JP6598395B2 - ホウ素アミノ酸を含む静注用製剤及びホウ素中性子捕捉療法 - Google Patents
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Description
このような背景から、主としてL体のホウ素アミノ酸製剤の組成等について改良が行われてきた(例えば、特許文献2、特許文献3)。一方、D体のホウ素アミノ酸は、その性質の実態が明らかでなかったために、これに注目した体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)の制御法(体内動態制御法)の開発は行われてこなかった。
本発明のホウ素アミノ酸のがんへの集積方法は、被験体にホウ素アミノ酸を投与してがんへ集積させる方法において、L体とD体のホウ素アミノ酸のうちD体の比率が60%以上(好ましくはD体の比率が100%)のホウ素アミノ酸を用いることを主たる発明とする。
本発明者は、従来、細胞への集積性がL体のp-ボロノフェニルアラニン(p-phenylalanine:以下、L-BPAという)よりも極めて低く、ホウ素中性子捕捉療法には適さないと定説になっていたD体のp-ボロノフェニルアラニン(p-phenylalanine:以下、D-BPAという)について見直しを行った結果、次の知見を得た。
14C標識体を有する14C-D-BPAと14C-L-BPAとをがんを有するマウスにそれぞれ投与したときに、がんと周辺正常組織とのホウ素集積量のコントラストをオートラジオグラム(画像写真)により対比した。
14C標識体を有しないD-BPAと14C-L-BPAとをがんを有するマウスにそれぞれ投与したときに、がんと正常組織へのホウ素量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)で分析し、がんと正常組織とにおけるBPAの集積相対比(がん/正常組織)を調べた。
14C標識体を有しないD-BPAとL-BPAとをがんを有するマウスにそれぞれ投与したときに、がんへのホウ素量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)で分析した。そして、投与時間とがんへの集積濃度を対比し、D-BPAがL-BPAと同様にホウ素中性子捕捉療法によるがんへの治療有効濃度まで集積されるかを調べた。合わせて、がんが存在する脳のBPA濃度、及びBPAをがんへ運ぶ血液のBPA濃度を調べた。
(がん細胞の培養)
試験に供するがん(がん細胞)の培養方法としては、75cm2(t75)のフラスコ12個にそれぞれ、10%のウシ胎児血清とL-glutamine(3.5mM)を含む細胞培養液DMEM〔Dulbecco's Modified Eagle's Medium(Sigma-Aldrich)〕を20mL入れた。そして、がんとしてマウス神経膠腫GL261細胞株を細胞培養液の入ったそれぞれのフラスコに8.0×105cellsずつ播種し、温度37℃、pH7.4、CO2濃度5%の培養条件下のインキュベータで4日間培養した。
上記培養後に、0.15mLのリン酸緩衝溶液に懸濁したマウス神経膠腫GL261細胞(1.02×107個細胞/匹)を、KSN-slc雄性マウスの5〜6週齢に皮下移植し、試験に供する担がんマウスを得た。そして、担がんマウスのがん直径が0.5〜1.0cm程度になったところで試験を行った。担がんマウスの飼育における餌や水は、通常のSPFの環境で行った。
(試験方法)
<14C-L-BPA及び14C-D-BPAの合成>
図1は、14C-L-BPA及び14C-D-BPAの合成経路を示すものである。なお、図1では、[14C]L-phenylalanine(1)を出発物質とし、2,3,4,5のナンバーで示す化合物を経て目的とする14C-L-BPA又は14C-D-BPAが合成されていることを示す。
文献…Malan,C.; Morin,C.J.Org.Chem.,1998,63,801
14C-L-BPA及び14C-D-BPAのそれぞれについて、生理食塩水を用いて放射能濃度が185kBq/100μLになるようにして、L-BPAとD-BPAとの2種類の14C-BPA投与液を作成した。
上記の複数の担がんマウスのうち、一方群の担がんマウスに14C-L-BPA投与液を尾静脈から100μL/匹を投与し、他方群の担がんマウスに14C-D-BPA投与液を尾静脈から100μL/匹投与した。
図2の(A)は、14C-L-BPA投与液を担がんマウスに投与したときの臓器について測定を行ったオートラジオグラムである。また、(B)は、14C-D-BPA投与液を担がんマウスに投与したときの臓器について測定を行ったオートラジオグラムである。
L-BPA(コールド化合物)とD-BPA(コールド化合物)のそれぞれのホウ素アミノ酸の投与液を担がんマウスに投与して、がん(がん)と脳実質(正常組織)とへの集積相対比、及び各臓器(がん、脳、血液)におけるBPA濃度と投与持続時間(以下、「投与時間」という)との関係を調べた。
<ホウ素アミノ酸製剤の作成>
L-BPA(コールド化合物)又はD-BPA(コールド化合物)に、糖を加えてホウ素アミノ酸製剤を作成した。本実施の形態では、糖としてD体のフルクトースを使用した。従来から、D体のフルクトースはホウ素アミノ酸製剤の水に対する溶解度を上げることができることで知られている。
・L-BPA…4-Borono-L-phenylalanine(カタログ番号17755-250MG)
・D-BPA…4-Borono-D-phenylalanine(カタログ番号68047-250MG)
上記の如く得られたそれぞれのBPA投与液を20μL/分(min)の投与速度で担がんマウスの尾静脈から10分間、20分間、30分間で持続投与した。
投与後直ちに、それぞれの担がんマウスにセボフルランを過剰吸引させて安楽死させてから臓器を摘出した。摘出した臓器について、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)によりホウ素分析を行い、がん(腫瘍)と脳実質(正常組織)とへの集積相対比、及び各臓器(がん(腫瘍)、脳、血液)のBPA濃度と投与持続時間との関係を調べた。
集積相対比試験では、投与後時間が30分(min)、60分、120分における集積相対比(図3では単に相対比と表示)を調べた。
図4の(A)はL-BPAのホウ素アミノ酸製剤の投与液を投与した場合であり、(B)はD-BPAのホウ素アミノ酸製剤の投与液を投与した場合である。
14C標識体のL-BPAとD-BPAとをがん細胞に等量投与したときに、細胞内への取込性(取り込まれ易さ)を、取込率と取込時間との関係で調べた。
上記のがん細胞の培養で使用した細胞培養液のDMEMをディッシュ(シャーレ)から取り除いた。そして、37℃、pH7.4のCa2+を含むリン酸緩衝液(PBS)2mLの条件下で10分間インキュベートした。
図5は、横軸の取込時間(投与後時間と同じ)に対する14C-BPAの細胞への取込率を縦軸し示して、取込時間に対する取込率をグラフ化したものである。図5のグラフにおいて、菱形(◆)のプロットが14C-L-BPAであり、四角(■)のプロットが14C-D-BPAである。また、縦軸の取込率は、14C-BPAの投与量全体を100としたときの各取込時間における取込量を比率(%)で示したものである。また、取込時間は分で示した。
(I)本発明のホウ素アミノ酸のがんへの集積方法及びホウ素中性子捕捉療法を用いることによって、正常組織へのホウ素の集積を小さくでき、がんと正常組織とのホウ素集積量のコントラストが従来よりも顕著に明確になる。これにより、ホウ素中性子捕捉療法による中性子線を略がんにのみ照射することが可能となるので、中性子線による正常組織への被ばくを顕著に小さくすることができる。
Claims (4)
- がんへのホウ素アミノ酸の集積性を検査するためのがんへ集積させるためのホウ素アミノ酸を含む静注用製剤であって、
前記ホウ素アミノ酸としてp-ボロノフェニルアラニンを含み、
前記p-ボロノフェニルアラニンは、L体とD体のうちD体の比率が60%以上であり、
静脈に持続投与して用いられることを特徴とするがんへ集積させるためのホウ素アミノ酸を含む静注用製剤。 - 前記D体の比率が100%である請求項1に記載のがんへ集積させるためのホウ素アミノ酸を含む静注用製剤。
- 人を除く動物である被験体にホウ素アミノ酸の投与液を投与してがんへ集積させる集積過程と、
中性子発生装置や原子炉からの中性子線を前記被験体の患部に照射する中性子照射過程と、を有する人を除く動物のための中性子捕捉療法において、
前記ホウ素アミノ酸は、p-ボロノフェニルアラニンであり、
前記集積過程では、L体とD体のp-ボロノフェニルアラニンのうちD体の比率が60%以上のp-ボロノフェニルアラニンを用いて、静脈に持続投与することを特徴とする人を除く動物のためのホウ素中性子捕捉療法。 - 前記D体の比率が100%である請求項3に記載の人を除く動物のためのホウ素中性子捕捉療法。
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