[1]第1実施例
図1は第1実施例に係る無線通信システム1の全体構成を表す。無線通信システム1は、ユーザが利用するスマートフォン等の移動通信端末をアクセスポイント等の無線通信機に接続させ、移動通信端末の無線通信機を介した通信を可能とするシステムである。無線通信システム1は、ネットワーク2と、スマートフォン10と、スピーカ装置20と、アクセスポイント30と、サーバ装置40とを備える。
ネットワーク2は、例えば移動体通信網及びインターネット等を含み、装置同士のデータのやり取りを仲介するシステムである。ネットワーク2には、スピーカ装置20、アクセスポイント30及びサーバ装置40が有線で接続されている(これらの接続は無線でもよい)。
スマートフォン10は、ユーザが利用する移動通信端末である。本実施例では、スマートフォン10は、アクセスポイント30と無線LAN(Local Area Network)の規格に準拠した手順で接続し、アクセスポイント30及びネットワーク2を介してウェブサーバなどの装置との通信を行う。また、スマートフォン10は、無線LANによる通信とは別に、無線信号を受信する機能を有する。本実施例では、スピーカ装置20が、無線信号を表す音を放出し、スマートフォン10が、その音を集音することで、その音が表す無線信号を受信する。
スピーカ装置20は、アクセスポイント30との接続に用いるSSID(Service Set Identifier)及び暗号化キー(セキュリティキーや無線LANのパスワードとも呼ばれる)等の接続用情報を含む無線信号を発信するデバイスである。スピーカ装置20は、接続用情報を含む音を放出することで、接続用情報を含む無線信号を発信する。スピーカ装置20は、例えば、店舗や公共施設などの人が集まる場所に設置される。
アクセスポイント30は、無線LANの規格に準拠して無線通信を行う無線通信機である。アクセスポイント30は、接続用情報を用いた接続処理を所定の手順で行って例えばスマートフォン10と接続する。アクセスポイント30は、接続したスマートフォン10と、ネットワーク2に接続される装置との通信を中継する。アクセスポイント30は、スピーカ装置20の近く(例えば同じ部屋や同じフロア、同じ建物など)に設置される。スピーカ装置20が放出する音を集音可能な範囲と、アクセスポイント30に接続可能な範囲とは重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
サーバ装置40は、スピーカ装置20に対して発信する無線信号に含める接続用情報を指示する。スピーカ装置20は、サーバ装置40から指示された接続用情報を含む音を発信する。また、サーバ装置40は、アクセスポイント30に対して無線通信の接続に用いる接続用情報を指示する。アクセスポイント30は、サーバ装置40から指示された接続用情報を用いて無線通信の接続を行う。サーバ装置40は、同じ期間においては同じ接続用情報を用いるようにスピーカ装置20及びアクセスポイント30に指示する。
スマートフォン10は、スピーカ装置20が放出する音を集音可能な領域に到達すると、その音が表す無線信号を受信して、受信した無線信号に含まれる接続用情報を用いてアクセスポイント30と接続する処理を行う。その際、アクセスポイント30にも同じ接続用情報を用いることがサーバ装置40から指示されているので、スマートフォン10はアクセスポイント30と接続することができる。無線通信システム1は、このようにしてスマートフォン10のアクセスポイント30を介した通信を可能とする。
図2はスマートフォン10のハードウェア構成を表す。スマートフォン10は、CPU11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、NIC(Network Interface Card)14と、フラッシュメモリ15と、タッチスクリーン16と、マイクロフォン17とを備えるコンピュータである。CPU11は、RAM12をワークエリアとして用いてROM13やフラッシュメモリ15に記憶されているプログラムを実行することで各部の動作を制御する。
NIC14は、アンテナ及び通信回路等を有し、無線LANの規格に準拠した無線通信を行う。フラッシュメモリ15は、CPU11が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。タッチスクリーン16は、表示手段であるディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを備え、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。マイクロフォン17は、周囲の音を収集し、収集した音を表す音データをCPU11に供給する。
図3はスピーカ装置20のハードウェア構成を表す。スピーカ装置20は、CPU21と、RAM22と、ROM23と、NIC24と、HDD(Hard Disk Drive)25と、スピーカ26とを備えるコンピュータである。CPU21からROM23までは、図2に表す同名のハードウェアとそれぞれ共通するものである。NIC24は、通信回路を有し、ネットワーク2を介した通信を行う。HDD25は、CPU21が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。スピーカ26は、CPU21の制御により、音データが表す音を放出する。
図4はアクセスポイント30のハードウェア構成を表す。アクセスポイント30は、CPU31と、RAM32と、ROM33と、HDD34と、第1NIC35と、第2NIC36とを備えるコンピュータである。CPU31からHDD34までは、図3に表す同名のハードウェアとそれぞれ共通するものである。第1NIC35は、通信回路を有し、ネットワーク2を介した通信を行う。第2NIC36は、アンテナ及び通信回路等を有し、無線LANの規格に準拠した無線通信を行う。
図5はサーバ装置40のハードウェア構成を表す。サーバ装置40は、CPU41と、RAM42と、ROM43と、NIC44と、HDD45とを備えるコンピュータである。これらは図3に表す同名のハードウェアとそれぞれ共通するものである。
無線通信システム1が備える各装置のCPUがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる機能が実現される。
図6は無線通信システム1の各装置が実現する機能構成を表す。スマートフォン10は、無線信号受信部101と、接続用情報抽出部102と、無線通信部103とを備え、スピーカ装置20は、指示受付部201と、無線信号生成部202と、無線信号発信部203とを備える。アクセスポイント30は、指示受付部301と、無線通信部302とを備え、サーバ装置40は、接続用情報決定部401と、接続指示部402と、発信指示部403とを備える。
サーバ装置40の接続用情報決定部401は、無線LANの通信の接続に用いる接続用情報を決定する。
図7は接続用情報の一例を表す。接続用情報には、SSID及び暗号化キーが含まれているが、それら以外にも、チャネル(周波数)情報やサポートする転送速度の情報などが含まれていてもよい。接続用情報決定部401は、例えば、所定の時間間隔で、毎回異なる接続用情報を決定する。接続用情報決定部401は、本実施例では、毎日決まった時刻に、現在の暗号化キーを所定のアルゴリズムで異なる暗号化キーに変換し、変換後の暗号化キーを含む接続用情報を決定する。
なお、接続用情報決定部401は、毎回異なるSSIDを決定してもよいし、両方とも毎回異なるものを決定してもよい。また、複数の暗号化キーをローテーションさせたり、それらのうちのいずれかをランダムで選んだりしてもよいが、決定される接続用情報は毎回異なっていることが望ましい。接続用情報決定部401は、決定した接続用情報を発信指示部403及び接続指示部402に供給する。
接続指示部402は、無線通信の接続に用いる接続用情報として、接続用情報決定部401により決定された接続用情報の使用を無線通信機(本実施例ではアクセスポイント30)に指示する。接続指示部402は本発明の「指示部」の一例である。接続指示部402は、予めアクセスポイント30の宛先(IPアドレス等)を記憶している。接続指示部402は、接続用情報決定部401から接続用情報が供給されると、供給された接続用情報及びその接続用情報を用いた接続を開始する接続開始時刻を表す接続指示情報を、記憶している宛先、すなわちアクセスポイント30に送信する。
アクセスポイント30の指示受付部301は、サーバ装置40から送信されてきた接続指示情報を受け取ると、その接続指示情報が表す接続用情報及び接続開始時刻を、自装置の無線LANの通信の接続に対する指示として受け付ける。指示受付部301は、受け付けた接続用情報及び接続開始時刻を無線通信部302に供給する。
無線通信部302は、サーバ装置40から指示された接続用情報を用いて接続された移動通信端末と、無線LANの通信を行う。無線通信部302は、無線通信接続部303を備える。無線通信接続部303は、サーバ装置40から指示された接続用情報を用いて無線通信の接続を行う。無線通信接続部303は、指示受付部301から供給された接続開始時刻になると、同じく供給された接続用情報が表すSSIDを含むビーコンを定期的に発信する。
発信指示部403は、スピーカ装置20が発信する無線信号に含める接続用情報をそのスピーカ装置20に指示する。発信指示部403は、予めスピーカ装置20の宛先(IP(Internet Protocol)アドレス等)を記憶している。発信指示部403は、接続用情報決定部401から接続用情報が供給されると、供給された接続用情報及びその接続用情報を含む無線信号の発信を開始する発信開始時刻を表す発信指示情報を、記憶している宛先、すなわちスピーカ装置20に送信する。
スピーカ装置20の指示受付部201は、サーバ装置40から送信されてきた発信指示情報を受け取ると、その発信指示情報が表す接続用情報及び発信開始時刻を、自装置の無線信号の発信に対する指示として受け付ける。指示受付部201は、受け付けた接続用情報及び発信開始時刻を無線信号生成部202に供給する。
無線信号生成部202は、サーバ装置40から指示された接続用情報を含む無線信号を生成する。無線信号生成部202は、指示受付部201から供給された接続用情報を含む音を表す音データを、例えば音にアルファベットや数字などの記号を重畳させる周知の技術を用いて生成する。この音データは、接続用情報を含む音、すなわち接続用情報を含む無線信号を表している。無線信号生成部202は、生成した音データを無線信号発信部203に供給する。
無線信号発信部203は、無線信号生成部202により生成された無線信号、すなわちサーバ装置40から指示された接続用情報を含む無線信号を発信する。無線信号発信部203は本発明の「発信部」の一例である。無線信号発信部203は、無線信号生成部202から供給された音データが表す音を放出することで、この音が表す無線信号を発信する。無線信号発信部203は、無線信号の発信を、例えば所定の時間間隔(0.1秒毎や1秒毎など)で繰り返し行う。
スマートフォン10の無線信号受信部101は、接続用情報をサーバ装置40から通知されたスピーカ装置20が発信したその接続用情報を含む無線信号を受信する。無線信号受信部101は本発明の「受信部」の一例である。無線信号受信部101は、無線信号発信部203が放出した音を集音することで、この音が表す無線信号を受信する。無線信号受信部101は、集音した音を表す音データを、受信した無線信号を表すデータとして接続用情報抽出部102に供給する。
接続用情報抽出部102は、無線信号受信部101が受信した無線信号から接続用情報を抽出する。接続用情報抽出部102は、無線信号発信部203が音に記号を重畳した技術に基づいて、無線信号受信部101から供給された音データが表す音に重畳されている接続用情報を抽出する。接続用情報抽出部102は、抽出した接続用情報を無線通信部103に供給する。
以上のとおり、発信指示部403がスピーカ装置20に対して発信の指示を行うことで、接続指示部402が無線通信の接続に用いる情報として使用することをアクセスポイント30に指示した接続用情報がスマートフォン10に通知されることになる。このように、発信指示部403は、接続指示部402によりアクセスポイント30が使用するよう指示された接続用情報を、スピーカ装置20が発信する無線信号を利用してスマートフォン10に通知する。発信指示部403は本発明の「通知部」の一例である。
スマートフォン10の無線通信部103は、無線信号受信部101により受信されたスピーカ装置20からの無線信号に含まれる接続用情報を用いて接続された移動通信端末と、無線LANの通信を行う。無線通信部103は、無線通信接続部104を備える。無線通信接続部104は、無線信号受信部101により受信された無線信号に含まれる接続用情報を用いて、サーバ装置40からの指示によりその接続用情報を用いた接続を行う無線通信機(本実施例ではアクセスポイント30)と接続する。無線通信接続部104は本発明の「接続部」の一例である。
詳細には、無線通信接続部104は、無線信号受信部101により受信された無線信号に含まれる接続用情報が表すSSIDを含むビーコンを受信すると、その接続用情報を用いて、そのビーコンを発信したアクセスポイント30と無線通信の接続を試みる。スマートフォン10がスピーカ装置20からの無線信号を受信してからアクセスポイント30との接続を試みるまでに新たな接続用情報を用いる指示がされていなければ、スマートフォン10の無線通信接続部104が用いる接続用情報と、アクセスポイント30の無線通信接続部303が用いる接続用情報とは一致することになる。よって、無線通信接続部104と無線通信接続部303との間で無線LANの規格に準拠した接続が行われ、無線通信部103と無線通信部302との無線通信が開始される。
無線通信システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、スマートフォン10とアクセスポイント30とが無線通信の接続を行う接続処理を行う。
図8は接続処理における各装置の動作手順の一例を表す。図8の例では、サーバ装置40が接続用情報を決定する時刻になることを契機に動作手順が開始される。
まず、サーバ装置40(接続用情報決定部401)が、接続用情報を決定する(ステップS11)。次に、サーバ装置40(接続指示部402)が、無線通信の接続に用いる情報として、ステップS11で決定された接続用情報の使用をアクセスポイント30に指示する(ステップS12)。アクセスポイント30(指示受付部301)は、ステップS12で行われた指示を受け付ける(ステップS13)。次に、アクセスポイント30(無線通信接続部303)は、指示された接続用情報が表すSSIDを含むビーコンの発信を開始する(ステップS14)。
続いて、サーバ装置40(発信指示部403)は、発信する無線信号に含める接続用情報をスピーカ装置20に指示する(ステップS21)。スピーカ装置20(指示受付部201)は、ステップS21で行われた指示を受け付ける(ステップS22)。次に、スピーカ装置20(無線信号生成部202)は、指示された接続用情報を重畳させた音を表す音データを生成する(ステップS23)。続いて、スピーカ装置20(無線信号発信部203)は、生成された音データが表す音を放出することで、指示された接続用情報を含む無線信号を発信する(ステップS24)。なお、ステップS21からS24までの動作は、ステップS12からS14までの動作よりも前に行われてもよいし、両動作が並行して行われてもよい。また、スピーカ装置20(無線信号発信部203)は、ステップS24の動作を例えば所定の時間間隔で繰り返し行う。
ここで、スマートフォン10(無線信号受信部101)が、スピーカ装置20が放出する音を集音可能な領域に到達することで、その音が表す無線信号を受信する(ステップS31)。スマートフォン10(接続用情報抽出部102)は、受信された無線信号から接続用情報を抽出する(ステップS32)。続いて、スマートフォン10(無線通信接続部104)が、アクセスポイント30が発信するビーコンを受信可能な領域に到達することで、そのビーコン、すなわち抽出した接続用情報が表すSSIDを含むビーコンを受信する(ステップS41)。
次に、スマートフォン10(無線通信接続部104)及びアクセスポイント30(無線通信接続部303)が、接続用情報を用いて互いに接続する(ステップS42)。そして、アクセスポイント30(無線通信部302)がスマートフォン10との無線通信を開始し(ステップS43)、スマートフォン10(無線通信部103)がアクセスポイント30との無線通信を開始する(ステップS44)。
本実施例では、ユーザがアクセスポイント30との接続のための設定作業(SSIDや暗号化キーの入力操作など)を行わなくても、スマートフォン10がスピーカ装置20から発信される無線信号とアクセスポイント30から発信されるビーコンを受信すれば、スマートフォン10がアクセスポイント30に接続される。これにより、スマートフォン10とアクセスポイント30との接続において、設定作業が必要な場合に比べてユーザの手間を少なくして、利便性を高めることができる。
また、本実施例では、上記接続に用いられる接続用情報が、サーバ装置40からアクセスポイント30に対して指示され、また、スピーカ装置20が発信する無線通信を利用してサーバ装置40からスマートフォン10に通知される。これにより、例えば仮に無線信号から接続用情報が解析されて、その接続用情報で接続可能な偽のアクセスポイントが設置されたとしても、サーバ装置40が新たな接続用情報を指示及び通知すれば、無線信号を受信したスマートフォン10と偽のアクセスポイントとが接続されなくなり、情報の漏洩が防がれる。
また、スマートフォン10とアクセスポイント30とが送受信する電波を傍受され、解析された接続用情報を用いてその電波が表すデータを復号化するいわゆる盗聴を試みる者がいたとしても、新たな接続用情報が指示及び通知されていれば、そのデータは復号化されなくなり、盗聴は失敗する。このように、本実施例によれば、移動通信端末と無線通信機との接続において、接続用情報の指示及び通知がされない場合に比べて、セキュリティレベルを向上させることができる。
[2]第2実施例
本発明の第2実施例について、以下、第1実施例と異なる点を中心に説明する。第1実施例では、接続用情報を表す無線信号を発信されたが、第2実施例では、異なる情報を表す無線信号が発信される。
図9は第2実施例のスマートフォン10aのハードウェア構成を表す。スマートフォン10aは、図2に表すハードウェアに加え、第2NIC18を備える。第2NIC18は、アンテナ及び通信回路等を有し、移動体通信の規格に準拠した無線通信を行う。第2NIC18は、図1に表す移動体通信網を含むネットワーク2を介した通信を行う。
図10は本実施例の各装置が実現する機能構成を表す。図10では、スマートフォン10aと、スピーカ装置20aと、アクセスポイント30と、サーバ装置40aとを備える無線通信システム1aが表されている。スマートフォン10aは、図6に表す無線信号受信部101と、無線通信部103と、識別情報抽出部105と、接続用情報取得部106とを備える。スピーカ装置20aは、図6に表す無線信号発信部203と、無線信号記憶部204とを備える。サーバ装置40aは、図6に表す接続用情報決定部401と、接続指示部402と、接続用情報記憶部404と、接続用情報通知部405とを備える。
サーバ装置40aの接続用情報記憶部404は、識別情報に対応付けて接続用情報を記憶する。接続用情報記憶部404本発明の「記憶部」の一例である。この識別情報は、無線通信システム1aにおいて一意に識別可能な情報であり、例えばスピーカ装置が設置される店舗の店舗IDである。接続用情報記憶部404は、識別情報と接続用情報とを対応付けた接続用情報DB(Data base)を記憶している。
図11は接続用情報DBの一例を表す。図11の例では、「ID001」、「ID002」、「ID003」という識別情報にそれぞれ異なる接続用情報が対応付けられており、そのうちの「ID001」が、スピーカ装置20aが設置される店舗の店舗IDで、アクセスポイント30に対して無線通信の接続に用いる情報として指示される接続用情報に対応付けられているものとする。
本実施例では、接続用情報決定部401が新たな接続用情報を決定すると、決定した新接続用情報を、決定する前の旧接続用情報とともに接続用情報記憶部404に供給する。また、接続指示部402が、接続指示情報を接続用情報記憶部404に供給する。接続用情報記憶部404は、接続用情報DBに格納されている旧接続用情報を、その旧接続用情報を表す接続指示情報が表す接続開始時刻になったときに、新接続用情報に更新する。これにより、接続用情報記憶部404は、その時点でアクセスポイント30が接続に用いる接続用情報を識別情報に対応付けて記憶することになる。
スピーカ装置20aの無線信号記憶部204は、サーバ装置40aにおいて接続用情報に対応付けて記憶されている識別情報を含む無線信号を記憶する。無線信号記憶部204は、例えば自装置が設置されている店舗の店舗IDを重畳させた音を表す音データを、前述の識別情報を含む無線信号として記憶している。無線信号発信部203は、無線信号記憶部204からこの音データを読み出して、読み出した音データが表す音を放出することで、識別情報を含む無線信号を発信する。
スマートフォン10aの無線信号受信部101は、スピーカ装置20が発信した識別情報を含む無線信号を受信する。無線信号受信部101は、受信した無線信号、すなわち集音した音を表す音データを識別情報抽出部105に供給する。識別情報抽出部105は、無線信号受信部101が受信した無線信号から識別情報を抽出する。識別情報抽出部105は、無線信号発信部203が音に識別情報を重畳した技術に基づいて抽出を行う。こうしてスマートフォン10aは識別情報を取得する。識別情報抽出部105は、こうして取得された識別情報を、その識別情報が取得された時刻を表す取得時刻情報とともに接続用情報取得部106に供給する。
接続用情報取得部106は、無線信号受信部101が受信した無線信号から抽出された識別情報に対応付けられている接続用情報を取得する。そのために、接続用情報取得部106は、無線信号受信部101により受信された無線信号に含まれる識別情報をサーバ装置40aに送信する。接続用情報取得部106は本発明の「第1送信部」の一例である。本実施例では、接続用情報取得部106は、識別情報を、その識別情報の取得時刻情報とともにサーバ装置40aに送信する。送信された識別情報及び取得時刻情報は、サーバ装置40aの接続用情報通知部405に供給される。
接続用情報通知部405は、識別情報が送信されてくると、送信されてきた識別情報に対応する接続用情報をその識別情報の送信元に通知する。接続用情報通知部405は、送信されてきた識別情報が所定の条件を満たしていればこの通知を行う。接続用情報通知部405は、条件判定部406を備える。条件判定部406は、送信されてきた識別情報が所定の条件を満たすか否かを判定する。条件判定部406は、例えば、識別情報が取得された時刻についての条件を判定する。条件判定部406は、条件テーブルを用いてこの判定を行う。
図12は条件テーブルの一例を表す。図12の例では、取得時刻情報が「7時以降21時より前」の時刻を表していれば条件を満たし、取得時刻情報が「21時以降7時より前」の時刻を表していれば条件を満たさないことが表されている。条件判定部406は、識別情報とともに送信されてきた取得時刻情報が表す時刻と条件テーブルとに基づいて条件が満たされているか否かを判定する。接続用情報通知部405は、条件判定部406により条件が満たされたと判定された場合に、識別情報に対応付けて記憶されている接続用情報をスマートフォン10aに送信する。
接続用情報取得部106は、こうして送信されてきた接続用情報を取得し、取得した接続用情報を無線通信接続部104に供給する。無線通信接続部104は、サーバ装置40aから接続用情報が通知されると、その接続用情報を用いて、サーバ装置40aからの指示によりその接続用情報を用いた接続を行う無線通信機(本実施例ではアクセスポイント30)と接続する。
図13は本実施例の接続処理における各装置の動作手順の一例を表す。図13の例では、まず、図8に表すステップS11(接続用情報の決定)からS14(ビーコンの発信開始)までの動作が行われる。次に、サーバ装置40a(接続用情報記憶部404)が、ステップS11で決定された接続用情報を識別情報に対応付けて記憶する(ステップS51)。なお、ステップS51の動作はステップS12からS14までの動作よりも前に行われてもよいし、両動作が並行して行われてもよい。
スピーカ装置20a(無線信号発信部203)は、識別情報が重畳された音を表す音データ読み出して(ステップS61)、読み出した音データが表す音を放出することで、識別情報を含む無線信号を発信する(ステップS62)。スピーカ装置20a(無線信号発信部203)は、ステップS61、S62の動作を例えば所定の時間間隔で繰り返し行う。これらの動作は、ステップS11よりも前から行われていてもよい。次に、スマートフォン10a(無線信号受信部101)が、スピーカ装置20aが放出する音を集音可能な領域に到達することで、その音が表す無線信号を受信する(ステップS63)。スマートフォン10a(識別情報抽出部105)は、受信された無線信号から識別情報を抽出する(ステップS64)。
続いて、スマートフォン10a(接続用情報取得部106)は、抽出された識別情報及びその識別情報の取得時刻情報をサーバ装置40aに送信する(ステップS71)。サーバ装置40a(条件判定部406)は、送信されてきた取得時刻情報に基づいて条件が満たされているか否かを判定する(ステップS72)。条件が満たされていると判定されると、サーバ装置40a(接続用情報通知部405)は、送信されてきた識別情報に対応付けて記憶されている接続用情報を読み出し(ステップS73)、読み出した接続用情報をスマートフォン10aに送信する(ステップS74)。スマートフォン10a(接続用情報取得部106)は、こうして送信されてきた接続用情報を取得する(ステップS75)。この後は、図8に表すステップS41からS44までの動作が行われる。
本実施例でも、第1実施例と同様に、無線通信の接続のための設定作業が不要なので、スマートフォン10aとアクセスポイント30との接続において、設定作業が必要な場合に比べてユーザの手間を少なくすることができる。また、この接続には、サーバ装置40aがアクセスポイント30に指示し、且つ、スマートフォン10に通知した接続用情報が用いられるので、第1実施例と同様に、接続用情報の指示及び通知がされない場合に比べて、セキュリティレベルを向上させることができる。
また、本実施例では、識別情報についての条件が満たされた場合に接続用情報がスマートフォン10aに通知される。これにより、アクセスポイント30と接続する移動通信端末を、条件を満たすものだけに制限することができる。上記の例では、識別情報を特定の時間帯(図12の例では7時以降21時より前)に取得した移動通信端末だけがアクセスポイント30と接続するように制限されている。
[3]変形例
上述した各実施例はそれぞれが本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、各実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
[3−1]条件判定部
図10に表す条件判定部406は、第2実施例とは異なる条件を判定してもよい。例えば、条件判定部406は、移動通信端末が識別情報を取得したときに所在していた位置に基づいて条件を満たすか否かを判定する。
図14は本変形例のスマートフォン10bのハードウェア構成を表す。スマートフォン10bは、図9に表すハードウェアに加え、GPS(Global Positioning System)19を備える。GPS19は、GPS衛星からの信号に基づいて位置を測定し、測定した位置を表す位置情報(緯度及び経度の情報)をCPU11に供給する。本実施例では、図10に表す識別情報抽出部105が、取得された識別情報を接続用情報取得部106に供給する際に、識別情報を取得した位置を表す取得位置情報を一緒に供給する。接続用情報取得部106は、供給された識別情報及び取得位置情報を図10に表すサーバ装置40aに送信する。
図15は本変形例の条件テーブルの一例を表す。図15の例では、取得位置情報が「スピーカ装置を中心とした半径20mの領域内」の位置を表す場合に条件が満たされ、取得位置情報が「スピーカ装置を中心とした半径20mの領域外」の位置を表す場合に条件が満たされないことが表されている。無線通信システムでは、例えばスピーカ装置から放出される音を録音し、別の場所で再生させてスマートフォン10bに無線信号を取得させるという不正行為が考えられるが、その場合、識別情報が取得された位置が条件を満たさないので接続用情報が通知されない。識別情報の取得位置を条件として用いることで、このような不正行為を防ぐことができる。
なお、条件判定部406は、例えば識別情報の有効期限に基づいて条件を満たすか否かを判定してもよい。
図16は本変形例のスピーカ装置20cが実現する機能の一例を表す。スピーカ装置20cは、図10に表す無線信号発信部203及び無線信号記憶部204に加えて無線信号生成部205を備える。無線信号生成部205は、無線信号記憶部204に記憶されている音データを読み出し、その音データが表す音に現在時刻を表す発信時刻情報(いわゆるタイムスタンプ)を重畳させた音を表す音データを生成して無線信号発信部203に供給する。供給された音データが表す音は、識別情報及び発信時刻情報を表す無線信号を表している。無線信号生成部205は、音データの生成を例えば無線信号の発信の時間間隔で行う。なお、音データの生成頻度は発信頻度よりも少なくてもよい。
図10に表す識別情報抽出部105は、受信された無線信号から識別情報だけでなく発信時刻情報も抽出する。接続用情報取得部106は、識別情報及び発信時刻情報をサーバ装置40aに送信する。条件判定部406は、識別情報の有効期間を予め記憶しており、送信されてきた発信時刻情報が表す時刻から有効期間が経過した時刻、つまり有効期限にまだ至っていなければ、条件が満たされると判定し、有効期限に至っていれば条件が満たされないと判定する。
無線通信システムでは、例えばスピーカ装置20cから放出される音を録音し、有効期限が切れてから再生させてスマートフォンに無線信号を取得させるという不正行為が考えられるが、その場合、無線信号が発信された時刻が条件を満たさないので接続用情報が通知されない。無線信号の有効期限を条件として用いることで、このような不正行為を防ぐことができる。
また、条件判定部406は、識別情報の数に基づいて条件を満たすか否かを判定してもよい。
図17は本変形例の無線通信システム1dの全体構成を表す。無線通信システム1dは、図10に表すスピーカ装置20a、アクセスポイント30及びサーバ装置40aに加え、複数のスマートフォン10aを備える。各スマートフォン10aの接続用情報取得部106は、識別情報及び取得時刻情報をサーバ装置40aに送信する。
条件判定部406は、識別情報を受け取ると、その時点よりも前の一定期間に送信されてきた識別情報の数が閾値未満である場合には、条件を満たすと判定し、その数が閾値以上である場合には、条件を満たさないと判定する。送信されてくる識別情報の数が多いほど、アクセスポイント30に接続されるスマートフォン10aの数も多くなり、通信速度が遅くなりやすくなる。この例では識別情報の数が閾値以上になったら接続用情報が通知されないので、スマートフォン10aの接続台数が制限され、識別情報の数に基づく判定がされない場合に比べて、通信速度が遅くなりにくいようにすることができる。
また、条件判定部406は、複数の識別情報が取得された順番に基づいて条件を満たすか否かを判定してもよい。
図18は本変形例の無線通信システム1eの全体構成を表す。無線通信システム1eは、図10に表すスマートフォン10a、アクセスポイント30及びサーバ装置40aに加え、スピーカ装置20a−1、20a−2、20a−3という複数のスピーカ装置20aを備える。各スピーカ装置20aは、それぞれ異なる識別情報を含む無線信号を発信する。
スマートフォン10aの接続用情報取得部106は、各スピーカ装置20aから発信された無線信号が受信されると、その度に受信した無線信号に含まれる識別情報及び取得時刻情報を、例えば自装置に割り当てられた装置IDとともにサーバ装置40aに送信する。条件判定部406は、同じ装置IDとともに送信されてきた識別情報の順番が所定の順番となっている場合に、条件が満たされたと判定する。例えば図18の例であれば、スピーカ装置20a−1、20a−2、20a−3の順番に識別情報が送信されてきた場合に条件が満たされたと判定する。
例えば店舗内にスピーカ装置20a−1、20a−2、20a−3を順番に並べて設置し、店舗の入り口からレジに向けて移動するとこの順番に無線信号を受信するようにしておく。その場合、店舗でスマートフォン10aに無線信号を受信させていれば条件が満たされるが、上述した録音による不正行為を行った場合には条件が満たされない場合が出てくる。このように、識別情報の取得順に基づく判定を行うことで、この判定を行わない場合に比べて不正行為が行われにくいようにすることができる。
なお、識別情報が取得された順番による判定は、単にアクセスポイント30への接続数を減らすために活用されてもよい。また、例えば特定の経路で移動したユーザのスマートフォン10aが条件を満たしてアクセスポイント30に接続したときに、アクセスポイント30に記憶させておいたクーポン情報を提供するというように、エンターテイメントのために活用されてもよい。
また、条件判定部406は、上述した識別情報の取得時刻、識別情報の取得位置、識別情報の有効期限、識別情報の数、識別情報が取得された順番についての個別条件を複数組み合わせて判定してもよい。条件判定部406は、例えば識別情報の取得時刻及び識別情報の取得位置の両方が個別条件を満たしていれば、条件を満たすと判定する。また、条件判定部406は、3つの個別条件のうち2つが満たされていれば条件と満たすと判定する。いずれの場合も、アクセスポイント30と接続する移動通信端末を、条件を満たすものだけに制限することができる。
[3−2]変更情報
スピーカ装置が、所定の規則で変更される変更情報を含む無線信号を発信してもよい。変更情報とは、例えば識別情報に現在時刻の情報(タイムスタンプ)を組み合わせた情報である。
図19は変更情報の一例を表す。図19の例では、「ID001」という識別情報に、「10:11:30」という現在時刻が組み合わされて、「ID001101130」という変更情報が生成されている。
図20は本変形例の各装置が実現する機能構成を表す。図20では、スマートフォン10fと、スピーカ装置20fと、アクセスポイント30と、サーバ装置40fとを備える無線通信システム1fが表されている。スマートフォン10fは、図10に表す識別情報抽出部105に代えて変更情報抽出部107を備える。スピーカ装置20fは、図6に表す無線信号発信部203に加え、識別情報記憶部206と、変更情報生成部207と、無線信号生成部208とを備える。サーバ装置40fは、図10に表す各部に加えて変更情報生成部408を備える。
識別情報記憶部206は、識別情報として、例えば自装置が設置された店舗の店舗IDを記憶する。変更情報生成部207は、識別情報記憶部206に記憶されている識別情報と現在時刻の情報から図19に表すような変更情報を生成する。変更情報生成部207は、生成した変更情報を無線信号生成部208に供給する。無線信号生成部208は、供給された変更情報を重畳した音を表す音データを生成することで、その変更情報を含む無線信号を生成する。無線信号生成部208は生成した音データを無線信号発信部203に供給する。無線信号発信部203は、供給された音データが表す音を放出することで、変更情報を含む無線信号を発信する。
スマートフォン10fの変更情報抽出部107は、無線信号受信部101により受信された無線信号から変更情報を抽出する。接続用情報取得部106は、変更情報抽出部107により抽出された変更情報に対応付けられた接続用情報をサーバ装置40fから取得する。そのために、接続用情報取得部106は、無線信号受信部101により受信された無線信号に含まれる変更情報をサーバ装置40fに送信する。接続用情報取得部106は本発明の「第2送信部」の一例である。
サーバ装置40fの接続用情報記憶部404は、変更情報と接続用情報とを対応付けて記憶している。
図21は本変形例の接続用情報DBの一例を表す。図21の例では、「ID001101130」、「ID002101130」、「ID003101130」という変更情報にそれぞれ異なる接続用情報が対応付けられている。これらはいずれも識別情報である店舗IDに10:11:30という時刻の情報が組み合わせられた変更情報である。
変更情報生成部408は、所定の時間間隔で接続用情報記憶部404から変更情報を読み出し、読み出した変更情報から新たな変更情報を生成する。変更情報生成部408は、読み出した変更情報から識別情報を抽出し、抽出した識別情報と現在時刻の情報とを組み合わせて新たな変更情報を生成する。変更情報生成部408は、生成した新たな変更情報で接続用情報DBを上書きする。
図22は上書きされた接続用情報DBの一例を表す。図22の例では、図21に表す変更情報から抽出された店舗IDに、この変更情報に含まれている時刻の30秒後の10:12:00という時刻の情報が組み合わせられた「ID001101200」、「ID002101200」、「ID003101200」という変更情報が格納されている。これらの変更情報は、スピーカ装置20fの変更情報生成部207が生成する変更情報と一致するようになっている。
接続用情報通知部405は、条件判定部406により条件を満たすと判定されると、スマートフォン10fから送信されてきた変更情報に接続用情報記憶部404で対応付けられている接続用情報を送信元に送信する。接続用情報取得部106は、送信されてきた接続用情報を、受信された無線信号に含まれる変更情報に対応する接続用情報として取得する。無線通信接続部104は、こうして接続用情報取得部106により送信された変更情報に対応する接続用情報がサーバ装置40fから通知された場合に、その接続用情報を用いてアクセスポイント30と接続する。
本変形例では、スピーカ装置20fとサーバ装置40fとが通信を行わなくても、接続用情報に対応する情報として両装置において共通の規則で変更する変更情報を用いることで、スピーカ装置20fが発信した無線信号を受信したスマートフォン10fに接続用情報を通知することができるとともに、変更情報が用いられない場合に比べて、例えば上述した録音による不正行為が行われにくくなり、セキュリティを向上させることができる。
なお、変更情報の変更方法は上述した時刻を利用するものに限らない。例えば記号で表された識別情報を特定のルールで別の記号に置き換えていく方法や、識別情報にランダムに選ばれた記号(過去の記号と一致した場合は選び直す)を付加する方法などが用いられてもよい。また、識別情報毎に異なる変更方法が用いられてもよいし、時間の経過とともに変更方法を切り替えるようにしてもよい。これらの場合、変更方法が1通りしかない場合に比べて、変更情報の変更方法を解析して不正に利用するという不正行為が行われにくいようにすることができる。
[3−3]接続用情報の記憶・削除
移動通信端末が無線通信の接続に用いた接続用情報を記憶しておいて、記憶している間は何度でも接続用情報を利用できるようにしてもよい。
図23は本変形例の各装置が実現する機能構成を表す。図23では、図6に表す各部に加え、接続用情報記憶部108と、変更タイミング特定部109と、接続用情報削除部110とを備えるスマートフォン10gが表されている。
また、図6に表す各部に加え、変更タイミング通知部407を備えるサーバ装置40gが表されている。スマートフォン10gの接続用情報抽出部102は、受信された無線信号から抽出した接続用情報を、無線通信接続部104に供給するとともに、接続用情報記憶部108にも供給する。接続用情報記憶部108は、こうして供給された接続用情報、すなわち受信された無線信号に含まれる接続用情報を記憶する。接続用情報記憶部108は本発明の「記憶部」の一例である。
変更タイミング特定部109は、接続用情報記憶部108に記憶された接続用情報を無線通信の接続に用いる情報として指示された無線通信機が無線通信の接続に用いる接続用情報を変更するタイミングを特定する。変更タイミング特定部109は本発明の「特定部」の一例である。変更タイミング特定部109は、例えば、記憶された接続用情報が変更される時刻を問い合わせる問合せデータをサーバ装置40gに送信する。
サーバ装置40gの接続指示部402は、新たな接続用情報を用いた接続を開始するタイミングを表す接続開始時刻の一覧(将来の接続開始時刻も含む)を予め記憶している。変更タイミング通知部407は、スマートフォン10gから送信されてきた問合せデータを受け取ると、その問合せデータが表す接続用情報について新たな接続用情報が決定された場合に用いられる接続開始時刻を接続指示部402に問い合わせる。この接続開始時刻は、問い合わせされた接続用情報が新たな接続用情報に変更される時刻を表している。
変更タイミング通知部407は、問い合わせに応答した接続指示部402から接続開始時刻が通知されると、その接続開始時刻を問合せデータの送信元に通知する。変更タイミング特定部109は、こうして通知された接続開始時刻を、前述した無線通信機が無線通信の接続に用いる接続用情報を変更するタイミングとして特定する。変更タイミング特定部109は、特定したタイミングを接続用情報削除部110に通知する。
接続用情報削除部110は、変更タイミング特定部109により特定されたタイミングで接続用情報記憶部108に記憶されたその接続用情報を削除する。接続用情報削除部110は本発明の「削除部」の一例である。接続用情報削除部110は、変更タイミング特定部109から通知されたタイミング、すなわち接続用情報が変更される時刻になると、接続用情報記憶部108に記憶されているその接続用情報を削除する。
本変形例では、スマートフォン10gが接続用情報を記憶することで毎回無線信号を受信しなくてもアクセスポイントと繰り返し接続できる。一方で、その接続用情報を不正に取得して設置された偽のアクセスポイントのビーコンをスマートフォン10gが受信しても、変更タイミングを過ぎていれば接続用情報が削除されているので、偽のアクセスポイントに接続されない。このように、本変形例によれば、接続用情報が削除されない場合に比べてセキュリティを向上させることができる。
なお、変更タイミングの特定方法は上記のものに限らない。例えばスピーカ装置が発信する無線信号に次の接続用情報の接続開始時刻を含めておいて、受診された無線信号からその接続開始時刻を抽出することで変更タイミングを特定してもよい。また、無線通信システムにおいて接続用情報を変更する時刻が定められている(例えば毎日0時などに定められている)場合、スマートフォン10gがその変更時刻を表す情報を予め記憶しておき、その情報を読み出すことで変更タイミングを特定してもよい。
[3−4]情報漏洩の判断1
サーバ装置は、接続用情報が漏洩したことを判断してもよい。
図24は本変形例のサーバ装置40hが実現する機能構成を表す。サーバ装置40hは、図6に表す各部に加えて、接続用情報検索部410と、情報漏洩判断部411とを備える。
本変形例の接続指示部402は、アクセスポイントに対して使用を指示した接続用情報を接続用情報検索部410に供給する。接続用情報検索部410は、供給された接続用情報、すなわちアクセスポイントに対して無線通信に用いる情報として指示された接続用情報を、検索サービスを利用して検索する。接続用情報検索部410は本発明の「検索部」の一例である。
接続用情報検索部410は、インターネット上で提供されているGoogle(登録商標)やYahoo(登録商標)などの検索サービスのうちのいずれか又は複数を利用して、接続用情報のうちの例えばSSID及び暗号化キーをそれぞれ検索する。その際、接続用情報検索部410は、完全一致での検索が可能な検索サービスについては完全一致で検索する。接続用情報検索部410は、検索結果として、検索した接続用情報に一致する文字列を含むウェブページのURL(Uniform Resource Locator)が得られれば、そのURLを情報漏洩判断部411に供給する。
情報漏洩判断部411は、情報漏洩判断部411からURLが供給されると、すなわち情報漏洩判断部411により接続用情報が検索されると、接続用情報が漏洩したと判断する。情報漏洩判断部411は本発明の「第1判断部」の一例である。情報漏洩判断部411は、接続用情報が漏洩したと判断すると、その旨を接続用情報決定部401に通知する。接続用情報決定部401は、情報漏洩判断部411から接続用情報の漏洩を判断した旨が通知されると、新たな接続用情報を決定し、接続指示部402及び発信指示部403に供給する。
接続指示部402は、こうして接続用情報決定部401から接続用情報が供給された場合、すなわち情報漏洩判断部411により接続用情報の漏洩が判断された場合、アクセスポイントに対してこの接続用情報を送信して、無線通信で用いる接続用情報の変更を指示する。また、発信指示部403も、この場合に、無線信号に含める接続用情報を接続用情報決定部401から供給された接続用情報へ変更することをスピーカ装置に指示する。発信指示部403は、この指示を行うことで、接続指示部402の指示により変更された接続用情報をスマートフォンに通知する。
接続用情報を不正に入手した不正行為者は、その接続用情報をウェブページに掲載して他人に開示することがある。こうして開示された接続用情報が検索サービスで検索されると、接続用情報が漏洩したことが分かる。その際に、本変形例では、アクセスポイントが無線通信に用いる接続用情報と、スピーカ装置を介してスマートフォンに通知される接続用情報が変更されるので、この変更が行われない場合に比べて、例えば漏洩した接続用情報を用いた偽のアクセスポイントが設置されても、スピーカ装置からの無線信号を受信したスマートフォンがそのアクセスポイントに接続することが少なくなるし、上述した盗聴をされることも少なくなる。このように、本変形例では、情報漏洩の判断及び接続用情報の変更が行われない場合に比べて、無線通信の接続におけるセキュリティを高めることができる。
なお、接続用情報検索部410による検索は、完全一致ではなくあいまい検索であってもよい。その場合、例えば不正行為者が少し加工してウェブページに掲載した接続用情報(例えば「ABCDEFG」というSSIDを「ABCDEF_G」と掲載)でも検索することができる。また、接続用情報検索部410は、検索対象の接続用情報についての指示(接続指示部402による指示と発信指示部403による指示)が行われた後に更新されたウェブページに限定して検索をしてもよい。
特にあいまい検索をしている場合、接続用情報に似た情報を過去に偶然掲載したウェブページが検索されることになりやすいので、上記のとおり更新期間を限定することで、そのようなウェブページが検索されなくなり、期間を限定しない場合に比べて、誤って情報漏洩と判断されることが少なくなる。なお、検索対象の接続用情報についての指示が行われる前に更新されたウェブページが検索されても、情報漏洩判断部411がそのウェブページが検索されたことからは情報漏洩を判断しないようにしてもよい(もちろん指示以降に更新されたウェブページも検索されていれば、情報漏洩と判断する)。
[3−5]情報漏洩の判断2
接続用情報の漏洩の判断方法は上記のものに限らない。
図25は本変形例の各装置が実現する機能構成を表す。図25の例では、図6に表す各部に加え、受信関連情報送信部111を備えるスマートフォン10kと、図6に表す各部に加え、情報漏洩判断部411とを備えるサーバ装置40kとが表されている。
本変形例の無線信号受信部101は、スピーカ装置からの無線信号を受信すると、その旨を受信関連情報送信部111に通知する。受信関連情報送信部111は、無線通信に関連する通信関連情報をサーバ装置40kに送信する。受信関連情報送信部111は本発明の「第3送信部」の一例である。受信関連情報送信部111は、無線通信の受信に関する受信関連情報、例えば無線信号受信部101が無線信号を受信した受信時刻(無線信号受信部101からの通知があった時刻でもよいし、それよりも所定時間だけ前の時刻でもよい)を通信関連情報として送信する。
情報漏洩判断部411は、受信関連情報送信部111から送信されてきた通信関連情報に基づいて接続用情報が漏洩したか否かを判断する。本変形例の情報漏洩判断部411は本発明の「第2判断部」の一例である。情報漏洩判断部411は、例えばスピーカ装置が設置された店舗の営業外の時刻を表す受信時刻が送信されてきた場合に、接続用情報が漏洩したと判断する。これ以外にも、情報漏洩判断部411は、スマートフォン10kが無線信号を受信するはずのない時刻が受信時刻として送信されてきた場合に、接続用情報が漏洩したと判断する。接続用情報決定部401、接続指示部402及び発信指示部403は、図24の例と同様に動作する。
上述した録音による不正行為者が、店舗の営業時間中にスピーカ装置からの無線信号を録音し、店舗の営業時間が終わってから録音した音を用いて接続用情報を不正に取得すると、本変形例では、その受信時刻から接続用情報が漏洩したと判断されて接続用情報が変更されるので、不正行為者のスマートフォンがアクセスポイントに接続できなくなる。このように、本変形例によれば、無線通信の接続を不正に行うことを防ぐことができる。また、偽のアクセスポイントが店舗外に設置された場合にも、営業時間外の受信時刻が送信されて情報漏洩と判断されることがある。この場合、受信関連情報に基づく情報漏洩の判断がされない場合に比べて、無線通信の接続におけるセキュリティを高めることができる。
なお、受信関連情報は受信時刻に限らない。例えばスマートフォン10kが無線信号を受信したときの受信位置が受信関連情報として用いられてもよい。この場合、受信関連情報送信部111は、無線信号受信部101からの通知があると、自装置の位置を測定し、その測定結果が表す受信位置を受信関連情報としてサーバ装置40kに送信する。情報漏洩判断部411は、例えばスピーカ装置が設置された店舗の位置を記憶しておき、その位置から所定距離以上離れた位置を表す受信位置が送信されてきた場合に、接続用情報が漏洩したと判断する。
これ以外にも、情報漏洩判断部411は、スマートフォン10kが無線信号を受信するはずのない位置(店舗の外など)が受信位置として送信されてきた場合に、接続用情報が漏洩したと判断する。また、スマートフォン10kが無線信号を受信した受信履歴が受信関連情報として用いられてもよい。受信履歴は、例えば過去の受信時刻や受信位置によって表される。
例えば異なる店舗に設置されたスピーカ装置A、Bからそれぞれ無線信号が発信される場合に、情報漏洩判断部411は、スピーカ装置Aからの無線信号の受信時刻の履歴と、スピーカ装置Bからの無線信号の受信時刻の履歴とを比較して、両受信時刻の差が各店舗間を移動可能な時間よりも下回っている場合に、無線信号の受信が不正な手段(録音など)によって行われて接続用情報が漏洩したと判断する。以上のとおり、受信位置や受信履歴を用いた場合も、無線通信の接続を不正に行うことを防ぐことができるし、無線通信の接続におけるセキュリティを高めることができる。
図26は本変形例の各装置が実現する別の機能構成を表す。図26の例では、図6に表す各部に加え、接続関連情報送信部112を備えるスマートフォン10mと、図25に表すサーバ装置40kとが表されている。本変形例の無線通信接続部104は、アクセスポイントと接続すると、接続に用いた接続用情報を接続関連情報送信部112に供給する。接続関連情報送信部112は、アクセスポイントとの接続に関する接続関連情報を、通信関連情報としてサーバ装置40kに送信する。接続関連情報送信部112も本発明の「第3送信部」の一例である。
接続関連情報送信部112は、例えば接続関連情報送信部112から接続用情報を供給された時刻、すなわちアクセスポイントとの接続がされた接続時刻を通信関連情報として送信する。情報漏洩判断部411は、接続関連情報送信部112から送信されてきた通信関連情報に基づいて接続用情報が漏洩したか否かを判断する。情報漏洩判断部411は、例えばスピーカ装置が設置された店舗の営業外の時刻など、スマートフォン10mがアクセスポイントに接続するはずのない時刻が接続時刻として送信されてきた場合に、接続用情報が漏洩したと判断する。
なお、接続関連情報送信部112は、接続関連情報として、アクセスポイントと接続したときの接続位置を送信してもよいし、アクセスポイントとの接続履歴を送信してもよい。いずれも場合も、受信関連情報が送信されたときと同様に、その接続関連情報から接続用情報が漏洩したと判断されて接続用情報が変更されるので、不正行為者のスマートフォンがアクセスポイントに接続できなくなり、無線通信の接続を不正に行うことを防ぐことができる。また、偽のアクセスポイントが使用された場合にも情報漏洩と判断されることがあるので、無線通信の接続におけるセキュリティを高めることができる。
[3−6]接続用情報の変更頻度
接続指示部402は、上記の例では情報漏洩判断部411により接続用情報が漏洩したと判断された場合に単に接続用情報の変更を指示したが、これに限らない。接続指示部402は、例えばアクセスポイントに接続用情報の変更を繰り返し指示し、接続用情報が漏洩したと判断されるとその変更の指示の頻度を高くする。例えば接続用情報決定部401が1日1回接続用情報を決定し、接続指示部402が同じ頻度で接続用情報の変更をアクセスポイントに指示しているとする。
この場合に情報漏洩判断部411が接続用情報の漏洩を判断した旨を接続用情報決定部401に通知すると、接続用情報決定部401が、接続用情報を決定する頻度を例えば1日に4回にして、接続指示部402が同じ頻度で接続用情報の変更をアクセスポイントに指示する。この際、発信指示部403も、接続指示部402が接続用情報の変更を指示するのと同じ頻度で発信する接続用情報の変更をスピーカ装置に指示する。これにより、発信指示部403は、接続指示部402と同じ頻度で、無線信号を利用してスマートフォンに通知する接続用情報を変更する。
このように接続用情報の変更頻度を高めることで、変更頻度を変えない場合に比べて、漏洩した接続用情報を用いた不正行為(アクセスポイントへの不正なアクセスや偽のアクセスポイントによる情報漏洩、盗聴など)が行われにくいようにすることができる。なお、接続用情報決定部401、接続指示部402及び発信指示部403は、変更した頻度を例えば所定の期間(例えば1週間や1カ月)だけ継続し、その期間が過ぎたら元に戻してもよい。
また、前述の各部(接続用情報決定部401、接続指示部402及び発信指示部403)は、接続用情報を変更する頻度を、情報漏洩の判断に用いられた検索結果や通信関連情報に応じて定めてもよい。例えば、前述の各部は、検索された接続用情報を掲載するウェブページ数が閾値未満であれば不正行為者はそれほど多く現われないとみなして変更頻度を2倍にするが、そのウェブページ数が閾値以上であれば不正行為者がより多く現われるとみなして変更頻度を4倍にする。また、前述の各部は、受信位置や接続位置とスピーカ装置が設置された店舗との距離が閾値未満であれば変更頻度を2倍にし、その距離が閾値以上であれば変更頻度を4倍にする。
接続用情報の変更頻度を高くするほど、不正行為が行われにくくなるが、一方で、無線信号を受信したスマートフォンがアクセスポイントに接続しようとしたときに接続用情報が変更されていて接続できない事態が発生する可能性も高まってしまう。そこで、前述のとおり変更頻度を検索結果や通信関連情報に応じて定めることで、そのような事態が発生する可能性を普段は抑えつつ、接続用情報が漏洩したときには、情報漏洩の影響の大きさに合った頻度で不正行為を抑止するための接続用情報の変更を行うことができる。
なお、前述の各部は、変更頻度を継続する継続期間も検索結果や通信関連情報に応じて定めてもよい。例えば、前述の各部は、検索された接続用情報を掲載するウェブページ数が閾値以上である場合の継続期間を、そのウェブページ数が閾値未満である場合の2倍にする。また、前述の各部は、受信位置や接続位置とスピーカ装置が設置された店舗との距離が閾値以上である場合の継続期間を、その距離が閾値未満である場合の2倍にする。この場合も、上記事態の発生を抑えつつ、情報漏洩の影響の大きさに合った期間だけ不正行為を抑止するための接続用情報の変更を継続することができる。
[3−7]接続用情報の選択
第2実施例において、接続用情報通知部405がスマートフォン10aに通知する接続用情報が複数の中から選択されてもよい。本変形例では、接続用情報記憶部404が、識別情報に対応付けて複数の接続用情報を記憶する。
図27は本変形例の無線通信システム1nの全体構成を表す。無線通信システム1nは、図10に表すスマートフォン10a、スピーカ装置20a及びサーバ装置40aと、アクセスポイント30n−1、30n−2及び30n−3とを備える。これらのアクセスポイントの通信速度は、30n−1が最も速く、30n−3が最も遅く、30n−2がそれらの中間である。本変形例では、無線通信システム1nを利用するユーザのランクが例えば支払っているサービス料金等に基づいて決められており、ランクが高いユーザほど通信速度が速いアクセスポイントを利用できるようになっているものとする。
図28は本変形例の接続用情報DBの一例を表す。図28の例では、「ID001」という識別情報にアクセスポイント30n−1、30n−2、30n−3の接続用情報(それぞれのSSIDが「xxxxx」、「yyyyy」、「zzzzz」)が対応付けられ、各接続用情報には、対応するランクを表す「1」、「2」、「3」というランク情報が対応付けられている。スマートフォン10aが自装置を利用するユーザのランクを表すランク情報を記憶しており、図10に表す接続用情報取得部106が識別情報及び取得時刻情報を送信する際に、そのランク情報も送信する。
接続用情報通知部405は、識別情報を送信してきたスマートフォン10aに関する端末関連情報に応じて選択した接続用情報をそのスマートフォン10aに通知する。接続用情報通知部405は、この例では、送信されてきたランク情報を端末関連情報として用いて、ランク情報に接続用情報DBで対応付けられている接続用情報をスマートフォン10aに通知する。これにより、スマートフォン10aを利用するユーザのランクに応じたアクセスポイントにそのスマートフォン10aを接続させることができる。
なお、端末関連情報はランク情報に限らない。接続用情報通知部405は、スマートフォン10aが識別情報を取得した位置を表す取得位置情報を端末関連情報として用いてもよい。この場合、例えばスピーカ装置が複数設置されており、接続用情報通知部405は、図28に表すランク情報に代えて取得位置情報が表す位置(各スピーカ装置が設置されている位置)が各接続用情報に対応付けられている接続用情報DBを用いて通知を行う。この場合、例えばアクセスポイント30n−1、30n−2、30n−3を同じ会場に設置し、会場の異なる入り口に3つのスピーカ装置をそれぞれ設置することで、ユーザが入ってきた入り口に対応するアクセスポイントにスマートフォン10aを接続させることができる。
また、接続用情報通知部405は、スマートフォン10aの通信履歴を端末関連情報として用いてもよい。通信履歴としては、例えば通信量を表す通信量情報が用いられる。
図29は本変形例の接続用情報DBの別の一例を表す。図29の例では、図28に表す3つの接続用情報に、対応する通信量を表す「第1閾値以上」、「第1閾値未満第2閾値以上」、「第2閾値未満」という通信量情報が対応付けられている。スマートフォン10aの接続用情報取得部106が、識別情報及び取得時刻情報とともに通信量情報も送信すると、接続用情報通知部405が、送信されてきた通信量情報に接続用情報DBで対応付けられている接続用情報をスマートフォン10aに通知する。この場合、スマートフォン10aの通信量が多いほど通信速度が速いアクセスポイントに接続させることができる。
また、接続用情報通知部405は、各アクセスポイントの同時接続数(接続されている通信端末の数)にも基づいて接続用情報を選択してもよい。
図30は本変形例の各装置が実現する機能構成の一例を表す。図30の例では、図6に表す各部に加え、同時接続数送信部304を備えるアクセスポイント30pと、図10に表す各部に加え、同時接続数取得部412を備えるサーバ装置40pとが表されている。なお、アクセスポイント30pは、図中では1つしか表されていないが、複数あるものとする。
アクセスポイント30pの無線通信部302は、例えば現在接続されている通信端末のMAC(Media Access Control address)アドレスを所定の時間間隔で同時接続数送信部304に供給し、同時接続数送信部304は、供給されたMACアドレスの数を同時接続数としてサーバ装置40pに通知する。サーバ装置40pの同時接続数取得部412は、アクセスポイント30pから通知された同時接続数を取得して接続用情報通知部405に供給する。接続用情報通知部405は、例えば、取得された同時接続数が最も少ないアクセスポイント30pの接続用情報を選択してスマートフォンに通知する。
また、接続用情報通知部405は、上述した端末関連情報に基づいて選択したアクセスポイント30pの同時接続数が閾値未満であればその選択を維持し、その同時接続数が閾値以上であれば別のアクセスポイント30pを選択するようにしてもよい。いずれの場合も、同時接続数が多いアクセスポイントよりも同時接続数が少ないアクセスポイントに優先的に通信端末を接続させることで、各アクセスポイントの通信の負荷を分散させることができる。
[3−8]移動通信端末
無線通信機に接続する移動通信端末はスマートフォンに限らない。例えばタブレット端末や携帯電話機、ノートパソコン、ウェアラブル端末などであってもよい。いずれの場合も、上記の各例に表すスマートフォンと同等の各機能を実現する端末であればよい。
[3−9]無線信号
上記の各例ではスピーカ装置が接続用情報を重畳させた音を放出することでその音が表す無線信号を発信したが、デバイスが発信する無線信号はこれに限らない。例えば発信機がBluetooth(登録商標)の規格に準拠した電波を発することでその電波が表す無線信号を発信してもよい。また、電波や音だけでなく、赤外線などの光が表す無線信号が発信されてもよい。いずれの場合も、移動通信端末が無線で受信可能な信号が発信されていればよい。
[3−10]無線通信
上記の各例では無線通信機と移動通信端末が無線LANの通信を行ったが、これに限らない。例えばBluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)、などの他の無線通信が行われてもよい。これらの無線通信が行われる場合、それぞれの無線通信で接続に用いられる情報が接続用情報として無線信号に含まれてデバイスから発信され、また、その接続用情報を無線通信機が用いるようにサーバ装置から指示されればよい。
[3−11]各機能を実現する装置
上記の各例に表す各機能を実現する装置は上述したものに限らない。例えばスピーカ装置が実現する各機能(無線信号生成部202や無線信号発信部203など)をアクセスポイントが実現してもよい。この場合、アクセスポイントが発信する無線信号を受信した移動通信端末と、そのアクセスポイントとが接続することになる。また、スマートフォンがスピーカを備えている場合にスピーカ装置の代わりに用いて無線信号を発信させてもよいし、複数台のアクセスポイントのうちの1台にサーバ装置の機能を兼務させてもよい。
[3−12]識別情報
第2実施例で述べた識別情報は店舗IDであったが、これに限らない。例えばデバイスの装置IDでもよいし、デバイスの位置情報(緯度・経度)であってもよい。また、無線通信システムにおいて各デバイスに割り当てられた番号であってもよい。いずれの場合も、無線通信システムにおいて一意に識別可能な情報であればよい。
[3−13]DB・テーブル
図11等に表すDBや図12等に表すテーブルはそれぞれが一例であり、これらに限らない。また、各DB・テーブルはそれを用いる機能を実現する装置が記憶していたが(例えば図11の接続用情報DBはサーバ装置40aが記憶していた)、外部装置が記憶していて、それを用いる装置が必要なときに読み込んでRAM等に記憶させ、用いてもよい。
[3−14]発明のカテゴリ
本発明は、サーバ装置、移動通信端末(実施例ではスマートフォン)、デバイス(実施例ではスピーカ装置)、無線通信機(実施例ではアクセスポイント)、及びそれらの装置を備える情報処理システム(実施例では無線通信システム)として捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。