JP6603954B2 - 油汚染土壌の浄化方法及びその浄化システム - Google Patents

油汚染土壌の浄化方法及びその浄化システム Download PDF

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Description

本発明は油汚染土壌を原位置で浄化する方法及びその浄化システムに関する。
従来から、ガソリンスタンド跡地や工場跡地等を再利用する場合に、ガソリン、燃料油及び機械油などの油分が敷地内外の土壌を汚染していることが問題になっている。
このような油汚染土壌をそのまま放置すると、土壌に混入している油分が揮発して周囲に拡散し、周辺住民に害を及ぼすことが考えられるとともに、雨水等によって土壌中の油分が離脱した場合には、地下水等に混入して周辺地域において水質を汚染する原因ともなる。そのため、ボーリング調査等によって規定濃度以上の油で土壌が汚染されていることが判明した場合には、できるだけ早期に土壌浄化処理を行なう必要がある。
このような土壌浄化処理の方法としては、例えば、特許文献1に一例と示すように、土壌を現地で掘り返して洗浄によって油分を除去し環境への拡散を防止する方法がある。
一方、特許文献2に一例として示すように、油分解に好適な微生物を利用して土壌中の油分を分解無害化する技術、すなわち油処理用のバイオレメディエーションの研究が進んでいる。
特開平9−299924 特開2001−327955
しかしながら、前記土壌洗浄の方法では、現地に土壌洗浄設備を設置する場合でも、又、土壌を別位置の土壌洗浄プラントに運ぶ場合でも浄化を要する土地面積が広いと処理コストが著しく高額になる課題がある。
また、バイオレメディエーションにおいても、油処理用微生物を水に含ませて土中に注入する等のように単純に利用する方法では、浄化に要する期間が長くなる課題がある。現時点では、処理期間に半年〜数年を要しても十分な浄化程度を得られないことが多く、バイオレメディエーション技術によって油汚染土壌を浄化することは極めて難しいのが現状である。
上記従来技術の課題とは別に、本発明者は、油汚染土壌の浄化において解決しなければならない下記の課題があることを発見した。以下、図6を参照しつつ説明する。
[透水層内で地面近くの油汚染領域まで地下水位を上昇させることは難しい課題]
図6において、鋼矢板等の区画部材40は不透水層41まで差し込まれ、少なくとも帯水層42まで達する注入井戸43及び揚水井戸44が設けられている。図6に示すとともに、従来から知られているように下側油汚染領域45−1は、地下水位46よりも少し上側の透水層47内に存在することが多い。
また、一方、地下水の季節的、経年的な上下動によって透水層47の広い領域に上側油汚染領域45−2が広がっている場合もある。さらに、建物の敷地内から漏れた機械油、燃料油などは、建物内なので雨の浸透による影響を受けず、地表面48から浅い距離に上側油汚染領域45−2が広範囲に存在する場合もある。また、地下水も流れやすい土壌域を集中的に流れて、地下水の流れにくい土壌領域において局部的に濃度の高い油汚染領域45が存在することも多い。
これらの油汚染の浄化方法として、一般的に考えられることは、注入井戸43から界面活性物質を含んだ水を大量に注入することによって、地下水位46を比較的下方の透水層47内に存在する下側油汚染領域45−1を浸漬する水位C1まで上げ、揚水井戸44から油汚染水を揚水して油を分離することである。
しかしながら、通常の位置にある地下水位46を下側油汚染領域45−1を包含する水位C1まで上げることは、実際には鋼矢板40間から流れ出る注入水の量の方が多いので難しい。特に、地下水が地表面48からかなり深い位置を流れている場合や、浄化すべき油汚染土壌面積が広い場合には地下水位46を上昇させることは容易ではない。
さらに、図6に示すように、地下水位46が深い位置にある浄化現場において、地表面48から比較的浅い位置に上側油汚染領域45−2が存在する場合は、その上側油汚染領域45−2を浸漬する水位C2まで通常の地下水位46を上昇させて、油を揚水井戸44から回収して浄化することは極めて難しい。即ち、注入水量を確保することや、鋼矢板40の隙間における注入水の流出を考えると、現実的には不可能である。
[注入井戸と揚水井戸を多数形成するコストが高くなる課題]
また、土壌の油汚染領域45は、前記したように地下水が流れにくい土壌領域にその領域の土壌粒子に油分が強固にこびり付いている状態になっている場合が多い。これらの油汚染領域45に界面活性物質を含んだ水を効果的に作用させるには、従来の原位置浄化方法では、油汚染領域45に注入井戸43と揚水井戸44の配置間隔を極めて密にすることが必要になる。これは、結果的に注入井戸43と揚水井戸44を多数形成する必要が生じることになり、浄化処理コストが高くなってしまう課題がある。なお、図6において符号49は注水ポンプ、符号50は揚水ポンプである。
本発明の目的は上記従来技術の課題及び本発明者が見つけた上記課題を解決することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(A)短期間で油汚染を原位置で浄化処理できる油汚染土壌の浄化方法及びその浄化システムを提供する。
(B)土壌洗浄等の従来の技術に比べて低コストで浄化処理できる油汚染土壌の浄化方法及びその浄化システムを提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されない。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、原位置において油汚染土壌を浄化する方法であって、前記油汚染土壌域の地表面48に油回収溝1を形成する油回収溝形成工程と、
前記油汚染土壌に微細気泡36を含んだ温水を注入して前記油汚染領域に含まれる水分量を高める微細気泡温水注入工程と、
前記水分量を高められた前記油汚染土壌から前記微細気泡温水12によって油汚染水を前記油回収溝1に流れ込ませた後、前記流れ込んだ油汚染水から油を分離する油分離工程と、を含むことを特徴とする。
前記微細気泡温水は、「マイクロバブル、ナノバブルと呼ばれる大きさの微細気泡を含んだ温水」という意味である。
この構成であれば、微細気泡温水注入工程によって油汚染領域に含まれる水分量を高めた状態で微細気泡によって土壌粒子から油を剥離し、浮上させることができる。この微細気泡であれば、土壌粒子間に入り込む浸透作用が高いとともに、油を捕獲して浮上させる効果も高いためである。これによって、地表面から比較的浅い深さに掘られた油回収溝であったとしても油を良好に流入・浮上させることができる。
さらに、微細気泡は温水中に形成されているので、油を土壌粒子から剥離及び浮上させる作用が高いので、油の回収効果を増すことができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、前記微細気泡の気体含有濃度の下限を限界溶解濃度の160%程度に設定したことを特徴とする。
前記「微細気泡の気体」としては、通常はコストの観点から空気が使用される。但し、例えば、土壌中の好気性細菌の活動を活発化するために酸素ガスを微細気泡の気体をして選択することや、各種の理由によって各種の気体ガスを注入することも考えられる。なお、限界溶解濃度の上限はできるだけ高いことが好ましいが、温水を使用していることもあり、長時間、微細気泡発生装置を作用させてもそれほど高めることができない場合が多い。
この構成であれば、限界溶解濃度の下限を160%程度に設定すれば、十分な油汚染浄化の作用のある微細気泡温水を生成することができることを本発明者は確認している。そして、この微細気泡温水であれば、従来の土壌水の条件では含めることができないほどの多量の空気等を含めることができる。この構成によって、汚染土壌を構成する各種粒子に付着した油汚染物質を微細気泡の浸透作用、浮上作用によって強力に引き剥がして油回収溝に流れ込む油の量を増やすことができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、前記微細気泡温水12を生成する場合に、管路加圧方式の微細気泡発生装置23を使用し、前記方式の前記微細気泡発生装置23に複数回、繰り返し水を通過させることによって、前記気体の含有濃度を達成することを特徴とする。
この構成であれば、管路加圧方式の微細気泡発生装置に繰り返し水を通過させることによって、上記気体の含有濃度を簡単に達成することができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、前記管路加圧方式の前記微細気泡発生装置23に所定の複数回、繰り返し水を通過させることによって水を加圧する作用によって自然に前記温水とすることを特徴とする。
この構成であれば、管路加圧方式の微細気泡発生装置に繰り返し水を通過させることによって、上記気体の含有濃度を達成することができるとともに、上記好ましい温水に自然にすることができ、さらに、水加熱手段を別途設ける必要がなくなり、構成が簡単になる。
また、予め加温した温水に微細気泡発生装置を作用させる場合に比べて、微細気泡発生装置に複数回、繰り返して通過させる方法を採用することで、水温が高くなる過程の中で微細気泡が自然に水中に圧入される構成になるので、水の温度を上げる過程における微細気泡の水分からの離脱が少なくなることが予想され、温水中の気体含有濃度を効果的に上げる可能性を高めることができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、前記微細気泡温水注入工程において、前記微細気泡温水12を前記油汚染土壌中に注入する場合に、溝用注入管3として、その外周面に注入水を噴出する幅が2mm〜5mmの多数の開口10が形成されるとともに底部を有する管を使用し、前記油汚染土壌中に差し込まれる前記溝用注入管3の長手方向の長さL1は3m〜5mであり、かつ前記溝用注入管3の横断方向の直径は1インチ(inch)〜3インチ(inch)に構成してあることを特徴とする。
この構成であれば、土壌中に形成する場合にコストのかかる従来の注入井戸の構成に比べて、汚染土壌に含まれる水分量を上げることができる微細気泡温水の注入を非常に簡便かつ安価に構成することができる。その理由は、例えば、塩化ビニール管のような安価な管を使用し、その外周壁に細かな開口を設けた構成とするだけですることで溝用注入管として使用できるからである。また、その溝用注入管を汚染土壌の地面から打ち込み、微細気泡温水をポンプ等で圧送するだけで本浄化方法を実施できる。つまり、本発明に係る溝用注入管と同じ数だけ従来の注入井戸を設ける場合に比べて、その設置コストと運用コストは安価できる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、前記油汚染土壌の前記地表面48から、前記微細気泡温水12を散水する微細気泡温水散水工程を含むことを特徴とする。
この構成であれば、微細気泡温水注入工程とともに微細気泡温水散水工程を設けることで、油汚染土壌に含まれる水分量を高める時間を短くできる。又は微細気泡温水注入管の注入ポイントだけでなく、油汚染土壌の地面全面から微細気泡温水が地表面から土中に染みこむように湿潤させることが可能になるので、特に、地表面から浅い領域に存在する油汚染領域の油の剥離及び浮上、油の回収効果を高めることができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化方法は、上記構成に加えて、少なくとも帯水層42に達して前記微細気泡温水12を注入する微細気泡温水注入井戸14と、少なくとも前記帯水層42に達して油汚染水を揚水する微細気泡温水揚水井戸15を別途設け、前記微細気泡温水注入井戸14から透水層47の領域に前記微細気泡温水12を注入するとともに、前記微細気泡温水揚水井戸15によって土壌から分離された油を含む汚染水を揚水することを特徴とする。
この構成であれば、地表面の比較的近くから溝用注入管から拡散する微細気泡温水が油回収溝に流れ込む第1油浮上流路とは、別系統の地下水近傍の浮上作用を利用した第2油浮上流路を形成することができる。つまり、第2汚染水流路として、微細気泡温水揚水井戸によって、微細気泡温水揚水井戸の周囲に存在する油汚染領域から微細気泡温水揚水井戸に流れ込む流路を形成することができ、2つの流路を併用することで、油汚染土壌の浄化を効率的に行なうことができる。
なお、上記した各方法を実現するための構成は、システム又は装置を構成する。即ち、後述する実施形態内において、上記した各方法はそれぞれ対応するシステム及び装置の構成としても認識できるものである。
本発明に係る油汚染土壌の浄化システムは、原位置において油汚染土壌を浄化のために下記各構成を設けるシステムであり、前記各構成は、
(a)前記油汚染土壌域の地表面48に設けられた油回収溝1と、
(b)微細気泡を水中に発生させる微細気泡発生装置23と、
(c)少なくとも前記油汚染土壌に注入する前に、前記微細気泡を含んだ水を温水にする微細気泡温水生成手段24と、
(d)前記微細気泡温水生成手段24によって生成された前記微細気泡温水12を前記油汚染土壌中に注入する微細気泡温水注入手段3と、
(e)前記微細気泡温水注入手段3から前記微細気泡温水12に圧力をかけて送り出すためのポンプ19と、
(f)前記油回収溝1に水と共に流れ込んだ油汚染水を前記油回収溝1から取り出すポンプ6と、
(g)前記油回収溝1に水と共に流れ込んだ前記油汚染水から油を分離する油分離装置29と、
を少なくとも含むことを特徴とする。
この構成であれば、従来工法に比べて、油回収溝から土壌中の油を大量に回収できるので浄化期間を短くできるとともに、安価に油汚染土壌を浄化できる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化システムは、前記微細気泡温水注入手段3を、その外周面に注入水を噴出する幅が2mm〜5mmの多数の開口10が形成されるとともに底部を有する溝用注入管3で構成し、前記油汚染土壌中に差し込まれる前記溝用注入管3の長手方向の長さL1は3m〜5mであり、かつ前記溝用注入管3の横断方向の直径は1インチ〜3インチに構成したことを特徴とする。
この構成であれば、設置コストと運用コストを大幅に低減できる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化システムは、前記微細気泡発生装置23を管路加圧方式によって微細気泡を発生させる装置で構成し、前記微細気泡温水生成手段24は、微細気泡温水12を収容する注入バッファ漕25と、前記微細気泡発生装置23と前記注入バッファ漕25との間で複数回繰り返して循環できるように送り流路26と戻り流路27とを設けたことを特徴とする。
この構成であれば、温水中の気体含有濃度を効果的に上げることができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化システムは、前記微細気泡温水生成手段24によって生成された前記微細気泡温水12を前記地表面48から散水する散水装置28を設けたことを特徴とする。
この構成であれば、油汚染土壌に含まれる水分量を安価に高めることができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化システムは、一つの前記微細気泡温水生成手段24からの前記微細気泡温水12を複数の前記微細気泡温水注入手段3に供給する分岐された配管39を有することを特徴とする。
この構成であれば、微細気泡温水を広い面積に供給できるとともに、構成を簡素化して安価に構成することができる。
本発明に係る油汚染土壌の浄化システムは、前記微細気泡温水生成手段24が生成する前記微細気泡温水12に油を分解又は剥離する微生物を加える微生物供給装置33を有することを特徴とする。
この構成であれば、油と土壌粒子との剥離や、浮上又は油そのものの分解に適した微生物を微細気泡温水に含ませることで、油汚染土壌の浄化期間を短縮することができる。特に、微細気泡温水を注入することで、注入された微生物が活発に繁殖できる酸素濃度と温度に近づけることができ、油汚染土壌の浄化処理を継続して効果的に行うことができる。
以上説明したように、本発明であれば、短期間で油汚染を原位置で浄化処理できる油汚染土壌の浄化方法及びその浄化システムを提供できた。また、土壌洗浄等の従来の技術に比べて低コストで油汚染土壌の浄化方法及びその浄化システムを提供できた。
本実施形態に係る油汚染土壌の浄化方法及び浄化システムを示す油汚染土壌の一例を示す模式的な縦断面図である。 本実施形態に係る油汚染土壌の浄化方法及び浄化システムの一例を示す図であり、地上に設置される各構成を含めて記載した概略図である。 油回収溝と溝用注入管などで構成される油汚染土壌の浄化方法及びシステムの一例を示す平面図である。 本実施形態で採用される溝用注入管を土中に差し込んだ状態の一例を示す縦断面図である。 (a)(b)はそれぞれ微細気泡温水の作用による土壌粒子と油の間の離脱効果、浮上効果を説明するための図である。 地下水を上昇させることによって油汚染土壌を浄化する場合の現実的な課題を説明するための油汚染土壌の模式的な縦断面図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5の図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る油汚染土壌の浄化方法及び浄化システムの一例を示す模式側断面図であり、図6と油汚染土壌の基本的な汚染状況、地下水位置、区画部材等の前提となる構成には、同じ符号を付けて説明は省略する。
まず、図1に示す本実施形態における構成において、特徴的な点は、主に上側油汚染領域45−2用の油回収溝1と、微細気泡温水12を土壌中に供給する安価な微細気泡温水注入手段としての溝用注入管3と、その溝用注入管3に対応して設けられた溝用揚水管4と、を設けた点にある。
以下、本実施形態における各構成要素について説明する。
(油回収溝1の構成)
油回収溝1は、予め把握された油汚染領域45から離脱した油が浮上できると思われる地表面48に形成される溝である。油回収溝1は地表面48から地中に向かって掘られ、その平面形状及び垂直方向の形状は特に限定されない。油汚染土壌の地上面48から深さ0.5m〜2.0m程度での範囲で掘られていることが経済上、好ましい。但し、適宜、上側油汚染領域45−2の位置する深さなどの汚染現場の状況によってその深さと幅は調整できる。
図3に一例として示すように油回収溝1は、溝用注入管3から噴出された微細気泡温水12が土壌を経て流れ込むような配置に設定されている。
図3に示す構成で具体的に説明すれば、紙面上下方向の複数列に並んだ溝用注入管3の間にその列と略平行に延びる形状に形成した油回収溝1の例が示してある。油回収溝1の中央部には油汚染水の回収部5が形成され、その回収部5の底部に水中ポンプ6が設けられて油汚染水を回収する。
水中ポンプ6の吸引によって回収部5内の水位が下がると油回収溝1の油汚染水が自然に回収部5に流れ込むように構成される。また、積極的に回収部5内に油汚染水が流れ込むように油回収溝1の底部を回収部5に向けて傾斜した構成も採用することができる。
なお、図1及び図2に示すような下側油汚染領域45−1、上側油汚染領域45−2などの汚染領域の広がる範囲に対応して、油回収溝1は平面視において円形、T字形、H字形などの各種の形状を採用することができる。
(溝用注入管3の構成)
溝用注入管3は地表面48や透水層47にある油汚染領域45に微細気泡温水12を注入する器具であり、把握した油汚染領域45に対して効果的に微細気泡温水12を注入できる数と配置が選択される。なお、微細気泡温水12の温度は30℃〜40℃の範囲に設定することが好ましい。但し、土壌中に注入すると温度は低下することになるので、40℃を超える高温の温水を生成すること(例えば、30℃〜60℃の範囲)を除外するものではない。但し、温度が高くなると微細気泡を混在させることが難しくなるので適宜、現場の状況に応じて最適な温度設定を行なう。
図4に示すように、溝用注入管3を土中に差し込む場合は、通常、所定深さに達する縦孔8を予め形成し、その縦孔8内に溝用注入管3を挿入するように差込み、地表面48に縦孔8からの注入水の逆流を防ぐような逆流防止部9(例えば、粘土部など)を設けるようにしてある。
溝用注入管3は、円管等の細長い有底管で構成され、管先端部域の外側壁にスリット開口のような各種形状の開口10を多数個、形成した構成になっている。
管の内部には何も設ける必要はなく、溝用注入管3用の注入ポンプ19(図1も参照)から圧送された微細気泡温水12が、開口10から噴出する構成にしてある。この構成の溝用注入管3の土中への注入長さL1は適宜、個別の現場において存在する油汚染領域に良好に微細気泡温水12を供給できる長さに設定する。通常は、前記した長さ範囲に設定される。また、溝用注入管3を前記縦孔8に載置するコストは、従来の注入井戸を形成する費用に比べて非常に安価である。
(溝用揚水管4の設置)
溝用揚水管4は図1に示すように主に透水層47の地表面48近くに存在する上側油汚染領域45−2に対応して設けられた溝用注入管3からの微細気泡温水12を油回収溝1から回収するだけでなく、溝用揚水管4からも回収できることを意図として設けられたものである。普通は、溝用注入管3と同じ土中深さまで形成されることが多い。また、溝用注入管3、油回収溝1及び溝用揚水管4の平面配置は、溝用注入管3から注入された微細気泡温水12が油回収溝1に積極的に流れ込むように配置を工夫する。なお、溝用揚水管4には溝用揚水管4用の揚水ポンプ7が設けられている。
(微細気泡温水注入井戸14)
図1に示す微細気泡温水注入井戸14は、必要によって設けられるもので、従来の注入井戸の注入水を微細気泡温水12に置換することで構成することも可能である。なお、微細気泡温水注入井戸14は、帯水層42に達する深さまで形成されることが好ましい。油回収溝1からの油汚染水の回収だけでなく、帯水層42内の地下水に含まれる油を浄化した方が好ましいので、通常、浄化作業においては、上記溝用注入管3と油回収溝1の第1油浮上流路17とは別に、帯水層42に達する微細気泡温水注入井戸14と帯水層42に達する微細気泡温水揚水井戸15に係る第2油浮上流路18も形成されることが多い。微細気泡温水注入井戸14は少なくとも前記微細気泡温水12を透水層47に供給するので、微細気泡36の油剥離・油浮上効果を相乗的に利用でき、油汚染領域45の浄化を促進することができる。微細気泡温水注入井戸14には微細気泡温水注入井戸14用の注入ポンプ20が設けられている。
(微細気泡温水揚水井戸15)
図1及び図2に示す微細気泡温水揚水井戸15は、必要によって設けられるもので、図6に示した汚染土壌の浄化処理に使用される揚水井戸44に比べて、微細気泡温水12を使用する点が異なる。微細気泡温水揚水井戸15は少なくとも帯水層42に達する位置に達するように設けられることが好ましい。地下水を汲み上げることや、微細気泡温水揚水井戸15の近くの微細気泡温水12を吸い上げることにより、地下水のみならず、微細気泡温水揚水井戸15の近くの油汚染領域45から離脱した油も揚水して、前記第2油浮上流路18を形成することができる。なお、微細気泡温水揚水井戸15には微細気泡温水揚水井戸15用の揚水ポンプ21が設けられている。
(地表面48から供給される微細気泡温水12の散水)
地表面48に対して微細気泡温水12が油汚染土壌の上からも散水されて供給されることが好ましい。この散水を図1において符号の矢印16で示し、図2において散水装置28で示している。溝用注入管3からの微細気泡温水の注入に加えて、透水層47全体に含まれる水分量を向上させて、土壌粒子から油の剥離・浮上を促進できる。
(簡単な作用の説明)
本実施形態の一つの特徴は、地表面48の比較的近くから溝用注入管3から拡散する微細気泡温水12を、上側油汚染領域45−2に入り込ませ、油を離脱させて浮上させることによって、油回収溝1に流れ込む第1油浮上流路17を形成することにある。この効果は微差気泡温水12を採用した場合に顕著になる。
また、必要に応じて、微細気泡温水注入井戸14と微細気泡温水揚水井戸15を設け、主に帯水層42に流れ込んだ油を微細気泡温水揚水井戸15から揚水させる第2油浮上流路18も浄化に利用することができる。
[第2実施形態]
図2は本発明の油汚染浄化方法及びシステムを実現するための一構成例を示した図である。なお、図2の構成要素において、注入ポンプ19から溝用注入管3の圧送経路と、微細気泡温水揚水井戸15から油分離装置29に至る揚水経路の一部は簡便のため省略して描いている。
図2では、微細気泡温水12を供給する構成や、油回収溝1等からの油汚染水を回収する構成を図1に比べて詳しく記載している。
図1の構成との変更点は、油回収溝1に対応する深さの溝用揚水管4を設けず、帯水層42まで達する微細気泡温水揚水井戸15で代用している点と、地表面48上から図中dで示す20cm〜40cm程度の微細気泡温水12が溜まるように鋼矢板等の区画部材40を地面から立設した点である。
地下水位22は微細気泡温水12の注入前の浄化処理前の高さとそれほど変化しなくとも、透水層47に含まれる水分量は高められた状態になり、溝用注入管3から油回収溝1に至る第1油浮上流路17が形成できる。
以下、原位置上又は原位置近くに配置するシステムの各構成を説明する。
(微細気泡発生装置23)
一例を示せば、微細気泡発生装置23として、日本国のIDEC株式会社製造の管路加圧方式の製品名「GALF」を採用することが好ましい。この微細気泡発生装置23であれば、気泡数濃度は微細気泡発生方法の他方式である加圧溶解方式の微細気泡発生装置に比べて約10倍の微細気泡数を水中に生成することができる。
(微細気泡温水生成手段24)
微細気泡発生装置23の注入水の温度を上記温度範囲の温水にする微細気泡温水生成手段24を設けている。本実施形態では、図2に示すように、注入水を保持する注入バッファ漕25を設け、微細気泡発生装置23と注入バッファ漕25とを連通する送り流路26と戻り流路27を設け、注入バッファ漕25内の水を繰り返し、微細気泡発生装置23に通過させることで、注入水の温度を高めても微細気泡の注入数を高い範囲に維持するようにしてある。つまり、微細気泡温水生成手段24を微細気泡発生装置23、注入バッファ漕25、送り流路26及び戻り流路27によって構成している。
(微細気泡温水12の散水装置28)
この散水処理は散水装置28によって、必要により、行なわれる処理である。油汚染浄化処理において行なわれることが好ましい処理でもある。
微細気泡が温水中に所定範囲以上に含まれた状態になった微細気泡温水12を注入バッファ漕25等から分岐して、油汚染土壌の地表面48の所定領域に散水することによって、微細気泡温水12によって地表面48が水浸し状態になるぐらいに散水を行なう。この散水処理によって油汚染土壌の油分を油回収溝1に浮上させる効果を高めることができる。なお、散水装置28の散水は油回収溝1がある位置を避けて行なうことが好ましい。
(油分離装置29)
図2に示すように、油回収溝1及び微細気泡温水揚水井戸15から回収された油汚染水から油を分離する機能を備えた油分離装置29を設ける。油分離装置29は図示しないオイルセパレータと油分浮上分離装置で構成されることが多い。油を除去した水は、貯水漕30を介して再び微細気泡温水12を生成するための水として使用される。
(注水ポンプ)
溝用注入管3に微細気泡温水を圧送するために溝用注入管3用の注水ポンプ19等が配置される。また、図1に示すように、微細気泡温水注入井戸14用の注水ポンプ20も設けられる。
(吸引ポンプ)
油回収溝1の油汚染水を吸引する水中ポンプ6や、図1に示す溝用揚水管4の揚水ポンプ7や、微細気泡温水揚水井戸15用の揚水ポンプ21等が適宜、設けられる。
(センサ類)
図2に示すように、溝用注入管3に圧入される微細気泡温水の温度と検出する温度センサ31、微細気泡温水の注入圧力を検出する圧力センサ32などが適宜、設けられる。図示しないが、これらの各種センサ類は微細気泡温水注入井戸14や微細気泡温水揚水井戸15や、散水装置28などにも設けられる。
(微生物供給装置33)
必要により、注入される微細気泡温水12に油分解用の微生物を注入する装置を設けている。微生物は既に土壌中に生息している微生物を利用するスティミュレーションや、その土壌中にいない油分解菌を注入するオーグメンテーションを適宜、選択して採用する。なお、微細気泡温水12を注入することで、既に土壌中に生息する油分作用のある微生物の活性を高めることができる副次的な効果もある。なお、散水装置28にも微生物供給装置33からの微生物を含ませることが好ましい。
(制御装置)
図1及び図2は図示していないが、上記各種センサ類の検出情報に基づいて所定の処理プログラムによって注入処理、揚水処理、油分離処理、微細気泡温水生成処理等を管理する。
[作用の説明]
以下、上記図1及び図2に示す油汚染浄化方法及びシステムの作用の一例について、簡単に説明する。
(油汚染状況の把握)
まず、油汚染土壌はボーリング調査等によって予めその範囲と汚染濃度が把握され、その汚染濃度によって処理する方法が特定される。具体的には、ボーリング調査等によって極めて高濃度な油汚染土壌が地表近くにある場合は、その高濃度汚染土壌領域(ホットスポット)を掘削して除去してから、本発明に係る油浄化処理を行なうことが好ましい。
ボーリング調査等によって本実施形態の方法によって浄化処理できる油汚染濃度である場合は、通常、以下の処理が行なわれる。
(鋼矢板打ち込み処理等による区画処理)
油汚染領域45を取り囲むようにして、鋼矢板などの区画部材40を土中に打ち込む。通常、区画部材40の下端は不透水層41に食い込むように打ち込まれる。
この区画部材40によって隔離された油汚染領域45は汚染されていない周囲の土壌に対して、ある程度遮断され、汚染されていない土壌との地下水の往来も比較的小さくなる。
(油回収溝1を形成し、溝用注入管3を土壌に差し込む)
微細気泡温水12を上側油汚染領域45−2に注入する溝用注入管3を打ち込む処理と、地表面48から所定深さ範囲に掘られた油回収溝1を形成する作業の2つの作業を行なう。図1に示すように、必要に応じて溝用注入管3から注入される微細気泡温水12を回収する溝用揚水管4を設ける。また、必要に応じて、帯水層近くの下側油汚染領域45−1の油を浮上させるための帯水層42まで達する微細気泡温水注入井戸14、帯水層42まで達する微細気泡温水揚水井戸15の設置を行なう(図1参照)。
(微細気泡温水12の注入と油汚染水の回収)
図1及び図2に示すように、溝用注入管3からの微細気泡温水12の注入と、必要により散水装置28からの散水を行い、透水層47に含まれる水分量を高めた状態にする。
好ましくは地表面48が微細気泡温水12で浸されるようになった状態と平行して、油回収溝1の回収部5の水中ポンプ6から油汚染水を回収して、油分離装置29に送る。同様に必要により設けられた溝用揚水管4又は微細気泡温水揚水井戸15からも油汚染水が揚水され、油分離装置29に送られる。油分離装置29で分離された油は除去され、油が分離された水は、貯水槽30を経て注入バッファ漕25に送られ、微細気泡温水12にされて、溝用注入管3から再び土壌に注入される。
この構成であれば、地表面48に所定深さの溝を掘るということで簡便に実施できる。また、注入された微細気泡温水12は、微細気泡36によって油汚染領域45内の油を剥離して、油回収溝1へ浮上又は流れ込むような第1油浮上流路17を形成することができ、低コストで高い浄化を短期間で行なうことができる。
このような微細気泡温水12による土壌粒子34と油35の剥離効果を模式的に示したのが、図5(a)(b)である。
図5(a)に示すように土壌中に土壌粒子34と強固に結びついた油35であっても、その汚染油の表面から微細気泡36が浸透し、温水溶解効果も含めて図5(b)に示すように、土壌粒子34と剥離・分離された油35になり、その内、油35は微細気泡36がその周囲に付着することで、より浮上しやすい状態になる。特に、溝用注入管3と油回収溝1との間で形成される高い水分量の下側油汚染領域45−1では、注入される微細気泡温水12が繰り返し流れる第1油浮上流路17が形成されることになるので、その効果は予想を超えて大きなものとなる。なお、本特許出願の図面において、微細気泡は非常に小さく、決して目で見える大きさではないが、模式的に目に見える泡として記載している。
また、図2に示す微生物供給装置33を使用して、注入する微細気泡温水12に微生物を供与する場合には、注入後に土壌によって冷やされる程度も考慮して微生物が例えば、死滅しない程度の高い温度に設定すれば、微生物が土壌中で活発に油分を分解する土壌温度及び微生物濃度にできる。一般に油を分解する微生物の多くは好気性細菌であることが多く、微細気泡36を温水に含めることで油分がある限り、当該油分解細菌の増殖条件を満たして、微細気泡温水12を注入した後も、土壌に油があるかぎり、微生物は増殖して油を分解して浄化を行なうので、本実施形態の短期間かつ低コストで行なうことを促進させることができる。
[実施例]
本発明者は、本発明の効果を検証するために、雨水に晒されていないガソリンスタンドの200mの敷地跡の周囲に鋼矢板を打ち込んで外側地下水とほぼ隔離した状態にした。また、微細気泡温水注入手段3として、直径50mmの有底の塩化ビニールの円管の外周面に間隔2mmでスリット幅1mmのスリット開口10を多数設けた、長さL1が2500mm〜3000mmの溝用注入管3を採用した。
そして、予めボーリング調査で判明した油汚染領域に効果的な配置になるように600mm〜1000mm程度の間隔で前記塩化ビニール管を打ち込んだ。
また、前記油回収溝1を前記油汚染領域の上部位置で、かつ溝用注入管3の配列に対応して油汚染水を効果的に回収できるような形状に形成した。また、上記油汚染領域に対して効果的な配置となるように、溝用揚水管4を複数本、設置した。
そして、その油回収溝1の最も深い箇所である回収部5を複数箇所に設置し、それらの回収部5の底面に油汚染水を吸い上げる水中ポンプ6を設置した。
以上の構成において、微細気泡温水の注入開始日から10日程度で、国が定める許容される油汚染濃度以下に浄化することができた。
なお、本実施例では、散水装置によって地表面が微細気泡温水で浸かる状態にせず、帯水層にまで達する微細気泡温水注入井戸や、帯水層にまで達する微細気泡温水揚水井戸を設けない構成で、油回収溝と溝用注入管及び溝用揚水管との組み合わせだけで、上記した短期間での浄化効果を得たものである。この実施例は、本発明の方法及びシステムによって、従来工法に比べて、浄化期間及び浄化処理コストを著しく低減できることを実証したものである。
また、必要により、微細気泡温水を地表面に供給する散水装置を設けることや、帯水層まで達する微細気泡温水注入井戸や微細気泡温水揚水井戸による油汚染水の浮上流れ(前記した第2油浮上流路)を併用することで、上側油汚染領域のみならず、透水層及び帯水層に広がる下側油汚染領域、地下水汚染に対しても、浄化期間及び浄化処理コストを著しく低減できることが判明した。
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)前記微細気泡温水を生成する方法や原理は特に限定しない。前記した管路加圧方式に係る微細気泡発生装置以外の方式で生成された微細気泡温水においても同様に本発明に係る方法及びシステムを適用可能である。
また、本発明においては、微細気泡温水を生成する方法としては、予め温水を作り、微細気泡発生装置によって、温水内に微細気泡を含ませる方法や、他の方法として、微細気泡を含む水を形成した後に温水にする方法の両方が採用できる。
(2)本発明の方法及びシステムにおいて比較的高濃度の油汚染領域が地表近くにあっても、必要に応じて、溝用注入管と溝用揚水管を高密度に設けることで、油回収溝に大量の油を浮上させることができる。したがって、従来なら掘削による土壌洗浄を行なわざるを得なかった高濃度の油汚染土壌であっても、本発明の方法及びシステムによって原位置で極めて短期間(数週間〜数ヶ月)に処理できた油汚染浄化現場が現実にある。
1…油回収溝
3…微細気泡温水注入手段(一例として溝用注入管3を示している)
6…水中ポンプ
10…開口
12…微細気泡温水
14…微細気泡温水注入井戸
15…微細気泡温水揚水井戸
19…注入ポンプ(溝用注入管用)
23…微細気泡発生装置
24…微細気泡温水生成手段
25…注入バッファ漕
26…送り流路
27…戻り流路
28…散水装置
29…油分離装置
33…微生物供給装置
36…微細気泡
39…分岐された配管
42…帯水層
47…透水層
48…地表面
L1…溝用注入管の土中の長手方向の長さ

Claims (11)

  1. 原位置において油汚染土壌を浄化する方法であって、
    前記油汚染土壌域の地表面(48)に、油汚染水回収部と前記油汚染水回収部の底部に設けられ、油汚染水を回収するポンプとを備える油回収溝(1)を形成する油回収溝形成工程と、
    管路加圧方式の微細気泡発生装置(23)に複数回、繰り返し水を通過させることによって、微細気泡(36)を含んだ温水(12)を得る、微細気泡温水生成工程と、
    前記油汚染土壌に前記微細気泡温(12)を注入して前記油汚染領域に含まれる水分量を高める微細気泡温水注入工程と、
    前記水分量を高められた前記油汚染土壌から前記微細気泡温水(12)によって油汚染水を前記油回収溝(1)に流れ込ませた後、前記流れ込んだ油汚染水から油を分離する油分離工程と、を含むことを特徴とする油汚染土壌の浄化方法。
  2. 請求項1に記載の油汚染土壌の浄化方法において、前記微細気泡の気体含有濃度の下限を限界溶解濃度の160%に設定した油汚染土壌の浄化方法。
  3. 請求項1〜請求項のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化方法において、
    前記微細気泡温水注入工程において、前記微細気泡温水(12)を前記油汚染土壌中に注入する場合に、溝用注入管(3)として、その外周面に注入水を噴出する幅が2mm〜5mmの多数の開口(10)が形成されるとともに底部を有する管を使用し、前記油汚染土壌中に差し込まれる前記溝用注入管(3)の長手方向の長さ(L1)は3m〜5mであり、かつ前記溝用注入管(3)の横断方向の直径は1インチ〜3インチに構成してある油汚染土壌の浄化方法。
  4. 請求項〜請求項のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化方法において、前記油汚染土壌の前記地表面(48)から、前記微細気泡温水(12)を散水する微細気泡温水散水工程を含むことを特徴とする油汚染土壌の浄化方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化方法において、上記構成に加えて、少なくとも帯水層(42)に達して前記微細気泡温水(12)を注入する微細気泡温水注入井戸(14)と、少なくとも前記帯水層(42)に達して油汚染水を揚水する微細気泡温水揚水井戸(15)を別途設け、前記微細気泡温水注入井戸(14)から透水層(47)の領域に前記微細気泡温水(12)を注入するとともに、前記微細気泡温水揚水井戸(15)によって土壌から分離された油を含む汚染水を揚水する油汚染土壌の浄化方法。
  6. 原位置において油汚染土壌を浄化のために下記各構成を設けるシステムであり、前記各構成は、
    (a)前記油汚染土壌域の地表面(48)に設けられ、油汚染水回収部と前記油汚染水回収部の底部に設けられ、油汚染水を回収するポンプとを備える油回収溝(1)と、
    (b)微細気泡を水中に発生させる管路加圧方式の微細気泡発生装置(23)と、
    (c)少なくとも前記油汚染土壌に注入する前に、前記微細気泡を含んだ水を温水にする微細気泡温水生成手段(24)と、
    (d)前記微細気泡温水生成手段(24)によって生成された前記微細気泡温水(12)を前記油汚染土壌中に注入する微細気泡温水注入手段(3)と、
    (e)前記微細気泡温水注入手段(3)から前記微細気泡温水(12)に圧力をかけて送り出すためのポンプ(19)と、(f)前記油回収溝(1)に水と共に流れ込んだ油汚染水を前記油回収溝(1)から取り出すポンプ(6)と、
    (g)前記油回収溝(1)に水と共に流れ込んだ前記油汚染水から油を分離する油分離装置(29)と、
    を少なくとも含むことを特徴とする油汚染土壌の浄化システム。
  7. 請求項に記載の油汚染土壌の浄化システムにおいて、前記微細気泡温水注入手段(3)を、その外周面に注入水を噴出する幅が2mm〜5mmの多数の開口(10)が形成されるとともに底部を有する溝用注入管(3)で構成し、前記油汚染土壌中に差し込まれる前記溝用注入管(3)の長手方向の長さ(L1)は3m〜5mであり、かつ前記溝用注入管(3)の横断方向の直径は1インチ〜3インチに構成した油汚染土壌の浄化システム。
  8. 請求項〜請求項のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化システムにおいて、前記微細気泡温水生成手段(24)は、微細気泡温水(12)を収容する注入バッファ漕(25)と、前記微細気泡発生装置(23)と前記注入バッファ漕(25)との間で複数回繰り返して循環できるように送り流路(26)と戻り流路(27)とを設けた油汚染土壌の浄化システム。
  9. 請求項〜請求項のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化システムにおいて、前記微細気泡温水生成手段(24)によって生成された前記微細気泡温水(12)を前記地表面(48)から散水する散水装置(28)を設けた油汚染土壌の浄化システム。
  10. 請求項〜請求項のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化システムにおいて、一つの前記微細気泡温水生成手段(24)からの前記微細気泡温水(12)を複数の前記微細気泡温水注入手段(3)に供給する分岐された配管(39)を有する油汚染土壌の浄化システム。
  11. 請求項〜請求項10のいずれか一つに記載の油汚染土壌の浄化システムにおいて、前記微細気泡温水生成手段(24)が生成する前記微細気泡温水(12)に油を分解又は剥離する微生物を加える微生物供給装置(33)を有する油汚染土壌の浄化システム。
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