第1アブレーション電極の近傍の実測温度と、前記第2アブレーション電極の近傍の実測温度とが、それぞれ、予め設定された目標温度と略等しくなるように、前記第1交流電力および前記第2交流電力の大きさを調節することにより、
    前記第1アブレーション電極の近傍の前記壁状部位の温度と、前記第2アブレーション電極の近傍の前記壁状部位の温度との差が、小さくなるように制御する
    カテーテルシステム。
  2. 前記制御部は、前記位相差を所定の値に制御する
    請求項1に記載のカテーテルシステム。
  3. 前記位相差が略180度である
    請求項1または2に記載のカテーテルシステム。
  4. 前記壁状部位が心臓壁であり、
    第1アブレーション電極が心内膜に接し、第2アブレーション電極が心外膜に接するように配置される
    請求項1乃至3のいずれかに記載のカテーテルシステム。
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