JP6583807B2 - 熱雑音から電力を発生させる分子構造 - Google Patents

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本発明は、分子構造に関し、特に異なる平面が分子軸によって結合している分子構造であって、熱雑音を利用することにより、平面が特定の方向に次々と回転するものに関する。
分子機械から発生する機械的動力を最大にすることは、生物学的筋肉の優位を置換える鍵であり、既存の文明のバックボーンである変圧器のような古典的な教科書の分子的アナログを生成する。これらの典型的な機能は、制御フリー、自発的、永続的、一方向の分子ローターを必要とする。ここで、外部制御がない理由により、真の定義では、分子ローターは機械ではない。しかし、機械的な仕事が自由に永久に実現されるので、広範囲の応用がある。分子ローターの文献は多くある(特許文献1−3、非特許文献1、2)。
従来の分子機械は、360°の経路をカバーする複数の高度に安定な配座異性体を示すことによって、回転および/または運動を獲得している。しかし、任意の二つの安定な配座異性体の間に、何百万もの過渡的配座異性体が、ランダム回転によって発生しえる。このように、分子軸が逆転運動をブロックするような議論は不完全である。高速回転するために、撮像を用いた単方向性の直接的証拠は不可能である。回転の方向でさえ、超高速分光法またはNMR分光法により測定できない。
すなわち、回転運動状態をもたらすような分子のステップバイステップ動作のライブ視覚化という技術を用いて、分子機械動作に関するいくつかのユニークな洞察を解明することが実現可能である。まず、三重結合は、結合された3対の電子で作られておらず、それらの一部が使用されている(非特許文献3、4)。
第二に、一つの制御パラメータでは、分子内に一方向の回転を発生させることはできず、不可能階段経路に導くことが、以下の説明で明らかである。運動の全ステップで、2つの制御パラメータ間の「逆相関」が不可欠である。このように、従前には科学に存在しなかった、単方向性に不可欠なプロトコルが想到されている。何百万ものひとつひとつの配座異性体の中に少なくとも2個の逆比例制御パラメータの相互作用がない限り、単方向性は保証されない。
単一方向性の鍵となるのは、非可逆的遷移をもたらす配座異性体の方向性結合である。原子は、官能基を介して、古典的なレバーのような「逆回転ロッカー」である単一分子の内部に量子力学的に結合されているので、他の原子から独立して動作することはできない。分子機械の研究で集団的運動を推定するために、「振動チェーン」の概念が導入されている。この「振動チェーン」の概念は、動的な結合の研究(非特許文献5)の歴史で失われたものである。
米国特許第6624002号公報 米国特許第7670844号公報 WO2002/086472号公報
Dolezal P, Likic V, Tachezy J, Lithgow T; Science 313, 314-316 (2006). Yamaki, M., Hoki, K., Ohtsuki, Y., Kono H. and Fujimura, Y.; Phys. Chem. Chem. Phys., 7, 1900-1904 (2005). Tze Mew, P. K. and Vogtle, F.; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 18, 159-161 (1979). Chisholm, M. H. and Rothwell, I. P.; J. Am. Chem. Soc. 102, 5950-5952 (1980). Sipachev, V. A., Khaikin, L. S., Grikina, O. E., Nikitin, V. S. and Traetteberg, J. Mol. Struc. 523, 1-22 (2000)
本発明の目的は、実質的に他のエネルギー源を使用することなく、熱雑音だけを介して動作する分子機械を設計することである。
本発明の目的は、実質的に他のエネルギー源を使用することなく、熱雑音だけを介して動作する分子機械を設計することである。
本発明の発明者らは、周辺環境で使用可能な熱エネルギーを供給することにより効果的な機械的な動きを生成する分子機械の設計プロトコルを着想した。第一には、どのように分子の振動チェーンを使用するかを実証する。第二には、単一分子の内部で温度勾配を生成するような機構を構築する。第三に、複雑な機械的な動きのプログラミングを提案する。第四に、自動ノイズ軽減技術を実証する。
以下、特許請求の範囲に対応して本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の態様は、静的平面(109)に取り付けられた分子軸(107)と、第一の熱的受容体(101)を有し、前記分子軸に取り付けられた第一の平面(104)と、第二の熱的受容体(102)を有し、前記分子軸に取り付けられた第二の平面(105)と、分子構造自体のダイナミクスによって誘導された利用可能なエネルギーによって、前記第一の平面と前記第二の平面との間に温度勾配を作成する手段と、前記静的平面と前記第一の平面または前記第二の平面の少なくとも一方との間の相対運動(110)を生成する立体配座変化のシーケンスをトリガするための手段と、を備えることを特徴とする分子構造である。
本発明による第二の態様は、第一の態様の分子構造において、さらに、静的平面、第一の平面及び第二の平面の間での逆転運動を禁止する手段を有することを特徴とする。
本発明の他の態様は、第一および第二の態様による分子構造において、好ましくは、熱的ノイズにより、前記第一の平面及び前記第二の平面が互いに対して相対的な角度で回転するとよい。
本発明の他の態様は、好ましくは、特定方向の前記相対的な回転が分子上の直線状に位置する原子領域の分子振動のシーケンスによって生成され、一連の分子の立体配座を次々に発生するような、分子構造を提供する。振動のパスが単数または複数の面を超えて分子上の直線経路をたどるので、以降は「振動チェーン」と呼ぶ。
本発明の他の態様は、前記振動チェーンの態様による分子構造において、分子の部分のプログラム動作を制御する分子振動のシーケンスは、前記特定方向の前記相対的な回転動作を制御するものであって、分子軸を通過することを特徴とする
本発明の他の態様は、前記振動チェーンの態様による分子構造において、好ましくは、前記第一の平面及び前記第二の平面が不均等な熱的容量を有し、単数または複数の周波数の信号を介して、分子振動のシーケンスに沿った面の間の連続的な振動エネルギーの交換を可能にすることを特徴とする。
本発明の他の態様は、直上の態様による分子構造において、好ましくは、振動チェーンの態様における振動の原子チェーン間で連続的な結合をした状態で、前記第一の平面及び前記第二の平面内で相対回転運動を前記第一の平面及び前記第二の平面が行ない、第八の態様の量子化されたエネルギー伝達、および第二の態様に記載されているような前記平面の相対的な動きが確保される。
本発明による第三の態様は、第一の態様の分子構造において、好ましくは、前記第一の平面及び前記第二の平面が平面状の特徴を生成するような共役有機構造または共役および非共役の有機構造の混合物から形成されているとよい。
本発明の他の態様は、第三の態様の分子構造において、好ましくは、前記共役系の部分は、芳香族環、並びに脂環式環、炭素環および複素環のいずれかを含むことを特徴とする。
本発明の他の態様は、直上の態様による分子構造において、好ましくは、前記複素環は、さらにオプションとして、窒素、酸素、硫黄、ホウ素及びケイ素原子を付加的に含むことを特徴とする。
本発明の他の態様は、直上の態様による分子構造において、好ましくは、前記付加的な原子が熱的または他の態様のノイズを吸収して、分子の他の部分に取って代わって、他の原子で置換されることを特徴とする。
本発明による第四の態様は、第三の態様に係る環の態様に係る分子構造において、好ましくは、前記環が三員環およびこれより高次の員環を含み、前記環は、アルキル基、アシル基、ベンジル基、フェニル基、アミン基、アミド基、イミン基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、ケトン基、ハロゲン基、エーテル基、チオエーテル基、シリル基等の官能基で置換されていることを特徴とする。
本発明の他の態様は、第四の態様の分子構造において、好ましくは、相対的な回転に関係する各平面の少なくとも一つには、実質的に単数または複数の選択された官能基が存在しており、熱的ノイズを吸収することで、分子内の近隣のいくつかの原子の間で発生する局所的な振動ダイナミクスを誘発することを特徴とする。
本発明の他の態様は、第四の態様の分子構造において、好ましくは、前記第一の平面及び前記第二の平面に付着した官能基は、熱、音、光受容体および量子化されたエネルギーの供与体の少なくとも一つであり、2つの平面内に連続した量子化エネルギー勾配を維持するように、運動に関連する2つ以上の平面の間に連続的な量子化されたエネルギー勾配を維持することを特徴とする。量子化されたコントロールによって、外部ノイズの入力を介して、受信点での局所的な振動で生成された自動化されたノイズ低減が可能になる。
本発明の他の態様は、振動チェーンの態様に係る分子構造において、好ましくは、少なくとも2つの制御パラメータは、特定のシーケンスでの分子振動のシーケンスを実行するために、互いに逆方向回転の活性状態であり、当該2つの制御パラメータは、分子振動のシーケンスの結合での応力およびシステムの運動エネルギーであることを特徴とする。
本発明による第五の態様は、第一の態様の分子構造において、好ましくは、第一の平面又は第二の平面内の構造の非対称性は、回転方向性を生成するように導入されることを特徴とする。
本発明による分子構造を提供する第六の態様は、好ましくは、前記第一の平面及び前記第二の平面が、共有結合が単数または複数の分子軸によって接続されることを特徴とする。
本発明の他の態様は、第一の態様の分子構造において、好ましくは、分子軸が直鎖および/または屈曲していることを特徴とする。
本発明による第七の態様は、第一の態様の分子構造において、好ましくは、温度勾配を生成するための手段は、前記第一の平面及び前記第二の平面の異なる構造で形成されていることを特徴とする。
本発明による第八の態様は、第一の態様の分子構造において、好ましくは、前記第一の平面及び前記第二の平面が不均一な熱容量を有することを特徴とする。
本発明による第九の態様は、第二の態様の分子構造において、好ましくは、逆転運動を禁止する手段は第四の態様の官能基、または第六の態様の軸であることを特徴とする。
本発明の他の態様は、第九の態様の分子構造において、好ましくは、分子振動のシーケンスは、厳密に一方向にまたは統計的に一方向に、明確に定義された平面の相対的な回転を可能にすることを特徴とする。振動チェーン態様に記載された統計的に特定の方向は面の不要な相対運動を指しており、この平面の不要な相対運動は、第四の態様の項に記載の量子化されたエネルギー伝達に関連付けられていない。
本発明の他の態様は、直上の態様による分子構造において、好ましくは、分子振動のシーケンスは、原子チェーンの振動が活性化している環境からの熱的ノイズを吸収することによって活性化され、活性状態の回転モードを維持するために、隣接する2つの平面の間で通信するように、連続的に交互に行き来する周波数と振動エネルギーを送信する。
本発明の他の態様は、直上の態様による分子構造において、好ましくは、前記第一の平面及び前記第二の平面間の量子化されたエネルギー移動は、周期的、または半周期に伴って非常に特別な規則に従う。
本発明による第十の態様は、第一の態様の分子構造において、好ましくは、同一または異なる平面の分子構造の内部に位置する二つ以上の制御パラメータに起因して、前記第一の平面及び前記第二の平面の相対的な回転が、時計回りと反時計回りの異なる角度に変化する。
唯一の制御パラメータとして熱雑音を使用する利点は、凍結時の分子には振動がなく、そして、ゆっくりと温度を増加させることで、実際に振動が開始され、最終的に分子が回転し始めることを「スローモーション」でみることである。このため、最初に、熱雑音で駆動されるローターを設計し、合成する。この技術は、ナノスケールのランダム性の制御を可能にする。
全ての機械が熱平衡状態では動作できないので、純粋な熱雑音ベースの機械は明らかに不可能である。しかしながら、外部熱平衡を乱すことなく、単一分子内の温度勾配を生成することが可能である。その後、熱力学第二法則の枠組みの中で十分に、分子機械が動作できる。軌道結合を起因とする単一平面の内側に温度勾配を実現することは困難であるが、本発明者らの実験に基づくと、それらは2つの平面の間に実現できる。2つの平面が共通の接合部の周りに動作する場合は、背中合わせに接続された二つのラチェットと爪の配置の融合体がある。したがって、従来の分子機械の設計の基本的な概念が、本発明によって再定義される。分子中に、一般的なロックが三重結合を介して実現されている。ここで、"ロック"は結合された振動の一連の連続的工程を意味し、これにより、分子内に位置する原子結合が厳密に次々と振動する。
このように、2つの爪とラチェットが背中合わせで融合しているものが、本発明で確立されている。かかる一方向回転の直接観察は、任意の非熱的機械では不可能だった。ここで、温度を要因として使用することで、完全な回転がスローモーションで行われる。結論として、ここで本発明者らは、分子ローターを調査する新しい方法を導入して、今日の設計および構築された一つ一つの分子ローターにおそらく存在する隠れた世界を開く。それらの各々は、回転現象のステップバイステップの進化の不思議な世界に運ぶ。唯一の違いは、彼らに隠されたダイナミクスを見ることが不可能なことである。
以下にすべての有利な変化を要約する。本発明による態様のそれぞれは、有利な変化の少なくとも一つを有する。
1)第一の有利な変化は、全く従来のエネルギー源を必要せず、実質的に熱雑音を介して機械的に動作するデバイスを実現することである。
2)第二の点は、新たな「振動チェーン」という概念を用いて、事実上、任意の種類の分子内の機械的運動をプログラムすることである。
3)第三の点は、機械構築に対して150年前に熱力学第二法則によって設定された境界を乗り越える、技術の新たな世界に導くことである。単一分子内部に温度勾配を作成することは新しい概念である。
4)第四の点は、目的とする機械の活動を生成可能とすると共に、現実に機械的作用を検証することである。これは、従前の機械からの根本的な違いであり、以前では動きを観察することは困難で、間接的証拠が得られるだけだった。
5)第五の点は、機械の動作に量子力学的性質を使用する技術を説明することで、結合の部分的な電荷を直接的に動作を行うために用いることである。
6)第六の点は、1988年にエリック・ドレクサ(Erik Drexlar)により想定された分子機械の世界への第一歩である。
図1は、本発明の一実施形態による熱駆動型の分子ローターの概略図である。 図2は、三重結合を介して接続された2つの芳香族共役平面で構成された分子ローターの概略図である。エネルギーは、関連する原子の振動チェーンを介して移動する。 図3は、分子振動チェーンにおける時間尺度の異なる制限時間を有する、異なる点の時間依存性の活性化に関連する転送処理を示している。 図4は、非共役面のいくつかの複数の可能性と、共役面のいくつかの可能性を示す概略図である。 図5は、分子ローター501の概略図で、2つの平面が2つの平面502の背中合わせ接続の配置を有する。隣接する2つの平面が反対方向504、505に次々と回転する。 図6は、ローター分子の異なる配座異性体状態の概略図であって、熱雑音の利用は回転のための決定要因である。 図7は、エミッションデータから得られたエネルギーレベル図を示す概略図である。 図8は、2つの接続面の2つのヘテロ原子受容部との二面角の変化を示す概略図で、3つの異なる回転モードを示している。 図9は、回転中の分子ローターの構造の概略図であり、運動の関連する軌道が示されている。 図10は、ランジュバン力学を介して、回転中の特定の構造相転移に対して理論的に計算された閾値エネルギーの概略図を示している。 図11は77K、10pAの探針電流(tip current)における分子機械の走査型トンネル顕微鏡(STM)像を示している。 図12は、回転の無い状態であって77Kと、10pAの一定の探針電流で回転する状態であって300Kにおける分子ローターのSTM像を示している。
定義
ここで、用語「調和的な温度勾配機械」が使用され、熱雑音で駆動される分子システムを意味する。利用可能な熱エネルギーkT(ボルツマン定数と温度の積)は、この機械を操作するための分子の複数の構造領域間での厳密な規則に従う調和的な様式で反転する。
図1は、本発明の一実施形態による熱駆動型の分子ローターの概略図である。分子ローターには、異なる平面104、105、106に異なる熱受容体点101、102、103がある。上平面104には、上端の熱受容体点101がある。上側中間面105には、上側中間の熱受容点102がある。下側中間面106には、下側中間の熱受容点103がある。
平面104、105、106は、分子軸107によって互いに接続されているので、いくつかの平面108が一つずつ接続され、最終的に分子ローターの全体が、静的平面109に取り付けられている。分子ローターの平面が特定の方向110に回転する。静的平面109は、例えば、壁または基材(base material)のようなものである。
この実施形態では、3つの平面104、105、106を示しているが、平面の数は、2つまたは3を超えていても、この発明のために使用可能である。
本実施の形態では、分子構造の組成には、分子軸107を介して接続された複数の平面104、105、106が含まれる。これら平面は、Cm−Xn−Yp−Zqの炭素環または複素環を含み、ここで、Cmは環状炭素原子を表し、式中、mは1よりも大きな任意の数である。Xn、YpおよびZqは、炭素以外の任意の原子であり、n、pおよびqはゼロを含む任意の数である。
mが2より大きく、n、pおよびqがゼロである場合には、平面は炭素原子のみを含み、それは炭素環に関連する。n、p又はqの一つがゼロ以外の任意の数を有する場合は、平面はヘテロ原子を含み、それは複素環に関する。従って、環のサイズは3原子環またはそれ以上に変わる場合がある。平面は、共役、半共役または非共役の環の異なる形で変化する。
共役平面では、炭素原子とヘテロ原子がsp混成原子として配布される。他方で、半共役及び非共役の平面では、sp、spまたはsp混成の任意の形態の炭素原子およびヘテロ原子を含む。2つの平面は、分子構造の2つの部分を形成する。平面には、異なる形状およびサイズを与えるような融合した単環または複数の環を含む。
本実施の形態では、複数の平面104、105、106の少なくとも一つの構造的非対称性が、回転方向性を生成するために導入される。周期的に繰り返される軌道のエネルギー分布の一連の対称性の破れを生成するような、構造的な非対称性によって、平面間の非対称なエネルギー分布が維持される。対称性を破壊する事象の一部は立体配座の変更に大きな影響を与えており、これらの事象は相転移として割り付けられる。本実施形態では、「振動チェーン」をトリガする、複数の平面間の温度勾配について必要性を集約している。
平面では、官能基の置換基は、複数の異なる平面に対して同じであり、平面が異なる構造で形成されている場合には、同じ平面内でも異なる。平面が同一である場合、非対称を生成する基もまた同様であるため、エネルギー勾配が生成されない。絶対的な類似性は回避されるべきである。
異なる部分の分子構造においてエネルギーの分布が異なる場合、非対称分布によって、複数の平面にわたってエネルギー伝搬が生成される。その結果、相対的原子位置の小さなねじれによって、構造の対称性の破れが引き起こされる。この対称性の変化によって、特定の方向に平面の永久的な移動が可能となる。それらは平面の回転軸に沿った軸の2つの対向する箇所で接続されているので、複数の平面を小刻みにずらすことによっては、それらを離すことはできず、回転運動が開始される。
レバーのような軸は、その2つの端部に複数の平面を保持し、複数の平面の接触の可能性を最小化するように、また、複数の平面が外向きに展開するように位置する。これは分子ローターとして最も重要な部分である。その理由は、軸が複数の平面状の部分を接続し、軸を介してフォノン(エネルギー)の伝播によって両側の熱不平等を中和し、これが分子運動を実現するからである。
温度勾配については、それがいくつかの異なる方法でなされ得ることである。平面の異なる構造によって、温度勾配を作り出すことができ、これは温度勾配を生成するために採用した種々のプロトコルを示唆する。これに続く基本原理は、構造的類似性が許可されていない、ということである。また、目標は、平面の間で最大の温度勾配を生成することである。
図2は、三重結合203を介して接続された2つの芳香族共役平面201、202から構成された分子ローターを示している。芳香族共役平面201、202は、単一および複数の結合を交互に有する化合物で非局在化電子と接続されたp軌道のシステムである共役系の一つであり、これは一般に、分子の全体的なエネルギーを低下させ、安定性を高める。共役は1つのp軌道とこれを横切って介在する別のシグマ結合(より大きな原子では、d軌道が関与する)との重複である。
熱が分子ローターによってある特定の部分204、205に受け取られると、「振動チェーン」と呼ばれるエネルギーの伝播チェーン206を作成するような別の原子にエネルギーの変動が配分される。
単方向パス(OCH←→ベンゼン←→−C≡C−←→ナフタレン←→NH)は回転中の主コントローラで、振動のチェーンによって、両方の平面が互いに反対側に回転することが確実になる。振動チェーン概念の由来は、当業者が良く知っている。最も興味深いことに、原子振動が原子上の局在化エネルギー密度と一対一対応を有しており、従って振動チェーンはトンネル顕微鏡を用いて観察される。
振動の5つ中心OCH←→ベンゼン←→−C≡C−←→ナフタレン←→NHの全てで、電子密度が再分配される。それ故、振動チェーンのすべての部分で結合長と角度が変化して、すなわち、立体配座遷移が発生する。チェーン構造が刻々と変化するので、全ての配座異性体はエネルギー的に結合され、システムはある配座異性体から別の配座異性体に自然に突き進み、逆方向ではない。高いエネルギーから低いエネルギーへの予測では、ドライブだけでは回転を制御することは成功しておらず、また、外部の相互作用が自発的永久回転には許されていないので、それは不可能階段(図6)につながる。
制御パラメータの一つである場合、その状況は相変わらずである。したがって、少なくとも2つの回転制御パラメータが必要とされ、一つはエネルギーであり、別のは応力である。両方のパラメータが逆に変化して、周期的に最小化し、最大化しようとするので、単方向の永久回転が識別される。
図3は、振動チェーンの異なる部分は、エネルギー301を受け取り、エネルギー302を転送することを示している。転送工程は、時間尺度の異なる制限時間を有する、異なる点の時間依存性の活性化に関連している。
振動チェーンに関しては、原子振動チェーン自体を介しての量子化エネルギーのパケット転送は、システムからのノイズ発生を停止するのに寄与する。したがって、いずれの場合においても、ノイズ低減がこの分子システムの正の副作用であり、そして、外部刺激の共振振動に対する応答である。システム中でノイズが避けられない場合には、この分子構造は入力エネルギーのソースとしてノイズを用い、ノイズ除去によって、最終的にはシステムの出力はノイズのないものになる。
ノイズ低減の理由は、運動を活性化する官能基が必要なだけの量子化エネルギーを正確に吸収することである。多すぎたり少なすぎる場合は、単にシステムに吸収されないで、このエネルギーの量子化によって、量子化された平面の運動が導かれる。測定技術の遅さによって、立体配座の変化が連続的な事象として割り付けられるが、実際には量子化された事象である。それはアンテナに似た行動を示す。広い範囲のノイズエネルギーが、受容体点で吸収されて、それは運動を活性化する量子化されたエネルギーのパケットを生成する。
平面の異なる形状は、量子化された振動エネルギーの調節の性質に直接関連している。これは、それ自体の動きを操作するために異なる周波数領域のノイズを吸収する。分子の異なる部分が異なる範囲のエネルギーを吸収すると、その操作を通してのすべての時間、最終的に平面の間の動きの非平衡を生成する温度勾配を、そこに保持する。しかし、ノイズのエネルギー範囲が広いために、そのような分子ローターの有用なエネルギー源となる。
2つの量子化された回転の間の動きは、どのような状況の下でも停止できない。その理由は、振動モードが多数存在するためである。これらの理由で、運動を長時間観察する場合には、量子化された回転の大きさよりも小さい振幅の小さな変動もまた検出された。従って、振動チェーンは全体的には一方向性であるものの、しかし、局所的にはそうではなく、変動が存在しており、それが極端なノイズの下でも正しい状態にシステムをロックする。これはほとんど論理演算のようなものである。ノイズによってシステムが変動して、量子化された許容値に達した時にも、戻ってこない。量子化されたジャンプが単方向であるという結果をもたらすばかりである。従って、分子機械のランダム性は、原子スケールで生き残っている。
図4は、非共役面のある複数の可能性との共役面の幾つかの可能性を示す概略図である。なお、図4(A)〜(G)において、非共役面401、402のある複数の可能性、7−アルキル−1,3,5−シクロオクタトリエン合成物403、2,6−ジヒドロ−ナフタレン404、1、4−シクロヘキサジエン405、1,3−シクロペンタジエン406およびシクロブテン407を示している。ここで、平面は共役芳香族部分と非共役脂環式部分のいずれかの会合によって作成される。また、ヘテロ原子は、非共役を作成することを支援する。他方で、共役平面について共役を破る手段は存在せず、当該平面に関連する全部分が完全に共役状態にある。図4(H)〜(K)に示すように、例えば、共役面の幾つかの可能性は、ベンゼン409、ナフタレン410、アントラセン411および412である。
システムの熱容量及び振動エネルギーは平面の環の大きさに比例して増大する。原子の数が増加するにつれて、環が大きくなり、システムは環境からより多くのノイズを吸収する。二つの平面の温度が等しくない場合には、活性な振動チェーンは、平衡状態に達するまで、二つの平面の間の熱収支を維持しようと連続的に試みる。しかし、平衡に達する前に、他の面に対して相対的に一定の角度を介して分子の一平面の位置を変化させるような運動を発生させるために、分子によって熱が使用され、最終的には、分子の立体配座変化を生じる。立体配座変化が周期的で方向が特定的な場合には、平面間の相対的な回転運動を生成する。
図5は、分子ローター501の概略図であり、図5(A)はその化学式、図5(B)は機械的構成図、図5(C)はその機能図である。
分子ローター501は、二つの平面502の背中合わせ配置を有する。分子ローター501には二つの平面502の背中合わせ配置がある。これは、他方の回転を禁止するような片側分子内ロックを生成する。したがって、一方向の運動が達成される。二つの隣接する平面は、反対方向504及び505に次々と回転する。
ローター分子は、特定のエネルギー領域でチューニングするように、その構造ユニットのアセンブリを操作することによって生成可能である。特定用途の分子ローターを作成するために理にかなって使用できるものとして、原子、形状、寸法、結合分布等のような複数の可変ユニットがある。二つの平面の基本ユニットが不均一に分布している場合には、局所領域内に連続的なエネルギー変動のすべての可能性がある。エネルギー変動が分子内に異なる振動チェーンをトリガして、複数のモードの立体配座変化を生成して、従って相対的な回転を生成することについて説明できる膨大な数の異なる振動モードを生成する。
図6は、環状鎖に従う分子ローターの4つの主要な立体配座の状態の間での立体配座変化を通して表現されている熱雑音の利用の概略図である。それぞれの立体配座状態を図6(A)〜(D)に示す。図6(E)は不可能階段602である。
不可能エネルギー階段では、配座異性体で一貫して使用されている特定の番号が割り当てられている。熱雑音の利用では、環状鎖601に続く分子ローターの4つの主要な立体配座状態の間での立体配座変化を通して表現されている。不可能階段602のような状況が生じると、熱エネルギーkTが不可能階段の2つの交互の隅605、606で、上下の平面の回転603、604に利用される。他の二つ隅607、608では、応力を最小限に抑えるための回転運動を続ける。
図7(A)は、分光データから得られたエネルギー準位図を示す概略図である。メトキシ受容体を介してkTを吸収して、平面上の別の受容体点が熱を放出した後で、上平面の角度偏差が生じる。角度偏差θによって、分子中に応力状態を生じる。エネルギー値をプロットすると、曲線に似た2つの逆位相波が得られる。
MM(分子機械)のエネルギーレベルでは、A21(S←→S)、A10(S←→S)、AC22(S←→T)、CA21(T←→S)、AC10(S←→T)、CA10(T←→S)、C21(T←→T)である。ここで、Sは5.3、4.6、4.5eV。Sは2.9、2.6、2.4、2.3eV。Sは0.4、0.3、0.2eV。Tは4.05、4.01eV。Tは2.01、1.6、1.5eV(上、左)。クロロホルム、酢酸エチル、アルコール中の4つの蛍光スペクトルがあり、4つのレベルの対結合を示している。放出エネルギーが特定の遷移を示し、その関連付けが図7(B)の蛍光プロットで保持される。特定の遷移は直接特定の立体配座状態に関連しており、このことは(右上)ピークと共に留意されたい。
図7(C)は、ローター分子の立体化学式を示す概略図である。メトキシ受容体705を介してkTを吸収した後、上平面703は704にずれて、角度偏差θによって分子内に応力を結果として生じる。平面707上の別の受容体点706は、熱を放出する。
図7(D)は、エネルギー値のプロット708を示しており、これは曲線709、710のような2つの逆位相波である。応力角(右側に示す測定プロトコルの概略図)とエネルギー差(最小エネルギーの配座異性体は、グランドレベルとみなされ、差が計算される)がプロットされ、計算は半経験的に行われる。
図8は、2つの結合面と3つの異なる回転モードを有する2個のヘテロ原子受容体部分の間の二面角の変化を示す概略図である。二つの平面の回転角は、温度によって変化する。図8(B)及び(D)は、2つの結合面の側面図であり、図8(F)及び(G)は、平面の上面図である。
図8(A)、(C)及び(E)に示すように、3つの振動モードが存在し、ここで二面角801は2つの結合された平面のNH部分802、803とOCHの2つの受容体ユニット間である。数字804は軸の上面図である。図8(H)に示すように、2つの平面の回転角は温度805によって変化する。モード1:完全な回転、モード2:ほぼ完全で、配座異性体1から配座異性体4への切り替えが遮断されるだけ、モード3:180°のみ。図8(H)は、温度の関数として50例のそれぞれに固有の配座異性体から出発して、温度毎に50回の試行からモード1の確率を示している。
図9は回転中の分子ローター構造の概略図であり、運動の関連する軌道が示されている。
図9(A)には、回転中の分子ローターの構造901が示されている。図9(B)は分子ローター902の機械的構成を示す概略図で、その振電動作に相関した配座異性体の3つのモードがある。アームチェア三重結合W(回転障壁は低く〜0.5kcal/モル)は、70Kで、C−H、N−H対およびCHが振動し始め、それがHモードと呼ばれ、その振動障壁は〜0.13kcal/モルである。〜120Kで、NH−CH−ナフタレンおよびOCH−ベンゼン平面は、0.23kcal/モルを費やして歪め始める。最後に、〜220Kで、長距離の孤立電子対相互作用を考慮した場合には、−C≡C−結合はアームチェア形状(のみ)をとる。アームチェア部は曲がり始めるが、これはGモードと呼ばれており、このときの捩り障壁は〜0.43kcal/モルである。右上:360度回転中の−O−基の3Dプロットは、紫色の点が垂直Gモードの発振を表す。
図9(C)及び(D)の数字903は、2つの平面の間の相対的な平面角(Wモード)を表すもので、半径方向外側に時間軸を有するプロットで示している。これは上記の3Dプロットの上面図であるため、Gモードが表示されていない。220−280Kで、上下の平面がほぼ平行に回転する。したがって、Gモードはかなりの広範囲にわたって支配的なので、上平面と下平面との間の角度は±180°で振動する。この回転の反転に対するエネルギー障壁は〜0.55kcal/モルである。〜300Kで、三重結合アームチェア部は永久の一方向の360度回転を開始する。これはWモードと呼ばれ、対応する永久回転障壁は〜0.59kcal/モルである。<300Kでは、分子が回転期間中の長い時間、4つの配座異性体の状態にある。
この回転角は、時間と温度に依存する。しかしながら、全体的に複雑な複数の平面間での量子化エネルギー伝達関数は、制御パラメータによって決定される。低温では、この振動エネルギー移動プロセスは遅くなり、低速回転をもたらす。しきい値を超えると、エネルギーや応力などの制御パラメータが活性化される。少なくとも二つの反比例する制御パラメータが活性状態になり、非常に特別な順序で振動チェーンが動く。
一方向性の量子化された回転のため、二つの反比例制御パラメータは必須である。少なくとも二つの逆比例制御パラメータが分子構造内に存在しない場合は、1つのパラメータによってシステムが引き返せない状態になる。仮にエネルギーが増加すると、それは永遠に増加していくが、システムが出発点に戻って来る必要があるため、完全な回転を生成しない。その結果、別の制御パラメータが必要であり、これはエネルギーと共に変化するが、システムが出発点に戻って来ることができるように、当該別の制御パラメータが特定の点を超えると、エネルギーを減少させ始める。さて、もし最小化が回転のための鍵であるならば、仮に一方が増加するならば、他方はすぐに減少する必要があり、逆もまた同様である。
図10において、数字1001は、ランジュバン力学を介して回転(灰色)の間における、特定の構造相転移のために、理論的に計算された閾値エネルギーの概略図を示している。NMRデータから、4つの異なる相転移に関連するエネルギーもここにプロットされている。相転移は、振動(0.1kcal/モル)、平面曲げ(0.2kcal/モル)、ねじれ障壁(0.43kcal/モル)および回転反転(0.56kcal/モル)である。
図11は、平面角測定の仕組みを示すと共に、Pt−Ir探針・バイアスが+0.5Vと−0.5Vであって、30Hz、10pAの定電流で、77Kにおける走査型トンネル顕微鏡(STM)像でのdI/dV(I=電流、V=電圧)を示している。
図11(A)に示すように、分子機械のSTM像1101は77K、10pAの探針電流である。スケールバーは5Å(左)である。図11(B)に示すように、平面角度測定の仕組みは、数値1102に示されている。図11(C)の数字1103は、高さの測定のために軸からの二個の高さプロファイルを平行線と共に示す。
図11(D)の数字1104は、位相後の遷移数に対する平面間の角度変化のプロットを示す。100mVのパルスの後に、20mVの電圧バイアスでスキャンすると、制御された回転を見出せると共に、3回の完全な回転の間、各測定後の回転角を継続的にプロットしてある。プロットには統計的な変動を示しているが、軸の選択による可能性がある。しかしながら、グローバルに一方向性が一貫して観察される。
図11(E)−(L)は、Pt−Ir探針・バイアスが+0.5Vと−0.5Vであって、30Hz、10pAの定電流で、77KにおけるSTM像でのdI/dV(I=電流、V=電圧)を示している。灰色のボールはNH基の場所を示しており、白いボールはOCH基の場所を示している。各平面に2つの熱活性化点があり、それらはOCH基およびNH基である。NとOの相対強度は、記号で示されている。各フレームには、電流二重微分画像を導くために、分子の2つの平面を表す楕円形のリングをペアで含む。
図12は分子ローターのSTM像を示しており、77Kでは回転がなく、300Kでは一定の10pAの探針電流で回転している。
図12(A)の数字1201に関しては、77Kでの分子ローターのSTM像は、全く回転を示していない。また、図12(B)の数字1202に関しては、300Kでの分子ローターのSTM像は、10pAの一定の探針電流である程度の回転を示している。図12(C)の数字1203、1204に関しては、ローター面内の2つの異なる受容体部分によって保持される平面の全エネルギーのプロットを示している。システム・ポイント(黒線)が相転移(PT)を起こす。プロットは、半経験的方法を用いて、理論的シミュレーションを用いて作成されている。図12(D)の数字1205に関しては、半経験的に計算されたエネルギー密度は、熱制御センター近くのエネルギーのクラスタ化を示している。
次に、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、それは例示として提示されたものに過ぎず、制限的に解してはならず、例示のみに過ぎないことは当業者には明らかである。多数の他の実施形態および変形例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入ると考えられる。
本発明は、他のエネルギー源を使用することなく、熱雑音を介するだけで動作する分子機械を提供できる。したがって、本発明は、遠隔地に位置して、ユーティリティの供給を得ることが困難な場所での環境センサー、温度センサー等に使用できる。

Claims (25)

  1. 静的平面(109)に取り付けられた分子軸(107)と、
    第一の熱的受容体(101)を有し、前記分子軸に取り付けられた第一の平面(104)と、
    第二の熱的受容体(102)を有し、前記分子軸に取り付けられた第二の平面(105)と、
    分子構造自体のダイナミクスによって誘導された熱エネルギーによって、前記第一の平面と前記第二の平面との間に温度勾配を作成する手段と、
    前記静的平面と前記第一または前記第二の平面の少なくとも一方との間の相対運動(110)を生成する立体配座変化のシーケンスをトリガするための手段と、
    を備えることを特徴とする分子構造。
  2. さらに、前記静的平面、前記第一の平面及び前記第二の平面の間での逆転運動を禁止する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
  3. 熱的ノイズにより、前記第一の平面及び前記第二の平面が互いに対して相対的な角度で回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の分子構造。
  4. 特定方向の前記相対的な回転が前記分子軸の上の直線状に位置する原子領域の分子振動のシーケンスによって生成され、一連の分子の立体配座を次々に発生することを特徴とする請求項3に記載の分子構造。
  5. 前記分子振動のシーケンスは、前記特定方向の前記相対的な回転動作を制御するものであって、前記分子軸を通過することを特徴とする請求項4に記載の分子構造。
  6. 前記第一の平面及び前記第二の平面が不均等な熱的容量を有し、単数または複数の周波数の信号を介して、前記分子振動のシーケンスに沿った平面の間の連続的な振動エネルギーの交換を可能にすることを特徴とする請求項4に記載の分子構造。
  7. 振動の原子チェーン間で連続的な結合をした状態で、前記第一の平面及び前記第二の平面内で相対回転運動を前記第一の平面及び前記第二の平面が行なうことを特徴とする請求項6に記載の分子構造。
  8. 前記第一の平面及び前記第二の平面が平面状の特徴を生成するような共役有機構造または共役および非共役の有機構造の混合物から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
  9. 前記共役の部分は芳香族環、並びに脂環式環、炭素環および複素環のいずれかを含むことを特徴とする請求項8に記載の分子構造。
  10. 前記複素環は、さらに窒素、酸素、硫黄、ホウ素及びケイ素原子の少なくとも一種類を付加的に含むことを特徴とする請求項9に記載の分子構造。
  11. 前記付加的な原子が熱的または他の態様のノイズを吸収して、分子の他の部分に取って代わって、他の原子で置換されることを特徴とする請求項10に記載の分子構造。
  12. 前記環が三員環およびこれより高次の員環を含み、前記環は、アルキル基、アシル基、ベンジル基、フェニル基、アミン基、アミド基、イミン基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、ケトン基、ハロゲン基、エーテル基、チオエーテル基およびシリル基からなる官能基から選ばれた少なくとも一つで置換されていることを特徴とする請求項9に記載の分子構造。
  13. 相対的な回転に関係する各平面の少なくとも一つには、実質的に単数または複数の選択された官能基が存在しており、熱的ノイズを吸収することで、局所的な振動ダイナミクスを誘発することを特徴とする請求項12に記載の分子構造。
  14. 前記第一の平面及び前記第二の平面に付着した前記官能基は、熱、音、光受容体および量子化されたエネルギーの供与体の少なくとも一つであり、前記運動に関連する前記2つ以上の平面の間に連続的な量子化されたエネルギー勾配を維持することを特徴とする請求項12に記載の分子構造。
  15. 少なくとも2つの制御パラメータは、特定のシーケンスでの前記分子振動のシーケンスを実行するために、互いに逆方向回転の活性状態であり、当該2つの制御パラメータは、前記分子振動のシーケンスの結合での応力およびシステムの運動エネルギーであることを特徴とする請求項4に記載の分子構造。
  16. 前記第一の平面又は前記第二の平面内の構造の非対称性は、回転方向性を生成するように導入されることを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
  17. 前記第一の平面および前記第二の平面が、共有結合が単数または複数の分子軸によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
  18. 前記分子軸が直鎖および/または屈曲していることを特徴とする請求項17に記載の分子構造。
  19. 温度勾配を生成するための手段は、前記第一の平面及び前記第二の平面の異なる構造で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
  20. 前記第一の平面及び前記第二の平面が不均一な熱容量を有することを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
  21. 前記逆転運動を禁止する手段は、請求項13に記載の官能基、または請求項18に記載の分子軸であることを特徴とする請求項2に記載の分子構造。
  22. 分子振動のシーケンスは、厳密に一方向にまたは統計的に一方向に、明確に定義された平面の前記相対的な回転を可能にすることを特徴とする請求項4または13に記載の分子構造。
  23. 前記分子振動のシーケンスは、環境からの熱的ノイズを吸収することによって活性化され、回転モードおよび/または振動モードを活性状態に維持するために、隣接する2つの平面の間で通信するように、連続的に交互に行き来する周波数と振動エネルギーを送信することを特徴とする請求項22に記載の分子構造。
  24. 前記第一の平面及び前記第二の平面間の量子化されたエネルギー移動は、周期的、または半周期に従うことを特徴とする請求項23に記載の分子構造。
  25. 同一または異なる平面における分子構造の内部に位置する二つ以上の制御パラメータに起因して、前記第一の平面及び前記第二の平面の相対的な回転が、時計回りと反時計回りの異なる角度に変化することを特徴とする請求項1に記載の分子構造。
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