以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、同一又は対応する構成については各実施形態において同一の符号を付し、重複する内容については説明を省略する。
(実施形態1)
本実施形態に係る採寸用器具1は、図1に示すように、表側に基準点(0センチメートル)からの長さを示す目盛り10aが表示されている、帯状の器具である。なお、図1においては、採寸用器具1の長さを適宜省略して図示している。以下同様である。
本実施形態では、目盛り10aは、ものの長さを測定するために、零点(0センチメートル)から1センチメートルおきに記載された大目盛りと、大目盛りを1ミリメートルおきに刻む小目盛りと、を含む。また、目盛り10aにおける零点からの長さを示す記号として、数字が各大目盛りに付して表示されている。この長さを示す記号は、目盛り部10を長手方向に折り返した場合に正位置に見えるように、通常のメジャーに比して目盛りの長さ方向に対して上下逆転して記載されている。
採寸用器具1を図1の一点鎖線A1−A1に沿って切り取った断面図を図2に示す。図2に示すように、採寸用器具1は、目盛り10aが印刷表示された目盛り部10と、目盛り部10を衣類に固定する固定部20と、固定部20を保護する保護部30と、がこの順に重ねられた階層構造を有する。このような階層構造により、採寸用器具1は、目盛り10aを表側として採寸対象となる衣類に目盛り部10を付着させることができる。
目盛り部10は、表側、すなわち固定部20とは逆側(図2の上側)の面に目盛り10aが設けられた紙製の帯状部材である。目盛り部10には、零点から最大長さ(本実施形態では85センチメートル)までの長さを示す目盛り10aが、目盛り部10の延在方向に順に印刷されている。また、目盛り部10の長手方向の長さと、採寸用器具1と、は目盛り部10aが示す最大の長さと同一である。このように、目盛り部10は物の長さを計測する採寸メジャーとして機能する。
固定部20は、目盛り部10の裏側の面(目盛り10aとは逆側の面)に設けられた、目盛り部10に対応する形状の粘着剤の層である。本実施形態では、採寸対象となる衣類の裏面の素材(裏地の布など)に対する粘着性を確保するため、固定部20はアクリルポリマーに架橋材を加えたアクリル系粘着剤で構成されている。なお、これに限らず、例えばゴム系粘着剤やゴム系粘着剤など、他の既知の粘着剤を用いて固定部20を構成しても良い。固定部20は、このような物理構成により、目盛り部10を衣類の裏側のうち採寸箇所に対応する位置に固定する。
保護部30は、固定部20のうち目盛り部10の逆側の面に貼り付けられた、複数の剥離紙により構成される。この剥離紙は、採寸用器具1の未使用時に固定部20を帯状に覆い、固定部20を保護する。一方、使用時には、保護部30を構成する剥離紙を固定部20から剥離すれば、固定部20の粘着力により目盛り部10を衣類の裏側に固定可能になる。このように、保護部30は未使用時に固定部20を構成する粘着剤が埃等に触れて粘着性を低下させる程度を低減させる。
このような物理構成により、採寸用器具1は、粘着剤の粘着力により衣類に付着可能なメジャーテープとしての機能を有する。
続いて、図3〜図6を参照して、採寸用器具1を用いて衣類の採寸を行う手順について説明する。ここでは、成人男子を被採寸者として、ズボン40の股下丈の採寸を行う例について説明する。なお、以下の説明において、ズボン40を含む衣類の裏表について、正位置で着用した場合に採寸の対象となる被採寸者の体に近い側を裏側、着用者の体から遠い側を表側という。以下同様である。
ズボン40は、図3に示すように、腰部40aと、腰部40aと連結された2つの脚部40b(脚部40b−1及び脚部40b−2)と、を有する。本実施形態において採寸対象となる股下丈(図3の長さLa)は、股の分かれ目を基準点Z1(長さゼロの点)とした場合、基準点Z1から脚部40b−2の布面を真下にたどった裾口の下端点Y1までの長さである。なお、採寸箇所について、基準点から下端点(端部の側)に向かって長さが大きくなるものとする。
図4は、脚部40b−2を内股側から見た図である。採寸に当たって被採寸者にズボン40を着用してもらう前に、図4に示すように、採寸者がズボン40の脚部40b−2の裏側の面(裏地)に採寸用器具1の目盛り部10を固定する。具体的には、まず保護部30の剥離紙を固定部20から剥離する。そして、固定部20の粘着剤の粘着力により、目盛り部10を脚部40b−2の裏側に固定する。
目盛り部10を固定するにあたって、採寸箇所であるズボン40の股下丈に対応する位置において、目盛り部10の目盛り10aが基準点Z1から裾口までの長さを示すように位置合わせを行う。すなわち、採寸者はまず基準点Z1(左右の脚部40b−1及び40b−2の縫い目と腰部40aの縫い目が十字に交わる股止まりの部分)と、目盛り10aの零点と、の位置をそれぞれ一致させる。その上で、基準点Z1から裾口の下端点Y1まで、脚部40b−2の内側の縫い目に沿って目盛り部10を弛まない様に固定させる。このとき、固定部20が目盛り部10のうち目盛り10aの逆側の面に形成されているため、目盛り部10は目盛り10aが脚部40b−2の裏側を向くようにして固定される。このとき基準点Z1を上側、下端部Y1を下側とすると、目盛り10aの零点が上側にくるように目盛り部10を固定しているので、目盛り10aの数字は採寸者から見て上下逆転している。
本実施形態では、目盛り10aが0センチメートルから85センチメートルまで表示されている採寸用器具1を用いて採寸を行う。実測データによれば、日本人男性の股下丈の累積分布は、短い側から累計して85センチメートルで約97パーセントに達する。このため、目盛り10aの長さが85センチメートルあれば、十分な割合の被採寸者に応じた股下丈を採寸できる。なお、変形例として、目盛り10aの長さを85センチメートル以上(例えば90センチメートルや95センチセンチメートル)として、さらに足の長い被採寸者に対する採寸用器具1の採寸能力を担保してもよい。
一方、本実施形態においては、採寸用器具1の目盛り10aの長さよりも、股下丈が短いズボン40を用いて採寸する。例えば、日本における被採寸者の標準体型に近い、股下丈76センチメートルのズボン40を用いて採寸を行う。目盛り10の長さが85センチメートルであるため、零点の位置合わせを行った上でズボン40の股下丈に対応する部分に目盛り部10を固定すると、図4に示すように、目盛り部10が脚部40b−2の裾口の下端点Y1からさらに裾側に9センチメートルだけ突出する。
次に、目盛り部10を固定したズボン40を被採寸者に着用してもらい、股下丈の採寸を行う。具体的には、図5に示すように、脚部40b−2の裾部を、脚部40b−2の裏側に固定された目盛り部10とともに、被採寸者の体格に応じて表側に折り曲げる。この結果、被採寸者がズボン40を着用時に、被採寸者の脚の最適な位置に、脚部40b−2の裾口及び目盛り部10の折り曲げた箇所が位置する。
このとき、脚部40b−2と、目盛り部10と、を共に折り曲げたことによって目盛り10aが裾部においてズボン40の表側に露出する。また、目盛り部10を長手方向に折り曲げることにより、目盛り10aに印刷表示された数字が上下方向に反転して目視可能となる。本実施形態の目盛り部10では、目盛り10aの記号が予め上下逆に印刷されているため、折り返した端部で記号が正位置となり、採寸者にとって読み取り安くなる。
さらに、採寸者は目盛り部10を折り返した折り目の位置で、目盛り10aの示す零点からの長さを読み取る。上述した目盛り10aの零点と基準点Z1との位置合わせにより、目盛り部10aの示す零点からの長さは、股下丈の長さと一致する。そこで採寸者は、脚部40b−2の裾部において、目盛り部10を折り返した位置における目盛り10aが示す長さを、被採寸者の体格に応じた股下丈として読み取る。
なお、上述したように、被採寸者の体格に応じた股下丈がズボン40の股下丈以下である場合、脚部40b−2の裾部を目盛り部10と共に折り返す。一方、被採寸者の体格に応じた股下丈がズボン40の股下丈より長い場合、目盛り部10が裾部側で突出した部位を仮想的な裾部とする。そして、この目盛り部10の突出した部位を、被採寸者の体格に合った長さになるように表側に折り曲げる。その上で、目盛り部10を折り曲げた折り目の位置において目盛り10aが示す長さを、採寸結果として読み取る。このため、採寸に用いたズボン40よりも幅広い体格の被採寸者に対応した採寸が可能となる。
以上のような手順で、予め採寸用器具1の目盛り部10を固定したズボン40を用いて1回の採寸を行う。本実施形態では、この目盛り部10を固定したズボン40を用いて複数回の採寸を行う。例えば、複数の顧客に対してズボンを採寸して販売するにあたり、予め採寸用のズボン40に目盛り部10を有する採寸用器具1を固定しておく。そして、多数の顧客に対してズボン40を用いて採寸を行う。この場合、採寸用器具1を予めズボン40の裏側に固定しておけば、採寸を効率化できる。
その後、採寸結果に応じてズボン40(又はズボン40と同型のズボン)の股下丈を調節する。そして、顧客である被採寸者に販売する。
以上説明したように、本実施形態によれば、予め固定された目盛り部10の目盛り10aに基づき、被採寸者の体格に応じた股下丈の長さを採寸することができる。このため、採寸にあたって、被採寸者が採寸用の衣服を着用した後の手順が少なくてすむため、効率よく採寸することができる。具体的には、目盛り部10を固定しない従来の方法と比べて、採寸時間は三分の一程度ですむ。
例えば、目盛り部10を固定せずに採寸を行う場合、まず被採寸者にズボン40を着用してもらい、体格に応じて裾を折り返す。そして、折り返した折り目をクリップで固定した上でズボン40を脱いでもらった後、通常のメジャーを当てて採寸を行う、といった手間が必要になる。しかし、ズボン40の股下丈の裏側の部分に採寸用器具1の目盛り部10を予め固定しておくことで、その後の折り位置の保全や、メジャーの位置合わせといった手間を省くことができる。このように、採寸時の被採寸者の待ち時間が特に短縮される。
さらに、一度採寸用器具1の目盛り部10をズボン40に固定すれば、目盛り部10を取り除くまで複数回にわたって目盛り10aの長さ情報を利用できるので、特に一つのズボン40を用いて複数回採寸を実行する場合に、採寸の効率を上昇できる。また、毎回メジャーを当てる方法を採用した場合、メジャーの位置合わせのズレにより、正確に採寸できない恐れがある。しかし、本実施形態によれば、予め目盛り部10を位置合わせして固定しているので、採寸毎に生じるムラが少ない。
また、粘着剤を含む固定部20と目盛り部10とを有するシンプルな構造の採寸用器具1をズボン40に固定するだけでよく、特別な採寸用衣類を用意する必要が無い。すなわち、コストが小さい。
さらに、採寸対象であるズボン40の股下丈に対応して、目盛り部10と、固定部20と、保護部30と、を含む採寸用器具1の長手方向の長さは略85センチメートルである。採寸用器具1が長すぎると、目盛り部10が採寸時に邪魔になる。また、コストの増大や取扱いの煩雑さにもつながる。一方、短すぎる場合、被採寸者の体格を採寸できない恐れがある。上述したように、目盛り部10aで採寸可能な長さが85センチメートルあれば、本実施形態の採寸対象者の97パーセントの股下丈を採寸可能である。このため、本実施形態では、採寸箇所に応じて、統計的に好適な長さを有する採寸用器具1を用いて、効率よく採寸を行うことができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。本実施形態は、採寸対象となる衣類がスカートであること、及び、採寸対象箇所がスカート丈である点が実施形態1と異なる。なお、ここでは日本人の高校生の制服のスカート(膝丈)を採寸する場合を例にとって説明する。
本実施形態で採寸に用いられるスカート50は、図6に示すように、ベルト部50aと、ベルト部50aと連結した筒状部50bとを含む。ここで採寸箇所であるスカート50のスカート丈は、図6の両矢印で示すように、ベルト部50aの下端部(基準点Z2)から筒状部50bの下端点Y2までの長さLbである。なお、ベルト部50aの下端部のうち、正位置で被採寸者が着用した場合の右脚の前部に対応する部分を基準点Z2とする。また、筒状部50bの下端のうち、正位置で被採寸者が着用した状態で、基準点Z2から真下に位置する点を下端点Y2とする。
このスカート50については、定型サイズとして、複数の段階的なウエストサイズが規定されている。また、各ウエストサイズについて、複数の段階的なスカート丈のサイズが規定される。本実施形態のスカート50では、図9に示すように、定型のウエストサイズとして、57センチメートル、60センチメートル、63センチメートル、66センチメートル、などの複数のサイズが規定されている。また、一つのウエストサイズについて、48センチメートル、51センチメートル、54センチメートル、57センチメートルなどの複数のスカート丈の定型サイズが規定されている。図9では、各定型サイズのスカートについて、所定の期間内に、採寸の結果に基づき販売された数(例えばウエストサイズが63センチメートル、スカート丈が48センチメートルのスカートが、この期間において17着販売されているなど)が示されている。この例では、この期間において販売されたこのタイプのスカートのうち、最もスカート丈が短いものは48センチメートルであった。また、最もスカート丈が長いものは60センチメートルであった。すなわち、被採寸者の体格に応じたスカート丈は、99パーセント以上が定型サイズの範囲である48センチメートル以上60センチメートル以下の長さに含まれる。
複数のウエストサイズに対応して、複数の採寸用のスカート50を用いて採寸を行う。ここでは、各ウエストサイズについて、スカート丈が48センチメートルのものを一つずつ、採寸用のスカート50として確保する。そして、ウエストサイズが異なる各採寸用のスカート50に対して、採寸用器具1をそれぞれ取付ける。採寸用器具1としては、図9のデータに基づく過不足が無い長さとして、目盛り部10aの長さが60センチメートルのものを用いる。
変形例として、各ウエストサイズにおいて、定型サイズとして規定されている最も短いスカート丈のものを、採寸用のスカート50としてもよい。あるいは、各ウエストサイズにおいて、最頻出の採寸結果のスカート丈のものを、採寸用のスカート50としてもよい。また、目盛り10aの長さを60センチメートル以上(例えば66センチメートル)として、さらに足の長い被採寸者に対する採寸用器具1の採寸能力を担保してもよい。また、同じウエストサイズについて、スカート丈が異なる複数の採寸用のスカート50を用いても良い。採寸に用いるスカート50のスカート丈及び採寸用器具1の長さはこれに限らず、想定される採寸対象者の体格(子供か成人か等)や販売するスカートの丈(ミニスカートかロングスカートか等)に応じてふさわしい長さのものを採用してもよい。
採寸にあたっては、採寸者は実施形態1と同様の手順で、スカート50の裏側のうち採寸箇所であるスカート丈に対応する部分に採寸用器具1の目盛り部10を固定する(図7)。ここでは、スカート50のスカート丈(ここでは48センチメートル)よりも採寸用器具1の目盛り部10aの示す最大の長さ(ここでは60センチメートル)が長い。このため、目盛り10aの零点と基準点Z2の位置合わせを行ったうえで目盛り部10をスカート50の裏側に固定すると、図7に示すように、筒状部50bの裾口から目盛り部10の下端が下方に突出する。
目盛り部10を固定したスカート50を用いて、スカート丈の採寸を行う。ここでは、スカート丈の採寸に先立って、まずウエストサイズの決定を行う。具体的には、目盛り部10をそれぞれ固定した、ウエストサイズが異なる複数のスカート50を、順に被採寸者に着用してもらい、最も体格に合致したものを決定する。そして、このスカート50のウエストサイズを被採寸者の体格にあったウエストサイズとする。なお、ウエストサイズは別途通常のメジャー等を用いて決定しても良い。
ウエストサイズを決定した後、スカート丈の採寸を行う。ここでは、ウエストサイズの決定に目盛り部10を固定したスカート50を用いているので、最適なウエストサイズが決定されたとき、被採寸者はこのウエストサイズのスカート50を着用した状態である。なお、通常のメジャーを用いた採寸によりウエストサイズを決定した等の理由により、採寸者が未だ体格に応じたウエストサイズのスカート50を着用していない場合、新たに目盛り部10を固定したスカート50を着用してもらえばよい。その上で、採寸者は、このスカート50の裾部を、被採寸者の体格に合わせて表側に折り返す。このとき、被採寸者の体格上に応じたスカート丈がスカート50のスカート丈以下である場合、筒状部50bの裾部を目盛り部10と共に折り返す。一方、被採寸者の体格に応じたスカート丈がスカート50のスカート丈より長い場合、目盛り部10が裾部側で突出した部位を仮想的な筒状部50bとして、この突出した目盛り部10を体格に合わせて表側に折り返す(図8)。
図8に示すように、スカート50の裾部において目盛り部10を表側に折り返すと、目盛り10aが表側に現れる。そこで、目盛り部10を折り返した折り目の箇所において、目盛り10aが示す長さを、被採寸者の体格に応じたスカート丈として読み取る。このとき、スカート丈の定型サイズが離散的に規定されていることに応じて、目盛り10aの長さを定型サイズのピッチで読み取り、何れのサイズが体格に合致したものか決定する。例えば、定型サイズのスカート丈が3センチメートル間隔で規定されている場合、これに応じて3センチメートルピッチで採寸結果を読み取り、この結果に基づき定型サイズのうち何れが体格に応じたスカート丈であるか決定する。なお、採寸結果が定型サイズの範囲に収まらない場合や、スカート丈を定型サイズからさらに細かく調節する場合、そもそもスカート丈に複数の定型サイズが規定されていない場合など、目盛り10aが示す長さをそのまま採寸結果として読み取っても良い。
このようにして、採寸用器具1の目盛り部10を固定したスカート50を用いたスカート丈の一回の採寸を実行する。実施形態1と同様に、本実施形態においても採寸用器具1の目盛り部10を固定した一つのスカート50を用いて複数人に対して採寸を行う。そして、顧客である被採寸者に採寸結果に基づくサイズのスカートを販売する。
このように、本実施形態の採寸方法によれば、スカート50の採寸を効率よく実行できる。ここでスカート50の採寸においては、実施形態1で説明した内容に加えて、採寸用に用いるスカートの数を削減する効果を奏することができる。スカートは、ウエストサイズとスカート丈との組み合わせでスカートのシルエットが異なる。このため、従来のスカートの採寸にあたっては、図9に示すようなウエストサイズとスカート丈との組み合わせすべてについて採寸用のスカートを用意する必要があった。例えば、定型のスカートのウエストサイズがn通、スカート丈がm通りある場合、n×m個のスカートを用意して、何れの試着用スカートが体格に合うか被採寸者に試着してもらって採寸を行っていた。そのため、採寸のために定型のサイズのスカートを全組み合わせについて用意した上で、ウエストサイズ及びスカート丈が体格に合ったスカートが見つかるまで被採寸者に着替えてもらう必要があり、採寸の効率が悪かった。これに対し、本実施形態によれば、スカートの採寸にあたって、スカート丈については組み合わせの数に含めなくてよいため、採寸の効率が高い。また、予め各ウエストサイズについて目盛り部10を固定した採寸用のスカート50を準備しているので、複数のウエストサイズのスカートを用いて採寸するにあたって採寸の効率が向上する。
また、想定される被採寸者の体格に応じたスカート丈は、(図9のデータでは99パーセント以上の割合で)48センチメートル以上60センチメートル以下である。ここでは、スカート丈を採寸するための採寸用器具1として、目盛り部10aの長さ(目盛り部10の長手方向の長さ)が、この上限である60センチメートルより長いものを用いる。このため、想定される被採寸者の体格に対応した長さの採寸用器具1を用いて採寸を行うことができる。
また、本実施形態では、図9のデータに基づき想定される被採寸者の体格に対して、スカート丈が十分短い(48センチメートル)スカートを採寸用のスカート50として用いた。よって、想定される被採寸者の大半について、スカートの筒状部50bを折り返さず、採寸用器具1の目盛り部10を折り返して採寸することができる。
なお、図6に示したスカート丈に代えて、ベルト部50aの丈を含む総スカート丈を採寸箇所としてもよい。この場合は、採寸の基準点として、ベルト部50aの最上部を用いて目盛り部10aとの位置合わせを行えばよい。
(変形例)
本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれに限られず、さまざまな変形が可能である。
例えば、採寸用器具1の目盛り10aの長さとして、ズボン40の股下丈を採寸する実施形態1において85センチメートル、スカート50のスカート丈を採寸する実施形態2において60センチメートルである場合を例にとって説明した。しかしこれに限らず、採寸用器具1は他の形状であっても良い。例えば、目盛り10aの長さが、上述した長さよりも10パーセント、あるいは10センチメートル長い形状であってもよい。具体的には、ズボン40の股下丈を採寸する場合、好ましくは目盛り10aの長さが85センチメートル以上95センチメートル以下であるとしても良い。あるいは、目盛り10aの長さが80センチメートル以上100センチメートル以下であるとしてもよい。一方、子供用ズボンの採寸のためには、目盛り10aの長さを60センチメートル以上80センチメートル以下としてもよい。また、スカート50のスカート丈を採寸する場合でも、目盛り10aの長さを60センチメートル以上66センチメートル以下、あるいは、57センチメートル以上70センチメートル以下としてもよい。ロングスカートを採寸する場合に対応して、目盛り10aの長さが65センチメートル以上85センチメートル以下としても良い。なお、目盛り10aを含めた採寸用器具の長さが、採寸の対象部及び被採寸者の体格に対して過不足のない長さを有することが望ましい。また、採寸に使用したズボン40やスカート50は一例であって、必要に応じて好適なサイズや形状の衣類を採用可能である。
また、採寸用器具の物理構成は上記実施例に限らない。たとえば、目盛り部10と、固定部20と、保護部30とは、それぞれ完全に重なり合わなくても良い。例えば、目盛り部10のうち衣類から突出する部分については、固定部20及び保護部30が形成されていない構造を採用することができる。あるいは、目盛り部10のうち衣類から突出する部分については、保護部30が固定部20から剥離しないような構造をとっていても良い。
また、目盛り部10を衣類の裏側に固定する手段として粘着剤を含む固定部20を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、衣類の裏側の採寸箇所に対応する位置に目盛り部10を取付け可能な構造であれば、他の既知の構成を採用してもよい。例えば、採寸時に位置のずれが生じない好適な構成として、アイロン接着や面ファスナー、スナップボタンなどによる固定が例示できる。
さらに、上記実施形態では目盛り部10は紙製の帯状部材とした。目盛り部10は、既知の他の素材で構成してもよい。ポリ塩化ビニル製の部材や布部材であってもよい。あるいは、シリコン被膜紙であってもよい。なお、長手方向に物理力が加わった場合に目盛り部10が伸びる割合が少ない素材であることが望ましい。
また、目盛り部10における目盛り10aは、帯状部材である目盛り10を衣類のサイズを測定するメジャーとして機能させる内容であれば、図1に例示したものに限らない。例えば、目盛り10aの記号は上下逆転して記載されていたが、正位置で印刷されていても良い。あるいは、目盛り部10の長手方向に対して横向きに表示されていても良い。さらに、目盛り10aは大目盛り及び小目盛りと、大目盛りに付された零点からの距離を示す数字として説明した。しかし、目盛りの内容は衣類及び採寸対象箇所に対応して変更しても良い。例えば、スカート50のスカート丈が3センチメートル毎にサイズアップすることに対応して、目盛り10aにおいて3センチメートル毎に目盛りを設ければよい。あるいは、衣類の採寸対応部位においてエルエルサイズ(LL)、ラージサイズ(L)、スモールサイズ(S)、などの複数のサイズについて段階的に長さが規定されている場合、目盛り10aにおいて対応するサイズを示す記号が付されている採寸用器具を用いて採寸を行っても良い。
なお、採寸対象となる衣類及び採寸対象箇所は、上述した例に限定されない。例えば、シャツの袖の長さといった、折り返して長さを採寸する他の衣類及び採寸対象箇所にも応用可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。