JP6599708B2 - 索道の空調装置付き搬器 - Google Patents

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Description

本発明は、索道の空調装置付き搬器に関する。
索道設備は、空中に張架した索条に搬器を懸垂し、人員や物資を運ぶ輸送設備であり、多くは山岳傾斜地における人員の移動手段や、スキー場におけるスキーヤーやスノーボーダーの移動手段として利用されている。また、索道設備は、鉄道等のように地上にレール等を敷設する必要がなく線路に要する用地が少なくてすむために、特に海外においては都市部の公共交通機関として運用されるようになってきている。
このように、都市部等においてゴンドラリフトやロープウェイのような閉鎖型搬器を運行する索道設備を運用するにあたっては、乗客の快適性を向上するために各搬器には空調装置を備えることが望ましい。しかしながら従来周知のように、索道設備においては、線路中を移動する搬器へ電力を供給することが困難であり、大量の電力を消費する空調装置を各搬器に備えることは困難であった。
このようなことから従来、次ぎのような技術が提案され、また、実施されている。この技術のうちの一例は、複数の搬器よりなる搬器グループを形成し、この搬器グループを複数備えて索条の循環移動とともに運行を行うようにしている。搬器グループ内のうち1台の搬器は、電源設備を搭載した電源搬器とし、他の搬器は乗客が乗車する乗客用搬器とする。そして、各乗客用搬器には空調設備を備えるとともに、電源搬器から各乗客用搬器へ給電ケーブルを介して電源を供給するようにし、乗客用搬器の空調を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、他の例としては、客車上部に乗客用スペースと隔離した機器用スペースを形成し、ここにガスタービンエンジン及び発電機と、これによって駆動される空調装置を備えて乗客用スペースの空調を行っている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−257363号公報 特開平9−24823号公報
上記したように索道設備の搬器は空中の高い位置で運行されるため、太陽光に晒されて客車内の温度が上昇し易く、また、空調装置で消費する電力も極力低くすることが求められるため、特に冷房時における冷房効率の向上が望まれる。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ゴンドラリフトやロープウェイのような閉鎖型搬器を運行する索道設備において、冷房効率を向上させることのできる索道の空調装置付き搬器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、搬器の客車の上面よりも上側に空調装置を備え、該空調装置から前記客車内へ温風または冷風を供給する通風管が前記客車の上面を貫通するように設置され、前記客車の上面に平面視矩形に枠組みして上方へ突出するように外枠が設けられ、前記客車の上面に前記通風管を囲み上方へ突出するように内枠が設けられ、前記外枠と前記内枠との間で、前記客車の上面に保水体を敷き詰めて備え、該保水体の表面と前記空調装置との間に間隙が設けられるとともに、前記保水体の表面を外部に露出させ、前記空調装置で前記客車内の冷房を行うときに前記空調装置で発生した凝縮水を前記保水体で吸収することを特徴としている。
本発明によれば、客車の上面の温度上昇を抑制することができるので、客車内の冷房効率を向上させることができる。
自動循環式索道の模式図 搬器の正面図 搬器の側面図 図3におけるA−A矢視図
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態においては、索道設備の代表例として単線自動循環式索道により説明を行う。図1は、単線自動循環式索道の模式図である。単線自動循環式索道10は、線路の端部に停留場11及び停留場12を有しており、各停留場11、12には、原動滑車13及び従動滑車14を回転自在に備えている。原動滑車13と従動滑車14には、索条15が無端状に巻き掛けられており、原動滑車13を回転駆動することにより、索条15は両停留場11、12間を循環して移動する。索条15には、線路中で所定の間隔となるように複数の搬器18が懸垂される。
搬器18は索条15に着脱自在であって、線路中では索条15に取り付けられて索条15とともに移動し、停留場11、12内では索条15から切り離される。停留場11、12には、平面視U字状の走行レール16及び走行レール17がそれぞれ敷設されており、索条15から切り離された搬器18は、走行レール16、17に沿って次のように移動する。まず、停留場11、12に到着した搬器18は、索条15から切り離されるとともに、走行レール16、17に乗り移り、走行レール16、17に沿って設けられた移送装置により減速させられる。乗客が乗降可能な速度まで搬器18が減速すると、その速度を保って停留場11、12内を出発側へ折返し、この間に乗客の乗降が行われる。出発側へ折り返した搬器18は、索条15の速度と同一速度にまで加速させられた後、索条15に取り付けられるとともに走行レール16、17から離脱して線路中へ出発する。
図2は搬器18の正面図、図3は搬器18の側面図、図4は図3におけるA−A矢視図である。搬器18は、大別して握索機19と懸垂機20と客車21とからなっている。握索機19は、索条15を握放索可能であって、線路中では索条15を握索して索条15とともに移動し、停留場11、12内では索条15を放索するとともに、走行レール16、17上を走行ローラー22が転動して移動する。握索機19には、進行方向に対し前後方向へ揺動自在に懸垂機20を枢着しており、この懸垂機20の下部に乗客を搭載する客車21が取り付けられている。
客車21の上部には、上面23から上方へ若干の間隔を開けて空調装置24を備えている。空調装置24は、圧縮機、蒸発機、凝縮機等を内部に備えた一体型の空調装置であって、客車21内部に備えたバッテリー25から電力を供給されて駆動し、通風管26(図4参照)を介して客車21内へ温風または冷風を供給する。バッテリー25は、急速充電が可能なバッテリーであって、搬器18が停留場11、12内を移動するときに搬器18に備えたパンタグラフ等の集電器(図示せず)により電力の供給を受け急速充電される。
客車21の上面23には、外周部付近において平面視矩形に枠組みして上方へ突出した外枠27と、同様に通風管26の周りを囲むように形成した内枠28とを固着している。外枠27と内枠28との間の空間には、水を含んで保つことのできるスポンジやフェルトあるいはゼオライト等の多孔質材等の保水体29が敷き詰められている。この保水体29には、客車21内を冷房するときに空調装置24で発生する凝縮水が排出され、これを保水体29が吸収するようになっている。吸収された凝縮水は、外枠27及び内枠28により客車21の内外へ漏れ出すことはない。
以上の構成により、客車21の冷房を行いながら搬器18を運行すると、搬器18の移動に伴う風、及び太陽光の照射により保水体29に吸収された凝縮水が気化され、このときの気化熱により保水体29の表面温度ないし客車21の上面23の表面温度の上昇が抑制される。客車21の上面23は、太陽光の照射を多く受けて温度上昇し易い部分であり、この部分の温度上昇が抑制されることにより客車21内の冷房効率が向上する。また、空中を移動する通常の搬器18にあっては、空調装置24の凝縮水の処理が問題となるが、上記の構成によれば排出された凝縮水は最終的に気化するので、このような問題は起こらない。
10 単線自動循環式索道
11 停留場
12 停留場
13 原動滑車
14 従動滑車
15 索条
16 走行レール
17 走行レール
18 搬器
19 握索機
20 懸垂機
21 客車
22 走行ローラー
23 上面
24 空調装置
25 バッテリー
26 通風管
27 外枠
28 内枠
29 保水体

Claims (1)

  1. 搬器の客車の上面よりも上側に空調装置を備え、該空調装置から前記客車内へ温風または冷風を供給する通風管が前記客車の上面を貫通するように設置され、前記客車の上面に平面視矩形に枠組みして上方へ突出するように外枠が設けられ、前記客車の上面に前記通風管を囲み上方へ突出するように内枠が設けられ、前記外枠と前記内枠との間で、前記客車の上面に保水体を敷き詰めて備え、該保水体の表面と前記空調装置との間に間隙が設けられるとともに、前記保水体の表面を外部に露出させ、前記空調装置で前記客車内の冷房を行うときに前記空調装置で発生した凝縮水を前記保水体で吸収することを特徴とする索道の空調装置付き搬器。
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