JP6596077B2 - 感熱アクチュエータデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、温度に依存したアクチュエータ応答を与えるためのアクチュエータデバイスに関する。本発明は更に、このアクチュエータデバイスの製造及び使用に関する。
小型化されたアクチュエータによるメリットが得られるが、大きなストロークを誘導すると共に大きな力を与えることができる多くの用途がある。
モータは、大きなストローク及び力を発生させるためのアクチュエータとして最も広く用いられている。多くの小型化用途のためには、小さいモータでさえも、大きさ、重量、ノイズ、及び費用が過大である。
形状記憶材料(SMM:shaped memory material)、特に形状記憶合金(SMA:shaped memory alloy)の形態である一部のものは、固有の相変化温度を超えて加熱された場合に、大きな力及びストロークを与えることができる。材料の寸法が小さい場合であっても、与えられる力及びストロークは、これらの寸法に対して極めて大きくかつ高精度であり、これは極めて長期間にわたって、多数のスイッチング動作の後も継続する。
このため、温度に依存した作動信号を与えるために形状記憶材料を用いることが研究されている。例えば米国特許出願第2014/0007572号は、材料の相変化温度を超えた温度上昇の際に収縮することによってアクチュエータに係合する形状記憶合金ワイヤの使用を開示している。ワイヤの温度が低下して再び低温相に転移すると、ワイヤを再びその低温の長さに伸ばす追加のバイアスばねを用いることで、ワイヤの元の長さの回復が達成され、従ってアクチュエータのリセットが達成される。
アクチュエータの形状をリセットするため外部バイアスを必要とすることは欠点であるが、これは、温度が低下した場合、相は変化して元の相に戻るが形状は戻らないことの結果である。このため、温度が低下した後、アクチュエータが再び使用可能となる前に、外部作動を開始してSMMの形状変化を逆転させなければならない。
本発明は、活性化が部分的にアクチュエータデバイスの熱感度に基づく、改良されたアクチュエータデバイスを提供しようとするものである。熱感度は、加熱及び冷却時のアクチュエータ形状記憶材料層の形状変化応答から生じる。
本発明は独立項によって定義される。従属項は有利な実施形態を提供する。
本発明によれば、アクチュエータデバイス、このアクチュエータデバイスの製造、及びこのアクチュエータデバイスによって少なくとも部分的に制御される装置におけるデバイスの使用が提供される。アクチュエータデバイスは、その作動が温度変化に依存するという点で感熱性である。アクチュエータデバイスは少なくとも2つの作動ステップを有することができる。
本発明は、各々が少なくとも1つの形状記憶材料を含むか又はこの形状記憶材料から成る2つの層を有する構造を利用する。これら2つの層の相変化温度が相互に異なる限り、これらの層の形状記憶材料は同一の材料であってもそうでなくてもよい。第1の温度では、第1の層の形状記憶材料はその低温記憶形状であるので、第1の層はその第1の記憶形状にある。第1の温度から第2の温度への到達時に第1の層がその第1の形状から第2の形状に転移(変化)する際に与える力は、この第2の温度への加熱中に第2の層が与える抵抗力を上回っている。この上回った力を用いて、アクチュエータデバイスのこの第1の作動ステップ中にアクチュエータデバイスは仕事を行うことができる。
デバイスは更に、第2の温度から第3の温度に加熱されると第2の層がその形状を転移(変化)させることで、アクチュエータデバイスの第2の作動ステップ中、第1の層がその第1の形状に変化するようにすなわち元の形状に戻るように構成されている。このため、第2の層は第1の層に対して直接に又は移送機構/層を介して結合されている。更に、この結合は、第1の層がその第2の形状に形状を変化させた場合に第2の層がその第3の形状に形状を変化させるようになっている。この第3の温度で第2の形状が与える力は、第1の層が与える(対抗する)力を上回っているので、アクチュエータシステムを「リセット」してその元の形状に戻すことができる。
デバイス内で各層はその形状記憶材料に基づく一方向記憶効果を有するが、組み合わせたデバイスは、制御入力として温度だけを用いる2方向記憶効果デバイスとして動作できるので、別個の作動機構は必要ない。従って本発明は、システムをその元の作動状態(形状)に戻すための外部作動の必要性が完全になくなった一体型センサ、アクチュエータ、及びコントローラを提供する。これにより、仕事を行う能力を有する小型アクチュエータとして形状変化材料を用いることに、非常に多くの適用範囲がもたらされる。
本発明において、第1の層及び第2の層は少なくとも部分的に相互に結合され(取り付けられ)、一方の層の形状変化が他方の層の形状変化の結果として引き起こされる。そのような結合は好ましくは、第1の層の少なくとも1つの表面層が、1つ以上の接合(中間)層なしで直接第2の層の少なくとも1つの表面層に固定して取り付けられる形態である。あるいは、第1及び第2の層を接合するため中間層がそこに存在してもよい。実際、一方の層から他方の層へ所望の形状変化を伝達可能である限り、完全に機械的な機構を用いて双方の層を機械的に接続することができる。双方の層を継ぎ合わせるような究極の(ultimate)場合、デバイスのいかなる作動ステップ中も双方の層が同一の形状を取るようにそれらを結合すればよい。
第1の温度は第1の形状記憶材料の相変化温度未満とすればよく、第2の温度は第1の形状記憶材料の相変化温度よりも高くすればよい。
更に、第2の温度は前記第2の形状記憶材料の相変化温度未満とすればよく、第3の温度は第2の形状記憶材料の相変化温度よりも高くすればよい。
この構成を用いて、第1の形状から第2の形状へのアクチュエータの第1の移動は、第1の温度から第2の温度へシステムを加熱することによって刺激される。システムをその元の形状にリセットすることは、システムを更に第3の温度に加熱することによって刺激される。以降の作動及びリセットは、第1及び第3の温度間の更なる循環により刺激することができ、これによって第1の作動ステップ又はアクチュエータデバイスをその元の状態にリセットできる第2の作動ステップをそれぞれ引き起こす。
第1及び/又は第2の層は、第3の温度における第2の層の弾性率と厚さとの第1の積が、第2の温度における第1の層の弾性率と厚さとの第2の積よりも大きいように構成すればよい。
これはつまり、システムが第2の層の相変化温度よりも高い(第3の温度よりも高い)温度である場合に第2の層により与えられる固有の力が第1の層により与えられる力を上回るので、第2の層の形状転移が第1の層の抵抗力を克服することができ、システム全体をその第1の形状に戻せるということである。
第1及び第2の層がそれぞれ第1及び第2の形状記憶材料から成る場合、公表されている表から、各材料の高温相によって表される弾性率を取得することができる。
これら2つの層について、様々な厚さ及び弾性率の組み合わせを使用できる。好ましくは、第1の積は第2の積の1から1.5倍の範囲内である。これにより、この範囲について本明細書で以下に記載される利点のいずれか1つがデバイスを用いて達成可能となる。
一例において、第1の積は第2の積の1から1.1倍の範囲内、例えば1から1.05倍の範囲内である。第1の形状から第2の形状への相変化は、例えば1から2度のような狭い温度範囲で生じ得ることに留意すべきである。この構成により、残留力(抵抗力の克服を考慮した後に仕事を行うため残された力)は、第1の作動ステップでは最大となり、第2の戻りの作動ステップでは最小となる。そのような実施形態は、作動移動時に最大の有効な仕事を行うと共に戻り移動時にほぼゼロの仕事を行うように調整される。これは、積の値の間の差を小さくすることによって達成される。
別の例では、第1の積は第2の積の1.1から1.5倍の範囲内、例えば1.2から1.4倍の範囲内である。この構成は、いずれか1つの作動ステップで行われ得る最大の仕事に合わせるのではなく、双方の作動ステップでアクチュエータによって行われる仕事に備えている。行われ得る仕事全体は2つの作動ステップ間で分配され得る。厚さ−弾性率の積の様々な比によって、この仕事の分配を調整することができる。
代替的な例では、第2の温度における第2の層の弾性率と厚さとの第3の積は、第1の層の第2の温度における弾性率と厚さとの第4の積の0.9から1倍の範囲内、例えば0.95から1倍の範囲内とすればよい。この例は、第2の(戻り)作動ステップでは利用可能な仕事を最大にし、第1の作動ステップでは利用可能な仕事を最小にする。この場合、第1の形状から第2の形状へ形状を変化させる際、第1の層が第2の層の抵抗(反)力を辛うじて克服できるだけの大きさの力が第2の層によって与えられる。対応する温度(第2の温度)において第2の層は低弾性率を有し、その結果として第2の層は第3の温度において弾性率と厚さとの積が著しく大きい。例えば第2の層は第1の層よりも大幅に厚い必要があり、第2の層の戻り移動では力が最大になる。
この例における第1の積は、第2の積の1.5から2倍の範囲内とすることができる。
第1及び第2の層は各々、第1及び第2の相変化材料の相変化温度における最大弾性率に対する相変化温度未満の最小弾性率の比を0.6から0.3の間とすればよい。これは、第1及び第2の相変化材料の相変化温度における著しい形状変化を与え、この変化によって、第1及び第2の作動ステップ中に仕事の実行が可能となる。
2つの層の相変化温度間の様々な関係を用いることができる。
一例では、相変化温度間の比較的小さい差を用いる。例えば、温度間の差は10度未満、又は5度未満である。そのような構成は、極めて高感度の自己調整アクチュエータが必要とされる用途において有用である。ここで、アクチュエータはセンサのような機能性を与えることができる。システムは、第2の温度に到達すると第2の形状に転移し、温度が第2の温度を維持するか又は第2の温度付近にある間のみ前記の形状を維持し、いったん温度が第3の温度超に上昇したら転移して第1の形状に戻る。
代替的な例では、温度間の差は10度より大きく、例えば20度より大きい。そのような構成は、2方向検知が必要とされる用途において有用である。
使用できる様々な形状がある。
一例では、第1及び第2の層はコイル状であるので、アクチュエータはばねのような構造を呈し得る。好適な実施形態では、第1及び第2の層は別個に製造され、コイル状の第1の形状に整えられる。次いで、これらの2つのコイルは相互により合わされて、上述のような二重記憶効果を有する1つのばねを形成する。
好ましくは、第1の層及び/又は第2の層は、それぞれ第1の形状記憶材料及び第2の形状記憶材料から成る。このため、層(複数の層)に他の材料が存在しないので、層の形状は完全に当該の形状記憶材料の形状によって決定される。第1及び/又は第2の形状記憶材料は、1種類の純金属合金のような純形状記憶材料とすることができ、又は異なる金属合金のような異なる形状記憶材料の混合物とすることができる。形状記憶材料はポリマー等の有機材料とすることができるが、パワー増大を考慮すると、好ましくは金属合金のような無機材料である。
本発明において、第1の形状記憶材料及び/又は第2の形状記憶材料は金属合金である。好ましくは、双方とも同じ金属の合金であるが、相対的な金属含有量が異なる。これによって、良好な層接合が可能となると共に、相対的な金属組成を変化させることによる相変化温度の比較的簡単な調整が可能となる。
ある実施形態では、第1及び/又は第2の形状記憶材料は、Cu−Al−Ni、Ni−Tiを含むか又はこれらから成る金属合金の群から選択される。NiTiはその安定性、実用性、及び優れた熱−機械性能のため、ほとんどの用途に好適である。
本発明において、第1の層及び第2の層はそれぞれ第1及び第2の形状記憶材料から成り、第1の層の厚さは第2の層の厚さよりも大きい。厚さの差は、第2の層の厚さの5%、10%、20%、50%、100%、200%、又は500%のうちいずれか1つの値よりも大きくすればよい。
温度フィードバックに対するアクチュエータの応答として装置の1つ以上の機能を制御するため、アクチュエータデバイスはこの装置の一部であり得る。温度フィードバックは、アクチュエータ自体の又はその周囲からの加熱特性によるものとすることができる。従って装置は、動作時又はオンされた時に熱を与えるか、又は実行する特定の機能の結果として熱出力を変化させる装置であり得る。装置は、電気デバイス、又は電気モータもしくは燃焼モータ等の燃焼デバイス、照明デバイスもしくはディスプレイデバイス、バッテリ駆動デバイス、充電器、又は化学プラント等における製造機器であり得る。温度フィードバックが装置の周囲からの熱により生じる場合、装置は、例えばモータや更に多くのもの等の他の装置で使用される制御デバイスであり得る。そのような制御デバイスは、機械的な移動に基づき、温度フィードバックによる作動を必要とするモータ、バルブ、及びスイッチを含む。
本発明は、本発明のアクチュエータデバイスを製造する方法を提供する。この方法において、第1の層(32)を設けることは、
犠牲基板(40)上に第1の形状記憶材料を含むか又は第1の形状記憶材料から成る第1の膜を堆積することと、
感熱アクチュエータの第1の層(32)によって示される形状記憶挙動を誘発するように、前記の第1の膜を熱処理することと、
前記の第1の膜を変形させて第1の形状に戻すことと、
を備えることができ、第2の層(34)を設けることは、
第1の膜上に第2の形状記憶材料を含むか又は第2の形状記憶材料から成る第2の膜を堆積すること、
を含むことができる。
本発明は、本発明に従ったアクチュエータデバイスの作動方法又は使用も提供する。この作動方法又は使用では、第1の作動ステップを行うために、第1の形状記憶材料を含むか又は第1の形状記憶材料から成る第1の層(32)を第2の温度に加熱して、第1の温度における第1の形状から第1の温度よりも高い第2の温度における第2の形状へ形状を変化させ、
第2の形状記憶材料を含むか又は第2の形状記憶材料から成る少なくとも第2の層を第3の温度に加熱して、第2の温度における第3の形状から第2の温度よりも高い第3の温度における第4の形状へ形状を変化させ、
第2の層がその第4の形状に変化した場合に第1の層がその第1の形状に変化するように第2の層(34)が第1の層(32)に結合され、第1の層(32)がその第2の形状に変化した場合に第2の層(34)がその第3の形状に変化するように第2の層(34)が第1の層(32)に結合されている。
これより、添付の概略図を参照して本発明の例について詳細に説明する。
形状記憶材料の温度−相関係を示す。 形状記憶材料の温度−応力−歪み関係を示す。 本発明に従ったアクチュエータの一例を示す。 本発明に従ったアクチュエータの第2の例を示す。 本発明に従ったアクチュエータを製造する方法の一例を示す。
本発明は、2層の形状記憶材料を利用する感熱アクチュエータを提供する。各層は熱的に刺激されて異なる温度で形状を変化させ、2方向作動機能性を生成する。高い方の相変化温度を有する第2の層は、高温相において第1の層よりも大きな固有の力を生成するので、低温で第1の層によって変形された後にアクチュエータを最初の形状にリセットするため使用できる。
形状記憶材料(SMM)、特に形状記憶合金(SMA)は良く知られている。形状記憶合金の2つの主なタイプは、銅−アルミニウム−ニッケルと、ニチノールとして知られるニッケル−チタニウム(NiTi)である。ニチノールは、例えばワイヤ、ロッド、及びバーの形態で、又は薄膜として入手可能である。しかしながらSMAは、亜鉛、銅、金、及び鉄を合金にすることで生成することもできる。
SMMは、2つの異なる相で存在し、3つの異なる結晶構造(すなわち双晶マルテンサイト、非双晶マルテンサイト(detwinned martensite)、及びオーステナイト)を有することができる。
鉄ベース及び銅ベースのSMA、例えばFe−Mn−Si、Cu−Zn−Al、及びCu−Al−Niは市販されており、ニチノールよりも安価であるが、ニチノールベースのSMAは、その安定性、実用性、及び優れた熱−機械性能のため、ほとんどの用途において、より好ましい。
ニチノールは、電気的特性及び機械的特性が極めて良好であり、疲労寿命が長く、耐腐食性が高い。これはアクチュエータとして、マルテンサイト相で約6〜7%の歪み回復、オーステナイト相で約14〜15%、多数のサイクルでの高い回復応力が可能である。この材料は2つの相で大きく異なる弾性率を有するために、相変態の際に大きな仕事量を与えることができる。
また、ニチノールは、ニッケルを外部から遮蔽する酸化チタン表面層を形成して、医療用ステント又は他のインプラント等の生体適合性デバイスを形成することができる。
直径が0.5mmのニチノールワイヤは、6kgの重量を持ち上げることができる。また、ニチノールは抵抗性を有し、このためジュール加熱により電気的に作動させることができる。ワイヤに電流を直接流すと、相変態を起こすのに充分な熱を発生することができる。
ほとんどの場合、SMAの転移温度は、材料の変態点が室温よりも充分に高いように選択される。意図的に加熱することによってのみ、SMAは作動することができる。本質的に、ニチノールは、アクチュエータ、センサ、及びヒータとして、全て一つの材料で使用可能である。
しかしながら、形状記憶合金はあらゆる用途に適しているわけではない。特定のアクチュエータに要求される力、変位、温度条件、及びサイクルレートを考慮する必要がある。ニチノールの利点は、用途のサイズが小さくなるといっそう明白となる。大型の機構では、ソレノイド、モータ、及び電磁石の方が適切であり得る。しかしながら、そのようなアクチュエータを使用できない用途では、形状記憶合金は優れた代替案となる。
ニチノール合金は、加熱されるとマルテンサイト状態からオーステナイト状態に変化し、冷却されると元に戻る。
図1は、加熱中及び冷却中のマルテンサイト部分を加熱の関数として示す。加熱中、As及びAfは、マルテンサイトからオーステナイトへの変態が開始及び終了する温度である。温度Asは、相変化温度とも呼ばれる相転移温度である。冷却中、Ms及びMfは、マルテンサイトへの転移が開始及び完了する温度である。
加熱転移と冷却転移との間の差によって、プロセスで機械的エネルギの一部が失われるヒステリシスが生じる。曲線の形状は、合金化及び加工硬化のような形状記憶合金の材料特性に依存する。
マルテンサイト相からオーステナイト相への転移は、時間には依存せず、温度及び応力のみに依存する。形状記憶合金が低温状態である場合(As未満)、金属は曲げるか又は伸ばすことができ、転移温度を超えて加熱されるまでその状態を保持する。加熱されると、形状は元の形状に変化する。金属が再び冷却されると、相は変化するが形状は変化せず、従って、再び変形されるまで高温の形状を維持する。
この一方向効果のため、高温から冷却されても肉眼で見える形状変化は生じない。低温形状を再現するには変形が必要である。ニチノールの転移温度Asは、合金のタイプ及び組成によって決定され、−150℃から200℃まで変動し得る。一般には、−20℃から120℃の範囲内の転移温度が用いられる。このため、転移温度は特定の用途に合わせて調整することができる。
また、冷間加工又は硬化に基づく、マルテンサイト相で高い応力を示す2方向形状記憶効果を有する材料もある。しかしながら、応力が経時的に解放されるので、この効果は繰り返し温度サイクルが可能でない。本発明は、特に一方向形状記憶材料に関する。
上述のように、相転移は応力及び温度に依存する。図2は、形状記憶効果の応力(σ)−歪み(ε)−温度(T)関数を示す概略図である。材料は、特定の形状を記憶するようにアニーリングされる。材料は、応力を加えることにより、経路10に沿ってその低温形状に変形される。これは非双晶化領域(detwinning region)である。応力−歪み曲線の傾きには急激な上昇があり、この後は材料を更に変形させることが著しく困難になる。いったん経路12で示すように応力が緩和された後は、転移温度を超えて加熱されるまで材料には大きな歪みが残る。これは、材料をオーステナイト相にするための加熱経路14である。次いで、材料は冷却されて経路16に沿って双晶マルテンサイト相に戻ることができ、このポイントでは材料の歪みは緩和されている。形状は元に戻っていないことに留意すべきである。
SMMの高温相の弾性率(E率)は、低温相のE率よりも著しく高い。
弾性率(elastic modulus)、又は弾性率(modulus of elasticity)は、物体又は物質に力を加えた場合の弾性的な(すなわち非永続的な)変形に対する抵抗を測定する数字である。物体の弾性率は、弾性変形領域における応力−歪み曲線の傾きとして(科学分野で通常のように)定義される。剛性の高い材料は弾性率が大きい。本発明では、第1の層及び/又は第2の層は弾性率を有し得る。この率は、層がSMM又はSMAから成る場合はSMM又はSMAの率であり得る。当業者は、標準的な材料データライブラリ(書籍等)において表形式のそのような係数を見出すか、又はそのような率を測定する標準的な方法を用いてそのような率を測定することができる。
加熱中にこの相変化に付随する形状変化は、第1の力F1を与えることができる。温度が相変化温度未満に低下した後、従って層が低温相に変化した後、SMMを元の形態に再整形する(reshape)するために必要な力F2は、より小さい(図2の経路10)。
必要な再整形の力は、例えばばね又は他の何らかの外部機械的バイアスを用いて手動で与えることができる。
本発明は、2層の形状記憶材料の使用に基づく。第2の層が、SMMの第1の層を(結果として構造全体を)その元の形態に戻すための相補的な再整形の力を与える。
図3に、本発明の簡単な実施形態の例が示されている。形状記憶材料の第1の層32は、第2の層34と機械的に結合されてアクチュエータ構造30を形成する。この場合、アクチュエータ構造は、双方の層が同一の形状に追従する単一のまとまった塊(body)であり、そのような塊として動く。しかしながら、2方向効果が維持される限り、他の機械的結合も使用され得る。第1の温度T1は2つの層の相変化温度未満である。第1の層32は相変化温度T2を有し、第2の層は相変化温度T3を有する。ここで、T2<T3である。
システムの温度が第1の層32の相変化温度T2未満からT2超に加熱されると、この層は、低温相にある場合の第1の層32の弾性率よりも著しく高い弾性率の(高温)相に転移する。温度がT2とT3との間にあるこの段階で第2の層34に対して第1の層32の剛性が高くなることは、第1の層がその記憶形状に転移する際に与えられる力が、この温度ではまだマルテンサイトの低弾性率相にある第2の層34による抵抗力を上回っていることを意味する。この結果、アクチュエータ構造全体は、第1の形状S1に対して層32の記憶形状と整合して変形するので、システムがT2とT3との間の温度にある場合、変形した「作動」第2形状S2を取るようになっている。S1からS2への転移中に第1の層32が与える余分な力は、仕事を与えるため利用され得る。
システムの温度が更にT3未満からT3超に上昇すると、第2の層34は刺激されてその低温相から高温(及び高弾性率)相に転移し、その記憶形状に転移する。これは形状S1である。
アクチュエータは、T3超からT2未満の温度にシステムが冷却された後、形状S1を維持する。これは、この温度ではオーステナイト相である層32により与えられる力が、この温度ではマルテンサイト相である層34の抵抗力を克服するためである。温度T1(これはT2未満の任意の温度である)とT3との間のサイクルは、アクチュエータを異なる状態に循環させる。
図3は、そのような異なる状態を示す。
図3(a)は、T2及びT3(SMMの2つの相変化温度)未満の温度T1におけるアクチュエータを示す。2層は通常の、作動されていない状況にある。材料を周囲環境で用いる場合、これは室温とすればよい。
温度を上昇させると、図3(b)に示すように、ある時点でT2に達する。厚い方の層34はまだ低剛性の低温相にあるので、第1のSMM相32の方が薄いものの、生成される力は2層全体の形状を変化させるのに充分な大きさである。アクチュエータを元の形状に戻すことが必要になった時、まず温度を更に上昇させ、図3(c)に示すように少なくともT3に達するまで継続する。
第2の層34の形状は反対方向に変化する。第2の層の方が厚いので、より大きい力を生成し、このため薄い方の層の形状もリセットすることができる。温度低下の間、2層の形状は変化しないので、アクチュエータが図3(a)に示す形状S1を維持したまま、アクチュエータを再びT2未満の温度まで冷却させることができる。
以下の表は、アクチュエータの動作を説明するため、3つの例の計算値を簡略化した形態で示す。簡略化では、特定の層厚について計算される力が断面全体の力を表すことを想定する。更に、特定の温度で特定の層によって与えられる(単位長当たりの)力がF=E*dで近似され得ることを想定する。ここで、Eは前記の温度における層の弾性率であり、dは層の厚さである。これは極めて概算的な近似であり、従って計算値は正確であるよりも概念の例示と見なされる。
以下の第1の表は、3つの例について2つの形状記憶材料の特徴を示す。
2つの層に同一の材料が用いられているが、相転移温度は異なり、異なる実施例では相対的な厚さも異なる。
以下の第2の表は、温度T2で2つの層によって加えられる力を示し、システムにおける最大力(相転移温度T3で厚い方のSMMによって加えられる力である)に対するこの力の百分率も示す。力は、その温度での弾性率、すなわち相変化温度未満の場合のE低と相変化温度の場合のE高とから導出される。
この例では、転移温度T2において第1の層により加えられる力は320kN/mmである(80×4=320)。
実施例1では、転移温度T3において第2の層により加えられる力は328kN/mmである(80×4.1=328)。第2の層の対抗力は44kN/mmである(35×4.1=144)。利用可能な作動力は正味の力である(320−144=176)。百分率は、値328kN/mmに対するこれらの値を表す。
実施例2では、転移温度T3において厚い方の第2の層により加えられる力は440kN/mmである(80×5.5=440)。第2の層の対抗力は193kN/mmである(35×5.5=193)。利用可能な作動力128kN/mmは正味の力である(321−193=128。百分率は、値440kN/mmに対するこれらの値を表す。
実施例3では、転移温度T3において更に厚い第2の層により加えられる力は696kN/mmである。第2の層の対抗力は305kN/mmである(35×8.7=305)。利用可能な作動力15kN/mmは正味の力である(320−305=15)。百分率は、値696kN/mmに対するこれらの値を表す。
以下の表は、温度T3で2つの層により加えられる力を示し、システムにおける最大力(この場合も相転移温度T3で厚い方のSMMによって加えられる力である)に対するこの力の百分率も示す。
主流の典型的な例として、形状記憶合金として以下の合金、すなわちCu−Al−Ni、Ni−Tiを選択することができる。しかしながら、他のものも使用可能であり、これらには、Ag−Cd44/49at.%Cd、Au−Cd46.5/50at.%Cd、Cu−Al−Ni14/14.5wt.%Al及び3/4.5wt.%Ni、Cu−Sn約15at.%Sn、Cu−Zn38.5/41.5wt.%Zn、Cu−Zn−X(X=Si、Al、Sn)、Fe−Pt約25at.%Pt、Mn−Cu5/35at.%Cu、Zn−Cu−Au−Fe、Fe−Mn−Si、Pt合金、Co−Ni−Al[21]、Co−Ni−Ga、Ni−Fe−Ga、混合比率可変のTi−Pd、Ni−Ti−Nb、及びNi−Mn−Gaが含まれる。本来知られているように、合金中の金属の比を用いて相転移温度のような特性を調整することができる。当業者は、これらの合金をどのように及びどこで変更すれば必要な相変化温度が得られるか知っているはずである。NiTi(ニチノール)は、その安定性、実用性、及び優れた熱−機械性能のため、ほとんどの用途において好ましい。
3つの実施例において、2つの層はニチノールであり、ニチノールの弾性値が用いられる。ニチノール層は異なる相変化温度を有するが、相変化温度未満では相互に同一の弾性率を有すると共に、相変化温度超では相互に同一の弾性率を有する。特性の差は、厚さを変化させることによってのみ得られる。ニチノールは典型的に、50〜51原子パーセント(55〜56重量パーセント)のニッケルから構成される。組成に小さい変化を生じると、合金の転移温度を著しく変化させることができる。
実施例1は、第2の形状記憶材料層34(「SMM2」)が、第1のもの(「SMM1」)に比べてわずかだけ厚い必要があることを示す。第1の実施例では、システムで生成される最大力の54%が、形状S1から形状S2への一方向の作動のために利用可能である。
一方向だけの作動のための力が望まれるそのような例では、第2の層の(高)弾性率と厚さとの積は、第1の層の(高)弾性率と厚さとの積の1から1.1倍の範囲内、より好ましくは1から1.05倍とすればよい。これらの層が同一の弾性率を有する材料である場合、第2の層の厚さは第1の層の厚さの1から1.1倍の範囲内、好ましくは1から1.05倍とすればよいことになる。与えられる力はほぼ完全に一方向の移動中に与えられる(ここに示す実施例では54%)のに対し、戻り方向では第1の形状に戻るには小さい力のみが与えられる(2%)。従って、戻る移動は力が与えられず、外部負荷が存在しないことが必要である。
第2の実施例では、双方向の力が必要である場合、第2の層34をわずかに厚くすることができ、残りの利用可能な力は実質的に2で除算できる(一方向で29%、他の方向で27%)ことが示される。
双方向の作動のための力が望まれるこの実施例では、第2の層の(高)弾性率と厚さとの積は、第1の層の(高)弾性率と厚さとの積の1.1から1.5倍の範囲内とすれよい。この範囲は1.2から1.4倍であってもよい。ここでも、これらの層が同一の弾性率を有する材料である場合、この比はそれらの厚さに当てはまる。
第3の実施例では、戻り方向の力が必要である場合、第2の層34のみを更に厚くできることが示される。この実施例では、第2の温度T2において第2の層が(低弾性率相にある場合に)加える対抗力を、第2の温度T2で第1の層が(高弾性率相にある場合に)加える作動力にほぼ到達させる。この目的のため、第2の層によって加えられる最大力は、第1の層の最大力に比べて著しく大きい。実施例3では、最大力は696kN/mmまで増大するので、第2の温度における第2の層の対抗力は305kN/mmとなり、温度T2では15kN/mmのみが残る。
上記の例は同一の材料を利用する。しかしながら、与えられる力を決定するのは弾性率と厚さとの積であるので、異なる材料を用いてもよい。
概して、第1の形状S1へ戻る転移中に第2の層34が第1の層32の抵抗力を克服し、これによってアクチュエータ全体を形状S1にするため、層34が高温相で与える力は、層32が高温相で与える力を上回らなければならない(例えば、上記の例では328>320、440>320、及び696>320)。これらの層が同一材料で構成されている場合、又はより大まかに言うと2つの層の高温弾性率がほぼ同等である場合、上記の要件は、上述のように層34が層32よりも厚い場合に満足される。これは、(妥当な簡略化を許すならば)一般に、厚さd及び弾性率Eの材料層が与える(単位長当たりの)力は概ねE*dによって近似できるという事実から導き出される。従って、Eがほぼ同等である材料では、とりわけ同一の長さの層では、一方により与えられる力が他方により与えられる力を上回るのは、第1の層の厚さが第2の層の厚さよりも大きい場合だけである。
しかしながら代替的な例では、2つの層の弾性率は、材料の一方又は双方の相において相互に異なる。この場合、双方の層が高温相にある場合に第2の層の力が第1の層の力を上回るという条件は、該当する高温の場合に第2の層のE*dが第1の層のそれを上回るという更に近似的な条件によって満足される。
このため、2つの層は同一の形状記憶材料で構成されるか又は異なる材料を構成し得るが、いずれの場合であっても2つは異なる相変化温度を有する。
2層構造全体は単一のまとまった塊として移動し、各層は他方と機械的に共依存している。このため、2つの層は強力な接続により、好ましくはエアギャップなしで全表面にわたって接続されるが、各々が固有の材料特性を保持するようになっている。アクチュエータ要素の動作中にそれぞれの形状変化と共に移動するならば、アクチュエータ要素において第1の層と第2の層との間に又はそれらの外側に他の層が存在してもよい。好ましくは、そのような他の層は全く存在しない。本発明の感熱アクチュエータは、使用のため他の層に取り付けることができる。そのような他の層はアクチュエータと共に移動する必要はなく、典型的には、アクチュエータの形状変化を可能とするように、1つの層の一部のみに取り付けられる。
1つの形状変化方向における力を最大化する実施形態は、作動自体が機械的に難しく、物理的な仕事を完了させる必要がある用途において、最も有用である。この例として挙げられるアクチュエータは、作動時にパイプ上のバルブを回転させる、ロックを開ける、又は他の何らかの手法で物理コンポーネントの移動を行うものである。
そのような実施形態は、2方向のうち一方で重力を利用して作動を行うことができる事例で、特に適用可能である。例えば、バルブを開くために、邪魔になっているディスク又は部材を重力に逆らって持ち上げる必要がある場合、S1からS2への形状変化だけで仕事を行う必要がある。逆方向の作動は重力のみによって実行される。それにもかかわらず、そのような実施形態は一方向アクチュエータよりも有利である。その理由は、重力はバルブディスク自体を移動させるのに充分な強さがあればよく、アクチュエータ全体をS1形態に再整形するのに充分な強さである必要はないからである。この過程のための力は、いったん第2の形状記憶材料層が高温相に加熱されたら、この層によって与えられる。
あるいは、重力がバルブの開放を支援するがその閉鎖に逆らうようにバルブが構成されている場合は、S2からS1への形状転移だけで大きな仕事を行う必要があり得る。バルブディスクの第1の移動はほぼ完全に重力だけで達成され、戻り移動のために力を最大化することができる。
様々な厚さ又は他の寸法パラメータ(幅及び長さ)、層の弾性率だけでなく、2つの層の相変化温度間の差を変えて、異なる機能性を有するアクチュエータを生成するようにしてもよい。
一例において、T2及びT3は、相互に極めて近いように、すなわちそれらの差が10度未満、又は5度未満となるように選択される。この場合、アクチュエータはセンサによく似た挙動となる。システムは、温度が特定の狭い範囲内にある場合にのみ特定の形状(第2の形状S2)を取り、温度がこの範囲よりも高く上昇すると異なる形状に変化する(その後、この範囲未満に冷却される)。
このように、T2とT3との間の小さい差は、極めて高感度の自己調整アクチュエータを与える。T2に達した後の温度上昇によってT3に達したら、戻り作動のために他の機構は必要ない。これは、アクチュエータが作動用よりも検知用に使用される場合に望ましい。
双方向の作動が必要である場合、T2とT3との間の差はより大きくなければならない。一例として、オンされた場合に機械的に開放し、消された後に閉鎖するランプ又は照明器具システムがある。ランプは照明中に温度が上昇するので、T2とT3との間により大きい差が必要である。しかしながら、この温度はT3未満に維持する必要がある。ランプの動作を停止するための信号が与えられた後で初めて、極めて短時間だけ温度を上昇させることで、温度T3に到達させ、照明器具の閉鎖を開始することができる。次いでエネルギを遮断し、システム全体を冷却して、再び開始する準備をする。
環境的温度変化によって作動を可能とするばかりでなく、本発明は、アクチュエータに特定の発熱要素(例えば電気加熱要素)が取り付けられている場合に作動サイクルの直接制御を可能とする。そのような実施形態では、加熱要素に流れる電流を変化させることにより、いずれの方向の作動も容易に制御され、アクチュエータを用いるシステムは「自動」環境検知モードで動作するだけでなく、コンピュータプログラム又は人間が手動で「オーバーライド」することができる。
そのような用途の一例は、パイピングシステムの冷却(又は加熱)バルブを制御するアクチュエータである。冷却バルブは、アクチュエータが作動される場合オン状態であり、必要な場合、例えば周囲温度が高すぎる(T2よりも高い)場合にシステムを冷却する。しかしながら、この用途の必要に応じて、(取り付けた加熱要素を用いた)強制的な加熱により、冷却バルブに手作業で過剰給電する(overpower)ことで、温度T3に到達した場合に冷却バルブをオフに切り換えることができる。この場合、一方向の作動は環境温度の変化に応じて「自動的に」引き起こされるが、もう1つの方向の作動は外部で制御可能である。手作業の過剰給電は、コンピュータプログラムによって日常的に開始させ得る。これは、例えば作動後に所定の時間量が経過した後である。あるいは、手作業の過剰給電は、単に人の介入によって開始され得る。
代替的な例において、作動は、「オフ」状態に回復するため逆方向の作動を必要としない自己制御式のプロセス又はイベントを誘発することができる。例えば、作動によりバルブ又はゲートが変位し、このバルブ又はゲートが後の時点にそれ自体で元の位置に戻る。この場合、手作業の強制的な加熱によるアクチュエータの第1の形状S1へのリセットを、すぐに誘発することができる。
アクチュエータは、上記の例で示したように板の形状を有することができる。代替的な設計は、ばねで形成されたシステムに基づく。この場合、2つの絡み合ったばねが異なる合金組成で形成され、それらは別個に製造されて形状を整えられる。ばねは、相互により合わせて、上述したような二重記憶効果を有する1つのばねを形成することができる。
図4は、形状変化材料の2つの層32、34を有するばね構造を示す。ばねは温度上昇と共に膨張(又は収縮)し、更なる温度上昇の後に形状変化して元に戻る。コイルばねは細長い軸50を有する。上述の2層構造は軸方向に沿って積層されている。
ここで、図5を参照し、薄膜技法を利用してアクチュエータを製造するための1つの可能な方法について説明する。実際、形状記憶合金の高い強度及び熱的な作動のため、これらは薄膜技術を用いて形成できる小型アクチュエータの最適な候補となる。Ni−Tiのスパッタ膜も形状記憶効果を示す。2層アクチュエータは薄膜技法によって生成することができる。
例えば、図5に示すプロセスは、図5(a)に示すように、犠牲基板40上に第1の層32をスパッタリングすることを含む。次いでこの膜を加熱し、図5(b)に示すように基板を除去して、形状記憶効果を得る。次いで膜を変形させて低温平坦形態に戻し、図5(b)に示すように第1の膜上に第2の膜34をスパッタリングする。上述の2方向効果を得るため、第2の膜の相転移温度は第1の膜よりも高い。
このように、薄膜技法を用いてアクチュエータを製造する方法は、2つの層を単一の形状として移動させるため、層間に必要な機械的結合を与える。しかしながらこの代わりに、それらの層を別個に製造し、例えばこれらの層を接着することによって又は機械的締結を用いた結合によって接合してもよい。
特許請求する本発明を実施する際に、図面、開示、添付の特許請求の範囲を検討することから、開示する実施形態の他の変形を当業者によって理解し実施することができる。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という言葉は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。相互に異なる従属項に特定の尺度(measures)が記載されているという事実だけで、これらの尺度を組み合わせて有利に使用することが不可能であると示されるわけではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も範囲を限定するものとして解釈されない。

Claims (15)

  1. 第1の温度における第1の形状から前記第1の温度よりも高い第2の温度における第2の形状へ形状を変化させる第1の形状記憶材料を含むか又は該第1の形状記憶材料から成る第1の層と、
    前記第2の温度における第3の形状から前記第2の温度よりも高い第3の温度における第4の形状へ形状を変化させる第2の形状記憶材料を含むか又は該第2の形状記憶材料から成る第2の層であって、当該第2の層が前記第4の形状に変化した場合に前記第1の層が前記第1の形状に変化するように前記第1の層に結合されている、第2の層と、
    を備え、
    前記第3の温度における前記第2の層の厚さと弾性率との積が、前記第2の温度における前記第1の層の厚さと弾性率との積の1から1.1倍の範囲内である、アクチュエータデバイス。
  2. 前記第1の層が前記第2の形状に変化した場合に前記第2の層が前記第3の形状に変化するように前記第2の層が前記第1の層に結合されている、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  3. 前記第1の温度が前記第1の形状記憶材料の相変化温度未満であり、前記第2の温度が前記第1の形状記憶材料の相変化温度よりも高い、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  4. 前記第2の温度が前記第2の形状記憶材料の相変化温度未満であり、前記第3の温度が前記第2の形状記憶材料の相変化温度よりも高い、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  5. 前記第1の層及び前記第2の層が各々、第1又は第2の形状記憶材料の相変化温度における最大弾性率に対する前記第1又は第2の形状記憶材料の前記相変化温度未満での最小弾性率の比が0.6から0.3の間である比を持つ、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  6. 前記第2の温度と前記第3の温度との差が、
    10度未満であるか、又は
    10度超である、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  7. 前記第1の層及び前記第2の層がコイル状である、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  8. 前記第1の形状記憶材料及び前記第2の形状記憶材料が金属又は金属合金である、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  9. 前記第1の形状記憶材料及び/又は前記第2の形状記憶材料が、Cu−Al−Ni、Ni−Tiを含む合金の群か又はこれらから成る合金の群から選択される、請求項8に記載のアクチュエータデバイス。
  10. 前記第1の層及び前記第2の層がそれぞれ前記第1の形状記憶材料及び前記第2の形状記憶材料から成り、前記第1の層の厚さが前記第2の層の厚さよりも大きい、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  11. 請求項1に記載のアクチュエータデバイスを備える装置であって、前記アクチュエータデバイスが温度フィードバックに応答して前記装置の1つ以上の機能を制御する、装置。
  12. 感熱アクチュエータを製造する方法であって、
    第1の温度における第1の形状から前記第1の温度よりも高い第2の温度における第2の形状へ形状を変化させる第1の形状記憶材料を含むか又は該第1の形状記憶材料から成る第1の層を設けることと、
    前記第2の温度における第3の形状から前記第2の温度よりも高い第3の温度における第4の形状へ形状を変化させる第2の形状記憶材料を含むか又は該第2の形状記憶材料から成る第2の層を設けることと、
    前記第2の層が該第2の層の前記第4の形状に変化した場合に前記第1の層が該第1の層の前記第1の形状に変化するように前記第2の層を前記第1の層に結合することと、
    を備える方法。
  13. 少なくとも前記第1の層を前記第2の温度に加熱して前記アクチュエータデバイスの第1の作動ステップを発生させ、少なくとも前記第2の層を前記第3の温度に加熱して前記アクチュエータデバイスの第2の作動ステップを発生させる、請求項1に記載のアクチュエータデバイスの使用。
  14. 前記第2の温度と前記第3の温度との差が、5度未満である、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
  15. 前記第2の温度と前記第3の温度との差が、20度超である、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
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