JP6577210B2 - 良好な弾道及び機械特性を有する低コストのα−βチタニウム合金 - Google Patents

良好な弾道及び機械特性を有する低コストのα−βチタニウム合金 Download PDF

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Description

本出願は、PCTの国際出願であって、その全体を参照することで本書に組み込まれた201
0年8月5日に出願の米国出願第12/850,691号の優先権の利益を有する。
本発明は、一般的にチタン(Ti)合金に関する。特に、比較的に低コストの成分で実現
され、弾道及び機械的な特性の改良された組み合わせを有するα-βTi合金が、そのチタ
ン合金の製造方法と共に記載されている。
Ti合金は、高い重量比強度、良好な耐食性、及び高温でのこれらの特性を保持すること
を必要とする適用分野において広範な用途が見出されている。これらの優位性にもかかわ
らず、鋼鉄や他の合金に比べて高い原材料コスト及び加工コストが、改善された効率や特
性が比較的高コストであることよりも重要である適用分野まで、その使用を厳しく制限し
ている。種々のキャパシティにTi合金を取り込むことによって利益を得ているいくつかの
典型的な適用としては、例えば、飛行機部品、医療機器、高性能な自動車、高級な運動器
具や軍事応用を含む。
軍用システムにおいて、うまく用いられている従来のチタンベース合金は、Ti64として
知られているTi-6Al-4Vである。名前のように、これらTi合金は、一般に、典型的には0.3
0重量%以下の鉄と0.3重量%以下の酸素を含有し、6重量%のアルミニウムと4重量%のバ
ナジウムを含んでいる。
Ti64の開発によって、軍用の陸上車両システムに対して、弾道及び機械特性の魅力的な
組み合わせを有する合金がもたらされた。Ti64のように溶接可能な鍛造チタン合金を、構
造装甲板として実装する軍事応用は、典型的に、厳格な組成上及び性能上の要求がある。
例えば、MIL-DTL-46077G、2006年、「詳細仕様:装甲板、チタン合金、溶接可能」という
題名の書類では、米国国防省は、最低限の機械及び弾道特性とともに、厳格な元素組成の
範囲と密度の要求によって定義されたTi64鍛造チタン合金の装甲の4つの分類に関する規
定を定めている。そのため、チタン合金ベースの装甲板に関して、目的は、関連する原材
料と加工コストを最小にする一方で、規定された基準を満たすか又は超えるチタン合金を
提供することである。
削減されたコストで、要求される性能の組み合わせを有するチタン合金を製造しようと
して、いくつかの取り組みがなされてきた。例えば、チタン合金は、電子ビーム単一溶解
法(EBSM)によって製造されている。この手法は、チタン合金の製造を、よりコストに効
果のあるように出来、さらなる軍用システムへのチタン合金の導入を可能にした。別の取
り組みとしては、例えば、Kosaka et al.(以下 Kosaka)の米国特許第6,786,985号明細
書によって開示されているように、原材料コストを削減するため、チタン合金におけるβ
安定化元素としてのバナジウム(V)の代わりに、定量の鉄(Fe)で置き換えることに注
力している。しかし、Kosakaによって開発されたチタン合金は、モリブデン(Mo)の含有
を必要とした。
さらに、別の取り組みとしては、例えば、Adams et al. (Adams)の米国特許第5,342,
458号明細書に開示されるように、全体として合金のβ相領域における温度の範囲内で、
インゴットから最終圧延製品へ加工できるチタン合金組成物の開発に関わっている。Adam
sの言うところでは、上述の合金においてより高温で存在する高い延性及び低い流動応力
は、表面と端部のひび割れを最小化し、それによって歩留まりが向上する。Yoji Kosaka
の米国特許第5,980,655号明細書及びWilliam W. Loveの米国特許第5,332,545号明細書で
は、その中で、軍用指針によって定められた範囲を超えるまで酸素濃度を増加させること
によって、改善された機械的及び弾道特性を有するチタン合金が形成される取り組みを開
示している。
Ti64に類似の組成を有するがその中に付加的な成分を有する、いくつかのチタン合金も
この技術分野で知られている。これらのチタン合金は、とりわけ、許容できる延性のレベ
ルを有する低コストで高い強度のチタン合金を提供するべく開発された。一例として、Pa
ul J.Baniaの米国特許No.7,008,489は、その実施例の中で、ある強度レベルにおいて、少
なくとも20%の延性が改善したチタン合金を開示している。しかしながら、Ti64の中に存
在する基礎のTi-Al-V-Fe-O成分に加え、開示された合金は、スズ(Sn)、ジルコニウム(
Zr)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びシリコン(Si)の成分も含んでいる。これら
の合金の中のその多くの元素は、必然的に、上述のように形成されるチタン合金の原材料
コストを増加させる。
別の例は、Nasserraffi et al.の米国特許出願公開第2006/0045789号明細書によっても
たらされ、リサイクルされたチタンから製造されるチタン合金を目的としている。実施例
の中で、Nasserraffiは、Ti-Al-Vを含むチタン合金を開示しているが、その合金はまた、
1.0から1.5重量パーセントの濃度のCr、Fe、及びマンガン(Mn)からなるグループから選
択された一以上の元素を含んでいる。Cr、Fe、及びMnの比較的高い水準並びに低い延性は
、合金の適用を軍事システムに限定している。前述の各特許及び特許出願は、あたかもこ
の明細書で記載されているかのように、それらの全体を参照することで包含される。
現在までに達成された組成、特性及び加工コストの観点からの改良にも関わらず、継続
してより低コストで、最低限の機械及び弾道性能の基準を達成する、新規で且つ改良され
たチタン合金、並びに、関連する製造方法を開発することの継続的な要求がある。
低コストの組成を用いて達成され、弾道及び機械特性の良い組み合わせを有するチタン
合金が開示される。そのようなチタン合金は、軍用の適用での装甲板としての使用に、特
に利点があるが、それに限定されず、多くの他の適用に対しても適するものである。一つ
の実施形態では、チタン合金は、基本的に、重量パーセントで、4.2〜5.4%のアルミニウ
ム、2.5〜3.5%のバナジウム、0.5〜0.7%の鉄、0.15〜0.19%の酸素及び残部のチタンか
らなる。特定の実施例においては、前記チタン合金は、基本的に、重量%で、約4.8%の
アルミニウム、約3.0%のバナジウム、約0.6%の鉄、約0.17%の酸素及び残部のチタンか
らなる。さらに別の実施例においては、前記チタン合金に存在するいずれかの不純物元素
の最大濃度が0.1重量%であり、すべての不純物の合算濃度が0.4%以下である。
開示された組成を有するチタン合金は、長さ方向と横方向のいずれにおいても、少なく
とも約120,000psiの引張降伏強度であり、且つ少なくとも約128,000psiの最大抗張力であ
り、少なくとも約43%の断面減少率であり、少なくとも約12%の伸びを有する低コストの
チタン合金を提供する利点を有する。チタン合金は、特定の実施例においては、その厚み
が約0.425インチ〜約0.450インチの間であり、少なくとも約1,848fpsの弾道限界V50を有
する板に形成されることができる。さらに特定の実施例においては、チタン合金の板は、
約0.430インチの厚さ、及び、約1936fpsの弾道限界V50を有する。
一実施形態において、チタン合金は、β共析(βEUT)に対するβ同形(βISO)の安定
化元素の割合(βISO/βEUT)が約0.9〜約1.7であり、β共析(βEUT)に対するβ同形(
βISO)の安定化元素の割合は、次のように定義され、
この明細書を通じて提供される式において、Mo、V、Cr及びFeは、それぞれ、チタン合金
におけるモリブデン、バナジウム、クロム及び鉄の重量%を示す。特定の実施形態におい
ては、β共析(βEUT)に対するβ同形(βISO)の安定化元素の割合は約1.2である。
別の実施形態においては、チタン合金は、モリブデン当量(Moeq)が約3.1〜約4.4であ
り、モリブデン当量は、次のように定義される。
特定の実施形態においては、モリブデン当量は約3.8である。さらに別の実施形態にお
いては、チタン合金は、アルミニウム当量が約8.3〜約10.5であり、アルミニウム当量は
、次のように定義される。
Aleq = Al + 27O
この式において、AlとOは、それぞれ、チタン合金におけるアルミニウムと酸素の重量%
を示す。特定の実施形態においては、アルミニウム当量は約9.4である。
別の実施形態においては、チタン合金は、β変態温度(Tβ)が約1732°F〜約1820°F
であるが、°Fのβ変態温度は、次のように定義される。
Tβ=1607+39.3Al+330O+1145C+1020N−21.8V−32.5F−17.3Mo−70Si−27.3Cr
この式において、C、N及びSiは、チタン合金における、それぞれ、炭素、窒素及びシリコ
ンの重量%を表す。特定の実施形態において、β変態温度は約1775度Fである。ある実施
形態において、チタン合金の密度は、約0.161の立法インチ当たりのポンド(lb/in3)〜
約0.163lb/in3 の範囲にあり、特定の実施形態においては、約0.162lb/in3である。
別の実施形態において、チタン合金の生産方法は、基本的に、重量%で、4.2〜5.4%の
アルミニウム、2.5〜3.5%のバナジウム、0.5〜0.7%の鉄、0.15〜0.19%の酸素及び残部
のチタンが開示されている。特定の実施形態においては、冷炉床炉において、チタン合金
はアルミニウム、バナジウム、鉄及びチタンを適当な割合で含む、リサイクル及び/又は
純正の材料の複合物を溶融し、溶融合金を形成する工程と、前記溶融合金を鋳型に投入す
る工程より、チタン合金は生産される。リサイクル材料は、例えば、Ti64のダライ粉及び
商用の純(CP)チタンスクラップを含み得る。純材料は、例えば、チタンスポンジ、鉄の
粉及びアルミニウムの玉を含み得る。別の特定の実施形態では、リサイクル材料は、約70
.4%のTi64ダライ粉、約28.0%のチタンスポンジ、約0.4%の鉄及び約1.1%のアルミニウ
ムの玉を含んでいる。
また、別の実施形態では、チタン合金は、長方形の形状を有し、重量%で、4.2〜5.4%
のアルミニウム、2.5〜3.5%のバナジウム、0.5〜0.7%の鉄、0.15〜0.19%の酸素及び残
部のチタンの成分を有するスラブを形作るように、長方形の鋳型に投入される。特定の実
施形態では、投入されたスラブは、β転移温度異常の温度で初期の炉や圧延される工程と
、β転移温度よりも低い温度で焼結される前に、β転移温度より低い温度で最終圧延され
る工程が施される。
この明細書で開示されるチタン合金は、Ti64について規定された機械及び弾道特性を満
たすか又は超える一方、比較的低価格である従来のTi64の代替品を提供する。この価格低
減のために、同様な特性を要求する各種軍事及び他の適用分野において、より広範囲にチ
タン合金の採用を可能とするであろう。
添付の図面は、本開示の一部に組み込まれて構成要素となり、開示された発明の代表的
な実施例を図示し、開示された発明の本質を説明するのに役立つ。
図1は、現在開示されている発明の代表的な実施形態に従って、チタン合金の生産方法を説明するフローチャートである。 図2Aは、実物の装甲弾の30口径M2弾丸の概略図である。 図2Bは、実際の試験に用いられた実物の装甲弾の30口径M2弾丸の写真である。 図3は、装甲板のV50弾道限界の試験に用いられる試射場の配置を図示する。 図4は、銃口と装甲板の中間点で測定した発射速さに対する、装甲板の貫通確率を示す一例である。 図5は、代表的なチタン合金について、板厚に応じたV50弾丸限界を示すグラフである。 図6は、代表的なチタン合金について、板厚に応じたV50弾丸限界を示し、0.40〜0.46インチの厚み範囲における図5の拡大図である。
図の全体を通して、同じ参照数字及び文字は、他に述べられていなければ、図示された
実施形態の特徴、要素、部品又は部分のように示すために用いられる。開示された発明は
、図を参照して詳細に記載されるが、図示された実施例に関連している。
比較的低コストの材料を用いて形成され、好ましい機械及び弾道特性を有する代表的な
チタン合金について述べる。これらのチタン合金は、特に、軍事システムにおける装甲板
としての使用に対して、又は、優れた単位重量当たりの強度及び衝撃における弾丸による
貫通に対する良好な抵抗を有する金属合金が要求される利用に対して、適している。開示
されるチタン合金は、組成上及び加工上のコストを低減させる一方、最低限の軍事基準を
満たす、機械及び弾道特性の組み合わせを達成する。より低い原材料及び加工コストは、
益々好適なコスト検討のため、開示されたチタン合金のより幅広い採用を促進するであろ
う。
一つの実施形態においては、代表的なチタン合金は、重量パーセントで、4.2〜5.4%の
アルミニウム、2.5〜3.5%のバナジウム、0.5〜0.7%の鉄、0.15〜0.19%の酸素を含み、
残部のチタン及び付随的な不純物を有している。
チタンの中の合金化元素としてのアルミニウムは、α相が安定になる温度を増加する、
α安定化元素である。一つの実施形態においては、アルミニウムは、チタン合金の中に、
4.2〜5.4%の重量パーセントで存在する。特定の実施形態では、アルミニウムは、約4.8w
t%存在する。
チタンの中の合金元素であるバナジウムは、β転移温度を低下する、同形のβ安定化元
素である。一つの実施形態では、バナジウムは、チタン合金の中に、2.5〜3.5%の重量パ
ーセントで存在する。特定の実施形態では、バナジウムは、約3.0wt%存在する。
チタンの中の合金化元素としての鉄は、β転移温度を低下する、共析β安定化元素であ
り、鉄は、環境温度における強化元素である。一つの実施形態では、鉄はチタン合金の中
に、重量パーセントで0.5〜0.7%存在する。特定の実施形態では、鉄は、約0.6wt%存在
する。しかし、鉄の濃度がこの明細書で開示される上限を超える場合には、弾道及び機械
特性に不利な影響を与える、インゴット凝固中に過度な溶質偏析のおそれがある。一方、
この明細書で開示される限界以下レベルの鉄を使用する場合、所望の強度及び弾道特性を
達成できない合金が生産されることとなる。
チタンの中の合金化元素としての酸素は、α安定化元素であり、鉄は、環境温度におけ
るチタン合金の効果的な強化元素である。一実施形態では、酸素は、チタン合金の中に、
重量パーセントで0.15〜0.19%存在する。特定の実施形態では、酸素は、約0.17wt%存在
する。酸素の含有量が少なすぎる場合、強度も過度に低くなり、β転移温度が過度に低く
なり、チタン合金のコストが増加するおそれがある。廃物金属がチタン合金の溶解に用い
るのに適さなくなるためである。一方、酸素の含有量が大き過ぎる場合には、弾道衝後の
ひび割れに対する抵抗が、劣化されるおそれがある。
本発明のいくつかの実施形態に従うと、前記チタン合金は、不純物レベルに対応した濃
度で、不可避的不純物、又は、Mo、Cr、N、C、Nb、Sn、Zr、Ni、Co、Cu、Si等のその他の
成分も含むことができる。窒素(N)も、最大0.05wt%までの濃度で存在し得るかもしれ
ない。特定の実施形態においては、いずれかの不純物元素の最大濃度は、0.1wt%であり
、全ての不純物の合算した濃度が、合計0.4wt%を超えない。
一実施形態によると、前記チタン合金は、約0.9〜約1.7の、β共析(βEUT)に対する
β同形(βISO)の安定化元素の割合(βISOEUT)を有し、β共析に対するβ同形の安
定化元素の割合は、次のように式(1)で定義される。
この明細書を通じて提供される数式において、Mo、V、Cr及びFeは、それぞれチタン合金
内におけるモリブデン、バナジウム及び鉄の重量パーセントを表している。特定の実施形
態においては、β共析に対するβ同形の安定化元素の割合は約1.2である。
別の実施形態に従うと、前記チタン合金は、約3.1〜約4.4のモリブデン当量(Moeq)を
有し、モリブデン当量は、次のように式(2)で定義される。
特定の実施形態においては、モリブデン当量は約3.8である。MoとCrは、開示されたチタ
ン合金の主要な構成物ではないが、それらは、少量の濃度で(例えば、不純物のレベル又
はそれ未満で)存在してもよく、(βISOEUT)及びMoeqを計算するために使用するこ
とができる。なお、別の実施形態では、チタン合金は、約8.3〜約10.5のアルミニウム当
量(Aleq)を有し、アルミニウム当量は次のように式(3)で定義される。
Aleq = Al + 27O (3)
この式の中で、Al及びOは、それぞれ、チタン合金におけるアルミニウム及び酸素の重量
パーセントを表す。特定の実施形態においては、アルミニウム当量は、約9.4である。
また、その他の実施形態においては、前記チタン合金は、約1732〜約1820°Fのβ変態
温度(Tβ)を有し、°Fにおけるβ変態温度は、次のように、式(4)で定義される。
Tβ=1607+39.3Al+330O+1145C+1020N−21.8V−32.5Fe−17.3Mo−70Si−27.3Cr. (4)
この式において、C、N、及びSiは、それぞれ、チタン合金における炭素、窒素及びシリコ
ンの重量%を表す。モリブデン当量に対する場合のように、C、N及びSiは、主要な構成物
ではないが、それらは、付随的な不純物として存在している場合がある。特定の実施形態
においては、β転移温度は、約1775°Fである。
前記チタン合金は、例えば、長さ方向と横方向のいずれにおいても、引張降伏強度(TY
S)が少なくとも単位平方インチ当たり(psi)120,000ポンドであり、且つ最大抗張力が
少なくとも約128,000 psiである優れた引張特性を達成している。もう一つ別の実施形態
においては、チタン合金は、少なくとも約12%の伸びを有し、及び/又は、約43%の断面
減少率を有している。チタン合金の密度は、立法インチあたり約0.161ポンド(lb/in3
から約0.163lb/in3の間となるように計算され、約0.162lb/in3の公称密度である。
前記チタン合金は、さらに、優れた弾道特性を提供する。弾道版の効果の測定は、板を
貫通するのに要求される砲弾又は弾丸の平均速さ(V50)で与えられる。例えば、約0.425
と約0.450インチとの間の厚みを有する板に形成された時は、チタン合金は、少なくとも
約1848 fpsの弾道限界V50を有する。特定の実施形態においては、約0.430インチの厚みの
板のチタン合金は、約1936 fpsのV50弾道限界を有する。チタン合金のV50弾道限界を測定
するために用いられる手順は、以下に提供される実施例に関連して記述されている。
もう一つ別の実施形態においては、本開示で述べられているチタン合金を含む板が提供
される。特定の実施形態においては、ここに示されているチタン合金は、装甲板として使
用されている。しかし、チタン合金に対する別の適した利用には、それに限定されないが
、軍事システムや、シートトラック及び浸食防防護遮蔽物のような自動車及び航空機の部
品における他の構成部品が含まれる。
さらに別のもう一つの実施形態においては、良好な機械及び弾道特性を有するチタン合
金の生産方法が開示されている。その方法には、基本的に、重量パーセントで、4.2〜5.4
%のアルミニウム、2.5〜3.5%のバナジウム、0.5〜0.7%の鉄及び0.15〜0.19%の酸素と
残部のチタンからなるチタン合金を生産するため、適当な割合の原材料の複合物を溶解す
る工程が含まれている。溶解は、例えば、冷炉床炉の中で実施され得る。特定の実施形態
においては、原材料は、少量の鉄とアルミニウムを組み合わせ、チタン廃材及びチタンス
ポンジのようなリサイクル及び純材料の複合物を含む。ほとんどの市場の条件では、リサ
イクル材料の使用は、際立ったコスト削減を供する。用いられるリサイクル材料は、限定
されるわけではないが、Ti64、Ti-10V-2Fe-3Al、他のTi-Al-V-Fe合金及びCPチタンを含み
得る。前記リサイクル材料は、機械加工の削りくず(ダライ粉)、固形小片、又は再溶解
した電極の形でもよい。使用される純材料は、限定されるわけではないが、チタンスポン
ジ、アルミニウム−バナジウム母合金、鉄粉又はアルミニウム弾丸を含むことができる。
アルミニウム−バナジウム母合金は必須でないため、際立ったコスト削減が達成される。
しかし、このことは、要求される場合には、リサイクル材料よりも、チタンスポンジ及び
合金化元素を含有する未使用の原材料を使用し、添加することを排除するものではない。
いくつかの実施形態では、前記生産方法は、転移温度(例えば、β変態温度未満)において、チタンの焼鈍加熱処理を実施する工程を具える。使用されるチタン合金は、この明細書に記述される特性のどれかを有することができる。
いくつかの実施形態では、前記生産方法は、また、合金の真空アーク再溶解(VAR)工程と、及びβ変態温度超えでチタン合金の鍛造及び/又は圧延する工程と、それに続いて、β変態温度未満での鍛造及び/又は圧延する工程とを具える。特定の実施形態においては、チタン合金を生産する方法は、軍事用システムのための部品の生産、もっと具体的には、装甲板の生産のために使用される。
チタン合金を生産する代表的な方法を示す流れ図は、図1でもたらされる。最初、適当
な濃度と特性を有する所望量の原材料がステップ100において準備される。特定の実施
形態においては、原材料は、なんらかの複合物で適当な組成の純粋な原材料と組み合わせ
るかもしれないが、リサイクル材料を含んでいる。準備された後、原材料は溶融され、ス
テップ110においてインゴットを作るために鋳造される。溶解は、例えば、VAR、プラ
ズマアーク溶解、電子ビーム溶解、消耗型の電極スカル溶解又は、それらの組合せによっ
て、実施され得る。特定の実施形態においては、二つの溶解した鋳型がVARによって準備
され、円筒状の形を有する鋳型の中に直接投入される。
ステップ120において、前記インゴットは初期鍛造及び圧延を受ける。初期の鍛造及び圧延は、β変態温度超えで行われ、長さ方向において圧延が行われる。ステップ130において、インゴットは、最終鋳造及び圧延を受ける。最終鋳造及び圧延は、β変態温度未満で行われ、長さ方向と横方向において圧延が行われる。それから、インゴットはステップ140において焼鈍され、特定の実施形態では、スバトランサス温度で行われる。最終圧延された製品は、限定はされないが、約0.1インチから約4.1インチの幅の厚みを有する。
いくつかの実施形態では、コイルや細長い製品を生産するために、0.4インチ以下のゲ
ージに圧延することは、高温圧延、及び選択的に冷却圧延によって達成させられるかもし
れない。しかし、別のもう一つの実施形態では、薄い厚みの板製品に圧延することは、鋼
鉄の包みで保護される単板又は複合板として、板の高温又は低音の圧延によって達成され
る。
後に続く実施例では、代表的なチタン合金及び生産方法についての更なる詳細が記載さ
れている。
本節の中で提供される実施例は、用いられる製造工程を説明することに有用であり、そ
の結果、現在の発明の実施例に従って用意されたチタン合金の組成及びそれに続く特性が
得られる。以下に記述されるチタン合金及び結び付いた生産方法は、実例として提供され
るが、それに限定することを意図したものでない。
(比較例)
この明細書に開示されたV、Fe及びOの範囲の外の元素濃度を有するいくつかのチタン合
金を、最初に、比較例として供するために準備した。比較例のチタン合金は、各比較例の
チタン合金に関して適当な割合を達成するように、原材料と混合することによって、作製
した。比較例のチタン合金#C1は、約5.0wt.%のアルミニウム、約4.0wt.%のバナジウム、
約0.03wt.%の鉄、約0.22wt.%の酸素及び残部チタンの公称組成の状態で準備した。比較例
のチタン合金#2は、約5.0wt.%のアルミニウム、約4.0wt.%のバナジウム、約0.03wt.%の
鉄、約0.12wt.%の酸素及び残部のチタンの公称組成の状態で準備した。比較例のチタン合
金#C3は、約5.0wt.%のアルミニウム、約5.0wt.%のバナジウム、約0.6wt.%の鉄、約0.19w
t.%の酸素及び残部チタンの公称組成の状態で準備した。
比較例のチタン合金#C1−C3は、球形を有する各インゴットに鋳造し、β転移温度超えから中間のスラブへ変えた。最終圧延及び十字圧延は、β転移温度未満で行った。最終焼鈍は、β転移温度未満の温度で、実施した。比較例のチタン合金#C1-C3は、2時間の間1400°Fの温度で、最終焼鈍を施し、サンプルは、大気中で冷却した。
比較例のチタン合金#C1−C3に対して、化学解析を実施し、機械及び弾道特性を測定し
た。測定した組成及び算出したAleq、Moeq、Tβ及び密度は、下記の表1にまとめた。
比較例のチタン合金#C1-C3を含む板の機械特性を測定し、表2にまとめた。多数の測
定結果が一つのインゴットから得られ、その結果は、表2において同じグループの範囲で
区別した行に設けている。板の引張特性は、横方向(T)と長さ方向(L)のいずれにおい
ても測定した。表2の中で、ksiは、単位平方インチ当たりのキロポンドを表す(1ksi =
1,000psi)。表2で測定された引張特性は、UTS、TYS、RA及び伸びの平均値として、比
較例のチタン合金#C1では、それぞれ、131ksi、122.3ksi、36%及び10.3%、比較例のチ
タン合金#C2では、それぞれ、131ksi、123ksi、34%及び11%、比較例のチタン合金#C
3では、それぞれ、133.8ksi、124.3ksi、42%及び12.3%を生じる。
最小限の防御である、比較例のチタン合金板のV50弾道限界は、0.30口径(7.62mm)166
粒子の徹甲弾(AP)M2弾薬を用いて測定した。0.30口径AP M2円形の断面の概略図は、図
2Aに提供されているが、実物見本は、図2Bに示される。0.30口径弾薬は、硬化された
鋼の芯、先端の充填材及び金めっきされた金属被覆を含んでいる。弾道試験そのものは、
例えば、『軍事標準:V50装甲に対する弾道試験「MLL-STD-662E、2006」』において、米
国国防総省によって開示されている標準的軍事試験の手順に従って実行した。
装甲板のV50弾道限界の試験に対し使用される、試験試射場の概略図は、図3に示す。
一番目と二番目の光電子スクリーンは、武器の銃口と標的の中間の地点における弾丸の速
度を計算するため、クロノグラフとつないで用いた。試験は、環境条件(70−75°F(21
−24°C)及び35−75%の相対湿度)の下、ゼロ度の傾角で行われた。報告された各板の
厚みの値は、板の各隅で測定された厚みの平均値である。0.020インチ厚(0.51mm)の202
4−T3アルミニウムの証拠となる板は、標的板の後ろ6インチ(152mm)に設置した。証拠
の板の貫通は、装甲試験サンプルの完全な貫通として、定義した。
各試験は、色々な速度における弾丸の発射及び、それから、特定の衝突が完全に貫通し
たか(すなわち、証明板の穿孔)又は、部分的な貫通なのかを評価することからなる。そ
れから、一番遅い完全貫通と最も早い部分貫通の速度の平均が、V50に対する値を評価す
るために用いられる。実例の計算結果が図4に提供されており、0.430インチの厚さのチ
タン合金板に対し、衝突速度(ft/sec又はfps)の関数として貫通の確率(%)が図で示
されている。図4で試験されたチタン合金の生産方法、組成及び特性が、以下の実施例#
1に提供されている。図4の黒ベタの菱形は、板を部分的に貫通した(PP)弾丸の一発分
を表し、黒ベタの正方形は、板を完全に貫通した(CP)ものを表している。V50に対する
値は、CPを生ずる衝突速度を、PPを生ず速度と平均することで計算される。図4における
例は、V50=1936 fpsの値を提供している。そのため、V50値は生成するのに便利な数字で
あり、所定の脅威に対して、所定の装甲の種類によってもたらされた弾道防御を定量化す
るために広く用いられる。
比較例のチタン合金は、比較例のチタン合金#C1に対しては約0.440インチ、比較例の
チタン合金#C2に対しては約0.449インチ、比較例のチタン合金#C3に対しては約0.426イ
ンチの厚みを有する板を形作るように加工された。比較例のチタン合金#C1-C3の各々の
弾道特性は、図2−4に関連して上記で定義された米国の国防総省の標準に従って測定さ
れ、その結果は、下記の表3にまとめられている。チタン合金#C1-C3に対するV50の弾道
限界は、それぞれ、約1922 fps、約1950 fps及び約1888 fpsであると測定された。
比較例のチタン合金#C1-C3について得られた実験値と同一の板厚を有するTi64につい
て計算された弾道データも、また、表3に提供される。Ti64に対する計算されたV50値を
超えて、各々の比較例のチタン合金により得られたV50の改良は、「△ vs.Ti64」のよう
に表示されており、表3の右手の列に含まれる。チタン合金#C1-C3についてのV50値は、
同じ厚さのTi64板に対する計算値を、それぞれ、10、12及び16 fpsの差で超えている。表
3に提供された最小V50は、特定の板厚に対して、MIL-DTL-46077G、2006において、米国
の国防総省によって要求された最小V50を表している。例えば、0.440インチの板厚は、18
95 fpsの最小V50を要求している。表3に提供された△V50は、最小V50と各比較例のチタン
合金に対して測定されたV50との差を表している。
(実施例#1)
約5.0wt%のアルミニウム、約3.0wt%のバナジウム、約0.6wt%の鉄、約0.19wt%の酸素
及び残部チタンの公称組成を有するチタン合金#1として定義される代表的なチタン合金
を、正しい比率を達成するべく初めに原材料とともに混ぜ合わせることで、準備した。上
記の配合組成のコスト解析から、完成したスラブは、電子ビームシングル溶解で準備され
た通常のTi64合金に比べ、ポンド当たり大きく低いコストであることが明らかになった。
原材料は、VARによって、6.5インチ直径のダブル溶解されたインゴットに準備された。
チタン合金#1は、比較例のチタン合金#C1-C3と同じ方法で加工される。チタン合金#1は、インゴットに鋳造され、β転移温度超えから中間物のスラブへ変えた。その後、最終圧延及びクロス圧延は、β転移温度未満で実行される。最終焼鈍は、β転移温度未満の温度において行われる。この実施例において、最終焼鈍は1400°Fで2時間実行され、サンプルは大気で冷却させておかれた。
化学的な分析を、結果のチタン合金#1に対して実行し、機械特性を測定した。チタン
合金#1は、4.82wt%のアルミニウム、2.92wt%のバナジウム、0.61wt%の鉄、0.19%の
酸素及び残部チタンの組成を有していることがわかった。窒素もまた0.001wt%の組成で
存在することがわかった。チタン合金板はまた、β共析(βEUT)に対するβ同形(βISO
)の安定化元素の割合(βISOEUT)が1.2であり、アルミニウム当量Aleqが10.0であり
、モリブデン当量Moeqが3.7であり、β転移温度Tβが1786°Fであり、密度が0.162lb/in3
であった。板の引張特性は、横方向及び長さ方向のいずれにおいても、同じ試料について
実施された多数の計測をもって、測定された。これらの測定結果は、下記の表4に提供さ
れている。表4において測定された引張特性は、129 ksiの平均UTS、121 ksiの平均TYS、
47.5%の平均RA及び13%の平均伸びをもたらしている。
4.82wt%のアルミニウム、2.92wt%のバナジウム、0.61wt%の鉄、0.19%の酸素及び残
部のチタンの組成を有する代表的なチタン合金は、0.430インチの厚みを有する板をもた
らすように加工された。チタン合金#1に対するV50値は、約1936 fpsであると測定され
た。この値は、0.430インチ厚の装甲板に対する米国の国防総省によって確立された最小
値の1864 fpsを、72 fpsの△V50範囲だけ超えている。
比較例のチタン合金#C1-C3及びチタン合金#1について得られた弾道データは、表5
にプロットし、開示されたものとしてTi64について得られた過去の結果と比較した。この
過去の結果とは、例えば、「装甲穴あけ砲弾に対する防御のためのTIMETAL 6-4板の弾道
評価」、第9回チタンに関する世界会議、Vol.II、pp.1172-78、1999年、の予稿集の中
で、J.C.Fanningによって開示されており、それは、全体を参照することで、あたかも本
明細書の中で十分に述べられたかのように、組み込まれる。Ti64合金についてV50と板厚
との間の強い線形の相関関係が、Ti64のデータに対して最良の一致(R2=0.9964)である
点線によって示されるように、明らかにされた。0.40から0.46インチの範囲の板厚に対し
て得られたV50値を示す、図5の拡大された表示が図6に提供されている。代表的なチタ
ン合金#1に対して得られたデータは、図5−6において、白三角で示されている。各比
較例のチタン合金#C1-C3及びチタン合金#1は、同一の厚みの通常のTi64合金と比較し
て、V50における増大を示していたが、図5−6における結果は、最大の増加は、チタン
合金#1に対して得られたことを示している。すなわち、代表的なチタン合金#1は、す
べての他の合金よりも、より大きな差でTi64値を超えていた。また、それは、Ti64合金に
対する1883 fpsのV50予測値を、十分な差である53 fpsだけ超えていた。
そして、この明細書に開示された典型的なチタン合金は、基本的に、残部チタンを含み
、重量パーセントで、4.2〜5.4%のアルミニウム、2.5〜3.5%のバナジウム、0.5〜0.7%
の鉄、0.15〜0.19%の酸素からなる組成を有し、通常のTi64合金と同等かより良い機械及
び弾道特性を有する低コスト組成を提供している。得られる機械及び弾道特性は、「詳細
な仕様:装甲板、チタン合金、溶接可能」MIL-DTL-46077G、2006の中の米国の国防総省の
仕様書のような、クラス4装甲板に対する軍事仕様を超えている。この明細書で開示され
る典型的なチタン合金は、より低コストの組成物及び、軍事システムで使用する高品質の
装甲板を形成する低コストの手段をもたらすという優位性を有する。
本発明の実施形態を記述するに当たり、明確にするため、次の用語を以下に与えられた
ように定義する。すべての試験は、ASTM E8の規定に従って実施され、弾道試験は、「軍
事標準:装甲に対するV50弾道試験」の中における、米国の国防総省の試験手順に従って
実施された。
引張降伏強度:材料が、応力とひずみの比例関係からの特定の限界となる逸脱(0.2%
)を示す工学的引張応力
最大抗張力 :破断するまで行われた引張試験の間の最大負荷及び試料の元の断面積か
ら算出し、材料が持ちこたえることが出来る最大の工学的引張応力
弾性係数 :引張試験の間の、比例関係の限外以下における、対応するひずみに対す
る応力の比率
伸び :引張試験の間の、破断後のゲージ長の増加(元のゲージ長の百分率とし
て表現される)
断面減少率 :引張試験の間の、破断後の引張試料の断面積の減少(元の断面積の百分
率として表現される)
V50弾道限界:特定の寸法及び、指定されたやり方で弾丸発射に対し相対的に位置決され
た地点を有する合金板を貫通するのに要求される、特定の弾丸タイプの平均速度。V50
、完全な貫通を生ずる衝突速度を、部分的貫通を生ずる衝突速度をもって、平均化するこ
とによって算出される。
α安定化元素:チタンの中に溶解させた時に、β変態温度を増加させることを起こす元素
β安定化元素:チタンの中に溶解させたときに、β変態温度の低減を起こす元素
β変態温度 :チタン合金が、α+βからβの結晶構造へ同素体の変態を完了する最低
の温度
共析化合物 :チタン及び、チタンリッチのβ相の分解によって形成される遷移金属の
金属間化合物
同形β安定化元素:βチタンと同じ相関係を有し、チタンと金属間化合物を形成しない
、β安定化元素
共析β安定化元素:チタンと金属間化合物を形成することが出来る、β安定化元素
現在の発明が、特に、上記で示され、記載されたものに限定されないことは、当業者に
よって、認識されるであろう。それどころか、現在の発明の範囲は、特許請求の範囲によ
って定義される。上記の記載は、実施形態を図示した代表例に過ぎないことが、さらに理
解されるべきである。読者の便宜のため、上記の記載は、可能な実施形態の代表例、現在
の発明の原理を教示する例に集中している。他の実施例は、違う実施例の部分の違った組
合せから生じるのかも知れない。
記述は、すべての可能性のある変化を網羅的に列挙することを試みていない。代替の実
施例は、この発明の特定の部分について、提供されていないかもしれず、記述された部分
の異なる組合せに起因するかも知れない。また、他の記述されていない代替の実施形態が
、ある部分に対して、利用出来るかも知れないことは、そのような代替の実施形態の放棄
であるとはみなされない。記述されていない実施形態の多くは、特許請求の範囲の文字通
りの範囲にあること及び、他のものも同等であることが、認識されるであろう。さらに、
この明細書を通じて引用された、すべての参照文献、出版物、米国特許及び米国特許出願
の出版物は、それらの全体を参照することで、まるでこの明細書の中で十分に述べられて
いるかのように組み込まれる。
提供されているすべての百分率は、明細書及び特許請求の範囲のいずれにおいても、重
量による百分率(wt.%)である。

Claims (17)

  1. 冷炉床炉において、アルミニウム、バナジウム、鉄及びチタンを適度な割合で含むリサイクル材料の複合物を溶融し、溶融したチタンベースの合金を形成する工程と、
    前記溶融したチタンベースの合金を鋳型に投入し、スラブを形成する工程であって、前記チタンベースの合金は、4.2〜5.4重量%のアルミニウム、2.5〜3.5重量%のバナジウム、0.5〜0.7重量%の鉄、0.15〜0.19重量%の酸素及び0.4重量%以下の不純物元素と、100重量%までの残部のチタンからなり、前記チタンベースの合金中に存在する前記不純物元素の濃度がいずれも最大で0.1重量%である、工程と、
    前記スラブを、β変態温度超えで鍛造及び/又は圧延し、それに続いて、β変態温度未満で鍛造及び/又は圧延することで変形させて、板を形成する工程と、
    前記形成した板を該形成した板のβ変態温度未満で焼鈍する工程とを具え、
    前記焼鈍する工程において焼鈍された板が、
    長さ方向と横方向のいずれにおいても、引張降伏強度が少なくとも120,000psi(8440kg/cm)であり、
    長さ方向と横方向のいずれにおいても、最大抗張力が少なくとも128,000psi(9000kg/cm)であり、
    断面減少率が少なくとも43%であり、
    伸びが少なくとも12%であり、
    0.30口径の徹甲弾M2弾薬を用いて測定された、少なくとも0.42インチ(1.06cm)の厚さでの平均弾道限界V50が少なくとも1848fps(563m/sec)である、チタンベースの装甲板を生産する方法。
  2. 前記リサイクル材料が、64チタンのダライ粉、商用の純チタンスクラップ又は鉄粉を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶融したチタンベースの合金が、前記スラブを形成するため、長方形の鋳型で流し込まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記焼鈍が、前記形成した板を1400°F(760°C)まで熱することでなされ、その後、大気において室温まで冷やされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記チタンベースの合金が、4.8重量%のアルミニウム、3.0重量%のバナジウム、0.6重量%の鉄、0.17重量%の酸素及び0.4重量%以下の不純物元素と、100重量%までの残部のチタンからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記焼鈍された板は、β共析(βEUT)に対するβ同形(βISO)の安定化元素の割合(βISOEUT)が0.9〜1.7であり、(βISOEUT)は、次のように定義され、
    Mo、V、Cr及びFeは、それぞれ、前記チタンベースの合金における、モリブデン、バナジウム、クロム及び鉄の重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 前記焼鈍された板は、β共析に対するβ同形の安定化元素の割合βISOEUTが1.2であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 前記焼鈍された板は、モリブデン当量(Moeq)が3.1〜4.4であり、Moeqは、次のように定義され、
    Mo、V、Cr及びFeは、チタンベースの合金における、それぞれ、モリブデン、バナジウム、クロム及び鉄の重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 前記焼鈍された板は、Moeqが3.8であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記焼鈍された板は、アルミニウム当量(Aleq)が8.3〜10.5であり、Aleqは、次のように定義され、
    Aleq=Al+27O
    AlとOは、それぞれ、合金における、アルミニウムと酸素の重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 前記焼鈍された板は、Aleqが9.4であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記焼鈍された板は、β変態温度が1732°F(944.44°C)〜1820°F(993.33°C)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  13. 前記焼鈍された板は、β変態温度が1775°F(968°C)であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記焼鈍された板が、長さ方向と横方向のいずれにおいても、引張降伏強度が少なくとも121,000psi(8500kg/cm)であり且つ最大抗張力が少なくとも129,000psi(9070kg/cm)であり、断面減少率が少なくとも43%であり、伸びが少なくとも13%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  15. 前記焼鈍された板の厚みが少なくとも0.425インチ(1.08cm)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  16. 前記焼鈍された板が、0.30口径の徹甲弾M2弾薬を用いて測定された、少なくとも1880fps(573m/sec)の平均弾道限界V50を有することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 前記焼鈍された板は、0.430インチ(1.09cm)の厚さ、及び、0.30口径の徹甲弾M2弾薬を用いて測定された、少なくとも1936fps(590m/sec)の弾道限界V50を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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