JP6603988B2 - 窒素含有多孔質炭素および触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば固体高分子型燃料電池の電極に含有される触媒、および該触媒に用いる担体として有用な窒素含有多孔質炭素に関する。
近年、地球温暖化や環境汚染の問題を解決するため、二酸化炭素を発生しないクリーンなエネルギー源の一つとして固体高分子型燃料電池が注目されている。固体高分子型燃料電池は、2つの電極(水素等の燃料を供給する燃料極(負極)および酸素を供給する酸素極(正極))と、これに挟持された高分子電解質膜とを備える。燃料として水素を用いる固体高分子型燃料電池では、負極においては、供給された水素がプロトンと電子に分解され、プロトンは高分子電解質膜を通過して正極へ移動し、電子は導線を通過して正極に移動する。また正極においては、負極から移動してきたプロトンおよび電子と、供給された酸素とが反応して水を発生する。
固体高分子型燃料電池に用いられる電極は、通常、白金などの金属(以下「触媒金属」と称する)をカーボンブラックなどの担体に担持した触媒を、高分子電解質からなるバインダーで被覆してなる。上述した正極へ移動したプロトンは、バインダーを経由して、触媒金属の表面に移動する。一方、正極に移動した電子は担体を経由して、触媒金属の表面に移動する。さらに酸素がバインダー、担体および触媒金属が接触する界面(三相界面)に供給されることで触媒反応が進行する。かかる電極に用いる触媒において、高価な触媒金属の使用量を削減するため、触媒活性を更に高めることが望まれている。
触媒活性を高める方法として、小粒径の触媒金属を担体に担持させる方法が知られている。この方法では、担体に担持する際に触媒金属が凝集して粒径が拡大することを抑制するために、担体として(例えば平均細孔径2nm以下の)微細孔を有するカーボンブラックを用いる。しかしながらかかる方法では、触媒をバインダーで均一に被覆するのが困難であり、三相界面が形成できない箇所が生じるため、触媒活性を十分高めることができないことが指摘されている(非特許文献1)。
また触媒の別の課題として、長寿命化が挙げられる。固体高分子型燃料電池の起動と停止に伴う触媒金属の凝集によって、触媒活性が低下することが知られている。非特許文献2には、窒素ドープされた炭素コーティングを有するカーボンナノチューブ(N−CNT)を担体とする触媒では、白金の凝集を抑制できることが報告されている。該N−CNTが白金の凝集を抑える仮説として、非特許文献2の第1頁右欄第1〜6行には、窒素原子のようなヘテロ原子が炭素材料表面への白金の吸着を強めることが記載されている。このことから非特許文献2に記載の手法で得られる触媒は、長寿命化に寄与するものと考えられるが、高い触媒活性を実現することは困難であった。
粉砕誌 No.56 2013, pp. 3-11(ホソカワミクロン株式会社発行) Physical Chemistry Chemical Physics, 2012, 14, pp. 6444-6447
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、触媒(特に、固体高分子型燃料電池の電極で用いられる触媒)の担体として用いた場合に、高い触媒活性と長寿命化を両立できる窒素含有多孔質炭素を提供することを目的とする。また、本発明は、高い触媒活性と長寿命化を両立できる触媒を提供することも目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、
[1]細孔径5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が100m/g以上であり、炭素原子の含有量が80質量%以上であり、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.005〜0.18である、窒素含有多孔質炭素;
[2]水素原子と炭素原子との原子比(H/C)が0.1以下である、前記[1]の窒素含有多孔質炭素;
[3]前記[1]または[2]の窒素含有多孔質炭素に触媒金属を担持してなる触媒;および
[4]触媒金属が白金族元素である、前記[3]の触媒;
を提供する。
本発明の窒素含有多孔質炭素を固体高分子型燃料電池の電極に含有される触媒の担体として用いると、高い触媒活性と長寿命化を両立できる。
実施例1で得られた窒素含有多孔質炭素の細孔分布曲線である。 実施例1で得られた窒素含有多孔質炭素の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(窒素含有多孔質炭素)
本発明の窒素含有多孔質炭素は、細孔径5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が100m/g以上であり、200m/g以上であることが好ましい。該比表面積の上限には特に限定はないが、1000m/g以下であることが好ましく、800m/g以下であることがより好ましい。
本発明の窒素含有多孔質炭素において、細孔径5nm未満の細孔はバインダーで均一に被覆するのが困難なことから、触媒金属の表面へのプロトンの供給効率が低下し、触媒活性が低下する傾向となる。また細孔径260nm超の細孔は、細孔内に触媒金属を担持する際に凝集が発生し易くなるので、触媒活性が低下する傾向となる。かかる観点から細孔分布曲線(微分細孔容積分布曲線)における最大の高さを示すピーク(最大ピーク)は、5〜260nmの範囲にあることが好ましく、かつかかる最大ピークの高さ(最大強度)が他の全てのピークの高さに対して1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。
また、触媒金属の担持密度の偏りに起因する触媒金属の凝集を抑制する上で細孔分布が均一であることが好ましく、かかる観点から上記最大ピークの半値幅が30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。なお、半値幅は細孔分布曲線の最大ピークにおいて、最大強度の半分の高さを示す2点における細孔径の差によって算出できる。
細孔分布曲線は、測定対象の窒素含有多孔質炭素を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスによって徐々に加圧し、定容量法により窒素ガスの平衡圧力に対する窒素ガスの吸着量をプロットして得られる窒素吸着等温線から、BJH法により作成できる。また、窒素含有多孔質炭素の細孔径が5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積もBJH法から算出される。BJH法とは、他の細孔と連結していない円筒形の細孔をモデルとして計算したもので、窒素ガスの毛管凝縮と多分子層吸着から細孔分布を求める方法である。その詳細は、「島津評論」(第48巻、第1号、第35〜44頁、1991年発行)に記載されている。
本発明の窒素含有多孔質炭素における炭素原子の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、82質量%以上であることがより好ましい。炭素原子の含有量が80質量%以上であることで、窒素含有多孔質炭素の導電性が高まる。導電性が高い本発明の窒素含有多孔質炭素を担体として使用することによって、担体を移動する電子の移動が良好になり、触媒活性が高められる。また、触媒金属の凝集を抑制するための窒素原子の含有量を確保する観点から、炭素原子の含有量が、99.4質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましい。
本発明の窒素含有多孔質炭素における窒素原子の含有量は、0.6質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。窒素原子の含有量が0.6質量%以上であることで、触媒金属の凝集を有効に抑制することができる。また、窒素含有多孔質炭素の導電性を向上させる炭素原子の含有量を確保する観点から、窒素原子の含有量が、17質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明の窒素含有多孔質炭素は、炭素骨格中に窒素原子が導入されている。該窒素含有多孔質炭素における窒素原子と炭素原子の原子比(N/C(すなわち窒素原子の数/炭素原子の数))は、0.005〜0.18であり、0.01〜0.10であることが好ましい。(N/C)が0.005以上であることで、窒素原子が炭素表面への触媒金属の吸着を強め、触媒金属の凝集を抑制できる。一方、(N/C)が0.18以下であることで、担体の導電性が高まり、担体を移動する電子の移動が良好になり、触媒活性が高められる。
本発明の窒素含有多孔質炭素における水素原子と炭素原子との原子比(H/C(すなわち水素原子の数/炭素原子の数))は、有機化合物を加熱して炭素材を得る場合の炭素化度の指標である。かかる(H/C)は0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。(H/C)が0.1以下であることで、担体の導電性が高まり、担体を移動する電子の移動が良好になることで、触媒活性を高められる。(H/C)は少ないほど好ましく、その下限に特に限定はない。
上記した炭素原子および窒素原子の含有量、並びに(N/C)および(H/C)は、CHN元素分析によって求めることができる。
本発明の窒素含有多孔質炭素の好ましい製造方法について以下に説明する。但し、本発明の窒素含有多孔質炭素の製造方法は、以下の方法に限定されない。
窒素含有多孔質炭素の好ましい製造方法は、
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つヒドロキシ基、酸性基および塩基性基からなる群より選ばれる極性基を有する極性ブロック(S)と、不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性である非極性ブロック(T)とを有するブロック共重合体(Z)および下記式(1)で示されるN−メチロール化合物を含有する水分散液中で、前記N−メチロール化合物を重合し、混合物を得る第1工程、
得られた混合物から水を除去して重合体組成物を得る第2工程、並びに
得られた重合体組成物を加熱する第3工程を含む。
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRで示されるアミノ基を表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
なお、以下では式(1)で示されるN−メチロール化合物を、単に「N−メチロール化合物(1)」と称する。また、ヒドロキシ基、酸性基および塩基性基からなる群より選ばれる極性基を単に「極性基」と称する。また、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つ極性基を有する極性ブロック(S)を単に「極性ブロック(S)」と、不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性である非極性ブロック(T)を単に「非極性ブロック(T)」と称する。また、極性ブロック(S)と非極性ブロック(T)とを有するブロック共重合体(Z)を単に「ブロック共重合体(Z)」と称する。
以下、上記製造方法について詳細に説明する。
[第1工程]
第1工程は、ブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液中で、該水分散液に含有されるN−メチロール化合物(1)を重合し、N−メチロール化合物(1)の重合体、ブロック共重合体(Z)および水を含有する混合物を得る工程である。ここで水分散液とは水を分散媒とする分散液を意味する。
<ブロック共重合体(Z)>
ブロック共重合体(Z)は、極性ブロック(S)と非極性ブロック(T)とを、それぞれ1個以上有する。ブロック共重合体(Z)が複数の極性ブロック(S)を有する場合、それらの構造(例えば構造単位の種類、重合度、極性基の種類や導入割合など)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。また、ブロック共重合体(Z)が複数の非極性ブロック(T)を有する場合、それらの構造(例えば構造単位の種類、重合度など)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
ブロック共重合体(Z)としては、例えばS−T型ジブロック共重合体、S−T−S型トリブロック共重合体、T−S−T型トリブロック共重合体およびこれらの混合物(例えばS−T−S型トリブロック共重合体とS−T型ジブロック共重合体との混合物)などが挙げられる(前記SおよびTは、それぞれ極性ブロック(S)および非極性ブロック(T)を表す)。ブロック共重合体(Z)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック共重合体(Z)は、上記水分散液中で極性ブロック(S)を外側にし、非極性ブロック(T)を内側にしたミセル(以下「ミセル」と称する)を形成すると考えられる。
極性ブロック(S)はヒドロキシ基、酸性基(例えばスルホ基、ホスホン酸基(−P(O)(OH))、カルボキシ基など)および塩基性基(例えばアミノ基など)からなる群より選ばれる極性基を有する。該極性基としては酸性基が好ましく、スルホ基がより好ましい。なお、酸性基および塩基性基はいずれも塩の形態として存在していてもよい。
ブロック共重合体(Z)1gあたりの極性基の含有量は、ミセルの安定性の観点から0.2〜3mmol/gが好ましく、0.5〜2mmol/gがより好ましく、0.7〜1.5mmol/gがさらに好ましい。
極性基がヒドロキシ基である場合、該極性基の含有量はH−NMR測定によって算出できる。H−NMR測定は、必要に応じてヒドロキシ基に保護基(例えばトリメチルシリル基)を導入したのちに行ってもよい。
極性基が酸性基または塩基性基である場合、該極性基の含有量は中和滴定により算出できる。なお、塩の形態の酸性基または塩基性基である場合の極性基の含有量は、極性基を遊離形態の酸性基または塩基性基に変換した後に中和滴定することによって算出できる。
ブロック共重合体(Z)は、例えば芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つ極性基を有さないブロック(S)(以下「ブロック(S)」と称する)および非極性ブロック(T)を有するブロック共重合体(Z)(以下「ブロック共重合体(Z)」と称する)を製造し、次いで得られたブロック共重合体(Z)のブロック(S)に公知の方法によって極性基を導入することによって製造できる。
ブロック共重合体(Z)の数平均分子量(Mn)は5,000〜200,000が好ましく、30,000〜150,000がより好ましく、50,000〜130,000がさらに好ましい。Mnが5,000〜200,000であるブロック共重合体(Z)から得られるブロック共重合体(Z)を使用することによって、窒素含有多孔質炭素の製造において5〜260nmの細孔径を有する窒素含有多孔質炭素を製造しやすくなる。なお、本明細書においてMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準ポリスチレン換算)により測定される値である。
ブロック共重合体(Z)におけるブロック(S)の含有量は10〜80質量%の範囲であることが好ましく、細孔分布が均一な窒素含有多孔質炭素を得る観点から20〜70質量%の範囲であることがより好ましい。また、ブロック共重合体(Z)における非極性ブロック(T)の含有量は20〜90質量%の範囲であることが好ましく、細孔径のバラつきが小さい窒素含有多孔質炭素を得る観点から30〜80質量%の範囲であることがより好ましい。なお、これら含有量はH−NMRで観測されるブロック(S)および非極性ブロック(T)の積分値を元に定められる。
ブロック(S)は芳香族ビニル化合物を単量体として重合することで形成できる。かかる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルビフェニル、ビニルターフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−フェノキシスチレンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記の芳香族ビニル化合物のビニル基上の水素原子のうち、芳香環のα−位の炭素(α−炭素)に結合した水素原子が他の置換基によって置換されていてもよい。かかる置換基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基(例えばクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロエチル基など)、アリール基(例えばフェニル基など)などを挙げることができる。置換されたビニル基を有する芳香族ビニル化合物としては、例えばα−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−4−エチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
かかる芳香族ビニル化合物のうち極性基(特にスルホ基)導入の容易さの観点から、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルビフェニル、ビニルターフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−フェノキシスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−4−エチルスチレンおよび1,1−ジフェニルエチレンが好ましく、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、ビニルビフェニルおよびα−メチルスチレンがより好ましく、スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、ビニルビフェニルおよびα−メチルスチレンがさらに好ましく、スチレンおよびα−メチルスチレンが特に好ましい。
ブロック(S)およびこれから誘導される極性ブロック(S)は、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族ビニル化合物以外の単量体(以下「他の単量体(a)」と称する)に由来する構造単位を含んでいてもよい。他の単量体(a)としては、例えば炭素数4〜8の共役ジエン(例えばブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエンなど)、炭素数2〜8のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテンなど)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなど)、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)、ビニルエーテル(例えばメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなど)などが挙げられる。他の単量体(a)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック(S)中の他の単量体(a)に由来する構造単位の含有量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、他の単量体(a)に由来する構造単位が含まれないことが最も好ましい。また、ブロック(S)中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
ブロック(S)一つあたりのMnは1,000〜80,000が好ましく、3,000〜70,000がより好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましい。ブロック(S)一つあたりのMnが1,000〜80,000であるブロック共重合体(Z)から得られるブロック共重合体(Z)を使用することによって、細孔の均一性が高い窒素含有多孔質炭素を製造することができる。
非極性ブロック(T)は不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性であるブロックである。非極性ブロック(T)が非晶性であることは、ブロック共重合体(Z)の動的粘弾性を測定して、結晶性オレフィン重合体に由来する貯蔵弾性率の変化がないことによって確認できる。
非極性ブロック(T)は不飽和脂肪族炭化水素を単量体として重合することで形成できる。不飽和脂肪族炭化水素としては、例えば炭素数2〜8のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテンなど)、炭素数4〜8の共役ジエン(例えばブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエンなど)などが挙げられる。これら不飽和脂肪族炭化水素は1種を単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。不飽和脂肪族炭化水素として共役ジエンを使用する場合、重合(結合)の様式は1,2−結合であっても、1,4−結合であっても、これらが混ざっていてもよい。
かかる不飽和脂肪族炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ヘプタジエンが好ましく、ブタジエン、イソブテン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ヘプタジエンがより好ましく、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび2−エチル−1,3−ブタジエンがさらに好ましく、イソブテン、ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
非極性ブロック(T)は、本発明の効果を損なわない範囲で不飽和脂肪族炭化水素以外の単量体(以下「他の単量体(b)」と称する)に由来する構造単位を含んでいてもよい。他の単量体(b)としては、例えば芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、ビニルナフタレンなど)、ハロゲン含有ビニル化合物(例えば塩化ビニルなど)、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)、ビニルエーテル(例えばメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなど)などが挙げられる。他の単量体(b)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
非極性ブロック(T)中の他の単量体(b)に由来する構造単位の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、非極性ブロック(T)中の不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
非極性ブロック(T)一つあたりのMnは3,000〜150,000が好ましく、10,000〜120,000がより好ましく、20,000〜100,000がさらに好ましい。非極性ブロック(T)一つあたりのMnが3,000〜150,000であるブロック共重合体(Z)は水への分散性が良好でミセルを形成しやすくなり、5〜260nmの細孔径を有する窒素含有多孔質炭素を製造しやすくなる。
ブロック共重合体(Z)を製造するための前記単量体の重合方法としては、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法などを適宜選択することができる。これらの中で、工業的な容易さから、ラジカル重合法、アニオン重合法およびカチオン重合法が好ましく、分子量および分子量分布の制御の観点から、リビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法およびリビングカチオン重合法がより好ましい。
ブロック共重合体(Z)をリビングアニオン重合によって製造する方法として、不飽和脂肪族炭化水素として共役ジエンを用いる場合を例とすると、
(1)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、芳香族ビニル化合物を逐次重合させて、S−T−S型トリブロック共重合体(Z)を得る方法(前記SおよびTは、それぞれブロック(S)および非極性ブロック(T)を表す。以下同じ);
(2)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で芳香族ビニル化合物、共役ジエンを逐次重合させた後、安息香酸フェニルなどのカップリング剤を添加して、S−T−S型トリブロック共重合体(Z)を得る方法;
(3)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中で、アニオン重合開始剤として有機リチウム化合物および重合末端アニオンの活性化剤である極性化合物(例えばエーテル、アミンなど)の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、芳香族ビニル化合物を重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、安息香酸フェニルなどのカップリング剤を添加して、S−T−S型ブロック共重合体(Z)を得る方法;
(4)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で、t−ブチルスチレン、スチレン、共役ジエンを所望の順番で各1回以上逐次添加し、3種類以上のブロックからなるブロック共重合体(Z)を得る方法
などが挙げられる。
ブロック共重合体(Z)をリビングカチオン重合によって製造する方法として、不飽和脂肪族炭化水素としてイソブテンを用いる場合を例とすると、ハロゲン化炭化水素および炭化水素の混合溶媒中、−78℃で、2官能性ハロゲン化開始剤を用いて、ルイス酸存在下、イソブテンをカチオン重合させた後、スチレンなどの芳香族ビニル化合物を重合させて、S−T−S型トリブロック共重合体(Z)を得る方法(例えばMakromol. Chem., Macromol. Symp., 32, pp. 119−129 (1990).に記載の方法)が挙げられる。
ブロック共重合体(Z)を製造するための単量体として、炭素−炭素二重結合を複数有する不飽和脂肪族炭化水素を使用する場合、通常、得られる重合体に炭素−炭素二重結合が残存する。この場合、公知の水素添加反応(水添反応)によって水素添加(水添)し、重合後に残存する炭素−炭素二重結合の一部または全部を飽和結合に変換してもよい。炭素−炭素二重結合の水素添加率(水添率)は50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。水添率はH−NMR測定によって算出することができる。
上述のようにして製造したブロック共重合体(Z)に、公知の方法で極性基を導入することによってブロック共重合体(Z)を製造することができる。
ブロック共重合体(Z)にスルホ基を導入する方法としては、公知のスルホン化反応が挙げられ、例えばブロック共重合体(Z)の溶液や懸濁液に後述するスルホン化剤を添加する方法や、ブロック共重合体(Z)にガス状のスルホン化剤を直接添加する方法が挙げられる。
スルホン化剤としては、硫酸、硫酸と脂肪族酸無水物との混合物、クロロスルホン酸、クロロスルホン酸と塩化トリメチルシリルとの混合物、三酸化硫黄、三酸化硫黄とトリエチルホスフェートとの混合物、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸などが例示される。
スルホン化反応に用いる溶媒としては、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ヘキサンなどの鎖状脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素およびこれらの混合溶媒が例示できる。
また、例えばブロック共重合体(Z)へのホスホン酸基(−P(O)(OH))の導入方法としては、ブロック共重合体(Z)の溶液や懸濁液を調製し、無水塩化アルミニウムの存在下で、該ブロック共重合体(Z)をクロロメチルエーテルなどと反応させ、芳香環にハロメチル基を導入後、これに三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させて、さらに加水分解反応を行ってホスホン酸基を導入する方法などが挙げられる。また、該ブロック共重合体(Z)に三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させ、芳香環にホスフィン酸基(−PH(O)(OH))を導入後、硝酸により該ホスフィン酸基を酸化してホスホン酸基に変換する方法が挙げられる。
また、例えばブロック共重合体(Z)へのアミノ基の導入方法としては、ブロック共重合体(Z)をクロロメチル化し、次いでアミンなどと反応させる方法などが挙げられる。
<N−メチロール化合物(1)>
N−メチロール化合物(1)は、下記式(1)で示される。
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRで示されるアミノ基を表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
式(1)中のXで表される炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。
式(1)中のR〜Rで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基などが挙げられ、この中でも炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がさらに好ましい。
式(1)中のR〜Rで表されるヒドロキシアルキル基は、上述のアルキル基の少なくとも1つ(好ましくは1〜3つ、最も好ましくは1つ)の水素原子がヒドロキシ基で置換されたものを意味する。かかるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基および3−ヒドロキシプロピル基が好ましく、ヒドロキシメチル基が最も好ましい。
式(1)中のR〜Rで表されるアルコキシアルキル基は、上述のアルキル基の少なくとも1つ(好ましくは1〜3つ、最も好ましくは1つ)の水素原子がアルコキシ基で置換された官能基を意味する。かかるアルコキシ基の具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられ、上記アルコキシアルキル基としてはメトキシメチル基、2−メトキシエチル基および3−メトキシプロピル基が好ましく、メトキシメチル基および2−メトキシエチル基がより好ましい。
第1工程における重合を促進する観点から、N−メチロール化合物(1)として、Xが−NRであり、且つR〜Rが互いに独立して水素原子またはヒドロキシメチル基である化合物が好ましい。N−メチロール化合物(1)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、後述する方法でN−メチロール化合物(1)を製造する場合、通常、複数のN−メチロール化合物(1)の混合物となる。N−メチロール化合物(1)におけるヒドロキシメチル基(−CHOH)の数の平均値は1〜4が好ましく、1.5〜3がより好ましい。
N−メチロール化合物(1)のうち、得られる窒素含有多孔質炭素中の窒素導入量を高める観点から、下記式(2)で示される化合物(即ち、少なくとも一つのヒドロキシメチル基を有するメチロールメラミン、以下「N−メチロール化合物(2)」と称する)が好ましい。
(式中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
式(2)中のR〜Rの説明は、式(1)で説明したものと同じである。N−メチロール化合物(2)として、R〜Rが互いに独立して水素原子またはヒドロキシメチル基である化合物が好ましい。N−メチロール化合物(2)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。N−メチロール化合物(2)におけるヒドロキシメチル基(−CHOH)の数の平均値は1〜4が好ましく、1.5〜3がより好ましい。
N−メチロール化合物(1)は、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒド(以下「ホルムアルデヒド類」と称する)と下記式(3)で示されるアミン(以下「アミン(3)」と称する)とを反応(N−メチロール化反応)させることで得られる。
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRを表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
アミン(3)の具体例としては、メラミン(R=R=R=H、X=NRでありかつR=R=H)、ベンゾグアナミン(R=R=R=H、X=フェニル基)、アセトグアナミン(R=R=R=H、X=メチル基)などが挙げられ、得られる窒素含有多孔質炭素中の窒素導入量を高める観点からメラミンが好ましい。
ホルムアルデヒド類としてはホルムアルデヒドが好ましく、かかるホルムアルデヒドはホルムアルデヒド溶液として用いることが好ましい。ホルムアルデヒド溶液の溶媒としては、水、極性有機溶媒およびこれらの混合溶媒が挙げられ、水が好ましい。極性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノールなどのアルコール;テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、シクロヘキサノンなどのケトンなどが挙げられる。極性有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ホルムアルデヒド溶液中のホルムアルデヒド濃度は5〜80質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
N−メチロール化反応におけるホルムアルデヒド類の使用量は、アミン(3)が有する−NH−で示される部分構造に対して、HCHO換算で1〜6モル倍が好ましく、1.5〜3モル倍がより好ましい。上記使用量が1モル倍以上であることで反応の進行が促進され、6モル倍以下であることで原料コスト上有利となるので、工業生産性が高まる。
N−メチロール化反応は一般に溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、水およびこれらの混合溶媒が挙げられ、水が好ましい。極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノールなどのアルコール;テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、シクロヘキサノンなどのケトンなどが挙げられる。極性有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。N−メチロール化反応における溶媒の使用量は、生成するN−メチロール化合物(1)の溶解性の観点から、アミン(3)の0.5質量倍以上が好ましい。
N−メチロール化反応を促進する観点から、アミン(3)以外の塩基を反応系に加えてもよい。該塩基としては、除去の容易さなどの観点からアンモニアおよびトリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなど)が好ましく、アンモニアがより好ましい。該塩基は第1工程の後に留去してもよいし、N−メチロール化合物(1)中に残留させたまま第2工程に供してもよい。
N−メチロール化反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でも行ってもよいが、通常、大気下で行われる。N−メチロール化反応の反応温度は50〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。N−メチロール化反応の反応時間は、加熱温度、ホルムアルデヒド類の使用量、アミン(3)の使用量などにより異なるが、一般的には1分間〜1時間である。
N−メチロール化反応は、通常前記ホルムアルデヒド水溶液にアミン(3)を添加して行う。アミン(3)は通常ホルムアルデヒド水溶液に溶解せずに分散するが、N−メチロール化反応の進行に伴って、分散していたアミン(3)が消失するとともに生成したN−メチロール化合物(1)が溶媒に溶解し均一な水溶液が得られる。かかる均一な水溶液が得られるまでN−メチロール化反応を行うことが好ましい。N−メチロール化反応によって得られたN−メチロール化合物(1)は、再結晶などの公知の方法で上記水溶液から単離した後に第1工程に用いてもよく、上記水溶液のまま用いてもよい。なお、N−メチロール化反応で得られたN−メチロール化合物(1)の水溶液は、通常、複数のN−メチロール化合物(1)を含有する。操作の簡略化の観点から、得られたN−メチロール化合物(1)の水溶液をそのまま第1工程で用いることが好ましい。なお、N−メチロール化合物(1)の構造は、上記溶液から塩基性物質および溶媒を除去したのち、H−NMR測定によって特定できる。
第1工程で使用するブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含む水分散液は、好適には、例えば、(i)ブロック共重合体(Z)の水分散液を調製し、(ii)別途、上述のN−メチロール化反応によってN−メチロール化合物(1)を製造し、(iii)前記(i)で調製した水分散液に、前記(ii)で得られたN−メチロール化合物(1)を添加することによって製造することができる。
上記(iii)では、上記(ii)で得られたN−メチロール化合物(1)を単離して、上記(i)で調製したブロック共重合体(Z)の水分散液に添加してもよく、上記(ii)で行うN−メチロール化反応後の反応混合液(通常、水溶液)をそのまま上記(i)で調製したブロック共重合体(Z)の水分散液に添加してもよい。操作の簡略化の観点から、N−メチロール化反応後の溶液をそのまま上記(i)で調製したブロック共重合体(Z)の水分散液に添加することが好ましい。N−メチロール化合物(1)の添加方法に特に制限はなく、一括添加、逐次添加および連続添加のいずれでもよい。
上記(i)におけるブロック共重合体(Z)の水分散液の調製方法としては、例えば(1)ブロック共重合体(Z)の有機溶液に水を添加して攪拌した後に、有機溶媒を除去する方法(転相乳化法)、(2)ブロック共重合体(Z)の有機溶液に、アルコールなどの極性有機溶媒を添加して攪拌し、さらに水を添加した後に、元の有機溶液に含まれていた有機溶媒および添加した極性有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
また上記(i)におけるブロック共重合体(Z)の水分散液におけるブロック共重合体(Z)の含有量は1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。該含有量は水分散液の固形分として求めることができ、詳しくは、該水分散液を加熱乾燥式水分計(株式会社エー・アンド・デイ製MX−50)で150℃で60分間乾燥させ、乾燥前の水分散液の質量および乾燥後に得られた固形物(すなわちブロック共重合体(Z))の質量から次式により固形分を算出することができる。
ブロック共重合体(Z)の含有量(質量%)=100×乾燥後に得られた固形物の質量(g)/乾燥前の水分散液の質量
またかかるブロック共重合体(Z)の水分散液において、ミセルを形成しているブロック共重合体(Z)の平均分散粒径は、5〜260nmの細孔径を有する窒素含有多孔質炭素を製造する観点から5〜200nmの範囲が好ましく、10〜100nmの範囲がより好ましい。該平均分散粒径は動的光散乱法で測定した値である。詳しくは、後述の実施例に動的光散乱法の測定条件および装置を記載する。
ブロック共重合体(Z)の水分散液においてミセルを形成しているブロック共重合体(Z)の平均分散粒径は、ブロック共重合体(Z)のMn、ブロック共重合体(Z)を構成する極性ブロック(S)および非極性ブロック(T)の含有量、極性基の種類、極性基の量などによって調整できる。例えばブロック共重合体(Z)のMnが大きいと、かかる平均分散粒径は大きくなる傾向がある。また、極性基の極性が低いと、かかる平均分散粒径は大きくなる傾向がある。また、ブロック共重合体(Z)の極性基の含有量が少ないと、かかる平均分散粒径は大きくなる傾向がある。
第1工程において、ブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液中の重合前におけるN−メチロール化合物(1)およびブロック共重合体(Z)の合計含有量は、生産性の観点から0.5〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
ブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液の調製に用いるブロック共重合体(Z)に対するN−メチロール化合物(1)の使用量は、ブロック共重合体(Z)の1〜8質量倍が好ましく、1.2〜4質量倍がより好ましい。N−メチロール化合物(1)の使用量を、ブロック共重合体(Z)の8質量倍以下とすることで、得られる窒素含有多孔質炭素における細孔径が5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積を100m/g以上とできる。
第1工程におけるN−メチロール化合物(1)の重合は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、通常、大気下で行われる。かかる重合を行う重合温度は20〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。また重合時間は、得られる窒素含有多孔質炭素の細孔の均一性を高める観点から10分間〜10時間が好ましく、20分間〜2時間がより好ましい。
ブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液は、重合を促進させるために、酸性であることが好ましく、そのpHは5以下であることがより好ましい。該水分散液を酸性に調整する目的で酸を含有させてもよい。かかる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸およびこれらの混合物が挙げられる。無機酸および有機酸はいずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ブロック共重合体(Z)の極性基が酸性基である場合、上記した酸を含有させることなく水分散液を酸性に調整できるので好ましい。
[第2工程]
第2工程は、上記した第1工程で得られた混合物から水を除去して重合体組成物を得る工程である。かかる重合体組成物は、N−メチロール化合物(1)の重合体中に粒子状のブロック共重合体(Z)が分散された構造を形成していると考えられる。
水の除去方法に特に限定はなく、公知の方法、例えばろ過、自然乾燥、加熱、減圧およびこれらの組み合わせを適宜採用することができる。水を除去するために加熱する場合、加熱温度は30〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。水を除去するために減圧する場合、その圧力は、1.3〜13,000Paが好ましく、13〜1,300Paがより好ましい。また、水の除去は大気下で行っても、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また、第1工程で得られた混合物に含まれる水を第3工程の加熱温度までに昇温する間に除去してもよい。すなわち、第2工程の水の除去と第3工程のための昇温とを同時に行ってもよい。
[第3工程]
第3工程は、上記した第2工程で得られた重合体組成物を第3工程で加熱することで、本発明の窒素含有多孔質炭素を得る工程である。第3工程において、N−メチロール化合物(1)の重合体中に分散された粒子状のブロック共重合体(Z)が除去されて細孔が形成されるとともに、N−メチロール化合物(1)の重合体が窒素含有炭素に変換され、細孔を有する窒素含有多孔質炭素が製造できる。
第3工程に供する重合体組成物は、触媒インクを調製する際に窒素含有多孔質炭素の分散性を高める目的で予め粉砕しておくことが好ましい。粉砕方法に特に制限はないが、ボールミル、ビーズミル、凍結粉砕等が挙げられ、中でもボールミルが好ましい。粉砕の程度に特に制限はないが、重合体組成物の粒径を100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましい。
第3工程では、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱してもよく、二酸化炭素、水蒸気等のガス雰囲気下で加熱してもよい。二酸化炭素、水蒸気等のガス雰囲気下で加熱した場合は、得られる窒素含有多孔質炭素の細孔径5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が向上する傾向がある。
得られる窒素含有多孔質炭素中の炭素原子の含有量を80質量%以上とし、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)を0.005〜0.18の範囲とする観点から、加熱温度は、窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱する場合、好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1000〜1200℃であり、二酸化炭素、水蒸気等のガス雰囲気下で加熱する場合、好ましくは800〜1400℃、より好ましくは800〜1200℃である。加熱温度にて保持する時間(加熱時間)は30分間〜12時間が好ましい。
一方、得られる窒素含有多孔質炭素中の、水素原子と炭素原子との原子比(H/C)を0.1以下とする観点からは、加熱温度は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱する場合、1000℃以上が好ましく、二酸化炭素、水蒸気等のガス雰囲気下で加熱する場合の加熱温度は800℃以上が好ましい。
加熱温度を高めるに伴い、得られる窒素含有多孔質炭素の炭素含有量が向上し、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)および水素原子と炭素原子との原子比(H/C)は減少する傾向となるので、所望の組成に応じて適宜加熱温度を調整する。
加熱温度までの昇温速度は1〜50℃/分が好ましく、2〜30℃/分がより好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることで生産性が向上し、50℃/分以下とすることで得られる窒素含有多孔質炭素の細孔の均一性が向上する。
第3工程の後、通常、得られた窒素含有多孔質炭素を常温まで冷却する。冷却速度は1〜50℃/分が好ましく、5〜30℃/分がより好ましい。冷却速度を1℃/分以上とすることで生産性が向上する。冷却方法に特に制限はなく、公知の冷却装置を用いても、自然冷却してもよい。
(触媒)
本発明の触媒は、前記窒素含有多孔質炭素に触媒金属を担持してなる。触媒金属は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。触媒金属に特に限定は無く、触媒(特に、固体高分子型燃料電池の電極で用いられる触媒)に通常使用されているもの、例えばPt、Pd、Ru、Os、Ir、Rh、Au、Fe、Ni、Cr、Mn、Co、Cu、Ti、ZnおよびVを挙げることができる。これらの中で活性が高い白金族元素であるPt、Pd、Ru、Os、IrおよびRhが好ましく、Ptがより好ましい。
前記触媒金属の粒径は1〜10nmであることが好ましく、2〜8nmであることがより好ましい。触媒金属の粒径が1nm以上であると、触媒の耐久性が向上し、10nm以下であると、触媒活性が高められる。この粒径は、触媒のX線回折を測定し、得られた回折ピークからSherrerの式を用いて算出される。
また、本発明の触媒中の触媒金属の含有量は20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。かかる含有量が20質量%以上であることで、触媒活性が高まり、70質量%以下であることで触媒金属の凝集が抑制される。
窒素含有多孔質炭素に触媒金属を担持させる方法は、従来公知の担持法のいずれかの方法であってもよく、例えば、担体に触媒金属前駆体溶液を浸漬させた後、触媒金属前駆体を還元する方法、または、触媒金属コロイド溶液を担体に浸漬する方法などが採用される。例えば、窒素含有多孔質炭素に白金を担持させた触媒を得るには、白金(II)アセチルアセトナートのジクロロメタン溶液を本発明の窒素含有多孔質炭素に加え、溶媒を留去して窒素含有多孔質炭素に白金(II)アセチルアセトナートを吸着させ、これを不活性雰囲気下で加熱し、還元する浸漬法によって製造することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
1.窒素含有多孔質炭素の製造で使用する重合体の特性評価
(1)数平均分子量(Mn)の測定
以下の測定装置および条件によって、窒素含有多孔質炭素の製造で使用する重合体のMnを測定した。なお、重合体のMnは、標準ポリスチレンの較正曲線を用いて換算した。
GPCシステム:東ソー製「HLC−8220GPC」
カラム:TSK guard Column Super MP−M;TSK gel G3000H;およびTSKgel Super Multipore HZ−Mをこの順に直列に連結して使用した。
RI検出器:HLC−8220GPC
カラムオーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
標準サンプル:ポリスチレン
(2)ブロック共重合体(Z)におけるブロック(S)の含有量、非極性ブロック(T)中の1,4−結合量および水添率並びにブロック共重合体(Z)のスルホン化率の測定
以下の測定装置および条件によって、H−NMRを測定し、ブロック共重合体(Z)におけるブロック(S)の含有量、非極性ブロック(T)中の1,4−結合量および水添率並びにブロック共重合体(Z)のスルホン化率(極性ブロック(S)中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位に対するスルホ基の導入率)を算出した。
H−NMRシステム:日本電子製JNM−ECX400
溶媒:重水素化クロロホルム
基準ピーク:テトラメチルシラン
(3)スルホ基の含有量の測定
ブロック共重合体(Z)を秤量(秤量値a(g))し、100質量倍のテトラヒドロフランに溶解させた。該溶液に過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液((300〜500)×a(mL))を添加して、密閉系で12時間攪拌した。フェノールフタレインを指示薬として、水中に発生した塩化水素を0.01規定の水酸化ナトリウム標準水溶液(力価f)にて中和滴定(滴定量b(mL))した。以上の結果から、ブロック共重合体(Z)1gあたりのスルホ基の含有量を、次式から算出した。
ブロック共重合体(Z)1gあたりのスルホ基の含有量(mmol/g)=(0.01×b×f)/a
(4)非極性ブロック(T)の非晶性評価
ブロック共重合体(Z)(20質量%)のトルエン/2−プロパノール(質量比5/5)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム(三菱樹脂製「MRV」)上に約350μmの厚さで塗工し、熱風乾燥機にて100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ30μmの膜を得た。得られた膜を、広域動的粘弾性測定装置(レオロジ製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数:11Hz)にて昇温速度3℃/分で−80℃から250℃まで昇温して、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)を測定した。結晶性オレフィン重合体に由来する80〜100℃における貯蔵弾性率の変化の有無から、非極性ブロック(T)の非晶性を評価した。この結果、下記製造例で得られたすべてのブロック共重合体(Z)において上記貯蔵弾性率の変化がなく、それらの非極性ブロック(T)は非晶性であった。
(5)水分散液中のブロック共重合体(Z)の平均分散粒径の測定
動的光散乱法による粒径測定装置(大塚電子製「FPAR−1000」)を用いて、製造例3で製造したブロック共重合体(Z)の水分散液中のブロック共重合体(Z)の平均分散粒径を測定した。測定温度は26℃で行い、ストークス・アインシュタイン式を用いて粒径を算出し、得られた粒径を平均して平均分散粒径を求めた。
(6)N−メチロール化合物(1)の分析
N−メチロール化合物(1)中のヒドロキシメチル基(−CHOH)の数は、以下の測定装置および条件によって、H−NMRを測定し、算出した。
H−NMRシステム:日本電子製JNM−ECM400
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
基準ピーク:テトラメチルシラン
2.窒素含有多孔質炭素の製造で使用する原料の製造
[製造例1:ブロック共重合体(Z)−1の製造]
各原料は予め充分に脱水したものを用いた。撹拌装置付き耐圧容器を充分に乾燥し、窒素置換した後、撹拌しつつ172gのα−メチルスチレン、251gのシクロヘキサン、47.3gのメチルシクロヘキサンおよび5.9gのテトラヒドロフランを各々添加した後、−10℃に冷却し、さらに16.8mLのsec−ブチルリチウム(1.3M)のシクロヘキサン溶液を添加し、5時間撹拌を続けて重合反応を行った。このとき重合溶液をサンプリングして重合体(ポリ(α−メチルスチレン))のMnを確認したところ7,100であった。次いで、35.4gのブタジエンを添加し、30分間撹拌後、1,680gのシクロヘキサンを加えた。このとき重合溶液をサンプリングして確認した重合体(ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン型のジブロック共重合体)のMnと前記したポリ(α−メチルスチレン)のMnとの差からポリブタジエンブロックのMnは3,350であった。次いで、重合溶液に1時間かけて310gのブタジエンを添加した。かかるブタジエンの添加開始と同時に昇温を始め、30分かけて60℃まで昇温したのち、60℃で30分間保持した。ブタジエン添加完了後、さらに60℃にて1時間重合した。その後、重合溶液に、21.8mLのα,α’−ジクロロ−p−キシレン(0.5M、トルエン溶液)を加え、60℃にて1時間撹拌することで、カップリング反応を行い、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)型のトリブロック共重合体(「mSEBmS」と称する)を合成した。得られたmSEBmSのMnは79,500であり、非極性ブロック(T)中の1,4−結合量は44.0%、ブロック(S)の含有量(すなわち、α−メチルスチレン単位の含有量)は31質量%であった。
次いで、mSEBmSのシクロヘキサン溶液を調製し、充分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のチーグラー系触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水添反応を行い、ポリ(α−メチルスチレン)−水添ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)型のトリブロック共重合体(「ブロック共重合体(Z)−1」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−1の水添率は99.6モル%であり、Mnは79,600であり、各ポリ(α−メチルスチレン)ブロックのMnはいずれも7,100であり、水添ポリブタジエンブロックのMnは65,400であった。
[製造例2:ブロック共重合体(Z)−1の製造]
製造例1で得られた100gのブロック共重合体(Z)−1を、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて40℃、50Paで6時間乾燥し、次いで窒素置換した後、1000mLの塩化メチレンを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、41.8mLの塩化メチレン中、0℃にて21.0mLの無水酢酸と9.34mLの硫酸とを反応させて得られたスルホン化剤を、20分かけて徐々に滴下した。25℃にて7時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した重合体を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、次いでろ過した。この洗浄およびろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ取した重合体を20℃、50Paで12時間乾燥してスルホン化物(「ブロック共重合体(Z)−1」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−1のスルホン化率は50モル%であり、スルホ基の含有量は1.06mmol/gであった。
[製造例3:ブロック共重合体(Z)−1の水分散液の製造]
製造例2で合成した30gのブロック共重合体(Z)−1を270gのテトラヒドロフラン/2−メチルプロパノール混合溶媒(質量比50/50)に溶解し、ブロック共重合体(Z)−1(含有量10質量%)の溶液を調製した。この溶液に300gのメタノールを追加し、さらに600gの水を加えた後、エバポレータで有機溶媒を除去した。さらに水を100g加えた後、再度エバポレータで濃縮し、水分散液を得た。上述した方法で測定した該水分散液の固形分は11.8質量%であった。また、該水分散液中のブロック共重合体(Z)−1の平均分散粒径は32nmであった。
[製造例4:メチロールメラミン水溶液の製造]
還流管を付し、磁気攪拌子を入れた100mLの三口フラスコに、10gのホルムアルデヒド水溶液(和光純薬工業製、ホルムアルデヒド濃度37質量%、ホルムアルデヒド量3.7g)と5gの1Mアンモニア水(関東化学製)を添加し、室温で撹拌混合した。得られた混合物に、室温で8.0gのメラミン(和光純薬工業製、特級)を一括で添加した後、混合物を大気下で撹拌しながら室温から80℃まで5分間かけて昇温し、さらに80℃で40分間撹拌した。N−メチロール化反応の進行に伴い、添加当初で分散していた固体状のメラミンはなくなり、均一なメチロールメラミン水溶液が23.0g得られた。
得られたメチロールメラミン水溶液から1gを採取し、100℃で60分間乾燥したところ、500mgの固体が得られた。得られた固体は、H−NMRスペクトルから1分子あたり平均2個メチロール化されたメチロールメラミン(即ち、平均して2個のヒドロキシメチル基(−CHOH)を有するメチロールメラミン)であることを確認した。また前記H−NMRスペクトルでは、他の化合物に由来するピークが見られなかった。この結果から、得られたメチロールメラミン水溶液中の前記メチロールメラミン含有量を50質量%と決定した。
3.窒素含有多孔質炭素または粉砕ケッチェンブラックの製造
[実施例1]
還流管を付し、磁気撹拌子を入れた容量100mLの三口フラスコに、製造例3で得られたブロック共重合体(Z)−1の水分散液12.1g(ブロック共重合体(Z)−1:1.43g含有)を添加した後、該水分散液を撹拌しながら大気下で80℃に昇温し、製造例4で得られたメチロールメラミン水溶液4.7g(メチロールメラミン:2.35g含有)を一括で添加して、水分散液を調製した、重合前の水分散液のpH=7.8)。得られた水分散液をさらに80℃にて30分間攪拌することによって、メチロールメラミンを重合し、ゲル状の混合物を得た(第1工程)。該混合物を三口フラスコからテフロン容器上に取り出して磁気攪拌子を除去した後、大気下にて100℃に昇温した後、100℃で1時間加熱することによって水を除去して、重合体組成物3.4gを得た(第2工程)。次いで5mmφのビーズを用い、400回転で2時間、重合体組成物の粉砕処理を実施し、粒径20μmの重合体組成物を得た。粉砕した重合体組成物1.0gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、粉末状の窒素含有多孔質炭素を得た(第3工程)。得られた窒素含有多孔質炭素に3.5gのエタノールを添加し、2mmφのビーズを用い、400回転で2時間粉砕処理を実施した。100℃、1時間加熱することで溶媒を留去して窒素含有多孔質炭素(以下「担体(1)」と称する)106mgを得た。担体(1)の細孔分布曲線の最大強度は他の全てのピークの高さに対して2倍以上であり、最大ピークの半値幅は9nmであった。
[実施例2]
実施例1と同様にして製造および粉砕した重合体組成物1.0gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、粉末を得た(第3工程(1回目))。得られた粉末に3.5gのエタノールを添加し、2mmφのビーズを用い、400回転で2時間粉砕処理を実施した後、100℃、1時間加熱することで溶媒を留去した。次いで、窒素雰囲気下にて10℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、窒素含有多孔質炭素(以下「担体(2)」と称する)85mgを得た(第3工程(2回目))。担体(2)の細孔分布曲線の最大強度は他の全てのピークの高さに対して2倍以上であり、最大ピークの半値幅は10nmであった。
[実施例3]
第3工程(1回目)の加熱温度を1000℃から800℃に、加熱雰囲気を窒素雰囲気下から二酸化炭素雰囲気下に変更したこと以外は実施例2と同様にして、窒素含有多孔質炭素(以下「担体(3)」と称する)51mgを得た。担体(3)の細孔分布曲線の最大強度は他の全てのピークの高さに対して1.4倍以上であり、最大ピークの半値幅は13nmであった。
[比較例1]
還流管を付し、磁気攪拌子を入れた容量100mLの三口フラスコに、0.1Mの塩酸(和光純薬工業製)を24.6g入れて攪拌しながら大気下で80℃に昇温し、そこに製造例4で得られたメチロールメラミン水溶液9.3gを一括で添加して50分攪拌することによってメラミン樹脂を合成した。該メラミン樹脂を三口フラスコからテフロン容器上に取り出して磁気攪拌子を除去した後、大気下にて100℃に昇温し、1時間加熱することによって水を除去し、メラミン樹脂3.9gを得た。次いで5mmφのビーズを用い、400回転で2時間、メラミン樹脂の粉砕処理を実施した。粉砕したメラミン樹脂1.5gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、窒素含有多孔質炭素を得た。得られた窒素含有多孔質炭素に3.5gのエタノールを添加し、2mmφのビーズを用いて400回転で14時間粉砕処理を実施した。100℃で1時間加熱することで溶媒を留去して窒素含有多孔質炭素(以下「担体(4)」と称する)142mgを得た。
[比較例2]
比較例1と同様にして得られた粉砕したメラミン樹脂2.1gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、粉末を得た。得られた粉末に3.5gのエタノールを添加し、2mmφのビーズを用いて400回転で14時間粉砕処理を実施した後、100℃で1時間加熱することで溶媒を留去した。次いで、窒素雰囲気下にて10℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、窒素含有多孔質炭素(以下「担体(5)」と称する)109mgを得た。
[比較例3]
第3工程の加熱温度を1000℃から800℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、窒素含有多孔質炭素(以下「担体(6)」と称する)125mgを得た。
[比較例4]
ライオン株式会社から購入したケッチェンブラック(「EC300」)を乳鉢で粉砕して、粉砕ケッチェンブラック(以下「担体(7)」と称する)を得た。
4.担体の特性評価
(1)比表面積、細孔容積および細孔分布曲線の最大ピークにおける細孔径の測定
実施例1〜3および比較例1〜4で得られた担体(1)〜担体(7)を、1Paにて100℃で6時間乾燥処理した。次いで、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル製「BELSORP−miniII」)を使用し、乾燥処理後の担体(1)〜担体(7)の窒素吸脱着等温線を測定した。得られた窒素吸着等温線から、BJH法を用いて、細孔分布曲線を作成し、該乾燥処理後の担体(1)〜担体(7)の細孔径5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積、細孔容積および細孔分布曲線の最大ピークにおける細孔径を算出した。結果を表1に示す。
(2)元素分析
元素分析装置(Perkin Elmer製「2400II型」)を用いて、実施例1〜3および比較例1〜4で得られた担体(1)〜担体(7)のCHN元素分析を行い、炭素原子、水素原子および窒素原子の含有量、並びに窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)および水素原子と炭素原子との原子比(H/C)を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、担体(1)、(2)、(3)、(6)および(7)は、細孔径が5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が100m/g以上であった。
また、担体(1)、(2)、(3)および(6)の細孔分布曲線では、14〜19nm付近にシャープな最大ピークが観測されており、細孔分布の均一性が高いことが確認された。担体(1)の窒素含有多孔質炭素の細孔分布曲線を図1に、走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。この走査型電子顕微鏡写真から、本発明の窒素含有多孔質炭素である担体(1)には多数の細孔が存在することが確認された。
表1に示すように、担体(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(7)の炭素原子の含有量は80質量%以上であったが、担体(6)の炭素原子の含有量は80質量%未満であった。その理由としては、比較例3では、第3工程における加熱温度が窒素雰囲気下で800℃と低かったために、炭素化の進行度が不十分であったと想定される。加熱温度の上昇に伴い、炭素骨格中に導入された窒素原子の割合は低下する傾向にあるが、担体(1)、(2)および(3)は2〜7質量%の窒素原子が含有されていた。
5.触媒の製造
[実施例4]
実施例1で得られた担体(1)75.8mgを100mLのナスフラスコに入れて、そこに白金(II)アセチルアセトナート(シグマアルドリッチ製)の10質量%塩化メチレン溶液1.57g(白金(II)アセチルアセトナート:157mg相当)を加えた後、乾燥して塩化メチレンが無くなるまで、混合物に超音波照射を行った。乾燥して得られた混合物をアルミナボートにいれ、窒素雰囲気下にて1℃/分の昇温速度で210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次いで1℃/分の昇温速度で240℃まで昇温し、240℃で3時間加熱し、次いで5℃/分の冷却速度で25℃まで冷却することで、触媒138mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は39.3質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.2nmであった。
[実施例5]
実施例2で得られた担体(2)を用いた以外は実施例4と同様にして、触媒156mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は39.2質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.1nmであった。
[実施例6]
実施例3で得られた担体(3)を用いた以外は実施例4と同様にして、触媒135mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は38.3質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.1nmであった。
[比較例5]
比較例1で得られた担体(4)を用いた以外は実施例4と同様にして、触媒123mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は35.6質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.1nmであった。
[比較例6]
比較例2で得られた担体(5)を用いた以外は実施例4と同様にして、触媒116mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は33.0質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.2nmであった。
[比較例7]
比較例3で得られた担体(6)を用いた以外は実施例4と同様にして、触媒131mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は38.5質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.2nmであった。
[比較例8]
比較例4で得られた担体(7)を用いた以外は実施例4と同様にして、触媒149mgを得た。大気下で触媒の熱重量測定を行い、触媒中の白金の含有量は42.3質量%であった。また、触媒のX線回折を測定し、得られた白金の(111)回折ピークからSherrerの式を用いて白金の粒径を算出したところ2.0nmであった。
6.触媒の特性評価
触媒活性および触媒耐久性の評価は、燃料電池実用化推進協議会から提案されている手法に準じて行った(固体高分子型燃料電池の目標・研究開発課題と評価方法の提案 平成23年1月 燃料電池実用化推進協議会)。
(1)触媒活性の評価
(i)触媒インクの製造
2−プロパノール1.17g(和光純薬工業製)と 超純水4.75gに、触媒5.56mgを混合して、さらに高分子電解質として、ナフィオン分散溶液30μL(和光純薬工業製 DE520CSタイプ ナフィオン濃度5質量%)を加えた後、30分間超音波処理(株式会社SMT製 UH−600)することで触媒インクを製造した。
(ii)電極の製造
0.05μmのアルミナ粉末を用いてバフ研磨した円盤状(直径6mm)のグラッシーカーボン(日厚計測製)に前記触媒インクを白金含有量が16μg/cmとなるように塗布し、60℃で85%RHの調湿条件下で1時間乾燥後、100℃で1時間乾燥することで電極を製造した。
(iii)触媒活性の測定
触媒活性の評価は、標準的な3電極電気化学セルを用いて、回転ディスク電極法(RDE)により行った。詳細には、前記の電極、対極として白金(日厚計測製)、参照極としてダブルジャンクション銀・塩化銀参照電極(ECO CHEMIE製)を用い、0.1M過塩素酸溶液中でポテンショスタット(IVIUM TECHNOLOGIES製 COMPACTSTAT)により触媒活性を評価した。電極は、予め掃引速度50mV/秒、0.05V〜1.2V(vs RHE)、窒素雰囲気下、25℃で、50サイクル走査した。この前処理を行った後、酸素雰囲気下で直線走査ボルタンメトリーを、掃引速度10mV/秒、0.17V〜1.21V(vsRHE、正方向掃)で、400、900、1600、2500rpmと回転速度を変えて、各々の電流値を測定した。酸素拡散の補正にはKoutecky−Levichプロットを用い、0.9Vでの白金1gあたりの電流値を触媒活性(質量活性)として求めた。結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例4〜6および比較例8の触媒は触媒活性(質量活性)が高い。また表1および2に示すように、担体である窒素含有多孔質炭素の5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が増えると、触媒活性(質量活性)が向上する傾向が確認された。一方で、比較例5〜7の触媒は触媒活性が劣っていた。比較例5および6の触媒活性が低い理由としては、担体である窒素含有多孔質炭素の5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が少ないためであると推定される。また、比較例7の触媒活性が低い理由は、担体である窒素含有多孔質炭素の炭素原子の含有量が低く、その導電性が低いことに起因すると推定される。
(2)触媒耐久性の評価
触媒耐久性の評価は、標準的な3電極電気化学セルを用いて行った。詳しくは、実施例5および比較例8の触媒から前記(1)の方法で製造した電極、対極として白金電極(日厚計測製)、参照極としてダブルジャンクション銀・塩化銀参照電極(ECO CHEMIE製)を用い、0.1M過塩素酸溶液中でポテンショスタット(IVIUM TECHNOLOGIES製 COMPACTSTAT)により、触媒耐久性を評価した。
電極は、予め掃引速度50mV/秒、0.05V〜1.2V(vs RHE)、窒素雰囲気下、25℃で、50サイクル走査した。この前処理を行った後、掃引速度50mV/秒、0.05V〜1.2V(vs RHE)、窒素雰囲気下、25℃の条件でサイクリックボルタンメトリーを3サイクル行い、3サイクル目のサイクリックボルタンメトリーの水素吸着波より白金の電気化学的有効表面積(ECSA)を算出した。
その後、0.6Vを3秒間、1Vを3秒間の電位サイクルを、合計40000サイクルを繰り返した、前記と同様にして40000サイクル目のECSAを算出した。
3サイクル目のECSAおよび40000サイクル目のECSAから、触媒耐久性の指標として、ECSA維持率(%)(=100×40000サイクル目のECSA/3サイクル目のECSA)を算出した。
実施例5の触媒(担体(2):窒素含有多孔質炭素)から得られた電極のECSA維持率は59%であり、比較例8の触媒(担体(7):ケッチェンブラック)から得られた電極のECSA維持率は49%であった。実施例5の触媒の耐久性(ECSA維持率)が高い理由としては、窒素原子が窒素含有多孔質炭素への白金の吸着を強め、その凝集を抑制したためであると推定される。
以上のように、電極に含有される触媒の担体として本発明の窒素含有多孔質炭素を用いると、高い触媒活性と長寿命化を両立することができる。
本発明の窒素含有多孔質炭素は、触媒(特に、固体高分子型燃料電池の電極で使用される触媒)の担体として有用である。

Claims (4)

  1. 細孔径5〜260nmの範囲にある細孔の全比表面積が100m/g以上であり、炭素原子の含有量が80質量%以上であり、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.005〜0.18である、窒素含有多孔質炭素。
  2. 水素原子と炭素原子との原子比(H/C)が0.1以下である、請求項1に記載の窒素含有多孔質炭素。
  3. 請求項1または2に記載の窒素含有多孔質炭素に触媒金属を担持してなり、固体高分子型燃料電池の電極で用いられる触媒。
  4. 触媒金属が白金族元素である、請求項3に記載の触媒。
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