JP6595220B2 - 光学フィルタ及び光学フィルタを備えたカメラ - Google Patents

光学フィルタ及び光学フィルタを備えたカメラ Download PDF

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本発明は、所望の波長領域の透過を遮蔽する光学フィルタ及び光学フィルタを備えたカメラに関するものである。
カメラやビデオカメラなどの撮像光学系は、撮像光学系を透過してきた光を電気信号に変換する、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等から成る撮像素子を有する。撮像素子は、人の目の感度特性とは異なる特性を有しており、従来からこの感度特性を人の目の感度に極力合わせるために所望の光波長の透過を制限する光学フィルタが設けられている。例えば赤外カットフィルタや紫外線カットフィルタ等が撮像光学系に配置される。
これらの光学フィルタは、所望の光波長の光を吸収する染料や顔料などからなる光吸収タイプと、屈折率の異なる薄膜積層体によって所望の光波長を反射する干渉タイプとの2つに大別されるが、小型・薄型・分光特性を考慮し、カメラ等の撮像光学系には干渉タイプの光学フィルタが広く用いられている。干渉タイプの光学フィルタは一般的に、基板上に真空蒸着法やIAD法、イオンプレーティング法、スパッタ法等により屈折率の異なる複数の薄膜を積層することで形成される。
撮像素子は、特に近赤外光波長における感度が強く、この領域においては人の目の感度と大きく異なる。このため、赤外カットフィルタは透過帯域と不透過帯域との遷移波長領域における光学特性が非常に重要となり、この特性は主に透過帯域の透過率と反射率とが略同等となる波長(以下IR半値波長)によって管理される。
特開2004−163869 特開2009−20437
特許文献1では、真空蒸着法やIAD法、イオンプレーティング法、スパッタ法等により薄膜を積層した光学フィルタが開示されている。しかしながら、これらの薄膜は成膜される条件により、屈折率や消衰係数などの光学定数が変化しやすい。特に、同一装置での成膜回数が増えると、蒸着機内部に堆積した蒸着膜やこれらの蒸着膜が吸収した水分などの影響を大きく受ける。薄膜積層体による光学特性は薄膜の光学定数と物理膜厚によって決定されるが、バッチ間で光学定数がばらつくことにより、IR半値波長がばらつくという問題があった。
特許文献2には、コロイド結晶層によるブラッグの反射を利用した赤外反射部材が開示されている。コロイド結晶層による反射は、コロイド粒子とコロイド粒子保持材の屈折率、格子面間隔によって決定され、これらはコロイド粒子などの特性が安定であれば、製造工程でのばらつきは比較的小さい。しかしながら、コロイド結晶層によるブラッグの反射は、反射できる波長領域が狭帯域であり、カメラ等の光学系に搭載される光学フィルタに求められる波長領域全域を遮蔽するのは困難である。また、透過帯域における分光特性も十分な特性を得ることは非常に困難である。
本発明は、羽根の耐久性を向上した羽根駆動装置及びシャッタ羽根並びに撮像装置を提供する。
本発明の光学フィルタは、基板上に誘電体膜を複数層積層した誘電体膜積層構造とコロイド粒子が規則的に配列したコロイド結晶層とを有する光学フィルタ基材を備え、前記光学フィルタ基材は少なくとも1つの透過帯と遮蔽帯とによって形成される遷移波長領域を有し、該遷移波長領域の少なくとも1つはコロイド結晶層によって決定されることを特徴とする。
また、本発明の光学フィルタは、基板と、前記基板上に誘電体膜を複数層積層した誘電体膜積層構造と、前記基板上にコロイド粒子が規則的に配列したコロイド結晶層と、を備え、
前記誘電体積層構造は、前記誘電体膜を複数層積層したことによって形成される遮蔽帯と透過帯との間に遷移波長領域を形成し、前記遷移波長領域内に前記コロイド結晶層の反射率のピ−クがあることを特徴とする。
本発明の光学フィルタによれば、コロイド結晶層により遷移波長領域が決定されるため、IR半値波長のばらつきの小さい光学フィルタを提供できる。更に、本発明の光学フィルタは、透過帯域と遮蔽帯域のほとんどが誘電体膜積層構造によって決定されるため、カメラなどの撮像光学系に搭載可能な良好な光学特性の光学フィルタを提供することができる。
本発明に係る光学フィルタの構成図 誘電体膜積層構造の断面図 本発明に係る誘電体膜積層構造の分光特性 本発明に係るコロイド結晶層の断面図 本発明に係るコロイド結晶層の分光特性 本発明に係る光学フィルタの分光特性 本発明に係る光学フィルタの構成例 誘電体膜積層構造の分光特性 光学特性のばらついた誘電体膜積層構造の分光特性 本発明に係る光学フィルタの分光特性
以下、図を基に本発明の光学フィルタを詳細に説明する。
(実施例1)
本発明に係る光学フィルタ(光学フィルタ基材)の構成を図1に示す。本発明の光学フィルタは基板上に少なくとも誘電体膜積層構造とコロイド結晶層とが形成された光学フィルタ基材を構成する。誘電体膜積層構造は屈折率の異なる誘電体膜を積層して形成される。誘電体膜積層構造は所望の光波長を透過あるいは反射させる機能を有する。一方、コロイド結晶層はコロイド粒子が規則的に配列した構造となっており、本発明の光学フィルタの透過帯域と遮蔽帯域とで形成される遷移波長領域を決定する。
<基材>
本実施例では基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いたが、実質的に透明な基材であればこれに限らず、PET以外のポリエステル系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリスルホン、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリイミド系、ノルボルネン系、フッ素系樹脂等の種々のプラスチック基板を使用することもでき、また有機成分と無機成分からなる有機−無機ハイブリッド基板やガラス基板を用いても良い。ここで、実質的に透明とは、光学フィルタの透過帯域における光吸収率が30%以下であることを示す。誘電体膜積層構造やコロイド結晶層形成による熱応力や膜応力による変形、耐熱性、吸水性を考慮するとノルボルネンやポリイミド系が最適な基材の1つである。なお、本実施例で使用したPET基板の厚みは100μmのものを使用しているが、剛性を保てる範囲で極力薄い方が良く、基材の材質にもよるが、好ましくは200μm〜20μm、更に好ましくは100μm〜25μmである。
<誘電体膜積層体>
発明の誘電体膜積層構造は図2で示すような屈折率の異なる複数の薄膜によって形成されており、本実施例では、低屈折率層としてSiO、高屈折率層としてTiOを用いている。本実施例でSiOとTiOを用いたのは、低屈折率層と高屈折率層との現実的な組合せにおいて、最も屈折率差が大きい組合せの1つであり、所望の光学特性を得るために必要となる薄膜の積層数を少なくできるためである。本実施例で用いた材料以外にも、低屈折率層としてはMgFなど、高屈折率層5としてはNb、ZrO、Ta、LaTi(LaTiO)、などが一般的に使用さる。また、低屈折率層と高屈折率層の中間的な屈折率を有する中間屈折率材料(例えばAl,MgOなど)を用いても良く、成膜方法や所望の分光特性に応じて任意に材料を選択可能である。
次に、誘電体膜積層構造の分光特性について説明する。
誘電体膜積層構造は図3に示すように所望の光波長領域に遮蔽領域を有しており、この遮蔽領域の中心波長をλとしたとき、誘電体膜の光学膜厚がλ/4程度ずつ、具体的には0.7〜1.3λ/4程度の薄膜を積層した構成を基本構成としている。但し、透過帯域のリップルを低減するためにλ/4から大きく離れた層を有していても良い。ここで光学膜厚とは、薄膜の屈折率をn、物理膜厚dとしたとき、n×dで表される。誘電体積膜積層構造は所望の分光特性を得るために20〜40層程度の積層数を有する。プラスチック基板を用いる場合は、成膜時に発生する熱による基板の変形を抑制するために、冷却機構を有する成膜装置を用いることが有効である。本実施例では、真空蒸着法により誘電体膜積層構造を形成したが、IAD法、イオンプレーティング法、スパッタ法などで形成可能であり、これに限られるものではない。特に、誘電体膜積層構造形成後の分光変化を低減するには、IAD法やイオンプレーティング法などのようにアシストを加えながら成膜する事が好ましい。誘電体膜は大気中に含まれる水分が膜中に浸入することで、見かけ上の屈折率が大きくなり、分光特性が変化してしまうが、前述のアシストを利用した成膜方法を用いることで誘電体膜の密度が向上し、誘電体膜に取り込まれる水分が少なくなり、長期にわたり安定した分光特性を維持することができる。
<コロイド結晶層>
本実施例ではコロイド粒子として粒子径250nm、屈折率1.5のアクリル系粒子を用いた。アクリル系粒子に限らず実質的に透明であれば、ポリスチレンやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニルなどの他の樹脂系粒子や、二酸化ケイ素、ホウケイ酸ガラス、ニオブ酸リチウム、二酸化チタン、酸化イットリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、セレン化亜鉛、臭ヨウ化タリウム、ダイアモンドなど様々な材料を使用することができる。これらのコロイド粒子は単体でも2種類以上の混合体であっても良い。また、粒子が中空となっているものを用いることもできる。なお、これらのコロイド粒子はコア粒子をコアシェル層によって被覆したものであっても良いし、コロイド粒子保持材によって保持されていても良い。また、コロイド粒子の配列は、面心立方、体心立方、単純立方などの任意の充填構造をとることができる。
コロイド結晶層は図4のようになっており、その反射特性はブラッグの反射条件によって決まる。ブラッグの反射条件によるコロイド結晶層の反射波長のピーク波長(λ)は、コロイド結晶層の格子面距離(d)、コロイド結晶層の屈折率(n)、コロイド結晶層に入射する光の入射角度(θ)より、式1で表される。
λ=2d(n −sinθ)1/2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式1
ここで、nはコロイド粒子の屈折率(nsphere)、コロイド粒子の保持材の屈折率(nvoid)、コロイド粒子の体積占有率(f)により、式2によって与えられる。
=(n spheref+n void(1−f))1/2・・・・・・・・・・・・式2
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本実施例では、コロイド粒子径250nmとしているが、式1と式2より、所望の光波長領域に反射ピークが現れるような任意の格子面間隔dを得られる粒子径とする事ができる。但し、コロイド粒子径は可視光波長よりも小さい粒子径とすることが好ましい。可視光波長よりもコロイド粒子が大きくなると、可視光波長領域においてコロイド粒子による光の拡散が発生し、ヘイズ値が高くなり、カメラ等に搭載された場合、画質の劣化を引き起こす虞がある。ここで可視光波長とは400〜700nmを指す。また、コロイド粒子の屈折率(nsphere)に関しても、式1と式2より、所望の光波長領域に反射ピークがくるように保持材の屈折率(nvoid)や、コロイド粒子の体積占有率(f)などのパラメータを考慮し、任意の値を選択できる。
コロイド結晶層の厚みは任意の反射率を発生できる厚みとして良く、また必要に応じてブラッグの反射条件の異なるコロイド結晶層を膜厚方向に複数層積層しても良い。反射ピーク波長の強度は、コロイド層の厚みが厚いほど強いピークとなる。また、ブラッグの反射条件の異なる複数のコロイド結晶層を設けることで、コロイド結晶層による反射波長領域を広くすることができる。
コロイド結晶層の形成には、本実施例ではスピンコート法を用いたが、バーコーター法やディップコート法などが好適に用いることができ、またこれらの方法に限らず既存の様々な方法で形成しても良い。
コロイド粒子保持材を用いる場合は、実質的に透明な材料であれば良く、例えば、アクリル系、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素樹脂、PET系樹脂、PC系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等など様々な材料を用いることができ、これらを単独あるいは2種類以上混合して用いても良い。また、必要に応じて、重合開始剤を含んでいても良い。
コロイド粒子保持材は活性化エネルギーである熱線や紫外線、可視光線、電子線などによって硬化する樹脂を用いることができる。活性エネルギー線の照射量は、樹脂組成物の硬化が進行するエネルギー量であれば良い。
熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、単独又は複数で用いても良い。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、4,4−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ヒドラゾン、α−アシロキシムエステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものでなく、単独又は複数で用いても良い。
電子線硬化開始剤としては、ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、イソプロピルチオキサントン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、単独又は複数で用いても良い。
また、コロイド結晶層には光学フィルタの遮蔽領域に光吸収を有する色素が分散されていても良い。コロイド結晶層に色素を分散することで、光学フィルタの遮蔽領域を形成する誘電体膜積層構造の積層数を減らすことが可能となる。色素としては、光学フィルタの透過領域において実質的に透明であれば、シアニン系、アゾ系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系、ポリメチン系、アンスラキノン系、ナフトキノン系、トリフェニルメタン系、アミニウム系、ピリリウム系、スクワリリウム系等の色素が好適に利用可能であり、またこれらを2種類以上混合して用いることもできる。
また、コロイド結晶層には、酸化防止剤や紫外線吸収材などの安定剤が分散されていても良い。これらの安定剤は、光学フィルタの分光・物性などの経時変化を低減する効果を有し、特に紫外線に弱いPCなどのプラスチック基板を用いたときや、コロイド結晶層に染料などの光吸収剤を添加したときなどには効果的である。酸化防止剤としては、フェノール系、ビンダードフェノール系、アミン系、ビンダードアミン系、硫黄系、リン酸系、亜リン酸系等が挙げられ、紫外線吸剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等が挙げられるが、これらに限定されたものではない。また、これらの酸化防止剤や紫外線吸収剤は単独又は複数を混合して用いてもよい。
<光学フィルタの製造方法>
次に本実施例の光学フィルタの作製方法を説明する。
PET基板上に、蒸着膜を形成する領域に開口を有する成膜マスクをセットする。これを蒸着ドームに配置し、蒸着ドームを蒸着機内にセットし、蒸着機内を排気する。蒸着機内が十分な真空状態となったら、SiO層の蒸着材料が充填された坩堝を電子ビームにより過熱し、基板にSiO層を付着させる。SiOを所望の膜厚成膜したら、TiO層の蒸着材料が充填された坩堝を電子ビームで過熱し、同じく所望の膜厚を形成する。任意の層数この作業を繰り返し、所望の分光特性を得る。この際、必要に応じて、蒸着機内に反応性ガスを導入してもよい。任意の層数積層が終わったら、ベントを行い、蒸着機内の圧力を外圧程度とし、基板を取り出す。
誘電体積層構造の成膜が終わったら、次にコロイド結晶層を形成する。本実施例ではアクリル系コロイド粒子、具体的にはアクリル系のコアと、同じくアクリル系のコアシェル層からなるコロイド粒子を用いた。アクリル系コロイド粒子をアセトンに分散させたコロイド粒子分散剤をスピンコート法により成膜し、90℃の乾燥炉にて30分間放置し、アセトンを揮発させた。更に、紫外線を照射し、コロイド結晶層を十分に硬化させた。本実施例ではコロイド結晶層の膜厚が25μmとなるように、複数回スピンコートによる成膜を行った。
本実施例によって形成したコロイド結晶層の分光特性、光学フィルタの分光特性はそれぞれ図5、図6のようになっている。
また、コロイド粒子保持材を形成する場合は、コロイド粒子とコロイド粒子保持材とを溶媒に分散させ、スピンコート法などで塗布後、乾燥・硬化させることでコロイド結晶層が得られる。溶媒はコロイド粒子やコロイド粒子保持材、色素などの特性を考慮し任意に選択すれば良く、例えば、アセトンやMEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)等のケトン系溶媒や、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、メタノール、エタノール等のアルコール系、ジメチルホルムアミド等のアミン系の溶媒などを利用でき、これらを単体又は2種類以上の混合溶媒として用いて希釈してもよい。
本発明の光学フィルタは図1で示した構成以外にも様々な構成が可能である。
図1では基板の一方の面に誘電体膜積層構造を、反対の面にコロイド結晶層を設けているが、図7(a)のように誘電体積層構造とコロイド結晶層とを同一面に形成しても良いし、図7(b)のように基板の両面にコロイド結晶層を形成しても良い。
また、図7(c)のように誘電体膜積層構造を2つ以上に分割して基板の両面に形成しても良い。誘電体膜積層構造を2つ以上に分割して成膜する場合には、例えば図8に示すような分光特性を有する誘電体膜積層構造とすることが考えられる。具体的には、光学フィルタによって遮蔽される波長領域を2つ以上に分割し、それぞれの誘電体膜積層構造に異なる波長領域を遮蔽させることが可能である。誘電体膜積層構造体はそれぞれの遮蔽する光波長における中心波長をλとすると、λ/4程度の光学膜厚を有する屈折率の異なる複数の薄膜から形成される。
基板の両面に誘電体膜積層構造を配置することで、誘電体膜積層構造体の膜応力による光学フィルタの反りを低減することが可能である。
なお、複数の誘電体膜積層構造から遮蔽領域を形成する光学フィルタに色素を分散したコロイド結晶層を形成する場合は、それぞれの誘電体膜積層構造の形成する遮蔽領域が重なる領域に光吸収特性を有する色素を用いることが好ましい。本実施例では、図8の第一遮蔽領域と第二遮蔽領域の重なり合う波長領域を指す。誘電体膜積層構造の光学特性は比較的ばらつきやすく、成膜装置の状態などにより分光特性がずれることがある。複数の誘電体膜積層構造から遮蔽領域を形成する場合、それぞれの誘電体膜積層構造の遮蔽領域が重なりあう領域における分光の変化が発生しやすく、例えば図9に示したように、遮蔽すべき赤外光波長の領域の透過率が上がってしまう。コロイド結晶層に含まれる色素にこの波長領域における光吸収を有するものを使用することで、誘電体膜積層構造の成膜ばらつきによる赤外波長領域の透過率向上を効果的に抑制する事ができる。
また、コロイド結晶層による反射波長領域を広げたいときは、図7(d)に示したような、ブラッグの反射条件の異なる複数のコロイド結晶層を膜厚方向に複数層形成することができる。図7(d)では複数のコロイド結晶層が隣接しているが、必ずしも隣接している必要は無く、複数のコロイド結晶層が基板の反対面に配置されていてもよい。
(実施例2)
本発明の光学フィルタは透過帯域と遮蔽領域とにより形成される遷移波長領域を2つ以上有していても良い。このような光学フィルタとしてはUV−IRカットフィルタが挙げられる。2つ以上の遷移波長領域を有する光学フィルタを形成する場合、少なくとも一方を誘電体膜積層構造により決定しても良い。少なくとも一方の遷移波長領域を誘電体膜積層構造により決定する場合は、コロイド結晶層によって決定される遷移波長領域よりも短波長側の遷移波長領域を誘電体膜積層構造によって決定することが好ましい。誘電体膜積層構造の光学膜厚がばらついたとき、一般に長波長側の分光特性のバラツキが大きくなり、例えば、UV−IRカットフィルタの場合、UV半値波長に比べ、IR半値波長のほうがバラツキが大きくなるためである。図10に、UV半値波長を誘電体膜積層構造、IR半値をコロイド結晶層によって決定した、本実施例の光学フィルタの分光特性を示す。
実施例1、実施例2に記載した光学フィルタの構成により、光学フィルタの透過帯域と遮蔽帯域との遷移波長領域に存在する半値波長のばらつきが小さい光学フィルタを提供することができる。
1. 基板
2、2’.誘電体膜積層構造
3、3’.コロイド結晶層
4.コロイド粒子
5.誘電体膜(SiO
6.誘電体膜(TiO

Claims (5)

  1. 基板上に誘電体膜を複数層積層した誘電体膜積層構造とコロイド粒子が規則的に配列したコロイド結晶層とを有する光学フィルタ基材を備え、
    前記光学フィルタ基材は、少なくとも1つの透過帯と遮蔽帯とによって形成される遷移波長領域を有し、該遷移波長領域の少なくとも1つはコロイド結晶層によって決定されることを特徴とした光学フィルタ。
  2. 前記コロイド結晶層が光波長600〜800nmの間に反射率のピ−クを有することを特徴とした請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記光学フィルタ基材は、前記誘電体膜積層構造と前記コロイド結晶層とがともに少なくとも1つの遷移波長領域を有し、前記コロイド結晶層により形成される遷移波長領域が、前記誘電体膜積層構造によって形成される遷移波長領域よりも長波長側に存在することを特徴とした請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  4. 基板と、
    前記基板上に誘電体膜を複数層積層した誘電体膜積層構造と、
    前記基板上にコロイド粒子が規則的に配列したコロイド結晶層と、を備え、
    前記誘電体積層構造は、前記誘電体膜を複数層積層したことによって形成される遮蔽帯と透過帯との間に遷移波長領域を形成し、
    前記遷移波長領域内に前記コロイド結晶層の反射率のピ−クがあることを特徴とした光学フィルタ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルタを備えたことを特徴とするカメラ。
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